以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
図1及び図2に、本発明に係る地震情報の配信システムの実施形態の一例を示す。
本実施形態の地震情報の配信システムは、振動波を検知する振動検知手段2と、地震情報を送信するサーバとしての通知サーバ6及びインスタントメッセージングサーバ7と、地震情報を受信する端末手段1とを含み、振動検知手段2は地震波のP波を検出すると計測データを出力し、振動検知手段2からの計測データの出力を契機として、通知サーバ6及びインスタントメッセージングサーバ7が端末手段1に対して地震情報を送信する処理が進められるようにしている。
《ネットワーク》
本発明では、種々の制御指令や情報など(具体的には、これらに相当する信号)がネットワークを介して送受信される。本発明で利用されるネットワーク9A,9Bは、信号の送受信に使用される通信網や通信線のことであり、有線通信,無線通信,及び有線通信と無線通信とが組み合わされた通信などあらゆる態様のものを含み、信号伝送の方式等は特定の仕組みに限定されるものではなく、また、信号伝送に用いられる機器等も特定の機序に限定されるものではない。
本発明で利用されるネットワーク9A,9Bとして、具体的に、少なくとも一部として、通信事業者等によって提供されるインターネットや電話通信網が含まれるようにしても良く、また、地震情報の配信システム専用の回線が含まれるようにしても良い。なお、図1におけるネットワーク9Aとネットワーク9Bとは、同一系統のネットワーク(言い換えると、相互に接続されているネットワーク)であっても良く、或いは、異なる系統のネットワーク(言い換えると、相互に独立しているネットワーク)であっても良い。
《端末手段》
端末手段1は、信号の送受信に係る通信機能(言い換えると、ネットワークに接続するための通信インターフェース)を有する機器であり、本発明において少なくとも地震情報を受信する機器の総称である。
本発明における端末手段1は、特定の機器に限定されるものではなく、移動型・携帯型の(言い換えると、持ち運び可能な)機器や固定型の機器などの種々の態様のものを含む。端末手段1としては、具体的には例えば、あくまで一例として挙げると、携帯電話,スマートフォン,及び種々の携帯情報端末等の携帯型端末や、パーソナルコンピュータやデジタルサイネージ等の据置型や設置型の端末などが含まれる。
端末手段1は、信号を少なくとも受信する機能を備えると共に、受信した信号の内容(言い換えると、制御指令や情報)に基づいて音を発する発音部(具体的には例えば、スピーカ)と受信した信号の内容に従って画像や文字列などを表示する表示部(具体的には例えば、ディスプレイ)とのうちの少なくとも一方を有する。
端末手段1には、配信された地震情報を受信すると共に地震情報の受信と連動して発音部から発報したり表示部に表示したりするためのプログラム(言い換えると、アプリケーション)がインストールされる。
また、端末手段1には、各端末手段1を個別に識別して特定するためのID情報(即ち、端末手段1それぞれの固有の情報)としての識別子(具体的には例えば、端末手段1それぞれに固有の番号)が付与される。
《振動検知手段》
振動検知手段2は、地震波のP波(言い換えると、地震動の初期微動)を検出する機能を備え、検出したP波の実測データを用いて地震波のP波の加速度や振幅等に基づいて震度を予測すると共に、当該予測した震度の予測値を集計サーバ4へと出力するものである。なお、振動検知手段2は、検出したP波の実測データ自体(即ち、当該振動検知手段2の設置地点(地面)に於けるP波として検出された振動波の例えば加速度や振幅等)をそのまま出力するようにしても良い。
振動検知手段2は地震波検出部2a,震度予測部2b,及び通信部2cなどを有し、これら各部2a乃至2cがバス等の信号回線によって相互に接続されている。
振動検知手段2は、地震発生の検知が行われる対象領域内に、少なくとも一つ設置され、複数設置されることが好ましい。
振動検知手段2には、各振動検知手段2を個別に識別して特定するためのID情報(即ち、振動検知手段2それぞれの固有の情報)としての識別子(具体的には例えば、振動検知手段2それぞれに固有の番号)が付与される。
振動検知手段2の地震波検出部2aは地震波のP波を検出するための機序であり、地震波検出部2aの一部として具体的には例えば三軸加速度センサや地震計(加速度計,変位計)などが用いられる。
