〔実施形態〕
本実施形態では、光学デバイス2、および光学デバイス2を備えた画像表示装置に関し、図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態に係る画像表示装置の光学的な構成を示す模式図である。図2は、画像光Lをシフトさせた様子を示す模式図である。図3は、画像表示装置の電気的な構成を示すブロック図である。なお、本実施形態では、光学デバイス2を画像表示装置としてのプロジェクター1に適用している。
図1に示すように、画像表示装置としてのプロジェクター1は、LCD方式のプロジェクターであり、光源102と、ミラー104a,104b,104cと、ダイクロイックミラー106a,106bと、液晶表示素子108R,108G,108Bと、ダイクロイックプリズム110と、光路偏向素子としての光学デバイス2と、投写光学装置112等を含んで構成されている。
プロジェクター1の光学的な動作に関して簡略化して説明する。
光源102は、例えば、ハロゲンランプ、水銀ランプ、発光ダイオード(LED)等を用いることができる。また、光源102は、白色光を射出するものが用いられる。光源102から射出された光は、ダイクロイックミラー106aによって赤色光(R)とその他の光とに分離される。赤色光は、ミラー104aで反射された後、液晶表示素子108Rに入射し、その他の光は、ダイクロイックミラー106bによって、緑色光(G)と青色光(B)とに分離される。そして、緑色光は、液晶表示素子108Gに入射し、青色光は、ミラー104b,104cで反射された後、液晶表示素子108Bに入射する。
液晶表示素子108R,108G,108Bは、それぞれ光変調装置として用いられる。液晶表示素子108R,108G,108Bは、それぞれR,G,Bの原色に対応する透過型の光変調装置であり、例えば、縦1080行、横1920列のマトリクス状に配列した画素を備えている。各画素では、入射光に対する透過光の光量が調整され、各液晶表示素子108R,108G,108Bにおいて全画素の光量分布が協調制御される。このような液晶表示素子108R,108G,108Bによってそれぞれ空間的に変調された光は、ダイクロイックプリズム110で合成され、ダイクロイックプリズム110からフルカラーの画像光Lが射出される。射出された画像光Lは、投写光学装置112によって拡大されてスクリーン8等に投写される。
プロジェクター1は、ダイクロイックプリズム110と投写光学装置112との間に光学デバイス2を備えている。プロジェクター1は、この光学デバイス2によって画像光Lの光軸をシフトさせることにより、投写させる画素の位置をずらすことで、液晶表示素子108R,108G,108Bの有する解像度よりも高い解像度(液晶表示素子108R,108G,108Bがフルハイビジョンであれば4K)の画像をスクリーン8に投写することができる。
画像光Lの光軸をシフトさせる原理に関して簡単に説明する。
光学デバイス2は、画像光Lを透過させるガラス板21(図4参照)を備えており、このガラス板21の姿勢を揺動により変化させることで、屈折を利用して画像光Lの光軸をシフトさせることができる。
図2に示すように、プロジェクター1は、光学デバイス2による光軸のシフトを利用して、画像光Lの光軸を一方側にシフトさせた場合の画像表示位置P1と、画像光Lの光軸を他方側にシフトさせた場合の画像表示位置P2とが、スクリーン8上で斜め方向(図2中の矢印方向)に、かつ半画素分(すなわち、画素Pxの半分)ずれるように制御する。そして、プロジェクター1が画像表示位置P1,P2に交互に画像を表示することにより、見かけ上で(疑似的に)画素数を増加させることで、スクリーン8に投写される画像の高解像度化が図られる。なお、画像表示位置P1,P2のずれ量は、半画素分に限定されず、例えば、画素Pxの1/4であってもよいし、3/4であってもよい。
本実施形態のプロジェクター1は、光学デバイス2や液晶表示素子108R,108G,108Bに加え、図3に示すように、制御回路120と画像信号処理回路122とを含んで構成されている。制御回路120は、液晶表示素子108R,108G,108Bに対するデータ信号の書き込み動作、光学デバイス2における光路偏向動作、画像信号処理回路122におけるデータ信号の発生動作等を制御する。一方、画像信号処理回路122は、図示しない外部装置から供給される画像信号VidをR,G,Bの3原色ごとに分離すると共に、それぞれの液晶表示素子108R,108G,108Bの動作に適したデータ信号Rv,Gv,Bvに変換する。変換されたデータ信号Rv,Gv,Bvは、それぞれ液晶表示素子108R,108G,108Bに供給され、それに基づいて液晶表示素子108R,108G,108Bが動作を行う。
