以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置を使用して電力に関する情報の表示を行う電力制御システムの一例を模式的に示す図である。図1に示すように、電力制御システム10は、系統(グリッド)20に接続されている。系統20は、例えば一般的な商用の電力系統である。電力制御システム10は、パワーコンディショナ30と、分散型電源とを備える。図1に示す例では、分散型電源は、発電設備40と、蓄電池50と、需要家施設90内の燃料電池60と、を含む。また、図1の電力制御システム10内の実線及び電力制御システム10と系統20とを結ぶ実線は、電力経路を示す。
電力制御システム10は、通常は系統20に接続されて連系運転を行う。連系運転では、パワーコンディショナ30により、系統20から供給される電力と、分散型電源である発電設備40、蓄電池50及び燃料電池60からの電力とが、負荷70に供給される。
また、電力制御システム10は、停電時等、系統20からの電力供給がない場合は自立運転を行う。自立運転では、パワーコンディショナ30により、分散型電源のそれぞれ(発電設備40、蓄電池50及び燃料電池60)からの電力が、負荷70に供給される。
なお、電力制御システム10が自立運転を行う場合には、各分散型電源(発電設備40、蓄電池50及び燃料電池60)は系統20から解列した状態となる。一方、電力制御システム10が連系運転を行う場合には、分散型電源のそれぞれ(発電設備40、蓄電池50及び燃料電池60)は系統20と並列した状態となる。ここで系統から解列した状態とは系統と電気的に切断された状態であり、系統と並列した状態とは系統と電気的に接続した状態である。
また、電力制御システム10が自立運転を行う場合、需要家は、運転モードを「自動モード」及び「待機モード」から選択する。自動モードは、パワーコンディショナ30が電力制御システム10の運転制御を自動的に行う運転モードであり、通常選択される運転モードである。一方、待機モードは、電力制御システム10が、発電設備40の発電に基づいて蓄電池50を充電する制御のみ実行するが、他の制御は実行しない運転モードである。需要家は、例えば出張又は旅行等で、長期間に亘って需要家施設90を不在にする場合に、この待機モードに設定する。需要家は、例えばパワーコンディショナ30に有線または無線で接続された外部の入力装置から、入力操作を行うことにより、運転モードを選択できる。
パワーコンディショナ30は、発電設備40及び蓄電池50から供給される直流の電力と、燃料電池60を含む需要家施設90及び系統20から供給される交流の電力との変換を行う。この電力の変換は、一般的なインバータの機能によって行うことができる。また、パワーコンディショナ30は、連系運転スイッチと、自立運転スイッチとのオン/オフ制御を行うことにより、連系運転及び自立運転の切り替え制御を行う。
また、パワーコンディショナ30は、電力制御システム10における電流を検出可能な電流センサ80を備える。具体的には、パワーコンディショナ30は、系統20及び電力制御システム10の間に流れる電流と、発電設備40及び蓄電池50への入出力電流と、が検出されるように、電流センサ80を複数備える。パワーコンディショナ30は、電流センサ80が検出した電流に基づき、系統20及び電力制御システム10の間の電力(売買電電力Wn)、発電設備40の発電電力(発電電力Wd)、及び、蓄電池50への入出力電力(充放電電力Wc)を算出する。本明細書では、このようにして、パワーコンディショナ30が検出した情報に基づき電力に関する情報を算出することを電力の測定ともいい、算出された電力に関する情報を測定電力情報ともいう。
また、パワーコンディショナ30は、算出した売買電電力Wn、発電電力Wd及び充放電電力Wcに基づき、需要家施設90(燃料電池60及び負荷70)への入出力電力を算出する。需要家施設90への入出力電力は、負荷70が消費する電力から燃料電池60が発電する電力を差し引いた電力を意味し、本明細書では、需要家施設90への入出力電力を、以下単に「負荷電力」と略記する。具体的には、パワーコンディショナ30は、発電電力Wdから、売買電電力Wn及び充放電電力Wcの合計値との差を算出することにより、負荷電力を算出する。つまり、負荷電力は、Wd−Wc−Wnにより算出される。
