JP6584968B2 - 回転電機 - Google Patents

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Description

本発明は回転電機に関し、詳しくは永久磁石埋込型の回転電機に関する。
従来、永久磁石埋込型の回転電機は、円筒型回転子の内部に複数の永久磁石が回転子の周方向に隣り合うように埋設されており、回転子の周方向に隣り合う一対の永久磁石は磁極が互いに異なるように配置されている。しかし、このような円筒型回転子を備えた回転電機では、隣り合う一対の永久磁石の間(磁極の切り換わり部)付近に急激な磁束密度変動が発生する。そのため、振動や騒音の原因となるトルクリプル(トルク脈動)が発生する。
このようなトルクリプルの発生を抑制するための技術としては、例えば、特許文献1に開示された電動機が知られている。特許文献1に開示された電動機では、回転子の半径が周方向で隣り合う永久磁石の間(磁極の切り換わり部)で最小となり、且つ磁極中心部で最大となるように、回転子の外周形状を正弦波に変化させた形状としている。
特開2001−69701号公報
しかし、特許文献1に開示の電動機では、固定子側のティースと回転子の外周との間の空隙が最小となる部分は、磁極中心部に対応する回転子の外周上の点部分のみとなる。そのため、外周半径が一定である円筒型回転子に比べてトルク定数が低くなってしまう。つまり、特許文献1に開示の電動機は、トルクリプルを抑制することができる反面、トルク定数が低くなってしまうという問題がある。
また、回転電機に供給する電流を制御することによりトルクリプルを抑制する方法も知られている。しかしながら、この方法では、電流の制御に用いるインバータの改造が必要となる。また、大電流を流す必要があるため、コイルの耐電圧性能を上げる対策が必要となる。
また、回転子のブリッジ幅を小さくするとトルクリプルが低下するが、ブジッジ幅を小さくするとブリッジ強度が低下するという問題がある。
本発明は、上記した従来技術の問題を解決すべくなされたものであって、インバータの改造やコイルの耐電圧性能を上げる対策を必要とせずに、ブリッジ強度を維持しながら、トルクリプルを抑制しつつトルク定数を高くすることができる回転電機を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は、次の手段を講じた。
即ち、請求項1に係る発明は、コイルを有する環状の固定子と、前記固定子の内周面との間に空隙をあけて配置された電磁鋼板と、前記電磁鋼板に設けられた複数の永久磁石とを有する回転子とを備え、下式(1)〜(4)の関係を満たす回転電機である。
R=RS−A/[1+(A/B−1)×cos(Pθ)]・・・(1)
A≧1.3・・・(2)
B≦1.1・・・(3)
0.85≦C/D≦1.6・・・(4)
但し、R:回転子の回転中心と回転子の外周面との距離(mm)
S:固定子の内径(mm)
P:回転子の極数(−)
A:回転子のd軸を起点とした360°/P/4の位置の空隙寸法(mm)
B:空隙の最小寸法(mm)
θ:d軸を起点とした中心角度(°)
C:ブリッジ幅(mm)
D:電磁鋼板の厚さ(mm)
本発明に係る回転電機によれば、インバータの改造やコイルの耐電圧性能を上げる対策を必要とせずに、ブリッジ強度を維持しながら、トルクリプルを抑制しつつトルク定数を高くすることができる。また、トルクリプルが抑制されることにより、回転電機の振動や騒音を減少させることができる。また、モータの振動が減少することにより、回転電機の耐久性を向上させることができる。
