本発明の主題の以下の詳細説明は、一例として本発明の主題を実施されるのがよい特定の態様及び実施形態を示す添付の図面を参照する。それらの実施形態を十分に詳細に説明して、当業者が本発明の主題を実施することを可能にする。他の実施形態を利用することができ、構造的、論理的、及び電気的変更は、本発明の主題の範囲から逸脱することなく行うことができる。本発明の開示内の「実施形態」、「一実施形態」、又は「様々な実施形態」への言及は、必ずしも同じ実施形態であるとは限らず、かかる言及は、1よりも多い実施形態を考えている。従って、以下の詳細説明を限定的な意味でとらえるべきではなく、その範囲は、かかる特許請求の範囲が権利を有する法的均等物の全範囲と共に特許請求の範囲によってのみ定められる。
本明細書で説明する様々な実施形態は、脊髄変調に関わる。読者を助けるために、脊髄の生理学の簡単な説明をここで提供する。図1は、一例として、脊髄100の一部分を示し、脊髄100は、脊髄の白質101及び灰白質102を含む。灰白質102は、細胞体、シナプス、樹状突起、及び軸索末端を含む。従って、シナプスは灰白質に配置される。白質101は、複数の灰白質領域を接続する有髄軸索を含む。脊髄の典型的な横断面は、灰白質102の蝶形の中心領域を含み、中心領域は、白質101の楕円形の外側領域によって実質的に包囲される。後柱(DC;dorsal column)103の白質は、主に、軸線方向に延びる求心性繊維を形成する大きい有髄軸索を含む。灰白質の蝶形の中心領域の後方部分は、後角(DH;dorsal horn)104と呼ばれる。軸線方向に延びる後柱(DC)繊維と異なり、後角(DH)繊維は、多方向に配向され、かかる多方向は、脊髄の長手方向軸線に垂直な方向を含む。脊髄神経105の例はまた、後根(DR)105、後根神経節107、及び前根108を含むように示されている。後根105は、主に、感覚信号を脊髄内に搬送し、前根は、遠心性運動根として機能する。後根及び前根が接合されて、混合脊髄神経105を形成する。
脊髄刺激(SCS)は、疼痛を緩和するのに使用されてきた。従来の脊髄刺激(SCS)プログラミングのための治療目標は、図1に示すように、脊髄の長手方向軸線に沿う白質の中を延びる後柱(DC)繊維の刺激(すなわち、動員)を最大にし、脊髄の長手方向軸線に対して垂直に延びる他の繊維(主として後根繊維)の刺激を最小にすることとされてきた。後柱(DC)の白質は、主に、求心性繊維を形成する大きい有髄軸索を含む。疼痛緩和の完全な機構はよく理解されていないけれども、疼痛信号の知覚は、疼痛のゲートコントロール理論を介して抑制されると考えられ、これは、電気刺激を介する無害の接触又は圧力求心性神経の高められた活性化が、抑制性神経伝達物質(「ガンマアミノ酪酸(GABA)」、グリシン)を放出する脊髄の後角(DH)内にニューロン間活性を生成することを示唆し、次に、患者の疼痛領域を神経支配する後根(DR)神経繊維、並びに一般WDR異所性興奮の処置から進む疼痛信号の有害求心性入力に対して広ダイナミックレンジ(WDR)知覚ニューロンの過感度を低下させる。その結果、後柱(DC)神経繊維の大きい知覚求心性神経は、疼痛緩和を提供する振幅の刺激のためのターゲットにされてきた。現在の埋込み可能な神経変調システムは、典型的には、患者の脊髄の後柱に隣接し、すなわち、硬膜の近く又は上にあり且つ患者の脊髄の長手方向軸線に沿って埋込まれた電極を含む。
大きい感覚後柱(DC)神経繊維の活性化はまた、典型的には、在来の脊髄刺激(SCS)システムにしばしば伴う異常感覚を生成する。異常感覚等の代替又は人工感覚は、一般的に、疼痛の感覚に対して耐えられが、患者は、場合によってそれらの感覚を不快であると伝え、従って、それらは、潜在的に神経変調治療に対する逆効果の副作用と考えられる。幾つかの実施形態は、疼痛を処置するのに治療的に有効な知覚以下治療を送出するけれども、例えば、患者は、変調場(例えば、異常感覚)の送出を感知しない。知覚以下治療は、脊髄の比較的高い周波数変調(例えば、約1500Hz又はそれよりも高い数は数)を含んでいてもよく、それにより、柱(DC)の求心性繊維内の疼痛信号の伝達を効果的に遮断する。本明細書の幾つかの実施形態は、知覚以下治療を行うために、後柱(DC)組織よりも後角(DH)組織又は後根(DR)組織を選択的に変調する。かかる選択的変調は、比較的高い周波数で送出されない。例えば、選択的変調は、1,200Hz未満の周波数で送出されるのがよい。幾つかの実施形態では、選択的変調は、1,000Hz未満の周波数で送出されるのがよい。幾つかの実施形態では、選択的変調は、500Hz未満の周波数で送出されるのがよい。幾つかの実施形態では、選択的変調は、350Hz未満の周波数で送出されるのがよい。幾つかの実施形態では、選択的変調は、130Hz未満の周波数で送出されるのがよい。選択的変調は、低周波数(例えば、2Hz程度の低い周波数)で送出されてもよい。選択的変調は、幾つかの神経組織を変調させるために、パルスなし(例えば、0Hz)で送出されてもよい。一例としてかつ限定ではなく、選択的変調は、以下の周波数範囲から選択された周波数範囲で送出されてもよく、かかる周波数範囲は、2Hz〜1,200Hz、2Hz〜1,000Hz、2Hz〜500Hz、2Hz〜350Hz、2Hz〜130Hzである。システムは、任意のこれらの範囲の下端を2Hzから他の周波数まで上昇させるように展開されてもよく、他の周波数は、一例としてかつ限定ではなく、10Hz、20Hz、50Hz、100Hz等である。一例としてかつ限定ではなく、選択的変調は、デューティサイクルを用いて送出されるのがよいことが更に注目されており、この場合、刺激(例えば、パルス列)は、デューティサイクルの刺激オン部分の間、送出され、デューティサイクルの刺激オフ部分の間、送出されない。一例としてかつ限定ではなく、デューティサイクルは、約10%±5%、20%±5%、30%±5%、40%±5%、50%±5%、又は60%±5%であるのがよい。例えば、刺激オン部分の間の10msにわたってパルスのバーストと、それに続くパルスなしの15msは、40%のデューティサイクルに一致する。
図2は、神経変調システムの実施形態を示す。図示のシステム210は、電極211、変調デバイス212、及びプログラミングデバイス213を含む。電極211は、患者の中の1又は2以上の神経ターゲット上又はその近くに配置されるように構成される。変調デバイス212は、電極211に電気的に接続され、電気パルスの形態等の神経変調エネルギを電極211を通して1又は2以上の神経ターゲットに送出するように構成される。神経変調の送出は、複数の変調パラメータを使用することによって制御され、かかる変調パラメータは、電気パルスを特定する変調パラメータ、及び電気パルスの各々を送出する電極の選択等である。様々な実施形態では、複数の変調パラメータの少なくとも幾つかのパラメータは、医師又は他の介護者等のユーザによってプログラミング可能である。プログラミングデバイス213は、ユーザのプログラミング可能なパラメータへのアクセスしやすさをユーザに提供する。様々な実施形態では、プログラミングデバイス213は、有線又は無線リンクを介して変調デバイスに通信可能に結合するように構成される。様々な実施形態では、プログラミングデバイス213は、ユーザがプログラミング可能な変調パラメータの値を設定及び/又は調節することを可能にするグラフィカルユーザインタフェース(GUI)214を含む。
図3は、図2の神経変調システム210に実施されるのがよい変調デバイス312の実施形態を示す。変調デバイス312の図示の実施形態は、変調出力回路315及び変調制御回路316を含む。当業者は、神経変調システム210が、患者用モニタのための感知回路、及び/又は治療のフィードバック制御、遠隔測定回路、及び電源等の追加の構成要素を含んでいてもよいことを理解するであろう。変調出力回路315は、神経変調パルスを生成して送出する。変調制御回路316は、複数の変調パラメータを使用して神経変調パルスの送出を制御する。リードシステム317は、各々が変調デバイス312に電気的に接続されるように構成された1又は2以上のリードと、1又は2以上のリードを使用して電極配列に分配された複数の電極311−1〜311−Nとを含む。各リードは、接点と呼ばれる2又はそれ以上の電極から構成される電極アレイを有するのがよい。複数のリードは複数の電極アレイを提供し、電極配列を提供するのがよい。各電極は、変調出力回路315と患者組織の間に電気的インタフェースを提供する単一導電接点であり、ここで、N≧2である。神経変調パルスは、電極311−1〜311−Nから選択された一連の電極を介して変調出力回路315から各々送出される。リードの数及び各リード上の電極の数は、例えば、神経変調のターゲットの分布及び各ターゲットにある電場の分布を制御する必要性によって決定するのがよい。一実施形態では、一例としてかつ限定ではなく、リードシステムは、各々が8つの電極を有する2つのリードを含む。
神経変調システムは、脊髄ターゲット組織又は他の神経組織を変調させるように構成されてもよい。電気パルスをターゲット組織に送出するのに使用する電極の構成は、電極形態を構成し、電極は、アノード(正)、カソード(負)、又はオフのまま(ゼロ)として作用するように選択的にプログラミングするのがよい。換言すると、電極形態は、正、負、又はゼロである極性を表している。制御又は変更するのがよい他のパラメータは、電気パルスの振幅、パルス幅、及び速度(又は周波数)を含む。電気パルスパラメータと共に各電極形態は、「変調パラメータセット」と呼ばれる。電極のための分割電流分布(パーセントカソード電流、パーセントアノード電流、又はオフとして)を含む各セットの変調パラメータは、変調プログラム内に記憶して組み合わせることができ、これは、次に、患者内の複数の領域を変調させるのに使用されてもよい。
様々な複合電気パルスを発生させる機能と組み合わせて利用可能な電極の数は、臨床医又は患者に変調パラメータセットの非常に大きい選択肢を呈する。例えば、プログラミングすべき神経変調システムが16の電極を有する場合、何百万もの変調パラメータセットが、神経変調システム内にプログラミングするのに利用可能である場合がある。更に、例えば、脊髄刺激(SCS)システムは、プログラミングのために利用可能な変調パラメータセットの数を指数関数的に増加させる32の電極を有する場合がある。かかる選択を容易にするために、臨床医は、一般的に、コンピュータ化プログラミングシステムを通して変調パラメータセットをプログラミングし、患者フィードバック又は他の手段に基づいて最適変調パラメータを決定し、その後に、望ましい変調パラメータセットをプログラミングすることを可能にする。
脊髄刺激(SCS)治療のための従来のプログラミングは、異常感覚を使用して適切な変調パラメータセットを選択する。変調が誘起して患者が知覚するパラメータは、処置のターゲットである疼痛として患者の身体内のほぼ同じ位置に位置すべきである。リードが患者内に埋込まれた時に、手術室(OR)マッピング手順を実施し、電気変調を印加してリード及び/又は電極のパラメータを試験し、それによってリード及び/又は電極が患者内の有効な位置に埋込まれることを保証するのがよい。
リードを正確に位置決めしたら、ナビゲーションセッションと呼ばれる調整手順を実施し、神経変調デバイス及び適用可能な場合は外部制御デバイスを疼痛部位に最もよく対処する一連の変調パラメータを用いてプログラミングするのがよい。従って、ナビゲーションセッションを使用して、疼痛に相関する活性化容積(VOA)又は面積を正確に示すことができる。この手順は、組織をターゲットにするために、埋込み中に実施され、又は、リードが次第に又は予想外に移動するか又は変調エネルギをターゲット部位から離れるように再配置したら埋込み後に実施されるのがよい。神経変調デバイスをプログラミングし直すことによって(典型的には、独立に電極上の変調エネルギを変えることにより)、活性化容積(VOA)は、多くの場合、リード及びその電極アレイを再配置するために、患者に再作動させる必要なく有効な疼痛部位に再度移動するのがよい。組織に対して活性化容積(VOA)を調節するとき、電流の割合を少しだけ変化させることによって、神経繊維の空間動員の変化が滑らかで連続的であるように患者が知覚し、増分的ターゲット機能を有することが望ましい。
