JP6606576B2 - 点接合用ツール - Google Patents

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Description

本発明は、摩擦攪拌点接合をする際に用いる点接合用ツールに関する。
従来より、重ね合わせた金属板同士を互いに接合する1つの方法として摩擦攪拌による点接合が知られている。この摩擦攪拌点接合には、専用のツールが用いられ、例えば、特許文献1の点接合用ツールは、棒状のツール本体及び該ツール本体の長手方向一端の軸心上に突設されたピンを有している。そして、重ね合わせた第1及び第2金属板の第1金属板側にピンの突出端が対向する姿勢でツール本体を軸心回りに回転させ、その回転状態のツール本体のピン側を上記第1金属板側に押し込むことにより上記両金属板を摩擦熱で攪拌させて互いに固相接合させている。
ところで、特許文献1のツール本体におけるピン側の端面は、平坦な形状をなしており、この点接合用ツールを用いて摩擦攪拌点接合を行うと、第1及び第2金属板の接合部近傍において第1金属板が第2金属板から離間する変形が起きることが一般的に知られている。
これを回避するために、例えば、特許文献2の点接合用ツールは、ツール本体におけるピン側の端面を長手方向他端側に行くにつれて次第に縮径する凹状面にしている。そうすることによって、点接合の際、凹状面の周縁部分で第1金属板を第2金属板側に押し込むようになり、接合部近傍において第1金属板が第2金属板から離間する変形を抑制することができる。
特開2010−23068号公報 特開2005−161382号公報
しかし、ツール本体の凹状面を第1金属板に押し込み過ぎると、凹状面の周縁部分が第2金属板に近づき過ぎてしまい、当該部分における接合部の板厚が減少してしまう。そうすると、両金属板の間に品質管理上において必要な接合径を有する接合部が形成されていたとしても、接合部に負荷がかかることで接合部の板厚減少部分に亀裂や破断が発生してしまうおそれがある。したがって、接合部において過度の板厚減少が発生しないように接合条件をシビアに設定する必要が生じ、生産管理上において煩雑である。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、2つの金属板が接合部近傍において離間せず、且つ、接合部において必要な接合強度を確実に得ることができ、しかも、生産管理上において扱い易い摩擦攪拌点接合用ツールを提供することある。
上記の目的を達成するために、本発明は、ツール本体における凹状面の寸法とピンの寸法との組み合わせに工夫を凝らしたことを特徴とする。
具体的には、棒状のツール本体と、該ツール本体の長手方向一端の軸心上に突設されたピンとを備え、重ね合わせた第1及び第2金属板の第1金属板側に上記ピンの突出端が対向する姿勢で上記ツール本体を軸心回りに回転させ、且つ、上記両金属板に上記ツール本体のピン側を押し込むことにより上記両金属板を摩擦熱で攪拌させて互いに固相接合させる点接合用ツールを対象とし、次のような解決手段を講じた。
すなわち、第1の発明では、上記ツール本体の上記ピン側の端面は、上記ツール本体の長手方向他端側に行くにつれて次第に縮径する凹状面であり、上記ピンの側面の上記ツール本体との連続部分には、上記ツール本体に近づくにつれて次第に湾曲しながら拡径する湾曲拡径部が設けられており、上記ピンの突出端には、上記ツール本体から離れるにつれて次第に縮径する湾曲面部が設けられ、上記ピンの側面には、上記湾曲面部に繋がる雄ネジ部が形成されており、上記両金属板を摩擦熱で軟化させて溶接する際に、回転状態の上記ツール本体を上記第1金属板に接触させて押し込んだときには、該摩擦熱で軟化された軟化金属部分が、上記湾曲面部により押し退けられて上記ピンの側方に流れた後、上記湾曲拡径部を通って上記凹状面に向かって流れることを特徴とする
