JP6602268B2 - 重合性組成物、フィルム、及び、投影像表示用部材 - Google Patents
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Description
特許文献1には、トランス−1,4−シクロへキシレン基、及びフェニレン基を所定の比率で含有する重合性基を含有する液晶性化合物を2種以上含有する重合性組成物が記載されている。
すなわち、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
[2] キラル化合物の分子量が、350〜470である、[1]に記載の重合性組成物。
[3] 重合性基を含有する液晶性化合物が、式(1)で表される液晶性化合物、及び、式(2)で表される液晶性化合物の両方を含有する、[1]又は[2]に記載の重合性組成物。
[4] 重合性基を含有する液晶性化合物が、式(1)で表される液晶性化合物を含有し、式(1)で表される液晶性化合物の含有量が、重合性組成物中の重合性基を含有する液晶性化合物の合計質量に対して、30〜70質量%である、[1]〜[3]のいずれかに記載の重合性組成物。
[5] 更に、重合開始剤を含有する、[1]〜[4]のいずれかに記載の重合性組成物。
[6] [1]〜[5]のいずれかに記載の重合性組成物の硬化により得られる層を含有する、フィルム。
[7] [6]に記載のフィルムを含有する、投影像表示用部材。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタアクリレートを表す。
本発明の実施態様に係る重合性組成物は、重合性基を含有する液晶性化合物と、式(3)で表されるキラル化合物と、を含有する、重合性組成物であって、重合性基を含有する液晶性化合物が、式(1)で表される液晶性化合物、及び式(2)で表される液晶性化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含有し、キラル化合物の分子量が290〜550である、重合性組成物である。
上記式(1)で表される液晶性化合物及び式(2)で表される液晶性化合物は、トランス−1,4−シクロへキシレン基、及びフェニレン基を分子内に合計5個含有しており、上記重合性基を含有する液晶性化合物を用いて形成したコレステリック液晶相を固定した層(固定してなる層)は、低複屈折性を示す。
本発明者らの検討によれば、上記重合性基を含有する液晶性化合物を含有する重合性組成物は、重合性基を含有する液晶性化合物の一次構造に起因して、従来の重合性組成物と比較して粘度が高くなりやすいことを知見している。この高い粘度のため、上記重合性基を含有する液晶性化合物は十分に配向しない場合があるものと推測される。このような液晶性化合物の配向状態に部分的な偏りがあると、得られる層の表面形状が部分的に不均一となり、これが面状ムラの原因と推測している。
それに対して、本発明においては、所定のキラル化合物を用いることにより、上述した面状ムラが抑制されることを知見している。上記キラル化合物は、構造上、螺旋構造の捻れ力(後述するHTP:Helical Twisting Power)が高い。また、分子量が290以上であり、上記液晶性化合物に作用し易く、分子量が550以下であり、重合性組成物の粘度をより低い状態で保ちやすい。
以上のように、所定の重合性基を含有する液晶性化合物を用いた際に生じる「面状ムラ」という本発明者らによって新たに知見された課題を、所定のキラル化合物を用いることで、はじめて解決することができた。
上記重合性組成物は、重合性基を含有する液晶性化合物として、式(1)で表される液晶性化合物(以下「液晶性化合物L1」ともいう。)、及び、式(2)で表される液晶性化合物(以下、「液晶性化合物L2」ともいう。)からなる群から選択される少なくとも1種を含有する。
上記重合性組成物は、2種以上の重合性基を含有する液晶性化合物を含有してもよく、その場合、重合性組成物がより優れた本発明の効果を有する点で、重合性基を含有する液晶性化合物が、液晶性化合物L1と、液晶性化合物L2との両方を含有することが好ましい。
なお、重合性組成物は、液晶性化合物L1、及び、液晶性化合物L2以外の液晶性化合物を含有してもよく、その態様は後述する。
液晶性化合物L1は、式(1)で表される液晶性化合物である。
また、上記重合性基としては、上記式(Q−1)で表されるアクリロイル基、又は上記式(Q−2)で表されるメタクリロイル基が好ましい。
