以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、理解を容易にするために図示を省略または簡略化した部分がある。また、以下の各図における各部の形状や寸法比は、必ずしも正確なものではない。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る透水試験装置1の概略正面図である。透水試験装置1は、各種土壌等の試料5について変水位透水試験を行うものである。図1に示されるように、透水試験装置1は、試料5を収容する試料容器10と、試料容器10の上方に水面を形成する測定管20と、測定管20を試料容器10に接続する接続部材30と、測定管20内の水面を検出する第1水面センサ41、第2水面センサ42および第3水面センサ43と、第1〜第3水面センサ41〜43を支持するセンサ支持部材50と、所定の水位の水を貯留して基準水面WSを形成する越流水槽60と、試料容器10を測定位置MPと退避位置RPの間で移動させる移動機構70と、測定管20内へ供給する水を貯留する貯水槽80と、貯水槽80内の水を測定管20内へ供給するためのポンプ90および電磁弁92と、透水試験装置1の各部を制御する制御装置100と、透水試験装置1の各部を収容または支持する筐体110と、を備えている。
図2は、試料容器10の周辺を拡大して示した概略正面図であり、図3は、試料容器10の周辺を拡大して示した概略右側面図である。また、図4は、図3のC−C線断面図であり、図5(a)は、図2のA−A線断面図であり、図5(b)は、図2のB−B線断面図であり、図5(c)は、第1〜第3水面センサ41〜43の検出原理を示した概略図である。なお、図2は、試料容器10が測定位置MPにある場合を示しており、図3および4は、試料容器10が退避位置RPにある場合を示している。
試料容器10は、試料5を収容して所定の寸法の供試体を形成するものである。試料容器10は、比較的薄肉の円筒状の円筒部材11と、円筒部材11の軸方向両端(上端および下端)に設けられた上蓋12および下蓋13と、から構成されている。円筒部材11は、内径が50mm、軸方向長さが51mmに形成されている。上蓋12および下蓋13は、水が通過可能な小孔12a、13aが複数設けられた有孔板から構成され、上蓋12および下蓋13の内側には、小孔12a、13aからの試料5の流出を防止するためのフィルタ14および金網15が配置される。試料容器10は、JIS A1216の規定に沿った構成であることが好ましいが、試料5の性状等によってはその他の構成であってもよい。
測定管20は、樹脂やガラス等から構成された透明管であり、軸方向を略鉛直方向とした状態で試料容器10の上方に配置されている。測定管20の内径は、8mmに設定されている。測定管20の下側には、測定管20内へ水を導入するための導入口21が設けられ、上部には、測定管20内の余分な水を排出するための排出口22が設けられている。測定管20は、JIS A1216におけるスタンドパイプの規定に沿った寸法のものであることが好ましいが、その他の寸法を採用するようにしてもよい。
接続部材30は、略段付き円筒状の連通部31と、連通部31の下部に設けられる略円筒状の密閉部32と、から構成されている。連通部31は、樹脂や金属等の適宜の強度および剛性を有する材質から構成され、上部には、測定管20を挿入する挿入孔31aが設けられている。測定管20は、導入口21を含む下側の一部がこの挿入孔31a内に挿入されている。また、挿入孔31aの下側には、測定管20の内部と連続する連通路31bが設けられている。この連通路31bの下側部分は、下方に向けて漸次拡径しており、下端の開口部の内径は、試料容器10の円筒部材11の内径と略一致している。
連通部31にはまた、測定管20の導入口21と連通する給水通路31cが設けられている。この給水通路31cは、連通部31の背面側に設けられた配管継手33を介して給水配管81(図1参照)に接続されている。貯水槽80内の水は、給水配管81および給水通路31cを通じて測定管20内に供給される。
密閉部32は、ゴム等の適宜の弾性部材から構成され、内側面には周方向に連続する突出部32aが設けられている。この突出部32aの上方には、連通部31の下端部が嵌り込んでいる。また、突出部32aの下方には、試料容器10を測定位置MPに配置した場合に、試料容器10の上部が嵌り込むようになっている。試料容器10は、移動機構70によって上縁部が突出部32aに押圧されることで、接続部材30に略密閉状態で接続される。
第1〜第3水面センサ41〜43は、光学式のセンサから構成されている。第1〜第3水面センサ41〜43は、図5(c)に示されるように、光を発する投光部41a、42a、43aおよび光を受ける受光部41b、42b、43bを備え、測定管20の内側面20aにおける反射率の変化によって測定管20内の水面を検出する。具体的には、投光部41a、42a、43aの発した光は、測定管20の内側面20aで反射した後に受光部41b、42b、43bに向かうようになっており、測定管20内に水がある場合には、測定管20の材質と水の屈折率の差が小さいことから、反射率が小さくなり、測定管20内に水がない場合には、測定管20の材質と空気の屈折率の差が大きいことから、反射率が大きくなる。
従って、測定管20内に水がある場合には受光部41b、42b、43bの受光量が小さくなり、測定管20内に水がない場合には受光部41b、42b、43bの受光量が大きくなるため、受光量が小から大または大から小に変化したことに基づいて、測定管20内の水面が第1〜第3水面センサ41〜43の位置を通過したことを検出することができる。なお、以下の説明では、第1〜第3水面センサ41〜43が測定管20内の水を検出している場合(受光量が小さい場合)をON、第1〜第3水面センサ41〜43が水を検出していない場合(受光量が大きい場合)をOFFとする。
図2に示されるように、第1〜第3水面センサ41〜43は、排出口22のやや下方において、上から第1水面センサ41、第2水面センサ42、第3水面センサ43の順に配置されている。具体的には、第1水面センサ41は基準水面WSからの高さ(基準水面WSとの水位差)がh1の位置P1に配置され、第2水面センサ42は基準水面WSからの高さ(基準水面WSとの水位差)がh2(<h1)の位置P2に配置され、第3水面センサ43は基準水面WSからの高さ(基準水面WSとの水位差)がh3(<h2)の位置P3に配置されている。また、第1水面センサ41および第3水面センサ43は、測定管20に対して水平方向の一側(正面視で右側)に配置され、第2水面センサ42は、測定管20に対して水平方向の他側(正面視で左側)に配置されている。
本実施形態では、3つの水面センサをそれぞれ異なる高さに配置することで、変水位透水試験を効率的且つ高精度に測定することを可能としている。具体的には、試料5の透水性が比較的低く、測定管20内の水面の降下速度(水位の低下速度)が低い場合には、間隔の短い位置P1から位置P2への水面の移動(水位の変化)に基づいて透水係数を算出することで、測定時間の短縮が可能となる。
また、試料5の透水性が比較的高く、測定管20内の水面の降下速度が高い場合には、間隔の長い位置P1から位置P3への水面の移動に基づいて透水係数を算出することで、測定精度を高めることが可能となる。さらに、試料5の透水性によっては、位置P2から位置P3への水面の移動に基づく透水係数をそれぞれ算出することも可能である。
本実施形態ではまた、位置P1から位置P2までの距離をL1、位置P2から位置P3までの距離をL2、位置P1から位置P3までの距離をL3とした場合に、距離L1を距離L3の1/7に設定している。具体的には、測定管20の8mmの内径に対し、距離L1は5mm、距離L2は30mm、距離L3は35mmに設定されている。距離L1を距離L3の1/7に設定することで、粘土質の土壌に対しても効率的且つ高精度な測定を行うことが可能となる。