地震波検出部2aは、検知した振動が地震波のP波(言い換えると、地震動の初期微動)であるか否かを判定する機能、言い換えると、検知した振動が地震波のP波であるのかノイズであるのかを判別・識別する機能を備え、検知した振動の中から地震波のP波に該当する振動を検出したときに、振動波の加速度や振幅等を出力する。なお、検知した振動が地震波のP波であるか否かを判定する方法は、特定の手法に限定されるものではなく、また、周知の手法が利用され得るので詳細については省略する。
地震波検出部2aは、検知した振動の中から地震波のP波を検出したときは、P波として検出された振動波の例えば加速度や振幅等をP波の実測データとして震度予測部2bへと出力する。
振動検知手段2の震度予測部2bは、P波の実測データを用い、地震波のP波の加速度や振幅等に基づいて震度を予測する。
P波の加速度や振幅等に基づいて震度を予測する方法は、特定の手法に限定されるものではなく、地震波検出部2aによって計測されて取得されるP波の大きさに基づいて震度が求められる手法が適宜選択されて用いられる。本発明において震度を予測する手法としては、既存の若しくは新規の手法が用いられるようにして良く、或いは、統計データに基づく相関関係が用いられるようにしても良い。具体的には例えば、あくまで一例として挙げると、過去の地震動のデータが用いられてP波の大きさと震度との間の関係(言い換えると、相関)が予め設定され、実際に検知された地震波のP波の大きさに対応する震度が前記関係が用いられて特定されるようにしても良い。
そして、震度予測部2bは、予測した震度の値(「予測震度」と呼ぶ)を通信部2cへと出力する。
振動検知手段2の通信部2cは、信号の送受信に係る通信機能(言い換えると、ネットワークに接続するための通信インターフェース)を備え、計測データをネットワーク9Aに対して出力する。
通信部2cは、震度予測部2bから出力された予測震度が入力されたときは、当該予測震度を振動検知手段2に付与されたID情報としての識別子と共に計測データとして出力する。
振動検知手段2の通信部2cから出力された計測データ(具体的には、振動検知手段2の識別子と予測震度との組み合わせデータ)は、ネットワーク9Aを介して送信されて集計サーバ4へと入力される。
《管理サーバ》
管理サーバ3は、地震情報の配信システムを利用する端末手段1毎の登録情報を管理すると共に、地震情報の配信システムにおいて利用される振動検知手段2毎の設定情報を管理し、また、地震情報の配信システムを利用する端末手段1に表示されるコンテンツを管理する。
管理サーバ3は、例えばハードディスクドライブや不揮発性メモリによって構成される記憶部3aを少なくとも有する。
端末手段1に関する登録情報は、管理サーバ3の記憶部3aに格納されて保存される登録情報データベース(DB)に、端末手段1毎の組み合わせデータとして蓄積されて記録される。
振動検知手段2に関する設定情報は、管理サーバ3の記憶部3aに格納されて保存される設定情報データベース(DB)に、振動検知手段2毎の組み合わせデータとして蓄積されて記録される。
端末手段1に表示されるコンテンツは、管理サーバ3の記憶部3aに格納されて保存されるコンテンツデータベース(DB)に、必要に応じて端末手段1の種別毎のテキストデータや図形データとして蓄積されて記録される。なお、コンテンツデータベースは、端末手段1へとそのまま送信され得る文書ファイルや画像ファイルの集まりとして構成されるようにしても良い。
管理サーバ3の記憶部3aに格納・保存される登録情報データベースに蓄積・記録される、端末手段1に関する登録情報としては、例えば、地震情報の配信システムを利用する端末手段1のそれぞれに付与されたID情報としての識別子,アドレス情報,地域条件,及び震度条件が挙げられる。
アドレス情報は、データの送信先を個別に識別して特定するための情報としての宛先であり、端末手段1それぞれに固有の宛先である。アドレス情報としては、具体的には例えばIPアドレスが用いられ得る。
地域条件は、地震情報の配信(言い換えると、受信)を許可する地震の発生場所や影響範囲の限定/指定であり、地震の発生場所や影響範囲が所定の地点や地域である場合のみ地震情報の配信(受信)を許可する場合に端末手段1の各々の利用者や管理者によって端末手段1毎に指定・設定される。つまり、地域条件は、端末手段1毎に設定される条件であり、各端末手段1が地震情報を受信するか否かを、振動検知手段2によって検知された振動に関係する地震の地域(言い換えると、振動検知手段2によって検知された振動の誘因である地震の影響が及ぶ地域)に応じて規定する条件である。
