JP6580953B2 - 磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、磁気共鳴イメージング装置に関する。
磁気共鳴イメージングは、静磁場中に置かれた被検体の原子核スピンを、そのラーモア(Larmor)周波数のRF(Radio Frequency)パルスで磁気的に励起し、励起に伴い発生する磁気共鳴信号のデータから画像を生成する撮像法である。磁気共鳴イメージングでは、被検体の生体組織に吸収されるRFパルスのエネルギーの指標である比吸収率(Specific Absorption Ratio:SAR)が、所定以下に抑えられることが求められている。
米国特許第6759847号明細書 米国特許第6762605号明細書 米国特許第6841999号明細書 米国特許第7282914号明細書
G. B. Haycock et al., "Geometric method for measuring body surface area: A height-weight formula validated in infants, children, and adults", The Journal of Pediatrics 93:62-66 (1978) Verbraecken et al., "Body surface area in normal-weight, overweight, and obese adults. A comparison study", Metabolism Clinical and Experiment 55:515-524(2006) Livingston et al., "Body surface area prediction in normal-weight and obese patients", Am J Physiol Endocrinol Metab 281:E586-E591 (2001) Murbach et al., "Whole-Body and Local RF Absorption in Human Models as a Function of Anatomy and Position within 1.5T MR Body Coil", Magnetic Resonance in Medicine 71:839-845(2014)
本発明が解決しようとする課題は、比吸収率を効果的かつ効率的に決定することができる磁気共鳴イメージング装置を提供することである。
実施形態の磁気共鳴イメージング装置は、設定部と、比吸収率計算部と、制御部とを備える。設定部は、被検体の体表面積に基づいて、高周波コイルに供給される総電力と、前記被検体に吸収される電力との間の電力比を設定する。比吸収率計算部は、設定された前記電力比と、前記高周波コイルに供給される総電力とに基づいて、比吸収率を計算する。制御部は、計算された前記比吸収率に基づいて、前記高周波コイルから送信される高周波パルスの送信を制御する。
図1は、実施形態に係るMRIシステムの構成例を示すブロック図である。 図2は、実施形態に係るMRIシステムの処理手順を示すフローチャートである。 図3は、実施形態に係る体表面積と電力比との対応情報を生成する処理を示すフローチャートである。 図4は、実施形態に係る体表面積と電力比との関係を決定するための処理を説明するための図である。 図5は、実施形態に係る体表面積と電力比との関係を決定するための処理を説明するための図である。 図6は、実施形態に係る体表面積と電力比との関係を決定するための処理を説明するための図である。 図7は、実施形態に係る体表面積と電力比との関係を記憶するメモリにおけるデータ構造の一例を示す図である。 図8は、実施形態に係る送信コイルの電力損失を決定するために用いることができる電流検出環の一例を示す図である。
本明細書に開示する主題の例示的な実施形態は、画像収集中に比吸収率(Specific Absorption Rate:SAR)をより効果的かつ効率的に決定するMR(Magnetic Resonance)イメージングを提供する。実施形態では、SARは各被検体(患者)に合わせたやり方で計算されるため、被検体の安全も確保しつつ、従来技術に比べてスキャニングの効率を向上させることができる。
MRI(Magnetic Resonance Imaging)スキャニングは、被検体の身体に向けられるRF(Radio Frequency)パルスの送信を伴う。一般的には、RFパルスは、所定のパルスシーケンスに基づいて送信される。送信されるパルスのRFエネルギーの一部は、身体(例えば、特に身体組織)に吸収されることがある。そのようなRFエネルギーの吸収は、被検体の身体における体幹(全身)及び/又は局所領域の温度を上昇させる可能性がある。
結果として生じる加熱効果及び潜在的な傷害リスクのため、組織内のRFエネルギーの蓄積は、MRIスキャンにとって重大な安全上の懸案事項である。したがって、スキャニングの処理は、一般的には、結果として生じる温度上昇をある限度内に保つように制御される。しかし、スキャニング中に組織の温度を直接監視する代わりに、スキャニングの処理を制御する際にSARが用いられる。多くの実施態様において、スキャニングの前に、SAR閾値を超えないようにパルスシーケンスが構成されてから、スキャニング中に、結果として得られるSARが、1つ以上の閾値以下に留まっていることを確認するために、監視(モニタ)される。
パルスシーケンスの構成は、SAR閾値の影響を受けることがある。さらに、イメージングスピード(例えば、TR当たりのスキャンされるスライス数)は、SARによって制限されることが多い。したがって、SAR閾値を効率的に使用することで、より速くより効率的なスキャニングを行うことができる。
SARは、単位体重(一般的にはkg)当たりに吸収される電力(一般的には[W])として定義される。1[W/kg]のSARは、断熱されたスラブの温度上昇が約1℃/hあることを示す。電力蓄積及びSARは、種々の要因(被検体の体形/体格、イメージングランドマーク(撮像領域)等)によって大きく変化する可能性があり、一般化することが難しい。
