JP6578405B2 - Pcr用容器及び試薬入りpcr用容器 - Google Patents

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Description

この発明はPCR用容器及び試薬入りPCR用容器に関し、特に、DNA検出装置によりPCRを行う際に用いるPCR用容器及び試薬入りPCR用容器に関するものである。
従来から、特許文献1に開示されているように、ポリメラーゼ連鎖反応(本明細書において「PCR」と称する)によりDNAを増幅する際に用いられるPCR用容器が存在する。
図13は従来のPCR用容器の外観形状及び中央断面構造を示す正面図及び一部破断した断面図である。
同図を参照して、PCR用容器71は、例えば透明なポリプロピレンからなり、水平断面が円形リング状であって、その底部84にPCRの際に検体及び試薬を収納して反応させる反応室82を有する容器本体81と、容器本体81に嵌合自在な蓋体76と、容器本体81内部における蓋体76の下面77と反応室82との間の箇所に収納される試薬カセット86とから主に構成されている。
容器本体81と蓋体76とは、互いの上部外側面に設けられた雌ねじ部79及び雄ねじ部83によって密閉状態に嵌合自在である。蓋体76と容器本体81との嵌合を解除した開封状態において、容器本体81内部への検体の注入や、試薬カセット86の容器本体81に対する取出し又は収納等が可能である。
図14は図13で示したPCR用容器の容器本体の外観形状及び中央断面構造を示す正面図及び一部破断した断面図であり、図15は図14で示した容器本体の外観形状を示す側面図である。
これらの図を参照して、容器本体81は上方が開放された略円筒形状であって、その底部84に有する反応室82は、下方に向かって先細りの四角錐台形状であり、透明材料で構成されている。このように構成することで、PCR後に増幅DNAの蛍光検出を行う際に、反応室82の対向する面を貫通するように光を照射することで検出の安定性を向上させている。
図16は図13で示したPCR用容器の蓋体の外観形状及び中央断面構造を示す正面図及び一部破断した断面図である。
同図を参照して、蓋体76は、例えばポリプロピレン等の合成樹脂からなり、その下面77には、検体72との接触によりその少なくとも一部を収納することができる上方に凹んだ凹部80が形成されている。使用時には、矢印78で示すように、蓋体76の凹部80を検体72(例えば口腔内粘膜)に対して接触させることで、凹部80に検体72の一部(例えば標的DNAを含んだ唾液)を、実験器具等を用いることなく簡便に採取することができる。
図17は図13で示したPCR用容器の試薬カセットの外観形状を示す正面図であり、図18は図17で示したXVIII−XVIIIラインの端面図であって、(1)は試薬を収納する前の状態であり、(2)は試薬を収納し封止した後の状態である。
これらの図を参照して、試薬カセット86は、例えばポリプロピレン等の合成樹脂からなり、上下方向に貫通する円筒形状を基本骨格として構成されており、その側壁94には、上下方向に延び試薬収納部91a〜91cにそれぞれ連通するスリット93a〜93cが形成されている。
又、試薬カセット86の試薬収納部91a〜91cにおいては、PCR前には固体状でありPCRの加熱により溶融するパラフィン95a〜95cによって試薬73a〜73cを封止することができる。尚、パラフィンの融点は約50℃に設定されている。即ち、試薬収納部91a〜91cの各々は、試薬73a〜73cの各々(それぞれ異なる試薬)を収納した状態で、上下方向の開口(図示せず)及びスリット93a〜93cをパラフィン95a〜95c等の封止手段により封止することができる。
PCR用容器71の使用に際しては、図18の(2)に示すように試薬収納部91a〜91cにあらかじめ試薬73a〜73cを収納して封止した状態の試薬カセット86を、図13で示したように容器本体81内部に密閉収納し、更に容器本体81にPCRに必要な検体を収納してPCRを行う。最高90℃超にも達するPCRの加熱により合成樹脂製の試薬カセット86自体は溶けることなくパラフィン95a〜95cが溶け、試薬収納部91a〜91cが下方に開放される。そして、下方の反応室82へ検体及び試薬73a〜73cが移動する。反応室82において検体及び試薬が混合され、所定のDNA検出装置によりPCRを進行させることができる。
ここで、試薬カセットから反応室へ検体又は試薬(蓋体の凹部を用いて検体を採取した場合は検体及び試薬の両方であって、蓋体の凹部を用いず検体を容器本体に直接収納した場合は試薬のみである。)が流れ込む箇所について説明する。
図19は図13で示したXIX−XIXラインの概略断面図である。
同図を参照して、図13で示したような収納状態において、試薬カセット87(上述した図18の試薬カセット86において、スリット93が形成されていない態様のもの)の試薬収納部88a〜88cから、破線で描いた反応室82の上縁89に対して検体又は試薬が流れ込む。
特許第6243566号公報
しかしながら、上述した従来のPCR用容器は、図19で示したように、従来のPCR用容器は、反応室82の上縁89の平面視投影面積が試薬収納部88a〜88cのそれよりも小さいものであった。そのため、PCRの際に反応室82に流れ込む検体又は試薬の移動ルートが、出発地点(試薬収納部88a〜88c)に対して到着地点(反応室82の上縁89)が狭い状態であり、検体又は試薬がスムーズに流れ込まない虞があった。
