以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。以下に説明される実施形態は、本発明のいくつかの例を示すものであって、本発明の内容を限定するものではない。また、各実施形態で説明される構成及び動作の全てが本発明の構成及び動作として必須であるとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
[1.配送システムの概要]
図1は、本発明の実施形態1における配送システム1の概要を示す図である。
図1において、配送システム1は、荷物の「配送元」である配送センター(以下、「センター10」とも称する)から「配送先20(届け先)」まで配送車両が移動することで荷物を配送するシステムである。
このセンター10は、商品を管理する商品管理センター(商品管理元)、商品管理センターにおいて管理する商品のうち購入者が注文した商品の配送手続を行う配送センター(配送元)、及び、配送に関する監視を行う監視センター(監視元)等の役割を担う拠点の総称である。センター10は、「配送拠点」とも称されることがある。
センター10は、電子商取引が可能であるECサイトを用いて行われた注文を受け付ける。より詳細には、センター10は、センター10に設けられた、ECサイトを管理、運営するサーバで注文を受け付ける。
このECサイトは、自宅等に設置したパソコン、タブレット等の電子機器を用いてアクセスできるWeb上の店舗である。商品の購入希望者は、このECサイトにアクセスすることで、簡単に希望する商品を注文(購入)することができ、気軽に買い物をすることができる。
このECサイトへのアクセスは、液晶ディスプレイを備え、ネットワーク通信によってWebサイトに接続された自動販売機からも可能である。例えば、商品の購入希望者は、従来の自動販売機で飲料を購入するように、液晶ディスプレイに表示された商品を購入することが可能である。
このECサイトを利用した商品の購入に際して、商品の購入希望者は、購入を希望する商品と共にその商品の支払い方法の他、その商品の配送先20を指定する。
センター10では、商品の購入者から配送先20等が指定された注文を受け付けると、管理する商品のうちから注文された商品を選別してその商品を配送先20へと配送する処理が行われる。
なお、センター10において行われる配送に係る工程(配送工程)の詳細については、図3を用いて後述する。
センター10から配送先20までは、配送車両によって商品を荷物として配送する。
このときの荷物は、その大きさ(サイズ)、形状、数量や耐衝撃度等に応じて選択された適切な配送ボックス300(「ボックス」、「BOX」、「配送容器」とも称する)に収納(格納)されて配送される。このことから、荷物と配送ボックス300とは、配送される対象物(配送対象)として同義である。「荷物の配送」と「配送ボックスの配送」とは、それらの意味が異なるものではない。
また、配送する配送車両は、配送ボックス300を積載した小型の配送車両と、その配送車両自体を搭載する大型の配送車両と構成される。
大型の配送車両は、1又は複数の配送ボックス300と、小型の配送車両とを搭載することができ、「無人自動運転配送母車」、「運搬車両」、「母車両」、「母車」とも称する。以下では、この大型の配送車両を「母車100」と称する。
これに対して、母車100に搭載可能である小型の配送車両は、荷物を収納した配送ボックス300を積載可能であって、「無人自動運転配送子車」、「子車」とも称する。以下では、この小型の配送車両を「子車200」と称する。
なお、子車200を「第1配送車両」と称し、母車100を「第2配送車両」とも称することがある。
センター10では、荷物が収納された配送ボックス300の配送先20に関する情報(「配送情報」)を各配送車両(母車100及び子車200)にそれぞれ設定(記憶)する。つまり、母車100及び子車200には、母車100に搭載された1又は複数の配送ボックス300の数量だけ、配送先20に関する情報が設定、記憶されている。
この配送情報には、配送先20の住所や氏名の他、配送ボックス固定具400を識別する「固定具番号」、配送される配送ボックス300を識別する「ボックス識別情報」等が含まれる。配送情報に含まれるこれらの情報は、互いに対応付けて記憶されている。また、配送情報には、複数の配送先20に配送ボックス300が配送される順番を示す配送順情報が含まれている。
母車100は、自動運転制御機構(自動運転制御部)及び配送制御機構(配送制御部)を有しており、相互が連動することで荷物の配送を行う。
母車100の自動運転制御機構は、母車100を自動運転によって所定の位置(地点)まで移動(走行)させるために必要な、装置、機構及び制御プログラム等の総称である。
この自動運転制御機構は、配送元のセンター10から配送ルート上の所定の位置(地点)(以下の「降車地点」及び「中継地点21」等に該当)まで、母車100を移動させる制御を行う。
ここで、配送元のセンター10から配送ルート上の所定の位置(地点)(「降車地点」及び「中継地点21」等に該当)までの配送ルートを、「第1移動経路」とも称する。つまり、第1移動経路は、母車100が子車200を搭載して移動(走行)する配送ルートである。言い換えれば、子車200は、配送先20から中継地点21まで母車両と共に(一体不可分な状態で)第1移動経路を移動する。
母車100の配送制御機構は、配送ボックス300を配送先20に配送するために母車100にとって必要な、装置、機構及び制御プログラム等の総称である。
この配送制御機構は、母車100に収納された1又は複数の配送ボックス300のうちで配送ルート上の所定の位置(地点)(「降車地点」及び「中継地点21」等に該当)に対応する配送先20に配送される配送ボックス300を特定し、子車200に積載させる制御を行う。
更に、この配送制御機構は、母車100に搭載された子車200を出庫させて母車100から降車させる制御を行う。このときの出庫制御は、母車100の扉を開放することでその扉が出庫路となって子車200を出庫させる制御処理である。
更に、この配送制御機構は、子車200が配送ボックス300を配送先20に配送した後に母車100まで戻ってくる(帰車する)と、その子車200を入庫させて母車100に乗車させる制御を行う。このときの入庫制御は、母車100の扉を開放してその扉が入庫路となって子車200を入庫させて母車100内の所定のスペースに停車させる制御処理である。
更に、この配送制御機構では、母車100から出庫した子車200との間で相互通信を行うことで子車200の配送状況を管理している。
なお、母車100の詳細な構成については、図4乃至図8を用いて後述する。
また、子車200においても、母車100と同様に、自動運転制御機構(自動運転制御部)及び配送制御機構(配送制御部)を有しており、相互が連動することで荷物の配送を行う。但し、子車200の自動運転制御機構は、母車100における自動運転制御機構とは類似するが異なり、子車200の配送制御機構は、母車100における配送制御機構と異なる。
子車200の自動運転制御機構は、子車200が母車100から降車した地点(「降車地点」及び「中継地点21」に該当)から配送先20まで子車200を自動運転によって移動(走行)させるために必要な、装置、機構及び制御プログラム等の総称である。
この自動運転制御機構は、子車200が母車100から降車した地点(「降車地点」及び「中継地点21」等に該当)から配送先20まで、子車200を移動させる制御を行う。
ここで、子車200が母車100から降車した地点(「降車地点」及び「中継地点21」に該当)から配送先20までの配送ルートを、「第2移動経路」とも称する。つまり、第2移動経路は、子車200が母車100から降車して移動(走行)する配送ルートである。言い換えれば、子車200は、母車100とは独立して単独で中継地点21から配送先20まで第2移動経路を移動(走行)する。
子車200の配送制御機構は、配送ボックス300を配送先20に配送するために子車200にとって必要な、装置、機構及び制御プログラム等の総称である。
この配送制御機構として、子車200には、ロボットアーム(単に、「アーム」とも称する)が設けられている。このアームは、子車200に積載された配送ボックス300が配送時に落下しないよう、この配送ボックス300を保持する。更に、このアームは、配送ボックス300を保持した状態から、配送ボックス300を移動させ、配送先20に設けられた配送ボックス300を固定するための固定具(以下、「配送ボックス固定具400」と称する)に固定する。このように、配送システム1では、子車200のアームの駆動により、配送ボックス300が配送ボックス固定具400に固定されることで、配送ボックス300が配送先20に配送される。
アームは、配送ボックス300を挟持、拘持又は保持することが可能である部材であることから、「挟持部材」、「拘持部材」、「保持部材」又は「保持部」と称することができる。また、アームは、配送ボックス300を移動可能に駆動する部材でもあることから、「可動部材」とも称することができる。
なお、子車200の詳細な構成については、図9及び図10を用いて後述する。また、配送ボックス300及び配送ボックス固定具400の詳細な構成については、図15乃至図17を用いて後述する。
続いて、以下では、上記に示すような機能を有する母車100、子車200によって配送ボックス300をセンター10から配送先20まで配送する処理の流れを説明する。
子車200を搭載した母車100は、配送先20に関する情報を基に、子車200に積載された配送ボックス300が配送される配送先20までの配送ルート(移動ルート)を検索する。この検索処理では、母車100が備えるGPS装置と、地図情報や道路情報等とを用いて、その配送ボックス300を配送先20まで配送するための配送ルートが検索される。
すなわち、母車100は、配送される配送ボックス300が複数あれば、各配送ボックス300の配送先20それぞれを考慮した配送ルートを検索する。母車100は、この検索処理によって検索した配送ルートを記憶する。
図1に示す例では、配送先20として「配送先1」、「配送先2」及び「配送先3」の3つが指定されている。この場合、配送ルートは、「「センター」→「配送先1」→「配送先2」→「配送先3」→「センター」」となる。
但し、配送ルートの一部として、「「センター」→「配送先1」」が指定されるものの、母車100が移動する移動ルートは、センター10から中継地点21としての「中継地点1」(「中継1」と図示)である。この「中継地点1」と「配送先1」との間は子車200が移動することを示している。このときの「中継地点1」は、配送先20としての「配送先1」に対応する地点であって、配送先20としての「配送先1」に配送される配送ボックス300が積載された子車200が母車100から降車する地点(降車地点)である。
なお、子車200においても、母車100と同様に、配送先20に関する情報を基に、現在地(降車地点等)から配送先20までの配送ルート(移動ルート)を検索する。更に、子車200は、配送先20から母車100に戻るまでの戻りルートを検索する。これら検索処理では、子車200が備えるGPS装置と、地図情報や道路情報等とを用いて、子車200の現在地(降車地点等)から配送先20まで、及び、配送先20から母車100のいる地点までの移動ルートを検索する。
現在地が、母車100から降車した地点である「中継地点1」であれば、子車200は、この「中継地点1」から「配送先1」までの配送ルートを検索して記憶する。そして、子車200は、「中継地点1」から「配送先1」までの配送ルートを移動する。その後、「配送先1」への配送ボックス300の配送が完了すると、子車200は、母車100との相互通信により母車100のいる戻り地点である「中継地点1」までの戻りルートを検索する。すなわち、この場合、母車100から降車地点と戻り地点とが同じ(略同じを含む)であることを示している。
続いて、母車100が検索した配送ルートの一部である、「「配送先1」→「配送先2」」において、母車100が移動する移動ルートは、「配送先1」に対応する「中継地点1」から「配送先2」に対応する「中継地点2」までである。この場合も同様に、「中継地点2」と「配送先2」との間は子車200が移動して配送ボックス300を配送する。一方、この場合、「中継地点2」から「配送先2」へと移動した子車200は、母車100から降車した「中継地点2」ではなく、「配送先3」に対応する「中継地点3」へと戻る。
すなわち、「「配送先1」→「配送先2」」の部分では、子車200の移動開始地点と戻り地点とが異なることを示している。これは、子車200が「配送先3」へと配送している間に、母車100が「中継地点2」から「配送先3」に対応する「中継地点3」へと移動したことを示し、子車200が母車100との通信によって戻りルートとして、「「配送先2」→「中継地点3」」を検索したことを示している。
続いて、母車100が検索した配送ルートの一部である、「「配送先2」→「配送先3」」において、母車100が移動する移動ルートは、「配送先2」に対応する「中継地点2」から「配送先3」に対応する「中継地点3」である。この場合も同様に、「中継地点3」と「配送先3」との間は子車200が移動して配送ボックス300を配送する。
そして、母車100が検索した配送ルートの一部である、「「配送先3」→「センター」」は、母車100が移動するルートである。
以上のような流れによって、配送システム1では、配送元であるセンター10から配送先20への配送ボックス300(荷物)の配送が可能となる。
このとき、配送先20には、配送された配送ボックス300が固定される固定具である配送ボックス固定具400が設けられている。
この配送ボックス固定具400に固定される配送ボックス300は、配送ボックス固定具400に固定することが可能な1又は複数の突起部310(「突起物」とも称する)を有している。また、配送ボックス固定具400は、配送ボックス300の突起部310が差し込まれること(貫通すること)でその配送ボックス300を掛止する1又は複数の穴部410を有している。この突起部310は、円筒部と円錐部との組み合わせによって構成され、その円筒部と円錐部の組み合わせ部分に括れを有している。
