JP2004041292A - 線量計算方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】放射線照射装置間の機器特性等のばらつきに起因する誤差を解消することができ、線量分布を正確に計算することができる線量計算方法を提供する。
【解決手段】放射線治療装置においては、電子ビーム1がターゲット2に衝突することにより発生したX線が、平坦化フィルタ4と、上下2つの絞り5、6と、マルチ・リーフ・コリメータ7とを介して治療部位に照射される。ここで、線量計算は、放射線の位置、エネルギ及び進行方向に関するパラメータ情報を複数種の条件別データに分割して、これらの条件別データに基づいてモンテカルロ法を用いて行われる。そして、各条件別データのウェイト・パラメータが、各放射線治療装置ごとに測定された校正データに基づいて補正され、放射線治療装置間の機器特性等のばらつきに起因する誤差が解消され、線量分布が正確に計算される。
【選択図】 図1
【解決手段】放射線治療装置においては、電子ビーム1がターゲット2に衝突することにより発生したX線が、平坦化フィルタ4と、上下2つの絞り5、6と、マルチ・リーフ・コリメータ7とを介して治療部位に照射される。ここで、線量計算は、放射線の位置、エネルギ及び進行方向に関するパラメータ情報を複数種の条件別データに分割して、これらの条件別データに基づいてモンテカルロ法を用いて行われる。そして、各条件別データのウェイト・パラメータが、各放射線治療装置ごとに測定された校正データに基づいて補正され、放射線治療装置間の機器特性等のばらつきに起因する誤差が解消され、線量分布が正確に計算される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放射線照射装置により放射線が照射される物体内における線量分布等を、コンピュータによるシミュレーションにより計算するための線量計算方法に関するものであり、とくには放射線治療装置における線量計算方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、放射線治療を実施する際には、放射線治療装置、例えばX線治療装置を用いて患者に実際に放射線を照射する前に、コンピュータにより、放射線照射の最適な範囲や方向などを決定するための線量計算が行われる。そして、従来の数値計算的な線量計算手法では、X線治療装置のヘッド部で発生するX線はターゲット点から直線的に放射されるものとして、数値計算を行うようにしている。しかしながら、この従来の数値計算的な線量計算手法では、平坦化フィルタで発生する2次X線の影響を考慮することができないといった問題がある。また、このようにして得られる実測データは、電子平衡が成り立っている領域での測定データであるので、不均質な媒質中では計算値が不正確となるといった問題がある。
【0003】
そこで、近年、モンテカルロ法を用いて、ターゲットないし平坦化フィルタでのX線の発生、散乱等から、人体内部の線量分布までを正確に計算することができるようにした線量計算手法が提案されている。(例えば、1998年1月に発行されたメディカル・フィジックス誌、第25巻、第1号「線量測定計画及び分析のためのCTベースのモンテカルロ・シミュレーション装置」:「A CT−BasedMonte Carlo simulation tool for dosimetry planning and analysis」、 Medical Physics、Vol. 25、 No. 1、January 1998、参照)。
【0004】
ところで、一般に、X線治療装置では、まず、電子ビームが加速されてターゲットに衝突させられ、その結果ターゲット内部で電子ビームの制動放射現象によりX線が発生し、このX線が放射線治療に利用されるようになっている。ターゲットで発生したX線は、平坦化フィルタによって、その強度分布がアイソセンタ上で一様となるように調整される。なお、アイソセンタとは、X線治療装置の回転機構の機械的な中心を意味する。治療対象である人体は、その病巣がアイソセンタに位置するように固定され、X線が照射される。X線が人体の病巣以外の部分に照射されるのを防止するため、絞り(モノ・ブロック)やマルチ・リーフ・コリメータなどが、放射線の通過経路上の所定の位置に配置される。
【0005】
そして、ターゲットで発生したX線が、絞りやマルチ・リーフ・コリメータを通過し、又はこれらによって遮断されて人体に照射された場合、人体内部にどのような線量分布が形成されるかを予測するために、いずれかの線量計算手法を用いて線量計算が行われる。
従来の数値計算的な線量計算手法は、ターゲット点から見た幾何学的な照射野(絞り及びマルチ・リーフ・コリメータによって生成されたX線照射領域)に基づいて、実測データから求められた深さ方向の線量分布や人体内部での散乱係数を用いて、線量分布を計算するものである。
【0006】
他方、モンテカルロ法による線量計算手法は、ターゲットに衝突した各電子がどのような物理現象を起こしながら進んでゆくかを逐一計算しつつ、数千万又はそれ以上の電子及び2次的に発生するX線の挙動を統計的に処理することにより、人体内部の線量分布を直接計算するといったものであり、非常に正確な線量計算を行うことができるといった利点がある。ただし、モンテカルロ法による線量計算手法では、正確な線量計算を行うことはできるものの、計算時間が比較的長くなる(例えば、数10分〜数時間)といった一面もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
モンテカルロ法による線量計算手法では、事前にX線治療装置を数値モデル化して線量計算を行うため、同じ仕様のX線治療装置であれば、すべて同じ計算結果となる。しかしながら、実際のX線治療装置では、機器特性、製作精度の誤差、あるいは経年変化などにより、X線治療装置ごとに線量分布が若干異なっている。このようなX線治療装置ごとの線量分布のばらつきないし誤差は、従来の数値計算的な線量計算手法では、実測データに基づいて計算パラメータを調整していたため、解消ないし吸収されていた。しかしながら、従来のモンテカルロ法による線量計算手法では、X線治療装置の特性の差を表現しにくいので、このようなX線治療装置ごとのばらつきないし誤差を解消することは困難であるといった問題がある。
【0008】
なお、このような問題は、人体に対して放射線治療を行うためのX線治療装置ないしは放射線治療装置だけでなく、一般に物体に放射線を照射する放射線照射装置における線量計算にも生じるものである。
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたものであって、放射線照射装置間の機器特性、製作精度等のばらつきに起因する誤差を解消することができ、線量分布を正確に計算することができる線量計算方法を提供することを解決すべき課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる線量計算方法は、(i)電子線が衝突したターゲット内で該電子線により生成された放射線が、平坦化フィルタと、コリメータ(例えば、絞りとマルチ・リーフ・コリメータ)とを介して所定の物体に照射されるようになっている放射線照射装置における、上記物体内での線量分布を計算するための線量計算方法であって、(ii)平坦化フィルタ透過後の、当該平坦化されたフィルタ面上での放射線の位置、エネルギ及び進行方向に関するパラメータ情報を、予め条件別に分割(ないしは分類)して複数種の条件別データとして保管し、これらの条件別データに基づいて、モンテカルロ法を用いて線量計算を行う一方、(iii)上記複数種の条件別データを重み付けするウェイト・パラメータを、該線量計算の結果を利用する各放射線照射装置ごとに測定された校正データに基づいて補正するようにしたことを特徴とするものである。
【0010】
この線量計算方法において、ウェイト・パラメータは、粒子数の割合を示すパラメータと、角度分布を角度方向に調整するためのパラメータとを含んでいるのが好ましい。
また、この線量計算方法において、放射線照射装置としては、例えば、人体に対して放射線治療を施す放射線治療装置(X線治療装置)などがあげられる。
【0011】
上記線量計算方法においては、上記パラメータ情報を、1次X線にかかる条件別データと、2次X線にかかる条件別データと、これら以外の放射線にかかる条件別データとに分割して保管するのが好ましい。この場合、上記3種の条件別データが、それぞれ、異なる電子ビームサイズ条件及び平坦化フィルタ固定精度条件により計算された結果を含んでいるのが、より好ましい。
また、上記校正データとして、ほぼ1cm角サイズの小照射野線量測定データを用いるのが好ましい。
【0012】
つまり、本発明にかかる線量計算方法では、X線の初期データ(パラメータ情報)を、複数の物理パラメータ又は仮想的なパラメータを基準とする基本初期データ(条件別データ)として準備し、実測により得られた結果に基づいて、これらのパラメータを最適化するようにしている。すなわち、モンテカルロ法による線量計算手法に対して、放射線照射装置ごとの機器特性、製作精度等の差(ばらつき)を考慮したものである。なお、このような機器特性、製作精度等の差を明確にするため、コリメータにより1cm角〜2cm角程度の照射野を形成し、これに対して、絞りをその2〜3倍の大きさで開いた状態でデータを取得して、とくに散乱線の効果を正確に反映させるようにするのが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1を具体的に説明する。