又、試薬カセット86は平面視において回転対称形状であるため、図19で示した状態と比べて周方向に回転した状態で収納される場合もある。このような場合、反応室82の上縁89が略矩形状であるのに対し、試薬収納部88a〜88cが円形状内部の一部分であることから平面視投影の適合面積が減少してしまうことで同様に検体又は試薬がスムーズに流れ込まない虞があった。
更に、図13及び図19で示すように、試薬カセット86(その外面)と容器本体81(その内面)との間には遊びとしての隙間85が存在しており、試薬カセット86が図19で示した中央位置と比べて平面視においてやや逸れた位置に収納される場合もある。このような場合にも同様に検体又は試薬がスムーズに流れ込まない虞があった。
更に、PCRの際に検体又は試薬が表面張力により上述した隙間85に誘導され、反応室へ流れ込む量が減少する虞があった。
以上のように、従来のPCR用容器は、PCRの際に試薬カセット86の試薬収納部88a〜88cから反応室82に検体又は試薬がスムーズに流れ込まない事態が発生する虞があり、PCRの安定性の向上、ひいてはPCR効率の向上といった点で未だ改善の余地があった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、PCRの安定性が向上するPCR用容器及び試薬入りPCR用容器を提供することを目的とする。
請求項1記載の発明は、PCR用容器であって、PCRの際に検体及び試薬を収納して反応させる反応室をその底部に有する容器本体と、容器本体に嵌合自在であって、検体との接触によりその少なくとも一部を収納することができる上方に凹んだ凹部がその下面に形成された蓋体と、容器本体内部における蓋体と反応室との間の箇所に収納される試薬カセットとを備え、試薬カセットは、上下方向に開放された筒形状の基本骨格を備え、基本骨格の内部には試薬を収納することができる試薬収納部が形成されており、試薬収納部は、PCR前には固体状でありPCRの加熱により溶融する封止手段によって試薬を封止することができ、反応室の上縁は、平面視円形状であると共に、収納時の試薬収納部の外縁が、平面視円形状であり、反応室は、下方に向かって先細りの円錐形状であるものである。
このように構成すると、試薬カセットが周方向に回転した状態で容器本体に収納された場合でも、PCRの際に検体又は試薬が反応室に安定して流れ込む。又、反応室が半球状のものや円柱形状のものに比べて先端が鋭くなる。又、反応室部分の厚さを薄くすることが製造上容易となる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、基本骨格の内部には、上下方向に延びる隔壁によって互いに仕切られその各々に試薬を収納することができる複数の試薬収納部が形成されており、隔壁の上端縁は、基本骨格の上端縁よりも下方に位置し、隔壁の上端縁と基本骨格の内周壁との接続箇所の隣接箇所の全周には、内方に突出するリブが形成されているものである。
このように構成すると、リブが封止手段の抜け止めとなる。
請求項記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明の構成において、反応室の上縁は、収納時の試薬収納部の下端の外縁の最大可動領域より外側に位置するように設定されているものである。
このように構成すると、試薬カセットが横方向にずれて収納された状態であっても反応室に安定して検体又は試薬が流れ込む。
請求項記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の構成において、基本骨格の内部には、上下方向に延びる隔壁によって互いに仕切られその各々に試薬を収納することができる複数の試薬収納部が形成されており、隔壁の上端縁は、基本骨格の上端縁よりも下方に位置し、蓋体及び試薬カセットが容器本体に取り付けられた状態において、蓋体の下面は、隔壁の上端縁と基本骨格の上端縁との間に配置されるものである。
このように構成すると、容器本体に取り付けられた状態において、蓋体の下面が試薬カセットの封止手段に入り込み易くなる。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明の構成において、隔壁の上端縁は、平面視投影において蓋体の凹部の下縁よりも内側となる部分において上方に凸状である凸部を更に備え、凸部の上端縁は、蓋体の下面と基本骨格の上端縁との間の上下高さ位置であって、且つ、凹部の上端縁よりも下方に配置されるものである。
このように構成すると、容器本体に取り付けられた状態において、試薬カセットの凸部が蓋体の凹部に入り込み易くなる。
請求項記載の発明は、請求項1から請求項のいずれかに記載の発明の構成において、反応室は、透明材料で構成されているものである。
このように構成すると、反応室の光透過性が高くなる。
請求項記載の発明は、請求項1から請求項のいずれかに記載の発明の構成において、容器本体の反応室は、その厚さが0.05mm以上0.5mm以下であるものである。
このように構成すると、反応室に対する容器外部からの熱伝達効率が良好となる。
請求項記載の発明は、請求項1から請求項のいずれかに記載の発明の構成において、封止手段は、蝋、グリース、パラフィン又はワックスであるものである。
このように構成すると、常温では固体状であり、PCRの最初の加熱時に液体状となる封止手段となる。
請求項記載の発明は、請求項1から請求項のいずれかに記載のPCR用容器を用いた試薬入りPCR用容器であって、試薬カセットは、その試薬収納部に試薬が収納され、封止手段によって封止されたものである。
このように構成すると、あらかじめ試薬が収納されると共に封止された試薬カセットとなる。
