JP6601049B2 - 蛍光体 - Google Patents

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Description

本発明は六方晶窒化ホウ素からなる蛍光体に関する。
窒化ホウ素(以下「BN」と称す。)は、絶縁性のセラミックであり、ダイヤモンド構造を持つc−BN、黒鉛構造をもつh−BN、乱層構造を持つα−BN、β−BNなど様々な結晶型が知られている。
これらの中で、h−BNは、黒鉛と同じ層状構造を有し、合成が比較的容易でかつ熱伝導性、固体潤滑性、化学的安定性、耐熱性に優れるという特徴を備えていることから、電気・電子材料分野で多く利用されている。
h−BNはまた、非常に大きなバンドギャップエネルギーを有することから、深紫外線波長領域の発光材料として期待されており、市販のh−BN粉末を焼成した後に、カソードルミネッセンス(CL)にてh−BNの発光を評価したことが開示されている(非特許文献1)。
また、h−BN粉末を焼成するに際し、焼成温度を変化させ、それぞれの焼成温度におけるCL発光強度、並びに酸素含有量及び窒素含有量を測定したことが開示されている(非特許文献2)。
更に、高温化学気相法(CVD)により、c面サファイア基板上にh−BN薄膜を作成し、温度条件によるh−BN膜の発光特性をCLにて評価したことが開示されている(非特許文献3)。
石川陽一他、六方晶BN微結晶の時間・空間分解カソードルミネッセンス評価、第73回応用物理学会学術講演会講演予稿集(2012秋)、15−167 Kazuhiko Hara, etc. Effects of annealing on 320 nm cathode luminescence from hexagonal boron nitride powder, Physica Status Solidi C8, 2011, No. 7-8, 2509-2511 梅原 直己他、高温CVDにより成長した六方晶BN薄膜の発光特性、第61回応用物理学会春季学術講演会講演予稿集(2014春)、15−127
上記検討されているh−BN粉末やh−BN膜は、発光強度が弱く、実用化に供され得るものではなかった。
本発明は、発光強度が大幅に改善された、h−BN蛍光体を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、h−BN一次粒子を凝集させたBN凝集粒子を蛍光体として用いた場合、h−BN一次粒子と比較して著しく発光強度が大きくなり、蛍光体としての使用に好適であることに想到し、発明を完成させた。
BN凝集粒子が大きな発光強度を有する理由は定かではないが、本発明者らは次のように考えている。
非特許文献1乃至3に記載のように、酸素雰囲気中で熱処理された酸素添加h−BNは、300nm〜400nmに発光ピークを有する。本発明者らが検討したところ、これらの発光はh−BN自体の発光というより、酸素などの不純物が寄与する発光であることが解った。そして、これらの不純物は、板状の形状を呈するh−BNの端面(エッジ面)に多く存在していることが解った。そのため、h−BN一次粒子が凝集したBN凝集粒子は、凝集粒子中にh−BN一次粒子のエッジ面が多く存在し、すなわち発光に寄与する不純物が多く含まれることで、300nm〜400nmに大きな発光強度を有すると考えている。
一方で、凝集h−BNのうち特定のものは、酸素添加h−BNの場合と異なり、300nm〜400nmではなく、より短波長に発光ピークを有することに想到した。具体的には200nm〜280nmの深紫外領域に発光ピークを有することが解った。
上記300nm〜400nmの発光は、酸素等の不純物による寄与が大きいと本発明者らは推定したが、酸素等の不純物濃度が極めて低い凝集h−BNでは、300nm〜400nmに発光ピークを有さず、200nm〜280nmに発光ピークを有したためである。このような短波側に発光ピークを有する凝集h−BNの特徴として、含有酸素濃度が低いことがあげられる。よって、より具体的な別の実施形態としては、凝集h−BNであって、酸素濃度が0.3wt%以下であることで、200nm〜280nmに発光ピークを有する凝集h−BNとなる。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕窒化ホウ素一次粒子が凝集された、窒化ホウ素凝集粒子からなる蛍光体。
〔2〕発光ピーク波長が300nm以上400nm以下に存在する、〔1〕に記載の蛍光体。
〔3〕酸素濃度が0.1wt%以上10wt%以下である、〔1〕または〔2〕に記載の蛍光体。
〔4〕前記窒化ホウ素凝集粒子が球状の凝集粒子である、〔1〕から〔3〕のいずれかに記載の蛍光体。
〔5〕前記窒化ホウ素凝集粒子がカードハウス構造を有する凝集粒子である、〔1〕から〔4〕のいずれかに記載の蛍光体。
〔6〕励起光源、及び〔2〕から〔5〕のいずれかに記載の蛍光体を少なくとも有する発光装置。
〔7〕〔6〕に記載の発光装置を有する、照明装置。
〔8〕発光ピーク波長が200nm以上280nm以下に存在する、〔1〕に記載の蛍光体。
〔9〕酸素濃度が0.3wt%以下である、〔1〕または〔8〕に記載の蛍光体。
〔10〕前記窒化ホウ素凝集粒子が球状の凝集粒子である、〔8〕または〔9〕に記載の蛍光体。
〔11〕前記窒化ホウ素凝集粒子がカードハウス構造を有する凝集粒子である、〔8〕から〔10〕のいずれかに記載の蛍光体。
〔12〕励起光源、及び〔8〕から〔11〕のいずれかに記載の蛍光体、を少なくとも有する樹脂硬化用発光装置。
