JP6595818B2 - 免疫クロマト分析装置及び免疫クロマト分析方法 - Google Patents

免疫クロマト分析装置及び免疫クロマト分析方法 Download PDF

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Description

本発明は、免疫学的抗原抗体反応を利用して、被検出物質(抗原等)の濃度が低濃度であっても高濃度であっても、迅速、簡便かつ正確に被検出物質(抗原等)を検出することができ、特に被検出物質(抗原等)が非常に少ない低濃度域、もしくはプロゾーン現象が発生するような高濃度域においても偽陰性及び偽陽性の問題なく結果の判定を可能にすることのできる、体外診断キットもしくは携帯用診断装置として重要性が高い免疫クロマト分析装置及び免疫クロマト分析方法に関する。
近年、免疫クロマトグラフ用ストリップ形式のイムノアッセイは、抗体の持つ特異的反応性を利用して、試料液中の被検出物質(抗原等)を検出する簡便な体外診断キットもしくは携帯用診断装置として汎用性が高まっている。
免疫クロマトグラフ法は、その判定・測定に大きな設備・機器を必要とせず、操作が簡便であり、短時間で測定結果が得られるので、簡便・迅速、特異性の高い判定・測定方法として、例えば病院における臨床検査、食品の検査等に広く用いられている。
天然物、毒素、ホルモン、農薬等の生理活性物質や、例えばウイルス感染症の感染初期の検体等は、従来の一般的な方法では検出することのできない極微量で作用する物質が多いため、それらの迅速、簡便かつ高感度な免疫クロマトグラフ法の開発が求められている。
一方で、免疫クロマトグラフ法においては、大過剰の被検出物質(抗原等)が検査試料中に存在する場合に、見かけ上、被検出物質が少ないか全く存在しないような偽陰性現象(プロゾーン現象、または高用量フック効果とも呼ばれる。)を惹起して、検出時のS/N比を下げるのみならず、誤った検査結果をもたらすという問題点はよく知られており、このプロゾーン現象の解消のための研究がなされてきた。
また、不溶性担体(金コロイド粒子、着色ラテックス粒子等)で抗体を標識した免疫クロマト法(「粒子免疫クロマト法」ともいう)が提案されているが、この方法にあって、プロゾーン現象を解消する従来技術の手法としては、フリーの抗体を梯子状に複数本仕込んだり、もしくは第2又はそれ以上の検出領域を設けることにより、検出対象物質(抗原等)が大過剰に存在する高濃度検体試料に対して、反応ラインの本数ないしはその呈色パターンによって定量判定が可能になるといったメリットがある一方で、低濃度検体の発色が弱まったり、フリーの抗体が変性して、経時的にプロゾーン現象対策効果が弱まってしまうといった問題点があった。
特許文献1には、高濃度検体試料及び低濃度検体試料のいずれも測定することのできる免疫クロマトグラフ法が開示されている、該特許文献1に開示された方法では、2つ以上の分析流路を含む分析デバイスに必要な1つ以上の共有ゾーンを有しており、この方法によって、約10mIU〜約250,000mIUの範囲のヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)が測定可能となっている。
一方で、妊娠は、ほ乳類等の胎生動物において、雌の胎内(子宮内)における、受精卵の着床によって起こるが、受精卵の着床又は胎児の数や発育に異常が発生する場合があり、このような妊娠を異常妊娠という。代表的な異常妊娠としては、胞状奇胎、子宮外妊娠、多胎妊娠等が挙げられる。その中で、胞状奇胎をそのまま放置しておくと母体に影響が出てくることもあるため、早目に診断して対応することが必要である。
胞状奇胎においては、尿中のhCG濃度が10,000IU/L以上と高濃度になることが知られ、1,000,000〜2,000,000IU/L以上の超高濃度になるとその疑いは更に増すことが知られている。このような妊娠異常(胞状奇胎)を簡便に検査するための方法としては、例えば、hCG濃度が1,000IU/L以上であるか否かを判定することのできる免疫クロマト(商品名:ゴナスティックW、持田製薬(株)製)、抗I−hCG抗体を用いた免疫クロマト(特許文献2、特表2004−506220号公報)が従来から知られている。
胞状奇胎においては、尿中のhCG濃度が1,000,000IU/L以上になることも多いが、ゴナスティックWを用いた方法では、尿中のhCG濃度が1,000,000IU/L以上の場合にはプロゾーン現象が起き、陰性と判定される場合がある。また、正常な妊娠であっても、hCG濃度が1,000IU/L以上を示すことも多く、正常妊娠であるか、異常妊娠(胞状奇胎)であるかを識別することは困難であった。
また、特許文献2に記載された方法では、抗I−hCG抗体と抗変型−hCG抗体を用いた免疫クロマトにより測定しているため、子宮外妊娠を診断することは可能であるが、尿中hCG濃度が1,000,000IU/L以上になる胞状奇胎の場合には、プロゾーン現象が起き、陰性の結果と判定される場合がある。
また、特許文献2に記載された方法を用いた場合にも、尿中hCG濃度を測定することは可能であるが、hCG濃度が250,000mIU(250IU/L)を超えた場合には、プロゾーン現象が起こり、陰性と判定されてしまう(偽陰性)。
そこで、尿中hCG濃度が高濃度になる場合であっても、プロゾーン現象が起こらず、胞状奇胎であるか否かを容易に判定することのできる手法が切望されていた。
特開2009−58507号公報 特表2004−506220号公報
本発明の目的及び課題は、免疫学的抗原抗体反応を利用して、被検出物質(抗原等)の濃度が低濃度であっても高濃度であっても、迅速、簡便かつ正確に検出することができ、特に被検出物質(抗原等)が非常に少ない低濃度域、もしくはプロゾーン現象が発生するような高濃度域においても偽陰性及び偽陽性の問題なく結果の判定を可能にすることのできる体外診断キットもしくは携帯用診断装置として重要性が高い免疫クロマト分析装置及び免疫クロマト分析方法を提供することにある。
さらに詳しくは、本発明の目的は、被検出物質(抗原等)が、尿、血液といった生体試料中のような検査試料中に存在するか否かを、被検出物質(抗原等)が高濃度で存在する場合であっても、低濃度で存在する場合でも測定することができ、それによって、検査試料中の被検出物質(抗原等)の濃度が非常に少ない低濃度域、もしくはプロゾーン現象が発生するような高濃度域においても偽陰性及び偽陽性の問題なく結果の判定を可能にすることのできる免疫クロマト分析装置を提供することにある。このような装置により、例えば、胞状奇胎のような異常妊娠を診断することが可能となる。
免疫クロマト試薬においては、抗原が大過剰に存在する検体では、メンブレン上に塗布されたテストライン抗体に、発色担体と結合していない抗原が捕捉されてしまい、テストラインが発色せず偽陰性と判断されてしまう現象(プロゾーン現象)が起きることは、よく知られている。このプロゾーン現象を抑制/解消するために、検出抗体が担持された標識試薬やメンブレン上に塗布するテストラインの抗体を増量すると、今度は健常人であっても極少量の被検出物質である抗原が検体中に含まれる場合があるために、陽性と判断され(偽陽性)、胞状奇胎のような異常妊娠であるか否かの判断ができないという問題があった。そこで、本発明者らは、低濃度の被検出物質のみを検出するクロマトグラフ媒体と、少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体を用いることにより、被検出物質の濃度が低濃度であっても高濃度であっても、迅速、簡便かつ正確に検出し得るという知見を得、被検出物質が非常に少ない低濃度域、もしくはプロゾーン現象が発生するような高濃度域においても偽陰性及び偽陽性の問題なく、結果の判定が可能になるという知見を得、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
1.試料添加部、標識物質保持部、及び判定部位を有するクロマトグラフィー媒体部を含むクロマトグラフ媒体、
を有する免疫クロマト分析装置であって、
前記免疫クロマト分析装置が前記クロマトグラフ媒体を2種有し、