この配送ボックス300に設けられた突起部310と、配送ボックス固定具400に設けられた穴部410とは、配送ボックス300を配送ボックス固定具400に固定することができる固定部材である。言い換えれば、配送ボックス300と配送ボックス固定具400とは、突起部310と穴部410とによって係合する関係にあることから、突起部310は、配送ボックス300における係合部(第1係合部)であって、穴部410は、配送ボックス固定具400における係合部(第2係合部)であると言える。よって、第2係合部と第1係合部とを係合させることで配送ボックス300を配送ボックス固定具400に固定することができる。
また、配送ボックス固定具400は、ロック機構を有しており、穴部410に配送ボックス300の突起部310が差し込まれると、ロック機構により穴部410に突起部310を固定して取り外しができない状態(取り外しが困難な状態をも含む)に制御(ロック制御)することで(抜け止めが効いた状態とすることで)勝手に取り外されたり、盗難にあったりすることの無いように構成されている。
このロック機構は、配送ボックス300に設けられた4本の突起部310のうち、2本の突起部310で支えられており、残りの2本の突起部310は、配送ボックス固定具400に設けられた穴部410の上部円形部に嵌合する突起物としてくびれのない円筒状のピンが配送ボックスから飛び出し配送ボックスが上方に持ち上げられるのを防ぎ固定するように設けられている。
このロック制御された配送ボックス300を配送ボックス固定具400から取り外す(ロック解除)には、子車200が配送ボックス300の記憶装置において記憶されている固有のID及びパスワード等を認証することで、この子車200が配送ボックス固定具400に対する配送ボックス300のロックを解除する操作(ロック解除操作)を行う。
なお、配送ボックス固定具400が設置されていない配送先20への配送や、何らかの障害があって配送ボックス固定具400に子車200が配送ボックス300を固定することができない場合は、事前に登録された受取人の連絡先情報に荷物の到着を報知し、子車200が待機している配送先20近隣の所定位置(待機位置)で荷物の受渡しを行うことが可能である。
但し、配送ボックス固定具400に子車200が配送ボックス300を固定することができない場合であって、事前に登録された受取人の連絡先情報に荷物の到着を報知したにもかかわらず、不在などの理由により返信がない場合や何らかの理由により受取が困難又は不可能であることが、電話、メール又は各種SNS(Social Networking Service)等の手段により確認されると、子車200は、母車100に戻って在宅時間を確認の上、再配送を行う。
続いて、配送が完了した後の処理を説明する。
以上に示すような処理によって配送ボックス300の配送が完了すると、子車200は、記憶装置で記憶しているその配送ボックス300の受取人に関する情報に含まれる連絡先情報(メール又は各種SNS)に荷物の着荷を通知する。
このときの通知される内容として、荷物が配送されたことと共に、配送された荷物を配送ボックス300から取り出すための情報として開錠キーコード(この他、「開錠情報」、「開錠パスワード」とも称する)がある。
配送ボックス300は、タッチパネル、ボタン又はカメラ(撮像装置)等の情報入力部を有しており、後述する開錠キーコードの入力を受付可能である。この情報入力部から正規の開錠キーコードが入力されて認証されると、配送ボックス300は、配送ボックス300の扉(「BOX扉」、「蓋部分」とも称する)を開放可能な状態(開状態)に錠制御を行う。また、扉が開状態に錠制御された状態で荷物が受取人によって取り出されて扉を閉じると、配送ボックス300は、配送ボックス300の扉の開放を制限する状態(閉状態)に錠制御を行う。
荷物の受取人(商品の購入希望者と受取人が同一であれば、購入希望者)が配送ボックス300の情報入力部に所定の情報を入力して配送ボックス300が、その所定の情報が正しい開錠キーコードであると認証すると、この配送ボックス300は、開放可能な状態(開状態)に錠制御を行う。これによって、受取人は、配送ボックス300の扉を開けて荷物を取り出すことが可能となる。
そして、荷物の取り出し後、配送ボックス300の扉が閉まる(若しくは、受取人により扉が閉められる)と、配送ボックス300は、その扉を施錠することとなるが、再度、正しい開錠キーコードが入力されたと認証することで何回でも開錠が可能である。
以上のような処理によって、配送システム1では、配送が完了された荷物の取り出しが可能となる。
そして、配送ボックス300は、センサー等により荷物が取り出されたこと、及び、扉が施錠されたことを検知すると、センター10に対してステータス情報を送信する。このとき、センター10は、任意の配送先20に荷物を配送している母車100に対して配送ボックス300の回収が可能であるかを問い合わせる「BOX回収問い合わせ通知」を送信する。
この「BOX回収問い合わせ通知」を受信した母車100では、配送ボックス300が積載可能な子車200(配送ボックス300を積載していない子車200)があるか否かを判断して、センター10に配送ボックス300の回収が可能であるかを応答する。
その後、センター10から配送ボックス300の回収を指示する「BOX回収指示(回収指示情報)」を受け付けた母車100がその「BOX回収指示」で指定された配送先20(この場合、「回収先」と表現される)に関する情報(「回収情報」、「回収先情報」とも称する)をもとに、その回収先までのルートを検索して記憶しておき、そのルートに基づいて移動することで配送ボックス300を回収することとなる。
このときの回収情報には、回収先の住所や氏名の他、配送ボックス固定具400を識別する「固定具番号」、回収する配送ボックス300を識別する「ボックス識別情報」等が含まれる。
また、配送ボックス300を回収するルートは、既存の配送ボックス300の配送ルートに新たに組み込まれることとなり、これによって、母車100は、新たな配送ルート(配送回収ルート)で配送と共に回収を行うこととなる。もちろん、既存の配送ルートとは別に回収ルートを検索して記憶しておき、配送ルートでの配送ボックス300の配送が完了後に回収ルートに基づいて配送ボックス300を回収することとしてもよい他、配送ルートでの配送ボックス300の配送前に回収ルートに基づいて配送ボックス300を回収することとしてもよい。
このときの配送ボックス300を回収する回収ルートを既存の配送ルートに組み込んだ新たな「配送回収ルート」で配送ボックス300の配送及び回収を行う状態を図2に示し、後述する。
図2は、本発明の実施形態1における配送システム1の概要を示す他の図である。
図2は、上記に示すように、図1に示すような配送システム1における配送ルートに、配送ボックス300を回収する回収ルートを組み込んだ配送回収ルートにおける配送システム1を示す。
図2に示す配送回収ルートは、図1に示す配送ルートである「「センター」→「配送先1」→「配送先2」→「配送先3」→「センター」」に対して、配送ボックス300の「回収先1」(「配送済先」とも称する)を新たに組み込んだものである。
具体的には、「配送先3」からセンター10に母車100が移動する配送ルートを「「配送先3」→「回収先1」→「センター」」へと変更している。
配送ボックス300の回収を行う母車100は、センター10から「BOX回収指示(回収指示情報)」を受け付けると、その「BOX回収指示(回収指示情報)」に含まれる回収先に関する情報(回収先の住所、ボックスに関する情報(後述する、「ボックス識別情報」、「開錠キーコード」、「サイズ」等))をもとに回収先へと移動する。
この「回収先1」に対しても各配送先20と同様、その「回収先1」に対する母車100の停止位置である「中継地点4」が設けられており、この「中継地点4」で子車200が降車してその子車200が「回収先1」まで移動する。このとき回収に向かう子車200は、その荷台に配送ボックス300を積載していない配送車両である。
「回収先1」において、子車200は、アームを用いて配送ボックス300を荷台に積載する処理が行われる。このとき、子車200は、配送ボックス300の記憶装置で記憶している固有の配送ボックス識別情報(以下、「BOXID」、「BOX識別情報」、「ボックス識別情報」とも称する)や開錠キーコード等を確認(チェック)し、その開錠キーコード等が、「BOX回収指示(回収指示情報)」に含まれる回収先に関する情報の「ボックス識別情報」や「開錠キーコード」と同一であることを条件として、子車200が配送ボックス固定具400に対する配送ボックス300の固定解除を行う。そして、子車200は、固定解除された配送ボックス300を積載して回収する。
以上のような処理によって、配送システム1では、配送先20の配送ボックス固定具400に固定された配送ボックス300の回収が可能となる。
このような処理によって、配送ボックス300に収納された荷物を受取人が配送先20で直接、受け取らずとも配送を完了することができる。つまり、受取人が不在等で再配達が必要となる回数を格段に減らすことができる。
したがって、実施形態1に係る配送システム1によって、配送に係る費用(コスト)を従来の配送に比べて大幅に低減することが可能になる。
[2.配送元での処理工程]
図3は、本発明の実施形態1における配送システム1を構成する配送元において行われる処理工程(作業工程)を示す図である。
図3において、センター10は、上記に示すように、商品管理センター(商品管理元)、配送センター(配送元)及び監視センター(監視元)等の総称である。図3には、このセンター10において行われる「BOX配送工程」及び「BOX回収工程」に含まれる各作業工程が記載されている。
まず、配送ボックス300を配送先20まで配送する「BOX配送工程」について説明する。
この「BOX配送工程」として、商品の注文を受け付ける注文受付工程(A1)がある。注文受付工程は、電子商取引を可能としたECサイトを用いて行われた注文を受け付ける工程である。
注文受付工程において、注文を受け付けると、続いて、注文された商品を荷物として配送ボックス300に収納(格納)する収納工程(A2)がある。
この収納工程では、荷物の大きさ(サイズ)、形状、数量及び耐衝撃度等に応じて、複数の配送ボックス300から荷物の配送に適切な配送ボックス300を選択し、その選択した配送ボックス300に荷物をパッキングして収納(格納)する。
続いて、収納工程で荷物を収納した配送ボックス300を積載する配送車両である子車200を決定する他、この子車200を搭載する配送車両である母車100を決定する車両決定工程(A3)がある。
この車両決定工程において、配送車両が決定すると、続いて、配送ボックス300、子車200、母車100それぞれの記憶装置に所定の情報を設定する(記憶させる)情報設定工程(A4)がある。
情報設定工程は、第1に、配送ボックス300の記憶装置に、配送ボックス300を積載する子車200を識別する子車識別情報(子車ID)、及び、配送先20を指定した配送情報を少なくとも記憶する。第2に、子車200の記憶装置に、子車200に積載する配送ボックス300を識別するボックス識別情報、認証情報、子車200を搭載する母車100を識別する母車識別情報(母車ID)、及び、配送先20を指定した配送情報を少なくとも記憶する。第3に、母車100の記憶装置に、母車100に搭載する子車200を識別する子車ID、配送先20を指定した配送情報、及び、配送ボックス300の母車100内での配置を管理するボックス管理情報を設定する。
この情報設定工程において、配送ボックス300、子車200及び母車100のそれぞれの記憶装置に情報が設定されると、続いて、配送ボックス300を母車100に収納すると共に子車200を母車100に搭載することで発車準備を行う発車準備工程(A5)がある。
発車準備工程において、発車準備が完了すると、続いて、母車100に対して「BOX配送要求」を行って配送指示を行う配送指示工程(A6)がある。
このような工程を経て、母車100は、センター10から配送先20に向けて出発し得る。
次に、配送先20に配送された配送ボックス300を回収する「BOX回収工程」について説明する。
「BOX回収工程」として、まず、配送ボックス300から荷物を取り出したことを示す「取出完了通知」をセンターで受信した後に、センター10が所定の母車100に対して「BOX回収問い合わせ通知」を送信する問い合わせ工程(B1)がある。
この問い合わせ工程(B1)において、センター10が所定の母車100に対して「BOX回収問い合わせ通知」を送信すると、続いて、この通知を受け取った母車100から、配送ボックス300が積載されていない子車200が搭載していることで配送ボックス300の回収が可能であること、若しくは、配送ボックス300が積載されていない子車200がなく配送ボックス300の回収が不可能であることを示す「BOX問い合わせ応答通知」を受信する通知受信工程(B2)がある。
なお、このとき母車100は、現在地や残りの配送個数等の、配送ボックス300を回収する母車100をセンター10が決定するために必要な情報を「BOX問い合わせ応答通知」に含めて送信してもよい。
続いて、この通知受信工程(B2)において、各母車100それぞれから「BOX問い合わせ応答通知」を受信すると、各母車100から受信した「BOX問い合わせ応答通知」に基づいて、配送ボックス300を回収する母車100を決定する母車決定工程(B3)がある。
この母車決定工程(B3)では、配送ボックス300を積載していない子車200を搭載する母車100のうち、回収する配送ボックス300が設置された配送先20までの距離や移動経路等を考慮して、配送ボックス300の回収にあたる母車100を決定する。
続いて、この母車決定工程(B3)において、配送ボックス300の回収にあたる母車100を決定すると、その母車100に対して「BOX回収指示」を送信する回収指示工程(B4)がある。
