しかしながら、屋外で測色する場合、光源を内蔵した分光測色計では、図23に示す通り、屋外光を遮断する素材で覆って、内部から発する光で測定する必要がある。晴れた日の屋外の太陽光は、6500Kの色温度の程度のため、屋外で色を測定する場合、室内での色温度(例えば、5000K)とは大きく異なる。従来の分光測色計では、色の測定誤差が大きくなり、屋外での色の正確な測定が困難であった。
上述の分光測色計の構造により、光が漏れると正確な色測定は出来ず、大きな建物などの色測定については、物理的に測定も出来ない。建物のように、一定の色ではなく、色が分布しているようなものに対しては、平均的な色値(Lab値)を提示するため、素材としての質感についての評価は出来ない。特に、屋外の大型の土木構築物、建築物、建機などの色については、適応範囲外としていた。
市販のデジタルカメラ又は市販の2次元色彩計においては、D50光源からD65光源に照明光を変換した後の測定誤差も元のD50光源も同様にxy値の測定誤差が大きい。
特許文献1に示す、有限会社パパラボが開発した2次元色彩計については、分光測色計と同様に、半円形のドーム拡散照明を、フェルトラバーの覆いで、外光を遮断して、測定する。この方式は、接触型の測定方式であり、カメラ方式の測色の利点である非接触での測定については、閉鎖された測定室での測定でない限り、色の測定が困難である。
このような理由により、特許文献1の方式では、屋外などの建物の色や巨大な装置(大きなクレーン)の色などの測定は出来ないため、屋外の自然光(太陽光)等で利用する目的での利用は困難である。
そこで、本発明は、屋外でも室内でも正確な色度値を得ることを目的とし、屋外において管理下の照明なしでも、屋外の色の測定を可能とし、色の測定誤差を減少させることを目的とする。
本発明は、2次元色彩計の3つのチャンネルゲインS1gain,S2gain,S3gainを変換して、三帯域の3つの感度平均値又は出力値を特定の比率に変換する第1発明と、第2発明とにより、上記課題を解決した発明である。第1発明は、標準白色板を用いる発明であり、第2発明は、2次元色彩計に内蔵した小型分光器で物体の光の強さを測定することに特徴があり、同様の課題を同様の構成により解決したものである。
第1発明は、CIE XYZ等色関数と等価に線形変換された三つの特定の規格化感度を有するXYZ表色系の、三帯域のチャンネルゲインを有する2次元色彩計により、第1の色温度下で、標準白色板を撮像し、前記三帯域のそれぞれについて感度値を取得する感度値取得ステップと、前記標準白色板の所定領域について、前記三帯域のそれぞれについて感度値に対する画素カウント値の曲線を、前記三帯域のチャンネルゲインを制御することにより、感度平均値又は積分値を一定比率とする感度値調整ステップと、前記前記三つの感度平均値を一定比率とした後に、第2の色温度下で、撮像を行うことで感度値を取得し、前記感度値を特定変換マトリクスによりXYZ表色系の色度値に変換するXYZ系表色値変換ステップと、を備えたことを特徴とする色彩測定方法である。
三つの感度値は、単数の画素の感度値、又は、複数の画素の感度値の平均値を用いる。精度が高い場合には単数、精度が高い場合を除く場合には、平均値を用いることが好ましい。平均値の場合には、前記それぞれの感度値の平均値を演算する感度平均値演算ステップと、前記チャンネルゲインを制御することにより、前記三つの感度平均値を一定比率とする感度値調整ステップと、を備えることが好ましい。
前記感度値調整ステップにおいて、一定比率とした後、特定変換マトリクスを作成し記憶する特定変換マトリクス作成ステップを備え、第1の色温度の光源下で感度値調整ステップと、及び、XYZ系表色値変換ステップを行った後、第2の色温度の光源下で、前記特定変換マトリクスと同一の変換マトリクスを用いて、XYZ表色系の色度値に変換することが好ましい。
前記標準白色板は分光反射率の可視域の波長に対する特性がフラットであり、前記特定変換マトリクス作成ステップは、分光輝度計により色票と標準白色板とを撮像して得られたXYZ値と、前記2次元色彩計により色票と標準白色板とを撮像して得られた感度値に基づいて、前記特定変換マトリクスを作成することが好ましい。
第2発明は、分光器で環境光を測定し、スペクトルを検出するスペクトル検出ステップと、前記検出されたスペクトルと、XYZ表色系の2次元色彩計に設定された、CIE XYZ等色関数と等価に線形変換された特定の三つの規格化感度とを積算して出力値とし、三帯域について、それぞれ、出力値を演算する出力値演算ステップと、前記三帯域のそれぞれについての出力値に対する画素カウント値の曲線を、前記三帯域のチャンネルゲインを制御することにより、出力平均値又は積分値を一定比率とする出力平均値調整ステップと、前記出力平均値調整ステップにより前記三つの出力平均値が一定比率となるようにした後に、第2の色温度下で、撮像を行うことで感度値を取得し、前記感度値を特定変換マトリクスによりXYZ表色系の色度値に変換するXYZ系表色値変換ステップと、を備えたことを特徴とする色彩測定方法である。
前記特定変換マトリクス作成ステップは、分光輝度計により色票と標準白色板とを撮像して得られたXYZ値と、前記2次元色彩計により色票と標準白色板とを撮像して得られた感度値に基づいて、前記特定変換マトリクスを作成することが好ましい。