図1は、本発明の実施の形態1にかかる放射線治療装置(X線治療装置)の模式的な立面断面を示している。図1において、1は電子ビームであり、2はターゲットであり、3はプライマリ・コリメータであり、4は平坦化フィルタであり、5は上側絞り(モノ・ブロック)であり、6は下側絞り(モノ・ブロック)であり、7はマルチ・リーフ・コリメータであり、9は人体をCTやMRIなどで測定した情報に基づいて作成された密度分布配列データであり、10は人体内の放射線治療を行うべき治療部位であり、11は放射線治療装置のアイソセンタ(放射線治療装置の回転機構の機械的中心)である。図を明確にするため、下側絞り6とマルチ・リーフ・コリメータ7とは、ビーム軸に対して90°回転した状態で示している。また、図中、ビーム進行方向をz軸とし、ビーム軸(z軸)に直交し紙面と平行な方向をy軸とし、紙面に垂直な方向をx軸とする。
【0014】
詳しくは図示していないが、両絞り5、6は、それぞれ、可動型の金属製ブロックからなり、その開口サイズを自在に変化させることができるようになっている。上側絞り5は、x−y直交座標系であらわされた水平面内においてy方向のX線照射範囲を規制するためのものであり、下側絞り6はx方向のX線照射範囲を規制するためのものである。この実施の形態1では、上下2つの絞り5、6を設けているが、絞りを1つだけ設けるようにしてもよい。また、マルチ・リーフ・コリメータ7の下方に、オプションとして、ウェッジ(図示せず)やブロック・フィルタ(図示せず)を設けてもよい。なお、ウェッジは、X線強度分布に傾斜をつけるためのくさび形のフィルタであり、ブロック・フィルタは、三角柱あるいは四角柱の形状を備えた金属製ブロックである。
【0015】
この放射線治療装置においては、鉛直方向下方に放射された電子ビーム1はターゲット2に衝突し、制動放射現象によってX線を発生させる。このとき発生するX線は、平坦化フィルタ4を透過(通過)することにより、アイソセンタ11を含む水平面(アイソセンタ平面)上で一様な線量分布をもつようになる。平坦化フィルタ4を通過したX線が治療部位10以外の領域に照射されないように、上側絞り5、下側絞り6及びマルチ・リーフ・コリメータ7の配置形態が決定される。
【0016】
この放射線治療装置において、人体内部での放射線の線量計算(線量分布計算)は、次のような手順で行う。
図2に示すように、まず、電子ビーム1がターゲット2に衝突したことにより該ターゲット2内で発生したX線又は電子が平坦化フィルタ4を透過するまでの過程を、モンテカルロ法(又は、解析的な計算手法)によるシミュレーションで計算する(ステップS1)。なお、モンテカルロ法による計算手法としては、例えば、一般に知られているEGS4等の計算手法を用いることができる。平坦化フィルタ4を透過した放射線には、ターゲット2内部で発生した1次X線、この1次X線の一部が平坦化フィルタ4内で1回散乱された2次X線、さらに2回以上散乱されたX線、電子対消滅により発生したX線、光電効果により放出された電子などが含まれる。
【0017】
このような放射線の発生過程ごとに、平坦化フィルタ4の出口(下面)でのX線又は電子線を分類し、これらの位置、エネルギ及び進行方向の分布情報データ(パラメータ情報)を作成ないし取得する(ステップS2)。次に、X線ないし電子の由来にしたがって、条件別の分布情報データ(条件別データ)を作成する(ステップS3)。そして、それぞれの条件別データを、各条件別データ間のウェイト・パラメータとともに初期情報データとして保存する(ステップS4〜S6)。なお、電子ビーム1のエネルギは、治療条件により変わるため、複数の電子ビームエネルギ条件に対して、それぞれ初期情報データを作成する。
【0018】
すなわち、電子ビーム1のエネルギ、分布情報データ及びウェイト情報データに基づいて、平坦化フィルタ4の下面における放射線の分布情報データを再構成する。具体的には、分布情報データを、1次X線データと、2次X線データと、その他の放射線データの3種の条件別データに分割する。ここで、これらの3種の条件別データのウェイト・パラメータを、それぞれ、W1、W2及びW3とする。なお、ウェイト・パラメータは、粒子数の割合を示すパラメータと、角度分布を角度方向に調整するためのパラメータとを含んでいる。
ここで、ウェイト・パラメータは、条件別データを重み付けするのに用いられている。すなわち、各条件別データは、ウェイト・パラメータによって重み付けされ、線量計算の実行時には、このウェイト・パラメータを用いて線源情報が再構成される。このウェイト・パラメータを調整することにより、各機器の特性を線量計算に反映させることができる。
【0019】
次に、これらの3種の条件別データを用いて、線量測定と同条件で線量計算を実施する。具体的には、放射線の初期条件を1つサンプルする場合、まず、乱数X(0<X<1)を発生させる。ここで、X<W1/(W1+W2+W3)であれば、1次X線データからX線初期条件をサンプルする。W1/(W1+W2+W3)≦<X<(W1+W2)/(W1+W2+W3)であれば、2次X線データからサンプルする。X≧(W1+W2)/(W1+W2+W3)であれば、その他の放射線データからサンプルする。
【0020】
このような初期条件データ用いて、両絞り5、6以降(治療部位側)のX線の輸送及び人体内部の線量分布計算をモンテカルロ法により行う一方、線量測定を行って線量データを取得し、この後線量測定結果と線量計算結果とを比較して、ウェイト・パラメータW1〜W3を最適化する(ステップS7〜S9)。
具体的には、図3(a)及び図3(b)に示すように、実際の放射線治療装置において、両絞り5、6とマルチ・リーフ・コリメータ7とを所定の位置に配置して、アイソセンタ11での線量測定を行い、それぞれの線量測定結果を得る(ステップS9)。
【0021】
図3(a)に示す配置形態は、両絞り5、6とマルチ・リーフ・コリメータ7とがともに、アイソセンタ11上で同じ照射野を形成するように配置したものである。この場合、照射野のサイズは、2cm角以下であるのが好ましく、1cm角程度であるのがさらに好ましい。
【0022】
他方、図3(b)に示す配置形態では、マルチ・リーフ・コリメータ7の照射野は図3(a)に示す配置形態と等しくする一方、両絞り5、6の照射野は、図3(a)に示す配置形態よりも広くしている。この場合、ターゲット点から見た照射野は変わらないが、アイソセンタ11の位置から平坦化フィルタ4を見込む(見通す)範囲が広くなっている。両絞り5、6の開口サイズは、概ね、マルチ・リーフ・コリメータ7の照射野に比べて、1辺を2cm程度大きく設定するのが望ましい。
【0023】
これと同様の絞り5、6及びマルチ・リーフ・コリメータ7の設定条件を用いて、放射線治療装置上での線量計算を実行し、それぞれの計算結果を得る(ステップS7)。この後、2種の線量測定結果と、2種の計算結果とがそれぞれ一致するように、上記ウェイト・パラメータW1〜W3を最適化する(ステップS8)。この最適化されたウェイト・パラメータW1〜W3は、各放射線治療装置に固有の特性データとして保存しておき、治療計画時の線量計算パラメータとして用いる。
【0024】
なお、図3(a)に示す両絞り5、6及びマルチ・リーフ・コリメータ7の設定態様は、2次X線の影響を受けにくい配置形態であり、主として1次X線のみで線量分布が決まる。他方、図3(b)に示す両絞り5、6及びマルチ・リーフ・コリメータ7の設定態様では、これに2次X線の影響が加わっているため、両者の線量の比較により、平坦化フィルタ4を透過してくるX線の1次X線とそれ以外のX線との寄与の割合を評価することが可能である。平坦化フィルタ4を透過するX線では、1次X線と2次X線の割合が大半を占める。
【0025】
したがって、2つのケースでの線量測定の比は、平坦化フィルタ4を通過した後の1次X線、2次X線の組成の比を表していると考えてよい。したがって、この2つの測定データを用いて、線量計算に用いるX線初期条件データの1次X線と2次X線のウェイト・パラメータを補正することによって、効果的に、各放射線治療装置の機器特性等を線量計算に反映することが可能となる。
【0026】
以下、本発明にかかる線量計算方法を用いて線量計算を実際に行って得た計算結果と、その物理的な意味とを説明する。
図4は、ターゲット2に衝突した電子ビーム1がX線に変換され、平坦化フィルタ4を透過する様子を模式的に示した図である。図4に示すように、ターゲット2に衝突した電子ビーム1は、制動放射現象を起こすことによって、X線の中心軸(一点鎖線)に対して角度φ方向にX線を放出する。ここで、角度φは、0度から180度までの広い範囲に分布する。なお、ターゲット2で発生したX線は、ターゲット2の内部又は平坦化フィルタ4の内部でコンプトン散乱を起こしてその進行方向を変えることがある。
【0027】
平坦化フィルタ4の下面において、X線の中心軸からX線までの距離Rは、上記角度φに対応する。すなわち、tan(φ)≒R/D(ほぼ、tan(φ)=R/D)である。
ここで、ターゲット2上で電子ビーム1が衝突する点から平坦化フィルタ4の下面におけるX線位置を望んだ方向ベクトルと、X線の進行方向のベクトルとがなす角度θについて考察すると、θ≒0度(ほぼ、θ=0度)のX線は、平坦化フィルタ4で1回も散乱を受けなかったX線、すなわち1次X線である。θ>0度のX線は、1回以上の散乱を受けた2次又は3次以上のX線である。