〔13〕励起光源、及び〔8〕から〔11〕のいずれかに記載の蛍光体、を少なくとも有する抗菌・殺菌用照明装置。
〔14〕励起光源、及び〔8〕から〔11〕のいずれかに記載の蛍光体、を少なくとも有する発光装置、並びに光触媒を少なくとも有し、該発光装置から発せられる光を該光触媒に照射することで、光触媒の抗菌・殺菌作用を発揮させる、空気清浄器。
本発明によれば、発光強度が大幅に改善された、h−BN蛍光体を提供することができる。特に本発明では、h−BN凝集粒子からなる蛍光体であって、300nm〜400nmに発光ピークを有する蛍光体、及び200nm〜280nmに発光ピークを有する蛍光体、を提供することができ、それぞれの発光ピーク波長に応じて、好ましい用途に適用することができる。
BN凝集粒子蛍光体の発光スペクトルを示すグラフである。 発光スペクトルの積分強度比を示すグラフである。 実施例2、4で用いた蛍光体の元素分析結果を示す表である。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変形して実施することができる。
<蛍光体>
本発明の実施形態に係るh−BN凝集粒子からなる蛍光体(以下BN蛍光体ともいう)は、励起光により励起されることで、300nm〜400nmにピークを有する蛍光を放出する。その発光は近紫外〜紫色であり、比較的短波長の蛍光を発する蛍光体である。
BN蛍光体は、通常190nm以下の波長を有する紫外線又は電子線により励起され、発光する。
BN蛍光体は、h−BN一次粒子が凝集した凝集粒子であればよく、他の不純物を含有してもよい。不純物としては通常BN凝集粒子が含み得るものであれば特段限定されず、例えばO、C、Si、Na、Mg、Al、Cl、Ca、Fe、Ni、Sr、Y、S、Cr、Co、Cu、Mnなどがあげられる。
このうち、特にBN凝集粒子中に含まれる酸素(O)の量は、発光スペクトルに大きな影響を及ぼす。酸素濃度が通常0.1wt%以上、10wt%以下であることで、300nm〜400nmにピークを有する蛍光を放出し易くなり、好ましい。より好ましくは0.3wt%以上であり、更に好ましくは0.5wt%以上であり、特に好ましくは1.0wt%以上である。
一方で、酸素濃度が低い場合、発光ピーク波長が短波長となる。そのため、酸素濃度が0.3wt%以下である場合、200nm〜280nmの深紫外領域にピークを有する蛍光を放出し易くなり、好ましい。
このように、含有される酸素の量を調整することで、ピーク波長を大きくコントロールすることが可能であり、300nm〜400nmにピーク波長を有する蛍光体であれば、近紫外〜紫色を発光する蛍光体として、発光装置に用いることができる。一方で、200nm〜280nmの深紫外領域にピーク波長を有する蛍光体であれば、紫外領域の発光で可視光領域ではないため、樹脂組成物の硬化用の発光装置や、紙葉類検出用の発光装置などに用いることができる。また、近紫外領域の発光を光触媒に照射し、抗菌・殺菌作用を発揮させることもできる。
また、BN凝集粒子中に含まれる炭素(C)の量は、発光強度の観点から、通常10ppm以上であり、好ましくは100ppm以上であり、また通常10000ppm以下であり、好ましくは2000ppm以下、より好ましくは600ppm以下である。
また、BN凝集粒子中に含まれるマグネシウム(Mg)の量は、発光強度の観点から、通常0.01ppm以上であり、好ましくは1ppm以上であり、また通常150ppm以下であり、好ましくは90ppm以下である。
また、BN凝集粒子中に含まれるアルミニウム(Al)の量は、発光強度の観点から、
通常1ppm以上であり、好ましくは20ppm以上であり、また通常10000ppm以下であり、好ましくは5000ppm以下である。
また、BN凝集粒子中に含まれるケイ素(Si)の量は、発光強度の観点から、通常1ppm以上であり、好ましくは5ppm以上であり、また通常100ppm以下であり、好ましくは15ppm以下である。
また、BN凝集粒子中に含まれる硫黄(S)の量は、発光強度の観点から、通常0.1ppm以上であり、好ましくは3ppm以上であり、また通常100ppm以下であり、好ましくは50ppm以下である。
また、BN凝集粒子中に含まれる塩素(Cl)の量は、発光強度の観点から、通常0.1ppm以上であり、好ましくは1ppm以上であり、また通常20ppm以下であり、好ましくは10ppm以下である。
また、BN凝集粒子中に含まれるカルシウム(Ca)の量は、発光強度の観点から、通常1ppm以上であり、好ましくは50ppm以上であり、また通常 20000ppm以下であり、好ましくは10000ppm以下である。
また、BN凝集粒子中に含まれる鉄(Fe)の量は、発光強度の観点から、通常5ppm以上であり、好ましくは25ppm以上であり、また通常1000ppm以下であり、好ましくは500ppm以下である。
また、BN凝集粒子中に含まれるクロム(Cr)の量は、発光強度の観点から、通常0.01ppm以上であり、好ましくは1ppm以上であり、また通常500ppm以下であり、好ましくは100ppm以下である。
また、BN凝集粒子中に含まれるニッケル(Ni)の量は、発光強度の観点から、通常0.1ppm以上であり、好ましくは15ppm以上であり、また通常1000ppm以下であり、好ましくは500ppm以下である。
また、BN凝集粒子中に含まれるストロンチウム(Sr)の量は、発光強度の観点から、通常0.01ppm以上であり、好ましくは1ppm以上であり、また通常100ppm以下であり、好ましくは10ppm以下である。
