JP6601799B2 - 交流電磁石 - Google Patents

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Description

本発明は交流電磁石に関し、より詳しくは、磁気力顕微鏡における交流磁場源として好ましく用いることのできる交流電磁石に関する。
磁性体サンプルの直流磁気特性(直流磁気プロファイル)を測定する技術として、図34に示す交番磁気力顕微鏡(MFM)10000が知られている(特許文献1)。
この交番磁気力顕微鏡10000では、励振した探針10001(カンチレバー)の先端に設けた探針チップ10011により、試料10002の表面を走査する。試料10002の下側には交流電磁石10004が設けられており、探針チップ10011には、試料10002が生成する直流磁場H_DCと、交流電磁石10004が生成する交流磁場H_ACとの重畳磁場が印加される。探針チップとしては、例えば高密度磁気記録媒体等から発生する弱い直流磁場を観察する場合には、強磁性体でソフト磁気特性を有し飽和磁束密度が大きな、ソフト磁性探針チップを用いることができ、また例えば永久磁石等から発生する強い直流磁場を観察する場合には、微細な強磁性粒子が非磁性の粒界で取り囲まれたグラニュラー合金であって超常磁性を示す材料を用いた超常磁性探針チップ(PCT/JP2015/072969として出願された。)を用いることができる。
レーザ(LASER)10031とフォトダイオード(PD)10032とを有してなる振動検出器により、探針10001の振動(振動変調)が検出され、図示しないプロファイル測定装置により試料10002の表面の直流磁場勾配を反映した直流磁気プロファイルが測定される。
国際公開第2013/047537号パンフレット 国際公開第2009/101991号パンフレット 特許第4769918号公報 特開平5−332470号公報 特開平5−182826号公報 実開平6−2622号公報 特開平3−261362号公報
交番磁気力顕微鏡において、超常磁性探針チップを用いる場合には、測定感度を高めるために交流電磁石から発生する交流磁場の強度を高めることが望ましい。しかしながら、高い周波数において強い交流磁場を得ようとすると、周波数が高くなるに従って電磁石のインピーダンスが増大するので、交流電磁石に電流を流すために大きな印加電圧が必要になる。高電圧で大電流を出力できる電源は一般に入手困難である(電磁石用の電源は、低電圧−大電流型の電源が一般的である。一方、圧電体用の電源は、高電圧−低電流型の電源が一般的である。)。また周波数が高くなるほど鉄損が増大するので、磁場強度が低下する。電磁石の銅損(導線の電気抵抗による損失)および鉄損(電磁石を構成する磁性材料に発生する損失)は電磁石温度を上昇させるので、電磁石の近傍に配置される観察試料の観察温度が変化すること、及び、交番磁気力顕微鏡に観察位置の変動等の温度ドリフトが発生することにより、精度の高い測定が困難になる。
本発明は、強い交流磁場を低電圧かつ低発熱で発生させることが可能な、交番磁気力顕微鏡の交流磁場源に適した交流電磁石を提供することを課題とする。
本発明の交流電磁石は、
長軸方向に離隔した第1の端部および第2の端部を有する磁極柱と、
磁極柱の周囲に巻回されたコイルと、
底面、側面、および上面を有し、磁極柱に接して配置された磁気ヨークと、
非磁性導体により構成され、第1の板状部を有する遮蔽部材と
を有し、
磁気ヨークは、
磁気ヨークの底面を構成し、磁極柱の第2の端部および/または側面と接し、磁極柱とともにコイルの磁束を導く磁路を形成するベースヨーク部と、
磁気ヨークの側面を構成し、磁極柱の側方であって且つ磁極柱から見てコイルの外側に、ベースヨーク部と接して又はベースヨーク部と一体に配置され、ベースヨーク部とともにコイルの磁束を導く磁路を形成するアウターヨーク部と、
磁気ヨークの上面を構成し、磁極柱の第1の端部が挿通可能な貫通孔を有し、アウターヨーク部と接して又はアウターヨーク部と一体に配置され、アウターヨーク部とともにコイルの磁束を導く磁路を形成するリターンヨーク部と
を有し、
コイルは、平面視において該コイルの中心孔がリターンヨーク部の貫通孔と重複するように、リターンヨーク部とベースヨーク部との間に配置され、
磁極柱は、コイルのリターンヨーク側に第1の端部が突出するように、コイルの中心孔に挿通され、
リターンヨーク部は、磁極柱に接しないように、且つ、平面視においてリターンヨーク部の貫通孔に磁極柱の第1の端部が含まれるように配置され、
磁極柱とリターンヨーク部との間を流れる磁束の少なくとも一部は、磁極柱の第1の端部の端面、および、リターンヨーク部のベースヨーク部とは反対側の空間を通り、
遮蔽部材の第1の板状部は、該第1の板状部の厚さ方向に設けられた貫通孔を有し、
遮蔽部材の第1の板状部は、該第1の板状部の貫通孔が磁極柱によって挿通されるか、又は第1の板状部の貫通孔に磁極柱の第1の端部が受け容れられるように配置され、
遮蔽部材の第1の板状部は、磁極柱のうちコイルの中心孔内にある部分と第1の端部との間の部分の表面の少なくとも一部をリターンヨーク部から覆い隠しており、
第1の板状部には、平面視において第1の板状部の貫通孔から外縁部まで延在するスリットが設けられていることを特徴とする。
本発明の交流電磁石によれば、電磁石のインピーダンスを低減できるので、強い交流磁場を低電圧かつ低発熱で発生させることが可能である。本発明の交流電磁石は、交番磁気力顕微鏡の交流磁場源として好ましく用いることができる。
一の実施形態に係る交流電磁石100を模式的に説明する断面図である。 交流電磁石100の全体像を説明する斜視図である。 図2において中心軸に沿って切断した図である。 図3から磁気ヨーク30のみを抽出した図である。 交流電磁石100の計算機シミュレーションに用いた寸法を示す断面図である。 遮蔽部材40を説明する斜視図である。 遮蔽部材40のスリット内を通る断面における交流電磁石の磁束の流れを、遮蔽部材40のある場合とない場合とを比較して表した図である。(A)遮蔽部材40のない場合における交流電磁石の磁束の流れを表した図である。(B)遮蔽部材40のある場合における交流電磁石100の磁束の流れを表した図である。 遮蔽部材40における渦電流の分布を説明する図である。(A)遮蔽部材40における渦電流の計算結果を、遮蔽部材40を半分に切断したモデルの上に表した図である。(B)(A)の計算結果に基づき、遮蔽部材40の中心部および外周部における渦電流を模式的に表した図である。 他の一の実施形態に係る交流電磁石200を模式的に説明する断面図である。 他の一の実施形態に係る交流電磁石300を模式的に説明する断面図である。 他の一の実施形態に係る交流電磁石400を模式的に説明する断面図である。 他の一の実施形態に係る交流電磁石500を模式的に説明する断面図である。 他の一の実施形態に係る交流電磁石500’を模式的に説明する断面図である。 交流電磁石500を中心軸に沿って半分に切断した様子を表した斜視図である。 他の一の実施形態に係る交流電磁石600を模式的に説明する断面図である。 交流電磁石600が備える遮蔽部材640を説明する透視斜視図である。 他の一の実施形態に係る交流電磁石700を模式的に説明する断面図である。 交流電磁石700において、遮蔽部材640と磁極柱10とが含まれる断面を模式的に説明する図である。(A)遮蔽部材の第1の板状部641の貫通孔641aの内周部において、第1の板状部のスリット641cの端部が、磁極柱10(積層鉄心)の積層構造が現れた部分と向かい合う配置を表した図である。(B)遮蔽部材の第1の板状部641の貫通孔641aの内周部において、第1の板状部のスリット641cの端部が、磁極柱10(積層鉄心)の積層構造が現れない部分と向かい合う配置を表した図である。 交流電磁石700の詳細な計算機シミュレーション及び試作において用いた寸法を示す断面図である。 試作した交流電磁石の電流−磁場特性を示すグラフである。 試作した交流電磁石の温度特性を示すグラフである。 他の一の実施形態に係る交流電磁石800を模式的に説明する断面図である。 遮蔽部材840を側上方から見た斜視図である。 遮蔽部材840を側下方から見た斜視図である。 他の一の実施形態に係る交流電磁石900を模式的に説明する断面図である。 遮蔽部材940を側上方から見た斜視図である。 遮蔽部材940を側下方から見た斜視図である。 他の一の実施形態に係る交流電磁石1000を模式的に説明する断面図である。 交流電磁石1000を磁極柱の中心軸に沿って切断した様子を示す斜視図である。 遮蔽部材1040を側上方から見た斜視図である。 遮蔽部材1040を側上方から見た斜視図である。 遮蔽部材1040を側下方から見た斜視図である。 交流電磁石100及び交流電磁石900の磁束密度分布を比較した図である。(A)交流電磁石100の磁束密度分布を表した図である。(B)交流電磁石900の磁束密度分布を表した図である。 交番磁気力顕微鏡10000を模式的に説明する図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。図では、符号を一部省略することがある。本明細書において、数値A及びBについて「A〜B」は、特に別途規定されない限り、「A以上B以下」を意味する。該表記において数値Aの単位を省略する場合には、数値Bに付された単位が数値Aの単位として適用されるものとする。なお、以下に示す形態は本発明の例示であり、本発明がこれらの形態に限定されるものではない。
