JP6591235B2 - 酸化還元触媒の製造方法 - Google Patents

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本発明は、酸化還元触媒及びこの製造方法、並びにこれを使用した燃料電池、電気化学センサ及び水素発生電極に関する。
炭素材料を基材とした電池用電極、電気化学センサ用電極等が広く用いられている。しかし、その酸化還元触媒としての触媒活性能は必ずしも満足できるものではなく(非特許文献1参照)、水素の酸化還元を促進するために触媒担持等の技術が開発されている。
例えば、下記特許文献1には、白金等の金属微粒子が多孔質炭素膜の細孔表面壁に分散担持された燃料電池用電極が開示されている。
また、下記特許文献2〜6には、ジアゾ基、スルホン酸基等を含む電極材料及びその製造方法が提案されている。
なお、電池用電極材料に限らず、高い触媒活性能を備えた酸化還元触媒を実現できれば、現在様々な分野で使用されている酸化還元反応の効率を向上させることができる。
特開2004−335459号公報 特開2012−160258号公報 特開2012−240886号公報 特開2013−157178号公報 特開2013−202430号公報 特開2015−39686号公報
「燃料電池の電極触媒」 荒又明子 p.114 北海道大学図書刊行会(2005)
本発明の目的は、白金等の触媒金属を使用せずに高い触媒活性能を備えた酸化還元触媒及びこの製造方法、並びにこれを使用した燃料電池、電気化学センサ及び水素発生電極を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態は、炭素を基体とする酸化還元触媒であって、2つの窒素原子がいずれも炭素原子と結合している窒素―窒素結合と、一方の窒素原子のみが炭素原子と結合している窒素―窒素結合と、を有することを特徴とする。
上記2つの窒素原子がいずれも炭素原子と結合している窒素―窒素結合は、アゾ基またはヒドラゾ基であるのが好適である。
また、上記一方の窒素原子のみが炭素原子と結合している窒素―窒素結合は、ジアゾ基またはヒドラジノ基であり、当該ジアゾ基またはヒドラジノ基のグラファイト環におけるオルト位にスルホン酸基を含む電子吸引性基が結合しているのが好適である。
また、本発明の他の実施形態は、燃料電池であって、上記いずれかの酸化還元触媒を水素極と酸素極との少なくとも一方に使用したことを特徴とする。
また、本発明のさらに他の実施形態は、電気化学センサであって、上記いずれかの酸化還元触媒を使用したことを特徴とする。
また、本発明のさらに他の実施形態は、水素発生電極であって、上記いずれかの酸化還元触媒を使用したことを特徴とする。
また、本発明のさらに他の実施形態は、2つの窒素原子がいずれも炭素原子と結合している窒素―窒素結合と、一方の窒素原子のみが炭素原子と結合している窒素―窒素結合と、を有する、炭素を基体とする酸化還元触媒の製造方法であって、尿素分解酵素により尿素を分解中に、炭素材料を電極として前記尿素を分解中の反応液を電気分解し、前記炭素材料に含窒素官能基を共有結合させ、前記含窒素官能基を共有結合させた炭素材料を一方の電極とし、金属イオンを通過させないイオン交換膜により他方の電極である金属製の対極と隔てた状態で電解還元処理する、ことを特徴とする。
また、上記電解還元処理後の炭素材料を、亜硝酸ナトリウムを溶解した硫酸中で反応させてジアゾ化し、前記ジアゾ化後の炭素材料を電極とし、金属イオンを通過させないイオン交換膜により金属製の対極と隔てた状態で再度電解還元処理する、ことを特徴とする。
本発明によれば、白金等の触媒金属を使用せずに高い触媒活性能を備えた酸化還元触媒及びこれを使用した燃料電池及び電気化学センサ、並びに酸化還元触媒の製造方法を提供することができる。