不純物の含有量について特段限定はないが、不純物の合計は通常2.0wt%以下であり、好ましくは1.0wt%以下である。
不純物の含有量については、BN凝集粒子の製造工程、h−BN一次粒子の製造工程において、適宜調整することが可能であり、特に酸素濃度は、焼成時の酸素雰囲気により、所望の値に調整することができる。
300nm〜400nmにピーク波長を有する蛍光体である場合、発光スペクトルの半値幅は、通常20nm以上であり、好ましくは30nm以上であり、また通常100nm以下であり、好ましくは50nm以下である。
200nm〜280nmにピーク波長を有する蛍光体である場合、発光スペクトルの半値幅は、通常5nm以上であり、好ましくは10nm以上であり、また通常50nm以下であり、好ましくは30nm以下である。
<蛍光体の物性値>
本実施形態に係る蛍光体は、平均粒子径(D50)が、通常2μm以上であり、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、より好ましくは25μm以上、更に好ましくは26μm以上であり、特に好ましくは30μm以上、最も好ましくは40μm以上であり、45μm以上であっても好ましく、50μm以上であっても好ましい。
また、通常200μm以下、好ましくは150μm以下、更に好ましくは100μm以下である。
上記範囲とすることで、BN一次粒子のエッジ面が凝集粒子の外側に向かうようなカードハウス構造を形成しやすくなり、発光強度の大きな凝集BNとなり好ましい。
一方でまた、後述する特開2013−241321号公報で示す製造方法により製造された蛍光体である場合には、平均粒子径(D50)が、通常0.1μm以上であり、好ましくは0.3μm以上であり、より好ましくは0.5μm以上であり、通常10μm以下であり、好ましくは7μm以下、より好ましくは5μm以上であり、更に好ましくは4μm以上である。
上記範囲とすることで、BN一次粒子のエッジ面が凝集粒子の外側に向かうようなカードハウス構造を形成しやすくなり、発光強度の大きな凝集BNとなり好ましい。
<蛍光体を構成するBN凝集粒子の形態>
BN凝集粒子は、BN一次粒子が凝集して形成されたものであればよく、本発明の効果を損なわない範囲で、上記BN一次粒子以外の成分を含有してもよい。BN一次粒子以外の成分としては、後記の<蛍光体の製造方法>で述べる、スラリーに添加してもよいバインダー、界面活性剤、溶媒に由来する成分を挙げることができる。
BN凝集粒子の形態は、特に制限はないが、扁平状、ラグビー状、ディスク状、球状、楕円状であってもよく、好ましくは球状の形態であり、BN凝集粒子の形態はSEMにより確認することができる。
ここで「球状」とは、アスペクト比(長径と短径の比)が1以上2以下、好ましくは1以上1.5以下であることをさす。BN凝集粒子のアスペクト比は、SEMで撮影された画像から200個以上の粒子を任意に選択し、それぞれの長径と短径の比を求めて平均値を算出することにより決定する。
また、BN凝集粒子は、これら凝集粒子の中でもBN凝集粒子表面においてBN一次粒子の結晶がBN凝集粒子の中心側から表面側へ向けて放射状に成長している形態、BN一次粒子が小板でありそれらが焼結凝集している球状の形態であることが好ましく、具体的にはカードハウス構造を有することがより好ましい。カードハウス構造とは、例えばセラミックス 43 No.2(2008年 日本セラミックス協会発行)に記載されており、板状粒子が配向せずに複雑に積層したような構造である。より具体的には、カードハウス構造を有するBN凝集粒子とは、BN一次粒子の集合体であって、一次粒子の平面部と端面部が接触している構造を有するBN凝集粒子であり、好ましくは球状である。また、カードハウス構造は粒子の内部においても同様の構造であることが好ましい。これらのBN凝集粒子の凝集形態及び内部構造は走査型電子顕微鏡(SEM)により確認することができる。
BN凝集粒子組成物中のBN凝集粒子は、一次粒子径の異なる少なくとも2種のBN凝集粒子であってもよく、このBN凝集粒子は、凝集されているものであれば特に制限はない。凝集しているとは、上述したようなカードハウス構造の他、一次粒子が重なり合っている構造(キャベツ構造ともいう)でもよい。例えば、BN原料を焼成する際に、圧力成形した後、焼成を行い、その後解砕して製造したBN凝集粒子でもよい。中でも、2種類以上含有された組成物であってもカードハウス構造を有したBN凝集粒子が含有されている組成物であることが、図1の発光スペクトルのピークを有するような領域の蛍光を放出し易くなるという点で好ましい。BN凝集粒子組成物が主たる成分がカードハウス構造を有したBN凝集粒子であることがより好ましい。ここでいう主たるとは、全組成物に対して70体積%以上、より好ましくは100体積%であることをいう。
なお、D50は測定に供した粉体の体積を100%として累積曲線を描かせた際に丁度累積体積が50%となる時の粒子径を意味し、その測定方法は、湿式測定法としては、分散安定剤としてヘキサメタリン酸ナトリウムを含有する純水媒体中に凝集粒子を分散させた試料に対して、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置などを用いて測定することができ、乾式測定法としては、Malvern社製「Morphologi」を用いて測定するこ
とができる。
本実施形態に係る蛍光体は凝集粒子であり、凝集粒子を構成する一次粒子の長軸は通常0.5μm以上、好ましくは0.6μm以上、より好ましくは、0.8μm以上、更に好ましくは1.0μm以上、特に好ましくは1.1μm以上である。また通常10μm以下、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下である。
