JP6584968B2 - 回転電機 - Google Patents
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Description
また、回転子のブリッジ幅を小さくするとトルクリプルが低下するが、ブジッジ幅を小さくするとブリッジ強度が低下するという問題がある。
即ち、請求項1に係る発明は、コイルを有する環状の固定子と、前記固定子の内周面との間に空隙をあけて配置された電磁鋼板と、前記電磁鋼板に設けられた複数の永久磁石とを有する回転子とを備え、下式(1)〜(4)の関係を満たす回転電機である。
R=RS−A/[1+(A/B−1)×cos(Pθ)]・・・(1)
A≧1.3・・・(2)
B≦1.1・・・(3)
0.85≦C/D≦1.6・・・(4)
但し、R:回転子の回転中心と回転子の外周面との距離(mm)
RS:固定子の内径(mm)
P:回転子の極数(−)
A:回転子のd軸を起点とした360°/P/4の位置の空隙寸法(mm)
B:空隙の最小寸法(mm)
θ:d軸を起点とした中心角度(°)
C:ブリッジ幅(mm)
D:電磁鋼板の厚さ(mm)
図1〜図3に示すように、本発明に係る回転電機1は、環状の固定子2と、この固定子2の内部に回転可能に配置された回転子3とを備えている。
ステータコア4は、複数の鋼製のコア板を積層して形成されている。ステータコア4の内周には、複数のティース6が周方向に並んで形成されている。周方向に隣り合うティース6の間にはスロット7が形成されている。コイル5は、各スロット7に組み込まれることにより、周方向に並んで設けられている。本実施形態では、コイル5、ティース6、スロット7の数は60とされている。但し、本発明において、コイル5、ティース6、スロット7の数は、特に限定されない。
ロータコア8は、複数の鋼製のコア板(以下、電磁鋼板という)を積層して形成されている。つまり、回転子3は、固定子2の内周面との間に空隙をあけて配置された電磁鋼板を有している。図4、図5に示すように、ロータコア8は、外周面の近傍位置に、周方向に間隔をあけて形成された複数の埋め込み孔10を有している。埋め込み孔10は、ロータコア8を周方向に等分割(本実施形態では20分割)した各領域Wに、夫々一対(2つ)ずつ設けられている。埋め込み孔10は、ロータコア8の周方向に略沿って延びる細長い形状に形成されている。以下、便宜上、各領域Wに設けられた一対(2つ)の埋め込み孔10のうち、一方の埋め込み孔を第1埋め込み孔10Aと称し、他方の埋め込み孔を第2埋め込み孔10Bと称する。
複数の永久磁石9は、ロータコア8を形成する電磁鋼板に設けられている。具体的には、複数の永久磁石9は、ロータコア8に形成された複数の埋め込み孔10に夫々埋設されている。以下、便宜上、第1埋め込み孔10Aに埋設された永久磁石を第1永久磁石9A
と称し、第2埋め込み孔10Bに埋設された永久磁石を第2永久磁石9Bと称する。第1永久磁石9Aと第2永久磁石9Bは同形状であり、回転子3の回転中心Oを通る中心軸に直交する断面が矩形状に形成されている。
d軸13は、隣り合う一対の永久磁石(第1永久磁石9Aと第2永久磁石9B)が形成する磁極中心部12と回転中心Oとを結ぶ軸である。言い換えれば、d軸13は、永久磁石対90の中間位置(第1永久磁石9Aと第2永久磁石9Bの中間)と回転中心Oとを結ぶ軸である。別の表現をすれば、d軸13は、永久磁石対90が形成する磁極の方向を向く軸である。q軸14は、隣り合うd軸13の中間部と回転中心Oとを結ぶ軸である。言い換えれば、q軸14は、隣り合う永久磁石対90の中間位置と回転中心Oとを結ぶ軸である。別の表現をすれば、q軸14はd軸13と磁気的に直交する軸である。第1永久磁石9Aと第2永久磁石9Bは、d軸13を中心として線対称に配置されている。また、隣り合う永久磁石対90は、q軸14を中心として線対称に配置されている。