また、炭素数1〜10の直鎖状のアルキレン基としては、具体的には、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、及びデシレン基等が挙げられ、中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、又はブチレン基が好ましい。
L1及びL2は、それぞれ独立に、−C(=O)O−、又は−OC(=O)−が好ましい。
Sp3は、炭素数1〜20の直鎖状又は状分岐鎖状のアルキレン基において1つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−又はC(=O)O−で置換された基であることが好ましく、炭素数1〜10の直鎖状のアルキレン基において1つ以上の−CH2−が−O−で置換された基であることがより好ましい。
ここで、置換シクロアルキル基としては、例えば、テトラヒドロフラニル基、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、ピラゾリジニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、及びモルホルニル基等が挙げられる。なお、置換位置は特に限定されない。なかでも、テトラヒドロフラニル基が好ましく、具体的には、2−テトラヒドロフラニル基がより好ましい。
Q3は、水素原子、置換シクロアルキル基、又は重合性基であることが好ましく、水素原子、又は重合性基であることがより好ましい。
ここで、重合性基を含有する液晶性化合物の合計質量とは、液晶性化合物L1、後述する液晶性化合物L2、並びに、液晶性化合物L1及び液晶性化合物L2以外の任意に含有し得る重合性基を含有する液晶性化合物の合計質量をいう。
上記液晶性化合物L1は、公知の方法により製造できる。公知の方法としては、国際公開第2016/047648号パンフレットの0060〜0065段落および0123〜0130段落の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
液晶性化合物L2は、式(2)で表される液晶性化合物である。
特に、式(2)中のSp1、及びSp2は、炭素数1〜10の直鎖状のアルキレン基の両末端に−O−がそれぞれ結合した基であることがより好ましい。
なお、上記式(2)中の1,4−シクロヘキシレン基はトランス−1,4−シクロヘキシレン基である。
上記の場合において、液晶性化合物L2の含有量に対する、液晶性化合物L1の含有量の質量比(L1/L2)が、50/50〜80/20が好ましく、55/45〜70/30がより好ましい。
上記液晶性化合物L2は、液晶性化合物L1の製造方法として説明した公知の方法により製造できる。また、例えば、液晶性化合物L2−1の製造方法については、国際公開第2016/047648号パンフレットの0123〜0126段落、及び0131〜0132段落の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
重合性組成物は、液晶性化合物L1及び液晶性化合物L2以外に、その他の液晶性化合物(以下、「液晶性化合物L3」ともいう。)を含有していてもよい。液晶性化合物L3は液晶性化合物L1及び液晶性化合物L2とは異なる化合物であり、液晶性を有していれば特に限定されず、例えば、棒状ネマチック液晶性化合物等が挙げられる。
棒状ネマチック液晶性化合物としては、例えば、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類、及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類等が挙げられる。なお、低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。
重合性基を有しない棒状液晶性化合物については、様々な文献(例えば、Y. Goto et.al., Mol. Cryst. Liq. Cryst. 1995, Vol. 260, pp.23-28)に記載がある。