本発明に係る回転電機の断面図である。 図1の部分拡大図である。 図2の部分拡大図である。 回転子の断面図である。 図4の部分拡大図である。 解析1の結果を示すグラフである。 解析1の結果を示す別のグラフである。 解析2の結果を示すグラフである。 解析2の結果を示す別のグラフである。 解析1の結果を示す更に別のグラフである。
以下、本発明に係る回転電機の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。本発明に係る回転電機は、永久磁石埋込型の回転電機である。回転電機は、電動機であっても発電機であってもよく、電動発電機(モータジェネレータ)であってもよい。
図1〜図3に示すように、本発明に係る回転電機1は、環状の固定子2と、この固定子2の内部に回転可能に配置された回転子3とを備えている。
固定子2は、環状のステータコア4と、コイル5とを有している。
ステータコア4は、複数の鋼製のコア板を積層して形成されている。ステータコア4の内周には、複数のティース6が周方向に並んで形成されている。周方向に隣り合うティース6の間にはスロット7が形成されている。コイル5は、各スロット7に組み込まれることにより、周方向に並んで設けられている。本実施形態では、コイル5、ティース6、スロット7の数は60とされている。但し、本発明において、コイル5、ティース6、スロット7の数は、特に限定されない。
回転子3は、固定子2の内周面との間に空隙をあけて配置されており、環状のロータコア8と、複数の永久磁石9とを有している。
ロータコア8は、複数の鋼製のコア板(以下、電磁鋼板という)を積層して形成されている。つまり、回転子3は、固定子2の内周面との間に空隙をあけて配置された電磁鋼板を有している。図4、図5に示すように、ロータコア8は、外周面の近傍位置に、周方向に間隔をあけて形成された複数の埋め込み孔10を有している。埋め込み孔10は、ロータコア8を周方向に等分割(本実施形態では20分割)した各領域Wに、夫々一対(2つ)ずつ設けられている。埋め込み孔10は、ロータコア8の周方向に略沿って延びる細長い形状に形成されている。以下、便宜上、各領域Wに設けられた一対(2つ)の埋め込み孔10のうち、一方の埋め込み孔を第1埋め込み孔10Aと称し、他方の埋め込み孔を第2埋め込み孔10Bと称する。
図5に示すように、一対の埋め込み孔10は、第1埋め込み孔10Aと第2埋め込み孔10Bとが接近している側(以下、内側と称し、反対側を外側と称す)から離れるにつれてロータコア8の外周に向けて移行するように形成されている。言い換えれば、一対の埋め込み孔10は、ロータコア8の外周に向けて拡がるV字状に形成されている。
複数の永久磁石9は、ロータコア8を形成する電磁鋼板に設けられている。具体的には、複数の永久磁石9は、ロータコア8に形成された複数の埋め込み孔10に夫々埋設されている。以下、便宜上、第1埋め込み孔10Aに埋設された永久磁石を第1永久磁石9A
と称し、第2埋め込み孔10Bに埋設された永久磁石を第2永久磁石9Bと称する。第1永久磁石9Aと第2永久磁石9Bは同形状であり、回転子3の回転中心Oを通る中心軸に直交する断面が矩形状に形成されている。
図2、図3、図5に示すように、ロータコア8の周方向に隣り合う一対の永久磁石(第1永久磁石9Aと第2永久磁石9B)により永久磁石対90が構成されている。1つの永久磁石対90を構成する2つの永久磁石(第1永久磁石9Aと第2永久磁石9B)は、同じ磁極(N極又はS極)を外側に向けて配置されている。これにより、1つの永久磁石対90が1つの磁極(N極又はS極)を形成している。本実施形態では、20個の永久磁石対90により20個の磁極が形成されている。但し、本発明において磁極の数(極数)は限定されない。極数は、スロット7の数(スロット数)と相数に対応して設定することができる。例えば、3相の回転電機1の場合、極数mとスロット数Mとは、M=3×mを満たすように設定することができる。永久磁石対90は、回転子2の周方向に等ピッチで配置されており、第1永久磁石9Aと第2永久磁石9Bとの間に磁極中心部12を形成している。
