JP6586898B2 - インターロッキングブロック - Google Patents
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Description
したがって本発明は、路面の温度の上昇を大きく抑制し、さらにその効果を長期間維持することができ、都市のヒートアイランド現象を抑制することができるインターロッキングブロックを提供する。
[1] 表層がセルベンの粒状物およびセメントを含有するセメント組成物から成形され、下層が多孔質セラミックスの粒状物とセメントを含有するセメント組成物から形成され、保水能が0.15g/cm3以上であり、曲げ強度が3.0MPa以上である、インターロッキングブロック。
[2]前記多孔質セラミックスの粒状物は、孔径がミリメートルオーダーの気孔とマイクロメートルオーダーの気孔を有することを特徴とする[1]に記載のインターロッキングブロック。
[3]前記ミリメートルオーダーの気孔と前記マイクロメートルオーダーの気孔が連通していることを特徴とする[2]に記載のインターロッキングブロック。
[4] ランプ照射によるインターロッキングブロックの表面温度測定にて測定した温度が、密粒度アスファルトコンクリートの表面温度に比べ5℃以上低いことを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載のインターロッキングブロック。
本発明のインターロッキングブロックは、表層がセルベンの粒状物およびセメントを含有するセメント組成物から成形され、下層が多孔質セラミックスの粒状物とセメントを含有するセメント組成物から形成され、
保水能が0.15g/cm3以上であり、曲げ強度が3.0MPa以上である。
なお、本発明において、セメント組成物を「モルタル」ともいう。
<表層>
表層を形成するセメント組成物は、セルベンの粒状物およびセメントを含有する。
セルベンの粒状物は、太陽光等からの熱線の反射材及び骨材として配合されるものである。
セルベンは、トイレなどに使用されていた衛生陶器屑をいう。セルベンは表面が白、青、緑、黄色、赤、黒など任意のものに着色されていてもよい。セルベンはその一方の表面が着色されていても、その内部や裏面は白色であり、また、粉砕され粒状物となっている場合はその断面は白色であり、他の材料に比べ太陽光などからの熱線の反射性能に優れる。好ましくは、白または淡色のものが熱線の反射の観点から好ましい。
粒子径は、篩分けにより測定される値であり、例えば、0.5mm超5.0mm以下の粒状物は、目開き5.0mmの篩を通過し、目開き0.5mmの篩を通過できないものを意味する。
また、インターロッキングブロックは、本発明の目的に反しない範囲で、上記範囲外の粒子径を有するセルベンの粒状物を含んでもよい。
セメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、高炉セメント、特殊セメント、普通ポルトランドセメントから酸化第二鉄を除去するなどして白度を高めた白色セメントなど、従来、インターロッキングブロックの製造に用いられる公知のセメントが挙げられる。
なお、セメントの代わりに、セルベンを結合させる結合剤として、樹脂や釉薬を用いるとセルベン自体が有する気孔やセルベンの粒子同士の間の気孔が、樹脂等で閉塞され、透水性や蒸散性が低下するおそれがある。
下層を形成するセメント組成物は、多孔質セラミックスの粒状物およびセメントを含有する。
(多孔質セラミックスの粒状物)
多孔質セラミックスの粒状物は、骨材、保水材として配合されるものである。
ここで、「粒状」とは、粒子径10.0mm以下、即ち、目開き10.0mmの篩を通過できる大きさを意味する。多孔質セラミックスの粒状物の粒子径は、例えば、0.5mm超10.0mm以下が好ましく、1.0mm超5.0mm以下がより好ましく、3.0mm超5.0mm以下がさらに好ましい。多孔質セラミックスの粒状物の粒子径が上記上限値超であると、得られるインターロッキングブロックの強度が不足するおそれがある。一方、多孔質セラミックスの粒状物の粒子径が上記下限値未満であると、得られるインターロッキングブロックの保水性、水の蒸散性が低下したり、嵩比重が大きくなったりするおそれがある。
粒子径は、表層と同様に篩分けにより測定される値であり、例えば、0.5mm超5.0mm以下の粒状物は、目開き5.0mmの篩を通過し、目開き0.5mmの篩を通過できないものを意味する。
また、インターロッキングブロックは、本発明の目的に反しない範囲で、上記範囲外の粒子径を有する多孔質セラミックスの粒状物を含んでもよい。