一方、重合性棒状液晶性化合物は、重合性基を棒状液晶性化合物に導入することで得られる。重合性基の例には、不飽和重合性基、エポキシ基、及びアジリジニル基等が含まれ、不飽和重合性基が好ましく、エチレン性不飽和重合性基がより好ましい。重合性基は種々の方法で、棒状液晶性化合物の分子中に導入できる。重合性棒状液晶性化合物が有する重合性基の個数は、好ましくは1〜6個、より好ましくは1〜3個である。重合性棒状液晶性化合物の例は、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号明細書、同5622648号明細書、同5770107号明細書、国際公開WO95/22586号公報、同95/24455号公報、同97/00600号公報、同98/23580号公報、同98/52905号公報、特開平1−272551号公報、同6−16616号公報、同7−110469号公報、同11−80081号公報、及び特開2001−328973号公報等に記載の化合物が含まれる。2種類以上の重合性棒状液晶性化合物を併用してもよい。2種類以上の重合性棒状液晶性化合物を併用すると、配向温度を低下させることができる。
また、液晶性化合物L3の含有量は、重合性組成物の全固形分に対して、0.1〜30質量%が好ましく、0.1〜20質量%がより好ましく、0.1〜15質量%が更に好ましい。
上記重合性組成物は、式(3)で表され、分子量が290〜550である、キラル化合物を含有する。なお、本明細書において分子量とは、構造式から計算することができる分子量を意図する。
置換基を有してもよい炭素数1〜15の連結基としては、特に限定されないが、例えば、炭素数1〜15の直鎖状、分岐鎖状、又は、環状のアルキレン基;炭素数1〜15の直鎖状、分岐鎖状、又は、環状のアルキレン基において1つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、又は−C(=O)O−で置換された連結基;等が挙げられる。
Lの炭素数としては、1〜15であり、1〜13が好ましく、1〜8がより好ましい。
1価の置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、カルバモイルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、及びアニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基、及び、これらを2個以上組み合わせた基等が挙げられる。
なお、上記炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、及び、アルキニル基等が挙げられる。
なかでも、得られる重合性組成物が、より優れた本発明の効果を有する点で、R1〜R10は、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜14のアルキル基、炭素数1〜14のアルコキシ基、−OC(=O)R11、−C(=O)OR12、−C(=O)R13、−C(=O)N(R14)2、−OC(=O)O−N(R15)2、又は−OC(=O)N(R16)2がより好ましく、水素原子、又は−OC(=O)R11が更に好ましい。
なお、R11は、炭素数1〜14のアルキル基、炭素数1〜14のアルケニル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。
R12は、炭素数1〜14の酸素原子を含有してもよいアルキル基、炭素数1〜14の酸素原子を含有してもよいアルケニル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。
R13は、炭素数1〜14の酸素原子を含有してもよいアルキル基、炭素数1〜14の酸素原子を含有してもよいアルケニル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。
R14は、炭素数1〜14の酸素原子を含有してもよいアルキル基、炭素数1〜14の酸素原子を含有してもよいアルケニル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。
R15は、炭素数1〜14の酸素原子を含有してもよいアルキル基、炭素数1〜14の酸素原子を含有してもよいアルケニル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。
Rは、それぞれ独立に、水素原子、又はアルキル基を示す。
また、上述した各基は、いずれも置換基を有していてもよい。
なお、HTPとは、光の照射により変化する液晶の螺旋ピッチ、即ち螺旋構造の捻れ力(ヘリカルツイスティングパワー)をいう。
<重合開始剤>
