以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺及び縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
なお、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件および物理的特性並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「垂直」、等の用語や寸法、物理的特性の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
(第1の実施の形態)
図1〜図3を用いて、本発明の第1の実施の形態における発電素子について説明する。本実施の形態における発電素子は、振動エネルギーを電気エネルギーに変換することにより発電を行う素子である。
図1に、本発明の第1の実施の形態における発電素子1を縦断面で示し、図2に、図1の発電素子1のA−A線断面を示し、図3に、図1の発電素子1の発電回路を示す。図1に示すように、本実施の形態による発電素子1は、第1圧電素子10(第1電荷発生素子)と、Z軸方向(第1の方向)において第1圧電素子10に対向した第2圧電素子20(第2電荷発生素子)と、重錘体2と、筐体40と、を備えている。なお、説明を明瞭にするために、図1および図2に示すように、XYZ座標系を定義し、Z軸方向を上下方向とし、第1圧電素子10が下側に配置され、第2圧電素子20が上側に配置されるように発電素子1を配置した状態で以下の説明を行う。このため、本実施の形態における発電素子1は、Z軸方向を上下方向とした姿勢で使用されることに限られることはない。また、第1圧電素子10と第2圧電素子20のどちらを上側または下側に配置するかは任意である。
図1に示すように、第2圧電素子20は、第1圧電素子10よりも筐体40の第2内面42の側(図1における上側)に配置されている。そして、第1圧電素子10と第2圧電素子20とは互いに離間している。第1圧電素子10と筐体40の後述する第2内面42との間、すなわち、第1圧電素子10と第2圧電素子20との間には、変位空間3が設けられている。重錘体2は、この変位空間3内に収容されて、変位空間3内を変位可能になっている。本実施の形態においては、変位空間3内に1つの重錘体2が収容されており、重錘体2は、第1圧電素子10および第2圧電素子20、並びに後述する方向変換体30および筐体40等の他の部材に接続されておらず、支持されていない。このため、重錘体2は、重力の影響を除けば、変位空間3内を自由に変位可能になっている。なお、図1においては、重錘体2が、第1圧電素子10と第2圧電素子20との間で宙に浮いた状態で示されているが、図1の下方向(Z軸負側)に重力が作用している場合には、重錘体2は、重力の影響を受けて第1圧電素子10上に載置される。
本実施の形態においては、図1および図2に示すように、重錘体2は直方体形状を有しており、Z軸方向で見たときに正方形状で形成されている例が示されている。しかしながら、このことに限られることはなく、重錘体2は、立方体形状でもよく、球形状(図8等参照)や楕円体形状、円柱形状でもよく、任意である。重錘体2は、第1圧電素子10または第2圧電素子20に衝突させて発電を行わせることができれば、任意の材料を用いることができる。例えば、重錘体2は、シリコン、金属材料、プラスチック材料、またはゴム材料等で形成されていてもよい。なお、重錘体2は、第1圧電素子10や第2圧電素子20に衝突した際に破損せず、粉塵等を発生させない材料であることが好ましい。
第1圧電素子10と第2圧電素子20との間には、方向変換体30が設けられている。この方向変換体30は、Z軸方向に直交する方向(XY平面に沿う方向)に変位する重錘体2の変位方向をZ軸方向に変換するように構成されている。すなわち、方向変換体30は、Z軸方向における一側から他側に向かって、重錘体2から遠ざかるように形成された方向変換面31を有しており、この方向変換面31によって、重錘体2の変位方向が変換されるようになっている。
図2に示すように、方向変換体30は、Z軸方向で見たときに、重錘体2の外側に設けられている。本実施の形態では、方向変換体30は、重錘体2の周囲で全周にわたって連続状に形成されている。図2に示す例では、方向変換体30は、Z軸方向で見たときに正方形の枠状に形成されている。
本実施の形態による方向変換体30は、X軸方向(第2の方向)に変位する重錘体2の変位方向をZ軸方向に変換するとともに、Y軸方向(第3の方向)に変位する重錘体2の変位方向をZ軸方向に変換するようになっている。より具体的には、図2に示すように、方向変換体30は、X軸方向に変位する重錘体2の変位方向をZ軸方向に変換する一対のX軸方向変換面32と、Y軸方向に変位する重錘体2の変位方向をZ軸方向に変換する一対のY軸方向変換面33と、を有している。一対のX軸方向変換面32は、X軸方向において重錘体2の両側に配置され、一対のY軸方向変換面33は、Y軸方向において重錘体2の両側に配置されている。
X軸方向変換面32およびY軸方向変換面33は、第1圧電素子10から第2圧電素子20に向かって、重錘体2から遠ざかるように(Z軸方向で見たときに外側に向かうように)それぞれ形成されている。本実施の形態では、X軸方向変換面32およびY軸方向変換面33は、Z軸方向に沿う断面で見たときに直線状に形成されており、第1圧電素子10の上面(第2圧電素子20の側の面)や第2圧電素子20の下面(第1圧電素子10の側の面)に対して傾斜している。更に言えば、本実施の形態では、方向変換面31は、Z軸方向における任意の位置(図1における上下方向での任意の位置)でXY平面に平行(図1における左右方向)に切断してZ軸方向で見たときに、正方形枠状に形成されている(長方形枠状であってもよい)。このようにして、本実施の形態によるX軸方向変換面32およびY軸方向変換面33は、平坦状に形成されている。
しかしながら、X軸方向変換面32およびY軸方向変換面33は、第1圧電素子10から第2圧電素子20に向かって重錘体2から遠ざかるように形成されていれば、任意の形状を有していてもよい。例えば、X軸方向変換面32およびY軸方向変換面33は、Z軸方向に沿う断面で見たときに曲線状に形成されていてもよい。また、例えば、方向変換面31は、全体的にすり鉢状に形成されていてもよい。より具体的には、X軸方向変換面32およびY軸方向変換面33は、Z軸方向における任意の位置(図1における上下方向での任意の位置)でXY平面に平行(図1における左右方向)に切断してZ軸方向で見たときに、円形状や楕円形状で形成されていてもよい。この場合、X軸方向変換面32およびY軸方向変換面33は、Z軸方向に沿う断面で見たときに直線状または曲線状に形成されていてもよい。方向変換面31がすり鉢状に形成されている場合には、重錘体2は球形状であってもよい。
本実施の形態では、X軸方向変換面32はY軸に平行であり、Y軸方向変換面33はX軸に平行になっている。このため、直方体形状の重錘体2を、X軸およびY軸に平行に配置した場合には、X軸方向変換面32およびY軸方向変換面33は、Z軸方向で見たときに重錘体2の外形輪郭に沿うように(平行に)なる。
なお、図2においては、X軸方向変換面32とY軸方向変換面33とが直接的に接続されている例が示されている。この場合、X軸方向変換面32とY軸方向変換面33を任意のZ軸方向位置(図1における上下方向の位置)でXY平面に平行(図1における左右方向)に切断すると、X軸方向変換面32を示す線とY軸方向変換面33を示す線が直角をなすようになる。しかしながら、このことに限られることはなく、X軸方向変換面32とY軸方向変換面33とは、他の面を介して間接的に接続されていてもよい。例えば、X軸方向変換面32とY軸方向変換面33とが傾斜面(図示せず)を介して接続されていてもよい。この場合、XY平面に平行に切断すると、X軸方向変換面32とY軸方向変換面33との間に、これらの方向変換面32、33に対していずれも45度の角度をなす傾斜面を示す線が介在されるようになる。あるいは、X軸方向変換面32とY軸方向変換面33とが湾曲面(図示せず)を介して間接的に接続されていてもよい。この場合、XY平面に平行に切断すると、X軸方向変換面32を示す線とY軸方向変換面33を示す線との間に、湾曲面を示す曲線(例えば、1/4円弧をなす曲線)が介在されるようになる。
本実施の形態による方向変換体30は、第1圧電素子10上に設けられており、第1圧電素子10に支持されている。そして、方向変換体30は、第2圧電素子20に離間しており、方向変換体30と第2圧電素子20との間には隙間Gが形成されている。この隙間Gは、重錘体2が通過できないようになっている。すなわち、方向変換体30と第2圧電素子20との間の隙間Gは、重錘体2の外形寸法(重錘体2が直方体形状である場合には最小辺寸法)よりも小さくなっており、重錘体2が変位空間3から外側に移動できないようになっている。
方向変換体30は、重錘体2の変位方向をZ軸方向に変換させることができれば、任意の材料を用いることができる。例えば、方向変換体30は、シリコン、金属材料、プラスチック材料、またはゴム材料等で形成されていてもよい。
重錘体2が変位する変位空間3は、主として、第1圧電素子10の上面(後述する第1保護基板5が設けられている場合にはその上面)と、第2圧電素子20の下面(後述する第2保護基板6が設けられている場合にはその下面)と、X軸方向変換面32と、Y軸方向変換面33と、により画定されている。発電素子1にZ軸方向の振動が与えられた場合には、重錘体2はZ軸方向に変位し、第1圧電素子10の上面または第2圧電素子20の下面に衝突する。一方、発電素子1にX軸方向の振動が与えられた場合には、重錘体2はX軸方向(図2における左右方向)に変位し、X軸方向変換面32に衝突する。この場合、重錘体2の変位方向は、X軸方向変換面32によってZ軸方向に変換され、第1圧電素子10の上面または第2圧電素子20の下面(本実施の形態においては第2圧電素子20の下面)に衝突する。また、発電素子1にY軸方向の振動が与えられた場合には、重錘体2はY軸方向(図2における上下方向)に変位し、Y軸方向変換面33に衝突する。この場合、重錘体2の変位方向は、Y軸方向変換面33によってZ軸方向に変換され、第1圧電素子10の上面または第2圧電素子20の下面(本実施の形態においては第2圧電素子20の下面)に衝突する。