以上説明したように、請求項1記載の発明は、試薬カセットが周方向に回転した状態で容器本体に収納された場合でも、PCRの際に検体又は試薬が反応室に安定して流れ込むため、PCRの安定性が向上する。又、反応室が半球状のものや円柱形状のものに比べて先端が鋭くなるので、PCR用容器を加熱するヒーターへの密着性が高まる。更に、反応室部分の厚さを薄くすることが製造上容易となるので、加熱時間を短くすることができる。そのため、PCRの効率が向上する。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、リブが封止手段の抜け止めとなるため、不用意に試薬の封止が解除されることを防止する。
請求項記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加えて、試薬カセットが横方向にずれて収納された状態であっても反応室に安定して検体又は試薬が流れ込むため、PCRの安定性がより向上する。
請求項記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、容器本体に取り付けられた状態において、蓋体の下面が試薬カセットの封止手段に入り込み易くなるため、蓋体に収納された検体が試薬カセットに流れ込み易くなり、PCRの安定性がより向上する。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明の効果に加えて、容器本体に取り付けられた状態において、試薬カセットの凸部が蓋体の凹部に入り込み易くなるため、蓋体の凹部に収納された検体が試薬カセットの凸部に押し出され易くなり、凹部に検体が残留することを防止する。
請求項記載の発明は、請求項1から請求項のいずれかに記載の発明の効果に加えて、反応室の光透過性が高くなるため、PCR後の反応室に対して水平方向に光検出を行う場合の光検出の確実性が向上する。
請求項記載の発明は、請求項1から請求項のいずれかに記載の発明の効果に加えて、反応室に対する容器外部からの熱伝達効率が良好となるため、封止手段がPCRの加熱を利用して適切に溶融すると共に、PCRが適切に行われる。
請求項記載の発明は、請求項1から請求項のいずれかに記載の発明の効果に加えて、常温では固体状であり、PCRの最初の加熱時に液体状となる封止手段となるため、PCRの確実性が向上する。
請求項記載の発明は、あらかじめ試薬が収納されると共に封止された試薬カセットとなるため、所望の量及び種類の試薬をあらかじめ収納することができ、PCR用容器に用いることで簡便且つ安定的に、PCRの確実性及び迅速性を向上させることができる。
この発明の第1の実施の形態によるPCR用容器の外観形状及び中央断面構造を示す正面図及び一部破断した断面図である。 図1で示したPCR用容器の試薬カセットの中央断面構造を示す正面図及び一部破断した断面図であって、(1)は試薬を収納する前の状態であり、(2)は試薬を収納し封止した後の状態である。 図1で示したPCR用容器の試薬カセットの構造を示す平面図である。 図1で示したIV−IVラインの断面図である。 図1で示したPCR用容器を用いたDNA検出装置の動作前の状態を示す概略正面図である。 図5に対応した図であって、DNA検出装置の動作状態を示す概略正面図である。 図6で示したA部分におけるPCR用容器の内部構造を示す模式図である。 図5に対応した図であって、PCRが完了しPCR用容器が検出部へ移動した状態を示す概略正面図である。 図8で示したIX−IXラインの矢視図である。 この発明の第2の実施の形態によるPCR用容器の試薬カセットの上部及び蓋体の下部周辺における中央断面構造を示す断面図であって、(1)は蓋体が取り付けられる前の状態であり、(2)は蓋体が取り付けられた状態である。 図10で示したXI−XIラインの断面図である。 この発明の他の実施の形態によるPCR用容器の試薬カセットの構造を示す断面図であって、図10に対応する図である。 従来のPCR用容器の外観形状及び中央断面構造を示す正面図及び一部破断した断面図である。 図13で示したPCR用容器の容器本体の外観形状及び中央断面構造を示す正面図及び一部破断した断面図である。 図14で示した容器本体の外観形状を示す側面図である。 図13で示したPCR用容器の蓋体の外観形状及び中央断面構造を示す正面図及び一部破断した断面図である。 図13で示したPCR用容器の試薬カセットの外観形状を示す正面図である。 図17で示したXVIII−XVIIIラインの端面図であって、(1)は試薬を収納する前の状態であり、(2)は試薬を収納し封止した後の状態である。 図13で示したXIX−XIXラインの概略断面図である。
図1はこの発明の第1の実施の形態によるPCR用容器の外観形状及び中央断面構造を示す正面図及び一部破断した断面図である。
尚、この発明の第1の実施の形態によるPCR用容器1は、従来のPCR用容器と基本的な構造は同様であるため、相違点を中心に以下説明する。
同図を参照して、PCR用容器1は、容器本体11と、容器本体11に嵌合自在な蓋体6と、容器本体11内部に収納される試薬カセット16とから主に構成されている。容器本体11は、PCRの際に検体及び試薬を収納して反応させる反応室12をその底部13に有する。蓋体6は、検体(図示せず)との接触により検体の少なくとも一部を収納することができる上方に凹んだ凹部8がその下面7に形成されている。試薬カセット16は、容器本体11内部における蓋体6と反応室12との間の箇所に収納されている。