重合性組成物は、重合開始剤を含有することが好ましい。例えば、紫外線照射により硬化反応を進行させて硬化膜を形成する態様では、使用する重合開始剤は、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤であることが好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジン及びフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)及びオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)等が挙げられる。重合開始剤の市販品としては、IRGACURE OXE01、及びOXE02(いずれもBASF社製)等が挙げられる。
重合性組成物は、安定的又は迅速な液晶相(例えば、コレステリック液晶相)の形成に寄与する配向制御剤を含有することが好ましい。
配向制御剤の例には、含フッ素(メタ)アクリレート系ポリマー、WO2011/162291号に記載の一般式(X1)〜(X3)で表される化合物、及び特開2013−47204号公報の0020〜0031段落に記載の化合物が含まれる。これらから選択される2種以上を含有していてもよい。これらの化合物は、層の空気界面において、液晶性化合物の分子のチルト角を低減、又は、実質的に水平配向させることができる(このような配向制御剤を、本明細書では、以下「空気界面配向剤」ともいう。)。
なお、本明細書で「水平配向」とは、分子長軸と膜面が平行であることをいうが、厳密に平行であることを要求するものではなく、本明細書では、膜面とのなす傾斜角が20度未満の配向を意味するものとする。液晶性化合物が空気界面付近で水平配向する場合、配向欠陥が生じ難いため、可視光領域での透明性が高くなる。一方、液晶性化合物の分子が大きなチルト角で配向すると、例えば、コレステリック液晶相とする場合は、その螺旋軸が膜面法線からずれるため、反射率が低下したり、フィンガープリントパターンが発生し、ヘイズの増大や回折性を示したりするため好ましくない。
配向制御剤として利用可能な含フッ素(メタ)アクリレート系ポリマーの例は、特開2007−272185号公報の0018〜0043段落等にも記載がある。
配向制御剤としては、一種の化合物を単独で用いてもよいし、二種以上の化合物を併用してもよい。
重合性組成物は、硬化後の膜強度向上、及び/又は耐久性向上のため、任意に架橋剤を含有していてもよい。架橋剤としては、紫外線、熱、湿気等で硬化するものが好適に使用できる。
架橋剤としては、特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の多官能アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物;2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、4,4−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等のアジリジン化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、ビウレット型イソシアネート等のイソシアネート化合物;オキサゾリン基を側鎖に有するポリオキサゾリン化合物;ビニルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物等が挙げられる。また、架橋剤の反応性に応じて公知の触媒を用いることができ、膜強度及び耐久性向上に加えて生産性を向上させることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
任意の架橋剤の含有量は特に限定されないが、重合性組成物の全固形分に対して、3〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。架橋剤の含有量が、3質量%以上であると、架橋密度向上の効果がより高く、20質量%以下であると、層の安定性がより高い。
重合性組成物は、層を形成する作業性等の観点から、有機溶媒を含有するのが好ましい。
有機溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;ピリジン等のヘテロ環化合物;ベンゼン、トルエン、ヘキサン等の炭化水素;クロロホルム、ジクロロメタン等のアルキルハライド;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、アルキルハライド、エステル類及びケトン類が好ましい。
重合性液晶性化合物の固形分濃度としては特に限定されないが、より優れた塗布性を有する点で、10〜40質量%が好ましい。
重合性組成物は、1種又は2種類以上の、酸化防止剤、紫外線吸収剤、増感剤、安定剤、可塑剤、連鎖移動剤、重合禁止剤、消泡剤、レべリング剤、増粘剤、難燃剤、界面活性物質、分散剤、染料及び顔料等の色材、等の他の添加剤を含有していてもよい。