図1に示すように、上述した筐体40は、第1内面41と、Z軸方向において第1内面41に対向する第2内面42と、第1内面41と第2内面42とを接続する側面43と、を有している。第1内面41と第2内面42と側面43によって、第1圧電素子10、第2圧電素子20、方向変換体30および重錘体2が収容される収容空間47が画定されている。第1圧電素子10は、第1内面41に設けられており、筐体40に支持されている。第2圧電素子20は、第2内面42に設けられており、筐体40に支持されている。本実施の形態においては、図1および図2に示すように、筐体40は直方体形状を有しており、Z軸方向で見たときに正方形状で形成されている。筐体40は、底板44と、底板44の上方に設けられた天板45と、底板44と天板45との間に設けられた側板46と、により構成されていてもよい。このうち底板44が、上述した第1内面41を含み、天板45が、上述した第2内面42を含み、側板46が、上述した側面43を含む。側板46は、Z軸方向で見たときに正方形の枠状に形成される。筐体40は、重錘体2が第1圧電素子10または第2圧電素子20に衝突した際に剛性を確保することができれば任意の材料を用いることができる。例えば、筐体40は、シリコン、金属材料、プラスチック材料、ガラスまたはセラミック等で形成することができる。
図1に示すように、本実施の形態による第1圧電素子10は、重錘体2が衝突した際に電荷を発生させるようになっている。第1圧電素子10は、重錘体2の側(図1における上側)に設けられた第1上部電極層11(第1重錘体側電極層)と、第1上部電極層11とは反対側(図1における下側)に設けられた第1下部電極層12(第1反対側電極層)と、第1圧電材料層13(第1電荷発生材料層)と、を有している。第1圧電材料層13は、第1上部電極層11と第1下部電極層12との間に設けられている。このうち第1圧電材料層13は、例えば、圧電セラミック(チタン酸ジルコン酸鉛(PZT))、高分子強誘電体(ポリフッ化ビニリデン(PVDF))、圧電薄膜(PZT)、窒化アルミニウム(AIN)、ニオブ酸カリウムナトリウム(KNN)等で形成されていてもよい。
第1圧電素子10と同様に、本実施の形態による第2圧電素子20も、重錘体2が衝突した際に電荷を発生させるようになっている。第2圧電素子20は、重錘体2の側(図1における下側)に設けられた第2下部電極層21(第2重錘体側電極層)と、第2下部電極層21とは反対側(図1における上側)に設けられた第2上部電極層22(第2反対側電極層)と、第2圧電材料層23(第2電荷発生材料層)と、を有している。第2圧電材料層23は、第2下部電極層21と第2上部電極層22との間に設けられている。このうち第2圧電材料層23は、第1圧電材料層13と同様の材料で形成される。
第1上部電極層11および第2下部電極層21は、重錘体2が衝突した際に発生する電荷は、正電荷でも負電荷でもよい。本実施の形態では、正電荷が発生するとして説明する。ここで、第1圧電材料層13および第2圧電材料層23が薄膜状の圧電材料層である場合には、重錘体2が衝突した際に第1上部電極層11および第2下部電極層21で発生する電荷は、一義的に決められる場合が多い。ここで、一般的に、焼結によって形成される圧電セラミックでは、自発分極の向きがランダムになっているため、圧縮応力または引張応力を受けた場合であっても電荷は発生しない。しかしながら、高い電圧を印加して分極処理を行うことにより、圧電セラミックの自発分極の方向を揃えることができる。このような圧電セラミックで各圧電材料層13、23が形成されている場合には、分極処理で圧縮応力と引張応力とで発生する電荷の正負を意図的に変えることができる。このため、第1上部電極層11および第2下部電極層21で発生する電荷の正負に関わることなく、3次元的にいずれの方向の振動が与えられた場合においても、第1上部電極層11および第2下部電極層21に電荷を発生させることができるという点で、本実施の形態は有利である。
図1に示すように、本実施の形態による発電素子1は、発電回路4を更に備えている。この発電回路4は、第1圧電素子10および第2圧電素子20により発生した電荷に基づく電流を整流して電力を取り出して、負荷ZL(図3参照)に供給するように構成されている。発電回路4は、整流素子(ダイオード)、平滑用の容量素子(コンデンサ)を用いて構成することができる。
図3に、図1の発電素子1の発電回路4の構成を示す。本実施の形態による発電回路4は、例えば図3に示すような構成を有することができる。図3において、P1は、第1圧電素子10の第1圧電材料層13に相当する。P1の右側に示す縦線は、第1上部電極層11に相当し、P1の左側に示す縦線は、第1下部電極層12に相当する。P2は、第2圧電素子20の第2圧電材料層23に相当する。P2の右側に示す縦線は、第2下部電極層21に相当し、P2の左側に示す縦線は、第2上部電極層22に相当する。
発電回路4は、整流素子(ダイオード)と、平滑用の容量素子(コンデンサ)と、を有している。このうち整流素子D1(+)は、第1上部電極層11に発生した正電荷を取り出す機能を有しており、整流素子D2(+)は、第2下部電極層21に発生した正電荷を取り出す機能を有している。また、整流素子D1(−)は、第1下部電極層12に発生した負電荷を取り出す機能を有しており、整流素子D2(−)は、第2上部電極層22に発生した負電荷を取り出す機能を有している。
平滑用の容量素子Cfの正極端子(図3における上側の端子)に、整流素子D1(+)およびD2(+)によって取り出された正電荷が供給され、負極端子(図3における下側の端子)に、整流素子D1(−)およびD2(−)によって取り出された負電荷が供給される。この容量素子Cfは、発生した電荷の脈流を平滑化する機能を有している。また、容量素子Cfの一方の端子(図3における上側の端子)と第1下部電極層12との間には、整流素子D0(+)が接続され、容量素子Cfの他方の端子(図3における下側の端子)と第2上部電極層22との間には、整流素子として整流素子D0(−)が接続されている。整流素子D0(+)と整流素子D0(−)は、互いに逆方向を向いている。
容量素子Cfに並列接続されているZLは、発電素子1によって発電された電力の供給を受ける機器の負荷を示している。負荷ZLには、整流素子D1(+)およびD2(+)で取り出された正電荷と、整流素子D1(−)およびD2(−)で取り出された負電荷とが供給される。
このような発電回路4は、筐体40の外側に設けられていてもよい。しかしながら、後述する図8に示すように、筐体40内に設けられていてもよい。
第1圧電素子10の第1上部電極層11および第1下部電極層12は、図示しないボンディングワイヤで電気的に接続されており、これらのボンディングワイヤは、筐体40に設けられた貫通パッド(図示せず)を介して筐体40の外部に引き出されている。なお、後述する図8に示すように、第1圧電素子10に外側延長部14を設けて、第1上部電極層11および第1圧電材料層13に第1露出孔15を設けてもよい。この場合、第1下部電極層12と発電回路4とを接続するボンディングワイヤを、第1露出孔15を通して第1下部電極層12に容易に接続することができる。
また、第2圧電素子20の第2下部電極層21および第2上部電極層22は、図示しないボンディングワイヤで電気的に接続されており、これらのボンディングワイヤは、筐体40に設けられた貫通パッド(図示せず)を介して筐体40の外部に引き出されている。なお、後述する図8に示すように、第2圧電素子20の第2上部電極層22および第2圧電材料層23に第2露出孔24を設けてもよい。この場合、第2下部電極層21と発電回路4とを接続するボンディングワイヤを、第2露出孔24を通して第2下部電極層21に容易に接続することができる。
ところで、図1に示すように、重錘体2と第1圧電素子10との間には、第1保護基板5が介在されている。ここでは、第1保護基板5は、第1圧電素子10の第1上部電極層11の上面(重錘体2の側の面)に設けられている。第1上部電極層11の全体が、第1保護基板5によって覆われている。第1保護基板5は、第1圧電素子10を保護することができれば、任意の材料で形成することができる。例えば、第1保護基板5は、シリコン、金属材料、プラスチック材料またはゴム材料等で形成されていてもよい。重錘体2が金属材料で形成される場合には、第1保護基板5は、絶縁材料で形成されていてもよい。
同様に、重錘体2と第2圧電素子20との間には、第2保護基板6が介在されている。ここでは、第2圧電素子20の第2下部電極層21の下面(重錘体2の側の面)に、第2保護基板6が設けられている。第2下部電極層21の全体が、第2保護基板6によって覆われている。第2保護基板6は、第1保護基板5と同様の材料で形成されていてもよい。
本実施の形態による発電素子1を製造する方法の一例について説明する。
筐体40の底板44の第1内面41に、第1圧電素子10が形成される。この場合、まず、第1内面41に、第1下部電極層12、第1圧電材料層13および第1上部電極層11がスパッタリングでこの順番に成膜される。続いて、第1圧電素子10の第1上部電極層11の上面に、第1保護基板5が接着剤等で接着される。次に、第1保護基板5の上面に方向変換体30が接着剤等で接着される。方向変換体30は、例えばシリコン基板を水酸化カリウム水溶液等をエッチング剤として異方性エッチングで作製することができる。
筐体40の天板45の第2内面42に、第2圧電素子20が形成される。この場合、まず、第1圧電素子10と同様にして、第2上部電極層22、第2圧電材料層23および第2下部電極層21がこの順番に成膜される。その後、第2下部電極層21の下面に、第2保護基板6が接着される。
重錘体2は、直方体状に作製する場合には、金属材料等から切断加工等で作製することできる。重錘体2を球形状に作製する場合には、鋼球を用いてもよい。
第1圧電素子10が形成された底板44と、第2圧電素子20が形成された天板45と、側板46とから筐体40が作製される。この場合、まず、底板44に側板46が接着される。続いて、第1圧電素子10の第1上部電極層11および第1下部電極層12にボンディングワイヤが接続される。このボンディングワイヤは、筐体40に設けられた図示しない貫通パッドに接続される。同様にして、第2圧電素子20の第2上部電極層22および第2下部電極層21にボンディングワイヤが接続される。このボンディングワイヤが、貫通パッドに接続される。次に、方向変換体30の内側に、重錘体2が配置される。その後、側板46に、天板45が接着される。
このようにして、本実施の形態による発電素子1を得ることができる。しかしながら、発電素子1を製造する方法は、これに限られることはない。例えば、第1圧電素子10は、第1圧電材料層13(例えば、圧電セラミック)の上面および下面に、印刷を施すことによって、第1上部電極層11および第1下部電極層12を形成してもよい。そして、このように形成された第1圧電素子10を、筐体40の底板44の第1内面41に、接着剤で接着してもよい。第2圧電素子20についても同様である。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
