JP6578192B2 - 乳房定位装置 - Google Patents

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Description

本発明は、乳房定位装置に関する。さらに詳細には、本発明は、例えば、乳がん検診や外来初診での全乳房超音波検査、さらには手術の際に、仰臥位での被検者の乳房の位置を適切な位置に定める乳房定位装置に関する。
乳房は、胸郭の前部に位置する女性特有の臓器であり、女性ホルモンの影響を受けて、思春期早期から増大し、20歳代初期まで発育する。それ以降は、授乳や食事、さらには女性ホルモンの低下などの影響を受けて、乳房のほぼ全領域を占めている乳腺組織が脂肪組織に置換されていく。さらに、乳房の皮膚とその胸壁側の大胸筋との間に張り巡らされたクーパー靭帯(乳房を釣り上げている靭帯)が、重力の影響を受けて弛緩し、それと同時に乳房は下垂していく。
食事やライフスタイルの欧米化に伴い、35歳を過ぎると急速に増加する乳がんは、近年ますます増加の一途を辿り、年間発症数が7万人近くとなって、女性のがん罹患数で第1位を占めている。そして、そのために、検診、精密検査や手術などの受診者数も急増している。この傾向は、日本だけでなく、アジア各国でも同様である。欧米でも、増加傾向は鈍化したものの、日本人の乳がんの3〜4倍の罹患数を占め、女性がんの第1位を占めている。このように、女性を脅かす乳がんは世界的に蔓延していると言っても過言ではない。
乳がんの検診は、主としてマンモグラフィ検査と超音波検査を用いて実施されるが、マンモグラフィ検査は、立位での片側縦横2方向撮影で実施され、そのポジショニングや撮影方法は確立されている。一方、超音波検査や手術は、被検者をベッドの上に仰臥位にして実施され、必要に応じて斜位などのポジショニングが取られている。 マンモグラフィ検査は、脂肪の多い乳房では高い検出力を示すが、乳腺が多く脂肪の少ない乳房に対しては、早期のがんの検出力が低く、これが大きな問題となっている。超音波検査は、その欠点を補填する役割を有し、最近の乳がんの個別化治療の流れの中で、世界的にその重要性が指摘されている。
日本人女性の乳房は、比較的高齢になっても乳腺組織が多いため、我が国では以前から超音波検査が盛んに行われてきた。この場合の超音波検査は、超音波検査技師が、仰臥位になった被検者の左右の全乳房を、体位を変えながらスキャンし、異常と思われる変化のイメージを残し、それを医師が別個にレビューする方法で行われている。 しかし、この方法には、医師本来の業務である診断業務を技師が行っていることや再現性、技師の心身両面の負担などの問題が潜在しており、欧米では受け入れられていないのが現状である。 そこで、近年、かかる問題を解決すべく、自動式乳房専用超音波装置(Automated Breast Ultrasound System; ABUS)と自動式乳房専用ボリューム超音波装置(Automated Breast Volume Scanner; ABVS)がGEヘルスケア社(米国)とシーメンス社(ドイツ)によりそれぞれ開発され実用に供されている(例えば、非特許文献1,2参照)。
GEヘルスケア・ジャパン株式会社ホームページ、[online]、[平成27年10月15日検索]、インターネット〈URL:http://www3.gehealthcare.co.jp/ja-jp/products/categories/ultrasound/invenia_abus〉 シーメンス・ジャパン株式会社ホームページ、[online]、[平成27年10月15日検索]、インターネット〈URL:http://www.innervision.co.jp/suite/siemens/technote/100867/〉
ところで、現在広く実施されている乳房超音波検査は、仰臥位での被検者の背部にタオルや三角形のクッション台を置いて、体幹を斜めに傾け、乳房が胸郭の上部に鎮座するようなポジショニングを取り、検査側の上肢を頭側に挙上し、頭部の辺りに手を置いて、大胸筋を伸展させた状態で、実施されている。また、超音波検査は、乳房皮膚にエコーゼリーを塗布し、超音波装置を乳房の上に置いて、正面から、適度の強さで押さえながら乳房全体を探査することによって実施されている。この方法の利点は、乳房を一定の厚みで満遍なく探査できることである。
