JP6606006B2 - 放射線治療における線量評価装置、作動方法およびプログラム - Google Patents
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Description
このため放射線を、腫瘍に設定した照射領域に、正確に照射することが要求される。
放射線治療では、放射線の照射に先立って、治療計画が実施される。治療計画では、患者体内をX線CT等で撮影し、得られた立体像のボクセルデータから腫瘍を三次元的に把握する。そして、この腫瘍細胞を破壊するのに必要な線量がこの腫瘍に照射されるように、かつ正常組織への照射が少なくなるように、放射線の照射方向や照射時間等の照射条件が決定される。
そして患者は、治療計画で決定した照射条件に従って、放射線の照射孔の設置された空間内に位置決めされ、姿勢を静止させた状態で放射線の照射を受ける。
そこで、最初に位置決めした位置から患者が位置ずれした場合、この位置ずれ量を考慮した照射領域の線量を再計算することにより、腫瘍における線量が過不足のないように照射条件を調整することが望まれる。
しかし、モンテカルロ輸送計算は、試行回数を増やして系統的に計算誤差を低減する計算手法をとるため、時間を要し、経時的に変位する照射対象をリアルタイムにシミュレーションするのは不向きである。
図1に示すように放射線治療における線量評価装置10は、腫瘍41を内包する患者40の立体像12(図2)をデータ取得する取得部11と、この立体像12の第1空間座標系(x,y,z)に少なくとも一つの評価領域46(461,462…)を定義する定義部13と、この立体像12を内包するような多面体48を構成する複数の接続表面47(471,472…)を設定する設定部16と、これら接続表面47の代表点51(511,512…)に入射する放射線45の粒子束ψg(r,Ω)を変数入力してこの粒子束が寄与する評価領域46の線量率d(i)を関数出力する応答関数Rg (i)(r,Ω)をモンテカルロ輸送計算コード20に基づき導出する導出部21と、患者40に放射線45を照射する治療空間44の第2空間座標系(X,Y,Z)の格子点49(図3)の各々における粒子束ψg(r,Ω)を粒子束分布情報35としてデータ保持する保持部と、第2空間座標系(X,Y,Z)に設定した初期位置23に立体像12を配置させたときにこの立体像12との相対位置関係を維持した代表点51を認識する初期認識部24と、治療空間44における放射線45の照射期間において患者40の回転方向及び並進方向の移動率をリアルタイムに検出する検出部27と、第2空間座標系(X,Y,Z)における代表点51を移動率に基づいて追跡する追跡部28と、第2空間座標系(X,Y,Z)において変位する代表点51に対応する粒子束ψg(r,Ω)を粒子束分布情報35から取得して応答関数Rg (i)(r,Ω)に基づき評価領域46の線量率d(i)を演算する演算部29と、を備えている。
この治療計画で患者40は、治療空間44でとる同じ姿勢で、X線CT(Computed Tomography)等により、腫瘍41を含む体内の立体像12(図2)(ボクセルデータ)を撮像する。
そして治療計画で決定されたこれら条件に基づいて、治療空間44(第2空間座標系)に配置される患者40(立体像12)の初期位置23が決定される。
その後、治療工程において、患者40を治療空間44の初期位置23に配置した後に、照射孔43から放射線45を照射させる。
BNCTは、癌腫瘍等に親和性の高い薬剤を化学修飾したボロンを腫瘍41に集積させ、中性子線(放射線45)を照射する。
なお本発明を適用することができる放射線治療は、BNCTに限定されるものではなく、中性子線以外の他の放射線を用いた放射線治療に適用できる。
そのような、放射線として、中性子の他に、光子、陽子、電子、重イオン及びπ中間子等が挙げられる。
取得部11は、前述した治療計画の工程で撮像された患者40の立体像12(図2)をデータ取得する。
立体像12は、X線CTで撮像されたものであれば、部位の元素組成、核種組成及びそれらの密度に依存するX線の吸収係数に対応した輝度値のボクセルの集合体として表現される。また立体像12のデータ形式は、任意方向からの透視画像及び断面画像等を表示部18に二次元表示できる仕様を有している。