空間11は、内側(永久磁石9側)から外側(永久磁石9から離れる側)に向かうにつれて次第に狭くなるように形成されている。具体的には、空間11の内面のうち、回転子3の外周側の内面11aと内周側の内面11bとは、内側(永久磁石9側)から外側(永久磁石9から離れる側)に向かうにつれて次第に接近している。本実施形態では、埋め込み孔10の外端部(空間11の外端部)と回転子3の外周面との距離L1が、埋め込み孔10と回転子3の外周面(ロータコア8の外周面)との最短距離となっている。以下、この最短距離L1をブリッジ幅Cと称し、空間11と回転子3の外周面との間の部分をブリッジと称する。
<関係式(1)〜(4)>
R=RS−A/[1+(A/B−1)×cos(Pθ)]・・・(1)
A≧1.3・・・(2)
B≦1.1・・・(3)
0.85≦C/D≦1.6・・・(4)
但し、R:回転子の回転中心と回転子の外周面との距離(mm)
RS:固定子の内径(mm)
P:回転子の極数(−)
A:回転子のd軸を起点とした360°/P/4の位置の空隙寸法(mm)
B:空隙の最小寸法(mm)
θ:d軸を起点とした中心角度(°(deg.))
C:ブリッジ幅(mm)
D:電磁鋼板の厚さ(mm)
上記関係式(1)〜(4)の値A,B,C/Dの範囲の設定理由は以下の通りである。尚、設定理由を裏付ける解析結果については後述する。
尚、上記関係式(1)〜(4)のA,B,C/Dについて、下記関係式(5)〜(7)を満たすように設定してもよい。この場合、上記関係式(1)〜(4)のうち関係式(2)〜(4)が下記関係式(5)〜(7)に置き換えられる。
A≧1.43・・・(5)
B≦1.026・・・(6)
0.85≦C/D≦1.6・・・(7)
関係式(5)のA≧1.43、及び、関係式(6)のB≦1.03は、従来の円筒型回転子を備えた回転電機に比べて、より高い優位性を確保するために必要な範囲として設定されたものである。つまり、A≧1.43、B≦1.026に設定することにより、後述する解析結果に示す通り、従来の回転電機に比べて、より一層優位なトルクリプルの抑制効果とトルク定数の向上効果を得ることが可能となる。関係式(7)は関係式(4)と同じである。
さらに、上記関係式(1)〜(4)のA,B,C/Dについて、下記関係式(8)〜(10)を満たすように設定してもよい。この場合、上記関係式(1)〜(4)のうち関係式(2)〜(4)が下記関係式(8)〜(10)に置き換えられる。
A≧1.46・・・(8)
B≦1.0・・・(9)
0.85≦C/D≦1.6・・・(10)
関係式(8)のA≧1.46、及び、関係式(9)のB≦1.0は、従来の円筒型回転子を備えた回転電機に比べて、さらに高い優位性を確保するために必要な範囲として設定されたものである。つまり、A≧1.46、B≦1.0に設定することにより、後述する解析結果に示す通り、従来の回転電機に比べて、さらに優位性が高いトルクリプルの抑制効果とトルク定数の向上効果を得ることが可能となる。関係式(10)は関係式(4)と同じである。
以下、本発明に係る回転電機を駆動した場合の出力特性の解析結果を示す。
本発明に係る回転電機として、上述した実施形態の構成を備えた回転電機1(上記関係式(1)〜(4)を満たす外周面形状を有する回転子を備えたもの)を使用した。また、本発明に係る回転電機との比較のために、同じ解析条件により従来の回転電機(円筒型回転子を備えたもの)を駆動した場合の出力特性の解析も併せて行った。従来の回転電機の構成は、回転子が円筒型回転子である点を除いて、本発明に係る回転電機と同様である。
固定子2の内径RS=106mm、回転子3の極数P=20、電磁鋼板の厚さD=0.30mmの回転電機1を使用し、当該回転電機1を駆動した場合の出力特性を解析した。具体的には、寸法Bを1.0mmに固定して寸法Aを変化させて、夫々の寸法Aの場合について、ブリッジ幅C、平均トルク(出力トルクの平均値)、トルクリプル(出力トルクの変動幅の大きさ)を解析した。解析結果を表1に示す。また、寸法Aと、トルクリプル及び平均トルクの関係のグラフを図6に示し、寸法Aを変化させたときのブリッジ幅Cと、トルクリプル及び平均トルクの関係のグラフを図7に示す。また、A=1.43mm、B=1.0mmに設定した場合のトルク波形(上側の波形)と、従来の回転電機のトルク波形(下側の波形)を比較したグラフを図10に示す。