この回収指示工程(B4)において送信された「BOX回収指示」を受信した母車100では、配送ルートに配送ボックス300の回収経路を検索して、配送ボックス300の回収を行う。
以上に示すような工程を経て、センター10では、配送ボックス300の配送及び回収を指示することとなる。
[3.母車の詳細構成]
図4は、本発明の実施形態1における母車100の電気的構成を示す図である。図5は、本発明の実施形態1における母車100の外観構成を示す図である。図6は、本発明の実施形態1における自動倉庫110に含まれる収納庫120の内部構成を示す図であって、収納庫120の内部を上方から視た図である。図7は、本発明の実施形態1における自動倉庫110に含まれる収納庫120の内部構成を示す図であって、図6に示すA−A’線で収納庫120を切断した際のA−A’矢視図である。図8は、本発明の実施形態1における自動倉庫110に含まれる搬送制御機構130を構成するコンベア131を示す図である。図8(a)は、コンベア131の1つである第1コンベア132を示す。図8(b)は、コンベア131の1つである第2コンベア133を示す。
図4に示すように、母車100は、制御部101と、通信装置102と、検出装置103と、記憶装置104と、運転制御装置105と、走行機構106と、自動倉庫110とを備える。
制御部101は、上記のような自動運転制御機構及び配送制御機構を含む母車100の機能全体を統括的に制御する制御ユニットである。制御部101は、例えばECU(Electronic Control Unit)であってもよい。
通信装置102は、センター10との間での相互通信、及び、子車200との間での相互通信をそれぞれ行うことができるモバイル通信装置である。通信装置102は、他の母車100との間での相互通信を行うことも可能である。
検出装置103は、周辺他車や歩行者、動物、落下物、溝、凹凸、センターライン等によって規定された走行車線、及び、信号等をはじめとした母車100の周囲の状況を認識するための各種レーダー及び各種センサである。検出装置103を構成する各種レーダー及び各種センサは、例えば、レーザーセンサー、赤外線センサー、超音波センサー、焦電センサー、3D−LiDAR(3D Light Detection and Ranging)等である。この各種センサには、カメラが含まれている。検出装置103は、カメラによる顔認識システム、人体検知システムによって得られる情報を基に、母車100の周囲の状況を複合的に認識する。それにより、母車100は、道路上のさまざまな危険を回避して中継地点21又はその近隣まで安全に自動運転(移動)することが可能である。
記憶装置104は、上記のような自動運転制御機構及び配送制御機構によって行われる各種の制御処理を実行する際に必要な各種情報を記憶する記憶装置である。記憶装置104には、センター10及び子車200のそれぞれとの相互通信で送受信される各種情報、並びに、配送ルート上を自動運転で走行するための各種情報が記憶されている。記憶装置104には、例えば、配送先20に関する情報である配送情報、荷物の配送先20までの配送ルートを決定するために用いられる地図情報、母車100の移動経路(移動路、配送路)である道路に関する道路情報、及び、交通情報等が記憶されている。更に、記憶装置104には、自動倉庫110内に収納された配送ボックス300の配置を管理するための「ボックス管理情報」等が記憶されている。
運転制御装置105は、母車100の走行機構106を制御する制御ユニットである。走行機構106は、母車100の走行に関する車両機構である。走行機構106は、エンジン、駆動輪106a、各種アクチュエータ、モータ(サーボモータ、インホイールモータ)、シリンダー等が該当する。図5には、走行機構106の一例として、母車100が道路を走行するための駆動輪106aが示されている。
運転制御装置105は、走行機構106の駆動制御を行うことによって、母車100の運転及び停止等の移動(運転)はもちろんのこと、狭い場所(路地等)での縦列駐車や方向転換を行うために前後移動だけでなく左右への平行移動、その場での回転、斜め方向への平行移動等の運転制御を行うことが可能である。
運転制御装置105は、地図情報上の位置を特定(測位)可能なGPS(Global Positioning System)装置105aをも備える。更に、運転制御装置105は、VICS(Vehicle Information and Communication System)又はこれに類似する道路交通情報通信システムと接続可能な受信機を備え、このシステムによって提供される道路情報及び交通情報を取得可能である。
母車100では、この運転制御装置105により、記憶装置104に記憶された各情報(地図情報、道路情報、交通情報等)とGPS装置105aとを用いて現在位置(現在地)から配送先20までの配送ルート(移動ルート)を検索して記憶し、この配送ルートに基づいて運転(移動)を行う。もちろん、運転制御装置105は、新たな交通情報、道路情報等を基に、この配送ルートを適宜、更新(変更)することも可能である。
自動倉庫110は、1又は複数の配送ボックス300を収納可能であると共に、自動倉庫110内での配送ボックス300の配置を作業者の作業によらずに変更可能に構成されている。自動倉庫110は、制御部101からの指令に基づいて、自動倉庫110内の予め指定された位置(後述の「受取収納位置」)に配送ボックス300を搬送する。この予め指定された位置に搬送された配送ボックス300は、子車200のアームによって受け取られて、子車200に積載される。
自動倉庫110は、収納庫120と、搬送制御機構130とを備える。
収納庫120は、1又は複数の配送ボックス300を収納するための倉庫である。収納庫120は、図5に示すように、母車100の車室を形成する。すなわち、母車100は、運転者の乗車スペースが不要である無人自動運転配送車両であることから、母車100の車室を収納庫120で形成することができる。
収納庫120のリア側部分には、子車200の出入り口となる扉125が設けられている。扉125は、子車200の出入り(入出庫)の際に、入庫路及び出庫路として機能する。
収納庫120内には、子車200が搭載される搭載スペース121と、配送ボックス300が収納されるメインスペース122とが設けらている。
搭載スペース121は、子車200が待機する待機場所である他、子車200に配送ボックス300を積載して配送準備を行うための作業場所でもある。すなわち、収納庫120は、配送ボックス300の他、子車200を収納するとも言える。
メインスペース122には、複数の配送ボックス300を立体的に収納可能な不図示のラックが設けられており、複数の配送ボックス300のそれぞれが収納される複数の収納スペース123が確保されている。すなわち、メインスペース122は、複数の収納スペース123のそれぞれに画定されている。複数の収納スペース123のそれぞれの位置は、配送ボックス300の収納位置に該当する。
複数の収納スペース123は、図6に示すように、略一様な平面である収納庫120の床面に沿って、互いに隣接してマトリックス状に配列されている。加えて、複数の収納スペース123は、図7に示すように、収納庫120の高さ方向(母車100の車高方向)に沿って、互いに隣接して立体的に配列されている。但し、扉125付近のスペースは、子車200が搭載される搭載スペース121として画定されている。すなわち、収納庫120の内部空間は、収納庫120の床面に沿って配列された複数の収納スペース123と搭載スペース121とを1つの階層(段)とすると、複数の階層(複数の段)が積層されることで構成されていると言える。
複数の収納スペース123のうちで搭載スペース121に隣接するスペースは、搭載スペース121に位置する子車200が、搭載スペース121に隣接する収納スペース123に配置された配送ボックス300を受け取ることができる収納スペース123である。
以下では、収納庫120内に設けられた複数の収納スペース123のうちの搭載スペース121に隣接する収納スペース123を、「受取収納スペース124」と称する。また、受取収納スペース124の位置を、「受取収納位置」と称する。
受取収納スペース124は、1つの階層ごとに複数個設けられている。
図6及び図7に示す例では、収納庫120内には、1階層あたり、母車100の前後方向に配列された8個のスペースを母車100の車幅方向に3列だけ配列した24個のスペースが配列されている。そして、この収納庫120の床面に沿ってマトリックス状に配列された24個のスペースを1つの階層として、「上段」、「中段」及び「下段」の3階層が配列されている。すなわち、図6及び図7に示す例では、収納庫120の内部空間には、72個のスペースが画定されている。言い換えると、図6及び図7に示す例では、収納庫120内には、72個のスペースが設けられている。
図6及び図7において、(1)乃至(24)及び(A)乃至(X)は、収納庫120内に設けられた複数のスペースの位置を示すための記号である。なお、以下では、収納庫120の内部空間を上方から視て(16)に位置し、側方から視て(H)に位置するスペースの位置を特定する場合、(16、H)のように表記する。
収納庫120内に設けられた複数のスペースのうち、(16、H)、(16、P)及び(16、X)の3個のスペースは、搭載スペース121に該当する。収納庫120内に設けられた複数のスペースのうち、(16、H)、(16、P)及び(16、X)以外の69個のスペースは、収納スペース123に該当する。69個の収納スペース123のうち、(8、H)、(8、P)及び(8、X)、並びに、(24、H)、(24、P)及び(24、X)、並びに、(15、G)、(15、O)及び(15、W)の9個のスペースは、受取収納スペース124に該当する。
また、複数の収納スペース123の幾つかは、配送ボックス300の配置を変更するために、図3の発車準備工程(A5)の段階から配送ボックス300を収納せずに、予めブランク(空きスペース)の状態にされている。具体的には、図6及び図7において、69個の収納スペース123では、何れかの階層において収納スペース123を1個だけブランク状態にされている。例えば、図6及び図7に示す例では、上段の階層にある受取収納スペース124の1個である(15、G)の収納スペース123が、予めブランク状態にされている。このようなことから、図6及び図7に示す例では、収納庫120は、最大で68個の配送ボックス300を収納することができる。なお、ブランク状態の収納スペース123がない階層を、配送ボックス300が「満載の階層」とも称する。
搬送制御機構130は、自動倉庫110における配送ボックス300の配置変更を制御する機構である。具体的には、搬送制御機構130は、収納庫120内の収納スペース123(収納位置)に配置された配送ボックス300を、収納庫120内の他の収納スペース123に搬送する制御を行う機構である。
搬送制御機構130は、複数のコンベア131と、搬送制御部135とを備える。
複数のコンベア131は、収納スペース123(収納位置)に配置された配送ボックス300を、この収納スペース123に隣接する他の収納スペース123に搬送する機構である。複数のコンベア131のそれぞれは、図8に示すように、例えば、プーリ付きのローラコンベアで構成される。複数のコンベア131のそれぞれは、図7に示すように、収納庫120内の複数の収納スペース123のそれぞれに対して設けられている。そして、複数のコンベア131のそれぞれと複数の収納スペース123のそれぞれとは、互いに関連付けられている。
更に、複数のコンベア131のそれぞれには、それぞれのコンベア131に載置された配送ボックス300の識別情報を検出可能なセンサが設けられている。母車100は、これらのセンサによって検出された情報を基に、複数の収納スペース123のそれぞれに配置されている配送ボックス300の識別情報を取得することができる。
また、複数のコンベア131のそれぞれには、それぞれのコンベア131に載置された配送ボックス300を拘束する拘束具が設けられている。母車100は、走行中にこれらの拘束具で配送ボックス300を拘束して、配送ボックス300の位置がずれることを抑制することができる。
複数のコンベア131は、少なくとも2つの種類のコンベアから構成されている。以下では、少なくとも2つの種類のうちの一方の種類のコンベア131を、「第1コンベア132」と称し、他方の種類のコンベア131を、「第2コンベア133」と称する。
第1コンベア132は、母車100の前後方向及び車幅方向に配送ボックス300を搬送可能なコンベア131である。第1コンベア132は、複数の収納スペース123のうちで、少なくとも受取収納スペース124に対して設けられている。
図6及び図7の白色矢印は、第1コンベア132及び第2コンベア133のそれぞれが配送ボックス300を搬送する方向を示している。
図6及び図7に示す例では、第1コンベア132は、(8、H)、(8、P)及び(8、X)、並びに、(24、H)、(24、P)及び(24、X)、並びに、(15、G)、(15、O)及び(15、W)に位置する受取収納スペース124に対して設けられている。更に、第1コンベア132は、(7、G)、(7、O)及び(7、W)、並びに、(23、G)、(23、O)及び(23、W)、並びに、(1、A)、(1、I)及び(1、Q)、並びに、(9、A)、(9、I)及び(9、Q)、並びに、(17、A)、(17、I)及び(17、Q)に位置する収納スペース123に対して設けられている。
第1コンベア132は、図8(a)に示されるように、プーリ付きのモータローラ132a及びプーリ付きのフリーローラ132bと、プーリ付きのモータローラ132c及びプーリ付きのフリーローラ132dとから構成されている。
モータローラ132a及びフリーローラ132bは、母車100の前後方向に配送ボックス300を搬送するためのコンベアである。モータローラ132a及びフリーローラ132bは、それらの長手方向が、母車100の前後方向に対して略垂直な方向に延びるように設けられている。