地域条件の指定・設定は、例えば、関東地方などの地方や都道府県を単位として行われることが考えられる。なお、地域条件として、複数の地域(例えば、地方や都道府県)が指定・設定されるようにして良く、また、全国が指定・設定されるようにして良い。
地域条件の指定・設定に関連し、端末手段1が、当該の端末手段1の利用者やシステムの管理者などが地震情報の配信(受信)を許可する地震の発生場所や影響範囲を指定する機能、及び、当該指定された内容を管理サーバ3へと送信する機能を有するようにしても良い(この場合、送信された内容に基づいて、管理サーバ3の記憶部3a内の登録情報データベースの内容が変更されたり追加されたりする)。あるいは、例えば管理サーバ3に付随する入力手段などが用いられることにより、登録情報データベースが直接編集されて内容が変更されたり追加されたりするようにしても良い。
震度条件は、地震情報の配信(言い換えると、受信)を許可する震度の大きさの限定/指定であり、地震波のP波に基づいて予測される震度の大きさが所定の大きさ以上である場合のみ地震情報の配信(受信)を許可する場合に端末手段1の各々の利用者や管理者によって端末手段1毎に指定・設定される。つまり、震度条件は、端末手段1毎に設定される条件であり、各端末手段1が地震情報を受信するか否かを、振動検知手段2によって検知された振動に関係する地震の震度(言い換えると、振動検知手段2によって検知された振動の誘因である地震の震度)に応じて規定する条件である。
震度条件の指定・設定に関連し、端末手段1が、当該の端末手段1の利用者やシステムの管理者などが地震情報の配信(受信)を許可する震度の大きさを指定する機能、及び、当該指定された内容を管理サーバ3へと送信する機能を有するようにしても良い(この場合、送信された内容に基づいて、管理サーバ3の記憶部3a内の設定情報データベースの内容が変更されたり追加されたりする)。あるいは、例えば管理サーバ3に付随する入力手段などが用いられることにより、設定情報データベースが直接編集されて内容が変更されたり追加されたりするようにしても良い。
管理サーバ3の記憶部3aに格納・保存される設定情報データベースに蓄積・記録される、振動検知手段2に関する設定情報としては、例えば、地震情報の配信システムにおいて利用される振動検知手段2のそれぞれに付与されたID情報としての識別子,及び設置地点が挙げられる。設置地点は、例えば、都道府県と市区町村との組み合わせや更に町丁目が特定されるレベルで情報が整理される。
《集計サーバ》
集計サーバ4は、振動検知手段2から出力された計測データが入力されると、当該計測データを地震サーバ5へと出力するものである。
集計サーバ4は制御部4a,計測データ受信部4b,及び計測データ出力部4cなどを有し、これら各部4a乃至4cがバス等の信号回線によって相互に接続されている。
集計サーバ4の制御部4aは、例えばハードディスクドライブや不揮発性メモリに格納されている制御プログラムに従って集計サーバ4内部の各構成要素を制御することによって集計サーバ4全体の制御を行うものであり、例えばCPU(即ち、中央演算処理装置)である。
集計サーバ4の計測データ受信部4bは、振動検知手段2から出力されてネットワーク9Aを介して送信される計測データを受信し、当該受信した計測データを計測データ出力部4cへと出力する。
複数の振動検知手段2から計測データが出力されて複数の計測データが所定の時間(具体的には例えば、0.1〜0.5秒程度)内に集計サーバ4へと入力された場合には、計測データ受信部4bは、全ての計測データを計測データ出力部4cへと出力するようにしても良く、或いは、複数の計測データのうちで最初に入力された計測データのみを計測データ出力部4cへと出力するようにしても良く、または、複数の計測データのうちで加速度が最も大きい計測データのみを計測データ出力部4cへと出力するようにしても良い。
集計サーバ4の計測データ出力部4cは、計測データ受信部4bから出力されて入力された計測データを地震サーバ5へと出力する。
集計サーバ4から出力された計測データ(具体的には、振動検知手段2の識別子と予測震度との組み合わせデータ)は、地震サーバ5へと入力される。