尚、上記長軸とはSEM測定により得られた凝集粒子1粒を拡大し、1粒の凝集粒子を構成している一次粒子について、画像上で観察できる一次粒子の最大長を平均した値である。
凝集粒子である場合の、一次粒子の結晶構造は六方晶系の窒化ホウ素(h−BN)を主成分として含むものであり、上記説明したような不純物が含まれていてもよい。なお、窒化ホウ素一次粒子の結晶構造は、粉末X線回折測定により確認することができる。
本実施形態に係る蛍光体は凝集粒子であり、特に発光強度を大きくするための凝集構造上の特徴として、先に説明したカードハウス構造といわれるカードを組み合わせて作ったような3次元構造を有することが好ましい。カードハウス構造は、カードの端面が表面に多く露出した凝集構造であり、この凝集構造は、走査型電子顕微鏡観察により、容易に判別することができるが、これに限定されない。
また、カードハウス構造が形成されていることを確認するためには、粒子の圧壊強度を測定しても良い。カードハウス構造を形成している場合、粒子1粒の圧壊強度は、粒子の大きさに関係なく、通常、1MPa以上となる。このような粒子は、カードハウス構造もしくは、カードハウス構造に類した構造を有しているため、BN一次粒子端面とBNの板面が接触して形成された凝集構造となるため、圧壊強度が大きくなる傾向にあり、エッジ面を多く含まれる凝集構造を形成するが、これに限定されるものではない。
<蛍光体の製造方法>
本実施形態に係る蛍光体の製造方法は特段限定されず、BN凝集粒子を製造するための常法に従い、製造することができる。製造方法の例としては、特開平9−202663号に記載された方法、特開2013−241321号公報に記載された方法などがあげられる。
また、その他の方法として、粘度が200〜5000mPa・sである原料窒化ホウ素粉末を含むスラリー(以下「BNスラリー」と称す場合がある。)を用いて粒子を造粒し、造粒粒子を加熱処理することによって、該造粒粒子の大きさを保持したまま凝集粒子を構成する一次粒子の結晶子を成長させて、製造することもできる。この場合、BNスラリーの粘度は、好ましくは300mPa・s以上、より好ましくは500mPa・s以上、更に好ましくは700mPa・s以上、特に好ましくは1000mPa・s以上であり、好ましくは4000mPa・s以下、より好ましくは3000mPa・s以下である。
上記BNスラリーの粘度は、生成する凝集粒子の体積基準の平均粒子径D50および、凝集粒子を構成する一次粒子の平均結晶子径に大きく影響し、該粘度を200mPa・s以上とすることにより、一次粒子の平均結晶子径及びBN凝集粒子の体積基準の平均粒子径D50を大きくすることができる。
一方BNスラリーの粘度を5000mPa・s以下とすることにより、造粒を容易にすることができる。BNスラリーの粘度の調製方法は、後述する。
なお、BNスラリーの粘度は、FUNGILAB社の回転粘度計「VISCO BASIC Plus R」を用い、ブレード回転数100rpmにて測定した粘度である。
スラリーの調製において、原料粉末としては、市販のh−BN、市販のαおよびβ−BN、ホウ素化合物とアンモニアの還元窒化法により作製された窒化ホウ素、ホウ素化合物とメラミンなどの含窒素化合物から合成された窒化ホウ素など何れも制限なく使用できるが、特にh−BNが本発明の効果をより発揮する点で好ましく用いられる。
スラリーの調製に用いられる原料粉末の形態としては、粉末X線回折測定により得られるピークの半値幅が広く、結晶性が低い粉末状の粒子が好適である。結晶性の目安として、粉末X線回折測定から得られる(002)面のピーク半値幅が、2θの角度で、通常0.4°以上、好ましくは0.45°以上、より好ましくは0.5°以上である。また、通常2.0°以下、好ましくは1.5°以下、更に好ましくは1°以下である。上記上限より大きいと、結晶子が十分大きくならず、大きくするためには長時間を要するため、生産性が悪くなる傾向がある。上記下限未満だと、結晶性が高すぎて、十分な結晶成長が見込めず、また、スラリー作製時の分散安定性が悪くなる傾向がある。なお、粉末X線回折測定方法は後述の実施例の項に記載する。
BN結晶成長の観点からは、原料BN粉末中に酸素原子がある程度存在することが好ましく、原料BN粉末中の全酸素濃度は、通常1質量%以上、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは4質量%以上である。また、通常、10質量%以下、更に好ましくは9質量%以下である。上記上限より大きいと、熱処理後も酸素が残存しやすくなるため、熱伝導性の改善効果が小さくなる傾向がある。上記下限未満だと、結晶性が高すぎて、結晶成長が見込めず、粉末X線回折測定から確認できるピーク強度比が所望の範囲から外れる傾向がある。
原料BN粉末中に存在する酸素濃度が1.0重量%以上の原料を用いることで、BN凝集粒子を構成するBN一次粒子の平均結晶子径を所望の範囲に制御できる。
なお、原料BN粉末の全酸素濃度を上記範囲に調製する方法としては、例えばBN合成時の合成温度を1500℃以下の低温で行う方法、500℃〜900℃の低温の酸化雰囲気中で原料BN粉末を熱処理する方法などが挙げられる。
なお、原料BN粉末の全酸素濃度は、不活性ガス融解−赤外線吸収法により、株式会社堀場製作所製の酸素・窒素分析計を用いて測定することができる。
原料BN粉末の全細孔容積は通常1.0cm3/g以下であるが、好ましくは0.3c