前記2種のクロマトグラフ媒体を用いて、検体に含まれる同一の被検出物質をそれぞれの媒体で免疫反応により発色させ、その発色シグナルを確認することで陰性または陽性を判定し、一方または両方が陽性の場合に正常陽性または異常陽性と判定するものであり、
前記2種のクロマトグラフ媒体がそれぞれ、低濃度の被検出物質のみを検出するクロマトグラフ媒体と、少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体である
免疫クロマト分析装置。
2.前記少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体が、低濃度の被検出物質も検出することができる、前記1に記載の免疫クロマト分析装置。
3.前記2種のクロマトグラフ媒体において、それぞれの前記クロマトグラフィー媒体部に前記標識物質保持部がそれぞれ独立して連結し、さらに該標識物質保持部に試料添加部がそれぞれ独立して連結することにより、試料添加部からクロマトグラフィー媒体部までそれぞれ1つの流路を有する免疫クロマト分析装置であって、
前記2種のクロマトグラフ媒体のうち、少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体に用いるメンブレンとしてフロースピードの速いものを用い、
そのクロマトグラフ媒体に連結する前記標識物質保持部に連結する試料添加部に、HLB値が13〜18の非イオン性かつ親水性界面活性剤を保持させている、
前記1または2に記載の免疫クロマト分析装置。
4.前記メンブレンのフロースピードが、ハイフローレイト(sec/40mm)として75以下である、前記3に記載の免疫クロマト分析装置。
5.少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体に連結する前記標識物質保持部と、その標識物質保持部に連結する試料添加部の両方に、HLB値が13〜18の非イオン性かつ親水性界面活性剤が保持された、前記3または4に記載の免疫クロマト分析装置。
6.前記非イオン性かつ親水性界面活性剤の含有量が、免疫クロマト分析装置の1つ当り0.1〜5μgである、前記3〜5のいずれか1に記載の免疫クロマト分析装置。
7.前記少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体に連結する前記標識物質保持部に、金ナノ粒子により修飾された標識物質が乾燥保持されている、前記3〜6のいずれか1に記載の免疫クロマト分析装置。
8.前記金ナノ粒子の平均粒径が20〜60nmである、前記7に記載の免疫クロマト分析装置。
9.前記被検出物質がhCGである、前記1〜8のいずれか1に記載の免疫クロマト分析装置。
10.異常妊娠を検査するためのものである、前記1〜9のいずれか1に記載の免疫クロマト分析装置。
11.前記異常妊娠が胞状奇胎である、前記10に記載の免疫クロマト分析装置。
12.試料添加部、標識物質保持部、及び判定部位を有するクロマトグラフィー媒体部を含むクロマトグラフ媒体、
を有する免疫クロマト分析装置を用いて、検体に含まれる同一の被検出物質を免疫反応により発色させ、その発色シグナルを確認することで陰性または陽性を判定する免疫クロマト分析方法であって、
前記免疫クロマト分析方法が、2種のクロマトグラフ媒体を用い、検体に含まれる同一の被検出物質をそれぞれの媒体で免疫反応により発色させ、その発色シグナルを確認することで陰性または陽性を判定するものであって、
前記2種のクロマトグラフ媒体がそれぞれ、低濃度の被検出物質のみを検出するクロマトグラフ媒体と、少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体であり、
前者の媒体のみ陽性または両方の媒体で陽性の場合に正常陽性と判定し、後者の媒体のみ陽性の場合に異常陽性と判定する
免疫クロマト分析方法。
本発明では、免疫学的抗原抗体反応を利用して、被検出物質(抗原等)を検出するための免疫クロマト分析装置において、2種のクロマトグラフ媒体を用い、2種のクロマトグラフ媒体を、それぞれ、低濃度の被検出物質のみを検出するクロマトグラフ媒体と、少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体とすることにより、プロゾーン現象(抗原が存在するにも拘らず、テストラインが発色せず偽陰性と判断される現象)を顕著に解消できるとともに、被検出物質(抗原等)の濃度が低濃度であっても高濃度であっても、迅速、簡便かつ正確に被検出物質(抗原等)を検出することができる。そのため、被検出物質が非常に少ない低濃度域、もしくはプロゾーン現象が発生するような高濃度域においても偽陰性及び偽陽性の問題なく結果の判定が可能になる。本発明の免疫クロマト分析装置を用いることにより、例えば胞状奇胎のような異常妊娠を診断することができる。
本発明の免疫クロマト分析装置を示す斜視図である。 本発明の免疫クロマト分析装置を用いて、hCGを被検出物質として測定を行った結果を示すグラフ図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の実施形態は、各種検体中の被検出物質である検出対象物(抗原)に各種の標識をつけた特異的に結合する結合物質(抗体)を、クロマトグラフ媒体上で反応させる抗原−抗体反応により複合体を形成させ、クロマトグラフ媒体上を吸収部位の方向へ展開させて、それを各種の検出手段により確認するという、免疫クロマトグラフ法またはそれを応用した検出法に基づくものである。その抗原と最も特異的に反応して結合する抗体としては、それと特異的に結合する、例えばモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体若しくはその他の公知の抗体を任意に使用することができる。
その標識としては、酵素、発色物質、蛍光物質、または放射性物質などを任意に使用することができるが、操作が簡単で、検定時間も短くするという、免疫クロマトグラフ法の特色を出す為や、抗体、抗原の種類を考慮して決めればよい。
また、検出手段は、操作が簡単で、比較的短時間で判定できると言う、免疫クロマトグラフ法の特色を表すためには、目視判定で、正確に判定できると言う性能を有することを特徴とするが、時間、精度などが要求される場合には、分光光度検出、放射線検出など、各種の検出手段を付帯させて、検出することができる。
次に、本発明の免疫クロマト分析装置について説明する。
本発明の免疫クロマト分析装置は、試料添加部、標識物質保持部、及び判定部位を有するクロマトグラフィー媒体部、を含むクロマトグラフ媒体を有する免疫クロマト分析装置である。本発明の免疫クロマト分析装置は、2種のクロマトグラフ媒体を用い、検体に含まれる同一の被検出物質をそれぞれの媒体で免疫反応により発色させ、その発色シグナルを確認することで陰性または陽性を判定し、一方または両方が陽性の場合に正常陽性または異常陽性と判定するものである。
本発明の免疫クロマト分析装置においては、2種のクロマトグラフ媒体を用いており、これら2種のクロマトグラフ媒体は、それぞれ、低濃度の被検出物質のみを検出するクロマトグラフ媒体と、少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体である。
本明細書において、「正常陽性」とは、本発明の免疫クロマト分析装置を用いて被検出物質の分析を行い、正常であることが明らかになることを意味し、「異常陽性」とは、本発明の免疫クロマト分析装置を用いて被検出物質の分析を行い、異常であることが明らかになることを意味する。
本発明の免疫クロマト分析装置について図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の実施形態の1つである免疫クロマト分析装置(10)を示す斜視図である。免疫クロマト分析装置(10)は、低濃度の被検出物質のみを検出するクロマトグラフ媒体(11)と、少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体(21)を有する。両方のクロマトグラフ媒体がバッキングシート(7)に貼り付けられ、免疫クロマト分析装置(10)を構成する。
