JP6585763B2 - リンク作動装置 - Google Patents

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この発明は、医療機器や産業機器等の、精密で広範な作動範囲を必要とし、高速動作を行う機器に用いられるリンク作動装置に関する。
各種作業装置に用いられるパラレルリンク機構が、特許文献1、2に提案されている。特許文献1のパラレルリンク機構は、構成が比較的簡単であるが、各リンクの作動角が小さいため、トラベリングプレートの作動範囲を大きく設定すると、リンク長が長くなり、機構全体の寸法が大きくなるという問題がある。特許文献2のパラレルリンク機構は、基端側のリンクハブに対し先端側のリンクハブを、4節連鎖の3組以上のリンク機構を介して姿勢を変更可能に連結した構成としたことにより、コンパクトでありながら、精密で広範な作動範囲の動作が可能である。
特開2000−94245号公報 米国特許第5,893,296号明細書
特許文献1および特許文献2のパラレルリンク機構の構成では、先端側にエンドエフェクタを搭載すると、エンドエフェクタの重量が大きくなるほど慣性が大きくなり、高速で高精度な動作を実現できない。また、特許文献2のパラレルリンク機構の構成では、表面が球面状や円筒面状のワークに対して作業を行う場合、基端側のリンクハブの中心軸が直交する平面上を移動する追加の自由度が必要となる。
この発明の目的は、広範な作動範囲で動作を行うことができ、重量の重いエンドエフェクタを搭載した場合でも高速かつ高精度の位置決め動作が可能なリンク作動装置を提供することである。
この発明のリンク作動装置は、基端側のリンクハブに対し先端側のリンクハブを、3組以上のリンク機構を介して姿勢を変更可能に連結し、前記各リンク機構は、それぞれ前記基端側のリンクハブおよび先端側のリンクハブに一端が回転可能に連結された基端側および先端側の端部リンク部材と、これら基端側および先端側の端部リンク部材の他端に両端がそれぞれ回転可能に連結された中央リンク部材とでなり、前記各リンク機構は、このリンク機構を直線で表現した幾何学モデルが、前記中央リンク部材の中央部に対する基端側部分と先端側部分とが対称を成す形状であり、前記3組以上のリンク機構のうち2組以上のリンク機構に、前記基端側のリンクハブに対する前記先端側のリンクハブの姿勢を任意に変更させるアクチュエータを備える。このリンク作動装置において、前記基端側または先端側のリンクハブに、これら両リンクハブの配置の内側を向くようにエンドエフェクタが設置され、かつ前記エンドエフェクタは、このエンドエフェクタが設置されたリンクハブと反対側のリンクハブ側に配置された作業対象物となるワークに対して作業を行うものであり、
前記ワークは、前記基端側および先端側のリンクハブの間に配置され、且つ前記ワークは、前記基端側のリンクハブの中心軸と前記先端側のリンクハブの中心軸との交点と一致するように配置されている
例えば、前記ワークは、前記エンドエフェクタが設置されたリンクハブと反対側のリンクハブに支持される。
参考提案例として、前記ワークは、前記基端側のリンクハブの中心軸または前記先端側のリンクハブの中心軸と一致するように配置されていてもよい
この明細書において、「基端側」および「先端側」とは、以下の意味で用いられる。すなわち、リンクハブと端部リンク部材の各回転対偶、および、端部リンク部材と中央リンク部材の各回転対偶の中心軸がそれぞれ交差する点をリンクハブの「球面リンク中心」と称し、この球面リンク中心を通り前記リンクハブと端部リンク部材の回転対偶の中心軸と直角に交わる直線を「リンクハブの中心軸」と称する場合、それぞれのリンクハブから基端側および先端側の各リンクハブの中心軸が交差する交点から見て基端側の球面リンク中心方向を基端側、先端側の球面リンク中心方向を先端側としている。
また、前記記述中の「両リンクハブの配置の内側」は、正確には、基端側および先端側のリンクハブから前記交点に向かう方向であると定義される。したがって、「両リンクハブの配置の内側を向くようにエンドエフェクタを設置」するということは、例えば、先端側のリンクハブに設置されたエンドエフェクタが、各リンク機構の配列の内側を通り抜けて、基端側のリンクハブよりも基端側に突出している場合も含まれる。
この構成によれば、基端側のリンクハブと、先端側のリンクハブと、3組以上のリンク機構とで、基端側のリンクハブに対し先端側のリンクハブが直交2軸周りに回転自在な2自由度機構が構成される。この2自由度機構は、コンパクトでありながら、先端側のリンクハブの可動範囲を広くとれる。例えば、基端側のリンクハブの中心軸と先端側のリンクハブの中心軸の最大折れ角は約±90°であり、基端側のリンクハブに対する先端側のリンクハブの旋回角を0°〜360°の範囲に設定できる。各姿勢制御用アクチュエータの動作を制御することで、基端側のリンクハブに対して先端側のリンクハブの姿勢を任意に変更させることができる。
また、この構成のように、両リンクハブの配置の内側を向くようにエンドエフェクタを設置すると、両リンクハブの配置の外側を向くようにエンドエフェクタを設置する場合と比較して、エンドエフェクタの作業部となる先端がリンク作動装置の回転中心により近くなるため、エンドエフェクタ全体の慣性モーメントが小さくなる。前記リンク作動装置の回転中心は、基端側および先端側の各リンクハブの中心軸の交点に相当する。エンドエフェクタ全体の慣性モーメントが小さくなることで、重量の大きいエンドエフェクタを搭載した場合でも、高速動作が可能となる。また、姿勢変更用のアクチュエータの低出力化、省エネ化、コンパクト化が可能となる。特に、細長形状のエンドエフェクタや、作業部に近い先端寄りに重心を持つエンドエフェクタを搭載する場合に有効である。
前記ワークは、前記基端側および先端側のリンクハブの間に配置されていても良い。
この場合、エンドエフェクタの先端がリンク作動装置の回転中心方向を向くように位置決めされるため、XYステージのような別の機構と組み合わせなくても、ワークに対して様々な方向から作業を行うことができる。