【0028】
図5(a)は、汎用のモンテカルロ・シミュレーション・コードEGS4を用いて、この様子についてシミュレーションを行った結果である。角度θが0の周辺に高いX線数のピークがあり、これが1次X線に相当する。
図5(b)は、角度θが0.2度付近のピークを拡大して示したものであり、この部分は2次X線のピークである。
【0029】
図5(a)、(b)は、電子ビーム1にビームの広がりがないものとしてシミュレーションを行った結果である。
他方、図6は、電子ビーム1の広がりを考慮(仮定)してシミュレーションを行った結果である。図6に示すX線の分布においては、1次X線のピーク高さと2次X線のピーク高さの比率や、2次X線のピークの位置が、図5(a)、(b)の場合と比べて大きく変わっていることが分かる。これは、本来の制動放射現象によるX線の発生角度分布、平坦化フィルタ4での散乱等の物理現象的な影響は大きくは変わっていないが、ビームの広がりがあるため、見かけ上、平坦化フィルタ4の下でのX線の角度分布が変化していることを示している。
【0030】
このように、電子ビーム1のビームの広がり特性は、平坦化フィルタ4の下でのX線の角度分布に大きな影響を与える。同様に、電子ビーム1がもつ発散角、中心軸からのずれ、平坦化フィルタ4の機械的な位置ズレなども、平坦化フィルタ4の下でのX線の角度分布に大きな影響を与える。
【0031】
以下、図7〜図9を参照しつつ、このようなX線が線量分布に与える影響を説明する。
図7に示すように、X線の照射範囲は、上側絞り5(y軸方向の絞り)と下側絞り6(x軸方向の絞り)とマルチ・リーフ・コリメータ7とによって規定される。そして、図7から明らかなとおり、照射野の中心に近い部分では、1次X線aも、比較的小さい散乱角度の2次X線bも照射範囲に到達することができる。他方、図8に示すように、照射野の外周部近傍では、一部の2次X線bは、アイソセンタ平面に到達できなくなり、このため外周部近傍では放射線量の低下が起きる。
【0032】
図9は、モンテカルロ・シミュレーションにより、アイソセンタ平面上の線量分布を求めた結果を示している。図9から明らかなとおり、設定した照射範囲に対して、範囲内からすでに線量が低下しはじめている。この線量が低下しはじめる位置、すなわち外周部での半影ぼけは、上側絞り5(y軸方向の絞り)、下側絞り6(x軸方向の絞り)及びマルチ・リーフ・コリメータ7の表面での散乱と、1次X線と2次X線の比率と、2次X線の角度ピークの位置とによって変化する。
【0033】
すなわち、半影ぼけの大きさと、平坦化フィルタ4の下での1次X線と2次X線のピーク比率並びに2次X線のピーク位置との間には強い相関関係がある。これは、電子ビーム1の特性や、ターゲット2の周辺の機械的な特性を反映している。したがって、モンテカルロ法による線量計算によって計算された結果と、実際の放射線治療装置での半影ぼけの大きさの測定結果とを比較するモンテカルロ法による線量計算において、平坦化フィルタ4の下での1次X線と2次X線のピーク比率と、2次X線のピーク位置とを最適化すれば、電子ビーム特性や放射線治療装置の機械的の特性を、良好な近似でモンテカルロ法による線量計算に反映させることができる。
【0034】
かくして、具体的な調整方法としては、分布情報データを、1次X線及び2次X線にかかる2つの分布情報データ(条件別データ)に分け、それぞれの分布にウェイト・パラメータAを乗じて足し合わせることにより、1次X線と2次X線の比率調整を行う。ここで、2つめのウェイト・パラメータとして、2次X線の角度分布を角度方向に伸縮させるパラメータBを用いて、2次X線のピーク位置調整を行うようにしてもよい。
なお、この2つ目のウェイト・パラメータBを、ウェイト・パラメータAの関数として、ウェイト・パラメータAのみで1次X線と2次X線の比率調整と、2次X線のピーク位置の調整とを行うようにしてもよい。
【0035】
また、複数の電子ビーム条件による複数の分布情報データを用意し、これらの分布情報データから、最適な分布情報データを選択することにより、1次X線と2次X線の比率調整や、2次X線のピーク位置の調整を行ってもよい。なお、複数の電子ビーム条件による、複数の分布情報データを用意し、これらの分布情報データから、最適な2つの分布情報データを選択し、さらに2つの分布情報データから内挿法により、最適な分布情報データを作成することにより、1次X線と2次X線の比率調整や、2次X線のピーク位置の調整を行うようにしてもよい。
【0036】
照射野を、2次X線の散乱角のピークと同程度に設定した場合、中心部の線量は、x軸の正方向、x軸の負方向、y軸の正方向、y軸の負方向の4つの方向から半影ボケの影響を受けることになる。例えば、2次散乱線の角度ピークを0.5度程度として、平坦化フィルタ4からアイソセンタ11までの距離を87cmとすれば、散乱角に対する位置の広がりのピークは、0.76cm程度になる。したがって、照射野を1cm程度に設定すれば、アイソセンタ11での線量は、1次X線及び2次X線の影響を非常に大きく受けることになる。これは、電子ビーム特性や放射線治療装置の機械的の特性を、さらに良い近似でモンテカルロ計算に反映させることができることを意味する。また、測定も1点又は複数の照射野での数点の線量測定であるので、分布情報データを測定する場合よりも単純に結果を得ることができる。
【0037】
実施の形態2.
以下、本発明の実施の形態2を説明する。ただし、実施の形態2にかかる線量計算方法の基本的な態様は、前記の実施の形態1にかかる線量計算方法と同様であるので、以下では説明の重複を避けるため、主として実施の形態1にかかる線量計算方法と異なる点を説明する。
【0038】
実施の形態2にかかる線量計算方法では、線量測定結果と線量計算結果との比較において、それぞれ、アイソセンタ平面内での最大線量の値を比較するようにしている。その他の点は、実施の形態1にかかる線量計算方法と同様である。この実施の形態2にかかる線量計算方法によれば、1次X線と2次X線とについてのウェイト・パラメータの調整は、単純な2値の比較となる。このため、容易に最適パラメータを求めることができる。
【0039】
実施の形態3.
以下、本発明の実施の形態3を説明する。ただし、実施の形態3にかかる線量計算方法の基本的な態様は、実施の形態1にかかる線量計算方法と同様であるので、以下では主として、実施の形態1にかかる線量計算方法と異なる点を説明する。実施の形態3にかかる線量計算方法では、線量測定結果と線量計算結果との比較において、両絞り5、6及びマルチ・リーフ・コリメータ7の設定条件を3つ以上としている。その他の点は、実施の形態1にかかる線量計算方法と同様である。実施の形態2にかかる線量計算方法によれば、測定条件が多くなっているので、パラメータの誤差を小さくすることができ、同時に2つ以上のウェイト・パラメータを決定することができる。
【0040】
実施の形態4.
以下、本発明の実施の形態4を説明する。ただし、実施の形態4にかかる線量計算方法の基本的な態様は、実施の形態1にかかる線量計算方法と同様であるので、以下では主として、実施の形態1にかかる線量計算方法と異なる点を説明する。実施の形態4にかかる線量計算方法では、線量測定結果と線量計算結果との比較において、測定データとして、通常の放射線治療装置の校正試験時に取得されるOCRデータ及びTPRデータを用いるようにしている。その他の点は、実施の形態1にかかる線量計算方法と同様である。実施の形態4にかかる線量計算方法によれば、放射線治療装置の校正時に取得されているデータを利用するので、線量計算用のデータを新たに取得する必要がない。
【0041】
実施の形態5.
以下、本発明の実施の形態5を説明する。ただし、実施の形態5にかかる線量計算方法の基本的な態様は、実施の形態1にかかる線量計算方法と同様であるので、以下では主として、実施の形態1にかかる線量計算方法と異なる点を説明する。実施の形態5にかかる線量計算方法では、線量測定結果と線量計算結果との比較において、それぞれ、アイソセンタ平面内のx軸、y軸又はこれら両方の軸に沿った線量分布関数(OCR)の値を比較するようにしている。その他の点は、実施の形態1にかかる線量計算方法と同様である。実施の形態5にかかる線量計算方法によれば、分布関数の比較となるため、高次のウェイト・パラメータ調整を行うことが可能となる。
【0042】
実施の形態6.
以下、本発明の実施の形態6を説明する。ただし、実施の形態6にかかる線量計算方法の基本的な態様は、実施の形態1にかかる線量計算方法と同様であるので、以下では主として、実施の形態1にかかる線量計算方法と異なる点を説明する。実施の形態6にかかる線量計算方法では、X線初期情報データはビーム軸に対して回転対称形であるものとして、初期情報データの位置データをビーム軸からの距離のみで定義するようにしている。その他の点は、実施の形態1にかかる線量計算方法と同様である。
【0043】
実施の形態6にかかる線量計算方法によれば、初期情報データの配列次数を減少させることができ、初期情報データのサイズを低減することができる。これにより、線量計算時の計算コードのプログラム・サイズを縮小することができる。また、メモリ使用量に制限がある計算環境においては、メモリ・スワップの減少により、計算時間を短縮することができる。
【0044】
実施の形態7.