上述した通り、永久磁石対90を構成する第1永久磁石9Aと第2永久磁石9Bは、同じ磁極(N極又はS極)を外側に向けて配置されている。例えば、永久磁石対90の一方を構成する第1永久磁石9AがN極を外側に向けて配置されている場合、当該永久磁石対90の他方を構成する第2永久磁石9BもN極を外側に向けて配置されている。また、複数(本実施形態では20個)の永久磁石対90は、外側の磁極が周方向に交互にN極とS極となるように配置されている。つまり、ある永久磁石対90の外側の磁極がN極である場合、当該永久磁石対90と周方向に隣り合う別の永久磁石対90の外側の磁極はS極である。
図2〜図4に示すように、回転子3は、d軸13とq軸14とを有している。
d軸13は、隣り合う一対の永久磁石(第1永久磁石9Aと第2永久磁石9B)が形成する磁極中心部12と回転中心Oとを結ぶ軸である。言い換えれば、d軸13は、永久磁石対90の中間位置(第1永久磁石9Aと第2永久磁石9Bの中間)と回転中心Oとを結ぶ軸である。別の表現をすれば、d軸13は、永久磁石対90が形成する磁極の方向を向く軸である。q軸14は、隣り合うd軸13の中間部と回転中心Oとを結ぶ軸である。言い換えれば、q軸14は、隣り合う永久磁石対90の中間位置と回転中心Oとを結ぶ軸である。別の表現をすれば、q軸14はd軸13と磁気的に直交する軸である。第1永久磁石9Aと第2永久磁石9Bは、d軸13を中心として線対称に配置されている。また、隣り合う永久磁石対90は、q軸14を中心として線対称に配置されている。
図3、図5に示すように、埋め込み孔10(第1埋め込み孔10Aと第2埋め込み孔10B)の外側には、磁路短絡防止用の空間11が形成されている。空間11は、埋め込み孔10に永久磁石9を埋め込んだ状態において、永久磁石9が存在しない部分である。
空間11は、内側(永久磁石9側)から外側(永久磁石9から離れる側)に向かうにつれて次第に狭くなるように形成されている。具体的には、空間11の内面のうち、回転子3の外周側の内面11aと内周側の内面11bとは、内側(永久磁石9側)から外側(永久磁石9から離れる側)に向かうにつれて次第に接近している。本実施形態では、埋め込み孔10の外端部(空間11の外端部)と回転子3の外周面との距離L1が、埋め込み孔10と回転子3の外周面(ロータコア8の外周面)との最短距離となっている。以下、この最短距離L1をブリッジ幅Cと称し、空間11と回転子3の外周面との間の部分をブリッジと称する。
回転子3が高速で回転すると、永久磁石9に作用する遠心力によってブリッジに大きな応力が加わる。そのため、ブリッジの強度を確保する観点からは、ブリッジ幅Cを大きくすることが好ましい。しかし、ブリッジ幅Cが大きいと、永久磁石9の漏れ磁束が多くなり、回転電機の効率が低下する。そのため、ブリッジ幅Cは、ブリッジの強度が確保できる限度でなるべく小さく設定することが好ましい。具体的な設定については後述する。
回転電機1は、下式(1)〜(4)の関係を満たす。
<関係式(1)〜(4)>
R=RS−A/[1+(A/B−1)×cos(Pθ)]・・・(1)
A≧1.3・・・(2)
B≦1.1・・・(3)
0.85≦C/D≦1.6・・・(4)
但し、R:回転子の回転中心と回転子の外周面との距離(mm)
S:固定子の内径(mm)
P:回転子の極数(−)
A:回転子のd軸を起点とした360°/P/4の位置の空隙寸法(mm)
B:空隙の最小寸法(mm)
θ:d軸を起点とした中心角度(°(deg.))