上述のように本実施形態では、第1〜第3水面センサ41〜43を、測定管20の内側面の反射を利用する光学センサから構成しているため、第1〜第3水面センサ41〜43を千鳥状に配置することが可能であり、距離L1を短く設定しながらも、第1水面センサ41と第2水面センサ42が干渉しないようになっている。
センサ支持部材50は、上述のように第1〜第3水面センサ41〜43を支持する部材であり、測定管20の外周側に配置されている。測定管20は、比較的細い長尺の部材であるため、センサ支持部材50を設けることで、第1〜第3水面センサ41〜43を確実に支持すると共に、所定の位置P1〜P3に正確に配置することが可能となる。
センサ支持部材50は、適宜の強度および剛性と共に遮光性を有する材質から構成され、断面形状が略コの字状となっている。具体的にセンサ支持部材50は、四角柱状の部材の正面側に上下方向に連続する溝51が設けられた部材であり、測定管20は、溝51内に配置されている。従って、測定管20は、外周の正面側以外(右側面側、左側面側および背面側)をセンサ支持部材50によって覆われた状態となっている。
溝51は、より詳細には、幅が測定管20の外径よりもやや小さく設定されている。また、溝51の内側面51aには、測定管20の外周形状に合わせた窪み51bが上下方向に連続するように形成されており、測定管20はこの窪み51bに嵌り込むようにして配置されている。すなわち、測定管20は、窪み51bによって位置決めされるようになっている。
センサ支持部材50にはまた、右側面50aまたは左側面50bから溝51の内側面51aにかけて3つの貫通孔52が形成されており、各貫通孔52は、外側(測定管20の反対側)の開口が閉塞部材53によって閉塞されている。すなわち、センサ支持部材50には、測定管20側が開口した3つの凹部52aが設けられており、第1〜第3水面センサ41〜43はこれらの凹部52a内に配置されている。閉塞部材53は、ボルト53aによってセンサ支持部材50の右側面50aおよび左側面50bに固定されており、第1〜第3水面センサ41〜43はこの閉塞部材53に支持されている。
このように、センサ支持部材50によって測定管20の正面側以外を覆うと共に、第1〜第3水面センサ41〜43を凹部52a内に配置することで、測定管20内の水面を目視にて確認可能としながらも、第1〜第3水面センサ41〜43に対する外光の影響を低減し、測定精度を高めることが可能となる。
本実施形態ではさらに、溝51の幅を測定管20の外径よりも小さくすることで、外光の影響がより一層低減されるようにしている。また、凹部52aを貫通孔52およびこれを塞ぐ閉塞部材53から構成し、閉塞部材53に第1〜第3水面センサ41〜43を固定することで、第1〜第3水面センサ41〜43の着脱およびメンテナンスを容易化している。
センサ支持部材50は、接続部材30の上方に配置され、連結部材54を介して接続部材30と連結されている。そして、センサ支持部材50は、背面50cに固定されたブラケット55を介して筐体110に固定されている。従って、センサ支持部材50は筐体110に片持ち支持されており、接続部材30はセンサ支持部材50から吊り下げられた状態となっている。また、センサ支持部材50の背面50c側には、測定管20の排出口22に繋がる排出管56が設けられている。この排出管56は、配管継手57を介して移送配管82に接続されており、この移送配管82は貯水槽80の余剰水を排出する排水配管83に接続されている(図1参照)。
越流水槽60は、上部が開放した比較的薄肉の有底円筒状の部材であり、移動機構70のロッド71の先端部に固定されている。従って、越流水槽60は、移動機構70によって試料容器10と共に上下に往復動するようになっている。越流水槽60の内部には、試料容器10を支持する支持架台61が設けられている。
越流水槽60の正面視左側には、所定の水位を保ち、基準水面WSを規定するための越流管62が設けられている。すなわち、試料容器10を透過して越流水槽60内に流入した水は、基準水面WSを超えた場合に越流管62から排出され、これにより基準水面WSの位置が略一定に保たれるようになっている。
越流水槽60の正面視左側には、越流管62から排出された水を受ける略管状の受水部材63が配置されている。この受水部材63の正面視右側には切り欠き63aが形成されており、越流管62の先端部を受水部材63の内部に配置した状態のまま、越流水槽60を上下に移動可能となっている。受水部材63内に流入した水は、排出配管64(図1参照)を介して透水試験装置1の外部の排水溝等に排出される。
図1に戻って、移動機構70は、電動アクチュエータから構成され、モータおよびボールネジ伝動機構によりロッド71を上下動させることで、ロッド71の先端部に固定された越流水槽60に支持された試料容器10を上方の測定位置MPおよび下方の退避位置RPの間で移動させる。移動機構70はまた、測定位置MPにおいて試料容器10を接続部材30の密閉部32に押し付けた状態を保持し、試料容器10と接続部材30の密閉状態での接続を確保する。
本実施形態ではこのように、試料容器10の移動方向と接続部材30への接続方向を統一することで、移動機構70および接続部材30の構成を簡素化することを可能としている。また、接続部材30およびセンサ支持部材50側ではなく、試料容器10側を移動させることで、配管や配線の取り回しを簡素化している。なお、移動機構70は、例えばエアシリンダ等、その他の既知の機構を採用することができる。
貯水槽80は、既知の構成の水槽であり、測定に必要な量の水を貯留可能な大きさに構成されている。貯水槽80には、接続部材30の給水通路31cに繋がる給水配管81と、透水試験装置1の外部の排水溝等に繋がる排水配管83および脱水配管84と、が接続されている。なお、排水配管83は、上述のように貯水槽80内の余剰水を排出することで、貯水槽80内の水量の上限を規定するためのものであり、脱水配管84は、貯水槽80内の水を全て排出する際に使用されるものである。排水配管83および脱水配管84には、図示を省略した開閉弁が設けられている。
貯水槽80にはまた、貯水槽80内に水を供給する水供給装置85が設けられている。この水供給装置85は、既知の構成により、貯水槽80内の水が所定量まで減少した場合にこれを検出し、自動的に外部の水道等から貯水槽80内に水を供給する。また、貯水槽80内の水が所定量に到達した時点で、自動的に水の供給を停止する。水供給装置85が故障し、水の供給が継続された場合には、排水配管83から水が排出され、貯水槽80からの溢流が防止される。
貯水槽80にはまた、水温を測定する温度センサ86が設けられている。温度センサ86は、既知の構成により貯水槽80内の水温を測定する。測定した水温は、透水係数を算出する際の温度補正に使用される。
ポンプ90は、電動ポンプから構成され、給水配管81の途中に設けられている。ポンプ90は、制御装置100に制御されて、貯水槽80から測定管20内に水を供給する。電磁弁92は、既知の構成の電磁弁であり、給水配管81の貯水槽80とポンプ90の管に設けられている。電磁弁92は、制御装置100に制御されて貯水槽80とポンプ90を接続または遮断する。
制御装置100は、CPU、ROMおよびRAM、ならびにフラッシュメモリ等の記憶手段を備えて構成され、透水試験装置1の各部を制御して変水位透水試験を自動的に実行するものである。制御装置100はまた、測定結果等の各種情報を表示する表示手段および、透水試験装置1の操作および各種情報の入力を行うための入力手段として、タッチパネルディスプレイ102を備えている。
制御装置100は、CPUがプログラムを実行することにより実現される機能的構成として、試験実行手段104および試験方法決定手段106を備えている。試験実行手段104は、予め設定された手順に従って透水試験装置1の各部を制御し、変水位透水試験を実行するものである。また、試験方法決定手段106は、測定管20内の水の降下速度に応じて試験方法を決定するものである。試験実行手段104および試験方法決定手段106の機能の詳細は、後述する。