図4は、プログラミングデバイス413の実施形態を示し、かかるプログラミングデバイス413は、図2の神経変調システム内のプログラミングデバイス213として実装されるのがよいものである。プログラミングデバイス413は、記憶デバイス418と、プログラミング制御回路419と、GUI414を含む。プログラミング制御回路419は、神経変調パルスのパターンに従って神経変調パルスの送出を制御する複数の変調パラメータを発生させる。様々な実施形態では、GUI414は、対話型又は非対話型スクリーン等の任意の種類の提示デバイスと、ユーザが変調パラメータをプログラミングすることを可能にする任意の種類の入力デバイスを含み、かかる入力デバイスは、例えば、タッチスクリーン、キーボード、キーパッド、タッチパッド、タッチボール、ジョイスティック、及びマウスである。記憶デバイス418は、とりわけ、変調デバイス内にプログラミングされる変調パラメータを記憶するのがよい。プログラミングデバイス413は、複数の変調パラメータを変調デバイスに送信するのがよい。幾つかの実施形態では、プログラミングデバイス413は、電力を変調デバイスに送信するのがよい。プログラミング制御回路419は、複数の変調パラメータを発生させるのがよい。様々な実施形態では、プログラミング制御回路419は、安全規則に反する複数の変調パラメータの値を阻止し、これらの値を安全規則の制限内に限定するのがよい。
様々な実施形態では、本明細書で説明する様々な実施形態を含む神経変調の回路は、ハードウエア、ソフトウエア、及びファームウエアの組合せを使用して実施されるのがよい。例えば、本明細書で説明する様々な実施形態を含むGUIの回路、変調制御回路、及びプログラミング制御回路は、1又は2以上の特定の機能を実施するように構成されたアプリケーション特定回路、又は、特定の機能を実施するようにプログラミングされた汎用回路を使用して実施されるのがよい。かかる汎用回路は、限定する訳ではないが、マイクロプロセッサ又はその一部分と、マイクロコントローラ又はその一部分と、プログラミング可能な論理回路又はその一部分を含む。
図5は、埋込み可能な神経変調システムと、かかるシステムが使用される環境の部分を一例として示す。脊髄の近くに埋込むためのシステムが示されている。しかしながら、神経変調システムは、他の神経ターゲットを変調させるように構成されてもよい。システム520は、埋込み可能なシステム521と、外部システム522と、埋込み可能なシステム521と外部システム522との間の無線通信を提供する遠隔測定リンク523を含む。埋込み可能なシステムは、患者の身体に埋込まれるように示されている。埋込み可能なシステム521は、埋込み可能な変調デバイス(埋込み可能なパルス発生器又はIPGとも呼ばれる)512と、リードシステム517と、電極511を含む。リードシステム517は、1又は2以上のリードを含み、各リードは、変調デバイス512に電気的に接続され、複数の電極511は、1又は2以上のリードに分配される。様々な実施形態では、外部システム522は、1又は2以上の外部(埋込可能でない)デバイスを含み、各外部デバイスは、ユーザ(例えば、臨床医又は他の介護者及び/又は患者)が埋込み可能なシステム521と通信することを可能にする。幾つかの実施形態では、外部システム522は、臨床医又は他の介護者のためのプログラミングデバイスを含み、プログラミングデバイスは、患者による使用のために埋込み可能なシステム521及び遠隔制御デバイスのための設定を初期化して調節する。例えば、遠隔制御デバイスは、患者が治療をオン及びオフにし、及び/又は、複数の変調パラメータのうちの患者がプログラミング可能な幾つかのパラメータを調節することを可能にするのがよい。
リードシステム517の神経変調リードは、刺激すべき脊髄領域に隣接して、すなわち、硬膜の近く又はその上に配置されるのがよい。例えば、神経変調リードは、患者の脊髄の長手方向軸線に沿って埋込まれる。神経変調リードが脊柱を出る箇所の近くに空間がないため、埋込み可能な変調デバイス512は、腹部内又は臀部の上の任意の外科的に作られたポケットに埋込まれる。リード延長部が、神経変調リードの出口箇所から離れた埋込み可能な変調デバイス512の埋込みを容易にするのに使用されるのがよい。
図6は、脊髄変調(SCM)システムと呼ばれる脊髄刺激(SCS)システムの実施形態を一例として示す。脊髄刺激(SCS)システム624は、一般的に、複数の(2つとして示した)埋込み可能な神経変調リード625と、埋込み可能なパルス発生器(IPG)626と、外部遠隔コントローラ(RC)627と、臨床医用プログラマー(CP)628と、外部試験変調器(ETM)629を含むのがよい。埋込み可能なパルス発生器(IPG)626は、1又は2以上の経皮リード延長部630を介して神経変調リード625に物理的に接続されるのがよく、神経変調リード625は、複数の電極631を支持する。図示のように、神経変調リード625は、電極が神経変調リードに沿って直線的に配置された経皮リードであるのがよい。任意適当な数の神経変調リードが提供され、かかる数は、電流の横方向ステアリングを可能にするために電極の数が2よりも多ければ(ケース電極としてのIPGケース機能を含む)、1つだけも含む。変形例として、外科パドルリードが、経皮リードのうちの1又は2以上の代わりに使用されてもよい。埋込み可能なパルス発生器(IPG)626は、変調パラメータセットに従って、パルス電気波形(すなわち、時間的に一連の電気パルス)の形態の電気変調エネルギを電極に送出するパルス発生回路を含む。
外部試験変調器(ETM)629はまた、経皮リード延長部632及び外部ケーブル633を介して神経変調リード625に物理的に接続されるのがよい。外部試験変調器(ETM)629は、埋込み可能なパルス発生器(IPG)626と同様のパルス発生回路を有するのがよく、変調パラメータセットに従って、電気変調エネルギを電極に送出する。外部試験変調器(ETM)629は、埋込不能なデバイスであり、神経変調リード625を埋込んだ後に且つ埋込み可能なパルス発生器(IPG)626の埋込み前に試験的に使用され、提供される変調の応答性を試験する。埋込み可能なパルス発生器(IPG)626に関連して本明細書で説明する機能は、外部試験変調器(ETM)629に関連して同様に実施されるのがよい。
外部遠隔コントローラ(RC)627は、双方向RF通信リンク634を介して外部試験変調器(ETM)629を遠隔測定的に制御するのに使用されるのがよい。外部遠隔コントローラ(RC)627は、双方向RF通信リンク635を介して埋込み可能なパルス発生器(IPG)626を遠隔測定的に制御するのに使用されるのがよい。かかる制御により、埋込み可能なパルス発生器(IPG)626をオン又はオフにし、異なる変調パラメータセットを用いて埋込み可能なパルス発生器(IPG)626をプログラミングすることを可能にする。埋込み可能なパルス発生器(IPG)626はまた、プログラミングされた変調パラメータを修正して、埋込み可能なパルス発生器(IPG)626によって出力される電気変調エネルギの特性を能動的に制御するように作動されるのがよい。臨床医は、臨床医用プログラマー(CP)628を使用して、手術室及び経過観察セッションにおいて、変調パラメータを埋込み可能なパルス発生器(IPG)626及び外部試験変調器(ETM)629内にプログラミングするのがよい。
臨床医用プログラマー(CP)628は、IR通信リンク636又は他のリンクを用いて、外部遠隔コントローラ(RC)627を介して埋込み可能なパルス発生器(IPG)626又は外部試験変調器(ETM)629と間接的に通信するのがよい。臨床医用プログラマー(CP)628は、RF通信リンク又は他のリンク(図示せず)を用いて、埋込み可能なパルス発生器(IPG)626又は外部試験変調器(ETM)629と直接的に通信するのがよい。臨床医用プログラマー(CP)628によって提供される臨床医の詳細な変調パラメータはまた、外部遠隔コントローラ(RC)627をプログラミングするのに使用され、それに引き続いて、変調パラメータは、独立モードで(すなわち、臨床医用プログラマー(CP)628の支援なしに)、外部遠隔コントローラ(RC)627の作動によって修正されるのがよい。様々なデバイスが、臨床医用プログラマー(CP)628として機能する。かかるデバイスは、ラップトップパーソナルコンピュータ、小型コンピュータ、携帯情報端末(PDA)、タブレット、電話、又は拡張機能を有する外部遠隔コントローラ(RC)等の携帯型デバイスを含む。従って、プログラミング手法は、臨床医用プログラマー(CP)628内に格納されたソフトウエア命令を実行することによって行われる。変形例として、かかるプログラミング手法は、ファームウエア又はハードウエアを使用して実施されてもよい。いずれの場合でも、臨床医用プログラマー(CP)628は、埋込み可能なパルス発生器(IPG)626によって発生させた電気変調の特性を能動的に制御し、望ましいパラメータを、患者フィードバック又は他のフィードバックに基づいて決定し、それに引き続いて、望ましい変調パラメータを用いて、埋込み可能なパルス発生器(IPG)626をプログラミングすることを可能にする。ユーザがそれらの機能を実施することを可能にするために、臨床医用プログラマー(CP)628は、ユーザ入力デバイス(例えば、マウス及びキーボード)、及びケースに収容されたプログラミング表示スクリーンを含むのがよい。マウスに加えて又はその代わりに、トラックボール、タッチパッド、ジョイスティック、タッチスクリーン又はキーボードに関連付けられたキーの一部として含まれる方向キー等の他の方向プログラミングデバイスが使用されてもよい。外部デバイス(例えば、臨床医用プログラマー(CP))は、表示スクリーンを提供するようにプログラミングされるのがよく、表示スクリーンにより、臨床医が、他の機能の中でも、患者プロフィール情報(例えば、名前、誕生日、患者特定、医師、診断、及び住所)を選択又は入力し、手順情報(例えば、プログラミング/経過観察、インプラント試験システム、インプラント埋込み可能なパルス発生器(IPG)、インプラント埋込み可能なパルス発生器(IPG)及びリード、交換用埋込み可能なパルス発生器(IPG)、交換用埋込み可能なパルス発生器(IPG)及びリード、交換用又は変更用リード、外植、その他)を入力し、患者の疼痛マップを生成し、リードの形態及び向きを定め、神経変調リードによって出力された電気変調エネルギを制御し、かつ手術設定及び臨床設定の両方において変調パラメータを用いて埋込み可能なパルス発生器(IPG)をプログラミングすることを可能にするのがよい。
外部充電器637は、誘導リンク638等の無線リンクを介して埋込み可能なパルス発生器(IPG)を経皮的に充電するのに使用する携帯型デバイスであるのがよい。埋込み可能なパルス発生器(IPG)をプログラミングして、その電源を外部充電器によって充電し又はそうでなければ補充したら、埋込み可能なパルス発生器(IPG)は、外部遠隔コントローラ(RC)又は臨床医用プログラマー(CP)が存在せずにプログラミングされたように機能するのがよい。
図7は、神経変調リード725及びパルス発生器726の幾つかの特徴を一例として示す。パルス発生器726は、埋込み可能なデバイス(埋込み可能なパルス発生器(IPG))であってもよいし、外部デバイスであってもよく、外部デバイスは、埋込み手順中に電極を試験するのに使用されるのがよい。図示の例では、神経変調リードのうちの一方は、(符号E1−E8が付された)8つの電極を有し、他方の神経変調リードは、(符号E9−E16が付された)8つの電極を有する。リード及び電極の実際の数及び形状は、意図する適用例のために変化してもよい。埋込み可能なパルス発生器(IPG)は、電子構成要素又は他の構成要素を収容するための外側ケースを含んでいるのがよい。外側ケースは、気密室を形成するチタン等の導電性の生体適合性材料から構成され、内部電子機器は、気密室内で身体組織及び体液から保護される。幾つかの場合、外側ケースは、電極(例えば、ケース電極)としての機能を有するのがよい。埋込み可能なパルス発生器(IPG)は、電子構成要素を含み、かかる電子構成要素は、例えば、コントローラ/プロセッサ(例えば、マイクロコントローラ)、メモリ、バッテリ、遠隔測定回路、モニタ回路、変調出力回路、及び当業者に既知のその他適切な構成要素である。マイクロコントローラは、埋込み可能なパルス発生器(IPG)によって実施される神経変調を命令及び制御するために、メモリに記憶された好ましいプログラムを実行する。電気変調エネルギが、パルス発生器内にプログラミングされた変調パラメータセットに従って、電極に供給される。電気変調エネルギは、パルス電気波形の形態をなすのがよい。かかる変調パラメータは、アノード(正)、カソード(負)、又はオフのまま(ゼロ)として活性化される電極を定める電極組合せ、各電極に割り当てられる変調エネルギのパーセント(分割電極形態)、及び電気パルスパラメータを含むのがよく、電気パルスパラメータは、パルス振幅(パルス発生器が一定の電流又は一定の電圧を電極アレイに供給するか否かに応じてミリアンペア又はボルトで測定される)、パルス幅(マイクロ秒で測定される)、パルス速度(1秒当たりのパルスで測定される)、及びバースト率(変調オン持続時間Xと変調オフ持続期間Yとして測定される)を定める。電気エネルギを伝達又は受入れるように選択された電極は、本明細書では「活性化された」と称し、電気エネルギを伝達又は受入れるように選択されない電極は、本明細書では「活性化されない」と称する。
