JP6604145B2 - ボールねじの予圧回復装置 - Google Patents
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Description
この予圧付与機構としては、特許文献1に記載されているように、隣接するナット間に介挿する間座の両面に、互い違いに圧電シートを貼り付け、両ナットで強く挟持したとき間座に弾性変形を生じさせるとともに、圧電シートに供給する電圧を外部から調整することにより、予圧を外部から自在に調整することが提案されている。
この場合に、予圧付与機構を平板状の間座を設けるのみのシンプルな構成とすることができるが、ボールねじを工作機械等に組み込んで稼働させた場合には、ボールねじの転動溝に切り屑等の異物が付着すると、この異物によって転動体又は転動溝若しくは転動体及び転動溝の双方が摩耗して予圧が徐々に低下し、剛性不足によって目的とする加工精度等がでず、工作機械を停止せざるを得ない状態となり、新たなボールねじの手配をし、ボールねじの交換作業が必要となっている。
まず、本発明の一の態様を表すボールねじの予圧回復装置の一実施形態について説明する。
ねじ軸11は、外周面にボール12が転動するねじ軸側螺旋溝14が形成されている。
ナット13Aは、一端にフランジ部15を形成した円筒体16で構成され、この円筒体16の内周面にねじ軸側螺旋溝14に対向してボール12が転動するナット側螺旋溝17が形成されている。
これらナット13A及び13Bには、図示はしないがボール12を軸方向の一端側から他端側に戻すような循環路が形成され、この循環路を介してボール12を循環させる。
そして、ナット13Aのフランジ部15とは反対側にナット13Bが隣接して配置されている。
第1移動量変換部24は、図2に示すように、第1小径部21に形成された雄ねじ部23に螺合する筒体31と、この筒体31内に係合する第1の楔部38とを備えている。筒体31は、円筒外周面32と、第1小径部21の雄ねじ部23に螺合する雌ねじ部33を形成した大径円筒内面34と、この大径円筒内面34より小径で第2小径部22の外径よりは僅かに大きい小径円筒内面35とが形成されている。円筒外周面32には、図3に示すように、レンチ等の締め上げ工具を係止させる軸方向に延長する溝36が円周方向に所定間隔を保って複数形成されている。
第1の楔部38は、円錐内面37にナット13B側から対向する円周方向に所定間隔を保って複数配置されており、円錐内面37に係合する傾斜面38aと、この傾斜面38aの内周側縁から軸方向にナット13B側へ延長する内周面38bと、この内周面38bのナット13B側端縁から半径方向外方に延長しナット13Bの第1小径部21の端面に接触する接触面38cと、この接触面38cの外周縁と傾斜面38aの外周縁とを結ぶ外周面38dとを備えて、接触面38cとなる脚が上底及び下底に対して直角な台形状とされている。
第2移動量変換部25は、ナット13Aの第2小径部22の端面側に形成された円錐外面41と、この円錐外面41とナット13Bの第1小径部21の他面との間に配置された第2の楔部42とを備えている。
第2の楔部42は、ナット13A側に形成された円錐外面41に係合する傾斜面42aと、ナット13B側に形成された第1小径部21の端面に接触する接触面42bと、これら傾斜面42a及び接触面42b間を接続する内周面42c及び外周面42dとを有し、接触面42bとなる脚が上底及び下底に対して直角な台形状とされている。そして、外周面42dが第1の楔部38の内周面38bと接触されている。
ねじ軸11に対してナット13A及び13Bを装着する際には、先ずナット13Aをねじ軸11へボール12を介して螺合させる。
次いで、ナット13Aの第2小径部22の外周側に第1移動量変換部24の筒体31を小径円筒内面35側から挿入して小径円筒内面35側の端面を第2小径部22を形成する端面に当接させる。この状態で、筒体31の大径円筒内面34側の端面が第2小径部22に形成した円錐外面41の外周縁が外部に望まされる状態となる。
この状態で、ナット13Aの第2小径部22の円錐外面41とナット13Bの第1小径部21の端面との間に円周方向に所定間隔例えば90°を保って第1の楔部38及び第2の楔部42を互いの内周面38b及び外周面42dを接触させた状態で挿入し、その後、第1移動量変換部24の筒体31の雌ねじ部33をナット13Bの第1小径部21の雄ねじ部23に螺合させてその円錐内面37が第1の楔部38の接触面38cが第1小径部21の端面に接触し、且つ傾斜面38aが筒体31の円錐内面37に係合させる。
