JP6592985B2 - 天然ゴムの臭気を評価する方法 - Google Patents

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Description

本発明は、天然ゴムの臭気を評価する方法に関する。
ゴム業界で使用されている天然ゴム(NR)は、熱帯地方で栽培されるヘベア・ブラジリエンシスと呼ばれるゴムノキから採取された樹液(ラテックス)を固形化したものである。固形化する方法としては、ギ酸等の酸で凝固、乾燥して製造する方法や、ゴム農園においてラテックス採取用のカップの中で自然に凝固させたり、カップに酸を添加して凝固させたりして得られたカップランプを粉砕、洗浄を繰り返し、乾燥後プレスして製造する方法などがある。
上述のような方法で製造されることから、天然ゴムはポリイソプレン成分以外にタンパク質、脂質、糖等の非ゴム成分を多く含有している。そのため、乾燥の前段階での貯蔵期間中にこれらの成分が腐敗し、悪臭の原因となっている。特にカップランプに関しては、非ゴム成分を非常に多く含有し、農園での貯蔵、加工所での貯蔵・輸送期間などから貯蔵期間が長く、臭気の問題が生じ易い。しかしながら、製造のし易さ、コストの面からタイヤ用途では近年カップランプを原材料とした天然ゴムが非常に多く使用されている。天然ゴムの腐敗臭は、天然ゴムの加工工場はもちろん、タイヤ等のゴム製品の製造工場においても、工場の作業環境の悪化、工場周辺の環境への影響など問題になっている。
このような天然ゴムから発生する臭気の問題を解決するための方法を検討するうえでは、天然ゴムの臭気を評価することが必要不可欠である。天然ゴムの臭気を評価する方法としては、従来は、人間の嗅覚を利用した官能評価が一般的であった。例えば、複数のパネラーに実際に臭気を嗅がせ、その臭気度合いをランク分けして評価する官能評価方法(例えば、特許文献1、2参照)や、複数のパネラーに実際に臭気を嗅がせ、当該臭気サンプルの希釈倍率を上げていって臭気を感じなくなったときの希釈倍率を臭気濃度として算出する方法(例えば、特許文献3参照)などが知られている。
特許第3573498号公報 特開2013−249411号公報 特許第5312439号公報
上述のように、従来、天然ゴムの臭気を評価する方法としては、人間の嗅覚を利用する官能評価が一般的であったが、官能評価は、評価を行うパネラーの個人差や評価を行う日のパネラーの体調によって嗅覚が変動するため客観的な評価が困難な方法であった。
そのために、天然ゴムの臭気を客観的に評価できる評価方法の確立が望まれていたが、いまだそのような技術は存在していなかった。
また、官能評価では、臭気成分物質の成分ごとの評価を行うことも困難であった。
本発明は、前記課題を解決し、天然ゴムの臭気を客観的に評価することができる、天然ゴムの臭気の評価方法を提供することを目的とする。
本発明は、天然ゴム中のイソ吉草酸アルデヒド、プロピオン酸、酪酸、及びN−吉草酸の含有量を定量する定量工程、前記定量工程で得られた各成分の含有量を嗅覚閾値で補正して各成分のにおい指数を得る補正工程、及び、前記補正工程で得られた各成分のにおい指数を合計して臭気成分指数を算出する算出工程を含む天然ゴムの臭気を評価する方法に関する。
上記定量工程は、ガスクロマトグラフィーを用いて行われることが好ましい。
上記ガスクロマトグラフィーは、ヘッドスペース−ガスクロマトグラフを用いて行われることが好ましい。
本発明によれば、天然ゴム中のイソ吉草酸アルデヒド、プロピオン酸、酪酸、及びN−吉草酸の含有量を定量する定量工程、前記定量工程で得られた各成分の含有量を嗅覚閾値で補正して各成分のにおい指数を得る補正工程、及び、前記補正工程で得られた各成分のにおい指数を合計して臭気成分指数を算出する算出工程を含む天然ゴムの臭気を評価する方法であるので、天然ゴム中の特定の臭気成分を定量的に分析することで、天然ゴムの臭気を客観的に評価することができる。
実施例1〜5の各天然ゴムにおける、臭気成分指数及び臭気官能評価の評点をプロットしたグラフである。
