JP6601019B2 - ユニバーサルジョイント - Google Patents

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    • F16D3/16Universal joints in which flexibility is produced by means of pivots or sliding or rolling connecting parts
    • F16D3/26Hooke's joints or other joints with an equivalent intermediate member to which each coupling part is pivotally or slidably connected
    • F16D3/38Hooke's joints or other joints with an equivalent intermediate member to which each coupling part is pivotally or slidably connected with a single intermediate member with trunnions or bearings arranged on two axes perpendicular to one another
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Description

本発明は、ユニバーサルジョイントに関する。
従来より、2つの軸状部材の継手として機能する、ユニバーサルジョイントが知られている。ユニバーサルジョイントは、十字軸と、十字軸の各軸部の外周に設けられたベアリングカップと、を有する(例えば特許文献1)。各ベアリングカップは、各軸部の基端部に向けて開口された孔部を有する。そして、孔部の内周面と軸部の外周面との間には、複数の円柱ころが配置されている。円柱ころによって、孔部の内周面と軸部の外周面とは、相対回転可能に支持されている。相対向するベアリングカップを一対として、各ベアリングカップ対に個別に軸状部材を装着させることで、両軸状部材を、互いの間の角度を変更させながら、滑らかに個々の軸まわりに回転させることができる。なお、円柱ころに対して孔部の開口部側においては、周方向に亘ってオイルシールが設けられている。オイルシールは、孔部の内周面から延びて軸部の外周面に接触している。
ユニバーサルジョイントは、例えば鉄鋼用圧延設備の駆動軸に設けられている。鉄鋼用圧延設備の熱間圧延工程においては、機器が非常に高温となるため、機器の温度上昇を防ぐために冷却水がかけられている。上述したオイルシールは、ベアリングカップの孔部と十字軸の軸部との間の隙間への冷却水の浸入を防止するように機能する。
特開2015−21528号公報
しかし、オイルシールは、十字軸の軸部に対する摩擦抵抗の増大を避けるため、当該軸部に対する接触圧力を大きく設定できない。したがって、オイルシールは、冷却水の上記隙間への浸入を防止できない可能性がある。
本発明の課題は、ベアリングカップの孔部と十字軸の軸部との間の隙間のシール性を向上させて、水が当該隙間に入り込むことを防止ないし抑制することにある。
上記の課題を解決するため、本発明のユニバーサルジョイントはつぎの手段をとる。
本発明の第1の発明は、胴部から突出して十字状に設けられた4つの軸部を備えた十字軸と、それぞれの軸部に対向させて設けられるとともに胴部に向けて円柱状に開口された孔部を備え、かつ、当該孔部の内周面が軸部の外周面まわりに配置されたベアリングカップと、軸部の外周面と、対応する孔部の内周面と、の間に配置されて軸部とベアリングカップとを相対回転可能に支持する転動体と、軸部の基端部の外周面に嵌め込まれた環状のスリンガと、孔部の内周面において当該孔部の開口側の端部に嵌め込まれ、かつ、対応するスリンガの外周面に摺動可能に接触するオイルシールと、を有するユニバーサルジョイントである。このユニバーサルジョイントは、スリンガの外周面において、オイルシールが接触する部位よりも軸部の基端側に嵌め込まれるとともに当該外周面から延びて対応する孔部の開口まわりの面に摺動可能に接触するウォーターシールを有する。
