JP6580009B2 - スポーツシューズのソール構造 - Google Patents

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Description

本発明は、スポーツシューズのソール構造に関し、詳細には、スタート時の加速性を向上できかつ最高速度を向上できるようにするための構造の改良に関する。
本願発明者らは、まず、陸上短距離競技におけるタイムの短縮のために、走行時の最高速度を上げることができるシューズを開発しようと試みた。ところが、最高速度の向上に相反して、スタート時の加速が悪くなるケースが多いことが分かった。一般に、走行時間の40%程度までは加速局面であるため、スタート時の加速もタイム短縮のための重要なファクターであると考えられる。
その後検証を進めていくにつれ、さらに以下のことが分かってきた。
i) 高い最高速度が出るシューズはスタート時の加速が悪い。
これは、トップギヤでスタートするイメージである。
ii)スタート時に加速しやすいシューズは最高速度が伸びない。
これは、最後までローギヤで走るイメージである。
このような点を考慮すると、走行中にギヤチェンジを行えるようなシューズを開発できれば、効果的にタイム短縮を行えるようになると推測される。
そこで、本願発明者らは、スタート時および最高速度時のそれぞれの動作分析を行って足の挙動を詳細に検証することにした。被験者に実際に短距離を走行してもらい、走行中に足に作用する力の分布を求めた。図14〜図22は、スタート時の右足の足圧分布を時系列的に示す図であり、図23〜図29は、最高速度時の右足の足圧分布を時系列的に示す図である。各図中、色が濃いほど圧力が高いことを示している。
スタート時において、図14〜図16の局面は、主に前足部拇指球側で初期接地した状態を示しており、図17〜図19の局面は、子指球側へ接地領域が広がっていく状態を示しており、図20〜図22の局面は、拇指球側および拇指に体重が移動して離地していく状態を示している。最高速度時において、図23〜図24の局面は、踏付け部子指球側のやや踵寄りの位置で初期接地した状態を示しており、図25〜図27の局面は、前足部全体で接地した状態を示しており、図28〜図29の局面は、体重がつま先側へ移動して離地していく状態を示している。
その一方、従来の常識として、固いソールは最高速度が向上するが、スタート時の加速が悪い、ということが分かっており、単純にソールの固さを変えるだけでは、スタート時の加速性の向上および最高速度の向上を両立させることは困難である。
本願発明者らは、図14〜図29の足圧分布を検証した結果、スタート時には足幅方向(つまり横方向)への体重移動をスムーズに行え、かつ最高速度時には前後方向(つまり縦方向)への体重移動をスムーズに行えるシューズを開発できれば、スタート時の加速性の向上および最高速度の向上を両立させることが可能になるのではないかと考えるに至った。
このような観点から、本願発明者らは、シューズのソールの剛性を横方向と縦方向で異ならせて(すなわち、剛性に異方性を持たせて)横剛性を縦剛性よりも小さくすることにより、横方向の柔らかさを利用してスタート時の加速性を向上させることができ、かつ縦方向の固さを利用して最高速度を向上させることができるソールを構築しようと考えた。
ここで、スパイクソールの剛性を変化させたものとして、たとえば国際公開第2012/127556号パンフレットには、強化繊維製の主補強シートの層の上に、前足部前端が欠損した強化繊維製の欠損シートの層を前足部前端を後方にずらした状態で積層することにより、前方にいくにしたがいソールの曲げ剛性を徐々に小さくしたものが提供されている(段落[0011]、[0015]、[0065]および[0066]、ならびに図4および図5参照)。
しかしながら、上記パンフレットに記載のものでは、ソール前足部の前後方向の屈曲性を向上させる観点からソール前足部の前後方向の曲げ剛性にのみ着目しており、幅方向の曲げ剛性については何ら考慮されていない。
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたもので、本発明が解決しようとする課題は、スタート時の加速性の向上および最高速度の向上を両立できるスポーツシューズのソール構造を提供することにある。