評価領域46として定義された部分が、放射線45の照射線量の評価対象となる。このため、定義される評価領域46は、治療を行う上で放射線45の影響を知ることが重要な領域が選ばれる。具体的には、治療対象となる腫瘍41及びその周辺が選ばれ、その他に、照射孔43近傍に位置する正常組織、放射線の影響を受けやすい正常組織なども選ばれる。
ここで粒子束とは、単位面積/単位時間当たりに通過する粒子の数を意味している。
r:空間座標、Ω:粒子の運動方向、G:エネルギー群数、g:エネルギー群を表す添え字、i:評価領域を表す添え字、ψg(r,Ω):空間点rにおいてエネルギー群gで運動方向Ωの粒子束、V(i):i番目の評価領域が占める座標領域、d(i):i番目の評価領域における線量率、wg (i)(r,Ω):i番目の評価領域の空間点rにおけるエネルギー群gでかつ運動方向Ωの粒子への重み関数、∫4πf(Ω)dΩ:運動方向Ωの関数fの全立体角積分、∫Ff(r)d3r:位置rの関数fの領域F内での体積積分(r∈F)。
また、これらホウ素線量DB、水素線量DH、窒素線量DN、ガンマ線量Dγ、中性子吸収線量Dnなどの各種線量に生物学効果比RBE等の換算係数を乗算し、さらに各々を加算することで、等価線量として評価することもできる。
中性子吸収線量Dnについては中性子カーマ係数が重み関数に相当する。ホウ素線量DBについては反応断面積を重み関数とすることができる。生物学効果比RBEなどの換算係数を乗算させることでX線相当の重み関数を得るようにしても良い。その場合は重み関数として各種の線量に対する重み関数をRBEなどの換算係数を掛けて加算したものを用いることができる。
また、重み関数として特定のエネルギー群でのみ定数値を持ち、残りのエネルギー群については0となる関数を用いれば、空間・運動方向について平均化された粒子束の特定のエネルギー群成分のみを得ることができる。
エネルギー群の各々に対し個別に重み関数を割り付けることで、評価領域46におけるエネルギースペクトルを得ることもできる。このように、重み関数を適当に設定することによって、線量率のみならず粒子束についても、同様の手法で計算することができる。
モンテカルロ輸送計算は、試行回数を増やして系統的に計算誤差を低減することができ、また任意の形状を扱えるので、形状のモデル化による誤差を抑制し精度の高い計算が可能である。一方で、モンテカルロ輸送計算は、試行回数を十分とると、計算時間が長くなり、経時的に変化する対象を、リアルタイムにシミュレーションする用途には不向きである。
そこで、本実施形態は、モンテカルロ輸送計算コード20を利用する演算が、放射線45を患者40に照射する治療工程に入る前に実行され、治療工程に入った後は実行が不必要となるように構築されている。
前記第2空間座標系において、複数の格子点49に挟まれる位置における粒子束ψg(r,Ω)は、近傍の格子点49の粒子束ψg(r,Ω)から外内挿法により求めることができる。
粒子束分布計算部25で計算された第2空間座標系(X,Y,Z)の格子点49の各々の粒子束ψg(r,Ω)は、粒子束分布情報35としてデータ保持される。
ここで格子点49とは、治療空間44の有限個の空間点であり、等間隔な立方格子や非等間隔な直方格子としてもよい。
また粒子束分布情報35は、初期位置23に仮想的に配置された立体像12の影響を考慮して計算されたものを使用することもできる。この場合、治療空間44に配置される患者40から反射される放射線45の影響を粒子束分布情報35に反映することができ、評価領域46の線量評価の信頼性を向上させることができる。
この立体像12の大きさ・位置の調整は、接続表面47が、人体や設備など、密度の高い領域を可能な限り含まないように、また接続表面47の内部に粒子線源が含まれないようにする。
なお、図示される多面体48は、見た目の複雑さを回避するために二十六面体を例示しているが、実際にはさらに多くの接続表面47で構成される。
ところで、接続表面の内部に一旦入射してから外部に出た粒子線が、再度接続表面の内部に入射するような場合、この粒子線の寄与が二重に考慮されてしまう。そのような事態を避けるため、多面体48の頂点は凸状として、接続表面に対する粒子線の再入射が起こらないようにすることが望ましい。