図4は、プロジェクター1が備える光学デバイス2の上面側を示す斜視図である。図5は、プロジェクター1が備える光学デバイス2の下面側を示す斜視図である。なお、図4以降の図面では、説明の便宜上、XYZ直交座標系を用いる。また、以降では、X軸に平行な方向を「X軸方向」、Y軸に平行な方向を「Y軸方向」、Z軸に平行な方向を「Z軸方向」とも言い、+Z軸側を「上側」、−Z軸側を「下側」とも言う。なお、X軸は図4において支持部23の横方向となり、Y軸はX軸に直交して支持部23の縦方向となり、Z軸はX軸、Y軸に直交して支持部23の厚さ方向となる。また、以降では、Z軸方向から光学デバイス2を目視する場合を、「平面視」として使用する。
光学デバイス2の構成および動作に関して詳細に説明する。
光学デバイス2は、図4、図5に示すように、光透過性を有して入射する画像光Lを偏向させて射出する光学部としてのガラス板21と、ガラス板21を支持(収容)して揺動させる可動部22と、可動部22を揺動軸Jまわりに揺動可能に支持する一対の軸部24(24a,24b)と、軸部24を支持し、可動部22の周囲に枠状に形成される支持部23とを備えて構成されている。なお、支持部23と可動部22とは、軸部24により連結され一体に構成されている。なお、ガラス板21、可動部22、軸部24、支持部23により、光学デバイス2の構造部20を構成している。また、可動部22、軸部24、支持部23は、合成樹脂材料で構成されている。
また、光学デバイス2は、支持部23に対して可動部22を駆動(揺動)させるために、可動部22に設置される永久磁石26と、永久磁石26に作用させる磁界を発生させる一対のコイル27(27a,27b)と、それぞれのコイル27を支持(保持)して支持部23に設置するコイル支持部28(28a,28b)とを備えて構成されている。なお、永久磁石26、コイル27、コイル支持部28により、光学デバイス2の駆動部25を構成している。
光学デバイス2は、例えば、+Z軸側がダイクロイックプリズム110側、−Z軸側が投写光学装置112側を向くようにプロジェクター1内に配置されている。ただし、光学デバイス2の向きは、反対向きに配置されていてもよい。
図6は、光学デバイス2の支持部23の上面図である。図7は、光学デバイス2の支持部23の下面図である。図8は、光学デバイス2の分解斜視図である。図9は、光学デバイス2のY軸方向の断面図である。図10は、光学デバイス2のX軸方向の断面図である。図11は、ガラス板収容部221の突起部226とガラス板21との設置関係を示す断面図である。なお、図9は、詳細には、図6、図7が光学デバイス2を示すものとしてのA-A´断面図であり、図10は、同じくB-B´断面図である。図6から図11を参照して、光学デバイス2の構成に関して詳述する。
本実施形態の可動部22は、ガラス板21を収容する部分である。可動部22は、矩形の板状に形成され、貫通する状態で矩形のガラス板収容部221が形成されている。ガラス板収容部221は、4つの内周面225の+Z軸側(上側)の端部から内部に向かって突出するガラス板保持部222が形成されている。なお、4つの内周面225に対して、図7、図8に示すように、+Y軸方向から反時計回りに、内周面225a,225b,225c,225dとする。
本実施形態のガラス板収容部221は、図7、図8に示すように、交差する2つの内周面225a,225bから突出して設置される突起部226を備えている。突起部226は、断面が略半円形状でZ軸方向に延びて形成されている。そして、一方の内周面225aには、2つの突起部226a,226bを備えている。また、他方の内周面225bには、2つの突起部226c,226dを備えている。また、突起部226は、揺動軸Jから外れた部位に設置されている。
ガラス板21は矩形状に形成され、ガラス板21の一方の主面21aは、光が入射する入射面を構成し、他方の主面21bは、光が射出される射出面を構成している。なお、ガラス板21の4つの側面211に対して、図8に示すように、+Y軸方向から反時計回りに、側面211a,211b,211c,211dとする。
可動部22(ガラス板収容部221)へのガラス板21の組立ては、図8に示すように、ガラス板収容部221に、−Z軸側(下側)から矩形のガラス板21を挿入し、ガラス板保持部222にガラス板21の一方の主面21aを受けて保持させる。このように、ガラス板保持部222は、ガラス板21の厚さ方向(Z軸方向)でガラス板21の主面21aの外周部を保持する保持部として機能する。これにより、ガラス板21のZ方向の位置決めが行える。