素材料を酵素電解酸化処理する装置の構成例を示す図である。 図1の装置において、ウレアーゼ添加後の作用電極と参照電極との間に流れた電流値の経時変化を示す図である。 炭素材料を硫酸水溶液中で電解還元する装置の構成例を示す図である。 実施例1において、酵素電解酸化処理した後のGCEとそれをさらに定電位電解還元した後のGCEについて測定したXPSを示す図である。 実施例1、実施例2で得られた酸化還元触媒の水素酸化波及び水素発生波を示す図である。 実施例1、実施例2で得られた酸化還元触媒及び白金の酸素還元波を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という)を説明する。
本実施形態にかかる炭素を基体とする酸化還元触媒は、2つの窒素原子がいずれも炭素原子と結合している窒素―窒素結合と、一方の窒素原子のみが炭素原子と結合している窒素―窒素結合と、を有することを特徴としている。
上記炭素を基体とするとは、黒鉛等の炭素材料を使用していることをいう。炭素材料としては、例えば、グラッシーカーボン、カーボンナノチューブ、カーボンフェルト、フラーレン、カーボンナノホーン、プラスチック成型カーボンまたはダイヤモンド電極等を挙げることができる。黒鉛を使用することにより、電極材料としても好適に使用することができる。
また、上記2つの窒素原子がいずれも炭素原子と結合している窒素―窒素結合は、アゾ基またはヒドラゾ基(−NH−NH−)であるのが好適である。また、一方の窒素原子のみが炭素原子と結合している窒素―窒素結合はジアゾ基、アゾ基、ヒドラジノ基(−NH−NH)であるのが好適である。なお、ジアゾ基またはヒドラジノ基の場合には、当該ジアゾ基またはヒドラジノ基のグラファイト環におけるオルト位にスルホン酸基を含む電子吸引性基が結合しているのが好適である。グラファイト環とは、黒鉛を構成する炭素の正六角形の平面状環構造をいう。また、上記ジアゾ基とスルホン酸基とは、ジアゼン構造(C−N=N−S)を形成していることが好適である。
上記酸化還元触媒は、上記炭素材料の表面に含窒素置換基を電解酸化処理により共有結合させ、表面に含窒素置換基を共有結合させた炭素材料を強酸水溶液中で電解還元処理することにより製造する。電解還元処理後の炭素材料は、亜硝酸ナトリウムを溶解した強酸中で反応させてジアゾ化し、その後再度強酸水溶液中で電解還元処理してもよい。
上記電解酸化処理は、尿素分解酵素(ウレアーゼ)により尿素を分解中に、上記炭素材料を電極として該尿素を分解中の反応液を電気分解し、炭素材料に含窒素置換基を共有結合させる処理である。
上記電解酸化処理により炭素材料を構成する炭素原子に共有結合する含窒素置換基は、例えば炭素と窒素の単結合(C-N)、二重結合(C=N)、三重結合(C≡N)を含む原子団と考えられる。特に、三重結合の場合には、窒素原子の酸化状態が最も進んだ状態であり、後述する電解還元処理によりN−N結合を生成しやすいと考えられる。なお、炭素と窒素の単結合には、炭素材料を構成する炭素原子に直接結合したアミノ基を含んでよい。
次に、上記含窒素置換基を共有結合させた炭素材料を強酸水溶液中で電解還元処理する。電解還元処理は、上記含窒素置換基を共有結合させた炭素材料を一方の電極とし、金属イオンを通過させないイオン交換膜により他方の電極である白金、金等の金属製の対極と隔てた状態で上記炭素材料と対極とを強酸水溶液中に浸漬して行う。このように、炭素材料と対極とをイオン交換膜により隔てた状態で電解還元処理を行うことにより、電解還元中に、炭素材料の表面に白金、金等の高価な金属が析出することを防止できるので、製造コストを低減することができる。電解還元処理に使用した装置の例は、後述する実施例において説明する。