第2の発明では、第1の発明において、上記凹状面は、上記ツール本体の上記ピン側の端面における外周縁部を除く部分に形成されていることを特徴とする。
第1の発明では、両金属板において、ピンによって押し退けられる軟化金属部分の一部が凹状面によって形成される空間に留まるようになるので、該空間に留まった軟化金属部分を介して第1金属板に対して第2金属板側に向かう力が加わるようになる。これにより、点接合用ツールを両金属板に対して必要以上に押し込まなくても、第1金属板と第2金属板との間の接合部近傍において第1金属板が第2金属板から離間するのを防ぐことができる。また、点接合用ツールを両金属板に対して必要以上に押し込まなくても、接合部の板厚が厚く保たれるようになって必要な接合強度を有する接合部を得ることができる。したがって、例えば、加圧力などの接合条件をシビアに管理する必要がなく、生産管理上において取り扱いが簡単である。
さらに、点接合の際、ピンに押し退けられた軟化金属部分がピンの側方を通過した後、ツール本体の凹状面まで湾曲拡径部によってスムーズに移動するようになる。これにより、凹状面によってピンから離れながら第2金属板側に向かう軟化金属部分の流れに勢いが増し、第1金属板の軟化金属部分と第2金属板の軟化金属部分とをさらに効率良く混合させることができる。さらに、第1金属板を第2金属板側に向かわせる力が大きくなって、接合部近傍において第1及び第2金属板の間を確実に離間させないようにできる。
また、点接合の際、各金属板における軟化金属部分が湾曲面部によってピンの側方にスムーズに案内されるとともに、ピンの側面の雄ネジ部によって激しく流動するようになる。したがって、短時間で第1金属板の軟化金属部分と第2金属板の軟化金属部分とを効率良く混合させることができ、接合時間を短くすることができる。
本発明の実施形態に係る点接合用ツールの先端側正面図である。 本発明の実施形態に係る点接合用ツールを用いて重合状態の2つの金属板を点接合する手順において、接合開始直前の状態を示す図である。 図2の状態の後、点接合用ツールを金属板に接近させて接合をし始めた直後の状態を示す図である。 図3の状態の後、点接合用ツールを重合状態の金属板に押し込んで接合をしている途中の状態を示す図である。 (a)は、図4の状態の後、さらに点接合用ツールを重合状態の金属板に押し込んで接合をしている途中の状態を示す図であり、(b)は、(a)のA部拡大図である。 (a)は、図5の状態の後、さらに点接合用ツールを重合状態の金属板に押し込んで接合をしている途中の状態を示す図であり、(b)は、(a)のB部拡大図である。 図6の状態の後、さらに点接合用ツールを重合状態の金属板に押し込んで接合を終了する直前の状態を示す図である。 図7の状態の後、点接合用ツールを重合状態の金属板から離間させて接合を終了した直後の状態を示す図である。 (a)は、従来の摩擦攪拌点接合用ツールAの先端側正面図であり、(b)は、従来の摩擦攪拌点接合用ツールB,Cの先端側正面図である。 本発明の実施形態に係る点接合用ツール及び従来の点接合用ツールA,Bにおける実験結果を示す。 本発明の実施形態に係る点接合用ツール及び従来の点接合用ツールCにおける実験結果を示す。 (a)は、本発明の実施形態に係る点接合用ツールで接合した接合部の断面を、(b)は、従来の点接合用ツールAで接合した接合部の断面を、(c)は、従来の点接合用ツールBで接合した接合部の断面を示す写真である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
図1は、本発明の実施形態に係る点接合用ツール1を示す。該点接合用ツール1は、重ね合わせた第1金属板4及び第2金属板5(図2〜8参照)を摩擦攪拌によって互いに点接合するためのものであり、図示しない接合装置に装着して使用される。
