以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
<1.第1の実施の形態> <1−1.概要>
図1は、データ記録システム1の概要を示す。データ記録システム1は、車両2に備えられたドライブレコーダ3、及び、車両2の外部に設置されたサーバ装置4を備える。
車両2は、車両2前方を撮影するカメラ22と、車両2に発生する加速度を検出する加速度センサ23を備える。カメラ22及び加速度センサ23は、ドライブレコーダ3と接続される。
ドライブレコーダ3は、車両2の起動スイッチ(例えば、アクセサリスイッチ;ACC)がONとされる間、カメラ22で撮影して得られた動画ファイルをメモリに随時記録する。1つのファイルには10秒程度の動画が入力される。メモリの全ての記録領域に動画ファイルが記録されると、最も古く記録された動画ファイルに対し、最新の動画ファイルを上書きして記録する。
車両2で急ブレーキが掛けられたり衝突等が発生し、大きな加速度(いわゆる、「イベント」)を生じると、かかる加速度の発生を契機(いわゆる、「トリガ」)とし、加速度の発生前後数十秒間に渡り撮影された動画ファイルを上書き禁止にして保存する。加速度発生の要因を後に検証するためである。
ただし、上書き禁止にすべき動画ファイルを記録するメモリ容量は、一定容量に限定される。メモリ容量の全てが、上書き禁止の動画ファイルで記録されることを防止するためである。
そこで、真に上書き禁止にすべき動画ファイルのみ、上書き禁止とする必要がある。そのため、単に加速度の発生を上書き禁止の要因とせず、動画の中身を検証することが望ましい。すなわち、大きな加速度が生じても、保存された動画が何ら検証すべき様子を捉えない場合、上書き禁止とする必要性がないばかりか、無用の動画ファイルで限られたメモリ容量を消費することとなる。一方、小さな加速度の発生であっても、衝突事故の瞬間を捉えた動画は後の検証に極めて重要である。
本実施の形態のドライブレコーダ3は、一定の大きさの加速度の発生を契機とし、加速度の発生前後に撮影して得られた動画ファイルについて、ネットワークを介してサーバ装置4へ送信する。この際、ドライブレコーダ3は、動画ファイルのほか、加速度等の車両2に発生した状況に関するデータを状況ファイルに入力して送信する。サーバ装置4は、ドライブレコーダ3から送信された動画を解析し、衝突事故等の瞬間を捉えた映像を含むか、すなわち真に上書き禁止すべき動画か否か判断する。そして、上書き禁止すべきと判断した場合、ドライブレコーダ3に上書き禁止コマンドを送信する。
ドライブレコーダ3は、上書き禁止コマンドを受信すると、該当する動画ファイルの上書きを禁止して保存する。これにより、真に上書き禁止にすべき動画ファイルのみ、上書き禁止にできる。また、大きな演算量を要する動画解析を大規模演算装置であるサーバ装置4で実行することにより、迅速かつ確実に上書き禁止の要否を決定できる。ドライブレコーダ3に搭載される演算装置の処理能力は、一般的には高くなく、動画解析を迅速に実行することができない。したがって、ドライブレコーダ3で取得した動画の画像認識を大規模演算装置たるサーバ装置4で行うことが望ましい。なお、以下、車両2に発生した加速度を「G値」と称する場合がある。
<1−2.構成>
図2は、ドライブレコーダ3の構成を示すブロック図である。ドライブレコーダ3は、データ記録システム1に含まれる車両2に搭載され、制御部31及び記憶部32を備える。また、ドライブレコーダ3が設置される車両2には、通信部21、カメラ22、加速度センサ23、車速センサ24、位置検出部25が設置され、ドライブレコーダ3と各々接続される。
制御部31は、CPU、RAM、及びROMを備えたマイクロコンピュータである。制御部31は、ドライブレコーダ3の全体を制御する。制御部31の備える各機能は後述する。
記憶部32は、データを記憶(または、記録)する記憶媒体(または、記録媒体)である。例えば、EEPROM(Electrical Erasable Programmable Read-Only memory)や、フラッシュメモリ、磁気ディスクを備えたハードディスクドライブ等の不揮発性メモリである。記憶部32は、動画ファイル32a、上書き禁止リスト32b、及びプログラム32cを記憶する。
動画ファイル32aは、カメラ22で所定周期に撮影された複数の静止画データに基づいた、例えばDAT(Digital Audio Tape)方式の動画データである。動画ファイル32aは、記憶部32に複数のファイルが記録される。例えば、3000ファイルである。1ファイルは10秒間に撮影された動画データが入力される。記憶部32における動画ファイル32aの配列構造は後に詳述する。なお、動画ファイル32aは、動画データのほか音声データを含み、動画データと音声データとを同期させる信号を含む。また、動画ファイル32aは、本発明における映像データとして機能する。なお、本発明における映像データを単数または複数の静止画データとした場合は、G値が最も上昇又は低下した付近の静止画データとすることが好ましい。車両2に発生した事象の特徴を最も明確に捉えていると考えられるためである。
上書き禁止リスト32bは、上書きが禁止される動画ファイルが記録されるアドレス、上書き禁止の種別(絶対禁止又は通常禁止)、及び、撮影中に発生したG値を備えるマトリックス状のデータテーブルである。上書き禁止リスト32bを参照することで、動画ファイルが記録されたアドレス、上書き禁止の種別、及び、撮影中に発生したG値の大きさを認識できる。上書き禁止リスト32bの構成は後に詳述する。