3/g以上1.0cm3/g以下、より好ましくは0.5cm3/g以上1.0cm3/g以下である。全細孔容積が1.0cm3/g以下であることにより、原料BN粉末が密に
なっているために、球形度の高い造粒が可能となる。
原料BN粉末の比表面積は通常50m2/g以上であるが、60m2/g以上が好ましく、70m2/g以上がより好ましい。通常、1000m2/g以下であるが、500m2
g以下が好ましく、300m2/g以下がより好ましい。原料BN粉末の比表面積が50
2/g以上であることにより、造粒による球形化の際に用いるBNスラリー中の分散粒
子径を小さくすることができるため好ましい。また、1000m2/g以下とすることに
よりスラリー粘度の増加を抑制することができるため好ましい。
なお、原料BN粉末の全細孔容積は、窒素吸着法および水銀圧入法で測定することができ、比表面積は、BET1点法(吸着ガス:窒素)で測定することができる。原料BN粉末の全細孔容積及び比表面積の具体的測定方法は、後述の実施例の項に記載する。
スラリーの調製に用いる媒体としては特に制限はなく、水及び/又は各種の有機溶媒を用いることができるが、噴霧乾燥の容易さ、装置の簡素化などの観点から、水を用いることが好ましく、純水がより好ましい。
スラリーの調製に用いる媒体の使用量は、スラリーの粘度が200〜5000mPa・sとなる量を加えることが好ましい。
具体的にはスラリーの調製に用いる媒体の使用量は、通常10質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上であり、通常、70質量%以下、好ましくは65質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。媒体の使用量が上記上限より大きいと、スラリー粘度が低くなりすぎるため、沈降などによるスラリーの均一性が損なわれ、得られる凝集粒子を構成する一次粒子の結晶子径が所望の範囲から外れる傾向がある。下限未満であるとスラリー粘度が高すぎるため、造粒が困難になる傾向がある。すなわち、上記媒体の使用量が上記範囲外であると、凝集粒子の大きさと凝集粒子を構成する一次粒子の結晶性と一次粒子中の結晶粒界の低減を同時に満足することが困難になる。
スラリーの調製の際には、スラリーの粘度を調節すると共に、スラリー中の原料粉末の分散安定性(凝集抑制)の観点から、種々の界面活性剤を添加するのが好ましい。
界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、非イオン性界面活性剤等を用いることができ、これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
一般に、界面活性剤はスラリーの粘度を変化させることが可能である。従って、スラリーに界面活性剤を添加する場合、その量は、スラリーの粘度が200〜5000mPa・sとなるような量に調整する。例えば、原料BNとして、粉末X線回折測定により得られる(002)面ピークの半値幅2θが0.67°、酸素濃度が7.5質量%である窒化ホウ素を用いて固形分50質量%のスラリーを調整する場合、通常、陰イオン性界面活性剤の有効成分として、スラリー全量に対し、通常0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上添加し、通常10質量%以下、好ましくは7質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下添加する。上記上限より大きいと、スラリー粘度が下がりすぎるとともに、生成した凝集粒子中に界面活性剤由来の炭素成分が残りやすくなる傾向がある。上記下限未満だと、スラリー粘度が高くなりすぎ、造粒自体が困難になる傾向がある。
スラリーの調製の際には、原料粉末を効果的に粒子状に造粒するために、バインダーを含んでもよい。バインダーは、一次粒子を強固に結びつけ、造粒粒子を安定化するために作用する。
スラリーに用いるバインダーとしては、窒化ホウ素粒子同士の接着性を高めることができるものであればよいが、造粒粒子は粒子化後に加熱処理されるため、この加熱処理工程における高温条件に対する耐熱性を有するものが好ましい。
このようなバインダーとしては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、酸化カルシウム、酸化珪素、酸化ホウ素、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化チタンなどの金属の酸化物などが好ましく用いられる。これらの中でも、酸化物としての熱伝導性と耐熱性、窒化ホウ素粒子同士を結合する結合力などの観点から、酸化アルミニウム、酸化イットリウムが好適である。なお、バインダーはアルミナゾルのような液状バインダーを用いてもよく、加熱処理中に反応して、他の無機成分に変換されるものであってもよい。これらのバインダーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
バインダーの使用量(液状バインダーの場合は、固形分としての使用量)は、BNスラリー中の原料粉末に対して、通常0質量%以上30質量%以下であり、好ましくは0質量%以上20質量%以下、より好ましくは0質量%以上15質量%以下である。上記上限を超えると造粒粒子中の原料粉末の含有量が少なくなり、結晶成長に影響するばかりか熱伝導性のフィラーとして用いた場合に熱伝導性改善効果が小さくなる。