前記エンドエフェクタが前記先端側のリンクハブに設置され、かつ前記基端側のリンクハブに前記エンドエフェクタを挿通可能な作業孔が設けられ、この作業孔に挿通された前記エンドエフェクタにより、前記基端側のリンクハブに直接または間接的に支持され前記基端側のリンクハブよりも基端側に位置する前記ワークに対して作業を行う。
この構成であると、グリースを飛ばしたり、レーザ光を当てたりするような非接触で作業をするエンドエフェクタを搭載した場合でも、作業孔を介してワークに対して作業を行うことができる。また、細長形状のエンドエフェクタを搭載する場合、エンドエフェクタを作業孔に通し、エンドエフェクタの先端を基端側のリンクハブよりも基端側に突出させて、ワークに対して作業を行うことができる。
前記エンドエフェクタは、前記ワークの表面に液状物質を塗布する塗布機であっても良い。塗布機は、例えば、塗料を塗布するインクジェット、グリースや接着剤等の液剤を塗布するディスペンサ等である。
このリンク作動装置は、基端側のリンクハブに対する先端側のリンクハブの可動範囲を広くとれるため、エンドエフェクタとして塗布機を搭載すると、球面状や円筒面状、その他の曲面状の表面を持つワークに対して、幅広い方向から液状物質を塗布することができる。
前記エンドエフェクタは、溶接用のトーチであっても良い。
溶接用のトーチは細長形状をしているため、両リンクハブの配置の内側を向くように設置することによる、慣性モーメントを小さくする効果が大きい。また、溶接用のトーチは、その機能上、先端部の径よりも根元部の径の方が大きいため、両リンクハブの配置の外側を向くように設置すると、根元部がリンク機構と干渉し、作動範囲が狭くなる可能性がある。そのため、エンドエフェクタであるトーチは、両リンクハブの配置の内側を向くように設置する方が良い。
この発明において、前記エンドエフェクタを、このエンドエフェクタが設置されるリンクハブの中心軸に沿って進退動作する直動アクチュエータに搭載すると良い。
この構成であると、エンドエフェクタの前記中心軸方向の位置制御が可能となる。リンク作動装置は回転半径、すなわち回転中心と球面リンク中心間の距離が変動する構成であるため、ワークを基端側および先端側のリンクハブの間に配置する場合に、前記回転半径の変動を補正できる。
この発明において、前記ワークを支持するリンクハブに、前記ワークを支持して前記リンクハブの中心軸に沿って進退動作する直動アクチュエータを備えると良い。
この構成であると、ワークの前記中心軸方向の位置制御が可能となる。例えば、ワークが基端側および先端側のリンクハブの間に配置されている場合、ワークが常にリンク作動装置の回転中心に位置するように制御できる。さらに、エンドエフェクタを直動アクチュエータに搭載した構成と組み合わせた場合、エンドエフェクタの先端とワークとの距離を常に一定に保つことができる。
この発明において、前記ワークを支持するリンクハブに、このリンクハブの中心軸が直交する平面に沿って前記ワークを移動させるXYステージを備えると良い。
この構成であると、ワークの前記平面に沿う方向の制御が可能となる。特に、ワークが基端側および先端側のリンクハブの配置の内側に設けられている構成において、歯車のような円筒状のワークを使用した場合、ワークを前記平面に沿う方向に移動することで、円筒面の全周に対して作業が可能となる。
この発明のリンク作動装置は、基端側のリンクハブに対し先端側のリンクハブを、3組以上のリンク機構を介して姿勢を変更可能に連結し、前記各リンク機構は、それぞれ前記基端側のリンクハブおよび先端側のリンクハブに一端が回転可能に連結された基端側および先端側の端部リンク部材と、これら基端側および先端側の端部リンク部材の他端に両端がそれぞれ回転可能に連結された中央リンク部材とでなり、前記各リンク機構は、このリンク機構を直線で表現した幾何学モデルが、前記中央リンク部材の中央部に対する基端側部分と先端側部分とが対称を成す形状であり、前記3組以上のリンク機構のうち2組以上のリンク機構に、前記基端側のリンクハブに対する前記先端側のリンクハブの姿勢を任意に変更させるアクチュエータを備えたものであり、前記基端側または先端側のリンクハブに、これら両リンクハブの配置の内側を向くようにエンドエフェクタが設置され、かつ前記エンドエフェクタは、このエンドエフェクタが設置されたリンクハブと反対側のリンクハブ側に配置された作業対象物となるワークに対して作業を行うものであり、前記ワークは、前記基端側および先端側のリンクハブの間に配置され、且つ前記ワークは、前記基端側のリンクハブの中心軸と前記先端側のリンクハブの中心軸との交点と一致するように配置されているため、広範な作動範囲で動作を行うことができ、重量の重いエンドエフェクタを搭載した場合でも高速かつ高精度の位置決め動作が可能である。
この発明の一実施形態にかかるリンク作動装置の一部を省略した正面図である。 同リンク作動装置の異なる動作状態を示す一部を省略した正面図である。 同リンク作動装置の作動装置本体を3次元的に表わした斜視図である。 同リンク作動装置の一つのリンク機構を直線で表現した図である。 同リンク作動装置の基端側のリンクハブ等の横断面図である。 この発明の異なる実施形態にかかるリンク作動装置の一部を省略した正面図である。 同リンク作動装置の基端側のリンクハブ等の横断面図である。 図7の部分拡大図である。 図1のリンク作動装置を上下逆にして使用する状態を示す一部を省略した正面図である。 参考提案例にかかるリンク作動装置の一部を省略した正面図である。 同リンク作動装置の基端側のリンクハブ等の横断面図である。 この発明のさらに異なる実施形態にかかるリンク作動装置の一部を省略した正面図である。 同リンク作動装置の異なる動作状態を示す一部を省略した正面図である。 同リンク作動装置の図12とは異なる使用状態を示す一部を省略した正面図である。 同リンク作動装置の図14の使用状態における異なる動作状態を示す一部を省略した正面図である。 さらに異なる参考提案例にかかるリンク作動装置の一部を省略した正面図である。 図12に示すリンク作動装置を塗装装置として使用する状態を示す一部を省略した正面図である。 図16に示すリンク作動装置を塗装装置として使用する状態を示す一部を省略した正面図である。 図16に示すリンク作動装置を溶接機として使用する状態を示す一部を省略した正面図である。