第2発明は、分光器で環境光を測定し、スペクトルを検出するスペクトル検出ステップと、前記検出されたスペクトルと、XYZ表色系の2次元色彩計に設定された、CIE XYZ等色関数と等価に線形変換された特定の三つの規格化感度とを積算して出力値とし、三帯域について、それぞれ、出力値を演算する出力値演算ステップと、前記2次元色彩計のチャンネルゲインを制御することにより、前記三つの出力値を一定比率とする出力値調整ステップと、前記出力値調整ステップにより前記三つの出力値が一定比率となるようにした後に、撮像を行うことで感度値を取得し、前記感度値を特定変換マトリクスによりXYZ表色系の色度値に変換するXYZ系表色値変換ステップと、を備えたことを特徴とする色彩測定方法である。
前記一定比率が同一比率であることが好ましい。
「2次元色彩計」は、図1に示す三つの特定の規格化感度(S1(λ),S2(λ),S3(λ))により、三つのチャンネルに分けて撮像対象物を撮像するものである。これらの分光感度を得るために設定された光学フィルタ又はダイクロイックミラーもしくはダイクロイックプリズム等のいずれであるかを問わず用いることができる。
「感度値」はCMOSセンサー等の撮像素子の電子量を示すアナログ信号をA/D変換によりデジタル信号に変換した値である(画素値とも呼ばれる)。「画素カウント値」は撮像素子の各画素の数を計数したカウント値である。
上記特定の規格化感度(S1(λ),S2(λ),S3(λ))は、図1に示す通り、CIE XYZ分光特性から負の値を持たない、単独ピークを持つ山形であり、それぞれの分光感度曲線のピーク値が等しく、かつ分光感度の曲線の重なりは最小限にするという条件から等価変換したものであって、分光特性S1のカーブは、ピーク波長が582nmであり、半値幅が523〜629nmであり、1/10幅が491〜663nmである。分光特性S2のカーブは、ピーク波長が543nmであり、半値幅が506〜589nmであり、1/10幅が464〜632nmである。分光特性S3のカーブは、ピーク波長が446nmであり、半値幅が423〜478nmであり、1/10幅が409〜508nmである。
「標準白色板」は可視域にフラットな分光特性を持つものである。「フラット」とは、波長の変化に対して、分光放射率が実質的に一定値を取るものである。
「特定変換マトリクス」は、理論的には、1つでまかなえるものであり、後述、数式1に示すマトリクスである。ただし、S1,S2,S3カーブが各照明色温度で、理想的なカーブからの誤差があるため、各色温度毎に、補正した変換マトリクスを用いることもできる。本発明では、2次元色彩計が理想的なS1,S2,S3のカーブを持てば、1つのマトリクスで、事足りるとする前提である。
「XYZ表色系」とは、RGB表色系を単純な一次変換で負の値が現れないように、CIEが1931年にRGB表色系と同時に定めたものである。
「XYZ表色系」には、例えば、Yxy、XYZ、Lab、Luv等のCIE表色系を含み、2次元色度図又は3次元色空間を含む概念である。
xyY表色系(Yxy表色系ともいう)とは、XYZ表色系では数値と色の関連がわかりにくいので、XYZ表色系から絶対的な色合いを表現するために定められたものである。
Luv表色系とは、CIEが1976年に定めた均等色空間のひとつであり、CIEL*u*v*は光の波長を基礎に、XYZ表色系のxy色度図の波長間隔の均等性を改善したものである。日本ではJIS Z8518に規定されている。
Lab表色系とは、CIE L*a*b*であり、XYZ表色系から知覚と装置の違いによる色差を測定するために派生したものである。日本ではJIS Z 8729に規定されている。
「XYZ表色系」には、2次元座標と3次元座標で規定される色空間が含まれる。色空間の代表例としては、XYZ色空間と、Lab色空間等の構成例がある。2次元の色空間の場合、例えば、Yxy色空間、Luv色空間の場合、2次元平面であるxy色度図(Yxy色空間で正規化したxy色度値(平面))、uv色度図、u’v’色度図が挙げられる。平面上での2次元色度図の画素カウント値の密度として表現されるxy色度ヒストグラム分布又はLuv色度ヒストグラム分布等が対応する。3次元の色空間の場合、例えば、XYZ色空間、Lab色空間の場合、3次元空間であるXYZ色空間、Lab色空間が挙げられる。3次元での色空間上の画素カウントの密度として表現されるXYZ色空間ヒストグラム、又はLab色空間ヒストグラム分布等が対応する。
「標準白色板」の材質は、セラミックや硫酸バリウム等を固めたものである。この分光反射率は、380〜780nmに亘り、ほぼフラットなものが好ましい。「フラット」とは、波長の変化に対する分光反射率(%)の誤差が少ないものをいう。
第1発明により、白色値(例えば、D65光源)の出力を、他の色温度(例えば、D50光源)と同じにするために、変換マトリクスで求めた出力値XYZのマトリクスで、白色値以外の出力も、同じ出力が得られるため、結果として、どのような色温度でも同じ色度値が得られる。
第1発明によれば、D50光源からD65光源に照明光を変換した後の測定誤差も元のD50光源と精度は大きく変わらず、かつ、コニカミノルタ(登録商標)CS−2000(以下、CS−2000と略す)に近い正確な色の測定値となる。
第2発明は、小型分光器を利用して、照光環境の色温度を測定して、第1発明の標準白色板を用いると同様の結果を得ることが出来る。
第2発明の「2次元色彩計」は、第1発明と異なり、分光器を用いたものであり、2次元色彩計に内蔵した構造、又は、2次元色彩計に脱着可能とした構造、2次元色彩計に接続する構造のいずれでもよい。