プログラム32cは、制御部31により読み出され、制御部31がドライブレコーダ3を制御するために実行されるファームウェアである。なお、プログラム32cは、メモリカード等の記憶媒体を介し、又は、外部装置と回線で接続され、ドライブレコーダ3に入出力される。なお、プログラム32cは、上述の制御部31の備えるRAMに予め記憶されてもよい。
次に、上述の制御部31の備える各機能を説明する。制御部31は、データ取得部31a、データ記録部31b、イベント検出部31c、データ送信部31d、判定受信部31e、及び、上書き禁止部31fを備える。各部が発揮する機能は、制御部31がプログラム32cを実行して実現される。
データ取得部31aは、カメラ22から静止画データを取得し、動画ファイルを生成する。また、データ取得部31aは、加速度センサ23から加速度データ、車速センサ24から車速データ、位置検出部25から位置データ、記憶部32から動画ファイルのアドレスを取得し、動画ファイルを含んだ状況ファイルを生成する。したがって、状況ファイルは、加速度、車速、位置、アドレスの少なくとも1つ以上、及び動画ファイルを含む。なお、データ取得部31aは、本発明において、取得手段として機能する。また、状況ファイルは、本発明において、イベントの発生時及び/又は発生前後における状況を示す状況データとして機能する。
データ記録部31bは、データ取得部31aが生成した動画ファイルを記憶部32の上書き禁止されていないアドレスに記録する。なお、データ記録部31bは、本発明において、記録手段として機能する。
イベント検出部31cは、加速度センサ23から送信された加速度データに基づき、車両2に発生したG値を演算する。そして、G値と所定の閾値を比較して、動画ファイルの上書きを禁止すべきイベントが発生したか否か検出する。すなわち、発生したG値が閾値を超えた場合にイベントの発生と判断する。なお、イベントとは、一定の大きさを超えるG値の発生や、衝撃の発生、速度の急低下、エアバッグの展開、物体の接近等、車両2に対して発生する何らかの事象であればよい。なお、イベント検出部31cは、本発明において、イベント検出手段として機能する。
データ送信部31dは、データ取得部31aが生成した状況ファイルを、通信部21を介してサーバ装置4に送信する。送信される状況ファイルは、イベントの発生時及び/又は発生前後の車両2に発生したデータを含む状況ファイルである。イベントの発生時及び/又は発生前後のデータを状況ファイルで送信することで、車両2に発生した状況をより詳細に検討できる。なお、データ送信部31dは、本発明において、送信手段として機能する。
判定受信部31eは、サーバ装置4からドライブレコーダ3に送信される信号を受信する。特に、特定の動画ファイルに対する上書きを禁止すべきか否かの判定結果である上書き禁止コマンドを受信する。なお、判定受信部31eは、本発明において、受信手段として機能する。
上書き禁止部31fは、イベントの発生時及び/又は発生前後に生成された動画ファイルの上書き記録を禁止する。上書き禁止部31fは、記憶部32の記録領域に対するフラグ操作により上書き禁止を実行する。すなわち、上書き禁止フラグをONとすることで該当アドレスに記録された動画ファイルの上書きを禁止し、一方、上書き禁止フラグをOFFとすることで上書きを禁止を解除する。また、上書き禁止部31fは、判定受信部31eが受信した上書き禁止コマンドに基づき、上書き禁止コマンドで指定された動画ファイルの上書きを絶対的に禁止にする。上書き禁止リストの該当箇所を更新することで、上書きの絶対的な禁止を設定する。動画ファイルの上書きが絶対的に禁止されると、後により大きなG値が発生した際に生成された動画ファイルに対しても、上書きされることがない。動画の内容が解析された結果、上書き禁止されているので、後の検証に極めて重要だからである。なお、上書き禁止部31fは、本発明において、禁止手段として機能する。
次に、車両2に設置された各構成を説明する。通信部21は、ネットワークを介してサーバ装置4とデータの送受信を行う通信機である。例えば、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)やLTE(Long Term Evolution)等を利用した無線通信機である。
カメラ22は、光軸を車両2前方に向けて車室内に配置される。カメラ22は、車両2の起動スイッチ(例えば、アクセサリスイッチ;ACC)に連動して起動し、車両2前方の様子を継続的に撮影する。カメラ22で撮影して得られた複数の静止画データは、ドライブレコーダ3に送信される。ドライブレコーダ3は、カメラ22から送信された複数の静止画データに基づき、動画ファイルを生成する。
加速度センサ23は、車両2の前後、左右及び上下方向に発生する加速度を計測する3軸加速度センサである。加速度センサ23は、車両2に発生した加速度を計測すると、加速度データをドライブレコーダ3に送信する。
車速センサ24は、車両2の速度を取得するセンサである。車速センサ24は、車両2の速度を取得すると、速度データをドライブレコーダ3に送信する。
位置検出部25は、GPS等の衛星測位システムを利用し、車両2の現在位置を検出する装置である。位置検出部25は、車両2の現在位置を検出すると、位置データをドライブレコーダ3に送信する。