《地震サーバ》
地震サーバ5は、集計サーバ4から出力される計測データに基づいて、地震情報を送信する相手先としての端末手段1を抽出するものである。
地震サーバ5は制御部5a,計測データ受部5b,設定情報取得部5c,登録情報取得部5d,送信先抽出部5e,地震情報出力部5f,及び記憶部5gなどを有し、これら各部5a乃至5gがバス等の信号回線によって相互に接続されている。
地震サーバ5の制御部5aは、例えばハードディスクドライブや不揮発性メモリに格納されている制御プログラムに従って地震サーバ5内部の各構成要素を制御することによって地震サーバ5全体の制御を行うものであり、例えばCPU(即ち、中央演算処理装置)である。
地震サーバ5の設定情報取得部5cは、管理サーバ3の記憶部3a内に保存されている設定情報データベースに記録されている振動検知手段2毎の識別子及び設置地点を、設定情報データベースにアクセスして読み込んだり、管理サーバ3から送信されるデータを受信したりすることにより、取得する。
そして、地震サーバ5の設定情報取得部5cは、取得した振動検知手段2の識別子と設置地点との組み合わせデータを記憶部5gへと出力する。
地震サーバ5の登録情報取得部5dは、管理サーバ3の記憶部3a内に保存されている登録情報データベースに記録されている端末手段1毎の識別子,地域条件,及び震度条件を、登録情報データベースにアクセスして読み込んだり、管理サーバ3から送信されるデータを受信したりすることにより、取得する。
そして、地震サーバ5の登録情報取得部5dは、取得した端末手段1の識別子,地域条件,及び震度条件の組み合わせデータを記憶部5gへと出力する。
地震サーバ5の記憶部5gは、具体的には例えばハードディスクドライブやランダムアクセスメモリによって構成され、設定情報取得部5cから出力されて入力された振動検知手段2の識別子と設置地点との組み合わせデータ群や、登録情報取得部5dから出力されて入力された端末手段1の識別子,地域条件,及び震度条件の組み合わせデータ群を格納して保存する。
なお、振動検知手段2毎の設置地点は、地震情報の配信システムにおいて利用される振動検知手段2が新規に設置・登録されることによって新たに追加されたり、設置地点が変更されたりすることも考えられる。このため、地震サーバ5の記憶部5gに保存される振動検知手段2の識別子と設置地点との組み合わせデータは、所定のタイミングで更新されるようにしても良い。
具体的には例えば、地震サーバ5の設定情報取得部5cが所定の間隔で定期的に管理サーバ3の記憶部3aに保存されている設定情報データベースにアクセスして最新版のデータを取得するようにしたり、設定情報が更新されるたびに管理サーバ3が地震サーバ5へとデータを送信するようにしたりすることが考えられる。
また、端末手段1毎の地域条件や震度条件は、地震情報の配信システムを利用する端末手段1が新規に登録されることによって新たに追加されたり、端末手段1の利用者やシステムの管理者によって指定・設定が変更されたりすることも考えられる。このため、地震サーバ5の記憶部5gに保存される端末手段1の識別子,地域条件,及び震度条件の組み合わせデータは、所定のタイミングで更新されるようにしても良い。
具体的には例えば、地震サーバ5の登録情報取得部5dが所定の間隔で定期的に管理サーバ3の記憶部3aに保存されている登録情報データベースにアクセスして最新版のデータを取得するようにしたり、登録情報が更新されるたびに管理サーバ3が地震サーバ5へとデータを送信するようにしたりすることが考えられる。
地震サーバ5の計測データ受部5bは、集計サーバ4から出力される計測データを受け付け、入力された計測データを送信先抽出部5eへと出力する。
地震サーバ5の送信先抽出部5eは、記憶部5gに保存されている振動検知手段2毎の識別子及び設置地点と、計測データ受部5bから出力されて入力された計測データとを用い、計測データに含まれている振動検知手段2の識別子に基づいて地震波のP波を検出して震度を予測した振動検知手段2の具体的な設置地点(「予測地点」と呼ぶ)を特定する。
送信先抽出部5eは、また、記憶部5gに保存されている端末手段1毎の地域条件と、上記で特定した予測地点とに基づいて、地域条件として指定・設定されている地点や地域(例えば、地方や都道府県)と予測地点とが少なくとも一部でも重複していたり包含関係にあったりする端末手段1を地域適合端末として抽出する。