本発明に係るスポーツシューズのソール構造は、シューズの前後方向に延びるソールプレートを備え、ソールプレートが、硬質弾性部材製のソール本体と、ソール本体の足裏当接側の面において、前端が前足部に配置されかつ後端が中足部に配置されることで前足部から中足部にかけての領域に配設された繊維強化シートとを有している。繊維強化シートの前端は、着用者の足の第1趾および第2趾の各先端まで延設されるとともに、第3趾ないし第5趾の各先端までは延設されておらず、前記領域内の各部位において、ソールプレートの幅方向の剛性である横剛性が、前後方向の剛性である縦剛性よりも低くなっており、ソール本体が前記領域において複数の貫通孔を有し、繊維強化シートが貫通孔を覆うとともに、貫通孔を通してソール本体の底面に臨んでいる。
本発明によれば、シューズの前足部から中足部にかけての領域に配置されるソールプレートの横剛性が縦剛性よりも低くなっているので、横方向の柔らかさを利用してスタート時の加速性を向上できるとともに、縦方向の固さを利用して最高速度を向上できるようになる。
本発明では、繊維強化シートの縦剛性/横剛性の比が1.8以上14以下になっている。縦剛性/横剛性の比を1.8以上としたのは、縦剛性/横剛性の比が1.8未満となるように横方向を柔らかくしつつ縦方向を固くすることが難しいためである。すなわち、縦剛性/横剛性の比が1.8未満の場合には、十分に柔らかくした横剛性と比べて、最高速度を向上させるための十分な縦剛性を得ることが難しいためである。その一方、縦剛性/横剛性の比を14以下としたのは、縦剛性/横剛性の比を高くすることは繊維の硬い(つまり繊維密度が高い)シートを用いることにより可能であるが、縦剛性/横剛性の比が14より大きいとソールプレート全体の強度が不足するおそれがあるためである。
本発明では、繊維強化シートが、前後方向に延びる第1の繊維、第1の繊維と交差する方向に延びる第2の繊維とを有し、第2の繊維の本数が第1の繊維の本数よりも少なくなっている。
本発明では、繊維強化シートが、前後方向に延びる繊維のみを有している
本発明では、ソールプレートが、ソール本体の成形時に繊維強化シートをインサート成形して構成されている
本発明では、繊維強化シートが、着用者の足の踏付け部ならびに第1趾および第2趾を含む領域に配置されている。
本発明では、ソールプレートの縦剛性/横剛性の比が1より大きく、かつ縦剛性が8N/mm以上である。
本発明では、ソールプレートがスパイクソールである。
以上のように、本発明に係るスポーツシューズのソール構造によれば、シューズの前足部から中足部にかけての領域に配置されるソールプレートの横剛性を縦剛性よりも低くしたので、横方向の柔らかさを利用してスタート時の加速性を向上できるとともに、縦方向の固さを利用して最高速度を向上できるようになる。
本発明の一実施例によるソール構造が採用されたスパイクソールの底面側斜視図である。 前記スパイクソール(図1)の一部拡大図である。 前記スパイクソール(図1)の底面図である。 前記スパイクソール(図1)の平面図である。 前記スパイクソール(図1)の内甲側側面図である。 前記スパイクソール(図1)の外甲側側面図である。 図3および図4のVII-VII線縦断面図である。 図3ないし図7のVIII-VIII線横断面図である。 図3ないし図7のIX-IX線横断面図である。 図3ないし図7のX-X線横断面図である。 図3ないし図7のXI-XI線横断面図である。 本発明の作用効果を確認するためのスパイクソールのプロトタイプの底面部分図である。 前記プロトタイプ(図12)の検証実験結果を従来品の実験結果とともに示すグラフであって、スタート時の加速局面における進行方向の力積を示している。 スタート時の足圧分布を時系列的に示す図である。 スタート時の足圧分布を時系列的に示す図である。 スタート時の足圧分布を時系列的に示す図である。 スタート時の足圧分布を時系列的に示す図である。 スタート時の足圧分布を時系列的に示す図である。 スタート時の足圧分布を時系列的に示す図である。 スタート時の足圧分布を時系列的に示す図である。 スタート時の足圧分布を時系列的に示す図である。 スタート時の足圧分布を時系列的に示す図である。 最高速度時の足圧分布を時系列的に示す図である。 最高速度時の足圧分布を時系列的に示す図である。 最高速度時の足圧分布を時系列的に示す図である。 