JP6601122B2 - 車両用熱管理システム - Google Patents

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本発明は、車両に用いられる熱管理システムに関する。
従来、電気自動車やハイブリット車両などの電動車両では、高温帯(100℃程度)のエンジン冷却の他に、インバータやモータジェネレータを対象とした中温帯(60℃程度)の冷却、電池パックを対象とした低温帯(40℃)の冷却など、様々な温度帯の冷却回路が別々に搭載されている。このように、電動車両には複数の冷却回路が搭載されており、冷却回路の複雑化や搭載性の悪化等の課題が発生している。
また、電気自動車やハイブリット車両においては、エンジンの廃熱やパワートレイン機器の廃熱を熱源として車室内を暖房しようとすると、熱量が不足して十分に暖房できないという問題も発生している。
この対策として、冷却水を吸入して吐出する第1ポンプおよび第2ポンプと、冷媒を吸入して吐出する圧縮機と、この圧縮機から吐出された冷媒と第2ポンプから吐出された冷却水とを熱交換させて冷却水を加熱する加熱用熱交換器と、加熱用熱交換器から流出した冷媒を減圧膨張させる膨張弁と、膨張弁により減圧膨張された冷媒と第1ポンプによって吸入された冷却水とを熱交換させて冷却水を冷却する冷却用熱交換器と、を備えた熱管理システムがある(例えば、特許文献1参照)。
このシステムは、車両用空調装置に対する空調要求(加熱要求や冷却要求)により切替弁により多数個の機器に流れる冷却水を切り替え循環させることによって、熱を有効的に活用することを可能にしている。
特開2013−180723号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載されたシステムは、車両用空調装置に対する空調要求により切替弁を切り替える構成となっている。このため、車両走行に関わるパワーマネージメント機器であるモータジェネレータを駆動するインバータやモータジェネレータに電力を供給する電池等、空調機器以外の機器の熱を適切に管理することができず、車両走行に支障が生じてしまうといった問題がある。
本発明は上記点に鑑みて、車両走行に支障を与えることのないよう車両の走行制御を行うための機器の温度を制御できるようにすることを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、通常走行モード、スポーツ走行モードおよび省燃費走行モードを含む複数の走行モードのうちいずれか1つの走行モードが設定可能な車両に搭載される車両用熱管理システムであって、熱媒体を吸入して吐出する第1ポンプ(11)および第2ポンプ(12)と、冷媒を吸入して吐出する圧縮機(32)と、圧縮機から吐出された冷媒と第2ポンプから吐出された熱媒体とを熱交換させて熱媒体を加熱する加熱用熱交換器(15)と、加熱用熱交換器から流出した冷媒を減圧膨張させる減圧手段(33)と、減圧手段により減圧膨張された冷媒と第1ポンプによって吸入された熱媒体とを熱交換させて熱媒体を冷却する冷却用熱交換器(14)と、車両の走行制御を行うための機器であって、熱媒体との間で熱授受が行われる第1機器(19、20a)と、車両の走行制御と異なる制御を行うための機器であって、熱媒体との間で熱授受が行われる第2機器(16、17)と、第1、第2機器のそれぞれに対して、加熱用熱交換器との間で熱媒体が循環する状態と、冷却用熱交換器との間で熱媒体が循環する状態とを切り替える切替部(21、22)と、いずれか1つの走行モードが設定された場合、第1機器の優先度が第2機器よりも高くなるよう第1機器および第2機器の熱分配優先度を特定するとともに熱分配優先度の高い機器ほど熱交換する熱量または吸熱量が大きくなるよう熱分配比率を特定する優先度特定部(S106、S118、S203、S403)と、優先度特定部により特定された熱分配優先度および熱分配比率に従って第1機器および第2機器のうち熱分配優先度の高い機器ほど熱交換する熱量または吸熱量が大きくなるよう切替部、第1ポンプ、第2ポンプおよび圧縮機の少なくとも1つを制御する熱分配制御部(S114)と、を備えている。
このような構成によれば、優先度特定部は、車両の走行制御を行うための第1機器の優先度が、車両の走行制御と異なる制御を行うための第2機器よりも高くなるよう第1機器および第2機器の熱分配優先度を特定するとともに熱分配優先度の高い機器ほど熱交換する熱量または吸熱量が大きくなるよう熱分配比率を特定する。また、熱分配制御部は、優先度特定部により特定された熱分配優先度および熱分配比率に従って第1機器および第2機器のうち熱分配優先度の高い機器ほど熱交換する熱量または吸熱量が大きくなるよう切替部、第1ポンプ、第2ポンプおよび圧縮機の少なくとも1つを制御する。したがって、車両走行に支障を与えることのないよう車両の走行制御を行うための機器の温度を制御できる。また、優先度特定部は、さらに、走行モードに応じて熱分配優先度が異なるよう第1機器および第2機器の熱分配優先度を特定することができる。
また、上記目的を達成するため、請求項2に記載の発明は、熱媒体を吸入して吐出する第1ポンプ(11)および第2ポンプ(12)と、冷媒を吸入して吐出する圧縮機(32)と、圧縮機から吐出された冷媒と第2ポンプから吐出された熱媒体とを熱交換させて熱媒体を加熱する加熱用熱交換器(15)と、加熱用熱交換器から流出した冷媒を減圧膨張させる減圧手段(33)と、減圧手段により減圧膨張された冷媒と第1ポンプによって吸入された熱媒体とを熱交換させて熱媒体を冷却する冷却用熱交換器(14)と、車両の走行制御を行うための機器であって、熱媒体との間で熱授受が行われる第1機器(19、20a)と、車両の走行制御と異なる制御を行うための機器であって、熱媒体との間で熱授受が行われる第2機器(16、17)と、第1、第2機器のそれぞれに対して、加熱用熱交換器との間で熱媒体が循環する状態と、冷却用熱交換器との間で熱媒体が循環する状態とを切り替える切替部(21、22)と、第1機器の優先度が第2機器よりも高くなるよう第1機器および第2機器の熱分配優先度を特定するとともに熱分配優先度の高い機器ほど熱交換する熱量または吸熱量が大きくなるよう熱分配比率を特定する優先度特定部(S106、S118、S203、S403)と、優先度特定部により特定された熱分配優先度および熱分配比率に従って第1機器および第2機器のうち熱分配優先度の高い機器ほど熱交換する熱量または吸熱量が大きくなるよう切替部、第1ポンプ、第2ポンプおよび圧縮機の少なくとも1つを制御する熱分配制御部(S114)と、を備え、優先度特定部は、第1機器および第2機器の少なくとも1つの機器を流通する熱媒体の熱量または吸熱量の供給が不足すると判定した場合、熱媒体の熱量または吸熱量の供給が不足すると判定した機器の優先度が高くなるよう第1機器および第2機器の熱分配優先度を特定し、第1機器および第2機器を流通する熱媒体の熱量または吸熱量の供給が不足しないと判定した場合、第1機器の優先度が第2機器よりも高くなるよう第1機器および第2機器の熱分配優先度を特定する。したがって、車両走行に支障を与えることのないよう車両の走行制御を行うための機器の温度を制御できる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
本発明の一実施形態に係る車両用熱管理システムの全体構成図である。 本発明の一実施形態に係る車両用熱管理システムにおける電気制御部を示すブロック図である。 本発明の一実施形態に係る車両用熱管理システムにおける制御装置が実行する制御処理を示すフローチャートである。 エマージェンシ判定値について説明するための図である。 通水優先度について説明するための図である。 本発明の一実施形態に係る車両用熱管理システムにおける制御装置が実行する制御処理を示すフローチャートである。 各車両モードの目標水温について説明するためのである。 本発明の一実施形態に係る車両用熱管理システムにおける制御装置が実行する制御処理を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る車両用熱管理システムにおける制御装置が実行する制御処理を示すフローチャートである。
以下、実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
図1に示す車両用熱管理システム10は、車両が備える各種機器や車室内を適切な温度に調整するために用いられる。本実施形態では、熱管理システム10を、エンジン(内燃機関)および走行用電動モータから車両走行用の駆動力を得るハイブリッド自動車に適用している。
本実施形態のハイブリッド自動車は、車両停車時に外部電源(商用電源)から供給された電力を、車両に搭載された電池(車載バッテリ)に充電可能なプラグインハイブリッド自動車として構成されている。電池としては、例えばリチウムイオン電池を用いることができる。
エンジンから出力される駆動力は、車両走行用として用いられるのみならず、発電機を作動させるためにも用いられる。そして、発電機にて発電された電力および外部電源から供給された電力を電池に蓄えることができ、電池に蓄えられた電力は、走行用電動モータのみならず、熱管理システム10を構成する電動式構成機器をはじめとする各種車載機器に供給される。
本実施形態のハイブリッド自動車は、車両モードとして、通常走行モード、スポーツ走行モードおよび省燃費走行モードの設定が可能となっている。また、本実施形態のハイブリッド自動車は、車両モードとしてエアコンモードの設定も可能となっている。スポーツ走行モードは、加速性に優れた走行を実現する走行モードである。省燃費走行モードはエコノモードと呼ばれ、走行用電動モータを比較的多用して燃料消費を低減する走行モードである。エアコンモードは、車室内の空調制御を優先的に実施する車両モードである。