図1は、一の実施形態に係る交流電磁石100(以下において単に「交流電磁石100」ということがある。)を模式的に説明する断面図である。図2は、交流電磁石100の全体像を説明する斜視図である。図3は、図2において中心軸に沿って切断した図であり、図3における切断面が図1に表れている。図4は、図3から磁気ヨーク30のみを抽出した図である。
図1に示すように、交流電磁石100は、長軸方向に離隔した第1の端部10aおよび第2の端部10bを有する磁極柱10と、磁極柱10の周囲に巻回されたコイル20と、底面30a、側面30b、および上面30cを有し、磁極柱10に接して配置された磁気ヨーク30と、非磁性導体により構成され、第1の板状部41を有する遮蔽部材40とを備えている。
磁極柱10は、コイル20の中心孔20aに挿通されており、第1の端部10aは中心孔20aから突出している。
磁極柱10は、第1の端部10aに向けて先細になった形状を有しており、これにより第1の端部10aから空間中に放出される磁束の密度を増すことができる。また磁極柱10の第1の端部10aは平面状の端面を有しており、これにより第1の端部10a近傍の磁場の空間的な均一性を高めることができる。
磁極柱10は、例えば珪素鋼の積層鋼板等で構成することができる。
このように交流電磁石の磁極柱の構成や先端形状を工夫することにより、交番磁気力顕微鏡において、探針および試料が配置された空間に、空間的な均一性の高い交流磁場を低電圧で効率的に発生させることが容易になる。
磁気ヨーク30は、底面30aを構成するベースヨーク部31と、側面30bを構成するアウターヨーク部32と、上面30cを構成するリターンヨーク部33とを有する。
ベースヨーク部31は、磁極柱10の第2の端部10bおよび/または側面10cと接し、磁極柱10とともにコイル20の磁束を導く磁路を形成する。
アウターヨーク部32は、ベースヨーク部31とともにコイル20の磁束を導く磁路を形成する。アウターヨーク部32は、ベースヨーク部31と接して配置されていてもよく、ベースヨーク部31と一体に配置されていてもよい。アウターヨーク部32は、磁極柱10の側方であって且つ磁極柱10から見てコイル20の外側に配置されている。ベースヨーク部31とアウターヨーク部32とは、例えばネジ止め等の公知の手法により両者が接した状態で一体に保持されていてもよく、また例えば溶接やプレス加工、鋳造等の公知の手法により一体の部品として形成されていてもよい。
リターンヨーク部33は、磁極柱10の第1の端部10aが挿通可能な貫通孔33aを有している。リターンヨーク部33は、アウターヨーク部32とともにコイル20の磁束を導く磁路を形成する。リターンヨーク部33は、アウターヨーク部32と接して配置されていてもよく、アウターヨーク部32と一体に配置されていてもよい。アウターヨーク部32とリターンヨーク部33とは、例えばネジ止め等の公知の手法により両者が接した状態で一体に保持されていてもよく、また例えば溶接やプレス加工、鋳造等の公知の手法により一体の部品として形成されていてもよい。
リターンヨーク部33は、貫通孔33aの周縁部33bがベースヨーク部31とは反対側に向けて突き出た形状を有するとともに、ベースヨーク部31から見て、リターンヨーク部33のベースヨーク部31側の面33cには、リターンヨーク部33の貫通孔33aの周囲に凹部33dが形成されている。
磁気ヨーク30は、例えば珪素鋼の積層鋼板等で構成することができる。但し、リターンヨーク部33の貫通孔33aの周囲の突き出た部分(突出部)については、製造の難易度を考慮して非積層の珪素鋼を採用することも可能である。積層鋼板の積層方向(個々の板面に垂直な方向)は、磁極柱10とアウターヨーク部32では磁極柱の長軸方向(すなわち磁束線の方向)に対して交差する方向、(特に好ましくは直交方向)とし、ベースヨーク部31とリターンヨーク部33の平坦部では磁極柱10の長軸方向とすることが好ましい。この理由は、磁束線に直交する断面で、レンツの法則により、侵入する磁束を打ち消すように電磁誘導によって円環状の渦電流が流れるところ、断面の面積を小さくすることで渦電流を低減できるからである。
コイル20は、平面視において該コイル20の中心孔20aがリターンヨーク部33の貫通孔33aと重複するように、リターンヨーク部33とベースヨーク部31との間に配置されている。本明細書において平面視とは、磁気ヨーク30の平面視(すなわち磁気ヨーク30の底面30aを垂直に見下ろす平面視)を意味する。磁極柱10は、コイル20のリターンヨーク33側に第1の端部10aが突出するように、コイル20の中心孔20aに挿通されている。
リターンヨーク部33は、磁極柱10に接しないように、且つ、平面視においてリターンヨーク部33の貫通孔33aに磁極柱10の第1の端部10aが含まれるように配置されている。コイル20に電流が供給されると、磁極柱10とリターンヨーク部33との間を流れる磁束の少なくとも一部は、磁極柱10の第1の端部10aの端面、および、リターンヨーク部33のベースヨーク部31とは反対側の空間(図1においてリターンヨーク部33に対して紙面上側の空間。以下において単に「リターンヨーク部33上方の空間」ということがある。)を通る。
図2〜図4に示すように、リターンヨーク部33には、平面視においてリターンヨーク部33の貫通孔33aから外縁部33eまで延在するスリット33fが設けられている。スリット33fは1本のみ設けられていてもよく、複数本設けられていてもよい。
図2及び図4に示すように、アウターヨーク部32には、リターンヨーク部33に面する端部32aから、ベースヨーク部31に面する端部32bまで延在するスリット32cが、リターンヨーク部33のスリット33fに連なるように設けられている。スリット32cは1本のみ設けられていてもよく、複数本設けられていてもよい。
また図4に示すように、ベースヨーク部31には磁極柱10と接する位置に貫通孔31aが設けられている。ベースヨーク部31には、平面視において貫通孔31aから外縁部31bまで延在するスリット31cが、アウターヨーク部32のスリット32cに連なるように設けられている。スリット31cは1本のみ設けられていてもよく、複数本設けられていてもよい。なお貫通孔31aの幅は必ずしもスリット31cの幅より広くなくてもよく、例えばスリット31cの幅と同一であってもよい。そのような形態においては、貫通孔31aはスリット31cの端部と言い換えることができる。スリット31cが複数本設けられる場合、該複数のスリット31c、31、…は貫通孔31aにおいて連なるように設けられる。
このようにリターンヨーク部33、アウターヨーク部32、及びベースヨーク部31において少なくとも一組のスリット33f、32c、31cが一体に連なって設けられていることにより、磁極柱を取り囲むような円環状の渦電流が磁気ヨーク30に流れることを抑制できるので、磁極柱10の第1の端部10aから発せれる磁場の強度を高めることができる。
なお、このように磁気ヨーク30に、一体に連なったスリット33f、32c、31cの組が複数設けられている場合には、例えばベースヨーク部31の底面30aに接して配置された一枚の土台板(不図示)に、スリット31c、31c、…によって分割されたベースヨーク部31の各分割片を固定することにより、磁気ヨーク30を一体に保持することができる。土台板はベースヨーク部31の各分割片を電気的に接続しないように設けられる。土台板は非磁性であることが好ましく、例えば非磁性の絶縁体によって好ましく構成することができる。土台板にベースヨーク部31の各分割片を固定するにあたっては、例えばネジ止め等の公知の手法を特に制限なく用いることができる。
リターンヨーク部33が複数のスリット33fを有し、且つアウターヨーク部32が複数のスリット32cを有する場合、少なくとも一組のスリット33f、32c、31cが一体に連なっている限りにおいて、スリット32cと一体に連なっていないスリット33fが存在してもよい。ただし磁気ヨークにおける渦電流損失をさらに低減し、磁場の強度をさらに高める観点からは、複数のスリット33fのそれぞれが異なるスリット32cと連なるように設けられていることが好ましい。
ベースヨーク部31が複数のスリット31cを有し、且つアウターヨーク部32が複数のスリット32cを有する場合、少なくとも一組のスリット33f、32c、31cが一体に連なっている限りにおいて、スリット32cと一体に連なっていないスリット31cが存在してもよい。ただし磁気ヨークにおける渦電流損失をさらに低減し、磁場の強度をさらに高める観点からは、複数のスリット31cのそれぞれが異なるスリット32cと連なるように設けられていることが好ましい。
リターンヨーク部33のスリット33fの本数と、アウターヨーク部32のスリット32cの本数と、ベースヨーク部31のスリット31cの本数とは、必ずしも一致している必要はない。例えばアウターヨーク部32のスリット32cの本数は、リターンヨーク部33のスリット33fの本数以上かつベースヨーク部31のスリット31cの本数以上であることが好ましく、リターンヨーク部33のスリット33fの本数及びベースヨーク部31のスリット31cの本数よりも多くてもよい。