上記点接合用ツール1は、熱間工具鋼(SKD61)で一体に形成され、棒状のツール本体2と、該ツール本体2の長手方向一端の軸心C上に突設されたピン3とを備え、点接合時には、上記軸心Cを中心にX方向に回転するようになっている。
上記ツール本体2の上記ピン3側の端面は、上記ツール本体2の長手方向他端側に行くにつれて次第に直線状に縮径する凹状面2aとなっている。凹状面2aは、ツール本体2のピン3側の端面における外周縁部を除く部分に形成されている。
上記ピン3の突出端には、上記ツール本体2から離れるにつれて次第に縮径する湾曲面部3aが設けられている。
また、上記ピン3の側面には、上記湾曲面部3aに繋がる雄ネジ部3bが形成され、該雄ネジ部3bは、X方向の回転に対して逆ネジとなっている。
さらに、上記ピン3側面の上記ツール本体2との連続部分には、上記ツール本体2に近づくにつれて次第に湾曲しながら拡径する湾曲拡径部3cが設けられている。
そして、第1金属板4及び第2金属板5を重ね合わせるとともに、重ね合わせた第1金属板4及び第2金属板5の第1金属板4側に上記ピン3の突出端が対向する姿勢で上記ツール本体2を軸心C回りに回転させ、且つ、上記両金属板4,5に上記ツール本体2のピン3側を押し込むことにより上記両金属板4,5を摩擦熱で軟化させて互いに固相接合させるようになっている。
ここで、上記点接合用ツール1において、上記第1金属板4の板厚をT1(mm)、上記第2金属板5の板厚をT2(mm)、及び設定接合幅Dn(図8参照)とすると、上記ツール本体2の径をDt(mm)、上記ピン3の高さHp(mm)、上記ピン3の径Dp(mm)、及び上記凹状面2aの深さ(凹状面2aのツール本体2における長手方向の寸法)L(mm)を以下に示す考えに基づいて設定した。
すなわち、第1及び第2金属板4,5において摩擦熱により軟化する軟化金属部分7bはピン3によって攪拌されながら移動するが、図1に示すように、ピン3によって押し退けられる領域Raの軟化金属部分7bがツール本体2の外周面より外側の領域に移動すればするほど、接合部7の板厚が薄くなってしまう。したがって、接合部7の板厚を厚く保つためにピン3によって押し退けられる領域Raの軟化金属部分7bを、できるだけ凹状面2aによって形成される領域Rbに留めることがよいと考えた。
一方、第1及び第2金属板4,5の接合部7近傍において第1金属板4が第2金属板5から離間する変形を抑えるために、凹状面2aの周縁部分で第1金属板4を第2金属板5側に押し込むようにしているが、これに限らず、ピン3によって押し退けられる領域Raの軟化金属部分7bがピン3の側方を領域Rbに向かって移動した後、凹状面2aに沿って領域Rbから第2金属板5側に向かって移動する際の力Y(図7参照)を増やすことによっても第1金属板4が第2金属板5から離間する変形を抑えることができるのではと考えた。
そこで、上記領域Raの軟化金属部分7bのうちの半分が上記領域Rbに留まるとともに、残りの半分が上記領域Rbから第2金属板5側に向かって移動する構成にすればよいのではと考え点接合用ツール1を設計した。
尚、Dtの寸法は、摩擦攪拌点接合において標準の寸法である10mmとした。
また、Dpは、設定接合幅Dnの75%が適正な値であることが一般的に知られていることから、設定接合幅Dnの75%に設定した。
尚、上記点接合用ツール1は、当該点接合用ツール1を加工する工具の加工能力から各寸法が±1%程度ばらついた数値のものについても効果が発揮される。
また、本発明の実施形態では、上記湾曲面部3aの曲率半径を2.9mmに、湾曲拡径部3cの曲率半径を0.6mmにそれぞれ設定している。
次に、重ね合わせた第1金属板4及び第2金属板5を上記点接合用ツール1で点接合する方法について説明する。
まず、図2に示すように、第1金属板4が上側になるよう受け台6の上に第1金属板4及び第2金属板5を重ね合わせる。