モータローラ132c及びフリーローラ132dは、母車100の車幅方向に配送ボックス300を搬送するためのコンベアである。モータローラ132c及びフリーローラ132dは、それらの長手方向が、母車100の車幅方向に対して略垂直な方向に延びるように設けられている。
また、第1コンベア132には、モータローラ132a及びフリーローラ132b並びにモータローラ132c及びフリーローラ132dを母車100の車高方向に上下動させて、配送ボックス300との接触状態を非接触状態に切り替える機構が設けられている。例えば、第1コンベア132が母車100の前後方向に配送ボックス300を搬送する場合、モータローラ132c及びフリーローラ132dと配送ボックス300との接触状態が非接触状態に切り替えられる。第1コンベア132が母車100の車幅方向に配送ボックス300を搬送する場合、モータローラ132a及びフリーローラ132bと配送ボックス300との接触状態が非接触状態に切り替えられる。それにより、第1コンベア132は、母車100の前後方向及び車幅方向のいずれにも配送ボックス300を搬送することができる。
第2コンベア133は、母車100の前後方向に配送ボックス300を搬送可能なコンベア131である。第2コンベア133は、複数の収納スペース123のうちで、少なくとも受取収納スペース124以外の収納スペース123に対して設けられている。
図6及び図7に示す例では、第2コンベア133は、(2、B)、(2、J)、及び(2、R)等の、母車100の前後方向にのみ延びる白色矢印が示された位置にある収納スペース123に対して設けられている。
第2コンベア133は、図8(b)に示されるように、プーリ付きのモータローラ133a及びプーリ付きのフリーローラ133bから構成されている。
モータローラ133a及びフリーローラ133bは、母車100の前後方向に配送ボックス300を搬送するためのコンベアである。モータローラ133a及びフリーローラ133bは、それらの長手方向が、母車100の前後方向に対して略垂直な方向に延びるように設けられている。
搬送制御部135は、複数のコンベア131を制御する制御ユニットである。例えば、搬送制御部135は、収納庫120内の収納スペース123に配置された配送ボックス300が、収納庫120内の受取収納スペース124(受取収納位置)に搬送されるよう、複数のコンベア131を制御する処理を行う。このとき、搬送制御部135は、第1コンベア132及び第2コンベア133の少なくとも1つを制御する。
この他、母車100は、母車100の周囲を監視することができる監視カメラを備える他、所定の部位にマイクやスピーカーを備えている。母車100に緊急事態やトラブルが発生した際には、センター10(特に、監視センター)との相互通信により、監視センターの保守監視員がこの母車100に搭載された監視カメラで周囲の状況を確認して周囲の人と会話をすることが可能である他、保守監視員がカメラ等で周囲の状況の安全を確認しながら遠隔操作による運転操作することが可能である。
[4.子車の詳細構成]
図9は、本発明の実施形態1における子車200の電気的構成を示す図である。図10は、本発明の実施形態1における子車200の外観構成を示す図である。図10(a)は、子車200に配送ボックス300が積載されていない状態を示す。図10(a)は、子車200に配送ボックス300が積載された状態を示す。
図9に示すように、子車200は、制御部201と、通信装置202と、検出装置203と、記憶装置204と、運転制御装置205と、走行機構206と、積載制御機構210とを備える。
制御部201は、上記のような自動運転制御機構及び配送制御機構を含む子車200の機能全体を統括的に制御する制御ユニットである。制御部201は、例えばECU(Electronic Control Unit)であってもよい。
通信装置202は、センター10との間での相互通信、及び、母車100との間での相互通信をそれぞれ行うことができるモバイル通信装置である。通信装置202は、配送ボックス300との間での相互通信、及び、配送先20の受取人との間での相互通信を行うことも可能である。更に、通信装置202は、他の子車200との間での相互通信を行うことも可能である。
検出装置203は、周辺他車や歩行者、動物、落下物、溝、凹凸、センターライン等によって規定された走行車線、及び、信号等をはじめとした子車200の周囲の状況を認識するための各種レーダー及び各種センサである。検出装置203を構成する各種レーダー及び各種センサは、例えば、レーザーセンサー、赤外線センサー、超音波センサー、焦電センサー、3D−LiDAR、電磁波センサー等である。この各種センサには、カメラが含まれている。検出装置203は、カメラによる顔認識システム、人体検知システムによって得られる情報を基に、子車200の周囲の状況を複合的に認識する。これによって、子車200は、道路上のさまざまな危険を回避して配送先20又はその近隣まで安全に自動運転(移動)することが可能である。また、検出装置203は、配送ボックス固定具400における穴部410の位置確認を行う際にも用いられる。
記憶装置204は、上記のような自動運転制御機構及び配送制御機構によって行われる各種の制御処理を実行する際に必要な各種情報を記憶する記憶装置である。記憶装置204には、センター10、母車100及び配送ボックス300のそれぞれとの相互通信で送受信される各種情報、並びに、配送ルート上を自動運転で走行するための各種情報が記憶されている。記憶装置204には、例えば、配送先20に関する情報である配送情報、荷物の配送先20までの配送ルートを決定するために用いられる地図情報、子車200の移動経路(移動路、配送路)である道路に関する道路情報、及び、交通情報等が記憶されている。
運転制御装置205は、子車200の走行機構206を制御する制御ユニットである。走行機構206は、子車200の走行に関する車両機構である。走行機構206は、エンジン、駆動輪206a、各種アクチュエータ、モータ(サーボモータ、インホイールモータ)、シリンダー等が該当する。図10には、走行機構206の一例として、子車200が道路を走行するための駆動輪206aが示されている。駆動輪206aは、段差及び不整地等を走破可能なクローラーによって構成されている。
運転制御装置205は、走行機構206の駆動制御を行うことによって、子車200の運転及び停止等の移動(運転)はもちろんのこと、狭い場所(路地等)での縦列駐車や方向転換を行うために前後移動だけでなく左右への平行移動、その場での回転、斜め方向への平行移動等の運転制御を行うことが可能である。
更に、運転制御装置205は、階段等の昇降時及び坂道等での傾斜時に転倒を防止するためのバランス制御機能を有している。このバランス制御機能は、子車200と配送ボックス300とに基づく重心位置を逐一検出し、重心位置調整装置205b(バランサー)を用いてその重心位置を自動調整する機能である。例えば、運転制御装置205は、その重心位置における運動量を、重心位置調整装置205bを用いて一定の値に保つことによって、子車200のバランスを制御する。この重心位置調整装置205bによって、子車200は、障害物への衝突や接触等による横転や転落を最小限に抑制することができる。
運転制御装置205は、地図情報上の位置を特定(測位)可能なGPS装置205aをも備える。更に、運転制御装置205は、VICS又はこれに類似する道路交通情報通信システムと接続可能な受信機を備え、このシステムによって提供される道路情報及び交通情報を取得可能である。
子車200は、この運転制御装置205により、記憶装置204に記憶された各情報(地図情報、道路情報、交通情報等)とGPS装置205aとを用いて現在位置(現在地)から配送先20までの配送ルート(移動ルート)を検索して記憶し、この配送ルートに基づいて運転(移動)を行う。もちろん、運転制御装置205は、新たな交通情報、道路情報等を基に、この配送ルートを適宜、更新(変更)することも可能である。
積載制御機構210は、制御部201からの指令に基づいて、配送先20に配送される配送ボックス300の子車200への積載を制御する機構である。具体的には、積載制御機構210は、自動倉庫110の搬送制御機構130によって収納庫120内の受取収納スペース124に搬送制御された配送ボックス300を受け取って、子車200に積載する制御を行う機構である。子車200は、積載制御機構210によって積載制御されることによって子車200に積載された状態となった配送ボックス300を、配送先20に配送される配送ボックス300として、配送先20に配送する。
積載制御機構210は、積載機構220と、積載制御部230とを備える。積載機構220は、図10(a)に示すように、アーム221(保持部)と、昇降部222と、並進部223と、荷台224とから構成されている。
アーム221は、上記のような子車200の配送制御機構を実現する手段であり、図10(b)に示すように、子車200に積載された配送ボックス300を配送時に保持して配送ボックス固定具400に固定する。
更に、アーム221は、子車200が収納庫120内の搭載スペース121に搭載されている場合、収納庫120内の受取収納スペース124に配置された配送ボックス300を受け取って荷台224に載置することができる。そして、アーム221は、荷台224に載置された配送ボックス300を保持することができる。これにより、子車200は、配送ボックス300が積載された状態となる。すなわち、配送ボックス300が子車200に積載された状態とは、荷台224に載置された配送ボックス300をアーム221で保持した状態であってもよい。
昇降部222は、アーム221を子車200の車高方向に昇降させる機構である。アーム221及び昇降部222は、子車200のリフターとして機能する。
並進部223は、アーム221を子車200の前後方向に並進移動させる機構である。
荷台224は、配送ボックス300の底面が着接するようにフラットな台座で構成されている。更に、荷台224は、載置された配送ボックス300を回転する機構を含み、この配送ボックス300の向きを変更可能に構成されている。
積載制御部230は、積載機構220を制御する制御ユニットである。例えば、積載制御部230は、収納庫120内の受取収納スペース124に配置された配送ボックス300を積載機構220によって受け取って子車200に積載する場合、積載機構220の各構成要素を、次のように連関して駆動する。
すなわち、積載制御部230は、昇降部222及び並進部223を駆動して、受取収納スペース124までアーム221を移動させる。そして、積載制御部230は、受取収納スペース124に移動したアーム221を駆動して、受取収納スペース124に配置された配送ボックス300をアーム221に保持させる。そして、積載制御部230は、昇降部222及び並進部223を駆動して、配送ボックス300を保持したアーム221を荷台224まで移動させ、配送ボックス300を荷台224に載置させる。
また、積載制御部230は、積載機構220の各構成要素を駆動させて、収納庫120内の特定の階層の収納スペース123に配置された配送ボックス300を、特定の階層とは異なる他の階層に移送する制御を行うことができる。以下では、収納庫120の各階層間で配送ボックス300を移送させる制御処理を「階層間移送制御処理」と称する。また、積載機構220を制御する積載制御部230の機能のうち、階層間移送制御処理を実行する機能を、「階層間移送制御部231」と称する。
図7の黒色矢印は、アーム221が移動することによって、アーム221に保持された配送ボックス300が移送される方向を示している。
図6及び図7に示す例では、積載制御部230は、例えば、下段の階層の(15、W)に位置する受取収納スペース124に配置された配送ボックス300をアーム221で保持し、上段の階層の(15、G)に位置するブランク状態の受取収納スペース124に移送することができる。
この他、子車200は、子車200の周囲を監視することができる監視カメラを備える他、所定の部位にマイクやスピーカーを備えている。子車200に緊急事態やトラブルが発生した際には、センター10(特に、監視センター)との相互通信により、監視センターの保守監視員がこの子車200に搭載された監視カメラで周囲の状況を確認して周囲の人と会話をすることが可能である他、保守監視員がカメラ等で周囲の状況の安全を確認しながら遠隔操作による運転操作することが可能である。
また、子車200は、周囲の人が危険を感じた際に緊急停止ボタンを押下すること(又は接触すること)により、子車200の走行を停止することが可能であって、上記同様に、子車200に搭載された監視カメラで周囲の状況を確認して周囲の人と会話をすることが可能である。
[5.配送システムの配送態様]
図11乃至図14は、本発明の実施形態1における配送システム1での配送態様を示す図である。
図11には、車道、その車道に沿って設けられた歩道と、歩道と略垂直に交わる配送先通路と、配送先通路から配送先20の配送ボックス固定具400までの間に設けられた段差(階段)とが示されている。更に、図11には、この段差を越えたところに、配送ボックス300を配送ボックス固定具400に設置するためにアーム221の移動が可能なスペースであって配送先20ごとに指定された配送先指定スペースが示されている。更に、図11には、配送先20の壁面に設けられた配送ボックス固定具400が示されている。
図11では、母車100が、配送先20に対応する中継地点21(例えば、「中継地点1」)としての車道の端部に停車した状態にある。この中継地点21で母車100から降車する子車200は、母車100の扉125を出庫路として出庫した後に歩道を横切って配送先通路を移動する。
子車200は、この配送先通路を移動後、段差を乗り越えて配送先指定スペースに到着すると、配送ボックス固定具400の穴部410の位置確認を行った上で、配送ボックス300を穴部410に固定する。
図12乃至図14は、配送先20に設けられた配送先指定スペースにおいて、子車200のアーム221が移動することによって、配送ボックス300を配送ボックス固定具400に固定する様子を示す図である。