なお、本実施形態では、発電電力Wdは、発電設備40が発電している場合の電力の方向、つまり発電設備40からパワーコンディショナ30に流れる方向(正方向)の電力を正の値、発電設備40に流れる方向(負方向)の電力を負の値で表す。また、充放電電力Wcは、蓄電池50に充電される場合に流れる方向、つまりパワーコンディショナ30から蓄電池50に流れる方向(正方向)の電力を正の値、蓄電池50が放電する場合に流れる方向、つまり蓄電池50からパワーコンディショナ30に流れる方向(負方向)の電力を負の値で表す。また、売買電電力Wnは、第1方向に流れる第1電流の場合の電力の方向、つまり系統20から電力制御システム10に流れる方向(正方向)の電力を正の値で表す。すなわち、第1電流は、順潮の場合である。また、売買電電力Wnは、第2方向に流れる第2電流の場合の電力の方向、つまり電力制御システム10から系統20に流れる方向(負方向)の電力を負の値で表す。すなわち、第2電流は、逆潮の場合である。また、負荷電力は、パワーコンディショナ30から需要家施設90に流れる方向(正方向)の電力を正の値、需要家施設90からパワーコンディショナ30に流れる方向(負方向)の電力を負の値で表すこととする。
発電設備40は、例えば、太陽光のエネルギーを直流の電力に変換する太陽電池である。太陽電池は、例えば光電変換セルを有する発電部がマトリクス状に接続され、所定の短絡電流(たとえば10A)を出力するように構成される。太陽電池は、シリコン系多結晶太陽電池、シリコン系単結晶太陽電池、又はCIGS等薄膜系太陽電池等、光電変換可能なものであればその種類は制限されない。以下、本実施形態において、発電設備40は、太陽電池であるとして説明するが、発電設備40は、例えば風力発電設備等の他の発電設備であってもよい。
蓄電池50は、リチウムイオン電池又はニッケル水素電池等の蓄電池から構成される。蓄電池50は、充電された電力を放電することにより、負荷70に電力を供給可能である。また、蓄電池50は、系統20、発電設備40及び燃料電池60から供給される電力を充電可能である。
燃料電池60は、水素を用いて空気中の酸素との化学反応により直流の電力を発電するセルと、発電された直流電力を100Vあるいは200Vの交流電力に変換するインバータと、その他補機類とを備える。図1に示すように、電力制御システム10において、燃料電池60は、パワーコンディショナ30を介さずとも負荷70に対する交流電力の供給を可能に構成されている。このように、本実施形態では、電力制御システム10は、燃料電池60をパワーコンディショナ30に接続することなく、汎用性を有するシステムとして構成されている。
負荷70は、電力を消費する電力負荷であり、例えば家庭内で使用されるエアコン、電子レンジ、テレビ等の各種電器製品、及び、商工業施設で使用される空調機、照明器具等の機械、照明設備等を含む。
上述のような電力制御システム10において、売買電の状況及び分散型電源それぞれの発電状況、又は負荷70の電力消費状況等の、電力制御システム10における電力に関する情報を需要家に知らせる。このため、本実施形態では、例えば電子機器として構成することができる情報処理装置の表示画面に、電力に関する情報を表示する。電力に関する情報の表示は、測定電力情報(発電電力Wd、充放電電力Wc及び売買電電力Wn)を、パワーコンディショナ30から取得し、取得した測定電力情報に基づいて行う。電力に関する情報は、例えば電力の方向を示す情報の表示及び/又は数値による表示により行われる。
ここで、パワーコンディショナ30から取得した、測定電力情報は、電流センサ80による測定誤差を含んだり、誤検出された電流に基づく情報を含んだりする場合がある。測定誤差又は誤検出に基づいて算出される電力は、通常、発電や電力消費等により発生する電力よりも数値(絶対値)が小さい。そこで、例えば電力の数値に関する閾値を設けて、当該閾値よりも数値が小さい電力については、0Wに補正することによって、考慮しない値とすることができる。これにより、測定誤差又は誤検出による誤表示を排除しやすくなる。
しかしながら、閾値を設けて測定誤差又は誤検出と認められた電力を考慮しない場合には、電力の状況を表示する際に出力する情報として不整合が生じる場合がある。このように不整合な情報が出力されて表示部に表示される場合について、図2及び図5を参照して説明する。なお、ここでは、閾値が50Wであるとして説明する。