本発明の実施態様に係るフィルムは、上記重合性組成物の硬化により得られる層(硬化膜)を含有する。上記フィルムは、公知の方法により製造することができる。フィルムの製造方法としては、例えば、
(I)基板上、又は基板上に形成された配向膜上(以下「基板等」ともいう。)に、重合性組成物を塗布して、未硬化層を形成し、液晶相(コレステリック液晶相等)の状態に熟成する工程(熟成工程)と、
(II)未硬化層中の重合性組成物の硬化反応を進行させ、液晶相を固定して硬化膜を形成する工程(硬化工程)と、を含有する製造方法が挙げられる。
上記熟成工程と、硬化工程とを、複数回繰り返して、複数の上記硬化膜が積層されたフィルムを作製することもできる。また、複数の硬化膜同士を接着剤により貼合して、複数の硬化膜が積層されたフィルムを作製することもできる。
熟成工程としては、基板等に、重合性組成物を塗布して、未硬化層を形成し、液晶相の状態に熟成する工程が挙げられる。
フィルムは、基板を含有していてもよい。上記基板としては、公知の基板を用いることができる。公知の基板としては、例えば、国際公開第2016/047648号パンフレットの0102段落に記載の基板を用いることができ、上記の内容は本明細書に組み込まれる。
フィルムは、基板と硬化膜との間に、配向膜を有していてもよい。上記配向膜としては、公知の配向膜を用いることができる。公知の配向膜としては、例えば、国際公開第2016/047648号パンフレットの0103〜0104段落に「配向層」として記載されている配向膜を用いることができ、上記の内容は本明細書に組み込まれる。
複数の硬化膜同士を接着剤により貼合する場合、硬化膜の間には接着層を設けてもよい。接着層としては、接着剤により形成される態様が挙げられる。
接着剤としては、特に限定されず、公知の接着剤を用いることができる。公知の接着剤としては、例えば、国際公開第2016/047648号パンフレットの0105段落に記載された接着剤が挙げられ、その内容は本明細書に組み込まれる。
上記重合性組成物を基板等に塗布する方法は特に限定されず、例えば、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、及びダイコーティング法等が挙げられる。
また、インクジェット装置を用いて、重合性組成物をノズルから吐出して、未硬化層を形成することもできる。
未硬化層をコレステリック液晶相等の液晶相の状態にする方法(熟成方法)としては特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
例えば、重合性組成物が、溶媒を含む塗布液として調製されている態様では、未硬化層を乾燥し、溶媒を除去することで、液晶相の状態にすることができる場合がある。
また、液晶相への転移温度とするために、未硬化層を加熱してもよい。例えば、未硬化層を、等方性相の温度まで一旦加熱し、その後、未硬化層を液晶相転移温度まで冷却することで、安定的に液晶相の状態にすることができる。重合性組成物の液晶相転移温度は、重合性組成物の組成により調整することができ、特に限定されないが、製造適性等の面から10〜250℃の範囲内であることが好ましく、10〜150℃の範囲内であることがより好ましい。
未硬化層を加熱する温度(以下、「熟成温度」ともいう。)は、特に限定されないが、製造適性等の面から60〜100℃が好ましく、70〜100℃がより好ましい。
また、未硬化層を加熱する時間は特に限定されないが、製造適性等の観点から、5分間以下が好ましく、2分間以下がより好ましい。
硬化工程としては、未硬化層中の重合性組成物の硬化反応を進行させ、液晶相を固定して硬化膜を形成する工程が挙げられる。
硬化方法としては、特に限定されず、公知の硬化方法を用いることがでる。
硬化方法としては、例えば、ラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法、及び配位重合法等が挙げられる。
また、例えば、紫外線を照射して、硬化反応を進行させてもよい。紫外線照射には、紫外線ランプ等の光源を利用してもよい。紫外線を未硬化層に照射して、未硬化層中の組成物の硬化反応を進行させ、液晶相(コレステリック液晶相等)を固定し、硬化膜を形成してもよい。
紫外線の照射エネルギー量については特に限定されず、一般的には、0.1J/cm2〜0.8J/cm2程度が好ましい。また、紫外線を照射する時間については特に限定はないが、強度及び生産性の双方の観点から決定すればよい。