この配送先指定スペースは、配送ボックス固定具400の前方位置に設けられており、子車200のアーム221の移動による配送ボックス300の固定作業を行う一定範囲からなる作業領域である。
この配送先指定スペースに子車200が属することとなると(図12を参照)、子車200は、配送ボックス固定具400に設けられた穴部410の位置を確認(位置認識)する。
次に、子車200は、図13に示すように、アーム221の移動制御によって荷台224から配送ボックス300を持ち上げて子車200の前方に移動させる。
そして、子車200は、図14に示すように、配送ボックス300の突起部310を、位置認識した穴部410に差し込むこと(貫通すること)でその配送ボックス300を掛止する。
このとき、図12乃至図14に示す配送ボックス固定具400には、4個の穴部410(第1穴部410a、第2穴部410b、第3穴部410c、第4穴部410d)が設けられており、この穴部410それぞれに差し込まれる4個の突起部310(第1突起部310a、第2突起部310b、第3突起部310c、第4突起部310d)を配送ボックス300が有している。
もちろん、複数の穴部410を配送ボックス固定具400が有しているのに対して、配送ボックス300が単一の突起部のみとする構成であってもよく、その反対であってもよい。この他、突起部310がスプリングなどで配送ボックス300に埋め込むことが可能な機構(凹むことが可能な機構)となっている場合、「穴部410の数量」の数量が「突起部310の数量」以下であってもよい。
つまり、配送ボックス固定具400と配送ボックス300の係合部(突起部310、穴部410)の数量が必ずしも同一である必要はない。
[6.配送ボックス及び配送ボックス固定具の詳細構成]
図15は、本発明の実施形態1における配送ボックス300の詳細な構成を示す図である。
図15において、配送ボックス300は、蓋部分301と、荷物収納部302と、ダンパー303と、ヒンジ304とを具備して構成されている。蓋部分301と荷物収納部302とは、ヒンジ304によって接合されている。
配送ボックス300は、このヒンジ304を支点として、蓋部分301が開き、ダンパー303によって開放状態を維持すると共にゆっくり閉じることが可能となる。
図15(a)は、蓋部分301を上下方向に開閉可能な状態を示し、図15(b)は、蓋部分301を手前方向に開閉可能な状態を示している。これらの配送ボックス300は、配送する荷物によって適宜選択される。
図15(c)は、図15(a)を回転させて突起部310が設けられた背面を示した図である。この突起部310は、後述する配送ボックス固定具400に設けられた穴部410に対応する位置関係で設けられている。
この突起部310は、配送ボックス固定具400に設けられた穴部410と係合する部位(第1係合部)であるとも称することができる。
図16は、本発明の実施形態1における配送ボックス固定具400の詳細な構成を示す図である。
図16に示す配送ボックス固定具400は、4個の穴部(第1穴部410a、第2穴部410b、第3穴部410c、第4穴部410d)が設けられており、配送ボックス300に設けられた突起部310を掛合することが可能な部位である。
このことから、この穴部410は、配送ボックス300に設けられた突起部310と係合する部位(第2係合部)であるとも称することができる。
この穴部410は、それぞれ上部円形部と下部円形部との2つの円形部が組み合わされて構成されている。この上部円形部と下部円形部との2つの円形部に嵌合する(係合する)ものが配送ボックス300に設けられた突起部310である。なお、この突起部310における円筒状の部分は、配送ボックス300から飛び出しており、この配送ボックス300が上方に持ち上げられるのを防ぎ固定するように設けられている。
図17は、本発明の実施形態1における配送ボックス300と配送ボックス固定具400との係合状態を示す図である。
図17では、配送ボックス300の突起部310が配送ボックス固定具400の穴部410に差し込まれて(掛け合いされて)固定された状態(係合した状態)を示している。
この配送ボックス固定具400に設けられた穴部410は、大きな穴(第1穴形状)とその大きな穴に比べて小さな穴(第2穴形状)とが結合して1つの穴を形成する。
この大きな穴に配送ボックス300の突起部310を差し込み後、その突起部310を小さい穴へと移動させることで、配送ボックス300が配送ボックス固定具400に契合して固定された状態となる。
図18は、荷物の受取人が受け取るメール内容を示す図である。
図18に示すメール内容は、子車200が配送ボックス300の受取人に通知する伝達手段における内容である。
このメールには、宛先(TO:xxx@yyy.jp)、配送元(FROM:(配送者若しくは荷物の送り元))、題目(SUBJECT:配送完了のご連絡)等からなるヘッダー情報を有しており、また、そのメッセージ内容、配送ボックスを識別する配送ボックス識別情報(BOXナンバー)、開錠キーコードが含まれる。
荷物の受取人は、このようなメール内容を受信することで、荷物の配送が完了したことを認識し、その配送ボックス300を特定して、特定した配送ボックス300を開錠して荷物を取り出すことが可能となる。
[7.各種処理の詳細な流れ]
図19は、本発明の実施形態1における母車100において行われるBOX配送制御処理の詳細な流れを示すフローチャートである。
図19において、母車100(制御部101)は、センター10との通信によって受信した情報若しくは設定された情報である「配送情報」及び「回収情報」を確認する(S1901)。
この配送情報は、配送先20の住所や氏名の他、配送ボックス固定具400を識別する「固定具番号」、及び、配送する配送ボックス300を識別する「ボックス識別情報」等が含まれた情報である。
また、回収情報は、回収先の住所や氏名の他、配送ボックス固定具400を識別する「固定具番号」、及び、回収する配送ボックス300を識別する「ボックス識別情報」等が含まれた情報である。
これらの情報を基に、母車100(制御部101)は、予め記憶している地図情報及び交通情報を基に、配送先20までの配送ルートを検索し(S1902)、設定(記憶)する(S1903)。
そして、母車100(制御部101)は、現在地(例えば、センター10)から出発して配送を開始するための条件である配送開始条件が成立したか否かを判断する(S1904)。この配送開始条件は、母車100がセンター10から出発する出発順番となったことや設定された出発時間となったこと等である。
母車100(制御部101)は、配送開始条件が成立したと判断するまで(S1904でNO)は待機状態を継続する。
一方、母車100(制御部101)は、配送開始条件が成立したと判断する場合(S1904でYES)には、運転制御処理を行う(S1905)。
この運転制御処理は、各情報(地図情報、道路情報及び交通情報等)とGPS装置105aとを用いて現在位置(現在地)から配送先20までの配送ルートを移動する処理である。母車100は、検出装置103によって得られる情報を基に、周辺他車や歩行者、動物、落下物、溝、凹凸、センターライン等によって規定された走行車線、信号等に気をつけながら、配送ルート上を自動運転で移動(走行)することとなる。
なお、運転制御処理の詳細な流れについては、図22を用いて後述する。
続いて、母車100(制御部101)は、自動倉庫制御処理を行う(S1906)。
この自動倉庫制御処理は、配送ルート上の中継地点21で子車200を降車させるまでに、配送先20に配送される配送ボックス300が、収納庫120内の受取収納スペース124に配置されるよう、自動倉庫110の搬送制御機構130を制御する処理である。それにより、子車200は、中継地点21で子車200から降車するまでに、この受取収納スペース124に配置された配送ボックス300を受け取って積載することができる。
なお、自動倉庫制御処理の詳細な流れについては、図23を用いて後述する。
そして、母車100(制御部101)は、配送ルート上の「配送情報」で示された配送先20に対する中継地点21若しくはその近隣に到着したか否かを判断する(S1906)。
母車100(制御部101)は、運転制御処理によってこれらの地点(中継地点21若しくはその近隣)に到着するまでは運転制御処理及び自動倉庫制御処理を継続する(S1907でNO)。
一方、母車100(制御部101)は、「配送情報」で示された配送先20に対する中継地点21若しくはその近隣に到着すると(S1907でYES)、その中継地点21から配送先20まで配送ボックス300を配送する子車200を母車100から出庫させる制御を行う(S1908)。
母車100(制御部101)は、この出庫制御処理によって子車200が母車100から出庫したか否かを判断し(S1909)、子車200が母車100からの出庫を完了するまで(S1909でNO)は出庫制御処理を行う(S1909)。
そして、この出庫制御処理が完了して子車200が母車100から出庫すると(S1909でYES)、母車100(制御部101)は、その出庫した子車200との通信制御処理を継続的に行うことで子車200の配送状況を管理し続ける(S1910)。これによって、母車100と子車200とは、互いの現在地や配送状況を逐一把握することが可能となる。
この管理状況を基に、母車100(制御部101)は、子車200が配送を完了して所定位置に帰属したか否かを判断する(S1911)。すなわち、母車100(制御部101)は、子車200が配送ボックス300を配送先20に固定することで配送が完了した後に、母車100に関係する所定位置(入庫するために母車100と関係において指定された位置)に戻ってきたか否かを判断する。
子車200がこの所定位置に帰属するまで(S1911でNO)、母車100(制御部101)は、子車200との通信制御処理を行って子車200の状況を管理し続ける(S1910)。
この母車100と子車200との間で行われる通信制御処理は、母車100と子車200とが直接的に行う直接通信の他、センター10を介して母車100と子車200とが間接的に行う間接通信の制御処理であってもよい。また、母車100及び子車200で行われる制御処理全てがセンター10からの通信制御指示によるものであってもよい。
一方、母車100(制御部101)は、子車200が所定位置に帰属すると(S1911でYES)、その子車200を母車100内に入庫させる制御処理を行う(S1912)。この入庫制御処理は、母車100の扉125を開放してその扉125が入庫路となって子車200を入庫させて母車100内の所定停車位置に停車させる制御処理である。
この入庫制御処理によって子車200が母車100内に入庫が完了すると、母車100(制御部101)は、子車200の管理情報(子車管理情報)を更新し(S1913)、センターに送信する(S1914)。これによって、センター10では、子車200が正常に母車100に戻ってきたこと等を把握することができる。この場合も同様に、この母車100と子車200との間で行われる通信制御処理は、母車100と子車200とが直接的に行う直接通信の他、センター10を介して母車100と子車200とが間接的に行う間接通信の制御処理であってもよい。また、母車100及び子車200で行われる制御処理全てがセンター10からの通信制御指示によるものであってもよい。
そして、母車100(制御部101)では、配送ルートにおける配送制御が管理したか否かを判断し(S1915)、全ての配送ボックス300の配送が完了したと判断する場合(S1915でYES)は、本処理を終了する。
また、全ての配送ボックス300の配送が完了したと判断する場合まで(S1915でNO)、母車100(制御部101)は、設定された配送ルートにおける配送ボックス300の配送における運転制御処理を行う(S1905)。
図20は、本発明の実施形態1における子車100において行われるBOX配送制御処理の詳細な流れを示すフローチャートである。
図20において、子車200(制御部201)は、センター10との通信によって受信した情報若しくは設定された情報である「配送情報」及び「回収情報」を確認する(S2001)。
この配送情報は、母車100に設定された「配送情報」と同様に、配送先20の住所や氏名の他、配送ボックス固定具400を識別する「固定具番号」、及び、配送する配送ボックス300を識別する「ボックス識別情報」等が含まれた情報である。
また、回収情報は、母車100に設定された「回収情報」と同様に、回収先の住所や氏名の他、配送ボックス固定具400を識別する「固定具番号」、及び、回収する配送ボックス300を識別する「ボックス識別情報」等が含まれた情報である。
これらの情報を基に、子車200(制御部201)は、予め記憶している地図情報及び交通情報を基に、配送先20までの配送ルートを検索し(S2002)、設定(記憶)する(S2003)。
そして、子車200(制御部201)は、現在地(例えば、中継地点21)から出発して配送を開始するための条件である子車用配送開始条件が成立した否かを判断する(S2004)。この子車用配送開始条件は、母車100の扉125が開き、周辺の道路状況等を鑑みて、子車200が出庫できるようになった条件である。
子車200(制御部201)は、この子車用配送開始条件が成立したと判断するまで(S2004でNO)は、その配送開始条件が成立したと判断するまでは待機状態を継続する。
一方、子車200(制御部201)は、配送開始条件が成立したと判断する場合(S2004でYES)には、設定されている配送ルートに基づいて配送先20までの配送に関する運転制御処理を行う(S2005)。
そして、子車200(制御部201)は、この運転制御処理によって、配送ルート上の「配送情報」で示された配送先20に到着したか否かを判断する(S2006)。
子車200(制御部201)は、この運転制御処理によって配送先20に到着するまでは運転制御処理を継続する(S2006でNO)。
一方、子車200(制御部201)は、「配送情報」で示された配送先20に到着すると(S2006でYES)、積載している配送ボックス300を配送先20に設けられた配送ボックス固定具400へと掛止して固定する制御処理(BOX固定制御処理)を行う(S2007)。
