[0007]ここで、添付の図面において示す開示されている主題を詳細に説明する。
[0008]本開示は、二酸化炭素を還元するための方法及びシステムを記載する。本方法は、ガス拡散電極を含むアノードを含む電気化学セルのアノード液領域において水素ガスを受容し;電気化学セルのアノード液領域においてアノード液供給流を受容し;カソードを含む電気化学セルのカソード液領域において、二酸化炭素及びアルカリ金属重炭酸塩を含むカソード液供給流を受容する;ことを含んでいてもよい。本方法は、アノードとカソードの間に、二酸化炭素を少なくとも1種類の還元生成物に還元するのに十分な電位を印加することを含んでいてもよい。
[0009]更に、本開示は、カルボン酸及び塩などのカルボン酸ベースの化学物質を製造するための方法及びシステムを記載する。本方法は、二酸化炭素供給材料から一酸化炭素(CO)又はアルカリ金属ギ酸塩を生成させるために、電気化学セル、カソード還元反応を用いることができる。少量のアルカリ金属水酸化物触媒を加えることを伴う熱反応を用いて、例えば2つのアルカリ金属ギ酸塩分子を化合させてアルカリ金属シュウ酸塩生成物にすることができる。
[0010]アルカリ金属シュウ酸塩は、次に膜ベースの電気化学的酸性化プロセスによってシュウ酸に転化させることができ、このプロセスにおいては、アノードにおいて形成されるプロトン(H+イオン)を用いてアルカリ金属イオンを置換することができ、アルカリ金属イオン(M+)をカソードにおいてアルカリ金属水酸化物(MOH)として捕捉することができ、これを熱的分子間縮合プロセスユニット操作において用いるアルカリ金属水酸化物として用いるために再循環させることができる。
[0011]或いは、アルカリ金属シュウ酸塩は、HCl、HBr、HI、H2SO4、H3PO4などのような鉱酸による処理によってシュウ酸に転化させることができる。例えば、シュウ酸ナトリウムをHCl水溶液で処理して、NaClを含むシュウ酸溶液を生成させることができる。シュウ酸は、アルコール、エーテル、ハロ有機化合物、ケトン、アミド、又はエステルのような有機溶媒による抽出によって溶液から抽出することができる。有用な溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、アセトン、ブタノン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどが挙げられるが、これらに限定されない。シュウ酸はまた、水溶液からの結晶化によって溶液から回収することもできる。結晶化は、蒸発によるか、及び/又は溶液を冷却することによって溶液を濃縮することが必要な可能性がある。
[0012]シュウ酸を除去した後、塩(例えばNaCl)を含む水溶液は、それを電気化学セルのアノード液区画に送ることによって再循環させることができる。ハロゲン化物イオン(例えば塩化物)は、酸化してハロゲン(例えば塩素)を形成することができる。ハロゲンは、電気化学セルのアノード液区画から排出した後のアノード液流から単離することができる。ハロゲンは、水素、例えばアルカリ金属ギ酸塩をアルカリ金属シュウ酸塩へ熱か焼反応させる間に生成する水素と反応させることができる。水素はまた、他の供給源から得ることもできる。水素とハロゲンの反応によって形成される鉱酸(例えばHCl)を用いて、アルカリ金属シュウ酸塩を酸性化してサイクルを完了させることができる。ハロゲンを水素と反応させることによって生成するエネルギー(熱又は電気エネルギー)を捕捉して、他のプロセスにおいて(例えば熱か焼反応において)用いるか、或いは他の場所で用いることができる。
[0013]本発明の任意の態様を詳細に説明する前に、これらの態様は、本出願において、以下の説明において示され又は図面において示される構造又は機能の詳細によって限定されない可能性があることを理解すべきである。異なる態様を種々の方法で実施又は実行することができる可能性がある。また、本明細書において用いる表現及び専門用語は、説明の目的のためであり、限定とみなすべきではないことを理解すべきである。本明細書において、「など」、「含む」、又は「有する」、並びにこれらの変形のような用語を使用することは、一般にその後に列記される事項及びその等価物並びに更なる事項を包含するように意図される。更に、他に示さない限りにおいて、技術用語は通常の用法にしたがって用いることができる。更に、同様の参照番号は同様の構成要素及びその均等物を表す可能性があることが意図される。
[0014]図1Aを参照すると、本発明の一態様による、二酸化炭素の電気化学的還元からギ酸塩を電気化学的に生成させることから開始する、シュウ酸のようなジカルボン酸を製造するためのシステム100が示されている。システム100には電気化学セル110を含ませることができる。電気化学セル110(容器、電解槽、又はセルとも呼ぶ)は、分割されたセルとして実施することができる。分割されたセルは、分割された電気化学セル及び/又は分割された光電気化学セルであってよい。電気化学セル110には、アノード液領域及びカソード液領域を含ませることができる。アノード液領域及びカソード液領域は、本発明の範囲及び意図から逸脱することなく、区画、セクション、又は一般的に囲まれた空間などを指すことができる。
[0015]カソード液領域にはカソードを含ませることができる。アノード液領域にはアノードを含ませることができる。エネルギー源(図示せず)によって、電気化学セル110のアノードとカソードの間に電位を生成させることができる。電位はDC電圧であってよい。エネルギー源は、可変電圧又は定電流を電気化学セル110に供給するように構成することができる。セパレーターによって、アノード液領域とカソード液領域の間のイオンの流れを選択的に制御することができる。セパレーターには、イオン伝導性のポリマーベースの膜、イオン伝導性の無機材料、ポリマー/無機ベースの膜の組み合わせ、又は延伸PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)のような隔膜材料などを含めることができる。
[0016]電気化学セル110は、電気化学セル内で二酸化炭素の電気化学的還元を行って、硫酸(H2SO4)を含むアノード液を用いる場合にはカソード生成物として一酸化炭素(CO)及び水素、並びにアノード生成物として酸素を生成させるように運転することができる。
[0017]電気化学セル110から生成するCOは、水素から分離して、次に熱反応器120に送ることができる。熱反応器120は、熱的分子間縮合反応によって一酸化炭素をKOHのようなアルカリ金属水酸化物と反応させて、アルカリ金属ギ酸塩を形成することができる。熱反応器120は、熱分解反応又はカルボニル化反応を行うように運転することができ、これは有機及び無機化学構造中にCOを導入する反応であってよい。
[0018]熱反応器120から形成されるアルカリ金属ギ酸塩は、他の熱反応器130に送ることができる。熱反応器130は、アルカリ金属シュウ酸塩を生成させる反応を促進させることができるアルカリ金属水酸化物(例えばKOH)を用いる第2の熱的分子間縮合反応を実施することができる。図1のシステム100は熱反応器120及び熱反応器130を示しているが、本発明の範囲及び意図から逸脱することなく、システム100に関して単一の熱反応器を用いることができると意図される。
[0019]熱反応器130からのアルカリ金属シュウ酸塩は水中に溶解することができ、これを電気化学的酸性化電解槽140に送ることができる。電気化学的酸性化電解槽140は、シュウ酸のようなジカルボン酸及びKOHを、酸素及び水素の副生成物と共に生成させることができる。電気化学的酸性化電解槽140は、アノード領域、1以上の中央のイオン交換領域、及びカソード領域を含む少なくとも3つの領域を含む膜ベースのユニットであってよい。エネルギー源(図示せず)によって、電気化学的酸性化電解槽140のアノードとカソードの間に、シュウ酸を生成させるのに十分な電位を生成させることができる。アルカリ金属シュウ酸塩は中央のイオン交換領域に通すことができ、ここでアルカリ金属イオンをプロトンで置換することができ、置換されたアルカリ金属イオンは隣接する膜を通ってカソード領域中に送られて、アルカリ金属水酸化物(例えばKOH)を形成する。アノード反応は、硫酸のような酸を用いて酸素及び水素イオンを生成させることができる。
[0020]別の態様として、電気化学的酸性化電解槽140から得られる水素副生成物は、水蒸気を生成させるための燃料として用いることができ、或いは水素化プロセスのような水素を用いる他の化学プロセスにおいて用いることができる。
[0021]シュウ酸生成物のようなジカルボン酸は、精製して最終精製生成物を生成させるか、或いは電気化学的還元のような還元プロセス又は接触水素化プロセスを用いて、モノエチレングリコールのような他の生成物を製造するための化学中間体として更に処理することができる。
[0022]電気化学的酸性化電解槽140からのKOH水溶液は、蒸発器150に送ることができる。蒸発器150は、水蒸気又は他の熱源を用いてKOH水溶液生成物から水を蒸発させて、それを、電気化学セル110及び熱反応器120における必要性に応じて5%以下の含水率を有する濃縮水溶液及び/又は固体に変化させることができる。
[0023]図1Bを参照すると、本発明の一態様による、HBrのようなハロゲン化水素を用いてアノード液中でシュウ酸のようなジカルボン酸を製造して、臭素を共生成させるためのシステム105が示されている。システム105は、電気化学セル110及び電気化学的酸性化電解槽140のアノード領域中のアノード液としてHBrを用いて、よりエネルギー集約性の低い電気化学プロセスを用いて運転して、相当により低いアノード電位で臭素及び水素イオンを生成させることができる。臭素は次に、例えば臭素化有機化合物、例えばブロモエタンのような臭素化化学生成物を生成させる反応において用いることができ、これは次にエタノールのようなアルコールに転化させるか、或いは一連の熱化学反応においてモノエチレングリコールに転化させることができる。熱反応器120及び熱反応器130を具備して示されているシステム105は、本発明の範囲及び意図から逸脱することなく、単一の熱反応器を用いて実施することができると意図される。
[0024]図2Aを参照すると、本発明の一態様による、二酸化炭素を用いてギ酸塩を電気化学的に生成させることから開始する、シュウ酸のようなジカルボン酸を製造するためのシステム200が示されている。システム200は、それぞれ図1Aのシステム100及び図1Bのシステム105によって製造されるシュウ酸を製造するための別のシステムを提供することができる。
[0025]システム200には電気化学セル110を含ませることができる。電気化学セル110は、CO2とアルカリ金属水酸化物の反応から形成することができるアルカリ金属炭酸塩及び/又はアルカリ金属重炭酸塩カソード供給流を用いて二酸化炭素の電気化学的還元を行って、アルカリ金属ギ酸塩を、硫酸(H2SO4)を含むアノード液を用いる場合にはアノード生成物として酸素と共に生成させるように運転することができる。電気化学セル110のカソード液区画からのアルカリ金属ギ酸塩生成物溶液の濃度は、ギ酸塩イオンに基づいて1重量%〜30重量%又はそれ以上の範囲、好ましくはギ酸塩として5重量%〜20重量%の範囲であってよい。アルカリ金属ギ酸塩、例えばアルカリ金属ギ酸塩としての対応する重量%は、アルカリ金属化合物の分子量に基づくことができる。
[0026]アルカリ金属ギ酸塩は熱反応器120に送ることができる。熱反応器120は、アルカリ金属シュウ酸塩を生成させる転化収率を増加させることができるアルカリ金属水酸化物(例えばKOH)のような少量の触媒を加えて熱的分子間縮合反応を行うことができる。
[0027]熱反応器120からのアルカリ金属シュウ酸塩は、水中に溶解して、電気化学的酸性化電解槽140に送ることができる。電気化学的酸性化電解槽140は、シュウ酸のようなジカルボン酸、及びKOHを、酸素及び水素の副生成物と共に生成させることができる。電気化学的酸性化電解槽140は、アノード領域、1以上の中央のイオン交換領域、及びカソード領域を含む少なくとも3つの領域を含む膜ベースのユニットであってよい。アルカリ金属シュウ酸塩は中央のイオン交換領域に通すことができ、ここでアルカリ金属イオンをプロトンで置換することができ、置換されたアルカリ金属イオンは隣接する膜を通ってカソード領域中に送られて、KOHのようなアルカリ金属水酸化物を形成する。アノード反応は、硫酸のような酸を用いて酸素及び水素イオンを生成させることができる。
[0028]別の態様として、電気化学的酸性化電解槽140から得られる水素副生成物は、水蒸気を生成させるための燃料として用いることができ、或いは化学的水素化プロセスなどのような水素を用いることができる副プロセスにおいて用いることができる。
[0029]シュウ酸生成物のようなジカルボン酸は、精製して最終精製生成物を生成させるか、或いは電気化学的還元又は熱化学的プロセスを用いて、モノエチレングリコールのような他の生成物を製造するための化学中間体として更に処理することができる。
[0030]電気化学的酸性化電解槽140からのKOH水溶液は、蒸発器150に送ることができる。蒸発器150は、水蒸気又は他の熱源を用いてKOH水溶液生成物から水を蒸発させて、それを、電気化学セル110又は熱反応器120における必要性に応じて5%以下の含水率を有する濃縮水溶液及び/又は固体に変化させることができる。
[0031]図2Bを参照すると、本発明の一態様による、二酸化炭素を用い、アノード液中のハロゲン化ハロゲンを用いてギ酸塩を電気化学的に生成させることを経由してシュウ酸のようなジカルボン酸を製造し、臭素のようなハロゲンを共生成させするためのシステム205が示されている。システム205はシステム200と類似していてよく、システム205は、電気化学セル110及び電気化学的酸性化電解槽140のアノード領域中のアノード液としてHBrのようなハロゲン化水素を用いることができる。電気化学セル110は、相当により低いアノード電位で臭素及び水素イオンを生成させることができる。臭素は次に、例えばブロモエタンのような臭素化化学生成物を生成させる反応において用いることができ、これをは次にエタノールのようなアルコールに転化させるか、或いは一連の熱化学反応においてモノエチレングリコールに転化させることができる。
[0032]図3を参照すると、本発明の一態様による、二酸化炭素を用いてアルカリ金属ギ酸塩のようなギ酸塩を製造するためのシステム300が示されている。図3は、図2A及び図2Bの電気化学セル110において示されるアルカリ金属ギ酸塩の製造における二酸化炭素の電気化学的還元を示す。電気化学セル110には、生成物314を生成させるためのアノード液投入供給流310及びカソード液投入供給流312を含ませることができる。生成物314は、過剰のアルカリ金属重炭酸塩(KHCO3)を有するアルカリ金属ギ酸塩の溶液であってよい。アノード液領域320には、カチオン交換膜330に面するアノード電極触媒被覆を有するチタンアノード322を与えることができる。アノードメッシュスクリーン332は、アノード電解触媒被覆を有する折り畳まれたエキスパンデッドチタンスクリーンであってよく、アノード322とカチオン交換膜332の間に間隔及び接触圧を与える。カチオン交換膜330は、カソード液領域340からアノード液領域320の間のイオンの流れを選択的に制御する。
[0033]カソード液領域340には、膜330に面する正面側上に活性電解触媒層を有する金属電極であってよい搭載されたカソード342を与えることができる。カソード342の面とカチオン膜330の間に、直接接触圧を用いて高表面積カソード構造体344を搭載することができる。
[0034]図1A及び図2Aにおいて示されるように、アノード液領域320へ供給するのは、硫酸電解質水溶液を含むアノード液を含んでいてよい流れ310であってよい。流れ310は、アノード液領域320に導入して、折り畳まれたアノードスクリーン332を通してアノード322の表面の近傍を通して流すことができる。アノード反応には、水を酸素(O2)及び水素イオン(H+)又はプロトンに分離することを含めることができる。アノード液領域320からの気体及び液体の混合物は流れ350として排出することができ、これは流れにおける溶液温度を監視する温度センサー352の近傍を通して、アノード液気体/液体解離装置354中に流す。解離装置354においては、気体は流れ356として排気することができ、過剰のアノード液のオーバーフローは流れ358として排出される。流れ360は、アノード液解離装置354からの気体が減少した出口流であってよく、脱イオン水供給流362及び硫酸補給供給流364を再循環流に加えて、アノード液の酸強度(acid strength)及び体積を維持する。流れ362及び364が加えられた流れ360は、次に冷却水供給372を有する随意的な熱交換器370に通すことができ、その後、アノード液領域320中に供給される流れ310になる。
[0035]電気化学セル110には、膜330に面する電解触媒表面を有するカソード342を含むカソード液領域340を含ませることができる。構造体中へ電流を伝導するためにカソード342との接触圧によって、膜330とカソード342の間に高表面積カソード構造体344を搭載することができる。高表面積カソード材料の膜330との直接接触を最小にするために、高表面積構造体344と膜330との間の界面に薄いエキスパンデッドプラスチックメッシュ絶縁体スクリーン(図示せず)を用いることができる。
[0036]供給流312をカソード液領域340中に供給して、高表面積構造体344を通し、且つカソード342の面を横切って流すことができ、そこで、印加した電流及び電位において二酸化炭素、電解液、及びカソード材料の間のカソード還元反応によって、ギ酸塩を含む出口流314を生成させる。
[0037]流れ314は、カソード反応からの出口溶液及び気体混合物の生成物であってよく、これはpH監視センサー374及び温度センサー352の近傍を通して、次にカソード液気/液解離装置380中に流して、ここで気体は流れ382として排出され、ギ酸塩/電解液のオーバーフローは流れ384として排出され、気体が減少した流れは流れ386として解離装置から排出される。流れ386は、次にカソード液再循環ポンプ390の入口に導入することができ、これは次に冷却水372を用いる熱交換器392を通して送られ、次に温度センサー352の近傍を通して送られる。新しいカソード液電解液供給流394を流れ386中に計量投入することができ、これは、カソード液領域340中へのカソード液流の流れのpHを調節し、生成物のオーバーフロー速度を制御し、ギ酸塩生成物濃度を設定するために用いることができ、pHはセンサー374によって監視する。流れ312としてカソード液領域340に導入される流れの中に、二酸化炭素流の流れ396を計量投入することができる。
[0038]別の態様においては、図1B及び2Bにおいて示されるように、図1A及び2Aにおいて示される硫酸を含むアノード液を、ハロゲン化水素(例えばHBr)を含むアノード液に置き換えて、アノードにおいて酸素を生成させるために必要なものよりも低い電位でハロゲン化物(例えば臭素)及び水素イオンを生成させることができる。ハロゲン化物は、次に例えば、エタンのようなアルカンとの反応におけるブロモエタンのように、ハロゲン化物化学生成物を生成させる反応において用いることができ、これは次にアルコール(例えばエタノール)に転化させるか、又は一連の熱化学反応においてモノエチレングリコールに転化させることができる。
[0039]図4を参照すると、本発明の一態様による、アルカリ金属シュウ酸塩を電気化学的に酸性化するためのシステム400が示されている。電気化学的酸性化電解槽140には、アノード液領域402、それぞれの側の上のカチオンイオン交換膜406a及び406bによって仕切られている中央のイオン交換領域408、並びにカソード液領域410(ここでアルカリ金属水酸化物(例えばKOH)を形成することができる)を含ませることができる。セルに電位及び電流を印加することができる場合には、アノード液領域402において水素イオン(H+)又はプロトンを生成させることができ、これは次に隣接する膜406aを通して中央のイオン交換領域408中に送ることができる。例えば熱反応器(それぞれ図1Aの120及び図2Bの130)において生成するアルカリ金属シュウ酸塩(例えばアルカリ金属シュウ酸塩)生成物溶液405を中央のイオン交換領域408に通すことができ、ここで溶液流中のアルカリ金属イオンをプロトンで置換し、これにより溶液を酸性化して、シュウ酸のようなジカルボン酸を形成する。流れ456及び置換されたアルカリ金属イオンは、隣接するカチオン交換膜406bを通してカソード液領域410中に送ることができ、ここでこれらを、カソードにおける水還元反応から形成される水酸化物イオン(OH−)と化合させてアルカリ金属水酸化物(例えばKOH)の流れ434を形成する。