次に、ガラス板21の平面方向の位置決めを行う。具体的には、ガラス板保持部222に当接したガラス板21に対し、ガラス板21の側面211を内周面225に設置する突起部226に当接させる。詳細には、ガラス板21の側面211aを内周面225aに設置した2つの突起部226a,226bに当接させる。また、ガラス板21の側面211bを内周面225bに設置した2つの突起部226c,226dに当接させる。これによりガラス板のY軸方向とX軸方向との位置決めが行われる。
図11は、突起部226c,226dとガラス板21の側面211bとの当接状態を示している。図11に示すように、突起部226c,226dに側面211bが当接することにより、内周面225bとガラス板21の側面211bとには、隙間Gが確保される。この関係は、突起部226a,226bとガラス板21の側面211aとの当接においても同様となる。なお、内周面225a,225bにそれぞれ相対する内周面225c,225dには突起部226は設置されていないが、上述した当接状態において、内周面225cとガラス板21の側面211c、及び、内周面225dとガラス板21の側面211dにはそれぞれ均一な隙間が確保される構成となる。
なお、ガラス板保持部222には、本実施形態では、初期的に紫外線硬化型の接着剤(図示省略)が塗布されており、ガラス板21をガラス板収容部221に上述した手順で収容した後、紫外線を照射して硬化させる。これにより、ガラス板21の主面21aの外周部がガラス板保持部222に固定される。なお、本実施形態では、突起部226と側面211との当接部位は接着されない。
以上の構成により、ガラス板収容部221の内周面225とガラス板21の側面211とが密着した状態で設置されることを回避することができる。これにより、ガラス板21を収容した可動部22が軸部24を基準に揺動した場合、ガラス板収容部221の内周面225とガラス板21の側面211とが擦れることを抑制することができる。
なお、ガラス板収容部221の内周面225とガラス板21の側面211とが擦れる部位は、突起部226a,226bと側面211a、及び突起部226c,226dと側面211bの当接する部位である。しかし、突起部226と側面211との当接部位は、ほぼ線接触となっている。これにより、突起部226と側面211との擦れる割合を極力低減させることができる。また、突起部226は、揺動軸Jから外れた部位に設置されているため、後述するが、可動部22が合成樹脂材料で構成されてガラス板21よりヤング率が小さい場合であっても、突起部226が例えば揺動軸J上の部位に設置される場合に比べて、可動部22の揺動によるネジレに対する変位を小さくさせることができる。
ガラス板21の大きさは、ダイクロイックプリズム110から射出される画像光Lを遮光することなく透過させることができるように適宜設定される。また、ガラス板21は、実質的に無色透明であることが好ましい。また、ガラス板21の画像光Lの入射面(主面21a)および射出面(主面21b)には反射防止膜が形成されていてもよい。
ガラス板21の構成材料は、特に限定されないが、例えば、白板ガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスのような各種ガラス材料を用いることができる。また、本実施形態では、光学部としてガラス板21を用いているが、光学部は、光透過性を有し、画像光Lを屈折させることができる材料で構成されていれば特に限定されず、ガラスの他にも、例えば、水晶、サファイアのような各種結晶材料、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂のような各種樹脂材料等で構成されたものであってもよい。ただし、光学部としては、本実施形態のようにガラス板21を用いることが好ましく、これにより、光学部の剛性を特に大きくすることができるので、光学部において偏向される画像光Lの偏向ムラを特に抑制することができる。
本実施形態の可動部22は、ガラス板収容部221の外側で、+Y軸側の端部に磁石収容部223が形成されている。磁石収容部223は、X軸方向に沿って伸びた矩形状で貫通する状態に形成される。磁石収容部223には、短辺側となる対向するそれぞれの内面には、+Z軸側(上側)の端部から内部に向かって突出する磁石受部224が形成されている。
可動部22(磁石収容部223)への永久磁石26の組立ては、図8、図9、図10に示すように、磁石収容部223に、−Z軸側(下側)から矩形の永久磁石26を挿入し、磁石受部224に永久磁石26の一方の面26aを受けさせる。これにより、永久磁石26のZ軸方向の位置決めが行える。そして、磁石収容部223の直交するいずれかの2つの内面に永久磁石26の外面をそれぞれ突き当てることで、永久磁石26のX軸、Y軸方向の位置決めを行う。その後、永久磁石26は、図示しない接着剤等によって、磁石収容部223の内面および磁石受部224に接着されて固定される。