次に、サーバ装置4の構成を説明する。図3は、サーバ装置4の構成を示すブロック図である。サーバ装置4は、車両2の外部に設置され、ドライブレコーダ3とネットワークを介して接続された大規模演算装置である。サーバ装置4は、制御部41、記憶部42、及び通信部43を備える。なお、サーバ装置4は、本発明において、外部装置として機能する。
制御部41は、CPU、RAM、及びROMを備えたコンピュータである。制御部41は高性能なCPU等を複数備えるのが好ましい。サーバ装置4では、大規模な演算を高速に実行することが望まれるからである。制御部41は、データ受信部41a、映像解析部41b、データ解析部41c、判定部41d、コマンド送信部41eを備える。各部が発揮する機能は、制御部41がプログラム42aを実行して実現される。
データ受信部41aは、通信部43を介し、ドライブレコーダ3から送信される状況ファイルを受信する。
映像解析部41bは、状況ファイルに入力されている動画ファイルにどのような映像が含まれているか解析する。特に、車両2に対する交通事故等を示す映像の有無を解析する。車両2が事故を引き起こした場合や事故に巻き込まれた場合は、動画ファイルを上書き禁止として保存すべきだからである。映像解析部41bは、例えば既知のパターンマッチングの手法を利用して動画ファイルを解析する。すなわち、車両の横転や、人物の転倒、フロントガラスや車体の破損といった交通事故と関連するパターン画像を予め記憶し、動画ファイルとパターン画像とが一致する場合に、動画ファイルに交通事故等を示す映像が含まれると判断する。
このような画像解析は処理負荷が極めて大きく、サーバ装置のような大規模演算処理装置で実行することが好ましい。迅速に解析を実行できるからである。車載用ドライブレコーダが備える演算処理装置は、このような画像処理を迅速に行う処理能力を一般的には備えない。したがって、ドライブレコーダから動画ファイルをサーバ装置に送信し、サーバ装置で画像解析を行うことで、迅速かつ確実に解析できる。そして、かかる動画ファイルをドライブレコーダにおいて、上書き禁止とする処理を早期に行うことができる。
データ解析部41cは、状況ファイルに入力されているセンサデータに基づき、車両2にどのような事象が発生したか解析する。センサデータは、上述の通り、G値、車速、及び車両2の位置データである。データ解析部41cは、G値及び車速の急激な上昇及び低下、車両2が交通事故多発地帯や交差点等の事故の発生し易い位置に所在していたか等を解析する。
判定部41dは、動画ファイルとパターン画像との一致度合いや、センサデータの値の大きさ等に基づき、送信された動画ファイルの上書きを絶対的に禁止にすべきか否か判定する。
コマンド送信部41eは、判定部41dが動画ファイルの上書きを絶対的禁止にすべきと判定した場合に、ドライブレコーダ3が該当の動画ファイルの上書きを絶対的禁止にすべきとする旨のコマンド(上書き禁止コマンド)を生成し、ドライブレコーダ3に送信する。コマンドには、該当する動画ファイルの名称及び記憶部32におけるアドレスが含まれる。ドライブレコーダ3において、ファイル名称とアドレスの両者を参照することで、誤操作を防止する。すなわち、サーバ装置4に状況ファイルを送信後、ドライブレコーダ3が上書き禁止コマンドを受信するまでの間に、該当の動画ファイルが上書きされ場合、アドレスだけを受信すると、上書きして記録された動画ファイル(本来的には上書き絶対禁止でない動画ファイル)が上書き絶対禁止となり不都合が生じるためである。
記憶部42は、データを記憶(または、記録)する記憶媒体(または、記録媒体)である。例えば、EEPROM(Electrical Erasable Programmable Read-Only memory)や、フラッシュメモリ、磁気ディスクを備えたハードディスクドライブ等の不揮発性メモリである。記憶部42は、プログラム42a及び地図データ42bを記憶する。
プログラム42aは、制御部41により読み出され、制御部41がサーバ装置4を制御するために実行されるファームウェアである。また、プログラム42aは画像処理のためのソフトウェアを含む。
地図データ42bは、緯度及び経度で特定された、交差点等の道路、公園等の敷地、及びビル等の建物の位置や名称に関する地理的データである。地図データ42bは、事故多発地点等のデータを含む。
通信部43は、ネットワークを介してドライブレコーダ3とデータの送受信を行う通信機である。例えば、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)やLTE(Long Term Evolution)等を利用した無線通信機である。
<1−3.動画ファイルと状況ファイル>
次に、動画ファイルの配列構造について説明する。図4は、記憶部32における動画ファイル32aの配列構造の例を示す。動画ファイル32aを記録する記憶部32の記録領域は、複数のレコード32aLを備える。レコード32aLの総数は、例えば3000である。各レコード32aLは、アドレスAD、動画ファイルFA、及び上書き禁止フラグFLのデータ領域を備える。
アドレスADは、動画ファイルを記録する記憶部32の記録領域の位置を示す識別子である。例えば、「0001」、「0002」等の数値により示される。
1つのレコード32aLには1つの動画ファイル32aが記録される。動画ファイル32aは、生成された年月日や日時がファイル名として付与されて記録される。