「同一比率」の場合、感度平均値又は出力値の誤差の範囲は+5%から−5%とする。3つの感度平均値又は出力値が同一になるようにすれば、精度は上がる。ソフトウェア制御で感度平均値又は出力値が一定になるように調整するアルゴリズムを持たせることは可能である。
前記三つの感度値又は三つの出力値をチャンネルゲインを制御することにより、一定比率とすることが好ましい。
「チャンネルゲイン」とは、各帯域に対応する撮像素子の電気信号の増幅率をいう。電気信号にはアナログ信号又はデジタル信号のいずれも含む。
前記三つの感度値又は三つの出力値を三つの感度値のデジタル処理により、一定比率とすることが好ましい。当業者であれば詳細な説明はデジタル処理の内容は実施できる。
本発明では、屋外でも室内でも正確な色度値を得ることができる。屋外の色測定の場合は、管理下の照明なしに、かつ、屋外の気象条件に依らず、同じ場所の色は、同じ値が得られるため、定点観測すれば、屋外の色を簡便に観測することが出来る。例えば、紫外線等による塗装色の変化や、建物のコンクリートの色の変化(鉄筋からのサビの出現)等について、屋外でこれまで色の測定が出来なかった対象に対し、屋外の色温度の変化に依らない、誤差の少ない、色の定量化が可能となる。特定の色温度の出力を安定的に得ることができる。
白色値以外の出力信号も、白色値と同様に正確な出力信号が得られるため、屋外の撮像において、常に一定の色度値の数値を得ることができるので、色数値の定量化が可能になる。
本発明の好適な実施形態1による色彩測定方法について図1〜図12を参照して説明する。実施形態1の色彩測定方法は、CIE XYZ等色関数と等価に線形変換された三つの特定の規格化感度を有するXYZ表色系の、三帯域のチャンネルゲインを有する2次元色彩計2により、標準白色板5を撮像し、三帯域のそれぞれについて感度値S123を取得する感度値取得ステップと、それぞれの感度値S123の感度平均値Hを演算する感度平均値H演算ステップと、チャンネルゲインS1gain,S2gain,S3gainを制御することにより、三つの感度平均値Hを一定比率とする感度値調整ステップと、制御後のチャンネルゲインS1gain,S2gain,S3gainに基づいて撮像を行うことで感度値を取得し、感度値S123を特定変換マトリクスによりXYZ表色系の色度値に変換するXYZ系表色値変換ステップと、を備えたことを特徴とする色彩測定方法である。チャンネルゲインS1gain,S2gain,S3gainは、それぞれ、分光感度S1、分光感度S2、分光感度S3に対応する、撮像素子23の電気信号の増幅比率を言う。
感度値調整ステップにおいて、一定比率とした後、特定変換マトリクスを作成し記憶する特定変換マトリクス作成ステップを備え、1の色温度のD50光源下で感度平均値H演算ステップ、感度値調整ステップと、及び、XYZ系表色値変換ステップを行った後、D65光源下で、特定変換マトリクスと同一の変換マトリクスを用いて、XYZ表色系の色度値に変換する。
特定変換マトリクス作成ステップは、分光輝度計により色票(24色マクベスチャート)と標準白色板5とを撮像して得られたXYZ値と、2次元色彩計2により色票(24色マクベスチャート)と標準白色板5とを撮像して得られた感度値に基づいて、特定変換マトリクスを作成する。
標準白色板5の特定の波長に対する分光反射率(%)を表1に示す。
2次元色彩計2の分光感度はルータ条件を満たすものであって、その分光感度(S1(λ)、S2(λ)、S3(λ))は、図1に示す通り、XYZ等色関数から、負の値を持たず、単独ピークを持つ山形であり、それぞれの分光感度曲線のピーク値が等しく、かつ分光感度の曲線の重なりはできるだけ少なくするという条件から等価変換したものである。分光感度(S1(λ)、S2(λ)、S3(λ))は具体的には以下の特性を持つ。
記
ピーク波長 半値幅 1/10幅
S1 582nm 523〜629nm 491〜663nm
S2 543nm 506〜589nm 464〜632nm
S3 446nm 423〜478nm 409〜508nm
上記の分光特性S1のピーク波長を582±4nm、分光特性S2のピーク波長を543±3nm、分光特性S3のピーク波長を446±7nmとして取り扱うこともできる。
三つの分光感度(S1(λ)、S2(λ)、S3(λ))とx(λ)、y(λ)、z(λ)との関係は、数式1に示す特定変換マトリクスである。
分光特性自体についての詳細は特開2005−257827号公報等を参照されたい。
実際の2次元色彩計の特性は、設計値からは、ある精度で外れているので、上記数式1を補正した特定変換マトリクスとすることにより、さらに精度を増すことが可能となる。補正された特定変換マトリクスは、管理照明下(例えばD50光源)で色票(例えば24色カラーチャート)と標準白色板をCS2000(コニカミノルタ製(登録商標))で撮像し、XYZ値(真値)を取得し、メモリに記憶する。同じ撮影条件下で、2次元色彩計2で標準白色板5と色票を撮像し、感度値S123を取得する。特定変換マトリクスの計算は最小2乗法による。計算式は下記の数式2〜数式4の通りである。真値との誤差が最小になるような係数を求める。数式2において、Xi,Yi,Ziは、各画素のXYZ値である。g11〜g33は3×3マトリクスの係数である。S1i,S2i,S3iは、各画素の感度値S123である。数式3において、ErrX,ErrY,ErrZは、Xi,Ti,ZiとS1i,S2i,S3iの誤差の最小2乗である。数式4において、連立方程式でg11,g12,g13の係数を求める。g21以降も同様であるので、割愛する。