この発明の一実施形態を図1〜図5と共に説明する。
図1および図2は、リンク作動装置51Aのそれぞれ異なる状態を示す一部を省略した正面図である。このリンク作動装置51Aは、作動装置本体1と、作動装置本体1を支持する土台52と、作動装置本体1を作動させる複数(後記リンク機構4と同数)のアクチュエータ53と、これらアクチュエータ53の動作により作動装置本体1を作動させるコントローラ54とを備える。アクチュエータ53を制御する制御装置(図示せず)は、コントローラ54内に設けられていても良く、コントローラ54と別に設けられていても良い。
作動装置本体1から説明する。作動装置本体1は、基端側のリンクハブ2に対し先端側のリンクハブ3を3組のリンク機構4を介して姿勢変更可能に連結したものである。図1および図2では、1組のリンク機構4のみが示されている。リンク機構4の数は、4組以上であっても良い。
図3は、作動装置本体1を三次元的に表わした斜視図である。各リンク機構4は、基端側の端部リンク部材5、先端側の端部リンク部材6、および中央リンク部材7で構成され、4つの回転対偶からなる4節連鎖のリンク機構をなす。基端側および先端側の端部リンク部材5,6はL字状をなし、基端がそれぞれ基端側のリンクハブ2および先端側のリンクハブ3にそれぞれ回転自在に連結されている。中央リンク部材7は、両端に基端側および先端側の端部リンク部材5,6の先端がそれぞれ回転自在に連結されている。
作動装置本体1は、2つの球面リンク機構を組み合わせた構造であって、リンクハブ2,3と端部リンク部材5,6の各回転対偶、および端部リンク部材5,6と中央リンク部材7の各回転対偶の中心軸が、基端側と先端側においてそれぞれの球面リンク中心PA,PB(図1、図2)で交差している。また、基端側と先端側において、リンクハブ2,3と端部リンク部材5,6の各回転対偶とそれぞれの球面リンク中心PA,PBからの距離も同じであり、端部リンク部材5,6と中央リンク部材7の各回転対偶とそれぞれの球面リンク中心PA,PBからの距離も同じである。端部リンク部材5,6と中央リンク部材7との各回転対偶の中心軸は、ある交差角γをもっていてもよいし、平行であってもよい。
つまり、3組のリンク機構4は、幾何学的に同一形状をなす。幾何学的に同一形状とは、各リンク部材5,6,7を直線で表現した幾何学モデル、すなわち各回転対偶と、これら回転対偶間を結ぶ直線とで表現したモデルが、中央リンク部材7の中央部に対する基端側部分と先端側部分が対称を成す形状であることを言う。図4は、一組のリンク機構4を直線で表現した図である。
このリンク機構4は回転対称タイプで、基端側のリンクハブ2および基端側の端部リンク部材5と、先端側のリンクハブ3および先端側の端部リンク部材6との位置関係が、中央リンク部材7の中心線Cに対して回転対称となる位置構成になっている。図1は、基端側のリンクハブ2の中心軸(以下、「基端側のリンクハブ中心軸」とする)QAと先端側のリンクハブ3の中心軸(以下、「先端側のリンクハブ中心軸」とする)QBとが同一線上にある状態を示し、図2は、基端側のリンクハブ中心軸QAに対して先端側のリンクハブ中心軸QBが所定の作動角をとった状態を示す。各リンク機構4の姿勢が変化しても、基端側と先端側の球面リンク中心PA,PB間の距離Dは変化しない。
なお、リンクハブ中心軸QA,QBは、球面リンク中心PA,PBを通り、リンクハブ2,3と端部リンク5,6の各回転対偶の中心軸と直角に交わる直線のことである。
基端側のリンクハブ2と先端側のリンクハブ3と3組のリンク機構4とで、基端側のリンクハブ2に対し先端側のリンクハブ3が直交2軸周りに回転自在な2自由度機構が構成される。言い換えると、基端側のリンクハブ2に対して先端側のリンクハブ3を、回転が2自由度で姿勢変更自在な機構である。この2自由度機構は、コンパクトでありながら、基端側のリンクハブ2に対する先端側のリンクハブ3の可動範囲を広くとれる。例えば、基端側のリンクハブ中心軸QAと先端側のリンクハブ中心軸QBの折れ角θ(図3)の最大値(最大折れ角)を約±90°とすることができる。また、基端側のリンクハブ2に対する先端側のリンクハブ3の旋回角φ(図3)を0°〜360°の範囲に設定できる。折れ角θは、基端側のリンクハブ中心軸QAに対して先端側のリンクハブ中心軸QBが傾斜した垂直角度のことであり、旋回角φは、基端側のリンクハブ中心軸QAに対して先端側のリンクハブ中心軸QBが傾斜した水平角度のことである。
この作動装置本体1において、各リンク機構4におけるリンクハブ2,3と端部リンク部材5,6の回転対偶の中心軸の角度および球面リンク中心PA,PBからの長さが互いに等しく、かつ各リンク機構4のリンクハブ2,3と端部リンク部材5,6の回転対偶、および、端部リンク部材5,6と中央リンク7の回転対偶の中心軸が、基端側および先端側において球面リンク中心PA,PBと交差し、かつ基端側の端部リンク部材5と先端側の端部リンク部材6の幾何学的形状が等しく、かつ中央リンク部材7についても基端側の先端側とで形状が等しいとき、中央リンク部材7の対称面に対して、中央リンク部材7と端部リンク部材5,6との角度位置関係を基端側と先端側とで同じにすれば、幾何学的対称性から基端側のリンクハブ2および基端側の端部リンク部材5と、先端側のリンクハブ3および先端側の端部リンク部材6とは同じに動く。
基端側のリンクハブ2および先端側のリンクハブ3は、その中心部にそれぞれ貫通孔10A,10Bがリンクハブ中心軸QA,QB方向に沿って形成され、外形が球面状をしたドーナツ形状をしている。貫通孔10A,10Bの中心は、リンクハブ中心軸QA,QBと一致している。これら基端側のリンクハブ2および先端側のリンクハブ3の外周面の円周方向に等間隔の位置に、基端側の端部リンク部材5および先端側の端部リンク部材6がそれぞれ回転自在に連結されている。