クロマトグラフ媒体(11)及び(21)について以下に説明する。
本発明の免疫クロマト分析装置におけるクロマトグラフ媒体(21)は、前述したように、少なくとも高濃度の被検出物質を検出するものである。クロマトグラフ媒体を、少なくとも高濃度の被検出物質を検出するためには、例えば後述するように、メンブレンとしてフロースピードの速いものを用い、試料添加部(22)(又は試料添加部(22)と標識物質保持部(23))に、HLB値が13〜18の非イオン性かつ親水性界面活性剤を保持することにより、実施することができる。
また、本発明の免疫クロマト分析装置におけるクロマトグラフ媒体(11)は低濃度の被検出物質のみを検出するものである。クロマトグラフ媒体(11)には、メンブレンとしてフロースピードの速いものを用いず、試料添加部(12)に、HLB値が13〜18の非イオン性かつ親水性界面活性剤を保持させないことにより、試料中に高濃度の被検出物質が存在する場合にはプロゾーン現象が起こり、結果は陰性となる。このため、クロマトグラフ媒体(11)は低濃度の被検出物質のみを検出することとなる。
クロマトグラフ媒体(11)及び(21)は、図1に示すように、それぞれ試料添加部(12)、(22)(「サンプルパッド」ともいう。)、標識物質保持部(13)、(23)(「コンジュゲートパッド」ともいう。)、クロマトグラフィー媒体部(14)、(24)、判定部位(15)、(25)、更に必要に応じてコントロール部(18)、(28)、吸収部(16)、(26)(「展開速度コントロール部」ともいう。)から構成されており、2種のクロマトグラフ媒体において、それぞれのクロマトグラフィー媒体部(14)、(24)に標識物質保持部(13)、(23)がそれぞれ独立して連結し、さらに該標識物質保持部に試料添加部(12)、(22)がそれぞれ独立して連結することにより、試料添加部からクロマトグラフィー媒体部までそれぞれ1つの流路を有するものである。それらの各部位の構造、仕様および態様は以下のとおりである。
1)試料添加部(12)、(22)(「サンプルパッド」)は、図1を参考にすると、試料が迅速に吸収されるが、保持力は弱く、速やかに反応部へと試料が移動していくような性質の多孔質シートで構成されている。多孔質シートとしては、例えば、セルロース濾紙、ガラスファイバー濾紙、ポリウレタン、ポリアセテート、酢酸セルロース、レーヨン、ナイロン、綿布等が挙げられる。本発明の免疫クロマト分析装置を構成する多孔質シートとしては、ガラスファイバー濾紙、レーヨンが好ましく用いられる。
本発明の免疫クロマト分析装置においては、少なくとも高濃度の被検出物質検出するクロマトグラフ媒体(21)には、プロゾーン現象を抑制/解消するために、少なくともサンプルパッド(22)中に、HLB13〜18の非イオン性かつ親水性界面活性剤、および必要に応じて緩衝液を含むイムノクロマトグラフィー用試薬組成物を予め含浸させた後、乾燥させる等の手段により担持させる態様とすることができる。また、クロマトグラフ媒体(21)のサンプルパッド(22)及び標識物質保持部(23)の両方に、上記界面活性剤を保持してもよい。
本発明で使用可能な非イオン性かつ界面活性剤としては、HLB値(Hydrophile Lipophile Balance=親水基の重量%×0.2=0〜20)が13〜18の非イオン性かつ親水性界面活性剤であり、より好ましくはHLB値が14〜17の非イオン性かつ親水性界面活性剤である。このような非イオン性かつ親水性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類(例えば、登録商標「Brij」シリーズ、特にBrij 35(商品名))、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンアルキルエーテル類(例えば、ナカライテスク社製、商品名:NP 40)、ポリオキシエチレンアリールエーテル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、商品名「Tween」シリーズ、特にTween 20(商品名))、ポリオキシエチレンp−t−オクチルフェニルエーテル類(例えば、商品名「Triton」シリーズ)、例えば、ポリオキシエチレン(10)−p−t−オクチルフェニルエーテル(Triton X100(商品名)、HLB=13.7)、ポリオキシエチレンp−t−ノニルフェニルエーテル類(例えば、商品名「TritonN」シリーズ)、ポリオキシアルキレンアリールエーテル類、ポリオキシアルキレン多環フェニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアミンエーテル類、水素化ポリオキシエチル化ひまし油類、等々であって、HLB値が13〜18であるものを挙げることができる。また、悪影響を及ぼさない範囲内において、これらの非イオン性界面活性剤を混合して使用することも可能である。特に好適なものとしては、Brij 35(商品名)、Tween 20(商品名)等が挙げられる。HLB値が13未満では、可溶化作用が不十分となるため、感度が悪くなる場合がある。一方で、HLB値が18超では、可溶化作用は十分であるが、親水性が大きすぎても、感度が低下する場合がある。
界面活性剤の浸透、可溶化の特性なども考慮すれば、HLB値は13〜18程度の非イオンかつ親水性界面活性剤が、本発明の免疫クロマト分析装置に使用するのに最も適していることを知見したものである。本発明の非イオンかつ親水性界面活性剤の挙動は、クロマトグラフ媒体のメンブレンのハイフローレート特性と、更には金ナノ粒子の特性とも相互に協同して、他の陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤には見られない特有の性質および性能を発現することができる。
本発明のサンプルパッド(22)に保持させる、HLB値が13〜18の非イオン性かつ親水性界面活性剤の含有量は、装置1つあたり0.1〜5μgであり、好ましくは0.15〜3μgであり、特に好ましくは0.2〜1μgである。0.1μg以上の含有量であると、流れが良好であり、一方、5μg以下であると、装置製造時の裁断やパッケージの収納時に、サンプルパッドの剥離を生じたりせず、また判定部位の発色にムラが生じることがなく、無駄とならない。0.1〜5μgの範囲で用いれば、クロマトグラフ媒体のメンブレンのハイフローレート特性と相互に協同して作用し、よりプロゾーン現象を抑制することができる。
また、本発明のサンプルパッド(22)に保持させる、HLB値が13〜18の非イオン性かつ親水性界面活性剤の含有量は、0.05〜5μg/mmであることが好ましく、0.1〜5μg/mmであることがより好ましく、0.2〜3μg/mmであることがさらに好ましく、最適には0.2〜2μg/mmで用いられる。
2)標識物質保持部(13)、(23)には、標識成分によって試薬成分を標識した標識試薬を担持または保持させている。このような標識成分としては、低濃度の被検出物質のみを検出するクロマトグラフ媒体(11)の標識物質保持部(13)においては、視覚的に着色を確認できる有色物質が好ましく、当業界で公知のものを適宜採用できる。例えば、非金属コロイド粒子、着色ラテックスおよび酵素標識等が挙げられる。
非金属コロイド粒子としては、例えば、セレニウムコロイド等が挙げられる。金属コロイド及び非金属コロイド粒子は、常法により調製することができ、このとき、粒径は所望の色調を呈するよう調節される。また、市販品を利用することもできる。
着色ラテックスとしては、例えば、ポリスチレン等の高分子重合体の粒子が赤や青色を呈する着色剤により着色したものが挙げられ、常法により調製することができる。酵素標識としては、例えば、ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、グルコースオキシダーゼおよびガラクトシダーゼ等が挙げられる。酵素標識を使用する場合、当該酵素に対する基質および必要に応じて発色試薬を作用させ、その反応により生じる発色を検出する。
