JP6596484B2 - 送風機 - Google Patents

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Description

本発明は、部屋の空気を攪拌させる送風機、特に上下に送風方向を変更できる機能を備える送風機に関する。
送風機は直線性の強い風によって室内の温度の異なる空気を攪拌させることにより室内温度を均一にさせるものであるが、上下や左右に送風機の送風方向を変更させることで、さらに効率よく攪拌させている。上下に送風方向を変える方法として、プロペラファンなどの回転軸方向を仰角させる仰角制御(上下首振り機構)が一般的で、ファンを備える送風部両側の中央部を保持して回動させる2点支持方式が用いられている。
送風部にはファンを駆動するためのファンモータが用いられているが、そのファンモータには駆動電力を供給する電気ケーブルが配線されており、送風部の仰角動作などに伴う電気ケーブルの断線や亀裂に対する取り回しが重要で、従来から種々の検討がなされている。例えば、特許文献1に記載されている扇風機では、ファンモータ引出線の断線および他の構造物への引っ掛かりを防止するために、内輪部と外輪部とからなる軸手段において、内輪部の中空内で給電コードを渦巻き状に構成することが開示されているが、給電コードが長くなることや内輪部の中空の両端で給電コードを係止するクリップが必要となる。また、特許文献2に記載されている扇風機では、上下伸縮時の内部配線用コードの亀裂や断線を防止するために、屈曲性シートおよびスプリングを用いてコードを押し下げつつコードが内パイプと外タイプの隙間に入り込ませない技術が開示されているが、部品点数が多くなってしまう。
送風部両側の中央部分を保持して仰角を制御する構造では、製品全体の幅方向サイズが大きくなり結果として接地面積も大きくなってしまう。そこで、送風部そのものの空間範囲内で仰角動作を行うことができれば、製品がコンパクトになり接地面積も抑えることができる。
特開平6−330889号 実開平7−8592号
本発明は、以上のような課題を解決するため鋭意検討してなされたものであり、上下方向に回動(上下首振り)可能なコンパクトな送風機であって、特別な部材でカバーすることなく、電気ケーブルの他部材への挟まりや噛み込みを起こさない送風機を提供するものである。
上記課題を解決するため、第一に、ファンを駆動するファンモータを有する送風部と、電源部を有する台座部とを、備え、前記送風部が上下方向に回動可能な送風機であって、前記ファンモータに取り込み部で接続され、かつ、前記台座部の取り出し部を通り前記電源部に接続される電気ケーブルを有し、前記電気ケーブルの前記取り込み部に対し、前記取り出し部が左右方向に位置ずれして配設され、前記取り込み部の位置と前記取り出し部の位置とを結ぶ方向は、垂直方向に対して傾斜した位置関係にあることを特徴とする。
第二に、垂直方向に対する取り込み部(A)と取り出し部(B)との傾斜角度が5°〜35°に設定されていることを特徴とする。
本発明によれば、送風機内の電気ケーブルが傾斜して配線されることになるため、特別な保護部材を用いることなく、電気ケーブルの挟まりや噛み込みが防止される。
本発明の実施形態に係る送風機の全体斜視図 本発明の実施形態に係る送風機の構成部品分解図 本発明の実施形態に係る後カバーの背面図 本発明の実施形態に係る送風機の背面図 本発明の実施形態に係る台座カバーの斜視図 本発明の実施形態に係る送風機より後カバーを取り除いた背面図 本発明の第1の使用状態に係る右側面図 本発明の第2の使用状態に係る右側面図
以下に本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお本実施形態は一例であり、これに限定されるものではない。
(全体構成)
本実施形態に係わる送風機100の全体構成について、図1および図2を用いて説明する。
送風機100は、図1に示す通り概ね送風部10と台座部20とから構成される。具体的には図2の分解図のように、送風部10には、前カバー11、前グリル12、後カバー13、ハンドル14、プロペラファン15、モータホルダ16、ファンモータ17、ファンモータ用電気ケーブル17aを有し、台座部20には台座下部21、台座カバー22、操作部23、保持部材24b、24c、仰角設定部25を有している。またファンモータ用電気ケーブル17aはファンモータ17とは取り込み部Aで接続され、台座カバー22の取り出し部Bを通り図示しない電源部へと接続されている。従い、ファンモータ用電気ケーブル17aは送風機100の外部には露出しない。