電気変調は、複数の活性化された電極の間で起こり、活性化された電極の1つは、埋込み可能なパルス発生器(IPG)のケースであるのがよい。システムは、単極式に又は多極(例えば、双極又は3極)式に、変調エネルギを組織に送信することが可能であるのがよい。単極変調は、リード電極のうちの選択された1つが埋込み可能なパルス発生器(IPG)のケースと共に活性化され、選択された電極とケースとの間に変調エネルギが伝達されるときに起こる。電極E1−E16のうちの任意のものとケース電極は、k個までの可能なグループ、すなわち、タイミングチャネルに割り当てられるのがよい。1つの実施形態では、kは4に等しいのがよい。タイミングチャネルは、刺激すべき組織に電場を発生させる電流を同期的にソースにし又はシンクにするためにどの電極を選択するかを特定する。チャネルに対する電極の振幅及び極性は、変化してもよい。特に、電極は、k個のタイミングチャネルのいずれにおいても、正の極性(アノード、ソース電流)であるように選択されてもよいし、負の極性(カソード、シンク電流)であるように選択されてもよいし、オフの極性(電流なし)であるように選択されてもよい。埋込み可能なパルス発生器(IPG)は、治療的に有効であり且つ患者にエネルギの送出を知覚させる(例えば、異常感覚を知覚させると共に疼痛を緩和させるのに治療的に有効である)電気変調エネルギを送出するモードで作動させられてもよいし、治療的に有効であり且つ患者にエネルギの送出を知覚させない(例えば、知覚される異常感覚なしに疼痛を緩和させるのに治療的に有効である)電気変調エネルギを送出する知覚以下モードで作動させられてもよい。
埋込み可能なパルス発生器(IPG)は、電極の各々の中を流れる電流の大きさを個々に制御するように構成されてもよい。例えば、電流発生器が、各電極のための独立した電流源から個々の電流調節振幅を選択的に発生させるように構成される。幾つかの実施形態では、パルス発生器は、電圧調節出力を有していてもよい。個々にプログラミング可能な電極振幅が、精密な制御を達成するのに望ましい一方、プログラミングにおける制御は精密ではないけれども、電極の前後で切換えられる単一の出力源が使用されてもよい。神経変調器は、混合された電流及び電圧の調節デバイスを有するように設計されるのがよい。
図8〜11は、各電極に送出される分割電流によって発生させた長手方向の電場がほぼ等しくなるように電流を分割したときの、長手方向及び横断方向の電場強度の差を一例として示す。患者の脊髄内の(特に後柱(DC)繊維における)電圧は、長手方向にほぼ等しく、電圧勾配は後柱(DC)に沿ってほぼゼロになる。このために、各電極に送出される異なる量の分割電流を必要とする。較正技術が、適切な電流分割を決定するのに使用される。電気変調リード上の複数の電極に電流が分割された場合、得られる電場は、各電極に送出される電流によって発生させた電場を重ね合わせることによって計算される。更に、各電場は、長手方向成分及び横断方向成分を有する。
図8は、患者の脊髄840の長手方向正中線のほぼ上に埋込まれた単一の電気変調リード839の概略図である。追加のリード又はリードパドルが使用されてもよいことが理解され、例えば、より広い電極配列を提供するのに使用され、及び/又は、後角要素により近い電極を提供するのに使用され、これらの電極アレイは、分割された電流を供給する。図9は、電気変調リード941が脊髄の側方に埋込まれ、それにより、電気変調リード941を脊髄の後角の近くに配置し、他の電気変調リード942が脊髄に対して比較的中央に埋込まれ、それにより、電気変調リード942を脊髄940の後柱の近くに配置した実施形態を示す。後柱(DC)よりも後角(DH)に近接するリードの配置は、知覚以下治療のために、後柱(DC)神経要素よりも後角(DH)要素を優先的に刺激するのに望ましい場合がある。任意その他の複数のリード又は多コラム式パドルリードが使用されてもよい。電場の長手方向成分は、図8に示すy軸に沿うように向けられ、電場の横断方向成分は、図8に示すx軸に沿うように向けられる。
図10は、電気変調リード1043の概略図であり、電気変調リード上の電極に送出されるアノード電流の分割の例を示す。これらの図は、埋込み可能なパルス発生器(IPG)のケース電極がカソード電流のみであり且つ100%のカソード電流を運ぶ単極変調を使用する分割を示す。図10に示すアノード電流の分割は、等しい量の電流を各電極1044に送出せず、その理由は、この実施形態が、各電極の下に位置する組織が電気変調に対してどのように応答するかの差である電極/組織結合差を考慮に入れているからである。また、電気変調リードの両端部は、比較的小さい長手方向の勾配を有する電極を含む。電場の大きさは、電気変調リードの両端部で小さくなる。電極への電流の分割は、電気変調リードの中間部分の各電極の下に位置する組織が電気変調に対してほぼ等しく応答するように制御され、又は、各電極の下に位置する組織が活性化されないように制御される。しかしながら、得られた分割は等しくない。図10に示す実施形態では、中間電極への電流の分割は、中間電極の下に位置する組織の変動を反映して10%〜18%まで変化する。電気変調リードを横切る分割は、分割電流の合計が100%に等しい限り、任意の仕方で変化してもよい。本明細書で説明する様々な実施形態は、プログラミングされたアルゴリズムを実施して、適切な分割を決定し、望ましい変調場特性(例えば、一定の電場、一定の電場の大きさ、又は一定の定電圧)を達成する。
図11は、電気変調リードの軸線に沿う長手方向の勾配の一例としての概略図である。長手方向の電場強度1145は、電気変調リード1143上の電極1144の概略図の上方にプロットされている。図11は、電場強度が、電気変調リードの中間部分にわたって実質的に一定であることを示すが、リードの電極と電極の間の間隙により非常に小さい振幅を有する波を形成してもよい。この実質的に一定の電場は、小さい長手方向勾配を形成し、それにより、後柱の大きい有髄軸索の活性化を最小にする。図11はまた、電気変調リードの両端部において小さくなる長手方向の電場を示す。
図12は、横断方向の勾配の一例としての概略図である。横断方向の電場強度1245が、電気変調リード1243及び患者の脊髄1240の概略図の上方にプロットされている。図12は、横断方向の電場強度が、電気変調リードに隣接しているところで最も大きく、電気変調リードの側方において低下することを示す。電極アレイを広げるための追加の変調リードが、横断方向に沿うある距離にわたって実質的に一定の電場領域を形成するために望ましい分割を行うのに使用されてもよい。実質的に一定の電場は、後柱ニューロン要素よりも後角及び/又は後根ニューロン要素の変調に好ましい。
図13A〜図13C及び図14A〜図14Cは、神経変調リードを一例として示し、神経変調リードにおいて、電極は、神経変調リードの周りに周方向に及び軸線方向に配置されたセグメント電極の形態をなす。非限定的な例として、各神経変調リードは、4つのリ電極ングとして配置された16の電極(電極E1〜E4から構成される第1のリング、電極E5〜E8から構成される第2のリング、電極E9〜E12から構成される第3のリング、及び電極E13〜E16から構成される第4のリング)、又は、4つの軸線方向電極コラムとして配置された16の電極(電極E1、E5、E9、E13から構成される第1のコラム、電極E2、E6、E10、E14から構成される第2のコラム、電極E3、E7、E11、E15から構成される第3のコラム、及び電極E4、E8、E12、E16から構成される第4のコラム)を支持するのがよい。リード及び電極の実際の数及び形状は、意図する適用例に従って変化する。
脊髄変調(SCM)システムは、図13A〜図13C及び図14A〜図14Cに全体的に示すように、異なる配向を有する電場を使用して患者の脊髄に電気エネルギを送出するのに使用されてもよい。電場の配向は、後角(DH)要素の異なる方向/向きを目標にするように選択されるのがよい。中央から側方への方向の異なる電場を発生させるために、電極は、半径方向に異なる電流分割を有するのがよい。電場は、先に説明したように、後柱(DC)よりも後角(DH)及び/又は後根(DR)要素を優先的に刺激することが望ましいが、電場は、異なる吻側尾側方向(すなわち、脊髄の中を通る長手方向平面上に投影されるときの電場の方向)に依然として向けられており、好ましくは、異常感覚の知覚をもたらす配向ではない。異なる吻側尾側方向に電場を発生させるために、電極は、長手方向に異なる電流分割を有するのがよい。
脊髄変調(SCM)システムは、後角(DH)要素において変調の時間加重を達成するために、異なる電場を送出するように構成されるのがよい。電場は、基本的に、パルス毎に発生させられるのがよい。例えば、第1の電場は、(第1の電流分割を使用して)パルス波形の第1の電気パルス中に電極によって発生させられ、第2の異なる電場は、(第2の異なる電流分割を使用して)パルス波形の第2の電気パルス中に電極によって発生させられ、第3の異なる電場は、(第3の異なる電流分割を使用して)パルス波形の第3の電気パルス中に電極によって発生させられ、第4の異なる電場は、(第4の異なる電流分割を使用して)パルス波形の第4の電気パルス中に電極によって発生させられる。これらの電場は、タイミング方式で何回も回転又は循環させられるのがよく、各電場は、タイミングチャネルを使用して発生させられる。電場は、連続パルス速度で発生させられてもよいし、オン及びオフでバーストされてもよい。更に、電場サイクル中のパルスとパルスの間隔(すなわち、隣接するパルス間の時間)、パルス振幅、及びパルス持続時間は、均一であってもよいし、電場サイクル内で変化してもよい。
実施形態は、各電極に送出される分割電流を修正することにより、長手方向の電場勾配を最小にして、後柱(DC)要素の活性化を最小にする。後柱(DC)要素の活性化を最小にすることは、モデルベースの計算を含むのがよく、ここで、モデルは、較正からの情報を含む。離散活性化関数を、AF(n)=Ga/(π×d×l)×[Ve(n−1)−2Ve(n)+Ve(n+1)]によって計算するのがよく、ここで、Gaは、軸索モード間導電率であり、dは、軸索直径であり、lは、ランビエ絞輪の長さであり、Ve(n)は、活性化関数を決定すべきランビエ絞輪における電場強度であり、Ve(n−1)は、活性化関数を決定すべきランビエ絞輪の前のランビエ絞輪における電場強度であり、Ve(n+1)は、活性化関数を決定すべきランビエ絞輪の次のランビエ絞輪における電場強度である。この式を使用して、離散活性化関数を、ランビエ絞輪の表面積に対して正規化されたコンダクタンスから計算する。
変調閾値は、患者ごとに変化し、患者内の電極ごとに変化する。これらの異なる変調閾値を考慮し、電極間の電流のより正確な分割を提供するために、複数の電極の電極/組織結合較正を実施するのがよい。例えば、知覚閾値を使用して、電極を正規化するのがよい。外部遠隔コントローラ(RC)又は臨床医用プログラマー(CP)は、患者が異常感覚を知覚したら、制御要素を作動させるように患者を促すように構成されるのがよい。このユーザ入力に応答して、外部遠隔コントローラ(RC)又は臨床医用プログラマー(CP)は、制御要素を作動させたときに送出される電気パルス列の変調信号強度を記憶することによって、かかるユーザ入力に応答するように構成されるのがよい。他の感知パラメータ又は患者知覚変調値(例えば、一定の異常感覚、又は最大許容異常感覚)が、電極/組織結合較正を提供するのに使用されてもよい。これらの感知パラメータ又は患者知覚変調値を使用して、電気変調リード上の各電極において決定された値(例えば、知覚閾値)によって分割された離散活性化関数の二乗の和を最小にすることによって、電流分割を推定するのがよい。離散活性化関数又は電場からの任意の駆動力を二乗することにより、脱分極場及び過分極場の差を除去する。最小和になる電流分割は、長手方向の電場勾配を最小にする。
本明細書の残りの部分では、知覚以下変調場等の変調場の有効性を高めることに関する様々な実施形態、知覚以下変調場等の変調場を送出する際に使用される電極選択及び絞り込みに関する様々な実施形態、及び知覚以下変調の較正に関する様々な実施形態を説明する。これらの実施形態は、別々に実施されてもよいし、様々な組合せで実施されてもよい。かかる組合せは、後柱(DC)組織よりも後角(DH)組織又は後根(DR)組織の知覚以下変調を送出するのに有用である。しかしながら、幾つかの実施形態は、他の変調治療を送出するのに使用されてもよい。
〔強化された変調場〕