MRIにおけるSARの計算には、全米電機製造業者協会(National Electrical Manufacturers Association:NEMA)規格公開MS8−2008で説明するようなパルスエネルギー法が一般に使用されている。自明であるように、MRI中の被検体に対するダメージを防止するようにSARを限定する安全衛生規格が定められている。NEMA規格では、下記の式(1)に示すように、RFコイルに供給される総RF電力(Ptotal)からRFコイル(Pcoil)に吸収されるRF電力を引き、その差を被検体の重量で割ることによって、被検体に吸収された電力を計算する。なお、Pcoilは、種々のスキャン条件によって大きく変動する。
Figure 0006580953
様々なイメージング対象においてSARは非常にばらついているため、MRスキャナに基づくSAR計算には、全ての被検体を保護するために過度の安全域が設けられることが多いため、イメージング性能が低下する。従来技術には、多くの異なるスキャン条件をカバーするために事前に計算された膨大なデータベースに最も一致するものとして、SARを決定するものもある。しかし、実際の撮像対象は、データベースのいかなる点とも実質的に異なることがあるため、過度の安全域でも対象のばらつきを説明するために必要となり得る。過度の安全域は、SARの過小評価によって被検体の安全が決して損なわれることがないようにするためのものである。SARに関する傷害を低減する上で効果的かもしれないが、そのような過度の安全域は、イメージング性能及び効率を低下させる。
従来のMRスキャナ用にSARを監視して計算するいくつかの技術が、特許文献1〜4に記載されている。特許文献1には、プリスキャンを用いて所望の被検体の位置を予備計測し、測定された被検体の位置をSARの計算に用いることが記載されている。特許文献2には、被検体に吸収されたRF電力を時間と共にログ記録して、その結果、性能履歴を生成する技術が記載されている。この履歴は、SARを予測するために、計算された電力値を時間と共に、将来にわたって示す。特許文献3には、複数の測定状況についてSAR値を事前に計算して記憶し、現在のスキャニング条件に応じて、事前に記憶されたSARのうち最も適合するものを用いる技術が記載されている。特許文献4には、被検体の頭部からつま先までの位置毎に必要なフリップ角を生成するために必要な電力を決定し、次に撮像対象の位置に対応するモデルにおけるSAR値を求め、これに応じてRF送信のデューティサイクルを調整することが記載されている。
従来技術とは対照的に、本明細書の例示的な実施形態は、特定のランドマークにおけるRF吸収と体表面積(Body Surface Area:BSA)との関係に基づいて、特定の被検体のSARを決定する。このBSAとRF吸収との関係は、イメージング対象の負荷を従来技術におけるよりも正確に反映し、起こり得る誤操作を低減するためにも役立つ。
図1は、実施形態に係るMRIシステムの構成例を示すブロック図である。図1に示すMRIシステムは、ガントリ10(概略断面で示す)と、これに接続された各種の関連するシステム構成要素20とを有する。少なくともガントリ10は、一般的には、シールドルーム内に配置される。図1に示すMRIシステムの構造は、実質的に同軸の円筒形に配置された静磁場B磁石12と、Gx、Gy、Gzの傾斜磁場コイル14と、大型の全身用高周波(Radio Frequency:RF)コイル(Whole Body RF Coil:WBC)16とを有する。この円筒形に配置される要素の横軸に沿って、寝台11により支持される被検体9の関心構造(すなわち、関心領域(Region of Interest:ROI))を実質的に取り囲むものとして、イメージングボリューム18が示される。
実施形態によっては、イメージングボリューム18がより小さいアレイRFコイルにより取り囲まれる領域を含むように、より小さいアレイRFコイル(図示せず)を被検体9の一部分に設置してもよい。当業者であればわかるように、全身用RFコイル(Whole Body Coil:WBC)16と比べて、表面コイル等のような比較的小さいコイル及び/又はアレイは、特定の身体の部位(例えば、腕、肩、肘、手首、膝、脚、胸、脊柱)に合わせて作られることが多い。そのようなより小さいRFコイルを、本明細書ではアレイコイル(Array Coil:AC)又はフェーズドアレイコイル(Phased Array Coil:PAC)と呼ぶ。これらは、イメージングボリューム18内にRF信号を送信するように構成された少なくとも1つのコイルと、イメージングボリューム18からRF信号を受信するように構成された1つ以上の受信コイルとを含んでもよい。
MRIシステムコントローラ22は、ディスプレイ24、キーボード26、及びプリンタ28に接続された入出力ポートを有する。当然のことながら、ディスプレイ24は、制御入力もできるようにタッチスクリーンタイプのものでもよい。
MRIシステムコントローラ22又はMRIシステムコントローラ22に連結されたコンピュータを操作して、インストールされたソフトウェアプログラムに従って、パルスシーケンス及び/又はシステム全体の作業の管理に関する情報を、MRIシーケンスコントローラ30に供給してもよい。また、MRIシステムコントローラ22は、自動音声合成技術を用いて生成された音声メッセージにより、例えば、息止め等のタスクを行うように被検体9に指示する要素として機能してもよい。
MRIシステムコントローラ22は、MRIシーケンスコントローラ30と接続して動作し、さらにMRIシーケンスコントローラ30が、Gx、Gy、Gz傾斜磁場コイルドライバ32、ならびにRF送信機34及び送受信スイッチ(T/R)36(同一のRFコイルが送信と受信の両方に使用される場合)を制御する。MRIシーケンスコントローラ30は、MRIイメージング(核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance:NMR)イメージングとしても知られている)技術を実行するための適切なプログラムコード構造38を含む。MRIイメージング技術は、例えば、パラレルイメージングシーケンス及び/又は他のイメージングシーケンスを含んでもよい。