例えば、図2に矢印で示すように、検出された電流に基づき、発電設備40の発電量が40Wであり、電力制御システム10から系統20への逆潮の電力が50Wであることを、パワーコンディショナ30が算出したとする。この場合、発電設備40による発電電力Wd=40Wは、閾値50Wよりも小さいため、0Wに補正される。一方、負荷電力は、発電電力Wd(補正された0W)から、売買電電力Wn(50W)及び充放電電力Wc(0W)の合計値との差を算出することにより、−50Wと算出される。そのため、需要家に対する表示では、図3に示すように、あたかも、需要家施設90から電力が出力され、系統20に逆潮の電力が流れているように表示される。つまり、実際には燃料電池60が発電をしていないにもかかわらず、燃料電池60が発電をして売電しているように表示される。
また、例えば、図4に矢印で示すように、検出された電流に基づき、系統20から順潮で入力される電力が20Wであり、発電設備40の発電量が40Wであり、蓄電池50への充電電力が60Wであることを、パワーコンディショナ30が算出したとする。この場合、系統20からの入力電力20Wと、発電設備40による発電電力Wd=40Wとは、それぞれ閾値50Wよりも小さいため、0Wに補正される。一方、負荷電力は、発電電力Wd(補正された0W)から、売買電電力Wn(補正された0W)及び充放電電力Wc(60W)の合計値との差を算出することにより、−60Wと算出される。そのため、需要家に対する表示では、図5に示すように、あたかも、需要家施設90から電力が出力され、蓄電池50が蓄電されているように表示される。つまり、実際には燃料電池60が発電をしていないにもかかわらず、燃料電池60が発電をして売電しているように表示される。
図2及び図5を参照して説明したように、実際の電力に関する情報と、表示される電力に関する情報が異なる場合、表示を見た需要家に誤った情報を与えたり、需要家を混乱させたりする可能性が生じる。そこで、本実施形態では、上述のような状況においても、電力についての正しい情報が出力され表示されるようにする。
図6は、本実施形態に係る情報処理装置100の概略構成を示す機能ブロック図である。図6に示すように、情報処理装置100は、情報取得部110と、制御部120と、記憶部130と、表示部140とを備える。本実施形態では、情報処理装置100は、パワーコンディショナ30とは異なる、独立した1つの装置であるとして説明する。なお、情報処理装置100は、必ずしも1つの独立した装置でなくてもよく、例えば、制御部120と、表示部140とがそれぞれ独立した別の装置に含まれるようにして構成されていてもよい。また、例えば、情報取得部110、制御部120及び記憶部130は、パワーコンディショナ30に含まれていてもよい。
情報取得部110は、外部装置(本実施形態ではパワーコンディショナ30)と有線通信又は無線通信を行うことにより、電力制御システム10における測定電力情報を取得する。つまり、情報取得部110は、パワーコンディショナ30から、パワーコンディショナ30が算出した発電電力Wd、充放電電力Wc及び売買電電力Wnに関する情報を取得する。また、情報取得部110は、パワーコンディショナ30から、電力制御システム10の系統20との接続状態に関する情報を取得する。このとき、情報取得部110は、電力制御システム10が解列している場合、つまり自立運転を行っている場合、運転モードに関する情報も取得してもよい。
制御部120は、情報処理装置100の各機能ブロックをはじめとして、情報処理装置100の全体を制御及び管理するプロセッサである。制御部120は、情報取得部110が取得した電力に関する情報を、電力制御システム10における電力経路の電力についての推定に基づき、所定の条件に応じて補正してから出力する。具体的には、制御部120は、電力制御システム10の系統20との接続状態(つまり並列か又は解列か)に応じて、測定電力情報を補正することにより、出力内容を決定する。制御部120が行う補正処理(出力内容の決定処理)の詳細については後述する。また、制御部120は、決定した出力内容に関する情報を表示部140に出力する。制御部120は、制御手順を規定したプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサで構成され、かかるプログラムは、例えば記憶部130等の記憶媒体に格納される。
記憶部130は、半導体メモリ又は磁気メモリ等で構成することができ、各種情報や情報処理装置100を動作させるためのプログラム等を記憶するとともに、ワークメモリとしても機能する。記憶部130は、例えば情報取得部110から取得した測定電力情報を記憶してもよい。