最高速度時の足圧分布を時系列的に示す図である。 最高速度時の足圧分布を時系列的に示す図である。 最高速度時の足圧分布を時系列的に示す図である。 最高速度時の足圧分布を時系列的に示す図である。 本発明の変形例によるソール構造が採用されたスパイクソールの底面図である。 前記スパイクソール(図30)の平面図である。 前記スパイクソール(図30)の内甲側側面図である。 前記スパイクソール(図30)の外甲側側面図である。 図30および図31のXXXIV-XXXIV線縦断面図である。 図30ないし図34のXXXV-XXXV線横断面図である。 図30ないし図34のXXXVI-XXXVI線横断面図である。 図30ないし図34のXXXVII-XXXVII線横断面図である。 図30ないし図34のXXXVIII-XXXVIII線横断面図である。 図30ないし図34のXXXIX-XXXIX線横断面図である。 前記スパイクソール(図30)の足長方向の3点曲げ試験の概要を説明するための図である。 前記スパイクソール(図30)の足幅方向の3点曲げ試験の概要を説明するための図である。 前記3点曲げ試験の測定結果に基づき、前記スパイクソール(図30)の縦剛性を横軸にとり、縦剛性/横剛性の比を縦軸にとって測定値の平均値をプロットしたグラフであって、従来品の3点曲げ試験の測定結果も併せて示している。
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1ないし図13は、本発明の一実施例によるスポーツシューズ用ソール構造を説明するための図である。ここでは、スポーツシューズとして陸上短距離スパイクシューズを例にとる。なお、以下の説明中、上方(上側/上)および下方(下側/下)とは、シューズの上下方向の位置関係を表し、前方(前側/前)および後方(後側/後)とは、シューズの前後方向の位置関係を表しており、幅方向とはソール左右方向を指すものとする。すなわち、上方および下方は、図3を例にとった場合、同図の紙面奥側および紙面手前側をそれぞれ指しており、前方および後方は、同図の上方および下方をそれぞれ指しており、幅方向は、同図の左右方向を指している。また、図3中、Hはソール構造の踵部を、Mは中足部を、Fは前足部をそれぞれ示している。
図1ないし図11は、陸上短距離スパイクシューズのソール構造を構成するソールプレートとしてのスパイクソールを示している。図1、図3および図4に示すように、スパイクソール1は、ソール構造の踵部Hから中足部Mをへて前足部Fまで延びるソール本体2を有している。ソール本体2は、着用者の足裏が直接または他部材を介して当接する足裏当接部20と、その外周縁部から上方に立ち上がる立上げ部21とを有している。足裏当接部20は、着用者の足裏側に配置される上面(足裏当接面)と、その逆側に配置される下面(底面)とを有している。立上げ部21は、この例では、足裏当接部20の略全周にわたって設けられている(図5、図6、図8ないし図11参照)。なお、図7ないし図11の断面図においては、図示の便宜上、ハッチングを省略して示している。
ソール本体2は、硬質弾性部材から構成されており、具体的には、熱可塑性ポリウレタン(TPU)やポリアミドエラストマー(PAE)等の熱可塑性樹脂、またはエポキシ等の熱硬化性樹脂から構成されている。
ソール本体2の前足部Fの底面側には、複数(この例では7個)のスパイクピン5、6が設けられている。これらのスパイクピン5、6のうち、前側に配置された3本のスパイクピン5は、足の足指に対応する位置に配置され、後側に配置された4本のスパイクピン6は、足の踏付け部に対応する位置に配置されている(図4参照)。各スパイクピン5、6はそれぞれ台座50、60を介してソール本体2の底面側に固着されている。また、ソール本体2の踵部Hの底面側には、下方に突出する多数の突起70が植設された領域7が設けられている(図5、図6では突起70の図示を省略)。各突起70は、ソール本体2と一体成形されている。
ソール本体2の前足部Fから中足部Mにかけての領域において足裏当接部20の下面側(底面側)には、多数の貫通孔2aが形成されている。なお、図1および図3に示す例では、貫通孔2aは、スパイクピン5の周囲領域には設けられていない。各貫通孔2aは前後方向に長い六角形状を有しており、図2に示すように、足裏当接部20を上下に貫通している。足裏当接部20の貫通孔2aの形成領域において幅方向に隣り合う各貫通孔2aの間には、多数のピン26が植設されている(図5、図6ではピン26の図示を省略)。