なお、本実施形態では、制御装置100を透水試験装置1と一体的に構成しているが、透水試験装置1とは別体的に制御装置100を設けるようにしてもよい。また、既存のPC等を制御装置100として活用するようにしてもよい。
筐体110は、上側部分111よりも下側部分112が前方(手前側に)張り出した略階段状の箱体から構成されている。試料容器10、測定管20、接続部材30、センサ支持部材50および越流水槽60は、上側部分111の前方且つ下側部分112の上方において筐体110の外部に配置されている。また、貯水槽80、ポンプ90および電磁弁92は、筐体110内部に収容され、受水部材63、移動機構70および制御装置100は、筐体110外に一部が露出した状態で配置されている。また、上側部分111の上部には、前方に向けて延出する屋根部材113が設けられており、筐体110の外部に配置された測定管20等を上方から覆っている。
次に、透水試験装置1による変水位透水試験の手順について説明すると共に、試験実行手段104および試験方法決定手段106の機能の詳細について説明する。図6は、変水位透水試験における制御装置100の制御手順を示したフローチャートであり、図7は、測定処理(図6のステップS16)における具体的な制御手順を示したフローチャートである。また、図8(a)〜(d)、図9(a)〜(d)および図10(a)〜(d)は、タッチパネルディスプレイ102における表示を示した概略図である。
変水位透水試験の実行に際しては、まず事前の準備として、試料5を収容した試料容器10を用意すると共に、貯水槽80内に所定量の水を貯留する。試料容器10内の試料5は、必要に応じて飽和含水状態としておく。準備が完了したならば、透水試験装置1の電源を投入する。これにより、制御装置100の試験実行手段104が制御を開始する。
電源投入後、試験実行手段104は、まず初期設定を行う(ステップS11)。ここでは、まずポンプ90、電磁弁92、移動機構70および第1〜第3水面センサ41〜43の状態をチェックする。試験実行手段104は、ポンプ90が稼働している場合には停止させ、電磁弁92が開放している場合には遮断する。また、第1〜第3水面センサ41〜43の少なくともいずれか1つがONである場合、すなわち存在しない水を検出している場合は(ステップS12)、図8(a)に示されるように、電源の切断および測定管20の清掃を促す測定前エラー表示画面をタッチパネルディスプレイ102に表示させる(ステップS13)。
初期設定が完了したならば、試験実行手段104は、図8(b)に示すメニュー画面をタッチパネルディスプレイ102に表示させる(ステップS14)。メニュー画面には、「測定」ボタン102a、「保存データ」ボタン102bおよび「設定」ボタン102cが表示される。
測定を行う場合には、測定者は「測定」ボタン102aを操作する。「測定」ボタン102aが操作されたならば(ステップS15)、試験実行手段104は、測定処理を実行する(ステップS16)。測定処理における具体的な制御手順については後述する。
制御装置100の記憶手段に記憶された過去の測定結果を閲覧する場合には、測定者は「保存データ」ボタン102bを操作する。「保存データ」ボタン102bが操作されたならば(ステップS17)、試験実行手段104は、図8(c)に示す保存データ表示画面をタッチパネルディスプレイ102に表示させる(ステップS18)。保存データ表示画面には、測定日時および試験モードと共に、測定結果である経過時間および透水係数が繰り返し回数ごとに表示される。
なお、本実施形態では、試験モードとして、Aモード、Bモードおよび自動モードの3つのモードを設定している。このうち、Aモードは、位置P1から位置P2までの水面の移動に基づいて透水係数を算出するモードであり、Bモードは、位置P1から位置P3までの水面の移動に基づいて透水係数を算出するモードである。また、自動モードは、位置P1から位置P2までの水面の移動に要した時間に応じて、試験方法決定手段106が、試験方法をAモードとするかBモードとするかを決定するモードである。保存データ表示画面では、理解を容易にするために、Aモードは「センサー位置 S1−S2」と表示され、Bモードは「センサー位置 S1−S3」と表示され、自動モードは「センサー位置 自動」と表示される。
保存データ表示画面にはまた、2つの表示切り替えボタン102d、および「終了」ボタン102eが表示される。本実施形態では、制御装置100の記憶手段は10件の測定結果を記憶することが可能となっており、試験実行手段104は、2つの表示切り替えボタン102dの操作に基づいて測定結果の表示を記憶された順番で切り替える。また、試験実行手段104は、「終了」ボタン102eが操作されたならば、タッチパネルディスプレイ102の表示をメニュー画面に戻す。
自動モードにおける経過時間の閾値、すなわち試験方法をAモードとするかBモードとするかの閾値の設定を変更する場合には「設定」ボタン102cを操作する。「設定」ボタン102cが操作されたならば(ステップS19)、試験実行手段104は、図8(d)に示す閾値設定画面をタッチパネルディスプレイ102に表示させる(ステップS20)。
閾値設定画面には、閾値を表示する閾値表示領域102fと共に、閾値の入力用としてテンキー状に配置された複数の入力ボタン102gと、「変更終了」ボタン102hおよび「戻る」ボタン102iが表示される。試験実行手段104は、閾値設定画面を表示する際には閾値表示領域102fに前回記憶された閾値を表示させる。その後、入力ボタン102gが操作されたならば、試験実行手段104は入力ボタン102gの操作に基づく値を閾値表示領域102fに表示する。
そして、試験実行手段104は、「変更終了」ボタン102hが操作されたならば、新たに入力された閾値をそれまで記憶していた閾値に代えて記憶し、タッチパネルディスプレイ102の表示をメニュー画面に戻す。すなわち、最後に「変更終了」ボタン102hが操作されることで、閾値の設定が変更される。また、「戻る」ボタン102iが操作されたならば、試験実行手段104は、新たに入力され閾値を記憶せずに、タッチパネルディスプレイ102の表示をメニュー画面に戻す。すなわち、最後に「戻る」ボタン102iが操作された場合には、閾値の設定が変更されない。
次に、測定処理における具体的な制御手順について説明する。測定処理では、まず試験設定を行う(ステップS31)。メニュー画面において「測定」ボタン102aが操作されたならば、試験実行手段104は、図9(a)に示すプログラムNo.選択画面をタッチパネルディスプレイ102に表示させる。プログラムNo.選択画面には、5つのプログラムNo.選択ボタン102jが、「戻る」ボタン102iおよび「設定一覧」ボタン102kと共に表示される。
本実施形態では、試験モード、測定の繰り返し回数、および透水係数の算出における温度補正の有無についての5種類の試験設定を、5つの試験プログラムとして制御装置100の記憶手段に予め記憶しておくことを可能としており、5つのプログラムNo.選択ボタン102jのいずれかを操作することで、5つの試験プログラムのうちの1つを選択可能としている。また、「設定一覧」ボタン102kを操作することで、記憶された各試験プログラムの設定内容を一覧表示するようにしている。
「設定一覧」ボタン102kが操作されたならば、試験実行手段104は、図9(b)に示されるように、各試験プログラムの設定内容を一覧表示する設定一覧画面をタッチパネルディスプレイ102に表示させる。なお、設定一覧画面における「センサー位置」は、保存データ表示画面と同様に試験モードを示しており、「S1−S2」はAモードを、「S1−S3」はBモードを、「自動」は自動モードを示している。設定一覧画面には「戻る」ボタン102iが表示され、試験実行手段104は、「戻る」ボタン102iが操作されたならば、タッチパネルディスプレイ102の表示をプログラムNo.選択画面に戻す。