パルスシーケンスの情報は、パルスシーケンスに応じてGx、Gy、Gz傾斜磁場コイルドライバ32、ならびにRF送信機34及び送受信スイッチ36(同一のRFコイルが送信と受信の両方に使用される場合)を動作させるために必要な情報を含む。そのような情報は、xコイル、yコイル、zコイルに印加されるパルス電流の強度と、継続時間と、印加タイミングとを含む。また、デューティサイクル又はTRは、MRIシステムコントローラ22及び/又はMRIシーケンスコントローラ30により制御される。パルスシーケンスとデューティサイクル等の送信は、例えば、SARを決定して監視するための、及び/又は、SARを制御するためのプログラムコードに基づいて、MRIシステムコントローラ22、MRIシーケンスコントローラ30、及び/又はMRIデータプロセッサ42により制御してもよい。例えば、図2に関して以下に説明する処理200等の方法を、MRIシステムコントローラ22、MRIシーケンスコントローラ30、及び/又はMRIデータプロセッサ42により実行することができる。
MRIシステムは、ディスプレイ24に送られる処理画像データを生成するために、MRIデータプロセッサ42に入力を与えるRF受信機40を含む。また、MRIデータプロセッサ42は、MRI目盛り(システム構成パラメータ)46と、画像再構成用プログラムコード構造44と、プログラム/データ記憶装置50とにアクセスできるように構成される。また、画像再構成用プログラムコード構造44及びプログラム/データ記憶装置50は、MRI画像を再構成するための制御ロジックに加え、全身用RFコイル16やその他の受信コイルからMRデータを取得するための制御ロジックを含んでもよい。また、MRIデータプロセッサ42は、図3に示す処理300等の方法、又はその一部を実行するよう動作して、SARの決定において次に用いるための電力比にBSAを関連付けるデータを取得し、処理し、格納してもよい。
RF送信機34、送受信スイッチ36、及びRF受信機40は、WBC16から離れて位置するものとして図1に示されているが、実施形態によっては、それらのいずれも、WBC16やその他のRFコイルのごく近く又は表面に位置してもよい。
また、図1に、MRIシステムのプログラム/データ記憶装置50の一般的な説明を示す。プログラム/データ記憶装置50において、(例えば、画像を再構成するための、グラフィカルユーザーインタフェース(Graphical User Interface:GUI)を定義してGUIへの操作者の入力を受け付けるための、SARを決定し監視するための、BSAを決定するための、SARに基づいてMRIシステムを制御するための)格納されているプログラムコード構造と、設定された又は所定のデータ(例えば、BSAと電力比との関係表、SAR閾値、パルス電力の波形)とが、MRIシステムの種々のデータ処理構成要素にアクセスできる非一時的コンピュータ可読記憶媒体に格納される。当業者であればわかるように、プログラム/データ記憶装置50は、分割され、通常操作においてそのような格納されたプログラムコード構造を直ちに必要とするシステム構成要素20の処理コンピュータの別々のものに、少なくとも部分的に直接接続されてもよい(すなわち、共通で格納されMRIシステムコントローラ22に直接接続されるのではなく)。
実際に、当業者であればわかるように、図1は、後述する例示的な実施形態を実現するために変更された典型的なMRIシステムの、非常に大まかな概略図を示したものである。システム構成要素20は、様々な論理集合の「ボックス」に分割することができ、一般的には、多数のデジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor:DSP)と、マイクロプロセッサと、専用処理回路(例えば、高速A/D変換用、高速フーリエ変換用、アレイ処理等用)とを含む。これらのプロセッサの各々は、一般的には、クロック制御された「状態マシン」であり、物理データ処理回路は、クロックサイクル(又は、所定数のクロックサイクル)毎に、ある物理状態から別の物理状態に移る。
処理回路(例えば、CPU、レジスタ、バッファ、演算装置)の物理状態が、操作過程において、あるクロックサイクルから別のクロックサイクルに徐々に変化するだけでなく、関連するデータ記憶媒体(例えば、磁気記憶媒体内のビット記憶場所)の物理状態も、このようなシステムの操作過程において、ある状態から別の状態に変換される。例えば、画像再構成処理や、時としてコイル感度マップ生成処理の終わりに、物理的な記憶媒体内のコンピュータに読み取り可能でアクセス可能なデータ値の記憶場所の配列は、ある先行状態(例えば、全て一様に「0」値、又は全て「1」値)から新しい状態に変換され、そのような配列における物理的場所の物理状態は、最小値と最大値との間で変化して、実世界の物理的事象及び物理的条件(例えば、イメージングボリューム18内の被検体9の内部物理構造)を表す。当業者であればわかるように、そのような記憶データ値の配列は、命令レジスタに順次読み込まれ、MRIシステムのシステム関連要素20の1つ以上のCPUによって実行されたとき、MRIシステム内で特定のシーケンスの動作状態を引き起こし遷移させる特定構造のコンピュータ制御プログラムコードと同様に、物理的構造を表し構成する。
図2は、実施形態に係るMRIシステムの処理手順を示すフローチャートである。図2は、1以上の実施形態に係る、MRIスキャニング中にSARをより効果的かつ効率的に決定するための処理200のフローチャートを示す。ステップS202〜S226は、図1に示すMRIデータプロセッサ42、MRIシステムコントローラ22、及び/又はMRIシーケンスコントローラ30によって、実行及び/又は制御されてもよい。