図5は、基端側のリンクハブ2と基端側の端部リンク部材5の回転対偶部、および基端側の端部リンク部材5と中央リンク部材7の回転対偶部を示す断面図である。基端側のリンクハブ2は、外周部に半径方向の軸孔11が円周方向3箇所に形成され、各軸孔11内に設けた二つの軸受12により軸部材13がそれぞれ回転自在に支持されている。軸部材13の中心は、リンクハブ2と基端側の端部リンク部材5との回転対偶の中心軸と一致している。軸部材13の外側端部は基端側のリンクハブ2から突出し、その突出ねじ部13aに基端側の端部リンク部材5が結合され、ナット14によって締付け固定されている。
前記軸受12は、例えば深溝玉軸受等の転がり軸受であり、その外輪(図示せず)が前記軸孔11の内周に嵌合し、その内輪(図示せず)が前記軸部材13の外周に嵌合している。外輪は止め輪15によって抜け止めされている。また、内輪と基端側の端部リンク部材5の間には間座16が介在し、ナット14の締付力が基端側の端部リンク部材5および間座16を介して内輪に伝達されて、軸受12に所定の予圧を付与している。
基端側の端部リンク部材5と中央リンク部材7の回転対偶部は、中央リンク部材7の両端に形成された連通孔18に二つの軸受19が設けられ、これら軸受19により、基端側の端部リンク部材5の先端の軸部20が回転自在に支持されている。軸受19は、間座21を介して、ナット22によって締付け固定されている。
前記軸受19は、例えば深溝玉軸受等の転がり軸受であり、その外輪(図示せず)が前記連通孔18の内周に嵌合し、その内輪(図示せず)が前記軸部20の外周に嵌合している。外輪は止め輪23によって抜け止めされている。軸部20の先端ねじ部20aに螺着したナット22の締付力が間座21を介して内輪に伝達されて、軸受19に所定の予圧を付与している。なお、図5では後述するかさ歯車57は省略している。
以上、基端側のリンクハブ2と基端側の端部リンク部材5の回転対偶部、および基端側の端部リンク部材5と中央リンク部材7の回転対偶部について説明したが、先端側のリンクハブ3と先端側の端部リンク部材6の回転対偶部、および先端側の端部リンク部材6と中央リンク部材7の回転対偶部も同じ構成である(図示省略)。
このように、各リンク機構4における4つの回転対偶部、つまり、基端側のリンクハブ2と基端側の端部リンク部材5の回転対偶部、先端側のリンクハブ3と先端側の端部リンク部材6の回転対偶部、基端側の端部リンク部材5と中央リンク部材7と回転対偶部、および先端側の端部リンク部材6と中央リンク部材7の回転対偶部に、軸受12,19を設けた構造とすることにより、各回転対偶での摩擦抵抗を抑えて回転抵抗の軽減を図ることができ、滑らかな動力伝達を確保できると共に耐久性を向上できる。
この軸受12,19を設けた構造では、軸受12,19に予圧を付与することにより、ラジアル隙間とスラスト隙間をなくし、回転対偶のがたつきを抑えることができ、基端側のリンクハブ2側と先端側のリンクハブ3側間の回転位相差がなくなり等速性を維持できると共に振動や異音の発生を抑制できる。特に、前記軸受12,19の軸受隙間を負すきまとすることにより、入出力間に生じるバックラッシュを少なくすることができる。
軸受12を基端側のリンクハブ2および先端側のリンクハブ3に埋設状態で設けたことにより、作動装置本体1全体の外形を大きくすることなく、基端側のリンクハブ2および先端側のリンクハブ3の外形を拡大することができる。そのため、基端側のリンクハブ2および先端側のリンクハブ3を他の部材に取付けるための取付スペースの確保が容易である。
図1、図2において、土台52は縦長の部材であって、その上面に作動装置本体1の基端側のリンクハブ2が固定されている。土台52の上部の外周にはつば状のアクチュエータ取付台55が設けられ、このアクチュエータ取付台55に前記アクチュエータ53が垂下状態で取付けられている。アクチュエータ53の数は、リンク機構4と同数の3個である。アクチュエータ53はロータリアクチュエータからなり、その出力軸に取付けたかさ歯車56と基端側のリンクハブ2の軸部材13(図5)に取付けた扇形のかさ歯車57とが噛み合っている。
なお、この例では、リンク機構4と同数のアクチュエータ53が設けられているが、3組のリンク機構4のうち少なくとも2組にアクチュエータ53が設けられていれば、基端側のリンクハブ2に対する先端側のリンクハブ3の姿勢を確定することができる。
このリンク作動装置51Aは、コントローラ54を操作して各アクチュエータ53を回転駆動することで、作動装置本体1を作動させる。詳しくは、アクチュエータ53を回転駆動すると、その回転が一対のかさ歯車56,57を介して軸部材13に伝達されて、基端側のリンクハブ2に対する基端側の端部リンク部材5の角度が変更する。それにより、基端側のリンクハブ2に対する先端側のリンクハブ3の位置および姿勢が決まる。ここでは、かさ歯車56,57を用いて基端側の端部リンク部材5の角度を変更しているが、その他の機構(例えば、平歯車やウォーム機構)でも良い。
図1、図2は、先端側のリンクハブ3にエンドエフェクタ61を設置し、基端側のリンクハブ2で作業対象物となる球面状のワーク62を支持した状態を示している。エンドエフェクタ61は、一端となる作業部61aが両リンクハブ2,3の配置の内側を向くように設置される。「両リンクハブ2,3の配置の内側」とは、基端側および先端側のリンクハブ2,3から各リンクハブ中心軸QA,QBの交点Oに向かう方向を言う。この例では、作業部61aは、両リンクハブ2,3の間に配置されている。作業部61aの中心軸は、先端側のリンクハブ中心軸QBと一致させてある。ワーク62は、前記エンドエフェクタ61の作業部61aよりも基端側に配置される。この例では、ワーク62の球面中心が前記交点Oと一致するように配置してある。
具体的には、エンドエフェクタ61は、作業部61aである先端を先端側のリンクハブ3の貫通孔10Bに通し、他端に設けられた板状部61bにより、先端側のリンクハブ3の先端側の端面に固定される。エンドエフェクタ61が小型の場合、貫通孔10Bに通さずに、先端側のリンクハブ3の基端側の端面に固定しても良い。