[0040]電気化学的酸性化電解槽140には投入供給流430及び432を含ませることができ、ジカルボン酸(例えばシュウ酸)の溶液456、アノード液領域402から酸素420、及びカソード液領域410からKOH442を生成させることができる。アノード領域402には、カチオン交換膜406aに面するアノード電極触媒被覆を有するチタンアノード404を含ませることができる。中央のイオン交換領域408には、カチオン交換膜406aと406bの間の中央のイオン交換領域中に空間を維持するためにプラスチックメッシュスペーサーを含ませることができる。場合によっては、中央のイオン交換領域内で用いる1つの別の材料は、カチオンイオン交換材料を用いて、イオン交換領域の溶液中における電解液の伝導性を増加させるようにすることであってよく、これはまた、カリウムのようなカチオンを捕捉及び交換するのを助けて、カチオンによるプロトン交換の効率を向上させることもできる。カソード液領域410にはカソード412を含ませることができる。
[0041]アノード液領域402には、硫酸を含む供給流投入流430を与えることができ、これはアノード液領域402を通して流して、気体及び液体を含む流れ414として排出して、温度センサー416の近傍を通してアノード液解離装置418中に送ることができ、ここで気体を流れ420として排出し、液体を流れ422としてオーバーフローさせる。気体が減少した流れ424をアノード液解離装置418から排出することができ、脱イオン水の流れ426、及びアノード液領域402中における酸電解液の強度を維持するために硫酸補給流428を流れ424中に計量投入することができる。流れ424は、冷却水供給流428を有していてよい随意的な熱交換器426を通して送って流れ424の温度を冷却又は維持することができ、流れ424は流れ430としてアノード液領域402に導入する。
[0042]カソード液領域410には、カソード液ループ中を再循環しているアルカリ金属水酸化物(例えばKOH)であってよい供給流432を含ませることができ、これはカソード液領域410に導入して、カソード412の近傍を通して流して、これによって水素ガス及び水酸化物(OH−)イオンを生成させることができ、膜406bを交差するアルカリ金属イオンと、水の還元によってカソード412において形成される水酸化物イオンを化合させることによってアルカリ金属水酸化物が形成される。カソード液領域410からの出口流434は、カソード反応からのアルカリ金属水酸化物及び水素ガスを含む可能性があり、これは温度センサー436の近傍を通して、次にカソード液解離装置438中に送って、ここでカソード液溶液から水素ガス440を分離することができ、これは再循環流444としてカソード液解離装置438から排出され、アルカリ金属水酸化物生成物オーバーフローの流れ442が排出される。再循環流444は、随意的な再循環ポンプ446を通して、次に冷却水供給450を用いる随意的な熱交換器448を通して送ることができる。この流れは次に温度センサー452の近傍を通して送って、次にカソード液再循環ループ中におけるアルカリ金属水酸化物濃度を制御するために脱イオン水添加流454を流れに加えることができ、次に流れ432としてカソード液領域410に再導入する。
[0043]別の態様においては、硫酸を含むアノード液を、HBrのようなハロゲン化水素を含むアノード液に置き換えて、アノードにおいて酸素を生成させるために必要なものよりも遙かに低い電位で臭素及び水素イオンを生成させることができる。
[0044]図5は、例えば二酸化炭素の電気化学的還元からギ酸ナトリウムを生成させ、次にギ酸ナトリウムをシュウ酸ナトリウムに転化させ、これを次にシュウ酸に転化させることができる、ナトリウムベースの化合物を用いてシステムを運転する別の態様であるシステム500の概要図を示す。このシステムは、シュウ酸を、重炭酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムであってよい2種類の更なる副生成物に加えて生成させる。
[0045]電気化学セル502は、アノード液及びカソード液において用いる供給溶液に変更を加えた他は、図3に示し且つ記載した電気化学セルと同様に構成することができる。電気化学セル502には、カソード液区画506及びアノード液区画504、並びに好ましくはカチオンイオン交換タイプの膜であるイオン透過性セパレーター503を含ませることができる。飽和NaClブラインの供給流522を電気化学セル502のカソード液区画504中に導入することができ、ここでNaCl塩溶液の塩化物イオンをアノード区画504内のアノードにおいて塩素ガスに酸化することができる。NaCl塩の塩化物イオンがアノードにおいて酸化されるにつれて、ナトリウムイオンは電位場中で移動して、セパレーター503を通ってカソード液区画506中に送られる。
[0046]カソード液区画504からのアノード液生成物流508は、塩素ガスとNaClが減少したブライン溶液の混合物を含む。次に、共生成物として流れ508から塩素ガスを流れ510として分離又は解離することができ、分離された消耗したブライン溶液流512は、次に、消耗したブラインを脱塩素化し、固体NaCl塩の床を用いてブライン溶液をNaClで再飽和し、次にブライン溶液から金属及び硬度成分(例えばCa+、Mg+、及びBa+)のような不純物を除去して、セパレーター503の長寿命動作を達成するために通常用いられる不純物レベルにして、精製飽和NaClブライン溶液流522を生成させ、これをギ酸塩セル502のアノード液区画504内で電気分解するブライン精製工程を行うことを含む塩素アルカリプロセスにおいて通常用いられる一連の工程で処理することができる。
[0047]塩素ガス510は、次に凝縮による気体からの水の除去のような種々の方法で処理することができ、次に塩素ガスは、システムから種々の有用な共生成物を製造するため、例えばNaOHと反応させることによって次亜塩素酸ナトリウムを生成させるため、水素と反応させることによってHClを生成させるため、並びにエチレンの外部供給物と反応させることによってEDC(二塩化エチレン)を製造させることなどために有機物質と反応させるために用いることができる。塩素ガス510と共に生成する多くの他の反応副生成物を想起することができる。
[0048]ブライン脱塩素化ユニット514を用い、選択された還元剤(中でも、亜硫酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、活性炭、及び過酸化水素を挙げることができる)を用いて消耗したブライン溶液512から残留塩素を除去することができる。次に、脱塩素化したブラインは、ブライン飽和器ユニット516に送ることができ、ここで消耗したブラインNaCl濃度を、ブライン飽和器(通常はブライナーと呼ばれる装置内の固体塩結晶の床を含めることができる)を用いて、通常はNaClとして150〜240g/LからNaClとして300〜320g/Lの濃度に増加させることができる。飽和したブラインは、次にブライン精製システム518(通常はアルカリ性条件下においてNaOH及び炭酸ナトリウムを加えることによって溶液中の硬度成分の大部分を除去するための化学的沈澱工程、次に濾過して沈澱した硬度成分含有固形分を除去し、次にキレート化イオン交換樹脂床を用いてイオン交換精製工程を行って、ブライン中の硬度レベルを通常は20〜50ppb以下に減少させることを含ませることができる)を通して送ることができる。ブライン中の硫酸塩成分は、化学的沈澱によるか、又はブラインから硫酸塩を優先的に除去するためにナノ濾過を用いる商業的なシステム、例えばAker Chemeticsによって販売されているSRSシステムを用いることによって減少させることができる。精製化学物質にはまた、キレート化イオン交換カラムを再生するために用いるHCl及びNaOHを挙げることもできる。流れ520は、飽和ブライン溶液の沈澱からの沈澱した炭酸塩、硫酸塩、及び金属流出物を含む流出流であってよく、これは処理してプロセスに再循環して戻して、廃棄が必要な物質を最小量にすることができる。精製されたブライン溶液522は、次に電気化学セル502のアノード液区画504中に送ることができる。アノード液ループの再循環は示していないが、電気化学セルのアノード液ループ及びオーバーフロー流508中における所望のブライン濃度が維持されるようにブラインの流速を計測することができ、ブライン濃度は通常はNaClとして150〜240g/Lの範囲である。一態様においては、アノード液ブライン濃度は、約100〜140g/Lのような低さまでのより低いNaCl濃度で運転することができ、これによって塩素効率が減少し、塩素ガス流中により多い副生成物の酸素が生成される可能性があるが、これはブライン精製システムを通るブライン流速を減少させ、ブライン処理コストを減少させるのに有用である可能性がある。
[0049]ギ酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、及び溶解二酸化炭素(これには、気体状の微細気泡の形態であってよい気体状二酸化炭素成分を含めることができる)の水性混合物であってよい溶液供給流548を、電気化学セル502のカソード液区画中に送ることができる。好ましくは高表面積のカソード構造体を組み込んだカソード液区画506においては、二酸化炭素をギ酸塩に電気化学的に還元することができ、ギ酸塩は、隣接するセパレーター503を通過するナトリウムイオン(Na+)と化合させてギ酸ナトリウムを形成することができる。更に、カソードにおいて水素(H2)を形成するカソードの非効率な副反応によって水酸化物イオン(OH−)が生成する可能性があり、これらの水酸化物イオンは二酸化炭素と反応させてカソード液溶液中に炭酸ナトリウムを形成することができる。炭酸ナトリウムは次に、過剰の二酸化炭素と更に反応させて重炭酸ナトリウムを形成することができる。更に、他のナトリウムイオンを、運転中のカソード液pHにおいて炭酸及び他の可能性のある二酸化炭素平衡種と化合させて、更なる炭酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウムを更に形成することができる。
[0050]還元反応生成物は流れ524として排出することができ、ここでこれらを気体流526及び溶液流530に分離又は解離させることができる。気体流526は分離器528中に送ることができ、副生成物の水素から二酸化炭素を分離して、これらを他のシステム500の単位操作において再使用又は再循環することができるようにすることができる。気体分離器528は、二酸化炭素と水素を分離することができる任意の好適な膜ベース又はモレキュラーシーブ式の圧力スイング気体分離ユニットであってよい。分離された気体は、次にプロセスに再循環又は再使用するために必要に応じて更に精製及び圧縮することができる。
[0051]主としてギ酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウムを含む溶液流530は、次に再循環流532(これは、電気化学セル502のカソード液区画に再循環して戻すことができる)、及び生成物流531(これは蒸発器−結晶化器550に送ることができる)に分割することができる。再循環流532には、二酸化炭素導入流534、場合によっては反応器−溶解器ユニット560からの重炭酸ナトリウム流536などの幾つかの投入流を与えることができ、流れ532から排出される側流538は、随意的な電気化学的酸性化セル540中に送ることができ、酸性化生成物流546を流れ532中に戻すことができ、流れ532及びカソード液区画506内における沈澱を抑止するために必要に応じて流れに添加水を与えることができ、流れ532中への投入物/排出物の全部を最終的に溶液流548として、これをカソード液区画506中に送ることができる。
[0052]電気化学的酸性化セル540を用いて、カソード液ループ流532から回収されるごく一部を酸性化して、これを次に流れ546としてアノード液再循環流532に再導入することができる。
[0053]電気化学的酸性化セル540は、図4において示す酸性化セルと同様のデザインであってよい。セルのアノード液溶液に硫酸を用いて、アノード反応によって酸素を生成させ、水素イオンを生成させるようにすることができ、これは、ギ酸塩流538がセル内のイオン交換区画を通過する際にそれを酸性化するために用いることができる。このセル内のカソード反応は水の還元であってよく、これによって水素ガス及び水酸化物イオン(OH−)が生成する。イオン交換区画中に送られる水素イオンによって置換することができるナトリウムイオンは、カソード液区画中に送って水酸化物イオンと化合させて水酸化ナトリウム共生成物を生成させることができる。水素ガスはまた、プロセスにおいて用いるために捕捉することもできる。脱イオン水は、電解水を置き換えるために必要に応じて酸性化セル540内において、及びカソード液区画中においてNaOHの濃度を制御する際に用いることができる。
[0054]高濃度のアルカリ金属ギ酸塩及びアルカリ金属重炭酸塩を含む可能性があるカソード液生成物流531は、蒸発器−結晶化器ユニット550に送って、溶液から十分な水を蒸発させ、流れ556としてアルカリ金属重炭酸塩結晶生成物を連続的に沈澱させることができ、液体の濃縮されたアルカリ金属ギ酸塩流554、及び水生成物流552を生成させることができ、これは凝縮して、シュウ酸塩溶液溶解器572などにおいて、プロセスにおける必要に応じて他の箇所で用いることができる。蒸発器−結晶化器550は、ユニットへの投入流である流れ531から水を蒸発させるために必要なエネルギーを与えるために水蒸気を用いることができる。蒸発器−結晶化器550は、投入水蒸気のエネルギーを効率的に用いるために複数のユニットを含む多重蒸発器効果ユニットであってよく、或いは任意の他の好適なタイプのユニットを用いることができる。更に、蒸発器−結晶化器550は、水蒸気、並びに真空を生成させて溶液から水を蒸発させるために必要なエネルギーを更に減少させるために機械的操作を用いることができる。任意の好適な蒸発器−結晶化器ユニット又はシステムには、システムの運転条件のために好適な金属材料を含ませることができる。アルカリ金属ギ酸塩は、アルカリ金属重炭酸塩の約8〜10倍多い可能性がある水中の溶解度を有する可能性があるので、この溶解度の差によって、溶液温度差を用いてアルカリ金属重炭酸塩からのアルカリ金属ギ酸塩の容易な分離を可能にして分離を向上させることができる。分別結晶化、冷却結晶化、流下膜式結晶化などをはじめとする、アルカリ金属重炭酸塩からアルカリ金属ギ酸塩を分離するための他の方法を用いることができる。分離のために連続プロセスを用いることができるが、バッチ処理を用いることもできる。
[0055]更なる態様において、アルカリ金属重炭酸塩の量又は比がアルカリ金属ギ酸塩に対して1:10〜1:20又はそれよりも低いオーダーで小さい場合には、アルカリ金属重炭酸塩をNa−ギ酸塩液体乾燥機564においてCO2に熱分解して、再循環のために回収しないことができる。この方法は、アルカリ金属ギ酸塩からのアルカリ金属重炭酸塩の分離及び再循環を行う際の追加プロセスのコストを減少させることができる。
[0056]ユニット550からのアルカリ金属重炭酸塩結晶流556は水性スラリーの形態であってよく、これは次に任意の好適なメカニズムによって分離し、洗浄し、乾燥して、乾燥アルカリ金属重炭酸塩生成物558を生成させることができる。556のスラリー流からアルカリ金属重炭酸塩結晶を分離するために、遠心分離機及び真空ベルトフィルターのような装置を用いることができ、水すすぎからの母液はユニット550に再循環して戻すことができる。アルカリ金属重炭酸塩生成物558はまた、任意の好適なメカニズムによって再結晶化又は更に精製して、食品グレード品質の生成物のような特別な用途のために好適な純度を有する最終生成物を得ることもできる。流れ556のスラリー又は流れ558のアルカリ金属重炭酸塩生成物の一部を流れ560として反応器−溶解器561内で用いることができ、これを用い、更なる二酸化炭素ガス流563を用いてアルカリ金属炭酸塩をアルカリ金属重炭酸塩に転化させることができる。反応器−溶解器561にはまた、NaOH投入流562を与えることもでき、これは次にアルカリ金属重炭酸塩に転化させることができる。NaOHは、必要な場合には電気化学的酸性化ユニット540及び576の一方又は両方から供給することができる。
[0057]アルカリ金属ギ酸塩流554は、50重量%以下の水、好ましくは40重量%以下の水、より好ましくは30重量%以下の水を含む濃アルカリ金属ギ酸塩溶液である可能性がある。ギ酸塩溶液流554は粘稠である可能性があり、アルカリ金属ギ酸塩溶液中におけるアルカリ金属重炭酸塩の水溶性によって0.1重量%〜30重量%のアルカリ金属重炭酸塩を含む可能性がある。アルカリ金属ギ酸塩及び残留アルカリ金属炭酸塩の溶液濃度は、アルカリ金属ギ酸塩溶液中における所望の最終残留アルカリ金属重炭酸塩濃度を達成するために必要に応じて変化させることができる。アルカリ金属ギ酸塩流554は次にアルカリ金属ギ酸塩液体乾燥機に送ることができ、ここで真空蒸発などのような任意の好適な手段によって残留水を除去することができる。アルカリ金属ギ酸塩は、水として0.01重量%〜5重量%の範囲の小割合の水を含むアルカリ金属ギ酸塩溶融体であってよく、0.1重量%〜20重量%の間のアルカリ金属重炭酸塩を有する可能性がある。アルカリ金属ギ酸塩溶融体流566は、次に、アルカリ金属ギ酸塩をアルカリ金属シュウ酸塩に高温熱転化(か焼)させるために、アルカリ金属ギ酸塩熱反応器568中に送ることができる。NaOH、水素化ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、ナトリウムエトキシド、ナトリウムメトキシド、KOH、水素化カリウム(KH)、カリウムエトキシド(KOEt)、カリウムメトキシド(KOMe)、カリウムtert−ブトキシド(KOtBu)などのような好適な触媒567を、ギ酸ナトリウムが熱反応器568に導入される前にその中に加えることができる。触媒567を導入することによって、か焼温度を低下させ、アルカリ金属シュウ酸塩へのアルカリ金属ギ酸塩の転化収率を50%〜99%又はそれ以上、好ましくは70%〜99%又はそれ以上の範囲に向上させることを助けることができる。この反応はまた、触媒567を加える必要なしに好適な収率を与えることができる。水素は、熱反応器568からの主要な反応副生成物である可能性があり、これはプロセスにおいて用いるために回収することができる。熱反応器568は、部分真空下、窒素のような不活性雰囲気下、或いはギ酸塩のシュウ酸塩への化学転化の効率を向上させることができる任意の好適な気体を用いることなどの異なる構成で運転することができる。また、清浄な流動精製生成物が得られるように、他の化学物質を熱反応器568に加えることも有用である可能性がある。熱反応器568は、アルカリ金属ギ酸塩を好適な温度に加熱することができ、熱又はか焼雰囲気を制御することができる任意の好適なタイプの装置であってよい。熱反応器568としては、トンネル炉、ロータリーキルン、高温噴霧乾燥機、高温回転ドラム/フレーカーユニット、流動床反応器、及び商業的に入手できる可能性がある他の商業的なか焼装置及びデザインを挙げることができる。
[0058]熱反応器568から排出されるアルカリ金属シュウ酸塩生成物流570は、冷却してシュウ酸塩溶液溶解器572に送ることができ、ここでアルカリ金属シュウ酸塩の固体を水中に溶解し、種々の利用できる方法によって濾過して、不溶の物質を除去し、懸濁固形分を含まない明澄な濾過生成物溶液を得ることができる。アルカリ金属シュウ酸塩生成物は、か焼の1種類又は複数の副生成物としてアルカリ金属炭酸塩及び/又はアルカリ金属重炭酸塩を含む可能性がある。溶液は十分に濃縮することができるので、アルカリ金属シュウ酸塩−アルカリ金属重炭酸塩溶液は、蒸発器−結晶化器576における水の蒸発のためにより多い量のエネルギー又は水蒸気を必要としない可能性がある。
[0059]アルカリ金属シュウ酸塩溶液流574は、次に電気化学的酸性化セル576に送ることができ、ここでアルカリ金属シュウ酸塩溶液をセルのイオン交換区画に通して送って、シュウ酸流580及び二酸化炭素流579(これらは、アルカリ金属シュウ酸塩流574中に存在するアルカリ金属炭酸塩の酸性化によって生成させることができる)に転化させることができる。電気化学的酸性化セル576は、電気化学的酸性化セル540と同じ化学的性質及び構成を用いることができ、共生成物の酸素及び水素、並びに流れ578としてNaOHを生成する。
[0060]図6を参照すると、他の態様においては、本発明の一態様による、二酸化炭素を用いてギ酸塩を電気化学的に生成させることから開始する、シュウ酸のようなジカルボン酸を製造するためのシステム600が示されている。システム600は、別の共生成物を生成させることに加えて、図1A及び図1Bのシステム100、105によって製造されるシュウ酸を製造するための別のシステムを提供することができる。