SAR決定プロセスを開始すると、ステップS202において、被検体に関する情報(被検体情報)(例えば、MRIスキャニングにかけられる被検体で、イメージング対象とも呼ぶ)及びMRIシステムに関する情報(システム関連情報)が、MRIシステムに与えられる。つまり、MRIシステムコントローラ22は、被検体情報及びシステム関連情報を受け付ける。被検体情報は、被検体の体重や身長等の被検体のパラメータを含む。一般的には、被検体情報は、操作者によってMRIシステムに入力されるが、少なくとも一部の被検体情報の自動送信(例えば、被検体の体重が計量器によってシステムに自動的に送信される)が実施形態として考えられる。
システム関連情報は、被検体に印加されるパルスシーケンスと、スキャン対象の1つ以上の解剖学的ランドマーク(撮像領域を指定するためのランドマーク)とを含んでもよい。実施形態によっては、パルスシーケンスは、複数の格納されたパルスシーケンスから選択される。実施形態によっては、ユーザーがパルスシーケンスを規定し、又は格納されたパルスシーケンスの一部を修正することができる。操作者によって与えられる及び/又は修正される被検体情報及びシステム関連情報は、メモリ(例えば、スキャナデータベース)内に保存してもよい。
ステップS204において、被検体情報に基づいてBSA値が計算される。つまり、体表面積計算部としてのMRIシステムコントローラ22は、被検体9の体表面積を計算する。実施形態によっては、BSAは、被検体の体重と身長の両方を用いて計算される。例えば、1つの実施形態では、BSAは、下記の式(2)で計算される。
Figure 0006580953
式(2)は、非特許文献1に記載の技術に基づく。あるいは別の技術を用いて、被検体の体重及び身長を含む被検体に関する情報からBSAを決定してもよい。BSAを計算するための別の技術の例が、非特許文献2及び非特許文献3で述べられている。
他の実施形態には、BSAは身長を用いずに計算することができるものもある。例えば、下記の式(3)等の、身長に依存しないBSA式を用いてもよい。
Figure 0006580953
式(3)によると、m単位のBSAを、kg単位で表された被検体の体重だけに基づいて決定することができる。BSAを決定する上記技術は一例であり、被検体の体重と、少なくとも一部の実施形態では被検体の身長とを含む被検体に関する情報に基づいて、被検体のBSAを決定する他の方法を使用することも考えられる。
また、例えば、体表面積計算部としてのMRIシステムコントローラ22は、被検体9について事前に得られた磁気共鳴信号の情報に基づいて、体表面積を推定してもよい。ここで、磁気共鳴信号の情報としては、例えば、位置決め撮像やプレスキャン等によって得られた位置決め画像やプロファイル等が利用可能である。つまり、位置決め画像から得られる情報と体表面積との関連を予め定義しておくことで、MRIシステムコントローラ22は、被検体の位置決め画像から体表面積を推定可能となる。
ステップS206において、スキャニング用のイメージングランドマークが選択される。つまり、MRIシステムコントローラ22は、ランドマークの選択を受け付ける。ランドマーク(「イメージングランドマーク」と呼ぶこともある)は、スキャン対象となる被検体9の身体の一部である。高い頻度でスキャンされるイメージングランドマークの例として、頭部、肩、腹部、骨盤、膝、足等が挙げられる。MRIシステムによっては、所定の1セットのランドマークに対する一部の設定を、事前に設定してよいものもある。所定の設定は、事前設定されたセットのランドマーク毎に、RF送信コイルに対する被検体の位置及び/又はベッドの位置を含んでもよい。1つのランドマークだけをスキャンする場合、選択されたランドマークが唯一のスキャン対象のランドマークとなる。ランドマークは、例えば、WBCに対する、又は実施形態によっては別のRF送信コイルに対する被検体位置に基づいて、操作者によって指定されてもよく、又はシステムによって自動的に決定されてもよい。例えば、送信コイルの中心に最も近いランドマークを、選択ランドマークとして選んでもよい。例示的な実施形態では、選択ランドマークを決定する際に、プリスキャン、画像解析、及び/又は操作者入力を用いてもよい。なお、異なる被検体のベッド上の配置は一定ではなく、十分に同様であることもないため、RF送信コイルに対する位置は、ベッドの位置よりも実際の被検体9の位置とするのが好ましい。
2つ以上のランドマークをスキャンする場合、システムは、(例えば、スキャニングを開始した身体の部位から始まって)頭部からつま先までの所望のサブセットのランドマークから各ランドマークを、選択ランドマークとして順次選んでもよい。また、複数のランドマークをスキャンする他のシーケンスも、実施形態として考えられる。
ステップS208において、メモリ内のデータ構造は、選択ランドマーク(例えば、ランドマークi)及び計算されたBSAに基づいてアクセスされる。一実施形態では、複数のランドマークそれぞれに対して、表又は他のデータ構造がメモリに格納される。表又は他のデータ構造は、対応するランドマークに対して、BSAを電力比に関係付ける情報を含むことになる。上記のように、ランドマークiに対する電力比PRは、RF送信コイルに供給され被検体9内に蓄積される総電力のうちの選択ランドマークに対する部分を示す。電力比は、RFコイルへの被検体9の配置を反映し(例えば、より大柄な被検体9は、より大きな電力をコイルから受ける)、BSAに対して強い線形関係を示す。つまり、MRIシステムコントローラ22は、体表面積と、その体表面積に対応する電力比との対応関係を示す対応情報をメモリから読み出す。具体的には、MRIシステムコントローラ22は、複数の撮像領域それぞれにおける、複数の体表面積と、各体表面積に対応する前記電力比との対応関係を示す対応情報を読み出す。
表又は他のデータ構造は、選択ランドマークに対してBSAを電力比に関係付ける線形関数の傾きと切片にそれぞれ対応するaとbを与える。例えば、ランドマークiに対する表又は他のデータ構造によって与えられるaとbは、下記の式(4)を満たすものとなり得る。