可動部22の周囲には、可動部22を取り囲むように枠状の支持部23が形成されている。そして、可動部22と支持部23とが、一対の軸部24(24a、24b)によって連結されている。軸部24は、平面視で、矩形状の可動部22(ガラス板収容部221)の概略、対角線上のコーナー部に位置している。そして、ガラス板21の中心点と軸部24の中心とを結ぶ角度(例えば約45°)で傾斜する揺動軸Jが形成されている。可動部22は、この揺動軸Jまわりに揺動し、この揺動に伴ってガラス板21の姿勢が変化する。特に、光学デバイス2は、平面視で、軸部24(24a、24b)がガラス板21の中心点に対して点対称に配置されるため、可動部22の揺動バランスが良好となる。なお、揺動軸JのX軸(Y軸)に対する傾斜角は、45°に限定されない。
また、構造部20(可動部22、支持部23、および軸部24a、24b)は、ガラス板21の構成材料よりもヤング率が小さい材料で構成されている。これらの構成材料としては、合成樹脂材料を含むことが好ましく、合成樹脂材料を主成分とすることがより好ましい。これにより、可動部22の揺動に伴って発生する応力がガラス板21自体の不要な振動に繋がるのを効果的に抑えることができる。
本実施形態では、構造部20の構成材料としてポリカーボネートを含む合成樹脂材料で構成されている。なお、合成樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコーン、ポリアセタール、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンスルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、フッ素樹脂等が挙げられ、これらのうちの少なくとも1種を含むものを用いてもよい。
次に、可動部22を揺動させる駆動部25に関して説明する。
駆動部25は、図8に示すように、磁石収容部223に固定される永久磁石26と、永久磁石26に対応して配置されて永久磁石26に作用させる磁界を発生させる一対のコイル27(27a、27b)とで構成される。駆動部25は、電磁アクチュエーターである。一対のコイル27a、27bは、それぞれリング状に形成されて永久磁石26を挟んで配置される。具体的には、コイル27aは、永久磁石26の+Z軸側で永久磁石26と対向して配置される。また、コイル27bは、永久磁石26の−Z軸側で永久磁石26と対向して配置される。言い換えると、コイル27a,27bは、平面視で、永久磁石26と重なるように配置されている。このように、駆動部25として電磁アクチュエーターを用いることで、簡単な構成で可動部22を揺動させるのに十分な力を発生させることができ、可動部22をスムーズに揺動させることができる。なお、本実施形態では、コイル27a,27bは、空芯コイルとして使用する。
永久磁石26は、X軸方向に沿って延びる矩形状(概略、断面矩形の棒状)に形成され、Z軸方向(ガラス板21の厚み方向)に磁化されている。なお、永久磁石26は、ガラス板21に近づけて設置されるため、永久磁石26を揺動軸Jに近づけて配置することができ、可動部22の慣性モーメントを低減することができる。そのため、可動部22をよりスムーズに揺動させることができる。
永久磁石26としては、特に限定されず、例えば、ネオジム磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、アルニコ磁石等を用いることができる。
コイル27a、27bは、それぞれ、永久磁石26に対応してX軸方向に延在して設けられる。また、コイル27a、27bは、それぞれ、永久磁石26と所定の距離だけ離間して配置される。永久磁石26を挟んで一対のコイル27を設置することにより、永久磁石26の両側から永久磁石26に作用する磁界を発生させることができるため、可動部22をよりスムーズに揺動させることができる。
ここで、コイル27を支持部23に設置する方法に関して図8を参照して説明する。
コイル27は、コイル27を支持するコイル支持部28に支持され、コイル支持部28を支持部23にネジ固定することにより設置される。
コイル支持部28は、コイル27aを支持するコイル支持部28aと、コイル27bを支持するコイル支持部28bとで構成される。どちらのコイル支持部28も形状は略同一であり、支持部23に固定する場合の固定位置の関係で若干の形状の違いがある。なお、コイル支持部28の構成材料は、支持部23と比較して熱伝導率が大きく、かつ非磁性の材料が好ましく、例えば、アルミニウム、銅、銀、非磁性のステンレス鋼等が挙げられる。
コイル支持部28aは、コイル27aの延在方向に延び、断面がクランク状に曲折して形成されている。コイル支持部28aの一方の面にコイル27aが設置されて接着剤等で固定される。また他方の面には、ネジ固定するためのネジを挿通する2つの挿通孔281が設置されている。