応答関数Rg (i)(r,Ω)は、これを導出するのにあたり、モンテカルロ輸送計算コード20を利用するが、一旦、応答関数Rg (i)(r,Ω)が導出されれば、モンテカルロ輸送計算コード20を利用せずに、空間の粒子束ψg(r,Ω)から評価領域46の線量率d(i)を求めることができる。
数式(2)において記号を以下のように定義する。
r:空間座標、Ω:粒子の運動方向、G:エネルギー群数、g:エネルギー群を表す添え字、i:評価領域を表す添え字、ψg(r,Ω):空間点rにおいてエネルギー群gで運動方向Ωの粒子束、A:接続表面、n:面要素dAの外向き法線ベクトル、V(i):i番目の評価領域が占める座標領域、d(i):i番目の評価領域における線量率、Rg (i)(r,Ω):i番目の評価領域の空間点r∈Aにおけるエネルギー群gでかつ運動方向Ωの粒子への接続表面A上の応答関数、∫Af(r)dA:位置rの関数fの曲面A内での面積分(r∈A)、∫4πf(Ω)dΩ:運動方向Ωの関数fの全立体角積分。
モンテカルロ輸送計算コード20を利用するForward(前進)計算では、図7の数式(3)を解き、粒子束ψg(r,Ω)を得ることができる。
このAdjoint(随伴)計算によれば、Forward(前進)計算よりも、より簡便に応答関数Rg (i)(r,Ω)を導出することができる。
モンテカルロ輸送計算コード20を利用するAdjoint(随伴)計算では、図7の数式(4)を解き、随伴粒子束ψg †(r,Ω)を得ることができる。
さらに図7の数式(5)と数式(6)の差をとり、図8の数式(7)を得る。
ここで、数式(7)の右辺で随伴計算の領域VAではSg(r,Ω)=0であることを使った。そして、数式(7)の左辺に発散定理を用いて体積積分を表面積分に変換し、図8の数式(8)を得る。
以上のことから、随伴粒子源Sg †(r,Ω)を重み関数wg (i)(r,Ω)として随伴計算を行うことで、接続表面上の随伴粒子束ψg †(r,Ω)を得ることができるが、図8の数式(9)に示すように、この随伴粒子束を接続表面上の応答関数Rg (i)(r,Ω)とみなすことができる。
r:空間座標、Ω,Ω':粒子の運動方向、G:エネルギー群数、g,g':エネルギー群を表す添え字、i:評価領域を表す添え字、ψg(r,Ω):空間点rにおいてエネルギー群gで運動方向Ωの粒子束、ψg †(r,Ω):空間点rにおいてエネルギー群gで運動方向Ωの随伴粒子束、Sg(r,Ω):空間点rにおいてエネルギー群gで運動方向Ωの粒子源、Sg †(r,Ω):空間点rにおいてエネルギー群gで運動方向Ωの随伴粒子源、A:接続表面、VF:前進計算の領域(接続表面Aの外側)、VA:随伴計算の領域(接続表面Aの内側)、n:面要素dAの外向き法線ベクトル、d(i):i番目の評価領域における線量率、Rg (i)(r,Ω):i番目の評価領域の空間点r∈Aにおけるエネルギー群gでかつ運動方向Ωの粒子への接続表面A上の応答関数、wg (i)(r,Ω):i番目の評価領域の空間点rにおけるエネルギー群gでかつ運動方向Ωの粒子への重み関数、∫Af(r)dA:位置rの関数fの曲面A上での面積分(r∈A)、∫4πf(Ω)dΩ:運動方向Ωの関数fの全立体角積分、∫Ff(r)d3r:位置rの関数fの領域F内での体積積分(r∈F)。
代表点初期認識部24は、治療計画で決定した初期位置23、すなわち放射線45の照射開始直前に患者40が配置される第2空間座標系(X,Y,Z)の位置に、立体像12を配置させたときの、代表点51(511,512…)の初期位置を認識する(図3参照)。
第1空間座標系(x,y,z)の代表点51は、この立体像12との相対位置関係が一定に維持されているために、第1空間座標系(x,y,z)の立体像12を第2空間座標系(X,Y,Z)の初期位置23に座標変換する演算子を用いて、第2空間座標系(X,Y,Z)に座標変換することができる。
例えば、受信器26として患者40を撮影するカメラを用い、経時的に変化す映像を画像処理することにより移動率を求めることができる。