Figure 0006580953
例示的な表又は他のデータ構造700は、図7との関連で記載されている。図4〜6は、実施形態に係る体表面積と電力比との関係を決定するための処理を説明するための図である。図7は、実施形態に係る体表面積と電力比との関係を記憶するメモリにおけるデータ構造の一例を示す図である。
ステップS210において、ステップS208でメモリから抽出された情報(対応情報)に基づいて、電力比(例えば、PR)が、被検体及び選択されたランドマーク(例えば、ランドマークi)に対して計算される。具体的には、格納された表又は他のデータ構造から抽出されたa及びbを用い、また上記の式(4)を用いて、MRIシステムは、PRを決定することができる。つまり、設定部としてのMRIシステムコントローラ22は、体表面積に基づいて、高周波コイルに供給される総電力と、被検体に吸収される電力との間の電力比を設定する。例えば、MRIシステムコントローラ22は、複数の体表面積と、各体表面積に対応する電力比との対応関係を示す対応情報に基づいて、電力比を設定する。更に、MRIシステムコントローラ22は、被検体の撮像領域を用いて、電力比を設定する。具体的には、MRIシステムコントローラ22は、複数の撮像領域それぞれにおける、複数の体表面積と、各体表面積に対応する電力比との対応関係を示す対応情報に基づいて、電力比を設定する。
次に、最初のSARが決定される。実施形態によると、最初のSARは、下記の式(5)により決定される。
Figure 0006580953
式(5)において、Ptotalは、RF送信コイルに供給される総電力であり、PRは電力比、すなわちイメージング対象内に蓄積されるPtotalのうちのi番目のイメージングランドマークに対する部分であり、Wは通常はkgの単位で示すイメージング対象(被検体9)の重量である。
RFのデューティサイクルを、事前に格納されたデータから探索してもよく、実行中に計算してもよく、又は、事前に格納されたデータと実行中に計算されたデータとの組み合わせを用いて決定してもよい。実施形態によっては、例えば、個々のパルス情報を事前に格納してもよいが、パルスシーケンスの情報は探索される情報に基づいて決定される。例えば、プリスキャン又はその他の測定に基づいて、特定の個々のパルスに関連付けられた電力測定値を、被検体のスキャンの前に決定して格納しておくことが可能であり、スキャンニング中にパルスシーケンスに対して電力を計算する際に用いることができる。
RF送信コイルに供給される実際の電力を決定することができるように、スキャニングはまだ開始されていないため、上記操作で用いられるPtotalは推定値であってもよい。Ptotalの推定は、予定のパルスシーケンスと、パルス毎の推定電力とに基づいてもよい。
つまり、ステップS212において、MRIシステムコントローラ22は、最初の送信RF電力(Ptotal)を決定する。例えば、MRIシステムコントローラ22は、上述したように、プリスキャン又はその他の測定を行って、送信RF電力(Ptotal)を決定する。このプリスキャンでは、例えば、一定のフリップアングルを得るために要する送信RF電力が測定される。この送信RF電力は、例えば、被検体9の体厚などの条件によって変化する。
決定された推定Ptotalを用いて、ステップS214において、式(5)を用いて、推定Ptotalの送信により予測されるSAR(予測SAR)が計算される。つまり、MRIシステムコントローラ22は、予測SARを計算する。
予測SARを計算した後、処理200は、ステップS216に進む。ステップS216において、式(5)を用いて計算された予測SARが指定のSARの閾値よりも大きい場合、操作者に通知してもよく、操作者は予測SARを下げるためにパルスシーケンス及び/又はデューティサイクル等を変更してもよい。
つまり、ステップS217として、MRIシステムコントローラ22は、SARを下げるための処理を実行する。例えば、MRIシステムコントローラ22は、デューティサイクルが低下するように、パルスシーケンスの条件を変更する。具体的には、MRIシステムコントローラ22は、スライス数を減少させたり、TR(Repetition Time)間隔を広げたり、フリップアングルを低下させたりすることにより、デューティサイクルを低下させ、SARを低下させる。変更後、処理200は、ステップS216において予測SARがSAR閾値よりも小さいと判断されるまで、ステップS217及びステップS214の処理を繰り返し実行する。
ステップS218において、被検体9のスキャンが開始される。スキャンは1つ以上の所定のパルスシーケンスに従ってもよい。つまり、MRIシステムコントローラ22は、被検体のスキャンを開始する。例えば、MRIシステムコントローラ22は、選択されたランドマークのスキャンを開始する。
スキャン中、ステップS220において、コイルから送信されるRF電力に関する情報が取得される。一実施形態によると、送信される電力は、RF送信機から出力される電力からケーブル損失分を調整して決定される。例えば、(例えば、RFアンプを含む)RF送信機34から出力される電力の値は、ケーブルの種類(例えば、同軸)と長さに応じて、減衰値に対して調整される。別の実施形態では、RFコイルに供給される電力を監視するために電力計を用いてもよい。つまり、モニタ部としてのMRIシステムコントローラ22は、高周波コイルに供給される総電力をモニタする。
ステップS222において、式(5)とステップS220で決定されたPtotalを用いて、スキャニングの現段階のSARが計算される。つまり、MRIシステムコントローラ22は、現在のSARを計算する。言い換えると、比吸収率計算部としてのMRIシステムコントローラ22は、設定された電力比と、モニタされた総電力とに基づいて、比吸収率を計算する。具体的には、MRIシステムコントローラ22は、設定された電力比と、モニタされた総電力と、被検体の体重とに基づいて、比吸収率を計算する。具体的には、MRIシステムコントローラ22は、設定された電力比と、モニタされた総電力と、被検体の体重と、被検体の撮像に用いられるパルスシーケンスに基づいて、比吸収率を計算する。