上記補正マトリクスは、D50光源下での撮像で用いるが、色温度の異なるD65光源下の撮像では、新たにD65用補正マトリクスを作成する必要はなく、D65光源下での撮像でも、演算には、D50光源で作成された補正マトリクスとしての特定変換マトリクスと同一の変換マトリクスを使用することとなるので、標準白色板5での調整の煩雑さが回避できる。D65以外の色温度でも、同様に、D50光源での特定変換マトリクスを適用できることは無論である。
上記の標準白色板5の撮像のときに、標準白色板5の所定領域について、すべての画素の感度値S123の合計をS1,S2,S3の各帯域毎に演算し、総画素数で割算し、感度平均値H1、H2、H3を演算して、メモリに記憶する。S1感度平均値H1=S2感度平均値H2=S3感度平均値H3となるよう、チャンネルゲインS1gain,S2gain,S3gainを制御する。この感度制御の詳細は図10を参照して後述する。
2次元色彩計2の仕様は、有効頻度値約500万画素、有効面積9.93mm×8.7mm、画像サイズ3.45μm×3.45μm、ビデオ出力12Bit、カメラインターフェイスgigE、フレーム数(ピント調整時)3〜7フレーム/Sec、シャッタースピード1/15,600Sec〜1/15Sec、積算時間3秒まで、S/N比60dB以上、レンズマウントFマウント、動作温度0℃〜40℃、動作湿度20%〜80%である。
2次元色彩計2は、図2に示すように、撮影レンズ21と、この撮影レンズ21の後方に配置された三つの光学フィルタ22a、22b、22cと、光学フィルタ22a、22b、22cの後方に配置された撮像素子23(CCD、CMOSなど)と、を備えている。2次元色彩計2の三つの分光感度(S1(λ)、S2(λ)、S3(λ))は、光学フィルタ22a、22b、22cの分光透過率と撮像素子23の分光感度との積により与えられる。図2における光学フィルタ22a、22b、22cと撮像素子23との配列的関係は模式的に示したものにすぎない。三つの規格化感度(S1(λ)、S2(λ)、S3(λ))に従って画像情報を演算する方式について以下に具体例を挙げるが、本実施形態1ではこれらのうちいずれをも採ることができ、また、その他の方式を採ることもできる。
図3(a)に示すものはダイクロイックミラーを用いる方式である。これはダイクロイックミラー22c´により特定の波長の光を反射し、透過した残りの光について、さらに別のダイクロイックミラー22a´により別の特定の波長の光を反射して分光し、撮像素子23a、23b、23cを三つ並列にして読み出す方式である。ここでは、ダイクロイックミラー22a´が光学フィルタ22a、22bに相当し、ダイクロイックミラー22c´が光学フィルタ22cに相当する。撮影レンズ21から入射する光はダイクロイックミラー22c´により分光感度S3に従う光が反射され、残りの光は透過する。ダイクロイックミラー22c´により反射された光を反射鏡26により反射して撮像素子23cにより感度値S3を得る。一方、ダイクロイックミラー22c´を透過した光は、ダイクロイックミラー22a´において、分光感度S1に従う光が反射され、残りの分光感度S2に従う光は透過する。ダイクロイックミラー22a´を透過した光を撮像素子23bにより撮像して感度値S2を得る。感度値S1、S2、S3は、三帯域視覚感度値S1i,S2i,S3i(i=1〜n:nは総画素数)であり(以下、感度値S123と略す)、CMOSセンサー等の撮像素子23の電子量を示すアナログ信号をA/D変換によりデジタル信号に変換した値(画素値とも呼ばれる)である。ダイクロイックミラー22a´により反射された光を反射鏡29により反射して撮像素子23aにより感度値S1を得る。ダイクロイックミラーに代えて同様な特性を有するダイクロイックプリズムを用いて三つに分光し、それぞれの光が透過する位置に撮像素子23a、23b、23cを接着することとしてもよい。24は演算部、25は表示部である。
なお、2次元色彩計2で得られた画像を、2次元色彩計2から電気信号を送り、コンピュータ(図示略)で演算処理してもよい。これについては第2実施形態で説明する。
図3(b)に示すものはフィルタターレット27を用いる方式である。撮影レンズ21からの入射光と同じ方向を回転軸に持つフィルタターレット27に光学フィルタ22a、22b、22cを設けてこれらを機械的に回転させ、順次透過する光について撮像素子23により、図1の分光感度(S1(λ)、S2(λ)、S3(λ))に基づいて感度値を得る。
図3(c)に示すものは光学フィルタ22a、22b、22cを撮像素子23に微視的に貼着する方式である。撮像素子23上における光学フィルタ22a、22b、22cは、ベイヤー配列型に設けられる。この配列は、格子状に分けた撮像素子23上の領域のうち半分に光学フィルタ22bを設け、残りの半分の領域に光学フィルタ22aと光学フィルタ22cとをそれぞれ均等に配置する。すなわち、配置量は光学フィルタ22a:光学フィルタ22b:光学フィルタ22c=1:2:1となる。光学フィルタ22a、22b、22cの配列をベイヤー配列以外のものとすることは本実施形態1において特に妨げられない。一つ一つの光学フィルタ22a、22b、22cは非常に微細であるため、印刷により撮像素子23に貼着される。ただし、本発明はこの配列に意味があるのではなく、分光感度(S1(λ)、S2(λ)、S3(λ))の特性のフィルタを撮像素子23に貼着することにある。