本発明は、天然ゴム中のイソ吉草酸アルデヒド、プロピオン酸、酪酸、及びN−吉草酸の含有量を定量する定量工程、前記定量工程で得られた各成分の含有量を嗅覚閾値で補正して各成分のにおい指数を得る補正工程、及び、前記補正工程で得られた各成分のにおい指数を合計して臭気成分指数を算出する算出工程を含む、天然ゴムの臭気を評価する方法である。本発明者らは、天然ゴム中に含まれる揮発性有機物について調査したところ、天然ゴムの産地、製造方法により、揮発性有機物の種類、量が大きく異なることを見出した。更に鋭意検討した結果、揮発性有機物の中でも、イソ吉草酸アルデヒド、プロピオン酸、酪酸、及びN−吉草酸の含有量が天然ゴムの臭気の度合いと非常に関連が強いことを発見した。すなわち、本発明者らは、天然ゴム中のイソ吉草酸アルデヒド、プロピオン酸、酪酸、及びN−吉草酸の含有量を嗅覚閾値で補正して得られる各成分のにおい指数を合計した臭気成分指数と、天然ゴムの臭気の度合いとの間に有意な相関があることを見出し、このことから、天然ゴム中のイソ吉草酸アルデヒド、プロピオン酸、酪酸、及びN−吉草酸の含有量を定量することで、その定量値から天然ゴム中の臭気の度合いを評価することが可能となり、天然ゴムの臭気を客観的に評価することができることに想到し、本発明に到達した。
なお、本発明の評価方法は、上記工程を含む限りその他の工程を含んでいてもよく、また、各工程は1回行われてもよいし、複数回行われてもよい。
本発明における定量工程では、天然ゴム中のイソ吉草酸アルデヒド、プロピオン酸、酪酸、及びN−吉草酸それぞれの含有量を定量する。上記定量工程において、上記各成分の含有量を定量する方法は、上記各成分の含有量を定量できる限り特に限定されず、公知の各種機器分析法による定量分析を採用できる。当該機器分析法としては、例えば、吸光光度法;蛍光光度法;イオンクロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーを用いる手法等が挙げられる。なかでも、クロマトグラフィーが好ましく、ガスクロマトグラフィーがより好ましい。このように、上記定量工程が、ガスクロマトグラフィーを用いて行われることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
なお、本発明では、上記化合物の含有量を直接定量してもよいが、上記化合物の誘導体を形成させ、該誘導体の含有量を測定することにより、上記化合物の含有量を定量してもよい。
上記定量工程がガスクロマトグラフィーを用いて行われる場合、用いられるガスクロマトグラフとしては、サンプル中のイソ吉草酸アルデヒド、プロピオン酸、酪酸、及びN−吉草酸の含有量を定量することができれば特に限定されず、通常使用されるガスクロマトグラフを用いることができる。また、上記ガスクロマトグラフィーの測定条件については、サンプル中のイソ吉草酸アルデヒド、プロピオン酸、酪酸、及びN−吉草酸の含有量を定量することができるよう適宜設定することができる。
なお、上記ガスクロマトグラフィーに用いる、カラム、検出器等についても通常使用されるものを用いることができる。該検出器としては、例えば、質量分析器(MS)、UV検出器、水素炎イオン検出器(FID)等が挙げられるが、検出の感度、また、化合物の構造情報が得られることから標準試料を必要としないといった観点から、MSが好ましい。
上記ガスクロマトグラフィーとしては、天然ゴムを一定時間加温してからガスクロマトグラフィー分析を行うことが好ましい。ガスクロマトグラフィー分析を行う前に天然ゴムを一定時間加温することで、天然ゴム中の揮発成分を含む気相と天然ゴムサンプルとを平衡状態にして、その気相部分をガスクロマトグラフィー分析に供することができる。イソ吉草酸アルデヒド、プロピオン酸、酪酸、及びN−吉草酸はいずれも揮発成分であることから、天然ゴムを一定時間加温してからガスクロマトグラフィー分析を行うことにより、天然ゴム中のイソ吉草酸アルデヒド、プロピオン酸、酪酸、及びN−吉草酸の含有量をより正確に定量することが可能となる。上述のように、天然ゴムを一定時間加温してからガスクロマトグラフィー分析を行うために、上記ガスクロマトグラフとして、ヘッドスペース−ガスクロマトグラフ(HS−GC)を用いることが好ましい。