プログラムNo.選択画面において、プログラムNo.選択ボタン102jのいずれかが操作されたならば、試験実行手段104は、図9(c)に示す設定確認画面をタッチパネルディスプレイ102に表示させる。また、プログラムNo.選択画面において「戻る」ボタン102iが操作されたならば、試験実行手段104は、測定処理を終了してタッチパネルディスプレイ102の表示をメニュー画面に戻す(ステップS32)。
設定確認画面には、3つの試験モード設定ボタン102l、5つの繰り返し回数設定ボタン102mおよび2つの温度補正設定ボタン102nが、「戻る」ボタン102iおよび「次へ」ボタン102oと共に表示される。そして、操作されたプログラムNo.選択ボタン102jに対応する試験プログラムの設定内容が、各ボタン102l、102m、102nの表示色の変更によって表示される。なお、図9(c)では、図9(b)におけるプログラムNo.1の試験プログラムが選択された場合を示している。
測定者は、予め記憶された設定内容で測定を行う場合には、「次へ」ボタン102oを操作する。また、他のプログラムNo.の試験プログラムに変更する場合は、測定者は「戻る」ボタン102iを操作する。設定確認画面において、「次へ」ボタン102oが操作されたならば、試験実行手段104は、後述するステップS33の処理を実行する。「戻る」ボタン102iが操作されたならば、試験実行手段104は、タッチパネルディスプレイ102の表示をプログラムNo.選択画面に戻す。
また、測定者は、選択したプログラムNo.の試験プログラムの設定内容を変更する場合には、設定確認画面において試験モード設定ボタン102l、繰り返し回数設定ボタン102mおよび温度補正設定ボタン102nを操作する。そして、試験実行手段104は、「次へ」ボタン102oまたは「戻る」ボタン102iが操作された場合に、設定内容を制御装置100の記憶手段に記憶する。すなわち、測定者は、今回選択した試験プログラムの設定内容のみを変更するだけでなく、プログラムNo.選択画面と設定確認画面を行き来することで、各試験プログラムの設定内容を次々に変更、記憶させることも可能となっている。なお、本実施形態では繰り返し回数を1〜5回の中から選択する場合の例を示しているが、これより多い繰り返し回数を設定可能としてもよいことはいうまでもない。
設定確認画面において「次へ」ボタン102oが操作されたならば、試験実行手段104は、図9(d)に示す試料セットメッセージ表示画面をタッチパネルディスプレイに表示させると共に、移動機構70を試料容器10を退避位置RPに配置する状態とする(ステップS33)。すなわち、移動機構70が試料容器10を退避位置RPに配置する状態でない場合には、移動機構70を制御して試料容器10を退避位置RPに配置する状態とする。
試料セットメッセージ表示画面には、試料容器10を越流水槽60の支持架台61に載置するのを促すメッセージ表示が、「次へ」ボタン102oおよび「戻る」ボタン102iと共に表示される。測定者が試料容器10を支持架台61に載置し、「次へ」ボタン102oが操作されたならば、試験実行手段104は、移動機構70を制御して試料容器10を退避位置RPから測定位置MPに移動させる(ステップS33)。これにより、試料容器10と接続部材30が接続される。また、「戻る」ボタン102iが操作されたならば、試験実行手段104は、タッチパネルディスプレイ102の表示を設定確認画面に戻す。なお、試料容器10を支持架台61に載置する際には、必要に応じて越流水槽60内に水を投入し、予め基準水面WSを形成しておく。
試験実行手段104はまた、試料セットメッセージ表示画面において「次へ」ボタン102oが操作されたならば、図10(a)に示す設定再確認画面を表示する(ステップS34)。設定再確認画面には、設定確認画面と同様の表示態様で設定内容が表示される。また、設定再確認画面には、「測定開始」ボタン102pおよび「戻る」ボタン102iが表示される。測定者は、測定を開始する場合には「測定開始」ボタン102pを操作し、試験設定をやり直す場合には「戻る」ボタン102iを操作する。
設定再確認画面において「測定開始」ボタン102pが操作されたならば、試験実行手段104は、図10(b)に示す測定中画面をタッチパネルディスプレイ102に表示すると共に(ステップS35)、ポンプ90および電磁弁92を制御して測定管20内への水の供給を開始する(ステップS36)。また、「戻る」ボタン102iが操作されたならば、試験実行手段104は、測定を開始せずに、タッチパネルディスプレイ102の表示を試料セットメッセージ表示画面に戻す。
測定中画面には、経過時間を表示する経過時間表示領域102q、および算出した透水係数を表示する透水係数表示領域102rが、繰り返し回数ごとに表示される。測定中画面にはまた、ポンプ90および第1〜第3水面センサ41〜43の動作状況をランプ状の表示態様で表示する動作状況表示領域102sが表示される。なお、動作状況表示領域102sにおいて「P」はポンプ90を示し、「S1」は第1水面センサ41を、「S2」は第2水面センサ42を、「S3」は第3水面センサ43を示している。試験実行手段104は、ポンプ90の稼働中は「P」に対応するランプを点灯するように表示させ、第1水面センサ41がONの場合には「S1」に対応するランプを点灯するように表示させ、第2水面センサ42がONの場合には「S2」に対応するランプを点灯するように表示させ、第3水面センサ43がONの場合には「S3」に対応するランプを点灯するように表示させる。測定中画面にはさらに、測定者が測定を終了する場合に操作する「測定終了」ボタン102tが表示される。
試験実行手段104は、測定管20内への送水を開始したならば、第1水面センサ41がONとなるのを待ち受ける(ステップS37)。測定管20内に供給された水は、一部が試料容器10内を透過して越流水槽60内に流出しながら、測定管20内に貯留されていく。そして、測定管20内の水面(水位)の上昇に伴って第3水面センサ43→第2水面センサ44の順にONとなり、最後に水面が位置P1を超えたならば、第1水面センサ41がONとなる。
試験実行手段104はまた、第1〜第3水面センサ41〜43にエラーが生じていないかを監視する(ステップS38、S39)。具体的には、第3水面センサ43よりも先に第2水面センサ42または第1水面センサ41がONとなった場合、第2水面センサ42よりも先に第1水面センサ41がONとなった場合、および所定の判定時間内に第1水面センサ41がONとならなかった場合に、試験実行手段104は第1〜第3水面センサ41〜43のいずれかにエラーが生じたと判定する(ステップS38、S39)。
そして、試験実行手段104は、第1〜第3水面センサ41〜43のいずれかにエラーが生じたと判定した場合には、ポンプ90および電磁弁92を制御して送水を中止すると共に、移動機構70を制御して試料容器10を測定位置MPから退避位置RPに移動させて測定を中止する(ステップS40)。また、図10(c)に示す測定中エラー表示画面をタッチパネルディスプレイ102に表示させる(ステップS40)。
測定中エラー表示画面には、測定管20の清掃を促すメッセージ表示が、「完了」ボタン102uと共に表示される。測定中エラー表示画面において「完了」ボタン102uが操作されたならば、試験実行手段104は、測定処理を終了してタッチパネルディスプレイ102の表示をメニュー画面に戻す。
エラーが生じることなく第1水面センサ41がONとなったならば、試験実行手段104は、所定の待機時間の経過後にポンプ90および電磁弁92を制御して測定管20内への水の供給を停止する(ステップS41)。このとき、余分な水は排出口22から排出されるため、水面の位置は、最大でも排出口22の位置までとなる。
水の供給を停止したならば、試験実行手段104は、第1水面センサ41がOFFとなるのを待ち受ける(ステップS42)。測定管20内の水位は、試料容器10内の試料5への浸透に伴って徐々に降下し、水面が位置P1を通過した時点(基準水面WSとの水位差がh1となった時点)で第1水面センサ41がOFFとなる。第1水面センサ41がOFFとなったならば、試験実行手段104は、制御装置100に内蔵されたタイマによる経過時間の測定を開始すると共に(ステップS43)、第2水面センサ42がOFFとなるのを待ち受ける(ステップS44)。また、試験実行手段104は、測定中画面の経過時間表示領域102qに経過時間をカウントアップ表示させる(ステップS43)。