上書き禁止フラグFLは、ON又はOFFの値を保持する識別子である。上書き禁止フラグFLがONとなった場合は、同じレコード32aLに位置する動画ファイル32aは上書きが禁止される。上書き禁止フラグFLがOFFとなった場合は、同じレコード32aLに位置する動画ファイル32aは上書きが許可される。なお、上書き禁止フラグFLはON又はOFFのみを示すため、上書き禁止フラグFLがONとなった場合でも、絶対的な上書き禁止か否かは判別できない。上書き禁止フラグFLがONとなった動画ファイル32aが絶対的な上書き禁止か否かは、後述の上書き禁止リスト32b(特に、「上書き禁止種別」)で識別される。
次に、状況ファイルについて説明する。図5は状況ファイルJFの例を示す。状況ファイルJFは、動画ファイル32a等を含むデータセットである。状況ファイルJFは、サーバ装置4に送信され、動画ファイルの上書きを絶対的に禁止するか否かの判断要素となる。
状況ファイルJFは、記憶部32の記録領域の位置を示すアドレスAD、時間的に連続した3つの動画ファイル32a、閾値Thを越えたと判断されたG値GD及びその前後所定期間内のG値GD、動画ファイル32aの記録時間内における複数の車速SK、及び、G値が閾値Thを越えたと判断された時点の車両2の位置を示す緯度並びに経度HTを含む。これらのデータがサーバ装置4に送信されて参照され、動画ファイルの上書きを絶対的に禁止するか否かの判断要素となる。なお、G値GD、車速SK、及び経度HTは、少なくとも1つ以上が状況ファイルJFに含まれればよい。
<1−4.上書き禁止リスト>
次に、上書き禁止リスト32bについて説明する。図6は、上書き禁止リスト32bの例を示す。上書き禁止リスト32bは、複数のレコード32bLを備えるデータテーブルである。レコード32bLの総数は、例えば100である。各レコード32bLは、アドレスAD、上書き禁止種別PD、及びG値GDのデータ領域を備える。
アドレスADは、動画ファイルを記録する記憶部32の記録領域の位置を示す識別子である。例えば、「0001」、「0002」等の数値により示される。
上書き禁止種別PDは、記憶部32のアドレスADに記録される動画ファイルの上書きに関する記録方式を示す。上書きに関する記録方式は、「絶対禁止」と「通常禁止」との2種類である。上書きの絶対禁止とは、後により大きな加速度の発生した様子を撮影した動画ファイルが生成されても、かかる動画ファイルによっても上書きされない記録形式である。また、上書きの通常禁止とは、記憶部32に対する巡回的な常時記録により生成された動画ファイルでは上書きされないが、より大きな加速度の発生した様子を撮影した動画ファイルに対しては上書きされる記録形式である。なお、上書き禁止種別PDが絶対禁止に指定されるレコード群ARの数は、例えば、10である。ただし、レコード32bLの総数の範囲内で可変としてもよい。また、上書き禁止種別PDが通常禁止に指定されるレコード群ORの数は、例えば、90である。
G値GDは、加速度センサ23が検出した車両2に発生した加速度の値である。
<1−5.工程>
次に、ドライブレコーダ3が実行する処理工程を説明する。図7、図8、及び図9は、ドライブレコーダ3が実行する処理工程を示すフローチャートである。なお、処理工程は所定周期で繰り返し実行される。
図7は、ドライブレコーダ3が実行する主要な処理工程示すフローチャートである。まず、データ取得部31aがカメラ22から複数の静止画データを取得し、動画ファイルを生成する(ステップS101)。
次に、データ取得部31aは、加速度センサ23から加速度データ、車速センサ24から車速データ、位置検出部25から位置データ、及び、記憶部32から動画ファイルを記録すべきアドレスを取得する。そして、加速度データ、車速データ、位置データの少なくとも1つ以上、アドレス、及び、動画ファイルを含めた状況ファイルを生成する(ステップS102)。
データ取得部31aが状況ファイルを生成すると、データ記録部31bは、データ取得部31aが生成した動画ファイルを記録すべき記憶部32のアドレスを参照し、上書き禁止フラグがONか否か判断する(ステップS103)。
データ記録部31bは、参照したアドレスの上書き禁止フラグがONであると判断すると(ステップS103でYes)、次のアドレスを参照し(ステップS104)、上書き禁止フラグがONか否か再度判断する(ステップS103)。例えば、最初に参照したアドレスが0001である場合には、次のアドレスとして0002を参照する。データ記録部31bは、上書き禁止フラグがONでない、すなわちOFFのアドレスを参照するまで、ステップS103及びステップS104を繰り返し実行する。
一方、データ記録部31bは、参照したアドレスの上書き禁止フラグがONでないと判断すると(ステップS103でNo)、データ取得部31aが生成した動画ファイルを既に記録済みの動画ファイルに上書きして記録する(ステップS105)。
次に、イベント検出部31cが、加速度センサ23から送信された加速度データに基づき、車両2に発生したG値が閾値Thを超過したか否か判断する(ステップS106)。すなわち、イベント検出部31cは動画ファイルを上書き禁止(通常禁止)すべきイベントが発生したか否か判断する。閾値Thは、例えば、0.8[G]である。
イベント検出部31cが、G値が閾値Thを超過しないと判断した場合(ステップS106でNo)、処理は終了する。G値が閾値Thを超過せず、イベントが発生していない以上、上書き禁止処理を実行する必要がないからである。