図1に示すように、熱管理システム10は、第1ポンプ11、第2ポンプ12、ラジエータ13、冷却水冷却器14、冷却水加熱器15、クーラコア16、ヒータコア17、インバータ19、電池温調用熱交換器20a、第1切替弁21および第2切替弁22を備えている。
第1ポンプ11および第2ポンプ12は、冷却水(熱媒体)を吸入して吐出する電動ポンプである。冷却水は、熱媒体としての流体である。本実施形態では、冷却水として、少なくともエチレングリコール、ジメチルポリシロキサンもしくはナノ流体を含む液体、または不凍液体が用いられている。
ラジエータ13、冷却水冷却器14、冷却水加熱器15、クーラコア16、ヒータコア17、インバータ19および電池温調用熱交換器20aは、冷却水が流通する冷却水流通機器(熱媒体流通機器)である。
ラジエータ13は、冷却水と車室外空気(以下、外気と言う。)とを熱交換(顕熱交換)させる冷却水外気熱交換器(熱媒体外気熱交換器)である。ラジエータ13に外気温以上の温度の冷却水を流すことにより、冷却水から外気に放熱させることが可能である。ラジエータ13に外気温以下の冷却水を流すことにより、外気から冷却水に吸熱させることが可能である。換言すれば、ラジエータ13は、冷却水から外気に放熱させる放熱器としての機能、および外気から冷却水に吸熱させる吸熱器としての機能を発揮できる。
ラジエータ13は、冷却水が流通する流路を有し、冷却水冷却器14や冷却水加熱器15で温度調整された冷却水との間で熱授受が行われる熱授受機器である。
室外送風機30は、ラジエータ13へ外気を送風する電動送風機(外気送風機)である。ラジエータ13および室外送風機30は車両の最前部に配置されている。このため、車両の走行時にはラジエータ13に走行風を当てることができる。
冷却水冷却器14および冷却水加熱器15は、冷却水を熱交換させて冷却水の温度を調整する冷却水温度調整用熱交換器(熱媒体温度調整用熱交換器)である。冷却水冷却器14は、冷却水を冷却する冷却水冷却用熱交換器(熱媒体冷却用熱交換器)である。冷却水加熱器15は、冷却水を加熱する冷却水加熱用熱交換器(熱媒体加熱用熱交換器)である。
冷却水冷却器14は、冷凍サイクル31の低圧側冷媒と冷却水とを熱交換させることによって冷却水から低圧側冷媒に吸熱させる低圧側熱交換器(熱媒体用吸熱器)である。冷却水冷却器14は、冷凍サイクル31の蒸発器を構成している。
冷凍サイクル31は、圧縮機32、冷却水加熱器15、膨張弁33、冷却水冷却器14および内部熱交換器34を備える蒸気圧縮式冷凍機である。本実施形態の冷凍サイクル31では、冷媒としてフロン系冷媒を用いており、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない亜臨界冷凍サイクルを構成している。
圧縮機32は、電池から供給される電力によって駆動される電動圧縮機であり、冷凍サイクル31の冷媒を吸入して圧縮して吐出する。
冷却水加熱器15は、圧縮機32から吐出された高圧側冷媒と冷却水とを熱交換させることによって高圧側冷媒を凝縮(潜熱変化)させる凝縮器である。
膨張弁33は、冷却水加熱器15から流出した液相冷媒を減圧膨張させる減圧手段である。膨張弁33は、冷却水加熱器15出口側冷媒の温度および圧力に基づいて冷却水加熱器15出口側冷媒の過熱度を検出する感温部24aを有し、蒸発器出口側冷媒の過熱度が予め定めた所定範囲となるように機械的機構によって絞り通路面積を調整する温度式膨張弁である。
冷却水冷却器14は、膨張弁33で減圧膨張された低圧冷媒と冷却水とを熱交換させることによって低圧冷媒を蒸発(潜熱変化)させる蒸発器である。冷却水冷却器14で蒸発した気相冷媒は圧縮機32に吸入されて圧縮される。
内部熱交換器34は、冷却水加熱器15から流出した冷媒と、冷却水冷却器14から流出した冷媒とを熱交換させる熱交換器である。
冷凍サイクル31は、冷却水を冷却する冷却水冷却器14と、冷却水を加熱する冷却水加熱器15とを有する冷却水冷却加熱手段(熱媒体冷却加熱手段)である。換言すれば、冷凍サイクル31は、冷却水冷却器14で低温冷却水を作り出す低温冷却水発生手段(低温熱媒体発生手段)であるとともに、冷却水加熱器15で高温冷却水を作り出す高温冷却水発生手段(高温熱媒体発生手段)である。
ラジエータ13では外気によって冷却水を冷却するのに対し、冷却水冷却器14では冷凍サイクル31の低圧冷媒によって冷却水を冷却する。このため、冷却水冷却器14で冷却された冷却水の温度を、ラジエータ13で冷却された冷却水の温度に比べて低くできる。具体的には、ラジエータ13では冷却水を外気の温度よりも低い温度まで冷却できないのに対し、冷却水冷却器14では冷却水を外気の温度よりも低い温度まで冷却できる。
クーラコア16およびヒータコア17は、冷却水冷却器14および冷却水加熱器15で温度調整された冷却水と車室内への送風空気とを熱交換させて送風空気の温度を調整する熱媒体空気熱交換器である。
クーラコア16およびヒータコア17は、車両の走行制御と異なる空調制御を行うための機器であって、冷却水との間で熱授受が行われる第2機器である。
クーラコア16は、冷却水と車室内への送風空気とを熱交換(顕熱交換)させて車室内への送風空気を冷却する空気冷却用熱交換器である。ヒータコア17は、車室内への送風空気と冷却水とを熱交換(顕熱交換)させて車室内への送風空気を加熱する空気加熱用熱交換器である。
インバータ19は、電池20から供給された直流電力を交流電圧に変換して走行用電動モータに出力する電力変換装置である。インバータ19は、作動に伴って発熱する発熱機器である。インバータ19の冷却水流路は、発熱機器と冷却水との間で熱授受が行われる機器用熱授受部を構成している。
インバータ19および電池20は、車両の走行制御を行うための機器であって、冷却水との間で熱授受が行われる第1機器である。
電池温調用熱交換器20aは、走行用電動モータに電力を供給する電池20への送風経路に配置され、送風空気と冷却水とを熱交換する熱交換器(熱媒体空気熱交換器)である。電池温調用熱交換器20aは、電池20と冷却水との間で熱授受が行われる電池用熱授受部を構成している。
第1ポンプ11は、第1ポンプ用流路41に配置されている。第1ポンプ用流路41において第1ポンプ11の吐出側には、冷却水冷却器14が配置されている。
第2ポンプ12は、第2ポンプ用流路42に配置されている。第2ポンプ用流路42において第2ポンプ12の吐出側には、冷却水加熱器15が配置されている。
ラジエータ13は、ラジエータ用流路43に配置されている。クーラコア16は、クーラコア用流路44に配置されている。ヒータコア17は、ヒータコア用流路45に配置されている。
ラジエータ用流路43には、リザーブタンク43aが接続されている。リザーブタンク43aは、冷却水を貯留する大気開放式の容器(熱媒体貯留手段)である。したがって、リザーブタンク43aに蓄えている冷却水の液面における圧力は大気圧になる。
リザーブタンク43aに蓄えている冷却水の液面における圧力が所定圧力(大気圧とは異なる圧力)になるようにリザーブタンク43aが構成されていてもよい。
リザーブタンク43aに余剰冷却水を貯留しておくことによって、各流路を循環する冷却水の液量の低下を抑制することができる。リザーブタンク43aは、冷却水中に混入した気泡を気液分離する機能を有している。
第1ポンプ用流路41、第2ポンプ用流路42、ラジエータ用流路43、クーラコア用流路44、ヒータコア用流路45、インバータ用流路47および電池熱交換用流路48は、第1切替弁21および第2切替弁22に接続されている。第1切替弁21および第2切替弁22は、冷却水の流れ(冷却水循環状態)を切り替える切替部である。
第1切替弁21は、冷却水の入口として第1入口21aおよび第2入口21bを有し、冷却水の出口として第1出口21c、第2出口21d、第3出口21e、第4出口21fおよび第5出口21gを有している。
第2切替弁22は、冷却水の出口として第1出口22aおよび第2出口22bを有し、冷却水の入口として第1入口22c、第2入口22d、第3入口22e、第4入口22fおよび第5入口22gを有している。
第1切替弁21の第1入口21aには、第1ポンプ用流路41の一端が接続されている。換言すれば、第1切替弁21の第1入口21aには、冷却水冷却器14の冷却水出口側が接続されている。
第1切替弁21の第2入口21bには、第2ポンプ用流路42の一端が接続されている。換言すれば、第1切替弁21の第2入口21bには、冷却水加熱器15の冷却水出口側が接続されている。
第1切替弁21の第1出口21cには、ラジエータ用流路43の一端が接続されている。換言すれば、第1切替弁21の第1出口21cにはラジエータ13の冷却水入口側が接続されている。
第1切替弁21の第2出口21dには、クーラコア用流路44の一端が接続されている。換言すれば、第1切替弁21の第2出口21dにはクーラコア16の冷却水入口側が接続されている。
第1切替弁21の第3出口21eには、ヒータコア用流路45の一端が接続されている。換言すれば、第1切替弁21の第3出口21eにはヒータコア17の冷却水入口側が接続されている。
第1切替弁21の第4出口21fには、インバータ用流路47の一端が接続されている。換言すれば、第1切替弁21の第4出口21fにはインバータ19の冷却水入口側が接続されている。
第1切替弁21の第5出口21gには、電池熱交換用流路48の一端が接続されている。換言すれば、第1切替弁21の第5出口21gには電池温調用熱交換器20aの冷却水入口側が接続されている。
第2切替弁22の第1出口22aには、第1ポンプ用流路41の他端が接続されている。換言すれば、第2切替弁22の第1出口22aには、第1ポンプ11の冷却水吸入側が接続されている。