なお、「気孔の孔径」とは、気孔の長径(最大径)のことである。気孔の孔径は、多孔質セラミックスを切断し、その断面の気孔の長径をスケールや電子顕微鏡を用いて測定した値である。
セメントとしては、表層と同様に普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、高炉セメント、特殊セメント、白色セメントなど、従来、インターロッキングブロックの製造に用いられる公知のセメントが挙げられる。
表層と同様に、セメントの代わりに、セルベンを結合させる結合剤として、樹脂や釉薬を用いるとセルベン自体が有する気孔やセルベンの粒子同士の間の気孔が、樹脂等で閉塞され、保水性や透水性や水の蒸散性が低下するおそれがある。
表層及び下層を形成するセメント組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、上述したセルベンの粒状物、多孔質セラミックスの粒状物およびセメント以外の成分(任意成分)を含有してもよい。
任意成分としては、多孔質セラミックスの粒状物以外の骨材(他の骨材)、顔料、防藻防カビ剤、流動化剤、遮熱剤などが挙げられる。特に、顔料としては、酸化チタンなどからなる白色顔料が好ましい。また、顔料として他の有色の顔料を用いてもよい。また、遮熱剤としては、アンチモンドープ酸化錫、スズドープ酸化インジューム、鉄クロム系材料、黒色酸化鉄系材料、酸化マンガン系材料の粒状物が挙げられる。また、一般の顔料としては、粒子径が大きく、活性が抑えられた酸化チタンも顔料兼遮熱剤として用いることができる。
また、詳しくは後述するが、インターロッキングブロックの成形においてゼロスランプ加圧成形法を採用する場合、セメント組成物中の水の含有量は、モルタルがゼロスランプの状態となる量が好ましい。
ここで、「ゼロスランプ」とは、JIS A 1101に準拠したスランプ試験による変位量(スランプ値)が0cmとなることをいう。
セメント組成物が他の骨材を含有することで、得られるインターロッキングブロックの強度がより向上する傾向にある。
他の骨材の粒子径は、例えば、0.5mm超10.0mm以下が好ましく、1mm超5.0mm以下がより好ましい。他の骨材の粒子径が上記上限値超であると、得られるインターロッキングブロックの強度が不足するおそれがある。一方、他の骨材の粒子径が上記下限値未満であると、得られるインターロッキングブロックの透水性、保水性が低下し、嵩比重が大きくなるおそれがある。
なお、ここでの粒子径もセルベンや多孔質セラミックスの粒状物と同様に篩分けにより測定される値である。
本発明のインターロッキングブロックの保水能は、0.15g/cm3以上であり、0.20g/cm3以上が好ましく、0.30g/cm3以上がより好ましい。保水能が0.15g/cm3以上であれば、雨水等を十分に保水でき、路面の温度上昇を抑制するとともに、温度上昇抑制時間も長くなることから、都市のヒートアイランド現象の抑制を長期にわたり貢献することができる。
保水能の上限については特に制限されないが、得られるインターロッキングブロックの強度の観点では、0.80g/cm3以下が好ましく、0.50g/cm3以下がさらに好ましい。
インターロッキングブロックの保水能は、多孔質セラミックスの粒状物の種類や配合量、セメントの種類等を組み合わせることで調節できる。
透水係数が前記下限値以上であれば、インターロッキングブロックの表面から素早く雨水を吸収し、下層の組成物に形成された空隙中に供給することができる。
透水係数の上限については特に制限されないが、0.5000cm/s以下が好ましい。
インターロッキングブロックの透水係数は、多孔質セラミックスの粒状物の種類や配合量、セメントの種類等を組み合わせることで調節できる。
曲げ強度の上限については特に制限されないが、30MPa以下が好ましい。
インターロッキングブロックの曲げ強度は、多孔質セラミックスの粒状物の種類や配合量、セメントの種類等を組み合わせることで調節できる。
密粒度アスファルトコンクリートの表面温度に比べ、インターロッキングブロックの表面温度が低ければ、インターロッキングブロックを敷設した路面や床面が冷たいだけではなく、その敷設した環境の温度の上昇も抑制することにより、都市のヒートアイランド現象を抑制することができる。
本発明のインターロッキングブロックは、少なくともセルベンの粒状物とセメントを含有するセメント組成物からなる表層と、少なくとも多孔質セラミックスの粒状物とセメントを含有するセメント組成物からなる下層の2層構造であってもよいし、本発明の所期の目的を逸脱しない範囲でその他の層をも有する多層構造であってもよい。その他の層をも有する多層構造としては、セルベンの粒状物とセメントを含むセメント組成物からなる表層の下に形成された層であれば、多孔質セラミックスの粒状物とセメントを含むセメント組成物からなる下層の上に形成されたものであっても、その下に形成されたものであってもよい。