一方、イベント検出部31cが、G値が閾値Thを超過したと判断した場合(ステップS106でYes)、データ送信部31dが、データ取得部31aが生成した状況ファイルをサーバ装置4へ送信する(ステップS107)。なお、この際、状況ファイルにはG値が閾値Thを超過した瞬間を含む動画ファイルに加え、その時間的に前後して生成された動画ファイルを状況ファイルに含める。すなわち、状況ファイルには3つの動画ファイルが入力される。これにより、G値が閾値Thを超過した瞬間の前後を含めて詳細に分析できる。
データ送信部31dが状況ファイルをサーバ装置4へ送信すると、G発生時フラグ処理が実行される(ステップS108)。G発生時フラグ処理は、G値が閾値Thを超えた場合に、対象となる動画ファイルの上書きを禁止する処理である。G発生時フラグ処理の詳細は後述する。
G発生時フラグ処理が実行されると、判定受信部31eは、サーバ装置4から上書き禁止コマンドを受信したか否か判断する(ステップS109)。
判定受信部31eがサーバ装置4から上書き禁止コマンドを受信していないと判断すると(ステップS109でNo)、処理は終了する。
一方、判定受信部31eがサーバ装置4から上書き禁止コマンドを受信したと判断すると(ステップS109でYes)、コマンド受信時フラグ処理が実行される(ステップS110)。コマンド受信時フラグ処理は、サーバ装置4から上書き禁止コマンドを受信した場合に、対象となる動画ファイルの上書きを絶対的に禁止する処理である。コマンド受信時フラグ処理の詳細は後述する。コマンド受信時フラグ処理が実行されると、処理は終了する。
次に、ステップS108におけるG発生時フラグ処理の詳細を説明する。図8はG発生時フラグ処理の処理工程を示すフローチャートである。
G発生時フラグ処理が開始されると、上書き禁止部31fが、記憶部32の上書き禁止フラグFLを参照し、上書き禁止フラグのONの数が上限値より少ないか否か判断する(ステップS108a)。上限値は、例えば100である。
上書き禁止部31fは、上書き禁止フラグのONの数が上限値より少ないと判断すると(ステップS108aでYes)、対象となる動画ファイルの上書き禁止フラグをONに設定する(ステップS108b)。
一方、上書き禁止部31fは、上書き禁止フラグのONの数が上限値より少なくないと判断すると(ステップS108aでNo)、今回発生したG値が、上書き禁止リスト32bにおいて上書き禁止種別が「通常禁止」と設定されているレコード32bLのうち最も低いG値より大きいか否か判断する(ステップS108c)。
上書き禁止部31fが、今回発生したG値は「通常禁止」と設定されているレコード32bLのうち最も低いG値より大きくないと判断すると(ステップS108cでNo)、G発生時フラグ処理は終了する。処理は図7に戻り、ステップS109が実行される。今回発生したG値が既に記録されているG値より大きくない(すなわち、小さい)以上、対象の動画ファイルを上書き禁止する必要性は低いからである。これにより、限られた記録領域を有効に利用できる。
一方、上書き禁止部31fが、今回発生したG値は「通常禁止」と設定されているレコード32bLのうち最も低いG値より大きいと判断すると(ステップS108cでYes)、かかる最も低いG値と記憶部32において同一のアドレスを有するレコード32aLに対し、上書き禁止フラグFLをOFFに設定する(ステップS108d)。
上書き禁止部31fは、最も低いG値の上書き禁止フラグFLをOFFに設定すると、今回生成した動画ファイル(すなわち、G値が閾値Thを超過した瞬間を含む動画ファイル)を含むレコード32aLの上書き禁止フラグFLをONに設定する(ステップS108e)。
上書き禁止部31fは、上記のステップS108b及びステップS108eにおいて上書き禁止フラグFLをONに設定した場合、対象となる上書き禁止リスト32bのレコード32bLの上書き禁止種別を「通常禁止」に設定する(ステップS108f)。そして、アドレスAD及びG値GDを、今回上書き禁止とされた動画ファイルのアドレス及びG値に更新する。なお、G値が複数参照される場合には、最も大きいG値を採用する。かかるG値が、車両2に発生した事象を最も克明に現わすからである。
上書き禁止部31fが上書き禁止リスト32bを更新すると、処理は図7に戻り、ステップS109が実行される。
このようなG発生時フラグ処理を実行することで、より大きなG値を含む動画ファイルを上書き禁止にできるとともに、上書き禁止とされる動画ファイル数が上限値を超えることなく、限られた記録領域を有効に利用できる。
次に、ステップS110におけるコマンド受信時フラグ処理の詳細を説明する。図9はコマンド受信時フラグ処理の処理工程を示すフローチャートである。
コマンド受信時フラグ処理が実行されると、上書き禁止部31fが、対象となる動画ファイルの記憶部32における上書き禁止フラグFLを参照し、上書き禁止フラグがONであるか否か判断する(ステップS110a)。上書き禁止部31fが、対象となる動画ファイルの上書き禁止フラグがONであるか否か判断するのは、この時点において、対象となる動画ファイルの上書き禁止フラグがONである場合があるからである。すなわち、G発生時フラグ処理(S108)のステップS108cにおいて、今回発生したG値が他のG値より大きくないと判断されると、該当の動画ファイルの上書き禁止フラグはONとならず、OFFとなるからである。したがって、ステップS110aにおいて、上書き禁止部31fが、対象となる動画ファイルの記憶部32における上書き禁止フラグFLを参照し、上書き禁止フラグがONであるか否か判断する必要がある。
