以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す各実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための方法及び装置を例示するものであって、本発明の技術的思想は下記のものに限定されるわけではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において種々の変更を加えることができる。
図1は、本実施の形態に係るアーム式投球装置の構成を示す正面図であり、図2はその側面図である。以下、スポンジボールの射出方向を「前方」、その反対方向を「後方」、後方を向いたときの右方向を「右方」、左方向を「左方」という。
まず、図面を参照してアーム式投球装置100の構成について説明する。本実施の形態に係るアーム式投球装置100は、アーム200と、回転機構300とを備えている。アーム200は、射出されるスポンジボール400を載置することができる。回転機構300は、アーム200を回転させる。アーム200が回転することにより生じる遠心力によってスポンジボール400が前方に射出される。以下、アーム式投球装置100の構成を詳細に説明する。
図3及び図4は、アームの平面図及び側面図である。アーム200は、半筒状部材210と、クランク220とを有している。半筒状部材210は、断面形状がV字状をなしており、一方向に長く形成されている。半筒状部材210の長手方向に延びる両端縁、即ち、V字の開放側の2つの先端部分はスポンジボール400が転動するレール211とされる。レール211の長さはスポンジボール400の直径の1/3以上とされる。半筒状部材210は、V字の屈曲部分の両側それぞれに矩形の肉抜き孔212が長手方向に列状に並べて設けられており、全体として格子状に形成されている。さらに詳細に説明すると、半筒状部材210は、2つの棒状のレール部材213と、同じく棒状の中心部材214とが互いに平行に配置され、レール部材213と中心部材214との間を渡すように棒状の梁部材215が等間隔を隔てて複数設けられる。一方のレール部材213と中心部材214とを含む平面と、他方のレール部材213と中心部材214とを含む平面とが約90度で交差するように、レール部材213及び中心部材214は設けられる。1つのレール部材213、中心部材214、及び隣り合う2つの梁部材215によって囲まれる空間が、肉抜き孔212である。
なお、肉抜き孔212の形状は矩形に限られず、丸形、楕円型、三角形その他の多角形型等であってもよい。また、肉抜き孔212を設けず、2つの平板をV字状に結合したような構成の半筒状部材210とすることもできる。但し、肉抜き孔212を設けることで、半筒状部材210を軽量化し、アーム200を回転させたときに生じる空気抵抗を軽減することができる。また、半筒状部材210の断面形状はV字状に限られず、U字状、C字状、コ字状等の他の凹形状としてもよい。
クランク220は、半筒状部材210の基端側に設けられている。クランク220の一端側にはワンウェイクラッチ221が設けられており、このワンウェイクラッチ221が回転機構300の出力軸に接続される。クランク220の他端には接続孔222が設けられている。かかるクランク220は、その長手方向、即ち、ワンウェイクラッチ221と接続孔222とを結ぶ方向が、半筒状部材210の長手方向に対して直交するように、半筒状部材210の基端側に固定されている。また、半筒状部材210とクランク220との90度をなす角部には、補強部材230が設けられ、この補強部材230によって半筒状部材210とクランク220とが連結されている。
図1及び図2を参照する。回転機構300は、モータ(図示せず)と、歯車、ベルト、チェーン等による変速機(図示せず)とを有している。変速機は出力軸を有しており、この出力軸はアーム200のワンウェイクラッチ221が接続される。アーム200は、回転機構300により、右側から見たときに反時計回り(図2における矢印方向)の方向(以下、「回転方向」という)に回転される。ワンウェイクラッチ221は、アーム200の回転方向への回転を制限せず、その反対方向への回転を制限する。これにより、出力軸の回転方向への回転力が、ワンウェイクラッチ221を介してアーム200に伝達され、アーム200が回転方向に回転する。