このように、上記ガスクロマトグラフィーが、ヘッドスペース−ガスクロマトグラフを用いて行われることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記ガスクロマトグラフィー分析を行う前の天然ゴムの加温条件としては、天然ゴム中の揮発成分を含む気相と天然ゴムサンプルとが平衡状態となるように、加熱温度及び加熱時間を適宜設定すればよいが、加熱温度が低いと加熱時間を長くする必要が出てくる一方、加熱温度が高すぎると天然ゴムが変質してしまい、天然ゴムの変質に起因する臭気成分が発生するおそれがある。好ましい加熱温度及び加熱時間の一例としては、例えば、60〜180℃で5〜30分の条件が挙げられる。より好ましくは135〜170℃で10〜25分であり、更に好ましくは140〜160℃で15〜25分である。中でも、加熱温度を150℃とした場合には20分以上加熱してもそれ以上は揮発成分の組成に大きな変化がないことから、特に好ましい条件は150℃で20分である。
本発明における定量工程に供される天然ゴムとしては、特に限定されないが、ゴム業界で流通しており、その臭気が問題となっている固形状の天然ゴムが想定される。該固形状の天然ゴムとしては、天然ゴムラテックスを凝固させた凝固物であり、例えば、ラテックス凝固ゴム、カップランプ、トリーレース、未燻製シート(アンスモークトシート:USS)、カップランプをフィールドラテックスで固めたもの(スラブ)、TSRとして加工後のもの、又はこれらの混合品等が挙げられる。これら天然ゴムを適度な大きさに粉砕したり細断したりして前記定量分析に供することができる。
上記天然ゴムラテックスは、ヘベア樹などのゴムノキの樹液として採取され、ゴム分のほか水、タンパク質、脂質、無機塩類などを含み、ゴム中のゲル分は種々の不純物の複合的な存在に基づくものと考えられている。天然ゴムラテックスとして、ヘベア樹をタッピングして出てくる生ラテックス(フィールドラテックス)、遠心分離法やクリーミング法によって濃縮した濃縮ラテックス(精製ラテックス、常法によりアンモニアを添加したハイアンモニアラテックス、亜鉛華とTMTDとアンモニアによって安定化させたLATZラテックスなど)などを使用できる。
上記カップランプとしては、天然ゴムを採取するカップに天然ゴムラテックスが溜まり、それが微生物による非ゴム成分の分解で生じる脂肪酸によって自然に凝固した天然ゴム、又は、予め天然ゴムラテックスを凝固させる機能を有する薬品をカップに入れておき、強制的に素早く凝固させた天然ゴムなどが挙げられる。上記天然ゴムラテックスを凝固させる機能を有する薬品としては、そのような機能を有するものであれば特に限定されず、例えば、硫酸、ギ酸、塩酸、酢酸などの酸、カルシウムイオンなどの陽イオンやそれらの塩類、メタノール、エタノールなどの有機溶剤などが挙げられる。
本発明における補正工程では、前記定量工程で得られた、天然ゴム中のイソ吉草酸アルデヒド、プロピオン酸、酪酸、及びN−吉草酸の含有量を嗅覚閾値で補正して各成分のにおい指数を得る。
上記嗅覚閾値とは、何のにおいか分からなくても何かにおいを感知できる最小濃度のことであり、物質ごとに嗅覚閾値は異なっている。したがって、嗅覚閾値が小さい物質ほど低濃度でもにおいを感じる物質である。
なお、嗅覚閾値を測定したデータは種々存在するが、例えば、「三点比較式臭袋法による臭気物質の閾値測定結果」(日環セ所報 No.17、1990年、77−89頁)に掲載されたデータを嗅覚閾値として用いることができる。
上記補正工程では、前記定量工程で得られた、天然ゴム中のイソ吉草酸アルデヒド、プロピオン酸、酪酸、及びN−吉草酸それぞれの含有量を各成分の嗅覚閾値で補正して、すなわち下記式により、各成分のにおい指数を算出する。このように、におい指数は、天然ゴム中の各成分の含有量を嗅覚閾値で補正した指数であることから、天然ゴムの臭気への各成分の寄与度を表すことになる。
(イソ吉草酸アルデヒドのにおい指数)=
〔(定量工程における定量分析で得られた、イソ吉草酸アルデヒドの含有量)/(定量工程における定量分析に供した天然ゴムサンプルの重量)/(イソ吉草酸アルデヒドの嗅覚閾値)〕
(プロピオン酸のにおい指数)=
〔(定量工程における定量分析で得られた、プロピオン酸の含有量)/(定量工程における定量分析に供した天然ゴムサンプルの重量)/(プロピオン酸の嗅覚閾値)〕