光学フィルタ22a〜22cは入射光に対して光電変換を行い、撮像対象物体に対応した投影像をその光電変換面上に形成し、それぞれのCCDイメージングデバイスなどの広い色域に対して十分な感度特性を有する。上記光電変換により得られた感度値S123を演算部24で演算する。
演算部24はROM,RAM,CPU等を備え、ROMに格納された制御ソフトウェアによって動作し、感度値S123を、チャンネルゲインS1gain、S2gain、S3gainにより制御し、XYZ表色系における三刺激値XYZに変換し取得する演算処理を行い、各種演算値を出力し、視覚化処理された画像を表示部25に表示する。
照明部6の照明源はD50光源とD65光源を使用する。キセノンランプ又はLED人工太陽灯等を使用する。
2次元色彩計2による色彩測定方法について具体例を挙げつつ説明する。2次元色彩計2の演算部24のフローチャートを図4に示す。
2次元色彩計2の電源が入ると、図4に示す通り、初期化をする(初期化S1)。標準白色板5を照明部6の照明下で撮像し(撮像処理S2)、その後、撮像された三帯域視覚感度値S1i,S2i,S3iを撮像素子23から入力し(入力処理S3)、演算部24にてチャンネルゲインS1gain、S2gain、S3gainを制御した後、感度値S123とし、これを、三刺激値XYZに変換する(変換処理S4)。XYZからxy値を演算し、出力する(出力S5)。画像は表示部25に表示される。
ゲインS1gain,S2gain,S3gainの制御は、演算部24のゲイン制御部で行う。演算部24は、2次元色彩計2のゲインの初期設定を行ったり、後段の各種機能の処理結果に基づいてゲインの制御、設定変更を行ったりする機能を備えている。また、ゲイン制御は、ゲイン決定部により決定されるゲインで撮像が行われるよう2次元色彩計2を制御する。ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、又は、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせのいずれでも実施可能である。上述のゲインS1gain,S2gain,S3gainの制御は、S1、S2、S3のそれぞれの帯域で変更できる構成であり、具体的には、撮像素子23のゲイン等を変更する例が挙げられる。ゲインS1gain,S2gain,S3gainと最大のデジタル値との関係について、各チャンネルの感度値の最大ビット数が12ビットであれば、4096階調となるが、いずれの階調にゲインを揃えるかは、想定される、その他の色温度での信号を考慮して設計する。例えば、D65では、S3チャンネルの画素信号のレベルが高く出力されるので、この範囲が撮像素子の最大信号階調を超えないように、レンズの絞りを絞るか、全体のチャンネルゲインを下げる。
ゲイン制御に代えて、S1感度値、S2感度値、S3感度値をデジタル処理することで、各チャンネルの感度平均値Hを同一の値とすることも可能である。
図9(a)(b)に示す通り、感度値S1,S2,S3と光の強さIについて説明する。図9(a)に示す通り、色温度2900Kの照明であると、2次元色彩計2の感度値S3が落ち、S1が上がる。スペクトルの相対強度Iに応じて、感度値S1,S2,S3が長波長側の頂点が高くなり、面積も大きくなった分布をもつ。一方、図9(b)に示す通り、色温度が6500Kであると、2次元色彩計2の感度値S1が落ち、S3が上がる。スペクトルの相対強度Iに応じて、ゲインS1,S2,S3が短波長側の頂点が高くなり、面積も大きくなった分布をもつ。5000Kでは(a)(b)の中間の分布になる。チャンネルゲインS1gain,S2gain,S3gainを制御することにより、各チャンネルの感度平均値Hを同一の値とすることで、感度値S123やxy色度値の色温度の変化による誤差を極めて少なくすることができる。
図10は上記のチャンネルゲインS1gain,S2gain,S3gainの制御前後の画素カウント値ACのヒストグラム分布の変化を示すグラフである。チャンネルゲインS1gain,S2gain,S3gainの制御前は、S1、S2、S3のそれぞれの画素カウント値ACの曲線はシフトしているが、制御後は、3つの画素カウント値ACを示す曲線は重畳している。例えば、1万画素(100×100)の解像度である場合、チャンネルゲイン制御前に、S1に属する画素の画素カウント値AC(S1)が8000感度カウント値、S2に属する画素カウント値AC(S2)が10000感度カウント値、S3に属する画素カウント値AC(S2)が12000感度カウント値の場合、S1感度値の平均値=S2感度値の平均値S2=S3感度値の平均値となるように調整するチャンネルゲインS1gain,S2gain,S3gainの制御後は、画素カウント値AC(S1)、画素カウント値AC(S2)、画素カウント値AC(S3)の分布が重なり合うといった例が挙げられる。一定比率とすることも可能であることは無論である。この比率は諸般の条件によって適宜設定が可能である。どのように色温度が変化しても、チャンネルゲインS1gain,S2gain,S3gainの制御により、同一値(同一値のほか、一定比率でも実施可能)に制御することで、誤差の少ない感度値S123やxy色度値を得ることが可能である。
チャンネルゲイン制御例については、D65光源の照明下のデータをD50光源での照明下と同様のxy値が得られる変換が挙げられる。自然光下でも当然可能である。このゲイン制御は、S1、S2、S3の各値の標準白色板5での感度平均値H(実施形態1)もしくは、小型の分光器の可視域のスペクトルとS1,S2,S3カーブの積の積分値が、等しくなるように、S1,S2,S3ゲインを制御するものである(実施形態2)。