送信先抽出部5eは、さらに、地域適合端末について、記憶部5gに保存されている端末手段1毎の震度条件と、計測データ受部5bから出力されて入力された計測データにおける予測震度とに基づいて、震度条件として指定・設定されている震度が予測震度以下である端末手段1を通報適合端末として抽出する。
地震サーバ5の送信先抽出部5eは、通報適合端末として抽出された端末手段1のアドレス情報群並びに予測地点及び予測震度を地震情報出力部5fへと出力する。予測地点と予測震度との組み合わせデータのことを「地震情報」と呼ぶ。
地震サーバ5の地震情報出力部5fは、送信先抽出部5eから出力されて入力された通報適合端末のアドレス情報群及び地震情報を通知サーバ6へと出力する。
地震サーバ5から出力された通報適合端末のアドレス情報群及び地震情報(具体的には、予測地点と予測震度との組み合わせデータ)は、通知サーバ6へと入力される。
《通知サーバ》
通知サーバ6は、地震サーバ5から出力される地震情報を、所定の端末手段1へと配信したり、インスタントメッセージングサーバ7へと出力したりするものである。
通知サーバ6は制御部6a,地震情報受部6b,及び地震情報送信部6cなどを有し、これら各部6a乃至6cがバス等の信号回線によって相互に接続されている。
通知サーバ6の制御部6aは、例えばハードディスクドライブや不揮発性メモリに格納されている制御プログラムに従って通知サーバ6内部の各構成要素を制御することによって通知サーバ6全体の制御を行うものであり、例えばCPU(即ち、中央演算処理装置)である。
通知サーバ6の地震情報受部6bは、地震サーバ5から出力される通報適合端末のアドレス情報群及び地震情報を受け付け、入力された通報適合端末のアドレス情報群及び地震情報を地震情報送信部6cへと出力する。
通知サーバ6の地震情報送信部6cは、地震情報受部6bから出力されて入力された通報適合端末のアドレス情報群及び地震情報を用い、地震情報を通報適合端末として抽出された端末手段1に対して出力すると共にインスタントメッセージングサーバ7へと出力する。
通知サーバ6の地震情報送信部6cは、通報適合端末として抽出された端末手段1に対し、プッシュ(PUSH)型の情報配信技術を利用してプッシュ通知として地震情報を送信する。
プッシュ型の情報配信技術は、端末手段1からの情報配信の要求なしに、通知サーバ6側から自律的に端末手段1に対して情報が通知され、当該情報が端末手段1によって受信される技術である。プッシュ型の情報配信技術による情報の通知のことを「プッシュ通知」と呼ぶ。
プッシュ型の情報配信技術としては、具体的には例えば、あくまで一例として挙げると、「Google Cloud Messaging(GCM)」(例えば、[online],[平成29年2月15日アクセス],インターネット<URL:https://developers.google.com/cloud-messaging/>),「Firebase Cloud Messaging(FCM)」(例えば、[online],[平成29年2月15日アクセス],インターネット<URL:https://firebase.google.com/docs/cloud-messaging/>),或いは「Apple Push Notification サービス(APNs)」(例えば、[online],[平成29年2月15日アクセス],インターネット<URL:https://developer.apple.com/jp/documentation/NetworkingInternet/Conceptual/RemoteNotificationsPG/Chapters/ApplePushService.html>)などがある。
通知サーバ6からプッシュ通知された地震情報は、ネットワーク9Bを介して通報適合端末として抽出された端末手段1によって受信される。
通知サーバ6の地震情報送信部6cは、また、インスタントメッセージングサーバ7へと地震情報を出力する。
通知サーバ6から出力された地震情報は、インスタントメッセージングサーバ7へと入力される。
《インスタントメッセージングサーバ》
インスタントメッセージングサーバ7(「IMサーバ7」と表記する)は、通知サーバ6から出力される地震情報を、所定の端末手段1へと配信するものである。