C:ブリッジ幅(mm)
D:電磁鋼板の厚さ(mm)
図2、図4、図5に示すように、回転子3の外周面の形状は、回転中心Oと同心であって且つd軸13上が最大径となる凸状の曲線CLを、周方向に複数繋いだ形状とされている。以下、便宜上、夫々の曲線CLを単位曲線CLと称する。単位曲線CLの数は、極数と同じであり、本実施形態の場合は20個である。隣り合う単位曲線CLは、回転中心Oに向けて凹形状又は凸形状である1つ又は複数の円弧により繋がれている。単位曲線CLと回転中心Oとの距離(即ち、回転子3の回転中心Oと回転子3の外周面との距離)Rは、d軸13とq軸14との間において、上式(1)〜(4)の関係を満たす。
尚、上式(1)の内径RSは、詳しくは、隣り合うティース6の内端を繋いで形成される仮想面S(図3参照)と回転中心Oとの距離である。上式(1)の角度θは、詳しくは、図4に示すように、d軸13を起点とする回転中心Oを中心とする変位角度である。上式(1)〜(3)の寸法A,Bにおける空隙とは、図3に示すように、固定子2の内周面(具体的には仮想面S)と回転子3の外周面との間の空間を意味する。寸法Aは、d軸13から周方向に360°/P/4ずれた位置における空隙の寸法である。本実施形態の場合、P=20であることから、寸法Aはd軸13から周方向に4.5°ずれた位置における空隙の寸法である。言い換えれば、寸法Aは、d軸13とq軸14の中間地点の空隙の寸法である。寸法Bは、固定子2の内周面(仮想面S)と回転子3の外周面との最小距離である。言い換えれば、寸法Bは、d軸13に沿う位置の空隙の寸法である。
<関係式(1)〜(4)の値A,B,C/Dの範囲>
上記関係式(1)〜(4)の値A,B,C/Dの範囲の設定理由は以下の通りである。尚、設定理由を裏付ける解析結果については後述する。
関係式(2)のA≧1.3、及び、関係式(3)のB≦1.1は、従来の円筒型回転子を備えた回転電機に比べて十分な優位性を確保するために必要な範囲として設定されたものである。つまり、A≧1.3、B≦1.1に設定することにより、後述する解析結果に示す通り、従来の回転電機に比べて十分に優位なトルクリプルの抑制効果とトルク定数の向上効果を得ることが可能となる。
関係式(4)の0.85≦C/D≦1.6について、下限値0.85は、強度的に許容できるブリッジ幅の最小値と製造可能な電磁鋼板の厚さの最小値とに基づいて設定された値である。具体的には、強度的に許容できるブリッジ幅Cの最小値の目安は0.30mmであり、製造可能な電磁鋼板の厚さDの最小値の目安は0.30mmである。この場合、C/Dの下限値は1.0となるが、若干(15%)の余裕を考慮して0.85に設定する。上限値1.6は、後述する解析結果に示す通り、Aを限界値(A=1.3)又はBを限界値(B=1.1)に設定したときにブリッジ幅Cが最小となる値である。
<関係式(5)〜(7)>
尚、上記関係式(1)〜(4)のA,B,C/Dについて、下記関係式(5)〜(7)を満たすように設定してもよい。この場合、上記関係式(1)〜(4)のうち関係式(2)〜(4)が下記関係式(5)〜(7)に置き換えられる。
A≧1.43・・・(5)
B≦1.026・・・(6)
0.85≦C/D≦1.6・・・(7)
<関係式(5)〜(7)の値A,B,C/Dの範囲>
関係式(5)のA≧1.43、及び、関係式(6)のB≦1.03は、従来の円筒型回転子を備えた回転電機に比べて、より高い優位性を確保するために必要な範囲として設定されたものである。つまり、A≧1.43、B≦1.026に設定することにより、後述する解析結果に示す通り、従来の回転電機に比べて、より一層優位なトルクリプルの抑制効果とトルク定数の向上効果を得ることが可能となる。関係式(7)は関係式(4)と同じである。
<関係式(8)〜(10)>