スラリー調製方法は、原料粉末及び媒体、更に必要により、バインダー、界面活性剤が均一に分散し、所望の粘度範囲に調製されていれば特に限定されないが、原料粉末及び媒体、更に必要により、バインダー、界面活性剤を用いる場合、好ましくは以下のように調製する。
原料粉末を樹脂製のボトルに所定量計量し、次いで、バインダーを所定量添加する。さらに、界面活性剤を所定量添加した後、ジルコニア性のセラミックボールを加えて、ポットミル回転台で所望の粘度になるまで0.5〜5h程度撹拌する。
添加の順番は特に制限はないが、大量の原料粉末をスラリー化する場合、だまなどの凝集物ができやすくなるため、水に界面活性剤とバインダーを加えた水溶液を作製した後、所定量の原料粉末を少量ずつ添加し、ここにジルコニア性のセラミックボールを加えて、ポットミル回転台で分散、スラリー化しても良い。
また、分散に際しては、ポットミルのほかに、ビーズミル、プラネタリーミキサーなどの分散装置を使用しても良い。スラリー化に際して、スラリーの温度は、10℃以上60℃以下で行う。下限よりも低いと、スラリー粘度が上昇し、所望の粘度範囲から外れる傾向にあり、上限よりも高いと原料粉末が水溶液中でアンモニアに分解しやすくなる。通常、10℃以上60℃以下であるが、好ましくは15℃以上50℃以下、より好ましくは15℃以上40℃以下、更に好ましくは15℃以上35℃以下である。
調製したBNスラリーから造粒粒子を得るには、スプレードライ法、転動法、流動層法、そして撹拌法などの一般的な造粒方法を用いることができ、この中でもスプレードライ法が好ましい。
スプレードライ法では、原料となるスラリーの濃度、装置に導入する単位時間当たりの送液量と送液したスラリーを噴霧する際の圧空圧力及び圧空量により、所望の大きさの造粒粒子を製造することが可能であって、球状の造粒粒子を得ることも可能である。使用するスプレードライ装置に制限はないが、より大きな球状の造粒粒子とするためには、回転式ディスクによるものが最適である。このような装置としては、大川原化工機社製スプレードライヤーFシリーズ、藤崎電機社製スプレードライヤー「MDL−050M」などが挙げられる。
造粒により得られた造粒粒子の平均粒子径は、BN凝集粒子の体積基準の平均粒子径の範囲を好ましくは5μm以上200μm以下とする場合には、体積基準の平均粒子径D50で通常3μm以上、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、更に好ましくは15μm以上、より更に好ましくは20μm以上、特に好ましくは25μm以上、より特に好ましくは25μm以上、26μm以上であっても好ましく、30μm以上であっても好ましく、35μm以上であっても好ましい。また、150μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましい。ここで、造粒粒子の体積基準の平均粒子径D50は、例えば、湿式では堀場製作所製「LA920」、乾式ではMalvern社製「Morphorogi」などで測定することができる。
上記の造粒粒子は、更に非酸化性ガス雰囲気下に加熱処理することで凝集粒子を製造することができる。
ここで、非酸化性ガス雰囲気とは、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、アンモニアガス、水素ガス、メタンガス、プロパンガス、一酸化炭素ガスなどの雰囲気のことである。ここで用いる雰囲気ガスの種類により凝集粒子の結晶化速度が異なるものとなり、結晶化を短時間で行うためには特に窒素ガス、もしくは窒素ガスと他のガスを併用した混合ガスが好適に用いられる。
加熱処理温度は通常1800℃以上、2300℃以下であるが、好ましくは1900℃
以上であり、また好ましくは2200℃以下である。加熱処理温度が低すぎると、窒化ホウ素の平均結晶子の成長が不十分となり、凝集粒子および成形体の熱伝導率が小さくなる場合がある。加熱処理温度が高すぎると、窒化ホウ素の分解などが生じてしまうおそれがある。
上記加熱処理温度を1800℃以上2300℃以下とすることにより、BN一次粒子の(100)面と(004)面のピーク強度比((100)/(004))を所望の値とすることができる。
加熱処理時間は、通常3時間以上、好ましくは4時間以上、より好ましくは5時間以上、また通常20時間以下、好ましくは15時間以下である。加熱処理時間が上記下限未満の場合、結晶成長が不十分となり、上記上限を超えるとBNが一部分解するおそれがある。
加熱処理は、非酸化性ガス雰囲気下で行うために、好ましくは、通常、焼成炉内を真空ポンプを用いて排気した後、非酸化性ガスを導入しながら、所望の温度まで加熱して昇温するが、焼成炉内が十分に非酸化性ガスで置換できる場合は、常圧下で非酸化性ガスを導入しながら加熱昇温しても良い。焼成炉としては、マッフル炉、管状炉、雰囲気炉などのバッチ式炉やロータリーキルン、スクリューコンベヤ炉、トンネル炉、ベルト炉、プッシャー炉、竪型連続炉などの連続炉が挙げられ、目的に応じて使い分けられる。
通常、加熱処理する造粒粒子は、焼成時の組成の不均一性を低減するために、円形の黒鉛製蓋つきルツボに入れて加熱焼成される。この際、組成の不均一性の低減に加えて、焼成による凝集粒子同士の焼結を抑制する目的で、黒鉛製の仕切りを入れても良い。仕切りによる分割数は、焼結が抑制できれば特に制限はないが、通常2分割以上16分割以下である。上記上限より分割数が多いと焼結は抑制できるものの、一次粒子の結晶が十分に成長しなくなる傾向にあり、上記下限より分割数が少ないと、焼結が進む場合がある。
