JP6580337B2 - 気泡含有パテ組成物及び該パテ組成物による下地調整方法 - Google Patents

気泡含有パテ組成物及び該パテ組成物による下地調整方法 Download PDF

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Description

本発明は、石膏ボード等の下地材の継ぎ目(目地)や凹凸部に施工、塗付して該下地材の表面を平滑化するために使用する気泡含有パテ組成物、及び下地調整方法に関する。
建築物の内装用の下地材として石膏ボード等を用いることが汎用的に実施されている。例えば、石膏ボードを下地材として使用する場合、複数枚の石膏ボードを張り付けて施工するが、このとき、隣り合う石膏ボード間に目地と称される、例えば楔形様の継ぎ目が形成されることになる。また、様々な理由により、石膏ボード表面に凹凸部が生じることもある。
この下地材の上に上塗り材を塗布して化粧仕上げするに当たり、上塗り材の塗布前に、パテ組成物等でこれら目地や凹凸部を埋めて、下地材の表面を平滑化するための下地調整が必要である。
この下地調整に使用されるパテ組成物は、安全性及びコスト的な問題の点で、現在は半水石膏、合成樹脂エマルション等の水性組成物が主体となっている。以後、特に断らない限り「パテ組成物」と称したときは、この下地調整に使用されるパテ組成物を指すものとする。
パテ組成物は、上記の通り、下地材の表面を平滑化する機能が求められるため、塗装・乾燥後に体積が小さくなる、いわゆるヤセ(肉痩せ)と称される現象やクラックの発生を防止する必要がある。そのため、JIS規格の厚付け用に分類される粒度組成の荒いパテ組成物と、JIS規格の薄付け用に分類される粒度組成の細かいパテ組成物の2種類を積層して施工することが一般的となっている。すなわち、ヤセや乾燥収縮によるクラックの発生し難い厚付け用パテ組成物をまず塗装し、その上に平滑性を向上させる目的で薄付け用パテ組成物を塗装する。なお、薄付け用パテ組成物は、ヤセや当該クラックが発生し易いため、単独での施工は難しく、厚付け用パテ組成物との併用が必要である。従って、各塗工層の施工毎に乾燥が必要になるなど、工程が煩雑で、施工に時間を要する等の問題がある。
特許文献1は、肉痩せやクラックが発生しにくい目地が容易に形成できる石膏ボード用目地処理組成物として、半水石膏、ガラス転移点が−10℃以下の樹脂、及び繊維状物質を含む石膏ボード用目地処理組成物を開示している。
また、特許文献2は、目地部分の変色等の仕上がりムラを防ぐことができる、合成樹脂エマルションを主成分とし、顔料、増粘剤、及びパルプ繊維等を含有する石膏ボード用コテ塗用壁材を開示している。
特開平6−287544号公報 特開2009−57812号公報
しかしながら、特許文献1の目地処理組成物は、半水石膏を使用しているため、二つの剤を準備して施工前に混合するという操作が必要であり、かつ硬化時間を考慮して塗付しなければならないという施工上の制約がある。また、目地処理面の美観や研磨性の点で、満足のいく性能は得られていない。
特許文献2のコテ塗用壁材は、美観の点ではある程度の効果はあるものの、ヤセ及びクラック発生の防止の点で満足できるものではない。
そこで、本発明は、目地処理等の下地調整において、複数種のパテ組成物を必要とせず、1種類のパテ組成物で下地調整が可能で、かつヤセ及びクラック発生防止並びに美観の点で、良好な性能を発揮するパテ組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、充填剤と合成樹脂エマルションとを有するパテ組成物に、特定の気泡を特定量含有させることにより、ヤセ及びクラック発生防止並びに美観の点で、良好な性能を発揮する気泡含有パテ組成物を開発し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、紛体状の充填剤、及び合成樹脂エマルションを含有し、組成物全容積基準で15〜60容積%の気泡を有し、前記気泡の平均径が直径で3〜1000μmである、気泡含有パテ組成物が提供される。
紛体状の充填剤は塗料用として使用できるものが好ましい。特に、建築材料用の塗料に使用できるものが好ましい。