上書き禁止部31fは、上書き禁止フラグがONであると判断すると(ステップS110aでYes)、ステップS110fの処理を実行する。ステップS110fの処理は後述する。
一方、上書き禁止部31fは、上書き禁止フラグがONでないと判断すると(ステップS110aでNo)、上書き禁止フラグのONの数が上限値より少ないか否か判断する(ステップS110b)。上限値は、例えば100である。
上書き禁止部31fは、上書き禁止フラグのONの数が上限値より少ないと判断すると(ステップS110bでYes)、対象となる動画ファイルの上書き禁止フラグをONに設定する(ステップS110c)。これにより、G発生時フラグ処理(S108)のステップS108cにおいて、上書き禁止フラグがOFFとされた動画ファイルの上書き禁止フラグをONとすることができる。
一方、上書き禁止部31fは、上書き禁止リスト32bにおいて上書き禁止種別が「通常禁止」と設定されているレコード32bLのうち最も低いG値と記憶部32において同一のアドレスを有するレコード32aLに対し、上書き禁止フラグFLをOFFに設定する(ステップS110d)。なお、前述のG発生時フラグ処理と異なり、今回発生したG値が「通常禁止」と設定されているレコード32bLのうち最も低いG値より大きいか否かの判断は行わない。サーバ装置4で上書き絶対的禁止と判断された以上、G値の大小にかかわらず上書きを絶対的に禁止すべきだからである。
上書き禁止部31fは、最も低いG値の上書き禁止フラグFLをOFFに設定すると、今回生成した動画ファイルを含むレコード32aLの上書き禁止フラグFLをONに設定する(ステップS110e)。
上書き禁止部31fは、上記のステップS110aで上書き禁止フラグがONと判断した場合(ステップS110aでYes)、及び、ステップS110c並びにステップS110eにおいて上書き禁止フラグFLをONに設定した場合、対象となる上書き禁止リスト32bのレコード32bLの上書き禁止種別を「絶対禁止」に設定する(ステップS110f)。そして、アドレスAD及びG値GDを、今回上書き禁止とされた動画ファイルのアドレス及びG値に更新する。なお、G値が複数参照される場合には、最も大きいG値を採用する。かかるG値が、車両2に発生した事象を最も克明に現わすからである。
上書き禁止部31fが上書き禁止リスト32bを更新すると、処理は図7に戻り終了する。
このようなコマンド受信時フラグ処理を実行することで、後の検証に極めて重要な動画ファイルに対する上書きを絶対的に禁止できる。動画ファイルの上書きを絶対的に禁止すると、以後どのようなG値が発生しても、かかる動画ファイルは上書きされることがない。このため、真に重要な動画ファイルを効果的に保存できる。また、このような動画ファイルのみ上書きを絶対的に禁止するので、限られた記録領域を有効に活用できる。
次に、サーバ装置4が実行する処理工程を説明する。図10は、サーバ装置4が実行する処理工程を示すフローチャートである。なお、処理工程は所定周期で繰り返し実行される。
まず、データ受信部41aがドライブレコーダ3から送信された状況ファイルを受信する(ステップS301)。
データ受信部41aが状況ファイルを受信すると、映像解析部41bが、状況ファイルに含まれる動画ファイルを解析し、交通事故に関する画像が含まれるか否か判断する(ステップS302)。映像解析部41bは、前述の通り、パターンマッチング等の既知の画像処理の手法を用いて、動画ファイルの解析を行う。
映像解析部41bが動画ファイルに交通事故等に関する画像が含まれると判断すると(ステップS302でYes)、コマンド送信部41eは、上書き禁止コマンドをドライブレコーダ3に送信する(ステップS304)。これにより、対象となった動画ファイルを上書き禁止に指定できる。特に、絶対的な上書き禁止の処理を実行できる。動画ファイルに交通事故等に関する画像は、後の検証に極めて重要であるため、上書き禁止コマンドをドライブレコーダ3に送信することが好ましい。
一方、映像解析部41bが動画ファイルに交通事故等に関する画像が含まれないと判断すると(ステップS302でNo)、データ解析部41cが、状況ファイルに含まれるG値を参照し、G値が急上昇しているか否か判断する(ステップS305)。G値が急上昇する場合は急ブレーキや衝突事故等の恐れがあり、動画ファイルを上書き禁止にすべき状況である可能性が高い。G値が急上昇しているか否か判断することにより、映像解析で上書き禁止の対象から逸脱し、かつ上書き禁止にすべき状況である可能性が高い動画ファイルを上書き禁止にできる。なお、G値の急上昇、すなわちG値の変化の割合を解析することにより、単にG値の閾値に対する大小を判断する場合に比較し、車両2の挙動をより正確に判断できる。上書き禁止コマンドを送信すると、動画ファイルの上書きが絶対的に禁止されるため、単なる上書き禁止の処理よりも、慎重に判断すべきだからである。ただし、G値の変化の割合の解析は、閾値に対する大小の判断に比べ、演算量が大きいため、車載機単体で演算するよりも大規模演算装置であるサーバ装置で実行することが好ましい。早期かつ正確に演算結果を得ることができるからである。