次に、ツール本体2をピン3が下方に向く姿勢(ピン3の突出端が第1金属板4に対向する姿勢)にし、図示しない回転モータによりツール本体2をX方向に所定の回転数で回転させる。
次いで、回転状態のツール本体2を下方に移動させて第1金属板4及び第2金属板5に接近させる。
しかる後、図3に示すように、ピン3の突出端が第1金属板4の表面に接触する。すると、上記第1金属板4が接触部分Kから加熱され始める。
その後、ツール本体2を下方に移動させると、図4に示すように、ピン3と第1金属板4との間で発生する摩擦熱が第1金属板4を伝わることで加熱金属部分7aが広がるとともにピン3が軟化金属部分7bに入り込む。
さらに、ツール本体2を下方に移動させると、図5(a),(b)に示すように、軟化金属部分7bにおいて湾曲面部3a及び雄ネジ部3bに沿って上昇する流れと当該雄ネジ部3bによるピン3周りを周回する流れとがそれぞれ出来て軟化金属部分7bにおける攪拌が促進される。また、軟化金属部分7bの攪拌が促進されることで加熱金属部分7aの広がる速度が速くなる。
しかる後、ツール本体2をさらに下方に移動させると、図6(a),(b)に示すように、湾曲面部3a及び雄ネジ部3bに沿って上昇する軟化金属部分7bの一部領域が湾曲拡径部3cによって渦状に流れるようになる。そして、軟化金属部分7bにおいて、湾曲面部3a及び雄ネジ部3bによって出来た上向きの流れと湾曲拡径部3cによって出来た渦状の流れとが混ざり合うことで軟化金属部分7bの攪拌が促進されるとともに、加熱金属部分7aの広がる速度がさらに速くなる。
そして、さらに、ツール本体2を下方に移動させると、図7に示すように、凹状面2a全域に軟化金属部分7bが接触し、軟化金属部分7bにおいて湾曲拡径部3c周りで渦状の流れが出来るだけでなく、凹状面2aに沿ってピン3から離れながら第2金属板5側に移動する流れも発生する。
しかる後、第1金属板4及び第2金属板5に対してツール本体2を所定の加圧力で押し込んだ状態で所定時間維持し、その後、図8に示すように、回転状態のツール本体2を上方に移動させ、且つ、軟化金属部分7bを固化させることにより接合部7が形成される。
次に、本発明の実施形態に係る点接合用ツール1を用いて点接合した実験について説明する。
−実験1−
上記点接合用ツール1及びツールA,Bを用いて厚さ1mmのアルミニウム合金板(A5000系)を2枚重ねて接合条件を変更しながら摩擦攪拌によって点接合する実験を実施した。尚、各ツール寸法、接合条件、及び良否判定方法を以下に示す。また、設定接合幅Dnを4mmとした。
<点接合用ツール1寸法>
ツール本体2の径Dtを10mmに、上記ピン3の高さHpを1.83mmに、上記ピン3の径Dpを3mmに、上記凹状面2aの深さLを0.43mmにそれぞれ設定している。
<ツールA寸法>
ツール本体2の径Dtを10mmに、上記ピン3の高さHpを1.2mmに、上記ピン3の径Dpを3mmにそれぞれ設定し、上記凹状面2aは平坦な形状をなしている。
<ツールB寸法>
ツール本体2の径Dtを10mmに、上記ピン3の高さHpを2.0mmに、上記ピン3の径Dpを3mmに、上記凹状面2aの深さLを0.6mmにそれぞれ設定している。
<接合条件>
・各ツールの回転数:事前に行った仮実験で得た接合条件を管理中心値1500rpmとし、この値から±500rpm変化させた回転数でそれぞれデータを取得する。
・各ツールの加圧力:事前に行った仮実験で得た接合条件を管理中心値4410Nとして、この値から±490N変化させた加圧力でそれぞれデータを取得する。
・各ツールの加圧時間:0.5sずつ変化させた加圧時間のデータを取得する。
<良否判定方法>
・評価α:第1金属板4側の接合部表面に光沢がある場合を○、接合部表面が荒れている場合(軟化金属部分がうまく流動しなかった場合)を×とした。