電解還元処理に使用される強酸としては、硫酸などの水溶液を使用することができる。これにより、硫酸中で電解還元した場合は炭素材料の表面の炭素原子に、スルホン酸基(SO )を含む電子吸引性基が共有結合することにより導入される。
なお、電解還元処理中には、炭素材料に印加される電圧により水が電気分解され、炭素材料の表面に水素被膜が発生する。この水素被膜は電解還元を阻害する。このため、上記強酸溶液(電解液)中に塩化カリウム等の塩を溶解させ、適宜な電極により塩化カリウム等から生成した塩化物イオンを電解酸化し、塩素(次亜塩素酸)を発生させることにより、炭素材料の表面に発生する水素被膜を酸化除去するのが好適である。
上記電解還元処理によって、炭素材料を構成する炭素原子に共有結合した含窒素置換基が還元される。この結果、ヒドラゾ基(−NHNH−)、ヒドラジノ基(−NHNH)、アミノ基等の含窒素官能基及び上記スルホン酸基を含む電子吸引性基が、炭素材料を構成する炭素原子に共有結合した酸化還元触媒(I)が生成される。上記ヒドラジノ基が、一方の窒素原子のみが炭素原子と結合している窒素―窒素結合の例である。このヒドラジノ基とスルホン酸基とは、グラファイト環におけるオルト位に結合していると考えられる。ヒドラジノ基は電子供与性が強く、オルト位の炭素原子の電子密度が高くなり、硫酸(HSO)から水酸基イオンOHが解離して生成する陽イオンHSO が負電荷密度の高いオルト位の炭素原子をアタックしてスルホン酸基が結合するからである。また、含窒素置換基の一部は、ヒドラゾ基(−NHNH−)となり、近傍のグラファイト環を構成する炭素原子と結合する。これにより、2つの窒素原子がいずれも異なる炭素原子と結合している窒素―窒素結合が形成される。なお、空気中での酸化等によりヒドラゾ基から水素原子が外れて、アゾ基(−N=N−)となっていてもよい。この酸化還元触媒(I)の例の構造式が以下に示される。
Figure 0006591235
なお、上記構造式(化1)では、炭素材料の一部の構造が示されており、炭素原子の六角形格子構造の数並びに含窒素官能基及びスルホン酸基等の数は、上記構造式(化1)のものに限定されない。
上記酸化還元触媒(I)では、ヒドラジノ基が酸化されたジアゾ基とスルホン酸基(SO )とがグラファイト環のオルト位に結合している。このヒドラジノ基は、空気中で酸化されてジアゾ基となり、グラファイト環上で隣り合うジアゾ基とスルホン酸基とがイオン対を形成してジアゾ基が脱窒素して減少するのを防いでいる。さらに、上記オルト位に結合したジアゾ基とスルホン酸基とは、そのほとんどが化学結合してジアゼン構造(C−N=N−S)を形成する。安定性及び触媒活性能を向上させる点で上記イオン対よりも好適である。ジアゼン構造も一方の窒素原子のみが炭素原子と結合している窒素―窒素結合の例である。上記酸化還元触媒(I)からジアゼン構造が形成された酸化還元触媒(II)が以下に示される。
Figure 0006591235
また、上記酸化還元触媒(I)、(II)を、亜硝酸ナトリウムを溶解した硫酸中で反応させ、ジアゾ化すると、以下に示す酸化還元触媒(III)、(IV)が生成する。
Figure 0006591235
Figure 0006591235
酸化還元触媒(III)、(IV)では、表面の炭素原子に結合していたアミノ基がジアゾ化によりジアゾ基に変化しており、オルト位に結合したスルホン酸基と相互作用するジアゾ基と新たに生成したフリーのジアゾ基の二種類のジアゾ基が存在する。この結果、ジアゾ基の数が酸化還元触媒(I)、(II)よりも増加している。
さらに、上記酸化還元触媒(III)、(IV)を、上記と同様の装置により、酸化還元触媒(III)、(IV)と対極とをイオン交換膜で隔てた状態で、硫酸水溶液中で電解還元することにより、スルホン酸基がジアゾ基のオルト位に結合するとともに、ジアゾ基は還元されてヒドラジノ基となる、このヒドラジノ基は空気酸化によりジアゾ基に戻り、スルホン酸基と相互作用してジアゼン構造が形成される場合もある。