上述の構成においては、ウォーターシールを、十字軸の軸部の基端部からベアリングカップの孔部の開口まわりに延ばして、当該孔部の開口まわりの面に接触させている。これによって、ウォーターシールは、当該孔部の開口面の外方側から当該孔部と当該軸部との間の隙間を覆って、この隙間を塞ぐことができる。したがって、当該隙間のシール性が向上し、例えば鉄鋼用圧延設備にかけられる冷却水が当該隙間に入り込むことを防止ないし抑制できる。
本発明の第2の発明は、上記第1の発明に記載のユニバーサルジョイントであって、ウォーターシールは、スリンガの外周面に亘って設けられるとともに対応する軸部の中心線を含む仮想平面で切断した場合の断面が略コの字形状に形成されたシール用凹部に嵌め込まれている。
上述の構成においては、断面が略コの字形状のシール用凹部にウォーターシールを嵌め込むだけで、ウォーターシールをスリンガに組付けることができる。したがって、ウォーターシールの組付けが容易である。また、上述の構成においては、ウォーターシールを組付けるための新たなスリンガを必要とせず、既存のスリンガにシール用凹部を形成すればよいので、新たなスリンガを設けることによる構造の複雑化を避けてウォーターシールを設置できる。
本発明によれば、ベアリングカップの孔部と十字軸の軸部との間の隙間のシール性を向上させて、水が当該隙間に入り込むことを防止ないし抑制することができる。
ユニバーサルジョイントを分解状態で表した斜視図である。 動作状態にあるユニバーサルジョイントを一部断面によって表した正面図である。 図2のIII領域を拡大して表した断面図である。 図3のIV領域を拡大して表した断面図である。 停止状態にあるユニバーサルジョイントを図4との対応によって表した断面図である。 動作状態にある十字軸を図2のVI方向から視た側面図である。
以下、本発明を実施するための形態を、図面を用いて説明する。図1に示すユニバーサルジョイント1は、例えば鉄鋼用圧延設備に設けられている。ユニバーサルジョイント1は、十字軸10とベアリングカップ20とを有する。
十字軸10は、図1,2に示すように、胴部12と、軸部14とを有する。胴部12は、略球形状に構成されているとともに、後述の十字中心線Pに直交する直交面13を有する。
軸部14は、図2に示すように、胴部12における球形状の部分から四方向に突出して十字状に設けられている。軸部14は計4個ある。各軸部14の中心線Lは、同一の仮想平面上にある。この仮想平面に直交し、かつ、各軸部14の中心線Lの交点を通る仮想直線が、上述した十字中心線P(図1,2参照)である。各軸部14は円筒状である。各軸部14の基端部は、胴部12に向けて徐々に径が大きくなった大径軸部14bとなっている。
ベアリングカップ20は、図2に示すように、各軸部14に対して対向させて設けられ、計4個ある。各ベアリングカップ20の構成は同一である。以下では、図2において上方に位置するベアリングカップ20について説明し、他の3つのベアリングカップ20については重複した説明を省略する。以下の説明における軸方向とは、図2において上方に位置する軸部14の中心線Lに沿う方向を指す。軸方向外方は、当該軸部14の先端側に向かう方向である。軸方向内方は、当該軸部14の基端側に向かう方向である。
ベアリングカップ20は、図2に示すように、十字軸10の胴部12に対向する内側端面22と、胴部12とは反対側を向いた外側端面24と、両端面22,24をつなぐ繋面26と、を有する。内側端面22は、軸方向に対して直交した平坦面にて構成されている。そして、この内側端面22に向けて(胴部12に向けて)孔部30が開口されている。孔部30は円柱状に開口されている。孔部30の内周面32は、軸部14の外周面14aまわりに配置されている。