第2切替弁22の第2出口22bには、第2ポンプ用流路42の他端が接続されている。換言すれば、第2切替弁22の第2出口22bには、第2ポンプ12の冷却水吸入側が接続されている。
第2切替弁22の第1入口22cには、ラジエータ用流路43の他端が接続されている。換言すれば、第2切替弁22の第1入口22cにはラジエータ13の冷却水出口側が接続されている。
第2切替弁22の第2入口22dには、クーラコア用流路44の他端が接続されている。換言すれば、第2切替弁22の第2入口22dにはクーラコア16の冷却水出口側が接続されている。
第2切替弁22の第3入口22eには、ヒータコア用流路45の他端が接続されている。換言すれば、第2切替弁22の第3入口22eにはヒータコア17の冷却水出口側が接続されている。
第2切替弁22の第4入口22fには、インバータ用流路47の他端が接続されている。換言すれば、第2切替弁22の第4入口22fにはインバータ19の冷却水出口側が接続されている。
第2切替弁22の第5入口22gには、電池熱交換用流路48の他端が接続されている。換言すれば、第2切替弁22の第5入口22gには電池温調用熱交換器20aの冷却水出口側が接続されている。
第1切替弁21および第2切替弁22は、各入口と各出口との連通状態を任意または選択的に切り替え可能な構造になっている。
具体的には、第1切替弁21は、ラジエータ13、クーラコア16、ヒータコア17、インバータ19および電池温調用熱交換器20aのそれぞれについて、第1ポンプ11から吐出された冷却水が流入する状態と、第2ポンプ12から吐出された冷却水が流入する状態と、第1ポンプ11から吐出された冷却水および第2ポンプ12から吐出された冷却水が流入しない状態とを切り替える。
第2切替弁22は、ラジエータ13、クーラコア16、ヒータコア17、インバータ19および電池温調用熱交換器20aのそれぞれについて、第1ポンプ11へ冷却水が流出する状態と、第2ポンプ12へ冷却水が流出する状態と、第1ポンプ11および第2ポンプ12へ冷却水が流出しない状態とを切り替える。
第1切替弁21および第2切替弁22は、弁開度を個別に独立して調整可能になっている。これにより、ラジエータ13、クーラコア16、ヒータコア17、インバータ19および電池温調用熱交換器20aを流れる冷却水の流量を個別に独立して調整できる。
すなわち、第1切替弁21および第2切替弁22は、ラジエータ13、クーラコア16、ヒータコア17、インバータ19および電池温調用熱交換器20aのそれぞれに対して、冷却水の流量を調整する流量調整手段である。
第1切替弁21は、第1ポンプ11から吐出された冷却水と、第2ポンプ12から吐出された冷却水とを任意の流量で、ラジエータ13、クーラコア16、ヒータコア17、インバータ19および電池温調用熱交換器20aに流入させることが可能になっている。
すなわち、第1切替弁21は、ラジエータ13、クーラコア16、ヒータコア17、インバータ19および電池温調用熱交換器20aのそれぞれに対して、冷却水冷却器14で冷却された冷却水と、冷却水加熱器15で加熱された冷却水の流量を調整する流量調整手段である。
クーラコア16およびヒータコア17は、車両用空調装置の室内空調ユニット50のケース51に収容されている。
ケース51は、車室内に送風される送風空気の空気通路を形成しており、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂(例えば、ポリプロピレン)にて成形されている。ケース51内の空気流れ最上流側には、内外気切替箱52が配置されている。内外気切替箱52は、内気(車室内空気)と外気(車室外空気)とを切替導入する内外気導入手段である。
内外気切替箱52には、ケース51内に内気を導入させる内気吸込口52aおよび外気を導入させる外気吸込口52bが形成されている。内外気切替箱52の内部には、内外気切替ドア53が配置されている。
内外気切替ドア53は、ケース51内に導入される内気の風量と外気の風量との風量割合を変化させる風量割合変更手段である。具体的には、内外気切替ドア53は、内気吸込口52aおよび外気吸込口52bの開口面積を連続的に調整して、内気の風量と外気の風量との風量割合を変化させる。内外気切替ドア53は、電動アクチュエータ(図示せず)によって駆動される。
内外気切替箱52の空気流れ下流側には、室内送風機54(ブロワ)が配置されている。室内送風機54は、内外気切替箱52を介して吸入した空気(内気および外気)を車室内へ向けて送風する送風手段である。室内送風機54は、遠心多翼ファン(シロッコファン)を電動モータにて駆動する電動送風機である。
ケース51内において室内送風機54の空気流れ下流側には、クーラコア16、ヒータコア17および補助ヒータ56が配置されている。補助ヒータ56は、PTC素子(正特性サーミスタ)を有し、このPTC素子に電力が供給されることによって発熱して空気を加熱するPTCヒータ(電気ヒータ)である。
ケース51の内部においてクーラコア16の空気流れ下流側部位には、ヒータコアバイパス通路51aが形成されている。ヒータコアバイパス通路51aは、クーラコア16を通過した空気を、ヒータコア17および補助ヒータ56を通過させずに流す空気通路である。
ケース51の内部においてクーラコア16とヒータコア17との間には、エアミックスドア55が配置されている。
エアミックスドア55は、ヒータコア17および補助ヒータ56へ流入させる空気と、ヒータコアバイパス通路51aへ流入させる空気との風量割合を連続的に変化させる風量割合調整手段である。エアミックスドア55は、回動可能な板状ドアや、スライド可能なドア等であり、電動アクチュエータ(図示せず)によって駆動される。
ヒータコア17および補助ヒータ56を通過する空気とヒータコアバイパス通路51aを通過する空気との風量割合によって、車室内へ吹き出される吹出空気の温度が変化する。したがって、エアミックスドア55は、車室内へ吹き出される吹出空気の温度を調整する温度調整手段である。
ケース51の空気流れ最下流部には、空調対象空間である車室内へ送風空気を吹き出す吹出口51bが配置されている。この吹出口51bとしては、具体的には、デフロスタ吹出口、フェイス吹出口およびフット吹出口が設けられている。
デフロスタ吹出口は、車両前面窓ガラスの内側の面に向けて空調風を吹き出す。フェイス吹出口は、乗員の上半身に向けて空調風を吹き出す。フット吹出口は、乗員の足元に向けて空調風を吹き出す。
吹出口51bの空気流れ上流側には、吹出口モードドア(図示せず)が配置されている。吹出口モードドアは、吹出口モードを切り替える吹出口モード切替部である。吹出口モードドアは、電動アクチュエータ(図示せず)によって駆動される。
吹出口モードドアによって切り替えられる吹出口モードとしては、例えば、フェイスモード、バイレベルモード、フットモードおよびフットデフロスタモードがある。
フェイスモードは、フェイス吹出口を全開してフェイス吹出口から車室内乗員の上半身に向けて空気を吹き出す吹出口モードである。バイレベルモードは、フェイス吹出口とフット吹出口の両方を開口して車室内乗員の上半身と足元に向けて空気を吹き出す吹出口モードである。
フットモードは、フット吹出口を全開するとともにデフロスタ吹出口を小開度だけ開口して、フット吹出口から主に空気を吹き出す吹出口モードである。フットデフロスタモードは、フット吹出口およびデフロスタ吹出口を同程度開口して、フット吹出口およびデフロスタ吹出口の双方から空気を吹き出す吹出口モードである。
エンジン冷却回路60は、エンジン61を冷却するための冷却水循環回路である。エンジン冷却回路60は、冷却水が循環する循環流路67を有している。循環流路67には、エンジン61、エンジン用ポンプ63およびエンジン用ラジエータ64が配置されている。
エンジン用ポンプ63は、冷却水を吸入して吐出する電動ポンプである。エンジン用ポンプ63は、エンジン61から出力される動力によって駆動される機械式ポンプであってもよい。
エンジン用ラジエータ64は、冷却水と外気とを熱交換することによって冷却水の熱を外気に放熱させる放熱用熱交換器(熱媒体空気熱交換器)である。
循環流路67には、ラジエータバイパス流路65が接続されている。ラジエータバイパス流路65は、冷却水がエンジン用ラジエータ64をバイパスして流れる流路である。
ラジエータバイパス流路65と循環流路67との接続部にはサーモスタット66が配置されている。サーモスタット66は、温度によって体積変化するサーモワックス(感温部材)によって弁体を変位させて冷却水流路を開閉する機械的機構で構成される冷却水温度応動弁である。
具体的には、サーモスタット66は、冷却水の温度が所定温度を上回っている場合(例えば80℃以上)、ラジエータバイパス流路65を閉じ、冷却水の温度が所定温度を下回っている場合(例えば80℃未満)、ラジエータバイパス流路65を開ける。
循環流路67には、エンジン補機68が配置されている。エンジン補機68は、オイル熱交換器、EGRクーラ、スロットルクーラ、ターボクーラ、エンジン補助モータ等である。オイル熱交換器は、エンジンオイルまたはトランスミッションオイルと冷却水とを熱交換してオイルの温度を調整する熱交換器である。
EGRクーラは、エンジンの排気ガスの一部を吸気側に還流させてスロットルバルブで発生するポンピングロスを低減させるEGR(排気ガス再循環)装置を構成する熱交換器であって、還流ガスと冷却水とを熱交換させて還流ガスの温度を調整する熱交換器である。
スロットルクーラは、スロットルバルブを冷却するためにスロットル内部に設けたウォータジャケットである。