[0061]システム600には電気化学セル610を含ませることができる。電気化学セル610は、CO2とNaOHの反応から形成することができるアルカリ金属炭酸塩カソード供給流を用いて二酸化炭素の電気化学的還元を行って、アルカリ金属ギ酸塩を、アノード液として塩酸(HCl)(これは、精製したNaCl溶液投入供給材料を用いることができる電気化学ユニット670において生成させることができる)を用いる場合にはアノード生成物として塩素ガスと一緒に生成させるように運転することができる。
[0062]アルカリ金属ギ酸塩は熱反応器620に送ることができる。アルカリ金属ギ酸塩は、図5に記載されているような種々の手段によってカソード液中に存在する重炭酸塩から分離して、熱反応器620への好適な供給流を与えることができる。熱反応器620は、アルカリ金属水酸化物(例えば、KOH、NaOH)又は他の触媒を用いて熱的分子間縮合反応、すなわちC−C(炭素−炭素結合)カップリング反応を行い、アルカリ金属シュウ酸塩を生成させることができる。
[0063]熱反応器620からのアルカリ金属シュウ酸塩は、次に水中に溶解することができ、次に電気化学的酸性化電解槽630に送ることができる。電気化学的酸性化電解槽630は、シュウ酸のようなジカルボン酸、及びNaOHを、酸素及び水素の副生成物と共に生成させることができる。電気化学的酸性化電解槽630は、アノード領域、1以上の中央のイオン交換領域、及びカソード領域の少なくとも3つの領域を含む膜ベースのユニットであってよい。アルカリ金属シュウ酸塩を中央のイオン交換領域に通して送ることができ、ここでアルカリ金属イオンをプロトンで置換することができ、置換されたアルカリ金属イオンは隣接する膜を通してカソード領域中に送ってNaOHを形成する。アノード反応は、電気化学ユニット670からのHCl供給流を用いる場合には塩素ガスを生成する可能性がある。或いは、アノード反応は、硫酸のような異なる酸を用いて酸素及び水素ガスを生成させることができる。或いは、電気化学的酸性化電解槽630は、バイポーラ膜を用いて、シュウ酸並びにより小量の水素及びNaOHを生成させる電気化学的電気透析ユニットであってよい。
[0064]電気化学的酸性化電解槽630から得られる水素副生成物は、別の態様として生成物流への燃料として用いるか、或いは化学的水素化プロセスのような水素を用いることができる副プロセスにおいて用いることができる。化学的水素化プロセスは、例えば、高純度のモノエチレングリコール(MEG)を形成することができるシュウ酸溶液の水素化或いはシュウ酸ジメチル(DMO)及びシュウ酸ジエチル(DEO)のようなシュウ酸のエステルの水素化であってよい。
[0065]電気化学的酸性化電解槽630からのNaOH水溶液は、蒸発器640に送ることができる。蒸発器640は、水蒸気又は他の熱源を用いてNaOH水溶液生成物から水を蒸発させて、それを5%以下の含水率を有する濃縮水溶液及び/又は固体に転化させることができる。NaOHは、反応器680内でCO2と反応させてアルカリ金属重炭酸塩溶液と二酸化炭素を形成することができ、これは電気化学セル610内のカソード液区画に送ることができる。NaOHはまた、熱反応器620内で触媒として用いるために固体に変化させることもできる。
[0066]電気化学ユニット670は、電気化学的酸性化電解槽630のようなタイプの電気化学的酸性化電解槽であってよく、ここで精製したNaClブライン溶液をイオン交換区画中に送って、酸性化してカソード区画内でHCl生成物流を生成させ、且つNaOH及び水素を共生成させることができる。アノード液として硫酸を用い、水の酸化から酸素を生成させることができる。ブライン精製及び再循環ユニット660によって、NaCl固体供給材料を用い、精製ブラインを生成させるために必要に応じて種々の精製化学物質を用いて、電気化学ユニット670において用いるのに好適な精製ブラインを生成させることができる。電気化学ユニット670には、バイポーラ膜を用いることができる電気透析ユニットのような他のタイプの電気化学ユニット、及びHClを生成させることができる任意の他の好適なタイプの電解槽を含めることができる。
[0067]システム600は、他の態様においては、電気化学ユニット670及び電気化学的酸性化電解槽630から生成する塩素及びNaOHを用いて、システムからの共生成物としてアルカリ金属次亜塩素酸塩(例えばNaOCl)を生成させることもできる。或いは、塩素を有機物質と反応させて、二塩化エチレン(EDC)のような種々の塩素化化学生成物を生成させることができる。MOHはプロセスの別の生成物であってよく、或いはアルカリ金属炭酸塩又はアルカリ金属重炭酸塩に転化させて、それによって更なる二酸化炭素を有用な化学物質に転化させることができる。
[0068]他の態様においては、電解槽610内で生成するアルカリ金属ギ酸塩は、熱反応器620を迂回して電気化学的酸性化電解槽630に直接送って、ギ酸生成物を直接生成させることができる。ギ酸は最終生成物であるか、或いはギ酸メチルのような他の好適な化学物質に転化させるか、或いは種々の塩と反応させてギ酸カルシウムのようなアルカリ金属ギ酸塩を生成させることができる。ギ酸メチルはまた、アミンとの反応によって転化させて、ホルムアミド又はジメチルホルムアミドのようなアミドを生成させることもできる。
[0069]他の態様においては、電気化学ユニット670に、セパレーター又は膜によって分離されているアノード区画及びカソード区画を有する二区画セルを含めることができる。この態様においては、NaClをアノード液区画に供給して塩素を生成させることができ、カソード区画においては水酸化ナトリウム及び水素が生成する。
[0070]図7を参照すると、他の態様においては、本発明の一態様による、二酸化炭素を用いてギ酸塩を電気化学的に生成させることから開始する、ギ酸のようなカルボン酸を製造するためのシステム700が示されている。このシステムは、アノード区画、中央のイオン交換区画、及びカソード液区画を含む三区画の電気化学セルを用いる。
[0071]電気化学セル701には、カソード液領域又はカソード区画704、及びアノード液領域又はアノード区画712、並びに中央のイオン交換区画714を形成する好ましくはカチオンイオン交換タイプの膜である2つのイオン透過性セパレーター706及び708を含ませることができる。硫酸電解液を含むアノード液供給流726を電気化学セル701のアノード液区画712中に導入することができ、ここでアノード液区画712中のアノード710において水を酸素及びH+イオンに酸化することができる。アノード液流716をアノード液区画712から排出してアノード液解離装置718に導入し、ここで電気化学セルアノード液副生成物として酸素ガス720を排出することができる。気体が分離された溶液流722を解離装置718から排出することができ、水流724を溶液流722に加えて、アノード液システムループ内の水レベルを維持することができる。アノード液システムループ内における水の損失は、アノード酸化反応から消費される水、及び電気浸透抗力と呼ばれる電気化学的移動プロセスによってカチオンイオン交換膜708を通ってイオン交換区画714中に移動する可能性があるH+イオンと会合する結合水が原因である可能性がある。アノード710には、長い運転寿命を有して安定であることができる、硫酸電解液中における水の酸化のために好適な任意の好適な安定な電極材料を含ませることができる。アノードには、水を効率的に酸化するための電解触媒被覆を有する金属又は非金属を含ませることができる。アノードにはまた場合によってはガス拡散電極(GDE)を含ませることもでき、これは酸素を生成しないが、アノードGDEへ過剰の水素を導入することなどによって水及びH+イオンを形成することができる他の電気化学的アノード反応において運転することができ、これにはアノードにおいて水素酸化反応を行うために好適な触媒を含ませることができる。水とのGDEアノード反応は、1.23ボルトである水の酸化のための半電池電位よりも遙かに低い約0.100ボルトのオーダーであってよい非常により低いアノード電位で運転して、非常により低い全セル運転電位(これは、電気化学セル701に関する非常により低い運転コストに対応する)を与える。アノード液循環ループ726には、ポンプ(図示せず)、及び流れ726がアノード液区画712に導入される前にそれを冷却して、アノード液区画712内の電解液の温度を制御するための熱交換器(図示せず)を含ませることができる。
[0072]電気化学セル701には、膜706に面する正面側上に活性二酸化炭素電解触媒層を有する金属又は非金属電極であってよい搭載されたカソード702を有するカソード液領域又は区画704を与えることができる。カソード702には、図3に示し且つ記載する高表面積カソード構造体を含ませて、二酸化炭素のギ酸塩への電気化学的還元において効率的であることができるようにすることができる。例えば重炭酸カリウム及び溶解CO2、並びに場合によってはCO2微細気泡を含むpHが制御された電解液を含む好適な流速の電解液流の流れ748をカソード液区画704に導入することができ、ここで好適な電位における電気化学的還元反応によって、カソード702においてギ酸塩を効率的に生成させることができる。隣接するカチオンイオン交換膜706を通してカソード液区画704中に導入されるH+イオンによって重炭酸塩電解液を酸性化して、反応17において与えられるようにCO2及び水を生成させることに加えて、カソード液区画704内のカソード液流のpHを変化させることができる。水還元反応4からの水素の形成のようなカソードにおける任意の他の電極競合反応を形成することができ、カソード液電解液中に存在させることができる。図7に示すカチオンイオン交換膜706を通ってイオン交換区画714から排出されるK+イオンの共移動によって、カソード液反応中にカリウムカチオンを供給することができる。H+イオンとK+イオンの比によって、カソード液区画704を通って流れる電解質溶液のpHを定めることができる。H+/K+比の制御は、イオン交換区画714中へのギ酸ナトリウム溶液714の流れの速度を制御することによって行うことができる。
[0073]カソード液区画流730は、次にカソード液流のpH値を監視及び制御するために用いることができるpH監視センサー731(及び温度センサー:図示せず)の近傍を通して送って、次にカソード液解離装置732に導入することができ、ここで主として過剰のCO2及び水素、並びにエチレン、CO、メタンなどのような他のカソード還元副反応気体生成物などの種々の気体を、流れ734として溶液流から分離することができる。これらの気体は、必要に応じて、分離し、回収して、プロセスに再循環することができる。
[0074]カソード液解離装置流738は、次にカソード液区画704に再循環して戻すことができる。流れ740としてCO2、並びに計量投入されるKHCO3溶液流742を再循環流738中に導入し、得られる流れを、次に流れ混合物744のpHを測定及び制御するpH監視センサー743の近傍を通して送る。流れ744は次に、循環ポンプ746の入口に導入して、溶液流の流れ748として排出してカソード液区画704に導入する。注入されるCO2流の流れは、それによってカソード液区画704内のカソード702の還元反応のために十分で、好ましくは過剰のCO2が与えられるようなものである。カソード液区画704に導入される電解質溶液流中にCO2微細気泡が形成され、並びに電解液中に溶解CO2が形成されるようにCO2を注入することができる。カソード液流738中に導入されるKHCO3の計量投入流742は、溶液流744を流れ748としてカソード液区画704に導入する前に所望のpH範囲に維持することを助けるのに十分な流れ738中への速度又は流量で供給する。pH範囲は、約2〜12の範囲、より好ましくは約3〜11の範囲、更により好ましくは約4〜10の範囲であってよい。運転pH範囲は、選択されるカソード電解触媒材料の電気化学的性質、及びカソード液流中において用いる電解液の組成によって定めることができる。更に、循環ポンプ746の後に熱交換器(図示せず)を用いて、カソード液溶液を約−5℃〜80℃、より好ましくは約0℃〜70℃の範囲、より好ましくは約5℃〜60℃の範囲の運転範囲に冷却することができる。カソード液の温度及び電解液の組成は、カソード液電解質溶液中におけるCO2の溶解度に影響を与える可能性がある。
[0075]カソード液解離装置732は、ギ酸カリウム(K−ギ酸塩)を残留重炭酸カリウム(KHCO3)と共に含むギ酸カリウム生成物流736を与えることができ、これは、ギ酸カリウムからKHCO3を分離するために用いることができるK−ギ酸塩−重炭酸塩分離ユニット750に送ることができる。分離ユニットは、溶液から水を蒸発させて、水溶液中の化学成分の相対的溶解度を用いて分離を効率的に行うことができる、蒸発器−結晶化器、流下膜式蒸発器、或いは水蒸気又は他のエネルギー加熱源及び真空を用いる任意の好適な商業的装置であってよい。
[0076]分離ユニット750は、出口のKHCO3溶液生成物流742を生成させることができ、これはpH制御のためにカソード液再循環溶液流738中に計量投入することができる。溶液流の濃度は、カソード液電解液再循環流748中への水の投入量を制御するために、約5重量%〜60重量%の範囲、又はより好ましくは10重量%〜55重量%の範囲にすることができる。分離ユニット750は、蒸発からの水蒸気排出流752、及び場合によって過剰のKHCO3流754を与えることができ、これは必要な場合にはシステム中における水又はカリウム化合物の平衡を与えるために用いることができ、必要に応じてシステムに加えることができる。
[0077]分離ユニット750はまた、約0.1重量%〜10重量%の範囲、好ましくは約0.1重量%〜5重量%の範囲、より好ましくは約0.1重量%〜1重量%の範囲のレベルのKHCO3を含む可能性があるギ酸カリウム溶液を含むK−ギ酸塩生成物流756を与えることもできる。K−ギ酸塩生成物流756は、ギ酸カリウムとして約5重量%〜80重量%、より好ましくは10重量%〜60重量%の範囲、最も好ましくは10重量%〜50重量%の範囲の濃度を有していてよい。
[0078]K−ギ酸塩生成物流756は、電気化学セル701内のイオン交換区画714中に計量投入することができ、ここで酸性化してギ酸溶液生成物流728を生成させる。溶液流756の流速、及び電気化学セル701の印加運転電流(これは、カチオンイオン交換膜708を通ってイオン交換区画714中に通過するH+イオンに比例する可能性がある)によって、ギ酸生成物728を生成させる際の溶液中のギ酸カリウムからのカリウム除去の量が定まる。ギ酸生成物728は次に、必要に応じて更に処理及び精製して最終ギ酸生成物にするか、塩として他のギ酸塩生成物に転化させるか、或いは化学プロセスにおいて中間体として用いることができる。
[0079]他の態様においては、図11において示すように、ギ酸生成物流728は、オフピーク期間中に電力を電力系統に供給する際に用いるためのエネルギー貯蔵システムにおいて水素貯蔵源として用いることができる。
[0080]図8を参照すると、本発明の一態様による、二酸化炭素を用いてギ酸塩を電気化学的に生成させることから開始する、ギ酸のようなカルボン酸を製造するためのシステム800が示されている。システム800はシステム700と同様であってよいが、ここではアノード液区画は、アノード液供給流としてHClのようなハロゲン化水素供給流を用いる場合には塩素のようなハロゲンを生成させることができる。システム800においては、アノード液供給流826はHClを含み、これは、HClを塩素に酸化するのに好適である可能性があるアノード810を含むアノード液区画812中に供給することができる。アノード液区画出口流816は次にアノード液解離装置818に導入することができ、ここでアノード液溶液流から塩素を分離する。アノード液の水の体積が平衡でない場合には、必要ならばオーバーフロー流819を用いることができ、これはその後にシステムに再循環することができる。アノード液解離装置818からの再循環流の流れ822には、必要に応じてアノード液流に水を供給するために加える投入水流824、及びアノード液区画内でアノード810において塩素に酸化する塩素イオンを供給するために計量投入されるHCl供給流825を与えることができる。混合供給流826は、次にアノード液区画812に導入することができる。
[0081]アノード液供給流826にはまた、支持電解液として機能させることができる、流れ827として加えられる硫酸としての電解液の一部を含ませることもできる。硫酸の量は、アノード液溶液流826中において約0.5重量%〜20重量%の範囲であってよい。硫酸は、支持電解液であることに加えて、アノード液区画812からの塩素の生成体積又は速度を変動させることを可能にし、塩素及び酸素の両方の生成はアノード液区画812中に計量投入されるHClに比例する。而して、必要に応じてシステム800からの塩素とギ酸との質量比又はモル比を変動させて、用いるプロセスの要件に合致させることができる。ギ酸生成物と塩素共生成物とのモル比は、約100:1〜1:1、又はより好ましくは90:1〜1:0.9の範囲で変動させることができる。
[0082]HCl供給流825は水溶液であってよく、HClとして約5重量%〜36重量%の範囲、より好ましくはHClとして約10重量%〜30重量%の範囲、最も好ましくはHClとして約10重量%〜20重量%の範囲であってよい。アノード液の運転温度は、5℃〜80℃の範囲、より好ましくは10℃〜60℃の範囲であってよい。最適の運転温度はアノード810の材料構成にしたがって選択することができ、ここでASTMグレード7、11、及び17のようなPdを含むチタングレードのような幾つかの金属を基材として用いることによってHClに対する良好な抵抗性が与えられるが、これは運転温度の上限を与える可能性がある。
[0083]他の態様においては、電気化学的ギ酸塩システム800からの共生成物として臭素が求められている可能性がある場合には、アノード液区画812に導入されるアノード液流826中にHBrを計量投入する。支持硫酸電解液を用いて、アノード液溶液中における三臭化物の低い濃度を保って臭素を効率的に生成させることを確保することができる。ギ酸生成物と臭素共生成物とのモル比は、約100:1〜1:1、又はより好ましくは90:1〜1:0.9の範囲で変動させることができる。
[0084]図9を参照すると、他の態様においては、本発明の一態様による、二酸化炭素、ギ酸塩をシュウ酸塩に転化させるための熱反応器、及び三区画電気化学セル901の構造を用いて、シュウ酸溶液生成物及び酸素副生成物を製造するためのシステム900が示されている。システム900は、アノード区画、中央のイオン交換区画、及びカソード液区画を含む三区画電気化学セル901を用いることができる。
[0085]電気化学セル901には、カソード液領域又はカソード区画904、及びアノード液領域又はアノード区画912、並びに好ましくはカチオンイオン交換タイプの膜であり、中央のイオン交換区画914を形成する2つのイオン透過性セパレーター906及び908を含ませることができる。硫酸電解液を含むアノード液供給流926を電気化学セル901のアノード液区画912中に導入することができ、ここでアノード区画912内のアノード910において水を酸素及びH+イオンに酸化することができる。アノード液生成物流916がアノード液区画912から排出され、これはアノード液解離装置918に導入して、ここで電気化学セルアノード液共生成物として酸素ガス920を排出することができる。気体が分離された溶液流922を解離装置918から排出することができ、水流924を溶液流922に加えて、アノード液システムループ内の水レベルを維持することができる。アノード液システムループ内における水の損失は、アノード酸化反応から消費される水、及び電気浸透抗力と呼ばれる電気化学的移動プロセスによってカチオンイオン交換膜908を通ってイオン交換区画914中に移動する可能性があるH+イオンと会合する結合水の損失が原因である可能性がある。アノード910には、長い運転寿命を有して安定であることができる、硫酸電解液中における水の酸化のために好適な任意の好適な安定な電極材料を含ませることができる。アノードには、水を効率的に酸化するための電解触媒被覆を有する金属又は非金属を含ませることができる。アノードにはまた場合によってはガス拡散電極(GDE)を含ませることもでき、これは酸素を生成しないが、アノードGDEへ過剰の水素を導入することなどによって水及びH+イオンを形成することができる他の電気化学的アノード反応において運転することができ、これにはアノードにおいて水素酸化反応を行うために好適な触媒を含ませることができる。水とのGDEアノード反応は、1.23ボルトである水の酸化のための半電池電位よりも遙かに低い約0.100ボルトのオーダーであってよい非常により低いアノード電位で運転して、非常により低い全セル運転電位(これは、電気化学セル901に関する非常により低い運転コストに対応する)を与える。アノード液循環ループ926には、ポンプ(図示せず)、及び流れ926がアノード液区画912に導入される前にそれを冷却して、アノード液区画912内の電解液の温度を制御するための熱交換器(図示せず)を含ませることができる。