孔部30の内周面32は、図3に示すように、孔部30の底面34から開口面36に向けて4段階に広がっている。つまり孔部30の内周面32は、第1径部32Aと、第1径部32Aよりも大径の第2径部32Bと、第2径部32Bよりも大径の第3径部32Cと、第3径部32Cよりも大径の第4径部32Dと、を有する。各径部32A,32B,32C,32Dを説明するとき、それらの個々については第1径部32A、第2径部32B、第3径部32C、第4径部32D、として区別し、これらを総称するときには内周面32として説明する。
孔部30は、図2に示すように、その底面34からベアリングカップ20の外側端面24に向けて貫通された給油孔29によって、外部と連通されている。給油孔29は、給油栓Cによって塞がれている。鉄鋼用圧延設備のメンテナンス時においては、給油栓Cを外して、潤滑油を孔部30と軸部14との間に供給できる。供給された潤滑油は、孔部30の底面34と軸部14の端面14cとの間を径方向外方へ流れ、その後、孔部30の内周面32と軸部14の外周面14aとの間を軸方向内方へ流れる。潤滑油は、後述の円柱ころ60(転動体)の転動運動を潤滑にする。
孔部30の両側には、図1,2に示すように、ボルト貫通孔28が形成されている。ボルト貫通孔28は、ベアリングカップ20を十字中心線Pに沿う方向に貫通している。各ボルト貫通孔28に、ボルトBが個別に挿通されている。なお、図1では、例としてボルトを一つのみ示している。また図2では、ボルトを省略している。各ボルトBは、各ボルト貫通孔28を貫通して、ベアリングカップ20とヨーク5(図1参照)とを結合している。ヨーク5は、図1に示すように、十字中心線Pに沿う方向に関して、ユニバーサルジョイント1の両側に位置している。相対向するベアリングカップ20を一対として、各ベアリングカップ20対に、個々にヨーク5が結合されている。
なお、図2〜4においては、ユニバーサルジョイント1が回転している状態(動作状態)にあるものとする。この動作状態において、十字軸10は、例えば図6に示すように、十字中心線Pの向きを変えながら、図2の符号Tの矢印で示すように、十字中心線Pを中心に例えば時計回りに回転する。十字軸10が回転すると、軸部14には、先端側へ向かう遠心力Fが働く。この遠心力Fは、後述のウォーターシール100においても同様に(軸部14の先端側へ)働く。そして、遠心力Fは、後述のようにウォーターシール100を変形させる。なお、図6においては、ユニバーサルジョイント1のうち、十字軸10のみを表し、ベアリングカップ20等を省略している。図5においては、ユニバーサルジョイント1が動作を停止した状態(停止状態)にあるものとする。
図1,3に示すように、軸部14と孔部30との間には、スラストワッシャ50と、ころワッシャ55と、円柱ころ60と、ころガイド65と、オイルシール70と、スリンガ80と、ウォーターシール100と、が設けられている。これらの各部材50,55,60,65,70,80,100は、軸部14と同軸で配置されている。
スラストワッシャ50は、図3に示すように、軸部14の端面14cに設けられている。スラストワッシャ50を設けることによって、軸部14の端面14cと孔部30の底面34との接触を回避できる。なお、スラストワッシャ50の中心孔50a(図2参照)は、給油孔29と一致した位置に設けられており、当該中心孔50aは給油孔29を塞がない構成にある。
ころワッシャ55は、図3に示すように、スラストワッシャ50の径方向外方に位置している。ころワッシャ55の内径は、スラストワッシャ50の外径と一致している。ころワッシャ55は、スラストワッシャ50を径方向外方から支持してスラストワッシャ50の径方向の位置を規制している。なお、ころワッシャ55自身は、孔部30の第1径部32Aによって径方向の位置を規制されている。
円柱ころ60は、図3に示すように、ころワッシャ55の軸方向内方に設けられている。円柱ころ60は、孔部30の第1径部32Aと軸部14の外周面14aとの間に配置されて、軸部14とベアリングカップ20とを相対回転可能に支持している。円柱ころ60は、周方向に連続して複数設けられている。また、円柱ころ60は、軸方向に例えば2段設けられている。円柱ころ60は、軸方向に一段のみ設けてもよいし、複数段設けてもよい。