また、他のジアゾ基は、近傍のグラファイト環を構成する炭素原子とカップリングしてアゾ基(−N=N−)を生成する。これにより、2つの窒素原子がいずれも異なる炭素原子と結合している窒素―窒素結合の数も増加する。
このようにして生成した酸化還元触媒(V)、(VI)が以下に示される。
Figure 0006591235
Figure 0006591235
以上の様にして製造した本実施形態にかかる酸化還元触媒は、酸化還元特性が向上されているので、水素の電解製造(水の電気分解)用電極、燃料電池用電極、電気化学センサ、酸素による酸化反応触媒、水素添加触媒、水素発生触媒、水素による還元反応触媒、脱水素反応触媒、バイオセンサ等に使用するのが好適である。本実施形態にかかる酸化還元触媒を燃料電池用電極として使用する場合には、白金等の触媒金属を使用せずに水素の酸化還元及び酸素の貴電位における還元を行うことができる。なお、本実施形態にかかる酸化還元触媒は水素極と酸素極のいずれ(両方または一方)にも使用することができる。また、水素の電解製造用電極として使用する場合には、少なくとも陰極用に使用することができるが、陰極、陽極の両方に使用してもよい。
以下、本発明の実施例を説明する。なお、以下の実施例は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
実施例1
(1)以下の手順により、炭素材料の表面の炭素原子に含窒素置換基を共有結合させた。
図1には、実施例1において、炭素材料を酵素電解酸化処理する装置の構成例が示される。図1に示されるプラスチック容器10に、純水とエタノール(和光純薬製特級)を1:1の体積比で混合した溶液50mlを準備し、この溶液に尿素(和光純薬工業株式会社製)を3g溶解して1M尿素溶液を作製し、電解液とした。
次に、炭素材料である回転電極用のGCディスク電極((有)日厚計測製、以後GCEという、直径6mm、グラッシーカーボン製)を作用電極12とし、直径0.5mmの白金線を対極14、銀塩化銀電極(Ag/AgCl)(BAS(ビーエーエス)製)を参照電極16として、+1.1V(対参照電極)の一定電位を作用電極(GCE)12に印加して、3電極法による定電位電解酸化を開始した。
上記定電位電解酸化は、ポテンショスタット/ガルバノスタット(北斗電工製HA−151−B)をポテンショスタット18として用い、作用電極12に、参照電極16に対して一定電位(1.1V)を印加して行った。なお、定電位電解中はスターラー20により電解液を攪拌した。
定電位電解酸化の開始時点では、作用電極12と参照電極16との間に電流が流れないが、10mgのウレアーゼ(和光純薬工業株式会社製、なた豆製)を加えたところ、大幅な電流増加が見られた。そのまま60分間電解酸化を行い、酵素反応溶液(電解液)で作用電極12の電解酸化改質を行った。
図2には、上記ウレアーゼ添加後の作用電極12と参照電極16との間に流れた電流値の経時変化が示される。図2では、酵素反応溶液における電流値がBで示されており、本発明者らが従来行っていたカルバミン酸を使用したグラッシーカーボンの電解酸化時における電流値がAで示されている。図2から分かるように、酵素反応溶液を使用した場合の電流値は、カルバミン酸を使用した場合の電流値に較べ、最大で約12倍の電流値となっている。これは、カルバミン酸を使用した場合よりも、酵素反応溶液を使用した場合の方が、より多くの含窒素置換基が作用電極12を構成する炭素原子と結合することを示している。
(2)上記手順(1)で得た含窒素置換基が結合した炭素材料を、以下の手順により硫酸水溶液中で定電位電解還元した。