このBOX固定制御処理によって、配送ボックス300を配送ボックス固定具400へと固定すると、子車200(制御部201)は、「取付完了通知」を母車100及びセンター10に対して送信する(S2008)。
そして、子車200(制御部201)は、母車100との通信により「母車の位置情報」を取得し(S2009)、この取得された「母車の位置情報」に基づいて母車100までの「戻りルート」を検索し(S2010)、設定(記憶)する(S2011)。
この状態で、子車200(制御部201)は、その設定された「戻りルート」に基づく運転制御を開始する「戻り開始条件」が成立したか否かを判断する(S2012)。
この「戻り開始条件」が成立するまで(S2012でNO)は、子車200(制御部201)は、この条件が成立するまで待機しており、運転制御を開始する「戻り開始条件」が成立すると(S2012でYES)、設定された「戻りルート」に基づく運転制御を行う(S2013)。
そして、子車200(制御部201)は、設定された子車200における「配送ルート」に基づく全ての配送が完了したか否かを判断する(S2014)。この判断処理によって、全ての配送が完了するまで(S2014でNO)、子車200(制御部201)は、「戻りルート」に基づいて運転制御を継続して行う(S2013)。
一方、子車200(制御部201)は、この判断処理によって、全ての配送が完了したと判断すると(S2014でYES)、本処理を終了する。
図21は、本発明の実施形態1における配送ボックス300において行われる錠制御処理の詳細な流れを示すフローチャートである。
図21において、配送ボックス300は、収納されている荷物の受取人等による操作によって、その配送ボックス300に設けられた情報入力部で「所定の情報」の入力を受け付ける(S2101)。この情報入力部は、配送ボックス300に設けられており、上記に示すように、タッチパネル、ボタン、カメラ(撮像装置)等である。
配送ボックス300は、この情報入力部から入力された「所定の情報」を含む認証要求を子車200に対して送信する(S2102)。子車200(制御部201)は、この「所定の情報」が含まれる認証要求を配送ボックス300から受信したことによって、この「所定の情報」が配送ボックス300を開錠するための正常な「開錠キーコード」であるか否かを判断する。
この認証要求には、「所定の情報」の他、配送ボックス300を識別する情報が含まれている。子車200(制御部201)は、「所定の情報」が、この配送ボックス300を識別する情報に対して指定された「認証情報」に対応する「開錠キーコード」であるか否かを判断し、配送ボックス300に応答する。すなわち、子車200の記憶装置204においては、配送ボックス300を識別する情報に応じた「認証情報」が記憶されていると共に、その「認証情報」に対応する「開錠キーコード」であるか否かを判断する判断プログラム等が記憶されている。
そして、配送ボックス300は、子車200からの応答が、認証された「開錠キーコード」であるか否かを判断する(S2103)。この「所定の情報」が正常な「開錠キーコード」として認証されたことが子車200(制御部201)で判断されると、配送ボックス300は、施錠されているBOX扉の開錠処理を行う(S2104)。
これによって、荷物の受取人は、BOX扉を開放して荷物の取り出しを行うことが可能となる。配送ボックス300は、受取人によって、荷物の取り出しが行われ、その後、BOX扉が閉まったことを検知したか否かを判断する(S2105)。
配送ボックス300は、BOX扉が閉まったことをセンサー等によって検知すると(S2105でYES)、BOX扉を施錠する施錠処理を行う(S2106)。
この施錠処理は、受取人が「開錠キーコード」を入力することなくBOX扉を開錠できないようにする処理であって、再度、受取人が正常な「開錠キーコード」を入力すれば開放が可能な状態とする処理である。
BOX扉を施錠する施錠処理が行われると、配送ボックス300は、その配送ボックス300内に設けられたセンサー(荷物センサー)によって荷物が受取人によって取り出されたことを検知したか否かを判断する(S2107)。
配送ボックス300は、荷物が受取人によって取り出されたことを検知するまで(S2107でNO)、すなわち、荷物が取り出されていないときには、情報入力部での「所定の情報」の入力を受付可能とする。
また、配送ボックス300は、荷物が受取人によって取り出されたことを検知すると(S2107でYES)、センター10に対して荷物の取り出しが行われたことを示す「取出完了通知(BOX識別情報を含む)」を送信し(S2108)、本処理を終了する。
なお、上記の処理では、配送ボックス300は、施錠処理が行われた後に、荷物が受取人によって取り出されたか否かを判断しているが、これに限定されない。つまり、配送ボックス300は、BOX扉が開放された状態で受取人によって荷物が取り出されたことを荷物センサー等によって検知しておき、施錠処理が行われたことで、センター10に対して荷物の取り出しが行われたことを示す「取出完了通知(BOX識別情報を含む)」を送信しても良い。
図22は、本発明の実施形態1における母車100において行われる運転制御処理の詳細な流れを示すフローチャートである。
母車100(制御部101)は、配送先20までの配送ルートを移動(走行)しながら、運転制御装置105及び検出装置103を用いて、配送ルートの道路情報及び交通情報等を随時確認する(S2201)。
続いて、母車100(制御部101)は、今回配送する配送先20を変更するか否かを判断する(S2202)。
母車100及び子車200は、配送情報に含まれる予め設定された配送順に従って配送ボックス300を配送先20に配送する。このとき、渋滞及び通行止め等の不測の事態が配送ルート上で発生し、予め設定された配送順に従って配送ボックス300を配送することが非効率な配送となる場合がある。
そこで、母車100(制御部101)は、道路情報及び交通情報を確認した結果、配送先20を変更する方が効率的な配送が可能であると判断した場合、今回配送するべき配送先20を、配送情報に含まれる別の配送先20に変更する(S2202でYES)。
一方、母車100(制御部101)は、配送先20を変更する必要がないと判断した場合(S2202でNO)、予め設定された配送先20に配送を行うべく、S2208に移行する。
そして、配送先20を変更したら(S2202でYES)、母車100(制御部101)は、変更された配送先20に応じて配送情報に含まれる配送順情報を変更する。そして、母車100(制御部101)は、変更された配送順情報が含まれるように「配送情報」を更新すると共に(S2203)、配送先20が変更されたこと「配送情報」に記録する(S2204)。そして、母車100(制御部101)は、更新された配送情報をセンター10及び子車200にそれぞれ送信する。
続いて、母車100(制御部101)は、変更された配送先20までの配送ルートを検索し(S2205)、変更された配送先20に対応する中継地点21を変更するか否かを判断する(S2206)。
母車100(制御部101)は、配送先20が変更されたことに伴って中継地点21を変更する方が効率的な配送が可能であると判断した場合(S2206でYES)、中継地点21を変更して配送ルートに設定する(S2207)。そして、母車100(制御部101)は、変更された中継地点21に関する情報をセンター10及び子車200にそれぞれ送信する。
一方、母車100(制御部101)は、配送先20が変更された場合でも予め設定された中継地点21を変更する必要がない場合(S2206でNO)、予め設定された中継地点21から配送を行うべく、S2208に移行する。
母車100(制御部101)は、設定されている配送ルートに基づく配送に関する走行制御処理を行う(S2208)。その後、母車100(制御部101)は、図19のS1906に移行する。
図23は、本発明の実施形態1における母車100において行われる自動倉庫制御処理の詳細な流れを示すフローチャートである。
母車100(制御部101)は、記憶されている配送情報を確認し、配送先20が変更されていることが記録されているか否かを判断する(S2301)。
母車100(制御部101)は、配送先20が変更されたことが配送情報に記録されている場合(S2301でYES)、記憶されている「ボックス管理情報」を確認する(S2302)。
一方、母車100(制御部101)は、配送先20が変更されたことが配送情報に記録されていない場合(S2301でNO)、例えば図3の情報設定工程(A4)で予め設定された「ボックス管理情報」を基に配送ボックス300の搬送制御処理を行うべく、S2305に移行する。
ボックス管理情報は、自動倉庫110の収納庫120内に収納された配送ボックス300の配置を管理するための情報である。ボックス管理情報には、収納庫120内に設けられた各スペース(収納スペース123及び搭載スペース121)の位置情報と、これらのスペースに配置された配送ボックス300のボックス識別情報と、これらの配送ボックス300を受取収納スペース124に搬送する順番を示す搬送順情報とが、互いに関連付けて記録されている。
続いて、母車100(制御部101)は、配送情報及びボックス管理情報を基に、配送先20が変更されたことに伴って収納庫120内の配送ボックス300の配置を変更する必要があるかを判断する(S2303)。
母車100(制御部101)は、収納庫120内の配送ボックス300の配置を変更する必要がなければ(S2303でNO)、S2305に移行する。
一方、母車100(制御部101)は、収納庫120内の配送ボックス300の配置を変更する必要があれば(S2303でYES)、ボックス管理情報に含まれる搬送順情報に対して配送情報に含まれる配送順情報を反映させるべく、S2304に移行する。
続いて、母車100(制御部101)は、変更された配送順に従って配送ボックス300が受取収納スペース124に搬送されるよう、搬送順情報を含むボックス管理情報を更新する(S2304)。
続いて、母車100は、ボックス搬送制御処理を行う(S2305)。具体的には、母車100の制御部101は、ボックス搬送制御処理の実行を指示する指令を搬送制御部135に送信する。この指令には、配送情報及びボックス管理情報が含まれている。搬送制御部135は、制御部101からの指令に基づいて、ボックス搬送制御処理を実行する。搬送制御部135によってボックス搬送制御処理が実行された後、制御部101は、図19のS1907に移行する。
このボックス搬送制御処理は、配送情報及びボックス管理情報を基に、配送先20に配送される配送ボックス300を受取収納スペース124に搬送する制御を行うと共にこの配送ボックス300を子車200へ積載する制御を行う処理である。それにより、子車200では、配送先20に配送される配送ボックス300が積載された状態となり、配送ボックス300の積載についての出庫準備が整う。
なお、ボックス搬送制御処理の詳細な流れについては、図24を用いて後述する。
図24は、本発明の実施形態1における母車100及び子車200において行われるボックス搬送制御処理の詳細な流れを示すフローチャートである。
母車100(搬送制御部135)は、ボックス搬送制御処理の実行を開始すること示す通知を子車200に送信する(S2401)。この通知が子車200で受信されると、子車200(積載制御部230)は、積載機構220を起動して必要な初期設定を実行する(S2402)。
続いて、母車100(搬送制御部135)は、配送情報及びボックス管理情報を確認する(S2403)。そして、母車100(搬送制御部135)は、配送情報を用いて、配送先20及びその配送先20に配送される配送ボックス300を特定する(S2404)。
また、母車100(搬送制御部135)は、ボックス管理情報を用いて、特定された配送ボックス300が配置されている収納庫120内のスペース(収納スペース123及び搭載スペース121)の位置情報等を特定する。そして、母車100(搬送制御部135)は、特定された配送ボックス300を収納庫120内で探索し(S2405)、特定された配送ボックス300が、特定された位置情報が示す収納庫120内のスペースに実際に配置されていることを確認する。
続いて、母車100(搬送制御部135)は、特定された配送ボックス300が受取収納スペース124に配置されているか否かを判断する(S2406)。
母車100(搬送制御部135)は、特定された配送ボックス300が受取収納スペース124に配置されていれば(S2406でYES)、その旨を子車200に通知するべく、S2413に移行する。
一方、母車100(搬送制御部135)は、特定された配送ボックス300が受取収納スペース124に配置されていなければ(S2406でNO)、この配送ボックス300が満載の階層に収納されているか否かを判断する(S2407)。
配送ボックス300が満載の階層に収納されている場合には、この満載の階層に収納された何れかの配送ボックス300が他の階層に移送されると、この満載であった階層内において配送ボックス300の配置が変更可能となる。言い換えると、配送ボックス300が、ブランク状態の収納スペース123がある満載でない階層に収納されている場合には、この満載でない階層内において配送ボックス300の配置が変更可能であるため、階層間移送制御処理が実行されなくてよい。
そこで、母車100(搬送制御部135)は、特定された配送ボックス300が満載の階層に収納されていなければ(S2407でNO)、階層間移送制御処理を実行しないことを示す通知を子車200に送信し(S2408)、S2412に移行する。
一方、母車100(搬送制御部135)は、特定された配送ボックス300が満載の階層に収納されていれば(S2407でYES)、階層間移送制御処理を実行することを示す通知を子車200に送信し(S2409)、階層間移送制御処理を実行する(S2411)。