コイル27aを支持部23に設置する場合には、コイル27aを固定したコイル支持部28aを、支持部23に固定する。具体的には、コイル27aが永久磁石26側を向くように、コイル支持部28aの向きを合せて、他方の面を、支持部23の載置面231(図6参照)に載置する。次に、ネジSC1をそれぞれの挿通孔281に挿通し、載置面231に形成される雌ネジ加工されていないネジ孔231a(図6参照)にねじ込むことで固定する。
コイル支持部28bも、コイル支持部28aと略同様に構成され、コイル27bを同様に接着剤で固定する。そして、コイル27bの向きを合せて、他方の面を、支持部23に形成される載置面232(図7、図8参照)に載置する。次に、ネジSC1をコイル支持部28bの3つの挿通孔(図示省略)に挿通し、載置面232に形成される雌ネジ加工されていないネジ孔232a(図7、図8参照)にねじ込むことで固定する。
以上の組立てにより、光学デバイス2が完成する。
なお、支持部23には、光学デバイス2を投写光学装置112の取り付け部(図示省略)にネジ固定するための挿通孔233aが複数(本実施形態では10個)形成されている。本実施形態の光学デバイス2は、投写光学装置112に固定される。固定にはこの挿通孔233aが用いられる。具体的には、ネジ(図示省略)を支持部23の面部23a側から挿通孔233aに挿通し、面部23b側を投写光学装置112の取付け部に当接させる。その後、取付け部に形成されるネジ孔(図示省略)にネジを螺合させて固定する。
本実施形態では、光学デバイス2(可動部22)の揺動(振動系)は、固有の共振周波数を有しており、共振周波数およびこの高調波を利用して駆動波形(本実施形態では略矩形に近い台形となる波形の繰り返し)を構成している。これにより、駆動部25が間欠的に駆動された場合に、駆動部25、および駆動部25に連動する可動部22は、応答性良く動作することが可能となり、揺動の応答性を向上させている。
ここで、ガラス板21の画像光Lの入射面と、投写光学装置112の光軸に垂直な面とのなす角度のことを、ガラス板21の傾き角度(単に角度)と称する場合。駆動部25が間欠的に駆動された場合、ガラス板21は、傾き角度(角度θ1)で一定時間保持され、一定時間内で角度θ1から角度θ2に変化し、角度θ2で一定時間保持され、一定時間内で角度θ2から角度θ1に変化し、…という動作を繰り返すことになる。なお、本実施形態では、角度θ1は0°としている。
可動部22(ガラス板21)の揺動により、ガラス板21は、入射した画像光Lを屈折させて透過させる。従って、設定された傾き角度(本実施形態では角度θ1,θ2)となるように、ガラス板21の姿勢を変化させることで、画像光Lの偏向方向や偏向量を制御することができる。
以上により、光学デバイス2として構成された場合、光学デバイス2は、ガラス板収容部221の内周面225とガラス板21の側面211とが擦れることを抑制するため、ガラス板21を含めた可動部22の共振周波数の変動を抑制し、振動特性を維持する。
上述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
本実施形態の光学デバイス2は、ガラス板収容部221の交差する2つの内周面225から突出する突起部226に、ガラス板21の側面211を当接させて設置することで、ガラス板収容部221の内周面225とガラス板21の側面211とが密着した状態で設置されることを回避することができる。これにより、ガラス板21を収容した可動部22が軸部24を基準に揺動した場合、ガラス板収容部221の内周面225とガラス板21の側面211とが擦れることを抑制できるため、ガラス板21を含めた可動部22の共振周波数の変動を抑制し、応答性能を含む振動特性を維持することができる。
本実施形態の光学デバイス2において、突起部226は、内周面225aに2つの突起部226a,226bが設置され、内周面225bに2つの突起部226c,226dが設置されている。これにより、ガラス板収容部221の内周面225とガラス板21の側面211とが密着した状態で設置されることを回避することができる。また、ガラス板21をガラス板収容部221に設置する際、Y軸方向の突起部226a,226bと、X軸方向の突起部226c,226dとにガラス板21の側面211a,211bをそれぞれ当接させることにより、平面方向での位置が決まり、回転を防止することができる。従って、安定した揺動を行わせることができ、振動特性への影響を抑制することができる。
本実施形態の光学デバイス2において、突起部226は、揺動軸Jから外れた部位に設置されているため、揺動軸J上の部位に突起部226を設置する場合に比べて、擦れる割合を低減させることができ、振動特性への影響を抑制することができる。