また、下地材の目地部分に沿って、気泡含有パテ組成物をネタ配りする工程と、前記ネタ配りされた前記気泡含有パテ組成物を、前記目地部分全体に充填する工程と、前記充填後、前記充填部分も含めた前記下地材全面に前記気泡含有パテ組成物を塗装する工程と、前記塗装後、乾燥させて塗膜を形成する工程と、前記塗膜の表面を研磨する工程と、を有する、下地調整方法が提供される。
本発明の気泡含有パテ組成物は、下地材への施工において、複数種のパテ組成物を必要とせず、本発明の気泡含有パテ組成物のみでヤセ及びクラック発生を防止し、かつ美観に優れる下地調整を実施することができる。また、気泡の経時安定性に優れるので、当該機能を長期間維持することができる。なお、本発明の気泡含有パテ組成物は単独施工できるものであるが、他のパテ組成物、例えば汎用の厚付け用パテ又は薄付け用パテと併用使用することもできる。
実施例2の気泡含有パテ組成物2の、気泡平均径測定時の塗膜断面の光学顕微鏡写真(20倍)を示す図である。 実施例2の気泡含有パテ組成物2の、気泡平均径測定時の塗膜断面の光学顕微鏡写真(50倍)を示す図である。 実施例でパテ組成物の塗装試験に使用した下地材の写真を示す図である。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明の気泡含有パテ組成物(以後、単に本発明のパテ組成物と称することがある。)は、特定の気泡を含有している点を除いて、「JIS K5669合成樹脂エマルションパテの一般形薄付け用パテ」の範疇に入るものであることが好ましい。
当該JIS規格の「一般形薄付け用パテ」とは、「耐水性が要求されない場所に用い、1回の塗付け膜厚が最大0.5mmになるように作ったもの」と規定されているものであり、通常は、補強テープ及び下記厚付け用パテにて、下地材表面の荒仕上げ、特に下地材の目地部分の平滑化を行った後、平滑仕上げの目的で該厚付け用パテ塗工層及び下地材上に塗装するものである。厚付け用パテのみの塗装では、平滑性が不足するからである。
上記厚付け用パテとは、「JIS K5669合成樹脂エマルションパテの一般形厚付け用パテ」を指し、「耐水性が要求されない場所に用い、1回の塗付け膜厚が最大1.5mmになるように作ったもの」と規定されている。厚付け用パテはヤセ及びクラックが発生し難いという利点を有するが、含有される充填剤等の粒径が大きく、塗装面の平滑性が劣るため、その上に薄付け用パテを重ね塗りすることによる平滑仕上げが必須となる。
一方、従来の薄付け用パテは、目地の存在等、下地材の凹凸が大きな状態で塗装した場合、ヤセ及びクラックが発生する問題を抱え、例え、薄付け用パテを積層して塗装したとしても、当該問題を克服することができなかった。従って、薄付け用パテ塗装の前に先立って、厚付け用パテ塗装が必須であった。具体的には、補強テープ及び厚付け用パテで下地材の目地部分を埋め込み塗装した後、薄付け用パテにて下地材全面を塗装することによって、下地材表面の平滑化仕上げを行うものである。
本発明のパテ組成物は、この薄付け用パテの問題を解決したものであり、厚付け用パテの塗装を不要とし、ヤセやクラックを発生させることなく下地材へ直接塗装することができる。本発明のパテ組成物に含有される、組成物中に分散した微細な気泡が塗工層の収縮及び亀裂の発生を良好に抑制するためであると考えられる。
事前の厚付け用パテ施工が不要であるため、本発明のパテ組成物を使用することにより、施工時間を大幅に短縮できる。
本発明のパテ組成物は、主たる分散媒が水である水分散体であり、充填剤及び合成樹脂エマルションを含有し、かつパテ組成物中に気泡が分散しているものである。本発明のパテ組成物の粘度は、下地材への塗装のし易さ及び気泡の安定性の両立の点で、5〜300Pa・sが好ましく、10〜100Pa・sがより好ましい。なお、粘度は、RION式粘度計VT−04Fにより測定したものである。水としては特に制限は無く、上水、井戸水、イオン交換水、精製水、純水等を使用することができる。
本発明のパテ組成物に使用する充填剤としては、内外壁塗装用塗料等に使用される無機顔料など、無機化合物粉体を用いることができる。具体的には、炭酸カルシウム、タルク、カオリンクレー、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、酸化チタン等を挙げることができる。ヤセ及びクラックの発生防止、並びに気泡安定性の点で炭酸カルシウム、タルク、クレー、又はこれらの混合使用が好ましい。また、熱可塑性又は熱硬化性樹脂微粒子等の有機顔料を使用することもできる。