表示部140は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、又は無機ELディスプレイ等の周知のディスプレイにより構成される表示デバイスである。表示部140は、制御部120から取得した出力内容に関する情報に基づいて電力に関する情報を表示する。需要家は、表示部140の表示を確認することによって、電力制御システム10における電力に関する情報について知ることができる。
次に、図7から図10を参照して、制御部120が実行する出力内容の決定処理の詳細について説明する。なお、本実施形態においては、負荷電力が負の値になる場合についてのみ閾値が設けられる。負荷電力が負の値になる場合は、すなわち、負荷70による電力消費の有無にかかわらず、少なくとも燃料電池60が発電をしている場合である。負荷電力が所定の閾値以下の場合には、負荷電力の測定誤差であるとして、制御部120は負荷電力の値を0に補正する処理を行う。なお、ここでは、負荷電力の逆潮に関する閾値を、100Wであるとして、以下説明する。なお、この閾値は一例にすぎず、閾値は適宜決定することができる。また、負荷電力が正の値の場合は、単に需要家が負荷70を使用して電力を消費しているか、燃料電池60が発電していても負荷70が消費する電力が燃料電池の発電量を上回っていることを示しているため、閾値は設定されない。
図7は、制御部120が実行する出力内容の決定処理の概要を示すフローチャートである。
まず、制御部120は、情報取得部110から、電力制御システム10の系統20との接続状態に関する情報を取得する(ステップS101)。制御部120は、必要に応じて運転モードに関する情報も取得してもよい。
次に、制御部120は、ステップS101で取得した、電力制御システム10の系統20との接続状態に関する情報に基づいて、電力制御システム10が連系運転を行っているか否かを判断する(ステップS102)。制御部120は、電力制御システム10が並列している場合、連系運転を行っていると判断し、電力制御システム10が解列している場合、自立運転を行っていると判断する。
制御部120は、電力制御システム10が連系運転を行っていると判断した場合(ステップS102のYes)、連系運転時の制御フローを実行する(ステップS103)。連系運転時の制御フローの詳細については、後述する図8の説明において詳述する。
制御部120は、電力制御システム10が連系運転を行っていないと判断した場合、つまり電力制御システム10が自立運転を行っていると判断した場合(ステップS102のNo)、運転モードが自動モードであるか否かを判断する(ステップS104)。
制御部120は、運転モードが自動モードであると判断した場合(ステップS104のYes)、自動モード時の制御フローを実行する(ステップS105)。自動モード時の制御フローの詳細については、後述する図9の説明において詳述する。
一方、制御部120は、運転モードが自動モードでないと判断した場合、つまり運転モードが待機モードであると判断した場合(ステップS104のNo)、待機モードの制御フローを実行する(ステップS106)。
そして、制御部120は、ステップS103、ステップS105又はステップS106においてそれぞれの制御フローを実行して得られた出力内容を、表示部140に送信する(ステップS107)。ステップS107の後、表示部140は、取得した出力内容に基づいて、電力に関する情報を表示する。
次に、ステップS103で実行される連系運転時の制御フローの詳細について説明する。図8は、制御部120が実行する連系運転時の制御フローの一例を示すフローチャートである。
まず、制御部120は、情報取得部110から、測定電力情報(電力制御システム10の発電電力Wd、充放電電力Wc及び売買電電力Wn)を取得する(ステップS201)。
次に、制御部120は、取得した発電電力Wd、充放電電力Wc及び売買電電力Wnのそれぞれを、所定の値で割る演算(除算)を行うことにより、計算の基準値を算出する(ステップS202)。発電電力Wd、充放電電力Wc及び売買電電力Wnのそれぞれに対応する基準値を、基準値l、基準値m及び基準値nとする。また、本実施形態では、当該所定の値は50であるとして説明する。従って、本実施形態においては、l=Wd/50、m=Wc/50、n=Wn/50により算出される。基準値l、m及びnは、制御部120が出力内容の算出のために使用する値であるが、必ずしも算出されなくてもよく、発電電力Wd、充放電電力Wc及び売買電電力Wnの値をそのまま用いて算出を行ってもよい。
次に、制御部120は、基準値lが0未満であるか否かを判断する(ステップS203)。