しかし、この方法では、探査範囲を伸展させているために、より広い範囲を探査することとなり、検査に時間がかかってしまうという問題がある。上記非特許文献1,2に開示された超音波装置を用いた場合であっても、検査に一被検者当たり約15分(片方の乳房当たり3スキャン×2=6スキャン)かかっている。
本発明は、従来技術における前記課題を解決するためになされたものであり、仰臥位での被検者の乳房の位置を適切な位置に定めて、超音波検査等の時間短縮を図ることを可能にする乳房定位装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明に係る乳房定位装置の構成は、
(1)仰臥位での被検者の乳房の位置を適切な位置に定める乳房定位装置であって、
仰臥位での被検者の背部に挿入される略平板状のベース部材と、
前記ベース部材に対して上下動可能に設けられたアーム部材と、
前記アーム部材の先端部に略水平状態で設けられた乳房当接部材と、を備えたことを特徴とする。
本発明において、被検者の左側の乳房の位置を定める乳房定位装置は、被検者の右側の乳房の位置を定める乳房定位装置と全く同じ構成のものであってもよく、異なる構成のものであってもよい。例えば、被検者の左右の乳房の位置をそれぞれ定める乳房定位装置において、例えば、乳房当接部材の形状のみを異ならせることもできる。
本発明の乳房定位装置の上記(1)の構成によれば、アーム部材を上下動させて、乳房当接部材の、ベース部材の底面からの高さを、適切な高さに設定した後、前記ベース部材を、仰臥位での被検者の背部に挿入することにより、乳房当接部材を、被検者の乳房の外側上部と外側下部の適切な高さ位置に当接させることができる。そして、この乳房定位装置の装着を左右の乳房に対して行うことにより、仰臥位での被検者の乳房を、可能な限り水平な胸郭の上に鎮座させて、水平な胸郭部に乳腺が位置するようにすることができる。すなわち、乳がんの発症母地である全ての乳腺実質を、可能な限り狭い範囲に集めることができる。その結果、例えば、上記非特許文献1,2に開示された超音波装置を用いた場合には、検査が一被検者当たり約5分(片方の乳房当たり1スキャン×2=2スキャン)で終わり、3分の1の時間短縮が可能となる。
このように、本発明の乳房定位装置の上記(1)の構成によれば、仰臥位での被検者の乳房の位置を適切な位置に定めて、超音波検査等の時間短縮を図ることが可能となる。
また、上記非特許文献1,2に開示された超音波装置を用いた場合には、医師による読影画像量も3分の1となるため、読影時間も3分の1に短縮される。その結果、単位時間当たりの検診と読影数は3倍となり、時間効率とコスト効率を大幅に向上させることが可能となる。
本発明の乳房定位装置の上記(1)の構成においては、以下の(2)〜(4)のような構成にすることが好ましい。
(2)前記乳房当接部材は、前記アーム部材の先端部に略水平回動可能に設けられている。
上記(2)の好ましい構成によれば、乳房当接部材を略水平回動させることにより、当該乳房当接部材を、被検者の乳房の形にうまく合うように持っていくことが可能となる。
(3)前記乳房当接部材は、前記アーム部材の先端部に着脱可能に設けられている。
上記(3)の好ましい構成によれば、乳房当接部材以外の構成を一定のものとし、乳房当接部材として、右側の乳房用の乳房当接部材と左側の乳房用の乳房当接部材の2種類を用意するだけで、右側の乳房用の乳房定位装置と左側の乳房用の乳房定位装置を作製することが可能となる。その結果、装置の低コスト化を図ることができる。
また、乳房当接部材として、湾曲具合等の異なる種々の形状のものを用意しておけば、被検者の乳房の形に合う乳房当接部材に簡単に交換することができる。
(4)レーザ光を放射して任意の位置を指示するレーザポインタをさらに備えている。
上記(4)の好ましい構成によれば、超音波検査で検出された異常箇所にレーザ光が照射されるようにレーザポインタを方向付けしておき、同一の乳房定位装置を使用して手術を行うことにより、超音波検査の結果を手術に反映させることができる。その結果、手術を迅速かつ正確に行うことが可能となる。
本発明によれば、仰臥位での被検者の乳房の位置を適切な位置に定めて、超音波検査等の時間短縮を図ることを可能にする乳房定位装置を提供することができる。