IMサーバ7は、送信先として設定されている端末手段1に対し、インスタントメッセージング通信技術を利用してインスタントメッセージングサービス(インスタントメッセージング通信)によって地震情報を送信する。
インスタントメッセージング通信技術は、ネットワークを介してリアルタイムコミュニケーションを実現する技術である。
インスタントメッセージング通信技術としては、具体的には例えば、あくまで一例として挙げると、「XMPP(Extensible Messaging and Presence Protocol)」(例えば、[online],[平成29年2月15日アクセス],インターネット<URL:https://xmpp.org/about/technology-overview.html>)などがある。
IMサーバ7は、通知サーバ6から出力された地震情報を受信すると、当該受信した地震情報を、送信先として設定されている端末手段1へとインスタントメッセージング通信によって通知する。
IMサーバ7からインスタントメッセージング通信によって通知された地震情報は、ネットワーク9Bを介して端末手段1によって受信される。
なお、上述の各種のサーバは、例えば、上述の各機能を実現するように構成された各機能のそれぞれに対応する複数のソフトウェアやサービスが、一台のコンピュータ上で動作することによって実現されるようにしても良く、或いは、複数台のコンピュータ上で動作することによって実現されるようにしても良い。
上述の構成を有する地震情報の配信システムの処理の一例を以下に説明する。
まず、システムが処理を実行するための前提の状態として、地震サーバ5と管理サーバ3との間で適時・適宜の通信が行われることにより、地震サーバ5の記憶部5gに、最近の、好ましくは最新の設定情報としての、地震情報の配信システムにおいて利用される振動検知手段2毎の識別子と設置地点との組み合わせデータ群が保存されている。
また、地震サーバ5と管理サーバ3との間で適時・適宜の通信が行われることにより、地震サーバ5の記憶部5gに、最近の、好ましくは最新の登録情報としての、地震情報の配信システムを利用する端末手段1毎の識別子,地域条件,及び震度条件の組み合わせデータ群が保存されている。
そして、振動検知手段2が、地震波のP波を検出する(S1)と、当該P波の加速度や振幅等に基づいて震度を予測し(S2)、当該予測した震度を振動検知手段2の識別子と共に計測データとして集計サーバ4へと送信する(S3)。
集計サーバ4は、振動検知手段2から送信された計測データを受信すると、当該計測データを地震サーバ5へと出力する(S4)。
地震サーバ5は、集計サーバ4から出力された計測データが入力されると、記憶部5gに保存されている端末手段1毎の地域条件及び震度条件と地震情報における予測地点及び予測震度とに基づいて地域適合端末を抽出すると共にその中から通報適合端末を抽出する(S5)。
そして、地震サーバ5は、通報適合端末として抽出された端末手段1のアドレス情報群及び地震情報(即ち、予測地点と予測震度との組み合わせデータ)を通知サーバ6へと出力する(S6)。
通知サーバ6は、地震サーバ5から出力された端末手段1のアドレス情報群及び地震情報が入力されると、端末手段1に対してプッシュ通知として地震情報を配信する(S7−1)と共にIMサーバ7に対して地震情報を出力する(S7−2)。
IMサーバ7は、通知サーバ6から出力された地震情報が入力されると、送信先として設定されている端末手段1に対してインスタントメッセージング通信によって地震情報を配信する(S8)。
端末手段1は、通知サーバ6から配信された地震情報を受信したり、IMサーバ7から配信された地震情報を受信したりすると、警報音や音声メッセージを発音部から発報したり、及び/又は、予測地点及び予測震度に関する情報を文字によって表示部に表示したりする(S9)。
ここで、地震サーバ5が地震情報(具体的には、予測地点と予測震度との組み合わせデータ)を管理サーバ3に対しても送信し、管理サーバ3において、受信した地震情報が用いられて予測地点や予測震度を告知するテキストデータ(具体的には例えば文書ファイルでも良い)や例えば地図上に予測地点を表示すると共に予測震度を表示する図形データ(具体的には例えば画像ファイルでも良い)が必要に応じて端末手段1の種別毎に作成され、これらテキストデータや図形データが記憶部3aに格納されて保存されるコンテンツデータベースに記録されるようにしても良い。