第2水面センサ42は、測定管20内の水面が位置P2を通過した時点(基準水面WSとの水位差がh2となった時点)でOFFとなる。第2水面センサ42がOFFとなったならば、試験実行手段104は、経過時間T1、すなわち測定管20内の水面が位置P1から位置P2まで移動(基準水面WSとの水位差がh1からh2に変化)するのに要した時間をタイマから取得する(ステップS45)。また、試験実行手段104は、設定された試験モードがAモードである場合には、測定中画面の経過時間表示領域102qにおけるカウントアップ表示を停止し、取得した経過時間T1を経過時間表示領域102qに表示させる(ステップS47)。設定された試験モードがBモードまたは自動モードである場合には、カウントアップ表示を継続させる。
経過時間T1を取得したならば、試験実行手段104は、水位差h1から水位差h2までの経過時間T1に基づく透水係数k1を算出する(ステップS46)。このとき、温度補正が「有り」に設定されている場合は、温度センサ86から取得した水温に基づいて温度補正を行い、水温15℃における透水係数k1を算出する。なお、透水係数k1の算出は、JIS A1218に規定された式に基づいて行うことが好ましいが、試料5の性状等によっては独自に設定した式に基づいて行うようにしてもよい。
透水係数k1を算出したならば、試験実行手段104は、算出した透水係数k1を経過時間T1、水温、繰り返し回数および測定日時等の付帯情報と共に記憶手段に記憶する(ステップS47)。また、試験実行手段104は、設定された試験モードがAモードである場合には、算出した透水係数k1を測定中画面の透水係数表示領域102rに表示させる(ステップS47)。
次に、試験実行手段104は、設定された試験モードがAモードである場合には(ステップS48)、設定された繰り返し回数の測定を完了したか否かを判定する(ステップS55)。設定された繰り返し回数の測定を完了していない場合は、上述のステップS36〜S48の処理を再度実行する。
設定された試験モードがBモードである場合には(ステップS49)、試験実行手段104は、さらに第3水面センサ43がOFFとなるのを待ち受ける(ステップS50)。第3水面センサ43は、測定管20内の水面が位置P3を通過した時点(基準水面WSとの水位差がh3となった時点)でOFFとなる。第3水面センサ43がOFFとなったならば、試験実行手段104は、経過時間T2、すなわち測定管20内の水面が位置P2から位置P3まで移動(基準水面WSとの水位差がh2からh3に変化)するのに要した時間をタイマから取得する(ステップS51)。また、試験実行手段104は、測定中画面の経過時間表示領域102qにおけるカウントアップ表示を停止し、取得した経過時間T2に経過時間T1を加算した経過時間T3を経過時間表示領域102qに表示させる。
経過時間T2を取得したならば、試験実行手段104は、水位差h2からh3までの経過時間T2に基づく透水係数k2、水位差h1から水位差h3までの経過時間T3=T1+T2に基づく透水係数k3を算出する(ステップS52)。このとき、温度補正が「有」に設定されている場合は、温度センサ86から取得した水温に基づいて温度補正を行い、水温15℃における透水係数k2、k3を算出する。なお、ステップS52では、透水係数k2および透水係数k3のいずれか一方のみを算出するようにしてもよい。
透水係数k2、k3を算出したならば、試験実行手段104は、算出した透水係数k2、k3を付帯情報と共に記憶手段に記憶する(ステップS53)。また、試験実行手段104は、算出した透水係数k3を測定中画面の透水係数表示領域102rに表示させる(ステップS53)。なお、ステップS53では透水係数k1〜k3の全てを透水係数表示領域102rに表示させるようにしてもよい。
測定結果の記憶および表示が完了したならば、設定された繰り返し回数の測定を完了したか否かを判定する(ステップS55)。設定された繰り返し回数の測定を完了していない場合は、上述のステップS36〜S53の処理を再度実行する。
設定された試験モードが自動モードである場合には、取得した経過時間T1が設定された閾値未満であるか否かを試験方法決定手段106が判定する(ステップS54)。そして、試験方法決定手段106は、経過時間T1が設定された閾値未満である場合には試験モードをBモードに決定し(ステップS50に進み)、経過時間T1が所定の閾値以上である場合には試験モードをAモードに決定する(ステップS55に進む)。
なお、試験方法決定手段106によるステップS54の処理は、測定を繰り返すごとに行うようにしてもよいし、初回のみ行うようにしてもよい。ステップS54の処理を初回のみ行う場合は、自動モードにおけるステップS48およびS49の処理を試験方法決定手段106の決定に基づいて判定するようにすればよい。
設定された繰り返し回数の測定を完了したならば、試験実行手段104は、測定中画面の表示を継続する。これにより、測定者は全測定結果を確認することが可能となる。測定中画面において「測定終了」ボタン102tが操作されたならば、試験実行手段104は、移動機構70を制御して試料容器10を退避位置RPに移動させる(ステップS56)。そして、図10(d)に示す試料取り外しメッセージ表示画面をタッチパネルディスプレイ102に表示させる(ステップS56)。
試料取り外しメッセージ表示画面には、試料容器10を越流水槽60の支持架台61から取り外すのを促すメッセージ表示が、「完了」ボタン102uと共に表示される。測定者が試料容器10を支持架台61から取り外し、「完了」ボタン102uが操作されたならば、試験実行手段104は、プログラムNo.選択画面をタッチパネルディスプレイ102に表示させる(ステップS31)。これにより、1つの試料容器10についての変水位透水試験が完了する。
引き続き、別の試料容器10について測定を行う場合には、測定者はプログラムNo.選択画面からの手順を繰り返す。測定を終了する場合は、測定者は透水試験装置1の電源を切断する。制御装置100の記憶手段に記憶された測定結果を閲覧する場合には、測定者はプログラムNo.選択画面の「戻る」ボタン102iを操作してタッチパネルディスプレイ102の表示をメニュー画面に戻し、保存データボタン102bを操作する。
このように、透水試験装置1では、試験実行手段104が自動的に測定を実行し、測定結果を記憶、表示するため、きわめて簡便に変水位透水試験を行うことが可能となっている。また、自動モードにおいては、試験方法決定手段106が試験モードを自動的に決定するため、透水性の予測が難しい試料5について変水位透水試験を行う場合にも、試験時間が不用意に長引くのを防止することが可能となっている。
次に、本発明の第2の実施形態に係る透水試験装置2について説明する。図11(a)は、透水試験装置2の概略正面図であり、図11(b)は、透水試験装置2の概略右側面図である。透水試験装置2は、透水試験装置1をより簡素化したものであり、試料容器10と、測定管20と、接続部材30と、越流水槽60と、変水位測定ユニット200と、を備えている。
試料容器10は、第1の実施形態のものと同一であるため説明を省略する。測定管20は、第1の実施形態と同様の透明管であるが、導入口21および排出口22が設けられていない点が異なっている。本実施形態では、測定管20内への水の供給は、上部(接続部材30の反対側)の開口から行うようになっている。
接続部材30は、挿入孔31aおよび連通路31bを備える略円筒状の連通部31と、第1の実施形態と同一の密閉部32と、から構成されている。本実施形態では、試料容器10の上部に接続部材30を載置することで試料容器10と接続部材30を接続し、接続部材30、測定管20および変水位測定ユニット200の自重によって密閉状態が維持されるようになっている。