リターンヨーク部33が複数のスリット33fを有し、且つベースヨーク部31が複数のスリット31cを有する場合、複数のスリット33fのそれぞれが異なるスリット32cを介して異なるスリット31cと一体に連なっているか、又は、複数のスリット31cのそれぞれが異なるスリット32cを介して異なる33fと一体に連なっていることが好ましい。
リターンヨーク部33には、貫通孔33aから外縁部33eまで延在するスリット33fに加えて、貫通孔33aから、該貫通孔33aと外縁部33eとの間の部位まで延在する(外縁部33eまでは延在しない)スリット33gが設けられていてもよい。これらのスリット33gは1本のみ設けられていてもよく、複数本設けられていてもよい。
ベースヨーク部31においても、貫通孔31aから外縁部31bまで延在するスリット33cに加えて、貫通孔31aから貫通孔31aと外縁部31bとの間の部位まで延在する(外縁部31bまでは延在しない)スリット31dが設けられていてもよい。これらのスリット31dは1本のみ設けられていてもよく、複数本設けられていてもよい。
交流電磁石100においては、遮蔽部材40と磁気ヨーク30とが接触していない。このように遮蔽部材40と磁気ヨーク30とが電気的に導通していない場合には、リターンヨーク部33、ベースヨーク部31、及びアウターヨーク部32に設けられるスリットの本数の好ましい態様は次の通りである。
リターンヨーク部33に設けられるスリット33fの本数は、好ましくは1本以上、より好ましくは2本以上であり、さらに好ましくは4本以上であり、例えば8本以下とすることができる。リターンヨーク部33に設けられるスリット33fとスリット33gとの合計の本数は、好ましくは2〜16本である。
ベースヨーク部31に設けられるスリット31cの本数は、好ましくは1本以上、より好ましくは2本以上、さらに好ましくは4本以上であり、例えば8本以下とすることができる。ベースヨーク部に設けられるスリット31cとスリット31dとの合計の本数は、好ましくは4〜16本、より好ましくは8〜16本である。
アウターヨーク部32に設けられるスリット32cの本数は、好ましくは1〜24本であり、より好ましくは4〜24本である。
図6は、遮蔽部材40を説明する斜視図である。遮蔽部材40は、非磁性導体により構成され、第1の板状部41を有している。図1及び図3に示すように、第1の板状部41は、少なくともコイル20とリターンヨーク部33との間の空間に延在する。
遮蔽部材40の第1の板状部41は、第1の板状部41の厚さ方向に設けられた貫通孔41aを有する(図1、図3も参照)。第1の板状部41は、貫通孔41aが磁極柱10によって挿通されるか、又は貫通孔41aに磁極柱10の第1の端部10aが受け容れられるように配置されている。
遮蔽部材40の第1の板状部41は、磁極柱10のうちコイル20の中心孔20a内にある部分と第1の端部10aとの間の部分の表面の少なくとも一部をリターンヨーク部33から覆い隠すように配置されている。すなわち、第1の板状部41は、磁極柱10のうちコイル20の中心孔20a内にある部分と第1の端部10aとの間の部分の表面の少なくとも一部が、リターンヨーク部33の表面のどの位置に配置された視点からも直接見えなくなるように配置されている。
第1の板状部41には、平面視において第1の板状部41の貫通孔41aから外縁部41bまで延在するスリット41cが設けられている。このようなスリット41cを有することにより、磁極柱を取り囲むような円環状の渦電流が遮蔽部材40に流れることが防止される。
図6に示す遮蔽部材40は、第1の板状部41を有してなり、スリット41cを1本のみ有している。
遮蔽部材40の第1の板状部41は、貫通孔41aの周縁部41dが、リターンヨーク部33側(図6において紙面上側)に向けて盛り上がった形状の凸部41eを有している。そして、遮蔽部材40は、第1の板状部41の凸部41eが、リターンヨーク部33の凹部33dに受け容れられるように配置されている。
リターンヨーク部33と遮蔽部材40とがこのような形状および配置とされていることにより、交流電磁石100を交番磁気力顕微鏡の交流磁場源として用いる際に、磁極柱10の第1の端部10aを試料に近接して配置すると同時に、交流電磁石100のインピーダンスを低減することが容易になる。
上記の構成を有する交流電磁石100の特性について、計算機シミュレーション(有限要素法計算。以下において同じ。)を行った。計算に用いた材料特性は表1の通りである。また交流電磁石100の寸法は図5の通りとした。図5において、記号「Φ」は直径を意味し、数値の単位は全てmmである。
リターンヨーク部33のスリット数と、磁場、インダクタンス、及び、リターンヨーク部33における渦電流に起因する損失との関係を表2に示す。表2において、スリットについて「半径全体」とは、リターンヨーク部33については貫通孔33aから外縁部33eまで延在するスリットを意味し、ベースヨーク部31については磁極柱10と接する部分から外縁部31bまで延在するスリットを意味する。表2において、スリットについて「中心部」とは、リターンヨーク部またはベースヨーク部の貫通孔または磁極柱と接する部分から、直径80mmの周上(リターンヨーク部31の突出部を包含する大きさ)に達するスリットを意味する。「中心部」のスリットには、「半径全体」に該当するスリットもカウントされている。表2において、スリットについて「高さ全体」とは、アウターヨーク部32の磁極柱10の長軸方向の一端から他端まで延在するスリット(すなわち、アウターヨーク部32のリターンヨーク部33に面する端部からベースヨーク部31に面する端部まで延在するスリット。)を意味する。なお、本明細書における計算機シミュレーションは全て、印加電流を周波数100Hzの正弦波電流、磁場観測位置を磁極柱の第1の端部10aから中心軸上を2mmだけ上方に離れた位置とする条件で行った。また以下の計算機シミュレーションにおいて、ヨーク部における損失は、ヨーク内の渦電流による抵抗損として算出している。
リターンヨーク部の半径全体のスリットを1カ所設けることにより磁場強度が増大する。リターンヨーク部の半径全体のスリット数を更に増すと、磁場強度に変化は見られないが、リターンヨーク部内に渦電流が流れることによる損失は単調に減少する。すなわち、発熱が軽減される。同様に、リターンヨーク部の中心部スリットの数を増すにつれて、磁場強度は変わらないが、突出部領域の渦電流損失が減少する。スリット数が表2に示す数を超えると、渦電流損失はさらに低下するが、スリット数が多すぎると磁場強度が減少する。また、製造容易性の観点から、リターンヨーク部に設けられるスリット数は、半径全体のスリットについては例えば8本以下とすることができ、中心部のスリットについては例えば(半径全体のスリットを含めて)16本以下とすることができる。
ベースヨーク部31のスリット数と、磁場、インダクタンス、及び、ベースヨーク部31における渦電流損失との関係を表3に示す。
表3の計算結果からは、リターンヨーク部のスリット数と概ね同様の傾向が読み取れる。ベースヨーク部31に設けられるスリット数は、半径全体のスリットについては製造容易性の観点から例えば8本以下とすることができ、中心部のスリットについては製造容易性の観点から例えば(半径全体のスリットを含めて)16本以下とすることができる。
アウターヨーク部32のスリット数と、磁場、インダクタンス、及び、アウターヨーク部32における渦電流損失との関係を表4に示す。
表4に示すように、アウターヨーク部32については、スリット数の増大による磁場変化は小さいものの、スリット数が増えるにしたがって渦電流損失が減少する。アウターヨーク部32に設けられるスリット数は、例えば24本以下とすることができる。アウターヨーク部32における渦電流損失は材質によって顕著に異なる。アウターヨーク部32の材質としては積層珪素鋼板が好ましい。なお、アウターヨーク部32の構成単位は、珪素鋼を用いた場合は円筒状の一部を切り取った形状の部材であり、積層鋼板の場合は平板状の部材である。
遮蔽部材40の採用による交流電磁石100の性能向上について計算機シミュレーションを行った。計算機シミュレーションは、上記の最適化した数のスリットを導入した構造に基づいて行った。すなわち、リターンヨーク部33において半径全体のスリットが4本、中心部のスリットが(半径全体のスリットを含めて)12本であり、積層珪素鋼板により構成されたアウターヨーク部32において高さ全体にわたるスリットが24本であり、ベースヨーク部31において半径全体のスリットが4本、中心部のスリットが(半径全体のスリットを含めて)12本である構造に基づいて、計算機シミュレーションを行った。
遮蔽部材40を構成する非磁性導体としては銅を採用した。図6において、遮蔽部材40の第1の板状部41に設けられたスリット41cの幅は1mmとした。有限要素法計算によって得られた、遮蔽部材40の有無による磁場とインダクタンスの違いを表5に示す。遮蔽部材40の存在により、磁場強度は8.6%増大し、インダクタンスは43.6%減少した。
図7は、遮蔽部材40のスリット内を通る断面(図1に示した断面に同じ)における交流電磁石の磁束の流れを、遮蔽部材40のある場合とない場合とを比較して表した図である。図7(A)は遮蔽部材40のない場合における交流電磁石の磁束の流れを表した図であり、図7(B)は遮蔽部材40のある場合における交流電磁石100の磁束の流れを表した図である。なお図7(B)において、中心より左側は第1の板状部41のスリット41c内を通る断面における磁束の流れを表している。