制御部120は、基準値lが0未満であると判断した場合(ステップS203のYes)、基準値lの値をl=0に補正する(ステップS204)。基準値lが0未満であるということは、発電電力Wdが0未満(すなわち負)であるということであり、これはパワーコンディショナ30から発電設備40に(つまり負方向に)電力が供給されていることを示すこととなる。しかしながら、発電設備40が電力を消費することはないため、電力が負方向に流れることはない。従って、制御部120は、取得された発電電力Wdの値が誤検出によるものであると判断して、l=0(つまりWd=0)に補正する。
次に、制御部120は、基準値mが0未満且つ基準値nが0より大きいか否かを判断する(ステップS206)
制御部120は、基準値mが0未満且つ基準値nが0より大きいと判断した場合(ステップS206のYes)、基準値nの値をn=0に補正する(ステップS207)。基準値mが0未満であるということは、充放電電力Wcが0未満であるということであり、これは、蓄電池50が放電していることを示す。一方基準値nが0より大きいということは、売買電電力Wnが0より大きいということであり、これは電力制御システム10が系統20に対して逆潮していること示す。ここで、ステップS204において基準値lはl=0に補正されており、パワーコンディショナ30と発電設備40との間に電力の流れは生じていない。この場合、電力制御システム10において、蓄電池50を放電させながら、電力制御システム10を系統20に対して逆潮させるという制御は実行されないため、このような運転は起こり得ない。従って、制御部120は、取得された売買電電力Wnの値が誤検出によるものであると判断して、n=0(つまりWn=0)に補正する。
一方、制御部120は、基準値m及び基準値nが、基準値mが0未満且つ基準値nが0より大きいという条件を満たさない場合(ステップS206のNo)、基準値nの値を補正することなく、そのまま維持することを決定する(ステップS208)。これは、売買電電力Wnの値が誤検出によるものではないという判断に基づくものである。ステップS206からステップS208により、基準値nが決定される。
一方、ステップS203において、制御部120は、基準値lが0以上であると判断した場合(ステップS203のNo)、基準値lの値を補正することなく、そのまま維持することを決定する(ステップS205)。これは、発電電力Wdの値が誤検出によるものではないという判断に基づくものである。ステップS205において制御部120が基準値lを補正しないことを決定すると、このフローはステップS209に移行する。
次に、制御部120は、l−m−nの値が0以上であるか否かを判断する(ステップS209)。l−m−nは、負荷電力に対応する基準値を示す式であり、以下負荷電力に対応する基準値をLで表す。
制御部120は、l−m−nの値が0以上であると判断した場合(ステップS209のYes)、L=l−m−nと決定する(ステップS210)。この場合、Lは0以上であるため、負荷電力は正方向に流れるか又は0である。
制御部120は、l−m−nの値が0未満であると判断した場合(ステップS209のNo)、l−m−nの値が−2未満であるか否かを判断する(ステップS211)。ここで、−2は、負荷電力が負方向の場合の閾値100Wに対応する値である。なぜなら、基準値l、m及びnは、取得した発電電力Wd、充放電電力Wc及び売買電電力Wnを50で割った値であり、同様に閾値100Wを50で割ると2となる。そして、負荷電力が負方向の場合には、符号がマイナスとなるため、−2は、負荷電力の負方向の場合の閾値100Wに対応する値を意味する。すなわち、ステップS211では、負荷電力が閾値より小さいか否かが判断される。
制御部120は、l−m−nの値が−2未満であると判断した場合(ステップS211のYes)、L=l−m−nと決定する(ステップS210)。これは、制御部120が、負方向の負荷電力の値(絶対値)が閾値100Wよりも大きいため、燃料電池60による発電が実際に行われていると判断していることを意味する。
一方、制御部120は、l−m−nの値が−2以上であると判断した場合(ステップS211のNo)、L=0と決定する(ステップS212)。これは、制御部120が、負方向の負荷電力の値(絶対値)が閾値100W以下であるため、測定誤差であると判断し、当該測定誤差を0に補正するものである。