尚、PCR用容器1の使用時には、図1に示すような上下方向で、反応室12を最も下方に位置させて検体及び試薬を収納して反応させることとなる。本明細書において、上方向とはPCR用容器の使用時に反応室に対して試薬カセットや蓋体が位置する方向をいい、逆に下方向とはPCR用容器の使用時に試薬カセットや蓋体に対して反応室が位置する方向をいう。
又、試薬とは、PCRに必要な試薬であって、用途により所望の種類を選択すれば良く、例えば水、緩衝液、プライマー、dNTP、マグネシウム化合物、DNAポリメラーゼ、蛍光試薬等が挙げられる。尚、蛍光試薬はPCR自体には必要ないが、光検出をPCR完了後にDNA検出装置内で同時に行う目的から、本発明の実施の形態にあっては蛍光試薬を含めた状態で説明する。
更に、検体とは、標的DNAを含む検体をいう。
図2は図1で示したPCR用容器の試薬カセットの中央断面構造を示す正面図及び一部破断した断面図であって、(1)は試薬を収納する前の状態であり、(2)は試薬を収納し封止した後の状態であり、図3は図1で示したPCR用容器の試薬カセットの構造を示す平面図である。
これらの図を参照して、試薬カセット16は、上下方向に開放された円筒形状の基本骨格としての側壁17を備える。
そして、側壁17の内部には、上下方向に延びる平面視T字型の隔壁21によって互いに仕切られその各々に試薬を収納することができる複数の試薬収納部20a〜20cが形成されている。
又、隔壁21の上端縁22は、側壁17の上端縁18よりも下方に位置するようにして、段差部分23aが形成されている。尚、試薬カセット16の下方側にも同様に段差部分23bが形成されており、試薬カセット16が上下反転して収納された場合にも支障なく使用可能である。
尚、図2の(1)で示した試薬カセット16を使用する際には、例えば、まず試薬カセット16の下方面を溶融状態のパラフィンに押し当てた後冷却することで下方面にパラフィンを布設し、所望の種類・量の試薬を自動分注器によって試薬収納部20a〜20cの各々に収納した後、試薬カセット16の上方面もパラフィンによって埋めることで封止する。このようにすることで、図2の(2)で示すように、試薬カセット16の上下の段差部分23a、23bが、PCR前には固体状でありPCRの加熱により溶融する封止手段としてのパラフィン24a、24bで埋まり、試薬収納部20a〜20cに試薬を封止した状態となる。尚、パラフィン24a、24bは、段差部分23a、23bよりも外側(例えば側壁17の上下端縁)まで覆っても良い。
戻って図1を併せて参照して、蓋体6及び試薬カセット16が容器本体11に取り付けられた状態において、蓋体6の下面7は、隔壁21の上端縁22と側壁17の上端縁18との間に配置される。即ち、蓋体6の下面7は、試薬カセット16の段差部分23a(封止後は、これを埋めるパラフィン24a)に入り込むこととなる。
上述した従来のPCR用容器では、蓋体76の下面77と試薬カセット86(その上端面)とはほぼ接する寸法関係に設定されていたため、PCRの際に検体又は試薬が試薬カセット86の外部へ漏れ出す虞があったが、本発明の実施の形態によるPCR用容器1にあっては、上述したように試薬カセット16の段差部分23に蓋体6の下面7が入り込む構成(規制手段)を備えることで、蓋体6の下面7の凹部8からの試薬又は検体がスムーズに試薬カセット16内部へ流れ込むように誘導する(即ち、図1で示した反応室12外部へ漏れ出さないように規制する)ことができ、PCRの安定性が向上する。
又、段差部分23の根元(隔壁21の上端面22と側壁17との接続箇所の上方側隣接箇所)の全周には、内方に突出するリブ19が形成されている。このリブ19は、パラフィン等の封止手段の抜け止めとなり、不用意に試薬の封止が解除されることを防止する。尚、リブ19は上方側及び下方側に存在する。
次に、PCR用容器1が有する他の規制手段について説明する。
図4は図1で示したIV−IVラインの断面図である。
図1及び図4を併せて参照して、破線で描いた反応室12の上縁14は、平面視円形状に構成されている。このように構成することで、試薬カセット16が周方向に回転した状態で容器本体11に収納された場合でも、試薬カセット16の試薬収納部20a〜20cに対する反応室12の上縁14の相対的な投影位置は変化しないので、PCRの際に検体又は試薬が反応室12に安定して流れ込むため、PCRの安定性が向上する。
又、図1で示すように、反応室12は、下方に向かって先細りの円錐形状である。このように構成する効果は後述する。
又、容器本体11(その内面)と試薬カセット16(その外面)との隙間25は、従来のPCR用容器の隙間85と比べて狭くなるように設定されている。即ち、反応室12の上縁14は、収納時の試薬収納部20の下端の外縁26の最大可動領域より外側に位置するように設定されている。換言すれば、試薬カセット16が横方向(試薬カセット16が容器本体11に収納された状態においても移動可能な方向)の一方側の端まで移動した場合であっても他方側の端まで移動した場合であっても、図4で示す破線で描いた反応室12の上縁14は試薬収納部20の下端の外縁26よりも常に外側に位置する。
このように構成することで、試薬カセット16が横方向にずれて収納された状態であっても反応室12に安定して検体又は試薬が流れ込むため、PCRの安定性が向上する。
次に、検体及び試薬を収納したPCR用容器1を用いて、DNA検出装置によってPCRを進行させる工程について説明する。
図5は図1で示したPCR用容器を用いたDNA検出装置の動作前の状態を示す概略正面図である。
同図を参照して、DNA検出装置31は、加熱及び冷却を行うことでPCRを進行させるDNA増幅構造体32と、PCRが完了したPCR用容器に収納されたPCR産物を光検出により測定する検出部52と、制御部(図示せず)とから主に構成されている。