さらに、上記関係式(1)〜(4)のA,B,C/Dについて、下記関係式(8)〜(10)を満たすように設定してもよい。この場合、上記関係式(1)〜(4)のうち関係式(2)〜(4)が下記関係式(8)〜(10)に置き換えられる。
A≧1.46・・・(8)
B≦1.0・・・(9)
0.85≦C/D≦1.6・・・(10)
<関係式(8)〜(10)の値A,B,C/Dの範囲>
関係式(8)のA≧1.46、及び、関係式(9)のB≦1.0は、従来の円筒型回転子を備えた回転電機に比べて、さらに高い優位性を確保するために必要な範囲として設定されたものである。つまり、A≧1.46、B≦1.0に設定することにより、後述する解析結果に示す通り、従来の回転電機に比べて、さらに優位性が高いトルクリプルの抑制効果とトルク定数の向上効果を得ることが可能となる。関係式(10)は関係式(4)と同じである。
上述した関係式により定義される外周面形状を有する回転子3を備えた回転電機1によれば、空隙磁束密度の変化が緩やかになり、永久磁石9により形成される磁束のマイナーループを最小限にすることができる。その結果、下記の解析結果に示すように、トルクリプルを抑制しつつトルク定数を高くすることが可能となる。
<解析結果>
以下、本発明に係る回転電機を駆動した場合の出力特性の解析結果を示す。
本発明に係る回転電機として、上述した実施形態の構成を備えた回転電機1(上記関係式(1)〜(4)を満たす外周面形状を有する回転子を備えたもの)を使用した。また、本発明に係る回転電機との比較のために、同じ解析条件により従来の回転電機(円筒型回転子を備えたもの)を駆動した場合の出力特性の解析も併せて行った。従来の回転電機の構成は、回転子が円筒型回転子である点を除いて、本発明に係る回転電機と同様である。
<解析1>
固定子2の内径RS=106mm、回転子3の極数P=20、電磁鋼板の厚さD=0.30mmの回転電機1を使用し、当該回転電機1を駆動した場合の出力特性を解析した。具体的には、寸法Bを1.0mmに固定して寸法Aを変化させて、夫々の寸法Aの場合について、ブリッジ幅C、平均トルク(出力トルクの平均値)、トルクリプル(出力トルクの変動幅の大きさ)を解析した。解析結果を表1に示す。また、寸法Aと、トルクリプル及び平均トルクの関係のグラフを図6に示し、寸法Aを変化させたときのブリッジ幅Cと、トルクリプル及び平均トルクの関係のグラフを図7に示す。また、A=1.43mm、B=1.0mmに設定した場合のトルク波形(上側の波形)と、従来の回転電機のトルク波形(下側の波形)を比較したグラフを図10に示す。
Figure 0006584968
<解析2>
寸法Aと寸法Bの値以外は解析1と同様の回転電機1を使用し、当該回転電機1を駆動した場合の出力特性を解析した。具体的には、寸法Aを1.46mmに固定して寸法Bを変化させて、夫々の寸法Bの場合について、ブリッジ幅C、平均トルク、トルクリプルを解析した。尚、解析2では、寸法Bが本発明の設定範囲(B≦1.1)を外れた場合(B=1.15,B=1.2)についても解析した。解析結果を表2に示す。また、寸法Bと、トルクリプル及び平均トルクの関係のグラフを図8に示し、寸法Bを変化させたときのブリッジ幅Cと、トルクリプル及び平均トルクの関係のグラフを図9に示す。
Figure 0006584968
<解析1についての考察>
解析1の結果(表1、図6及び図7)に示される通り、寸法Bを固定して寸法Aを変化させた場合、寸法Aの増加に伴ってブリッジ幅は単調に減少した。また、寸法Aの増加及びブリッジ幅の減少に伴って、平均トルクは概ね単調に増加し、トルクリプルは概ね単調に減少した。平均トルク及びトルクリプルの解析値を、従来の回転電機の解析値と比較すると、全ての寸法Aについて、平均トルクは高く、トルクリプルは低かった。
<解析2についての考察>