ターボクーラはターボチャージャで発生する熱と冷却水とを熱交換させてターボチャージャを冷却するための冷却器である。
エンジン補助モータは、エンジン停止中でもエンジンベルトを回せるようにするための大型モータであり、エンジンベルトで駆動される圧縮機やウォータポンプなどをエンジンの駆動力が無い状態でも作動させたり、エンジンの始動時に利用される。
エンジン用ラジエータ64にはエンジン用リザーブタンク64aが接続されている。エンジン用リザーブタンク64aの構造および機能は、上述のリザーブタンク43aと同様である。
次に、熱管理システム10の電気制御部を図2に基づいて説明する。制御装置70は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成され、そのROM内に記憶された空調制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された各種制御対象機器の作動を制御する制御部である。
制御装置70によって制御される制御対象機器は、第1ポンプ11、第2ポンプ12、第1切替弁21、第2切替弁22、室外送風機30、圧縮機32、室内送風機54、ケース51の内部に配置された各種ドア(内外気切替ドア53、エアミックスドア55、吹出口モードドア等)を駆動する電動アクチュエータ、およびインバータ19等である。
制御装置70は、その出力側に接続された各種制御対象機器を制御する制御部が一体に構成されたものであるが、それぞれの制御対象機器の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)が、それぞれの制御対象機器の作動を制御する制御部を構成している。
本実施形態では、制御装置70のうち、車両の走行制御を行うための第1機器の優先度が、車両の走行制御と異なる制御を行う第2機器よりも高くなるよう第1機器および第2機器の熱分配優先度を特定する構成を優先度特定部とし、優先度特定部により設定された熱分配優先度に従って第1機器および第2機器を流れる熱媒体の熱量(吸熱量)を分配するよう切替部、第1ポンプ、第2ポンプおよび圧縮機の少なくとも1つを制御する構成を熱分配制御部とする。
エアミックスドア55および空調切替制御手段70fは、クーラコア16で冷却された送風空気のうちヒータコア17を流れる送風空気とヒータコア17を迂回して流れる送風空気との風量割合を調整する風量割合調整手段である。
内外気切替ドア53および空調切替制御手段70fは、車室内へ吹き出される送風空気のうち内気と外気との割合を調整する内外気割合調整手段である。
本実施形態では、制御装置70のうち、補助ヒータ56の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)を補助ヒータ制御手段70g(電気ヒータ制御手段)とする。
本実施形態では、制御装置70のうち、インバータ19の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)をインバータ制御手段70h(発熱機器制御手段)とする。
上述の各制御手段70a、70b、70c、70d、70e、70f、70g、70hを制御装置70に対して別体で構成してもよい。
制御装置70の入力側には、内気温度センサ71、内気湿度センサ72、外気温度センサ73、日射センサ74、第1水温センサ75、第2水温センサ76、ラジエータ水温センサ77、クーラコア温度センサ78、ヒータコア温度センサ79、エンジン水温センサ80、インバータ温度センサ81、電池温度センサ82、冷媒温度センサ83、84および冷媒圧力センサ85、86等のセンサ群の検出信号が入力される。
内気温度センサ71は、内気の温度(車室内温度)を検出する検出手段(内気温度検出手段)である。内気湿度センサ72は、内気の湿度を検出する検出手段(内気湿度検出手段)である。
外気温度センサ73は、外気の温度(車室外温度)を検出する検出手段(外気温度検出手段)である。日射センサ74は、車室内の日射量を検出する検出手段(日射量検出手段)である。
第1水温センサ75は、第1ポンプ用流路41を流れる冷却水の温度(例えば第1ポンプ11に吸入される冷却水の温度)を検出する検出手段(第1熱媒体温度検出手段)である。
第2水温センサ76は、第2ポンプ用流路42を流れる冷却水の温度(例えば第2ポンプ12に吸入される冷却水の温度)を検出する検出手段(第2熱媒体温度検出手段)である。
ラジエータ水温センサ77は、ラジエータ用流路43を流れる冷却水の温度(例えばラジエータ13から流出した冷却水の温度)を検出する検出手段(機器側熱媒体温度検出手段)である。
クーラコア温度センサ78は、クーラコア16の表面温度を検出する検出手段(クーラコア温度検出手段)である。クーラコア温度センサ78は、例えば、クーラコア16の熱交換フィンの温度を検出するフィンサーミスタや、クーラコア16を流れる冷却水の温度を検出する水温センサ等である。
ヒータコア温度センサ79は、ヒータコア17の表面温度を検出する検出手段(ヒータコア温度検出手段)である。ヒータコア温度センサ79は、例えば、ヒータコア17の熱交換フィンの温度を検出するフィンサーミスタや、ヒータコア17を流れる冷却水の温度を検出する水温センサ等である。
エンジン水温センサ80は、エンジン冷却回路60を循環する冷却水の温度(例えばエンジン61の内部を流れる冷却水の温度)を検出する検出手段(エンジン熱媒体温度検出手段)である。
インバータ温度センサ81は、インバータ用流路47を流れる冷却水の温度(例えばインバータ19から流出した冷却水の温度)を検出する検出手段(機器側熱媒体温度検出手段)である。
電池温度センサ82は、電池熱交換用流路48を流れる冷却水の温度(例えば電池温調用熱交換器20aに流入する冷却水の温度)を検出する検出手段(機器側熱媒体温度検出手段)である。
冷媒温度センサ83、84は、圧縮機32から吐出された冷媒の温度を検出する吐出側冷媒温度センサ、および圧縮機32に吸入される冷媒の温度を検出する吸入側冷媒温度センサである。
冷媒圧力センサ85、86は、圧縮機32から吐出された冷媒の圧力を検出する吐出側冷媒圧力センサ、および圧縮機32に吸入される冷媒の圧力を検出する吸入側冷媒温度センサ86である。
制御装置70の入力側には、操作パネル88に設けられた各種空調操作スイッチからの操作信号が入力される。例えば、操作パネル88は、車室内前部の計器盤付近に配置されている。
操作パネル88に設けられた各種空調操作スイッチは、エアコンスイッチ、オートスイッチ、室内送風機の風量設定スイッチ、車室内温度設定スイッチ、空調停止スイッチ等である。
エアコンスイッチは、冷房または除湿の作動・停止(オン・オフ)を切り替えるスイッチである。オートスイッチは、空調の自動制御を設定または解除するスイッチである。車室内温度設定スイッチは、乗員の操作によって車室内目標温度を設定する目標温度設定手段である。空調停止スイッチは、空調を停止させるスイッチである。
次に、上記構成における作動を説明する。制御装置70が第1ポンプ11、第2ポンプ12、圧縮機32、第1切替弁21および第2切替弁22等の作動を制御することによって、種々の作動モードに切り替えられる。
例えば、第1ポンプ11によって吸入されて吐出された冷却水が、冷却水冷却器14と、ラジエータ13、クーラコア16、ヒータコア17、インバータ19および電池温調用熱交換器20のうち少なくとも1つの機器との間で循環する第1冷却水回路(第1熱媒体回路)が形成され、第2ポンプ12によって吸入されて吐出された冷却水が、冷却水加熱器15と、ラジエータ13、クーラコア16、ヒータコア17、インバータ19および電池温調用熱交換器20のうち少なくとも1つの機器との間で循環する第2冷却水回路(第2熱媒体回路)が形成される。
ラジエータ13、クーラコア16、ヒータコア17、インバータ19および電池温調用熱交換器20のそれぞれについて、第1冷却水回路に接続される場合と、第2冷却水回路に接続される場合とを状況に応じて切り替えることによって、ラジエータ13、クーラコア16、ヒータコア17、インバータ19および電池温調用熱交換器20を状況に応じて適切な温度に調整できる。
ラジエータ13が第1冷却水回路に接続された場合、冷凍サイクル31のヒートポンプ運転を行うことができる。すなわち、第1冷却水回路では、冷却水冷却器14で冷却された冷却水がラジエータ13を流れるので、ラジエータ13で冷却水が外気から吸熱する。

そして、ラジエータ13にて外気から吸熱した冷却水は、冷却水冷却器14で冷凍サイクル31の冷媒と熱交換して放熱する。したがって、冷却水冷却器14では、冷凍サイクル31の冷媒が冷却水を介して外気から吸熱する。
冷却水冷却器14にて外気から吸熱した冷媒は、冷却水加熱器15にて第2冷却水回路の冷却水と熱交換して放熱する。したがって、外気の熱を汲み上げるヒートポンプ運転を実現できる。
ラジエータ13が第2冷却水回路に接続された場合、冷却水加熱器15で加熱された冷却水がラジエータ13を流れるので、ラジエータ13で冷却水の熱を外気に放熱できる。
クーラコア16が第1冷却水回路に接続された場合、冷却水冷却器14で冷却された冷却水がクーラコア16を流れるので、クーラコア16で車室内への送風空気を冷却できる。すなわち車室内を冷房できる。
ヒータコア17が第2冷却水回路に接続された場合、冷却水加熱器15で加熱された冷却水がヒータコア17を流れるので、ヒータコア17で車室内への送風空気を加熱できる。すなわち車室内を暖房できる。
インバータ19が第1冷却水回路に接続された場合、冷却水冷却器14で冷却された冷却水がインバータ19を流れるのでインバータ19を冷却できる。換言すれば、インバータ19の廃熱を汲み上げるヒートポンプ運転を実現できる。