また、ワーク62は、基端側のリンクハブ2の先端側の端面に設置したワーク固定部材63の上に載置される。ワーク62は、ワーク固定部材63に対して固定しても良く、載せただけであっても良い。ワーク固定部材63は、例えば、下端を基端側のリンクハブ2の貫通孔10A(図3)に挿入させて設置される。
この構成のリンク作動装置51Aは、例えば図2のように、基端側のリンクハブ2に対する先端側のリンクハブ3の姿勢を変更することで、球面状のワーク62に対してエンドエフェクタ61の作業部61aにより様々な方向から作業を行うことができる。その際、両リンクハブ2,3の配置の内側を向くようにエンドエフェクタ61が設置されていることにより、以下の利点がある。
すなわち、両リンクハブ2,3の配置の外側を向くようにエンドエフェクタ61を設置する場合と比較して、エンドエフェクタ61の作業部61aとなる先端がリンク作動装置51Aの回転中心により近くなるため、エンドエフェクタ61全体の慣性モーメントが小さくなる。前記リンク作動装置51Aの回転中心は、基端側および先端側の各リンクハブの中心軸QA,QBの交点Oに相当する。エンドエフェクタ61全体の慣性モーメントが小さくなることで、重量の重いエンドエフェクタ61を搭載した場合でも、高速動作が可能となる。また、姿勢変更用のアクチュエータ53の低出力化、省エネ化、コンパクト化が可能となる。特に、細長形状のエンドエフェクタ61や、作業部61aに近い先端寄りに重心を持つエンドエフェクタ61を搭載する場合に有効である。
また、この例のように、ワーク62が両先端側のリンクハブ2,3の間に配置されていると、エンドエフェクタ61の先端がリンク作動装置51Aの回転中心方向を向くように位置決めされるため、XYステージのような別の機構と組み合わせなくても、ワークに対して様々な方向から作業を行うことができる。
図6ないし図8は、リンク作動装置の異なる実施形態を示す。図6に示すように、このリンク作動装置51Bは、作動装置本体1と、この作動装置本体1を支持する土台52とを有し、作動装置本体1を複数のアクチュエータ70で動作させるように構成されている。土台52と、作動装置本体1の基端側のリンクハブ2との間にはスペーサ65を介在させてある。また、前記リンク作動装置(51A)と同様に、先端側のリンクハブ3にエンドエフェクタ61を設置し、基端側のリンクハブ2で作業対象物となる球面状のワーク62を支持している。
図7とその部分拡大図である図8に示すように、このリンク作動装置51Bの作動装置本体1は、前記リンク作動装置(51A)のものとは異なり、基端側のリンクハブ2および先端側のリンクハブ3に対して端部リンク部材5,6をそれぞれ回転自在に支持する軸受31を外輪回転タイプとしたものである。基端側のリンクハブ2と基端側の端部リンク部材5の回転対偶部を例にとって説明すると、基端側のリンクハブ2の円周方向の3箇所に軸部32が形成され、この軸部32の外周に二つの軸受31の内輪(図示せず)が嵌合し、基端側の端部リンク部材5に形成された連通孔33の内周に軸受31の外輪(図示せず)が嵌合している。軸受31は、例えば深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受等の玉軸受であって、ナット34による締付けでもって所定の予圧量が付与された状態で固定されている。先端側のリンクハブ3と先端側の端部リンク部材6の回転対偶部も、上記同様の構造である。
また、基端側の端部リンク部材5と中央リンク部材7の回転対偶部に設けられた軸受36は、基端側の端部リンク部材5の先端に形成された連通孔37の内周に外輪(図示せず)が嵌合し、中央リンク部材7と一体の軸部38の外周に内輪(図示せず)が嵌合している。軸受36は、例えば深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受等の玉軸受であって、ナット39による締付けでもって所定の予圧量が付与された状態で固定されている。先端側の端部リンク部材6と中央リンク部材7の回転対偶部も、上記同様の構造である。
作動装置本体1の3組のリンク機構4のすべてに、基端側の端部リンク部材5を回動させて基端側のリンクハブ2に対する先端側のリンクハブ3の姿勢を任意に変更させるアクチュエータ70と、このアクチュエータ70の動作量を基端側の端部リンク部材5に減速して伝達する減速機構71とが設けられている。アクチュエータ70はロータリアクチュエータ、より詳しくは減速機70a付きのサーボモータであって、モータ固定部材72により土台52に固定されている。減速機構71は、アクチュエータ70の減速機70aと、歯車式の減速部73とでなる。以下では、減速機構71に平歯車を使用しているが、その他の機構(例えば、かさ歯車やウォーム機構)でも良い。
歯車式の減速部73は、アクチュエータ70の出力軸70bにカップリング75を介して回転伝達可能に連結された小歯車76と、基端側の端部リンク部材5に固定され前記小歯車76と噛み合う大歯車77とで構成されている。図示例では、小歯車76および大歯車77は平歯車であり、大歯車77は、扇形の周面にのみ歯が形成された扇形歯車である。大歯車77は小歯車76よりもピッチ円半径が大きく、アクチュエータ70の出力軸70bの回転が基端側の端部リンク部材5へ、基端側のリンクハブ2と基端側の端部リンク部材5との回転対偶の回転軸O1回りの回転に減速して伝達される。その減速比は10以上とされている。
大歯車77のピッチ円半径は、基端側の端部リンク部材5のアーム長Lの1/2以上としてある。前記アーム長Lは、基端側のリンクハブ2と基端側の端部リンク部材5との回転対偶の中心軸O1の軸方向中心点P1から、基端側の端部リンク部材5と中央リンク部材7との回転対偶の中心軸O2の軸方向中心点P2を基端側のリンクハブ2と基端側の端部リンク部材5の回転対偶軸O1に直交してその軸方向中心点P1を通る平面に投影した点P3までの距離である。この実施形態の場合、大歯車77のピッチ円半径が前記アーム長L以上である。そのため、高い減速比を得るのに有利である。