(酪酸のにおい指数)=
〔(定量工程における定量分析で得られた、酪酸の含有量)/(定量工程における定量分析に供した天然ゴムサンプルの重量)/(酪酸の嗅覚閾値)〕
(N−吉草酸のにおい指数)=
〔(定量工程における定量分析で得られた、N−吉草酸の含有量)/(定量工程における定量分析に供した天然ゴムサンプルの重量)/(N−吉草酸の嗅覚閾値)〕
特に、前記定量工程が、ガスクロマトグラフィーを用いて行われた場合には、下記式により、各成分のにおい指数を算出することができる。
(イソ吉草酸アルデヒドのにおい指数)=
〔(定量工程におけるガスクロマトグラフィー分析で得られた、イソ吉草酸アルデヒドのピークのピーク面積)/(定量工程におけるガスクロマトグラフィー分析に供した天然ゴムサンプルの重量)/(イソ吉草酸アルデヒドの嗅覚閾値)〕
(プロピオン酸のにおい指数)=
〔(定量工程におけるガスクロマトグラフィー分析で得られた、プロピオン酸のピークのピーク面積)/(定量工程におけるガスクロマトグラフィー分析に供した天然ゴムサンプルの重量)/(プロピオン酸の嗅覚閾値)〕
(酪酸のにおい指数)=
〔(定量工程におけるガスクロマトグラフィー分析で得られた、酪酸のピークのピーク面積)/(定量工程におけるガスクロマトグラフィー分析に供した天然ゴムサンプルの重量)/(酪酸の嗅覚閾値)〕
(N−吉草酸のにおい指数)=
〔(定量工程におけるガスクロマトグラフィー分析で得られた、N−吉草酸のピークのピーク面積)/(定量工程におけるガスクロマトグラフィー分析に供した天然ゴムサンプルの重量)/(N−吉草酸の嗅覚閾値)〕
なお、上記説明では、ピーク面積に基づいてにおい指数を算出しているが、ピーク面積から含有量を算出し、該含有量に基づいてにおい指数を算出してもよい。
本発明における算出工程では、前記補正工程で得られた各成分のにおい指数を合計して臭気成分指数を算出する。すなわち下記式により、臭気成分指数を算出する。このように、臭気成分指数は、天然ゴムの臭気への上記4成分の寄与度を合計したものであり、天然ゴム全体の臭気の度合いを表すことになる。
(臭気成分指数)=
(イソ吉草酸アルデヒドのにおい指数)+(プロピオン酸のにおい指数)+(酪酸のにおい指数)+(N−吉草酸のにおい指数)
以上のとおり、本発明の天然ゴムの臭気を評価する方法により、天然ゴム中の特定の臭気成分を定量的に分析することで、天然ゴムの臭気を客観的に評価することが可能となる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
実施例において用いた天然ゴムを下記に示す。
SMR20:標準マレーシアゴム、通常のゴム農園で採取された天然ゴムラテックスを回収したカップの中で凝固させたカップランプを粉砕、洗浄して、乾燥させ、ブロック状にしたもの。
SIR10(1):標準インドネシアゴム、通常のゴム農園で採取された天然ゴムラテックスを回収したカップの中で凝固させたカップランプを粉砕、洗浄して、乾燥させ、ブロック状にしたもの。
SIR10(2):標準インドネシアゴム、通常のゴム農園で採取された天然ゴムラテックスを回収したカップの中で凝固させたカップランプを粉砕、洗浄して、乾燥させ、ブロック状にしたもの。
TSS8:通常のゴム農園で採取された天然ゴムラテックスにギ酸を添加して固めたシートを洗浄、乾燥後、ブロック状にしたもの。
RSS3:通常のゴム農園で採取された天然ゴムラテックスにギ酸を添加して固めたシートを燻製し、乾燥させたもの。
(実施例1)
<臭気成分定量評価>
天然ゴムSMR20 200mgを細断し、サンプル管に封入した。該サンプル管を150℃で20分加温して揮発した成分を、ヘッドスペース−ガスクロマトグラフ質量分析計(HS−GCMS)を用いて分析した。分析に用いたHS−GCMS、及び分析条件は下記のとおりである。
〔HS−GCMS〕
ヘッドスペースサンプラ―:株式会社島津製作所製「HS−20」
GCMS:株式会社島津製作所製「GCMS−QP2010 Ultra」
カラム:アジレント・テクノロジー社製「Agilent J&W GCカラム−HP−5ms」
〔昇温プログラム〕
40℃で3分保持→3℃/分で100℃まで昇温→100℃で1分保持→8℃/分で250℃まで昇温