ステップS224において、計算されたSARが指定のSAR閾値以上であるか否かが判断される。つまり、MRIシステムコントローラ22は、計算されたSARが閾値以上であるか否かを判定する。
SARが閾値を超えている場合、ステップS225において、スキャニングを停止するために、又は、次に、SARを指定の閾値未満になるようスキャニングが制御されるように、システムパラメータを変更するために、作業を開始させてもよい。一実施形態によると、SARが閾値を超えていると検知されると、システムがスキャニングを自動的に停止させる。次に、より低いSARが得られる見込みのあるパルスシーケンスパラメータを用いてスキャニングを再開することができるように、操作者がスキャナパラメータを調整してもよい。この調整の例としては、デューティサイクルの変更やパルスシーケンスの変更等が挙げられる。つまり、MRIシステムコントローラ22は、SARを下げるための処理を実行する。例えば、MRIシステムコントローラ22は、SARが閾値以上であると判定すると、SARを下げるために、実行中のパルスシーケンスを一時的に中断する。そして、MRIシステムコントローラ22は、数秒〜数分間経過した後、中断したパルスシーケンスを再開させる。ここで、パルスシーケンスを中断するのは、SARが所定期間におけるエネルギーの吸収率として算出されるからである。つまり、パルスシーケンスを一定期間中断し、RFパルスを印加しない期間を設けることにより、SARを低下させることができる。
別の実施形態によると、SARが閾値を超えていると検知されると、システムは操作者に通知し、操作者がスキャニングパラメータを調整できるようにして、SARが閾値よりも低くなるようスキャナパラメータを調整してもよいようにする。ステップS224においてSARが閾値未満であると判定されると、SARは安全限界内にあると考えられ、パルスシーケンスに変更は加えられない。
各ランドマークiについて、スキャニングプロセスの間に周期的にステップS220〜225が繰り返され、SAR限度に従ってスキャニングが確実に制御される。このように、制御部としてのMRIシステムコントローラ22は、計算された比吸収率に基づいて、高周波コイルから送信される高周波パルスの送信を制御する。
2つ以上のランドマークをスキャンする場合、各ランドマークについて、ステップS206〜226を繰り返してもよい。なお、SARを決定する処理は、被検体のスキャンが終了するまで実行され、被検体のスキャンの終了とともに終了する。
図3は、実施形態に係る体表面積と電力比との対応情報を生成する処理を示すフローチャートである。図3は、BSAと電力比とを関連付ける格納データを設定するための処理300のフロートチャートを示す。実施形態によっては、BSAと電力比との関係を示す表を埋める又は作成するために、処理200の前に処理300を実行することができる。ステップS302〜308は、図1に示すMRIデータプロセッサ42によって実行及び/又は制御されてもよい。
処理300を開始してから、ステップS302において、MRIシステムコントローラ22は、各ランドマークj=1,・・・,nについて、複数のBSAを対応する電力比に関連付けるデータ点を取得する。実施形態によっては、データ点は実験的に取得される。例えば、複数のボランティアの被検体に実験的スキャニングを受けさせて、各被検体に関連付けられる各電力比を決定してもよい。各被検体について、その体重と身長の情報を用いて個々のBSAを計算してもよい。
実験データは、例えば、RFコイル構成要素の近傍に配置された電流検出環(例えば、図8の、直径1〜3cmの環状の電線)を用いて収集してもよい。検出環は、関心のあるRF送信コイル(例えば、WBC)内の電流に比例するB1電磁場を検出する。電流環を、MRI磁気ルームの外側のオシロスコープに同軸ケーブルで接続してもよい。電流検出環の概略図を図8に示す。図8は、実施形態に係る送信コイルの電力損失を決定するために用いることができる電流検出環の一例を示す図である。
空の状態のコイルの電力を決定するために、オイルファントムを磁石の中心に配置して、選択パルスシーケンスを実行することができる。あるRFパルスについての前方の反射されたピーク電力と、この特定パルスに対応するピーク間電圧とを、オシロスコープから同時に記録することができる。ここで、オイルファントム(若しくはオイルキューブ)を用いるのは、水ファントムと異なり、高周波磁場の分布に強弱が現れず、均一になるからである。
中にイメージング対象を配置した状態のコイルによって出力される電力を決定するために、オイルキューブを他のイメージング対象(例えば、ファントム又は被検体)に置き換えることができ、測定が繰り返される。
RF送信コイル、例えば、WBCが空の状態では、総電力はコイルの電力消費に等しい。
Figure 0006580953
ここで、Poil cubeはコイル上の全電流であり、RWBCは全てのWBC損失手段(例えば、全ての銅の構成要素、ケーブル、集中素子における損失、及び放射損失)を含む抵抗である。
損失の大きいイメージング対象(例えば、ファントム又は被検体)をスキャンする場合、全入力電力Ptotalの一部はイメージング対象中に蓄積され(Psub)、残りはコイルによって消費される(Pcoil,loaded)。
Figure 0006580953
また、電力比は、以下となる。
Figure 0006580953
ここで、下記の式(9)が成り立つ。
Figure 0006580953
式(9)において、Isub/Ioil cubeの割合は、コイル素子近くに配置された電流検出環により計測することができるので、電力比は以下のように決定することができる。
Figure 0006580953