さらに、充填剤として、中空セラミックバルーン、フライアッシュバルーン、ガラス発砲体などと称される無機系中空粒子、有機系中空粒子(樹脂中空粒子等)、及び有機・無機ハイブリッド中空粒子(有機・無機ハイブリッドフィラー)等を、1種以上含むことが好ましい。ヤセを抑制することができるからである。ヤセ抑制効果が高くなる点で、充填剤の10〜80質量%がこれら中空粒子であることが好ましい。さらに、充填剤の30〜70質量%が中空粒子であることがより好ましい。
本発明のパテ組成物中の全充填剤の含有量は、パテ組成物の全質量基準で、30〜75質量%が好ましく、より好ましくは40〜70質量%である。
また、充填剤の平均粒径としては、充填剤の種類により測定方法が異なるが、例えばd50として0.1〜500μmが好ましく、より好ましくは、1〜300μmである。中空粒子以外の充填剤の平均粒径は1〜50μmが特に好ましく、中空粒子の平均粒径は5〜150μmが特に好ましい。なお、中空粒子の平均粒径は、内部の空隙も含めた見かけ上の平均粒径を指すものとする。
なお、平均粒径測定法としては、動的光散乱法、レーザー回析法等を挙げることができ、いずれの測定法でもこの範囲内であればよい。また、別の視点で平均粒径を示すと、篩法で示すこともでき、中空粒子以外の充填剤の場合、目開き45μmの篩を通過する粒子量が95重量%以上であることが好ましい。
薄付け用パテ用に使用できる充填剤の粒径範囲のものであれば本発明のパテ組成物の充填剤として使用することができる。
また、中空粒子の嵩比重は、0.01〜0.5が好ましい。
本発明のパテ組成物に使用する合成樹脂エマルションとしては、(メタ)アクリル樹脂エマルション、酢酸ビニル樹脂エマルション、塩化ビニル樹脂エマルション、SBR樹脂エマルション、(メタ)アクリル酸−酢酸ビニル共重合樹脂エマルション、及び(メタ)アクリレート−酢酸ビニル共重合樹脂エマルション等を挙げることができ、いずれか一種のみを使用しても、二種以上を混合して使用してもよい。
また、合成樹脂エマルション中の樹脂濃度としては10〜70質量%程度のものを使用することができる。本発明のパテ組成物中の樹脂分の濃度は、パテ組成物の全質量基準で、3〜20質量%が好ましい。合成樹脂エマルションは結合剤として働き、当該濃度範囲であれば塗装性が良く、かつヤセ及びクラックの発生抑制効果が高いからである。また、気泡の分散安定性維持にも有効である。これらの合成樹脂エマルションとしては、市販のものを使用してもよく、サイビノール(登録商標)CAシリーズ、サイビノール UCシリーズ(いずれもサイデン化学株式会社製)や、ニカゾール(登録商標)シリーズ(日本カーバイド工業株式会社製)等を例示できる。
本発明のパテ組成物は、パテ組成物全容積基準で、15〜80容積%の気泡を有し、20〜80容積%有することが好ましく、30〜60容積%有することがさらに好ましい。気泡を当該範囲で含有すれば、下地材への塗布性が良好で、かつヤセ及びクラックの発生を良好に防止できるからである。
ここで、気泡含有量(率)は次のようにして求めるものとする。すなわち、本発明のパテ組成物500mLを容器に充填し、真空脱泡機能付き攪拌機(5DMV−01r、株式会社ダルトン製)にて、0.1MPaで60分間撹拌脱泡操作を行い、当該脱泡後のパテ組成物の容積を測定し、以下の式により求める。
気泡含有量(容積%)=[(脱泡前パテ組成物容積−脱泡後パテ組成物容積)/脱泡 前パテ組成物容積]×100
また、当該気泡の平均径は、直径で3〜1000μmであり、好ましくは5〜500μmである。さらに好ましくは50〜500μmである。当該範囲内であれば、パテ組成物の粘度が高くなりすぎず、また、パテ組成物中に気泡が長期間安定に分散できるからである。さらに、当該範囲内であれば、パテ組成物の塗布、乾燥後の美観に優れるからである。
なお、本発明のパテ組成物中の気泡の平均径は、光学顕微鏡観察において、10mm四方(10mm×10mm)の視野中の直径の大きなものから順に100個測定し、その平均(個数平均径)を求めることによって算出したものであり、3箇所の別の10mm四方の視野を観察した結果を平均するものとする。なお、気泡は真円ではないので、直径とは長径のこととする。従って、パテ組成物中には、直径1μm以下の気泡も存在する。