そして、制御部120は、基準値L、l、m及びnに基づいて、出力内容を決定する(ステップS213)。具体的には、例えば、制御部120は、基準値の正負の符号に応じて、電力の流れを示す方向に関する情報を決定する。また、例えば、制御部120は、基準値の値に応じて、表示部140に表示させる電力の値に関する情報を決定する。この場合、制御部120は、各基準値に、50を掛ける演算を行うことにより、基準値から電力の値を算出する。なお、図8に示すフローにおいて、制御部120は、基準値mについては、補正をすることなく出力内容を決定している。
次に、ステップS105で実行される自動モード時の制御フローの詳細について説明する。図9は、制御部120が実行する自動モード時の制御フローの一例を示すフローチャートである。
まず、制御部120は、図8で示したフローのステップS201と同様に、情報取得部110から、測定電力情報を取得する(ステップS301)。
そして、図8で示したフローのステップS202と同様に、制御部120は、取得した発電電力Wd、充放電電力Wc及び売買電電力Wnのそれぞれを、所定の値で割る演算を行うことにより、計算の基準値を算出する(ステップS302)。図9のフローにおいても、発電電力Wd、充放電電力Wc及び売買電電力Wnのそれぞれに対応する基準値を、基準値l、基準値m及び基準値nとし、各基準値は、発電電力Wd、充放電電力Wc及び売買電電力Wnをそれぞれ50で割って算出したものであるとして説明する。
次に、制御部120は、基準値nの値を0に決定する(ステップS303)。つまり、制御部120は、基準値nが0の場合には補正を行わず、基準値nが0でない場合には、n=0に補正する。図9に示すフローは、電力制御システム10が自立運転をしている場合に実行されるものであるため、系統20との売買電は行われない。そのため、ステップS303は、売買電電力Wnに対応する基準値nが0以外の値である場合には、売買電電力Wnの値が誤検出に基づくものであると判断して、基準値n=0に補正するものである。
続いて、制御部120は、基準値lが0以上であるか否かを判断する(ステップS304)。
制御部120は、基準値lが0以上であると判断した場合(ステップS304のYes)、基準値lの値を補正することなく、そのまま維持することを決定する(ステップS305)。これは、発電電力Wdの値が誤検出によるものではないという判断に基づくものである。
ステップS305に続いて、制御部120は、基準値mが0以上であるか否かを判断する(ステップS306)。
制御部120は、基準値mが0以上であると判断した場合(ステップS306のYes)、基準値lが基準値m以上であるか否かを判断する(ステップS307)。
制御部120は、基準値lが基準値m以上であると判断した場合(ステップS307のYes)、基準値mの値を補正することなく、そのまま維持することを決定する(ステップS308)。これは、充放電電力Wcの値が誤検出によるものではないという判断に基づくものである。
一方、制御部120は、基準値lが基準値m以上でないと判断した場合、つまり基準値lが基準値m未満であると判断した場合(ステップS307のNo)、基準値mを基準値lと同じ値にする補正を行う(ステップS309)。基準値lが基準値m未満であるということは、すなわち発電設備40による発電電力Wdを、蓄電池50の充電電力Wcが上回っていることを意味するが、発電電力Wd以上の電力を充電することは発生し得ない。そのため、制御部120は、取得された充電電力Wcの値が誤検出によるものであると判断して、基準値mを基準値lと同じ値に補正することにより、充電電力Wcの値を発電電力Wdと一致させる。
制御部120は、ステップS306において、基準値mが0未満であると判断した場合(ステップS306のNo)、基準値mの値を補正することなく、そのまま維持することを決定する(ステップS308)。これは、充放電電力Wcの値が誤検出によるものではないという判断に基づくものである。
制御部120は、ステップS304において、基準値lが0未満であると判断した場合(ステップS304のNo)、基準値lの値をl=0に補正する(ステップS310)。これは、ステップS204で説明したように、発電設備40の電力が負方向となることはなく、従って基準値lが0未満となることはないため、制御部120が、取得された発電電力Wdの値が誤検出によるものであると判断して、l=0(つまりWd=0)に補正するものである。
ステップS310に続いて、制御部120は、基準値mが0より大きいか否かを判断する(ステップS311)。