本実施形態の光学デバイス2は、可動部22に設けられた永久磁石26と、永久磁石26に作用させる磁界を発生させる一対のコイル27と、コイル27を支持するコイル支持部28と、を備え、コイル支持部28は、永久磁石26に対してコイル27を対向配置させて支持すると共に、支持部23に固定される。これにより、可動部22をスムーズに揺動させることができる。
本実施形態の光学デバイス2は、ガラス板21で、画像光Lを透過し、軸部24により揺動する。これにより、ガラス板21の揺動による画像光Lの屈折(偏向)を利用して、画像光Lの光軸をずらすことができる。
本実施形態のプロジェクター1は、安定した振動特性を有する光学デバイス2を備えることにより、優れた表示特性を有することができる。
本実施形態のプロジェクター1は、光学デバイス2で、入射した画像光Lの光路を偏向させることにより、画像光Lの照射によって表示される画素の位置をずらすように構成されることで、疑似的に解像度を高めることができる。
なお、上述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更や改良等を加えて実施することが可能である。変形例を以下に述べる。
前記実施形態の光学デバイス2は、ガラス板収容部221の交差する2つの内周面225a,225bに、突起部226がそれぞれ設置されている。しかし、これに限られず、ガラス板収容部221の交差する2つの内周面225として、内周面225aと内周面225d、内周面225bと内周面225c、及び内周面225cと内周面225d、のいずれかに突起部226がそれぞれ設置されていてもよい。
前記実施形態の光学デバイス2は、内周面225aに2つの突起部226a,226bが設置され、内周面225bに2つの突起部226c,226dが設置されている。しかし、これに限られず、内周面225aに1つの突起部226、内周面225bに1つの突起部226を設置することでもよい。この場合、ガラス板21の側面211a,221bをこの1つの突起部226にそれぞれ当接させることにより、側面211が内周面225に密着して設置されることを回避することができる。これは、他の内周面225に突起部226を設置する場合にも同様となる。
前記実施形態の光学デバイス2は、内周面225aに2つの突起部226a,226bが設置され、内周面225bに2つの突起部226c,226dが設置されている。しかし、これに限られず、内周面225aに2つの突起部226を設置し、内周面225bに1つの突起部226を設置することでもよい。なお、この逆でもよい。この場合、内周面225aの2つの突起部226と、内周面225bの1つの突起部226とに、対応する側面211a,211bを当接させて設置することで、ガラス板収容部221の内周面225と、ガラス板21の側面211とが密着した状態で設置されることを回避することができる。また、ガラス板21をガラス板収容部221に設置する際、ガラス板21の平面方向での回転を防止することができることで、安定した揺動を行わせることができ、振動特性への影響を抑制することができる。これは、他の内周面225に突起部226を設置する場合にも同様となる。
前記実施形態の光学デバイス2は、ガラス板21の一方の主面21aが、光が入射する入射面を構成し、他方の主面21bが、光が射出される射出面を構成している。しかし、入射面が主面21bであり、射出面が主面21aであってもよい。
前記実施形態では、画像表示装置の例としてプロジェクター1を取り上げて説明しているが、プロジェクター1以外に、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)や、HUD(ヘッドアップディスプレイ)等の画像表示装置であってもよい。HMDは、使用者に装着して使用され、景色と画像光を重畳して視認できるようにした装置である。HUDは、例えば、自動車に搭載され、フロントガラス等を介して、時速、時間、走行距離等の各種情報(映像)を運転者に投影する装置である。また、この他に、プリンター、スキャナー等にも適用可能である。
前記実施形態では、光学部(ガラス板21)が光透過性を有し、画素シフトデバイスとして用いられる光学デバイス2について説明したが、光学デバイスの用途としては、これに限定されない。例えば、光学部の光入射部が光反射性を有しており、光入射部で反射した光を可動部の揺動によって走査する光スキャナーとして用いてもよい。
前記実施形態では、駆動部25が1つ設置されている。しかし、これに限られず、例えば、可動部22の−Y軸側の端部にガラス板21の中心に対して本実施形態の駆動部25と点対称となるように更に1つ設置してもよい。