ソール本体2の前足部Fから中足部Mにかけての領域において足裏当接部20の上面側(足裏当接面側)には、図4、図7ないし図10に示すように、繊維強化シート2Aが設けられている。繊維強化シート2Aが配設された領域は、貫通孔2aが形成された領域とオーバラップしており(つまり繊維強化シート2Aは貫通孔2aを覆っており)、そのため、繊維強化シート2Aは、足裏当接部20の下面側から貫通孔2aを通して見えるようになっている。なお、図4に示す例では、繊維強化シート2Aの前端は、足の踏付け部から第1趾および第2趾の各先端まで延設されており、後端は、中足部Mの領域まで延設されている。
繊維強化シート2Aとしては、ここでは、炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)シートが用いられているが、炭素繊維以外の繊維を用いるようにしてもよい。たとえば、ポリプロピレン繊維強化プラスチック(PPFRP)シートやガラス繊維強化プラスチック(GFRP)シート等を用いるようにしてもよい。また、繊維強化シート2Aのマトリックス材としては、たとえば、熱可塑性ナイロン12や熱可塑性エポキシ樹脂等が用いられる。繊維強化シート2Aは、インサート成形や接着等によってソール本体2と一体化されている。
繊維強化シート2Aの各繊維は、好ましくは、実質的に足長方向(前後方向)に沿って配設されており、足幅方向(左右方向)には配設されていない。すなわち、各繊維は、足長方向に平行に(または略平行に)延びている。
繊維強化シート2Aの前後方向の曲げ剛性である縦剛性と幅方向の曲げ剛性である横剛性とは異なっており、剛性に異方性を有するものが用いられている。繊維強化シート2Aの縦剛性および横剛性の比は、好ましくは、1.8以上14以下に設定されている。
縦剛性/横剛性の比を1.8以上としたのは、縦剛性/横剛性の比が1.8未満となるように横方向を柔らかくしつつ縦方向を固くすることが難しいためである。すなわち、縦剛性/横剛性の比が1.8未満の場合には、十分に柔らかくした横剛性と比べて、最高速度を向上させるための十分な縦剛性を得ることが難しいためである。その一方、縦剛性/横剛性の比を14以下としたのは、縦剛性/横剛性の比を高くすることは繊維の硬い(つまり繊維密度が高い)シートを用いることにより可能であるが、縦剛性/横剛性の比が14より大きいとソールプレート全体の強度が不足するおそれがあるためである(ただし、その場合でも、ソール本体2の構造によりスパイクソール全体を補強することは可能である)。繊維強化シート2Aの縦剛性/横剛性の比を上記の値に設定することにより、スパイクソール全体の横剛性は縦剛性よりも低くなっている。
なお、各曲げ剛性の値については、短冊状の試験片を用意してこれに3点曲げを行うことにより得られる曲げ弾性率のデータから求められる(JIS K7074参照)。
ソール本体2の足裏当接部20の上面側(足裏当接面側)には、図7の一点鎖線に示すように(他の図では図示省略)、軟質弾性部材製のミッドソール8が配設されている。ミッドソール8は、踵部Hから前足部Fの踏付け部領域まで延設されている。ミッドソール8は、具体的には、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等の熱可塑性合成樹脂やその発泡体、ポリウレタン(PU)等の熱硬化性樹脂やその発泡体、またはブタジエンラバーやクロロプレンラバー等のラバー素材やその発泡体から構成されている。
次に、本実施例の作用効果について説明する。
上述したスパイクソール1のプロトタイプ・サンプルとして、図12に示すようなスパイクソール1’を用意した。なお、同図において、図3と同一符号は同一または相当部分を示している。スパイクソール1’においては、ソール本体2’の前足部領域に繊維強化シート2Aが設けられておらず、その代わりに、ソール本体2’の底面には、実質的に前後方向に延びる複数の縦溝10が形成されている。これらの縦溝10によって、スパイクソール1’の曲げ剛性に関しては、縦剛性を低下させることなく、横剛性を低下させている。すなわち、前後方向の屈曲抵抗を維持しつつ、幅方向の屈曲抵抗が低下して、幅方向に曲がりやすくなっている。