インバータ19が第2冷却水回路に接続された場合、冷却水加熱器15で加熱された冷却水がインバータ19を流れるのでインバータ19を加熱(暖機)できる。
電池温調用熱交換器20が第1冷却水回路に接続された場合、冷却水冷却器14で冷却された冷却水が電池温調用熱交換器20を流れるので電池を冷却できる。換言すれば、電池の廃熱を汲み上げるヒートポンプ運転を実現できる。
電池温調用熱交換器20が第2冷却水回路に接続された場合、冷却水加熱器15で加熱された冷却水が電池温調用熱交換器20を流れるので電池を加熱(暖機)できる。
本車両用熱管理システムの制御装置70は、インバータ19、電池温調用熱交換器20a、クーラコア16およびヒータコア17の熱を統合的に管理するための処理を行う。図3、図6〜9は、制御装置70のフローチャートである。各図面のフローチャートにおいて、インバータ19を機器A、電池温調用熱交換器20aを機器Bとして示してある。制御装置70は、車両のイグニッションスイッチがオン状態になると、図3に示す処理を周期的に実施する。なお、各図面のフローチャートにおける各制御ステップは、制御装置70が有する各種の機能実現手段を構成している。
まず、S100では、機器Aであるインバータ19の水温Ta1、機器Bである電池温調用熱交換器20aの水温Tb1、クーラコア16の水温Tc1およびヒータコア17の水温Th1を検出する。インバータ19の水温Ta1は、インバータ温度センサ81を用いて検出し、電池温調用熱交換器20aの水温Tb1は、電池温度センサ82を用いて検出する。また、クーラコア16の水温Tc1は、クーラコア温度センサ78を用いて検出し、ヒータコア17の水温Th1は、ヒータコア温度センサ79を用いて検出する。
次に、インバータ19の水温Ta1とインバータ19のエマージェンシ判定値Ta01の差分DTa01を算出するとともに、電池温調用熱交換器20aの水温Tb1と電池温調用熱交換器20aの水温Tb1とエマージェンシ判定値Tb01の差分DTb01を算出する(S102)。なお、エマージェンシ判定値は、各機器がその作動に支障を来す事象を察知するための判定値である。
本実施形態における制御装置70のROMには、図4に示すようなエマージェンシ判定値が記憶されている。具体的には、ヒータコア17のエマージェンシ判定値は90℃以上となっており、クーラコア16のエマージェンシ判定値は−20℃未満となっている。また、インバータ19のエマージェンシ判定値は75℃以上となっており、電池温調用熱交換器20aのエマージェンシ判定値は45℃以上となっている。
ここでは、S100にて検出されたインバータ19の水温Ta1とインバータ19のエマージェンシ判定値Ta01との差分DTa01を算出し、さらに、S100にて検出された電池温調用熱交換器20aの水温Tb1と電池温調用熱交換器20aの水温Tb1とエマージェンシ判定値Tb01の差分DTb01を算出する。
次に、インバータ19の水温Ta1とインバータ19のエマージェンシ判定値Ta01との差分DTa01の大きさが、閾値Taj(例えば、5℃)以上であるか否かに基づいてインバータ19がエマージェンシ状態であるか否かを判定する(S104)。
ここで、インバータ19の水温Ta1とインバータ19のエマージェンシ判定値Ta01の差分DTa01の大きさが、閾値Taj以下となっており、インバータ19がエマージェンシ状態であると判定された場合、S104の判定はYESとなり、通水優先度を特定する(S106)。
制御装置70のROMには、図5に示すように、ヒータコア17、クーラコア16、インバータ19および電池温調用熱交換器20aの通水優先度を規定したマップが記憶されている。ここでは、このマップを参照して各機器の通水優先度を特定する。具体的には、インバータ19の通水優先度を1として特定する。すなわち、インバータ19以外の機器への通水を停止し、インバータ19への通水を実施するよう通水優先度を特定する。さらに、通水優先度の高い機器ほど熱交換する熱量(吸熱量)が大きくなるよう熱分配比率を特定する。ここでは、インバータ19への冷却水の熱分配比率は100%として特定される。
次に、S106にて特定された熱分配比率に応じた冷却水がインバータ19に流通するよう第1切替弁21の現在の弁開度と目標開度の差分DVa01を算出する(S108)。ここで、第1切替弁21の現在の弁開度と目標開度の差分DVa01は、インバータ19を流通する冷却水の流量を調整する現在の弁開度と目標開度の差分である。第1切替弁21の現在の弁開度と目標開度の差分DVa01は、予め定められた関数を用いて算出することができる。
次に、第1ポンプ11の現在の作動レベルと目標レベルの差分を算出する(S110)。本実施形態では、第1ポンプ11の回転数を作動レベルとして、第1ポンプ11の現在の回転数と目標レベルの回転数の差分を算出する。なお、第1ポンプ11の現在の作動レベルと目標レベルの差分DWPaは、以下の数式1に示す関数を用いて算出することができる。
(数1)
DWPa=fw1a(DTa01)
次に、圧縮機32の回転数の現在の回転数と目標回転数の差分DCompaを算出する(S112)。なお、圧縮機32の回転数は、以下の数式2に示す関数を用いて算出することができる。
(数2)
DCompa=fc1a(DTa01)
次に、S108〜S112にて算出した各値に基づいて第1切替弁21、第1ポンプ11および圧縮機32を制御する(S114)。具体的には、インバータ19以外の機器への通水が停止され、巡回する冷却水の全てがインバータ19を流れるように、S108にて算出した差分DVa01を第1切替弁21の弁開度の変化量として第1切替弁21の弁開度を変化させる。さらに、S110にて算出した作動レベルの差分DWPaを第1ポンプ11の作動レベル(回転数)の変化量として第1ポンプ11の作動レベル(回転数)を変化させ、圧縮機32の回転数の現在の回転数と目標回転数の差分DCompaを圧縮機32の回転数の変化量として圧縮機32の回転数を変化させる。
これにより、インバータ19以外の機器への通水が停止され、冷却水をインバータ19に優先的に巡回させることができるので、インバータ19を優先的に冷却することができる。また、インバータ19のエマージェンシ状態を回避することもできる。
また、S104にて、インバータ19がエマージェンシ状態でないと判定された場合、次に、電池温調用熱交換器20aの水温Tb1と電池温調用熱交換器20aのエマージェンシ判定値Tb01との差分DTb01の大きさが、閾値Tbj以上であるか否かに基づいて電池温調用熱交換器20aがエマージェンシ状態であるか否かを判定する(S116)。
ここで、電池温調用熱交換器20aの水温Tb1と電池温調用熱交換器20aのエマージェンシ判定値Tb01との差分DTb01の大きさが、閾値Tbj以下となっている場合、図5に示したマップを参照して、各機器への通水優先度を特定する(S118)。
具体的には、インバータ19の優先度を1、電池温調用熱交換器20aの通水優先度を2として特定する。また、インバータ19への冷却水の熱分配比率の方が電池温調用熱交換器20aへの冷却水の熱分配比率よりも高くなるよう特定される。
次に、S118にて特定された熱分配比率に応じた冷却水がインバータ19および電池温調用熱交換器20aに流通するよう第1切替弁21の現在の弁開度と目標開度の差分DVa01および第1切替弁21の現在の弁開度と目標開度の差分DVb01を算出する(S120)。
ここで、第1切替弁21の現在の弁開度と目標開度の差分DVa01は、インバータ19を流通する冷却水の流量を調整する現在の弁開度と目標開度の差分であり、第1切替弁21の現在の弁開度と目標開度の差分DVb01は、電池温調用熱交換器20aを流通する冷却水の流量を調整する現在の弁開度と目標開度の差分である。
なお、第1切替弁21の現在の弁開度と目標開度の差分DVa01、DVb01は、それぞれ予め定められた関数を用いて算出することができる。
次に、第1ポンプ11の現在の作動レベルと目標レベルの差分を算出するとともに第1ポンプ11の作動レベルを判定する(S122)。ここで、第1ポンプ11の現在の作動レベルと目標レベルの差分は、上記数式1に示した関数を用いて算出することができる。また、第1ポンプ11の作動レベルは、第1ポンプ11の作動レベルが所定範囲内にあるか否かに基づいて判定することができる。
次に、圧縮機32の回転数の差分DCompbを算出するとともに圧縮機32の作動を判定する(S124)。圧縮機32の回転数の差分DCompbは、以下の数式3に示した関数を用いて算出することができる。
(数3)
DCompb=fc1b(DTa01)
次のS114では、S120〜S124にて算出した各値に基づいて第1切替弁21、第1ポンプ11および圧縮機32を制御する。これにより、インバータ19および電池温調用熱交換器20a以外の機器への通水が停止され、インバータ19を第1優先、電池温調用熱交換器20aを第2優先として、冷却水をインバータ19および電池温調用熱交換器20aに優先的に巡回させることができるので、インバータ19および電池温調用熱交換器20aを優先的に冷却することができる。
また、S116にて、電池温調用熱交換器20aがエマージェンシ状態でないと判定された場合、S200へ進む。S200では、まず、車両の走行モードがスポーツ走行モードとなっているか否かを判定する(S202)。具体的には、車両に設けられたスポーツ走行モードを設定するための設定スイッチの状態に基づいて車両の走行モードがスポーツ走行モードとなっているか否かを判定する。