もしくは、三軸方向の回転方向及び並進方向の加速度を検出する六軸センサを患者40に取り付けて、受信器26により、この六軸センサの出力信号を受信するようにしてもよい。移動率を検出するための受信器26は、これら例示に限定されるものではない。
移動率のデータ形式は、剛体の並進移動及び回転移動を表現する公知の適切な形式を選択でき、例えば平衡移動には併進ベクトルの三軸方向成分の実数値を、回転移動にはオイラー角あるいはクォータニオンの各成分の実数値などを用いることができる。
ある時点における代表点51の位置は、スタート時点を初期位置23にとり、その後経時的に取得される移動率を積算していくことにより求められる。
なお、追跡部28から取得した代表点51’の位置情報が、第2空間座標系(X,Y,Z)の格子点49からずれている場合は、近傍の粒子束から対応する粒子束ψg(r,Ω)を外内挿法により計算する。
r:空間座標、Ω:粒子の運動方向、g:エネルギー群を表す添え字、G:エネルギー群数、p:接続表面を構成する面を表す添え字、P:接続表面を構成する面の数、λ:粒子の運動方向積分の方向分点を表す添え字、Λ:粒子の運動方向積分の方向分点の数、i:評価領域を表す添え字、ψg(r,Ω):空間点rにおいてエネルギー群gで運動方向Ωの粒子束、A:接続表面、np:接続表面を構成する面Apの外向き法線ベクトル、rp:接続表面を構成する面Ap上の代表点の位置、(ΔA)p:接続表面を構成する面Apの面積、(ΔΩ)λ:粒子の運動方向積分のλ番目の方向分点の張る立体角の大きさ、d(i):i番目の評価領域における線量率、Rg (i)(r,Ω):i番目の評価領域の空間点r∈Aにおけるエネルギー群gでかつ運動方向Ωの粒子への接続表面A上の応答関数。
なお、ψg(rp,Ωλ)は、rqを格子点49の座標としてψg(rq,Ωλ)から空間座標の補間を行い求めたものである。
r:空間座標、Ω:粒子の運動方向、g:エネルギー群を表す添え字、G:エネルギー群数、p:接続表面を構成する面を表す添え字、P:接続表面を構成する面の数、λ:粒子の運動方向積分の方向分点を表す添え字、Λ:粒子の運動方向積分の方向分点の数、i:評価領域を表す添え字、ψg(r,Ω):空間点rにおいてエネルギー群gで運動方向Ωの粒子束、A:接続表面、np:接続表面を構成する面Apの外向き法線ベクトル、rp:接続表面を構成する面Ap上の代表点の位置、(ΔA)p:接続表面を構成する面Apの面積、(ΔΩ)λ:粒子の運動方向積分のλ番目の方向分点の張る立体角の大きさ、d(i):i番目の評価領域における線量率、Rg (i)(r,Ω):i番目の評価領域の空間点r∈Aにおけるエネルギー群gでかつ運動方向Ωの粒子への接続表面A上の応答関数、T:並進移動及び回転移動の変換演算子、T-1:Tの逆演算子。
積分の立体角分点は治療空間44に固定されているため、これに方向を揃えるために逆変換してRg (i)(Trp,T-1(TΩλ))を、積分に用いる必要がある。
この逆変換は保持部に保持されているRg (i)(Trp,TΩλ)の値を用いて運動方向の方向補間として実施する。ψg(Trp,TΩλ)は、保持部に保持されているψg(rq,Ωλ)から空間補間を行うことで計算する。この場合、応答関数に対しては方向の補間のみ、粒子束に対しては位置の補間のみを行えばよい。したがって、補間に必要な係数の計算があれば事前に行っておくことが可能であるので、照射中の補間処理を簡単化でき、照射中の補正計算の計算負荷を低減できるという利点がある。
(Ωλ・np)については、この二つのベクトルは同じ方向に回転するため、内積は変化しない。応答関数に対しては保持されている値はRg (i)(Trp,TΩλ)であるため、補間を行わない。粒子束に対しては、保持されている値はψg(rq,T-1Ωλ)であるので、この値を用いて位置および方向に対して同時補間を行うことで、ψg(Trq,T(T-1Ωλ))を得る。
同時補間は補間の次元数が増えるため、照射中の補間計算量は増えるが、応答関数に関しては補間を行わないため、補間のために応答関数の計算点を増やす必要はなく、事前計算量を抑制できる。
数式(13)において、記号を以下のように定義する。
D:線量の積算値、di:時刻tiでの照射対象の位置情報から算出した線量率、ti:照射中の時間ti、n:照射中の時間ビンの数。