また、台座部20から垂直方向に延びるくの字状の2本の保持部材24b、24cによりモータホルダ16が保持され、さらに送風方向を変更するための仰角設定部25が保持部材24b、24cの両側に取り付けられている。モータホルダ16内にファンモータ17を挿嵌したのちモータ軸17bにプロペラファン15が挿入され、図示しないビスにより固定される。その後、ファンモータ17の後側から後カバー13が覆いかぶせられ、同様にビス止め固定される。なお、本例では安定性の面から保持部材を2個用いているが、保持能力の高い部材であれば1個であっても構わない。
その後は、前グリル12の爪部12aを後カバー13に嵌合させたのち、円錐台形状の前カバー11で覆うことで送風機100が完成する。なお、前グリル12は直線性の強い風を送り出すためにほぼ円筒状の形状をなし、送風先端は渦巻き状のリブ12bで形成され、直線性の強い送風を維持している。
図3は、後カバー13の背面図を示したもので、ABS樹脂の素材から成型されており、空気を取り込むために厚さ2mmの放射状リブを設けている。なお隣り合うリブ間隔は3.5mmから10mmまでの間隔を有する。さらに送風部10全体を上下に回動(首振り)できるようにするため、電気ケーブル17aおよび保持部材24b、24cが貫通できる縦長のリブ貫通孔13a、13b、13cが垂直方向に形成されている。なお、これらリブ貫通孔の隙間は、9mmである。
ここで、電気ケーブル17aは外径6mmのPVCケーブルで覆われ、孔の断面が7mm×11mmの長方形状である電気ケーブル取り出し部Bの孔を通じて電源部につながれており、また保持部材24b、24cは厚さ7mmの平板状樹脂である。従い、電気ケーブル17aと保持部材24b、24cはリブ貫通孔13a、13b、13cに接触しない構造である。
図4は送風機100の背面図であり、後カバー13のリブ貫通孔13b、13cに保持部材24b、24cが、また一部点線で示した後カバー13のリブ貫通孔13aに電気ケーブル17aが貫通している状況を示したものである。また図5は、台座カバー22のみの斜視図を示したもので、中央上部は凹面状になっており、電気ケーブル取り出し部(取り出し用貫通孔)B、保持部材24b用貫通孔M、保持部材24c用貫通孔Nを備えている。
図6は図4より後カバー13を取り去った状態を示したもので、見やすくするために前グリル12前面の渦巻きリブ12bは省略している。これからわかるように電気ケーブル17aの取り込み部Aと台座カバー22からの取り出し部Bとは垂直方向(図6のX−Y方向)に対して傾斜した位置関係にある。すなわち、取り出し部BはX−Y方向に対して紙面右側に位置している。
取り込み部Aと取り出し部Bとが垂直方向に並んだ場合には、電気ケーブル17aがリブ貫通孔13aに挟まったり、噛み込んだりする問題が発生する。この原因は送風部10が仰角方向に動いたときに電気ケーブル17aが緩んだ状態になり、折れ曲がるときに垂直方向に対して斜めになったりすることから、後カバー13のリブに接触しやすくなり、その結果、寸法的に余裕度がない隙間に電気ケーブル17aが噛み込まれてしまうからである。後カバー13のこの部分のリブを取り除けばこの問題はそもそも起こらないが、これらリブは樹脂強度を確保するため、また電気ケーブル17aの露出を防止して安全性を確保するために必要である。
これに対し、本発明の送風機では、上述したように取り込み部Aと取り出し部Bとが垂直方向に対して傾斜した位置関係にあることから、電気ケーブル17aがリブ貫通孔13aに挟まったり噛み込んだりすることを防止できる。また垂直方向に対する取り込み部Aと取り出し部Bとの傾斜角度としては、5〜35°が好ましいが、その理由として、5°未満であればリブ貫通孔13aに噛み込んでしまうおそれが高く、35°を超えるとケーブルが長くなり取り回しにくいからである。
(上下首振り)
本発明では送風部10の送風方向は、送風部10の上下首振りのためにハンドル14を手でもって移動させることにより、水平方向から仰角70°まで変更可能である。仰角設定部25は図2に示すように、内面側に凹凸を設けた外筒に対し外周に凸部を設けた内筒が嵌合する構造を用いて不連続な角度調整を行うものである。