三刺激値XYZからY´xy表色系への変換式を数式2、3に挙げる。ここでは2次元色彩計2とともに輝度計(図示略)を使用し、Yは輝度計の値(nt)により校正してY´とした。色空間の変換式は慣用されているため、その他の詳しい式については割愛する。
XYZ表色系は、現在CIE標準表色系として各表色系の基礎となっている。光の三原色(R=赤、G=緑、B=青紫)の加法混色の原理に基づいて発展したもので、色度図を使って色をYxyの3つの値で表わす。Yが反射率で明度に対応し、xyが色度になる。
撮像処理S2は、三つの分光感度(S1(λ)、S2(λ)、S3(λ))を基に2次元色彩計2によって対象物を撮像する工程である(図2、図4参照)。分光感度(S1(λ)、S2(λ)、S3(λ))は図1に示す。撮影レンズ21と光学フィルタ22a、22b、22cと撮像素子23により撮像されると同時に入力処理S3が連続的に行われる。
図5の表示部25の操作画面を説明する。(1)は画像表示領域を示す。2次元色彩計2のライブ中の画像や、サムネイル表示に入っている画像を選択した場合、この場所に表示される。(2)は画像表示縮尺である。Zoomの設定を変更することで、表示する画像の倍率を変えることができる。Gridチェックボックスグリッド線表示のOn/Offを切り替える。(3)は画像撮影・記録である。撮影開始、停止、保存ができるボタンである。LiveもしくはFocusボタンを押すとボタン表示がFreezeに変わり、Freezeボタンを押すと映像が止まる。ライブ表示前もしくはライブ表示停止中のボタン表示カラー画像をライブ中のボタン表示モノクロ画像をライブ中のボタン表示Liveボタンカラー画像のライブ表示が開始される。(4)はオーバーレイである。サムネイル内の画像を重ね合わせて画像を表示する。(5)は画像内のヒストグラム表示とピクセル値表示である。表示されている画像の中の色のヒストグラムを表示する。表示の種類はS123(2次元色彩計2からの感度値S123)とRGBの二つが選べる。ヒストグラム表示の下にピクセル値が表示される。S123は2次元色彩計からの画像データであり、人の視覚特性に近い感度のデータである。ヒストグラム表示は、画像の各チャンネル(S123)の各チャンネルの階調分布を示す。色度図は人間の眼がとらえることのできる色の範囲を平面で示す図である。xy値は色度図に置ける座標値である。ピクセル値はxy値、Lab値、S123値の3種類から選択できる。Image画像表示領域に表示されている画像の平均値である。ROIは選択されているプロファイルフレーム内の平均値である。Cousorは画像表示領域に表示されている画像のマウスカーソル下のピクセル値である。右横のMakerのボックスにチェックを入れると、マウスカーソル下のピクセル値は色度図ではどのあたりなのかを(15)の領域に「+」で表示することができる。(6)は色度図である。表示中の画像に含まれる色データが色度図上にプロットされる。(7)は各種設定である。Color Tempチェックボックスは色温度シミュレーションのOn/Offを指定する。Onにするとスライダが表示される。ライブ中、このスライダで色温度シミュレーションの調整が可能である。プロファイルフレームは白枠で設定される。(8)はサムネイルである。サムネイルは、撮影した画像などを一覧表示している小さな画像である。
本発明実施形態の色彩測定方法による色度値xyの正確性について検証するための手順と、検証結果について説明する。ここでは照明管理下での結果を示すことができるので、自然光でも同様の結果となることは明らかである。
(1)管理下での照明(ここでは暗室条件下)でD50光源と標準白色板5をセットする。2次元色彩計2により、D50光源の照明下で標準白色板5を撮像する。照明はPanasonic社製D50照明を用いた。
ここで用いた標準白色板5の分光反射率は表1の通りである。1〜1.5%以下の誤差が好ましい。可視域にフラットな分光反射率を有している。
(2)プロファイルフレームにより任意の特定領域を指定し、チャンネルゲインS1gain,S2gain,S3gainを制御し、感度平均値Hを同じ出力に制御してから、標準白色板5と24色マクベスチャートを撮像し、感度値S123を取得し、D50光源での数式1に示す変換マトリクスを用いて、XYZ値を演算し、XYZ値からxy値を読み込む。
(3)D65光源と標準白色板5をセットして、D50光源と同一の条件で、制御ソフトウェアを起動し、チャンネルゲインS1gain,S2gain,S3gainを制御し、感度平均値Hを同じ出力に制御してから、標準白色板5と24色マクベスチャートを撮影し、そのときのxy値を読み込む。D50光源とD65光源でのxy値の差がわずかなことを確認する。
(4)一方、上記のチャンネルゲイン制御のない2次元色彩計で標準白色板5を撮像した場合、D50とD65でのxy値の差が大きなことが確認できた。
図11、図12にRGBデジタルカメラのD50光源の照明下のxy色度値と、D65光源の照明下の色度値、CS2000のxy色度値との比較を示す。デジタルカメラは、照明色温度に依らず誤差が大きい。色温度が変わるとその差も大きい。
図13、図14は、2次元色彩計2のD50光源の照明下の色度値、D65光源の照明下のxy値と、CS2000のxy値の比較である。上記(4)でゲインを無制御とすると、D50光源からD65光源に照明光を変更した後のxy色度値の測定誤差は、元のD50光源も同様に誤差が大きい。