なお、フィルムにおいては、液晶相の光学的性質が層中において保持されていれば十分であり、最終的に硬化膜中の組成物がもはや液晶性を示す必要はない。例えば、組成物が、硬化反応により高分子量化して、もはや液晶性を失っていてもよい。
上記実施態様に係るフィルムとしては、例えば、重合性組成物の液晶相の配向(例えば、水平配向、垂直配向、又はハイブリッド配向等)を固定した層を含有するフィルムが挙げられる。このようなフィルムは通常、光学異方性を示し、液晶表示装置等の光学補償フィルム等として利用してもよい。
別の例としては、重合性組成物のコレステリック液晶相を固定した層を含有するフィルムが挙げられる。このようなフィルムは、所定の波長域の光に対して選択反射特性を示すフィルム(選択反射フィルム)等として利用してもよい。
コレステリック液晶相では、液晶分子は螺旋状に配列している。コレステリック液晶相を固定した層(固定してなる層)(本明細書において、「コレステリック液晶層」又は「液晶層」ということがある。)は選択反射波長域において、右円偏光及び左円偏光のいずれか一方を選択的に反射させ、他方のセンスの円偏光を透過させる円偏光選択反射層として機能する。コレステリック液晶層を1層以上含むフィルムは、様々な用途に用いることができる。コレステリック液晶層を2層以上含むフィルムにおいて、各コレステリック液晶層が反射する円偏光のセンスは用途に応じて同じでも逆であってもよい。また、各コレステリック液晶層の選択反射の中心波長も用途に応じて同じでも異なっていてもよい。
また、反射帯域を制御することで、カラーフィルタ及び/又はディスプレイの表示光の色純度を向上させるフィルタ(例えば特開2003−294948号公報参照)として利用することもできる。
また、光学フィルムは、偏光素子、反射膜、反射防止膜、視野角補償膜、ホログラフィー、及び配向膜等として利用することもできる。
本発明の実施態様に係る投影像表示用部材は、上記フィルムを含有する。
投影像表示装置は、コレステリック液晶層の上記の機能により、投射光のうち選択反射を示す波長において、いずれか一方のセンスの円偏光を反射させて、投映像を形成することができる。投映像は投映像表示用部材表面で表示され、そのように視認されるものであってもよく、観察者から見て投映像表示用部材の先に浮かび上がって見える虚像であってもよい。
例えば、投影像表示用部材を可視光領域の光に対して透過性を有する構成とすれば、ヘッドアップディスプレイ(HUD:Head-Up Display)のコンバイナとして用いることが可能な投映像表示用ハーフミラーすることもできる。観察者は、プロジェクター等から投映された画像を上記投映像表示用ハーフミラーにより視認でき、かつ、上記投映像表示用ハーフミラーの画像が表示された面と反対側の面にある情報、又は風景を同時に視認することができる。
なお、上記投映像表示用ハーフミラーにおいて、反射する波長を調整する方法については特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
反射する波長を調整する方法については、例えば、国際公開第2016/047648号パンフレットの0110〜0113段落に記載の方法が挙げられ、上記内容は本明細書に組み込まれる。
基材は可視光領域で透明で低複屈折性であることが好ましい。例えば、基材の波長550nmにおける位相差は50nm以下であることが好ましく、20nm以下であることがより好ましい。
また、投影像表示用部材(例:投映像表示用ハーフミラー)は反射防止層を含有してもよい。反射防止層は、投影像表示用部材の最表面に含まれていることが好ましい。反射防止層は、投映像表示用ハーフミラーの使用の際に観察側となる最表面に設けられていてもよく、反対側の最表面に設けられていてもよいが、観察側の最表面に設けられていることが好ましい。基材表面に硬化膜を設ける場合は、基材側表面と観察側となる硬化膜側との双方に反射防止層を設けてもよい。このような構成により、特に基材の複屈折性が高い場合に生じうる二重像が生じにくくなるからである。
なお、後述する実施例及び比較例にて使用する液晶性化合物及びキラル化合物は、上述した例示化合物(液晶性化合物L1−1〜L1−22、液晶性化合物L2−1〜L2−19、液晶性化合物L3−1、キラル化合物A−1〜A−7)から適宜選択して使用される。
下記の組成により調製した塗布液1を厚み50μmの富士フイルム製PET(Polyethylene terephthalate)フィルム上に、ワイヤーバーを用いて、乾燥後の乾膜の厚みが4〜5μm程度になるように調整して室温にて塗布し、塗膜を形成した。