磁極柱10の側面からリターンヨーク部33に流入する磁束が、遮蔽部材40のない場合(図7(A))には多くみられるのに対して、遮蔽部材40のある場合(図7(B)の右側)には磁極柱の第1の端部10a近傍を除いて殆どみられない。すなわち、遮蔽部材40は磁束のシールド効果を有し、磁極柱の第1の端部10aが形成する磁場に寄与しない、磁極柱10−リターンヨーク部33間のベースヨーク側を流れる磁束(短絡磁束)を抑制している。なお、図7(B)の左側は遮蔽部材40のスリット位置に対応し、この位置では短絡磁束が存在することが分かる。
図8は、シールド効果の要因となる、遮蔽部材40における渦電流の分布を説明する図である。図8(A)は、遮蔽部材40における渦電流の計算結果を、遮蔽部材40を半分に切断したモデルの上に表した図である。図8(B)は、図8(A)の計算結果に基づき、遮蔽部材40の中心部および外周部における渦電流を模式的に表した図である。
図8(B)に示すように、遮蔽部材40の第1の板状部41の平坦部では、磁極柱10の磁束を打ち消す方向(円周に沿った方向)に渦電流が流れる。渦電流はスリット41cに沿って第1の板状部41の貫通孔41a近傍に集まり、電流密度が高められる。貫通孔41a近傍に集まった電流は、第1の板状部41の凸部41eの先端側(すなわち貫通孔41aの内周部41d側。)を平坦部における方向とは逆方向に流れ、再び平坦部に戻って拡散する。この電流分布により、第1の板状部41の平坦部および凸部41eの中腹以下では、磁極柱10の側面から漏れ出る磁束を抑制し、凸部41eの先端近傍では磁極柱10の第1の端部10aからの磁束を強める作用が働く。この結果、磁場に寄与する磁束を強めつつ、交流電磁石100全体の磁束量を減るので、交流電磁石100のインダクタンスが減少する。
遮蔽部材40のスリット数を0〜4の範囲で変えた場合の磁場とインダクタンスの値を表6に示す。
遮蔽部材にスリットが無い場合は、ほとんど磁場が発生しない。これは、遮蔽部材に磁極柱を取り囲むような円環状の渦電流が誘起されて、磁極柱の磁束全体が打ち消されるためである。遮蔽部材のスリットを増やすと、図7(B)の左側にみられるような短絡磁束が増えること、及び、第1の板状部の凸部先端近傍における、磁極柱の第1の端部10aからの磁束を強めるように作用する電流の流れない領域が増えることにより、インダクタンスの増加と磁場の低下が生じる。従って、遮蔽部材の導入による磁場増大とコイルインダクタンス低減の効果(以後、単に遮蔽効果と表記する)が最大となるのは、遮蔽部材に設けられるスリットの本数が1本の場合である。
図9は、他の一の実施形態に係る交流電磁石200を模式的に説明する断面図であり、図1に対応する図である。図9において、図1〜図8に既に表れた要素には図1〜図8における符号と同一の符号を付し、説明を省略する。交流電磁石200は、遮蔽部材40に代えて遮蔽部材240を有する点において、交流電磁石100と異なっている。遮蔽部材240は第1の板状部241を有してなるが、第1の板状部241は凸部41eを有しない点において、遮蔽部材40とは異なっている。したがって交流電磁石200においては、磁極柱10の第1の端部10a近傍部とリターンヨーク部33との間の間隙に、遮蔽部材が存在していない。交流電磁石200における磁場とインダクタンスの計算結果を、表5の値と併せて表7に示す。
リターンヨーク部33の(ベースヨーク部31から見た)凹部33dに受け容れられる凸部を有しない、平坦な遮蔽部材240を導入した場合においても遮蔽効果は得られるものの、交流電磁石100におけるように、凸部41eを有する遮蔽部材40を該凸部41eがリターンヨーク部33の(ベースヨーク部31から見た)凹部33dに受け容れられるように配置することにより、さらに良好な遮蔽効果を得ることができる。
交流電磁石100において、遮蔽部材40の第1の板状部41に設けられた凸部41eの高さは、磁極柱10の第1の端部10a及びリターンヨーク部33aの貫通孔33aの周縁部33bの高さよりも低いが、本発明の交流電磁石は当該形態に限定されるものではない。第1の板状部41の貫通孔41aに、磁極柱10の第1の端部10aが受け容れられる形態、例えば、遮蔽部材の第1の板状部に設けられた凸部がリターンヨーク部の凹部に受け容れられたときに、リターンヨーク部の貫通孔の周縁部と、磁極柱の第1の端部の端面と、遮蔽部材の第1の板状部に設けられた凸部の先端部とが、同じ高さに配置される(すなわち同一面上に配置される)形態も、好ましく採用することができる。
図10は、他の一の実施形態に係る交流電磁石300を模式的に説明する断面図であり、図1に対応する図である。図10において、図1〜図9において既に表れた要素と同一の要素には図1〜図9における符号と同一の符号を付し、説明を省略する。交流電磁石300は、遮蔽部材40に代えて遮蔽部材340を有する点において、交流電磁石100と異なっている。遮蔽部材340は第1の板状部341を有するが、第1の板状部341の平坦部の厚み(図10中のt)が第1の板状部41の平坦部の厚みと異なる点において、遮蔽部材40と異なっている。交流電磁石300において、第1の板状部341の平坦部の厚さtを変化させたときの磁場及びインダクタンスの計算結果を表8に示す。
表8の値から、高い遮蔽効果を得るためには、遮蔽部材の第1の板状部は、最も薄い箇所において遮蔽部材の材料の表皮厚み(銅の場合100Hzにおいて6.6mm)の2倍程度以上の厚さを有することが望ましいことが理解される。非磁性導体の表皮厚みδは、次の式(1)によって算出される。
δ=(ρ/πμf)1/2 …(1)
(式(1)中、ρは材料の電気抵抗率であり、μは材料の透磁率であり、fは周波数である。)
第1の板状部は、最も薄い箇所において第1の板状部(遮蔽部材)を構成する非磁性導体の100Hzにおける表皮厚みの2倍以上の厚さを有することが好ましい。表皮厚みは周波数の増大に伴って減少する。交番磁気力顕微鏡における交流磁場の実用的な上限周波数は概ね10Hz〜10Hzのオーダーであるので、第1の板状部が周波数100Hzにおいて十分な厚さを有していれば、より高い動作周波数においても良好な遮蔽効果が得られることが保証される。
なお、遮蔽部材に誘導される渦電流の大きさは遮蔽部材の材料の導電率に比例するため、大きな遮蔽効果を得る観点からは、遮蔽部材を構成する材料として導電率の高い材料(例えば銅など。)を用いることが好ましいが、アルミニウムや黄銅などの他の非磁性の良導体を用いてもよい。
図11は、他の一の実施形態に係る交流電磁石400を模式的に説明する断面図であり、図1に対応する図である。図11において、図1〜図10において既に表れた要素と同一の要素には図1〜6における符号と同一の符号を付し、説明を省略する。交流電磁石400は、遮蔽部材40に代えて遮蔽部材440を有する点において、交流電磁石100と異なっている。遮蔽部材440は第1の板状部441を有するが、第1の板状部441の直径(図11中のR)が第1の板状部41の直径と異なる点において、遮蔽部材40と異なっている。交流電磁石400において、第1の板状部441の直径Rを変化させたときの磁場及びインダクタンスの計算結果を表9に示す。
図11及び表9において、第1の板状部の直径が52mmのケースは、遮蔽部材40から凸部41e以外の領域を取り除いた場合に相当する。第1の板状部の直径が100mmのケースは、第1の板状部の直径がコイル20の外径(130mm)未満である場合に相当する。また第1の板状部の直径が160mmのケースは、第1の板状部の直径がコイル20の外径を超える場合に相当する。表9の磁場およびインダクタンスの計算値から、遮蔽部材の第1の板状部の外径が大きくなるほど、磁場の増加およびコイルインダクタンスの減少が進むことがわかる。第1の板状部は、平面視においてコイル20の外周部が全て該第1の板状部に隠れる大きさを有することが好ましい。
なお、上記説明した遮蔽効果は、上記の計算機シミュレーションに用いた磁極柱やヨークの材料、ヨークに導入したスリットの数、構造及び寸法の場合に限られるものではなく、例えば材料として珪素鋼圧粉材料などの他の材料を用いた場合であっても得ることが可能である。
本発明に関する上記説明では、リターンヨーク部33が、貫通孔33aの周縁部33bがベースヨーク部31とは反対側に向けて突き出た形状を有する形態の交流電磁石100、200、300、及び400を例に挙げて説明したが、本発明は当該形態に限定されない。リターンヨーク部がその貫通孔近傍の突出部を有しない形態の交流電磁石とすることも可能である。
図12は、そのような他の一の実施形態に係る交流電磁石500を模式的に説明する断面図であり、図1に対応する図である。図14は、交流電磁石500を中心軸に沿って半分に切断した様子を表した斜視図であり、図3に対応する図である。図12及び図14において、図1〜図11において既に表れた要素と同一の要素には図1〜7における符号と同一の符号を付し、説明を省略する。