少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体(21)の標識物質保持部(23)においては、標識物質としては、金属コロイド粒子を用いることが好ましい。金属コロイド粒子としては、例えば、金、白金、銅、銀、ロジウム、パラジウム、ゲルマニウムなどの貴金属粒子、チタン、亜鉛、鉄コロイドの他、それらを混合した粒子等が挙げられる。特に金コロイド粒子は赤色を呈する点で好ましい。本発明の免疫クロマトグラフ装置における、少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体(21)において、標識物質に使用する金ナノ粒子としては、平均粒径が、10〜60nm、好ましくは20〜60nm程度の赤色金ナノ粒子及び/又は青色金ナノ粒子が好ましい。勿論、白金、銀、ロジウム、パラジウム、ゲルマニウムなどの貴金属粒子、チタン、亜鉛、鉄等の平均粒径が、10〜60nm、好ましくは20〜60nm程度の金属ナノ粒子も使用可能である。このような金属ナノ粒子が分散状態にある、例えば、抗体、抗原による感作金属コロイド、感作金コロイド、感作白金−金コロイド、感作金−銀コロイド、鉄コロイド等々が挙げられるが、金コロイドが入手及び取り扱いが容易であるところから、最も推奨される。平均粒径は、コロイドの粒度分布を動的光散乱法粒度分布計で測定した後の平均粒径を求めるという慣用の測定法に基づいて決めることができる。金ナノ粒子により修飾された標識物質は、各種の乾燥手段(通気乾燥、真空乾燥、自然乾燥、凍結乾燥等)により乾燥させることによって、担持または保持もしくは形成することが好ましい。
なお、本発明の免疫クロマト分析装置においては、少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体の標識物質保持部(23)にも、サンプルパッド(22)のみならず、HLB13〜18の非イオン性かつ親水性界面活性剤、および必要に応じて緩衝液を含むイムノクロマトグラフィー用試薬組成物を予め含浸させた後、乾燥させる等の手段により担持させる態様とすることが好ましい。このような態様とすることにより、プロゾーン現象を抑制/解消することができる。この場合の、HLB13〜18の非イオン性かつ親水性界面活性剤の含有量は、上記試料添加部における含有量と同様である。
3)クロマトグラフィー媒体部(14)、(24)は、膜担体上に判定部位(15)、(25)を作成したものである。膜担体としては、毛細管現象により試料検体を吸収し移動させることができるものであればよく、例えば、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ナイロン、ポリエーテルスルホン、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ガラスファイバー、ポリオレフィン、セルロース、これらの混合繊維からなる人工ポリマーからなる群から選択される。それらの繊維、織布、不織布、布、膜などの任意のものからなる。膜担体の寸法は、特に限定されず、この種の製品に適用される一般的なものを利用することができるが、例示すると幅3〜10mm、長さ2〜6cm、厚さは100〜150μmのものが標準的なものである。メンブレンは多孔性であるため、不透水性のポリエステル、ポリエチレン等のフィルムを張り合わせることによって裏打ちするか、あるいはあらかじめ不透水性のポリエステル、ポリエチレン等のプラスチックフィルム上にニトロセルロースメンブレンを積層させて形成したものであってもよい。この不透水性フィルムの厚みには特に制限はないが100μm程度のものが取り扱い上好ましい。
本発明の免疫クロマトグラフ装置においては、膜担体として上記のものが用いられるが、少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体(21)においては、膜担体として、フロースピード(展開速度)の速いものを用いることが好ましい。ハイフローレート(High Flow Rate:水を40mm吸い上げるのにかかる時間(sec/40mm))(HFR)が、75(sec/40mm)以下であるものを用いることが好ましく、HFRが60(sec/40mm)以下ものを用いることが更に好ましく、HFRが45(sec/40mm)以下のものを用いることが特に好ましい。HFRが75(sec/40mm)以下のメンブレンでは、被検出物質(抗原等)と標識物質の複合体は、被検出物質(抗原等)と比べてメンブレン中を速やかに移動できるため、被検出物質(抗原等)が大過剰に存在する検体の検査においても、プロゾーン現象を抑制することができる。検出に要する測定時間や精度などを考慮すれば、HFRが20(sec/40mm)程度まで、任意に設計できる。好ましくは、30(sec/40mm)以上のものであり、特に好ましくは、36(sec/40mm)以上のものである。
4)判定部位(15)、(25)には、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体若しくはそのフラグメント(第一試薬)が、膜担体上に担持固定されている。
この判定部位(15)、(25)に用いる試薬成分(第一試薬)および標識試薬に用いる試薬成分(第二試薬)は、その一方又は両方がモノクローナル抗体であってもよいし、ポリクローナル抗体であってもよいが、特異性を保った上で製造コストや抗体の安定供給を考慮する場合は、少なくとも一方がポリクローナル抗体であることが好ましい。更に、標識試薬に用いる試薬成分(第二試薬)は、測定感度等の点から特異性の高いモノクローナル抗体がより好ましい。しかしながら、第一試薬および第二試薬の両方にモノクローナル抗体を用いることが、反応の正確性と効率性の観点から最も好ましい。
コントロール部(18)、(28)は、被検出液を含む溶液が判定部位(15)、(25)を適切に判断したかどうかを判断するためのものであり、コントロールラインとも呼ばれる。
モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体またはそのフラグメントは、公知であり、入手可能であり、公知の方法により調製することができる。抗体産生動物種としては、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ等々である。免疫グロブリンとしては、IgG、IgM、IgA、IgE、IgDのいずれでもよい。
モノクローナル抗体は、常法に従って、抗原で免疫したマウスの脾臓細胞と骨隋腫細胞をハイブリッドさせ、目的とする抗体を産生するハイブリドーマを選択し、このハイブリドーマから産生されてくるモノクローナル抗体を収得する。例えば、ケーラーとミルスタインの技法(Nature 256(1975)495−497)を参照。
ポリクローナル抗体は、常套手法により、抗原を産生動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ウマ等)に免疫して得た抗血清中から目的とする抗体を分離することにより得られる。
5)吸収部(16)、(26)には、過剰の試料を迅速に吸収する能力を有する材料であるガラス繊維、セルロース繊維等からなる濾紙が汎用されているが、さらに吸収した液体が逆流しないように保持する能力を有する材料を用いればより好ましい。特に好ましい材料としては、例えば、親水性繊維中に高吸水性ポリマー粒子を含有してなる吸収性コアを含む材料が挙げられ、このような材料としては、例えば、特開2012−189346号公報に開示されているものが挙げられる。
これらのクロマトグラフ媒体(11)、(21)はバッキングシート(7)に貼り付けられ、免疫クロマト分析装置(10)を構成する。バッキングシート(7)は、基材である。片面に粘着剤を塗布したり、粘着テープを貼り付けることにより、片面が粘着性を有し、該粘着面上に試料添加部(12)、(22)、標識物質保持部(13)、(23)、判定部位(15)、(25)を有するクロマトグラフィー媒体部(14)、(24)および吸収部(16)、(26)の一部または全部が密着して設けられている。バッキングシート(7)は、粘着剤によって試料液に対して不透過性、非透湿性となるようなものであれば、基材としては、特に限定されない。