図1および図2に示す発電素子1にZ軸方向の外部振動が与えられた場合、重錘体2は、変位空間3内でZ軸方向に変位する。このため、重錘体2は、第1圧電素子10および第2圧電素子20の一方に衝突する。一方の圧電素子10、20に衝突した後に重錘体2は反対側に変位して他方の圧電素子10、20に衝突する。そして、重錘体2はZ軸方向で往復運動を行い、第1圧電素子10および第2圧電素子20に交互に衝突する。
重錘体2が第1圧電素子10に衝突すると、第1圧電素子10の第1圧電材料層13が圧縮応力を受ける。この際、第1上部電極層11と第1下部電極層12には、圧縮応力に相応する電荷が発生するが、第1上部電極層11に発生する電荷と、第1下部電極層12に発生する電荷は符号が異なる。ここでは、第1上部電極層11に正電荷が発生し、第1下部電極層12に負電荷が発生する。
重錘体2が第2圧電素子20に衝突すると、第2圧電素子20の第2圧電材料層23が圧縮応力を受ける。この際、第2下部電極層21と第2上部電極層22には、圧縮応力に相応する電荷が発生するが、第2下部電極層21に発生する電荷と、第2上部電極層22に発生する電荷は符号が異なる。ここでは、第2下部電極層21に正電荷が発生し、第2上部電極層22に負電荷が発生する。
発生した電荷は、各圧電素子10、20の各電極層11、12、21、22から発電回路4(図3参照)に供給され、発電回路4によって平滑化される。平滑化された電力は、負荷ZLに供給される。
このようにして、Z軸方向の外部振動が与えられた場合には、本実施の形態による発電素子1が、振動エネルギーを電気エネルギーに変換し、発電を行うことができる。
また、図1および図2に示す発電素子1にX軸方向の外部振動が与えられた場合、重錘体2は、変位空間3内でX軸方向に変位する。このため、重錘体2は、方向変換体30の一方のX軸方向変換面32に衝突する。これにより、重錘体2の変位方向は、Z軸正側(図1における上側)に変換され、第2圧電素子20に衝突する。第2圧電素子20に衝突した後に重錘体2は反対側(図1における下側)に変位して第1圧電素子10に衝突し、第1圧電素子10および第2圧電素子20に交互に衝突する。この間、外部振動の大きさ次第では、重錘体2は他方のX軸方向変換面32に衝突し得るが、この場合においても、重錘体2の変位方向を再びZ軸方向に向けることができる。
このようにして重錘体2が第1圧電素子10または第2圧電素子20に衝突すると、上述したように各圧電素子10、20の各電極層11、12、21、22で電荷が発生する。発生した電荷は、平滑化された電力として、負荷ZLに供給される。このようにして、X軸方向の外部振動が与えられた場合においても、本実施の形態による発電素子1が、振動エネルギーを電気エネルギーに変換し、発電を行うことができる。
また、図1および図2に示す発電素子1にY軸方向の外部振動が与えられた場合、重錘体2は、変位空間3内でY軸方向に変位する。このため、重錘体2は、方向変換体30の一方のY軸方向変換面33に衝突する。これにより、重錘体2の変位方向は、Z軸正側(図1における上側)に変換され、第2圧電素子20に衝突する。第2圧電素子20に衝突した後に重錘体2は反対側に変位して第1圧電素子10に衝突し、第1圧電素子10および第2圧電素子20に交互に衝突する。この間、外部振動の大きさ次第では、重錘体2は他方のY軸方向変換面33に衝突し得るが、この場合においても、重錘体2の変位方向を再びZ軸方向に向けることができる。
このようにして重錘体2が第1圧電素子10または第2圧電素子20に衝突すると、上述したように各圧電素子10、20の各電極層11、12、21、22で電荷が発生する。発生した電荷は、平滑化された電力として、負荷ZLに供給される。このようにして、Y軸方向の外部振動が与えられた場合においても、本実施の形態による発電素子1が、振動エネルギーを電気エネルギーに変換し、発電を行うことができる。
このように本実施の形態によれば、Z軸方向において互いに対向する第1圧電素子10と第2圧電素子20との間に設けられた変位空間3内を重錘体2が変位可能になっており、方向変換体30によって、Z軸方向に直交する方向(XY平面に沿う方向)に変位する重錘体2の変位方向がZ軸方向に変換される。このことにより、Z軸に直交する方向の外部振動が発電素子1に与えられた場合においても、重錘体2の変位方向をZ軸方向に変換することができ、重錘体2を第1圧電素子10または第2圧電素子20に衝突させることができる。また、Z軸方向の外部振動が発電素子1に与えられた場合には、重錘体2をZ軸方向に変位させて第1圧電素子10または第2圧電素子20に衝突させることができる。このため、Z軸方向およびZ軸方向に直交する方向のいずれの方向の外部振動が与えられた場合であっても、第1圧電素子10または第2圧電素子20に電荷を発生させることができる。この結果、3軸発電を行うことができる。
また、本実施の形態によれば、方向変換体30のX軸方向変換面32およびY軸方向変換面33が、Z軸方向に沿う断面で見たときに直線状に形成されている。このことにより、Z軸方向に直交する方向に変位する重錘体2が方向変換面31のうちZ軸方向におけるいずれの位置に衝突した場合であっても、重錘体2の変位方向をZ軸方向に効果的に変換させることができる。このため、重錘体2の変位方向の変換機能を高めることができ、効率良く電荷を発生させることができる。
また、本実施の形態によれば、重錘体2は、第1圧電素子10、第2圧電素子20、方向変換体30および筐体40のいずれにも支持されていない。このことにより、重錘体2は、重力の影響を除き、変位空間3内を自由に変位することができる。このため、発電素子1の発電が外部振動の周波数に依存することを防止できる。
また、本実施の形態によれば、第1圧電素子10は、筐体40の第1内面41に支持され、第2圧電素子20は、筐体40の第2内面42に支持されている。このことにより、発電素子1の剛性を高めることができる。このため、重錘体2が圧電素子10、20に衝突した際に、圧電素子10、20が変形して応力が分散されることを抑制でき、効率良く電荷を発生させることができる。
また、本実施の形態によれば、方向変換体30は、第1圧電素子10に支持されて第2圧電素子20に離間している。このことにより、第1圧電素子10は、筐体40の第1内面41に支持され、第2圧電素子20は、筐体40の第2内面42に支持されているため、第1圧電素子10に支持される方向変換体30を第2圧電素子20に対して離間させることで、製造誤差があっても、発電素子1を組み付けることができる。
また、本実施の形態によれば、重錘体2と第1圧電素子10との間に、第1保護基板5が介在されている。このことにより、重錘体2の衝突によって第1圧電素子10が破損することを防止できるとともに、騒音が発生することを防止できる。このため、発電素子1の信頼性を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、重錘体2と第2圧電素子20との間に、第2保護基板6が介在されている。このことにより、重錘体2の衝突によって第2圧電素子20が破損することを防止できるとともに、騒音が発生することを防止できる。このため、発電素子1の信頼性を向上させることができる。
なお、上述した本実施の形態においては、第1電荷発生素子および第2電荷発生素子として第1圧電素子10および第2圧電素子20を用いる例について説明した。しかしながら、重錘体2の変位時に電荷を発生させることができれば、第1圧電素子10および第2圧電素子20を用いることに限られない。
また、上述した本実施の形態においては、第1圧電素子10の第1上部電極層11の上面に、第1保護基板5が設けられている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、重錘体2に、第1保護基板5が設けられて、第1圧電素子10に第1保護基板5が設けられていなくてもよい。あるいは、重錘体2が衝突しても第1圧電素子10の破損を回避可能である場合(例えば、重錘体2がゴム材料やプラスチック材料で形成されている場合)には、第1保護基板5は設けられていなくてもよい。第2保護基板6についても同様である。
また、上述した本実施の形態においては、変位空間3内に1つの重錘体2が収容されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、変位空間3内には、複数の重錘体2が収容されていてもよい。この場合、重錘体2の変位が他の重錘体2によって干渉されることを防止するために、重錘体2は球形状や楕円体形状であってもよい。このことにより、各圧電素子10、20への重錘体2の衝突回数を増やして、各圧電素子10、20における電荷の発生量を増大させることができる。
(第2の実施の形態)
次に、図4および図5を用いて、本発明の第2の実施の形態における発電素子について説明する。
図4および図5に示す第2の実施の形態においては、方向変換体の一部が、第2圧電素子に支持されている点が主に異なり、他の構成は、図1〜図3に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図4および図5において、図1〜図3に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図4に、本発明の第2の実施の形態における発電素子1を縦断面で示し、図5に、図4の発電素子1のB−B線断面を示す。本実施の形態においては、方向変換体30は、図5に示すように、Z軸方向で見たときの重錘体2の周囲で周方向に互いに異なる位置に設けられた第1変換体部分34Aおよび第2変換体部分34Bを有している。ここでは、方向変換体30は、一対の第1変換体部分34Aと、一対の第2変換体部分34Bと、を有している例が示されている。一対の第1変換体部分34Aは、X軸およびY軸に対して45度をなす方向において重錘体2の両側に配置されている。同様に、一対の第2変換体部分34Bは、X軸およびY軸に対して45度をなす方向において重錘体2の両側に配置されている。このため、第1変換体部分34Aと第2変換体部分34Bは、重錘体2の周囲で交互に配置されている。また、互いに隣り合う第1変換体部分34Aと第2変換体部分34Bとは、互いに離間している。このように、各変換体部分34A、34Bが、重錘体2の角部に対向するように配置されているため、第1変換体部分34Aおよび第2変換体部分34Bはそれぞれ、X軸方向変換面32A、32BとY軸方向変換面33A、33Bとを含むように構成されている。なお、図4においては、便宜上、左側に第1変換体部分34Aを示し、右側に第2変換体部分34Bを示している。