以下、本発明の実施の形態7を説明する。ただし、実施の形態7にかかる線量計算方法の基本的な態様は、実施の形態1にかかる線量計算方法と同様であるので、以下では主として、実施の形態1にかかる線量計算方法と異なる点を説明する。実施の形態7にかかる線量計算方法では、X線初期情報データにおいて、放射線の位置情報を、x軸上の情報及びy軸上の情報の2つのケースで保存するようにしている。そして、初期情報の再構成時には、位置(x,y)の情報に対して、x軸上のデータとy軸上のデータとを、x、yの値に対応させて重ね合わせるようにしている。その他の点は、実施の形態1にかかる線量計算方法と同様である。
【0045】
実施の形態7にかかる線量計算方法によれば、データ配列の次数を低減することができる。このため、初期情報データの個数は増えるものの、全体としてのデータサイズを縮小することができる。さらに、X線ないし電子が、x方向とy方向とに分布特性がある場合にも、支障なく対応することができる。
【0046】
実施の形態8.
以下、本発明の実施の形態8を説明する。ただし、実施の形態8にかかる線量計算方法の基本的な態様は、実施の形態1にかかる線量計算方法と同様であるので、以下では主として、実施の形態1にかかる線量計算方法と異なる点を説明する。
図10に示すように、実施の形態8にかかる線量計算方法でも、図2に示す実施の形態1にかかる線量計算方法と同様に、放射線の発生過程ごとに、平坦化フィルタ4の出口でのX線又は電子線を分類し、これらの位置、エネルギ及び進行方向の分布情報データ(パラメータ情報)を作成ないし取得する(ステップS1〜S2)。
【0047】
次に、X線ないし電子の由来に応じて、条件別の分布情報データ(条件別データ)を作成する(ステップS3)。そして、各条件別データを、各条件別データ間のウェイト・パラメータとともに初期情報データとして保存する(ステップS4〜S6、S11〜S13)。ただし、実施の形態8では、実施の形態1の場合とは異なり、分布情報データを、1次X線データと、2次X線データと、高次X線データと、対消滅X線データと、光電効果電子データと、その他の放射線データの6種の条件別データに分割ないし分類する。ここで、これらの6種の条件別データのウェイト・パラメータを、それぞれ、W1〜W6とする。
【0048】
図示していないが、実施の形態8にかかる線量計算方法でも、基本的には実施の形態1にかかる線量計算方法と同様に、この後、線量測定と線量計算とを実施し、線量測定結果と線量計算結果とを比較してウェイト・パラメータW1〜W6を最適化する。実施の形態8にかかる線量計算方法によれば、分布情報データをより詳細に分割ないし分類するようにしているので、線量計算時のX線/電子の初期状態をより正確に記述することができ、より正確な線量計算結果を得ることができる。
【0049】
実施の形態9.
以下、本発明の実施の形態9を説明する。ただし、実施の形態9にかかる線量計算方法の基本的な態様は、実施の形態1にかかる線量計算方法と同様であるので、以下では主として、実施の形態1にかかる線量計算方法と異なる点を説明する。
【0050】
図11に示すように、実施の形態9にかかる線量計算方法でも、図2に示す実施の形態1にかかる線量計算方法と同様に、放射線の発生過程ごとに、平坦化フィルタ4の出口でのX線又は電子線を分類し、これらの位置、エネルギ及び進行方向の分布情報データ(パラメータ情報)を作成ないし取得する(ステップS1〜S2)。そして、実施の形態1の場合と同様に、X線ないし電子の由来に応じて、条件別の分布情報データ(条件別データ)を作成し、各条件別データを各条件別データ間のウェイト・パラメータとともに初期情報データとして保存する(ステップS4〜S6)。
【0051】
しかしながら、実施の形態9にかかる線量計算方法は、次の点で実施の形態1にかかる線量計算方法と異なる。すなわち、実施の形態9にかかる線量計算方法では、モンテカルロ法によるシミュレーションにより、平坦化フィルタ4の下面での放射線の初期条件データを作成する条件として、通常の初期条件データの他に、次のデータを付け加える。
【0052】
すなわち、電子ビーム1の軸ずれがあるケースについて、いくつかの軸ずれ条件下で計算を行った結果として得られるビーム軸ずれ初期条件データ群を付け加える(ステップS21〜S23)。また、ビーム・サイズないし形状が異なるいくつかのケースで計算を行って得られるビーム形状初期条件データ群を付け加える(ステップT1)。さらに、平坦化フィルタ4の傾きないしずれがあるケースについて、いくつかのずれ条件で計算を行って得られる平坦化フィルタ傾き初期条件データ群ないし平坦化フィルタ位置ずれ初期条件データ群を付け加える(ステップT2)。
【0053】
さらに、実施の形態9にかかる線量計算方法では、現実の放射線治療装置における線量測定データと、これらの初期条件データ群を用いて線量計算を行った結果との比較から、最適な初期条件データのセットを決定し、これを対応する放射線治療装置の初期条件データとして用いるようにしている。また、測定データに対して、初期条件データ・セットの最適な重ね合わせ条件を検索することにより、最適な初期条件データを生成しても良い。
図示していないが、実施の形態9にかかる線量計算方法でも、基本的には実施の形態1にかかる線量計算方法と同様に、この後、線量測定と線量計算とを実施し、線量測定結果と線量計算結果とを比較してウェイト・パラメータW1〜W3を最適化する。
【0054】
一般に、電子ビーム1から平坦化フィルタ4までの電子/X線の計算を事前に行っておく方式では、電子ビーム条件などに変化があった場合、これに対応することができない。これに対して、実施の形態9にかかる線量計算方法では、予め、複数の条件を想定して初期条件データセットを作成するようにしているので、時間的に放射線治療装置の条件が変化した場合でも、最適なビーム初期条件データを提供することができる。
【0055】
【発明の効果】
本発明にかかる線量計算方法によれば、放射線の位置、エネルギ及び進行方向に関するパラメータ情報を複数種の条件別データに分割して、これらの条件別データに基づいてモンテカルロ法を用いて線量計算を行う一方、各条件別データのウェイト・パラメータを各放射線照射装置ごとに測定された校正データに基づいて補正するようにしているので、放射線照射装置間の機器特性、製作精度等のばらつきに起因する誤差を解消することができ、線量分布を正確に計算することができる。つまり、このような補正パラメータを導入したことにより、従来のモンテカルロ法による線量計算手法では補正することができなかった各放射線照射装置ごとの機器特性等の差を容易に補正することができる。
【0056】
この線量計算方法において、ウェイト・パラメータが、粒子数の割合を示すパラメータと、角度分布を角度方向に調整するパラメータとを含んでいる場合は、線量分布をより正確に計算することができる。
【0057】
この線量計算方法において、放射線照射装置が、人体に対して放射線治療を施す放射線治療装置である場合、線量分布を正確に計算することができるので、放射線治療を効果的に実施することができる。
【0058】
この線量計算方法において、パラメータ情報を、1次X線にかかる条件別データと、2次X線にかかる条件別データと、これら以外の放射線にかかる条件別データとに分割する場合は、小照射野線量測定データを用いることにより、パラメータの補正を効率よく行うことができる。
【0059】
この線量計算方法において、3種の条件別データが、それぞれ、異なる電子ビームサイズ条件及び平坦化フィルタ固定精度条件により計算された結果を含む場合は、小照射野線量測定データを用いることにより、パラメータの補正をさらに効率よく行うことができる。
【0060】
この線量計算方法において、校正データとして、ほぼ1cm角サイズの小照射野線量測定データを用いる場合は、2次X線の影響が顕著に現れる小照射野線量測定データを用いることにより、パラメータの補正をさらに効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる線量計算方法を用いる放射線治療装置の模式的な立面断面図である。
【図2】本発明の1つの実施の形態にかかる線量計算方法を示すフローチャートである。
【図3】(a)は、図1に示す放射線治療装置において両絞りの開口度が小さい場合におけるX線の照射態様を示す図であり(b)は両絞りの開口度が大きい場合における(a)と同様の図である。
【図4】ターゲットに衝突した電子ビームがX線に変換され、平坦化フィルタ4通過する様子を模式的に示す図である。
【図5】(a)、(b)は、それぞれ、電子ビームの広がりがない場合について、モンテカルロ・シミュレーションを行った結果を示すグラフである。
【図6】電子ビームの広がりがある場合について、モンテカルロ・シミュレーションを行った結果を示すグラフである。
【図7】照射野の中心付近における1次X線及び2次X線の進行経路を示す図である。
【図8】照射野の周辺部付近における1次X線及び2次X線の進行経路を示す図である。
【図9】モンテカルロ・シミュレーションにより、アイソセンタ平面上の線量分布を求めた結果を示すグラフである。
【図10】本発明のもう1つの実施の形態にかかる線量計算方法を示すフローチャートである。