上記加熱処理後の凝集粒子は、粒子径分布を小さくし、樹脂組成物に配合したときの粘度上昇を抑制するために、好ましくは分級処理する。この分級は、通常、造粒粒子の加熱処理後に行われるが、加熱処理前の造粒粒子について行い、その後加熱処理に供してもよい。
分級は湿式、乾式のいずれでも良いが、窒化ホウ素の分解を抑制するという観点からは、乾式の分級が好ましい。特に、バインダーが水溶性を有する場合には、特に乾式分級が好ましく用いられる。
乾式の分級には、篩による分級のほか、遠心力と流体抗力の差によって分級する風力分級などがあるが、旋回気流式分級機、強制渦遠心式分級機、半自由渦遠心式分級機などの分級機を用いて行うこともできる。これらの中で、サブミクロンからシングルミクロン領域の小さな微粒子を分級するには旋回気流式分級機を、それ以上の比較的大きな粒子を分級するには半自由渦遠心式分級機など、分級する粒子の粒子径に応じて適宜使い分ければよい。
[発光装置]
本発明の実施形態に係る蛍光体は、発光装置における発光部材として用いることができる。
ピーク波長が300nm〜400nmの近紫外〜紫色の蛍光を発する蛍光体である場合、例えば紫外光を発するLEDチップを励起光とし、本実施形態に係る紫色蛍光体、これに加えて緑色蛍光体、及び赤色蛍光体を混合した蛍光体層に励起光を照射することで、白色を呈する発光装置を得ることができる。
一方で、ピーク波長が200nm〜280nmの深紫外領域の蛍光を発する蛍光体であれば、例えば紫外光を発するLEDチップや電子線を励起光とし、本実施形態に係る蛍光体を併せて封止することで発光装置を得て、該発光装置を樹脂組成物の硬化用発光装置として用いたり、紙葉類検出用、特に偽札検出用の発光装置として用いることができる。また、該発光装置からの光を光触媒に照射し、抗菌・殺菌作用を発揮させることもできる。更に、水質検査装置に用いることの他、該殺菌作用を利用して水浄化に利用したり、院内殺菌用光源として従来の水銀ランプに代替する光源として使用できる。
<実施例1>
<BNスラリーからのBN凝集粒子の作製>
[BNスラリー(スラリーA)の調製]
(原料)
原料h−BN粉末(粉末X線回折測定(X線:CuKα)により得られる(002)面ピークの半値幅が2θ=0.67°、酸素濃度が7.5質量%):10000g
バインダー(多木化学(株)製「タキセラムM160L」、固形分濃度21質量%):11496g
界面活性剤(花王(株)製界面活性剤「アンモニウムラウリルサルフェート」:固形分濃度14質量%):250g
(スラリーの調製)
原料h−BN粉末を樹脂製のボトルに所定量計量し、次いでバインダーを所定量添加した。さらに、界面活性剤を所定量添加した後、ジルコニア性のセラミックボールを添加して、ポットミル回転台で1時間撹拌した。
スラリーの粘度は、810mPa・sであった。
[造粒]
BNスラリーからの造粒は、大河原化工機株式会社製FOC−20を用いて、ディスク回転数20000〜23000rpm、乾燥温度80℃で実施した。
[BN凝集粒子(BN−A凝集粒子)の作製]
上記BN造粒粒子を、室温で真空引きをした後、窒素ガスを導入して復圧し、そのまま窒素ガスを導入しながら1500℃まで7hで昇温し、1500℃到達後、そのまま窒素ガスを導入しながら24時間保持した。その後、室温まで冷却し、BN−A凝集粒子を得た。
[分級]
更に、上記加熱処理後のBN−A凝集粒子を、乳鉢および乳棒を用いて軽粉砕した後、目開き90μmの篩を用いて分級した。分級後、BN−A凝集粒子のD50を測定した結果、平均粒子径は47μmであった。
[酸素濃度]
BN−A凝集粒子の全酸素濃度を不活性ガス融解−赤外線吸収法により、株式会社堀場製作所製の酸素・窒素分析計を用いて測定した結果、6.3wt%であった。
<実施例2>
実施例1において、スラリーAを原料の配合比を以下に変更したBNスラリー(スラリーB)とし、熱処理条件を1600℃、24hとした以外は、実施例1と同様に行い、BN−B凝集粒子を作製した。
[BNスラリー(スラリーB)]
(原料)
原料h−BN粉末:10000g
純水:7500g
バインダー:5750g
界面活性剤:250g
BN−B凝集粒子作製時のスラリーの粘度は、2200mPa・sであり、得られたBN−B凝集粒子のD50は、平均粒子径は46.6μmであった。また、BN−B凝集粒子の全酸素濃度は、6.7wt%であった。また、BN−Bの元素分析を行い、結果を図3に示す。
<実施例3>
<BNスラリーからのBN凝集粒子の作製>
[BNスラリー(スラリーC)の調製]
(原料)
原料h−BN粉末(全酸素濃度4重量%):500g
純水:4250g
バインダー(日産化学(株)製「アルミナゾル520」、固形分濃度20重量%):250g
界面活性剤(花王(株)製アニオン系界面活性剤「デモールNL」):50g
(スラリーCの調製)
原料h−BN粉末を樹脂製のボトルに所定量計量し、次いでバインダーを所定量添加した。さらに、界面活性剤を所定量添加した後、得られたスラリーをよく混合し、フロイントターボ(株)製「OBミル」に投入し、ローター回転数2000rpm、循環送液量0.5L/minで160分間循環粉砕を行った。粉砕には0.5mmφのジルコニア製ビーズを使用した。
スラリーCの調製に用いた原料h−BN粉末の全酸素濃度は4.0重量%であった。
また、スラリーCの粘度は、250mPa・sであった。
<球状化>
スラリーCを、藤崎電機(株)製スプレードライヤー「MDL−050M」を用い、造粒粒子径D50として10μmを目標に造粒条件を設定し、それぞれ噴霧乾燥することにより球状化した。スラリーの送液量は30ml/min(15ml/min×2)とし、圧空圧力0.7MPa、空気流量92L/min(46L/min×2)にて噴霧し、ノズル噴射後の乾燥温度は200℃に設定した。