・評価β:接合部近傍の第1金属板4と第2金属板5との間の距離を測定し、0.4mm未満の場合を○、0.4mm以上の場合を×とした。
・評価γ:第1金属板4と第2金属板5との間の接合幅(接合径)を測定し、4.0mm以上の場合を○、4.0mm未満の場合を×とした。
<実験1の結果>
図10に実験結果を示す。評価α〜γが全て○の条件については図中に色を付けた。この結果から判るように、ツールAやツールBに比べて本願発明の点接合用ツール1は、接合条件を広くすることができる。
−実験2−
上記点接合用ツール1、及び、ツールCを用いて厚さ1.8mmのアルミニウム合金板(A6000系)を2枚重ねて接合条件を変更しながら摩擦攪拌によって点接合する実験を実施した。尚、各ツール寸法及び接合条件を以下に示す。また、設定接合幅Dnを5mmとした。
<点接合用ツール1寸法>
ツール本体2の径Dtを10mmに、上記ピン3の高さHpを2.6mmに、上記ピン3の径Dpを3.75mmに、上記凹状面2aの深さLを0.98mmにそれぞれ設定している。
<ツールC寸法>
図9(b)に示すように、ツール本体2の径Dtを10mmに、上記ピン3の高さHpを2.75mmに、上記ピン3の径Dpを4mmに、上記凹状面2aの深さLを0.8mmにそれぞれ設定している。
<接合条件>
・各ツールの回転数:事前に行った仮実験で得た接合条件を管理中心値2500rpmとし、この値から±500rpm変化させた回転数でそれぞれデータを取得する。
・各ツールの加圧力:事前に行った仮実験で得た接合条件を管理中心値4900Nとして、この値から±490N変化させた加圧力でそれぞれデータを取得する。
・各ツールの加圧時間:0.5sずつ変化させた加圧時間のデータを取得する。
<良否判定方法>
・評価α:第1金属板4側の接合部表面に光沢がある場合を○、接合部表面が荒れている場合(軟化金属部分がうまく流動しなかった場合)を×とした。
・評価β:接合部近傍の第1金属板4と第2金属板5との間の距離を測定し、0.4mm未満の場合を○、0.4mm以上の場合を×とした。
・評価δ:第1金属板4と第2金属板5との間の接合幅(接合径)を測定し、5.0mm以上の場合を○、5.0mm未満の場合を×とした。
<実験2の結果>
図11に実験結果を示す。評価α,β,δが全て○の条件については図中に色を付けた。この結果から判るように、ツールCに比べて本願発明の点接合用ツール1は、実験1とは異なる板厚の組み合わせの接合においても、接合条件を広くすることができる。
図12は、上記点接合用ツール1を用い、厚みが1mmのアルミニウム合金板(A5000系)を2枚重ねて点接合した断面を示す。上記点接合用ツール1のDtを10mm、ピン3の高さHpを1.83mm、ピン3の径Dpを3mm、及び凹状面2aの上記ツール本体2における長手方向の深さLを0.43mmとし、接合条件は、回転数1500rpm、加圧力を3920N、加圧時間を1.5sとした。
図12(a)の結果から判るように、接合部7近傍において第1金属板4と第2金属板5との間に隙間が無く、第1金属板4に板厚減少部分も無い接合構造となっている。
図12(b)は、ツールAを用い、厚みが1mmのアルミニウム合金板(A5052)を2枚重ねて点接合した断面を示す。接合条件は、回転数1500rpm、加圧力を3920N、加圧時間を1.5sとした。
図12(b)の結果から判るように、接合部近傍において第1金属板4と第2金属板5との間に大きな隙間が発生している。
図12(c)は、ツールBを用い、厚みが1mmのアルミニウム合金板(A5000系)を2枚重ねて点接合した断面を示す。回転数1500rpm、加圧力を3920N、加圧時間を1.5sとした。
図12(c)の結果から判るように、第1金属板4側に板厚が大きく減少した強度の低い部位が発生している。