DNA増幅構造体32は、PCR用容器1を保持する容器ホルダー37と、容器ホルダー37を支持する支持部38と、プレート状の高温側の第1のヒーター41と、第1のヒーター41の上方に固定されたリングプレート状の加熱板42と、プレート状の低温側の第2のヒーター46と、第1のヒーター41及び第2のヒーター46をその上面に固定する台座50とから主に構成されている。
PCR用容器1は、上述したように試薬を収納した試薬カセット16を収納すると共に、蓋体6の凹部8により又は手作業により検体を収納した状態で、蓋体6によって密閉されている。
容器ホルダー37は、PCR用容器1(反応室12)の底面が第1のヒーター41及び第2のヒーター46の表面と水平になるようにしてPCR用容器1を保持する。
支持部38は、容器ホルダー37を支持するように構成されている。又、制御部からの指示に従って、支持部38は容器ホルダー37を同図の上部の一点鎖線で描いた矢印で示すように左右方向(第1のヒーター41から第2のヒーター46への方向又はその逆方向、換言すると、これらから検出部52への方向又はその逆方向)にスライドさせることができ、これによってPCR用容器1を第1のヒーター41の上方、第2のヒーター46の上方又は検出部52へと自在に移動させることができる。
第1のヒーター41は、例えばシリコンゴムで覆われた加熱体からなり、その温度を制御部によって調整自在に構成されており、その上面にPCR用容器1の反応室12が嵌入できる凹み44を有する。凹み44の表面は、制御部によって例えば120℃の高温に設定されている。
又、加熱板42は、例えば熱伝導性の高いアルミニウムからなり、その中央部にPCR用容器1が挿通可能な貫通孔43を有する。加熱板42の厚さは試薬カセット16の上下方向高さと略同一である。貫通孔43の内面は、第1のヒーター41からの熱伝導により温められ例えば80℃となる。
第2のヒーター46は、温度以外は上述した第1のヒーター41と同様であって、例えばシリコンゴムで覆われた加熱体からなり、その温度を制御部によって調整自在に構成されており、その上面にPCR用容器1の反応室12が嵌入できる凹み49を有する。凹み49の表面は、制御部によって例えば50℃の低温に設定されている。
台座50は、その上面に第1のヒーター41及び第2のヒーター46が固定されている。又、台座50は、制御部によって、同図の下部の一点鎖線で描いた矢印で示すように上下方向(図5の状態における反応室12から凹み44に対する方向又はその逆方向)にスライド自在に制御されている。これによって、第1のヒーター41及び第2のヒーター46は上昇又は下降自在である。
図6は図5に対応した図であって、DNA検出装置の動作状態を示す概略正面図である。
同図を参照して、図5で示した動作前の状態から、まず制御部からの指示に従って台座50が図の実線で描いた矢印の方向に上昇し、これによって、PCR用容器1が加熱板42の貫通孔43を挿通すると共に、PCR用容器1の反応室12が第1のヒーター41の凹み44に嵌入する。
そして、PCR用容器1の試薬カセット16が収納された箇所がPCRの加熱により貫通孔43を介して温められ、試薬カセット16の上下の段差部分のパラフィンを溶融させ、その内部の試薬又は検体を下方の反応室12へ放出する(後述の図7も参照)。又、PCR用容器1の反応室12の表面と第1のヒーター41の凹み44の表面との接触(第1の接触)によって、PCR用容器1の反応室12内に収納された検体及び試薬が加熱される。
ここで、検体や試薬の反応室への流れ込みについて説明する。
図7は図6で示したA部分におけるPCR用容器の内部構造を示す模式図である。
同図を参照して、まず上述したように試薬カセット16は、PCRの最初の加熱により図示しない上下のパラフィンが溶け、上下方向に貫通した状態となる。このとき、上述したように蓋体6の下面7が試薬カセット16の段差部分23に入り込むように構成されているため、蓋体6の凹部8に収納されていた検体は、試薬カセット16の側壁17の上端縁18に回り込んで反応室12外部に漏れ出さないように規制されている。したがって、矢印27a、27bで示すように、検体は隔壁21を避けながら試薬収納部20に安定して移動する。
そして、その検体と試薬収納部20に収納されていた試薬とが混合され、矢印28a、28bで示すように、下方の反応室12に移動してPCRに必要な検体及び試薬であるPCR溶液33となる。
戻って図6を併せて参照して、PCR用容器1の反応室12は、第1のヒーター41の凹み44に嵌入しており、反応室12に収納されたPCR溶液33が加熱される。
ここで、上述したように反応室12は下方に向かって先細りの円錐形状であることから、反応室12が半球状のものや円柱形状のものに比べて先端が鋭くなるので、PCR用容器1を加熱する第1のヒーター41や図5で示した第2のヒーター46への密着性が高まる。即ち、これらのヒーターにおけるPCR用容器1との接触箇所はシリコンゴムからなるため、シリコンゴムが弾力性(圧縮変形からの形状回復性)に優れることから、先細りである(換言すれば、上方に向かって徐々に幅広となる)反応室12表面への高い密着性を奏することができる。
又、反応室12部分の形状により下方向や横方向からの力に対して強度的に有利となるため、その厚さを薄くすることが製造上容易となるので、ヒーターからの加熱効率が高まり、加熱時間を短くすることができる。本実施の形態にあっては、反応室12の平均厚さは0.3mmであり、容器本体11の他の部分における厚さ0.5mmよりも薄くなるように構成されている。又、これは従来のPCR用容器の反応室の厚さ0.5mmよりも薄いものである。