ここで、当該気泡の平均径を求めるための観察方法は、例えば、次のようにして行う。
まず、65mm×65mm×20mm(縦×横×厚み)の型枠に、パテ組成物を充填し、乾燥させた後、厚み方向の断面を切り出し、当該断面を光学顕微鏡(デジタルマイクロスコープ VHX−500、株式会社キーエンス製)で観察する。観察時の倍率が20〜100倍程度であれば、上記測定が可能である。
なお、本発明のパテ組成物中の気泡は非常に安定であるので、乾燥中に気泡の合一等による粒径変化がほぼ発生しないことを確認している。乾燥の程度は、パテ組成物の塗膜が形成でき、断面を切り出すことができる程度であればよく、また、2週間程度乾燥させてもよい。
パテ組成物中で気泡を長期間安定に分散させ得る点で、本発明のパテ組成物は界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤としては、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、及び両性界面活性剤を挙げることができる。また、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、ポリリン酸塩等の低分子分散剤、及びポリカルボン酸塩、ポリエチレングリコール等の高分子分散剤を使用することもできる、これらの界面活性剤及び分散剤の中から一種類を使用しても、複数種を混合使用してもよい。具体的な界面活性剤としては、アデカノール(登録商標)シリーズ、アデカコール(登録商標)シリーズ、アデカトール(登録商標)シリーズ等を挙げることができる(いずれも株式会社ADEKA製)。好ましくは複数種類の界面活性剤を併用することが良い。気泡の安定性、特に気泡同士の合一を防止する効果が良好となるからである。
また、界面活性剤や分散剤を配合する場合、その全有効分の配合量はパテ組成物全量基準で、0.001〜5質量%程度でよい。より好ましくは、0.01〜2質量%である。
さらに、本発明のパテ組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、増粘剤、及び防腐剤等を含有することができる。
増粘剤としては、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びこれらの変性物、ソルビトール等の糖アルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、並びにポリアクリルアミド等を挙げることができる。
防腐剤としては、汎用の防腐剤を使用することができ、具体的には例えば、ベストサイド(登録商標)1600A(日本曹達株式会社製)等を挙げることができる。
以上説明した各成分及び気泡を含有する本発明のパテ組成物は、その密度が、0.1〜1.5g/cm3が好ましく、0.3〜1.0g/cm3がより好ましく、0.3〜0.7g/cm3が特に好ましい。ヤセ抑制効果が高いからである。
次に、本発明のパテ組成物の製造方法について説明する。
本発明のパテ組成物は、水、充填剤、合成樹脂エマルション、及び所望により増粘剤や界面活性剤等を撹拌(混合)装置に投入して、撹拌混合することにより製造することができる。例えば、次のような方法を例示することができる。
撹拌装置に水、増粘剤、防腐剤及び界面活性剤を投入してパテ組成物用水溶液又は水分散液を調製する。続いて、炭酸カルシウム、タルク、及び中空粒子等の充填剤、及び所望によりさらに界面活性剤を、水溶液又は水分散液中に投入し、撹拌して充填剤を均一に分散させる。このとき空気を巻き込むように撹拌強度を大きくすることにより、気泡がほぼ均一に分散されたパテ組成物を得ることができる。
本発明に用いる撹拌装置としては、例えば、1又は2軸式ニーダー、ホモミキサー、ホモディスパー等を使用することができる。
高粘度のペースト状組成物を、均一に撹拌、混練出来る撹拌装置で、撹拌容器内を万遍無く撹拌、混練する事が出来る撹拌装置で製造することができる。製造時間は、空気を巻き込んで分散安定性に優れる微粒子状の気泡を内包させるのに必要な撹拌強度を、撹拌装置がどのように備えているかにより変わり、例えば、ホモディスパーを用いて高速撹拌した場合は、撹拌時間は短く、2軸式ニーダーで低速撹拌した場合は、撹拌時間は長くなる。