図1は本発明の実施の形態1における乳房定位装置を斜め前方から見た斜視図である。 図2は本発明の実施の形態1における乳房定位装置を斜め後方から見た斜視図である。 図3は本発明の実施の形態1における乳房定位装置を示す平面図(上面図)である。 図4は本発明の実施の形態1における乳房定位装置を示す背面図(後面図)である。 図5は本発明の実施の形態1における乳房定位装置を示す縦断面図である。 図6は本発明の実施の形態1における乳房定位装置の、アーム部材と乳房当接部材の連結状態を示す分解斜視図である。 図7は本発明の実施の形態1における乳房定位装置の使用状態を示す斜視図である。 図8は本発明の実施の形態2における乳房定位装置を斜め後方から見た斜視図である。 図9は本発明の実施の形態2における乳房定位装置の使用状態を示す斜視図である。
以下、好適な実施の形態を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、下記の実施の形態は本発明を具現化した例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
[実施の形態1]
(乳房定位装置の構成)
まず、本発明の実施の形態1における乳房定位装置の構成について、図1〜図6を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施の形態1における乳房定位装置を斜め前方から見た斜視図、図2は当該乳房定位装置を斜め後方から見た斜視図、図3は当該乳房定位装置を示す平面図(上面図)、図4は当該乳房定位装置を示す背面図(後面図)、図5は当該乳房定位装置を示す縦断面図、図6は当該乳房定位装置の、アーム部材と乳房当接部材の連結状態を示す分解斜視図である。
図1〜図5に示す本実施の形態の乳房定位装置1は、仰臥位での被検者の乳房の位置を適切な位置に定めるために使用される(図7参照)。
図1〜図5に示すように、本実施の形態の乳房定位装置1は、仰臥位での被検者の背部に挿入される略長方形平板状のベース部材2と、ベース部材2に対して上下動可能に設けられた(図1,図2,図4,図5の両矢印A参照)アーム部材3と、アーム部材3の先端部に略水平状態で設けられた乳房当接部材4と、を備えている。
ベース部材2は、ナイロン樹脂からなり、当該ベース部材2の後部には、同じくナイロン樹脂からなるアーム保持部5が立設されている。ここで、アーム保持部5は、下端がベース部材2の後部に固着され、上面にアーム挿通孔5e(図5参照)が形成された略直方体状のケース5aと、下端がベース部材2の後部に固着された状態でケース5a内に配置された断面略U字状の板材からなるスライド支持体5bと、を備えている。
アーム部材3は、断面略逆U字状のステンレス製の板材からなり、当該アーム部材3の一方の長尺部分3aがスライド支持体5bにスライド可能に支持されている。また、スライド支持体5bの背面(後面)側の上端部は、前後に移動可能な押圧部材5cとなっており、ケース5aの背面(後面)側の上端部の外方からボルトノブ5dをねじ込むことにより、押圧部材5cをアーム部材3の一方の長尺部分3aに押し付けて、アーム部材3を所定の高さ位置に固定保持できるようにされている。そして、これにより、乳房当接部材4の、ベース部材2の底面からの高さを、約75mm〜約175mmの範囲で自由に調整することが可能となる。
ベース部材2は、前後の長さが約350.00mm、左右の長さ(幅)が約225.00mmに設定されている。また、ベース部材2は、後部の厚みに比べて前部の厚みが薄くなっている。さらに、ベース部材2は、その前端縁が円弧状(半楕円状)に形成されている。そして、これにより、仰臥位での被検者の背部にベース部材2の前部をスムーズに挿入できるようにされている。
また、ケース5aの左右の側面には、それぞれハンドル6a,6bが斜め下方に向けた状態で固着されている。そして、当該ハンドル6a,6bをそれぞれ左右の手で把持して前方へ押しやることにより、ベース部材2の前部を仰臥位での被検者の背部に容易に挿入できるようにされている。
図1〜図5に示す乳房定位装置1は、仰臥位での被検者の右側の乳房の位置を適切な位置に定めるものとして設計されている(図7参照)。
すなわち、図1〜図3に示すように、当該乳房定位装置1の乳房当接部材4は、仰臥位での被検者の右側の乳房の外側下部に当接する部分が当該外側下部の形状に合わせて湾曲しており、その他の部分は略直線状に形成されている。仰臥位での被検者の左側の乳房の位置を適切な位置に定める乳房定位装置(図示せず)は、乳房定位装置1と乳房当接部材の形状のみが異なっている。乳房当接部材4の長さは約165mmである。