データ解析部41cが、G値が急上昇していると判断すると(ステップS305でYes)、判定部41dが、映像解析部41bの解析結果及び状況ファイルに含まれる他のデータ(車速及び/又は位置)を参照し、上書き禁止コマンドをドライブレコーダ3へ送信すべきか否か判断する(ステップS303)。この際、判定部41dは、状況ファイルに含まれる他のデータを参照し、上書き禁止コマンドをドライブレコーダ3へ送信すべきか否か判断する。すなわち、動画ファイルに交通事故等に関する画像が含まれるという判断結果に加え、車両2のG値、車速、及び位置を加味し、上書き禁止コマンドの送信要否を最終的に決定する。単一のデータのみならず複数のデータを考慮して送信要否を決定することで、真に必要な動画ファイルを上書き禁止にしつつ、かつ一面的には上書き禁止すべきであっても多面的には上書き禁止すべきでない動画ファイルの上書き禁止を回避できる。これにより、記憶部32の記録領域を有効利用できる。換言すれば、映像解析部41bによる動画ファイルに交通事故等に関する画像が含まれるとの判断は、上書き禁止コマンドの送信要否の判断を開始する契機に過ぎず、最終的には判定部41dが他のデータも含めてコマンドの送信要否を総合的に判断することとなる。なお、判定部41dは、複数のデータに基づく判定条件を別途備えればよい。判定条件は、例えば、動画ファイルに交通事故等に関する画像が含まれることに加え、G値が1.5[G]以上、かつ車速が80[km/h]以上、かつ位置が交差点等である。
判定部41dが上書き禁止コマンドをドライブレコーダ3へ送信すべきと判断する場合(ステップS303でYes)、コマンド送信部41eが、上書き禁止コマンドを送信する(ステップS304)。一方、判定部41dが上書き禁止コマンドをドライブレコーダ3へ送信すべきでないと判断すると(ステップS303でNo)、上書き禁止コマンドをドライブレコーダ3に送信せず、処理は終了する。
ステップS305において、データ解析部41cは、G値が急上昇していないと判断すると(ステップS305でNo)、車速が急低下しているか否か判断する(ステップS306)。車速が急低下する場合は、G値の急上昇と同様に急ブレーキや衝突事故等の恐れがあり、動画ファイルを上書き禁止にすべき状況である可能性が高い。車速が急低下しているか否か判断することにより、映像解析及びG値解析で上書き禁止の対象から逸脱し、かつ上書き禁止にすべき状況である可能性が高い動画ファイルを上書き禁止にできる。
データ解析部41cが、車速が急低下していると判断すると(ステップS306でYes)、判定部41dが、映像解析部41bの解析結果及び状況ファイルに含まれる他のデータ(G値及び/又は位置)を参照し、上書き禁止コマンドをドライブレコーダ3へ送信すべきか否か判断する(ステップS303)。解析結果及び他のデータを参照する理由は、前述の通りである。
判定部41dが上書き禁止コマンドを送信すべきと判断する場合は(ステップS303でYes)、コマンド送信部41eが上書き禁止コマンドを送信し(ステップS304)、上書き禁止コマンドを送信すべきでないと判断する場合は(ステップS303でNo)、処理は終了する。
ステップS306において、データ解析部41cは、車速が急低下していないと判断すると(ステップS306でNo)、車両2の位置が交差点や事故多発地点等であるか否か判断する(ステップS307)。車両2の位置が交差点や事故多発地点等である場合は、車両2に何らかの事故が発生している恐れがあり、動画ファイルを上書き禁止にすべき状況である可能性が高い。車両2の位置が交差点や事故多発地点等であるか否か判断することにより、映像解析、G値解析、及び車速解析で上書き禁止の対象から逸脱し、かつ上書き禁止にすべき状況である可能性が高い動画ファイルを上書き禁止にできる。データ解析部41cは、状況ファイルから車両2の所在する緯度及び経度と地図データ42bとを参照し、車両2の位置が交差点や事故多発地点等であるか否か判断する。
データ解析部41cが、車両2の位置が事故多発地点であると判断すると(ステップS307でYes)、判定部41dが、映像解析部41bの解析結果及び状況ファイルに含まれる他のデータ(G値及び/又は車速)を参照し、上書き禁止コマンドをドライブレコーダ3へ送信すべきか否か判断する(ステップS303)。解析結果及び他のデータを参照する理由は、前述の通りである。
判定部41dが上書き禁止コマンドを送信すべきと判断する場合は(ステップS303でYes)、コマンド送信部41eが上書き禁止コマンドを送信し(ステップS304)、上書き禁止コマンドを送信すべきでないと判断する場合は(ステップS303でNo)、処理は終了する。
ステップS307において、データ解析部41cは、車両2の位置が交差点や事故多発地点等でないと判断すると(ステップS307でNo)、処理は終了する。
このように、動画ファイルの上書きを禁止すべきか否か、特に上書きを絶対的に禁止すべきか否かは、単一のデータのみに基づき判断するのではなく、複数のデータに基づいて判断することが好ましい。また、あるデータと閾値との大小関係よりも、データの時間的経過を含めて判断することが好ましい。上書きの絶対的禁止を行うと、記憶部32の記録領域を上書きして利用できなくなるため、慎重な判断が求められるからである。そして、複数のデータ及びデータの時間的経過に基づく判断は、大きな演算量を必要とするため単一の車載機よりも大規模演算装置たるサーバ装置で行うことが好ましい。
以上のように、本実施の形態のドライブレコーダ3は、大きな加速度の発生時における車両2周辺の状況を示す動画ファイルをサーバ装置4に送信する。サーバ装置4は、動画ファイルに基づいてイベントの発生時及び/又は発生前後の車両2周辺を示す動画ファイルに対し、上書禁止を指定するか否かを判定する。そして、かかる判定結果に基づき、ドライブレコーダ3は、イベントの発生時及び/又は発生前後の映像データに対して上書禁止を指定する。これにより、上書き記録を禁止すべき映像データに対し、確実に上書きを禁止できるとともに、必ずしも上書きを禁止が必要でない映像データの上書きを許可し、記憶領域(記憶容量)を有効に利用できる。