小歯車76は、大歯車77と噛み合う歯部76aの両側に突出する軸部76bを有し、これら両軸部76bが、土台52に設置された回転支持部材79に設けられた二つの軸受80によりそれぞれ回転自在に支持されている。軸受80は、例えば深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受等の玉軸受である。図示例のように玉軸受を複列で配列する以外に、ローラ軸受や滑り軸受を用いてもよい。二つの軸受80の各外輪(図示せず)間にはシム(図示せず)を設け、軸部76bに螺合したナット81を締め付けることにより、軸受80に予圧を付与する構成としてある。軸受80の外輪は、回転支持部材79に圧入されている。
この実施形態の場合、大歯車77は、基端側の端部リンク部材5と別部材であり、基端側の端部リンク部材5に対してボルト等の結合具82により着脱可能に取付けられている。大歯車77は基端側の端部リンク部材5と一体であってもよい。
アクチュエータ70の回転軸心O3および小歯車76の回転軸心O4は同軸上に位置する。これら回転軸心O3,O4は、基端側のリンクハブ24と基端側の端部リンク部材5の回転対偶軸O1と平行で、かつ土台52からの高さが同じとされている。
このリンク作動装置51Bは、3組のリンク機構4のすべてにアクチュエータ70および減速機構71を設けたことで、作動装置本体1や減速機構71のガタを詰めるように制御することが可能となり、先端側のリンクハブ3の位置決め精度が向上すると共に、リンク作動装置51B自体の高剛性化を実現できる。
また、減速機構71の歯車式の減速部73は、小歯車76と大歯車77の組合せからなり、10以上の高い減速比が得られる。減速比が高いと、エンコーダ等による位置決め分解能が高くなるため、先端側のリンクハブ3の位置決め分解能が向上する。また、低出力のアクチュエータ70を使用することができる。この実施形態では減速機70a付きのアクチュエータ70を使用しているが、歯車式の減速部73の減速比が高ければ、減速機無しのアクチュエータ70を使用することも可能となり、アクチュエータ70を小型化できる。
大歯車77のピッチ円半径を、基端側の端部リンク部材5のアーム長Lの1/2以上としたことで、先端負荷による基端側の端部リンク部材5の曲げモーメントが小さくなる。そのため、作動装置本体1の剛性を必要以上に高くしなくて済むと共に、基端側の端部リンク部材5の軽量化を図れる。例えば、基端側の端部リンク部材5をステンレス鋼(SUS)からアルミに変更できる。また、大歯車77のピッチ円半径が比較的大きいため、大歯車77の歯部の面圧が減少し、作動装置本体1の剛性が高くなる。
また、大歯車77のピッチ円半径が前記アーム長の1/2以上であると、大歯車77が、基端側のリンクハブ2と基端側の端部リンク部材5の回転対偶部に設置する軸受31の外径よりも十分大きな径となるため、大歯車77の歯部と軸受31との間にスペースができ、大歯車77の設置が容易である。
特にこの実施形態の場合、大歯車77のピッチ円半径が前記アーム長L以上であるため、大歯車77のピッチ円半径がさらに大きくなり、前記作用・効果がより一層顕著に現れる。加えて、小歯車76をリンク機構4よりも外径側に設置することが可能となる。その結果、小歯車76の設置スペースを容易に確保することができ、設計の自由度が増す。また、小歯車76と他の部材との干渉が起こり難くなり、リンク作動装置51Bの可動範囲が広くなる。
小歯車76および大歯車77は、それぞれ平歯車であるため、製作が容易であり、しかも回転の伝達効率が高い。小歯車76は軸方向両側で軸受80により支持されているため、小歯車76の支持剛性が高い。それにより、先端負荷による基端側の端部リンク部材5の角度保持剛性が高くなり、作動装置本体1の剛性や位置決め精度の向上に繋がる。また、アクチュエータ70の回転軸心O3、小歯車76の回転軸心O4、および基端側のリンクハブ2と基端側の端部リンク部材5との回転対偶の中心軸O1が同一平面上にあるため、全体的なバランスが良く、組立性が良い。
大歯車77は、基端側の端部リンク部材5に対して着脱自在であるため、歯車式の減速部73の減速比や、基端側のリンクハブ2に対する先端側のリンクハブ3の作動範囲等の仕様の変更が容易となり、リンク作動装置51Bの量産性が向上する。つまり、同じリンク作動装置51Bを、大歯車77を変えるだけで、様々な用途に適用することが可能である。また、メンテナンス性が良い。例えば、歯車式の減速部73に障害が生じた場合に、同減速部73のみを交換するだけで対処可能である。
この構成のリンク作動装置51Bも、基端側のリンクハブ2に対する先端側のリンクハブ3の姿勢を変更することで、球面状のワーク62に対してエンドエフェクタ61の作業部61aにより様々な方向から作業を行うことができる。両リンクハブ2,3の配置の内側を向くようにエンドエフェクタ61を設置したことにより、前記実施形態の場合と同様の作用・効果が得られる。
図1、図2では、基端側のリンクハブ2を下側にしてリンク作動装置51Aが設置されているが、図9のように、基端側のリンクハブ2を上側にしてリンク作動装置51Aを設置しても良い。その場合、図1、図2の設置例とは逆に、基端側のリンクハブ2にエンドエフェクタ61を設置し、先端側のリンクハブ3でワーク62を支持し、作動装置本体1によりワーク62の姿勢を制御しながら作業を行う。図9は、図1、図2のリンク作動装置51Aを上下逆に設置した例を示すが、図6のリンク作動装置51Bを上下逆に設置しても良い。
図10および図11は、リンク作動装置の参考提案例を示す。図10に示すように、このリンク作動装置51Cは、ベース部材90の上方に複数本の支柱91を介して板状の土台92が設置され、この土台92の上に各基端側の端部リンク部材5をそれぞれ個別に回転自在に支持する回転軸部材93が固定されている。土台92と各回転軸部材93とで、基端側のリンクハブ2が構成される。ベース部材90と支柱91の固定、および支柱91と土台92の固定は、ボルト(図示せず)等により行われる。一方、各先端側の端部リンク部材6は、先端部材94に固定された複数の回転軸部材95に、それぞれ個別に回転自在に支持されている。先端部材94と各回転軸部材95とで、先端側のリンクハブ3が構成される。