被験者にスパイクソール1’を着用してフォースプレートの上で短距離走行をしてもらい、スタート時の加速局面で進行方向の正味力積(つまり加速に必要な力の総和)を求めた。力積の算出結果を図13に示す。
図13には、プロトタイプであるスパイクソール1’の算出結果に加えて、従来品(つまり縦溝のないもの)の算出結果が併せて示されている。同図に示すように、プロトタイプは、従来品に比べて、力積が約5%アップしており、加速性が向上していることが分かる。これは、スパイクソール1’の場合には、スタート時の加速局面において、横方向の柔らかさが増していることで、前足部の拇指側から子指側に荷重がスムーズに移動して接地領域が広がることにより、蹴り出し姿勢を保持しやすくなるためと考えられる。これに対して、従来品の場合には、横方向の柔らかさが十分でないため、拇指側から子指側への荷重移動がスムーズに行えず、蹴り出し姿勢の保持が十分に行えないと考えられる。なお、スパイクソール1’について、最高速度到達時には官能ベースでは問題はなかった。
このことから、ソール本体2の前足部領域に繊維強化シート2Aを設けた本実施例品のスパイクソール1においても、横方向の柔らかさが増していることにより、プロトタイプのスパイクソール1’と同様の作用効果を奏するものと考えられる。
以上、本発明に好適な実施例について説明したが、本発明の適用はこれに限定されるものではなく、本発明には種々の変形例が含まれる。以下に変形例のいくつかの例を挙げておく。
<第1の変形例>
前記実施例では、繊維強化シート2Aが、着用者の足の踏付け部ならびに第1趾および第2趾を含む領域に配置された例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。繊維強化シート2Aは、第1趾および第2趾に加えて、第3趾ないし第5趾のいずれかまたはすべてを含む領域に配置するようにしてもよい。したがって、繊維強化シート2Aの前端縁部の位置およびその形状は、前記実施例に示すものには限定されない。
<第2の変形例>
前記実施例では、繊維強化シート2Aの後端が、中足部Mの前後方向略中央部まで延設された例を示したが、繊維強化シート2Aの後端の位置は、これより前側でも後側でもよい。したがって、繊維強化シート2Aの後端縁部の位置およびその形状は、前記実施例に示すものには限定されない。
図30ないし図39は、本発明の第2の変形例の一例を示している。これらの図において、前記実施例と同一符号は同一または相当部分を示している。なお、図34ないし図39の断面図においては、図示の便宜上、ハッチングを省略して示している。
この例が前記実施例と大きく異なる点は、図31に明確に示されているように、繊維強化シート2Aの後端2Aが、着用者の足の中足趾節関節MPに対応する位置またはその近傍位置に配置されている点である。図31の例では、繊維強化シート2Aの後端2Aは、足の各足指の中足骨MT(第1中足骨MT参照)の骨頭部付近に配置されている。ここでは、中足趾節関節MPの近傍位置とは、各足指の基節骨PP(第1基節骨PP参照)の骨底部から中足骨MTの骨頭部までの領域内のいずれかの位置を指している。また、この例では、繊維強化シート2Aの後端2Aは、各スパイクピン6の直近前側の位置において中足趾節関節MPに沿って幅方向に孤状に延びている。
繊維強化シート2Aは、図30に示すように、ソール本体2の前足部Fの領域に形成された多数の貫通孔2aを通してソール本体2の下面側に臨んでいる(同図中の斜線領域参照)。繊維強化シート2Aの各繊維は、前記実施例と同様に、好ましくは、実質的に足長方向(前後方向)に沿って配設されており、足幅方向(左右方向)には配設されていない。すなわち、各繊維は、足長方向に平行に(または略平行に)延びている。繊維強化シート2Aは、前後方向の曲げ剛性である縦剛性と幅方向の曲げ剛性である横剛性とが異なっており、剛性に異方性を有している。繊維強化シート2Aの縦剛性および横剛性の比は、前記実施例と同様に、好ましくは、1.8以上14以下に設定されている。