脊髄の領域内の神経組織は、異なる特性を有する。例えば、後柱(DC)線維(主に有髄軸索)は軸線方向に延び、後角(DH)線維(例えば、ニューロン細胞終端、ニューロン細胞体、樹状突起、及び軸索)は多方向に配向されている。典型的に配置される硬膜外脊髄刺激(SCS)リードから後角(DH)線維までの距離は、かかる硬膜外脊髄刺激(SCS)リードから後柱(DC)線維までの距離と異なる。更に、後角(DH)線維と後柱線維は、電気変調に対して異なる応答(例えば、活性化関数)を有する。後柱(DC)線維及び後柱(DC)ニューロンの変調(すなわち、脱分極又は過分極)の強度は、脊柱の長手方向後柱軸線に沿う電圧の2次空間微分(∂2V/∂x2)に比例するいわゆる「活性化関数」によって表される。この理由は、部分的には、後柱(DC)内の大きい有髄軸索が主に脊柱の長手方向に沿って整列しているからである。一方、後角(DH)線維及び後角ニューロン内に活動電位を発生させる可能性は、脊柱に沿う電圧の1次空間微分(∂V/∂x)に比例する活性化関数によって表され、これは、電場として既知である。かくして、後角(DH)活性化関数は、線維軸線に沿う電圧の1次微分に比例し、後柱(DC)活性化関数は、線維軸線に沿う電圧の2次微分に比例する。従って、電場中心からの距離は、後柱活性化関数(∂2V/∂x2)に及ぼす影響より小さい影響しか後角(DH)活性化関数(∂V/∂x)に及ぼさない。後柱(DC)に沿う神経変調リードによって発生させた電場の長手方向勾配を最小にすることによって、後角(DH)内のニューロン要素(例えば、ニューロン、樹状突起、軸索、細胞体、及びニューロン細胞終端)は、後柱(DC)ニューロン細胞要素よりも優先的に刺激され、それにより、感覚異常の感覚を生成することのなしに、疼痛緩和の形態で治療を行うことができる。この技術は、後角(DH)線維と後柱(DC)線維が電気変調に対して異なる応答(活性化関数)を有するという自然現象に少なくとも部分的に依存する。
変調場を強化するための様々な実施形態は、後柱(DC)組織よりも後角(DH)組織及び/又は後根(DR)組織を選択的に変調させる。在来の脊髄刺激(SCS)は、後柱(DC)線維軸索を活性化し、活動電位の順方向伝播は、感覚異常の知覚を脳内に誘導し、線維側枝及び終端への活動電位の逆方向伝播は、後角(DH)内で終わり、疼痛制御機構を後角(DH)内に引起す。様々な実施形態は、刺激場の形状を定め、かかる刺激場は、好ましくは、後角(DH)及び/又は後根(DR)内で終わる線維終端を刺激して、し感覚異常を誘導することなしに疼痛緩和を提供する。例えば、電圧の1次勾配の均一性(すなわち、電場の均一性)は、後角(DH)線維終端及び/又は後根(DR)線維を刺激するとき、より効率的である。比較的大きい場にわたる均一性は、最適な刺激部位を探す必要をなくし、疼痛の比較的広い範囲を形成する。例えば、均一性は、電極配列内の2又は3以上の電極の間に及ぶ。他の例では、均一性は、最適な刺激部位を探す必要をなくし、疼痛のより広い範囲を形成するために電極配列内で3つ、4つ、5つ、6つ、又は7つ以上の電極の間に及ぶ。かくして、均一性は、リードのかなりの部分にわたって延びる。幾つかの実施形態は、ターゲット神経組織(例えば、後角(DH)組織又は後根(DR)組織)の変調を強化するために、広く且つ均一な変調場を提供する場形状を形成するように変調パラメータセットを決定するように構成される。幾つかの実施形態は、非ターゲット組織(例えば、後柱(DC)組織)の変調を低減させ又は最小にする場形状を形成するように変調パラメータセットを決定するように構成される。本明細書で開示する様々な実施形態は、幾つかの神経構造の変調を強化し且つその他の神経構造における変調を低減させるために、変調場の形状を定めることに向けられる。変調場の形状は、多数の電極の間の電流分割の推定を案内し且つ望ましい強度を提供する合計振幅を推定するために、多数の独立した電流制御(MICC)又は多数の独立した電圧制御を使用することによって定められるのがよい。例えば、変調場の形状は、後角(DH)神経組織の変調を強化し且つ後柱(DC)組織の変調を最小にするように定められる。多数の独立した電流制御(MICC)の利点は、多数の独立した電流制御(MICC)が個々の接点における電極−組織結合効率及び知覚閾値の変化を考慮して、「ホットスポット」刺激をなくすことである。
変調場は、後角(DH)組織において選択された方向に一定の電場(E)を提供するように形状決めされるのがよい。後角(DH)における任意の方向の電場(E)は、かかる方向におけるスカラ電位場(V)の負の勾配(負の変化率)である。場の重ね合わせの線形性のため、(x0,y0,z0)に配置された単一電極からの単位電流によって誘導される選択された方向の電場EDH(x,y,z)を推定する伝達関数を形成することができ、合計の電場(E)は、電流分割によって重み付けされた各活性電極からの電流によって誘導される電場(E)の線形的な組合せである。1つの例では、変調場は、後柱(DC)組織に沿う一定のスカラ電位場(V)である。
場の重ね合わせの線形性により、(x0,y0,z0)に配置された単一電極からの単位電流によって誘導される選択された方向の電位VDC(x,y,z)を推定するための伝達関数を形成することができ、合計の電位場(V)は、電流分割によって重み付けされた各活性電極からの電流によって誘導される電位場(V)の線形的な組合せである。
様々な実施形態は、振幅を予想する。例えば、後柱(DC)におけるターゲット電位場(V)の大きさ又は後角(DH)におけるターゲット電場(E)の大きさは、ある変調形態(単極、二極、又は三極等)の下での電流の知覚閾値(Ith)の百分率として決定される。例えば、後角(DH)の選択された箇所における電位場(V)の大きさのセットは、選択された電極からの単極のIthの下で(又はIthの望ましい百分率の下で)数学モデルを用いて、Vtargetとして推定される。電流が、1よりも多い電極の間で分割されるとき、合計の振幅は、電流分割の組合せからVtargetを最大に近似する振幅として推定される。経験的方法により、望ましい分割の下でIthを推定し、振幅を下方に調節するのがよい。
図15は、目的関数を達成するための分割を決定するための実施形態を一例として示す。目的関数は、ターゲット組織を変調させるための望ましい特性を有する関数を参照する。目的関数は、目的ターゲット関数として参照されてもよい。広く且つ均一な変調場のための目的関数1546を、組織の所定の容積ごとに特定する。目的関数の例は、一定のE(電場)、一定の|E|(電場の大きさ)、一定の電圧を含む。リード及び電極の形態1547も、電極組織結合のための較正1548と共に特定する。目的関数、リード及び電極の形態、及び較正に依存する関数1549を実行する。この関数の結果は、目的関数を達成するための各電極のための変調エネルギ(例えば、電流)の分割である。
図16は、目的関数を達成する分割を決定するための実施形態をより詳細に一例として示す。プロセスへの入力として目的ターゲット関数1646(例えば、一定のE(電場))を与える。プロセスへの他の入力は、形態オプション1651、リード形態1652、電極接点状態1653、及び、電流閾値又はより具体的には単極電流閾値等の閾値1654を含む。リード形態1652及び接点状態1653は、電極の配列を特定し、電場を決定する各電極の位置を特定する。全体の場は、各電極からの場を重ね合わせた場である。形態オプション1651は、単極オプション(全ての活性電極に対して同じ極性)及び多極オプション(場において組合されたアノード及びカソード)を参照する。閾値は、電極/組織結合の差を補償するのに使用される。
リード形態及び接点状態から、1655において、刺激のための接点を自動的に決定してもよいし、手動で決定してもよい。1656において、選択された場モデルを使用して、接点からの単位電流によって誘導される場を推定する。1657において、閾値を用いて、場を較正する。例えば、単位電流による場は、重み付けされる。1658において、選択された接点に基づいて、構成単位力を形成し、1659において、伝達行列を構成し、それを用いて、更に1661において、構成ソースからの寄与及び特定されたターゲット場1660を用いて最小二乗平均解を計算する。この解を使用して、各接点の電流分割を計算するのがよい。
図17は、臨床医用プログラマー(CP)又は他の外部デバイスのGUI内に提供されるプログラミングインタフェースを一例として示す。このインタフェースは、とりわけ、電極配列1763を特定するのに使用されるのがよい。更に、スクリーンの左下部分に一般的に示すように、インタフェースは、組織の容積に特有のターゲット関数1764(例えば、後角(DH)における一定のE(電場)、後角(DH)における一定の|E|(電場の大きさ)、又は後柱(DC)における一定の活性化関数AF又は一定の電圧)及び電極形態1765(例えば、単極又は多極)を特定するのに使用されるのがよい。目的ターゲット関数を提供する電極のための分割電流が、1766のところで示すように特定されるのがよい。更に、インタフェースは、ターゲット及び最終ターゲット関数の視覚表現1767を、場の相対位置の表現と一緒に提供するのがよい。例えば、視覚表現は、2次元場1768の表現、後柱(DC)及び後角(DH)に沿う吻側尾側方向の電圧の表現1769、後柱(DC)に沿う活性化関数(AF)、及び、後角(DH)に沿うターゲット及び最終の電場E(dV/dx)1771を含むのがよい。例えば、後柱(DC)に沿う活性化関数(AFは、電極配列のかなりの部分に沿って非常に低く、かくして、後柱(DC)内の求心性神経線維が変調場によって変調されていないことを示す。しかしながら、横断方向(X方向)の電場Eは、電極配列のかなりの部分にわたって後角(DH)に沿って均一であり、かくして、後角(DH)及び/又は後根(DR)のニューロン組織を電極配列のかなりの部分に沿って変調させるとき、場が実質的に均一であることを示す。図18は、例示として、リードのための等電位電圧線(例えば、1769においてプロットしたもの)をリード及び後角の表現と一緒に示し、図19〜図20は、例示として、実質的に均一な電場(例えば、1771においてプロットしたもの)をリード及び後角の表現と一緒に示す。
様々な実施形態は、活性化関数を用いて組織容積を変調させる方法を提供し、かかる方法は、組織容積を変調させる変調場を選択することを含み、このことは、組織容積に特有である変調場のための目的関数と、組織容積の活性化関数を選択することを含む。変調場のための目的関数は、組織容積内の変調応答の均一性を促進させる。組織容積を、選択された目的関数と一緒に、選択された変調場を用いて変調させるのがよい。目的関数は、後角(DH)組織及び/又は後根(DR)組織を変調させる目的関数であるのがよい。かかる目的関数の例は、一定のE(電場)の目的関数又は一定の|E|(電場の大きさ)の目的関数を含む。目的関数は、一定の活性化関数であってもよい。目的関数は、後柱(DC)組織を変調させるための目的関数であってもよい。かかる目的関数の例は、後柱組織内の活動電位を低下させるための、一定の電圧等の一定の活性化関数を含む。選択された目的関数は、後角(DH)目的関数と後柱(DC)目的関数の両方を含むのがよい。幾つかの実施形態に従えば、組織容積は、電気変調パラメータのn次空間微分に比例する電気変調パラメータのための活性化関数を有する。変調場のための目的関数を、組織容積内における変調応答の均一性を促進させるために、電気変調パラメータのn次空間微分のための一定の目的関数を提供するように選択するのがよい。各活性接点のための分割値を、選択された変調場を選択された目的関数と一緒に提供するように決定するのがよい。選択された変調場を選択された目的関数と一緒に用いて組織容積を変調させることは、選択された変調場を選択された目的関数と一緒に送出するのに使用される各電極のための分割値を使用することを含む。
様々な実施形態は、活性化関数を用いて組織容積を変調させる方法を提供する。かかる方法は、組織容積を変調させる変調場を選択することを含み、変調場を選択することは、組織容積に特有の変調場のための目的関数と、組織容積の活性化関数を選択することを含む。変調場のための選択された目的関数は、組織容積内の変調応答の均一性を促進させる。選択された変調場を選択された目的関数と一緒に提供する分割値を、各活性接点のために決定する。選択された変調場を選択された目的関数と一緒に使用して、組織容積を変調させるのがよい。各活性接点のための分割値を決定するのに、電場モデルを用いて各活性接点のための単位場を推定し、重み付けされた単位場を決定し、活性接点のための構成ソースを形成し、構成ソースのためのる重み付けされた単位場を用いて、伝達行列を構成し、各構成ソースからの寄与を解いて、選択された変調場を提供し、構成ソースのための解から各活性接点のための分割値を計算することによるのがよく、推定される単位場は、それぞれの活性接点が単位エネルギによって活性化されるときに誘導される場であり、重みづけされた単位場を決定することは、各活性電極のための知覚閾値を決定することと、それぞれの知覚閾値を用いて各活性電極のための推定された単位場を較正することを含み、構成ソースの各々は、ソースを構成する電気接点と、シンクを構成する別の電気接点を含む。活性電極は、少なくとも1つのリード上の複数の電極から選択されるのがよい。