これに対して、図15、図16に示す通り、本実施形態の色彩測定方法によれば、D50光源からD65光源に照明光を変換した後のxy色度値の測定誤差は、元のD50光源と精度は大きく変わらない。
本実施形態の色彩測定方法は、照明色温度に依らず、一定のxy色度値の色座標を示す。コニカミノルタ(登録商標)CS-2000(以下、CS−2000と略す)に近い正確な色の測定値(真値と考えられる)となり、照明色温度に依らず、一定の色座標を示す。照明光に依らないXYZ値を出力することにより、L*a*b*も、従来のデジタルカメラや、カラーチェッカーのように接触式でのD65光源下での値と同じように、非接触で遠方でも測定できる機能がある。
図17にD50光源データとD65光源からD50光源に変換したデータ(単純白色校正)とのLabおよびΔEを示す。LabおよびΔEにおいても、上記xy色度値と同様の結果が得られた。
Labへの変換は数式4により行った。
照明光に依らないXYZ数値を出力することにより、L*a*b*も、従来の分光放射輝度計や分光測色計の接触式でのD65光源下での値と同じように、屋外での非接触で遠方の建造物でも測定できる機能を実現できる。
上述した演算処理においては、分光感度のS123の特性カーブが図1で示す国立大学法人静岡大学が提案する正確な値であった場合には、正確な値を指し示す。実際の2次元色彩計の特性は、設計値からはある精度で外れているので、補正マトリクスを入れることにより、さらに精度を増すことが可能となる。
この補正マトリクスは、例えば、予め、D65光源の照明下での補正値を入力して作成し、各係数は、2次元色彩計2の標準色温度5000Kとの差の係数として、割り振る。これにより、例えば、5000K〜6500Kの範囲の色温度の照明に対応した5000Kに正確に換算したXYZ値が求められる。これをさらに、L*a*b*の値に換算することも容易にできる。色温度適応範囲を広げるためには、補正マトリクスを複数温度領域ごとに設けるなどの対応が可能となる。
以上説明した通り、白色値の出力をD50光源と同じにするためにD50での変換マトリクスで変換しただけの簡便な方法により、白色値以外の出力も、同じXYZ出力が得られるため、結果として、同じ色度値が得られる。即ち、色々な照明の色温度又は自然光で撮影しても、2次元色彩計2のチャンネルゲインを制御し、感度平均値Hの値を合わせ、撮影するだけで、S123からXYZ値への変換マトリクスを取った時の照明条件(この説明ではD50光源)と等価な出力値がD65光源でも得られる。そのため、屋外の太陽光などの自然光で、天候や季節に応じて変わる照明の色温度が変化しても、一定の色温度で測定した測定値が得られる。
本発明の第2実施形態の色彩測定方法を図18〜図21を参照して説明する。この第2実施形態は、標準白色板5に代えて、分光器209で環境光を測定し、スペクトルI(i)を検出するスペクトル検出ステップと、前記検出されたスペクトルと、XYZ表色系の2次元色彩計に設定された、CIE XYZ等色関数と等価に線形変換された特定の三つの規格化感度とを積算して出力値とし、三帯域について、それぞれ、感度値に対する積分値である出力値S1out、S2out、S3outを演算する出力値演算ステップと、2次元色彩計2のチャンネルゲインS1gain,S2gain,S3gainを制御することにより、三つの出力値S1out、S2out、S3outを一定比率とする出力値調整ステップと、出力値調整ステップにより三つの出力値S1out、S2out、S3outが同一となるようにした後に、撮像を行うことで感度値S123を取得し、感度値S123を特定変換マトリクスによりXYZ表色系の色度値に変換するXYZ系表色値変換ステップと、を備えたことを特徴とする。三つの出力値S1out、S2out、S3outが一定比率となる実施例も可能である。
2次元色彩計2は第1実施形態の図2に示す回路に、図18に示す分光器209を内蔵したもので、その時の環境光を測定し、このとき撮影により得られた出力値S1out、S2out、S3outを積算し、常にどのような他の色温度でも同じxy値を取得できることが特徴である。つまり、測定対象がどのような環境光下であっても、定められた一定の色温度の環境下で測定したような色度値xyが得られる。常に一定の色度値xyの数値を得ることにより、屋外の色温度変化に依らない色数値の定量化を可能とする。2次元色彩計2に分光器209を内蔵せず、別体とし、接続し、通信可能な構成としてもよい。
マイクロ分光器209は、例えば、浜松フォトニクス社製のC12666MAが例示できる。これは、MEMS技術とイメージセンサ技術を融合した指先大の超小型分光器ヘッドで、感度波長範囲は340〜780nm、波長分解能は15nm maxである。対象物をマイクロ分光器で撮像し、分光感度特性、つまり、感度波長範囲の波長に対するスペクトルの出力値である相対感度(%)が得られる。
図18において、2次元色彩計2に分光器209が内蔵され、2次元色彩計2と演算処理装置7とが通信可能に接続され、演算処理装置7が表示装置8と接続されている。