【図11】本発明のさらにもう1つの実施の形態にかかる線量計算方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 電子ビーム、 2 ターゲット、 3 プライマリ・コリメータ、 4 平坦化フィルタ、 5 上側絞り、 6 下側絞り、 7 マルチ・リーフ・コリメータ、 9 データ、 10 治療部位、 11 アイソセンタ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、放射線照射装置により放射線が照射される物体内における線量分布等を、コンピュータによるシミュレーションにより計算するための線量計算方法に関するものであり、とくには放射線治療装置における線量計算方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、放射線治療を実施する際には、放射線治療装置、例えばX線治療装置を用いて患者に実際に放射線を照射する前に、コンピュータにより、放射線照射の最適な範囲や方向などを決定するための線量計算が行われる。そして、従来の数値計算的な線量計算手法では、X線治療装置のヘッド部で発生するX線はターゲット点から直線的に放射されるものとして、数値計算を行うようにしている。しかしながら、この従来の数値計算的な線量計算手法では、平坦化フィルタで発生する2次X線の影響を考慮することができないといった問題がある。また、このようにして得られる実測データは、電子平衡が成り立っている領域での測定データであるので、不均質な媒質中では計算値が不正確となるといった問題がある。
【0003】
そこで、近年、モンテカルロ法を用いて、ターゲットないし平坦化フィルタでのX線の発生、散乱等から、人体内部の線量分布までを正確に計算することができるようにした線量計算手法が提案されている。(例えば、1998年1月に発行されたメディカル・フィジックス誌、第25巻、第1号「線量測定計画及び分析のためのCTベースのモンテカルロ・シミュレーション装置」:「A CT−BasedMonte Carlo simulation tool for dosimetry planning and analysis」、 Medical Physics、Vol. 25、 No. 1、January 1998、参照)。
【0004】
ところで、一般に、X線治療装置では、まず、電子ビームが加速されてターゲットに衝突させられ、その結果ターゲット内部で電子ビームの制動放射現象によりX線が発生し、このX線が放射線治療に利用されるようになっている。ターゲットで発生したX線は、平坦化フィルタによって、その強度分布がアイソセンタ上で一様となるように調整される。なお、アイソセンタとは、X線治療装置の回転機構の機械的な中心を意味する。治療対象である人体は、その病巣がアイソセンタに位置するように固定され、X線が照射される。X線が人体の病巣以外の部分に照射されるのを防止するため、絞り(モノ・ブロック)やマルチ・リーフ・コリメータなどが、放射線の通過経路上の所定の位置に配置される。
【0005】
そして、ターゲットで発生したX線が、絞りやマルチ・リーフ・コリメータを通過し、又はこれらによって遮断されて人体に照射された場合、人体内部にどのような線量分布が形成されるかを予測するために、いずれかの線量計算手法を用いて線量計算が行われる。
従来の数値計算的な線量計算手法は、ターゲット点から見た幾何学的な照射野(絞り及びマルチ・リーフ・コリメータによって生成されたX線照射領域)に基づいて、実測データから求められた深さ方向の線量分布や人体内部での散乱係数を用いて、線量分布を計算するものである。
【0006】
他方、モンテカルロ法による線量計算手法は、ターゲットに衝突した各電子がどのような物理現象を起こしながら進んでゆくかを逐一計算しつつ、数千万又はそれ以上の電子及び2次的に発生するX線の挙動を統計的に処理することにより、人体内部の線量分布を直接計算するといったものであり、非常に正確な線量計算を行うことができるといった利点がある。ただし、モンテカルロ法による線量計算手法では、正確な線量計算を行うことはできるものの、計算時間が比較的長くなる(例えば、数10分〜数時間)といった一面もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
モンテカルロ法による線量計算手法では、事前にX線治療装置を数値モデル化して線量計算を行うため、同じ仕様のX線治療装置であれば、すべて同じ計算結果となる。しかしながら、実際のX線治療装置では、機器特性、製作精度の誤差、あるいは経年変化などにより、X線治療装置ごとに線量分布が若干異なっている。このようなX線治療装置ごとの線量分布のばらつきないし誤差は、従来の数値計算的な線量計算手法では、実測データに基づいて計算パラメータを調整していたため、解消ないし吸収されていた。しかしながら、従来のモンテカルロ法による線量計算手法では、X線治療装置の特性の差を表現しにくいので、このようなX線治療装置ごとのばらつきないし誤差を解消することは困難であるといった問題がある。
【0008】
なお、このような問題は、人体に対して放射線治療を行うためのX線治療装置ないしは放射線治療装置だけでなく、一般に物体に放射線を照射する放射線照射装置における線量計算にも生じるものである。
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたものであって、放射線照射装置間の機器特性、製作精度等のばらつきに起因する誤差を解消することができ、線量分布を正確に計算することができる線量計算方法を提供することを解決すべき課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる線量計算方法は、(i)電子線が衝突したターゲット内で該電子線により生成された放射線が、平坦化フィルタと、コリメータ(例えば、絞りとマルチ・リーフ・コリメータ)とを介して所定の物体に照射されるようになっている放射線照射装置における、上記物体内での線量分布を計算するための線量計算方法であって、(ii)平坦化フィルタ透過後の、当該平坦化されたフィルタ面上での放射線の位置、エネルギ及び進行方向に関するパラメータ情報を、予め条件別に分割(ないしは分類)して複数種の条件別データとして保管し、これらの条件別データに基づいて、モンテカルロ法を用いて線量計算を行う一方、(iii)上記複数種の条件別データを重み付けするウェイト・パラメータを、該線量計算の結果を利用する各放射線照射装置ごとに測定された校正データに基づいて補正するようにしたことを特徴とするものである。
【0010】
この線量計算方法において、ウェイト・パラメータは、粒子数の割合を示すパラメータと、角度分布を角度方向に調整するためのパラメータとを含んでいるのが好ましい。
また、この線量計算方法において、放射線照射装置としては、例えば、人体に対して放射線治療を施す放射線治療装置(X線治療装置)などがあげられる。
【0011】
上記線量計算方法においては、上記パラメータ情報を、1次X線にかかる条件別データと、2次X線にかかる条件別データと、これら以外の放射線にかかる条件別データとに分割して保管するのが好ましい。この場合、上記3種の条件別データが、それぞれ、異なる電子ビームサイズ条件及び平坦化フィルタ固定精度条件により計算された結果を含んでいるのが、より好ましい。
また、上記校正データとして、ほぼ1cm角サイズの小照射野線量測定データを用いるのが好ましい。
【0012】
つまり、本発明にかかる線量計算方法では、X線の初期データ(パラメータ情報)を、複数の物理パラメータ又は仮想的なパラメータを基準とする基本初期データ(条件別データ)として準備し、実測により得られた結果に基づいて、これらのパラメータを最適化するようにしている。すなわち、モンテカルロ法による線量計算手法に対して、放射線照射装置ごとの機器特性、製作精度等の差(ばらつき)を考慮したものである。なお、このような機器特性、製作精度等の差を明確にするため、コリメータにより1cm角〜2cm角程度の照射野を形成し、これに対して、絞りをその2〜3倍の大きさで開いた状態でデータを取得して、とくに散乱線の効果を正確に反映させるようにするのが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1を具体的に説明する。
図1は、本発明の実施の形態1にかかる放射線治療装置(X線治療装置)の模式的な立面断面を示している。図1において、1は電子ビームであり、2はターゲットであり、3はプライマリ・コリメータであり、4は平坦化フィルタであり、5は上側絞り(モノ・ブロック)であり、6は下側絞り(モノ・ブロック)であり、7はマルチ・リーフ・コリメータであり、9は人体をCTやMRIなどで測定した情報に基づいて作成された密度分布配列データであり、10は人体内の放射線治療を行うべき治療部位であり、11は放射線治療装置のアイソセンタ(放射線治療装置の回転機構の機械的中心)である。図を明確にするため、下側絞り6とマルチ・リーフ・コリメータ7とは、ビーム軸に対して90°回転した状態で示している。また、図中、ビーム進行方向をz軸とし、ビーム軸(z軸)に直交し紙面と平行な方向をy軸とし、紙面に垂直な方向をx軸とする。
【0014】