ソール本体2の足裏当接部20の上面において繊維強化シート2Aの後方側には、図31に示すように、実質的に足長方向に沿って延びる複数の突条のリブ9aと、これらのリブ9aと交差しつつ実質的に足幅方向に沿って延びる複数の突条のリブ9bとが形成されている。この例では、各リブ9a、9bは、ソール本体2の足裏当接部20の上面において、実質的に足長方向および足幅方向に整列しつつ間隔を隔てて形成された多数の矩形状凹部9cによって形成されている。また、ソール本体2の足裏当接部20の下面には、図30に示すように、多数の凹部2bが形成されている。
次に、このソール本体2からなるスパイクソール1を用いて3点曲げ試験を行った。
図40および図41は、3点曲げ試験の概要を説明するための図である。これらの図において、架台を構成するベース100のベース面上には、所定の間隔Sを隔てて一対の支持部101、102が取り付けられており、各支持部101、102によってスパイクソール1のソール本体2の足裏当接部20の下面が下方から支持されるようになっている。ベース100の上方には、図示しない駆動機構を介して昇降可能に設けられた圧縮ヘッド110が配置されており、圧縮ヘッド110の上端は駆動機構の駆動ヘッドにチャックされ、下端111には円弧状の先端面111aが形成されている。ここでは、各支持部101、102の間隔Sが75mmに設定されるとともに、圧縮ヘッド110の先端面111aのアール(曲率半径)がR10に設定されている。
スパイクソール1の足長方向の3点曲げ試験を行う際には、図40に示すように、ソール本体2の足長方向を各支持部101、102と略直交するように配置して、ソール本体2の前足部および中足部を各支持部101、102で支持し、この状態から、駆動ヘッドを駆動して圧縮ヘッド110の先端面111aをソール本体2の踏付け部に押し付ける。このとき、ソール本体2の変形量が3mm近傍となる荷重値から曲げ剛性(縦剛性)を算出した。同様に、スパイクソール1の足幅方向の3点曲げ試験を行う際には、図41に示すように、ソール本体2の足幅方向を各支持部101、102と略直交するように配置して、ソール本体2の前足部の内甲側縁部および外甲側縁部を各支持部101、102で支持し、この状態から、駆動ヘッドを駆動して圧縮ヘッド110の先端面111aをソール本体2の踏付け部に押し付ける。このとき、ソール本体2の変形量が3mm近傍となる荷重値から曲げ剛性(横剛性)を算出した。
上述のようにして算出した曲げ剛性を、横軸が縦剛性かつ縦軸が縦横剛性比のグラフにプロットすると、図42に示すようになる。同図中の本発明品に示すように、本発明によるスパイクソールにおいては、縦剛性が10.8(N/mm)で、縦横剛性比(つまり縦剛性/横剛性の比)が1.2(>1)であった。
従来品においても同様の3点曲げ試験を行い、算出した曲げ剛性を同図にプロットした。従来品1は、繊維強化シートを用いずに、樹脂製のスパイクソールに足長方向のリブ(縦リブ)を一体形成したものであり、一方、従来品2および3は、繊維強化シートも縦リブもない仕様のスパイクソールである。同図に示すように、従来品1については、縦横剛性比が1よりも大きくなったが、従来品2および3についてはいずれも縦横剛性比が1よりも小さかった。
その一方、スパイクソールの縦剛性としては8(N/mm)以上の大きさを有している方が、短距離用のスパイクシューズのように衝撃荷重が高頻度に作用するような使用環境においては、スパイクソールの最高速度性能の観点等から好ましいことが実験的に確認された。本発明のスパイクソールの縦剛性は10.8(>8)(N/mm)なので、このような要請を十分に満足するものである。なお、従来品1においては、樹脂製のスパイクソールの厚みを厚くすることで縦剛性を或る程度まで高くすることは可能であるが、その場合、スパイクソールの重量が増え、シューズ全体が重くなるという欠点がある。本発明品においては、樹脂製のスパイクソールの厚みを厚くすることなく、縦横剛性に異方性を有する軽量の繊維強化シートをスパイクソールに内蔵したものであるため、スパイクソール全体を軽量化できる。
<第3の変形例>
前記実施例では、繊維強化シート2Aの各繊維が足長方向にのみ配設され、足幅方向には配設されていない例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。各繊維は、足長方向および足幅方向(または足長方向と交差する方向)の双方に配設されていてもよい。ただし、この場合、足長方向に配設される繊維の量が足幅方向(または足長方向と交差する方向)に配設される繊維の量よりも多くなっている、すなわち、多くの繊維が足長方向に平行に(または略平行に)延びかつ残りの繊維が足幅方向に平行に(または略平行に)延びているのが好ましい。