[0086]電気化学セル901には、膜706に面する正面側上に活性二酸化炭素電解触媒層を有する金属又は非金属電極であってよい搭載されたカソード902を有するカソード液領域又は区画904を与えることができる。カソード702には、図3に示し且つ記載する高表面積カソード構造体を含ませて、二酸化炭素のギ酸塩への電気化学的還元において効率的であることができるようにすることができる。例えば重炭酸カリウム及び溶解CO2、並びに場合によってはCO2微細気泡を含むpHが制御された電解液を含む好適な流速の電解液流の流れ948をカソード液区画904に導入することができ、ここで好適な電位における電気化学的還元反応によって、カソード902においてギ酸塩を効率的に生成させることができる。隣接するカチオンイオン交換膜906を通してカソード液区画904中に導入されるH+イオンによって、重炭酸塩電解液を酸性化して、反応17において与えられるようにCO2及び水を生成させることに加えて、カソード液区画904内のカソード液流のpHを変化させることができる。水還元反応4からの水素の形成のようなカソードにおける任意の他の電極競合反応を形成することができ、カソード液電解液中に存在させることができる。図7に示すカチオンイオン交換膜906を通ってイオン交換区画914から排出されるK+イオンの共移動によって、カソード液反応中にカリウムカチオンを供給することができる。H+イオンとK+イオンの比によって、カソード液区画904を通って流れる電解質溶液のpHを定めることができる。H+/K+比の制御は、イオン交換区画914中へのシュウ酸ナトリウム溶液974の流れの速度を制御することによって行うことができる。
[0087]カソード液区画流930は、次にカソード液流のpH値を監視及び制御するために用いることができるpH監視センサー931(及び温度センサー:図示せず)の近傍を通して送って、次にカソード液解離装置932に導入することができ、ここで主として過剰のCO2及び水素、並びにエチレン、CO、メタンなどのような他のカソード還元副反応気体生成物などの種々の気体を、流れ934として溶液流から分離することができる。これらの気体は、必要に応じて、分離し、回収して、プロセスに再循環することができる。
[0088]カソード液解離装置流938は、次にカソード液区画904に再循環して戻すことができる。流れ940としてCO2、並びに計量投入されるKHCO3溶液流942に再循環流938中に導入し、得られる流れを、次に流れ混合物944のpHを測定及び制御するpH監視センサー943の近傍を通して送る。流れ944は次に、循環ポンプ946の入口に導入して、溶液流の流れ948として排出してカソード液区画904に導入する。注入されるCO2流の流れは、それによってカソード液区画904内のカソード902の還元反応のために十分で、好ましくは過剰のCO2が与えられるようなものである。カソード液区画904に導入される電解質溶液流中にCO2微細気泡が形成され、並びに電解液中に溶解CO2が形成されるようにCO2を注入することができる。カソード液流938中に導入されるKHCO3の計量投入流942は、溶液流944を流れ948としてカソード液区画904に導入する前に所望のpH範囲に維持することを助けるのに十分な流れ938中への速度又は流量で供給する。pH範囲は、約2〜12の範囲、より好ましくは約3〜11の範囲、更により好ましくは約4〜10の範囲であってよい。運転pH範囲は、選択されるカソード電解触媒材料の電気化学的性質、及びカソード液流中において用いる電解液の組成によって定めることができる。更に、循環ポンプ946の後に熱交換器(図示せず)を用いて、カソード液溶液を約−5℃〜80℃、より好ましくは約0℃〜70℃の範囲、より好ましくは約5℃〜60℃の範囲の運転範囲に冷却することができる。カソード液904の温度及び電解液の組成は、カソード液電解質溶液中におけるCO2の溶解度に影響を与える可能性がある。CO2の溶解度は、電解液濃度を減少させ、より低い温度において運転し、及び電気化学セル901をより高い圧力において運転することによって増加させることができる。或いは、GDE電極は電極構造体内におけるCO2のより高い分圧において運転され、溶液電解液中におけるCO2の溶解度のようには制限されない可能性があるので、ギ酸塩セル901のシステムは、より高い電流密度(これはCO2として約33mMのオーダーにすることができる)において運転することができるGDEベースの電極を用いるカソード902を用いることができる。
[0089]カソード液解離装置932は、ギ酸カリウム(K−ギ酸塩)を残留重炭酸カリウム(KHCO3)と共に含むギ酸カリウム生成物流936を与えることができ、これは、ギ酸カリウム溶液からKHCO3を固体生成物として分離するために用いることができるK−ギ酸塩−重炭酸塩分離ユニット950に送ることができる。分離ユニットは、ギ酸カリウム溶液から水を蒸発させて、水溶液中の化学成分の相対的溶解度を用いてギ酸カリウムからのKHCO3の分離を効率的に行うことができる、蒸発器−結晶化器、流下膜式蒸発器、或いは水蒸気又は他のエネルギー加熱源及び真空を用いる任意の好適な商業的装置であってよい。
[0090]分離ユニット950は、若干の残留ギ酸カリウムを有するKHCO3固体/結晶を含んでいてよい出口のKHCO3溶液生成物流980を与えることができる。分離されるKHCO3固体中の残留ギ酸カリウムの量は、ギ酸カリウムとして約0.1重量%〜10重量%又はそれ未満、より好ましくは約0.1重量%〜5重量%又はそれ未満、最も好ましくは0.1重量%〜2重量%又はそれ未満の範囲であってよい。KHCO3結晶からギ酸カリウムを洗浄/すすぐために用いる方法と共に用いる遠心分離、真空フィルター濾過などのような固/液分離法によって、KHCO3と共に排出されるギ酸カリウムの重量%の量を定めることができる。分離ユニット950は、蒸発からの水蒸気排出流952、及び場合によって過剰のKHCO3流954を与えることができ、これは必要な場合にはシステム中における水又はカリウム化合物の平衡を与えるために用いることができ、必要に応じてシステムに加えることができる。
[0091]KHCO3固体/結晶生成物流980は次に、炭酸化反応/希釈容器976に送ることができ、ここで水941を加えてKHCO3固体980を溶解する。更に、K−シュウ酸塩−K2CO3ユニット970からのK2CO3流972も容器976に導入する。CO2ガス978を容器976中に注入して、炭酸カリウムを反応(14b)にしたがって重炭酸カリウムに完全に転化させることができる。
[0092]流れ942を容器976から排出することができ、これは電気化学セル901のカソード液ループ中におけるpHを制御するためにカソード液再循環溶液流938中に計量投入することができる。溶液流942の濃度は、カソード液電解液再循環流948中への全水投入量を制御するために、KHCO3として約5重量%〜60重量%の範囲、又はより好ましくはKHCO3として10重量%〜55重量%の範囲にすることができる。
[0093]分離ユニット950は、約0.1重量%〜10重量%又はそれ未満の範囲、好ましくは約0.1重量%〜5重量%又はそれ未満の範囲、より好ましくは約0.1重量%〜1重量%の範囲のレベルをKHCO3を含んでいてよいギ酸カリウム溶液を含むK−ギ酸塩生成物流956を与えることができる。K−ギ酸塩生成物流は、好ましくはギ酸カリウムとして約90重量%〜99.9重量%、より好ましくはギ酸カリウムとして98重量%〜99.9重量%の範囲の濃度を有することができ、残りは水である。最も好ましくは、分離ユニット950からのギ酸カリウム流956には、可能な限り少量の水を含ませることができ、これは基本的には約167℃の融点を有するギ酸カリウムの溶融体である。
[0094]好ましくは、K−ギ酸塩生成物流956は、ギ酸カリウム溶融体として熱反応器958に送ることができ、ここで特定の温度、雰囲気ガス、及び反応時間の条件で高い転化率でシュウ酸カリウムに転化させることができる。熱反応器958は、約100〜550℃、より好ましくは約200〜500℃の範囲で運転することができる。運転温度は、アルカリ金属ギ酸塩の分解温度、及びアルカリ金属シュウ酸塩生成物の最も高い収量を得るために最適の温度によって定めることができる。最適の反応温度における反応の滞留時間は5秒間〜数時間の範囲であってよく、反応を行うために選択する装置は、最適の転化収率を得るための加熱及び冷却の速度を与えるように設計することができる。これには、熱反応時間が完了した後に高温の熱生成物を迅速に冷却することができる低温回転金属を用いることを含めることができる。
[0095]転化効率及び温度を向上させることができる触媒を用いることができる。触媒流957を、熱反応器958内のギ酸カリウム溶融体956に加えることができる。カリウムベースのカチオン系のために好適な触媒957としては、KOH、水素化カリウム、水素化ホウ素カリウム、カリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムtert−ブトキシドなどを挙げることができ、これは熱反応器958に導入する前にギ酸カリウム中に加えることができる。触媒957を導入することによって、か焼温度を低下させ、アルカリ金属ギ酸塩のアルカリ金属シュウ酸塩への転化収率を50%〜99%又はそれ以上、好ましくは70%〜99%又はそれ以上の範囲に向上させることを助けることができる。反応はまた、触媒957を加える必要なしに好適な収率を与えることもできる。熱反応器958からの主要な反応副生成物は水素960である可能性があり、これはプロセス中において使用するために回収することができる。熱反応器958は、部分真空下、窒素のような不活性雰囲気下、或いはギ酸塩のシュウ酸塩への化学転化の効率を向上させることができる任意の好適な気体を用いることなどの異なる構成で運転することができる。また、清浄な流動精製生成物が得られるように、他の化学物質を熱反応器958に加えることも有用である可能性がある。熱反応器958は、アルカリ金属ギ酸塩を好適な温度に加熱することができ、熱又はか焼雰囲気を制御することができる任意の好適なタイプの装置であってよい。熱反応器958としては、トンネル炉、ロータリーキルン、高温噴霧乾燥機、高温回転ドラム/フレーカーユニット、流動床反応器、及び商業的に入手できる可能性がある他の商業的なか焼装置及びデザインを挙げることができる。
[0096]熱反応器958から排出されるK−シュウ酸塩生成物流962は、冷却してK−シュウ酸塩溶解タンク964に送ることができ、ここでK−シュウ酸塩962の固体を水中に溶解することができ、種々の利用できる方法によって濾過して、不溶の物質を除去し、懸濁固形分を含まない明澄な濾過生成物溶液を得ることができる。必要に応じて、脱イオン水流966をユニット964に加えることができる。アルカリ金属シュウ酸塩生成物は、か焼の1種類又は複数の副生成物として炭酸カリウム及び/又は重炭酸カリウムを含む可能性がある。溶液は、シュウ酸カリウム−アルカリ金属重炭酸塩溶液が、流れ968を介してK−ギ酸塩−K2CO3分離ユニット970上に送ることができる時点で水の蒸発のためにより多い量のエネルギー又は水蒸気を必要としないようにすることができるように、十分に濃縮することができる。
[0097]K−ギ酸塩−K2CO3分離ユニット970は、水を除去する蒸発器−結晶化器であってよく、好ましくはシュウ酸カリウムよりも遙かに高い水溶性を有することができる炭酸カリウムの物理的水溶性特性の一部を用いてシュウ酸カリウム結晶を沈澱及び分離することができ、これは再溶解してK−シュウ酸塩溶液流974として分離ユニット970から排出することができる。流れ972は、分離ユニット970から得られる炭酸カリウムの溶液であってよく、これは炭酸化反応/希釈容器976上に通すことができ、ここでCO2流978を用いて炭酸カリウムを重炭酸カリウムに転化させることができる。炭酸化反応/希釈容器976からの重炭酸カリウム流942は、次にpH制御のために電気化学セル901のカソード液流938中に計量投入することができる。
[0098]K−ギ酸塩−K2CO3分離ユニット970は、ナノ濾過、冷却結晶化などをはじめとする、炭酸カリウムからシュウ酸カリウムを分離するための任意の他の好適なメカニズムを用いることができる。
[0099]分離ユニット970から得られるK−シュウ酸塩溶液974は、次に電気化学セル901のイオン交換区画914上に通して、その中に計量投入することができ、ここでシュウ酸生成物流928に転化させることができる。K−シュウ酸塩溶液流974は、シュウ酸カリウムとして約5重量%〜60重量%、より好ましくは約10重量%〜50重量%の範囲の濃度範囲を有することができる。計量投入される流速によって、シュウ酸カリウムのシュウ酸への転化率が定められ、これはイオン交換区画914から隣接するカチオンイオン交換膜906を通ってカソード液区画904中へ移動するH+:K+カチオンのイオン比に影響を与え、流動するカソード液電解液のpHに対して影響を与えることができる。カソード液区画904内におけるpHの制御は、K−シュウ酸塩溶液974の計量流量と、KHCO3溶液942の計量流量の組合せの平衡化によって定めることができる。1つのオプションとして、K−シュウ酸塩溶液の流量を設定速度にすることができ、電気化学セル901のカソード液流ループ(流れ904、930、938、944、及び948を含めることができる)におけるpH制御のために、監視及び制御のためにpHセンサー931及び943を用いて、KHCO3溶液942の計量流量を変化させることができる。
[00100]シュウ酸生成物流928は、次に必要に応じて、イオン交換を用いて残留カリウムイオンを低いレベルまで除去すること、図4に記載するより小型の電気化学的酸性化システムを実施すること、蒸発による水の除去によって濃度を増加させること、及び任意の他の好適な処理などのように更に精製及び濃縮することができる。シュウ酸生成物は、次に、一例においてはシュウ酸ジメチル(DMO)、シュウ酸ジエチル(DEO)、及びシュウ酸ジブチル(DBO)のようなエステルに更に転化させることができ、これは次に水素化反応器内で好適な触媒を用いてモノエチレングリコールに転化させることができる。
[00101]図10は、図9に示すシステムに適用される更なる追加の態様を示し、ここでは、アノード液区画は、アノード液供給流としてHClのようなハロゲン化水素供給材料を用いる場合には塩素のようなハロゲンを生成させることができる。システム1000においては、アノード液供給流1026はHClを含み、これは、HClを塩素に酸化するのに好適である可能性があるアノード1010を含むアノード液区画1012中に供給することができる。アノード液区画出口流1016は次にアノード液解離装置1018に導入することができ、ここでアノード液溶液流から塩素を分離する。アノード液の水の体積が平衡でない場合には、必要ならばオーバーフロー流1019を用いることができ、これはその後にシステムに再循環することができる。アノード液解離装置1018からの再循環流の流れ1022には、必要に応じてアノード液流に水を供給するために加える投入脱イオン水流1024、及びアノード液区画内でアノード1010において塩素に酸化する塩素イオンを供給するために計量投入されるHCl供給流1025を与えることができる。混合供給流1026は、次にアノード液区画1012に導入することができる。
[00102]アノード液供給流1026にはまた、支持電解液として機能させることができる、流れ1027として加えられる硫酸としての電解液の一部を含ませることもできる。硫酸の量は、アノード液溶液流1026中において約0.5重量%〜20重量%の範囲であってよい。硫酸は、支持電解液であることに加えて、アノード液区画1012からの塩素の生成体積又は速度を変動させることを可能にし、塩素及び酸素の両方の生成はアノード液区画1012中に計量投入されるHClに比例する。而して、必要に応じてシステム1000からの塩素とギ酸との質量比又はモル比を変動させて、用いるプロセスの要件に合致させることができる。ギ酸生成物と塩素共生成物とのモル比は、約100:1〜1:1、又はより好ましくは90:1〜1:0.9の範囲で変動させることができる。
[00103]HCl供給流1025は水溶液であってよく、約5重量%〜36重量%の範囲、より好ましくは約5重量%〜30重量%の範囲、最も好ましくは約10重量%〜20重量%の範囲であってよい。アノード液の運転温度は、5℃〜80℃の範囲、より好ましくは10℃〜60℃の範囲であってよい。最適の運転温度はアノード1010の材料構成にしたがって選択することができ、ここでASTMグレード7、11、及び17のようなPdを含むチタングレードのような幾つかの金属を基材として用いることによってHClに対する良好な抵抗性が与えられるが、これはHClによる腐食のために運転温度の上限を与える可能性がある。
[00104]他の態様においては、電気化学的ギ酸塩システム1000からの共生成物として臭素が求められている可能性がある場合には、アノード液区画1012に導入されるアノード液流1026中にHBrを計量投入する。支持硫酸電解液を用いて、アノード液溶液中における三臭化物の低い濃度を保って臭素を効率的に生成させることを確保することができる。ギ酸生成物と臭素共生成物とのモル比は、約100:1〜1:1、又はより好ましくは90:1〜1:0.9の範囲で変動させることができる。
[00105]図11を参照すると、本発明の一態様による、オフピーク電力エネルギー貯蔵システムにおいて用いるために電気化学システムにおいて製造されるギ酸を用いるシステム1100が示されている。二酸化炭素をギ酸生成物に電気化学的に還元して、これをエネルギー貯蔵システムにおいて用いて、ピーク電力発電、電力負荷の均一化などのような用途において電力系統に電力を供給することができる。エネルギー貯蔵システム1100は、電気化学システム1101として、本明細書の図7においてシステム700として記載されている電気化学的ギ酸システムを用いることができ、これは、好ましくは電力として太陽、風、及び/又は他の別のエネルギー源であってよい再生可能なエネルギー源1102、及びCO2再循環流1126に加えてCO2源1104を用いる。システム1101からのギ酸生成物1106は、触媒1110を使用することができ、例えばそれらの金属、酸化物、又は合金としての白金、銀、ルテニウム、ロジウム、金、又はパラジウムをベースとする触媒などの1種類以上の触媒及びそれらの組合せを用いることができる分解反応器1108中において水素ガスに接触分解することができる。更に、好適である可能性がある他の触媒組成物としては、遷移金属、遷移金属合金、及び遷移金属酸化物組成物を挙げることができる。これらの遷移金属触媒にはまた、それらの組成物中に少量の白金族金属及びそれらの酸化物を含ませることもできる。触媒は、分解反応器1108内の固定充填床上に物理的に配置することができ、或いは溶液中に懸濁させることができる。分解反応器1108は、加熱し、及びポンプを用いて循環させることができ、加圧することができる。分解反応器1108にはまた、再循環ループを有する栓流デザインを含めることもできる。
[00106]分解反応器1108内で反応したギ酸は流れ1114としてのCO2に転化させることができ、これはCO2再循環流1126中に再循環して戻して、二酸化炭素からギ酸を再び生成させることができる。分解反応器1108からの消耗したギ酸溶液1112は、システム1100に再循環してギ酸を生成させることができる。好ましくは、分解反応器1108は、選択された触媒系を用いて極端に高い圧力及び温度は必要としない条件下で運転することができる。
[00107]分解反応器1108からの水素生成物1116は、圧縮器(図示せず)を用いて加圧することができ、燃料電池システム1118に送ることができ、ここで酸素のような酸化剤を用いて水素を電力1124に変換することができる。好ましくは、燃料電池システム1118は高温固体酸化物タイプのものを用いることができ、これは負荷を維持し、負荷を増加させる燃料電池システム1118の性能を維持することを助け、システム内における温度及び運転条件を維持するために天然ガス1120供給流を用いることができる。燃料電池システム1118はCO2流出流1122を与えることができ、これは用いる天然ガスの量に比例する可能性がある。CO2流1122はCO2再循環流1126中に再循環する。CO2供給流1104を用いて平衡を保ち、エネルギー貯蔵システム1100のために必要な更なるCO2を与えることができる。