ここで、車両の走行モードがスポーツ走行モードとなっている場合、S202の判定はYESとなり、次に、通水優先度を特定する(S203)。具体的には、図5に示した通水優先度を規定したマップを参照して通水優先度を特定する。ここでは、車両の走行モードがスポーツ走行モードとなっているため、インバータ19の通水優先度は1、電池温調用熱交換器20aの通水優先度は2として特定される。また、通水優先度が高いほど流通する冷却水の流量が多くなるようインバータ19および電池温調用熱交換器20aへの冷却水の熱分配比率を特定する。
次に、インバータ19の水温Ta1とインバータ19のスポーツ走行目標水温Ta02の差分DTa02を算出するとともに、電池温調用熱交換器20aの水温Tb1と電池温調用熱交換器20aのスポーツ走行目標水温Tb02の差分DTb02を算出する(S204)。
本実施形態においては、制御装置70のROMに、図7に示すように、ヒータコア17、クーラコア16、インバータ19および電池温調用熱交換器20aの目標水温が記載されている。目標水温は、車両走行モード毎に規定されている。
まず、スポーツ走行モードにおけるインバータ19の目標水温Ta01および電池温調用熱交換器20aの目標水温Tb01を特定し、次に、インバータ19の水温Ta1とインバータ19目標水温の差分DTa01を算出するとともに電池温調用熱交換器20aの水温Tb1と電池温調用熱交換器20aの目標水温Tb01の差分DTb01を算出する。
次に、S203にて特定された熱分配比率に応じた冷却水がインバータ19および電池温調用熱交換器20aに流通するよう第1切替弁21の現在の弁開度と目標開度の差分DVlvaおよび第1切替弁21の現在の弁開度と目標開度の差分DVlvaを算出する(S206)。
第1切替弁21の現在の弁開度と目標開度の差分DVlvaは、インバータ19を流通する冷却水の流量を調整する現在の弁開度と目標開度の差分であり、第1切替弁21の現在の弁開度と目標開度の差分DVlvaは、電池温調用熱交換器20aを流通する冷却水の流量を調整する現在の弁開度と目標開度の差分である。
なお、第1切替弁21の現在の弁開度と目標開度の差分DVlva、DVlvbは、それぞれ予め定められた関数を用いて算出することができる。
次のS208では、上記した差分DV1vaが0よりも大きいか否かを判定し、S210では、上記した差分DVlvbが0よりも大きいか否かを判定する。
ここで、上記した差分DVlvaが0よりも大きく、かつ、上記した差分DVlvbが0よりも大きい場合、インバータ19に冷却水を流通させる第1切替弁21および第2切替弁22のバルブ開度の仮想値DVlavを算出する(S212)。ここで、仮想値DVlavは、DVlav=2×仮想値DVlavとして算出する。すなわち、インバータ19に冷却水を流通させる第1切替弁21および第2切替弁22のバルブ開度を2倍にする。
次に、第1ポンプ11の現在の作動レベルと目標レベルの差分DWPを算出する(S214)。なお、第1ポンプ11の現在の作動レベルと目標レベルの差分DWPは、以下の数式4に示す関数を用いて算出することができる。
(数4)
DWP=fw2(DVlva、DVlvb)
次に、圧縮機32の現在の回転数と目標回転数との差分DCompaを算出する(S216)。なお、圧縮機32の回転数は、以下の数式5に示す関数を用いて算出することができる。
(数5)
DComp=fc2(DVlva、DVlvb)
このように、圧縮機32の現在の回転数と目標回転数との差分DCompaを算出すると、図3のS114へ進む。
次のS114では、S204〜S218にて算出した各値に基づいて第1切替弁21、第1ポンプ11および圧縮機32を制御する。これにより、インバータ19および電池温調用熱交換器20a以外の機器への通水が停止され、インバータ19を第1優先、電池温調用熱交換器20aを第2優先として、冷却水をインバータ19および電池温調用熱交換器20aに優先的に巡回させることができるので、インバータ19および電池温調用熱交換器20aを優先的に冷却することができる。
また、DVlvaとDVlvbの少なくとも一方が0以下の場合、インバータ19に冷却水を流通させる第1切替弁21および第2切替弁22のバルブ開度の仮想値DVlaを算出する(S218)。ここでは、仮想値DVlvaは、DVlva=Max(DVlva、0)として算出する。すなわち、DVlvaと0を比較して、DVlvaが0よりも大きい場合には、DVlva=DVlvaとする。また、DVlvaと0を比較して、DVlvaが0以下の場合には、DVlva=0とし、S214へ進む。
また、車両の走行モードがスポーツ走行モード以外となっている場合、S202の判定はNOとなり、図8のS300へ進む。
S300では、まず、エアコンスイッチがオン状態になっているか否かに基づいて車両がエアコンモードとなっているか否かを判定する(S302)。ここで、エアコンスイッチがオン状態となっており、車両がエアコンモードとなっている場合、S302の判定はYESとなり、通水優先度を特定する(S303)。具体的には、図5に示した通水優先度を規定したマップを参照して通水優先度を特定する。ここでは、車両モードがエアコンとなっているため、クーラコア16およびヒータコア17の通水優先度がそれぞれ1として特定される。また、通水優先度が高いほど流通する冷却水の流量が多くなるようクーラコア16およびヒータコア17への冷却水の熱分配比率を特定する。
次に、クーラコア16の水温Tc1とエアコン目標水温Tc03との差分DTc03を算出するとともに、ヒータコア17の水温Th1とエアコン目標水温Th03との差分を算出する(S304)。
次に、S303にて特定された熱分配比率に応じた冷却水がクーラコア16およびヒータコア17に流通するよう第1切替弁21の現在の弁開度と目標開度の差分DVlvcおよび第1切替弁21の現在の弁開度と目標開度の差分DVlvhを算出する(S306)。
第1切替弁21の現在の弁開度と目標開度の差分DVlvcは、クーラコア16を流通する冷却水の流量を調整する現在の弁開度と目標開度の差分であり、第1切替弁21の現在の弁開度と目標開度の差分DVlvhは、ヒータコア17を流通する冷却水の流量を調整する現在の弁開度と目標開度の差分である。
次に、インバータ19および電池温調用熱交換器20aに流通する冷却水の流量が最小となるよう第1切替弁21の弁開度をminとして算出する(S308)。
次に、第1ポンプ11の現在の作動レベルと目標レベルの差分DWPを算出する(S310)。なお、第1ポンプ11の現在の作動レベルと目標レベルの差分DWPは、以下の数式6に示す関数を用いて算出することができる。
(数6)
DWP=fw3(DVlvc、DVlvh)
次に、圧縮機32の現在の回転数と目標回転数との差分DCompaを算出する(S312)。なお、圧縮機32の回転数は、以下の数式7に示す関数を用いて算出することができる。
(数7)
DComp=fc3(DVlvc、DVlvh)
このように、圧縮機32の現在の回転数と目標回転数との差分DCompを算出すると、図3のS114へ進む。
次のS114では、S304〜S312にて算出した各値に基づいて第1切替弁21、第1ポンプ11、第2ポンプ12および圧縮機32を制御する。これにより、インバータ19および電池温調用熱交換器20aへの通水が低減され、冷却水をクーラコア16および温水をヒータコア17に優先的に巡回させることができるので、クーラコア16およびヒータコア17を優先的に冷却、加温することができる。
また、エアコンスイッチがオンとなっておらず、車両がエアコンモードとなっていない場合、S302の判定はNOとなり、図9のS400へ進む。S400では、まず、エコノスイッチがオンとなっているか否かを判定する(S402)。具体的には、エコノ走行モードを設定するためのエコノスイッチがオン状態となるよう操作され、車両の走行モードがエコノモードとなっているか否かを判定する。
ここで、エコノスイッチがオンとなっている場合、S402の判定はYESとなり、次に、通水優先度を特定する(S403)。具体的には、図5に示した通水優先度を規定したマップを参照して通水優先度を特定する。ここでは、車両の走行モードがエコノモードとなっているため、電池温調用熱交換器20aの通水優先度が1、インバータ19の通水優先度が2、として特定され、クーラコア16およびヒータコア17の通水優先度がそれぞれ3として特定される。また、通水優先度が高いほど流通する冷却水の流量が多くなるようインバータ19、電池温調用熱交換器20a、クーラコア16およびヒータコア17への冷却水の熱分配比率を特定する。
次に、インバータ19の水温Ta1とインバータ19のスポーツ走行目標水温Ta04の差分DTa04を算出するとともに、電池温調用熱交換器20aの水温Tb1と電池温調用熱交換器20aのスポーツ走行目標水温Tb04の差分DTb04を算出する(S404)。さらに、クーラコア16の水温Tc1とクーラコア16のエコノ走行目標水温Tc04の差分DTc04を算出するとともに、ヒータコア17の水温Th1とヒータコア17のエコノ走行目標水温Th04の差分DTh04を算出する。
次に、S403にて特定された熱分配比率に応じた冷却水がインバータ19、電池温調用熱交換器20a、クーラコア16およびヒータコア17に流通するよう第1切替弁21の現在の弁開度と目標開度の差分DVlva、第1切替弁21の現在の弁開度と目標開度の差分DVlvb、第1切替弁21の現在の弁開度と目標開度の差分DVlvc、第1切替弁21の現在の弁開度と目標開度の差分DVlvhを算出する(S406)。
第1切替弁21の現在の弁開度と目標開度の差分DVlvaは、インバータ19を流通する冷却水の流量を調整する現在の弁開度と目標開度の差分であり、第1切替弁21の現在の弁開度と目標開度の差分DVlvbは、電池温調用熱交換器20aを流通する冷却水の流量を調整する現在の弁開度と目標開度の差分である。