詳しくは図示していないが、両絞り5、6は、それぞれ、可動型の金属製ブロックからなり、その開口サイズを自在に変化させることができるようになっている。上側絞り5は、x−y直交座標系であらわされた水平面内においてy方向のX線照射範囲を規制するためのものであり、下側絞り6はx方向のX線照射範囲を規制するためのものである。この実施の形態1では、上下2つの絞り5、6を設けているが、絞りを1つだけ設けるようにしてもよい。また、マルチ・リーフ・コリメータ7の下方に、オプションとして、ウェッジ(図示せず)やブロック・フィルタ(図示せず)を設けてもよい。なお、ウェッジは、X線強度分布に傾斜をつけるためのくさび形のフィルタであり、ブロック・フィルタは、三角柱あるいは四角柱の形状を備えた金属製ブロックである。
【0015】
この放射線治療装置においては、鉛直方向下方に放射された電子ビーム1はターゲット2に衝突し、制動放射現象によってX線を発生させる。このとき発生するX線は、平坦化フィルタ4を透過(通過)することにより、アイソセンタ11を含む水平面(アイソセンタ平面)上で一様な線量分布をもつようになる。平坦化フィルタ4を通過したX線が治療部位10以外の領域に照射されないように、上側絞り5、下側絞り6及びマルチ・リーフ・コリメータ7の配置形態が決定される。
【0016】
この放射線治療装置において、人体内部での放射線の線量計算(線量分布計算)は、次のような手順で行う。
図2に示すように、まず、電子ビーム1がターゲット2に衝突したことにより該ターゲット2内で発生したX線又は電子が平坦化フィルタ4を透過するまでの過程を、モンテカルロ法(又は、解析的な計算手法)によるシミュレーションで計算する(ステップS1)。なお、モンテカルロ法による計算手法としては、例えば、一般に知られているEGS4等の計算手法を用いることができる。平坦化フィルタ4を透過した放射線には、ターゲット2内部で発生した1次X線、この1次X線の一部が平坦化フィルタ4内で1回散乱された2次X線、さらに2回以上散乱されたX線、電子対消滅により発生したX線、光電効果により放出された電子などが含まれる。
【0017】
このような放射線の発生過程ごとに、平坦化フィルタ4の出口(下面)でのX線又は電子線を分類し、これらの位置、エネルギ及び進行方向の分布情報データ(パラメータ情報)を作成ないし取得する(ステップS2)。次に、X線ないし電子の由来にしたがって、条件別の分布情報データ(条件別データ)を作成する(ステップS3)。そして、それぞれの条件別データを、各条件別データ間のウェイト・パラメータとともに初期情報データとして保存する(ステップS4〜S6)。なお、電子ビーム1のエネルギは、治療条件により変わるため、複数の電子ビームエネルギ条件に対して、それぞれ初期情報データを作成する。
【0018】
すなわち、電子ビーム1のエネルギ、分布情報データ及びウェイト情報データに基づいて、平坦化フィルタ4の下面における放射線の分布情報データを再構成する。具体的には、分布情報データを、1次X線データと、2次X線データと、その他の放射線データの3種の条件別データに分割する。ここで、これらの3種の条件別データのウェイト・パラメータを、それぞれ、W1、W2及びW3とする。なお、ウェイト・パラメータは、粒子数の割合を示すパラメータと、角度分布を角度方向に調整するためのパラメータとを含んでいる。
ここで、ウェイト・パラメータは、条件別データを重み付けするのに用いられている。すなわち、各条件別データは、ウェイト・パラメータによって重み付けされ、線量計算の実行時には、このウェイト・パラメータを用いて線源情報が再構成される。このウェイト・パラメータを調整することにより、各機器の特性を線量計算に反映させることができる。
【0019】
次に、これらの3種の条件別データを用いて、線量測定と同条件で線量計算を実施する。具体的には、放射線の初期条件を1つサンプルする場合、まず、乱数X(0<X<1)を発生させる。ここで、X<W1/(W1+W2+W3)であれば、1次X線データからX線初期条件をサンプルする。W1/(W1+W2+W3)≦<X<(W1+W2)/(W1+W2+W3)であれば、2次X線データからサンプルする。X≧(W1+W2)/(W1+W2+W3)であれば、その他の放射線データからサンプルする。
【0020】
このような初期条件データ用いて、両絞り5、6以降(治療部位側)のX線の輸送及び人体内部の線量分布計算をモンテカルロ法により行う一方、線量測定を行って線量データを取得し、この後線量測定結果と線量計算結果とを比較して、ウェイト・パラメータW1〜W3を最適化する(ステップS7〜S9)。
具体的には、図3(a)及び図3(b)に示すように、実際の放射線治療装置において、両絞り5、6とマルチ・リーフ・コリメータ7とを所定の位置に配置して、アイソセンタ11での線量測定を行い、それぞれの線量測定結果を得る(ステップS9)。
【0021】
図3(a)に示す配置形態は、両絞り5、6とマルチ・リーフ・コリメータ7とがともに、アイソセンタ11上で同じ照射野を形成するように配置したものである。この場合、照射野のサイズは、2cm角以下であるのが好ましく、1cm角程度であるのがさらに好ましい。
【0022】
他方、図3(b)に示す配置形態では、マルチ・リーフ・コリメータ7の照射野は図3(a)に示す配置形態と等しくする一方、両絞り5、6の照射野は、図3(a)に示す配置形態よりも広くしている。この場合、ターゲット点から見た照射野は変わらないが、アイソセンタ11の位置から平坦化フィルタ4を見込む(見通す)範囲が広くなっている。両絞り5、6の開口サイズは、概ね、マルチ・リーフ・コリメータ7の照射野に比べて、1辺を2cm程度大きく設定するのが望ましい。
【0023】
これと同様の絞り5、6及びマルチ・リーフ・コリメータ7の設定条件を用いて、放射線治療装置上での線量計算を実行し、それぞれの計算結果を得る(ステップS7)。この後、2種の線量測定結果と、2種の計算結果とがそれぞれ一致するように、上記ウェイト・パラメータW1〜W3を最適化する(ステップS8)。この最適化されたウェイト・パラメータW1〜W3は、各放射線治療装置に固有の特性データとして保存しておき、治療計画時の線量計算パラメータとして用いる。
【0024】
なお、図3(a)に示す両絞り5、6及びマルチ・リーフ・コリメータ7の設定態様は、2次X線の影響を受けにくい配置形態であり、主として1次X線のみで線量分布が決まる。他方、図3(b)に示す両絞り5、6及びマルチ・リーフ・コリメータ7の設定態様では、これに2次X線の影響が加わっているため、両者の線量の比較により、平坦化フィルタ4を透過してくるX線の1次X線とそれ以外のX線との寄与の割合を評価することが可能である。平坦化フィルタ4を透過するX線では、1次X線と2次X線の割合が大半を占める。
【0025】
したがって、2つのケースでの線量測定の比は、平坦化フィルタ4を通過した後の1次X線、2次X線の組成の比を表していると考えてよい。したがって、この2つの測定データを用いて、線量計算に用いるX線初期条件データの1次X線と2次X線のウェイト・パラメータを補正することによって、効果的に、各放射線治療装置の機器特性等を線量計算に反映することが可能となる。
【0026】
以下、本発明にかかる線量計算方法を用いて線量計算を実際に行って得た計算結果と、その物理的な意味とを説明する。
図4は、ターゲット2に衝突した電子ビーム1がX線に変換され、平坦化フィルタ4を透過する様子を模式的に示した図である。図4に示すように、ターゲット2に衝突した電子ビーム1は、制動放射現象を起こすことによって、X線の中心軸(一点鎖線)に対して角度φ方向にX線を放出する。ここで、角度φは、0度から180度までの広い範囲に分布する。なお、ターゲット2で発生したX線は、ターゲット2の内部又は平坦化フィルタ4の内部でコンプトン散乱を起こしてその進行方向を変えることがある。
【0027】
平坦化フィルタ4の下面において、X線の中心軸からX線までの距離Rは、上記角度φに対応する。すなわち、tan(φ)≒R/D(ほぼ、tan(φ)=R/D)である。
ここで、ターゲット2上で電子ビーム1が衝突する点から平坦化フィルタ4の下面におけるX線位置を望んだ方向ベクトルと、X線の進行方向のベクトルとがなす角度θについて考察すると、θ≒0度(ほぼ、θ=0度)のX線は、平坦化フィルタ4で1回も散乱を受けなかったX線、すなわち1次X線である。θ>0度のX線は、1回以上の散乱を受けた2次又は3次以上のX線である。
【0028】
図5(a)は、汎用のモンテカルロ・シミュレーション・コードEGS4を用いて、この様子についてシミュレーションを行った結果である。角度θが0の周辺に高いX線数のピークがあり、これが1次X線に相当する。
図5(b)は、角度θが0.2度付近のピークを拡大して示したものであり、この部分は2次X線のピークである。
【0029】
図5(a)、(b)は、電子ビーム1にビームの広がりがないものとしてシミュレーションを行った結果である。
他方、図6は、電子ビーム1の広がりを考慮(仮定)してシミュレーションを行った結果である。図6に示すX線の分布においては、1次X線のピーク高さと2次X線のピーク高さの比率や、2次X線のピークの位置が、図5(a)、(b)の場合と比べて大きく変わっていることが分かる。これは、本来の制動放射現象によるX線の発生角度分布、平坦化フィルタ4での散乱等の物理現象的な影響は大きくは変わっていないが、ビームの広がりがあるため、見かけ上、平坦化フィルタ4の下でのX線の角度分布が変化していることを示している。