次いで、形成した塗膜を30℃にて30秒間乾燥させ、未硬化層を形成した。
その後、未硬化層を85℃で2分間加熱して熟成し、コレステリック液晶相とした。
その後、未硬化層を備えるPETフィルムを、60℃、窒素雰囲気下に30秒間おいて、次に、熟成後の未硬化層に対して、高圧水銀ランプを用いて照射量が300mJ/cm2になるように紫外線を照射して硬化させ、コレステリック液晶相を固定して液晶層を作製した。
島津社製の分光光度計UV−3100PCを用いて、上記の液晶層付きPETフィルムの透過スペクトルを測定したところ、選択反射フィルムとして良好な性能を有していることが確認された。
重合性組成物として、下記組成の塗布液1を調製した。
・液晶性化合物L1−1:式(1)で表される重合性基を含有する液晶性化合物に該当する。 55質量部
・液晶性化合物L2−1:式(2)で表される重合性基を含有する液晶性化合物に該当する。 30質量部
・液晶性化合物L3−1:その他の液晶性化合物に該当する。 15質量部
・重合開始剤IRGACURE OXE01(BASF社製):光重合開始剤に該当する。 0.75質量部
・キラル化合物A−1 9質量部
・空気界面配向剤(1) 0.01質量部
・空気界面配向剤(2) 0.02質量部
・メチルエチルケトン 260質量部
・シクロヘキサノン 65質量部
・空気界面配向剤(1)
・空気界面配向剤(2)
塗布液1の調製において、各化合物の種類及び含有量を表1の各欄に記載したとおりとしたことを除いては、実施例1と同様の手順で、実施例2〜10、及び比較例1〜3の液晶層を得た。なお、各塗布液の調製に用いたキラル化合物B−1〜B−3は以下のとおりである。
作製した各液晶層を目視で確認し、以下の基準で面状ムラの有無を評価した。
1:面状の50%超の面積にムラが見られる。
2:面状の30%超50%以下の面積にムラが見られる。
3:面状の10%超30%以下の面積にムラが見られる。
4:面状の10%以下の面積にムラが見られる。
5:面状にムラがほとんど見られない。
なお、実用上、「3」以上が好ましい。ここで、面状ムラとは、液晶層の表面状態を観察した際に視認されるムラ(欠陥部、不均一部)である。
キラル化合物の分子量が、350〜470である、実施例1の重合性組成物は、実施例7、及び実施例5の重合性組成物と比較して、より優れた本発明の効果を有していた。
液晶性化合物L1の含有量が、重合性基を含有する液晶性化合物の合計質量に対して、30〜70質量%である実施例8及び10の重合性組成物は、実施例9の重合性組成物と比較して、より優れた本発明の効果を有していた。
実施例1の重合性組成物(塗布液)の調製において、液晶性化合物L1−1を液晶性化合物L1−2としたことを除いては、実施例1と同様にして、液晶層を作製したところ、実施例1と同様の評価結果であった。
実施例1の重合性組成物(塗布液)の調製において、液晶性化合物L1−1を液晶性化合物L1−7としたことを除いては、実施例1と同様にして、液晶層を作製したところ、実施例1と同様の評価結果であった。
実施例1の重合性組成物(塗布液)の調製において、液晶性化合物L2−1を液晶性化合物L2−2としたことを除いては、実施例1と同様にして、液晶層を作製したところ、実施例1と同様の評価結果であった。
実施例1の重合性組成物(塗布液)の調製において、液晶性化合物L2−1を液晶性化合物L2−8としたことを除いては、実施例1と同様にして、液晶層を作製したところ、実施例1と同様の評価結果であった。
上記実施例1の液晶層側に、DIC株式会社製UV硬化型接着剤Exp.U12034−6を、乾燥後の乾膜の厚みが5μmになるように室温にてワイヤーバーを用いて塗布した。次に、厚さ5mmのメタアクリル製の透明基材(三菱レイヨン社製「アクリライトL」)を上記接着剤層に貼りあわせて、その後、UV(紫外線)照射した。次に、得られた積層体からPETフィルムを剥離して、メタアクリル基材を有する投映像表示用ハーフミラーを作製した。上記投映像表示用ハーフミラーをHUD用のコンバイナとして用いたところ、良好な性能を有していた。
Claims (7)
- 重合性基を含有する液晶性化合物と、式(3)で表されるキラル化合物と、を含有する、重合性組成物であって、
前記重合性基を含有する液晶性化合物が、式(1)で表される液晶性化合物、及び、式(2)で表される液晶性化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含有し、
前記キラル化合物の分子量が290〜550である、重合性組成物。