本発明の免疫クロマト分析装置において分析の対象となる検査試料(検体)としては、例えば、主として生体試料、具体的には、血液、血清、血漿、尿、唾液、汗、髄液、涙、羊水、乳頭分泌液、鼻汁、痰、鼻腔吸引液、咽頭拭い液、肺胞洗浄液、皮膚からの浸出液、直腸拭い液、糞便および組織や細胞からの抽出物等々のみならず、食品抽出液、上水、下廃水、培養液等々といった試料などが挙げることができ、特に限定されるものではない。これらの検体中に、被検出物質(抗原等)が含まれている場合に、その濃度が高濃度であっても、又は低濃度であっても、偽陰性又は偽陰性の問題なく結果を判定することができる。
本発明の被検出物質としては、それと特異的に結合する、例えば、抗原−抗体反応のように特異的に結合する物質が存在するかもしくは製造できるものであればよく、特に限定されない。被検出物質が完全抗原といったそれ自体が抗原性を有するものであっても、もしくはハプテン(不完全抗原)といった、それ自体が抗原性を有しなくても化学的変成物とすることにより抗原性を持つに至るものであってもよい。これらの被検出物質と特異的に結合する物質が、存在するかもしくは製造できるものであればよく、モノクローナル抗体若しくはポリクローナル抗体のいずれであってもよい。
本発明の被検出物質を例示すれば、ペプチドホルモン(成長ホルモン(GH)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、メラミン細胞刺激ホルモン(MSH)、プロラクチン、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、下垂体ホルモン、カルシユウム代謝調節ホルモン、膵ホルモン、消化管ホルモン、血管作用ホルモン、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)、エストロン等の卵胞ホルモン、プロゲストロン等の天然又は合成黄体ホルモン、テストステロン等の男性ホルモン、コルチゾール等の副腎皮質ホルモン、ジヨードサイロニン等の甲状腺ホルモン類等々のホルモン、前立腺性酸性フォスファターゼ(PAP)、前立腺特異抗原(PSA)、アルカリ性フォスファターゼ、トランスアミナーゼ、トリプシン、ペプシノーゲン、α−フェトプロテイン(AFP)、ガン胎児性抗原(CEA)等のガン特異物質、免疫グロブリンG(IgG)等の血清蛋白成分、リュウマチ因子、セロトニン、ウロキナーゼ、フェリチン、サブスタンP、便潜血、梅毒抗体、インフルエンザウィルス、アデノウィルス、ロタウィルス、マイコプラズマ、HBs抗原、HBs抗体、クラミジア抗原、A群β溶連菌抗原、コレステロール、胆汁酸、強心性ステロイド、サポゲニン等のその他のステロイド類、エピネフリン、ドーパミン、生理活性アルカロイド類、アミノ基含有向精神薬類、TRH等の低分子ペプチド類、プロスタグランジン類、ビタミン類、ペニシリン等の抗生物質類、その他生体内成分、生体内投与薬物およびその代謝産物等が挙げられるが、好ましい被検出物質としては、特に黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)、エストロン等の卵胞ホルモン、プロゲストロン等の天然又は合成黄体ホルモン等が、挙げられ、本発明の検出対象物を含む試料(検体)としては、例えば、尿、血液等が用いられる。
また、本発明の免疫クロマト分析装置は、被検出物質を溶解させるための検体希釈液と組み合わせて、免疫クロマト分析キットとすることができる。検体希釈液には、緩衝剤や界面活性剤、特に、非イオン性界面活性剤を含有させることが好ましい。
含有させる緩衝剤としては、試料の添加や試料の蒸発や希釈による濃度の変化、外部からの多少の異物の混入によっても致命的な影響を生じない作用(緩衝作用)を持つものであれば特に制限はない。
上記緩衝剤としては、酢酸緩衝液(酢酸+酢酸ナトリウム)、リン酸緩衝液(リン酸+リン酸ナトリウム)、クエン酸緩衝液(クエン酸+クエン酸ナトリウム)、ホウ酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液(トリス(ヒドロキシルメチル)アミノメタン+塩酸)、TE緩衝液(トリス+エチレンジアミン四酢酸)、TAE緩衝液(トリス+酢酸+エチレンジアミン四酢酸)、TBE緩衝液(トリス+ホウ酸+エチレンジアミン四酢酸)又はHEPES緩衝液(2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルフォン酸)等が挙げられる。好ましくは、HEPES緩衝液、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液などであり、より好ましくは、リン酸、HEPES緩衝液である。また、悪影響を及ぼさない範囲内においてその他の緩衝剤を配合して使用することもできる。
上記緩衝液の濃度としては、10〜500mMの範囲が好ましく、10〜300mMの範囲がより好ましく、30〜100mMの範囲がさらに好ましい。濃度が10mM以上であることで緩衝作用が十分となり、タンパク成分の析出抑制や標識粒子の凝集抑制も十分となる。500mM以下にすることで、必要以上の濃度とならず経済的で無駄にならない。また、緩衝液として、pH範囲7.1〜9.8のものを作るのが最適である。
本発明の免疫クロマト分析装置の各部位、特に、クロマトグラフィー媒体部のメンブレンには、生物学的親和性に基づく副反応を抑制したり、非特異的反応を抑制することが公知の添加剤、例えば、抗原抗体反応の促進あるいは非特異的反応を抑制するための蛋白質(例えば、牛血清アルブミン、ゼラチン等)、高分子化合物(例えば、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストラン等)、イオン性界面活性剤又はポリアニオン(例えば、デキストラン硫酸、ヘパリン、ポリスチレンスルホン酸、コンドロイチン硫酸等)、あるいは、抗菌剤等々の1種もしくは2種以上を添加保持して使用することも可能かつ有効であって、何ら妨げるものではない。また、これらの抗原抗体反応の促進あるいは非特異的反応を抑制するための蛋白質、高分子化合物、イオン性界面活性剤又はポリアニオン、あるいは、抗菌剤等々の1種もしくは2種以上を、固定相を構成するクロマトグラフィー媒体部上の、移動相の移動経路上に保持させておくことも可能かつ有効であって、何ら妨げるものではない。
本発明の免疫クロマト分析装置におけるサンプルパッド(12)、(22)又はサンプルパッド(12)、(22)及びコンジュゲーションパッド(13)、(23)中に含有させる上記添加剤の含有量としては、0.01〜20質量%の濃度範囲、好ましくは、0.1〜10質量%の濃度範囲、より好ましくは、0.5〜5質量%の濃度範囲の水溶液を、塗布あるいは含浸させて後、乾燥させて単位面積当りの含有量が、0.10〜10.0μg/mm、好ましくは0.15〜5.0μg/mm、特に好ましくは0.20〜1.0μg/mmとなるようにする。0.10μg/mm以上の含有量により、非特異的反応を抑制でき、正確な判定が行うことができる。一方、10.0μg/mm以下であれば、必要以上の濃度とならず経済的で無駄にならない。単位面積当りの含有量が、0.10〜10.0μg/mmの範囲で用いれば、クロマトグラフ媒体のメンブレンのハイフローレート特性と相互に協同して作用し、よりプロゾーン現象を抑制することができる。
本発明の免疫クロマト分析装置を用いて被検出物質を検出する際に、試料溶液を固相中に保持させる場合、試料溶液中に含有させる保護安定化物質もしくは溶解促進物質としては、糖類、即ち、単糖類、二糖類、三糖類、オリゴ糖又は多糖類が使用できる。単糖類としては、グルコース、ガラクトース、キシロース、フラクトース等が、二糖類としては、トレハロース、シュークロース、ラクトース、マルトース等が、三糖類やオリゴ糖としては、ラフィノース等が、多糖類としては、グルコン酸、デキストラン等が、挙げられ、これらは、1種又は2種以上を混合して用いても何ら差支えない。