一例として次の条件を挙げることができる。1軸当たり20馬力、槽内容量1300Lの2軸式ニーダーを使用し、パテ組成物を約600kg製造する場合、60〜70rpmの回転で30分間〜2時間程度で製造することができる。他の撹拌装置を使用する場合、上記2軸式ニーダーの撹拌力に対応する条件で製造試験を行い、各撹拌装置に適した条件を調整すればよい。
最終的には、後述するパテ組成物の密度、気泡含有量及び気泡の平均径(直径)を測定し、所望の本発明のパテ組成物が調製されていることを確認する。
本発明の主たる特徴であるパテ組成物中に分散されている気泡について、さらに説明する。
本発明のパテ組成物中の気泡は、上記の通り、パテ組成物中にパテ組成物全容積基準で15〜80容積%含まれ、その平均径が直径で3〜1000μmである。特に、気泡がパテ組成物全容積基準で30〜60容積%であり、その平均径が直径で50〜500μmであることが好ましい。
このような気泡をパテ組成物中に形成させるためには、パテ組成物製造中に空気を巻き込むと共に所定の微細気泡としてパテ組成物中に分散できる程度の撹拌力で撹拌することが必要であり、当該撹拌力としては、上記した2軸ニーダーでの製造運転条件が一つの指標となる。パテ組成物中に微分散した気泡を長期間安定に保持する点において、気泡を含有する本発明のパテ組成物は、その粘度が5〜300Pa・sが好ましく、10〜100Pa・sがより好ましい。
なお、粘度は、RION式粘度計VT−04Fにより、室温下で測定することができる。また、ローターは、パテ組成物の粘度に応じて選択するが、No.1又は2を使用して測定できる。
起泡性及び形成された気泡の合一抑制の点で、界面活性剤をパテ組成物の成分として含有させることが好ましく、また、界面活性剤を配合することにより、所望の気泡をパテ組成物中に形成・分散させるための撹拌力を小さくすることができ、この点でも界面活性剤の配合が好ましい。
また、気泡を安定に分散・保持する粘度とするために、増粘剤も配合させることもまた好ましい。
つづいて、本発明のパテ組成物の塗装方法について説明する。ただし、以下に示す塗装方法は一例であり、下地材の目地部分が本発明のパテ組成物で充填され、かつ下地材全面を均一に塗装できれば、その塗装方法は下記の方法に限定されるものではない。
まず、下地材の目地部分に、上記説明した組成を有する本発明のパテ組成物を、金ベラ等で付着させる(ネタ配り)。ここで、ネタ配りとは、パテ組成物等の塗料を塗装面の所々に大雑把に付着させて配置することをいう。ネタ配りされたパテ組成物を、金ベラ、刷毛、ローラー等にて均一に塗り広げることにより、塗装面を仕上げていくことになる。
本願のパテ組成物は、まず、下地材の目地部分に沿ってこのネタ配りが施される。
次に、当該目地部分全体にパテ組成物が均一に充填されるように、金ベラ等でパテ組成物を埋め込んでいく。
引き続いて、本発明のパテ組成物を、金ベラ、刷毛、ローラー、コテ等を用いて、下地材全面に塗装して均一で平滑な塗装面に仕上げていく。
さらに、塗装したパテ組成物を乾燥させて塗膜を形成させた後、研磨紙にて表面を研磨して最終的な下地調整が行われる。以上のようにして下地調整が終了した後、上塗り材による仕上げ・化粧塗装が実施されることになる。研磨紙としては、一般に下地調整に使用される研磨紙を使用すればよい。
従来技術では、上記の目地部分へのネタ配りと目地部分へのパテ組成物の埋め込みによる均一充填までが「厚付け用パテ」で行われ、下地材全面の平滑化仕上げが「薄付け用パテ」で実施されていたものである。
本発明のパテ組成物は、このような使い分けが不要であるので、本発明のパテ組成物を使用することにより、下地調整の施工時間を大幅に短縮できる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以後、比較例等においては気泡含有量を充足しない例もあるので、実施例の説明中では、単にパテ組成物と称するものとする。
1.パテ組成物配合成分
(1)充填剤(A)
A−1;炭酸カルシウム1(SFT−2000、三共精粉株式会社製)、45μm篩残分 1.5%[平均粒径 30.0μm(重量累積粒度分布の50%径)]