これらの方法の任意のものを実施するシステムが使用されてもよい。かかるシステムの例は、神経組織容積を変調させるときに使用されるように作動的に位置決めされるように構成された少なくとも1つのリード上の電極と、組織容積内に変調場を発生させる少なくとも幾つかの電極を用いるように構成された神経変調発生器を含む。神経組織は、活性化関数を有する。活性化関数は、変調場に対する神経組織の応答を表す。神経変調発生器は、神経組織容積内に且つ少なくとも1つのリードに沿って変調場を発生させるようにプログラミングされた変調パラメータセットを用いて、エネルギを送出するように構成される。プログラミングされた変調パラメータセットは、神経組織容積の活性化関数に特有の目的関数を達成するためにエネルギ送出を制御するように選択される値を有し、それにより、神経組織容積内の変調場に対する応答の少なくとも1つのリードのスパンに沿う均一性を促進させる。システムは、埋込み可能なデバイスと、外部システムを含むのがよく、埋込み可能なデバイスは、神経変調発生器を含む。外部デバイスは、神経変調発生器をプログラミングするように構成されるのがよい。外部デバイスは、目的関数のユーザによる選択を可能にするように構成されたユーザインタフェースを含むのがよい。ユーザインタフェースはまた、電極と、目的関数のための変調場の表現を表示するのがよい。
様々な実施形態は、空間的及び時間的な技術を用いて、後角(DH)組織又は神経根組織の変調を強化する。以下、後角(DH)組織を例として説明する。後角(DH)組織の優先的な関わりにより、変調に誘導された感覚を必要とすることなしに、疼痛緩和を容易にするのがよい。空間技術は、一定の場(例えば、後角(DH)組織容積内のほぼ一定の電場)を有する後角(DH)変調を提供する。例えば、電極を選択し、電極の極性及び強度を、表在性後角(DH)(例えば、レクセドの層I〜III又はIV)内において全電極に沿って又はアレイのうちで治療に対して重要であると考えられる部分に沿ってほぼ一定であるように設計する。後角(DH)内の軸索終端は、電場の近くにおいて最も興奮しやすい神経要素のうちの1つであり、おそらく、最も興奮しやすい神経要素であると考えられる。時間的技術は、後角(DH)内の軸索終端を興奮させる有効性を高めるために、後角(DH)にバーストを与える。ネコの脊髄前角におけるデータは、時間的に近接した継続パルスが終端を興奮させるときに特に有効であることを示唆しており、これを、閾値を4X以下だけ低下させる4パルスのバースト(約500Hzのバースト内周波数、Gustaffson他、1976)で示した。連続的な高速度(数百Hzに等しいか又はそれよりも高い)におけるパルス送出も、終端を効果的に興奮させるが、バーストが効率的であると予想される。
図21は、後角(DH)組織に優先的に関わるように構成されたシステムを一例として示す。図示のシステム2172は、電極2173と、神経変調発生器2174と、コントローラ2175を含む。神経刺激発生器2174は、後柱(DC)組織よりも後角(DH)組織を優先的に変調させるようにプログラミングされた変調パラメータセット2176を用いるように構成される。例えば、先に説明したように、プログラミングされた変調パラメータセットは、後角(DH)組織内の変調場の均一性を促進させるように構成される。変調場は、ベクトルであり、選択的な配向に依存する。変調は、1よりも多い配向の均一性を促進させるように構成されるのがよい。1よりも多い配向における均一性を促進させるために、セグメントリードが、一例として使用される。例えば、プログラミングされた変調パラメータセットは、後角(DH)組織に優先的に関わるために、一定のE(電場)又は一定の|E|(電場の大きさ)を提供するように構成される。コントローラ2175は、プログラミングされた変調パラメータセットのためのパルス列2177を送出するのに使用されるのがよい。パルス列は、パルスのバーストと称されることがある少なくとも2つのパルスを含む。これらのバーストは、後角(DH)内の終端の興奮を強化すると考えられ、かくして、後柱(DC)組織よりも後角(DH)組織を変調させる選択性を更に増大させるのに使用されるのがよい。
図22は、パルス列を例示として一般的に示す。幾つかの実施形態に従って、各パルス列の持続時間2278は、100msよりも短い。例えば、幾つかの実施形態では、各パルス列の持続時間2278は、2msよりも長く且つ50msよりも短い。継続するパルス列間の時間2279は、継続パルス列の各々の持続時間2278よりも長いのがよい。各パルス列は、10パルスよりも短いのがよい。パルス列のパルスとパルスの間の持続時間2280は、2ms〜5msの範囲内であるのがよい。
後角(DH)内のニューロン要素は、様々な空間的な分布、配向、整列を有し、また、神経活動において様々な時間的応答を有するので、単一の固定された変調手法は、治療効果を最大にするように最適化されない。変化し且つパターン化された変調場を生成する様々な実施形態が提供される。例えば、様々な実施形態は、指向性リードを使用して、変調を送出するのに使用されるリード幾何学形状を変化させて、電流送出の半径方向を変化させ、従って、後角(DH)に沿った電位場(V)分布及び電場(E)分布を変化させる(例えば、図13A〜図13C及び図14A〜図14Cをその説明と共に参照。様々な実施形態が、パターン化された変調列を使用してもよい)。パターン化された刺激列は、様々なパルスパターン及び様々なパルス形状(例えば、矩形、正弦波形)を含んでいてもよい。様々な実施形態が、空間的パターンを使用する。例えば、変調は、2つ、3つ、又は4つ以上の変調電極セットの間で交互になされる。別の例では、変調の空間的パターンを変更する複数の場が使用されてもよい。様々な実施形態が、時間的パターンを使用する。例えば、幾つかの実施形態は、変調パターンを提供するために、互いに異相(すなわち、非同期)である多数のチャネルを使用する。幾つかの実施形態は、多数のチャネル変調を交互に配置し、ここで、チャネルは、振幅、パルス幅、繰返し速度、又はバーストパターン等のパラメータのための少なくとも1つの異なる変調パラメータ値を有する。かくして、2つのチャネル間で又は3よりも多いチャネルの間で切換えを行うことによって、変調パラメータの値(例えば、振幅、パルス幅、繰返し速度、又はバーストパターン)を変化させるのがよい。幾つかの実施形態は、変調においてパルスを変調させる。例えば、時間変化をパターンで提供するために、振幅、速度、又はパルス幅のうちの1又は2以上を変調させるのがよい。幾つかの実施形態は、パルス列を、人体の自然な応答を模倣する仕方で修正する。様々な実施形態は、空間的パターンと時間的パターンの両方を変化させる。
〔電極スパンの選択及び絞り込み〕
知覚以下変調は、変調を送出するのに使用するための電極を選択して絞り込むための幾つかの課題をもたらすことがある。例えば、在来の脊髄刺激(SCS)は、後柱(DC)を変調させ且つ感覚異常を生じさせるために、ターゲットが定められた小さい刺激を単に提供することを試みる。在来の脊髄刺激(SCS)のための変調は、疼痛領域にわたって感覚異常のマップを形成するように調節されることがある。しかしながら、患者は、知覚以下変調のための変調エネルギの送出を知覚しない。
知覚以下変調のためのプログラミングアルゴリズムは、吻側尾側方向に沿う全ての利用可能な接点を、後角(DH)変調を送出するカソード(又はアノード)として予め選択するのがよい。しかしながら、かかる広いスパンの選択の結果、比較的高い電力が要求され、これによりおそらく、過剰な変調が送出される。カスタマイズされた比較的小さい吻側尾側方向スパンを選択するアルゴリズムを使用して、治療結果に妥協することなしに電力の要求を低減させることが望ましい。
様々な実施形態は、全リードから開始し、次いで、探索アルゴリズムを用いて、スパンを減少させ、エネルギ効率を改善する。このことは、外部遠隔コントローラ(RC)又は臨床医用プログラマー(CP)から行われてもよいし、外部遠隔コントローラ(RC)フィードバックを用いて、埋込み可能なパルス発生器(IPG)内で行われてもよい。提案されるアルゴリズムは、変調の有効性を示す幾つかの形態のフィードバックに依存するのがよい。例えば、患者は、疼痛緩和に関するフィードバックを提供する。フィードバックは、生体指標信号を提供するのがよい。
システムは、全リードに沿う変調が有効であることを確認し、次いで、リードの一部分に沿う変調にフォーカスする特徴部を含むのがよい。かくして、例えば、ほぼ均一な変調場が、リードのこの比較的小さい部分に沿って提供される。この変調場は、多数の電極接点を有する領域にわたって提供されるので依然として広いが、リード上の電極アレイを用いる全体の電極配列よりも小さい。
様々な実施形態は、吻側尾側方向フォーカス特徴部を提供するのがよく、かかる特徴部は、二分探索特徴部を含む。二分探索特徴部は、リード又は電極アレイを、電極の完全なセットから、部分リード探索領域を定める少なくとも2つの電極サブセットに分割する。二分探索特徴部は、全リードに沿う変調が有効であることを確認器するのがよい。
図23は、例示として、二分探索特徴部の幾つかの側面を吻側尾側方向フォーカス特徴部として示す。2381において、第1の部分リード探索領域を定める第1の電極サブセットを試験して、第1の電極サブセットを使用する変調が有効であるか否かを決定する。かかる変調が有効であれば、2382において、第1の部分リード探索領域を定める第1の電極サブセットを使用して、変調を送出する。かかる変調が有効でなければ、2383において、第2の部分リード探索領域を定める第2の電極サブセットを試験して、第2の電極サブセットが有効であるか否かを決定する。第2の電極サブセットが有効であれば、2382において、第2の部分リード探索領域を定める第2の電極サブセットを使用して、変調を送出する。第2の電極サブセットが有効でなければ、2384において、第3(又は第n番目の)の部分リード探索領域を定める第3(又は第n)の電極サブセットを試験して、第3(又は第n)の電極サブセットが有効であるか否かを決定する。第3(又は第n)の電極サブセットが有効であれば、2382において、第3(又は第n)の部分リード探索領域を定める第3(又は第n)の電極サブセットを使用して、変調を送出する。第3(又は第n)の電極サブセットが有効でなければ、2385において、二分探索プロセスは、有効であると以前に決定された電極の全リストに戻る。電極サブセットの少なくとも幾つかは、互いに完全に重複しないのがよい。電極サブセットの少なくとも幾つかは、互いに部分的に重複してもよい。幾つかの実施形態では、少なくとも2つの電極サブセットが完全に重複せず、少なくとも1つの電極サブセットが別の電極サブセットと部分的に重複する。
図24は、二分探索特徴部の例を示す。リードは、全スパン2486を有し、全スパン2486は、3つの部分リード探索領域2487、2488、2489に分割されるのがよく、部分リード探索領域の各々は、それに対応する電極サブセットを含む。限定ではなく例示として、第1の電極サブセット2487と第2の電極サブセット2488は、互いに完全に重複せず、第3の電極サブセット2489は、第1の電極サブセットと部分的に重複し、第2の電極サブセットと部分的に重複する。1つの例では、全リードは、2つに分岐され、リードの第1の側(例えば、電極アレイの左端から中央まで)の第1の部分リード探索領域2487と、リードの第2の側(例えば、電極アレイの右端から中央まで)の第2の部分リード探索領域2488を構成する。第3の部分リード探索領域2489は、第1の部分リード探索領域及び第2の部分リード探索領域の各々と部分的に重なる。かくして、部分リード探索領域は、リードの第1の端部領域と、第2の端部領域と、中央領域を定める。
図25A〜図25Cは、例示として、縁部探索特徴部を吻側尾側方向フォーカス特徴部として示す。縁部探索特徴部は、アレイ内の活性電極の各縁部を中央に向かって徐々に移動させ、移動していても変調が有効のままであることを確認する。かくして、第1の縁部を中心に向かって移動させた後、中心に向かう次の移動により、変調を無効にし、第2の縁部を中心に向かって移動させた後、中心に向う次の移動により、変調を無効にする。