以上のように、本実施の形態のPCR用容器1は、反応室12を下方に向かって先細りの円錐形状とすることでPCRの効率が向上したものである。
そして、所定時間の第1の接触による加熱が完了すると、制御部からの指示に従って台座50は下降し、第1の接触が解除され図5で示した状態に戻る。以下、図示は省略するが、その後、制御部からの指示に従って、支持部38は容器ホルダー37を、PCR用容器1が第2のヒーター46の上方に来るように水平移動させ、図6で上述した第1の接触の場合と同様に、台座50が上昇することでPCR用容器1の反応室12が第2のヒーター46の凹み49に嵌入し、PCR用容器1の反応室12の表面と第2のヒーター46の凹み49の表面との接触(第2の接触)が起こる。この第2の接触によって、PCR溶液33が例えば65℃に冷却され、アニーリングが行われる。
所定時間の第2の接触による冷却が完了すると、制御部からの指示に従って台座50が下降し、支持部38により容器ホルダー37が水平移動し、PCR用容器1は第1のヒーター41の上方に位置する図5で示した状態に戻る。
このように第1の接触と第2の接触とが交互に繰り返されることにより、PCRが進行する。そして、第1の接触及び第2の接触が所定回数繰り返されPCRが完了すると、増幅したDNAの検出工程に進む。
図8は図5に対応した図であって、PCRが完了しPCR用容器が検出部へ移動した状態を示す概略正面図である。
同図を参照して、PCRが完了した後、制御部からの指示に従って、支持部38が容器ホルダー37を同図の矢印で示す方向に移動させることにより、PCR用容器1は検出部52に移動する。
図9は図8で示したIX−IXラインの矢視図である。
図を参照して、検出部52は、発光素子53及び受光素子54から主に構成されている。発光素子53と受光素子54とは水平方向に同軸直線上で対面するように配置されている。PCR用容器1は、増幅したDNAが収納されている反応室12を当該直線が貫くように位置する。発光素子53は有効波長が450nm〜570nmのLEDランプである。受光素子54は有効波長が300nm〜820nmのフォトダイオードである。
検出に際しては、制御部からの指示に従って、発光素子53がPCR用容器1の反応室12に向かって励起光を発光する。反応室12内の増幅したDNAは試薬中に含まれる蛍光試薬と結合しており、励起光に反応し蛍光する。反応室12は透明材料で構成されているため、光を透過し、受光素子54が蛍光したDNAの発光強度を受光することができる。これによって、PCR産物をPCR用容器から他の検出用容器に移し替えることなくDNAの光検出が可能である。そして、この受光した発光強度に基づいて、増幅したDNAの定量測定を行うことができる。
以上説明したように、本発明のPCR用容器1にあっては、容器本体11、蓋体6及び試薬カセット16の少なくとも一つは、PCRの際に検体又は試薬が反応室12外部に漏れ出さないように規制する規制手段を備えるものである。
このように構成することで、規制手段によりPCRの際に試薬カセット16の試薬収納部20a〜20cから反応室12に検体又は試薬が安定して流れ込むように誘導されるため、PCRの安定性が向上し、ひいてはPCR効率が向上する。
次に、図10はこの発明の第2の実施の形態によるPCR用容器の試薬カセットの上部及び蓋体の下部周辺における中央断面構造を示す断面図であって、(1)は蓋体が取り付けられる前の状態であり、(2)は蓋体が取り付けられた状態であり、図11は図10で示したXI−XIラインの断面図である。
尚、第2の実施の形態によるPCR用容器55は、上述した第1の実施の形態によるPCR用容器1と基本的に同様の構造であるため、相違点を中心に以下説明する。
まず図10の(1)を参照して、蓋体56は、その凹部58に検体64が収納された状態である。矢印69で示すように蓋体56を容器本体51に取り付けることで、図10の(2)に示す容器本体に取り付けられた状態となる。
PCR用容器55の試薬カセット59の隔壁62の上端縁63は、図11で間接的に示す平面視投影において、蓋体56の凹部58の下縁(下方の周縁)66(66a、66b)よりも内側となる部分において上方に凸状である凸部65を更に備えている。
そして、凸部65の上端縁67は、蓋体56の下面57と基本骨格としての側壁60の上端縁61との間の上下高さ位置(矢印70で示す範囲)であって、凹部58の上端縁68よりも下方に配置される。
そのため、図示しないパラフィン等で封止する際の障害ともならず、凸部65が蓋体56の凹部58に入り込むことで、蓋体56の凹部58に収納された検体64が凸部65に押し出され、矢印74a、74bで示すように、凹部58外部(試薬カセット59内部)に放出される。このようにして、凹部58に検体64が残留することを防止するものである。
次に、図12はこの発明の他の実施の形態によるPCR用容器の試薬カセットの構造を示す断面図であって、図10に対応する図である。
これらの実施の形態によるPCR用容器は、上述した第2の実施の形態によるPCR用容器55と基本的に同様の構造であるため、相違点を中心に以下説明する。
まず同図の(1)を参照して、試薬カセット100の凸部101は、隔壁107の上端縁108全体の上方において、上端縁102を頂点とする断面視三角形状となるように設けられている。このようなものも、蓋体103の凹部105の下縁106a、106bよりも内側となる部分において上方に凸状である態様として本発明に含まれる。