A−2;炭酸カルシウム2(ソフトン N−600、株式会社ニッチツ製)
A−3;タルク(TALC SW−B、浅田製粉株式会社製)、篩通過率(−45μm)99.8%以上
A−4;クレー(SPクレー、 株式会社勝光山鉱業所製)、平均粒径 7μm
A−5;中空粒子1[FINE SPHERE (FS-150)(N20)、巴工業株式会社製]
A−6;中空粒子2(グラスバブルズ S−22、スリーエムジャパン株式会社製)、粒径 35μm(d50)
A−7;中空粒子3[EMC 40(A)(有機・無機ハイブリッドフィラー)、三共精粉株式会社製]、粒度 4−180μm
(2)合成樹脂エマルション(B)
B;アクリル共重合体水性エマルション(サイビノール UC−206、サイデン化学株式会社製)
(3)増粘剤(C)
C;ヒドロキシプロピルメチルセルロース(hi メトローズ、信越化学工業株式会社製)
(4)界面活性剤(D)
D−1;ジオクチルスルホコハク酸エステルナトリウム塩
D−2;ポリオキシアルキレンエーテル(アデカノール B−733、株式会社ADEKA製)
2.パテ組成物中の気泡含有量(率)の測定方法
パテ組成物500mLを容器に充填し、真空脱泡機能付き攪拌機(5DMV−01r、株式会社ダルトン製)にて、0.1MPaで60分間撹拌脱泡操作を行い、当該脱泡後のパテ組成物の容積を測定することにより、パテ組成物中の気泡含有量を求めた。具体的には、以下の式により求めた。
気泡含有量(容積%)=[(脱泡前パテ組成物容積−脱泡後パテ組成物容積)/脱泡 前パテ組成物容積]×100
なお、気泡含有量は、パテ組成物製造直後に加えて、パテ組成物を2週間静置した後についても測定した。
3.気泡の平均径の測定方法
65mm×65mm×20mm(縦×横×厚み)の型枠に、パテ組成物を充填し、2週間自然乾燥させた後、厚み方向の断面を切り出し、当該断面を光学顕微鏡(デジタルマイクロスコープ VHX−500、株式会社キーエンス製)で観察した。観察倍率は50倍とした。
気泡の平均径は、当該観察において、10mm四方(10mm×10mm)の視野中の直径の大きなものから順に100個測定し、その平均(個数平均径)を求めることによって算出し、3箇所の別の10mm四方の視野を観察した結果を平均した。なお、気泡は真円ではないので、直径とは長径を示すものとする。
なお、気泡の平均径は、パテ組成物製造直後に加えて、パテ組成物を2週間静置した後についても測定した。
4.パテ組成物の密度測定方法
作成したパテ組成物500mLの重量を精秤することにより密度を算出した。
なお、密度はパテ組成物製造直後に加えて、パテ組成物を2週間静置した後についても測定した。
5.パテ組成物の粘度測定方法
RION式粘度計VT−04Fにより、室温下で測定した。ローターは、No.1又は2を使用した。
なお、粘度はパテ組成物製造直後に加えて、パテ組成物を2週間静置した後についても測定した。
実施例1
(1)パテ組成物1の製造
A−1を191g、A−2を48g、A−3を40g、A−4を72g、A−5を159g、A−6を41g、A−7を24g、及びCを2g、以上を混合した紛体混合品を調製した。次に、卓上型ミキサー(ケンミックスミキサー、株式会社愛工舎製作所製)に、水319g、Bを59g、及びD−2を1g投入して1分間撹拌し、そこへ、上記紛体混合品を投入して60分間撹拌することによってパテ組成物1を製造した。
配合組成を表1に示す
(2)パテ組成物1の性状
パテ組成物1の粘度、密度、気泡平均径及び気泡含有量を上記の測定方法に従って、製造直後及び2週間静置した後それぞれについて測定した。
各性状を表1に示す。
(3)パテ組成物1の下地材への塗装
セッコウボード(チヨダウーテ株式会社製、9.5mm厚、ベベルカットボード)を図3に示すように張り合わせ、断面がV字状の目地部分に補強用メッシュテープを貼り付けた。
次に、当該目地部分に沿って、パテ組成物1を金ベラでネタ配りした。次に、当該目地部分にパテ組成物1が均一に充填されるように、金ベラでパテ組成物を埋め込んだ。続いて、パテ組成物1を、金ベラを用いて、事前にパテ組成物1を埋め込んだ目地部分も含めた下地材表面に均一に塗装した。塗装後、自然乾燥させて乾燥塗膜を形成させた。また、塗装面積は0.09m2とした。
(4)パテ組成物1の性能評価