寸法Aと寸法Bの値以外は解析1と同様の回転電機1を使用し、当該回転電機1を駆動した場合の出力特性を解析した。具体的には、寸法Aを1.46mmに固定して寸法Bを変化させて、夫々の寸法Bの場合について、ブリッジ幅C、平均トルク、トルクリプルを解析した。尚、解析2では、寸法Bが本発明の設定範囲(B≦1.1)を外れた場合(B=1.15,B=1.2)についても解析した。解析結果を表2に示す。また、寸法Bと、トルクリプル及び平均トルクの関係のグラフを図8に示し、寸法Bを変化させたときのブリッジ幅Cと、トルクリプル及び平均トルクの関係のグラフを図9に示す。
解析1の結果(表1、図6及び図7)に示される通り、寸法Bを固定して寸法Aを変化させた場合、寸法Aの増加に伴ってブリッジ幅は単調に減少した。また、寸法Aの増加及びブリッジ幅の減少に伴って、平均トルクは概ね単調に増加し、トルクリプルは概ね単調に減少した。平均トルク及びトルクリプルの解析値を、従来の回転電機の解析値と比較すると、全ての寸法Aについて、平均トルクは高く、トルクリプルは低かった。
<解析2についての考察>
解析2の結果(表2、図8及び図9)に示される通り、寸法Aを固定して寸法Bを変化させた場合、寸法Bの増加に伴ってブリッジ幅は単調に増加した。また、寸法Bの増加及びブリッジ幅の増加に伴って、平均トルクは単調に減少し、トルクリプルは単調に増加した。平均トルク及びトルクリプルの解析値を、従来の回転電機の解析値と比較すると、全ての寸法Bについて、平均トルクは高く、トルクリプルは低かった。
表1,2に示すように、従来の回転電機のトルクリプルは3.95であった。そのため、従来の回転電機に比べて十分な優位性を確保するためには、トルクリプルを3.2以下に設定することが好ましい。トルクリプルを3.2以下とするためには、A≧1.3、B≦1.1とする必要がある。つまり、A≧1.3、B≦1.1と設定することにより、トルクリプルが3.15以下となり、従来の回転電機のトルクリプルに対して十分な優位性が確保できる。また、A≧1.3、B≦1.1と設定することによって、平均トルクは77.8となり、従来の回転電機の平均トルク71.8に対して十分な優位性を確保できる。つまり、A≧1.3、B≦1.1に設定することにより、従来の回転電機に比べて十分に優位なトルクリプルの抑制効果とトルク定数の向上効果を得ることが可能となる。
さらに、A≧1.46、B≦1.0に設定することにより、トルクリプルは2.23、平均トルクは83.1となり、従来の回転電機のトルクリプル3.95、平均トルク71.8に対して、より一層高い優位性を確保できる。
C/Dの下限値について、上述した通り、強度的に許容できるブリッジ幅Cの最小値は0.30mmであり、製造可能な電磁鋼板の厚さDの最小値は0.30mmである。そのため、解析1,2では、ブリッジ幅Cの最小値を0.30mmに設定し、電磁鋼板の厚さDの最小値を0.30mmに設定した。この場合、C/Dの下限値は1.0となるが、若干(15%)の余裕を確保して0.85に設定した。C/Dの上限値は、ブリッジ幅Cの値を、Aを限界値(A=1.3)に設定したときの値0.69(表1参照)と、Bを限界値(B=1.1)に設定したときの値0.47(表2参照)のうち、小さい方の値である0.47に設定した上で、このブリッジ幅Cの値(0.47)を製造可能な電磁鋼板の厚さDの最小値0.30で除した値(0.47/0.30≒1.6)に設定した。
また、C/Dの下限値は、比較的容易に製造可能なブリッジ幅Cの最小値0.35mmと、電磁鋼板の厚さDの最小値0.30mmに基づいて、0.35/0.30=1.17に設定してもよい。この場合、上記関係式(4)、(7)、(10)を1.17≦C/D≦1.6と変更すればよい。