ガス拡散電極を用いる電気化学セルのデザイン:
[00108]二酸化炭素の還元において、電気化学セル内でガス拡散電極(GDE)を用いることができる。アノード区画において、電気化学セルのアノード反応は、アノードGDE中に導入される水素ガスを酸化して水素イオン(H+)又はプロトンを形成することであってよい。これらのプロトンは、次に、図3及び4に示すように隣接するカチオンイオン交換区画に通すことができ、或いは図7及び9に示すように隣接するイオン交換区画中に送ることができる。
[00109]図12を参照すると、本発明の一態様による、二酸化炭素の還元からシュウ酸を製造する際にアノード反応のために水素GDEを用いる電気化学セルを示す概要図が示されている。図12は、電気化学セル1200としての水素アノードGDEの構造の1つを断面図で示しており、アノード集電体内の内部気体通路の一部は示していない。電気化学セル1200に、水素GDEに接続されている多数の微細流路又は溝を有する内部ガスプレナムを含むアノード集電体を含ませて、水素ガスを均一に分散させてGDEに接触することができるようにすることができる。微細流路は、水平方向又は垂直方向に伸長させることができる。ガスプレナムにはまた、金属メッシュ又はスクリーンベースの構造体を用いる集電体を含ませることもできる。水素ガスは、好ましくはアノード区画内の上部の入口ポートからアノード区画中に導入して、示されているようにプレナム中に下向きに流すことができ、消耗した水素は次にアノード区画の底部において排出することができる。水素は、必要に応じてアノード液区画内で用いられる溶媒蒸気によって加湿することができる。アノード集電体は、炭素又はグラファイト材料であってよく、或いはアノード液電解液反応及びアノード液溶液中で形成される可能性がある酸性度に対して抵抗性であるならば金属を含ませることができる。水素はまた、並流又は対向流構成で運転することもできる。
[00110]アノードGDEの直ぐ隣にアノードトリクルベッド溶液分配器又はパーコレーターを配することができ、ここでアノード液溶液をアノード区画の頂部におけるポートにおいて導入して溶液を均一に分配することができるようにして、溶液をトリクルベッド分配器の長さに沿って下方に均一に分配して、アノード区画の底部から排出する。溶液は、電気化学セルの寸法に応じて0.001〜10リットル/分又はそれ以上の範囲の特定の流量で供給して、アノードGDEが過剰の圧力のためにアノード液溶液に完全に浸漬されず、プロトンをアノード液溶液中に移動させるためにアノードGDEとの良好なイオン接触が維持されるようにすることができる。アノード液の流れの流量及び圧力は、最小量のアノード液溶液がGDEを通してアノード集電体の内部の水素ガスプレナム中に通過することができ、GDE内の水素ガスの酸化が十分であって、10ma/cm2〜1000ma/cm2の範囲、又はより好ましくは約50ma/cm2〜500ma/cm2の範囲の妥当なアノード電流密度を得ることができるようなものでなければならない。電気化学セル1200にはアノード及びカソードと操作可能に接続することができるエネルギー源(図示せず)を含ませることができ、エネルギー源はアノード及びカソードに電力を供給してカソードにおいて二酸化炭素を還元するように構成することが意図される。アノードトリクルベッドには、IR電圧降下を最小まで減少させるために、厚さ約0.1cm〜10cmの間、好ましくは厚さ0.2〜5cmの範囲で可能な限り薄い構造体を含ませることができる。アノードトリクルベッドは、溶液がアノードGDE構造体を下方に通過する際にそれを均一に分配するようにスクリーン状又は回旋形状の形態のPTFE、ポリプロピレン、PVDFなどのような非導電性の耐腐食性ポリマープラスチックで構成することができる。アノード液区画の入口及び出口ポートは、アノード液の流れ分布が頂部及び底部におけるトリクルベッドの断面に沿って均一であるようにデザインされる。或いは、トリクルベッド材料には導電性の炭素及びグラファイトを含めることができ、その表面上に若干の水素GDE触媒を含ませることができる。GDEは、向上した電気伝導又は接触のためにセパレーター又は膜に部分的に結合させることができる。
[00111]アノード区画とカソード区画の間に配置されるセパレーターは、H+イオンのようなカチオンを膜を通してカソード区画にイオン伝導することができ、カソード液区画からアノード液区画中に戻るアニオンの逆移動を阻止するか又はその量を減少させることができるカチオン膜のような膜タイプのものであってよい。これに対応して、電気化学セルのデザインが図7におけるように介在するイオン交換区画を用いることができる場合には、カチオン膜によって、イオン交換区画の隣接するカチオン膜からアノード液区画中へのアニオンの同じ逆移動を阻止することができる。選択されるカチオン膜は、好ましくは、Nafionの商品名のペルフッ素化スルホン酸膜のような、電気化学セル内の溶媒及び塩に対して安定なものであってよい。セパレーターはまた、上記で議論したように、0.001〜1ミクロンの細孔径範囲の微細孔を有する微多孔質セパレーターであってもよく、これによりカソード液からアノード液への溶液又は溶媒のバルク流が制限又は制御される。バルク流は、カソード液区画内を流れるカソード液溶液の流れ圧力によって制御することができる。
[00112]カソード液流の流れは、好ましくは、カソード液区画内における気体の除去を容易にするために、カソード液区画の底部に導入してカソード液区画の頂部から排出する。カソード液の流量は、電気化学セルの寸法及び運転電流密度に応じて0.01〜10リットル/分又はそれ以上の範囲にすることができる。カソード液区画は、カソード液中の二酸化炭素をギ酸塩に電気化学的に還元するために高表面積のカソード構造体を用いる。好適である可能性があるカソード材料は、本出願において記載した通りである。カソード液区画の運転圧力は、0.1〜5psigの範囲、又は1〜30psig又はそれ以上の範囲であってよい。運転圧力は、カソード液の流量及び用いる高表面積カソード構造体の流れ抵抗の関数である可能性がある。
[00113]アノード液溶液のために好ましい溶媒は、必要に応じて支持電解液である硫酸又は非酸化性の酸のような電解液を含む水溶液である。メタノール又はエタノールのような50重量%以下の量でアノード液に加える有機溶媒を用いることができるが、これらがアノードにおける水素の酸化を妨げる可能性がある場合には好ましくない可能性がある。GDE水素酸化を妨げる可能性があるアノード液電解液に加える可能性がある塩は、好ましくない。
[00114]別の態様として、電気化学セルの構成は、カチオン膜セパレーターに結合しているか又はそれと直接接触しているアノード及びカソードGDE構造体を用いることができる。
[00115]更なる態様においては、溶媒に不溶の樹脂又はイオノマーのようなイオン交換材料のようなイオン伝導性材料を、アノード液及びカソード液GDEの間で用いるか、又はその間に配置して、イオンが移動するための伝導性イオン流路を与えることができる。或いは、リン酸のようなイオン性基をその構造体内に保持することができるイオン交換構造体などを含めることができるゲルタイプの膜を用いることができる。用いることができるこれらのタイプの膜は、リン酸燃料などにおいて用いられているか、又は用いることが提案されているものである。
[00116]図13を参照すると、本発明の一態様による、二酸化炭素の還元からアルカリ金属ギ酸塩を製造する際に、アノード反応のために水素GDE、及びカソード反応のために二酸化炭素GDEを用いる電気化学セル1300を示す概要図が示されている。電気化学セル1300は、図12における電気化学セル1200と同じ水素GDEアノードを用いることができるが、カソード液区画において二酸化炭素還元GDEカソード構造体も用いる。アノード液GDEは、図12の電気化学セル1200の説明において記載したものと同じように運転することができる。
[00117]カソードGDEは、カソードGDEにおいて二酸化炭素を還元してギ酸塩を形成することができる他は同じように運転する。カソードには、二酸化炭素をカソードGDE中に均一に分配するために二酸化炭素内部ガスプレナムを与えることができる。
[00118]カソードGDEの直ぐ隣にカソードトリクルベッド溶液分配器を配することができ、ここでカソード液溶液をセルのカソード液区画の頂部において導入することができ、溶液をセルに沿って下方に均一に分配して、カソード区画の底部から排出する。或いは、流れを逆転させて、流れを垂直方向にすることができる。溶液は、電気化学セルの寸法に応じて0.001〜10リットル/分又はそれ以上の範囲の特定の流量で供給して、カソードGDEが過剰の圧力のためにカソード液溶液に完全に浸漬されず、二酸化炭素の還元中に電子を溶液中に移動させるためにカソードGDEとの良好なイオン接触が維持されるようにすることができる。カソード液の流れの流量及び圧力は、最小量のカソード液溶液がGDEを通してカソード集電体の内部の二酸化炭素ガスプレナム中に通過して、GDE内の二酸化炭素ガスの還元が十分であって、10ma/cm2〜1000ma/cm2の範囲、又はより好ましくは約50ma/cm2〜500ma/cm2の範囲の妥当なカソード電流密度が得られるようなものでなければならない。電気化学セル1300にはアノード及びカソードと操作可能に接続することができるエネルギー源(図示せず)を含ませることができ、エネルギー源はアノード及びカソードに電力を供給してカソードにおいて二酸化炭素を還元するように構成することが意図される。カソードトリクルベッドには、溶液がカソード構造体を下方に通過する際にそれを均一に分配するようにスクリーン状又は回旋形状の形態のPTFE、ポリプロピレン、PVDFなどのような非導電性の耐腐食性ポリマープラスチックで構成される、厚さ約0.1cm〜10cmの間、好ましくは厚さ0.2〜5cmの範囲で可能な限り薄い薄構造体を含めることができる。カソード液区画の入口及び出口ポートは、液体の流れ分布が頂部及び底部におけるトリクルベッドの断面に沿って均一であるようにデザインされる。GDEカソードは部分的に浸漬しているか又は場合によっては完全に浸漬している条件で運転することができる可能性があり、カソードをこのモードで運転するために、流れ条件及び電解液を調節することができる。
[00119]或いは、トリクルベッド材料に導電性の炭素及びグラファイト、或いは場合によっては金属を含めることができ、表面上に若干のカソードGDE触媒を含ませることができる。別法として、図13における電気化学セルシステム1300は、図3、5、7、及び9に示すようなアノード構造として、水素GDEではなく、酸素生成アノードシステムを用いて運転することができる。
[00120]図14を参照すると、本発明の一態様による、二酸化炭素の還元からアルカリ金属ギ酸塩を製造する際に電気化学セルにおいて用いる3つの異なるアノードGDE構造体を示す概要図が示されている。図14Aは、当該技術に公知の好適な方法による噴霧又は沈澱などの種々の方法によって炭素粉末基材上に堆積させることができる触媒を含む薄層を含む炭素布担体構造体を示す。GDEアセンブリは、次にPTFE又はPVDFエマルジョンの噴霧適用を用いるか、又は構造体をPTFE又はPVDFエマルジョン中に浸漬して更に処理することができ、これは次に乾燥してエマルジョン溶媒を除去することができる。アセンブリは次に(圧力下で)圧縮し、PTFE又はPVDFの融点又はその付近の温度に加熱して、PTFE又はPVDFが流動してGDE構造体中の種々の成分と結合して、微細構造体の部分において液体に対して疎水性である3相構造を形成し、今なお触媒表面において水素の酸化を起こすための細孔中に水素を送り込むことができるようにすることができる。それらが電気化学セルのアノード液及びカソード液中において用いる溶媒中に可溶でない限りにおいて、任意の可能性がある疎水性薬剤を用いることができる。これらの疎水性化合物又は薬剤は、アノード液GDEとカソード液GDEに関して異なっていてよい。ポリエチレン及びポリプロピレンワックス、超疎水性薬剤、並びに無機酸化物、シリカベースの材料、窒化物、ホウ化物などのような他の材料のような、電気化学セルのアノード液中において用いる溶媒に対して疎水性を有する可能性がある他の可能性のある疎水性薬剤を用いることができる。アノードGDE構造体中における疎水性材料の含量は、求められている非湿潤性及びアノードGDE性能特性を得るためには、GDE構造体中において重量基準又は体積基準で1%〜80%、好ましくは約5%〜50%の範囲であってよい。
[00121]アノード液GDE中において用いる水素酸化触媒には、貴金属及び貴金属酸化物並びにこれらの混合物、例えば白金、パラジウム、金、ルテニウム、イリジウム、及び銀、並びにこれらの合金及び混合物を含めることができる。白金のようなGDE触媒の濃度は、炭素粉末担体上の白金に関して0.5mg/cm2のように経済的であるようなものである。触媒濃度は、数多くのこれらの貴金属触媒に関して、約0.01〜20mg/cm2の範囲、より好ましくは0.1〜5mg/cm2の範囲であってよい。より低コストの触媒材料を入手できる場合には、より多い触媒を組成物中において用いることができる。触媒のための担体は、高表面積炭素であってよく、或いはグラフェン、導電性窒化物、カーボンナノチューブ、導電性チタン亜酸化物、例えばTi4O7及びTi2Oなどのような別の導電性材料であってよい。触媒は、電気メッキ、化学的還元、化学的沈澱、及び化学蒸着などのような種々の方法によって施すことができる。数多くのGDEが文献において記載されており、商業的に入手でき、これらは、本プロセスに必要な好適な疎水性及び触媒活性を有する可能性がある場合には、アノードGDEとして用いることができる。
[00122]図14Bは、その構成中に疎水性結合剤/充填材を有する炭素粉末を含む更なる二次相が与えられている他は、図14Aと同じ構造を示す。
[00123]図14Cは、構造体に機械的安定性を与えることができ、且つより良好な導電性の構造体を与えることができる炭素布担体内の更なる薄い金属メッシュが与えられているのでGDEを高い電流密度で運転することができる他は、図14BのGDE構造を示す。金属は、ニッケル、銀、又はアノード運転条件に対して耐腐食性である他の金属若しくは合金であってよい。
[00124]別の態様においては、更なる溶媒の流れの排除が必要な場合には、セパレーター又は膜をアノード及び/又はカソードGDEの1つの面又は両方の面の上でアノードGDE構造体に結合させることができる。他の態様においては、更なる結合を与え、GDE構造体内にイオン伝導性媒体を与えるために、GDE構造体中でNafion(ペルフッ素化スルホン酸)ベースの溶液を用いることもできる。例えばイオン交換樹脂材料、及び非ハロゲン化イオノマー、例えばスルホン化ポリスチレン、スルホン化ジビニルベンゼンなどをはじめとするNafionに類似の他のイオン性モノマーを用いることができる。更に、アノードGDEはまた、噴霧を用いて後処理して、GDEの内部及び外部の表面に、商業的に入手できる種々の超疎水性材料のような更なる疎水性材料又は化合物を付加することができる。
[00125]図15を参照すると、本発明の一態様による、二酸化炭素の還元からアルカリ金属ギ酸塩を製造する際に電気化学セルにおいて用いる3つの異なるカソードGDE構造体1500を示す概要図が示されている。図15A、15B、及び15Cは、二酸化炭素の還元のための触媒に、例えば、二酸化炭素をギ酸塩に還元するために好適な電解触媒であるインジウム、スズ、ビスマスなどのような高水素過電圧金属を含めることができる他は、図14A、14B、及び14Cと同じ相対的な対応する構造を有する。好ましい金属触媒としては、例えば、種々の金属、炭素、又は他の導電性担体上に堆積させた単一及び複数の組成物の被覆としての、インジウム、スズ、ビスマス、鉛、銀、金、亜鉛、及びカドミウム(これらの二元及び三元合金、金属間化合物、並びに組合せを含む)を挙げることができる。他の好適な触媒としては、銅、コバルト、マンガン、バナジウム、及びニッケルのような他の遷移金属を更に挙げることができ、これらはインジウム、スズ、及び銀のような既に言及している好ましい金属触媒と混合及び合金化することができる。CO又はギ酸塩のような好ましい二酸化炭素還元生成物によって、GDE中において用いるために選択される触媒が定まる可能性がある。例えば、銀ベースの触媒は二酸化炭素をCOに効率的に転化させるために好ましい可能性があり、一方、インジウム−スズ合金は二酸化炭素をギ酸塩に還元するために最も好適な可能性がある。最も重要なことは、カソード反応に対する触媒の安定性は、電気化学プロセスのための長期間寿命のカソードを与えるための鍵である。
[00126]触媒層は、炭素又は導電性のセラミック基材上に堆積させた金属を含む高表面積の粉末であってよく、或いは1種類又は複数の金属として5重量%〜90重量%の範囲であってよい金属組成を有していてよい高表面積金属粉末を用いる組成物を含ませることができる。疎水性PTFE又は他の記載した疎水性でイオン伝導性のポリマー材料を用いて、三次元カソードCO2還元GDE構造体を形成する際に結合を与えるのを助けることができる。炭素布の代わりに高表面積金属メッシュ又は布構造体、或いは金属化した炭素又はポリマー材料を用いることができ、これらは不織又は焼結型であってよい。更に、重合させてGDE構造体の導電性及びイオン伝導性を大きく低下させないラバー又はエラストマータイプの構造体を形成することができる小割合のモノマーをGDE組成物に加えることができる。
[00127]図16を参照すると、本発明の一態様による、二酸化炭素の還元からアルカリ金属ギ酸塩を製造する際にアノード反応のために水素GDE及び堰型溶液分配システムを用いる電気化学セル1600を示す概要図が示されている。電気化学セル1600には、電気化学セル1200と比べてアノード液溶液入口及びアノード液溶液出口ポートの異なる配置を含ませることができる。水素はまた、並流又は対向流構成で運転することができる。電気化学セル1600にはアノード及びカソードに操作可能に接続することができるエネルギー源(図示せず)を含ませることができ、エネルギー源はアノード及びカソードに電力を供給してカソードにおいて二酸化炭素を還元するように構成されることが意図される。
[00128]図17を参照すると、本発明の一態様による、二酸化炭素の還元からアルカリ金属ギ酸塩を製造する際にアノード反応のために水素GDE及びカソード反応のために二酸化炭素GDEを用いる電気化学セル1700を示し、堰型溶液分配システムが示されている概要図が示されている。電気化学セル1700は、アノード液及びカソード液の溶液をそれぞれアノード液及びカソード液トリクルベッド分配器に均一に分配する堰型アノード液流及びカソード液流溶液分配器を含む。電気化学セル1700はまた、電気化学セル1300と比べてアノード液及びカソード液に関する溶液入口流及び出口流ポートの異なる配置も示す。電気化学セル1700にはアノード及びカソードに操作可能に接続することができるエネルギー源(図示せず)を含ませることができ、エネルギー源はアノード及びカソードに電力を供給してカソードにおいて二酸化炭素を還元するように構成されることが意図される。
[00129]別の態様においては、カソード二酸化炭素GDE構造体には、薄い多孔質シートに圧縮及び熱結合させ、次に金属又は炭素ベースの材料又はそれらの組合せであってよい図12〜17に示すGDE担体構造体に更に結合させることができる疎水性の結合剤と混合した高表面積金属粉末触媒基材を含ませることができる。金属粉末触媒中における疎水性薬剤の割合は、2重量%〜95重量%、より好ましくは5重量%〜80重量%の範囲であってよい。金属粉末触媒には、二酸化炭素をギ酸塩に還元するのに好適な金属及びそれらの合金、例えばインジウム及びスズ並びにそれらの合金を含めることができる。金属粒子には、他の金属又は金属酸化物上にメッキ又は被覆されている1つの金属及び/又は金属酸化物のような複数の電解触媒被覆を含ませることができる。これの例は、相乗的な共触媒効果を有することができ、安定な長期間寿命性能を与えることができる二酸化炭素の電気化学的還元を行うことができる複数の層で構成されている電解触媒材料及び構造体であってよい。これらの例は、インジウム又はインジウムと鉛又は亜鉛の合金の適用された表面被覆を含むスズ粒子、インジウムの共電解触媒の上層を有するスズの適用された被覆を有する銅又はニッケル基材粒子などであってよい。
[00130]更に、金属粉末触媒には、混合物又は電解触媒粒子上の被覆として、金属酸化物、及び少量の貴金属及び貴金属酸化物を含ませることができる。貴金属のようなこれらの添加成分の割合は、重量基準で触媒組成物中において0.001%〜80%又はそれ以上の範囲であってよい。