そして、通知サーバ6からプッシュ通知として配信された地震情報を受信した端末手段1の利用者が例えば更に詳細な情報の取得を希望する場合に、端末手段1を操作して情報を要求することにより、当該端末手段1が管理サーバ3へとアクセスして記憶部3aに格納・保存されているコンテンツデータベースに記録されているテキストデータや図形データ(具体的には例えば文書ファイルや画像ファイルでも良い)の中から当該の端末手段1の種別に対応/適合するものを読み込んで当該読み込んだテキストデータや図形データを表示部に表示するようにしても良い。
また、IMサーバ7からインスタントメッセージング通信によって配信された地震情報を受信した端末手段1が、地震情報を受信したことを契機として、管理サーバ3へとアクセスして記憶部3aに格納・保存されているコンテンツデータベースに記録されているテキストデータや図形データ(具体的には例えば文書ファイルや画像ファイルでも良い)の中から当該の端末手段1の種別に対応/適合するものを読み込んで当該読み込んだテキストデータや図形データを表示部に表示するようにしても良い。
以上のように構成された地震情報の配信システムによれば、気象庁や気象業務支援センターから配信される緊急地震速報ではなくて地震発生検知の対象領域内に設置された振動検知手段2からのデータ(言い換えると、信号)の出力を契機として地震情報を配信することができるので、地震発生時に瞬時に地震情報を配信することが可能になる。
具体的には、気象庁や気象業務支援センターから配信される緊急地震速報よりも早く、本発明の地震情報の配信システムによる地震情報を配信して端末手段1としてのスマートフォンやデジタルサイネージから警報を発報させることが可能になる。
なお、上述の実施形態は本発明を実施する際の好適な形態の一例ではあるものの本発明の実施の形態が上述のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において本発明は種々変形実施可能である。
例えば、上述の実施形態では一つの振動検知手段2から計測データが出力されたことを契機として地震情報の配信処理が進められるようにしているが、複数の振動検知手段2から計測データが出力された場合に集計サーバ4が地震サーバ5へと計測データを出力する(即ち、振動検知手段2から計測データが出力されたことを契機としつつ集計サーバ4から計測データが出力された場合に地震情報の配信処理が更に進められる)ようにすることが考えられ、これにより、振動検知手段2によって検知された振動が地震波のP波であるのかノイズであるのかの判別・識別の精度が向上することが期待される。
さらに言えば、振動検知手段2によって検知された振動が地震波のP波であるか否かの判定が、振動検知手段2によってではなく、集計サーバ4によって行われるようにしても良い。この場合は、振動検知手段2によって検知された振動のデータがそのまま全て集計サーバ4へと入力され、集計サーバ4において、当該振動が地震波のP波であるか否かの判定が行われる。そして、集計サーバ4において地震波のP波であると判定されたときに、集計サーバ4が地震サーバ5へと計測データを出力する(即ち、振動検知手段2から計測データが出力されたことを契機としつつ集計サーバ4から計測データが出力された場合に地震情報の配信処理が更に進められる)ようにする。なお、この場合に、複数の振動検知手段2から出力された振動のデータが用いられて、振動検知手段2によって検知された振動が地震波のP波であるか否か判定されるようにしても良い。また、この場合には、後述するように、地震サーバ5によって震度の予測が行われる。
また、上述の実施形態では振動検知手段2が予測震度を出力するようにしているが、振動検知手段2が予測震度を出力することは本発明において必須の構成では無く、振動検知手段2が地震波のP波を単に検出したことを計測データとして(言い換えると、地震情報を配信する切っ掛け・端緒であるトリガー信号として)出力するようにしても良い。この場合には、震度の予測の処理や予測震度の通報は行われないものの、地震波のP波が検出された地点のみが地震情報として端末手段1へと配信されることになり、地震発生の初期警報を発報することを特に重視する場合に有用である。