ここで、Vsub及びVoil cubeは、それぞれイメージング対象及びオイルキューブがスキャンされる際に電流検出環によって記録される電圧である。Poil cube及びPtotalは、スキャナによって測定された前方の反射された電力を用いて計算することができる。
別の実施形態によると、データ点はシミュレーションにより決定される。さらに別の実施形態では、データ点の一部は実験的に決定され、その他はシミュレーションにより決定される。
ステップS304において、データ点に対して線形近似が実行される。図4は、1つのイメージングランドマークについてBSAを電力比に関連付けるデータ点がプロットされた例示的なグラフ400を示す。図4には、1以上の実施形態に係る、ランドマークについてBSAを電力比に関係付けるデータ点と、線形近似の例とを示すグラフを示す。グラフ400において、BSAはx軸に示され、PRはy軸に示されている。各データ点は異なる人間の被写体を示す。つまり、対応情報は、体表面積と電力比との間の線形関係を示す情報に対応する。
グラフ400において、データ点のそれぞれが近い距離の中にある1本の最適直線402を求めることができる。最適値を求めるために、例えば、最小二乗法等の任意の技術を用いることができる。他の実施形態によっては、1本の直線ではデータ点の全てには当てはまらないような、データ点であってもよい。この場合、区分的な線形近似を行うことができる。区分的な線形近似は、異なる体格の被検体間で大きなばらつきがあるランドマークに対してBSAを電力比に関連付ける上でより正確であることがある。直線402及び/又は式(4)の形の対応する線形式は、特定のランドマークに対するBSAと電力比との間の線形関係を表す。
本発明者らは、多数の実験計測及びシミュレーションを経てBSAと電力比との間の線形関係を発見した。このBSAと電力比との間の線形関係は、SARとBSA等の選択された解剖学的特徴との間でMurbachらによって観測された線形相関に一致している。非特許文献4を参照。
ステップS306において、線形近似に安全域が追加される。安全域は、スキャニングプロセス中にSAR閾値を超える可能性を低減するために設けられる。実施形態によっては、安全域は、測定誤差及び人間の被写体のばらつきをカバーするために決定される。つまり、設定部としてのMRIシステムコントローラ22は、被検体の撮像中に比吸収率が閾値を上回る可能性を低減するための安全域を線形関係に追加した情報に基づいて、電力比を設定する。具体的には、設定部としてのMRIシステムコントローラ22は、線形関係におけるばらつきに基づいて、安全域を追加する。
安全域を強調した直線は、線形式として、又はデータ点に区分的な線形近似を行った場合は2つ以上のセットの線形式として表すことができる。図5に示すグラフ500において、元の線形近似直線502(この例では、直線502は直線402と同じ)と、安全域を含むように直線502を移動させることにより取得した線形近似直線504とが示されている。図5には、1以上の実施形態に係る、許容誤差を説明する線形関係を図4に強調して表示したグラフを示す。グラフで示されているように、安全域強調直線504は、全てのデータ点を含むように設定する必要がある。グラフ500において、安全域強調直線504が設定されると、例えば、全ての他のデータ点と比較して大きく外れた値(例えば、データ点の大部分に対してある範囲の外側にある)に見えるデータ点506も含まれる。
追加される許容誤差は、上記の式(10)で表されるように、コイル電力比に基づいて決定することができる。例えば、式(10)を微分すると、以下の式(11)に示すように、電力比の測定における誤差が得られる。
Figure 0006580953
図6は、2本以上の直線を用いることでBSA対電力比のデータ点に最も適合するようになったランドマークの例を示す。図6には、1以上の実施形態に係る、データ点の一部はシミュレーションによって取得され、その他のデータ点は実験によって取得されたランドマークについての、BSAを電力比に関係付けるデータ点と、区分的な線形近似の例とを示す。示した例600において、低い方のBSA値について線形近似と追加の安全域に基づいて第1の直線602が決定され、高い方のBSA値に対応するデータ点について第2の直線604が決定される。実施形態によっては、最も適合させるために、各BSAの範囲に渡って2〜3本の別々の線形近似が必要となることもある。つまり、設定部としてのMRIシステムコントローラ22は、体表面積と電力比との間の区分線形近似の情報と、区分線形近似に安全域を追加した情報に基づいて、電力比を設定する。
別々の実験及び/又は数値的な電磁シミュレーションにより、電力及び電圧の測定誤差を決定することができる。式(11)に示すように、電力比の測定誤差は各々の場合で異なり、電力及び電圧の測定誤差だけでなく実際に測定される電力値及び電圧値に依存する。実験データをプロットすると、安全域を設定するための参考として、エラーバーを含めて使用することができる。
ステップS308において、BSAを電力比に関連付ける情報が、各ランドマークについてメモリ内の表又は他のデータ構造に格納される。実施形態によっては、ランドマーク毎に個別の表が格納される。表にはBSAを電力比に関係付ける1つ以上の線形式の傾きと切片が格納される。実施形態によっては、2つ以上のランドマークについての情報を、一緒に格納してもよい。例えば、図7のデータ構造(表)700には複数の列があり、各列にそれぞれランドマークが示されている。データ構造(表)700の2行に、ランドマークそれぞれについての傾きと切片が含まれる。つまり、線形関係を示す情報は、体表面積に第1の値を乗算して第2の値を加算した値と電力比とが等しくなる第1の値及び第2の値を含む。