また、本発明の免疫クロマト分析装置の標識物質保持部(13)、(23)には、標識物質を分子量1000〜30000のメルカプト基を1以上有するアルキレングリコール及び/又はその誘導体(保護試薬)により保護処理し、必要に応じて、これに更にアルギニン及びカゼイン(安定化試薬)を混合して得られる、標識物質保護安定化試薬含有組成物を、塗布、吸着もしくは含浸させて後、各種の乾燥手段(通気乾燥、真空乾燥、自然乾燥、凍結乾燥等)により乾燥させることによって、担持または保持もしくは形成することが好ましい。
本発明の免疫クロマト分析装置におけるクロマトグラフ媒体(21)は、少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体である。「少なくとも高濃度」とは、高濃度の被検出物質を検出する場合の他、低濃度から高濃度まで広い濃度範囲の被検出物質を検出する場合、低濃度の一部(低濃度のうち、高濃度側の濃度)と高濃度の検出する場合を含むことを意味する。低濃度から高濃度まで広い濃度範囲の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体とする場合は、上述したように、メンブレンとしてフロースピードの速いものを用いるか、試料添加部、又は試料添加部と標識物質保持部とに、HLB値が13〜18の非イオン性かつ親水性界面活性を保持させること等により作製することができる。また、低濃度の一部と高濃度を検出し、又は高濃度のみを検出するクロマトグラフ媒体とするには、試料添加部、又は試料添加部と標識物質保持部とに、被検出物質に対する未標識抗体等の被検出物質と親和性を有するスカベンジャーを含有させる等の方法によって実施可能である。スカベンジャーとしては、被検出物質と親和性を有する物質であれば、種々の物質が適用され、前記の未標識抗体の他、天然のタンパク質、合成タンパク質および化合物が挙げられ、アレルギー診断などで用いられる被検出物質が抗体である場合は、その抗体に対する抗原などが挙げられる。
次に、本発明の免疫クロマト分析装置の使用方法について、被検出物質としてhCGを用い、被験者が異常妊娠(胞状奇胎)であるか否かを検査する場合について説明する。
まず、被検出物質溶液(試料溶液)を試料添加部(12)、(22)に滴下する。この場合、試料溶液としては被験者の尿が用いられる。試料溶液としての尿は、そのままで使用してもよいが、希釈して使用することもできる。希釈する場合には、上述した検体希釈液が使用可能である。
滴下された試料溶液は、毛細管現象により標識物質保持部(13)、(23)に到達し、標識物質により標識されたマウス抗hCG抗体と抗原抗体反応することにより複合体を形成する。この複合体は、その後、クロマトグラフィー媒体部(14)、(24)に展開され、判定部位(15)、(25)に到達し、判定部位(15)、(25)に担持固定されている、抗hCG抗体と反応して固定化される。上記標識物質は、低濃度の被検出物質のみを検出するクロマトグラフ媒体(11)においては、非金属コロイド粒子、着色ラテックス等が用いられ、少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体(21)においては、例えば平均粒径が20〜60nmの金ナノ粒子が用いられる。
試料溶液中に含まれるhCGと反応しなかった標識物質により標識されたマウス抗hCG抗体は、コントロール部(18)、(28)に到達し、コントロール部(18)、(28)に固定された抗マウス免疫グロブリン抗体と結合する。判定部位(15)、(25)、並びにコントロール部(18)、(28)のいずれにおいても反応しなかった、被検出物質やその他の成分は吸収部(16)、(26)まで移動する。本発明の免疫クロマト分析装置においては、被検出物質であるhCGを判定部位(15)、(25)において発色シグナルの強度の度合いにより確認し、コントロール物質である抗マウス免疫グロブリンをコントロール部(18)、(28)において発色シグナルの強度の度合いにより確認する。
判定部位(15)(低濃度の被検出物質のみを検出するクロマトグラフ媒体)に発色シグナルが認められ、判定部位(25)(少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体)に発色シグナルが認められない場合、試料溶液中には低濃度のhCGが含まれていると判定される。すなわち正常陽性と判定される。
判定部位(15)(低濃度の被検出物質のみを検出するクロマトグラフ媒体)及び判定部位(25)(少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体)の両方で発色シグナルが認められる場合、試料溶液中には低濃度のhCGが含まれていると判定される。すなわち正常陽性と判定される。
判定部位(15)(低濃度の被検出物質のみを検出するクロマトグラフ媒体)に発色シグナルが認められず、判定部位(25)(少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体)に発色シグナルが認められる場合、試料溶液中には高濃度のhCGが含まれていると判定される。すなわち異常陽性(被験者が胞状奇胎である)と判定される。
また、判定部位(15)(低濃度の被検出物質のみを検出するクロマトグラフ媒体)及び判定部位(25)(少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体)のいずれにも発色シグナルが認められない場合は、試料溶液中にhCGが含まれておらず、胞状奇胎陰性と判定される
以上、本発明の免疫クロマト分析装置について図1を参照しつつ、前記2種のクロマトグラフ媒体において、それぞれの前記クロマトグラフィー媒体部に前記標識物質保持部がそれぞれ独立して連結し、さらに該標識物質保持部に試料添加部がそれぞれ独立して連結することにより、試料添加部からクロマトグラフィー媒体部までそれぞれ1つの流路を有する免疫クロマト分析装置について説明したが、本発明の免疫クロマト分析装置は、かかる実施形態に限定されない。例えば、試料添加部(12)、(22)及び標識物質保持部(13)、(23)を、クロマトグラフ媒体(11)及び(21)において共通して、標識物質保持部とクロマトグラフィー媒体部(24)の間の領域で分岐しているものを使用することもできる。また試料添加部(12)、(22)を、クロマトグラフ媒体(11)及び(21)において共通して使用し、標識物質保持部と試料添加部との間の領域で分岐しているものを使用することもできる。
また、本発明は、試料添加部、標識物質保持部、及び判定部位を有するクロマトグラフィー媒体部を含む、クロマト媒体を有する免疫クロマト分析装置を用いて、検体に含まれる同一の被検出物質を免疫反応により発色させ、その発色シグナルを確認することで陰性または陽性を判定する免疫クロマト分析方法であって、前記免疫クロマト分析方法が、2種のクロマトグラフ媒体を用い、検体に含まれる同一の被検出物質をそれぞれの媒体で免疫反応により発色させ、その発色シグナルを確認することで陰性または陽性を判定するものであって、前記2種のクロマトグラフ媒体がそれぞれ、低濃度の被検出物質のみを検出するクロマトグラフ媒体と、少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体であり、前者の媒体のみ陽性または両方の媒体で陽性の場合に正常陽性と判定し、後者の媒体のみ陽性の場合に異常陽性と判定する免疫クロマト分析方法を提供する。
すなわち、本発明の免疫クロマト分析方法は、前述した本発明の免疫クロマト分析装置を用いることにより、被検出物質の正常陽性、異常陽性を判定する方法である。本発明の免疫クロマト分析方法は、本発明の免疫クロマト分析装置を用いており、本発明は、免疫学的抗原抗体反応を利用して、被検出物質(抗原等)の濃度が低濃度であっても高濃度であっても、迅速、簡便かつ正確に被検出物質(抗原等)を検出することができ、特に被検出物質(抗原等)が非常に少ない低濃度域、もしくはプロゾーン現象が発生するような高濃度域においても偽陰性及び偽陽性の問題なく結果の判定が可能である。
1.判定部位を有するクロマトグラフィー媒体部の作製