また、上述の実施形態では振動検知手段2が震度予測部2bを有するようにして振動検知手段2によって震度の予測が行われるようにしているが、地震サーバ5が振動予測部を有するようにして地震サーバ5によって震度の予測が行われるようにしても良い。この場合には、地震サーバ5の震度予測部は、震度の予測に加え、震源の予測を行ったり、予測された震度に基づいて地震の影響範囲(即ち、地震動が到達する地域の拡がりの程度)の予測を行ったりするようにしても良い。地震の影響範囲の予測は、例えば、地震波のP波を検出した振動検知手段2の設置地点を中心とする半径が特定されることによって行われたり、関東地方などの地方や都道府県を単位として特定されることによって行われたりすることが考えられる。なお、地震の影響範囲の予測に合わせて、影響範囲に含まれる任意の地点毎の震度や主要動の到達時間が予測されるようにしても良い。
また、上述の実施形態では端末手段1毎の地域条件が考慮されると共に震度条件が考慮されて通報適合端末が抽出されるようにしているが、地域条件や震度条件が考慮されることは本発明において必須の構成では無く、これの条件/情報が考慮されないようにしても良い。すなわち、端末手段1毎の地域条件のみが考慮されて予測震度の大きさに関係なくあらゆる予測震度の地震情報が配信されるようにしても良く、また、端末手段1毎の震度条件のみが考慮されて予測地点に関係なくあらゆる予測地点の地震情報が配信されるようにしても良く、或いは、端末手段1毎の地域条件も震度条件も考慮されること無く全ての端末にあらゆる地震情報が配信されるようにしても良い。なお、地域条件や震度条件が指定・設定されている端末手段1と前記条件が指定・設定されていない端末手段1とが混在しているようにしても良い。
また、上述の実施形態では端末手段1毎の地域条件が考慮されて地域適合端末が抽出されるようにしているが、特に端末手段1が移動型・携帯型の機器である場合に、端末手段1の実際の現在位置情報に基づいて地域適合端末が抽出されるようにしても良い。この場合には、端末手段1に関する登録情報における地域条件と合わせて端末手段1の実際の現在位置情報に基づいて、或いは、端末手段1に関する登録情報における地域条件ではなくて端末手段1の実際の現在位置情報に基づいて、地域適合端末が抽出されるようにしても良い。なお、端末手段1の実際の現在位置情報は、例えば、GPS(Global Positioning System の略)などの現在位置検知機能が利用されて把握されることなどが考えられる。
また、上述の実施形態では通知サーバ6から端末手段1へとプッシュ型の情報配信技術によって通知するルートと通知サーバ6からIMサーバ7を介して端末手段1へとインスタントメッセージング通信によって通知するルートとが構成されるようにしているが、これら二つのルートのうちのどちらか一方のみが構成されるようにしても良い。なお、あくまで一例として挙げると、端末手段1のオペレーティングシステムが、iOSである(尚、端末手段1が具体的には例えばスマートフォンである)場合には通知サーバ6からAPNsを使用したプッシュ通知が行われ、Androidである(尚、端末手段1が具体的には例えばスマートフォンである)場合には通知サーバ6からGCMやFCMを使用したプッシュ通知が行われ、また、WindowsやLinux(登録商標)である(尚、端末手段1が具体的には例えばデジタルサイネージである)場合にはXMPPを使用したインスタントメッセージング通信によって通知が行われるようにすることが考えられる。したがって、例えば、オペレーティングシステムがWindowsやLinuxである端末手段1への地震情報の配信が想定されない(言い換えると、予定されない)場合にはIMサーバ7を介したルートは構成されないようにしても良く、或いは、オペレーティングシステムがWindowsやLinuxである端末手段1のみへの地震情報の配信が想定される(言い換えると、予定される)場合にはIMサーバ7を介したルートのみが構成されるようにしても良い。
また、集計サーバ4は、振動検知手段2からの計測データに加え、気象庁や気象業務支援センターから配信される緊急地震速報も受信するようにしても良い。この場合には、集計サーバ4は、緊急地震速報を受信すると、当該緊急地震速報の内容を地震サーバ5へと出力する。そして、地震サーバ5は、緊急地震速報の内容に応じた情報を通知サーバ6へと出力する。この場合は、緊急地震速報の内容に基づいて、任意の地点毎の震度が予測されたり、任意の地点毎の主要動の到達時間が予測されたりするようにしても良い。