上記のようなアーム200及び回転機構300は、架台500に取り付けられる。また、架台500には、電源となる電池が収容された電池ボックス550が取り付けられている。
クランク220の接続孔222(図4参照)にはリンク240の一端が接続されており、このリンク240の他端にはバネ250の一端が接続されている。バネ250の他端は架台500に固定された接続具510に接続されている。
また、架台500には、射出されるスポンジボール400が置かれるボール載置部520が設けられている。ボール載置部520は、一方の短辺部分が欠落した長方形の枠体521を有し、枠体521の短辺の長さ(幅)はアーム200の幅より若干大きくなっている。図5は、本実施の形態に係るアーム式投球装置100におけるボール載置部520の構成を示す斜視図である。なお、図5では、架台500の一部を省略している。枠体521は、回転機構300の出力軸310の後方において、開放側が前方、閉塞側(短辺部分側)が後方となるように長手方向を前後方向として水平に配置されている。また、回転するアーム200と干渉しないように、枠体521は、その短辺部分が、後方に延びた状態のアーム200よりも後方に位置するよう取り付けられる。つまり、アーム200が回転するとき、半筒状部材210が枠体521の内側空間を通過する。
また、ボール載置部520は、枠体521の右側の長辺部分の前端に立設されたボール受け部522を有している。アーム式投球装置100の左側には、スポンジボールを供給するボール供給装置が取り付けられ、このボール供給装置からスポンジボール400がボール載置部520に供給される。ボール受け部522は、スポンジボール400の形状に合わせた曲率で湾曲しており、その湾曲部分でスポンジボール400を受ける。また、湾曲部分は枠体521に連なるように下方に傾斜しており、湾曲部分で受け止められたスポンジボール400は傾斜に沿って枠体521へと導かれる。枠体521の2つの長辺部分は、スポンジボール400の直径より短い距離で離隔しており、枠体521へと導かれたスポンジボール400は2つの長辺部分の最も前側の部位で支えられる。
図6は、ボール供給装置が取り付けられたアーム式投球装置の構成を示す正面図である。なお、図6においてバネ250は省略されている。図6を参照して、ボール供給装置の構成を説明する。ボール供給装置600は、レール700と、ボール送り機構800とを有している。レール700は、アーム式投球装置100に供給されるスポンジボール400をボール送り機構800に案内する案内路であり、ボール送り機構800は、レール700によって案内されたスポンジボール400を1つずつアーム式投球装置100に送り出す。
アーム式投球装置100の回転機構300の上方には、スポンジボール400を保持するボール保持部530が設けられている。ボール保持部530は、スポンジボール400の形状に適合した凹状に形成されており、スポンジボール400を収容するように保持することができる。レール700は、このボール保持部530から左斜め上方に延びるように設けられている。レール700は、断面視において半円状をなす半筒状に形成されており、レール700の断面視半円状の凹部は、スポンジボール400の直径と同程度又は若干大きい直径を有している。レール700には、スポンジボール400は、このレール700を一列に並べるように複数載置することができる。レール700に載置されたスポンジボール400は、レール700の傾斜に沿って右斜め下方に移動し、ボール保持部530に導かれる。
レール700は円弧状に湾曲している。レール700の終点、即ち、ボール保持部530との接続端において、レール700におけるスポンジボール400の進行方向(右方)に向かって下側に傾斜しており、終点から始点(ボール保持部530との接続端の反対側端。左端)に向かうにしたがって傾斜角度が漸減している。このように構成することにより、レール700の始点側ではスポンジボール400がレールに沿って転動する力が小さく、隣り合うスポンジボール400が押し合う力が小さい。スポンジボール400が転動する力は、レール700の終点に近づくにしたがって大きくなり、終点においてはボール保持部530に移動するのに十分な大きさの力となる。このように、隣り合うスポンジボール400が擦れ合うことによる摩擦帯電の発生を抑制しつつ、最も終点側のスポンジボール400がボール保持部530へ移動するのに十分な力を生じることができる。