式(1)及び(2)中、L1及びL2はそれぞれ独立に、単結合、又は、−C(=O)O−、−OC(=O)−、及び−OC(=O)O−からなる群から選択される連結基を示し、X1は、単結合、−O−、−S−、−N(Sp4−Q4)−、又は、Q3及びSp3と共に環構造を形成している窒素原子を示し、Sp1及びSp2は、それぞれ独立に、単結合、又は、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基、及び、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基において1つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、若しくは−C(=O)O−で置換された基、からなる群から選択される連結基を示し、Sp3及びSp4は、それぞれ独立に、単結合、又は、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基、及び、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基において1つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、若しくは−C(=O)O−で置換された基、からなる群から選択される連結基を示し、Q1及びQ2は、それぞれ独立に、水素原子、又は、式(Q−1)〜(Q−5)で表される基からなる群から選択されるいずれかの重合性基を示し、かつ、Q1及びQ2の少なくとも一方は前記重合性基を示し、Q3及びQ4は、それぞれ独立に、水素原子、シクロアルキル基、シクロアルキル基において1つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、若しくは−C(=O)O−で置換された基、又は式(Q−1)〜式(Q−5)で表される基からなる群から選択されるいずれかの重合性基を示す。なお、式(Q−1)〜式(Q−5)中、・は結合位置を示す。
式(3)中、Lは、炭素数1〜15の直鎖状、分岐鎖状、若しくは、環状のアルキレン基;又は、炭素数1〜15の直鎖状、分岐鎖状、若しくは、環状のアルキレン基において1つ以上の−CH 2 −が−O−、−S−、−NH−、−N(CH 3 )−、−C(=O)−、−OC(=O)−、若しくは−C(=O)O−で置換された連結基を示し、
R1〜R 3 、R 5 、R 6 及びR 8 〜R10は、水素原子を示し、
R 4 及びR 7 は、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜14のアルキル基、炭素数1〜14のアルコキシ基、−OC(=O)R 11 、−C(=O)OR 12 、−C(=O)R 13 、又は、−C(=O)N(R 14 ) 2 を示し、
R 11 は、炭素数1〜14のアルキル基、炭素数1〜14のアルケニル基、アリール基、又はヘテロ環基を示し、
R 12 及びR 13 は、炭素数1〜14の酸素原子を含有してもよいアルキル基、炭素数1〜14の酸素原子を含有してもよいアルケニル基、アリール基、又はヘテロ環基を示し、
R 14 、及びR 15 は、それぞれ独立して、炭素数1〜14の酸素原子を含有してもよいアルキル基、炭素数1〜14の酸素原子を含有してもよいアルケニル基、アリール基、又はヘテロ環基を示し、
R 4 及びR 7 は同じ基を示す。 - 前記キラル化合物の分子量が、350〜470である、請求項1に記載の重合性組成物。
- 前記重合性基を含有する液晶性化合物が、前記式(1)で表される液晶性化合物、及び、前記式(2)で表される液晶性化合物の両方を含有する、請求項1又は2に記載の重合性組成物。
- 前記重合性基を含有する液晶性化合物が、式(1)で表される液晶性化合物を含有し、
前記式(1)で表される液晶性化合物の含有量が、前記重合性組成物中の前記重合性基を含有する液晶性化合物の合計質量に対して、30〜70質量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の重合性組成物。 - 更に、重合開始剤を含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の重合性組成物。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の重合性組成物の硬化により得られる層を含有する、フィルム。
- 請求項6に記載のフィルムを含有する、投影像表示用部材。
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