図1に示すように、乳房当接部材4の乳房当接面には、長手方向に沿って溝4cが形成されており、当該乳房当接面は全体として丸く面取り加工が施されている。このため、被検者は、乳房当接部材4を乳房に押し付けられたときに、痛みを感じることはほとんどない。
本実施の形態の乳房定位装置1の構成によれば、アーム部材3を上下動させて、乳房当接部材4の、ベース部材2の底面からの高さを、適切な高さに設定した後、ベース部材2の前部を、仰臥位での被検者の背部に挿入することにより、乳房当接部材4を、被検者の乳房の外側上部と外側下部の適切な高さ位置に当接させることができる。そして、この乳房定位装置の装着を左右の乳房に対して行うことにより、仰臥位での被検者の乳房を、可能な限り水平な胸郭の上に鎮座させて、水平な胸郭部に乳腺が位置するようにすることができる。すなわち、乳がんの発症母地である全ての乳腺実質を、可能な限り狭い範囲に集めることができる。その結果、例えば、上記非特許文献1,2に開示された超音波装置を用いた場合には、検査が一被検者当たり約5分(片方の乳房当たり1スキャン×2=2スキャン)で終わり、3分の1の時間短縮が可能となる。
このように、本実施の形態の乳房定位装置1の構成によれば、仰臥位での被検者の乳房の位置を適切な位置に定めて、超音波検査等の時間短縮を図ることが可能となる。
また、上記非特許文献1,2に開示された超音波装置を用いた場合には、医師による読影画像量も3分の1となるため、読影時間も3分の1に短縮される。その結果、単位時間当たりの検診と読影数は3倍となり、時間効率とコスト効率を大幅に向上させることが可能となる。
乳房当接部材4は、アーム部材3の先端部に略水平回動可能に設けられている。
より具体的には、図1〜図3,図5,図6に示すように、アーム部材3の他方の長尺部分3bは、その下端部分が外側に略直角に折り曲げられており、当該折り曲げ部分3cの先端部には円形のボルト挿通孔3dが形成されている。また、乳房当接部材4には、若干屈曲した形状のステンレス製の板材からなる連結部材4aの一端が固着されており、当該連結部材4aの他端部にはU字状の切り欠き4bが形成されている。そして、ボルト挿通孔3dと切り欠き4bが合致するように折り曲げ部分3cと連結部材4aを重ね合わせ、当該重ね合わせ部分を上下の挟持体7a,7bで挟み込んだ後、下側の挟持体7bの下方からボルトノブ8のボルト部分8aをねじ込むことにより、アーム部材3の先端部に乳房当接部材4が連結されている。ここで、下側の挟持体7bには、ボルトノブ8のボルト部分8aが挿通するボルト挿通孔9bが穿設されており、上側の挟持体7aには、ボルトノブ8のボルト部分8aが螺合するボルト孔(雌ネジ孔)9aが螺設されている。
下側の挟持体7bには、アーム部材3側に位置して、折り曲げ部分3cと連結部材4aを収容する凹所10aが形成されている(図2,図5参照)。また、下側の挟持体7bには、乳房当接部材4側に位置して、連結部材4aを収容する凹所10bが形成されている(図6参照)。そして、凹所10a,10bは、乳房当接部材4の連結部材4aがボルトノブ8のボルト部分8aを中心として略90°の角度範囲で左右に水平回動できる大きさに形成されている(図2,図3の矢印B,C参照)。
このように、本実施の形態の乳房定位装置1においては、乳房当接部材4がアーム部材3の先端部に略水平回動可能に設けられているので、乳房当接部材4を略水平回動させることにより、当該乳房当接部材4を、被検者の乳房の形にうまく合うように持っていくことが可能となる。
上記のように、本実施の形態の乳房定位装置1においては、一端が乳房当接部材4に固着された連結部材4aの他端部にU字状の切り欠き4bが形成されている。このため、ボルトノブ8を緩めることにより、乳房当接部材4を簡単に着脱することができる。
このように、本実施の形態の乳房定位装置1において、乳房当接部材4は、アーム部材3の先端部に着脱可能に設けられている。
かかる構成によれば、乳房当接部材4以外の構成を一定のものとし、乳房当接部材として、右側の乳房用の乳房当接部材と左側の乳房用の乳房当接部材の2種類を用意するだけで、右側の乳房用の乳房定位装置と左側の乳房用の乳房定位装置を作製することが可能となる。その結果、装置の低コスト化を図ることができる。また、乳房当接部材4として、湾曲具合等の異なる種々の形状のものを用意しておけば、被検者の乳房の形に合う乳房当接部材に簡単に交換することができる。