上記GCMSによる分析で検出された、イソ吉草酸アルデヒド、プロピオン酸、酪酸、及びN−吉草酸それぞれのピーク面積比を各成分の嗅覚閾値で補正して各成分のにおい指数を算出した。すなわち、各成分のにおい指数は、下記式により算出される。そして、上記4種類の化合物全てについてのにおい指数を足し合わせて臭気成分指数を求めた。すなわち、臭気成分指数は、下記式により算出される。
(イソ吉草酸アルデヒドのにおい指数)=
〔(イソ吉草酸アルデヒドのピークのピーク面積)/(天然ゴムサンプルの重量)/(イソ吉草酸アルデヒドの嗅覚閾値)〕
(プロピオン酸のにおい指数)=
〔(プロピオン酸のピークのピーク面積)/(天然ゴムサンプルの重量)/(プロピオン酸の嗅覚閾値)〕
(酪酸のにおい指数)=
〔(酪酸のピークのピーク面積)/(天然ゴムサンプルの重量)/(酪酸の嗅覚閾値)〕
(N−吉草酸のにおい指数)=
〔(N−吉草酸のピークのピーク面積)/(天然ゴムサンプルの重量)/(N−吉草酸の嗅覚閾値)〕
(臭気成分指数)=
(イソ吉草酸アルデヒドのにおい指数)+(プロピオン酸のにおい指数)+(酪酸のにおい指数)+(N−吉草酸のにおい指数)
なお、各成分の嗅覚閾値は、「三点比較式臭袋法による臭気物質の閾値測定結果」(日環セ所報 No.17、1990年、77−89頁)に準じた。上記各成分の嗅覚閾値を以下に抜粋する。
イソ吉草酸アルデヒド:0.000410
プロピオン酸:0.005700
酪酸:0.000190
N−吉草酸:0.000037
<臭気官能評価>
200mLガラス密閉容器に天然ゴムSMR20 20mgを入れ、オーブンで60℃、3時間加温後に、下記基準での官能評価を行った。官能評価は2人が行い、2人の平均点を官能評価の評点とした。
評価基準
6点:非常に強い腐敗臭を感じる
5点:強い腐敗臭を感じる
4点:腐敗臭を感じる
3点:やや弱いが腐敗臭を感じる
2点:注意して嗅げば、わずかに腐敗臭を感じる
1点:無臭(腐敗臭を感じない)
(実施例2)
天然ゴムとして、SIR10(1)を用いた以外は実施例1と同様にして、臭気成分定量評価、及び臭気官能評価を行った。
(実施例3)
天然ゴムとして、SIR10(2)を用いた以外は実施例1と同様にして、臭気成分定量評価、及び臭気官能評価を行った。
(実施例4)
天然ゴムとして、TSS8を用いた以外は実施例1と同様にして、臭気成分定量評価、及び臭気官能評価を行った。
(実施例5)
天然ゴムとして、RSS3を用いた以外は実施例1と同様にして、臭気成分定量評価、及び臭気官能評価を行った。
<臭気成分定量評価と臭気官能評価との相関>
実施例1〜5の結果から、各天然ゴムにおける、臭気成分指数及び臭気官能評価の評点をプロットした。プロットしたグラフを図1に示す。図1より、臭気成分指数と臭気官能評価の評点とが有意に相関していることが分かる。
以上の結果から、天然ゴム中のイソ吉草酸アルデヒド、プロピオン酸、酪酸、及びN−吉草酸の含有量を定量し、各成分の嗅覚閾値で補正して各成分のにおい指数を算出して、それら4種類全てのにおい指数の合計値(臭気成分指数)を求めることで、臭気官能評価の評点と有意に相関のあるデータを得ることができた。このことから、天然ゴム中の特定の臭気成分(イソ吉草酸アルデヒド、プロピオン酸、酪酸、及びN−吉草酸)を定量的に分析することで、天然ゴムの臭気を客観的に評価することができることが分かる。

Claims (2)

  1. 天然ゴム中のイソ吉草酸アルデヒド、プロピオン酸、酪酸、及びN−吉草酸の含有量を定量する定量工程、前記定量工程で得られた各成分の含有量を嗅覚閾値で補正して各成分のにおい指数を得る補正工程、及び、前記補正工程で得られた各成分のにおい指数を合計して臭気成分指数を算出する算出工程を含み、
    前記定量工程が、天然ゴムを140〜160℃で15〜25分加温してからガスクロマトグラフィーを用いて行われる
    天然ゴムの臭気を評価する方法。
  2. 前記ガスクロマトグラフィーが、ヘッドスペース−ガスクロマトグラフを用いて行われる請求項記載の方法。
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