JP6596359B2 - 流量調節弁 - Google Patents
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Description
ケージの構成材料として耐熱性と高強度を備えた例えばニッケル合金等の切削性が悪い難加工材を用いる必要がある。このような難加工材からなるケージに下向き流出角を備えた多数の小孔を穿設するドリル加工では、ドリルの折損を回避するために加工速度を下げる必要があるし、頻繁なドリル交換も必要になり、加工コストが嵩む等の多大な困難を伴なう。
流量調節弁では、最小絞り部の流路面積を調整して流量制御するに際し、最小絞り部を通過する流体は外部からの熱の授受がない状態では等エンタルピー変化で流れ、最小絞り部を境にした入口流路側に対する出口流路側で流体の温度低下と圧力低下を生じる。ケージを備えた流量調節弁では、弁体により閉塞されていないケージの小孔が最小絞り部となり、小孔を境にしたケージの外面側(入口流路側)に対する内面側(出口流路側)で流体の温度低下と圧力低下を生じる。この結果、ケージの外面と内面との間に温度差を生じ、ケージの内面に熱応力を生じる。例えば入口流路側の蒸気が温度700℃、圧力26MPa、エンタルピーが3776KJ/kgとし、出口流路側の蒸気が1MPaまで圧力低下すると、出口流路側の蒸気の温度は634℃まで急冷され、ケージの内面には熱衝撃に起因する最大熱応力を生じる。また、ケージの内面の小孔出口縁部は形状的に応力集中を引き起こし易く、割れを生じ易い。
(a)弁体のシート面下部に形成されている先端突部が弁座の座面との間に形成する最小絞り部の流路面積を調整して流量制御するに際し、この最小絞り部を弁体の先端突部を用いて形成した。
前述(a)乃至(c)の作用効果を奏する。
(e)前記整流筒が弁体ガイドの先端に連結されてなるものとすることにより、流量調節弁の部品点数を削減し、組立性を向上できる。
(f)前記弁座がその座面から出口の側に向けて4度乃至6度の開き角度をなして拡開する開き流路を備えるとともに、前記出口流路が出口の側に向けて19度乃至21度の開き角度をなして拡開してなるものとすることにより、入口流路から弁室内の最小絞り部を通って出口流路に排出される流体の流れを一層円滑にし、流体が最小絞り部を通過するときの振動、騒音を一層低減できる。
(g)流量調節弁として、流体が流れる最初の段階で蒸気に水滴が混じる場合があり、この水滴が加熱されて高速流れとなり、弁座や弁体に衝突すると侵食現象(エロージョン)を引き起こす。本発明では、弁座の母材として高温強度を有するニッケル合金を採用し、弁座の座面及び開き流路の表面に侵食に強く、ニッケル合金と熱膨張係数が近い、2乃至3mm厚みのコバルト系合金からなる肉盛溶接を施し、侵食の程度を最小限にした。ニッケル合金とコバルト系合金は熱膨張係数が近いので流量調節弁を通過する流体に急激な温度変化を生じた場合でも、母材と肉盛溶接部は同じように膨張、収縮し、肉盛溶接後の熱衝撃による肉盛溶接部の割れを防止した。
(h)弁体についても、弁座におけると同様にして侵食を防止するため、弁体の弁体ガイドに支持される部分、シート面及び先端突部のニッケル合金からなる母材の表面に2乃至3mm厚みのコバルト系合金の肉盛溶接部を形成した。
(A)弁体50に形成した先端突部52の形状
流量調節弁100は、図3、図4に示す如く、弁体50の先端突部52がクロソイド曲線により形成される。
流量調節弁100は、図3に示す如く、円筒状の整流筒90を備える。
弁座20の開き流路22は、後述する実施例1、2の如く、その座面21から出口流路12の側に向けて4度乃至6度、より好ましくは5度の開き角度をなして拡開される。
出口流路12は、後述する実施例1乃至3の如く、出口の側に向けて19度乃至21度、より好ましくは20度の開き角度をなして拡開される。
弁座20は、ニッケル合金を母材として形成され、座面21及び開き流路22の表面にコバルト系合金(商品名:ステライト)からなる肉盛溶接部20Sが形成される。
弁体50は、弁棒40とともにニッケル合金を母材として形成されており、弁体ガイド30に支持される部分53、シート面51及び先端突部52の表面にコバルト系合金(商品名:ステライト)からなる肉盛溶接部50Sが形成される。
実施例1に係る流量調節弁100は、
(1)弁体50の先端突部52をクロソイド曲線により形成し、