次に同図の(2)を参照して、試薬カセット110の凸部111は、その上端縁112が蓋体113の凹部115の上端縁116の一部と接するように配置される。このようなものも、凸部111の上端縁112が凹部115の上端縁116よりも下方に配置される態様として本発明に含まれる。
尚、上記の各実施の形態にあっては、容器本体、蓋体及び試薬カセットの全てにおいて規制手段が設けられていたが、主に容器本体に規制手段(反応室の上縁を円形とする構成、あるいは反応室の上縁や隙間の寸法関係の構成)を設けても良いし、主に蓋体に規制手段(蓋体の先端を細く長くする構成)を設けても良いし、主に試薬カセットに規制手段(試薬カセットに段差部分を設ける構成)を設けても良い。
又、上記の各実施の形態にあっては、試薬カセットは円筒形状であったが、他の筒形状であっても良い。例えば断面多角形リング状の筒形状であっても良い。但し、平面視において回転対称形状であることが収納の自由度の観点から好ましい。
更に、上記の各実施の形態にあっては、PCR用容器並びにこれを構成する容器本体、蓋体及び試薬カセットは特定形状であったが、他の形状であっても良い。例えば用途に応じてその容量を変更しても良い。
更に、上記の各実施の形態にあっては、試薬カセットは複数の試薬収納部を有し、複数の試薬収納部は互いに隔壁によって仕切られていたが、試薬カセットは試薬収納部を少なくとも1つ有していれば良い。
更に、上記の各実施の形態にあっては、試薬カセットの側壁に上下方向に延びて試薬収納部に連通するスリットが形成されていなかったが、スリットが形成されていても良い。
更に、上記の各実施の形態にあっては、反応室の上縁が、平面視円形状であり、且つ、収納時の試薬収納部の下端の外縁の最大可動領域より外側に位置するように設定されていたが、一方の規制手段のみを備える構成であっても良い。即ち、反応室の上縁が試薬収納部の下端の外縁よりも狭くなるように設定されている場合でも、平面視円形状であれば、試薬カセットの周方向に回転した状態で収納される場合への適合性は向上する。又、反応室の上縁が平面視円形状でなくとも、収納時の試薬収納部の下端の外縁の最大可動領域より外側に位置するように設定されていれば、他の平面視形状であっても良い。
更に、上記の各実施の形態にあっては、反応室は下方に向かって先細りの円錐形状であったが、例えば下方に凸状の半球形状等の他の形状であっても良い。
更に、上記の各実施の形態にあっては、反応室は透明材料で構成されていたが、透明材料でなくともPCR自体には影響を及ぼさず本発明を適用することができる。
更に、上記の各実施の形態にあっては、試薬カセットの段差部分の根元の全周にリブが形成されていたが、リブが形成されていなくとも良い。
更に、上記の各実施の形態にあっては、容器本体の反応室の厚さは0.05mm以上0.5mm以下であることが好ましい。このように構成すると、反応室に対する容器外部からの熱伝達効率が良好となるため、封止手段がPCRの加熱を利用して適切に溶融すると共に、PCRが適切に行われる。
更に、上記の各実施の形態にあっては、封止手段としてパラフィンが用いられていたが、封止手段は蝋、グリース、パラフィン又はワックスであっても良い。これらはいずれも常温では固体状であり、PCRの最初の加熱時に液体状となる封止手段となるため、PCRの確実性が向上する。尚、固体状とは、封止可能であれば半固体やガラス状等も含む。又、液体状(溶融状態)とは、固体状に比して流動性が高くなり封止が解除される状態であれば良い。
更に、上記の各実施の形態にあっては、封止手段の融点は約50℃であったが、融点(上述した溶融状態に移行する温度)は40℃〜80℃であることが好ましく、45℃〜60℃であることが更に好ましい。又、比重が水よりも小さいものであることが好ましい。これによって、常温では固体状であって試薬又は検体を隔離し、PCRの最初の加熱により溶融し試薬又は検体を下方の反応室に誘導する作用効果をより確実に奏することができる。
更に、上記の各実施の形態にあっては、試薬カセットの試薬収納部に試薬が収納されていない状態であったが、例えば販売時には試薬が収納され、封止手段によって封止された状態であっても良い。このように構成すると、あらかじめ試薬が収納されると共に封止された試薬カセットとなるため、所望の量及び種類の試薬をあらかじめ収納することができ、PCR用容器に用いることで簡便且つ安定的に、PCRの確実性及び迅速性を向上させることができる。
更に、上記の各実施の形態にあっては、反応室はPCRを開始するまで何も収納していないかあるいは検体のみ収納していた状態であったが、化学的又は物理的処理により脱気し減圧状態や真空状態としても良い。
又、反応室を封止手段により充填された状態としても良い。このように構成すると、反応室はPCR前には空気が排出された状態となり、PCRに際しては封止手段が溶融し試薬カセットを介して検体及び試薬が収納されるため、反応室に検体及び試薬を導き易くなり、PCRの確実性が向上する。
更に、上記の各実施の形態にあっては、DNA検出装置のヒーターがシリコンゴムからなるものであったが、他の素材からなるものであっても良い。例えば熱伝導性の高い金属からなり、凹みがあらかじめ形成されているものが挙げられる。このように構成することで、反復使用した際の形状変化に対する耐久性が高いものとなる。又、このような場合にも、反応室が下方に向かって先細りの円錐形状である場合には、ヒーターの凹みを反応室の表面に高い密着性を奏するように形成することができる。
更に、上記の各実施の形態にあっては、試薬カセットの全ての試薬収納部に試薬が収納されたが、使用時に試薬が収納されていない試薬収納部があっても良い。