子車200(積載制御部230)は、階層間移送制御処理の実行有無に関する母車100からの通知に応じて、階層間移送制御処理の実行有無を判断する(S2410)。具体的には、階層間移送制御処理を実行することを示す通知が子車200で受信されると(S2410でYES)、子車200(積載制御部230)は、階層間移送制御処理を実行する(S2411)。一方、階層間移送制御処理を実行しないことを示す通知が子車200で受信されると(S2410でNO)、子車200(積載制御部230)は、特定された配送ボックス300が配置された受取収納スペース124の位置と、この受取収納スペース124がある階層の位置とを示す情報が母車100から送信されるまで待機して、S2414に移行する。
この階層間移送制御処理は、収納庫120の各階層間で配送ボックス300を移送させる制御処理である。具体的には、子車200(積載制御部230)は、満載の階層の受取収納スペース124に配置された配送ボックス300を、ブランク状態の収納スペース123がある満載でない階層の受取収納スペース124(移送先の受取収納スペース124)に移送する処理を行う。この間に、母車100(搬送制御部135)は、移送先の受取収納スペース124がブランク状態となるよう、移送先の受取収納スペース124がある階層内での配送ボックス300の配置を変更する処理を行う。すなわち、配送システム1では、スタッカクレーン等が収納庫120に備えられていなくても、配送ボックス300を配送する子車200が母車100と協調することによって、収納庫120の各階層間で配送ボックス300を移送することができる。
なお、階層間移送制御処理の詳細な流れについては、図25を用いて後述する。
続いて、母車100(搬送制御部135)は、特定された配送ボックス300が同一階層内の受取収納スペース124に搬送されるようコンベア131を制御する(S2412)。そして、母車100(搬送制御部135)は、特定された配送ボックス300が配置された受取収納スペース124の位置と、この受取収納スペース124がある階層の位置とを示す情報を子車200に送信する(S2413)。
子車200(積載制御部230)は、特定された配送ボックス300が配置された受取収納スペース124の位置及びその階層を示す通知に基づいて、積載機構220のアーム221を昇降させるか否かを判断する(S2414)。
子車200(積載制御部230)は、アーム221を昇降させる必要がなければ(S2414でNO)、母車100から配送ボックス300を受け取るためのアーム221の準備を行う。そして、子車200(積載制御部230)は、配送ボックス300を受け取るために待機している状態であることを示す通知を母車100に送信する(S2416)。
一方、子車200(積載制御部230)は、アーム221を昇降させる必要があれば(S2414でYES)、昇降部222を駆動して、特定された配送ボックス300が配置された受取収納スペース124の階層までアーム221を昇降させる(S2415)。そして、子車200(積載制御部230)は、アーム221の準備を行い、受け取り待機状態であることを示す通知を母車100に送信する(S2416)。
受け取り待機状態であることを示す通知が母車100で受信されると、母車100(搬送制御部135)は、S2412での搬送によって受取収納スペース124に配置された配送ボックス300が、アーム221に搬送されるようコンベア131を制御する(S2417)。
子車200(積載制御部230)は、アーム221を駆動して、受取収納スペース124に配置された配送ボックス300をアーム221で保持させる。これによって、子車200は、配送ボックス300を受け取ることができる(S2418)。
そして、子車200(積載制御部230)は、昇降部222及び並進部223を駆動して、配送ボックス300を保持したアーム221を荷台224まで移動させ、配送ボックス300を荷台224に載置する。そして、子車200(積載制御部230)は、載置された配送ボックス300をアーム221で保持させる。これによって、子車200は、配送ボックス300が積載された状態となる。
続いて、子車200(積載制御部230)は、特定された配送ボックス300、すなわち、配送先20に配送される配送ボックス300が、子車200に積載された状態であることを示す通知を母車100に送信し(S2419)、本処理を終了する。
配送ボックス300が積載状態であることを示す通知が母車100で受信されると、搬送制御部135は、配送先20に配送される配送ボックス300の子車200への積載が完了したことを示す通知(積載完了通知)を、母車100の制御部101に送信する(S2420)。そして、搬送制御部135は、収納庫120内の配送ボックス300の配置がボックス管理情報に反映されるようボックス管理情報を更新し、本処理を終了する。
制御部101は、積載完了通知を受信すると、図19のS1907に移行する。
図25は、本発明の実施形態1における母車100及び子車200において行われる階層間移送制御処理の詳細な流れを示すフローチャートである。
母車100(搬送制御部135)は、満載の階層内の受取収納スペース124に配置された配送ボックス300のうち、満載でない他の階層に移送する配送ボックス300を選定する(S2501)。そして、母車100(搬送制御部135)は、選定された配送ボックス300が配置された受取収納スペース124の位置と、この受取収納スペース124がある階層の位置と、選定された配送ボックス300が移送される移送先の受取収納スペース124の位置と、この移送先の受取収納スペース124がある階層の位置とを示す情報を子車200に送信する(S2502)。
この情報が子車200で受信されると、子車200(積載制御部230)は、昇降部222を駆動して、選定された配送ボックス300が配置された受取収納スペース124の階層までアーム221を昇降させる(S2503)。そして、子車200(積載制御部230)は、母車100から配送ボックス300を受け取るためのアーム221の準備を行い、受け取り待機状態であることを示す通知を母車100に送信する(S2504)。
子車200がアーム221を駆動している間に(S2503及びS2504)、母車100(搬送制御部135)は、移送先の受取収納スペース124に配送ボックス300が配置されていれば(S2505でYES)、この受取収納スペース124がブランク状態となるようコンベア131を制御する(S2506)。一方、母車100(搬送制御部135)は、移送先の受取収納スペース124に配送ボックス300が配置されていなければ(S2505でNO)、受け取り待機状態であることを示す通知が子車200から送信されるまで待機して、S2507に移行する。
そして、受け取り待機状態であることを示す通知が母車100で受信されると、母車100(搬送制御部135)は、選定された配送ボックス300がアーム221に搬送されるようコンベア131を制御する(S2507)。
子車200(積載制御部230)は、アーム221を駆動して、選定された配送ボックス300をアーム221で保持させる。これによって、子車200は、配送ボックス300を受け取ることができる(S2508)。
そして、子車200(積載制御部230)は、昇降部222を駆動して、配送ボックス300を保持したアーム221を、移送先の受取収納スペース124がある階層まで昇降させる(S2509)。そして、子車200(積載制御部230)は、アーム221を駆動して、アーム221に保持された配送ボックス300を移送先の受取収納スペース124に配置する(S2510)。これにより、選定された配送ボックス300が、移送先の受取収納スペース124に移送される。
子車200(積載制御部230)は、選定された配送ボックス300を移送先の受取収納スペース124に配置したことを示す通知を母車100に送信し(S2511)、本処理を終了する。
選定された配送ボックス300を移送先の受取収納スペース124に配置したことを示す通知が母車100で受信されると、搬送制御部135は、その旨を確認する(S2512)。そして、母車100(搬送制御部135)は、収納庫120内の配送ボックス300の配置がボックス管理情報に反映されるようボックス管理情報を更新する。そして、母車100(搬送制御部135)は、本処理を終了し、図24のS2412に移行する。
[8.配送ボックスの配置変更]
図26は、本発明の実施形態1における収納庫120内での配送ボックス300の配置が変更される様子を模式的に示す図であって、階層間移送制御処理が実行されない場合を示す。
図26では、図6及び図7に示す例と同一の表記を用いて、収納庫120内に設けられた複数のスペース(収納スペース123及び搭載スペース121)の位置が特定されている。図26の灰色の配送ボックス300は、配送先20に配送される配送ボックス300を示している。図26の破線は、ブランク状態の収納スペース123を示している。
図26(a)は、変更前の配送ボックス300の配置を示す。配送先20に配送される配送ボックス300は、満載でない階層内の(17、A)に予め配置されている。
まず、母車100は、予めブランク状態にある(15、G)に隣接する(14、F)に配置された配送ボックス300を、このブランク状態の(15、G)に搬送する。それにより、(14、F)がブランク状態となる。続いて、母車100は、ブランク状態となった(14、F)に隣接する(13、E)に配置された配送ボックス300を、このブランク状態の(14、F)に搬送する。このような搬送が繰り返されると、配送先20に配送される配送ボックス300が配置された(17、A)に隣接する(9、A)がブランク状態となる。それにより、図26(b)に示すように、配送先20に配送される配送ボックス300は、ブランク状態となった(9、A)に搬送され得る。
続いて、母車100は、図26(b)に示すように、ブランク状態となった(17、A)に隣接する(18、B)に配置された配送ボックス300を、このブランク状態の(17、A)に搬送する。それにより、(18、B)がブランク状態となる。続いて、母車100は、ブランク状態となった(18、B)に隣接する(19、C)に配置された配送ボックス300を、このブランク状態の(18、B)に搬送する。このような搬送が繰り返されると、図26(c)に示すように、配送先20に配送される配送ボックス300は、予め配置された(17、A)と同一階層内の受取収納スペース124である(15、G)に搬送され得る。
このように、母車100は、ブランク状態の収納スペース123に隣接する収納スペース123に配置された配送ボックス300を、このブランク状態の収納スペース123に搬送することを繰り返すことによって、ある収納スペース123に配置された配送ボックス300を同一階層内で循環させることができる。以下では、特定の階層の収納スペース123に配置された配送ボックス300が同一階層内で循環するように搬送させる制御処理を「循環搬送制御処理」と称する。
そして、母車100は、図26(d)に示すように、(15、G)の受取収納スペース124に配置された配送ボックス300を、(16、H)にある子車200のアーム221に搬送する。配送先20に配送される配送ボックス300は、子車200のアーム221で受け取られ、図26(e)に示すように、荷台224がある階層内の(16、X)まで降下され得る。
このようにして、母車100は、配送先20に配送される配送ボックス300を、子車200のアーム221に搬送することができる。
図27は、本発明の実施形態1における収納庫120内での配送ボックス300の配置が変更される様子を模式的に示す図であって、階層間移送制御処理が実行される場合を示す。
図27では、図26と同一の表記を用いて、収納庫120内に設けられた複数のスペースの位置が特定されている。図27の灰色の配送ボックス300も、図26と同様に、配送先20に配送される配送ボックス300を示している。図27の破線も、図26と同様に、ブランク状態の収納スペース123を示している。
図27(a)は、変更前の配送ボックス300の配置を示す。配送先20に配送される配送ボックス300は、満載の階層内の(23、W)に予め配置されている。
まず、母車100は、配送先20に配送される配送ボックス300が満載の階層内の(23、W)に配置されているため、満載の階層内の受取収納スペース124に配置された配送ボックス300のうち、満載でない他の階層に移送する配送ボックス300を選定する。図27の例では、満載でない他の階層に移送する配送ボックス300として、図27(a)の斜線で示された(15、W)に配置された配送ボックス300が選定されたとする。
また、母車100は、選定された配送ボックス300が移送される移送先の階層を特定する。移送先の階層は、(14、F)のようにブランク状態の収納スペース123がある階層である。母車100は、上記の循環搬送制御処理を行い、図27(b)に示すように、特定された移送先の階層内の受取収納スペース124である(15、G)をブランク状態にする。
続いて、母車100は、選定された配送ボックス300である(15、W)に配置された配送ボックス300を、(16、X)にある子車200のアーム221に搬送する。それにより、図27(c)に示すように、選定された配送ボックス300は、子車200のアーム221で受け取られ、(16、X)に位置し得る。
子車200は、図27(d)に示すように、選定された配送ボックス300を保持するアーム221を移送先の階層まで上昇させ、選定された配送ボックス300を、ブランク状態となっている移送先の受取収納スペース124である(15、G)に移送する。
それにより、当初満載であった階層では、配送ボックス300が配置されていた(15、W)の受取収納スペース124が、図27(d)に示すように、ブランク状態となり得る。
続いて、母車100は、図27(e)に示すように、配送先20に配送される配送ボックス300を、ブランク状態の受取収納スペース124である(15、W)に搬送する。そして、母車100は、子車200のアーム221が(16、X)に降下すると、図27(f)に示すように、(15、W)の受取収納スペース124に配置された配送ボックス300を、(16、X)にあるアーム221に搬送する。