越流水槽60は、第1の実施形態と同一の構成であり、床面または机上等の適宜の場所に載置される。越流管62から排出される水は、図示を省略したビニールチューブ等を介して排水溝や適宜の容器等に排出される。
変水位測定ユニット200は、測定管20内における基準水面WSとの水位差がh1からh2に変化するのに要する時間を測定し、これに基づいて透水係数k1を算出するものである。変水位測定ユニット200は、各部を収容する略四角柱状の筐体210を備えており、一体的なユニットとして構成されている。
筐体210は、背面側が開口した箱状の本体部211と、本体部211の開口を塞ぐ蓋部212から構成されている。筐体210の上面210aおよび底面210bには、それぞれ挿通孔213が設けられており、変水位測定ユニット200は、この挿通孔213を通じて測定管20を内部に挿通した状態で、接続部材30の上に載置されるように構成されている。なお、測定管20の長さによっては、上部の挿通孔213を省略するようにしてもよい。
筐体210の正面210cには、電源を投入するための電源ボタン214と、測定を開始するための測定開始ボタン215が設けられている。また、正面210cの上方には、垂直面に対してやや傾斜した傾斜面210dが設けられており、この傾斜面210dには、測定結果等の各種情報を表示する液晶ディスプレイ216が設けられている。
図12(a)および(b)は、変水位測定ユニット200の断面図である。具体的には、図12(a)は図11(b)のE−E線断面図であり、図12(b)は図11(a)のD−D線断面図である。これらの図に示されるように、変水位測定ユニット200は、上述の構成に加え、第1水面センサ41および第2水面センサ42と、センサ支持部材50と、制御装置100と、を備えている。
本実施形態では、第3水面センサ43を省略することで、装置を簡素化している。第1および第2水面センサ41、42は、投光部41a、42aと受光部41b、42bが分離した構成となっており、投光部41a、42aの発した光は測定管20内を透過した後に受光部41b、42bに到達するように構成されている。また、第1水面センサ41は基準水面WSからの高さ(基準水面WSとの水位差)がh1の位置P1に配置され、第2水面センサ42は基準水面WSからの高さ(基準水面WSとの水位差)がh2(<h1)の位置P2に配置されている。
センサ支持部材50は、適宜の強度および剛性と共に遮光性を有する材質から構成された略角筒状の部材であり、正面視の形状が略I字状となっている。具体的には、センサ支持部材50の上部および下部には、正面視左右方向の寸法を拡大した幅広部58が設けられ、上下の幅広部58の間は、幅広部58よりも正面視左右方向の寸法が小さい幅狭部59となっている。センサ支持部材50は、筐体210の内部において自身の軸心が挿通孔213の軸心と略一致するように配置されている。
従って、測定管20を下部の挿通孔213から筐体210内に挿入していき、変水位測定ユニット200を接続部材30上に載置することで、測定管20はセンサ支持部材50内に挿通された状態となる。すなわち、本実施形態のセンサ支持部材50は、測定管20の外周を周方向の全範囲にわたって覆うように構成されており、第1および第2水面センサ41、42に対する外光の影響をより低減するものとなっている。
センサ支持部材50の幅広部58には、第1および第2水面センサ41、42の投光部41a、42aおよび受光部41b、42bを収容する貫通孔52が設けられている。具体的に貫通孔52は、センサ支持部材50の右側面50aまたは左側面50bから内側面50dにかけて形成されている。第1および第2水面センサ41、42の投光部41a、42aおよび受光部41b、42bは、それぞれ回路基板220に実装されており、回路基板220をネジ等で幅広部58に固定することで貫通孔52内に配置される。
回路基板220は、貫通孔52を外側から閉塞するように配置され、閉塞部材53としても機能するようになっている。すなわち、本実施形態では、第1および第2水面センサ41、42を収容する凹部52aは、貫通孔52および回路基板220から構成されている。また、回路基板220は、幅狭部59側に延出する大きさに構成されており、この延出部分には、制御装置100に繋がる配線のコネクタ221等の回路部品が実装されている。
図12(c)は、第1および第2水面センサ41、42の周辺を拡大して示した断面図である。同図に示されるように、第1および第2水面センサ41、42の投光部41a、42aおよび受光部41b、42bは、測定管20に向けられた先端が凹部52a内に位置するように配置されている。換言すれば、投光部41a、42aおよび受光部41b、42bの先端は、センサ支持部材50の内側面50dの外側に位置している。
本実施形態では、第1および第2水面センサ41、42をこのように配置することで、測定管20内の水面における反射光の影響を低減するようにしている。すなわち、投光部41a、42aの発する光の指向性を高めると共に、水面における反射光が受光部41b、42bに進入するのを低減し、安定的且つ正確な水面の検出を可能としている。
図12(a)および(b)に戻って、筐体210の本体部211の内側には、センサ支持部材50の上下左右および前後方向の位置決めをする位置決め部材211aが設けられている。また、蓋部212の内側には、センサ支持部材50を位置決め部材211aに向けて押圧する押圧部材212aが突設されている。これにより、センサ支持部材50は、本体部211に蓋部212を固定した際に、位置決め部材211aと押圧部材212aの間に挟持されることによって筐体210内に固定配置されるようになっている。本実施形態では、センサ支持部材50をこのように支持することで、センサ支持部材50を筐体210に固定するネジ等を省略し、変水位測定ユニット200の組立ておよびメンテナンスを容易化している。
制御装置100は、第1の実施形態と同様に、CPU、ROMおよびRAM、ならびにフラッシュメモリ等の記憶手段を備えて構成され、CPUがプログラムを実行することにより実現される機能的構成として、試験実行手段104を備えている。なお、制御装置100および第1および第2水面センサ41、42等への電力の供給源は、外部の商用電源であってもよいし、内蔵されたバッテリであってもよい。
このように、変水位測定ユニット200は、測定管20内における基準水面WSとの水位差がh1からh2に変化するのに要する時間を測定し、これに基づいて透水係数k1を算出して記憶および表示するための構成がコンパクトに一体化されており、測定管20を内部に挿通するだけで使用可能となっている。従って、例えば手動での測定に利用していた既存の測定管20、接続部材30および越流水槽60等を活用して透水試験装置2を実現することも可能となっており、汎用性の高いものとなっている。
次に、本実施形態の透水試験装置2による変水位透水試験の手順について説明すると共に、本実施形態における試験実行手段104の機能の詳細について説明する。図13は、変水位透水試験における制御装置100の制御手順を示したフローチャートである。
本実施形態の変水位透水試験では、まず事前の準備として、試料5を収容した試料容器10を越流水槽60の支持架台61に載置し、その上に接続部材30および測定管20のみを配置する。次に、スポイト等を利用して上方から測定管20内に適量の水を供給すると共に、越流水槽60内に水を供給して基準水面WSを形成する。そして、測定管20内に基準水面WSからの水位差がh1以上となる水面が形成されたならば、測定管20に変水位測定ユニット200をセットし、電源ボタン214を操作して電源を投入する。これにより、制御装置100の試験実行手段104が制御を開始する。
電源投入後、試験実行手段104は、まず初期設定を行う(ステップS61)。ここでは、まず第1および第2水面センサ41、42の状態をチェックする。第1および第2水面センサ41、42の少なくとも一方がOFFである場合は、エラー表示を液晶ディスプレイ216に表示させる。