レール700の終点及び始点それぞれにおける傾斜角度は、始点の傾斜角度が終点の傾斜角度よりも小さければ、適宜設定することができる。但し、終点及び始点における傾斜角度を大きくしすぎると、レール700に並べられたスポンジボール400間で押し合う力が大きくなり、摩擦帯電が生じてしまうため好ましくない。また、終点及び始点における傾斜角度を小さくしすぎると、スポンジボール400がレール700上を転動する力が小さく、このため、隣り合うスポンジボール400間に生じる静電気による吸着力で、スポンジボール400のレール700上での円滑な進行が阻害される虞がある。上記のような観点から、終点における傾斜角度を15°以上45°以下とし、始点における傾斜角度を0°以上10°以下とすることが好ましい。本実施の形態では、レール700の終点での傾斜角度は水平に対して下側に30°であり、始点での傾斜角度は水平に対して5°である。
レール700は、スポンジボール400の大きさ(半径)、レール700に載置可能なスポンジボール400の数、上記の終点及び始点における傾斜角度を考慮して、適宜設定される。具体的には、レール700の曲率半径をR、スポンジボール400の半径をr、レール700に載置可能なスポンジボール400の数をn、終点での傾斜角度をθとしたときに、曲率半径Rが次式(1)により規定されることが好ましい。
なお、この式(1)は、始点における傾斜角度が0°になるまでレール700を延長させた場合の曲率半径Rの求め方に相当する。
図7は、レール700の曲率を説明するための図である。式(1)は、次のように導出される。図7におけるA−B間をレール700の円弧形状とすると、円弧ABの長さは2Rπ×θ/360と表せる。この円弧ABにn個のスポンジボール400を載せる場合、各スポンジボール400の中心を通り、n個のスポンジボール全体を貫く円弧の長さは、次のように近似できる。
2(R+r)π×θ/360≒2r×n (2)
式(2)を変形することで、上述した式(1)が導かれる。
例えば、n=3(個)、r=35(mm)、θ=30°の条件で式(1)より曲率半径Rを求めると、R=366.2(mm)となる。
次に、ボール送り機構800の構成について説明する。図8は、ボール送り機構800の構成を示す背面図である。ボール送り機構800は、レール700から送られたスポンジボール400をボール保持部530で停止させ、また、ボール保持部530において停止したスポンジボール400をボール載置部520に送り出す。かかるボール送り機構800は、スライダクランク機構等の回転運動を直線運動に変換する運動変換機構810と、スポンジボール400を送り出すための送出部材820とを有している。回転機構300の出力軸310は、アーム200側、即ち右側だけでなく、その反対側(左側)にも突出している(図5参照)。出力軸310の左側に突出した部分は、運動変換機構810に接続されている。運動変換機構810には送出部材820が接続されており、送出部材820は運動変換機構810によって上下方向に往復運動を行う。
送出部材820は、レール700からボール保持部530に送り込まれるスポンジボール400を停止させるストッパ821と、ボール保持部530に保持されたスポンジボール400を突き上げる突上部822とを有している。ストッパ821と突上部822とは一体化されており、送出部材820が構成されている。送出部材820には上下に延びる2つのガイド孔823,824が設けられており、ガイド孔823には架台500に固定して設けられたピン541が、ガイド孔824には同じくピン542が挿入されている。これにより、送出部材820は、その移動方向が上下方向に規制される。
図9は、スポンジボール400を停止させた状態の送出部材820を示す正面断面図であり、図10は、スポンジボール400を送り出す状態の送出部材820を示す正面断面図である。ストッパ821は、前後方向に延びる棒状をなしている。図9に示すように、送出部材820が移動範囲の下限に位置するとき、ストッパ821はボール保持部530に保持されたスポンジボール400の上端よりも低い位置にある。これにより、ボール保持部530からボール載置部520側、即ち右側にスポンジボール400が移動しようとする場合に、ストッパ821がスポンジボール400の右側、即ち、進行方向前側に当接し、スポンジボール400がボール保持部530で停止する。