解析2の結果(表2、図8及び図9)に示される通り、寸法Aを固定して寸法Bを変化させた場合、寸法Bの増加に伴ってブリッジ幅は単調に増加した。また、寸法Bの増加及びブリッジ幅の増加に伴って、平均トルクは単調に減少し、トルクリプルは単調に増加した。平均トルク及びトルクリプルの解析値を、従来の回転電機の解析値と比較すると、全ての寸法Bについて、平均トルクは高く、トルクリプルは低かった。
<寸法A、Bの範囲設定について>
表1,2に示すように、従来の回転電機のトルクリプルは3.95であった。そのため、従来の回転電機に比べて十分な優位性を確保するためには、トルクリプルを3.2以下に設定することが好ましい。トルクリプルを3.2以下とするためには、A≧1.3、B≦1.1とする必要がある。つまり、A≧1.3、B≦1.1と設定することにより、トルクリプルが3.15以下となり、従来の回転電機のトルクリプルに対して十分な優位性が確保できる。また、A≧1.3、B≦1.1と設定することによって、平均トルクは77.8となり、従来の回転電機の平均トルク71.8に対して十分な優位性を確保できる。つまり、A≧1.3、B≦1.1に設定することにより、従来の回転電機に比べて十分に優位なトルクリプルの抑制効果とトルク定数の向上効果を得ることが可能となる。
また、A≧1.43、B≦1.026に設定することにより、トルクリプルは2.46以下、平均トルクは81.7以上となり、従来の回転電機のトルクリプル3.95、平均トルク71.8に対して、より高い優位性を確保できる。
さらに、A≧1.46、B≦1.0に設定することにより、トルクリプルは2.23、平均トルクは83.1となり、従来の回転電機のトルクリプル3.95、平均トルク71.8に対して、より一層高い優位性を確保できる。
<C/Dの範囲設定について>
C/Dの下限値について、上述した通り、強度的に許容できるブリッジ幅Cの最小値は0.30mmであり、製造可能な電磁鋼板の厚さDの最小値は0.30mmである。そのため、解析1,2では、ブリッジ幅Cの最小値を0.30mmに設定し、電磁鋼板の厚さDの最小値を0.30mmに設定した。この場合、C/Dの下限値は1.0となるが、若干(15%)の余裕を確保して0.85に設定した。C/Dの上限値は、ブリッジ幅Cの値を、Aを限界値(A=1.3)に設定したときの値0.69(表1参照)と、Bを限界値(B=1.1)に設定したときの値0.47(表2参照)のうち、小さい方の値である0.47に設定した上で、このブリッジ幅Cの値(0.47)を製造可能な電磁鋼板の厚さDの最小値0.30で除した値(0.47/0.30≒1.6)に設定した。
なお、C/Dの下限値は、ブリッジ幅Cの最小値0.30mmと、電磁鋼板の厚さDの最小値0.30mmに基づいて、0.30/0.30=1.0に設定してもよい。この場合、上記関係式(4)、(7)、(10)を1.0≦C/D≦1.6と変更すればよい。
また、C/Dの下限値は、比較的容易に製造可能なブリッジ幅Cの最小値0.35mmと、電磁鋼板の厚さDの最小値0.30mmに基づいて、0.35/0.30=1.17に設定してもよい。この場合、上記関係式(4)、(7)、(10)を1.17≦C/D≦1.6と変更すればよい。
<本発明の効果>
上述した通り、本発明の回転電機において、A,Bの値を、A≧1.3、B≦1.1の限界値(A=1.3、B=1.1)に設定した場合、トルクリプルは3.15以下、平均
トルクは77.8以上になる。これらの値は、従来の円筒型回転子を備えた回転電機のトルクリプル3.95の約0.80倍、平均トルク71.8の約1.08倍である。従って、本発明の回転電機によれば、従来の回転電機に比べてトルクリプルを約0.80倍に減少させ、トルク定数(平均トルク/電流の実効値)を約1.08倍に増加させることができる。