また、サーバ装置4へ送信される状況データは、イベントの発生時及び/又は発生前後における車両2の加速度、速度、及び位置の少なくとも1つ以上のデータを含む。サーバ装置4が車両2の挙動を解析することにより、動画ファイルに対する上書き記録を禁止すべきか否かの判断の精度を向上できる。
また、サーバ装置4へ送信される状況データは、動画ファイルを含む。これにより、サーバ装置4が動画ファイルに対する上書き記録を禁止すべきか否かの判断を、映像を直接解析して行うことができる。上書き記録を禁止すべき対象となる動画を直接解析できるので、確実な上書き記録の禁止を実行できる。
<2.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、この発明は上記実施の形態に限定されることはない。この発明は様々に変形可能である。以下、このような変形例を説明する。上記実施の形態及び以下で説明する形態を含む全形態は、適宜組み合わせ可能である。
上記実施の形態では、サーバ装置4が、ドライブレコーダから送信された状況ファイルに含まれる動画ファイルに対してパターンマッチング等の画像処理を行い、上書き禁止すべきか否か判断した。しかし、上書き禁止すべきか否か判断をサーバ装置4が行わなくてもよい。上書き禁止すべきか否か判断を、人間が動画(または、静止画)を視認して行ってもよい。図11は、データ記録システムの変形例を示す。サーバ装置4がドライブレコーダから受信した動画ファイルを表示画面DSに表示し、サーバ装置4の操作者OPが動画(又は静止画)を視認し、動画ファイルを上書き禁止すべきか否か判断する。この場合、交通事故等の状況を人間の経験や感性に基づき精査できるため、パターンマッチング等の機械的な画像処理よりも上書き禁止すべきか否かの判断の精度を向上できる。
また、上記実施の形態では、G値の発生した瞬間を含む動画ファイルを上書き禁止とした。しかし、G値の発生した瞬間を含む動画ファイルと時間的に前後する動画ファイルも上書き禁止としてもよい。この場合、G値の発生した瞬間が動画ファイルの開始直後又は終了直前であっても、G値の発生した要因を分析しやすい。
また、上記実施の形態では、動画ファイルの上書き禁止を加速度の発生を契機として行うとしたが、車速の変化でもよい。何らかのイベントの発生であればよい。
また、上記実施の形態では、G値が閾値Thより高いことをイベントの発生条件とした。しかし、G値ではなく、他のイベントの発生条件を設定してもよい。例えば、スイッチを設け、ユーザがスイッチを操作したことをイベントの発生条件としてもよい。この場合、ユーザは自らイベントの発生の有無を操作できる。
また、上記実施の形態では、ドライブレコーダ3で上書き禁止の要否を判断すべき動画ファイルを選択した。しかし、サーバ装置4で上書き禁止の要否を判断すべき動画ファイルを選択してもよい。この場合、ドライブレコーダ3は、生成した動画ファイルを全てサーバ装置4へ送信する。
また、上記実施の形態では、車両外部のサーバ装置4で上書き禁止すべきファイルを判断したが、サーバ装置4でなくともよい。車両内部に設置された装置でもよい。例えば、ナビゲーション装置である。ただし、演算処理能力の比較的高いCPUを搭載した装置が好ましい。画像処理等は演算量が大きいからである。このようなCPUの演算の合間や余力を利用して画像処理等を行えば、ナビゲーション等の制御に支障を来すこともない。
また、上記実施の形態では、加速度センサの加速度データを利用したが、ミリ波レーダ、赤外線レーダやクリアランスソナー等の周辺監視センサ、ブレーキセンサ、アクセル開度センサやシフトセンサ等の動作制御センサ、エアバッグ、シートベルト、ドアロック等の安全制御センサから得たデータを利用してもよい。
また、上記実施の形態では、状況ファイルには動画ファイル、加速度、車速、位置のデータを含めたが、これらデータ以外のデータを含めてもよい。すなわち、エンジン回転数、今回走行した走行距離、荷物の数及び重量、同乗者(乗客)数等である。今回走行した走行距離を考慮することで、運転者の疲労度を測ることができる。荷物の数及び重量を参照することで、車両の走行の安定度を測ることができる。
また、上記実施の形態では、移動体は自動車等の車両として説明した。しかし、航空機や船舶、鉄道等の車両以外の移動体でもよい。また移動体は、人が搭乗しない無人移動体でもよい。
また、上記実施の形態において一つのブロックとして説明した機能は必ずしも単一の物理的要素によって実現される必要はない。分散した物理的要素によって実現されてもよい。また、上記実施の形態で複数のブロックとして説明した機能は単一の物理的要素によって実現されてもよい。また、車両内の装置と車両外の装置とに任意の一つの機能に係る処理を分担させ、これら装置間において通信によって情報の交換を行うことで、全体として当該一つの機能が実現されてもよい。
また、上記実施の形態においてプログラムの実行によってソフトウェア的に実現されると説明した機能の全部又は一部は電気的なハードウェア回路により実現されてもよく、ハードウェア回路によって実現されると説明した機能の全部又は一部はソフトウェア的に実現されてもよい。また、上記実施の形態において一つのブロックとして説明した機能が、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。