図7は送風方向が水平方向の場合の右側面図を示したもので、台座カバー22の中央上部は凹面状のため、後カバー13の下部は点線で示している。この場合には電気ケーブル17aはほぼ伸びきった状態にあるため、リブ貫通孔13aに噛み込まれることはなく、隙間が8mmである隣接するリブ間にも噛み込まれることはない。
図8は送風方向が仰角50°の場合の右側面図を示したもので、電気ケーブル17aは台座カバー22からの取り出し部B近傍で、左方向に折れ曲がる状態を示している。送風機100の背面から見ると取り込み部Aと取り出し部Bとが垂直方向に対して傾斜した位置関係にあるため、たとえ電気ケーブル17aが折れ曲がる際に垂直方向から少し傾いたりしても、隣のリブに故意に接触させることになり、電気ケーブル17aのリブ貫通孔13aへの挟まりや噛み込みを防止することができる。
ここで、後カバー13は半球状であるため、後カバー13と台座カバー22との距離を最小に保ち、送風部10の回転半径を最小にすることができる。その結果、送風機100全体の動作空間を小さく抑えることができる。
(左右首振り)
台座部20は台座下部21と台座カバー22との間で回転できるものである。具体的には、台座下部21内にある図示しないモータユニットを駆動し枢着されたアームを動かすことで、本体中心軸を中心とした回動運動を行わせている。
また、スムーズな回動運動を実施できるように、台座下部21と台座カバー22の間に図示しないコロなどを挟み込むことですべりを良くしている。
送風部10の動作空間範囲内で送風部10を支持する構造に加えて、左右首振り機能を備えるため、実使用時の動作空間を小さく抑えることができる。
以上のように、実施形態によれば上下方向に回動(首振り)可能なコンパクトな送風機であって、送風部の上下方向の回動時に電気ケーブルの噛み込みを起こさない送風機を提供できる。また本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。例えば、操作部23を電子式にすることも、上下首振りに関して別途駆動モータを用いて自動首振りにすることも可能
である。
100 送風機
10 送風部
11 前カバー
12 前グリル
12a 爪部
12b 渦巻きリブ
13 後カバー
13a 電気ケーブル用リブ貫通孔
13b、13c 保持部材用リブ貫通孔
14 ハンドル
15 プロペラファン
16 モータホルダ
17 ファンモータ
17a 電気ケーブル
17b モータ軸
20 台座部
21 台座下部
22 台座カバー
23 操作部
24b、24c 保持部材
25 仰角設定部
A 電気ケーブル取り込み部
B 電気ケーブル取り出し部
M 保持部材24b用貫通孔
N 保持部材24c用貫通孔

Claims (2)

  1. ファンを駆動するファンモータと後カバーを有する送風部と、電源部を有する台座部とを、備え、前記送風部が上下方向に回動可能な送風機であって、
    前記ファンモータに取り込み部(A)で接続され、かつ、前記台座部の取り出し部(B)を通り前記電源部に接続される電気ケーブルを有し、
    前記台座部は、上方に延びる保持部材を備え、
    前記送風部の前記後カバーには、前記電気ケーブルが挿通される縦長のリブ貫通孔及び前記保持部材が挿通される縦長のリブ貫通孔が形成され、
    前記電気ケーブルの前記取り込み部(A)に対し、前記取り出し部(B)が左右方向に位置ずれして配設され、前記取り込み部(A)の位置と前記取り出し部(B)の位置とを結ぶ方向は、垂直方向に対して傾斜した位置関係にあることを特徴とする送風機。
  2. ファンを駆動するファンモータを有する送風部と、電源部を有する台座部とを、備え、前記送風部が上下方向に回動可能な送風機であって、
    前記ファンモータに取り込み部(A)で接続され、かつ、前記台座部の取り出し部(B)を通り前記電源部に接続される電気ケーブルを有し、
    前記台座部は、上方に延びる複数の保持部材を備え、
    前記送風部には、前記電気ケーブルが挿通される縦長のリブ貫通孔及び前記保持部材が挿通される縦長のリブ貫通孔が形成され、
    前記電気ケーブルの前記取り込み部(A)に対し、前記取り出し部(B)が左右方向に位置ずれして配設され、前記取り込み部(A)の位置と前記取り出し部(B)の位置とを結ぶ方向は、垂直方向に対して傾斜した位置関係にあり、前記電気ケーブルは上方に延びる複数の前記保持部材の間に位置することを特徴とする送風機。
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