ギ酸塩CO2還元の化学反応:
[00131]カソードにおけるCO2の還元の想定される化学反応は次のように進行する可能性がある。
[00132]式(1)に示すように、水の還元によって水素原子を電極に吸着させることができる。
[00133]下記の式(2)において示すように、二酸化炭素はカソード表面において吸着した水素原子によって還元してギ酸塩を形成することができ、これは表面上に吸着させることができる。
[00134]式(3)において示すように、表面上に吸着したギ酸塩は、次に他の吸着した水素原子と反応させてギ酸を形成し、これは溶液中に放出させることができる。
[00135]式(4)において示すように、カソードにおける競合反応は水の還元である可能性があり、ここでは水素ガス及び水酸化物イオンが形成される可能性がある。
[00136]より高い圧力(大気圧より高い圧力)において電気化学セルを運転することによって、二酸化炭素のギ酸塩への電流効率を増加させ、より高い電流密度でセルを運転することを可能にすることができる。
アノード反応:
[00137]下記の式(5)において示すように、アノード反応は水の酸素及び水素イオンへの酸化である可能性がある。
[00138]下記は、異なるカテゴリーで配置した本プロセスに関する種々の好ましい別の態様である可能性がある。
COからのギ酸塩の形成:
[00139]アルカリ金属ギ酸塩COとKOHの熱的分子間反応は、下記の式(6)において示すものである可能性がある。
[00140]この反応においてKOHは消費される可能性がある。正しい条件下においては、ギ酸塩及びシュウ酸塩の両方を両方とも生成させることができ、これによりプロセス工程の数を減少させることができる。両方を生成させることは、これらのカルボン酸を互いから分離することが必要になる。
[00141]また、一酸化炭素をアルカリ金属炭酸塩及び重炭酸塩の水溶液中に選択的に吸収させてギ酸塩を生成させることもできる。これは下記の式(7)及び(8)において示すことができる。式中、Mはアルカリ金属であってよい。
[00142]これらの反応は、M−ギ酸塩を形成するための反応において触媒としてNaOH又はKOHのようなMOHを必要としない可能性がある。
ギ酸塩からシュウ酸塩:
[00143]KOHを用いるアルカリ金属ギ酸塩の熱的分子間反応は、下記の式(9)において示すようなものである可能性がある。
[00144]場合によっては、ギ酸塩をシュウ酸塩に転化させるためにナトリウム又はカリウムの炭酸塩を用いることもできるが、転化収率は非常により低いことが示された。正しい運転条件及び温度下においては、収率を大きく向上させることができる。
アノード酸化反応:
[00145]アノード反応は、アノード液中において硫酸を用いる場合には、下記の式(10)において示す、水素イオン及び酸素を生成する水の酸化である。
[00146]アノード液中において臭化水素酸:HBrを用いる場合には、反応は次のような臭化物の臭素への酸化である。
[00147]アノード液中において塩化ナトリウム:NaClを用いる可能性がある場合には、図5におけるギ酸塩セルなどにおけるアノード反応は、下記の式(12)において示す塩化物イオンの酸化である。
[00148]ナトリウムイオンは、イオン透過性セパレーターを通してアノード液区画からカソード液区画に移動させて、二酸化炭素の還元からのギ酸塩と化合させてギ酸ナトリウムを形成することができ、カソードにおける水の還元から形成される副生成物の水酸化物イオンはNaOHを形成することができる。
[00149]アノード液中において塩酸:HClを用いる可能性がある場合には、反応は、下記の式(13)において示す、水素イオンの共生成を伴う塩化物の塩素への酸化である可能性がある。
炭酸塩及び重炭酸塩の反応:
[00150]溶液中に溶解している炭酸ナトリウム:Na2CO3は、下記の式(14a)に示すように、CO2との反応によって重炭酸ナトリウム:Na2HCO3に転化させることができる。
同様に、溶液中に溶解している炭酸カリウム:K2CO3は、下記の反応(14b)に示すように、CO2との反応によって重炭酸カリウムに転化させることができる。
[00151]水酸化ナトリウム:NaOHは、下記の式(15)に示すように、溶液中におけるCO2との反応によって炭酸ナトリウム:Na2CO3に転化させることができる。
NaOHとの塩素の反応:
[00152]水酸化ナトリウム:NaOHは、下記の式(16)において示すように、塩素と反応させて次亜塩素酸ナトリウム:NaOClを生成させることができる。
H+イオンとの重炭酸塩の反応:
[00153]重炭酸塩カリウム:KHCO3は、下記の式(17)において示すように、重炭酸カリウム電解液を用いるカソードセル区画などにおいて、電気化学セル内で生成するH+イオンと反応させてCO2及び水を生成させることができる。
電解槽の構成:
[00154]下記に、上記に記載のプロセスにおいて、電気化学的CO及び/又はギ酸塩、並びに電気化学的酸性化(EA)電解槽において用いることができるセル構成、電極構造、及びアノード液/カソード液の組成の種々の代表的な組合せを示す。
[00155]電気化学セル110及び電気化学的酸性化電解槽140のカソードは、高表面積電極であってよい。カソードに関する空隙容量は約30%〜98%であってよい。カソードの表面積は2cm2/cm3〜500cm2/cm3又はそれ以上であってよい。表面積は更に、電流分配器/導体バックプレート面積と比較した全面積として規定することができ、好ましい範囲は電流分配器/導体バックプレート面積の2〜1000倍である。
[00156]電気化学セル110のカソードは、銅の織成メッシュ、スクリーン、又は繊維構造体上に無電解メッキしたインジウム又はスズであってよい。インジウム−銅金属間化合物を、銅の織成メッシュ、スクリーン、又は繊維構造体上に形成することができる。金属間化合物は軟質のインジウム金属よりも硬く、使用に適した触媒特性に加えてより良好な機械特性が可能になる。
[00157]二酸化炭素の電気化学的還元においては、中でもPb、Sn、Ag、Au、Hg、Tl、In、Bi、及びCdなどの金属によって、主要なC1生成物として水溶液中にギ酸(又はギ酸塩)を生成させることができる。Hg−Cu、Sn−Cd、Pb−Bi、Sn−Zn、Cu−Sn、In−Snなどのようなこれらの金属の合金の組合せを用いることによって、向上した触媒の寿命安定性に加えて、向上したファラデー性能効率(Faradaic performance efficiencies)を与えることができる。Sn及びCuのような幾つかのこれらの個々の金属非合金化触媒それ自体は、ギ酸塩又はCOを生成させる際のファラデー転化活性を失活させるか又はその低下を示す表面変化を与える可能性がある。この金属触媒表面は、その後に逆電流又は逆極性によって再活性化しなければならない可能性がある。CO2からのC2−化学物質の可能性のあるカソード生成、或いはシュウ酸のグリオキサル酸及びグリコール酸のような生成物への電気化学的還元においては、他の多くの中でもTi、Nb、Cr、Mo、Ag、Cd、Hg、Tl、As、及びPdのような金属、並びにCr−Ni−Mo合金鋼は、高いファラデー効率でこれらのより高級なC2+生成物の形成において有益な結果を与えることができる。
[00158]他の態様においては、電気化学セルの運転中にインジウム塩又はインジウム/スズ塩の混合物をin situで周期的に添加することによってカソード表面を再生することができる。電気化学セル110は運転中にフルレートで運転することができ、或いは金属塩の注入中に二酸化炭素を加えるか又は加えないで、より低い電流密度において一時的に運転することができる。
[00159]他の代表的な態様においては、C2+化学物質を生成させるためのカソード材料の製造において、カソードの製造中に直接形成するのが困難な可能性がある触媒表面を与えるため、或いは触媒表面を再生するために、カソード構造体の表面上で還元することができる金属塩の添加、例えばAg、Au、Mo、Cd、Sn等の添加を用いることもできる。
[00160]他の態様においては、カソード構造体に、ガスプレナムを有する更なる区画を用いる異なるセル構造中でCO2ガス流と直接接触させて、ギ酸塩製造のための電流密度及びファラデー効率の増加を可能にすることができるガス拡散電極(GDE)を含ませることができる。GDE構造に関する一態様においては、GDE電極に、圧縮及び加熱して気体透過性であるが液体のフラッディングに対して抵抗性のGDE構造体を形成するインジウムメッキスズから製造される中央の金属スクリーンを用いて処理してPTFEバインダー及び小割合の幾つかの非導電性セラミクスを有するペーストマトリクスにすることができるインジウム粒子又はインジウム被覆スズ金属粒子の混合物を含ませることができる。この構造体にはまた、例としてUltratech, InternationalからのUltraEvershield、及びNeverWet InternationalからのNeverWetからの超疎水性材料のような非湿潤性の材料を製造するために用いる他の商業的な化学薬品の添加を含ませることもできる。グラファイト及びグラフェンのような他のバインダーを用いることもできるが、これは好ましくない可能性がある。
[00161]電気化学的酸性化電解槽140のためのカソード412には、ステンレススチール及びニッケルの電極を含ませることができる。カソード412には、水素過電圧を減少させるためにカソード上に被覆を含ませることができる。
[00162]電気化学的酸性化電解槽140に関するアルカリ金属水酸化物範囲は、5重量%〜50重量%、より好ましくは10重量%〜45重量%であってよい。アルカリ金属水酸化物の例は、NaOH、KOH、CsOHなどであってよい。
[00163]CO2から一酸化炭素を製造するための電気化学セル110のカソードのためのカソード材料としては、プレシャスメタル及び貴金属、並びにCu、Ag、Au、及びこれらの酸化物、具体的には銅の酸化物を挙げることができる。他の金属との混合物及び合金のAg及びAg酸化物は、より良好でより長期間の電解触媒性能を与えることができる。Zn及びNiのような他のd−ブロック金属は、水性媒体中におけるCOの還元に選択的である可能性がある。CO2還元生成物としてのCOの特異性に関係なく、CO2をCOに還元するための水性システムのための電気化学セル110のためのカソードは、高い水素過電圧を与えて競合するH2形成を阻止することができる。
[00164]他の態様においては、二酸化炭素を一酸化炭素:COに転化させるために、金属粒子電解触媒及び多被覆層電解触媒を含む提案する二酸化炭素GDEカソード構造体を用いることもできる。この反応のために好適な電解触媒は、銅、亜鉛、金のような他の金属、及び遷移金属のような他の金属との混合物及び合金の銀及び銀合金である可能性がある。燃料及び有機化合物を生成するフィッシャー・トロプシュ反応において用いるのに好適な比のCOと水素の有用な混合物のような他のガスが共生成する可能性がある。
[00165]カソードにおいてCOを生成させるのに用いるアニオンは、硫酸塩、塩化物、又は重炭酸塩のような作動電位において安定な任意の種であってよい。COへのCO2の還元は、限定された競合するH2の形成のために高いpHが好ましい可能性があるが、溶解によって炭酸が形成されるために、飽和CO2溶液に関して約8.5の実用的なpH最高値が存在する可能性がある。観察することができた厳密な下限は存在しない可能性がある。システムの化学的性質のために、電気化学セル110のカソード液領域のpHは3〜12の範囲であってよい。pHは、電気化学セル110における腐食がないようにすることができるように、用いる触媒及びカソード液の運転条件の関数である可能性がある。
[00166]CO及びギ酸塩を形成するための電気化学セル110のための電解液としては、アルカリ金属の重炭酸塩、炭酸塩、硫酸塩、及びリン酸塩、ホウ酸塩、アンモニウム、水酸化物、塩化物、臭化物、並びに他の有機及び無機塩を挙げることができる。電解液としてはまた、プロピレンカーボネート、メタンスルホン酸、メタノール、及び他のイオン伝導性液体のような非水性電解液を挙げることもでき、これらは水性混合物、或いはカソード液中の非水性混合物であってよい。カソード液流中に二酸化炭素の微細気泡を導入することによって、カソード表面への二酸化炭素の移動を向上させることができる。
[00167]電気化学セル110のアノード液領域のための電解液としては、水酸化アンモニウムに加えてアルカリ金属水酸化物(例えば、KOH、NaOH、LiOH);硫酸、リン酸などのような無機酸;非水溶液及び水溶液中の両方のメタンスルホン酸のような有機酸;並びに塩化物、臭化物、及びヨウ化物塩のようなアルカリハロゲン化物塩、例えばNaF、NaCl、NaBr、LiBr、KF、KCl、KBr、KI、及びNaI、並びにHCl及びHBrのようなこれらの酸ハロゲン化物形態;を挙げることができる。アルカリハロゲン化物塩は、アノード液領域から、例えばフッ素、塩素、臭素、又はヨウ素を、ハロゲン化物ガス又は溶解水性生成物として生成させることができる。メタノール又は他の炭化水素非水性液体を用いることもでき、これらはアノード液から若干の酸化有機生成物を形成する。アノード液の選択は、プロセスの化学生成物及び全運転セル電圧を低下させるための要件によって決定される。例えば、アノード液としてHBrを用いてアノードにおいて臭素を形成させる場合には、塩素形成よりも非常に低いアノード電位が必要である。ヨウ化水素酸:HIは、臭素のものよりも更に低いアノード電位においてヨウ素を形成することができる。
[00168]カソード液の断面積流量は、2〜3,000gpm/フィート2(0.0076〜11.36m3/m2)又はそれ以上の範囲であってよい。流れの速度は0.002〜20フィート/秒(0.0006〜6.1m/秒)の範囲であってよい。
[00169]電気化学セル110のカソード液領域には少なくとも1種類の触媒を含ませることができる。触媒は、カソード液領域中において用いてギ酸塩へのファラデー収率を向上させることができる均質複素環式触媒であってよい。均質複素環式触媒としては、例えばピリジン、スズ2−ピコリン、4−ヒドロキシピリジン、アデニン、イオウを含む複素環式アミン、酸素を含む複素環式アミン、アゾール類、ベンズイミダゾール類、ビピリジン類、フラン類、イミダゾール類、少なくとも1つの5員環を有するイミダゾール関連種、インドール類、ルチジン類、メチルイミダゾール、オキサゾール類、フェナントロリン類、プテリン類、プテリジン類、ピリジン、少なくとも1つの6員環を有するピリジン関連種、ピロール類、キノリン類、又はチアゾール類、及びこれらの混合物を挙げることができる。
[00170]カソード液領域中においてより高い運転圧力で電気化学セル110を運転することによって、より多くの溶解CO2を水性電解液中に溶解させることを可能にすることができる。通常は、電気化学セルはマルチセル積層デザインにおいて約20〜30psigまでの圧力において運転することができるが、これらは変更を加えて100psigまでで運転することができる。電気化学セル110のアノード液はまた、2つの電極領域を分離する膜の上の圧力差を最小にするために同じ圧力範囲で運転することもできる。電気化学ユニットを約60〜100気圧まで又はそれ以上のより高い運転圧力において運転するためには、特別な電気化学のデザインが必要な可能性があり、これは液体CO2中及び超臨界CO2運転範囲であってよい。
[00171]他の態様においては、カソード液再循環流の一部を、背圧による流れの制限を用いるか、又はCO2注入と共にポンプ390を用いて別に加圧して、加圧された流れを次に電気化学セル110のカソード液領域中に注入して、水溶液中の溶解CO2の量を潜在的に増加させて転化収率を向上させることができるようにすることができる。
[00172]電気化学セル110のカソード液領域及びアノード液領域には、−10〜95℃、より好ましくは5〜60℃の範囲であってよい運転温度を与えることができる。より低い温度は、用いる電解液及びこれらの凝固点によって制限される可能性がある。一般に、温度がより低いと、電解液の水溶液相中におけるCO2の溶解度がより高くなり、これによってより高い転化率及び電流効率を得ることができる。しかしながら、電気化学セルの運転電圧がより高くなる可能性があるので、最も低い運転コストで化学物質を製造するためには最適化が必要な可能性がある。更に、アノード液及びカソード液の運転温度を相違させることができ、これによりアノード液をより高い温度で運転し、カソード液をより低い温度で運転する。
[00173]電気化学セル110及び電気化学的酸性化電解槽140は、カソード液電解液を循環させる、種々の高表面積カソード材料を有するゼロギャップの貫流型電解槽であってよい。例えば、種々の高表面積カソード材料を有する浸漬型の並流の充填床及びトリクルベッドデザインを用いることができる。積層セルデザインは、バイポーラ及び/又はモノポーラであってよい。
[00174]電気化学セル110及び電気化学的酸性化電解槽140のアノードには、1以上のアノード被覆を含ませることができる。例えば、酸アノード液のため、及び酸条件下で水を酸化するためには、電解触媒被覆に、塩素アルカリ工業及びそれらがアノードとして安定であることができる他の電気化学プロセスにおいて通常用いられる、チタン、タンタル、又はニオブのようなバルブ金属電導性基材上の、ルテニウム及びイリジウム酸化物、並びに白金及び金並びに金属及び酸化物としてのこれらの組合せのような貴金属及び貴金属酸化物を含ませることができる。アルカリ性又は水酸化物電解液のような他のアノード液に関しては、電解触媒被覆に、炭素、グラファイト、コバルト酸化物、ニッケル、ステンレススチール、及びこれらのアルカリ性条件下でアノードとして安定であることができるこれらの合金及び組合せを含ませることができる。
[00175]膜330、406a、406bは、アニオンに対して高い除去効率を有するもののようなカチオンイオン交換タイプの膜であってよい。例えば、DuPont Nafion(登録商標)ブランドの非強化タイプのN117及びN120シリーズ、より好ましくはPTFE繊維強化N324及びN424タイプ、並びに日本の企業によってFlemion(登録商標)のような供給者の商品名で製造されている同様の関連する膜のようなペルフッ素化スルホン酸ベースのイオン交換膜。塩素アルカリ工業において用いられ、カルボン酸ベースの膜層に結合しているスルホン酸ベースの膜層の二層構造を有する他の多層ペルフッ素化イオン交換膜を用いて、約2又はそれ以上のpHより高いpHのアノード液及びカソード液を用いて効率的に運転することができる。これらの膜は、より高いアニオン除去効率を有する可能性がある。これらは、DuPontによって、例えばN90209、N966、N982のようなN900シリーズ、並びにN2010、N2020、及びN2030のような2000シリーズとしてNafion(登録商標)の商標で販売されている可能性があり、これらのタイプ及びサブタイプの全部が含まれる。アニオン除去が重要でない可能性がある場合には、中でもSybronによって彼らの商品名のlonac(登録商標)で、AGC Engineering(Asahi Glass)によって彼らのSelemion(登録商標)の商品名で、及びTokuyama Sodaによって販売されているもののような、種々のカチオンイオン交換材料から製造することができる炭化水素ベースの膜を用いることもできる。
アルカリ金属ギ酸塩のシュウ酸塩への熱転化の実験:
[00176]アルカリ金属ギ酸塩の熱転化における幾つかのプロセス条件を定めるために実験を行った。シュウ酸への収率を向上させることができる温度、か焼時間、及び種々の触媒の添加を評価した。炭酸塩は、HCl及びpH指示薬を用いる滴定による標準的な方法によって求めた。
実施例1:
[00177]表1は、窒素雰囲気を用いる加熱炉中において行った一連の実験の結果を示す。この実験は、アルカリ金属ギ酸塩の熱転化における条件及び収率を評価するために行った。温度及びか焼時間を変化させ、種々の触媒の使用を評価した。これらの試料は、試薬グレードのギ酸カリウム結晶を用い、試薬グレードの水酸化カリウムペレットを加えて調製した。化学試薬を一緒に混合し、100mLのニッケルるつぼ内に配置した。るつぼを、表1に与える時間及び温度でか焼した。420℃において0.5〜1.0時間の間において、水酸化カリウム触媒を用いたギ酸カリウムのシュウ酸カリウムへの収率(%)は、73.71%〜78.53%の範囲であった。シュウ酸塩含量は、過マンガン酸塩滴定及びイオンクロマトグラフィーの両方によって分析した。440℃において、シュウ酸塩への転化収率は約77%であった。
実施例2:
[00178]表2は、共生成物又は潜在的な触媒として重炭酸カリウムをギ酸カリウムに加えた他は実施例1と同じ手順の結果を示す。か焼温度は、加熱オーブン内で窒素雰囲気中において420℃で30分間であった。
実施例3:
[00179]表3は、KOHを触媒としてギ酸カリウムに加えた、実施例1と同じ手順の結果の結果を示す。か焼温度は、加熱オーブン内で窒素雰囲気中において440℃で30分間であった。表4はKOH触媒を用いない結果を示す。
実施例4:
[00180]表5は、KOHを触媒としてギ酸カリウムに加えた、実施例1と同じ手順の結果を示す。か焼温度は、加熱オーブン内で窒素雰囲気中において480℃で30分間であった。表6は、KOH触媒を用いない結果を示す。
実施例5:
[00181]表7は、酸化マグネシウム粉末を触媒としてギ酸カリウムに加えた、実施例1と同じ手順の結果を示す。か焼温度は、加熱オーブン内で窒素雰囲気中において420℃であった。
実施例6:
[00182]表8は、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)粉末を触媒としてギ酸カリウムに加えた、実施例1と同じ手順の結果を示す。か焼温度は、加熱オーブン内で窒素雰囲気中において440℃であった。表9は、同じ温度において共触媒としてNaBH4及びKOHを用いた結果を示す。
実施例7:
[00183]表10は、水素化ナトリウム(NaH)粉末を触媒としてギ酸ナトリウムに加えた他は、実施例1と同じ手順の結果を示す。か焼温度は、加熱オーブン内で窒素雰囲気中において440℃であった。
[00184]表11は、種々の時間及び温度においてギ酸カリウムに触媒として加えたNaHを用いた結果を示す。
シュウ酸のグリオキシル酸への転化:
[00185]図18を参照すると、本発明の一態様にしたがって当初の化学供給材料としてシュウ酸から出発する可能性のある化学誘導体が示されている。グリシン(アミノ酢酸)は数多くの用途を有する工業化学物質である。これは、ヒト及び動物の食品用の添加剤として、及び数多くの化学物質の合成における中間体として広範囲の用途を有する。現時点においては、グリシンはクロロ酢酸とアンモニアの反応から商業的に製造されている。二酸化炭素は最も安価な可能性のある化学供給材料の1つであるので、二酸化炭素からグリシンのような化学物質を製造するための経済的な経路は、現在の通常の経路を凌ぐ有利性を与えることができる。他の重要な化学物質はエチレングリコールであり、これは原材料としてシュウ酸を用いて製造することができる。エチレングリコールは、不凍液において、及び瓶入りの消費者飲料において用いられるポリエチレンテレフタレートから製造される瓶の製造において、1年あたり数十億ポンドの量で用いられている。
[00186]図19を参照すると、二酸化炭素をグリシンへ転化させるためのシステムをブロック図で示す概要図が示されている。このシステムには、二酸化炭素供給材料をシュウ酸塩に転化させるための電気化学セルを含むユニットAを含めることができ、これを次にユニットB上に送って、シュウ酸塩をシュウ酸に転化させ、次にシュウ酸をユニットCに送って、ここでシュウ酸をグリオキシル酸に電気化学的に還元し、グリオキシル酸を還元的アミノ化ユニットに送って、アンモニア及び水素を加えて、生成物としてグリシンに転化させる。図19における種々のユニットの間を通る溶媒及び中間体、並びに精製工程は、示していない。
[00187]図20を参照すると、シュウ酸を還元してグリオキシル酸生成物を生成させるための電気化学セルを示す概要図が示されている。電気化学セルは、アノードを含むアノード液区画、カソードを含むカソード液区画、及び2つの区画を分離する膜又はセパレーターを含む。シュウ酸供給流を電気化学セルのカソード液区画中に供給し、カソードにおいてグリオキシル酸に還元する。グリオキシル酸生成物は、カソード液解離装置内で再循環しているカソード液流から分離して、ここで還元反応からの気体状副生成物ガスも分離される。カソード液溶液は、カソード液再循環ポンプを用いてカソード液区画に再循環して戻す。カソード液溶液には種々の選択される酸を含ませることができ、これは水性又は非水性ベースの溶液中の無機又は有機酸であってよい。
[00188]カソード液区画は、カソード集電体又は電流分配器、及び金属、合金から形成される高表面積カソード、並びにグリオキシル酸をグリシンに効率的に還元するのに好適な金属上の電解触媒被覆を含むカソード構造体を含む。これらとしては、Cd、Pb、Hg、Bi、Sb、PbSbのような金属、並びにこれらの合金及び酸化物が挙げられるが、これらに限定されない。
[00189]アノード液区画は、アノード、及び場合によっては高表面積構造体を含む。アノード反応は、例として硫酸、リン酸、及び硝酸のような鉱酸を用いる場合には酸素を生成させることができ、或いは酸素を生成するアノード反応に対して安定なメタンスルホン酸のような有機酸を用いることができる。これらの酸アノード液のために好適なアノード材料は、ルテニウム及びイリジウム酸化物のような貴金属酸化物の被覆、並びにチタン、タンタル、又はニオブのようなバルブ金属基材上の金属及び酸化物としての白金及び金並びにこれらの組合せである。
[00190]この電気化学セルのためのアノード材料は、フェルト、ニードルフェルトの形態、又は織布の形態であってよい炭素及びグラファイトのような炭素材料を含む、図1〜3において示される電気化学セルのような本出願において開示されているシュウ酸塩を生成する電気化学セルにおいて用いられるものと同様である。これらの炭素ベースの材料は高表面積炭素構造体中又はその表面上に含侵されている触媒を与えることができ、これらは、好ましくはアノードの臭素形成化学反応に対して化学的に抵抗性であることができ、臭化物の臭素への酸化を促進又は触媒するのを助けることができる白金族金属及びそれらの酸化物、混合物、及び合金、例えば金、白金、二酸化ルテニウム、酸化イリジウムなどを含む。他の好適なアノード材料は、種々の貴金属族の金属及びこれらの酸化物、混合物、並びにこれらの合金の電解触媒表面被覆を有するチタン、ニオブ、及びタンタルのようなバルブ金属であってよい。これらのアノード材料は、アノード液区画内でハロゲンを生成させる際において、HCl及びHBrのような酸ハロゲン化物を含む溶液を用いる場合に用いられ、これにより生成物としてそれぞれ塩素又は臭素がアノード区画から生成する。
[00191]グリオキシル酸還元セルのために用いるセパレーター及び膜の材料も、本出願において開示するシュウ酸塩生成セルにおいて用いるものと同じタイプである。
[00192]図21を参照すると、グリオキシル酸をグリシンへ転化させるための還元的アミノ化バッチ反応器システムを示す概要図が示されており、これは供給流入口、再循環流、及び最終グリシン生成物の精製を与えるバッチ反応器システムを含む。溶媒からのグリシンの分離は、蒸留又は抽出蒸留のような種々のプロセスによって行うことができる。
[00193]一態様においては、シュウ酸のグリシンへの還元的アミノ化は、好ましくは反応器内で行う。還元的アミノ化に関して提案される化学反応は次の通りである。
[00194]図20に示す電気化学セルを用いて生成するグリオキシル酸生成物は、水溶性有機溶媒、水、及び選択される水素化触媒を含む反応器に供給する。次に、反応器中にアンモニア及び水素を特定のモル比で計量投入し、反応中に水素が消費されている間に更なる水素を加えることによって水素圧を一定に維持しながら反応を進行させる。
[00195]アンモニアは、アンモニア水溶液としてか、又は液体アンモニアのいずれかとして用いることができる。アンモニアは、NH3:グリオキシル酸として1.2〜20、又はより好ましくは1.5〜10の範囲、より好ましくは2〜5の範囲のモル比範囲の、必要な理論量(反応18)よりもモル過剰で用いることができる。
[00196]反応器内の反応物質及び生成物を溶液中に保持するために、数多くの水溶性有機溶媒を反応器内で用いることができる。これらの溶媒は、好ましくはグリオキシル酸及びグリシン生成物に対して非反応性で、その後の分離及び精製工程においてグリシン生成物から容易に回収できなければならない。
[00197]好適な溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、及びtert−ブタノール類などのアルコール、並びに1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ピペリジンのような他の水混和性溶媒、及びこれらの混合物が挙げられる。メタノール及びエタノールが好ましい溶媒である可能性がある。
[00198]水に対する水溶性有機溶媒の比は、反応物質及び反応生成物を溶液中に保持し、グリオキシル酸のグリシンへの転化を促進するように算出される。有機溶媒としてメタノールを用いる場合には、約60%のメタノール及び40%の水を含む溶媒混合物を用いることができる。メタノールの量は、メタノール/水溶媒混合物中において約20〜約70重量%のメタノールの範囲であってよい。
[00199]還元的アミノ化反応反応器はまた、好適な水素化触媒も用いる。好適な触媒は、白金族金属、及び幾つかの遷移金属、例えばルテニウム、ロジウム、ニッケル、パラジウム、白金、オスミウム、並びにこれらの合金及び混合物である。ロジウムは、高収率のグリシン製造において有効な触媒であることが分かった。触媒は、炭素、シリカ、及びアルミナのような担体基材上に堆積させた元素状材料の粒子の形態であってよい。触媒は、バッチ反応器において用いることができるスラリー懸濁液の形態、或いは連続反応器において用いられる固定触媒床の形態(これが好ましい)であってよい。
[00200]アミノ化反応器はバッチ又は連続タイプであってよく、ここで、激しく撹拌及び振盪するため、並びに反応器内の所望の圧力下で水素ガスを導入するための手段を装備するか又はこれが付随した圧力容器内に反応物質を配置する。反応圧力は、用いる触媒及び温度条件によって20psig〜3,000psigの範囲であってよい。
[00201]還元的アミノ化反応温度は、反応において用いる反応温度、触媒の選択、又は溶媒を変化させることによって、0℃〜100℃、好ましくは10℃〜60℃の範囲、より好ましくは約15℃〜40℃の範囲にすることができる。好ましい転化収率は、80%又はそれ以上、より好ましくは90%又はそれ以上である。
実験結果:
[00202]下記は、種々のカソード材料を用いたシュウ酸の電気化学的還元の生成物を決定した際の結果の概要である。
[00203]この試験群においては、種々のカソード材料を有するバッチ反応器内におけるシュウ酸の電気化学的還元を調べた。グリコール酸及びグリオキシル酸を生成させるために最良のファラデー収率(FY)は、シュウ酸の直接還元に関してはそれぞれ60%及び75%であった。グリオキシル酸のグリコール酸への還元に関しても、95%のFYが達成された。Cdカソードを用いて、微量のモノエチレングリコール(MEG)が観察された。グリコール酸及びグリオキシル酸のファラデー収率に対して最も影響を与えるファクターとしては、カソード材料、電位、及び温度が挙げられ、一方、電解液の影響は無視できることが分かった。有意量のMEGを製造するシステムは未だ知られていないので、エチレングリコールの収率に影響を与えるファクターは発見されなかった。
カソードの製造:
[00204]再生可能な表面を得るために、カソード材料を標準的な手順によって清浄化した。代表的な実験においては、バルク金属から約2cm2の金属片を切り出し、アルミナ粉末(0.3μm)によって研磨し、脱イオン水ですすぎ、アセトンによって脱脂した。このように清浄化した電極を脱イオン水中において2分間超音波処理した。使用の前に、洗浄なキムワイプの間でプレスすることによって電極を乾燥した。
バルク電気分解:
[00205]Arbin MSTAT 167563定電位電解装置(Arbin Instruments)を用いて、一定の電位において電気分解を行った。他に示されていない限りにおいて、全ての電気分解は、分離されたカソード及びアノード室を有する3室ガラスセル内で行った。水銀カソードを用いる電気分解のために、ガラスフリットで分離されたカソード室を有する2室電気化学装置を用いた。絶縁銅線を用いて、カソード上の液体水銀と定電位電解装置の間の接続を形成した。種々の形態の炭素をアノード適合性に関して試験した。
生成物の分析:
[00206]グリコール酸及びグリオキシル酸の定量は、イオンクロマトグラフィー(IC)によって行った。他の分析対象物はNMRによって定量した。NMRのための分析試料は、800μLの試料、100μLのD2O、及び100μLのH2O中1000ppmアセトンのように調製した。溶媒抑制を用いて、これらを1時間運転した。定量は、調製した標準混合物から計算した応答係数を用いて、相対ピーク面積に基づいて行った。下表において、Oxはシュウ酸を指す。
[00207]別のアノード液溶液を用いて電気化学セル110のアノード領域において臭素のような化学生成物を生成させることができ、これはエタノール、エチレン、及び臭素の化学的特徴をベースとする他の化学物質の製造における中間体として有機化合物を臭素化するために用いることができる。硫化ナトリウム又はSO2のようなイオウ化合物のアノード液領域における酸化、或いは有機化合物の直接又は間接酸化、及びメタノールのような有機化合物のホルムアルデヒドへの部分酸化を行うことも意図される。
[00208]種々のアルカリ金属水酸化物を電気化学セル110及び/又は熱反応器120、130において用いることができる。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、及びルビジウム、並びにセシウムの水酸化物を用いることができる。更に、アルカリ土類金属水酸化物を用いることもできる。
[00209]熱反応器120、130は、アルカリ金属水酸化物を用いて熱的分子間縮合反応を行うことができる。かかる縮合反応には、2つの分子又は基(官能基)を結合させて1つの単一の分子を形成し、小分子の損失を伴う化学反応を含ませることができる。2つの別々の分子を反応させることができる場合には、この縮合は分子間と呼ぶことができる。反応は昇温温度において起こるので、この反応は「熱的分子間縮合工程」と特徴付けることができる。水が損失する可能性がある場合には、この反応は「熱的分子間脱水工程」と特徴付けることができる。これらの反応は、COとアルカリ金属水酸化物の反応、或いは熱反応におけるアルカリ金属カルボン酸とアルカリ金属水酸化物の溶融体のように水溶液相中で行うことができる。
[00210]熱反応器120、130は、約40〜500℃、より好ましくは約50〜450℃において運転することができる。運転温度は、カルボン酸の分解温度、及びカルボン酸生成物の最も高い収率を得るために最適の温度によって定めることができる。最適反応温度における反応の滞留時間は5秒間〜数時間の範囲であってよく、反応を行うために選択される装置は、最適の転化収率を得るのに必要な加熱及び冷却の速度を与えるように設計することができる。これには、熱反応時間が完了した可能性がある後に高温の熱生成物を迅速に冷却することができる低温回転金属を用いることを含めることができる。
[00211]熱反応器120、130は、空気又は酸素富化雰囲気、並びに窒素、アルゴン、及びヘリウムのような不活性ガス雰囲気中で運転することができる。また、反応において最も高い収率が得られるように、二酸化炭素及び水素雰囲気、並びに部分CO雰囲気を用いることもできる。熱反応器120、130は、完全又は部分真空下で運転されてもよい。
[00212]メタン又は天然ガス改質からのシンガスの製造からのような他の供給源からのCOの使用を用いることができる。COはまた、それを二酸化炭素から分離することができる場合にはプロセス廃棄流のような他の供給源からもたらすこともできる。
[00213]アルカリ金属水酸化物の濃度範囲は、重量基準で2%〜99%、より好ましくは5〜98%であってよい。アルカリ水酸化物は、モル過剰のアルカリ金属カルボン酸中で運転して、当初の反応混合物中において熱処理することができ、或いはそれらを一緒に混合することができる連続プロセスにおいて運転することができる。アルカリ金属水酸化物に対するアルカリ金属カルボン酸の予測モル比は、0.005〜100、より好ましくは0.01〜50の範囲であってよい。プロセスにおける水酸化物の消費量を減少させるように反応を行うために可能な限り最も少ない量のアルカリ金属水酸化物を用いることが好ましい可能性がある。
[00214]熱反応器120、130のために用いることができるプロセス運転装置としては、種々の商業的に利用可能なタイプを挙げることができる。アルカリ金属水酸化物とCOの反応のために用いることができる装置は、アルカリ水酸化物の溶液混合物中に気体を注入することができるバッチ運転装置であってよい。これは連続方法で行うこともでき、この場合には新しいアルカリ金属水酸化物の連続撹拌タンク反応器(CSTR)中への供給流入口を存在させることができ、溶液中へのCOの供給は溶液中へのガス撹拌器を通して行う。或いは、対向流充填塔を用いることができ、この場合にはCOをアルカリ金属水酸化物の流れに対向流で塔の中に注入することができる。
[00215]アルカリ金属シュウ酸塩の運転のためには、熱反応器120、130に、ロータリーキルンのような装置、及びプロセスがアルカリ金属ギ酸塩とアルカリ水酸化物の混合物を固体又はホットメルト混合物として熱処理することが必要な場合に用いることができるシングルパス栓流反応器を含めることができる。好ましくは、装置は、選択される温度において反応を完了まで進めるために必要な滞留時間を与えて連続的に運転し、この後に冷却セクションを与えることができる。
[00216]熱的分子間縮合プロセスはまた、炭素含量がより多いカルボン酸を製造し、カルボン酸をエステル、アミド、酸塩化物、及びアルコールに転化させるように行うこともできる。更に、カルボン酸生成物は、臭素、塩素、及びヨウ素を用いて対応するハロゲン化物化合物に転化させることができる。
[00217]アルカリ金属ギ酸塩の熱転化のための触媒としては、種々の塩基、例えばアルカリ金属水酸化物、並びに塩基である他の化合物を挙げることができる。更に、アルカリ金属及び他の水素化物は、塩基としても作用するので用いることができる。か焼においてギ酸塩と適合性である可能性があり、高い転化収率を与えることができる任意の他の好適な触媒がプロセスのために好適である。
[00218]電気化学セル110のような本明細書において記載する電気化学セルの構造及び運転は、所望の結果を与えるように調節することができることが意図される。
[00219]例えば、電気化学セルは、大気圧よりも高い圧力のようなより高い圧力において運転することができ、これによって電流効率を増加させ、より高い電流密度で電気化学セルを運転することを可能にすることができる。
[00220]更に、電気化学セルのカソード及びアノードには、30%〜98%の範囲であってよい空隙容量を有する高表面積電極構造体を含めることができる。電極の空隙容量のパーセントは、電極が電極の全体積空間において占有していない空の空間のパーセントを指すことができる。高空隙容量の電極を用いることの有利性は、構造体が構造体を通る液体流に対してより低い圧力損失を有することである。電極基構造体の比表面積は、2cm2/cm3〜500cm2/cm3又はそれ以上であってよい。電極の比表面積は、電極基構造体の表面積を電極全体の全物理的体積で割った比である。この表面積はまた、電流分配器/導体バックプレートの投影幾何面積と比較した電極基材の全面積として規定することもでき、好ましい範囲は2倍〜1000倍又はそれ以上である。電極構造体の実際の全活性表面積は、物理的な電極構造体上に堆積されている電極触媒の特性の関数であり、これは物理的な電極基構造体よりも表面積で2〜1000倍大きくてよい。
[00221]カソードは数多くの高表面積材料から選択することができ、銅、ステンレススチール、遷移金属及びそれらの合金、炭素、及びケイ素が挙げられ、これは導電性金属又は半導体であってよい材料の層で更に被覆することができる。カソードの基構造体は、金属、炭素、又はポリマーを包含する他の導電性材料から形成されている繊維、金属フォーム、網状材料、又は焼結粉末材料の形態であってよい。この材料は、膜が高表面積カソード構造体に直接接触しないように膜のカソード側に接して含ませた非常に薄いプラスチックスクリーンであってよい。高表面積カソード構造体は、高表面積カソードと同じ表面組成を有する材料で構成されていてよいカソード電流分配器バックプレートに対して機械的にプレスすることができる。