【0030】
このように、電子ビーム1のビームの広がり特性は、平坦化フィルタ4の下でのX線の角度分布に大きな影響を与える。同様に、電子ビーム1がもつ発散角、中心軸からのずれ、平坦化フィルタ4の機械的な位置ズレなども、平坦化フィルタ4の下でのX線の角度分布に大きな影響を与える。
【0031】
以下、図7〜図9を参照しつつ、このようなX線が線量分布に与える影響を説明する。
図7に示すように、X線の照射範囲は、上側絞り5(y軸方向の絞り)と下側絞り6(x軸方向の絞り)とマルチ・リーフ・コリメータ7とによって規定される。そして、図7から明らかなとおり、照射野の中心に近い部分では、1次X線aも、比較的小さい散乱角度の2次X線bも照射範囲に到達することができる。他方、図8に示すように、照射野の外周部近傍では、一部の2次X線bは、アイソセンタ平面に到達できなくなり、このため外周部近傍では放射線量の低下が起きる。
【0032】
図9は、モンテカルロ・シミュレーションにより、アイソセンタ平面上の線量分布を求めた結果を示している。図9から明らかなとおり、設定した照射範囲に対して、範囲内からすでに線量が低下しはじめている。この線量が低下しはじめる位置、すなわち外周部での半影ぼけは、上側絞り5(y軸方向の絞り)、下側絞り6(x軸方向の絞り)及びマルチ・リーフ・コリメータ7の表面での散乱と、1次X線と2次X線の比率と、2次X線の角度ピークの位置とによって変化する。
【0033】
すなわち、半影ぼけの大きさと、平坦化フィルタ4の下での1次X線と2次X線のピーク比率並びに2次X線のピーク位置との間には強い相関関係がある。これは、電子ビーム1の特性や、ターゲット2の周辺の機械的な特性を反映している。したがって、モンテカルロ法による線量計算によって計算された結果と、実際の放射線治療装置での半影ぼけの大きさの測定結果とを比較するモンテカルロ法による線量計算において、平坦化フィルタ4の下での1次X線と2次X線のピーク比率と、2次X線のピーク位置とを最適化すれば、電子ビーム特性や放射線治療装置の機械的の特性を、良好な近似でモンテカルロ法による線量計算に反映させることができる。
【0034】
かくして、具体的な調整方法としては、分布情報データを、1次X線及び2次X線にかかる2つの分布情報データ(条件別データ)に分け、それぞれの分布にウェイト・パラメータAを乗じて足し合わせることにより、1次X線と2次X線の比率調整を行う。ここで、2つめのウェイト・パラメータとして、2次X線の角度分布を角度方向に伸縮させるパラメータBを用いて、2次X線のピーク位置調整を行うようにしてもよい。
なお、この2つ目のウェイト・パラメータBを、ウェイト・パラメータAの関数として、ウェイト・パラメータAのみで1次X線と2次X線の比率調整と、2次X線のピーク位置の調整とを行うようにしてもよい。
【0035】
また、複数の電子ビーム条件による複数の分布情報データを用意し、これらの分布情報データから、最適な分布情報データを選択することにより、1次X線と2次X線の比率調整や、2次X線のピーク位置の調整を行ってもよい。なお、複数の電子ビーム条件による、複数の分布情報データを用意し、これらの分布情報データから、最適な2つの分布情報データを選択し、さらに2つの分布情報データから内挿法により、最適な分布情報データを作成することにより、1次X線と2次X線の比率調整や、2次X線のピーク位置の調整を行うようにしてもよい。
【0036】
照射野を、2次X線の散乱角のピークと同程度に設定した場合、中心部の線量は、x軸の正方向、x軸の負方向、y軸の正方向、y軸の負方向の4つの方向から半影ボケの影響を受けることになる。例えば、2次散乱線の角度ピークを0.5度程度として、平坦化フィルタ4からアイソセンタ11までの距離を87cmとすれば、散乱角に対する位置の広がりのピークは、0.76cm程度になる。したがって、照射野を1cm程度に設定すれば、アイソセンタ11での線量は、1次X線及び2次X線の影響を非常に大きく受けることになる。これは、電子ビーム特性や放射線治療装置の機械的の特性を、さらに良い近似でモンテカルロ計算に反映させることができることを意味する。また、測定も1点又は複数の照射野での数点の線量測定であるので、分布情報データを測定する場合よりも単純に結果を得ることができる。
【0037】
実施の形態2.
以下、本発明の実施の形態2を説明する。ただし、実施の形態2にかかる線量計算方法の基本的な態様は、前記の実施の形態1にかかる線量計算方法と同様であるので、以下では説明の重複を避けるため、主として実施の形態1にかかる線量計算方法と異なる点を説明する。
【0038】
実施の形態2にかかる線量計算方法では、線量測定結果と線量計算結果との比較において、それぞれ、アイソセンタ平面内での最大線量の値を比較するようにしている。その他の点は、実施の形態1にかかる線量計算方法と同様である。この実施の形態2にかかる線量計算方法によれば、1次X線と2次X線とについてのウェイト・パラメータの調整は、単純な2値の比較となる。このため、容易に最適パラメータを求めることができる。
【0039】
実施の形態3.
以下、本発明の実施の形態3を説明する。ただし、実施の形態3にかかる線量計算方法の基本的な態様は、実施の形態1にかかる線量計算方法と同様であるので、以下では主として、実施の形態1にかかる線量計算方法と異なる点を説明する。実施の形態3にかかる線量計算方法では、線量測定結果と線量計算結果との比較において、両絞り5、6及びマルチ・リーフ・コリメータ7の設定条件を3つ以上としている。その他の点は、実施の形態1にかかる線量計算方法と同様である。実施の形態2にかかる線量計算方法によれば、測定条件が多くなっているので、パラメータの誤差を小さくすることができ、同時に2つ以上のウェイト・パラメータを決定することができる。
【0040】
実施の形態4.
以下、本発明の実施の形態4を説明する。ただし、実施の形態4にかかる線量計算方法の基本的な態様は、実施の形態1にかかる線量計算方法と同様であるので、以下では主として、実施の形態1にかかる線量計算方法と異なる点を説明する。実施の形態4にかかる線量計算方法では、線量測定結果と線量計算結果との比較において、測定データとして、通常の放射線治療装置の校正試験時に取得されるOCRデータ及びTPRデータを用いるようにしている。その他の点は、実施の形態1にかかる線量計算方法と同様である。実施の形態4にかかる線量計算方法によれば、放射線治療装置の校正時に取得されているデータを利用するので、線量計算用のデータを新たに取得する必要がない。
【0041】
実施の形態5.
以下、本発明の実施の形態5を説明する。ただし、実施の形態5にかかる線量計算方法の基本的な態様は、実施の形態1にかかる線量計算方法と同様であるので、以下では主として、実施の形態1にかかる線量計算方法と異なる点を説明する。実施の形態5にかかる線量計算方法では、線量測定結果と線量計算結果との比較において、それぞれ、アイソセンタ平面内のx軸、y軸又はこれら両方の軸に沿った線量分布関数(OCR)の値を比較するようにしている。その他の点は、実施の形態1にかかる線量計算方法と同様である。実施の形態5にかかる線量計算方法によれば、分布関数の比較となるため、高次のウェイト・パラメータ調整を行うことが可能となる。
【0042】
実施の形態6.
以下、本発明の実施の形態6を説明する。ただし、実施の形態6にかかる線量計算方法の基本的な態様は、実施の形態1にかかる線量計算方法と同様であるので、以下では主として、実施の形態1にかかる線量計算方法と異なる点を説明する。実施の形態6にかかる線量計算方法では、X線初期情報データはビーム軸に対して回転対称形であるものとして、初期情報データの位置データをビーム軸からの距離のみで定義するようにしている。その他の点は、実施の形態1にかかる線量計算方法と同様である。
【0043】
実施の形態6にかかる線量計算方法によれば、初期情報データの配列次数を減少させることができ、初期情報データのサイズを低減することができる。これにより、線量計算時の計算コードのプログラム・サイズを縮小することができる。また、メモリ使用量に制限がある計算環境においては、メモリ・スワップの減少により、計算時間を短縮することができる。
【0044】
実施の形態7.
以下、本発明の実施の形態7を説明する。ただし、実施の形態7にかかる線量計算方法の基本的な態様は、実施の形態1にかかる線量計算方法と同様であるので、以下では主として、実施の形態1にかかる線量計算方法と異なる点を説明する。実施の形態7にかかる線量計算方法では、X線初期情報データにおいて、放射線の位置情報を、x軸上の情報及びy軸上の情報の2つのケースで保存するようにしている。そして、初期情報の再構成時には、位置(x,y)の情報に対して、x軸上のデータとy軸上のデータとを、x、yの値に対応させて重ね合わせるようにしている。その他の点は、実施の形態1にかかる線量計算方法と同様である。
【0045】
実施の形態7にかかる線量計算方法によれば、データ配列の次数を低減することができる。このため、初期情報データの個数は増えるものの、全体としてのデータサイズを縮小することができる。さらに、X線ないし電子が、x方向とy方向とに分布特性がある場合にも、支障なく対応することができる。
【0046】
実施の形態8.