図3には、実施例1において、炭素材料を硫酸水溶液中で電解還元する装置の構成例が示される。図3の例では、プラスチック容器10をイオン交換膜22で2槽に分離し、一方の部屋(以後、第1槽という)に、上記手順(1)で定電位電解酸化したGCE(作用電極12)、銀塩化銀電極(Ag/AgCl)(参照電極16)、作用電極12としてのGCE表面に水素被膜が発生することを防止するための補助作用電極24を配置するとともに、電解液(1M硫酸40ml)を入れた。また、電解液中には3gの塩化カリウム試薬を溶解した。
また、他方の部屋(以後、第2槽という)には、直径0.5mmの白金線を2本入れ、一方を作用電極12の対極14とし、他方を補助作用電極24の対極26とした。また、対極液として1M硫酸40mlを入れた。
上記定電位電解還元は、ポテンショスタット/ガルバノスタット(北斗電工製HAB−151−B)をポテンショスタット18として用い、作用電極12に、参照電極16に対して一定電位(−1.0V vs.Ag/AgCl)を印加して行った。なお、定電位電解還元中はスターラー20により電解液を攪拌した。
第1槽と第2槽とをイオン交換膜22で分離することにより、作用電極12及び補助作用電極24が白金製の対極14、26と隔てられるので、定電位電解還元中に対極14、26から溶出した白金イオンが作用電極12及び補助作用電極24上に析出(電着)することを防止できる。これにより、白金の消費を抑制することができる。
また、補助作用電極24と対極26との間には、ポテンショスタット/ガルバノスタット(北斗電工、HA−151−B)をガルバノスタット28として接続し、定電位電解還元中に補助作用電極24と対極26との間に20mAの一定電流を流して塩化カリウムから生成した塩化物イオンを電解酸化し、塩素(次亜塩素酸)を発生させた。塩素は作用電極12であるGCE表面の水素被膜を酸化除去するので定電位電解還元を良好に進行させることができる。
以上の処理により、作用電極12として使用したGCEが、実施例1にかかる酸化還元触媒(I)、(II)(化1、化2参照)に改質される。
実施例2.
上記実施例1で得たGCE(酸化還元触媒)を、氷冷した0.1M亜硝酸ナトリウムを溶解した1M硫酸中に3時間浸し、ジアゾ化を行った。亜硝酸ナトリウムは和光純薬株式会社製一級を使用した。これにより、硫酸中において亜硝酸イオンが上記GCEの炭素原子に結合していた一級アミンと反応してジアゾ基を生成する。この結果、酸化還元触媒(III)、(IV)(化3、化4参照)が作製された。
次に、図3に示された装置を使用し、上記酸化還元触媒(III)、(IV)として得られたGCEを実施例1と同様にして再度定電位電解還元を行うと、酸化還元触媒(V)、(VI)(化5、化6参照)が得られる。
実施例3.
実施例1において、酵素電解酸化処理した後のGCEと定電位電解還元した後のGCEについてX線光電子スペクトルを測定し、炭素材料に導入された置換基を分析した。使用したX線光電子スペクトル装置は、XPS,アルバックファイPHYSICAL ELECTRONICS QUANTUM 2000 SCANNING ESCA MICROSCOPEを使用した。
図4には、測定したX線光電子スペクトル(XPS)が示される。図4は、炭素材料に導入された窒素原子のXPSであり、Aが酵素電解酸化処理後のGCEの結果であり、Bが定電位電解還元後のGCEの結果である。
図4において、酵素電解酸化処理後のピークは399.1eV付近に現れており、これは主としてピリジン類の−CH=N−の結合及びシアノ基の−C≡Nの結合を表している。これに対して、定電位電解還元後のピークはN=N結合の現れる399.6eV付近に移動している。これらの結果から、酵素電解酸化処理によりGCEの炭素原子に結合したC=N結合を有する置換基が、定電位電解還元によりN=N結合を有する置換基(アゾ基等)に変わったと考えられる。
実施例4.