[00222]更に、カソードは、Al、Au、Ag、Bi、C、Cd、Co、Cr、Cu、Cu合金(例えば真鍮及び青銅)、Ga、Hg、In、Mo、Nb、Ni、NiCo2O4、Ni合金(例えば、Ni625、NiHX)、Ni−Fe合金、Pb、Pd合金(例えばPdAg)、Pt、Pt合金(例えばPtRh)、Rh、Sn、Sn合金(例えば、SnAg、SnPb、SnSb)、Ti、V、W、Zn、ステンレススチール(SS)(例えば、SS2205、SS304、SS316、SS321)、オーステナイト鋼、フェライト鋼、二相鋼、マルテンサイト鋼、ニクロム(例えばNiCr60:16(Feを有する))、エルジロイ(例えばCo−Ni−Cr)、縮退ドープn−Si、縮退ドープn−Si:As、縮退ドープn−Si:B、縮退ドープn−Si、縮退ドープn−Si:As、及び縮退ドープn−Si:Bのような好適な導電性電極であってよい。他の導電性電極を実装して特定の用途の基準に合致させることができる。光電気化学的還元のためには、カソード122は、p−GaAs、p−GaP、p−InN、p−InP、p−CdTe、p−GaInP2、及びp−Siのようなp−タイプの半導体電極、或いはn−GaAs、n−GaP、n−InN、n−InP、n−CdTe、n−GaInP2、及びn−Siのようなn−タイプの半導体であってよい。CoS、MoS2、TiB、WS2、SnS、Ag2S、CoP2、Fe3P、Mn3P2、MoP、Ni2Si、MoSi2、WSi2、CoSi2、Ti4O7、SnO2、GaAs、GaSb、Ge、及びCdSeなど(しかしながらこれらに限定されない)の他の半導体電極を実装して特定の用途の基準に合致させることができる。
[00223]カソード液は、1〜12、好ましくは4〜10のpH範囲を有していてよい。選択される運転pHは、電気化学セルの運転において用いる触媒の関数である可能性がある。好ましくは、カソード液及び触媒は、電気化学セルにおける腐食を阻止するように選択することができる。カソード液には均質触媒を含ませることができる。均質触媒は芳香族複素環式アミンとして規定され、非置換及び置換ピリジン類及びイミダゾール類を挙げることができるが、これらに限定されない。置換ピリジン類及びイミダゾール類としては、モノ及びジ置換ピリジン類及びイミダゾール類を挙げることができるが、これらに限定されない。例えば、好適な触媒としては、直鎖又は分岐鎖低級アルキル(例えばC1〜C10)モノ及びジ置換化合物、例えば2メチルピリジン、4−tert−ブチルピリジン、2,6−ジメチルピリジン(2,6−ルチジン);ビピリジン類、例えば4,4’−ビピリジン;アミノ置換ピリジン類、例えば4−ジメチルアミノピリジン;並びにヒドロキシル置換ピリジン類(例えば4−ヒドロキシピリジン)、並びに置換若しくは非置換キノリン又はイソキノリン類を挙げることができる。触媒としてはまた、好適には、置換又は非置換二窒素複素環式アミン、例えばピラジン、ピリダジン、及びピリミジンを挙げることもできる。他の触媒としては、一般に、アゾール類、イミダゾール類、インドール類、オキサゾール類、チアゾール類、置換種及び複合多環式アミン、例えばアデニン、プテリン、プテリジン、ベンズイミダゾール、フェナントロリンなどが挙げられる。
[00224]カソード液に電解液を含めることができる。カソード液電解液としては、アルカリ金属重炭酸塩、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、及び水酸化物を挙げることができる。水ではなく、プロピレンカーボネート、メタンスルホン酸、メタノールのような非水性電解液、及び他のイオン伝導性液体を用いることができ、アルカリ金属塩のような塩付加電解液を用いることができる。電解液には、Na2SO4、KCl、NaNO3、NaCl、NaF、NaClO4、KClO4、K2SiO3、CaCl2、グアニジニウムカチオン、Hカチオン、アルカリ金属カチオン、アンモニウムカチオン、アルキルアンモニウムカチオン、テトラアルキルアンモニウムカチオン、ハロゲン化物アニオン、アルキルアミン、ホウ酸塩、炭酸塩、グアニジニウム誘導体、亜硝酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ポリリン酸塩、過塩素酸塩、ケイ酸塩、硫酸塩、及び水酸化物の1以上を含ませることができる。
[00225]カソード液には更に、水性又は非水性溶媒を含ませることができる。水性溶媒には5%より多い水を含ませることができる。非水性溶媒には5%程度の水を含ませることができる。溶媒には、水、プロトン性溶媒、又は非プロトン性極性溶媒の1以上を含ませることができる。代表的な溶媒としては、メタノール、エタノール、アセトニトリル、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエステル、ブチロニトリル、1,2−ジフルオロベンゼン、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、スルホラン、1,4−ジオキサン、ニトロベンゼン、ニトロメタン、無水酢酸、イオン液体、及びこれらの混合物が挙げられる。
[00226]一態様においては、カソード液/アノード液の流量としては、2〜3,000gpm/フィート2(0.0076〜11.36m3/m2)又はそれ以上のようなカソード液/アノード液断面積流量範囲を挙げることができる。流速範囲は0.002〜20フィート/秒(0.0006〜6.1m/秒)であってよい。より高い運転圧力において電気化学セルのカソード液を運転することによって、より多くの溶解二酸化炭素を水溶液中に溶解させることができる。通常は、電気化学セルはマルチセル積層デザインにおいては約20〜30psigまでの圧力で運転することができるが、変更を加えて電気化学セルを100psigまでで運転することができる。電気化学セルは、2つの領域を分離するセパレーター120又は膜の上の圧力差を最小にするために、アノード液とカソード液を同じ圧力範囲で運転することができる。電気化学ユニットを約60〜100気圧まで又はそれ以上のより高い運転圧力において運転するために特別な電気化学のデザインを用いることができ、これは液体CO2中及び超臨界CO2運転範囲である。
[00227]他の態様においては、カソード液再循環流の一部を、背圧による流れの制限を用いるか、又はCO2注入と共にポンプを用いて別に加圧して、加圧された流れを次に電気化学セルのカソード液領域中に注入して、水溶液中の溶解CO2の量を増加させて転化収率を向上させることができるようにすることができる。更に、種々の手段によってカソード液再循環流中において二酸化炭素の微細気泡の生成を行って、溶液中における二酸化炭素の溶解度を最大にすることができる。
[00228]カソード液は、−10〜95℃、より好ましくは5〜60℃の温度範囲で運転することができる。より低い温度は、用いるカソード液及びこれらの凝固点によって制限される。一般に、温度がより低いと、カソード液の水溶液相中におけるCO2の溶解度がより高くなり、これはより高い転化率及び電流効率を得るのを助ける。欠点は、電気化学セルの運転電圧がより高くなる可能性があるので、最も低い運転コストで化学物質を製造するためには最適化を行う場合があることである。更に、カソード液は冷却することが必要な可能性があるので、外部熱交換器を用いて、カソード液の一部又は全部を熱交換器に通して流し、冷却水を用いて熱を除去してカソード液の温度を制御することができる。
[00229]アノード液の運転温度は、カソード液に関する範囲と同じ範囲であってよく、0℃〜95℃の範囲であってよい。更に、アノード液は冷却することが必要となる可能性があるので、外部熱交換器を用いて、アノード液の一部又は全部を熱交換器に通して流し、冷却水を用いて熱を除去してアノード液の温度を制御することができる。
[00230]電気化学セルには種々のタイプのデザインを含ませることができる。これらのデザインとしては、種々の高表面積カソード材料を用いるカソード液電解液の再循環を伴う流通又は貫流デザインの、電極と膜の間に限定量又はゼロの間隙を有するゼロギャップデザインを挙げることができる。電気化学セルには、種々の高表面積カソード材料を有する浸漬型の並流及び対向流の充填床及びトリクルベッドデザインを含ませることができる。また、電気化学セルに関してバイポーラ積層セルデザイン及び高圧セルデザインを用いることもできる。
[00231]アノード電極はカソード電極と同じであっても異なっていてもよい。酸条件下における二酸化イオウ及び硫化水素アノード酸化化学反応のために好ましい電解触媒被覆には、貴金属酸化物、例えばルテニウム及びイリジウム酸化物、並びにチタン、タンタル、ジルコニウム、又はニオブのようなバルブ金属基材上の金属及び酸化物としての白金及び金並びにこれらの組合せを含ませることができる。炭素及びグラファイトも、金属又は他の導電性基材上のホウ素ドープダイヤモンドフィルムに加えてアノードとして用いるのに好適である可能性がある。水酸化物を含む電解液中におけるようにアルカリ性条件下で酸化する硫化ナトリウム又は硫化水素のようなアノード液中の他のイオウベースの反応物質のために選択されるアノード材料としては、炭素、遷移金属、遷移金属酸化物、、炭素鋼、ステンレススチール、並びにアノードとして安定であるこれらの合金及び組合せを挙げることができる。アノードには、基アノード構造体の表面に施されている電解触媒被覆を含ませることができる。アノード液はカソード液と同じであっても異なっていてもよい。アノード液電解液はカソード液電解液と同じであっても異なっていてもよい。アノード液には溶媒を含ませることができる。アノード液溶媒はカソード液溶媒と同じであっても異なっていてもよい。例えば、イオウベースの反応物質としてSO2を含む酸アノード液のために好ましい電解触媒被覆には、貴金属酸化物、例えばルテニウム及びイリジウム酸化物、並びにチタン、タンタル、ジルコニウム、又はニオブのようなバルブ金属基材上の金属及び酸化物としての白金及び金並びにこれらの組合せを含ませることができる。アルカリ性又は水酸化物電解液などの他のアノード液のためには、アノードに、炭素、コバルト酸化物、ステンレススチール、遷移金属、並びにこれらの合金、酸化物、及び組合せを含ませることができる。アノードにおける反応を促進することを助ける高表面積アノード構造体を用いることができる。高表面積アノード基材料は、繊維、焼結粉末、焼結スクリーンなどから構成される網状形態であってよく、バイポーラセルアセンブリにおいて通常的に用いられる電流分配器バックプレートに焼結、溶接、又は機械的に接続することができる。更に、高表面積網状アノード構造体にはまた、アノード液中へのSO2の導入のようなアノード表面から離れたバルク溶液中で起こる可能性がある反応を増進及び促進するためにアノード表面構造の電解触媒的に活性の表面又はその付近の上に触媒が更に適用されている領域を含ませることもできる。アノード構造体を段状にして、垂直又は水平方向における好適な変化によってアノード構造体からの気体のより容易な離脱を可能にすることができる。この段階付けにおいては、カソード区画の空間内、或いは第2の生成物の抽出器又は別の反応器内のような外部において無機担体上に堆積させることができる、Co、Ni、Mn、Zn、Cu、及びFeのような遷移金属をベースとするもののような遷移金属ベースの酸化物、並びに白金、金、銀、及びパラジウムをベースとする貴金属及びそれらの酸化物のような触媒を含んでいてよいアノード構造体中に混合されている材料の粒子の分布が存在する可能性がある。
[00232]膜とも呼ばれる電気化学セルのセパレーターは、電気化学セルのアノード領域とカソード領域の間に配置することができる。セパレーターとしてはカチオンイオン交換タイプの膜を挙げることができる。アニオンに対して高い除去効率を有するカチオンイオン交換膜が好ましい可能性がある。かかるカチオンイオン交換膜の例としては、DuPont Nafion(登録商標)ブランドの非強化タイプのN117及びN120シリーズ、より好ましくはPTFE繊維強化N324及びN424タイプ、並びにAGC Engineering(Asahi Glass)のような日本の企業によってFlemion(登録商標)の彼らの商品名で供給者商品名で製造されている同様の関連する膜のようなペルフッ素化スルホン酸ベースのイオン交換膜を挙げることができる。塩素アルカリ工業において用いられている他の多層ペルフッ素化イオン交換膜は、カルボン酸ベースの膜層に結合しているスルホン酸ベースの膜層の二層構造を有する可能性があり、これは約2又以上のpHのアノード液及びカソード液を用いて効率的に運転される。これらの膜は、より高いアニオン除去効率を有する可能性がある。これらは、DuPontによって、N90209、N966、N982のようなN900シリーズ、並びにN2010、N2020、及びN2030のような2000シリーズ、並びにこれらのタイプ及びサブタイプの全部としてNafion(登録商標)の商標で販売されている。より低いアニオン除去効率が重要でない場合には、販売されているものの中でも、Sybronによって彼らの商品名のlonac(登録商標)で、AGC Engineering(Asahi Glass)によって彼らのSelemion(登録商標)の商品名で、及びTokuyama Sodaによって販売されているもののような、種々のカチオンイオン交換材料から製造されている炭化水素ベースの膜を用いることもできる。広いpH範囲にわたって種々の化学物質に対して化学的に安定であり、ナトリウムイオンを選択的に輸送する、(ナトリウム超イオン伝導体に関して)NASICONの一般名で呼ばれており、その組成はNa1+xZr2SixP3−xO12であるセラミックベースの膜、並びにチタン酸化物、ジルコニウム酸化物、及びイットリウム酸化物、並びにβ−アルミニウム酸化物をベースとする他のセラミックベースの伝導性膜を用いることもできる。用いることができる別の膜は、クラウンエーテルベースの膜に加えて、ポリホスファゼン及びスルホン化ポリホスファゼン膜のような異なる構造骨格を有するものである。好ましくは、膜又はセパレーターは、アノード液及びカソード液に対して化学的に抵抗性である。
[00233]アノード液区画及びカソード液区画内で形成される反応物質の生成速度は、電気化学セルへの印加電流に比例する可能性がある。抽出器及びその選択される分離方法、例えば分別蒸留又は充填塔スクラビングの運転、製造される実際の生成物、及び所望の反応の選択率によって、生成する反応物質に対する反応物質の最適モル比が定まる。
[00234]電気化学セルは、3kA/m2(300mA/cm2)より高く、或いは0.5〜5kA/m2の好適な範囲内、又は必要な場合にはそれ以上の電流密度で容易に運転することができる。アノードは、好ましくは、カソードバックプレートと膜の間の間隙を充填し、したがってゼロギャップのアノード構造を与える、50cm2/cm3又はそれ以上の比表面積を有する高表面積構造体を有する。アノード電位を減少させ、及び/又はアノード電流密度を増加させるために、金属及び/又は金属酸化物触媒をアノードに加えることができる。アルカリ性条件下での硫化ナトリウムの酸化のためには、ステンレススチール又はニッケルをアノード材料として用いることもできる。
[00235]開示した方法における工程の具体的な順番又は序列は代表的なアプローチの例であることが理解される。デザインの嗜好に基づいて、開示されている主題の範囲内に維持しながら、本方法における工程の具体的な順番又は序列を再配列することができることが理解される。添付の方法クレームは、サンプルオーダーにおける種々の工程の幾つかの構成要素を表すものであり、必ずしも示されている具体的な順番又は序列に限定することは意図しない。
[00236]本発明及びそれに伴う有利性の多くは上記の記載によって理解されると考えられ、開示されている主題から逸脱することなく、又はその重要な有利性の全部を犠牲にすることなく、形態、構成、及び構成要素の配置において種々の変更を行うことができることは明らかであろう。記載された形態は単に例示に過ぎず、かかる変更を包含及び包容することが特許請求の意図である。
[発明の態様]
[1]
ガス拡散電極を含むアノードを含む電気化学セルのアノード液領域において水素ガスの供給流を受容すること;
電気化学セルのアノード液領域においてアノード液供給流を受容すること;
カソードを含む電気化学セルのカソード液領域において、二酸化炭素及びアルカリ金属重炭酸塩を含むカソード液供給流を受容すること;
電気化学セルのアノードとカソードの間に、二酸化炭素を還元生成物に還元するのに十分な電位を印加すること
を含む、二酸化炭素を還元する方法。
[2]
カソードを含む電気化学セルのカソード液領域において二酸化炭素ガスの供給流を受容すること
を更に含む、[1]の方法。
[3]
カソードはガス拡散電極を含む、[2]の方法。
[4]
電気化学セルへのアノード液供給流は水及びハロゲン化水素を含む、[1]の方法。
[5]
ハロゲン化水素は臭化水素又は塩化水素の少なくとも1つを含む、[4]の方法。
[6]
還元生成物はアルカリ金属ギ酸塩である、[4]の方法。
[7]
熱反応によってアルカリ金属ギ酸塩をアルカリ金属シュウ酸塩に転化すること;
電気化学的酸性化電解槽においてアルカリ金属シュウ酸塩を受容すること;
電気化学的酸性化電解槽において、アルカリ金属シュウ酸をシュウ酸に転化すること、及びアルカリ金属水酸化物、水素、及びハロゲンを共生成すること;
を更に含む、[6]の方法。
[8]
アノードを含む電気化学セルのアノード液領域において、水及びハロゲン化水素を含むアノード液供給流を受容すること;
ガス拡散電極を含むカソードを含む電気化学セルのカソード液領域において、二酸化炭素ガスの供給流を受容すること;
電気化学セルのカソード液領域において、二酸化炭素及びアルカリ金属重炭酸塩を含むカソード液供給流を受容すること;
電気化学セルのアノードとカソードの間に、二酸化炭素をアルカリ金属ギ酸塩に還元してハロゲンを共生成させるのに十分な電位を印加すること
を含む、二酸化炭素を還元する方法。
[9]
ハロゲン化水素は臭化水素又は塩化水素の少なくとも1つを含む、[8]の方法。
[10]
熱反応によってアルカリ金属ギ酸塩をアルカリ金属シュウ酸に転化すること;
電気化学的酸性化電解槽においてアルカリ金属シュウ酸塩を受容すること;
電気化学的酸性化電解槽において、アルカリ金属シュウ酸塩をシュウ酸に転化すること、及びアルカリ金属水酸化物、水素、及びハロゲンを共生成すること
を更に含む、[8]の方法。
[11]
第1のセル区画;
第1のセル区画内に配置されている、ガス拡散電極を含むアノード;
第2のセル区画;
第2のセル区画内に配置されているカソード;
第1のセル区画と第2のセル区画の間に介在されているセパレーター;
を含む電気化学セル;並びに
第1のセル区画に接続されており、水素ガスを第1のセル区画に供給するように構成されている水素ガス入口;
第1のセル区画に接続されており、アノード液を第1のセル区画に供給するように構成されているアノード液入口;
第2のセル区画に接続されており、二酸化炭素及びアルカリ金属重炭酸塩を含むカソード液を第2のセル区画に供給するように構成されているカソード液入口;及び
アノード及びカソードと操作可能に接続されており、アノード及びカソードに電力を供給して、カソードにおいて二酸化炭素を還元生成物に還元するように構成されているエネルギー源
を含む、二酸化炭素を還元するためのシステム。
[12]
電気化学セルは、アノード液入口からアノード液を受容するように構成されている、第1のセル区画内のアノードトリクルベッド溶液分配器を更に含む、[11]のシステム。
[13]
電気化学セルは、アノード液をアノードトリクルベッド溶液分配器中に分配するように構成されている、アノード液入口とアノードトリクルベッド溶液分配器の間の堰型流れ分配器を更に含む、[12]のシステム。
[14]
電気化学セルは、水素ガス入口から水素ガスを受容するように構成されているガスプレナムを含むアノード集電装置を更に含む、[11]のシステム。
[15]
アノードのガス拡散電極は、水素ガスをアノードのガス拡散電極に通過させるように構成されている、アノード集電装置のガスプレナムと近接している少なくとも1つの流路を含む、[14]のシステム。
[16]
アノードのガス拡散電極は、炭素布部分及び触媒層を含む、[15]のシステム。
[17]
第2のセル区画に接続されており、二酸化炭素ガスを第2のセル区画に供給するように構成されている二酸化炭素ガス入口を更に含む、[11]のシステム。
[18]
カソードはガス拡散電極を含む、[17]のシステム。
[19]
電気化学セルは、カソード液入口からカソード液を受容するように構成されている、第2のセル区画内のカソードトリクルベッド溶液分配器を更に含む、[18]のシステム。
[20]
電気化学セルは、カソード液をカソード液トリクルベッド溶液分配器中に分配するように構成されている、カソード液入口とカソードトリクルベッド溶液分配器の間の堰型流れ分配器を更に含む、[19]のシステム。
[21]
電気化学セルは、二酸化炭素ガス入口から二酸化炭素ガスを受容するように構成されているガスプレナムを含むカソード集電装置を更に含む、[18]のシステム。
[22]
カソードのガス拡散電極は、二酸化炭素ガスをカソードのガス拡散電極に通過させるように構成されている、カソード集電装置のガスプレナムと近接している少なくとも1つの流路を含む、[21]のシステム。