パテ組成物1の下地材への塗装時の塗装性、並びに塗装後の乾燥塗膜の状態について、美観、ヤセの発生状況、及びクラックの発生状況について、次の判定基準で評価した。
<塗装性>
〇;パテ組成物を塗布する際に、金ベラでのネタ配りやヘラ扱きが軽く、伸びが良いの で塗布し易い。
△;パテ組成物を塗布する際に、金ベラでのネタ配りやヘラ扱きは軽いが、伸びがやや 悪いので若干塗布し難い。
×;パテ組成物を塗布する際に、金ベラでのネタ配りやヘラ扱きが重く、伸びも悪いの で塗布し難い。
<美観(肌合い)>
〇;乾燥塗膜表面を研磨紙にて研磨刷り後、各種上塗り材塗料を塗布した場合、仕上が りに問題ない平滑な肌合いを有する。
△;乾燥塗膜表面を研磨紙にて研磨刷り後、上塗り材塗料を塗付した場合、該塗料の種 類によっては、一部仕上がりに問題のある平滑でない肌合いが認められる。
×;乾燥塗膜表面を研磨紙にて研磨刷り後、上塗り材塗料を塗布した場合、仕上がりに 問題のある平滑でない肌合いであり、仕上げ塗装できない。
<ヤセ>
〇;乾燥塗膜がパテ組成物を塗布した際の形状を保持している。
△;乾燥塗膜がパテ組成物を塗布した際の形状より少しヤセるが、補強テープ面は認め られない。
×;乾燥塗膜がパテ組成物を塗布した際の形状よりヤセ、補強テープのメッシュ形状が 認められる。
<クラック>
〇;乾燥塗膜表面に乾燥収縮によるクラックが認められない。
△;乾燥塗膜表面に乾燥収縮による微細なクラックが認められる。
×;乾燥塗膜表面に乾燥収縮による大きなクラックが認められる。
各性能評価結果を表1に示す。
実施例2、4、5、参考例3
パテ組成を表1に示したものとした以外は実施例1と同様にして、それぞれパテ組成物2〜5を製造し、かつ、各パテ組成物の性状を測定した。結果を表1に示す。なお、表1の各成分の配合量は有効分(固形分)の質量%である。また、実施例2のパテ組成物2を代表として、気泡平均径測定のための顕微鏡観察の状況を図1(20倍)及び2(50倍)に示した。なお、これらは、製造直後のパテ組成物2を観察したものである。図中の気泡径の長さの数字は、任意に選択した気泡の径を例示して示したものである。
さらに、各パテ組成物について実施例1と同様に下地材への塗装及び性能評価を実施した。結果を表1に示す。
比較例1〜3
パテ組成物として、メーコー株式会社製の一般形薄付け用パテである、Sパテ、MK ECO・スーパーパテ、及びMK ECO・ジャストパテの3点を使用した。なお、それぞれ順にパテ組成物6、7及び8とする。また、各パテ組成物の性状を測定した。結果を表1に示す。
さらに、各パテ組成物について実施例1と同様に下地材への塗装及び性能評価を実施した。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜5のパテ組成物(気泡含有パテ組成物)は、比較例1〜3のパテ組成物と比較して、塗膜形成後のヤセ及びクラック防止性能に優れている。また、実施例1〜5の気泡含有パテ組成物は2週間経過後であっても有効な気泡含有量、及び良好な気泡平均径を維持しており、気泡の経時安定性に優れている。なお、気泡に関して3ヶ月間経過観察した結果、同様に、良好な経時安定性を保持していた。

Claims (4)

  1. 紛体状の充填剤、及び合成樹脂エマルションを含有し、さらに、組成物全容積基準で15〜60容積%の気泡を有し、
    前記気泡の平均径が直径で3〜1000μmである、
    気泡含有パテ組成物。
  2. 前記気泡含有パテ組成物の粘度が5〜300Pa・sである、
    請求項1に記載の気泡含有パテ組成物。
  3. さらに、界面活性剤を組成物全量基準で0.001〜5質量%含有する、
    請求項1又は2に記載の気泡含有パテ組成物。
  4. 下地材の目地部分に沿って、請求項1〜3のいずれかに記載の気泡含有パテ組成物をネタ配りする工程と、
    前記ネタ配りされた前記気泡含有パテ組成物を、前記目地部分全体に充填する工程と、
    前記充填後、前記充填部分も含めた前記下地材全面に前記気泡含有パテ組成物を塗装する工程と、
    前記塗装後、乾燥させて塗膜を形成する工程と、
    前記塗膜の表面を研磨する工程と、を有する、
    下地調整方法。
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