実施形態によっては、操作誤差に対する自己補正を行ってもよい。例えば、式(3)に関して上で述べたように、身長に依存しない関数(例えば、式(3))を用いてBSAを決定してもよい。式(3)を用いてBSAを決定することにより、身長の値を無関係にすることに加え、操作者による誤った体重入力の影響を低減することもできる。式(3)及び(5)に基づいて、(例えば、WBCに対する)SARをPtotal×BSA/Wに近似でき、又はW −0.3534に比例すると見なすことができる。以上のことから、操作者が誤って被検体の体重として2倍の体重を入力したとすると、多くの従来のシステムではSARを50%小さく見積もってしまうが(例えば、式(1)を参照)、実施形態ではこれよりはるかに少なく22%小さく見積もるだけである。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、比吸収率を効果的かつ効率的に決定することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
22 MRIシステムコントローラ

Claims (18)

  1. 被検体の体表面積に基づいて、高周波コイルに供給される総電力と、前記被検体に吸収される電力との間の電力比を設定する設定部と、
    設定された前記電力比と、前記高周波コイルに供給される総電力とに基づいて、比吸収率を計算する比吸収率計算部と、
    計算された前記比吸収率に基づいて、前記高周波コイルから送信される高周波パルスの送信を制御する制御部と
    を備える、磁気共鳴イメージング装置。
  2. 前記高周波コイルに実際に供給された前記総電力をモニタするモニタ部を更に備える、
    請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
  3. 前記設定部は、複数の体表面積と、各体表面積に対応する前記電力比との対応関係を示す対応情報に基づいて、前記電力比を設定する、
    請求項1又は2に記載の磁気共鳴イメージング装置。
  4. 前記設定部は、前記対応情報として、前記体表面積と前記電力比との間の線形関係を示す情報に基づいて、前記電力比を設定する、
    請求項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
  5. 前記設定部は、更に、前記被検体の撮像領域を用いて、前記電力比を設定する、
    請求項1又は2に記載の磁気共鳴イメージング装置。
  6. 前記設定部は、複数の撮像領域それぞれにおける、複数の体表面積と、各体表面積に対応する前記電力比との対応関係を示す対応情報に基づいて、前記電力比を設定する、
    請求項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
  7. 前記設定部は、複数の撮像領域それぞれにおける、前記体表面積と前記電力比との間の線形関係を示す情報に基づいて、前記電力比を設定する、
    請求項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
  8. 前記複数の体表面積、及び、各体表面積に対応する前記電力比は、複数の被検体から測定された値である、
    請求項3,6,7のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
  9. 前記複数の体表面積、及び、各体表面積に対応する前記電力比は、人体モデルのシミュレータから推定された値である、
    請求項3,6,7のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
  10. 前記設定部は、前記被検体の撮像中に比吸収率が閾値を上回る可能性を低減するための安全域を、前記体表面積と前記電力比との間の線形関係に追加した情報に基づいて、前記電力比を設定する、
    請求項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
  11. 前記設定部は、前記体表面積と前記電力比との間の区分線形近似の情報と、当該区分線形近似に前記安全域を追加した情報に基づいて、前記電力比を設定する、
    請求項10に記載の磁気共鳴イメージング装置。
  12. 前記設定部は、前記線形関係におけるばらつきに基づいて、前記安全域を追加する、
    請求項10又は11に記載の磁気共鳴イメージング装置。
  13. 前記体表面積と前記電力比との間の線形関係を示す情報は、前記体表面積に第1の値を乗算して第2の値を加算した値と前記電力比とが等しくなる前記第1の値及び前記第2の値を含む、
    請求項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
  14. 前記比吸収率計算部は、設定された前記電力比と、モニタされた前記総電力と、前記被検体の体重とに基づいて、前記比吸収率を計算する、
    請求項1〜13のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
  15. 前記比吸収率計算部は、設定された前記電力比と、モニタされた前記総電力と、前記被検体の体重と、前記被検体の撮像に用いられるパルスシーケンスに基づいて、前記比吸収率を計算する、
    請求項1〜13のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
  16. 前記体表面積を計算する体表面積計算部を更に備える、
    請求項1〜15のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
  17. 前記体表面積計算部は、前記被検体について事前に得られた磁気共鳴信号の情報に基づいて、前記体表面積を推定する、
    請求項16に記載の磁気共鳴イメージング装置。
  18. 前記高周波コイルに供給される推定電力をプリスキャンに基づいて決定する決定部を更に備え、
    前記比吸収率計算部は、前記電力比と、決定された前記推定電力とに基づいて、比吸収率を計算する、
    請求項1〜17のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
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