図4に示すように、第1変換体部分34Aは、第1圧電素子10に支持されている。そして、第1変換体部分34Aは、第2圧電素子20に離間しており、第1変換体部分34Aと第2圧電素子20との間には隙間Gが形成されている。この隙間Gは、重錘体2が通過できないようになっている。すなわち、第1変換体部分34Aと第2圧電素子20との間の隙間Gは、重錘体2の外形寸法(重錘体2が直方体形状である場合には最小辺寸法)よりも小さくなっており、重錘体2が変位空間3から外側に移動できないようになっている。第1変換体部分34AのX軸方向変換面32Aは、Y軸に平行に形成されており、第1圧電素子10から第2圧電素子20に向かって、重錘体2から遠ざかるように平坦状に形成されている。第1変換体部分34AのY軸方向変換面33Aは、X軸に平行に形成されており、第1圧電素子10から第2圧電素子20に向かって、重錘体2から遠ざかるように平坦状に形成されている。
第2変換体部分34Bは、第2圧電素子20に支持されている。そして、第2変換体部分34Bは、第1圧電素子10に離間しており、第2変換体部分34Bと第1圧電素子10との間には隙間Gが形成されている。この隙間Gは、重錘体2が通過できないようになっている。すなわち、第2変換体部分34Bと第1圧電素子10との間の隙間Gは、重錘体2の外形寸法(重錘体2が直方体形状である場合には最小辺寸法)よりも小さくなっており、重錘体2が変位空間3から外側に移動できないようになっている。第2変換体部分34BのX軸方向変換面32Bは、Y軸に平行に形成されており、第2圧電素子20から第1圧電素子10に向かって、重錘体2から遠ざかるように平坦状に形成されている。第2変換体部分34BのY軸方向変換面33Bは、X軸に平行に形成されており、第2圧電素子20から第1圧電素子10に向かって、重錘体2から遠ざかるように平坦状に形成されている。
本実施の形態においては、変位空間3内でX軸方向に変位する重錘体2が、第2変換体部分34BのX軸方向変換面32Bに衝突した場合、重錘体2の変位方向は、Z軸負側(図4における下側)に変換され、第1圧電素子10に衝突する。第1圧電素子10に衝突した後に重錘体2は反対側に変位して第2圧電素子20に衝突し、第1圧電素子10および第2圧電素子20に交互に衝突する。この間、外部振動の大きさ次第では、重錘体2は第1変換体部分34AのX軸方向変換面32Aに衝突し得るが、この場合においても、重錘体2の変位方向を再びZ軸方向に向けることができる。変位空間3内でY軸方向に変位する重錘体2が、第2変換体部分34BのY軸方向変換面33Bに衝突した場合でも同様である。このようにして、各圧電素子10、20の各電極層11、12、21、22で電荷を発生させることができる。
なお、図4および図5に示すように、重錘体2は、図1に示す形態における重錘体2よりも小さく形成されていてもよい。この場合、重錘体2が、第1変換体部分34AのX軸方向変換面32Aと第2変換体部分34BのX軸方向変換面32Bとに同時に衝突する可能性を低減させることができ、重錘体2の変位が停止することを抑制できる。
このように本実施の形態によれば、方向変換体30の第1変換体部分34Aは、第1圧電素子10に支持されており、第2変換体部分34Bは、第2圧電素子20に支持されている。このことにより、Z軸方向に直交する方向に変位する重錘体2が方向変換体30に衝突した際の衝撃力を、第1圧電素子10と第2圧電素子20に分散させることができる。このため、各圧電素子10、20の破損を効果的に防止することができ、発電素子1の信頼性をより一層向上させることができる。
なお、上述した本実施の形態においては、第1変換体部分34Aおよび第2変換体部分34Bはそれぞれ、X軸方向変換面32A、32Bと、Y軸方向変換面33A、33Bと、を含んでいる例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、第1変換体部分34AはY軸方向変換面33Aを含んでいなくてもよく、第2変換体部分34BはX軸方向変換面32Bを含んでいなくてもよい。すなわち、Y軸に平行なX軸方向変換面32Aを含む一対の第1変換体部分34Aを、X軸方向において重錘体2の両側に配置し、X軸に平行なY軸方向変換面33Bを含む一対の第2変換体部分34Bを、Y軸方向において重錘体2の両側に配置するようにしてもよい。この場合、重錘体2の角部に対向する位置には、第1変換体部分34Aと第2変換体部分34Bとの間の隙間が存在し、Z軸方向で見たときに、重錘体と第1変換体部分34Aと第2変換体部分34Bとが十字状に配置される。このような形態においても、Z軸方向に直交する方向に変位する重錘体2の変位方向を、Z軸方向に変換することができる。
また、上述した本実施の形態においては、第2変換体部分34Bが、第2圧電素子20に支持されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、第2変換体部分34Bは、第1圧電素子10に支持されるようにしてもよい。この場合、方向変換体30は、後述する図11等に示す方向変換体30と同様な構成になる。
(第3の実施の形態)
次に、図6および図7を用いて、本発明の第3の実施の形態における発電素子について説明する。
図6および図7に示す第3の実施の形態においては、発電素子が、第2圧電素子を備えていない点が主に異なり、他の構成は、図1〜図3に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図6および図7において、図1〜図3に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図6に、本発明の第2の実施の形態における発電素子1を縦断面で示す。図6に示すように、本実施の形態においては、筐体40の第2内面42に第2圧電素子20は設けられておらず、第2内面42が第1圧電素子10に対向している。変位空間3は、第1圧電素子10と第2内面42との間に設けられている。より具体的には、変位空間3は、主として、第1圧電素子10の上面(第1保護基板5が設けられている場合にはその上面)と、第2内面42(第2保護基板6が設けられる場合にはその下面)と、方向変換体30のX軸方向変換面32およびY軸方向変換面33(図2参照)と、により画定されている。第2内面42には、上述した第2保護基板6が設けられていてもよい。本実施の形態による筐体40は、第1内面41を含む底板44と、第2内面42を含む天板側部材48と、を含んでいる。天板側部材48は、図1に示す天板45と側板46とを一体に形成した部材である。
方向変換体30は、図1および図2に示す形態と同様にして、第1圧電素子10上に設けられており、第1圧電素子10に支持されている。そして、方向変換体30は、筐体40の第2内面42に離間しており、方向変換体30と第2内面42との間には、隙間Gが形成されている。この隙間Gは、重錘体2が通過できないようになっている。X軸方向変換面32およびY軸方向変換面33は、第1圧電素子10から筐体40の第2内面42に向かって、重錘体2から遠ざかるようにそれぞれ形成されている。
本実施の形態においては、変位空間3内でZ軸方向に変位する重錘体2は、第1圧電素子10と筐体40の第2内面42に交互に衝突する。また、変位空間3内でX軸方向に変位する重錘体2は、X軸方向変換面32に衝突して、Z軸正側(図6における上側)に重錘体2の変位方向が変換される。これにより、重錘体2は第2内面42に衝突する。第2内面42に衝突した後に重錘体2は反対側(図6における下側)に変位して、第1圧電素子10に衝突し、第1圧電素子10および第2内面42に交互に衝突する。この間、外部振動の大きさ次第では、重錘体2は他方のX軸方向変換面32に衝突し得るが、この場合においても、重錘体2の変位方向を再びZ軸方向に向けることができる。変位空間3内でY軸方向に変位する重錘体2も同様に第1圧電素子10に衝突することができる。
このようにして、重錘体2が第1圧電素子10に衝突すると、第1圧電素子10の各電極層11、12で電荷を発生させることができる。
このように本実施の形態によれば、Z軸方向およびZ軸方向に直交する方向のいずれの方向の外部振動が与えられた場合であっても、重錘体2を第1圧電素子10に衝突させて、電荷を発生させることができる。一方、筐体40の第2内面42に第2圧電素子20が設けられていない。このため、3軸発電を行うことができる発電素子1の構成を簡素化して製造効率を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、方向変換体30が第1圧電素子10に支持されている。このことにより、第1圧電素子10に方向変換体30を積層させることができ、第1圧電素子10および方向変換体30を一体的に作製することができる。このため、第1圧電素子10と方向変換体30の位置合わせを容易化させることができ、発電素子1の製造効率を向上させることができる。
なお、上述した本実施の形態においては、方向変換体30が、第1圧電素子10に支持されている例について説明した。しかしながら、これに限られることはなく、例えば、図7に示すように、方向変換体30は、筐体40の第2内面42に支持されるようにしてもよい。図7に、図6に示す発電素子1の変形例を縦断面で示す。
図7に示す変形例においては、方向変換体30は、第1圧電素子10に離間しており、方向変換体30と第1圧電素子10との間には、重錘体2が通過することができない隙間Gが形成されている。X軸方向変換面32およびY軸方向変換面33は、第2内面42から第1圧電素子10に向かって、重錘体2から遠ざかるようにそれぞれ形成されている。
図7に示す変形例においては、変位空間3内でZ軸方向に変位する重錘体2は、第1圧電素子10と筐体40の第2内面42に交互に衝突する。また、変位空間3内でX軸方向に変位する重錘体2は、X軸方向変換面32に衝突して、Z軸負側(図7における下側)に重錘体2の変位方向が変換される。これにより、重錘体2は第1圧電素子10に衝突する。第1圧電素子10に衝突した後に重錘体2は反対側(図7における上側)に変位して、第2内面42に衝突し、第2内面42および第1圧電素子10に交互に衝突する。この間、外部振動の大きさ次第では、重錘体2は他方のX軸方向変換面32に衝突し得るが、この場合においても、重錘体2の変位方向を再びZ軸方向に向けることができる。変位空間3内でY軸方向に変位する重錘体2も同様に第1圧電素子10に衝突することができる。
このようにして、重錘体2が第1圧電素子10に衝突すると、第1圧電素子10の各電極層11、12で電荷を発生させることができる。
図7に示す変形例によれば、Z軸方向およびZ軸方向に直交する方向のいずれの方向の外部振動が与えられた場合であっても、重錘体2を第1圧電素子10に衝突させて、電荷を発生させることができる。一方、筐体40の第2内面42に第2圧電素子20が設けられていない。このため、3軸発電を行うことができる発電素子1の構成を簡素化して製造効率を向上させることができる。また、図7に示す変形例によれば、方向変換体30が筐体40の第2内面42に支持されている。このことにより、重錘体2が方向変換体30に衝突した際の衝撃力が第1圧電素子10に与えられることを防止できる。このため、第1圧電素子10の破損を効果的に防止することができ、発電素子1の信頼性をより一層向上させることができる。更に、筐体40の天板側部材48と方向変換体30を一体的に(例えば、射出成型などで)作製することができ、製造効率を向上させることができる。