ハイフローレイト(sec/40mm)として120、またはハイフローレイト(sec/40mm)として45である2.5×25cmのセルロースからなる、ハイフローレイトの異なる2種類のメンブレンに、抗体塗布機(BioDot社製)を用いて、5質量%のイソプロピルアルコールを含むリン酸緩衝液(pH7.5)で希釈した濃度0.7mg/mlの抗hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)モノクローナル抗体を夫々のメンブレンに塗布し乾燥させ、判定部位(15)、(25)を有する2種類のクロマトグラフィー媒体部(14)、(24)を作製した。前者を低濃度の被検出物質のみを検出するためのクロマトグラフ媒体(11)の作製に用い、後者を少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体(21)の作製に用いた。
2.標識試薬溶液の作製
金コロイド懸濁液(田中貴金属工業(株)製:40nm)0.9mlにリン酸緩衝液(pH7.5)を0.1ml加え混和し、リン酸緩衝液(pH7.5)で希釈した50μg/mlの抗hCGモノクローナル抗体を0.05ml加え、室温で10分間静置した。次いで、0.01質量%のPEG−SH(日本油脂株式会社製、商品名:SUNBRIGHT ME−200SH、分子量20000)を含むTris緩衝液(pH7.5)を0.1ml加え、十分攪拌した後、8000×gで15分間遠心分離を行った。上清を除去した後、リン酸緩衝液(pH7.5)を1ml加えた。超音波破砕機を用いてコロイド状の標識試薬をよく分散させた後、8000×gで15分間遠心分離した。上清を除去し、前記リン酸緩衝液を0.15ml加えて超音波破砕機にてよく分散し、標識試薬溶液とした。
3.サンプルパッド(試料添加部)の作製
3.0×25cmのレーヨン製パッドへ、表1に記載の各種非イオン性界面活性剤の2質量%水溶液を単位面積あたり表1に記載の含有量となるように均一に塗布した後、真空乾燥機にて乾燥させ作製した。非イオン性界面活性剤は、Tween20(シグマアルドリッチ社製、商品名:Tween(登録商標)20)、MN811(日油社製、商品名:ノニオン(登録商標)MN811)、Triton X100(シグマアルドリッチ社製、商品名:Triton X100(登録商標))、Brij35(ICI Americas Inc.製、商品名:Brij35(登録商標))、NP40(ナカライテスク社製、商品名:ノニデット P40(登録商標))を用いた。
4.クロマトグラフ媒体の作製
上記作製した標識試薬溶液0.22mLを0.78mlの10%トレハロース水溶液に加え混和し、0.8×25cmおよび1.6×25cmのグラスファイバー製パッドに夫々均一に添加した後、真空乾燥機にて乾燥させ、標識試薬保持部材とし、前者を低濃度の被検出物質のみを検出するためのクロマトグラフ媒体(11)の作製に用い、後者を少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体(21)の作製に用いた。次いで、バッキングシートから成る基材に、上記にて判定部位を作製した2種類のクロマトグラフィー媒体部、前記にて作製した標識試薬保持部材、上記にて作製したサンプルパッド、および展開した試料や標識試薬などを吸収するためのセルロース繊維の吸収パッドをメンブレンの種類毎に貼り合わせた。最後に、裁断機で幅が5mmとなるように裁断し、低濃度の被検出物質のみを検出するためのクロマトグラフ媒体(11)(以下クロマトグラフ媒体1という)と、少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体(21)(以下クロマトグラフ媒体2という)の、ハイフローレイトの異なる2種類の媒体を作製した。
〔参考例1〕
参考例1では、上記作製したクロマトグラフ媒体1及びクロマトグラフ媒体2において、サンプルパッドに塗布した非イオン性界面活性剤のHLB値及び含有量と、検体試料の展開性との関係について試験を行った。
上記4.にて作製した、ハイフローレイトの異なる2種類のクロマトグラフ媒体を夫々用いて、被検出物質であるhCGの検出試験を行った。陰性検体としては、hCG濃度が0IU/Lである男性尿の150μLを陰性検体試料として用いた。また、表1では、陽性検体試料としてhCG濃度20IU/Lの濃度で含む男性尿で希釈したhCGを含む検体試料150μLを用いた。陰性検体試料、hCGを含む陽性検体試料とも150μLをイムノクロマトグラフィー用試験片のサンプルパッド上に添加し展開させ、測定開始後に試料液がメンブレン上に展開された際に、その液の展開と標識試薬の赤色の展開を目視で流れを確認し、測定開始から15分後に目視判定を行った。
流れについては、展開された液と標識試薬が同じあるいはほぼ同じ速度で展開されたものは「○」、展開された液に少し遅れ標識試薬が展開されたものは「△」、展開された液に遅れ標識試薬が展開されたものは「×」とした。流れが「△」または「×」と判定される場合、標識物質の赤色が15分後の目視判定時にバックグラウンドとして残る可能性があり、「○」の判定であると目視判定時にバックグラウンドに標識物質の赤色が残らず、鮮明な検出ラインの赤色を確認できるため好ましい。目視判定は、判定部位の赤い線を確認できるものは「+」、鮮明に確認できるものは「++」、より強く鮮明に確認できるものは「+++」、赤い線を確認できるが、非常に色が薄いものは、「±」、赤い線を確認できるが、赤い線を確認できないものは「−」とした。
Figure 0006595818
HLB値が13〜18の非イオン性界面活性剤を用いた場合には、hCGと標識物質との複合体の、サンプルパッドから吸収部へ向けて流れる速度が、展開された液と同じあるいはほぼ同じ速度で展開され良好である。また、HLB値が14〜17の非イオン性界面活性剤(Tween20およびBrij35)を用いた場合には、検出ラインにおける感度も良好であることがわかった。流れ及び感度の両面で、Brij35、Tween20が好ましく、特に、Tween20は保存安定性の点でも好適であった。サンプルパッドに添加する非イオン性界面活性剤の含有量は、0.20〜0.60μg/mmの範囲であれば流れ及び感度の両面で良好であることがわかった。2.0μg/mmの含有量でも同様の結果が得られる。含有量が多すぎる場合には、装置製造時やパッケージ収納時に剥離等々の損傷が生じたり、乾燥状態の不均一に起因して、検出ラインの発色にムラが生じたりする場合がある。
〔実施例1〕
上記3.サンプルパッド(試料添加部)の作製において、サンプルパッド中の含有量が単位面積あたり0.4μg/mmとなるようにTween20を非イオン性界面活性剤として用い、上記5.測定において、陽性検体試料としてhCG濃度3IU/L〜2000万IU/Lの濃度で含む男性尿で希釈したhCGを含む検体試料150μLを用いたこと以外は、上記参考例1と同様に試験した。本実施例において、ハイフローレイトが45のメンブレンを使用した少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体をクロマトグラフ媒体3、ハイフローレイトが120のメンブレンを使用した低濃度の被検出物質のみを検出するためのクロマトグラフ媒体をクロマトグラフ媒体4とした。また、上記参考例1の目視判定のほか、市販のイムノクロマトリーダー(浜松ホトニクス社製)を用いた発色強度の測定もあわせて行った。結果を表2および図2に示す。
Figure 0006595818
以下に、表1に示される結果の目視判定において「+」、「++」および「+++」と評価されたものを「陽性」と判定し、「−」と評価されたものを「陰性」と判定した場合、胞状奇胎の指標である100,000IU/L以上のhCGを含む検体を異常陽性と判定する方法について説明する。