上述した通り、本発明の回転電機において、A,Bの値を、A≧1.3、B≦1.1の限界値(A=1.3、B=1.1)に設定した場合、トルクリプルは3.15以下、平均
トルクは77.8以上になる。これらの値は、従来の円筒型回転子を備えた回転電機のトルクリプル3.95の約0.80倍、平均トルク71.8の約1.08倍である。従って、本発明の回転電機によれば、従来の回転電機に比べてトルクリプルを約0.80倍に減少させ、トルク定数(平均トルク/電流の実効値)を約1.08倍に増加させることができる。
2 固定子
3 回転子
9 永久磁石
9A 第1永久磁石
9B 第2永久磁石
13 d軸
A 回転子のd軸を起点とした360°/P/4の位置の空隙寸法
B 空隙の最小寸法
C ブリッジ幅
O 回転子の回転中心
R 回転子の回転中心と回転子の外周面との距離
RS 固定子の内径
θ d軸を起点とした中心角度
Claims (1)
- コイルを有する環状の固定子と、
前記固定子の内周面との間に空隙をあけて配置された電磁鋼板と、前記電磁鋼板に設けられた複数の永久磁石とを有する回転子と、
を備え、
下式(1)〜(4)の関係を満たす回転電機。
R=RS−A/[1+(A/B−1)×cos(Pθ)]・・・(1)
A≧1.3・・・(2)
B≦1.1・・・(3)
0.85≦C/D≦1.6・・・(4)
但し、R:回転子の回転中心と回転子の外周面との距離(mm)
RS:固定子の内径(mm)
P:回転子の極数(−)
A:回転子のd軸を起点とした360°/P/4の位置の空隙寸法(mm)
B:空隙の最小寸法(mm)
θ:d軸を起点とした中心角度(°)
C:ブリッジ幅(mm)
D:電磁鋼板の厚さ(mm)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016007460A JP6584968B2 (ja) | 2016-01-18 | 2016-01-18 | 回転電機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016007460A JP6584968B2 (ja) | 2016-01-18 | 2016-01-18 | 回転電機 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017131001A JP2017131001A (ja) | 2017-07-27 |
JP6584968B2 true JP6584968B2 (ja) | 2019-10-02 |
Family
ID=59395743
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016007460A Active JP6584968B2 (ja) | 2016-01-18 | 2016-01-18 | 回転電機 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP6584968B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN110994825B (zh) * | 2019-12-09 | 2021-05-07 | 珠海格力电器股份有限公司 | 电机转子及其制作方法、磁阻电机和电动汽车 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006014457A (ja) * | 2004-06-24 | 2006-01-12 | Fanuc Ltd | 同期電動機 |
-
2016
- 2016-01-18 JP JP2016007460A patent/JP6584968B2/ja active Active
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---|---|
JP2017131001A (ja) | 2017-07-27 |
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