(第4の実施の形態)
次に、図8を用いて、本発明の第4の実施の形態における発電素子について説明する。
図8に示す第4の実施の形態においては、方向変換体が第1圧電素子から第2圧電素子に延びて、第2圧電素子が第1圧電素子に支持される点が主に異なり、他の構成は、図1〜図3に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図8において、図1〜図3に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図8に、本発明の第4の実施の形態における発電素子1を縦断面で示す。図8に示すように、本実施の形態においては、方向変換体30は、第1圧電素子10に支持されている。そして、方向変換体30は、第1圧電素子10から第2圧電素子20に延びており、第2圧電素子20は方向変換体30を介して第1圧電素子10に間接的に支持されている。第1圧電素子10は、筐体40の第1内面41に支持されており、第2圧電素子20は、方向変換体30を介して第1圧電素子10に支持されている。すなわち、第2圧電素子20は、方向変換体30および第1圧電素子10を介して筐体40の第1内面41に間接的に支持されている。第2圧電素子20は、筐体40の第2内面42に離間している。なお、本実施の形態においても、第1圧電素子10の第1上部電極層11の上面に、第1保護基板5が設けられており、第2圧電素子20の第2下部電極層21の下面に、第2保護基板6が設けられている。
第1圧電素子10と筐体40の第1内面41との間に、台座7が介在されている。この台座7は、筐体40の第1内面41に支持されている。このようにして、第1圧電素子10は、台座7を介して筐体40の第1内面41に支持されている。台座7は、重錘体2が第1圧電素子10または第2圧電素子20に衝突した際に剛性を確保することができれば任意の材料を用いることができる。例えば、台座7は、シリコン、金属材料、プラスチック材料、ガラス、セラミックまたはガラスエポキシ等で形成することができる。
図8においては、重錘体2が球形である例について示されている。しかしながら、このことに限られることはなく、重錘体2の形状は任意である。
本実施の形態では、図8に示すように、発電回路4は、筐体40の内部(すなわち、収容空間47内)に設けられている。この発電回路4と、各圧電素子10、20の各電極層11、12、21、22が、ボンディングワイヤで電気的に接続されている。
より具体的には、第1圧電素子10の第1上部電極層11が、ボンディングワイヤW11で発電回路4に接続され、第1圧電素子10の第1下部電極層12が、ボンディングワイヤW12で発電回路4に接続されている。ここで、第1圧電素子10は、方向変換体30よりも外側に延びる外側延長部14を有している。図8においては、一例として、外側延長部14がX軸負側(図8における左側)に延びている例を示している。この外側延長部14における第1上部電極層11および第1圧電材料層13に、第1下部電極層12を露出させる第1露出孔15が設けられている。ボンディングワイヤW12は、この第1露出孔15を通って、第1下部電極層12に接続されている。第1露出孔15は、第1圧電素子10の第1上部電極層11および第1圧電材料層13をエッチングすることにより形成することができる。
第2圧電素子20の第2下部電極層21が、ボンディングワイヤW21で発電回路4に接続され、第2圧電素子20の第2上部電極層22が、ボンディングワイヤW22で発電回路4に接続されている。ここで、第2圧電素子20の第2上部電極層22および第2圧電材料層23には、第2下部電極層21を露出させる第2露出孔24が設けられている。ボンディングワイヤW21は、この第2露出孔24を通って、第2下部電極層21に接続されている。第2露出孔24は、第2圧電素子20の第2上部電極層22および第2圧電材料層23をエッチングすることにより形成することができる。
発電回路4から筐体40の貫通パッド(図示せず)を貫通して筐体40の外部に信号線W31、W32が引き出されており、負荷ZL(図3参照)に接続されている。
図8に示すように、本実施の形態による第2圧電素子20においては、第2上部電極層22が厚く形成されている。例えば、第2上部電極層22の厚みは、第2下部電極層21の厚みより厚くなっていてもよい。あるいは、第2上部電極層22の厚みは、第2圧電材料層23の厚みよりも厚くなっていてもよく、更には、第2圧電材料層23の厚みの2倍以上であってもよい。
このように本実施の形態によれば、方向変換体30が、第1圧電素子10から第2圧電素子20に延びており、第2圧電素子20が、方向変換体30、第1圧電素子10および台座7を介して筐体40の第1内面41に支持されている。このことにより、第1圧電素子10に、方向変換体30を介して第2圧電素子20を積層させることができる。このため、第1圧電素子10、方向変換体30および第2圧電素子20を一体的に作製することができ、第1圧電素子10と第2圧電素子20の位置合わせを容易化させることができる。この結果、発電素子1の製造効率を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、第1圧電素子10と筐体40の第1内面41との間に、台座7が介在されている。このことにより、発電素子1の剛性を高めることができる。このため、重錘体2が圧電素子に衝突した際に、圧電素子の変形を防止することができ、効率良く電荷を発生させることができる。また、第1圧電素子10、第2圧電素子20、方向変換体30を、筐体40とは別に台座7上に形成することができ、製造効率を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、発電回路4が、筐体40の内部に設けられている。このことにより、発電回路4が筐体40に内蔵された発電素子1を得ることができ、筐体40と発電回路4とが別体に形成されることを回避できる。
また、本実施の形態によれば、第1圧電素子10の外側延長部14において、第1上部電極層11および第1圧電材料層13に、第1下部電極層12を露出させる第1露出孔15が設けられている。このことにより、ボンディングワイヤW12を第1下部電極層12に容易に接続させることができる。このため、ボンディングワイヤW12の接続作業性を向上させることができるとともに、ボンディングワイヤW12の接続信頼性を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、第2圧電素子20の第2上部電極層22および第2圧電材料層23に、第2下部電極層21を露出させる第2露出孔24が設けられている。このことにより、第2下部電極層21と発電回路4とを接続するボンディングワイヤW21を、第2露出孔24を通して第2下部電極層21に接続することができ、ボンディングワイヤW21の接続信頼性を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、第2上部電極層22の厚みが、第2下部電極層21の厚みより厚くなっている。このことにより、第2上部電極層22の剛性を高めることができ、重錘体2が第2圧電素子20に衝突した際に第2圧電材料層23が変形して、応力が分散されることを抑制できる。このため、第2下部電極層21と第2上部電極層22に発生する電荷が低減することを抑制できる。
なお、上述した本実施の形態においては、第1圧電素子10に第1露出孔15を設けて、ボンディングワイヤW12を第1露出孔15を通して第1下部電極層12に接続している例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、ボンディングワイヤW12を第1下部電極層12に接続することができれば、ボンディングワイヤW12の接続形態は任意である。第2下部電極層21へのボンディングワイヤW21の接続形態についても同様である。
(第5の実施の形態)
次に、図9を用いて、本発明の第5の実施の形態における発電素子について説明する。
図9に示す第5の実施の形態においては、変位空間内に複数の重錘体が収容されて、変位空間が、一の重錘体が収容される空間と、他の重錘体が収容される空間とに区画されている点が主に異なり、他の構成は、図1〜図3に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図9において、図1〜図3に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図9に、本発明の第5の実施の形態における発電素子1を縦断面で示す。図9に示すように、本実施の形態においては、変位空間3内に複数の重錘体2が収容されている。そして、変位空間3に、区画体50が設けられており、この区画体50によって、変位空間3が、一の重錘体2が収容される第1変位空間3a(図9における左側の空間)と、他の重錘体2が収容される第2変位空間3b(図9における右側の空間)とに区画されている。区画体50は、第2圧電素子20に支持されているが、第1圧電素子10に離間しており、区画体50と第1圧電素子10との間には隙間G’が形成されている。この隙間G’は、図1に示す隙間Gと同様に、重錘体2が通過できないようになっている。すなわち、区画体50と第1圧電素子10との間の隙間G’は、重錘体2の外形寸法(重錘体2が球形状である場合には直径寸法)よりも小さくなっており、重錘体2は、第1変位空間3aと第2変位空間3bとの間で行き来できないようになっている。なお、区画体50は、Y軸方向(図9における紙面に垂直な方向)に延びるように形成されてY軸に平行であってもよい。この場合、区画体50と、方向変換体30のY軸方向変換面33との間には、重錘体2が通過できないような隙間(図示せず)が形成されるようにしてもよい。
本実施の形態では、区画体50は、Z軸方向に直交する方向(XY平面に沿う方向)に変位する重錘体2の変位方向をZ軸方向に変換するように構成されている。この区画体50は、Z軸方向における一側から他側に向かって、重錘体2から遠ざかるように(変位空間3の内側に向かうように)形成された一対の区画体方向変換面51を有している。この区画体方向変換面51によって、重錘体2の変位方向が変換されるようになっている。本実施の形態では、区画体50は、第2圧電素子20に支持されている。このため、区画体方向変換面51は、第2圧電素子20から第1圧電素子10に向かって重錘体2から遠ざかるように形成されている。このようにして、区画体方向変換面51は、X軸方向に変位する重錘体2の変位方向をZ軸負側(図9における下側)に変換するように形成されている。