交流電磁石500は、磁気ヨーク30及び遮蔽部材40に代えて磁気ヨーク530及び遮蔽部材540を有する点において、交流電磁石100と異なっている。磁気ヨーク530は、リターンヨーク部33に代えてリターンヨーク部533を有する点において、磁気ヨーク30と異なっている。リターンヨーク部533は、リターンヨーク部33の貫通孔33aと同様の貫通孔533aを有するが、貫通孔533aの周縁部は、リターンヨーク部上方に向けて突出するのではなく、リターンヨーク部533が構成する上面530cと同じ高さに保たれている。全体として見ると、交流電磁石500は、リターンヨーク部中央の突出部を有しないので、突出部の高さ分だけ、交流電磁石全体の高さが低くなっている。
交流電磁石500において、リターンヨーク部533の貫通孔533aの内壁面533awと、磁極柱10の側面10cとは、接することなく向かい合っている。遮蔽部材540の第1の板状部541は、該第1の板状部541の貫通孔の周縁部541dが、リターンヨーク部33の側に向けて盛り上がった形状の凸部541eを有している。そして遮蔽部材540は、第1の板状部の凸部541eが、リターンヨーク部33の貫通孔の内壁面533awと磁極柱の側面10cとの間の間隙に受け容れられるように配置されている。
交流電磁石500において、アウターヨーク部のスリットの本数を12本とし、アウターヨーク部の材料を珪素鋼としたときの磁場及びインダクタンスの計算結果を表10に示す。表10には、交流電磁石500において遮蔽部材540を取り除いた場合の計算結果、及び、交流電磁石500において、遮蔽部材540を、凸部を有しない平坦な第1の板状部541’を有する遮蔽部材540’に置き換えた交流電磁石500’(図13参照。)の場合の計算結果、並びに、交流電磁石100においてアウターヨーク部のスリットの本数を12本とし、アウターヨーク部の材料を珪素鋼としたときの計算結果を併せて記載している。
表10の計算結果から、リターンヨーク部が突出部を有しない形態の交流電磁石500においても、遮蔽部材の導入により、磁場の増大とインダクタンスの低減が達成できることが理解される。また、リターンヨーク部が突出部を有しない場合であっても、遮蔽部材の第1の板状部の貫通孔の周囲に設けられた凸部がリターンヨーク部の貫通孔の内壁面と磁極柱の側面との間の間隙に受け容れられる配置により、さらなる磁場の増大とインダクタンスの低減が達成できることが理解される。
本発明に関する上記説明では、遮蔽部材に冷媒の流路が設けられていない形態の交流電磁石100、200、300、400、及び500を例に挙げたが、本発明は当該形態に限定されない。例えば、遮蔽部材の内部に冷媒の流路が設けられた形態や、冷媒が流通するパイプが遮蔽部材に接合された形態の交流電磁石とすることも可能である。
図15は、そのような他の一の実施形態に係る交流電磁石600を模式的に説明する断面図であり、図1に対応する図である。また図16は、交流電磁石600が備える遮蔽部材640を説明する透視斜視図であり、図6に対応する図である。図15及び図16において、図1〜図14に既に表れた要素には図1〜図14における符号と同一の符号を付し、説明を省略する。
交流電磁石600は、遮蔽部材40に代えて遮蔽部材640を有する点において、交流電磁石100と異なっている。遮蔽部材640は、第1の板状部641を有してなる。第1の板状部641は、遮蔽部材40の第1の板状部41と同様に、貫通孔641aと、貫通孔641aの周囲に設けられた凸部641eと、平面視において貫通孔641aから外縁部641bまで延在するスリット641cとを有する。遮蔽部材640は、第1の板状部641の内部に、凸部641eを含む領域の内部を通る冷媒流路641fが設けられている点において、遮蔽部材40と異なっている。冷媒流路641fは、外縁部641bのスリット641cを挟む両岸に、流入口641faおよび流出口641fbを有している。冷媒流路641fは、流入口641faから流入した冷媒がスリット641cに沿って貫通孔641aに近付くように進み、貫通孔641aの周囲を回るように流れた後、スリット641cに沿って外縁部641bに向けて流れ、流出口641fbから流出するように設けられている。
冷媒流路641fを有する遮蔽部材640を備える交流電磁石600によれば、冷媒流路641fに冷媒を流通することにより、遮蔽部材に誘導される渦電流により発生した熱を、遮蔽部材から効率的に取り除くことが可能である。
交流電磁石600における磁場及びインダクタンスの計算結果を表11に示す。表11には、交流電磁石100における計算結果を併せて示している。
表11の計算結果から、冷却のために遮蔽部材に貫通孔(冷媒流路)を設けた場合であっても、高い遮蔽効果が維持されることが理解される。
本発明に関する上記説明では、遮蔽部材と磁極柱およびリターンヨーク部とが接触していない形態の交流電磁石100、200、300、400、500、及び600を例示したが、本発明の交流電磁石は当該形態に限定されない。例えば、精密計測用途などで電磁石からの熱的影響を抑制しなければならない場合、温度上昇の大きい磁極柱やリターンヨーク部の冷却が必要となる。そこで、冷媒流路を有する遮蔽部材と、磁極柱および/またはリターンヨーク部とが接触している形態の交流電磁石とすることも可能である。
図17は、そのような他の一の実施形態に係る交流電磁石700を模式的に説明する断面図であり、図15に対応する図である。図17において、図1〜図16に既に表れた要素には図1〜図16における符号と同一の符号を付し、説明を省略する。
交流電磁石700は、遮蔽部材640が磁極柱10及びリターンヨーク部33と接して配置されていること以外は、交流電磁石600と同一の構成を有する。交流電磁石700において、遮蔽部材640と磁極柱10との接触、および、遮蔽部材640とリターンヨーク部33との接触は、遮蔽部材640表面の絶縁層を介することなく(すなわち、電気的な導通を伴って)密着していることが好ましい。絶縁層は熱伝導率を低下させるためである。
なお、交流電磁石700においては、遮蔽部材640とリターンヨーク部33とは例えばネジ止め等の公知の手法により一体に締結されていてもよい。遮蔽部材640とリターンヨーク部33とが一体に締結されることにより、遮蔽部材640とリターンヨーク部33との接触が良好になるだけでなく、磁気ヨーク30が機械的に補強される。
交流電磁石700において、遮蔽部材640の第1の板状部641とリターンヨーク部33とは、電気的な導通を伴って直接に接触している。そして、遮蔽部材640の第1の板状部641とリターンヨーク部33とは、リターンヨーク部33のスリット33fと、遮蔽部材640の第1の板状部641のスリット641cとが連通するように配置されている。このような配置とすることにより、遮蔽部材640のスリット641cがリターンヨーク部33で電気的に短絡される事態を避けることができ、且つ、リターンヨーク部33のスリット33fが遮蔽部材640で電気的に短絡される事態を避けることができる。ここで、スリットが短絡されるとは、スリットの両側の導体部が電気的に接続され、磁極柱10の周囲に円環状の渦電流が流れるようになる状態を意味する。
交流電磁石700において、遮蔽部材640の第1の板状部641と磁極柱10とは、電気的な導通を伴って直接に接触している。ここで磁極柱10は積層珪素鋼板によって構成された積層鉄心であり、磁極柱10の長軸方向は、積層鉄心の積層方向と交差する方向(好ましくは直交する方向)とされている。遮蔽部材640の第1の板状部641の貫通孔641aの内周部641dにおいて、第1の板状部641のスリット641cの端部は、積層鉄心(すなわち磁極柱10)の積層構造が現れた部分と向かい合う位置に配置されている。ただしスリット641cの幅は、磁極柱10である積層鉄心の積層ピッチよりも広い。このような配置とすることにより、遮蔽部材640のスリット641cが磁極柱10の側面10cによって短絡される事態を避けることができる。素材としての積層鋼板の表面には通常、絶縁被覆が施されているが、第1の端部10aに向かって先細の形状を有する磁極柱10への加工によって絶縁被覆が除去されるために、このような配置が必要となる。
交流電磁石700において、アウターヨーク部32のスリット本数を12本とし、アウターヨーク部32の構成材料を珪素鋼とした場合の磁場およびインダクタンスを、交流電磁石100と同様の条件(印加電流:正弦波電流、100Hz、磁場観測位置:磁極柱先端から中心軸上を2mm離れた位置)で計算した結果、磁場は7367Oe、インダクタンスは18.6mHであり、遮蔽部材が磁極柱やリターンヨークと接触しない交流電磁石100等に劣らない特性を有することが示された。
上記の要件について、有限要素法を用いた交流磁場解析により検討した。なお、ここでの議論に本質的な影響を与えない、遮蔽部材640の冷媒流路641fについては無いものとして取り扱った。
遮蔽部材640と磁極柱10との接触の態様について検討した。交流電磁石700において、磁極柱10の遮蔽部材640と接触する部分の断面形状は矩形である。
図18は、交流電磁石700において、遮蔽部材640と磁極柱10とが含まれる断面を模式的に説明する図である。図18において、図1〜図18に既に表れた要素には図1〜13における符号と同一の符号を付し、説明を省略する。図18(A)は、遮蔽部材の第1の板状部641の貫通孔641aの内周部において、第1の板状部のスリット641cの端部が、磁極柱10(積層鉄心)の積層構造が現れた部分と向かい合う配置を表した図である。図18(B)は、遮蔽部材の第1の板状部641の貫通孔641aの内周部において、第1の板状部のスリット641cの端部が、磁極柱10(積層鉄心)の積層構造が現れない部分と向かい合う配置を表した図である。