以下、本発明の実施の形態8を説明する。ただし、実施の形態8にかかる線量計算方法の基本的な態様は、実施の形態1にかかる線量計算方法と同様であるので、以下では主として、実施の形態1にかかる線量計算方法と異なる点を説明する。
図10に示すように、実施の形態8にかかる線量計算方法でも、図2に示す実施の形態1にかかる線量計算方法と同様に、放射線の発生過程ごとに、平坦化フィルタ4の出口でのX線又は電子線を分類し、これらの位置、エネルギ及び進行方向の分布情報データ(パラメータ情報)を作成ないし取得する(ステップS1〜S2)。
【0047】
次に、X線ないし電子の由来に応じて、条件別の分布情報データ(条件別データ)を作成する(ステップS3)。そして、各条件別データを、各条件別データ間のウェイト・パラメータとともに初期情報データとして保存する(ステップS4〜S6、S11〜S13)。ただし、実施の形態8では、実施の形態1の場合とは異なり、分布情報データを、1次X線データと、2次X線データと、高次X線データと、対消滅X線データと、光電効果電子データと、その他の放射線データの6種の条件別データに分割ないし分類する。ここで、これらの6種の条件別データのウェイト・パラメータを、それぞれ、W1〜W6とする。
【0048】
図示していないが、実施の形態8にかかる線量計算方法でも、基本的には実施の形態1にかかる線量計算方法と同様に、この後、線量測定と線量計算とを実施し、線量測定結果と線量計算結果とを比較してウェイト・パラメータW1〜W6を最適化する。実施の形態8にかかる線量計算方法によれば、分布情報データをより詳細に分割ないし分類するようにしているので、線量計算時のX線/電子の初期状態をより正確に記述することができ、より正確な線量計算結果を得ることができる。
【0049】
実施の形態9.
以下、本発明の実施の形態9を説明する。ただし、実施の形態9にかかる線量計算方法の基本的な態様は、実施の形態1にかかる線量計算方法と同様であるので、以下では主として、実施の形態1にかかる線量計算方法と異なる点を説明する。
【0050】
図11に示すように、実施の形態9にかかる線量計算方法でも、図2に示す実施の形態1にかかる線量計算方法と同様に、放射線の発生過程ごとに、平坦化フィルタ4の出口でのX線又は電子線を分類し、これらの位置、エネルギ及び進行方向の分布情報データ(パラメータ情報)を作成ないし取得する(ステップS1〜S2)。そして、実施の形態1の場合と同様に、X線ないし電子の由来に応じて、条件別の分布情報データ(条件別データ)を作成し、各条件別データを各条件別データ間のウェイト・パラメータとともに初期情報データとして保存する(ステップS4〜S6)。
【0051】
しかしながら、実施の形態9にかかる線量計算方法は、次の点で実施の形態1にかかる線量計算方法と異なる。すなわち、実施の形態9にかかる線量計算方法では、モンテカルロ法によるシミュレーションにより、平坦化フィルタ4の下面での放射線の初期条件データを作成する条件として、通常の初期条件データの他に、次のデータを付け加える。
【0052】
すなわち、電子ビーム1の軸ずれがあるケースについて、いくつかの軸ずれ条件下で計算を行った結果として得られるビーム軸ずれ初期条件データ群を付け加える(ステップS21〜S23)。また、ビーム・サイズないし形状が異なるいくつかのケースで計算を行って得られるビーム形状初期条件データ群を付け加える(ステップT1)。さらに、平坦化フィルタ4の傾きないしずれがあるケースについて、いくつかのずれ条件で計算を行って得られる平坦化フィルタ傾き初期条件データ群ないし平坦化フィルタ位置ずれ初期条件データ群を付け加える(ステップT2)。
【0053】
さらに、実施の形態9にかかる線量計算方法では、現実の放射線治療装置における線量測定データと、これらの初期条件データ群を用いて線量計算を行った結果との比較から、最適な初期条件データのセットを決定し、これを対応する放射線治療装置の初期条件データとして用いるようにしている。また、測定データに対して、初期条件データ・セットの最適な重ね合わせ条件を検索することにより、最適な初期条件データを生成しても良い。
図示していないが、実施の形態9にかかる線量計算方法でも、基本的には実施の形態1にかかる線量計算方法と同様に、この後、線量測定と線量計算とを実施し、線量測定結果と線量計算結果とを比較してウェイト・パラメータW1〜W3を最適化する。
【0054】
一般に、電子ビーム1から平坦化フィルタ4までの電子/X線の計算を事前に行っておく方式では、電子ビーム条件などに変化があった場合、これに対応することができない。これに対して、実施の形態9にかかる線量計算方法では、予め、複数の条件を想定して初期条件データセットを作成するようにしているので、時間的に放射線治療装置の条件が変化した場合でも、最適なビーム初期条件データを提供することができる。
【0055】
【発明の効果】
本発明にかかる線量計算方法によれば、放射線の位置、エネルギ及び進行方向に関するパラメータ情報を複数種の条件別データに分割して、これらの条件別データに基づいてモンテカルロ法を用いて線量計算を行う一方、各条件別データのウェイト・パラメータを各放射線照射装置ごとに測定された校正データに基づいて補正するようにしているので、放射線照射装置間の機器特性、製作精度等のばらつきに起因する誤差を解消することができ、線量分布を正確に計算することができる。つまり、このような補正パラメータを導入したことにより、従来のモンテカルロ法による線量計算手法では補正することができなかった各放射線照射装置ごとの機器特性等の差を容易に補正することができる。
【0056】
この線量計算方法において、ウェイト・パラメータが、粒子数の割合を示すパラメータと、角度分布を角度方向に調整するパラメータとを含んでいる場合は、線量分布をより正確に計算することができる。
【0057】
この線量計算方法において、放射線照射装置が、人体に対して放射線治療を施す放射線治療装置である場合、線量分布を正確に計算することができるので、放射線治療を効果的に実施することができる。
【0058】
この線量計算方法において、パラメータ情報を、1次X線にかかる条件別データと、2次X線にかかる条件別データと、これら以外の放射線にかかる条件別データとに分割する場合は、小照射野線量測定データを用いることにより、パラメータの補正を効率よく行うことができる。
【0059】
この線量計算方法において、3種の条件別データが、それぞれ、異なる電子ビームサイズ条件及び平坦化フィルタ固定精度条件により計算された結果を含む場合は、小照射野線量測定データを用いることにより、パラメータの補正をさらに効率よく行うことができる。
【0060】
この線量計算方法において、校正データとして、ほぼ1cm角サイズの小照射野線量測定データを用いる場合は、2次X線の影響が顕著に現れる小照射野線量測定データを用いることにより、パラメータの補正をさらに効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる線量計算方法を用いる放射線治療装置の模式的な立面断面図である。
【図2】本発明の1つの実施の形態にかかる線量計算方法を示すフローチャートである。
【図3】(a)は、図1に示す放射線治療装置において両絞りの開口度が小さい場合におけるX線の照射態様を示す図であり(b)は両絞りの開口度が大きい場合における(a)と同様の図である。
【図4】ターゲットに衝突した電子ビームがX線に変換され、平坦化フィルタ4通過する様子を模式的に示す図である。
【図5】(a)、(b)は、それぞれ、電子ビームの広がりがない場合について、モンテカルロ・シミュレーションを行った結果を示すグラフである。
【図6】電子ビームの広がりがある場合について、モンテカルロ・シミュレーションを行った結果を示すグラフである。
【図7】照射野の中心付近における1次X線及び2次X線の進行経路を示す図である。
【図8】照射野の周辺部付近における1次X線及び2次X線の進行経路を示す図である。
【図9】モンテカルロ・シミュレーションにより、アイソセンタ平面上の線量分布を求めた結果を示すグラフである。
【図10】本発明のもう1つの実施の形態にかかる線量計算方法を示すフローチャートである。
【図11】本発明のさらにもう1つの実施の形態にかかる線量計算方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 電子ビーム、 2 ターゲット、 3 プライマリ・コリメータ、 4 平坦化フィルタ、 5 上側絞り、 6 下側絞り、 7 マルチ・リーフ・コリメータ、 9 データ、 10 治療部位、 11 アイソセンタ。
Claims (6)
- 電子線が衝突したターゲット内で該電子線により生成された放射線が、平坦化フィルタと、絞りと、コリメータとを介して所定の物体に照射されるようになっている放射線照射装置における、上記物体内での線量分布を計算するための線量計算方法であって、
平坦化フィルタ透過後の、当該平坦化フィルタ面上での放射線の位置、エネルギ及び進行方向に関するパラメータ情報を、予め条件別に分割して複数種の条件別データとして保管し、これらの条件別データに基づいて、モンテカルロ法を用いて線量計算を行う一方、
上記複数種の条件別データを重み付けするウェイト・パラメータを、該線量計算の結果を利用する各放射線照射装置ごとに測定された校正データに基づいて補正するようにしたことを特徴とする線量計算方法。 - 上記ウェイト・パラメータが、粒子数の割合を示すパラメータと、角度分布を角度方向に調整するためのパラメータとを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の線量計算方法。
- 上記放射線照射装置が、人体に対して放射線治療を施す放射線治療装置であることを特徴とする請求項1又は2に記載の線量計算方法。
- 上記パラメータ情報を、1次X線にかかる条件別データと、2次X線にかかる条件別データと、これら以外の放射線にかかる条件別データとに分割して保管することを特徴とする請求項3に記載の線量計算方法。
- 上記3種の条件別データが、それぞれ、異なる電子ビームサイズ条件及び平坦化フィルタ固定精度条件により計算された結果を含むことを特徴とする請求項4に記載の線量計算方法。
- 上記校正データとして、ほぼ1cm角サイズの小照射野線量測定データを用いることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1つに記載の線量計算方法。
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