図9における左側の区画体方向変換面51は、第1圧電素子10、第2圧電素子20および方向変換体30と共に第1変位空間3aを画定し、第1変位空間3a内の重錘体2に対してX軸正側に配置されている。当該区画体方向変換面51は、第2圧電素子20から第1圧電素子10に向かって、第1変位空間3a内の重錘体2から遠ざかるように形成されている。第1変位空間3a内でX軸正側に変位する重錘体2は、区画体方向変換面51に衝突する。これにより、重錘体2の変位方向は、Z軸負側(図9における下側)に変換され、第1圧電素子10に衝突する。
一方、図9における右側の区画体方向変換面51は、第1圧電素子10、第2圧電素子20および方向変換体30と共に第2変位空間3bを画定し、第2変位空間3b内の重錘体2に対してX軸負側に配置されている。当該区画体方向変換面51は、第2圧電素子20から第1圧電素子10に向かって、第2変位空間3b内の重錘体2から遠ざかるように形成されている。第2変位空間3b内でX軸負側に変位する重錘体2は、区画体方向変換面51に衝突する。これにより、重錘体2の変位方向は、Z軸負側に変換され、第1圧電素子10に衝突する。
本実施の形態では、第1変位空間3aに1つの球形状の重錘体2が収容され、第2変位空間3bに1つの球形状の重錘体2が収容されている。しかしながら、第1変位空間3aには、複数の球形状の重錘体2が収容されるようにしてもよく、また球形以外の重錘体2が1つまたは複数収容されるようにしてもよい。第2変位空間3bに収容される重錘体2についても同様である。更には、第1変位空間3aに収容される重錘体2の個数と、第2変位空間3bに収容される重錘体2の個数は異なっていてもよい。
このように本実施の形態によれば、区画体50によって、変位空間3が、一の重錘体2が収容される第1変位空間3aと、他の重錘体2が収容される第2変位空間3bとに区画されている。このことにより、変位空間3内に複数の重錘体2が収容される場合であっても、一の重錘体2の変位が、他の重錘体2によって干渉されることを防止することができ、重錘体2同士が衝突することを防止できる。このため、発電素子1の発電効率を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、区画体50は、区画体方向変換面51を有しており、Z軸方向に直交する方向に変位する重錘体2の変位方向をZ軸方向に変換するように構成されている。このことにより、Z軸方向に直交する方向に変位する重錘体2が区画体50に衝突した場合に、重錘体2の変位方向をZ軸方向に変換することができる。このため、重錘体2を第1圧電素子10または第2圧電素子20に衝突させることができ、各圧電素子10、20における電荷の発生量を増大させることができる。
なお、上述した本実施の形態においては、変位空間3が、単一の区画体50によって2つの変位空間3a、3bに区画される例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、変位空間3に複数の区画体50を設けて、変位空間3を3つ以上の空間に区画してもよい。この場合、各空間に1つ以上の重錘体2を収容すればよい。
(第6の実施の形態)
次に、図10および図11を用いて、本発明の第6の実施の形態における発電素子について説明する。
図10および図11に示す第6の実施の形態においては、重錘体が弾性体を介して筐体の第1内面および第2内面に変位可能に支持されている点が主に異なり、他の構成は、図1〜図3に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図10および図11において、図1〜図3に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図10に、本発明の第6の実施の形態における発電素子1を縦断面で示し、図11に、図10の発電素子1のC−C線断面を示す。図10に示すように、本実施の形態における発電素子1は、重錘体2を変位可能に筐体40に支持する弾性体60を更に備えている。重錘体2は、弾性体60を介して、筐体40の第1内面41および第2内面42にそれぞれ支持されている。
図11に示すように、弾性体60は、接続部材70を介して重錘体2に接続されている。すなわち、Z軸方向で見たときに、重錘体2から外側に接続部材70が延びており、互いに隣り合う第1変換体部分34A同士の隙間を通っている。ここで、本実施の形態による方向変換体30は、図6および図7に示したような4つの第1変換体部分34Aによって構成されている。4つの第1変換体部分34Aは、Z軸方向で見たときの重錘体2の周囲で周方向に互いに異なる位置に配置されている。周方向で互いに隣り合う第1変換体部分34A同士は離間しており、当該第1変換体部分34A同士の間には、上述した接続部材70を配置することができる隙間が形成されている。そして、第1変換体部分34Aは、X軸方向およびY軸方向に沿って配置された重錘体2の角部に対応するように配置されている。
接続部材70は、方向変換体30の外側まで延びており、接続部材70の外側端部に、図10に示すように2つの弾性体60が接続されている。各弾性体60は、Z軸方向で見たときに方向変換体30の外側に配置されている。接続部材70の下側の弾性体60は、筐体40の第1内面41に接続されており、接続部材70の上側の弾性体60は、筐体40の第2内面42に接続されている。
例えば、重錘体2に4つの接続部材70が接続されていてもよく、これらの接続部材70は、Z軸方向に直交する方向(XY平面に沿う方向)に延びている。図11に示すように、2つの接続部材70は、X軸方向に延びており、X軸方向において重錘体2の両側に配置されている。残りの2つの接続部材70は、Y軸方向に延びており、Y軸方向において重錘体2の両側に配置されている。すなわち、Z軸方向で見たときには、4つの接続部材70は、十字状に配置されている。
接続部材70は、実質的に弾性作用が発揮できない剛体として構成されていてもよいが、弾性作用が発揮できるように構成されていてもよい。接続部材70は、例えば、シリコン、金属材料またはプラスチック材料等で形成されていてもよい。このような接続部材70は、重錘体2に接着剤等で接着されていてもよい。
弾性体60は、Z軸方向だけでなく、X軸方向およびY軸方向でも弾性作用を発揮できるように構成されていてもよい。弾性体60としては、例えば、コイルバネや板バネなどで構成することができる。弾性体60は、接続部材70および筐体40に対して、接着剤等で接着されていてもよい。
図10に示すように、本実施の形態による重錘体2は、弾性体60によって筐体40に支持されている。このことにより、重力の影響によって、上側(第2内面42の側)の弾性体60が引っ張られ、下側(第1内面41の側)の弾性体60が圧縮する。弾性体60の弾性力を調整することで、第1圧電素子10と第2圧電素子20との間で宙に浮いた状態になるようにしてもよい。図10においては、便宜上、重力が作用していない状態(無重力状態)での重錘体2の位置を示している。このため、重力が作用する場合には、重錘体2は図示の位置よりも下方に位置付けられるが、第1圧電素子10には接触しないように、弾性体60のバネ定数を調整することが好ましい。また、重力が作用している状態で重錘体2が第1圧電素子10と第2圧電素子20との中間位置に位置付けられるようにしてもよい。
例えば、重錘体2と弾性体60とで構成される振動系の共振周波数を1Hz〜数Hz程度となるように重錘体2の質量や弾性体60のバネ定数を設定してもよい。一般的な環境下では周波数の下限値は1Hz程度(人がゆっくり歩くときの上下振動の周波数)であり、上限は200Hz程度(多くのモータが設置されている工場などの設備の床に発生する振動の周波数)である。このため、上述した振動系の共振周波数を1Hz〜数Hz程度に設定すれば、一般的な環境下で発生するZ軸方向の振動(周波数で1Hz〜200Hz程度)が小さくても、重錘体2を変位させて、第1圧電素子10や第2圧電素子20に衝突させることができる。このため、幅広い周波数帯域で、非共振状態で発電を行うことができる。当然のことながら、発電素子1に与えられるZ軸方向の外部振動の周波数が1Hz〜数Hz程度であれば、共振状態での発電を行うこともできる。
Z軸方向の外部振動が発電素子1に与えられた場合には、重錘体2は、弾性体60の弾性作用を受けながらZ軸方向に往復運動を行う。このことにより、重錘体2は、第1圧電素子10と第2圧電素子20に交互に衝突する。
X軸方向の外部振動が発電素子1に与えられた場合には、重錘体2の変位方向を方向変換体30によってZ軸方向に変換することができ、重錘体2を第1圧電素子10または第2圧電素子20に衝突させることができる。図10に示す形態では、重錘体2は、方向変換体30に対して変位し、方向変換体30の一方のX軸方向変換面32Aに衝突する。これにより、重錘体2の変位方向は、Z軸正側(図10における上側)に変換され、第2圧電素子20に衝突する。その後、弾性体60の弾性作用によって、重錘体2は反対側に変位して第1圧電素子10に衝突し、往復運動を行い、第1圧電素子10および第2圧電素子20に交互に連続的に衝突する。この間、外部振動の大きさ次第では、重錘体2は他方のX軸方向変換面32Aに衝突し得るが、この場合においても、重錘体2の変位方向を再びZ軸方向に向けることができる。
Y軸方向の外部振動が発電素子1に与えられた場合においても、X軸方向の外部振動が与えられた場合と同様にして、重錘体2は、第1圧電素子10および第2圧電素子20に交互に連続的に衝突する。
このようにして重錘体2が第1圧電素子10および第2圧電素子20に連続的に衝突すると、上述したように各圧電素子10、20の各電極層11、12、21、22で電荷が連続的に発生する。
このように本実施の形態によれば、重錘体2が、変位可能に弾性体60によって筐体40に支持されている。このことにより、Z軸方向の外部振動が発電素子1に与えられた場合には、重錘体2がZ軸方向で往復運動し、第1圧電素子10および第2圧電素子20に交互に衝突することができる。また、Z軸方向に直交する方向(XY平面に沿う方向)の外部振動が発電素子1に与えられた場合においても、重錘体2の変位方向をZ軸方向に変換することができ、重錘体2を第1圧電素子10または第2圧電素子20に衝突させることができる。このため、Z軸方向およびZ軸方向に直交する方向のいずれの方向の外部振動が与えられた場合であっても、第1圧電素子10および第2圧電素子20に電荷を連続的に発生させることができる。この結果、3軸発電を連続的に行うことができる。