<第4の変形例>
前記実施例では、ソール本体2の足裏当接部20の貫通孔2aが前後方向に長い六角形状を有している例を示したが、貫通孔2aの形状はこれに限定されるものではなく、矩形状、台形状、多角形状、円形状、楕円状、長孔状等の任意の適切な形状を採用し得る。
<第5の変形例>
前記実施例では、ソール本体2の足裏当接部20の上面側(足裏当接面側)に軟質弾性部材製のミッドソール8が配設された例を示したが、ミッドソール8は省略することも可能である。
<その他の変形例>
上述した実施例および各変形例はあらゆる点で本発明の単なる例示としてのみみなされるべきものであって、限定的なものではない。本発明が関連する分野の当業者は、本明細書中に明示の記載はなくても、上述の教示内容を考慮するとき、本発明の精神および本質的な特徴部分から外れることなく、本発明の原理を採用する種々の変形例やその他の実施例を構築し得る。
<他の適用例>
前記実施例では、当該ソール構造体が陸上短距離スパイクシューズに適用された例を示したが、本発明の適用はこれに限定されるものではなく、本発明は、フットボールやその他の競技用のスパイクシューズにも適用でき、さらに、スパイクのないスポーツシューズにも適用可能である。
以上のように、本発明は、スポーツシューズ用ソール構造体に有用である。
1: スパイクソール(ソールプレート)


2: ソール本体
2A: 繊維強化シート

F: 前足部
M: 中足部
国際公開第2012/127556号パンフレット(段落[0011]、[0015]、[0065]および[0066]、ならびに図4および図5参照)

Claims (8)

  1. スポーツシューズのソール構造において、
    シューズの前後方向に延びるソールプレートを備え、
    前記ソールプレートが、硬質弾性部材製のソール本体と、前記ソール本体の足裏当接側の面において、前端が前足部に配置されかつ後端が中足部に配置されることで前足部から中足部にかけての領域に配設された繊維強化シートとを有し、
    前記繊維強化シートの前記前端が着用者の足の第1趾および第2趾の各先端まで延設されるとともに、第3趾ないし第5趾の各先端までは延設されておらず、
    前記領域内の各部位において、前記ソールプレートの幅方向の剛性である横剛性が、前後方向の剛性である縦剛性よりも低くなっており、
    前記ソール本体が前記領域において複数の貫通孔を有し、前記繊維強化シートが前記貫通孔を覆うとともに、前記貫通孔を通して前記ソール本体の底面に臨んでいる、
    ことを特徴とするスポーツシューズのソール構造。
  2. 請求項1において、
    前記繊維強化シートの縦剛性/横剛性の比が1.8以上14以下になっている、
    ことを特徴とするスポーツシューズのソール構造。
  3. 請求項1において、
    前記繊維強化シートが、前後方向に延びる第1の繊維と、前記第1の繊維と交差する方向に延びる第2の繊維とを有し、前記第2の繊維の本数が前記第1の繊維の本数よりも少なくなっている、
    ことを特徴とするスポーツシューズのソール構造。
  4. 請求項1において、
    前記繊維強化シートが、前後方向に延びる繊維のみを有している、
    ことを特徴とするスポーツシューズのソール構造。
  5. 請求項1において、
    前記ソールプレートが、前記ソール本体の成形時に繊維強化シートをインサート成形して構成されている、
    ことを特徴とするスポーツシューズのソール構造。
  6. 請求項1において、
    前記繊維強化シートが、着用者の足の踏付け部ならびに第1趾および第2趾を含む領域に配置されている、
    ことを特徴とするスポーツシューズのソール構造。
  7. 請求項1において、
    前記ソールプレートの縦剛性/横剛性の比が1より大きく、かつ縦剛性が8N/mm以上である、
    ことを特徴とするスポーツシューズのソール構造。
  8. 請求項1において、
    前記ソールプレートがスパイクソールである、
    ことを特徴とするスポーツシューズのソール構造。
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