かかるストッパ821の下限位置におけるボール保持部530の球面凹状の表面からの高さ(球面凹状面の最も低い部位からの高さ)は、スポンジボール400の半径よりも長く、且つその直径よりも短い。これにより、ストッパ821は、スポンジボール400の上側部分(スポンジボール400の半径よりも高い部分)に当接する。このため、ストッパ821は、スポンジボール400の進行方向に対する横方向、つまり前後方向に延びる下端の角部823において、スポンジボール400に当接する。したがって、ストッパ821におけるスポンジボール400と接触する部位の面積は極めて小さく、スポンジボール400がストッパ821と接触することにより生じる摩擦帯電が抑制される。
なお、ここではストッパ821の形状を棒状としたが、これに限定されるものではない。ストッパ821を棒状以外の形状としてもよい。特に、板状等の角部を有する形状とすれば、スポンジボール400との接触面積を小さくすることができるため、好適である。
図9及び図10に示すように、ボール保持部530の球面凹状面の最も低い部位よりも若干左側の部位、即ち進行方向後側には貫通孔531が開設されている。突上部822は、上下方向に延びる棒状をなしており、貫通孔531に位置付けられる。図9に示すように、送出部材820が移動範囲の下限に位置するとき、突上部822の上端はボール保持部530の凹状面よりも下方に位置する。したがって、この場合にはボール保持部530に保持されたスポンジボール400が突上部822に接触することがなく、ボール保持部530によるスポンジボール400の保持が阻害されることがない。
送出部材820は運動変換機構810により上方に移動される。これによってストッパ821がボール保持部530に保持されたスポンジボール400の上端よりも上方に移動し、スポンジボール400の停止が解除される。それと共に、図10に示すように、突上部822が貫通孔531を貫通して上方に移動し、スポンジボール400を下から突き上げる。貫通孔531はボール保持部530の凹状面の最も低い部位よりも左側に設けられているため、スポンジボール400の下部左側の位置、即ち進行方向後側下部が突上部822によって突き上げられる。突上部822は、前後方向に短寸の幅を有しており、その上端には幅の長さで前後方向に延びる角部824を有している。かかる突上部822は、この角部824においてスポンジボール400の進行方向後側下部を突き上げる。これにより、スポンジボール400が右側に押し出され、ボール載置部520に送り出される。上記のように、突上部822の角部824がスポンジボール400と当接するため、突上部822におけるスポンジボール400と接触する部位の面積は極めて小さく、スポンジボール400が突上部822と接触することにより生じる摩擦帯電が抑制される。
なお、ここでは突上部822の形状を棒状としたが、これに限定されるものではない。突上部822を棒状以外の形状としてもよい。特に、板状等の角部を有する形状とすれば、スポンジボール400との接触面積を小さくすることができるため、好適である。
また、突上部822はその厚さ(左右方向の長さ)がスポンジボール400の直径の1/5程度とされている。突上部822の厚さは、上記の長さに限定されるものではないが、大きすぎると、ボール保持部530に保持されたスポンジボール400に後続するスポンジボール400が、進行方向後側へ大きく変位してしまうという問題が生じ得る。その場合、さらに後続するスポンジボール400が突き上げられて浮き上がり、レール700上から外れてしまうおそれがある。このような問題の発生を抑制するために、突上部822の厚さは、スポンジボール400の直径の1/3以下とすることが好ましい。
また、突上部822が上昇している間に、ボール保持部530に保持されたスポンジボール400だけでなく、これに後続するスポンジボール400にも突上部822が当接する構成とすることができる。この場合、突上部822が後続するスポンジボール400の進行方向前側部分に当接し、さらに上昇することで、当該スポンジボール400を進行方向後側に引き戻す。他方、ボール保持部530に保持された先行するスポンジボール400は突上部822により進行方向前方に押し出されるため、これらの2つのスポンジボール400は互いに反対方向に移動することになる。これにより、これらのスポンジボール400の間で静電気による吸着力が生じていても、互いに反対方向に離反され、先行するスポンジボール400を確実にアーム式投球装置100側へ送り出すことができる。