更に、上記の各実施の形態にあっては、試薬カセット内部を平面視T字型の隔壁によって分割され3つの試薬収納部が形成されていたが、隔壁は他の形状であっても良いし、試薬収納部は他の個数であっても良い。
更に、上記の各実施の形態にあっては、試薬カセットの基本骨格が上下方向に垂直に延びる円筒形状であったが、基本骨格(側壁)を容器本体の内面に沿わせたテーパー状であっても良い。容器本体の内面及び基本骨格が下方に向かって徐々に幅が狭くなるテーパー状であれば、容器本体の内面と試薬カセットの外面との隙間を狭くすることができ、表面張力により隙間に試薬又は検体が漏れ出さないように規制することができる。
更に、上記の各実施の形態にあっては、PCR用容器がポリプロピレンからなるものであったが、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、アクリル、環状ポリオレフィン及び芳香族ナイロンからなる群から選ばれる少なくとも1種の素材からなることが好ましい。試薬カセットを含め、PCR用容器全体がPCRの加熱により変形等しないものとするためである。
更に、上記の各実施の形態にあっては、DNAの増幅及び増幅したDNAの検出において特定のDNA検出装置を用いているが、他のDNA増幅装置や増幅したDNAの検出を行う装置を用いても良い。
更に、上記の第2の実施の形態にあっては、試薬カセットの凸部が隔壁の上端縁に備えられる態様のみ説明したが、上下対称となるように隔壁の下端縁にも同様に下方に凸状の凸部が備えられていても良い。
更に、上記の第2の実施の形態にあっては、試薬カセットの凸部が、隔壁とは異なる素材であるかのように描かれていたが、凸部と隔壁とが同一素材であって一体的に形成されるものであっても良い。
1、55…PCR用容器
6、56、103、113…蓋体
7、57…下面
8、58、105、115…凹部
11、51…容器本体
12…反応室
13…底部
14…上縁
16、59、100、110…試薬カセット
17、60…側壁
18、61…上端縁
20…試薬収納部
21、62、107…隔壁
22、63、108…上端縁
23…段差部分
24…パラフィン
26…外縁
64…検体
65、101、111…凸部
66、106…下縁
67、102、112…上端縁
68、116…上端縁
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。

Claims (9)

  1. PCR用容器であって、
    PCRの際に検体及び試薬を収納して反応させる反応室をその底部に有する容器本体と、
    前記容器本体に嵌合自在であって、検体との接触によりその少なくとも一部を収納することができる上方に凹んだ凹部がその下面に形成された蓋体と、
    前記容器本体内部における前記蓋体と前記反応室との間の箇所に収納される試薬カセットとを備え、
    前記試薬カセットは、上下方向に開放された筒形状の基本骨格を備え、前記基本骨格の内部には試薬を収納することができる試薬収納部が形成されており、
    前記試薬収納部は、PCR前には固体状でありPCRの加熱により溶融する封止手段によって試薬を封止することができ、
    前記反応室の上縁は、平面視円形状であると共に、収納時の前記試薬収納部の外縁が、平面視円形状であり、
    前記反応室は、下方に向かって先細りの円錐形状である、PCR用容器。
  2. 前記基本骨格の内部には、上下方向に延びる隔壁によって互いに仕切られその各々に試薬を収納することができる複数の試薬収納部が形成されており、
    前記隔壁の上端縁は、前記基本骨格の上端縁よりも下方に位置し、
    前記隔壁の上端縁と前記基本骨格の内周壁との接続箇所の隣接箇所の全周には、内方に突出するリブが形成されている、請求項1記載のPCR用容器。
  3. 前記反応室の上縁は、収納時の前記試薬収納部の下端の外縁の最大可動領域より外側に位置するように設定されている、請求項1又は請求項2記載のPCR用容器。
  4. 前記基本骨格の内部には、上下方向に延びる隔壁によって互いに仕切られその各々に試薬を収納することができる複数の試薬収納部が形成されており、
    前記隔壁の上端縁は、前記基本骨格の上端縁よりも下方に位置し、前記蓋体及び前記試薬カセットが前記容器本体に取り付けられた状態において、前記蓋体の下面は、前記隔壁の上端縁と前記基本骨格の上端縁との間に配置される、請求項1から請求項3のいずれかに記載のPCR用容器。
  5. 前記隔壁の上端縁は、平面視投影において前記蓋体の前記凹部の下縁よりも内側となる部分において上方に凸状である凸部を更に備え、
    前記凸部の上端縁は、前記蓋体の下面と前記基本骨格の上端縁との間の上下高さ位置であって、且つ、前記凹部の上端縁よりも下方に配置される、請求項4記載のPCR用容器。
  6. 前記反応室は、透明材料で構成されている、請求項1から請求項5のいずれかに記載のPCR用容器。
  7. 前記容器本体の前記反応室は、その厚さが0.05mm以上0.5mm以下である、請求項1から請求項6のいずれかに記載のPCR用容器。
  8. 前記封止手段は、蝋、グリース、パラフィン又はワックスである、請求項1から請求項7のいずれかに記載のPCR用容器。
  9. 請求項1から請求項8のいずれかに記載のPCR用容器を用いた試薬入りPCR用容器であって、
    前記試薬カセットは、その前記試薬収納部に試薬が収納され、前記封止手段によって封止された、試薬入りPCR用容器。
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