第1および第2水面センサ41、42の両方がONであり、測定開始ボタン215が操作されたならば、試験実行手段104は、第1水面センサ41がOFFとなるのを待ち受ける(ステップS62)。第1水面センサ41がOFFとなったならば、試験実行手段104は、内蔵タイマによる経過時間の測定を開始すると共に(ステップS63)、第2水面センサ42がOFFとなるのを待ち受ける(ステップS64)。
第2水面センサ42がOFFとなったならば、試験実行手段104は、水位差h1から水位差h2までの経過時間T1をタイマから取得する(ステップS65)。そして、経過時間T1に基づく透水係数k1を算出し(ステップS66)、算出した透水係数k1および経過時間T1等の付帯情報を記憶手段に記憶すると共に、液晶ディスプレイ216に表示させる(ステップS67)。これにより、変水位透水試験が完了する。
このように、透水試験装置2では、水の供給は手動で行う必要があるものの、水位差h1から水位差h2までの経過時間T1の測定および透水係数k1の算出は自動的に行われるため、金属製直尺およびストップウォッチを使用する従来の透水試験装置と比較して、きわめて簡便に変水位透水試験を行うことが可能となっている。
なお、第1および第2水面センサ41、42は、透水試験装置1と同様に、測定管20の内側面の反射を利用する光学センサから構成されるものであってもよい。また、透水試験装置2に第1〜第3水面センサ41〜43を設け、透水試験装置1と同様の制御を制御装置100に行わせるようにしてもよい。
次に、本発明の第3の実施形態に係る透水試験装置2について説明する。本実施形態の透水試験装置2は、第2の実施形態の透水試験装置2において、光学式の第1および第2水面センサ41、42に代えて静電容量式の水面センサ44を適用したものである。従って、以下の説明では、第2の実施形態と共通する部分については同一の符号を付すと共にその説明を省略し、第2の実施形態とは異なる部分についてのみ説明する。
図14(a)は、本実施形態の変水位測定ユニット200の断面図であり、図11(a)のD−D線断面図である。また、図14(b)は、図14(a)のF−F線断面図であり、水面センサ44およびセンサ支持部材50の周辺を拡大して示している。なお、図14(a)および(b)では、理解を容易にするために、水面センサ44およびセンサ支持部材50の厚みを誇張して記載している。
これらの図に示されるように、静電容量式の水面センサ44は、略矩形平板状の検出電極44a、接地電極44bおよびガード電極44cから構成され、測定管20内の静電容量の変化に基づいて、測定管20内の水面位置を検出するものである。検出電極44a、接地電極44bおよびガード電極44cは、測定管20の外周側において、位置P1および位置P2を超えて測定管20の軸方向に延在するように配置されている。
センサ支持部材50は、略円弧状(略C字状)断面を有する部材であり、本実施形態では、検出電極44a、接地電極44bおよびガード電極44cを一方の面に形成した樹脂性の基板を適宜に丸めることで構成されている。センサ支持部材50は、位置決め部材211aおよび押圧部材212aによって支持され、内側に測定管20が挿通されるようになっている。
すなわち、センサ支持部材50は、測定管20の外周の一部を覆うように配置されることで、測定管20を取り囲むように各電極44a〜44cを配置するように構成されている。これにより、各電極44a〜44cの配置構成を適切な構成とすることができるため、静電容量式の水面センサ44を使用しながらも、安定的且つ高精度に水面位置を検出することが可能となる。
なお、検出電極44a、接地電極44bおよびガード電極44cは、支持部材50の内側面に配置されてもよいし、外側面に配置されてもよい。また、検出電極44a、接地電極44bおよびガード電極44cの表面を適宜の保護被膜で覆うようにしてもよいし、各電極44a〜44cを2つの樹脂基板の間に挟むようにしてもよい。また、センサ支持部材50の形状は、特に限定されるものではなく、例えば筒状に構成されるものであってもよいし、各電極44a〜44cを個別に支持する複数のセンサ支持部材50を設けるようにしてもよい。
制御装置100は、CPUがプログラムを実行することにより実現される機能的構成として、試験実行手段104と共に、試験方法決定手段106を備えている。本実施形態の試験方法決定手段106は、測定管20内の水の降下速度に応じて試験方法を変更するものである。
次に、本実施形態の透水試験装置2による変水位透水試験の手順について説明すると共に、本実施形態における試験実行手段104および試験方法決定手段106の機能の詳細について説明する。図15は、変水位透水試験における制御装置100の制御手順を示したフローチャートである。
本実施形態の変水位透水試験では、まず第2の実施形態と同様の事前準備を行う。事前準備が完了したならば、測定管20に変水位測定ユニット200をセットし、電源ボタン214を操作して電源を投入する。これにより、制御装置100の試験実行手段104が制御を開始する。
電源投入後、試験実行手段104は、まず初期設定を行う(ステップS71)。ここでは、まず水面センサ44の状態をチェックする。水面センサ44が位置P1以上の水面位置を検出していない場合は、エラー表示を液晶ディスプレイ216に表示させる。
水面センサ44が位置P1以上の水面位置を検出しており、測定開始ボタン215が操作されたならば、試験実行手段104は、水面位置が位置P1となるのを待ち受ける(ステップS72)。水面センサ44の検出した水面位置が位置P1となったならば、試験実行手段104は、内蔵タイマによる経過時間の測定を開始すると共に(ステップS73)、水面位置が位置P2となるのを待ち受ける(ステップS74)。
水面センサ44の検出した水面位置が位置P2となったならば、試験実行手段104は、水位差h1から水位差h2までの経過時間T1をタイマから取得する(ステップS75)。また、水面位置が位置P2に到達していないならば、経過時間が所定の制限時間となったか否かを試験方法決定手段106が判定する(ステップS76)。
試験方法決定手段106は、経過時間が制限時間となっていないと判定した場合には、試験実行手段104に再度ステップS74の処理を行わせる(ステップS76)。また、試験方法決定手段106は、経過時間が制限時間となったと判定した場合には(ステップS76)、水面センサ44の検出した水面位置を位置Pi(位置P2よりも上方の位置となる)として取得すると共に(ステップS77)、位置Piを取得した時の経過時間Ti(ステップS78)を経過時間T1に代えて取得する。この経過時間Tiは、水位差h1から位置Piに対応する水位差hiまでの水面の移動に要する時間となる。
すなわち、試験方法決定手段106は、水面位置が位置P2に到達する前に制限時間が経過した場合に、位置P1から位置P2までの水面の移動に基づいて透水係数を算出する試験方法を、位置P1から位置Piまでの水面の移動に基づいて透水係数を算出する試験方法に変更する。
試験実行手段104は、経過時間T1を取得したならば、経過時間T1、水位差h1および水位差h2に基づく透水係数k1を算出する(ステップS79)。また、試験方法決定手段106によって経過時間Tiが取得されたならば、試験実行手段104は、経過時間Ti、水位差h1および水位差hiに基づく透水係数kiを算出する(ステップS79)。そして、算出した透水係数k1またはki、ならびに経過時間T1またはTiおよび水位差hi等の付帯情報を記憶手段に記憶すると共に、液晶ディスプレイ216に表示させる(ステップS80)。これにより、変水位透水試験が完了する。
このように、本実施形態の透水試験装置2では、第2の実施形態と同様にきわめて簡便に変水位透水試験を行うことが可能であるだけでなく、試験方法決定手段106によって試験を早めに切り上げることで、第1の実施形態と同様に試験時間が不用意に長引くのを防止可能となっている。