実施形態1では、基本的には2次元色彩計2の制御ソフトウェアで、データの取得をしているが、図18に示す演算処理装置7(例えば、コンピュータ)側に制御ソフトウェアを備え、2次元色彩計2を接続し、2次元色彩計2から演算処理装置7に、マイクロ分光器209の出力と、規格化感度S1,S2,S3との積である、出力値S1out、S2out、S3out、及び、撮像により得られた感度値S123を送信し、演算処理装置7でゲイン制御のコマンドを2次元色彩計2に送って、2次元色彩計2でチャンネルゲインS1gain,S2gain,S3gainの制御を行った後、撮像した感度値S123を、2次元色彩計2から演算処理装置7に送信し、感度値S123からXYZ値に数式1によりマトリクス変換演算の処理を行う。
2次元色彩計2の出力は、分光器209から演算部24に入力するスペクトル値I(i)と、図1に示す規格化感度S1(i)、S2(i)、S3(i)の各々との積算値S1out、S2out、S3outは可視領域の波長の範囲(380nm〜780nm)で特定のスペクトル値(i=1〜n:nは380〜780の分光範囲を特定の分解能例えば5nm分解能)について積算した値となる。計算式は数式5となる。
実施形態1では、2次元色彩計2の演算部25ですべてを処理したが、実施形態2では、2次元色彩計2でのチャンネルゲインS1gain,S2gain,S3gainの制御は、演算処理装置7からのコマンドに従って実施される。
図19に示す通りの処理S200〜S220の処理が演算処理装置7により、繰り返し、サブルーチンで処理される。
S200においてマイクロ分光器209により環境光(例えば、T5000K(例示であり他の温度T6500等でもよい)での波長λに対する光の強さIを測定した測定値と、規格化感度の積である出力値S1out、S2out、S3outを2次元色彩計2から受信する。
S210において、チャンネルゲインS1gain,S2gain,S3gainを制御し、出力値を同一に制御するコマンドを作成し、2次元色彩計2に送信する。
S220で、2次元色彩計2でチャンネルゲインS1gain,S2gain,S3gainを制御し完了した後、撮像を行い、感度値S123を受信し、感度値S123を演算処理装置7でXYZ値に変換する。
以上の処理を図20、図21の例を挙げて説明する。マイクロ分光器209によりT=5000K、6500KでのスペクトルI(i)を測定する。スペクトルI(i)を、規格化感度S1,S2,S3で掛け算し、これらをそれぞれ積分して斜線に示す曲線範囲内の出力値S1out、S2out、S3outを演算処理装置7に出力する。演算処理装置7からのコマンドで2次元色彩計2がチャンネルゲインS1gain,S2gain,S3gainを制御する。この結果、図22に示す通り、ゲイン制御後は、出力値S1out、S2out、S3outが同一値となり、図22に示す通り、ヒストグラム分布が変化することは実施形態1と同様である。
第2実施形態による、2次元色彩計2のD50光源照明下色度値、D65光源照明下色度値、CS2000xy色度値との比較は第1実施形態と同様の結果が得ることができ、2次元色彩計2は、照明色温度に依らず一定の色座標を示すことも同様である。なお、第2実施形態の2次元色彩計2は標準白色板を使用せずに、分光器によりS1out、S2out、S3outを同一値とするものであるが、Lab変換のための校正には標準白色板を利用する。
第2実施形態の効果は第1実施形態の効果と同様であるので、説明は援用する。
本発明の第3実施形態の色彩測定方法について図22を参照して説明する。この第3実施形態は、第2実施形態を応用したものであるので、共通する説明は援用し、相違する点を説明する。この色彩測定方法を医療用、例えば、内視鏡用カメラ302に適用したものである。キセノン光源306のように管電圧を変えて光量を強くすると色温度が高くなるような照明であっても、一定の色温度で対象の色を測定することが可能となる。キセノン光源306の照明光は、導光用光ファイバ306aを介して内視鏡用カメラ302に導入され患部を照明する。内視鏡用カメラ302は2次元色彩計2に対応するものである。キセノン光源306の照明光は導光用光ファイバ306bを介して小型分光器309に導入され、キセノン光源スペクトル信号I(i)が検出され、カメラコントロールユニット324に出力される。図22において、患者Pに内視鏡用カメラ302が用いられ、内視鏡用カメラ302からの映像信号は、導光用光ファイバ302aを介してカメラコントロールユニット324に入力される。カメラコントロールユニットでは実施形態2の説明した出力値S1out、S2out、S3outを演算し、実施形態2と同様のゲイン制御を行い、内視鏡用カメラ302にコマンドを送信し、ゲインを調整した後、映像信号をゴーグル350に送信する。ゴーグル350は指示装置351で可動可能に支持されている。このゴーグルは常に一定の色温度で患部を観察できるものとなる。医学的には一定の色温度で患部が見えることにより、医師Mが血液や腫瘍患部等の色の判断がより正確にできることとなる。
なお、本発明の実施形態は、上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲に
おいて、改変等を加えることができるものであり、それらの改変、均等物等も本発明の技術的範囲に含まれ、前記技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることは言うまでもない。例えば、各チャンネルゲインS1gain,S2gain,S3gainをゲイン制御して、感度平均値H又は出力値S1out、S2out、S3outを同一値にする、或いは、一定比率に制御する制御手法は実施形態に記載の方法に限られず、その他の方法によっても本発明の技術的思想は実施できる。