例えば、縁部探索特徴部は、移動2590のための電極配列(例えば、アレイ)の縁部を選択することを含む。選択された縁部は、図25Bに示す2つの縁部2591A、2591Bの一方であるのがよい。しかしながら、2よりも多い領域をフォーカスすれば、2よりも多い縁部が存在する。2592において、着目する領域について、選択された縁部を、他方の縁部のために内向きに移動させる。2593において、縮小された又は少数の電極セットがもはや治療的に有効でなければ、2594において、前の移動を取消して、この縁部をそれ以降移動のために選択されることができないように設定するのがよい。プロセスは、2590に戻って、他の縁部を移させることを試みる。2593において、縮小された電極セットが治療的に有効であり続ければ、プロセスは2590に戻り、縁部を移動させ続けた後、全ての縁部が設定される時まで2595。2597において、最終の縮小された電極セット2596は、変調エネルギを送出するのに使用される。
様々な実施形態に従って、プログラミングされたシステムは、神経変調フォーカス特徴部を有するように構成されてもよく、かかる神経変調フォーカス特徴部は、例えば、ユーザが、望ましい生理学的領域に特有である神経変調のための所望の電極を選択することを可能にする吻側尾側方向フォーカス特徴部である。幾つかの実施形態は、不連続なスパンを、初期プログラミング及び/又は後の神経変調の絞り込みの結果として選択することを可能にする。
図26は、様々な実施形態に従って、電極スパンを選択する方法を一例として示す。2698において、ユーザにより提供される1又は複数の望ましい電極リストの選択を受信する。リストは、電極の全てを含んでいてもよいし、電極のうちの幾つかを含むだけでもよい。このリストを、外部遠隔コントローラ(RC)又は臨床医用プログラマー(CP)等の外部デバイスを用いて受信するのがよい。外部デバイスは、選択のために利用可能な電極の図を提供するグラフィカルユーザインタフェースを有するのがよい。次いで、2699において、望ましい電極リスト内にある電極を用いて、ターゲット神経組織を変調させるのがよい。例えば、変調は、知覚以下変調治療である。ターゲット神経組織は、後柱(DC)組織、後根(DR)組織、又は後角(DH)組織のうちの1又は2以上であるのがよい。知覚以下変調治療は、感覚異常を回避するために、1500Hz又はそれよりも高い周波数で送出されてもよい。知覚以下変調治療は、比較的低い(例えば、1200Hzよりも低い、又は、1000Hzよりも低い、又は、500Hzよりも低い)周波数で送出されてもよく、後柱(DC)組織よりも後根(DR)組織及び/又は後角(DH)組織を優先的に刺激するように送出されてもよい。縮小された電極リストを使用することによって、治療効果に妥協することなしに、電力要求を減少させるのがよい。
図27は、望ましい電極リストを更に絞り込む方法を一例として示す。2701において、絞り込みアルゴリズム(例えば、二分探索又は縁部探索)を、ユーザにより提供される望ましい電極リストに基づいて実行し、候補電極リストを提供するのがよい。2702において、候補電極リストの治療的有効性を試験するのがよく、このことは、ユーザにより提供されるフィードバック又は生体指標フィードバックを受信することを含む。2703において、候補電極リストのうちの1つを、フィードバックを用いて決定されるような治療的有効性に基づいて選択するのがよい。
図28は、ユーザにより提供される電極リストの選択を受入れるのに実施されるのがよいようなシステムを一例として示す。図示のシステム2804は、ターゲット神経組織を変調させる際の使用のために作動的に位置決めされるように構成された電極配列2805と、変調場を発生させるために電極配列内の少なくとも幾つかの電極を使用するように構成された神経変調発生器2806と、ユーザにより提供される選択を受信するように構成された通信モジュール2807と、コントローラ2808とを含む。コントローラ2808は、通信モジュール2807を用いて、ユーザにより提供される望ましい電極リストの選択2809を受信するように構成されてもよい。電極リストは、電極配列内でターゲット神経組織を変調させる際の使用に利用可能な電極を特定する。コントローラ2808は、変調場を発生させ、ターゲット神経組織を変調させるために電極リスト内に特定される電極を使用するように神経変調発生器を制御するのがよい。変調は、知覚以下変調であるのがよい。神経変調発生器は、電極リスト内で特定された縮小電極サブセットを用いてターゲット組織内の変調場の均一性を促進させるための変調パラメータセットを使用してもよい。コントローラは、電極リストを更に縮小するために絞り込みアルゴリズム(例えば、二分探索及び/又は縁部探索)を実施するように構成されてもよい。システムは、少なくとも1つの候補電極リストに関する治療効果に関するフィードバックを受信するためのフィードバックモジュールを含んでいてもよい。フィードバックモジュールは、疼痛を緩和する治療効果に関してユーザにより提供されるフィードバックを受信するように構成されてもよい。これに加えて又は変形例として、フィードバックモジュールは、治療効果に関する生体指標信号を検出するように構成されてもよい。
〔知覚以下変調の較正〕
知覚以下変調は、患者が変調エネルギの送出を知覚しないので、変調治療を較正することについて幾つかの課題がある可能性がある。較正は、2015年9月23日に出願された特許文献1に解説されているもの等のセンサを含むのがよい。センサの例は、定量的感覚検査(QST)、脳波図(EEG)、脳皮質電図(ECoG)、拡散光撮像、機能的磁気共鳴映像法(fMRI)、軸索内の局所電場電位(LFPs)、及び軸索内の誘起複合活動電位(eCAPs)を含む。
知覚以下変調の較正は、患者知覚と、変調場をターゲット組織の容積内の位置にわたって移動する自動又は半自動の場トロールを使用してもよい。知覚以下プログラミングアルゴリズムは、電極位置の関数としての相対興奮閾値に関する情報を使用してもよい。感知が利用可能である場合、複合活動電位(例えば、後柱内で感知される複合活動電位)を使用してもよい。感知がない場合、較正はユーザにより提供されるフィードバックを必要とする。しかしながら、標準の脊髄刺激(SCS)プログラミングセッションにおける手動較正は遅すぎる。
様々な実施形態は、変調場をリードに沿って自動的にトロールする。変調の変調強度(例えば、振幅、パルス幅等)を調節するための患者入力を用いて、知覚される変調の強度が一定に留まるように保たれるように患者に命令するのがよい。患者には、知覚閾値、高めの知覚レベル(例えば、知覚される変調を耐える患者の機能の真下)、又は別の知覚レベルに知覚される変調の強度を保つように命令するのがよい。患者入力は、タッチスクリーン上に表示されるオブジェクト、ボタン、ダイヤル、及びスライダー等であるがこれらに限定されない様々な入力形式であるのがよい。
変調場のトロールは、自動的であってもよいし、患者の制御を介していてもよい。候補トロールアルゴリズムは、単極トロール(アノード又はカソード)、二極トロール、又は多極トロールを含む。トロールは、多数の独立した電流制御(MICC)で行われてもよいし、複数の独立した電圧制御で行われてもよいし、タイミングチャネルを交互に配置する技術を用いて行われてもよい。多数の独立した電流制御(MICC)は、変調の中心をリードに沿って又は電極アレイ内で徐々に移動させることを可能にする。タイミングチャネルの交互配置は、異なるタイミングチャネル内の異なる電極を可能にする。タイミングチャネル内の刺激パラメータの値(例えば、振幅)を調節するのがよい。かくして、限定ではなく例示として、単極変調が、第1のチャネル内の第1の電極を用いて送出され、別の単極変調が、第1の電極に隣接した第2のチャネル内の第2の電極を用いて送出されると、第2のチャネル内の単極変調の振幅を増大させるにつれて、第1のチャネル内の単極変調の振幅をインクリメント式に低減させる。この点に関して、変調の中心を徐々に縮小させるのがよい。
幾つかの実施形態は、閾値較正自動モードを提供するのがよい。変調場が発生させられ、患者は、知覚閾値を取得するように命令されてもよいし、振幅の自動増大又は減少を選択して、振幅が知覚閾値に達する時をマーキングする制御が与えられてもよい。幾つかの実施形態では、トロールルーチン中に電流振幅及びパルス幅を調節する制御が患者に与えられるが、システムは、ユーザを、システムのために定められた強度−持続時間曲線の内側に保ったままである。知覚閾値のマーキングにより、デバイスが次の電場に自動的に切換わるのがよい。
リードに沿って又は変調電極アレイ内で一定のレベル又は一定の範囲の患者知覚を生じさせる強度データ(例えば、振幅値)を直接的に又はモデル内で使用して(平滑化する、外れた点を排除するなどのための)、相対的興奮を、リードに沿う位置の関数として推定するのがよい。
この較正データは、変調アルゴリズム内に入力することができ、場が定められる。手動モードを使用することができ、この場合、各マーキングの後に、幾つかの実施形態は、次の構成を直前の構成と同じ振幅に保つことができ、ユーザが知覚閾値を調節することを可能にする。幾つかの実施形態は、トロールが次の着目位置(例えば、電極)に進行する時に電流を低減するのがよい。電流低減は、直前の電流のうちの僅かであるのがよい。この割合は、知覚閾値を迅速に見つけるために上方滴定ルーチンを実施するのがよいように閾値知覚の真下にあると見られるレベルまで電流を低減するように選択するのがよい。限定ではなく例として、この割合は、直前の電流の50%と99%の間にあるのがよい。構成間の切換えは、自動又はユーザが構成を切換える選択を行う半自動であるのがよい。
図29は、例示として、場トロールを実行するのに使用されるシステムを示す。患者の変調場知覚を入力するために、ユーザ(例えば、臨床医又は患者)は、臨床医用プログラマー(CP)又は外部遠隔コントローラ(RC)等の外部デバイス2910を使用してもよい。外部デバイスは、較正を実施するためのGUI要素を有するグラフィカルユーザインタフェース(GUI)2911を含んでいてもよい。これらのGUI要素は、自動トロールを開始するためのボタン又は制御器2912、リードのうちのどの部分をトロールするかを示すためのグラフィックリードレファランス上のグラフィックインジケータ2913、自動トロール中にリード上の場の位置を示すためのグラフィックインジケータ2914、自動トロールからのユーザ選択振幅のグラフィックインジケータ(リアルタイム又はその後のスクリーンで発生させる)2915、較正モデルのグラフィックインジケータ(モデルが使用される場合)2916、自動トロールの速度(定量的なもの、例えば、秒数、又は定性的なもの、例えば、低速、中速、高速であるのがよい)を設定又は修正するための制御器2917、自動トロールにおいて1回又は2回以上の一時停止を設定する(例えば、接点においてその点でのより多くのデータを取得するために数秒間にわたって場を留めるか、又は手動入力で次の自動トロール場所へのジャンプを制御する)機能2918を含んでいてもよい。図示のシステムは、ターゲット組織容積内で変調場を発生させて移動するのに使用するための変調デバイス2919及び電極配列2920を更に含む。電流振幅は、ユーザ入力に従って増大又は低減するのがよい。
図30は、場トロールの実施に使用される外部デバイスのGUIの例を示す。GUIは、リード3021、電極配列、又はターゲット組織の図を提供するのがよい。GUIは、変調場3022の位置のリアルタイムインジケータ又は近リアルタイムインジケータを提供するのがよい。位置は、図示のリード、図示の電極配列、又は図示のターゲット組織に対する相対位置であるのがよい。ユーザは、追加データを収集することを可能にするために、興味のある領域のためのトロールの境界3023及び/又は一時停止箇所3024を設定するのにGUIを使用するのがよい。例えば、これらの箇所は、ドラッグアンドドロップによって制御されるのがよい。GUIは、ユーザが較正の速度3025を選択することを可能にするのがよい。限定ではなく例として、ユーザは、予め定められた速度(例えば、60秒で較正を完了する低速、40秒で較正を完了する中速、20秒で較正を完了する高速)を選択するのがよい。GUIは、ユーザが特別に定めた速度を提供することが可能であるのがよい。例えば、GUIは、ユーザが較正のための高速限界と低速限界の間の任意の速度を選択することを可能にするのがよい。