図18(A)の配置においては、磁極柱10を構成する積層鋼板の積層方向(図18(A)中の矢印A)と、遮蔽部材640のスリット641cが延在する方向との相対角度が90度となっており、図18(B)の配置においては、当該相対角度が0度となっている。これら2つの場合について磁場およびインダクタンスを計算した結果を表12に示す。
図18(A)の配置の場合には優れた遮蔽効果が得られるのに対して、図18(B)の配置では磁場の強度が著しく低下する。図18(B)の配置では絶縁被覆のない磁性層(導体層)が遮蔽部材640のスリット641cを短絡するため、磁極柱10を周回する環状渦電流(図18(B)の矢印C)が遮蔽部材640(第1の板状部641)に流れるためである。
従って、磁極柱10を構成する積層鋼板の磁性層が遮蔽部材640のスリット641cを短絡しないように、遮蔽部材の第1の板状部641の貫通孔641aの内周部において、第1の板状部のスリット641cの端部が、磁極柱10(積層鉄心)の積層構造が現れた部分と向かい合う配置とすることが好ましい。
なお、交流電磁石700におけるように遮蔽部材640とリターンヨーク部33とが、仮にリターンヨーク部33が複数のスリットを有していても該複数のスリットのうち1本以外は全て遮蔽部材640によって短絡されるように電気的な導通を伴って接触する場合には、リターンヨーク部33の全スリット本数は1本でよい。遮蔽部材640と接触していないアウターヨーク部32及びベースヨーク部31に設けられるスリットの本数の好ましい態様については、上記説明した交流電磁石100における好ましい態様と同様である。
交流電磁石700について、図19に示す寸法を仮定し、さらに詳細な計算機シミュレーション及び試作を行った。
遮蔽部材640は銅からなるものとし、スリット641cの幅は1mmとした。また第1の板状部641の内部に冷媒流路が設けられた構造に基づいて計算を行った。第1の板状部641の平坦部の厚みは、周波数100Hzにおける銅の表皮厚みの2倍に近い10mmとした。
磁極柱10は積層珪素鋼板からなるものとし、遮蔽部材の第1の板状部641の貫通孔641aの内周部において、第1の板状部のスリット641cの端部が、磁極柱10(積層鉄心)の積層構造が現れた部分と向かい合う配置とした。
コイル20の巻き数は384ターンとした。
リターンヨーク部33には、貫通孔33aの周縁部33bから外縁部33eに至るスリット33fを4本設け、その内の1本が遮蔽部材640のスリット641cと連通する配置とした。リターンヨーク部33には、さらに、中央部分に追加のスリットを8本設けた。これら8本の追加スリットは、外縁部33eには至らないスリットである。リターンヨーク部33の貫通孔33a近傍の突出部の磁性材料は珪素鋼であり、それ以外の平坦領域の磁性材料は磁極柱10の長軸方向を積層方向とする積層珪素鋼板である。
アウターヨーク部32には、リターンヨーク部33に面した端部32aからベースヨーク部31に面した端部32bまで延在する、高さ方向のスリットを12本設けた。
ベースヨーク部31は、磁極柱10の長軸方向を積層方向とする積層珪素鋼板からなるものとし、磁極柱10を取り囲むような円環状の渦電流が流れることを抑制するために、磁極柱10の第2の端部10bに接触する中心部から外縁部31bに至るスリットを4本儲け、中央部分に追加のスリットを8本設けた。これら8本の追加スリットは、外縁部31bには至らないスリットである。
このような構成を有する交流電磁石700について、上記同様の条件(印加電流:正弦波電流、100Hz、磁場観測位置:磁極柱の第1の端部から中心軸上を2mm離れた位置)で計算した結果、磁場は7128Oe、インダクタンスは19.8mHとなり、簡便で高効率な冷却機構を有すると同時に、良好な磁場・インダクタンス性能を発揮することがわかった。
上記の構成を有する交流電磁石700において、コイル20の巻き数を436ターンとした電磁石の試作を行い、コイル20に周波数89Hzの正弦波電流を印加して特性を評価した。磁場の観測点は磁極柱の第1の端部10aの端面中央部である。電流−磁場特性(共にピーク値)を、遮蔽部材640のない場合と比較して図20に示す。
遮蔽部材640の存在により磁場強度が増すことが確認され、電流10Aにおける磁場の増大率は25.7%(6.49kOe(遮蔽部材なし)→8.16kOe(遮蔽部材あり))であった。また、コイルインダクタンスの低減も確認され、100Hzでのインダクタンスの減少率は43.4%(88.0mH(遮蔽部材なし)→49.8mH(遮蔽部材あり))であった。
試作した交流電磁石のコイル20に、89Hz、12Aの正弦波電流を印加し、遮蔽部材640に温度12℃の冷却水を流通させて、磁極柱10の第1の端部10a端面およびリターンヨーク部33の突出部先端位置(すなわち貫通孔33aの周縁部33b)における温度の時間変化を測定した。これらの位置は、電磁石の中で温度が最も高くなる箇所である。測定結果を図21に示す。
最も温度の高い磁極柱先端面においても30.5℃以下に保たれており、高い冷却性能を有することが確認された。
このような高い冷却性能を有する交流電磁石は、温度制約の厳しい計測装置への応用が可能である。
本発明に関する上記説明では、遮蔽部材(40、240、340、440、540、又は640)が第1の板状部(41、241、341、441、541、又は641)を有してなる形態の交流電磁石100、200、300、400、500、600、及び700を例示したが、本発明の交流電磁石は当該形態に限定されない。例えば、遮蔽部材が、コイルとアウターヨーク部との間に配置された筒状部をさらに有する形態の交流電磁石とすることも可能である。図22は、そのような他の一の実施形態に係る交流電磁石800を模式的に説明する断面図であり、図1に対応する図である。図22において、図1〜図21に既に表れた要素には図1〜図21における符号と同一の符号を付し、説明を省略する。
交流電磁石800は、遮蔽部材40に代えて遮蔽部材840を有する点において、交流電磁石100と異なっている。図23は、遮蔽部材840を側上方から見た斜視図であり、図24は、遮蔽部材840を側下方から見た斜視図である。遮蔽部材840は、第1の板状部41に加えて、コイル20とアウターヨーク部32との間に配置された筒状部842をさらに有する点において、遮蔽部材40と異なっている。筒状部842は、第1の板状部41と接して設けられていてもよく、第1の板状部41と一体に設けられていてもよい。第1の板状部41と筒状部842とは、例えばネジ止め等の公知の手法により両者が接した状態で一体に保持されていてもよく、また例えば溶接やプレス成型、鋳造等により一体に形成されていてもよい。筒状部842には、該筒状部842の軸方向の一方の端部(第1の板状部41に面した端部)842aから他方の端部842bに至るスリット842cが、第1の板状部41のスリット41cに連なるように設けられている。筒状部842が第1の板状部41のスリット41cに連なるように設けられたスリット842cを有するので、第1の板状部41のスリット41cは筒状部842によって短絡されていない。
交流電磁石800においては、遮蔽部材840は磁気ヨーク30と接触していないので、磁気ヨーク30のリターンヨーク部33、アウターヨーク部32、及びベースヨーク部31に設けられるスリットの本数の好ましい態様は、上記説明した交流電磁石100における好ましい態様と同様である。
なお、交流電磁石800を、遮蔽部材840がリターンヨーク部33と電気的な導通を伴って接触するように改変した場合には、上記説明した交流電磁石700におけるように、リターンヨーク部33の全スリット本数は1本でよい。その場合、交流電磁石700と同様に、遮蔽部材840のスリット41cは、リターンヨーク部33のスリット33fと連通するように配置される。
また、交流電磁石800を、遮蔽部材840がアウターヨーク部32と電気的な導通を伴って接触するように改変した場合には、アウターヨーク部32の全スリット数は1本でよい。その場合、遮蔽部材840のスリット842cは、アウターヨーク部32のスリット32cと連通するように配置される。
図25は、他の一の実施形態に係る交流電磁石900を模式的に説明する断面図であり、図22に対応する図である。図25において、図1〜図24に既に表れた要素には図1〜図24における符号と同一の符号を付し、説明を省略する。交流電磁石900は、遮蔽部材840に代えて遮蔽部材940を有する点において、交流電磁石800と異なっている。図26は、遮蔽部材940を側上方から見た斜視図であり、図27は、遮蔽部材940を側下方から見た斜視図である。遮蔽部材940は、第1の板状部41及び筒状部842に加えて、コイル20とベースヨーク部31との間に配置された第2の板状部943をさらに有する点において、遮蔽部材840と異なっている。第2の板状部943は、筒状部842と接して設けられていてもよく、筒状部842と一体に設けられていてもよい。筒状部842と第2の板状部943とは、例えばネジ止め等の公知の手法により両者が接した状態で一体に保持されていてもよく、また例えば溶接やプレス加工、鋳造等の公知の手法により一体に形成されていてもよい。第2の板状部943は貫通孔943aを有し、該貫通孔943aに、磁極柱10aが挿通されている。そして第2の板状部943には、貫通孔943aから外縁部943bに至るスリット943cが、筒状部842のスリット842cに連なるように設けられている。筒状部842が第1の板状部41のスリットに連なるように設けられたスリット842cを有し、第2の板状部943が筒状部842のスリット842cに連なるように設けられたスリット943cを有するので、第1の板状部41のスリット41cは筒状部842及び第2の板状部943によって短絡されていない。