制御部120は、基準値mが0より大きいと判断した場合(ステップS311のYes)、基準値mの値をm=0に補正する(ステップS312)。ステップS311の判断を行う場合には、ステップS310で説明したように、発電設備40の発電電力Wdが発電をしていない。そのため、蓄電池50が充電を行うことは発生し得ない。従って、制御部120は、取得された充電電力Wcの値が誤検出によるものであると判断して、蓄電池50において充電が行われていないことを示すように、基準値m=0と補正する。
一方、制御部120は、基準値mが0以下であると判断した場合(ステップS311のNo)、基準値mの値を補正することなく、そのまま維持することを決定する(ステップS313)。これは、充放電電力Wcの値が誤検出によるものではないという判断に基づくものである。なお、基準値mが0以下であるということは、蓄電池50が充放電をしていないか、又は放電をしていることを示している。
上述のようにして、基準値l、m及びnの値を決定した後、制御部120は、負荷電力に対応する基準値Lを算出する(ステップS314)。具体的には、基準値n=0であるため、制御部120は、L=l−mという計算式により、基準値Lを算出する。
そして、制御部120は、ステップS213と同様にして、上述のようにして決定した基準値L、l、m及びnに基づいて、出力内容を決定する(ステップS315)。
次に、ステップS106で実行される待機モード時の制御フローの詳細について説明する。図10は、制御部120が実行する待機モード時の制御フローの一例を示すフローチャートである。
図10のフローにおいて、ステップS401からステップS403は、それぞれ図10のフローのステップS301からステップS303と同様であるため、ここでは説明を省略する。
制御部120は、ステップS403で基準値n=0と決定した後、基準値lが0以上であるか否かを判断する(ステップS404)。
制御部120は、基準値lが0以上であると判断した場合(ステップS404のYes)、基準値mが0より大きいか否かを判断する(ステップS405)。
制御部120は、基準値mが0より大きいと判断した場合(ステップS405のYes)、基準値lの値を補正することなく、そのまま維持することを決定する(ステップS406)。この場合、基準値l及び基準値mは、発電電力Wdが負方向であり、充放電電力Wcが充電していることを示している。そのため、制御部120は、発電設備40の発電電力Wdによって蓄電池50が充電されていると判断し、発電電力Wdの値が誤検出によるものではないと判断して、ステップS407を行う。
ステップS406に続いて、制御部120は、基準値mが基準値lよりも大きいか否かかを判断する(ステップS407)。
制御部120は、基準値mが基準値lよりも大きいと判断した場合(ステップS407のYes)、基準値mを基準値lと同じ値にする補正を行う(ステップS408)。基準値mが基準値lよりも大きいということは、すなわち蓄電池50の充電電力Wcが、発電設備40による発電電力Wdを上回っていることを意味するが、発電電力Wd以上の電力を充電することは発生し得ない。そのため、制御部120は、取得された充放電電力Wcの値が誤検出によるものであると判断して、基準値mを基準値lと同じ値に補正することにより、充電電力Wcの値を発電電力Wdと一致させる。
一方、制御部120は、基準値mが基準値l以下であると判断した場合(ステップS407のNo)、基準値mの値を補正することなく、そのまま維持することを決定する(ステップS409)。これは、充放電電力Wcの値が誤検出によるものではないという判断に基づくものである。
制御部120は、ステップS405において、基準値mが0以下であると判断した場合(ステップS405のNo)、基準値lの値をl=0に補正する(ステップS410)とともに、基準値mの値をm=0に補正する(ステップS411)。この場合、補正前の基準値l及び基準値mは、発電電力Wdが負方向であり、蓄電池50が放電であることを示している。しかしながら、待機モードにおいて、発電電力Wdが負方向つまり発電を行い、蓄電池50が放電を行うということは発生し得ない。そのため、制御部120は、取得された発電電力Wd及び充放電電力Wcの値が誤検出によるものであると判断して、基準値l及び基準値mを0に補正する。
制御部120は、ステップS404において、基準値lが0以下であると判断した場合(ステップS404のNo)、基準値lが0であるか否かを判断する(ステップS412)。