図11に示すように、前記各回転軸部材93の並びの内側となる土台92の中央部には、エンドエフェクト挿通用の作業孔92aが上下に貫通して形成されている。作動装置本体1は、図6のリンク作動装置51Bのものと基本的に同じ構成であるが、各部材の配置および形状を変えることで、各リンク機構4の並びの内側に広い空間が形成されている。
図10において、このリンク作動装置51Cでは、ワーク62は、ベース部材90上における各支柱91で囲まれた空間内に設けられる。ワーク62は、ベース部材90に対して固定しても良く、固定せずに置くだけであっても良い。エンドエフェクタ61は細長形状のものであり、その先端の作業部61aが基端側を向くように先端側のリンクハブ3に設置される。エンドエフェクタ61の作業部61aの中心軸は、先端側のリンクハブ中心軸QBと一致している。エンドエフェクタ61は、その板状部61bを前記先端部材94に固定して先端側のリンクハブ3に設置される。エンドエフェクタ61の作業部61aは、例えばレーザ照射や液状物質を塗布するような、ワーク62に対して遠方から非接触で作業を行うものである。
このリンク作動装置51Cは、図10の状態から、基端側のリンクハブ2に対して先端側のリンクハブ3の姿勢を変更し、エンドエフェクタ61の作業部61aから照射・発射されるもの(例えばレーザや液状物質)が土台92の作業孔92a内を通り、基端側のリンクハブ2よりも下方に配置されたワーク62に対して作業を行う。各リンク機構4の並びの内側に広い空間が形成され、かつ土台92の作業孔92aが大きめに形成されているため、リンク作動装置51Cの構成部品と干渉させることなく、エンドエフェクタ61の角度を変更しながら、ワーク62に対して作業を行うことができる。
図12および図13はさらに異なる実施形態を示す。このリンク作動装置51Dは、作動装置本体1については図1、図2のものと同じ構成である。異なる点は、基端側のリンクハブ2および先端側のリンクハブ3に、各リンクハブ中心軸QA,QBに沿って進退動作する直動アクチュエータ100,101が、それぞれ両リンクハブ2,3の配置の内側を向くように設けられていることである。基端側の直動アクチュエータ100は、基端側のリンクハブ2の貫通孔10A(図3)内に固定して設けられ、そのロッド100aが先端側に突出している。先端側の直動アクチュエータ101は、先端側のリンクハブ3の先端側の端面に固定され、そのロッド101aが先端側のリンクハブ3の貫通孔10B内に挿入されている。
図の例では、基端側の直動アクチュエータ100のロッド先端にワーク固定部材63を介して球面状のワーク62を固定し、先端側の直動アクチュエータ101のロッド先端にエンドエフェクタ61を固定してある。エンドエフェクタ61は、前記貫通孔10B内を進退自在であって、先端の作業部61aが先端側のリンクハブ3よりも基端側に突出している。
このリンク作動装置51Dは、基端側のリンクハブ2に対する先端側のリンクハブ3の姿勢を変更してワーク62に対してエンドエフェクタ61で作業を行う際、姿勢変更に合わせて基端側の直動アクチュエータ100を進退動作させることで、ワーク62を基端側のリンクハブ中心軸QAに沿って進退させ、常にワーク62の球面中心を各リンクハブ中心軸QA,QBの交点Oに位置させる。また、姿勢変更に合わせて先端側の直動アクチュエータ101を進退動作させることで、エンドエフェクタ61を先端側のリンクハブ中心軸QBに沿って進退させ、エンドエフェクタ61の作業部61aが常にワーク62に対して垂直で、かつ一定の距離にあるようにする。これにより、ワーク62に対して作業部61aにより様々な方向から常に角度および距離を保ちながら作業を行うことができる。
図14および図15は、図12および図13の使用形態に対して、ワーク62を外周が球面状のものから円筒面状のものに変更した使用形態を示す。この場合、円筒面状のワーク62の上端面および外周面に対して作業を行うことができる。
図12ないし図15の実施形態において、これら図示例とは逆に、基端側の直動アクチュエータ100にエンドエフェクタ61を設置し、先端側の直動アクチュエータ101でワーク62を支持しても良い。また、図6や図10の構成のリンクハブ2,3に直動アクチュエータ100,101を設けても構わない。さらに、基端側または先端側のどちらか一方のリンクハブにだけ直動アクチュエータを設けても良い。
図16に示すリンク作動装置51Eは、図10のリンク作動装置51Cにおけるベース部材90に、2軸の直動アクチュエータを組み合わせてなるXYステージ110を設置したものである。図の例では、XYステージ110は、ベース部材90上に紙面と平行な水平方向(X軸方向)に進退動作するX軸直動アクチュエータ111と、このX軸直動アクチュエータ111に紙面と垂直な水平方向(Y軸方向)に進退動作するY軸直動アクチュエータ112とを有する。ワーク62は、Y軸直動アクチュエータ112の上に載せられる。エンドエフェクタ61は、図10のものと同様に、先端の作業部61aが基端側を向くように先端側のリンクハブ3に設置される。エンドエフェクタ61の作業部61aの中心軸は、先端側のリンクハブ中心軸QBと一致している。
このリンク作動装置51Eは、基端側のリンクハブ2に対する先端側のリンクハブ3の姿勢を変更させることで、エンドエフェクタ61の角度を変更しながらワーク62に対して作業を行えることに加えて、XYステージ110によりワーク62をX軸方向およびY軸方向に移動させることにより、ワーク62に対して様々な方向から角度を付けて作業することが可能である。例えば、ワーク62が立方体である場合、底面を除く5面に対して作業を実施することができる。