これにより、保水量が多くなることに加え、多孔質セラミックスに形成された気孔内に貯められた水は、多孔質セラミックスの粒状物間の空隙に貯められた水に比べ、蒸散が遅く、水の潜熱を利用した路面の温度上昇抑制性能をより長期に亘り発揮することができる。
図1に示すインターロッキングブロック10は、下層12と、該下層12上に積層された表層14とからなる。
この例の下層12は骨材16とセメント18とを含み、表層14は骨材16とセメント18とを含む。
下層12に含まれる骨材は少なくとも前記の多孔質セラミックスの粒状物を含み、表層14に含まれる骨材16のうち、少なくとも前記のセルベンの粒状物を含む。
本発明のインターロッキングブロックの製造方法は、上層を得るためのセルベンの粒状物と、セメントと、水と、必要に応じて水以外の任意成分とを混合してモルタルを調製する工程、下層を得るための多孔質セラミックスの粒状物と、セメントと、水と、必要に応じて水以外の任意成分とを混合してモルタルを調製する工程(モルタル調製工程)と、得られたモルタルを任意の形状に成形し、硬化させる工程(硬化工程)とを有する。この製造方法を「練り込み方法」ともいう。
まず、多孔質セラミックスの粒状物と、セメントと、水と、必要に応じて水以外の任意成分とを混合して、下層12を形成するためのセメント組成物(下層用セメント組成物)を調製する。
別途、セルベンの粒状物と、セメントと、水と、必要に応じて水以外の任意成分とを混合して、表層14を形成するためのモルタル(表層用モルタル)を調製する。
次いで、下層用セメント組成物を型枠に充填し、その上から表層用モルタルをさらに充填した後、ゼロスランプ加圧成形法等によって硬化させる。得られた硬化物を型枠から取り出し、養生させて下層12と、該下層12上に積層された表層14とからなる2層構造のインターロッキングブロック10を得る。
下層用セメント組成物もしくは下層用モルタル、ならびに表層用セメント組成物もしくは表層用モルタルの組成は、下層12および表層14に要求される特性に応じて適宜決定すればよい。
以上説明した本発明のインターロッキングブロックは、表層にセルベンの粒状物を含み、下層に多孔質セラミックスの粒状物とセメントを含み、かつ保水能が0.15g/cm3以上であり、曲げ強度が3.0MPa以上であるため、保水性、透水性、および蒸散性を有する。よって、本発明のインターロッキングブロックによれば、太陽光などからの熱線を反射し、路面の温度上昇を抑制し、かつ、長時間にわたりこの効果を持続し、長期に亘りヒートアイランド現象を抑制できる。
以下に、実施例及び比較例で使用した原料と、各種測定・評価方法を示す。
以下の原料を使用した。
・セルベンの粒状物:衛生陶器の廃材の粉砕物(株式会社サンエー製。商品名「エコセルベン」。粒子径 2mm超、3.3mm以下。)
・多孔質セラミックの粒状物:小松精練株式会社製の「greenbiz(登録商標) karyu」の破砕物。粒子径1mm超、5mm以下。「greenbiz(登録商標) karyu」は、ミリメートルオーダーの気孔とマイクメートルオーダーの気孔とナノメートルオーダーの気孔を有し、これらの気孔は連通している。
・瓦屑:瓦廃材の破砕物。粒子径1mm超、5mm以下。
・ガラス粒子:ホウケイ酸ガラスの破砕物。粒子径1mm超、5mm以下。
・普通ポルトランドセメント:宇部三菱セメント株式会社製。
・高炉セメント:宇部三菱セメント株式会社製。
・顔料:酸化チタンの粒状物(遮熱性をも有するもの。粒子径は平均粒子径1.0μm。なお、この粒子径は、電子顕微鏡を用い、任意の粒状物30個の長径を測定し、平均値を求めたもの。)
<保水能の測定>
JIS A 5371−2013(プレキャスト無筋コンクリート製品 付属書B(規定)舗装・境界ブロック類推奨仕様B−3インターロッキングブロック)に準拠して測定し、下記式(1)により保水能を求めた。なお、サンプル(N)数はN=10とし、その平均値を求めた。
保水能(g/cm3)={湿潤質量(g)−絶乾質量(g)}÷試料の体積(cm3) ・・・(1)
JIS A 5371−2013(プレキャスト無筋コンクリート製品 付属書B(規定)舗装・境界ブロック類推奨仕様B−3インターロッキングブロック)に準拠して測定した(インターロッキングブロックの透水試験法)。