交流電磁石900においては、遮蔽部材940は磁気ヨーク30と接触していないので、磁気ヨーク30のリターンヨーク部33、アウターヨーク部32、及びベースヨーク部31に設けられるスリットの本数の好ましい態様は、上記説明した交流電磁石100における好ましい態様と同様である。
なお、交流電磁石900を、遮蔽部材940がリターンヨーク部33と電気的な導通を伴って接触するように改変した場合には、上記説明した交流電磁石700におけるように、リターンヨーク部33の全スリット本数は1本でよい。その場合、交流電磁石700と同様に、遮蔽部材940のスリット41cは、リターンヨーク部33のスリット33fと連通するように配置される。
また、交流電磁石900を、遮蔽部材940がアウターヨーク部32と電気的な導通を伴って接触するように改変した場合には、アウターヨーク部32の全スリット数は1本でよい。その場合、遮蔽部材940のスリット842cは、アウターヨーク部32のスリット32cと連通するように配置される。
また、交流電磁石900を、遮蔽部材940がベースヨーク部31と電気的な導通を伴って接触するように改変した場合には、ベースヨーク部31の全スリット数は1本でよい。その場合、遮蔽部材940のスリット943cは、ベースヨーク部31のスリット31cと連通するように配置される。
本発明に関する上記説明では、コイル20とアウターヨーク部32との間に配置された筒状部842を有する遮蔽部材840又は940を備える形態の交流電磁石800、900を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。例えば、コイルと磁極との間に配置された筒状部を有する形態の交流電磁石とすることも可能である。図28は、そのような他の一の実施形態に係る交流電磁石1000を模式的に説明する断面図であり、図25に対応する図である。図29は、交流電磁石1000を磁極柱の中心軸に沿って切断した様子を示す斜視図であり、図29における切断面が図28に表れている。図28、図29において、図1〜図27に既に表れた要素には図1〜図27における符号と同一の符号を付し、説明を省略する。
交流電磁石1000は、遮蔽部材940に代えて遮蔽部材1040を有する点において、交流電磁石900と異なっている。図30及び図31は、遮蔽部材1040を側上方から見た斜視図であり、図32は、遮蔽部材1040を側下方から見た斜視図である。遮蔽部材1040は、第1の板状部41、第2の板状部943、及び筒状部1042を有する。遮蔽部材1040は、筒状部842に代えて、コイル20と磁極柱10との間に配置された筒状部1042を有する点において、遮蔽部材940と異なっている。筒状部1042の内側の中空部は、第1の板状部41の貫通孔41aと連通しており、磁極柱10は、筒状部1042の内側の中空部に挿通されている。筒状部1042は、第1の板状部41と接して設けられていてもよく、第1の板状部41と一体に設けられていてもよい。筒状部1042と第1の板状部41とは、例えばネジ止め等の公知の手法により両者が接した状態で一体に保持されていてもよく、また例えば溶接やプレス加工、鋳造等の公知の手法により一体に形成されていてもよい。また第2の板状部943は、筒状部1042と接して設けられていてもよく、筒状部1042と一体に設けられていてもよい。筒状部1042と第2の板状部943とは、例えばネジ止め等の公知の手法により両者が接した状態で一体に保持されていてもよく、また例えば溶接やプレス加工、鋳造等の公知の手法により一体に形成されていてもよい。
筒状部1042には、該筒状部1042の軸方向の一方の端部(第1の板状部41に面した端部)1042aから他方の端部1042bに至るスリット1042cが、第1の板状部41のスリット41cに連なるように設けられている。筒状部1042が第1の板状部41のスリット41cに連なるように設けられたスリット1042cを有するので、第1の板状部41のスリット41cは筒状部1042によって短絡されていない。
第2の板状部943は、筒状部1042の中空部に連通する貫通孔943aを有し、該貫通孔943aに磁極柱10aが挿通されている。そして第2の板状部943には、貫通孔943aから外縁部943bに至るスリット943cが、筒状部1042のスリット1042cに連なるように設けられている。筒状部1042が第1の板状部41のスリットに連なるように設けられたスリット1042cを有し、第2の板状部943が筒状部1042のスリット1042cに連なるように設けられたスリット943cを有するので、第1の板状部41のスリット41cは筒状部842及び第2の板状部943によって短絡されていない。
交流電磁石1000においては、遮蔽部材1040は磁気ヨーク30と接触していないので、磁気ヨーク30のリターンヨーク部33、アウターヨーク部32、及びベースヨーク部31に設けられるスリットの本数の好ましい態様は、上記説明した交流電磁石100における好ましい態様と同様である。
なお、交流電磁石1000を、遮蔽部材1040がリターンヨーク部33と電気的な導通を伴って接触するように改変した場合には、上記説明した交流電磁石700におけるように、リターンヨーク部33の全スリット本数は1本でよい。その場合、交流電磁石700と同様に、遮蔽部材1040のスリット41cは、リターンヨーク部33のスリット33fと連通するように配置される。
また、交流電磁石1000を、遮蔽部材1040がベースヨーク部31と電気的な導通を伴って接触するように改変した場合には、ベースヨーク部31の全スリット数は1本でよい。その場合、遮蔽部材1040のスリット943cは、ベースヨーク部31のスリット31cと連通するように配置される。
交流電磁石100、交流電磁石800、交流電磁石900、及び交流電磁石1000について、計算機シミュレーションにより磁場及びインダクタンスを算出した結果を表13に示す。表13において「遮蔽部材なし」の欄には、交流電磁石100から遮蔽部材40を取り除いた交流電磁石についての計算結果を記載している。
コイル20とアウターヨーク部32との間に配置された筒状部842をさらに有する遮蔽部材840を備える交流電磁石800は、交流電磁石100に対して磁場の増大とインダクタンスの低減が顕著に現れ、より高い遮蔽効果が得られる。コイル20とベースヨーク部31との間に配置された第2の板状部943をさらに有する遮蔽部材940を備える交流電磁石900は、交流電磁石800に対して更に磁場が増し、インダクタンスが低下する。特に交流電磁石900においては、遮蔽部材を備えない交流電磁石に比べて、25%の磁場増大と、65%のインダクタンス低減が得られる。遮蔽部材940に代えて、コイル20と磁極柱10との間に配置された筒状部1042を有する遮蔽部材1040を備える交流電磁石1000においても同様の磁場増大およびインダクタンス低減の効果が得られる。
図33は、交流電磁石100及び交流電磁石900内部の磁束密度分布を比較した図である。図33(A)は、交流電磁石100内部の磁束密度分布を表した図であり、図33(B)は、交流電磁石900内部の磁束密度分布を表した図である。図33(A)及び図33(B)において、図の中心より左側は、遮蔽部材のスリット内の断面における磁束密度分布を表している。図33(A)及び図33(B)から、遮蔽部材を配置する部位を増やすことにより、磁極柱10側面からアウターヨーク部32やベースコア部31に流れる短絡磁束がより抑制されることが理解される。
本発明に関する上記説明では、スリットの間隙に何も設けられていない(すなわち空気で絶縁された)スリット31c、31d、32c、33f、533f、33g、533g、41c、641c、943cを有する交流電磁石100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。例えば、全体の強度向上や磁気歪みによる振動低減の観点から、これらのスリットの間隙の一部または全部が、絶縁体(例えば熱硬化性樹脂の接着剤等。)で埋められている形態の交流電磁石とすることも可能である。
100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000 交流電磁石
10 磁極柱
10a (磁極柱の)第1の端部
10b (磁極柱の)第2の端部
10c (磁極柱の)側面
20 コイル
20a (コイルの)中心孔
30、530 磁気ヨーク
30a (磁気ヨークの)底面
30b (磁気ヨークの)側面
30c、530c (磁気ヨークの)上面
31 ベースヨーク部
31a (ベースヨーク部の)貫通孔
31b (ベースヨーク部の)外縁部
31c、31d (ベースヨーク部の)スリット