実施例1、実施例2で得られた酸化還元触媒としてのGCEを純水で洗浄し、回転電極装置(日厚計測、RRDE−1)の専用電解セルに上記酸化還元触媒(I)及び(V)、並びに白金電極(直径はいずれも6mm)を回転あるいは静止した状態でサイクリックボルタメトリーを行い、サイクリックボルタモグラムを測定した。サイクリックボルタンメトリーは、北斗電工株式会社製 Electrochemical Polarization System HZ−3000を使用し、以下の条件で行った。
測定は常温で行い、電位掃引速度は50mV/秒とした。水素バブリングは水電解式水素発生装置(パーカーハネフィン製、H2−500型)により発生した水素を一定速度60ml/分で供給し、水素バブリングしながら水素の酸化波及び水素発生波を測定した。また、酸素ボンベより電解液中に酸素ガスを一定速度150ml/分で供給して酸素バブリングしながら酸素の還元波を測定した。
図5には、実施例1、実施例2で得られた酸化還元触媒の水素酸化波及び水素発生波が示される。図5において、実施例1で得られた酸化還元触媒の結果がBで示され、実施例2で得られた酸化還元触媒の結果がAで示される。なお、同じサイズ(直径6mm)の白金ディスク電極の水素酸化波及び水素発生波をCに示す。
図5に示された結果から、実施例1、2とも水素酸化波及び水素発生波が確認できた。またジアゾ化後、再度定電位電解還元を行った実施例2の方が水素酸化波及び水素発生波が大きくなることがわかる。これは、ジアゾ化によりジアゾ基が導入され、定電位電解還元によりN=N結合に変化して、水素に対する活性点が増加したためと考えられる。またAとBの改質電極の波はいずれも白金電極の波よりも大きく、活性サイトの可逆性が高いものと判断される。なお、白金電極は水素イオンや水素分子の吸着が生じることが知られており、可逆性を阻害するので波が小さかったものと考えられる。
また、図6には、実施例1、実施例2で得られた酸化還元触媒及び白金の酸素還元波が示される。図6において、実施例1で得られた酸化還元触媒の結果がBで示され、実施例2で得られた酸化還元触媒の結果がAで示される。また、白金の結果がCで示される。
図6に示された結果から、実施例1、2とも白金と類似の酸素還元波が確認できた。またジアゾ化後、再度定電位電解還元を行った実施例2の方が酸素還元波が大きくなることがわかる。これは、ジアゾ基やアゾ基が還元されて出来るヒドラジンラジカルやヒドラゾラジカルが、酸素で酸化されてアゾ基、ジアゾ基に戻ることから、水素に対する活性点であるジアゾ基やアゾ基が増加すると、酸素に対する活性も増加するからと考えられる。
以上より、実施例1、実施例2で得られた酸化還元触媒は、水素の電解製造(水の電気分解)用電極(水素発生電極)、燃料電池用電極、電気化学センサ、酸素による酸化反応触媒、水素添加触媒、水素発生触媒、水素による還元反応触媒、脱水素反応触媒、バイオセンサ等に使用することができる。
10 プラスチック容器、12 作用電極、14、26 対極、16 参照電極、18 ポテンショスタット、20 スターラー、22 イオン交換膜、24 補助作用電極、26a、26b ガス導入管、28 ガルバノスタット。

Claims (2)

  1. 尿素分解酵素により尿素を分解中に、炭素材料を電極として前記尿素を分解中の反応液を電気分解し、前記炭素材料に含窒素官能基を共有結合させ、
    前記含窒素官能基を共有結合させた炭素材料を一方の電極とし、金属イオンを通過させないイオン交換膜により他方の電極である金属製の対極と隔てた状態で電解還元処理する、
    ことを特徴とする、2つの窒素原子がいずれも炭素原子と結合している窒素−窒素結合と、一方の窒素原子のみが炭素原子と結合している窒素−窒素結合と、を有する、炭素を基体とする酸化還元触媒の製造方法。
  2. 前記電解還元処理後の炭素材料を、亜硝酸ナトリウムを溶解した硫酸中で反応させてジアゾ化し、
    前記ジアゾ化後の炭素材料を電極とし、金属イオンを通過させないイオン交換膜により金属製の対極と隔てた状態で再度電解還元処理する、
    ことを特徴とする、請求項1に記載の酸化還元触媒の製造方法。
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