このように、母車100は、配送先20に配送される配送ボックス300が満載の階層に配置されている場合、子車200と協調して、満載の階層内の受取収納スペース124に配置された配送ボックス300を、満載でない他の階層に移送する。それにより、母車100は、配送先20に配送される配送ボックス300を、子車200のアーム221に搬送することができる。
図28は、本発明の実施形態1における収納庫120内での配送ボックス300の配置が変更される様子を模式的に示す図であって、配送先20の変更に伴って配送ボックス300の配送順が変更された場合を示す。
図28では、図26と同一の表記を用いて、収納庫120内に設けられた複数のスペースの位置が特定されている。図28の灰色の配送ボックス300も、図26と同様に、配送先20に配送される配送ボックス300を示している。図28の破線も、図26と同様に、ブランク状態の収納スペース123を示している。
図28(a)は、変更前の配送ボックス300の配置を示す。配送先20に配送される配送ボックス300は、(14、F)に予め配置された配送ボックスαであるとする。配送ボックスαの次に配送先20に配送される配送ボックス300は、(13、E)に予め配置された配送ボックスβであるとする。
配送先20の変更に伴って、配送ボックス300の配送順が、図28(b)に示すように、「配送ボックスα→配送ボックスβ」から「配送ボックスβ→配送ボックスα」に変更されたとする。すなわち、今回配送される配送ボックス300は、灰色で示された配送ボックスβである。
この場合、母車100は、図28(c)に示すように、上記の循環搬送制御処理を行い、図28(d)に示すように、今回配送される配送ボックスβを、(15、G)の受取収納スペース124に搬送する。次回配送される配送ボックスαは、(23、G)に搬送され得る。
そして、母車100は、図28(e)に示すように、(15、G)の受取収納スペース124に配置された配送ボックスβを、(16、H)にある子車200のアーム221に搬送する。
配送ボックスβは、子車200のアーム221で受け取られ、図28(f)に示すように、荷台224がある階層内の(16、X)まで降下され得る。
続いて、母車100は、図28(f)に示すように、(23、G)に配置された配送ボックスαを、(15、G)の受取収納スペース124に搬送する。それにより、(15、G)の受取収納スペース124には、変更された配送順(配送ボックスβ→配送ボックスα)で、配送ボックス300が配置され得る。
このように、母車100は、配送先20の変更に伴って配送ボックス300の配送順が変更されても、変更された配送ボックス300の配送順に応じて、配送ボックス300を子車200のアーム221に搬送することができる。
なお、図28には、配送ボックス300の配送順を変更して配送ボックス300の配置を変更する際に階層間移送制御処理を実行しない場合が示されているが、階層間移送制御処理を実行する場合であっても、母車100は、図27に示した処理を適宜組み合わせることで、変更された配送ボックス300の配送順に応じて、配送ボックス300を子車200のアーム221に搬送することができる。
また、子車200が配送先20から配送ボックス300を回収して母車100の収納庫120に入庫した場合においても、母車100は、図26乃至図28に示した処理と同様の処理を行うことによって、回収された配送ボックス300を、収納庫120に収納することができる。
例えば、まず、母車100は、ブランク状態の収納スペース123及びその階層を収納庫120内で探索して、回収された配送ボックス300を収納する階層及び収納スペース123を決定する。このとき、母車100は、回収された配送ボックス300を収納する階層及び収納スペース123を、次のように決定してもよい。
すなわち、母車100は、ブランク状態の収納スペース123がある階層内において、子車200の荷台224から出来るだけ遠くに位置する収納スペース123を、回収された配送ボックス300を収納する収納スペース123に決定してもよい。子車200の荷台224から出来るだけ遠くに位置する収納スペース123とは、例えば、図26に示す(1、A)又は(17、A)に位置する収納スペース123である。それにより、その後に配送先20に配送される配送ボックス300が、受取収納スペース124に搬送され易くなるため、配送システム1では、より効率的な配送が可能となる。
回収された配送ボックス300を収納する収納スペース123が決定すると、母車100は、上記の循環搬送制御処理を行って、決定された収納スペース123がある階層の受取収納スペース124をブランク状態にする。そして、子車200は、決定された収納スペース123がある階層までアーム221を昇降させ、回収された配送ボックス300を、ブランク状態となった受取収納スペース124に配置する。そして、母車100は、上記の循環搬送制御処理を行って、回収された配送ボックス300を、決定された収納スペース123まで搬送する。
このように、母車100は、図26乃至図28に示した処理と同様の処理を行うことによって、回収された配送ボックス300を、収納庫120に収納することができる。
以上のような処理によって、実施形態1の配送システム1は、スタッカクレーン等が収納庫120に備えられていなくても、配送ボックス300を配送する子車200が母車100と協調することで、収納庫120内での配送ボックス300の配置を変更することができる。
一般的な自動倉庫システムでは、倉庫内での荷物の搬送をスタッカクレーン等が行い、倉庫外への荷物の配送を台車等を用いて作業者が行う。すなわち、一般的な自動倉庫システムでは、スタッカクレーン等の倉庫内での荷物の搬送を行う専用の手段が倉庫内に必要となるため、荷物の収納量が制限される。更に、一般的な自動倉庫システムでは、倉庫内外で異なる手段を用いて荷物の移動が行われると共に配送先20への配送自体は作業者が行うため、配送の低コスト化、迅速化及び効率化という点で改善の余地がある。再配達が必要となる回数も受取人の都合に左右されるため、効率的に荷物を配送することが難しい。
これに対し、実施形態1に係る配送システム1は、配送ボックス300を配送する子車200が母車100と協調して収納庫120内での配送ボックス300の配置を変更するため、収納庫120内での配送ボックス300の搬送を行う専用の手段が不要となる。このため、実施形態1に係る配送システム1は、収納庫120の荷物の収納量を増加させることができることから、効率的に荷物を配送することができると共に配送に係るコストを低減することができる。
更に、実施形態1に係る配送システム1では、配送先20への荷物の配送が無人自動運転配送車両の子車200によって行われるため、作業者による荷物の配送が不要となる。このため、実施形態1に係る配送システム1は、ヒューマンエラーや作業者ごとの作業ばらつきを抑制することができることから、荷物の配送を低コスト化、迅速化及び効率化することができる。
更に、実施形態1に係る配送システム1では、配送ボックス固定具400に固定することで配送ボックス300が配送されるため、受取人の都合に左右されずに荷物の配送を完了することができる。このため、実施形態1に係る配送システム1では、再配達が必要となる回数を低減することができることから、荷物の配送を低コスト化、迅速化及び効率化することができる。
更に、実施形態1に係る配送システム1では、中継地点21で子車200を降車させるまでに、配送先20に配送される配送ボックス300を受取収納スペース124に配置する。このため、実施形態1に係る配送システム1では、母車100が中継地点21に到着すると、子車200が直ちに降車して配送ボックス300を配送先20に配送することができることから、荷物の配送を低コスト化、迅速化及び効率化することができる。
[9.他の実施形態]
図29は、本発明の実施形態2における配送ボックス300及びその配置変更を示す図である。図30は、本発明の実施形態2における配送ボックス300が積載された子車200を示す図である。
上記のように、実施形態1に係る配送ボックス300は、収納庫120内に設けられた複数の収納スペース123のそれぞれに収納される大きさを有する。すなわち、実施形態1に係る配送ボックス300の大きさは、1つの収納スペース123の大きさに応じた大きさであり、少なくとも、1つの収納スペース123の大きさ以下の大きさである。
これに対し、実施形態2に係る配送ボックス300の大きさは、収納スペース123の大きさよりも大きくてもよい。具体的には、実施形態2に係る配送ボックス300の大きさは、2つの収納スペース123の大きさに応じた大きさであり、1つの収納スペース123の大きさより大きく、2つの収納スペース123の大きさ以下の大きさであってもよい。
図29(a)に示す例では、実施形態2に係る配送ボックス300は、直方体に形成されている。そして、実施形態2に係る配送ボックス300は、母車100の前後方向に沿った一辺の長さが、実施形態1に係る配送ボックス300の2倍の長さを有している。
このような場合であっても、実施形態2に係る母車100は、図29(a)乃至図29(e)に示すように、収納庫120内で配送ボックス300の配置を変更し、配送先20に配送される配送ボックス300を、子車200のアーム221に搬送することができる。
実施形態2に係る子車200においても、図30(a)に示すように、実施形態2に係る配送ボックス300をアーム221で保持して受け取ることができると共に、図30(b)に示すように、実施形態2に係る配送ボックス300を積載することができる。
また、実施形態2に係る子車200は、図30(c)に示すように、実施形態2に係る配送ボックス300を荷台224で回転させ、この配送ボックス300の向きを変更することも可能である。
図31は、本発明の実施形態3における母車100において行われる自動倉庫制御処理の詳細な流れを示すフローチャートである。
実施形態3に係る母車100(制御部101)は、図23に示した自動倉庫制御処理に代えて、図31に示した自動倉庫制御処理を実行してもよい。なお、図31に示す各処理のうち、図23と同様の処理については説明を省略する。
実施形態3に係る母車100(制御部101)は、ボックス管理情報を更新した後(S3104)、到着予定時間及び積載所要時間を計算する(S3105)。
到着予定時間は、母車100が中継地点21に到着する予定の時間である。母車100(制御部101)は、地図情報及びGPS装置105aを用いて現在地から中継地点21までの距離を算出すると共に、走行速度等の走行情報、道路情報及び交通情報等に基づいて、到着予定時間を計算することができる。
また、積載所要時間は、配送先20に配送される配送ボックス300が子車200に積載された状態となるまでに必要な時間である。積載所要時間には、収納庫120内における配送ボックス300の配置変更に要する時間、及び、子車200における配送ボックス300の受け取り及び積載に要する時間等が含まれている。母車100は、配送情報及びボックス管理情報等に基づいて、積載所要時間を計算することができる。
続いて、母車100(制御部101)は、到着予定時間と積載所要時間とを比較し、到着予定時間が積載所要時間以上であれば(S3106でYES)、図24に示したボックス搬送制御処理を搬送制御部135にて実行する(S3107)。そして、母車100(制御部101)は、ボックス搬送制御処理が実行された後、ボックス搬送制御処理が実行済であることをボックス管理情報に記録し(S3108)、設定されている配送ルートに基づく配送に関する走行制御処理を行う(S3109)。
一方、母車100(制御部101)は、到着予定時間が積載所要時間より短ければ(S3106でNO)、中継地点21に到着後であって子車200を降車させるまでの間にボックス搬送制御処理が行われるべく、設定されている配送ルートに基づく配送に関する走行制御処理を行う(S3109)。
その後、母車100(制御部101)は、中継地点21若しくはその近隣に到着後(S3110でYES)、ボックス管理情報を確認して(S3111)、ボックス搬送制御処理が実行済であるか否かを判断する(S3112)。
母車100(制御部101)は、S3107でボックス搬送制御処理が実行済であれば(S3112でYES)、本処理を終了する。
一方、母車100(制御部101)は、ボックス搬送制御処理が実行済でなければ(S3112でNO)、図24に示したボックス搬送制御処理を搬送制御部135にて実行し(S3113)、本処理を終了する。
ここで、母車100の走行中にボックス搬送制御処理が実行されると、配送ボックス300の搬送エラー及び配送ボックス300内の荷物の破損等の不具合が発生する可能性がある。
実施形態3に係る母車100は、到着予定時間が積載所要時間以上であれば、中継地点21に到着するまでの間にボックス搬送制御処理を行う。一方、実施形態3に係る母車100は、到着予定時間が積載所要時間より短ければ、中継地点21に到着後であって子車200を降車させるまでの間にボックス搬送制御処理を行う。それにより、実施形態3に係る母車100は、上記のような不具合が発生する可能性を低減することができる。
[10.その他]
上記で説明した実施形態は、変形例を含めて各実施形態同士で互いの技術を適用し得ることは、当業者には明らかであろう。
上記の説明は、制限ではなく単なる例示を意図している。従って、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本発明の実施形態に変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。
本明細書及び添付の特許請求の範囲全体で使用される用語は、「限定的でない」用語と解釈されるべきである。例えば、「含む」又は「含まれる」という用語は、「含まれるものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「有する」という用語は、「有するものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。