JP4674216B2 - 吸着材の吸着容量測定装置 - Google Patents
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Description
一方、吸着材を利用している側では、吸着材の使用後に廃棄するかリサイクルするかを判断するために、吸着材の吸着容量を測定することが望まれている。
一般的には、吸着容量の測定装置としては、装置構成が簡易となることから、重量法が多く採用されている。
しかし、精密天秤は振動に弱く、振動の多い場所では使用できないという課題があった。さらに、このような吸着容量測定装置を運搬しようとすると運搬時の振動により精度が変化してしまい、場所を移動させる都度精密天秤の校正が必要であり、使用に際しては大変な手間がかかっているという課題があった。
一方、ばね秤を使用する吸着容量測定装置や、容量法による吸着容量測定装置については装置が大型化しており、運搬自体が困難であり、持ち運びが簡単にできる装置が望まれているという課題があった。
すなわち、本発明にかかる吸着材の吸着容量測定装置によれば、吸着材を収納する吸着材容器と、吸着材容器へ導入させる水を貯留させておく水容器と、水容器内の水温を測定する第1の温度センサと、吸着材容器内へ水を導入させた後の吸着材容器内の水温を測定する第2の温度センサと、吸着材容器に水を導入した後の水温の上昇温度と吸着材の水の吸着容量との関係式を予め記憶させてある記憶手段と、第1の温度センサで測定された第1の温度と第2の温度センサで測定された第2の温度との差である上昇温度を算出し、算出された上昇温度に基づいて記憶手段に記憶されている関係式から吸着容量を算出する算出手段とを具備することを特徴としている。
この構成を採用することによって、吸着容量の測定を温度上昇に基づいて算出可能となるので、秤や天秤など振動に弱い構成を採用しなくともよく、振動に強い吸着容量測定装置とすることができる。また、振動に強いので可搬性に優れる。さらに、吸着材が吸水して恒温状態となるには数分間程度で済むので、短時間で測定が完了する。
この構成によれば、吸着材容器へ水を導入する際に正確な量の水を導入することができるので、吸着容量も正確な値を算出することができる。
この構成によれば、水容器内および吸着材容器に導入した水の温度が外乱により変化することがなく、正確な吸着容量を測定することができる。
この構成により、ユーザは容易に測定結果を知ることができる。
(第1の実施形態)
図1に本実施形態の吸着容量測定装置の外観構成を示し、図2に吸着容量測定装置の内部構成について示す。
吸着容量測定装置20は、正面側が開口した収納空間23を有する筐体21内に、測定すべき吸着材10を収納する吸着材容器22と、吸着材容器22内の吸着材に吸着させる水を貯留させておく水容器24が設けられて成る。
また、筐体21の収納空間23の周囲の筐体内部には、断熱材(図示せず)が設けられており、収納空間23内が恒温となるように設けられている。
しかし、本発明としては、このような形状に限定することはなく、下端部が窄まるように形成されていなくてもよく、また四角柱状等の多角形状に形成されていてもよい。
導入管34は単なるパイプであり、水容器24の下端部から流出した水を、吸着材容器22の下端部へ導入すべく設けられている。導入管34の中途部にはバルブ36が設けられており、導入管34を開閉させる機能を有する。
また、導入管34およびバルブ36は、筐体21の収納空間23の周囲の筐体内部に配設されているとよい。これにより、導入管34内を流通する水も恒温状態を維持することができ、吸着容量の正確な測定に寄与する。
また、水容器24内には、吸着材10に水を吸着させる前の段階の水の温度T1を測定するための温度センサ40が設けられている。
これら温度センサ38,40としては、白金測温抵抗、サーミスタ、熱電対等を採用することができる。
そこで、吸着材容器22には、導入された水量を測定する水量測定センサ46が設けられている。水量測定センサ46としては、吸着材容器22内に配置されて吸着材容器22内の液面を検出する液面センサ46を採用するとよい。
液面センサ46は、吸着材容器22に充填される吸着材10の上面よりもやや上方を検出設定位置とし、下端部から導入された水が吸着材10のやや上方に達した場合に液面センサ46がこの液面を検出するように設けられる。
液面センサ46としては、光学式、電極式、静電容量式など様々ものを採用することができる。
なお、記憶部44に記憶される関係式は1種類だけではなく、吸着材の種類により複数の関係式が記憶されているとよい。
測定開始スイッチ30は、制御部42に接続され、制御部42が測定動作を開始するトリガとなる測定開始信号を制御部42に送る。
ここで示す関係は、例として、所定の径を有する合成ゼオライトの吸着容量と、吸着後の水の温度上昇との関係についてグラフに表したものであるが、吸着材の種類によってその関係式は様々に異なるものである。このような関係式については予め実験を行って求めておく必要がある。
図3では、x軸に上昇温度を、y軸に吸着容量を示しており、グラフは右肩下がりの直線状になる。したがって、上昇温度と吸着容量との関係は1次関数で表され、上昇温度が判明すれば、1次関数によって吸着容量が容易に算出される。
このような関係式が吸着材10の種類毎に記憶部44に記憶される。
したがって、制御部42では、温度センサ38の測定値を常時チェックし、温度がピークに達したときの温度を吸着後の上昇温度とし、この温度を用いて最終的に吸着容量を算出する。