ここで移動率が0とは、放射線45の照射開始直前に初期位置23に配置された患者が、照射期間中においてこの初期位置23からずれることなく姿勢を維持していたことを意味する。この状態により求められる線量値は、治療計画時に決定された理想線量値32に対応する。
治療計画の工程で決定された理想線量値32に基づいて照射終了予定時刻が定まる。放射線の照射強度が一定であれば、計画線量のラインは直線となり、線量評価装置10から出力される線量値をグラフにプロットしていくと実績線量のラインとなる。
この計画線量のラインと実績線量のラインとを対比することにより、計画と実績の比較を照射中に行うことができる。このように、患者体内に設定した照射領域の線量を評価することにより、過不足ない放射線の照射によって患者の負担を最小限とした効果的な放射線治療を行うことができる。
このように評価領域の線量をカラーマップ表示することにより、放射線治療において患者体内に設定した照射領域の線量評価を視覚的(直観的)に行うことができる。
まず、治療計画の工程において、患者40を、X線CT装置等にかけて、患部が包含された体内の立体像を撮像し、そのボクセルデータを取得する(S11)。
そして、このボクセルデータから特定した患部の領域に基づいて、放射線の照射位置、照射方向、照射範囲、放射線量などの条件を決定する(S12)。
そして、決定した条件に基づいて、治療空間44(第2空間座標系)に配置される患者40(立体像12)の初期位置23が決定される(S13)。
また(S16)と順番が前後しても良いが、この立体像12を内包するのに適切な多面体48を選定するともに、選定した多面体48の位置・大きさを適切に変更して立体像12を内包するように複数の接続表面47(471,472…)を設定する(S17)。
そして、(S15)で定義した評価領域46と(S16)で設定した接続表面47とに基づき、さらにモンテカルロ輸送計算コード20を利用し、応答関数Rg (i)(r,Ω)を導出する(S18)。以上で、照射治療の工程に入る前の処理は終了する。
この検出された移動率に基づいて第2空間座標系(X,Y,Z)における代表点51の動きを追跡してその変位を所定の時間間隔で取得する。
さらに、(S21)〜(S22)の一回のフローで演算された線量率d(i)を、このフローが繰り返される度に積算していくことで、評価領域46の線量値を得ることができる(S23)。そして、この(S21)〜(S23)のフローを放射線の照射期間が終了するまで繰り返す(S24 Yes No、END)。
また、装置10は、構成要素の各機能を独立して発揮する別々のモジュールを、ネットワーク又は専用線で相互に接続し、組み合わせて構成することもできる。
Claims (9)
- 腫瘍を内包する患者の立体像をデータ取得する取得部と、
前記立体像の第1空間座標系に少なくとも一つの評価領域を定義する定義部と、
前記立体像を内包するような多面体を構成する複数の接続表面を設定する設定部と、
前記接続表面の代表点に入射する放射線の粒子束を変数入力してこの粒子束が寄与する前記評価領域の線量率を関数出力する応答関数を、モンテカルロ輸送計算コードに基づき導出する導出部と、
前記患者に放射線を照射する治療空間の第2空間座標系の格子点の各々における粒子束を粒子束分布情報としてデータ保持する保持部と、
前記第2空間座標系に設定した初期位置に前記立体像を配置させたときに、この立体像との相対位置関係を維持した前記代表点を認識する初期認識部と、
前記治療空間における前記放射線の照射期間において前記患者の回転方向及び並進方向の移動率をリアルタイムに検出する検出部と、
前記第2空間座標系における前記代表点を前記移動率に基づいて追跡する追跡部と、
前記第2空間座標系において変位する前記代表点に対応する前記粒子束を前記粒子束分布情報から取得して、前記応答関数に基づき前記評価領域の線量率を演算する演算部と、を備えることを特徴とする放射線治療における線量評価装置。 - 前記第1空間座標系における前記評価領域の座標点に少なくとも放射線吸収断面積に基づく重み関数を割り付ける割付部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の放射線治療における線量評価装置。