以上より、本発明の実施形態によると、第1及び第2金属板4,5において、ピン3で押し退けられる軟化金属部分7bの一部によって第1金属板4に対して第2金属板5側に向かう力が加わるようになるので、点接合用ツール1を第1及び第2金属板4,5に対して必要以上に押し込まなくても、第1金属板4と第2金属板5との間の接合部7近傍において第1金属板4が第2金属板5から離間するのを防ぐことができる。また、第1及び第2金属板4,5において、ピン3によって押し退けられる軟化金属部分7bの一部が凹状面2aによって形成される空間(領域R)に留まるようになるので、点接合用ツール1を第1及び第2金属板4,5に対して必要以上に押し込まなくても、接合部7の板厚が厚く保たれるようになって必要な接合強度を有する接合部7を得ることができる。さらに、凹状面2aの傾斜を小さくできるので、ツール形状を起因とした接合部7の過度の板厚減少を気にする必要がなくなる。したがって、例えば、加圧力などの接合条件をシビアに管理する必要がなく、生産管理上において取り扱いが簡単である。
また、点接合の際、各金属板4,5における軟化金属部分7bが湾曲面部3aによってピン3の側方にスムーズに案内されるとともに、ピン3側面の雄ネジ部3bによって激しく流動するようになる。したがって、短時間で第1金属板4の軟化金属部分7bと第2金属板5の軟化金属部分7bとを効率良く混合させることができ、接合時間を短くすることができる。
さらに、点接合の際、ピン3に押し退けられた軟化金属部分7bがピン3の側方を通過した後、ツール本体2の凹状面2aまで湾曲拡径部3cによってスムーズに移動するようになるので、凹状面2aによってピン3から離れながら第2金属板5側に向かう軟化金属部分7bの流れに勢いが増し、第1金属板4の軟化金属部分7bと第2金属板5の軟化金属部分7bとをさらに効率良く混合させることができるとともに、第1金属板4を第2金属板5側に向かわせる力が大きくなって、接合部7近傍において第1及び第2金属板4,5の間を確実に離間させないようにできる。
本発明は、摩擦攪拌点接合をする際に用いる点接合用ツールに適している。
1 点接合用ツール
2 ツール本体
2a 凹状面
3 ピン
3a 湾曲面部
3b 雄ネジ部
3c 湾曲拡大部
4 第1金属板
5 第2金属板
7 接合部
7b 軟化金属部分
C 軸心

Claims (2)

  1. 棒状のツール本体と、該ツール本体の長手方向一端の軸心上に突設されたピンとを備え、重ね合わせた第1及び第2金属板の第1金属板側に上記ピンの突出端が対向する姿勢で上記ツール本体を軸心回りに回転させ、且つ、上記両金属板に上記ツール本体のピン側を押し込むことにより上記両金属板を摩擦熱で軟化させて互いに固相接合させる点接合用ツールであって、
    上記ツール本体の上記ピン側の端面は、上記ツール本体の長手方向他端側に行くにつれて次第に縮径する凹状面であり、
    上記ピンの側面の上記ツール本体との連続部分には、上記ツール本体に近づくにつれて次第に湾曲しながら拡径する湾曲拡径部が設けられており、
    上記ピンの突出端には、上記ツール本体から離れるにつれて次第に縮径する湾曲面部が設けられ、上記ピンの側面には、上記湾曲面部に繋がる雄ネジ部が形成されており、
    記両金属板を摩擦熱で軟化させて溶接する際に、回転状態の上記ツール本体を上記第1金属板に接触させて押し込んだときには、該摩擦熱で軟化された軟化金属部分が、上記湾曲面部により押し退けられて上記ピンの側方に流れた後、上記湾曲拡径部を通って上記凹状面に向かって流れることを特徴とする点接合用ツール。
  2. 請求項1に記載の点接合用ツールにおいて、
    上記凹状面は、上記ツール本体の上記ピン側の端面における外周縁部を除く部分に形成されていることを特徴とする点接合用ツール。
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