まず、ユーザは、吸着材容器22に測定しようとする吸着材10を所定量充填する。また、ユーザは、水容器24に所定量以上の水が充填されているか確認し、水の充填量が足りない場合には水を追加する。なお、この状態では、吸着材容器22と水容器24とを連通している導入管34のバルブ36は閉となっており、水容器24内の水は吸着材容器22内へ導入されないように設けられている。
バルブ36が開となることによって、水容器24内の水が導入管34を通って吸着材容器22へ流れ込む。
そして、制御部42は、記憶部44に記憶させておいた関係式に上昇温度を代入することにより、吸着容量を算出する(ステップS116)。制御部42は、算出した吸着容量を表示部28に表示させるように表示信号を出力する。また算出された吸着容量は、制御部42内のメモリ内に記憶される(ステップS117)。
測定された吸着容量が表示部28に表示されることにより、吸着容量測定装置20の吸着容量の測定動作は終了する。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。ただし、上述した実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、説明を省略する場合もある。
上述した実施形態では、筐体21の収納空間23の底面23aに、吸着材容器22および水容器24の下端部を挿入して保持させ、ユーザが水容器24へ水を入れ、吸着材容器22から水を捨てるようにしているものであったが、本実施形態では、吸着材容器22および水容器24を筐体21に固定して、自動的に水の導入と排出を実行できる点で上述した実施形態の構成と異なる。
導入管34の供給バルブ52とバルブ36の間に、水容器24の連通穴24aへ連通する分岐管34aが配設されている。
また、水容器24には、水容器24内の水量を測定する水量測定センサ54が設けられている。本実施形態では、水量測定センサとして液面センサ54を用いている。
導入管34の排出バルブ56とバルブ36の間に、吸着材容器22の連通穴22aへ連通する分岐管34bが配設されている。
また、導入管34における排出バルブ56と分岐管34bとの間には、水検知センサ57が設けられており、導入管34内の水の流通を検出可能である。
ユーザが吸着材選択スイッチ33を操作して設定すると(ステップS200)、選択信号が制御部42に入力される。制御部42は、入力された選択信号に基づいて吸着容量算出時において選択された吸着材の種類に対応する関係式を記憶部44から読み出すように制御する。なお、このとき、バルブ36、供給バルブ52および排出バルブ56の全てのバルブは閉となっている。
バルブ36が開となることによって、水容器24内の水が導入管34を通って吸着材容器22へ流れ込む。
そして、制御部42は、記憶部44に記憶させておいた関係式に上昇温度を代入することにより、吸着容量を算出する(ステップS216)。制御部42は、算出した吸着容量を表示部28に表示させるように表示信号を出力する。また算出された吸着容量は、制御部42内のメモリ内に記憶される(ステップS217)。
しかし、本発明としてはこの構成に限定されることなく、ある一定の時間を経過した場合には吸着材容器22の上昇温度に到達したとみなして、このときの温度を吸着材容器22内の水の温度T2としてもよい。例えば、吸着材に水を吸着させたときの温度上昇は、10〜20秒程度で最高に到達するので、吸着材容器22へ水を導入してから20秒経過時の温度を吸着材容器22内の水の温度T2とする。
20 吸着容量測定装置
21 筐体
22 吸着材容器
22a,24a 連通穴
23 収納空間
24 水容器
26 正面扉
28 表示部
29 選択用表示部
30 測定開始スイッチ
31,32 収納穴
33 吸着材選択スイッチ
36 バルブ
38,40 温度センサ
42 制御部
44 記憶部
46 水量測定センサ(液面センサ)
48 水供給口
50 排出口
52 供給バルブ
54 水量測定センサ(液面センサ)
56 排出バルブ
57 水検知センサ
Claims (4)
- 吸着材を収納する吸着材容器と、
吸着材容器へ導入させる水を貯留させておく水容器と、
水容器内の水温を測定する第1の温度センサと、
吸着材容器内へ水を導入させた後の吸着材容器内の水温を測定する第2の温度センサと、
吸着材容器に水を導入した後の水温の上昇温度と吸着材の水の吸着容量との関係式を予め記憶させてある記憶手段と、
第1の温度センサで測定された第1の温度と第2の温度センサで測定された第2の温度との差である上昇温度を算出し、算出された上昇温度に基づいて記憶手段に記憶されている関係式から吸着容量を算出する算出手段とを具備することを特徴とする吸着材の吸着容量測定装置。 - 前記水容器と前記吸着材容器との間に配設され、前記水容器から前記吸着材容器へ水を導入するための導入管と、
該導入管の中途部に設けられ、導入管を開閉するバルブと、
前記吸着材容器に設けられ、前記水容器から導入された水量を測定する水量測定センサと、
水量測定センサが測定した水量が所定量に達した場合にはバルブを閉じるように制御する制御手段とを具備することを特徴とする請求項1記載の吸着材の吸着容量測定装置。 - 少なくとも前記吸着材容器および前記水容器は、恒温容器内に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の吸着材の吸着容量測定装置。
- 前記算出手段によって算出された吸着容量を表示する表示手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちのいずれ1項記載の吸着材の吸着容量測定装置。
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