クロマトグラフ媒体3を用いた試験で「陽性」であって、クロマトグラフ媒体4を用いた試験で「陰性」であるものを「異常陽性」と判定し、クロマトグラフ媒体3を用いた試験で「陽性」または「陰性」であって、クロマトグラフ媒体4を用いた試験で「陽性」であるものを「正常陽性」と判定すると、表2に示すように20〜10,000IU/LのhCGを含む検体において正常陽性と判定され、100,000〜5,000,000IU/LのhCGを含む検体において異常陽性と判定される。このように、低濃度の被検出物質のみを検出するクロマトグラフ媒体と、少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体との2種類のクロマトグラフ媒体を用い、前者の媒体を用いた試験で「陰性」であって、後者の媒体を用いた試験で「陽性」であるものを「異常陽性」、両者が陰性の場合を「陰性」、それら以外を「正常陽性」と判定することで、胞状奇胎(異常陽性)を判定することができた。
〔実施例2〕
上記1.判定部位を有するクロマトグラフィー媒体部の作製において、少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体に用いるメンブレンとして、ハイフローレイト(sec/40mm)が60のものを用いたこと以外は、実施例1と同様に試験した。このとき、少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体をクロマトグラフ媒体5とし、低濃度の被検出物質のみを検出するためのクロマトグラフ媒体は実施例1で使用したクロマトグラフ媒体4と同じものを使用した。結果を表3および図2に示す。
Figure 0006595818
実施例2では、実施例1よりも狭い範囲ではあるものの100,000〜500,000IU/Lの範囲で異常陽性を判定することができた。
〔実施例3〕
上記3.サンプルパッド(試料添加部)の作製において、サンプルパッド中の含有量が単位面積あたり0.2μg/mmとなるようにTween20を非イオン性界面活性剤として用い、上記4.クロマトグラフ媒体の作製において、標識試薬溶液に標識試薬保持部材中の含有量が単位面積あたり0.2μg/mmとなるようにTween20の2質量%水溶液を加えたこと以外は、実施例1と同様に試験した。このとき、少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体をクロマトグラフ媒体6とし、低濃度の被検出物質のみを検出するためのクロマトグラフ媒体は実施例1で使用したクロマトグラフ媒体4と同じものを使用した。結果を表4および図2に示す。
Figure 0006595818
実施例3では、実施例1よりも広い範囲の100,000〜10,000,000IU/Lの範囲で異常陽性を判定することができた。
7 バッキングシート
10 免疫クロマト分析装置
11、21 クロマトグラフ媒体
12、22 試料添加部(サンプルパッド)
13、23 標識物質保持部(コンジュゲーションパッド)
14、24 クロマトグラフィー媒体部
15、25 判定部位
18、28 コントロール部
16、26 吸収部(展開速度コントロール部)

Claims (10)

  1. 試料添加部、標識物質保持部、及び判定部位を有するクロマトグラフィー媒体部を含むクロマトグラフ媒体、
    を有する免疫クロマト分析装置であって、
    前記免疫クロマト分析装置が前記クロマトグラフ媒体を2種有し、
    前記2種のクロマトグラフ媒体を用いて、検体に含まれる同一の被検出物質をそれぞれの媒体で免疫反応により発色させ、その発色シグナルを確認することで陰性または陽性を判定し、一方または両方が陽性の場合に正常陽性または異常陽性と判定するものであり、
    前記2種のクロマトグラフ媒体がそれぞれ、低濃度の被検出物質のみを検出するクロマトグラフ媒体と、少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体であり、
    前記2種のクロマトグラフ媒体において、それぞれの前記クロマトグラフィー媒体部に前記標識物質保持部がそれぞれ独立して連結し、さらに該標識物質保持部に試料添加部がそれぞれ独立して連結することにより、試料添加部からクロマトグラフィー媒体部までそれぞれ1つの流路を有し、
    前記2種のクロマトグラフ媒体のうち、少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体に用いるメンブレンとして、フロースピードが20sec/40mm以上75sec/40mm以下であるものを用い、
    そのクロマトグラフ媒体に連結する前記標識物質保持部に連結する試料添加部に、HLB値が13〜18の非イオン性かつ親水性界面活性剤を保持させている、
    免疫クロマト分析装置。
  2. 前記少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体が、低濃度の被検出物質も検出することができる、請求項1に記載の免疫クロマト分析装置。
  3. 少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体に連結する前記標識物質保持部と、その標識物質保持部に連結する試料添加部の両方に、HLB値が13〜18の非イオン性かつ親水性界面活性剤が保持された、請求項1または2に記載の免疫クロマト分析装置。
  4. 前記非イオン性かつ親水性界面活性剤の含有量が、免疫クロマト分析装置の1つ当り0.1〜5μgである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の免疫クロマト分析装置。
  5. 前記少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体に連結する前記標識物質保持部に、金ナノ粒子により修飾された標識物質が乾燥保持されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の免疫クロマト分析装置。
  6. 前記金ナノ粒子の平均粒径が20〜60nmである、請求項5に記載の免疫クロマト分析装置。
  7. 前記被検出物質がhCGである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の免疫クロマト分析装置。
  8. 異常妊娠を検査するためのものである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の免疫クロマト分析装置。
  9. 前記異常妊娠が胞状奇胎である、請求項8に記載の免疫クロマト分析装置。
  10. 試料添加部、標識物質保持部、及び判定部位を有するクロマトグラフィー媒体部を含むクロマトグラフ媒体、
    を有する免疫クロマト分析装置を用いて、検体に含まれる同一の被検出物質を免疫反応により発色させ、その発色シグナルを確認することで陰性または陽性を判定する免疫クロマト分析方法であって、
    前記免疫クロマト分析方法が、2種のクロマトグラフ媒体を用い、検体に含まれる同一の被検出物質をそれぞれの媒体で免疫反応により発色させ、その発色シグナルを確認することで陰性または陽性を判定するものであって、
    前記2種のクロマトグラフ媒体がそれぞれ、低濃度の被検出物質のみを検出するクロマトグラフ媒体と、少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体であり、
    前者の媒体のみ陽性または両方の媒体で陽性の場合に正常陽性と判定し、後者の媒体のみ陽性の場合に異常陽性と判定し、
    前記2種のクロマトグラフ媒体において、それぞれの前記クロマトグラフィー媒体部に前記標識物質保持部がそれぞれ独立して連結し、さらに該標識物質保持部に試料添加部がそれぞれ独立して連結することにより、試料添加部からクロマトグラフィー媒体部までそれぞれ1つの流路を有し、
    前記2種のクロマトグラフ媒体のうち、少なくとも高濃度の被検出物質を検出するクロマトグラフ媒体に用いるメンブレンとして、フロースピードが20sec/40mm以上75sec/40mm以下であるものを用い、
    そのクロマトグラフ媒体に連結する前記標識物質保持部に連結する試料添加部に、HLB値が13〜18の非イオン性かつ親水性界面活性剤を保持させている、
    免疫クロマト分析方法。
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