また、第1切替弁21の現在の弁開度と目標開度の差分DVlvcは、クーラコア16を流通する冷却水の流量を調整する現在の弁開度と目標開度の差分であり、第1切替弁21の現在の弁開度と目標開度の差分DVvhは、ヒータコア17を流通する冷却水の流量を調整する現在の弁開度と目標開度の差分である。
次のS408では、上記した差分DVlvbが0よりも大きいか否かを判定し、S410では、上記した差分DVlvaが0よりも大きいか否かを判定する。
ここで、上記した差分DVlvaが0よりも大きく、かつ、上記した差分DVlvbが0よりも大きい場合、S403にて特定された熱分配比率に応じた冷却水が電池温調用熱交換器20aに流通するよう第1切替弁21の現在の弁開度と目標開度の差分DVlvbを算出する(S412)。具体的には、第1切替弁21の現在の弁開度と目標開度の差分DTb01は、DVlvb=2×DVlvbとして算出する。
次に、S403にて特定された熱分配比率に応じた冷却水がインバータ19、クーラコア16およびヒータコア17に流通するよう第1切替弁21の現在の弁開度と目標開度の差分DVlva、第1切替弁21の現在の弁開度と目標開度の差分DVlvcおよび第1切替弁21の現在の弁開度と目標開度の差分DVlvhを算出する(S414)。
次に、第1ポンプ11の現在の作動レベルと目標レベルの差分DWPを算出する(S416)。なお、第1ポンプ11の現在の作動レベルと目標レベルの差分DWPは、以下の数式7に示す関数を用いて算出することができる。
(数7)
DWP=fw3(DVlva、DVlvb、DVlvc、DVlvh)
次に、圧縮機32の現在の回転数と目標回転数との差分DCompを算出する(S418)。なお、圧縮機32の回転数は、以下の数式8に示す関数を用いて算出することができる。
(数8)
DComp=fc3(DVlva、DVlvb、DVlvc、DVlvh)
このように、圧縮機32の現在の回転数と目標回転数との差分DCompを算出すると、図3のS114へ進む。
次のS114では、S404〜S418にて算出した各値に基づいて第1切替弁21、第1ポンプ11および圧縮機32を制御する。これにより、電池温調用熱交換器20aを第1優先、インバータ19を第2優先、クーラコア16およびヒータコア17を第3優先として、冷却水が巡回するので、特に電池温調用熱交換器20aを優先的に冷却することができる。
また、S408にて、上記した差分DVlvbが0以下と判定された場合、電池温調用熱交換器20aに冷却水を流通させる第1切替弁21および第2切替弁22のバルブ開度DVlvbを算出する(S420)。ここでは、バルブ開度DVlvbは、DVlvb=Max(DVlvb、0)として算出する。すなわち、DVlvbと0を比較して、DVlvbが0よりも大きい場合には、DVlvb=DVlvbとする。また、DVlvbと0を比較して、DVlvbが0以下の場合には、DVlva=0とし、S414へ進む。
また、S408にて、上記した差分DVlvbが0よりも大きいと判定された場合でも、S410にて、電池温調用熱交換器20aに冷却水を流通させる第1切替弁21および第2切替弁22のバルブ開度DVlvaが0未満と判定さえた場合には、S420へ進む。
また、S402にて、エコノスイッチがオフ状態となるよう操作されていると判定された場合には、通常作動を実施する(S422)。この通常作動では、インバータ19、電池温調用熱交換器20a、クーラコア16およびヒータコア17の各機器に対して冷却水が全体的に巡回するよう第1切替弁21、第2ポンプ12および圧縮機32を制御する。
上記した構成によれば、車両の走行制御を行うための第1機器19、20aの優先度が、車両の走行制御と異なる制御を行うための第2機器16、17よりも高くなるよう第1機器19、20aおよび第2機器16、17の熱分配優先度を特定し(S106、S118、S203、S303、S403)、熱分配制御部(S114)は、優先度特定部により特定された熱分配優先度に従って第1機器19、20aおよび第2機器16、17を流れる熱媒体の熱量(吸熱量)を分配するよう切替部21、22、第1ポンプ11、第2ポンプ12および圧縮機32を制御するので、車両走行に支障を与えることのないよう車両の走行制御を行うための機器の温度を制御できる。
また、熱分配制御部は、第1機器19、20aおよび第2機器16、17の少なくとも一方を流通する熱媒体の温度を変化させるよう切替部、第1ポンプ、第2ポンプおよび圧縮機を制御することができる。
また、本車両用熱管理システムは、通常走行モード、スポーツ走行モードおよび省燃費走行モードを含む複数の走行モードが設定可能な車両に搭載されている。そして、優先度特定部は、走行モードに応じて熱分配優先度が異なるよう第1機器および第2機器の熱分配優先度を特定するので、走行モードに適した熱分配を行うことが可能である。
また、優先度特定部は、第1機器および第2機器の少なくとも1つの機器を流通する熱媒体の熱量または吸熱量の供給が不足すると判定した場合、熱媒体の熱量または吸熱量の供給が不足すると判定した機器の優先度が高くなるよう第1機器および第2機器の熱分配優先度を特定する。したがって、熱媒体の熱量または吸熱量の供給が不足すると判定した機器の温度を所定範囲内に維持することが可能である。
(他の実施形態)
(1)上記実施形態では、熱分配優先度に従って第1機器19、20aおよび第2機器16、17を流れる熱媒体の熱量(吸熱量)を分配するよう切替部21、22、第1ポンプ11、第2ポンプ12および圧縮機32を制御するようにした。しかし、熱分配優先度に従って第1機器19、20aおよび第2機器16、17を流れる熱媒体の熱量(吸熱量)を分配するよう切替部21、22、第1ポンプ11、第2ポンプ12および圧縮機32の少なくとも1つを制御するようにしてもよい。
(2)上記実施形態では、第1機器19、20aおよび第2機器16、17を流れる熱媒体として冷却水の熱量(吸熱量)を分配する例を示したが、第1機器19、20aおよび第2機器16、17を流れる熱媒体として冷却水以外の液体の熱量(吸熱量)を分配するよう構成してもよい。
(3)上記実施形態では、通水優先度を規定したマップを用いて熱分配優先度を特定し、この熱分配優先度に従って第1機器19、20aおよび第2機器16、17を流れる熱媒体の熱量を分配するよう構成した。しかし、インバータ温度センサ81、電池温度センサ82、クーラコア温度センサ78、ヒータコア温度センサ79等の温度センサを用いて各機器に流れる冷却水の熱量を算出し、この熱量に基づいて第1機器19、20aおよび第2機器16、17を流れる熱媒体の熱量を分配するよう構成してもよい。
(4)上記実施形態では、通水優先度を規定したマップを用いて熱分配優先度を特定し、この熱分配優先度に従って第1機器19、20aおよび第2機器16、17を流れる熱媒体の熱量を分配するよう構成した。しかし、流量センサを用いて各機器に流れる冷却水の熱量を検出し、この熱量に基づいて第1機器19、20aおよび第2機器16、17を流れる熱媒体の熱量を分配するよう構成してもよい。なお、流量センサを用いる場合には、エマージェンシ判定値および目標水温を熱量に置き換えるように構成すればよい。
(5)上記実施形態では、通水優先度を規定したマップを用いて熱分配優先度を特定し、この熱分配優先度に従って第1機器19、20aおよび第2機器16、17を流れる熱媒体の熱量を分配するよう構成した。しかし、温度センサと流量センサを用いて第1機器19、20aおよび第2機器16、17に流れる冷却水の熱量を算出し、この熱量に基づいて第1機器19、20aおよび第2機器16、17を流れる熱媒体の熱量を分配するよう構成してもよい。
このように、第1機器19、20aおよび第2機器16、17を流れる熱媒体の熱量を分配する場合、本車両用熱管理システム10が作り出すことができる熱量と、第1機器19、20aおよび第2機器16、17の各機器が必要とする要求熱量とを比較し、各機器が必要とする熱量をそれぞれ供給可能となるよう熱量分配するようにしてもよい。
例えば、車両情報の車速情報よりラジエータ13の風速をマップより算出し、その風速、外気温度、第2ポンプ12を流れる冷却水の流量から算出した高温側水回路の流量と冷凍サイクルの圧縮機32の最大回転数と、第1ポンプ11から算出した低温側水回路の流量より熱量バランス計算を行い、低温側水温の最低水温を算出する。
そして、この最低水温と現状の低温側水温センサ値の温度差に低温側流量及び比例乗数を乗じて本車両用熱管理システムが作り出せる最大冷却熱量を求める。さらに、第1機器19、20aの自身の発熱量から目標温度以下になる必要冷却熱量を算出する。
この第1機器19、20aの必要冷却熱量と先に求めた車両用熱管理システムの最大冷却熱量を比較し、第1機器19、20aの必要熱量が車両用熱管理システムの最大冷却熱量よりも小さい場合は、第1機器19、20aの必要冷却熱量となるように圧縮機32の回転数を上げ、バルブ開度を開き、低温水温の低下分で熱量を算出し、各機器が必要とする熱量をそれぞれ供給可能となるよう熱量分配するようにしてもよい。
(6)本車両用熱管理システム10が作り出すことができる熱量総量が、第1機器19、20aおよび第2機器16、17の少なくとも1つが必要とする熱量よりも少ない場合、優先度の高い機器への熱量を確保し、優先度の低い機器への熱量は、残りの熱量を分配するようにしてもよい。この場合、優先度の低い機器への熱量分配は、均等であっても予め定められた優先度に応じた比例分配であってもよい。また、優先度の低い機器へは、間欠的に熱量分配するようにしてもよい。この場合、間欠時間を調整して間欠的に熱量分配することもできる。また、第1切替弁21および第2切替弁22の弁開度を連続的に変化させることで間欠的に熱量分配することもできる。また、機器の熱性能を安定させるため、最低限の熱量分配を行いながら、間欠的に熱量分配を行うようにしてもよい。