様々な実施形態は、神経組織位置を介して少なくとも1つのリード上の電極の配列を用いて、変調場をトロールし、変調場が位置を通してトロールされる間にマーキング手順を複数回実施する。マーキング手順は、変調場が患者知覚変調をどの時点で与えるかを特定する。マーキング手順は、変調強度が患者知覚変調に到達したことを示すマーキング信号を受信する段階と、マーキング信号を受信するのに応答して、変調強度に影響を及ぼす変調場パラメータデータを記憶する段階とを含んでいてもよい。変調強度は、患者の変調エネルギ知覚に影響を及ぼす変調パラメータを含んでいるのがよい。これらのパラメータは、パルス幅、速度、振幅、電流分配、電極極性(カソード対アノード)を含んでいてもよい。感覚異常は、患者が変調エネルギを知覚するのがよい方式の一例である。限定ではなく例として、変調場パラメータデータの記憶は、キャッシュ又はRAM等であるがこれらに限定されない一時的ストレージ(記憶デバイス)内、又はROM、メモリデバイス、例えば、ハードドライブ、光ディスク、サムドライブ、又はクラウドストレージ(記憶デバイス)であるがこれらに限定されない永久/恒久ストレージ(記憶デバイス)内である場合がある。
変調パラメータ値は、神経組織の相対的興奮を神経組織位置の関数として推定するのに使用されてもよい。推定された相対的興奮は、電極配列内の1又は2以上の電極を通して送出される変調エネルギをプログラミングするのに使用されてもよい。
マーキングプロセスは、変調強度を調節する命令を示す滴定信号を受信する段階と、滴定信号を受信するのに応答して変調強度を調節する段階と、調節された変調強度が患者知覚変調に到達したことを示すマーキング信号を受信する段階とを含んでいてもよい。滴定信号は、患者、臨床医、又は患者の応答に応じる他のユーザが開始するのがよい。マーキング信号を受信した後に、調節された変調強度でその後のマーキングプロセスを始めることができる。その後のマーキングプロセスは、その後の滴定信号を受信するのに応答して調節された変調強度を続けて調節する段階と、続けて調節された変調強度が患者知覚変調に到達したことを示すその後のマーキング信号を受信する段階とを含んでいてもよい。
幾つかのシステム実施形態は、埋込み可能なデバイスと外部デバイスとを含んでいてもよい。埋込み可能なデバイスは、神経変調発生器と、通信モジュールと、メモリと、コントローラとを含んでいてもよい。外部デバイスは、埋込み可能なデバイスに命令を送り、グラフィカルユーザインタフェースを提供するように構成されてもよい。グラフィカルユーザインタフェースは、トロールルーチン中に電流振幅を調節するように構成された電流振幅制御器を提供するか又はトロールルーチン中に電流振幅及びパルス幅を調節するように構成された電流及びパルス幅の制御器を提供するように構成されてもよい。システムは、それ自体に対して定められた強度−持続時間曲線の内側にユーザを保つように構成されてもよい。グラフィカルユーザインタフェースは、トロールルーチンを開始するように構成されたトロール開始、トロールルーチン中の位置の変更のための速度を設定又は修正するように構成された速度制御、トロールに対するステップサイズを指定するための分解能制御、又はトロールルーチンにおいて1回又は2回以上の一時停止を設定するように構成された一時停止制御という制御のうちのいずれか1つ又はその任意の組合せを提供するのがよい。ラフィカルユーザインタフェースは、これに加えて又は変形例として、トロールルーチン中に電極配列のうちでトロールする部分を示すように構成されたグラフィックリードインジケータ、又はトロールルーチン中に場の位置を示すグラフィック場インジケータのうちの少なくとも一方を提供するのがよい。グラフィック場インジケータは、トロールルーチン中に様々な位置における場の広がりを示すことができる。
滴定信号は、ユーザが手動で示す手動開始滴定信号を含んでいてもよい。これに代えて又はこれに加えて、滴定信号は、変調強度を自動調節するために自動供給信号を含んでいてもよい。自動供給信号は、スケジュール化された時間に従ってタイマーの満了後又はマーキング信号を受信した後に変調強度を自動調節するようにプログラミングされた命令によって制御するのがよい。システムは、変調強度の自動調節を停止するようにユーザにより提供される命令を受信するように構成されてもよい。
変調場をトロールする段階は、変調場を自動的に移動する段階を含んでいてもよい。例えば、マーキング信号は、変調強度が調節されている間に秒読みタイマーが満了した時に発生させるのがよい。幾つかの実施形態では、秒読みタイマーは、ユーザが延長すること、及び/又は次のトロール位置に容易に進めるためにユーザが加速するのがよい。秒読みタイマーは、トロール位置における着目点で長めの持続時間を与え、他のトロール位置で短めの持続時間を与えるように異なる持続時間を有するのがよい。秒読みタイマーは、タイマー時計を用いて、又は進行バー、色勾配、表示の強度レベル等の他のインジケータを用いてユーザに表示するのがよい。変調場をトロールする段階は、患者制御による変調場移動、又は半自動トロールにおける自動制御と患者制御との任意の組合せを含んでいてもよい。
変調場をトロールする段階は、ケース電極がアノードとして構成され、電極配列内の電極がカソードとして構成されるか、ケース電極がカソードとして構成され、電極配列内の電極がアノードとして構成されるか、又は電極配列内の電極がアノード又はカソードとして構成される単極変調場を移動する段階を含んでいてもよい。しかしながら、ターゲット組織の位置を通して電場をトロールするのに二極変調又は多極変調を使用してもよいので、本主題は単極変調に限定されない。変調場をトロールする段階は、神経組織位置を通して変調場を移動するために電極配列内の電極のための分割電流値を変更する段階を含んでいてもよい。変調場をトロールする段階は、少なくとも1つのタイミングチャネルを用いて患者に対して異なる少なくとも2つの電場を発生させる段階を含んでいてもよい。神経組織の相対的興奮を神経組織位置の関数として推定するために、記憶された変調パラメータデータを直接に使用されてもよい。幾つかの実施形態では、相対的興奮を推定するのに、記憶された変調場データを入力として使用するモデルが実施される。
知覚以下治療を較正するために、変調に対する感覚異常等の患者知覚を使用してもよい。例えば、感覚異常又は送出変調エネルギの別の患者知覚インジケータを達成するためにパルス振幅を増大させるのがよい。他の患者知覚インジケータの例は、体温、固有受容感覚、全身違和感、圧力、痒み、苛立ち、震えなどを含んでいてもよい。システムは、患者が変調を知覚する閾値、患者が変調を耐える閾値、又は別の変調強度知覚範囲を用いて知覚以下治療を較正するように構成されてもよい。変調デバイスは、患者知覚電流のうちの僅かである振幅を用いてプログラミングするのがよい。しかしながら、小さいパルス幅のプログラムでは、感覚異常に到達するのに必要とされる振幅は、多くの場合、埋込み可能な刺激器に対する変調出力制約条件を用いて到達可能なものよりも高い。知覚以下変調は、後柱(DC)組織、後根(DR)組織、及び/又は後角(DH)組織を変調させるのがよい。知覚以下変調は、約1500Hz又はそれよりも高い周波数を含んでいてもよい。知覚以下変調は、1500Hzよりも低い(例えば、限定する訳ではないが、2Hzと1200Hzの間の範囲内、1000Hzよりも低い、又は500Hzよりも低い周波数等の1200Hzよりも低い)周波数で後柱(DC)組織よりも後角(DH)組織及び/又は後根(DR)組織を優先的に変調させるのがよい。
まばらなデータから強度−持続時間曲線を推定するために、ラピック強度−持続時間モデル又はワイス電荷持続時間曲線等の曲線当て嵌め技術を使用されてもよい。これらのデータは、電荷対持続時間としてプロットすることができ、線形曲線当て嵌めが使用される。線形当て嵌めのパラメータは、時値及び基電流を推定し、強度持続時間モデル曲線を構成するのに使用される。
図31は、パルス振幅(強度)がパルス持続時間(パルス幅)に対してプロットされた強度持続時間曲線の例を一例として示す。膜の刺激は、刺激の強度と持続時間の両方に依存する。このプロットは、パルス幅が減少するときに必要な電流振幅が増大することを示す。また、このプロットは、基電流及び時値も例示する。基電流は、活動電位をもたらす無限持続時間の最小電流を表し、時値は、基電流の2倍の電流が活動電位をもたらすための最小時間である。強度持続時間曲線を特定するためにより大きいパルス幅に関して測定された2又は3以上の基準データ点を使用することができ、この曲線を小さめのパルス幅に対応する電流を推定するのに使用してもよい。従って、様々な実施形態は、患者が変調閾値を知覚することを可能にする強度を刺激器が発生させるのがよいより大きいパルス幅に対する閾値を取得し、次いで、大きいパルス幅に対するこれらの閾値を用いて、患者が知覚することになる強度を刺激器が発生させることができない小さめのパルス幅に対する知覚閾値を、強度持続時間曲線を用いて推定する。患者知覚の閾値を使用する代わりに又はそれに加えて、他の知覚値を使用してもよい。例えば、耐性閾値が、耐えることができる変調エネルギの最大量を示す場合、この閾値を使用してもよい。この推定閾値の比率は、神経変調プログラミング設定に対して使用されてもよい。このようにして望ましい小パルス幅に適合するデータを取得するのがよい。
図32は、小さいパルス幅での知覚以下変調を較正するのに使用されてもよいシステムの実施形態を一例として示す。図示のシステムは、知覚以下神経変調を送出する際の使用のために作動的に位置決めされるように構成された少なくとも1つのリード上の電極3226を含んでいてもよい。更に、システムは、少なくとも幾つかの電極を用いて知覚以下神経変調のための変調場を発生させるように構成された神経変調発生器3227を含んでいてもよい。システムは、発生変調場が患者知覚変調を与えるという信号を受信するように構成されたフィードバックモジュール3228と、神経変調発生器3227及びフィードバックシステム3228と作動可能に接続され、較正プロセス3230を実施するように構成された制御システム3229とを含んでいてもよい。フィードバックシステム3229は、センサフィードバック3231、及び/又は患者が感覚異常を体験したというユーザフィードバック等の外部デバイスを通じたユーザフィードバック3232を含んでいてもよい。フィードバックセンサの例は、誘起複合活動電位又は他の測定可能生体指標を感知するセンサを含んでいてもよい。制御システム3229によって実施される較正プロセスは、第1のパルス幅を有する第1の刺激パルスと第2のパルス幅を有する第2の刺激パルスとを含む2つの基準パルス3233を用いて変調場を発生させるように神経変調発生器3227を制御する段階を含んでいてもよい。制御システム3229は、患者知覚変調を与える第1のパルス幅を用いて発生させる変調場の強度を表す第1の基準点を決定するためにフィードバックモジュール3228を用い、更に患者知覚変調を与える第2のパルス幅を用いて発生させる変調場の強度を表す第2の基準点を決定するためにフィードバックモジュールを使用してもよい。少なくともこれらの第1及び第2の基準データ点を用いて知覚以下パルス較正データを導出するのがよい。知覚以下較正データを導出する段階は、知覚以下パルス幅を有する知覚以下パルス3234を用いて送出される知覚以下に特有の知覚以下較正データを導出する段階を含む。
図33は、短いパルス幅を用いて知覚以下変調をプログラミングするためのプロセスの実施形態を一例として示す。3335に示すように、第1のパルス幅を有する第1の刺激パルスを用いて変調場を発生させるのがよい。患者知覚変調を与える第1のパルス幅を用いて発生させた変調場の強度を表す第1の基準データ点を決定するのがよい。3336に示すように、第2のパルス幅を有する第2の刺激パルスを用いて変調場を発生させるのがよい。患者知覚変調を与える第2のパルス幅を用いて発生させた変調場の強度を表す第2の基準データ点を決定するのがよい。3337に示すように、第1及び第2の基準データ点を含む少なくとも2つの基準データ点を用いて知覚以下変調のための較正データを導出するのがよい。較正データを導出する段階は、3338に示すように、患者知覚変調を与えることが推定される知覚以下パルス幅を用いて発生させる変調場の推定強度を表す知覚以下データ点を推定する段階を含んでいてもよい。少なくとも2つの基準データ点から推定知覚以下データ点を外挿するのがよい。較正データを導出する段階は、3339に示すように、推定知覚以下データ点を用いて知覚以下に対する較正データ(例えば、振幅)を導出する段階を更に含んでいてもよい。例えば、小さいパルス幅の知覚以下パルスに対する振幅は、推定知覚以下データ点の振幅のうちの僅かであるのがよい。
知覚以下パルス幅に対する知覚以下振幅を推定する段階は、第1の基準振幅及び第2の基準振幅に対して曲線当て嵌め技術を適用して電荷持続時間モデル曲線に対する曲線パラメータを特定する段階と、第1の基準振幅及び第2の基準振幅と電荷持続時間モデル曲線とを用いて、患者知覚閾値を与える知覚以下パルス幅に対する知覚以下を推定する段階とを含んでいてもよい。曲線パラメータの例は、時値と基電流を含む。曲線当て嵌め技術は、ラピック強度持続時間モデル、又はワイス電荷持続時間モデル、又は他の指数関数モデル又は反比例モデルを含むことができ、基準データ点は、パルス幅とその電流振幅とを表すことができる。