得られた造粒粒子のD50は8.9μmであった。
<加熱処理>
上記球状化後のBN造粒粒子を、雰囲気炉を用いて2000℃で5時間、窒素ガス流通下に加熱処理した。
加熱処理時の昇温および降温は、以下のように行った。
室温から400℃まで真空引きをしながら20分で上げ、真空引きをしたまま400℃で30分保持した。真空度は、10-1から10-2Paとした。その後、2.0L/分の窒素ガスを導入して復圧し、そのまま窒素ガスを導入しながら1500℃まで100℃/時で温度を上げ、1500℃で5h保持し、更に1500℃から2000℃まで50℃/時で温度を上げ、2000℃到達後、5時間保持した。その後、7℃/分で室温まで冷却した。
<分級>
上記加熱処理後のBN造粒粒子を、日清エンジニアリング(株)製旋回気流式分級機「エアロファインクラシファイアー(AC−20)」を用いて分級した。
得られた球状BN(BN−C)のD50は4.1μmであった。
[酸素濃度]
得られたBN−C凝集粒子の全酸素濃度を、不活性ガス融解−赤外線吸収法により、株式会社堀場製作所製の酸素・窒素分析計を用いて測定した結果、0.12wt%であった。
<実施例4>
BN一次粒子の配向が円周方向に張り付いたタイプの凝集BN粒子として、モメンティブ社製PTX25(BN−D凝集粒子、平均粒子径25μm、酸素濃度0.2wt%)をそのまま用いた。また、BN−Dの元素分析を行い、結果を図3に示す。
<比較例1>
[凝集していないBN−Eの製造]
原料h−BN粉末としては市販のh−BN原料粉末A(XRD解析(X線源:CuKα)において002面のピーク半値幅が0.67°、酸素濃度8質量%)を、リチウム塩としては市販のLi2CO3粉末(純度99.0%)を用いた。原料h−BN粉末と融点が723℃であるLi2CO3の量は、それぞれ50mol%とした。h−BN原料粉末AとLi2CO3を坩堝に入れ、窒素流通下、1000℃で5時間熱処理を行った。熱処理試料からフラックスを溶解除去(1M塩酸にて不純物を溶解)し、凝集していないBN−E粒子を得た。
<比較例2>
BN一次粒子が凝集していない粒子として、高純度化学社製BN(BN−F粒子、平均粒子径10μm)をそのまま用いた。
<発光試験>
発光スペクトル測定には、励起源として電子銃(ビームトロン社製RHG−303G)を用いた。励起条件は加速電圧−3.5kV、emission電流70μAで行った。蛍光を集光レンズにより分光器(浜松ホトニクス社製C5094)に集光し、回折格子(300grooves/mm)で分散し、CCDカメラ(浜松ホトニクス社製PMA50)で受光した。分光器の入射スリットは20μmで固定した。励起条件は加速電圧−3.5kV、emission電流70μAで行った。スペクトルのダイナミックレンジ4桁以上となるように露光時間を調整した。発光強度は露光時間による補正を行った。積分強度は200nmから500nmの領域で計算した。
結果を図1、及び図2に示す。
図1より、凝集していないBN粒子(BN−F)の比較例2と比較して、凝集BN粒子である実施例1乃至3の蛍光体は、その発光強度が凝集粒子とすることによって著しく改善されていることが理解できる。また、酸素濃度が高い実施例1及び2の蛍光体は、その発光強度が特に改善されていることが理解できる。また、凝集BN蛍光体のうち、酸素濃度が低い実施例4のBN蛍光体は、凝集していないBN粒子(BN−E)の比較例1と比較して、同波長領域に発光ピークを有し、発光強度が著しく改善されているとともに、短波長側にシフトしていることが理解できる。

Claims (12)

  1. 窒化ホウ素一次粒子が凝集された、窒化ホウ素凝集粒子からなり、発光ピーク波長が300nm以上400nm以下に存在する蛍光体。
  2. 窒化ホウ素一次粒子が凝集された、球状の窒化ホウ素凝集粒子からなる蛍光体。
  3. 窒化ホウ素一次粒子が凝集された、カードハウス構造を有する窒化ホウ素凝集粒子からなる蛍光体。
  4. 酸素濃度が0.1wt%以上10wt%以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載の蛍光体。
  5. 励起光源、及び請求項1から4のいずれか1項に記載の蛍光体を少なくとも有する発光装置。
  6. 請求項に記載の発光装置を有する、照明装置。
  7. 窒化ホウ素一次粒子が凝集された、球状の窒化ホウ素凝集粒子からなり、発光ピーク波長が200nm以上280nm以下に存在する蛍光体。
  8. 窒化ホウ素一次粒子が凝集された、カードハウス構造を有する窒化ホウ素凝集粒子からなり、発光ピーク波長が200nm以上280nm以下に存在する蛍光体。
  9. 酸素濃度が0.3wt%以下である、請求項または8に記載の蛍光体。
  10. 励起光源、及び請求項7から9のいずれか1項に記載の蛍光体、を少なくとも有する樹脂硬化用発光装置。
  11. 励起光源、及び請求項7から9のいずれか1項に記載の蛍光体、を少なくとも有する抗菌・殺菌用照明装置。
  12. 励起光源、及び請求項7から9のいずれか1項に記載の蛍光体、を少なくとも有する発光装置、並びに光触媒を少なくとも有し、該発光装置から発せられる光を該光触媒に照射することで、光触媒の抗菌・殺菌作用を発揮させる、空気清浄器。
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