(2)整流筒90を備え、
(3)弁座20の開き流路22の開き角度を5度とし、
(4)出口流路12の開き角度を20度とした。
実施例2に係る流量調節弁100は、
(1)弁体50の先端突部52を2段に折れた直線により形成し、
(2)整流筒90を備え、
(3)弁座20の開き流路22の開き角度を5度とし、
(4)出口流路12の開き角度を20度とした。
実施例3に係る流量調節弁100は、
(1)弁体50の先端突部52を2段に折れた直線により形成し、
(2)整流筒90を備え、
(3)弁座20の開き流路22の開き角度を2段階からなる2.5度及び6.5度とし、
(4)出口流路12の開き角度を20度とした。
比較例1に係る流量調節弁100は、
(1)弁体50の先端突部52を2段に折れた直線により形成し、
(2)整流筒90を備えず、
(3)弁座20の開き流路22の開き角度を2段階からなる2.5度及び6.5度とし、
(4)出口流路12の開き角度を20度とした。
実施例1(図7)によれば、実施例2(図8)、実施例3(図9)、及び比較例1(図10)と対比したとき、弁体50の先端突部52をクロソイド曲線により形成し、かつ整流筒90を備えたことにより、高い振動低減効果を得ることが認められた。
(a)弁体50のシート面51下部に形成されている先端突部52が弁座20の座面21との間に形成する最小絞り部81の流路面積を調整して流量制御するに際し、この最小絞り部81を弁体50の先端突部52を用いて形成した。
11 入口流路
12 出口流路
13 弁室
20 弁座
20S 肉盛溶接部
21 座面
22 開き流路
30 弁体ガイド
40 弁棒
50 弁体
50S 肉盛溶接部
51 シート面
52 先端突部
80 流量制御部
81 最小絞り部
90 整流筒
91 小孔
92 環状流路
100 流量調節弁
Claims (6)
- 入口流路及び出口流路を備えるとともに、入口流路と出口流路の交差部に弁室を備える弁箱と、
弁箱の弁室に臨む位置に設けられる弁座と、
弁箱に設けられる弁体ガイドと、
弁箱の弁室内に設けられ、弁体ガイドに支持される弁体とを有し、
弁体のシート面が弁座の座面に対して接離するように移動可能にされ、該弁体のシート面下部に形成されている先端突部が該弁座の座面との間に形成する最小絞り部の流路面積を調整可能にし、該弁座がその座面から出口流路に向けて拡開する開き流路を備える流量調節弁であって、
前記最小絞り部の流路面積を調整可能にする弁体の先端突部が、シート面側にクロソイド原点があるクロソイド曲線により形成されてなり、
前記弁室内における弁体の周囲に該弁体と同軸をなし、該弁体の外周との間に一定間隙を介する環状流路を形成する整流筒を設け、整流筒は入口流路から環状流路に入る流体が通る多数の小孔を備えてなる流量調節弁。 - 前記整流筒が弁体ガイドの先端に連結されてなる請求項1に記載の流量調節弁。
- 入口流路及び出口流路を備えるとともに、入口流路と出口流路の交差部に弁室を備える弁箱と、
弁箱の弁室に臨む位置に設けられる弁座と、
弁箱に設けられる弁体ガイドと、
弁箱の弁室内に設けられ、弁体ガイドに支持される弁体とを有し、
弁体のシート面が弁座の座面に対して接離するように移動可能にされ、該弁体のシート面下部に形成されている先端突部が該弁座の座面との間に形成する最小絞り部の流路面積を調整可能にし、該弁座がその座面から出口流路に向けて拡開する開き流路を備える流量調節弁であって、
前記最小絞り部の流路面積を調整可能にする弁体の先端突部が、シート面側にクロソイド原点があるクロソイド曲線により形成されてなる流量調節弁。 - 前記弁座がその座面から出口の側に向けて4度乃至6度の開き角度をなして拡開する開き流路を備えるとともに、前記出口流路が出口の側に向けて19度乃至21度の開き角度をなして拡開してなる請求項1乃至3のいずれかに記載の流量調節弁。
- 前記弁座が、ニッケル合金により形成され、座面及び開き流路の表面にコバルト系合金を肉盛溶接されてなる請求項1乃至4のいずれかに記載の流量調節弁。
- 前記弁体が、ニッケル合金により形成され、弁体ガイドに支持される部分、シート面及び先端突部の表面にコバルト系合金を肉盛溶接されてなる請求項1乃至4のいずれかに記載の流量調節弁。
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