1週間養生後のインターロッキングブロックについて、万能試験装置(株式会社島津製作所製)を用い、JIS A 5371−2013(プレキャスト無筋コンクリート製品 付属書B(規定)舗装・境界ブロック類推奨仕様B−3インターロッキングブロック)に準拠して、最大荷重を測定した。載荷スパンを試料の長さの80%とし、縁応力度の増加が1.0MPaとなるような載荷速度とした。なお、サンプル(N)数はN=10とし、その平均値を求めた。求めた最大荷重の平均値から、下記式(2)により曲げ強度を算出した。
曲げ強度(MPa)=[{3×スパン(mm)}÷{2×試料の幅(mm)×試料の厚さ(mm)×試料の厚さ(mm)}]×最大荷重の平均値(N) ・・・(2)
試料は、直径100mm×厚み60mmの円柱状としたブロックとする。
温度30℃±1℃、湿度50±5RH%の環境下で試料を1時間水に浸漬し、水から取り出した後、試料の表面に付着した水滴を除去し、表乾状態とする。
次に、試料からの放熱を防ぐため、試料の底面、側面に厚さ50mm程度の断熱材(発泡スチロールなど)を使用し、試料の表面(表層)が上になるように設置する。
当該インターロッキングブロックの上に、ビームランプ(東芝ライテック(株)製 BRF110V150W)を設置。(ランプの高さは、比較試験体(密粒度アスファルトコンクリート)の表面温度が3時間で60℃になるように調整)表面の温度は、熱電対を用いランプ照射開始後、10分間隔で3時間測定する。
なお、表1には、ランプ照射開始後、1時間後、2時間後、3時間後の試料の表面温度を記載した。
また、インターロッキングブロックの表面温度との温度差を測定するため、密粒度アスファルトコンクリートの表面温度も上記の方法で測定した。
表1に示す材料を混合して、ゼロスランプの下層用セメント組成物を調製した。
別途、表1に示す材料を混合して、ゼロスランプの表層用モルタルを調製した。
次いで、下層用セメント組成物を型枠に充填し、その上から表層用モルタルをさらに充填した後、2トンの圧力で振動加圧して硬化させた。硬化物を型枠から取り出し、1週間養生し、縦200mm、横100mm、厚さ60mmのインターロッキングブロックを得た。得られたインターロッキングブロックは、下層用セメント組成物が硬化した下層(厚さ50〜55mm)と、表層用モルタルが硬化した表層(厚さ5〜10mm)とからなる2層構造であった。なお、下層と表層を合計した厚さは60mmである。
得られたインターロッキングブロックについて、保水能、透水係数、曲げ強度及ランプ照射によるインターロッキングブロックの表面温度を測定を行った。これらの結果を表1に示す。なお、ランプ照射によるインターロッキングブロックの表面温度測定は、アスファルト舗装道路を想定し密粒度アスファルトを用いて製造したブロックについても行った。
表1に示す配合組成に変更した以外は、実施例1と同様にして下層用セメント組成物および表層用モルタルを調製し、これらを用いてインターロッキングブロックを製造し、各種測定を行った。これらの結果を表1に示す。
表1に示す配合組成に変更した以外は、実施例1と同様にしてモルタルを調製し、これらを用いてインターロッキングブロックを製造し、各種測定を行った。これらの結果を表1に示す。
表1に示す配合組成に変更した以外は、実施例1と同様にしてモルタルを調製し、これらを用いてインターロッキングブロックを製造し、各種測定を行った。これらの結果を表1に示す。
従って、路面温度の上昇を大きく抑制し、かつ、長期に亘り温度低減効果を発揮し、ヒートアイランド現象を長期に抑えることが分かった。
12 下層
14 表層
16 骨材
18 セメント
Claims (3)
- 表層がセルベンの粒状物およびセメントを含有するセメント組成物から成形され、下層が多孔質セラミックスの粒状物とセメントを含有するセメント組成物から形成され、
保水能が0.15g/cm3以上であり、曲げ強度が3.0MPa以上であるインターロッキングブロックであって、
ランプ照射によるインターロッキングブロックの表面温度測定にて測定した温度が、密
粒度アスファルトコンクリートの表面温度に比べ5℃以上低いことを特徴とするインターロッキングブロック。 - 前記多孔質セラミックスの粒状物は、孔径がミリメートルオーダーの気孔とマイクロメートルオーダーの気孔を有することを特徴とする請求項1に記載のインターロッキングブロック。
- 前記ミリメートルオーダーの気孔と前記マイクロメートルオーダーの気孔が連通していることを特徴とする請求項2に記載のインターロッキングブロック。
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