突上部822の上端が、これらの2つのスポンジボール400が互いに接する部位よりも高い位置まで上昇するよう、突上部822の突き上げ量を設定したり、2つのスポンジボール400の両方に当接するよう突上部822の厚さを設定したりすることで、上記のように後続するスポンジボール400を進行方向後側に引き戻すことができる。また、2つのスポンジボールの間に割り込むように突上部822が上昇する構成とすれば、突上部822を2つのスポンジボール400の間に介在させることでこれらを強制的に離隔させることができ、先行するスポンジボール400をより一層確実にアーム式投球装置100側へ送り出すことができる。
突上部822の幅(前後方向の長さ)は適宜設定される。但し、突上部822の幅が大きすぎると、スポンジボール400との接触面積が大きくなるため、なるべく小さくすることが好ましい。
次に、上記のようなボール供給装置付のアーム式投球装置の動作について説明する。まずユーザは、ボール供給装置600のレール700に一又は複数のスポンジボール400を載置する。スポンジボール400はレール700の傾斜に沿って移動する。このとき、最初のスポンジボール400は、ボール保持部530に移動する。送出部材820は移動範囲の下限位置にあり、当該スポンジボール400はストッパ821に当接してボール保持部530の凹面に収まるように停止する(図9参照)。
回転機構300のモータが回転することで、送出部材820が上昇する(図10参照)。これにより、ボール保持部530に保持されたスポンジボール400からストッパ821が離れ、それと共に突上部822が上昇する。突上部822は、スポンジボール400の最も低い部位よりも若干左側の部位を突き上げ、これによってスポンジボール400がボール保持部530から右方に送り出される。
上記のように送出部材820はストッパ821及び突上部822においてスポンジボール400に接触する。ストッパ821にはレール700に載置されたスポンジボール400の重さのみでスポンジボール400が接触するため、ストッパ821がスポンジボール400に強く押し付けられることがない。しかも、ストッパ821のうち、スポンジボール400に接触する角部823の面積は非常に小さい。したがって、ストッパ821とスポンジボール400との間で生じる摩擦が最小限に抑えられ、静電気の発生が抑制される。また、突上部822は上昇することでスポンジボール400に接触するが、スポンジボール400は拘束されておらず自由に移動できるため、突上部822が接触すると上方に逃げ、突上部822がスポンジボール400に強く押し付けられることがない。しかも、突上部822はその先端の角部824のみでスポンジボール400に接触する。したがって、突上部822とスポンジボール400との間においても摩擦が最小限に抑えられ、静電気の発生が抑制される。
上記のようにしてボール供給装置600からボール載置部520にスポンジボール400が供給される。ボール載置部520では、ボール保持部530から移動したスポンジボール400がボール受け部522によって受け止められ、枠体521の2つの長辺部分によって支持される。
また、送出部材820は再度下降し、後続するスポンジボール400をストッパ821がボール保持部530で停止させる。回転機構300によって、上記の動作が繰り返し行われ、スポンジボール400が1つずつアーム式投球装置100に供給される。
アーム200及び運動変換機構810はいずれも回転機構300のモータの出力軸に連結され、当該モータによって駆動される。したがって、アーム200の回転運動と送出部材820の往復運動は同期しており、アーム200の1回転が送出部材820の1往復に対応する。上記のようにしてボール載置部520にスポンジボール400が送り出される時点において、ボール保持部530からのスポンジボール400の移動経路上にアーム200がないように、アーム200の回転運動と送出部材820の往復運動のタイミングが調整される。具体的には、アーム200がボール載置部520の位置にある水平状態のときのアーム200の回転角度を0度とすると、送出部材820が移動範囲の上限に位置している時点で、アーム200の回転角度が90度以上360度未満の範囲に設定される。スポンジボール400がボール載置部520に移送された直後は、スポンジボール400に振動が生じ、位置が安定していない。このため、アーム200がスポンジボール400に接触する前に、スポンジボール400の位置を安定させるため、振動が減衰する時間を設けることが好ましい。この振動の減衰時間を考慮すれば、送出部材820が移動範囲の上限に位置している時点で、アーム200の回転角度を90度以上270度以下の範囲内に設定することがより好適である。