この状態では、第1の楔部38及び第2の楔部42が、ナット13A及び13Bのボール12に対して引張方向の初期予圧を与える間座として機能する。
ところで、上記構成を有するボールねじ10は、位置決め精度を必要する工作機械、射出成形機、半導体製造装置などに組込んで使用されるが、ボールねじ10には、駆動時にねじ軸11のねじ軸側螺旋溝14やナット13A及び13Bのナット側螺旋溝17に切り屑や摩耗粉等の異物が入り込み易い。
この場合には、筒体31の外周面に形成された溝36にレンチ等の締め上げ工具を係止させて筒体31を時計方向に回転させることにより、筒体31を軸方向にナット13B側に移動させる。この筒体31の軸方向の移動によって、円錐内面37に傾斜面38aが係合している第1の楔部38が半径方向の中心軸側に移動する。この第1の楔部38半径方向の中心軸側への移動に伴い、この第1の楔部38の内周面38bに第2の楔部42の外周面42dが接触しているので、この第2の楔部42も半径方向の中心軸側へ移動しようとする。
そして、新たなボールねじ10が納入されたときに、送り系の駆動を停止して、劣化を生じたボールねじ10を新たなボールねじ10に交換する作業を行う。これによって、送り系の機構を更新することができ、送り系の停止時間を短くできるので、生産量のダウンを極力小さくすることができる。
なお、上記実施形態においては、ナット13B側に第1移動量変換部24を螺合させる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図4に示すように、ナット13A側に第1小径部21を形成するとともに、ナット13B側に第2小径部22を形成し、ナット13Aの第1小径部21に第1移動量変換部24を螺合させ、ナット13Bの第2小径部22に円錐外面41を形成してこの円錐外面41と第2の楔部42とで第2移動量変換部25を形成するようにしてもよい。
Claims (4)
- ねじ軸と、該ねじ軸に複数の転動体を介して螺合する複数のナットと、隣接するナット間に配置された予圧付与機構とを備え、
前記予圧付与機構は、前記隣接するナットの対向端部側の一方に形成された第1小径部及び他方に形成された当該第1小径部に対して小径の第2小径部と、前記第1小径部に螺合されて軸方向移動量を半径方向中心軸に向かう移動量に変換する第1移動量変換部と、該第1移動量変換部の半径方向中心軸に向かう移動量を前記隣接するナット間を広げる軸方向移動量に変換する第2移動量変換部とを備え、
前記隣接するナット間の予圧低下時に、前記第1移動量変換部を軸方向に移動させて前記第2移動量変換部で当該隣接するナット間の予圧を回復させる
ことを特徴とするボールねじの予圧回復装置。 - 前記第1移動量変換部は、前記第1小径部に内周面が螺合する円筒内面を有する筒体と、該筒体の前記他方のナット側内周面に円周方向に所定間隔を保って複数形成された軸方向の一方のナットの端面側から他方のナット側に行くに従い内径が徐々に大きくなるように形成された傾斜面と、該傾斜面に係合して半径方向の中心軸方向に移動する複数の第1の楔とを備えていることを特徴とする請求項1に記載のボールねじの予圧回復装置。
- 前記第2移動量変換部は、前記他方のナットの第2小径部の円周方向に所定間隔を保って複数形成された端部に行くに従い徐々に内径が短くなる傾斜案内面と、該傾斜案内面に係合する傾斜面と前記一方のナットの端面に接触する接触面と、前記第1の楔の内周面に係合する外周面を有する複数の第2の楔部とを備えていることを特徴とする請求項2に記載のボールねじの予圧回復装置。
- 前記隣接するナットの対向端部の外周面にそれぞれ位相合わせキーを挿入するキー溝が形成されていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のボールねじの予圧回復装置。
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2015
- 2015-10-30 JP JP2015214839A patent/JP6604145B2/ja active Active
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