図17は、図12〜図15のリンク作動装置51Dに、エンドエフェクタ61として塗料を塗布するインクジェットを搭載した描画装置を示す。インクジェットは、請求項で言う「塗布機」である。インクジェットであるエンドエフェクタ61は、ノズル部である作業部61aの中心軸と先端側のリンクハブ中心軸QBとが一致するように設置される。ワーク62としては、任意の描画対象物を選択することができる。例えば、ワーク62を人の爪とした場合、ネールアートが可能である。また、風鈴やアクセサリー等への絵付けも可能である。
図18は、図16のリンク作動装置51Eに、エンドエフェクタ61としてグリースや接着剤等の液剤を塗布するディスペンサを搭載した塗布装置を示す。ディスペンサは、請求項で言う「塗布機」である。ディスペンサには、液剤を遠方に飛ばして、ワーク62に非接触で液剤を塗布するものを使用する。ディスペンサであるエンドエフェクタ61は、ノズル部である作業部61aの中心軸と先端側のリンクハブ中心軸QBとが一致するように設置される。ワーク62には、例えば歯車部材や円柱状部材のような構成部品62aがハウジング62bに組込まれたものが用いられる。
この塗布装置は、ワーク62の構成部品62aである歯車部材の歯面全周や円柱状部材の側面全体に対して角度を付けながら液剤を塗布できる。一般的にディスペンサは細長形状のものが多く、しかも先端部に重心が偏っているものが多いため、作動装置本体1の先端に大きな慣性が作用しやすい。しかし、この構成のように、ディスペンサであるエンドエフェクタ61が両リンクハブ2,3の配置の内側を向くように設置されていると、作動装置本体1の先端に作用する慣性を低減させることができる。
図19は、図16のリンク作動装置51Eに、エンドエフェクタ61として溶接用のトーチを搭載した溶接機を示す。溶接用のトーチであるエンドエフェクタ61は、くの字状に屈曲した形状であって、作業部61aであるトーチ先端の中心軸を先端側のリンクハブ中心軸QBと一致させて、先端側のリンクハブ3の先端部材94に取付部材96を介して取り付けられている。トーチ先端は、土台92の作業孔92aと突き抜けて基端側のリンクハブ2よりも下方に突出している。ワーク62は、XYステージ110に設けられたワーク載置台113の上に載置する。
この溶接機は、XYステージ110によりワーク62をX軸方向およびY軸方向に移動させながら、溶接用のトーチであるエンドエフェクタ61を様々な方向に傾けて作業することができるため、ワーク62が円柱状である場合でも、ワーク62の全周面に対して溶接をすることができる。溶接用のトーチは細長形状であるが、この構成のように、エンドエフェクタ61が両リンクハブ2,3の配置の内側を向くように設置されていると、作動装置本体1の先端に作用する慣性を低減させることができる。
2…基端側のリンクハブ
3…先端側のリンクハブ
4…リンク機構
5…基端側の端部リンク部材
6…先端側の端部リンク部材
7…中央リンク部材
51A,51B,51C,51D,51E…リンク作動装置
53,70…アクチュエータ
61…エンドエフェクタ
61a…作業部
62…ワーク
92a…作業孔
100,101…直動アクチュエータ
110…XYステージ
O…交点
QA…基端側のリンクハブ中心軸
QB…先端側のリンクハブ中心軸

Claims (7)

  1. 基端側のリンクハブに対し先端側のリンクハブを、3組以上のリンク機構を介して姿勢を変更可能に連結し、前記各リンク機構は、それぞれ前記基端側のリンクハブおよび先端側のリンクハブに一端が回転可能に連結された基端側および先端側の端部リンク部材と、これら基端側および先端側の端部リンク部材の他端に両端がそれぞれ回転可能に連結された中央リンク部材とでなり、前記各リンク機構は、このリンク機構を直線で表現した幾何学モデルが、前記中央リンク部材の中央部に対する基端側部分と先端側部分とが対称を成す形状であり、前記3組以上のリンク機構のうち2組以上のリンク機構に、前記基端側のリンクハブに対する前記先端側のリンクハブの姿勢を任意に変更させるアクチュエータを備えたリンク作動装置において、
    前記基端側または先端側のリンクハブに、これら両リンクハブの配置の内側を向くようにエンドエフェクタが設置され、かつ前記エンドエフェクタは、このエンドエフェクタが設置されたリンクハブと反対側のリンクハブ側に配置された作業対象物となるワークに対して作業を行うものであり、
    前記ワークは、前記基端側および先端側のリンクハブの間に配置され、且つ前記ワークは、前記基端側のリンクハブの中心軸と前記先端側のリンクハブの中心軸との交点と一致するように配置されているリンク作動装置。
  2. 請求項1に記載のリンク作動装置において、前記ワークは、前記エンドエフェクタが設置されたリンクハブと反対側のリンクハブに支持されるリンク作動装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載のリンク作動装置において、前記エンドエフェクタは、前記ワークの表面に液状物質を塗布する塗布機であるリンク作動装置。
  4. 請求項1または請求項2に記載のリンク作動装置において、前記エンドエフェクタは、溶接用のトーチであるリンク作動装置。
  5. 請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載のリンク作動装置において、前記エンドエフェクタを、このエンドエフェクタが設置されるリンクハブの中心軸に沿って進退動作する直動アクチュエータに搭載したリンク作動装置。
  6. 請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載のリンク作動装置において、前記ワークを支持するリンクハブに、前記ワークを支持して前記リンクハブの中心軸に沿って進退動作する直動アクチュエータを備えたリンク作動装置。
  7. 請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載のリンク作動装置において、前記ワークを支持するリンクハブに、このリンクハブの中心軸が直交する平面に沿って前記ワークを移動させるXYステージを備えたリンク作動装置。
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