制御部120は、基準値lが0であると判断した場合(ステップS412のYes)、基準値lの値を補正することなく、そのまま維持することを決定する(ステップS413)とともに、基準値mの値をm=0に補正する(ステップS411)。この場合、基準値l=0であるため、発電設備40は発電していない。従って、蓄電池50による充電も行われていないことから、これに整合させるために、基準値m=0に補正を行う。なお、基準値mの値がそもそも0である場合には、制御部120は補正を行わなくてもよい。
一方、制御部120は、基準値lが0でないと判断した場合、つまり基準値lが0未満であると判断した場合(ステップS412のNo)、基準値lの値をl=0に補正する(ステップS414)。ステップS204で説明したように、発電設備40が電力を消費することはないため、発電設備40の電力が正方向となることはない。従って、制御部120は、取得された発電電力Wdの値が誤検出によるものであると判断して、l=0(つまりWd=0)に補正する。
また、制御部120は、ステップS414に続いて、基準値mの値をm=0に補正する(ステップS411)。この場合、発電設備40が発電を行っていないため、蓄電池50による充電も行われていないことから、これに整合させるために、基準値m=0に補正を行う。
上述のようにして、基準値l、m及びnの値を決定した後、制御部120は、負荷電力に対応する基準値Lを0として決定する(ステップS415)。待機モードにおいては、負荷70に電力が供給されないため、負荷電力の基準値Lは必ず0となるためである。
そして、制御部120は、ステップS213と同様にして、上述のようにして決定した基準値L、l、m及びnに基づいて、出力内容を決定する(ステップS416)。
上述のように、図8から図10のいずれかにより決定された出力内容は、制御部120から表示部140に送信され、表示部140は、取得した出力内容に基づいて、電力に関する情報を表示する。
図11は、表示部140に表示される表示画面の一例である。図11に示すように、表示部140には、図案化された系統20と、発電設備40と、蓄電池50と、需要家施設90とが表示され、これらは、電力経路を示す線で結ばれている。なお、本来、需要家施設90は発電設備40及び蓄電池50を含むものであるが、電力の流れをわかりやすくするために、図11では需要家施設90は燃料電池60及び負荷70の電力を表すものである。これに限定されず、燃料電池60及び負荷70は別々のアイコンでそれぞれ表示してもよい。電力経路を示す線上には、電力の情報として、電力の流れが、例えばアニメーションで表示される。表示部140は、例えば電力経路を表す線上に、電力の大きさを示す数値を併せて表示してもよい。また、本実施形態では、図11に示されるように、表示部140には、発電設備40の発電電力及び蓄電池50の充電量等が、数値により表示される。
なお、電力の流れは、上述したアニメーションに限られず、例えば矢印等、方向を示すことが可能な任意の方法により表示されてもよい。また、電力の大きさは、数値の他、例えば、電力の流れを示す矢印の大きさ又は太さ等で表してもよいし、アニメーションの動きの速さなどで表してもよい。
このように、本実施形態に係る情報処理装置100によれば、取得した測定電力情報に応じて、電力制御システム10における電力に関する情報に関する出力内容を決定するため、決定された出力内容と、実際の電力制御システム10における電力に関する情報との差異を低減できる。従って、情報処理装置100によれば、需要家が理解しやすい情報を出力可能である。特に、情報処理装置100は、電力制御システム10の系統20との接続状態及び電力制御システム10の運転モード等に応じて補正を行っているため、測定電力情報のうち実際には発生し得ない電力に関する情報を排除しやすくなるため、測定電力情報に含まれる誤検出の情報を排除しやすくなる。そのため、決定された出力内容と、実際の電力制御システム10における電力に関する情報との差異を低減できる。
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形又は変更が可能である。例えば、各構成部等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
例えば、上記実施形態では、情報処理装置100は、表示部140に表示を行うことにより電力に関する情報を出力していたが、電力に関する情報の出力は、表示部140が行う表示に限らない。電力に関する情報の出力は、需要家が認知可能な他の方法、例えば音声等により出力されてもよい。