また、本実施の形態によれば、重錘体2が、変位可能に弾性体60によって筐体40に支持されている。このことにより、発電素子1に与えられるZ軸方向の外部振動が小さい場合であっても、発電を行うことができる。すなわち、外部振動の加速度が小さい場合には、重錘体2が各圧電素子10、20に対して変位しなくなり、重錘体2が圧電素子10、20に衝突しなくなる。これに対して、本実施の形態によれば、重錘体2が弾性体60によって筐体40に支持されているため、重錘体2の質量と弾性体60のバネ定数を調整することで、重錘体2を各圧電素子10、20に対して変位させて衝突させることができる。このため、小さな外部振動であっても発電を行うことができ、発電素子1の発電能力を高めることができる。なお、小さな外部振動でも効率良く発電を行うためには、外部振動が与えられていない状態で、一方の圧電素子10、20(例えば、第1圧電素子10)に対して重錘体2がわずかに浮いている状態となるように、重錘体2の質量や弾性体60のバネ定数を設定してもよい。例えば、重錘体2は、第1圧電素子10に対して比較的小さな隙間を介して位置付けられるようにしてもよい。
また、本実施の形態によれば、重錘体2は、弾性体60を介して、筐体40の第1内面41および第2内面42にそれぞれ接続されている。このことにより、重錘体2に作用する弾性作用を高めることができる。外部振動の加速度が小さい場合であっても、効果的に発電を行うことができ、発電素子1の発電能力を高めることができる。
また、本実施の形態によれば、弾性体60は、Z軸方向で見たときに、方向変換体30の外側に配置されている。このことにより、重錘体2を筐体40に支持するための弾性体60が、方向変換体30と干渉することを防止でき、弾性体60の配置を容易化させることができる。
また、本実施の形態によれば、弾性体60は、接続部材70を介して重錘体2に接続されている。このことにより、筐体40の第1内面41および第2内面42に接続された弾性体60と、重錘体2とを容易に接続することができる。
なお、上述した本実施の形態においては、4つの接続部材70のうちの2つの接続部材70がX軸方向に延びており、残りの2つの接続部材70がY軸方向に延びている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、XY平面において接続部材70が延びる方向は任意である。例えば、接続部材70は、X軸およびY軸に対して傾斜させてもよい。この場合、接続部材70を、X軸およびY軸に対して45度をなす方向に延ばしてもよい。
また、上述した本実施の形態においては、重錘体2から4つの接続部材70が延びており、各接続部材70の外側端部に、2つの弾性体60が接続されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、弾性作用を発揮させながら重錘体2を支持することができれば、接続部材70の個数は任意である。また、接続部材70に接続される弾性体60の個数も任意であり、例えば、接続部材70の外側端部には、いずれか一方のみの弾性体60が接続されるようにしてもよい。
また、上述した本実施の形態においては、第2圧電素子20が、筐体40の第2内面42に支持されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、図8に示す形態と同様にして、方向変換体30を第1圧電素子10から第2圧電素子20に延ばして、第2圧電素子20を、方向変換体30を介して第1圧電素子10に間接的に支持させるようにしてもよい。この場合、図8に示す形態と同様にして、第1圧電素子10と筐体40の第1内面41との間に台座7を介在させてもよい。
(第7の実施の形態)
次に、図12〜図14を用いて、本発明の第7の実施の形態における発電素子について説明する。
図12〜図14に示す第7の実施の形態においては、重錘体が、弾性体を介して筐体の側面に支持されている点が主に異なり、他の構成は、図10および図11に示す第6の実施の形態と略同一である。なお、図12〜図14において、図10および図11に示す第6の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図12に、本発明の第7の実施の形態における発電素子1を縦断面で示し、図13に、図12の発電素子1のD−D線断面を示す。図12に示すように、本実施の形態においては、重錘体2は、接続部材70および弾性体61、62を介して、筐体40の側面43に支持されている。
図12に示すように、本実施の形態による弾性体61、62は、板バネとして構成されている。弾性体61、62は、Z軸方向で弾性作用として発揮するだけではなく、X軸方向およびY軸方向にも弾性作用を発揮することができるように構成されている。なお、弾性体61、62は、弾性作用を発揮することができる材料であれば、任意の材料で形成されていてもよい。例えば、弾性体61、62は、シリコン、金属材料、プラスチック材料またはゴム材料等で形成されていてもよい。弾性体61、62は、接続部材70および筐体40に対して、接着剤等で接着されていてもよい。
すなわち、本実施の形態では、図13に示すように、重錘体2は4つの弾性体(第1弾性体61および第2弾性体62)によって筐体40に支持されている。このうち第1弾性体61が、X軸方向において重錘体2の両側に配置され、第2弾性体62が、Y軸方向において重錘体2の両側に配置されている。第1弾性体61および第2弾性体62はいずれも、XY平面に沿って延びており、板バネとしてZ軸方向で弾性作用を発揮できるように構成されている。
図13に示すように、第1弾性体61は、X軸方向(第1弾性体61に関しては、第2の方向がX軸方向に対応する)に延びる第1延在部61aと、第1延在部61aに接続され、Y軸方向(第1弾性体61に関しては、第3の方向がY軸方向に対応する)に延出する2つの第1折り返し部61bと、を有している。この第1折り返し部61bによって、第1弾性体61は、X軸方向で弾性作用を発揮できるとともにY軸方向で弾性作用を発揮できるように構成されている。
本実施の形態では、第1弾性体61は、2つの第1延在部61aと、2つの第1折り返し部61bと、を有しており、2つの第1延在部61aの間に、2つの第1折り返し部61bが配置されている。一方の第1折り返し部61bは、Y軸方向のうちの一側(Y軸負側)に延出し、他方の第1折り返し部61bは、Y軸方向のうちの他側(Y軸正側)に延出している。より具体的には、筐体40に接続された第1延在部61aの重錘体2の側の端部に、Y軸負側に延出する第1折り返し部61bの一端部が接続されている。当該第1折り返し部61bの他端部に、Y軸正側に延出する第1折り返し部61bの一端部が接続されている。当該第1折り返し部61bの他端部に、接続部材70に接続された第1延在部61aの筐体40の側の端部が接続されている。第1延在部61aは、直線状に形成された部分であり、第1折り返し部61bは、U字状に形成された部分である。図13に示す形態では、Y軸負側に延出する第1折り返し部61bが筐体40の側に配置されるとともに、Y軸正側に延出する第1折り返し部61bが重錘体2の側に配置されているが、これに限られることはない。Y軸負側に延出する第1折り返し部61bを重錘体2の側に配置し、Y軸正側に延出する第1折り返し部61bを筐体40の側に配置してもよい。
同様に、第2弾性体62は、Y軸方向(第2弾性体62に関しては、第2の方向がY軸方向に対応する)に延びる第2延在部62aと、第2延在部62aに接続され、X軸方向(第2弾性体62に関しては、第3の方向がX軸方向に対応する)に延出する2つの第2折り返し部62bと、を有している。この第2折り返し部62bによって、第2弾性体62は、X軸方向で弾性作用を発揮できるとともにY軸方向で弾性作用を発揮できるように構成されている。
本実施の形態では、第2弾性体62は、2つの第2延在部62aと、2つの第2折り返し部62bと、を有しており、2つの第2延在部62aの間に、2つの第2折り返し部62bが配置されている。一方の第2折り返し部62bは、X軸方向のうちの一側(X軸負側)に延出し、他方の第2折り返し部62bは、X軸方向のうちの他側(X軸正側)に延出している。図13に示す形態では、X軸負側に延出する第2折り返し部62bが、筐体40の側に配置されるとともに、X軸正側に延出する第2折り返し部62bが重錘体2の側に配置されているが、これに限られることはない。X軸負側に延出する第2折り返し部62bを重錘体2の側に配置し、X軸正側に延出する第2折り返し部62bを筐体40の側に配置してもよい。
このように本実施の形態によれば、重錘体2が、変位可能に弾性体61、62によって筐体40に支持されている。このことにより、Z軸方向の外部振動が発電素子1に与えられた場合には、重錘体2がZ軸方向で往復運動し、第1圧電素子10および第2圧電素子20に交互に衝突することができる。また、Z軸方向に直交する方向(XY平面に沿う方向)の外部振動が発電素子1に与えられた場合においても、重錘体2の変位方向をZ軸方向に変換することができ、重錘体2を第1圧電素子10または第2圧電素子20に衝突させることができる。このため、Z軸方向およびZ軸方向に直交する方向のいずれの方向の外部振動が与えられた場合であっても、第1圧電素子10および第2圧電素子20に連続的に電荷を発生させることができる。この結果、3軸発電を連続的に行うことができる。
また、本実施の形態によれば、重錘体2は、弾性体61、62を介して、筐体40の側面43に支持されている。このことにより、発電素子1の構成を簡素化して、製造効率を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、第1弾性体61は、X軸方向に延びる第1延在部61aと、Y軸方向に延出する第1折り返し部61bと、を有している。このことにより、第1弾性体61は、Z軸方向だけではなく、X軸方向で弾性作用を発揮させることができるとともにY軸方向で弾性作用を発揮させることができる。このため、発電素子1にZ軸方向に直交する方向の外部振動が与えられた場合であっても、重錘体2を良好に振動させることができ、第1圧電素子10および第2圧電素子20により一層連続的に電荷を発生させることができる。とりわけ、本実施の形態によれば、第1弾性体61が2つの第1折り返し部61bを有しており、一方の第1折り返し部61bはY軸負側に延出し、他方の第1折り返し部61bはY軸正側に延出している。この場合、弾性作用の指向性が生じることを防止できる。
また、本実施の形態によれば、第2弾性体62は、Y軸方向に延びる第2延在部62aと、X軸方向に延出する第2折り返し部62bと、を有している。このことにより、第2弾性体62は、Z軸方向だけではなく、X軸方向で弾性作用を発揮させることができるとともにY軸方向で弾性作用を発揮させることができる。このため、発電素子1にZ軸方向に直交する方向の外部振動が与えられた場合であっても、重錘体2を良好に振動させることができ、第1圧電素子10および第2圧電素子20により一層連続的に電荷を発生させることができる。とりわけ、本実施の形態によれば、第2弾性体62が、2つの第2折り返し部62bを有しており、一方の第2折り返し部62bはX軸負側に延出し、他方の第2折り返し部62bはX軸正側に延出している。この場合、弾性作用の指向性が生じることを防止できる。