回転機構300は、アーム200を回転させる。半筒状部材210の長手方向に対してクランク220の長手方向は90度の角度をなしており、クランク220の先端(リンク240との接続端)が下方を向いているとき、半筒状部材210の先端は前方を向いている(つまり、アーム200の回転角度が180度)。クランク220の先端はバネ250によって下方に付勢されているが、アーム200はワンウェイクラッチ221によって回転方向とは反対方向への回転が制限されているため、クランク220の先端を下限位置から上昇させるように回転機構300がアームを回転させると、バネ250による付勢力が増大する。回転機構300はこの付勢力に抗してアーム200を回転させ、クランク220の先端が上方を向くとき、バネ250による付勢力は最大となる。このとき、半筒状部材210はボール載置部520の枠体521の内部で水平状態となっており、レール211がスポンジボール400に接触する。回転機構300がアーム200をさらに回転させると、スポンジボール400がレール211に載置された状態となる。これと共に、クランク220の先端が前側に移動し、バネ250によってアーム200が回転方向に付勢される。この方向の回転はワンウェイクラッチ221によって制限されないため、アーム200が回転方向に高速に回転される。
アーム200が高速回転されると、遠心力によってスポンジボール400がレール211上を基端側から先端側へと半径方向外側へ向けて転動する。スポンジボール400は、2本の線状のレール211に接触しており、それぞれの接触部位の大きさは非常に小さいため、各接触部位におけるスポンジボール400からの圧力は一定以上の大きさとなる。したがって、スポンジボール400がレール211上を滑ることが防止され、確実に転動する。このため、スポンジボール400とレール211との間の摩擦が最小限に抑えられ、静電気の発生が抑制される。
レール211の長さはスポンジボール400の直径の1/3以上とされており、このレール211の全長にわたって転動する。これにより、スポンジボール400に十分な回転力が付与される。スポンジボール400は、遠心力によりレール211の先端に到達した後、スピンが付加された状態で前方へ向けて射出される。このように、十分な回転力が付与された後にスポンジボール400が射出されることによって、射出されたスポンジボール400の軌道が安定する。よって、野球のバッティング練習等に適したスポンジボール400の軌道を得ることができる。また、スポンジボール400に揚力が作用し、遠投が可能になるという効果も得られる。
バネ250によって、クランク220の先端が下方を向くまでアーム200が回転方向に高速回転する。その後、回転機構300がアーム200をさらに回転方向に回転させ、次のスポンジボール400を同様の投球動作によって射出する。
(その他の実施の形態)
上述した実施の形態においては、アーム200が半筒状部材210を有し、この半筒状部材210の線状の両端縁部をレール211とする構成について述べたが、これに限定されるものではない。例えば、2本のワイヤ又は棒状の部材を平行に配置してレールとすることもできる。また、レール211の表面に凹凸構造を設けるようにしてもよい。これにより、スポンジボール400がレール211上を滑ることがより一層防止され、スポンジボール400をより確実に転動させることができる。
また、上述した実施の形態においては、ストッパ821及び突上部822が送出部材820として一体的に形成されている構成について述べたが、これに限定されるものではない。ストッパ821と突上部822とを別個の部品として構成することもできる。この場合、ストッパ821がスポンジボール400に当接している間は、突上部822がスポンジボール400に当接せず、ストッパ821がスポンジボール400から離反している間に、突上部822がスポンジボール400を突き上げるように、ストッパ821と突上部822とを連動させれば、ストッパ821と突上部822とを各別に駆動することも可能である。