上述の手法は、後角(DH)又は後根(DR)の刺激において使用することができ、又は既知のものから刺激振幅を推定する必要があるが、小さめのパルス幅でのこの既知のものに達することができない任意の刺激時に使用されてもよい。例えば、方法は、第1のパルス幅を有する第1の刺激パルスを用いて変調場を発生させて、知覚応答又は測定可能応答を提供する第1のパルス幅を用いて発生させた変調強度を表す第1の基準データ点を決定する段階と、第2のパルス幅を有する第2の刺激パルスを用いて変調場を発生させて、応答を提供する第2のパルス幅を用いて発生させた変調場の変調強度を表す第2の基準データ点を決定する段階とを含んでいてもよい。第1及び第2の基準データ点を含む少なくとも2つの基準データ点を用いて変調に対する較正データを導出するのがよい。較正データを導出する段階は、第1及び第2のパルス幅よりも小さいパルス幅を有するパルスを用いて送出される変調に特有の較正データを導出する段階を含んでいてもよい。較正データを導出する段階は、応答を提供することが推定される小さめのパルス幅を用いて発生させる変調場の推定強度を表すデータ点を推定する段階を含んでいてもよい。少なくとも2つの基準データ点から推定データ点を外挿するのがよい。推定知覚以下データ点を用いて較正データを導出するのがよい。
知覚以上治療とは対照的に、知覚以下治療は、外部遠隔コントローラ(RC)等の外部デバイスを用いて患者がインプラントとどのように相互作用を行うかに関して特定の要求を有する。例えば、知覚以下治療の投与制御(振幅、バースト作動/停止、周波数等)は、直接的な感覚異常知覚に関連しないが、正しく管理されない場合は治療において依然として悪影響を有する可能性がある。様々な実施形態は、臨床医による介入を必要とせずに患者が結果を改善するように治療を調節することを可能にする機能を外部デバイス(例えば、外部遠隔コントローラ(RC))内に与える。患者は、自己較正を開始すること、並びにバースト変調等の投与特徴を制御するのがよい。
知覚閾値及び/又は好ましい変調手法は、様々な患者姿勢に対して異なる場合がある。様々な実施形態は、患者の日常生活の間の姿勢変化を受入れるように適応可能な知覚以下治療を提供する。
様々な実施形態は、自動再較正機能を提供する。自動再較正機能は、患者の姿勢変化が、加速度計、誘起複合活動電位(ECAP)、局所電場電位(LFP)を含む電場電位、インピーダンス、及び他のもの等の感知信号を通して検出された時に較正ルーチンを自動的に再実行するように構成されてもよい。較正ルーチンからの較正情報は、変調プログラムを調節するのに使用されてもよい。
様々な実施形態は、半自動較正機能を提供する。患者は、姿勢を変更した時に再較正を開始するのがよい。較正ルーチンからの較正情報は、変調プログラムを調節するのに使用されてもよい。
様々な実施形態は、適応変調機能を提供する。適応変調機能は、各セットが姿勢位置に独特である異なるプログラミング可能なパラメータセットを設定するように構成された姿勢適応機能を含んでいてもよい。このシステムは、患者の姿勢変化が検出された時に対応するプログラムに切換わるように構成されてもよい。
様々な実施形態は、各セットが活動レベルに独特である異なるプログラミング可能なパラメータセットを設定するように構成された活動適応機能を含む適応変調機能を提供する。活動レベルは、体外又は体内の活動センサを用いて感知されてもよい。
適応変調機能は、姿勢と活動との様々な組合せに対して異なるプログラミング可能なパラメータセットを設定するように構成された姿勢適応的かつ活動適応的な機能を含んでいてもよい。このシステムは、患者の姿勢変化及び/又は患者の活動変化が検出された時に対応するプログラムに切換わるように構成されてもよい。例えば、システムは、限定ではなく例として、睡眠時、平常活動、及び非常に激しい活動レベル等の状況に特有の望ましい変調パラメータを与えるように変調を較正するように構成されてもよい。
図34は、知覚以下変調を送出する段階を含む方法の実施形態を一例として示す。3440において、埋込み可能なデバイス及び電極を用いて神経変調が神経組織に送出される。神経組織は、後角組織、後根組織、又は後柱組織のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。知覚以下変調は、それを下回ると患者が変調場の発生を感知しない境界である患者知覚閾値よりも小さい強度を有する。例えば、患者知覚閾値は、患者が感覚異常を体験する閾値であるのがよい。3441において、神経変調への調節を作動させる患者入力を受信する。患者は、外部デバイスのユーザインタフェースを介して入力を与えるのがよい。患者入力は、患者状態のパラメータを感知するセンサの入力であるのがよい。3442において、患者作動に対するプログラミングされた応答が実施されて神経変調が調節される。
一例として、患者入力は、ユーザにより要求される投与調節とすることができ、応答は、神経変調の投与を調節する応答であるのがよい。幾つかの実施形態では、プログラミングされた応答は、変調を調節する機能を制限する変調制限を含む。かかる制限の例は、潜在的に安全でない神経変調投与を回避するための安全制限である。幾つかの実施形態では、プログラミングされた応答は、神経変調の治療効果を評価するためのフィードバックを受信する段階と、受信フィードバック入力を用いて神経変調を自動的に自己較正する段階とを含む。フィードバックは、外部デバイスのユーザインタフェースを用いて与えられる患者提供疼痛緩和指示であるのがよい。フィードバックは、神経変調の治療効果を評価するためのセンサからの信号を含んでいてもよい。
受信患者入力は、受信患者活動であるのがよい。患者活動は、加速度計ベースの活動センサ等の活動センサを用いて感知されてもよい。患者活動レベルは、ユーザ入力によって受信するのがよい。例えば、患者は、本人の活動をモニタするための活動情報を外部デバイス(例えば、外部遠隔コントローラ(RC))に入力するのがよい。本方法は、患者活動レベル入力を用いて患者の健康品質を自動的に評価する段階と、評価された健康品質によって示された時に神経変調への調節を作動させる段階とを含んでいてもよい。評価された健康品質によって示された時に調節を作動させる段階は、神経変調を較正又は再較正する較正ルーチンを作動させる段階を含んでいてもよい。
図35は、知覚以下変調を送出するシステムを一例として示す。システムは、神経組織を変調させる際の使用のために作動的に位置決めされるように構成された電極配列を含む。神経組織は、後角組織、後根組織、又は後柱組織のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。更に、システムは、図示のように、電極3543の少なくとも一部を用いて神経組織に知覚以下変調を送出するための変調場を発生させるように構成された神経変調発生器3545を含む埋込み可能なデバイス3544を含んでいてもよい。システムは、変調場を発生させて、患者入力に応答して変調場を自動調節するプログラミングされた応答3547を実施するように神経変調発生器3545を制御するように構成されたコントローラ3546を含んでいてもよい。システムは、埋込み可能なデバイス3544と通信するように構成された外部デバイス3548を含んでいてもよい。外部デバイス3548は、患者入力を受信するユーザインタフェース3549と、患者入力に対して1又は複数のプログラミングされた応答3551を実施し、外部デバイス3548から埋込み可能なデバイス3544に患者開始制御信号を送るための通信を自動的に開始するように構成されたコントローラ3550とを含んでいてもよい。埋込み可能なデバイス3544のコントローラ3546は、変調場を発生させて、患者開始制御信号に応答して変調場を自動調節するように神経変調発生器3545を制御するように構成されてもよい。
患者は、投与調節3552を与えるためにユーザインタフェース3549を使用してもよい。埋込み可能なデバイス3544のコントローラ3546は、患者開始制御信号に応答して神経変調の投与を自動調節するように構成されてもよい。システムは、患者開始制御信号に応答した投与の自動調節を制限するように構成されてもよい。外部デバイス3548及び/又は埋込みデバイス3544は、投与調節を制限する機能を有するように構成されてもよい。
システムは、更に、神経変調の治療効果を評価するためのフィードバック入力を含んでいてもよい。例えば、フィードバックは、ユーザにより提供される疼痛緩和又はユーザにより提供される健康品質に関連する場合がある。システムは、フィードバック入力において受信したフィードバックを用いて神経変調を自動的に自己較正するように構成されてもよい。フィードバック入力は、治療の効果に関する入力をユーザ(例えば、患者、臨床医、又は他の介護者)から受入れるために使用される外部デバイスのユーザインタフェース(例えば、外部遠隔コントローラ(RC)のGUI)を含んでいてもよい。例えば、ユーザは、外部デバイスのユーザインタフェースを用いて疼痛緩和3553又は健康品質3554の指示を与えるのがよい。フィードバック入力は、治療効果を示すパラメータを感知する治療フィードバックセンサ3555を含んでいてもよい。複数のフィードバックセンサが存在するのがよい。
患者入力は、患者活動入力3556を含んでいてもよい。コントローラは、患者活動入力を用いて導出するのがよい患者の健康品質によって示された時に較正ルーチンを自動的に作動させるように構成されてもよい。例示として、有意な活動低下は、治療が有効ではなく(例えば、患者が有意な量の疼痛を受けている)、従って、患者が自分の平常活動を行っていないことを示す場合がある。これは、リード移動又は他の変化に対処するために変調治療を再較正しなければならないことを示す場合がある。有意な活動増大(又は有意なレベルの活動を持続すること)は、治療が有効である(例えば、患者は、有意な量の疼痛を受けていない)ことを示すと考えられる。
患者入力は、患者姿勢入力3557をく含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、コントローラは、患者姿勢入力を用いて導出するのがよい患者の健康品質によって示された時に自動的に較正ルーチンを作動させるように構成されてもよい。例示として、有意な姿勢変化(又は1日の与えられた時間にわたる異常な姿勢)は、治療が有効ではなく(例えば、患者が有意な量の疼痛を受けている)、従って、患者が自分の平常活動を行っていないことを示す場合がある。例えば、患者は、通常では立っているか又は歩いている時間にわたって座っているか又は横たわっている可能性がある。これは、リード移動又は他の変化に対処するために変調治療を再較正しなければならないことを示すと考えられる。
幾つかの実施形態では、コントローラは、これに代えて又はこれに加えて、検出患者姿勢に対する較正データを発生させるための較正ルーチンを実施し、検出患者姿勢に対して発生させた較正データを用いて刺激プログラムを調節するように構成されてもよい。幾つかの実施形態では、コントローラは、これに代えて又はこれに加えて、検出患者活動に対する較正データを発生させるための較正ルーチンを実施し、検出患者活動に対して発生させた較正データを用いて刺激プログラムを調節するように構成されてもよい。
図36は、患者入力に対するプログラミングされた応答の例を示す。ユーザにより入力される投与調節3660、ユーザにより入力される疼痛緩和3661、又はユーザにより入力される健康品質3662等の入力を与えるための患者入力3658は、ユーザインタフェース3659を通して入力するのがよい。これに代えて又はこれに加えて、患者入力は、感知姿勢3663及び/又は感知活動3664を含んでいてもよい。プログラミングされた応答3665は、限定ではなく例として、較正又は再較正3666、及び/又は制限付き又は制限なしの投与調節3667を含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、較正は、特定の姿勢範囲又は特定の活動範囲に対して実施することができ、かつこの特定の姿勢範囲又は特定の活動範囲に特有の変調パラメータセットを生成するのに使用されてもよい。
上記に詳述した説明は、限定的ではなく例示的であるように意図したものである。本発明の範囲は、従って、添付の特許請求の範囲を参照してかかる特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲と共に決定されなければならない。