ころガイド65は、図3に示すように、円柱ころ60の軸方向内方に設けられている。ころガイド65は、孔部30の第2径部32Bに嵌め込まれている。ころガイド65は、周方向に亘って円柱ころ60の端面を支持している。そして、ころガイド65は、円柱ころ60の軸方向の位置を規制している。
スリンガ80は、図3,4に示すように、大径軸部14bの外周面14aに嵌め込まれている。スリンガ80は、例えばステンレス製である。スリンガ80は、後述のオイルシール70とともに、密封装置120を構成している。密封装置120は、孔部30の開口側の端部と大径軸部14bとの間を密封するとともに、当該箇所(孔部30の開口側の端部と大径軸部14bとの間)にラビリンス状の経路を形成している。
スリンガ80の一方端80aは、図4に示すように、孔部30の開口面36よりも軸方向内方に位置しており、孔部30から露出している。スリンガ80の他方端80bは、孔部30の第2径部32Bに対応した位置にある。
スリンガ80は、図4に示すように、ころガイド対向面82と、スリンガ環状面84と、スリンガ円環面86と、スリンガ立上面88と、スリンガ先端面90と、スリンガ外周面92と、スリンガ延長面94と、シール用凹部96と、を有する。
ころガイド対向面82は、図4に示すように、ころガイド65の内周面65aに対向して設けられている。ころガイド対向面82ところガイド65の内周面65aとの間には、わずかな隙間がある。この隙間は、密封装置120への入口となる第1通路F1を構成している。
スリンガ環状面84は、図4に示すように、ころガイド対向面82に連続して設けられている。スリンガ環状面84は、孔部30の第3径部32Cと第4径部32Dとに対応した位置にあり、軸方向に略一定の径で延びている。このスリンガ環状面84に連続して、スリンガ円環面86が設けられている。スリンガ円環面86は孔部30の第4径部32Dと対応した位置において径方向に延びている。
スリンガ立上面88は、図4に示すように、スリンガ円環面86の径方向外縁から連続して設けられ、孔部30の内側に向けて軸方向に立ち上がっている。このスリンガ立上面88の径方向外方にスリンガ外周面92が設けられている。スリンガ外周面92は、孔部30の第4径部32Dに隣接して当該第4径部32Dに沿うとともに、軸方向内方に孔部30の外側まで延びている。スリンガ外周面92と孔部30の第4径部32Dとの間には、わずかな隙間がある。この隙間は、密封装置120の出口となる第2通路F2を構成している。第2通路F2は、鉄鋼用圧延設備にかけられる冷却水の、孔部30と軸部14との間への浸入口でもある。スリンガ先端面90は、第4径部32Dと第3径部32Cとの間の段差面D1と対向している。スリンガ先端部90と段差面D1との間にはわずかな隙間がある。
スリンガ延長面94は、図4に示すように、スリンガ外周面92の軸方向内方の端部から径方向内方に延びている。そして、このスリンガ延長面94に連続して、シール用凹部96が設けられている。スリンガ延長面94の径方向内方の端部は、シール用凹部96の一部を構成している。シール用凹部96は、軸部14の中心線L(図2参照)を含む仮想平面で切断した場合の断面が略コの字形状に形成されている。シール用凹部96は、スリンガ80の外周面に亘って設けられている。シール用凹部96は、孔部30の開口面36よりも軸方向内方に位置している。つまり、シール用凹部96は、孔部30から露出した位置にある。また、シール用凹部96は、ベアリングカップ20の内側端面22よりも軸方向内方に位置している。シール用凹部96は、スリンガ80において、後述のオイルシール70の各シール体74,75,76が接触する部位よりも軸方向内方に設けられている。
オイルシール70は、図4に示すように、第1芯金71及び第2芯金72と、3つのシール体74,75,76と、を有する。両芯金71,72は、環状部材である。第1芯金71は、孔部30の第3径部32Cに嵌め込まれた第1筒状部71aと、第1筒状部71aから径方向内方へ張り出した第1円環部71bと、を有する。第1円環部71bは、第2径部32Bと第3径部32Cとの間の段差面D2と接触している。