例えば、インバータ16と同様に電池温調用熱交換器20aも同様に発熱量を算出し、両者を加算した総発熱量と、本車両用熱管理システムが作り出す最大冷却熱量とを比較して本車両用熱管理システムが作り出す最大冷却熱量が小さい場合、不足と判断する。この場合、本車両用熱管理システムが最大冷却熱量になるよう圧縮機32を最大回転数、第2ポンプ12を最大流量にするとともに、優先度の順位から、インバータ16へのバルブを最大開度にする。他の機器はバルブ開度は現状のままとしてバルブ開度、流量抵抗に応じて低温水を流し冷却するようにしてもよい。
(7)上記実施形態では、インバータ温度センサ81、電池温度センサ82、クーラコア温度センサ78およびヒータコア温度センサ79により熱媒体の温度を検出しているが、インバータ19、電池温調用熱交換器20a、クーラコア16およびヒータコア17の各機器が有する温度センサの検出値をHVAC情報として通信を介して受信するよう構成してもよい。
(8)上記実施形態では、車両モードを、スポーツ走行モードを設定するための設定スイッチ、エコノ走行モードを設定するためのエコノスイッチ、エアコンスイッチ等のスイッチの状態に基づいて判定しているが、車両走行状態に基づいて車両モードを判定してもよい。例えば、車速センサを用いて高速走行していると推定された場合には高速走行モード、加速度センサを用いて加速度または減速度が大きいと推定された場合にはスポーツ走行モード、車速センサに基づいて低速走行時あるいは車両停車時と推定された場合にはエコノモード、その他はエアコンモードといったように、車両走行状態に基づいて車両モードを判定してもよい。
(まとめ)
・上記実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、第1機器の優先度が第2機器よりも高くなるよう第1機器および第2機器の熱分配優先度を特定する優先度特定部(S106、S118、S203、S303、S403)と、優先度特定部により特定された熱分配優先度に従って第1機器および第2機器を流れる熱媒体の熱量を分配するよう切替部、第1ポンプ、第2ポンプおよび圧縮機の少なくとも1つを制御する熱分配制御部(S114)と、を備えている。
・上記実施形態の一部または全部で示された第2の観点によれば、熱分配制御部は、第1機器および第2機器の少なくとも一方を流通する熱媒体の温度を変化させるよう切替部、第1ポンプ、第2ポンプおよび圧縮機の少なくとも1つを制御する。このように、熱分配制御部は、第1機器を流通する熱媒体の温度を変化させるよう切替部、第1ポンプ、第2ポンプおよび圧縮機の少なくとも1つを制御することができる。
・上記実施形態の一部または全部で示された第3の観点によれば、熱分配制御部は、第1機器および第2機器の少なくとも一方を流通する熱媒体の流量を変化させるよう切替部、第1ポンプ、第2ポンプおよび圧縮機の少なくとも1つを制御する。このように、熱分配制御部は、第1機器を流通する熱媒体の流量を変化させるよう切替部、第1ポンプ、第2ポンプおよび圧縮機の少なくとも1つを制御することもできる。
・上記実施形態の一部または全部で示された第4の観点によれば、通常走行モード、スポーツ走行モードおよび省燃費走行モードを含む複数の走行モードのうちいずれか1つの走行モードが設定可能な車両に搭載され、優先度特定部は、走行モードに応じて熱分配優先度が異なるよう第1機器および第2機器の熱分配優先度を特定する。このように、走行モードに応じて第1機器および第2機器の熱分配優先度を異ならせることで、より走行モードに適した熱分配を行うことが可能である。
・上記実施形態の一部または全部で示された第5の観点によれば、優先度特定部は、第1機器および第2機器の少なくとも1つの機器を流通する熱媒体の熱量または吸熱量の供給が不足すると判定した場合、熱媒体の熱量または吸熱量の供給が不足すると判定した機器の優先度が高くなるよう第1機器および第2機器の熱分配優先度を特定する。このように、熱媒体の熱量または吸熱量の供給が不足すると判定した場合には、熱媒体の熱量または吸熱量の供給が不足すると判定した機器の優先度が高くなるよう第1機器および第2機器の熱分配優先度を特定することで、第1機器熱媒体の熱量または吸熱量の供給が不足すると判定した機器の熱分配を安定的に行うことができる。
なお、上記実施形態における構成と特許請求の範囲の構成との対応関係について説明すると、S106、S118、S203、S403が優先度特定部に相当し、S114が熱分配制御部に相当する。
10 車両用熱管理システム
11、12 ポンプ
16 クーラコア
17 ヒータコア
19 インバータ
20 電池
20a 電池温調用熱交換器
21、22 切替弁
32 圧縮機

Claims (4)

  1. 通常走行モード、スポーツ走行モードおよび省燃費走行モードを含む複数の走行モードのうちいずれか1つの走行モードが設定可能な車両に搭載される車両用熱管理システムであって、
    熱媒体を吸入して吐出する第1ポンプ(11)および第2ポンプ(12)と、
    冷媒を吸入して吐出する圧縮機(32)と、
    前記圧縮機から吐出された冷媒と前記第2ポンプから吐出された前記熱媒体とを熱交換させて熱媒体を加熱する加熱用熱交換器(15)と、
    前記加熱用熱交換器から流出した冷媒を減圧膨張させる減圧手段(33)と、
    前記減圧手段により減圧膨張された冷媒と第1ポンプによって吸入された前記熱媒体とを熱交換させて熱媒体を冷却する冷却用熱交換器(14)と、
    車両の走行制御を行うための機器であって、前記熱媒体との間で熱授受が行われる第1機器(19、20a)と、
    前記車両の走行制御と異なる制御を行うための機器であって、前記熱媒体との間で熱授受が行われる第2機器(16、17)と、
    前記第1、第2機器のそれぞれに対して、前記加熱用熱交換器との間で熱媒体が循環する状態と、前記冷却用熱交換器との間で熱媒体が循環する状態とを切り替える切替部(21、22)と、
    前記いずれか1つの走行モードが設定された場合、前記第1機器の優先度が前記第2機器よりも高くなるよう前記第1機器および前記第2機器の熱分配優先度を特定するとともに前記熱分配優先度の高い機器ほど熱交換する熱量または吸熱量が大きくなるよう熱分配比率を特定する優先度特定部(S106、S118、S203、S403)と、
    前記優先度特定部により特定された前記熱分配優先度および前記熱分配比率に従って、前記第1機器および前記第2機器のうち前記熱分配優先度の高い機器ほど熱交換する熱量または吸熱量が大きくなるよう前記切替部、前記第1ポンプ、前記第2ポンプおよび前記圧縮機の少なくとも1つを制御する熱分配制御部(S114)と、を備え車両用熱管理システム。
  2. 熱媒体を吸入して吐出する第1ポンプ(11)および第2ポンプ(12)と、
    冷媒を吸入して吐出する圧縮機(32)と、
    前記圧縮機から吐出された冷媒と前記第2ポンプから吐出された前記熱媒体とを熱交換させて熱媒体を加熱する加熱用熱交換器(15)と、
    前記加熱用熱交換器から流出した冷媒を減圧膨張させる減圧手段(33)と、
    前記減圧手段により減圧膨張された冷媒と第1ポンプによって吸入された前記熱媒体とを熱交換させて熱媒体を冷却する冷却用熱交換器(14)と、
    車両の走行制御を行うための機器であって、前記熱媒体との間で熱授受が行われる第1機器(19、20a)と、
    前記車両の走行制御と異なる制御を行うための機器であって、前記熱媒体との間で熱授受が行われる第2機器(16、17)と、
    前記第1、第2機器のそれぞれに対して、前記加熱用熱交換器との間で熱媒体が循環する状態と、前記冷却用熱交換器との間で熱媒体が循環する状態とを切り替える切替部(21、22)と、
    前記第1機器の優先度が前記第2機器よりも高くなるよう前記第1機器および前記第2機器の熱分配優先度を特定するとともに前記熱分配優先度の高い機器ほど熱交換する熱量または吸熱量が大きくなるよう熱分配比率を特定する優先度特定部(S106、S118、S203、S403)と、
    前記優先度特定部により特定された前記熱分配優先度および前記熱分配比率に従って前記第1機器および前記第2機器のうち前記熱分配優先度の高い機器ほど熱交換する熱量または吸熱量が大きくなるよう前記切替部、前記第1ポンプ、前記第2ポンプおよび前記圧縮機の少なくとも1つを制御する熱分配制御部(S114)と、を備え、
    前記優先度特定部は、前記第1機器および前記第2機器の少なくとも1つの機器を流通する前記熱媒体の熱量または吸熱量の供給が不足すると判定した場合、熱媒体の熱量または吸熱量の供給が不足すると判定した機器の優先度が高くなるよう第1機器および第2機器の熱分配優先度を特定し、前記第1機器および前記第2機器を流通する前記熱媒体の熱量または吸熱量の供給が不足しないと判定した場合、前記第1機器の優先度が前記第2機器よりも高くなるよう第1機器および第2機器の熱分配優先度を特定する車両用熱管理システム。
  3. 前記熱分配制御部は、前記第1機器および前記第2機器の少なくとも一方を流通する前記熱媒体の温度を変化させるよう前記切替部、前記第1ポンプ、前記第2ポンプおよび前記圧縮機の少なくとも1つを制御する請求項1または2に記載の車両用熱管理システム。
  4. 前記熱分配制御部は、前記第1機器および前記第2機器の少なくとも一方を流通する前記熱媒体の流量を変化させるよう前記切替部、前記第1ポンプ、前記第2ポンプおよび前記圧縮機の少なくとも1つを制御する請求項1または2に記載の車両用熱管理システム。
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