なお、上述した本実施の形態においては、各弾性体60が、2つの折り返し部61b、62bを有している例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、各弾性体60を構成する折り返し部61b、62bは1つであってもよい。この場合であっても、弾性体61、62に、X軸方向およびY軸方向において弾性作用を発揮させることができる。
また、上述した本実施の形態においては、各弾性体61、62が、延在部61a、62aと折り返し部61b、62bとを有している例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、図14に示すように、弾性体61、62は、Z軸方向で見たときにL字状に形成されていてもよい。図14は、図13の発電素子の変形例を示す平面断面図である。この場合、第1弾性体61は、X軸方向に延びる第1X軸延在部61cと、第1X軸延在部61cに接続された、Y軸方向に延びる第1Y軸延在部61dと、を有している。第2弾性体62は、Y軸方向に延びる第2Y軸延在部62cと、第2Y軸延在部62cに接続された、X軸方向に延びる第2X軸延在部62dと、を有している。第1弾性体61は、X軸方向において重錘体2の両側に配置されており、第1Y軸延在部61dが筐体40の側に配置され、第1X軸延在部61cが重錘体2の側に配置されている。第2弾性体62は、Y軸方向において重錘体2の両側に配置されており、第2X軸延在部62dが筐体40の側に配置され、第2Y軸延在部62cが重錘体2の側に配置されている。図14に示す変形例においても、弾性体61、62に、X軸方向およびY軸方向において弾性作用を発揮させることができる。
(第8の実施の形態)
次に、図15および図16を用いて、本発明の第8の実施の形態における発電素子について説明する。
図15および図16に示す第8の実施の形態においては、重錘体が、弾性体を介して筐体の第2内面に変位可能であるとともに第1の方向に沿う平面内で回動可能に支持されている点が主に異なり、他の構成は、図1〜図3に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図15および図16おいて、図1〜図3に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図15に、本発明の第8の実施の形態における発電素子1を縦断面で示す。図15に示すように、本実施の形態においては、筐体40の第2内面42には、第2圧電素子20は設けられていない。そして、第1圧電素子10上には、第1保護基板5は設けられており、重錘体2と第1圧電素子10との間には第1保護基板5が介在されている。しかしながら、本実施の形態では、第1圧電素子10上には、方向変換体30は設けられていない。
重錘体2は、第1圧電素子10よりも第2内面42の側(図15における上側)に設けられている。重錘体2は、第1圧電素子10に離間しており、第1圧電素子10に対向している。
重錘体2は、単一の弾性体60を介して、筐体40の第2内面42に対して変位可能に支持されている。この弾性体60の上端部は、筐体40の第2内面42に接続されており、下端部は、重錘体2に接続されている。Z軸方向で見たときに、弾性体60の下端部は、重錘体2の中心に接続されている。弾性体60は、例えば、コイルバネや板バネなどで構成することができる。
また、重錘体2は、単一の弾性体60によって、Z軸方向に沿う平面内で回動可能に支持されている。すなわち、弾性体60は、Z軸方向に直交する方向に力を受けた場合に、弾性体60の上端部を中心として回動可能になっている。
Z軸方向の外部振動が発電素子1に与えられた場合には、重錘体2は、弾性体60の弾性作用を受けながらZ軸方向に往復運動を行う。このことにより、重錘体2は、第1圧電素子10に対する衝突を繰り返す。
X軸方向の外部振動が発電素子1に与えられた場合には、第1圧電素子10に対して重錘体2はX軸方向に変位しようとする。しかしながら、重錘体2は、単一の弾性体60によって筐体40の第2内面42に支持されている。このことにより、重錘体2のX軸方向の変位は、弾性体60の上端部を中心にした回動運動に変換される。この場合、重錘体2の進行方向の側の端部(例えば、図15において左側に重錘体2が移動しようとするときの左側の端部)は上昇し、進行方向とは反対側の端部(図15における右側の端部)は下降する。この下降した端部が、第1圧電素子10に衝突する。その後、弾性体60の弾性作用によって、重錘体2は、第1圧電素子10に衝突した後に、反対側に回動し、反対側の端部が第1圧電素子10に衝突する。このようにして、重錘体2は、往復回動運動を行い、X軸方向における両端部が第1圧電素子10に交互に衝突する。
Y軸方向の外部振動が発電素子1に与えられた場合においても、X軸方向の外部振動が与えられた場合と同様にして、重錘体2のY軸方向における両端部が、第1圧電素子10に交互に衝突する。
このようにして重錘体2が第1圧電素子10に衝突すると、上述したように第1圧電素子10の各電極層11、12で電荷が発生する。
このように本実施の形態によれば、第1圧電素子10に対向する重錘体2が、弾性体60によって、筐体40の第2内面42に支持されている。このことにより、Z軸方向の外部振動が発電素子1に与えられた場合には、重錘体2がZ軸方向で往復運動し、第1圧電素子10に対する衝突を繰り返すことができる。また、重錘体2は、Z軸方向に沿う平面内で回動可能に支持されているため、Z軸方向に直交する方向(XY平面に沿う方向)の外部振動が発電素子1に与えられた場合には、重錘体2の変位をZ軸方向に沿う平面内の回動運動に変換することができる。このため、外部振動の方向における重錘体2の両端部を、交互に下降させて第1圧電素子10に交互に衝突させることができる。このため、Z軸方向およびZ軸方向に直交する方向のいずれの方向の外部振動が与えられた場合であっても、第1圧電素子10に連続的に電荷を発生させることができる。この結果、3軸発電を連続的に行うことができる。
また、本実施の形態によれば、重錘体2は、単一の弾性体60によって筐体40の第2内面42に支持されている。このことにより、Z軸方向に直交する方向の外部振動が発電素子1に与えられた場合には、Z軸方向に沿う平面内で重錘体2をスムースに回動運動させることができ、外部振動の方向における重錘体2の両端部の上下動距離を増大させることができる。このため、重錘体2の当該両端部を、第1圧電素子10により一層長く連続的に衝突させることができ、第1圧電素子10により一層長く連続的に電荷を発生させることができる。
また、本実施の形態によれば、重錘体2と第1圧電素子10との間に、第1保護基板5が介在されている。このことにより、重錘体2の衝突によって第1圧電素子10が破損することを防止できるとともに、騒音が発生することを防止できる。このため、発電素子1の信頼性を向上させることができる。
なお、上述した本実施の形態においては、重錘体2が、単一の弾性体60を介して、筐体40の第2内面42に支持されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、重錘体2がZ軸方向に沿う平面内で回動可能であれば、複数の弾性体60を介して第2内面42に支持されていてもよい。
また、上述した本実施の形態においては、筐体40の第2内面42には、第2圧電素子20が設けられていない例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、例えば、図16に示すように、筐体40の第2内面42には、第2圧電素子20が設けられていてもよい。図16は、図15の発電素子の変形例を示す縦断面図である。この場合、第2圧電素子20は、弾性体60が貫通可能な貫通孔25を有している。このことにより、弾性体60を、重錘体2の中心付近に接続することができ、重錘体2をバランス良く支持することができる。このため、重錘体2は、Z軸方向に沿う平面内の回動運動を効率良く行うことができる。
図16に示す変形例においては、Z軸方向の外部振動が発電素子1に与えられた場合には、重錘体2は、弾性体60の弾性作用を受けながら、Z軸方向に往復運動を行う。このことにより、重錘体2は、第1圧電素子10および第2圧電素子20に交互に衝突する。
X軸方向の外部振動が発電素子1に与えられた場合には、第1圧電素子10および第2圧電素子20に対して重錘体2はX軸方向に変位しようとする。しかしながら、重錘体2は、単一の弾性体60によって筐体40の第2内面42に支持されている。このことにより、重錘体2のX軸方向の変位は、弾性体60の上端部を中心にした回動運動に変換される。この場合、重錘体2の進行方向の側の端部(例えば、図16において左側に重錘体2が移動しようとするときの左側の端部)は上昇し、第2圧電素子20に衝突する。一方、進行方向とは反対側の端部(図16における右側の端部)は下降し、第1圧電素子10に衝突する。その後、弾性体60の弾性作用によって、重錘体2は反対側に回動し、第2圧電素子20に衝突した端部は下降して第1圧電素子10に衝突するとともに、第1圧電素子10に衝突した端部は上昇して第2圧電素子20に衝突する。このようにして、重錘体2は、往復回動運動を行い、X軸方向における両端部が第1圧電素子10および第2圧電素子20への衝突を繰り返す。
Y軸方向の外部振動が発電素子1に与えられた場合においても、X軸方向の外部振動が与えられた場合と同様にして、重錘体2のY軸方向における両端部が、第1圧電素子10および第2圧電素子20への衝突を繰り返す。
このようにして重錘体2が第1圧電素子10および第2圧電素子20に衝突すると、上述したように各圧電素子10、20の各電極層11、12、21、22で電荷が発生する。
このように図16に示す変形例によれば、Z軸方向およびZ軸方向に直交する方向のいずれの方向の外部振動が与えられた場合であっても、重錘体2を第1圧電素子10および第2圧電素子20に衝突させて、第1圧電素子10および第2圧電素子20に連続的に電荷を発生させることができる。このため、3軸発電を連続的に行うことができる。
本発明は上記実施の形態および変形例そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態および変形例に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。実施の形態および変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態および変形例にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。