また、A,Bの値を、A≧1.43、B≦1.026の限界値(A=1.43、B=1.026)に設定した場合、トルクリプルは2.46以下、平均トルクは81.7以上になる。これらの値は、従来の円筒型回転子を備えた回転電機のトルクリプル3.95の約0.62倍、平均トルク71.8の約1.14倍である。従って、本発明の回転電機において、上記関係式(5)〜(7)を採用した場合、従来の回転電機に比べてトルクリプルを約0.62倍に減少させ、トルク定数を約1.14倍に増加させることができる。
さらに、A,Bの値を、A≧1.46、B≦1.0の限界値(A=1.46、B=1.0)に設定した場合、トルクリプルは2.23以下、平均トルクは83.1になる。これらの数値は、従来の円筒型回転子を備えた回転電機のトルクリプル3.95の約0.56倍、平均トルク71.8の約1.16倍である。従って、本発明の回転電機において、上記関係式(8)〜(10)を採用した場合、従来の回転電機に比べてトルクリプルを約0.56倍に減少させ、トルク定数を約1.16倍に増加させることができる。
尚、上記解析1,2では、回転子の極数P=20、固定子の内径RS=106mm、電磁鋼板の厚さD=0.30mmに設定した回転電機を使用したが、本発明において、回転子の極数P、固定子の内径RS、電磁鋼板の厚さDの値は解析1,2の設定値には限定されず、上記関係式(1)〜(4)を満たす範囲で変更することができる。一例として、回転子の極数Pは8≦P≦20の範囲に設定することができる。また、固定子の内径RSは90≦RS≦300の範囲に設定することができる。また、電磁鋼板の厚さDの値は0.2≦D≦0.5の範囲に設定することができる。但し、これらの数値範囲に限定はされない。
上述したように、本発明の回転電機によれば、従来の回転電機に比べて、トルクリプルを抑制しつつトルク定数を高くすることができる。また、回転電機に供給する電流を制御することでトルクリプルを抑制する方法ではないため、インバータの改造やコイルの耐電圧性能を上げる対策を必要としない。また、強度的に許容できるブリッジ幅を考慮してブリッジ幅の下限値を定めているため、必要なブリッジ強度を維持することができる。また、トルクリプルが抑制されることにより、回転電機の振動や騒音を減少させることができる。また、モータの振動が減少することにより、回転電機の耐久性を向上させることができる。
以上本発明について説明したが、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1 回転電機
2 固定子
3 回転子
9 永久磁石
9A 第1永久磁石
9B 第2永久磁石
13 d軸
A 回転子のd軸を起点とした360°/P/4の位置の空隙寸法
B 空隙の最小寸法
C ブリッジ幅
O 回転子の回転中心
R 回転子の回転中心と回転子の外周面との距離
S 固定子の内径
θ d軸を起点とした中心角度

Claims (1)

  1. コイルを有する環状の固定子と、
    前記固定子の内周面との間に空隙をあけて配置された電磁鋼板と、前記電磁鋼板に設けられた複数の永久磁石とを有する回転子と、
    を備え、
    下式(1)〜(4)の関係を満たす回転電機。
    R=RS−A/[1+(A/B−1)×cos(Pθ)]・・・(1)
    A≧1.3・・・(2)
    B≦1.1・・・(3)
    0.85≦C/D≦1.6・・・(4)
    但し、R:回転子の回転中心と回転子の外周面との距離(mm)
    S:固定子の内径(mm)
    P:回転子の極数(−)
    A:回転子のd軸を起点とした360°/P/4の位置の空隙寸法(mm)
    B:空隙の最小寸法(mm)
    θ:d軸を起点とした中心角度(°)
    C:ブリッジ幅(mm)
    D:電磁鋼板の厚さ(mm)
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