第2芯金72は、第1筒状部71aに嵌めこまれた第2筒状部72aと、第2筒状部72aから径方向内方へ張り出した第2円環部72bと、を有する。第2円環部72bは、軸方向に関して第1円環部71bと、スリンガ円環面86との間に位置している。この第2円環部72bと、上述したスリンガ立上面88、スリンガ先端面90、及びスリンガ外周面92と、によって、第1通路F1と第2通路F2との間の経路がラビリンス構造とされている。
各シール体74,75,76は、例えばゴム製である。第1シール体74は、図4に示すように、第1円環部71bの先端に例えば加硫接着されている。そして、第1シール体74のリップ部74aは、スリンガ環状面84に摺動可能に接触している。第2シール体75は、第2円環部72bの先端に例えば加硫接着されている。そして、第2シール体75のリップ部75aは、スリンガ環状面84に摺動可能に接触している。第3シール体76は、第2円環部72bの先端に例えば加硫接着されている。そして、第3シール体76のリップ部76aは、スリンガ円環面86に摺動可能に接触している。各シール体74,75,76とスリンガ80との接触によって、孔部30の開口側の端部と大径軸部14bとの間が密封されている。
ウォーターシール100は、図4に示すように、シール用凹部96に嵌め込まれている。ウォーターシール100は、例えばゴム製であり、周方向に亘って連続した環状部材である。ウォーターシール100は、シール用凹部96から径方向外方に延びている。ウォーターシール100における径方向外方の端部は、ウォーターシールリップ100aとなっている。ウォーターシールリップ100aの配置位置については、この後説明する。なお、図5に示すユニバーサルジョイント1の停止状態においては、ウォーターシールリップ100aが、ベアリングカップ20の内側端面22から離間した位置にある。
ウォーターシール100は、ユニバーサルジョイント1が停止状態(図5参照)から動作状態(図4参照)となると、つぎのように変形する。つまり、ウォーターシール100は、ウォーターシールリップ100aがベアリングカップ20の内側端面22に摺動可能に接触した状態に変形する(図4参照)。この変形は、十字軸10の回転に伴う軸方向外方への遠心力Fによって実現されている。ウォーターシール100は、ユニバーサルジョイント1が停止状態(図5参照)となると、遠心力Fが働かないことで、元の形状に復元する。つまり、ウォーターシール100は、ウォーターシールリップ100aがベアリングカップ20の内側端面22から離間した状態に戻る。
ユニバーサルジョイント1の動作状態(図4参照)において、ウォーターシール100はつぎのように機能する。ウォーターシール100は、孔部30の開口面36よりも軸方向内方に設けられたシール用凹部96から径方向外方に延びて、孔部30の開口まわりの面である内側端面22に接触している。このことから、ウォーターシール100は、孔部30の開口面36の外側から第2通路F2を覆って、第2通路F2を塞いでいる。したがって、ウォーターシール100は、第2通路F2のシール性を向上させ、鉄鋼用圧延設備にかけられる冷却水が、第2通路F2に入り込むことを防止ないし抑制できる。冷却水は、図4の符号W1の矢印で示すように、十字軸10の回転に伴う遠心力Fによって大径軸部14bの側からスリンガ80の基端部80aへ流れてくる。この冷却水は、スリンガ80の基端部80aからウォーターシール100の外面100bを伝って内側端面22の側へ流出される。したがって、ウォーターシール100は、冷却水が、第2通路F2に入り込むことを防止ないし抑制できる。なお、万一、冷却水が第2通路F2に入り込んだ場合でも、密封装置120のラビリンス構造及密封機能によって、冷却水が円柱ころ60まで到達することが防止ないし抑制される。
ユニバーサルジョイント1の停止状態(図5参照)においては、ウォーターシール100が、内側端面22から離れた位置にある。したがって、第2通路F2が開放される。これによって、鉄鋼用圧延設備のメンテナンス時においては、余分な潤滑油を従来どおりに孔部30と軸部14との間から排出できる。なお、孔部30と軸部14との間を流れる潤滑油は、孔部30の第1径部32Aと軸部14の外周面14aとの間を通過した後、図5の符号Z1の矢印で示すように、第1通路F1を通じて密封装置120に入る。潤滑油は、密封装置120を通過した後、図5の符号Z2の矢印で示すように、第2通路F2から外部へ排出される。