32 アウターヨーク部
32a (アウターヨーク部の、リターンヨーク部に面した)端部
32b (アウターヨーク部の、ベースヨーク部に面した)端部
32c (アウターヨーク部の)スリット
33、533 リターンヨーク部
33a、533a (リターンヨーク部の)貫通孔
533aw (リターンヨーク部の貫通孔の)内壁面
33b (リターンヨーク部の貫通孔の)周縁部
33c、533c (リターンヨーク部の)内側面
33d (リターンヨーク部の)凹部
33e (リターンヨーク部の)外縁部
33f、533f、33g、533g (リターンヨーク部の)スリット
40、240、340、440、540、640、840、940、1040 遮蔽部材
41、241、341、441、541、641 第1の板状部
41a、641a (第1の板状部の)貫通孔
41b、641b (第1の板状部の)外縁部
41c、641c (第1の板状部の)スリット
41d、541d、641d (第1の板状部の貫通孔の)周縁部
41e、541e、641e (第1の板状部の)凸部
641f 冷媒流路
641fa (冷媒流路の)流入口
641fb (冷媒流路の)流出口
842、1042 筒状部
842a、1042a (筒状部の)第1の板状部に面した端部
842b、1042b (筒状部の)他方の端部
842c、1042c (筒状部の)スリット
943 第2の板状部
943a (第2の板状部の)貫通孔
943b (第2の板状部の)外縁部
943c (第2の板状部の)スリット

Claims (14)

  1. 長軸方向に離隔した第1の端部および第2の端部を有する磁極柱と、
    前記磁極柱の周囲に巻回されたコイルと、
    底面、側面、および上面を有し、前記磁極柱に接して配置された磁気ヨークと、
    非磁性導体により構成され、第1の板状部を有する遮蔽部材と
    を有し、
    前記磁気ヨークは、
    該磁気ヨークの底面を構成し、前記磁極柱の第2の端部および/または側面と接し、前記磁極柱とともに前記コイルの磁束を導く磁路を形成するベースヨーク部と、
    前記磁気ヨークの側面を構成し、前記磁極柱の側方であって且つ前記磁極柱から見て前記コイルの外側に、前記ベースヨーク部と接して又は前記ベースヨーク部と一体に配置され、前記ベースヨーク部とともに前記コイルの磁束を導く磁路を形成するアウターヨーク部と、
    前記磁気ヨークの上面を構成し、前記磁極柱の第1の端部が挿通可能な貫通孔を有し、前記アウターヨーク部と接して又は前記アウターヨーク部と一体に配置され、前記アウターヨーク部とともに前記コイルの磁束を導く磁路を形成するリターンヨーク部と
    を有し、
    前記コイルは、平面視において該コイルの中心孔が前記リターンヨーク部の貫通孔と重複するように、前記リターンヨーク部と前記ベースヨーク部との間に配置され、
    前記磁極柱は、前記コイルの前記リターンヨーク側に前記第1の端部が突出するように、前記コイルの中心孔に挿通され、
    前記リターンヨーク部は、前記磁極柱に接しないように、且つ、平面視において前記リターンヨーク部の貫通孔に前記磁極柱の第1の端部が含まれるように配置され、
    前記磁極柱と前記リターンヨーク部との間を流れる磁束の少なくとも一部は、前記磁極柱の第1の端部の端面、および、前記リターンヨーク部の前記ベースヨーク部とは反対側の空間を通り、
    前記遮蔽部材の第1の板状部は、該第1の板状部の厚さ方向に設けられた貫通孔を有し、
    前記遮蔽部材の第1の板状部は、該第1の板状部の貫通孔が前記磁極柱によって挿通されるか、又は該第1の板状部の貫通孔に前記磁極柱の第1の端部が受け容れられるように配置され、
    前記遮蔽部材の第1の板状部は、前記磁極柱のうち前記コイルの中心孔内にある部分と前記第1の端部との間の部分の表面の少なくとも一部を前記リターンヨーク部から覆い隠しており、
    前記第1の板状部には、平面視において前記第1の板状部の貫通孔から外縁部まで延在するスリットが設けられており、
    前記リターンヨーク部の貫通孔の内壁面と、前記磁極柱の側面とが、接することなく向かい合っており、
    前記遮蔽部材の前記第1の板状部は、該第1の板状部の貫通孔の周縁部が、前記リターンヨーク部側に向けて盛り上がった形状の凸部を有しており、
    前記遮蔽部材は、前記第1の板状部の前記凸部が、前記リターンヨーク部の貫通孔の内壁面と前記磁極柱の側面との間の間隙に受け容れられるように配置されていることを特徴とする、交流電磁石。
  2. 前記リターンヨーク部は、該リターンヨーク部の貫通孔の周縁部が、前記ベースヨーク部とは反対側に向けて突き出た形状を有するとともに、前記リターンヨーク部の前記ベースヨーク部側の面には、前記ベースヨーク部から見て、前記リターンヨーク部の貫通孔の周囲に凹部が形成されており
    前記遮蔽部材は、前記第1の板状部の前記凸部が、前記リターンヨーク部の前記凹部に受け容れられるように配置されている、
    請求項1に記載の交流電磁石。
  3. 前記遮蔽部材の第1の板状部が、前記磁極柱および/または前記磁気ヨークと、電気的な導通を伴って直接に接触している、
    請求項1又は2に記載の交流電磁石。
  4. 前記遮蔽部材の第1の板状部が、前記リターンヨーク部と、電気的な導通を伴って直接に接触しており、
    前記リターンヨーク部のスリットと、前記遮蔽部材の第1の板状部のスリットとが連通している、
    請求項1〜のいずれかに記載の交流電磁石。
  5. 前記遮蔽部材の第1の板状部が、前記磁極柱と、電気的な導通を伴って直接に接触しており、
    前記磁極柱は積層鉄心であり、
    前記磁極柱の長軸方向は、前記積層鉄心の積層方向と交差する方向であり、
    前記遮蔽部材の第1の板状部の貫通孔の内周部において、前記第1の板状部のスリットの端部は、前記積層鉄心の積層構造が現れた部分と向かい合う位置に現れている、
    請求項1〜のいずれかに記載の交流電磁石。
  6. 前記第1の板状部は、少なくとも前記コイルと前記リターンヨーク部との間の空間に延在する、
    請求項1〜のいずれかに記載の交流電磁石。
  7. 前記遮蔽部材は、前記コイルと前記アウターヨーク部との間に配置された筒状部をさらに有し、
    前記筒状部は、前記第1の板状部と接して又は一体に設けられており、
    前記筒状部には、該筒状部の軸方向の一方の端部から他方の端部に至るスリットが、前記第1の板状部のスリットに連なるように設けられている、
    請求項に記載の交流電磁石。
  8. 前記遮蔽部材は、前記コイルと前記ベースヨーク部との間に配置された第2の板状部をさらに有し、
    前記第2の板状部は、前記筒状部と接して又は一体に設けられており、
    前記第2の板状部は貫通孔を有し、
    該第2の板状部の貫通孔に、前記磁極柱が挿通されており、
    前記第2の板状部には、該第2の板状部の貫通孔から外縁部に至るスリットが、前記筒状部のスリットに連なるように設けられている、
    請求項に記載の交流電磁石。
  9. 前記遮蔽部材は、前記コイルと前記磁極柱との間に配置された筒状部をさらに有し、
    前記磁極柱は、前記筒状部の内側の中空部に挿通されており、
    前記筒状部は、前記第1の板状部と接して又は一体に設けられており、
    前記筒状部には、該筒状部の軸方向の一方の端部から他方の端部に至るスリットが、前記第1の板状部のスリットに連なるように設けられている、
    請求項に記載の交流電磁石。
  10. 前記遮蔽部材は、前記コイルと前記ベースヨーク部との間に配置された第2の板状部をさらに有し、
    前記第2の板状部は、前記筒状部と接して又は一体に設けられており、
    前記第2の板状部は貫通孔を有し、
    該第2の板状部の貫通孔に、前記磁極柱が挿通されており、
    前記第2の板状部には、該第2の板状部の貫通孔から外縁部に至るスリットが、前記筒状部のスリットに連なるように設けられている、
    請求項に記載の交流電磁石。
  11. 前記遮蔽部材の第1の板状部は、前記スリットを1本のみ有する、
    請求項1〜10のいずれかに記載の交流電磁石。
  12. 前記リターンヨーク部には、平面視において該リターンヨーク部の貫通孔から該リターンヨーク部の外縁部まで延在するスリットが設けられており、
    前記アウターヨーク部には、該アウターヨーク部の前記リターンヨーク部に面する端部から、該アウターヨーク部の前記ベースヨーク部に面する端部まで延在するスリットが、前記リターンヨーク部のスリットに連なるように設けられており、
    前記ベースヨーク部には、平面視において該ベースヨーク部の外縁部から該ベースヨーク部が前記磁極柱と接する部分まで延在するスリットが、前記アウターヨーク部のスリットに連なるように設けられている、
    請求項1〜11のいずれかに記載の交流電磁石。
  13. 前記遮蔽部材の内部に、冷媒の流路が設けられている、
    請求項1〜12のいずれかに記載の交流電磁石。
  14. 前記遮蔽部材に接合された、冷媒が流通されるパイプをさらに備える、
    請求項1〜12のいずれかに記載の交流電磁石。
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