- 前記応答関数は、前記評価領域を粒子源とみなす随伴計算により導出されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の放射線治療における線量評価装置。
- 前記照射期間において演算された前記線量率を積算して前記評価領域の線量値を導く積算部をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の放射線治療における線量評価装置。
- 前記第2空間座標系において変位する前記代表点の位置が、複数の前記格子点に挟まれる位置にある場合、前記粒子束を外内挿法により計算することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の放射線治療における線量評価装置。
- 前記粒子束分布情報は、前記初期位置に仮想的に配置された前記立体像の影響を考慮して計算されたものであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の放射線治療における線量評価装置。
- 前記照射期間において前記移動率が0であった場合の理想線量値と前記積算された線量値との比で表される照射率を算出する算出部をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の放射線治療における線量評価装置。
- 取得部が、腫瘍を内包する患者の立体像をデータ取得するステップと、
定義部が、前記立体像の第1空間座標系に少なくとも一つの評価領域を定義するステップと、
設定部が、前記立体像を内包するような多面体を構成する複数の接続表面を設定するステップと、
導出部が、前記接続表面の代表点に入射する放射線の粒子束を変数入力してこの粒子束が寄与する前記評価領域の線量率を関数出力する応答関数を、モンテカルロ輸送計算コードに基づき導出するステップと、
保持部が、前記患者に放射線を照射する治療空間の第2空間座標系の格子点の各々における粒子束を粒子束分布情報としてデータ保持するステップと、
初期認識部が、前記第2空間座標系に設定した初期位置に前記立体像を配置させたときに、この立体像との相対位置関係を維持した前記代表点を認識するステップと、
検出部が、前記治療空間における前記放射線の照射期間において前記患者の回転方向及び並進方向の移動率をリアルタイムに検出するステップと、
追跡部が、前記第2空間座標系における前記代表点を前記移動率に基づいて追跡するステップと、
演算部が、前記第2空間座標系において変位する前記代表点に対応する前記粒子束を前記粒子束分布情報から取得して、前記応答関数に基づき前記評価領域の線量率を演算するステップと、を含むことを特徴とする放射線治療における線量評価装置の作動方法。 - コンピュータに、
腫瘍を内包する患者の立体像をデータ取得するステップ、
前記立体像の第1空間座標系に少なくとも一つの評価領域を定義するステップ、
前記立体像を内包するような多面体を構成する複数の接続表面を設定するステップ、
前記接続表面の代表点に入射する放射線の粒子束を変数入力してこの粒子束が寄与する前記評価領域の線量率を関数出力する応答関数を、モンテカルロ輸送計算コードに基づき導出するステップ、
前記患者に放射線を照射する治療空間の第2空間座標系の格子点の各々における粒子束を粒子束分布情報としてデータ保持するステップ、
前記第2空間座標系に設定した初期位置に前記立体像を配置させたときに、この立体像との相対位置関係を維持した前記代表点を認識するステップ、
前記治療空間における前記放射線の照射期間において前記患者の回転方向及び並進方向の移動率をリアルタイムに検出するステップ、
前記第2空間座標系における前記代表点を前記移動率に基づいて追跡するステップ、
前記第2空間座標系において変位する前記代表点に対応する前記粒子束を前記粒子束分布情報から取得して、前記応答関数に基づき前記評価領域の線量率を演算するステップ、を実行させることを特徴とする放射線治療における線量評価プログラム。
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