ウォーターシール100は、断面が略コの字形状のシール用凹部96に嵌め込むだけで、スリンガ80に組付けることができる。したがって、ウォーターシール100の組付けは容易である。なお、上述の構成においては、ウォーターシール100を組付けるための新たなスリンガを必要とせず、既存のスリンガ80にシール用凹部96を形成すればよいので、新たなスリンガを設けることによる構造の複雑化を避けてウォーターシール100を設置できる。
以上は、本発明を実施するための一実施の形態を図面に関連して説明したが、本発明は他の実施形態でも実施可能である。例えば、ユニバーサルジョイント1の停止状態において、ウォーターシールリップ100aがベアリングカップ20の内側端面22に予め接触した状態としてもよい。この場合、ウォーターシールリップ100aの内側端面22に対する接触圧力を適宜調節することで、ウォーターシールリップ100aと内側端面22との間から潤滑油を排出可能である。
1 ユニバーサルジョイント
10 十字軸
12 胴部
14 軸部
14a 外周面
14b 大径軸部(基端部)
20 ベアリングカップ
22 内側端面
30 孔部
32 内周面
36 開口面
60 円柱ころ(転動体)
70 オイルシール
80 スリンガ
84 スリンガ環状面
86 スリンガ円環面
96 シール用凹部
100 ウォーターシール
100a ウォーターシールリップ
L 中心線

Claims (2)

  1. 胴部から突出して十字状に設けられた4つの軸部を備えた十字軸と、
    それぞれの前記軸部に対向させて設けられるとともに前記胴部に向けて円柱状に開口された孔部を備え、かつ、当該孔部の内周面が前記軸部の外周面まわりに配置されたベアリングカップと、
    前記軸部の外周面と、対応する前記孔部の内周面と、の間に配置されて前記軸部と前記ベアリングカップとを相対回転可能に支持する転動体と、
    前記軸部の基端部の外周面に嵌め込まれた環状のスリンガと、
    前記孔部の内周面において当該孔部の開口側の端部に嵌め込まれ、かつ、対応する前記スリンガの外周面に摺動可能に接触するオイルシールと、
    を有するユニバーサルジョイントであって、
    前記スリンガの外周面と、前記孔部の内周面との間に隙間と、
    前記スリンガの外周面において、前記オイルシールが接触する部位よりも前記軸部の基端側であり且つ前記孔部の開口面よりも軸方向内方に、シール用凹部と、
    が形成されており、
    前記シール用凹部に嵌め込まれ、かつ、前記スリンガの外周面から径方向外方に延び、前記スリンガの外周面よりも径方向外方に突出したウォーターシールリップを備えたゴム製のウォーターシールを有し、
    当該ウォーターシールリップは、
    前記ユニバーサルジョイントが回転動作状態の場合では、回転の遠心力によって前記軸部の中心軸線に沿って前記ベアリングカップの前記孔部の開口まわりの面である内側端面に向かう方向に変形し、前記内側端面の側に開口している前記隙間を塞ぎ、
    前記ユニバーサルジョイントが回転停止状態の場合では、前記変形から復元し、前記ベアリングカップの前記内側端面から離間して前記隙間を開口するユニバーサルジョイント。
  2. 請求項1に記載のユニバーサルジョイントであって、
    前記スリンガには、
    前記孔部の内周面の開口側端部と対応した位置において径方向に延びるスリンガ円環面と、
    前記スリンガ円環面の径方向外縁から連続して設けられ、前記孔部の内側に向けて軸方向に立ち上がっているスリンガ立上面と、
    前記スリンガ立上面と前記スリンガの外周面とを繋ぐスリンガ先端面と、
    が設けられ、
    前記スリンガ先端面と前記スリンガの外周面は、
    前記孔部の内周面の開口側端部との間にラビリンス構造を形成する、ユニバーサルジョイント。

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