なお、ステップS71の処理において、例えば電源ボタン214および測定開始ボタン215の同時操作に基づいて設定モードに移行し、位置P1、位置P2および制限時間の設定を変更可能としてもよい。本実施形態では、静電容量式の水面センサ44を使用することで、位置P1および位置P2を任意の位置に設定することが可能となっている。
また、ステップS77およびS78の処理は、経過時間が制限時間となるのと略同時に行う(すなわち、経過時間Ti≒制限時間となる)ようにしてもよいし、制限時間から所定時間の経過後に行うようにしてもよい。また、位置P2を限界位置として設定し、経過時間Tiを固定した変水位透水試験を行うようにしてもよい。
また、位置P1、位置P2および位置P3を設定し、第1の実施形態の透水試験装置1と同様の制御を行うようにしてもよい。また、第1の実施形態の透水試験装置1に静電容量式の水面センサ44を適用し、本実施形態と同様の制御を行うようにしてもよいことはいうまでもない。
以上説明したように、上記各実施形態に係る透水試験装置1、2は、水が通過可能な上蓋12および下蓋13を有し、試料5を収容する試料容器10と、軸方向を略鉛直方向とした状態で試料容器10の上方に配置され、内部に水が供給される測定管20と、試料容器10の上部と測定管20を接続する接続部材30と、試料容器10を支持すると共に、所定の水位の水を貯留する越流水槽60と、測定管20内の水面を検出する水面センサ(第1〜第3水面センサ41〜43および静電容量式の水面センサ44)と、測定管20の外周側に配置され、水面センサを支持するセンサ支持部材50と、を備えている。このような構成とすることで、適切な位置に適切な状態で水面センサを確実に配置し、測定管20内の水位の変化を高精度に検出することが可能となるため、簡便に変水位透水試験を行うことができる。
また、センサ支持部材50は、測定管20の外周の少なくとも一部を覆うように構成されている。このようにすることで、水面センサ(第1〜第3水面センサ41〜43)に対する外光の影響を低減することが可能となるため、光学式のセンサを使用して安定的且つ高精度に水面を検出することができる。また、水面センサ(静電容量式の水面センサ44)の備える各電極を適切に配置することが可能となるため、静電容量式のセンサを使用して安定的且つ高精度に水面を検出することができる。
また、センサ支持部材50は、測定管20の外周における周方向の一部の範囲を覆わないように構成されるものであってもよい。このようにすることで、水面センサ(第1〜第3水面センサ41〜43および静電容量式の水面センサ44)による安定的且つ高精度な水面の検出を可能としながらも、試験中に測定管20内の水の状態を目視にて確認することができる。
また、第1および第2の実施形態のセンサ支持部材50は、測定管20側が開口した凹部52aを備え、水面センサ(第1〜第3水面センサ41〜43)は、少なくとも一部が凹部52a内に収容されている。このようにすることで、水面センサ(第1〜第3水面センサ41〜43)に対する外光の影響をより低減することができる。
また、第2の実施形態の透水試験装置2では、水面センサ(第1および第2水面センサ41、42)は、測定管20側の先端が凹部52a内に位置するように配置されている。このようにすることで、測定管20内の水面における反射光の影響を低減することができる。
また、第1および第2の実施形態の凹部52aは、センサ支持部材50に形成された貫通孔52と、貫通孔52を閉塞する閉塞部材53と、から構成され、水面センサ(第1〜第3水面センサ41〜43)は、閉塞部材53に支持されている。このようにすることで、水面センサの着脱およびメンテナンスを容易にすることができる。
また、第2の実施形態の透水試験装置2では、閉塞部材53は、水面センサ(第1および第2水面センサ41、42)が実装された回路基板220である。このようにすることで、水面センサおよび回路基板220の効率的な配置と、水面センサに対する外光の影響の低減を両立させることができる。
また、第1の実施形態の透水試験装置1は、試料容器10を上方に向けて移動させることで、試料容器10を接続部材30に接続するように構成される移動機構70を備えている。このようにすることで、簡素な構成でありながらも、接続部材30への試料容器10の自動接続を簡便且つ確実に行うことができる。
また、第1〜第3の実施形態の透水試験装置1、2は、水面センサ(第1〜第3水面センサ41〜43および静電容量式の水面センサ44)を制御して変水位透水試験を実行する制御装置100を備えている。このようにすることで、測定管20内における基準水面WSとの水位差(h1〜h3およびhi)の変化に要する時間を自動的に測定することが可能となるため、簡便に変水位透水試験を行うことができる。
また、第2および第3の実施形態の透水試験装置2は、水面センサ(第1および第2水面センサ41、42ならびに静電容量式の水面センサ44)、センサ支持部材50および制御装置100を収容する筐体210を備え、筐体210は、測定管20が挿通される挿通孔213を有している。このようにすることで、既存の測定管20等を流用したきわめて簡便な構成で、変水位透水試験を半自動的に実行することができる。
また、第1の実施形態の制御装置100は、測定管20の軸方向における第1の位置(位置P1)から第1の位置よりも下方の第2の位置(位置P2)までの水面の移動に要する時間に基づき、変水位透水試験における水面の移動を第1の位置から第2の位置まで、および第1の位置から第2の位置よりも下方の第3の位置(位置P3)までのいずれにするかを決定する試験方法決定手段106を有している。このようにすることで、試料5の透水性の予測が難しい場合にも、試験時間が不用意に長引くのを防止することができる。
また、第1の実施形態の水面センサは、第1の位置(位置P1)に配置される第1水面センサ41と、第2の位置(位置P2)に配置される第2水面センサ42と、第3の位置(位置P3)に配置される第3水面センサ43と、を含み、第1水面センサ41および第3水面センサ43は、測定管20に対して水平方向の一側に配置され、第2水面センサ42は、測定管20に対して水平方向の他側に配置されている。このようにすることで、位置P1と位置P2の間の距離L1を短く設定することが可能となるため、透水性の低い試料5に対しても効率的且つ高精度な試験を行うことができる。
また、第3の実施形態の制御装置100は、測定管20の軸方向における第1の位置(位置P1)から第1の位置よりも下方の第2の位置(位置P2)まで水面が移動する前に所定の制限時間が経過したか否かに基づき、変水位透水試験における水面の移動を第1の位置から第2の位置よりも上方の第3の位置(位置Pi)まで、および第1の位置から第2の位置までのいずれにするかを決定する試験方法決定手段106を有している。このようにすることで、試料5の透水性の予測が難しい場合にも、試験時間が不用意に長引くのを防止することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の透水試験装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、透水試験装置1、2の各部の形状および配置構成等は、上記実施形態において示したものに限定されず、その他の任意の形状および配置構成等を採用することができる。
また、透水試験装置1において、貯水槽80内の水を重力により測定管20内に供給するようにし、ポンプ90を省略するようにしてもよい。また、給水配管81を外部の水道等に接続し、貯水槽80およびポンプ90を省略するようにしてもよい。
また、透水試験装置2において、変水位測定ユニット200を越流水槽60上や床面上に載置するよう構成してもよい。また、制御装置100および液晶ディスプレイ216と、第1および第2水面センサ41,42およびセンサ支持部材50とを別体に設けるようにしてもよい。
また、上記実施形態において示した作用および効果は、本発明から生じる最も好適な作用および効果を列挙したものに過ぎず、本発明による作用および効果は、これらに限定されるものではない。