尚、一端が乳房当接部材4に固着された連結部材4aの他端部に円形のボルト挿通孔を形成した場合であっても、ボルトノブ8のボルト部分8aを抜き取ることにより、乳房当接部材4を着脱することができる。従って、連結部材4aの他端部には、U字状の切り欠き4b又は円形のボルト挿通孔のいずれを形成してもよい。
(乳房定位装置の使用方法)
次に、本実施の形態における乳房定位装置の使用方法について、図7をも参照しながら説明する。
図7は本発明の実施の形態1における乳房定位装置の使用状態を示す斜視図である。
まず、図1,図2,図4,図5に示すように、アーム部材3を上下動させて(両矢印A参照)、ケース5aの背面(後面)側の上端部の外方からボルトノブ5dをねじ込むことにより、押圧部材5cをアーム部材3の一方の長尺部分3aに押し付けて、アーム部材3を所定の高さ位置に固定保持する。これにより、乳房当接部材4の、ベース部材2の底面からの高さが、被検者に対して適切な高さに設定される。
次いで、図7に示すように、ベース部材2の前端縁を、仰臥位での被検者18の背部18aの入り口に位置させ、ハンドル6a,6bをそれぞれ左右の手で把持して前方へ押しやることにより、ベース部材2の前部を仰臥位での被検者18の背部18aに挿入する。これにより、乳房当接部材4を、被検者18の乳房18bの外側上部と外側下部の適切な高さ位置に当接させることができる。そして、この乳房定位装置の装着を右側の乳房18bと左側の乳房18cに対して行うことにより、仰臥位での被検者18の乳房18b,18cを、可能な限り水平な胸郭の上に鎮座させて、水平な胸郭部に乳腺が位置するようにすることができる。すなわち、乳がんの発症母地である全ての乳腺実質を、可能な限り狭い範囲に集めることができる。
上記のようにして、仰臥位での被検者18の乳房18b,18cを、可能な限り水平な胸郭の上に鎮座させて、水平な胸郭部に乳腺が位置するようにしたら(すなわち、乳がんの発症母地である全ての乳腺実質を、可能な限り狭い範囲に集めたら)、超音波装置(図示せず)を被検者18の乳房18b,18cに正面から押し付けて、検査を開始する。
超音波装置として、例えば、上記非特許文献1,2に開示された超音波装置を用いた場合には、検査が一被検者18当たり約5分(片方の乳房18b(18c)当たり1スキャン×2=2スキャン)で終わり、3分の1の時間短縮が可能となる。
このように、本実施の形態の乳房定位装置1を使用すれば、仰臥位での被検者18の乳房18b,18cの位置を適切な位置に定めて、超音波検査等の時間短縮を図ることが可能となる。
また、上記非特許文献1,2に開示された超音波装置を用いた場合には、医師による読影画像量も3分の1となるため、読影時間も3分の1に短縮される。その結果、単位時間当たりの検診と読影数は3倍となり、時間効率とコスト効率を大幅に向上させることが可能となる。
ところで、乳がんの手術(局所制御)においては、メスを入れることで、乳腺や脂肪が大きく偏位してしまい、摘出範囲の正確さを低下させることが多いのが現状である。本実施の形態の乳房定位装置1を使用すれば、かかる乳がん手術における難点を改善することもできる。
尚、本実施の形態においては、乳房当接部材4の、被検者の乳房の外側下部に当接する部分が当該外側下部の形状に合わせて湾曲し、その他の部分が略直線状に形成されている場合を例に挙げて説明したが、本発明は必ずしもこのような構成に限定されるものではない。乳房当接部材は、例えば左右対称な弓状に形成されていてもよい。そして、かかる構成を採用すれば、被検者の左側の乳房の位置を定める乳房定位装置を、被検者の右側の乳房の位置を定める乳房定位装置と全く同じ構成にすることができるので、製造コストの削減を図ることが可能となる。
また、本実施の形態においては、乳房当接部材4がアーム部材3の先端部に略水平回動可能に設けられている場合を例に挙げて説明したが、本発明は必ずしもこのような構成に限定されるものではない。乳房当接部材は、アーム部材の先端部に略水平回動不能に連結又は固着されていてもよい。そして、この場合には、仰臥位での被検者の背部にベース部材を挿入した後、当該ベース部材の向きを適宜変えていくことにより、乳房当接部材を、被検者の乳房の形にうまく合うように持っていくことができる。
また、本実施の形態においては、乳房当接部材4がアーム部材3の先端部に着脱可能に設けられている場合を例に挙げて説明したが、本発明は必ずしもこのような構成に限定されるものではない。乳房当接部材は、アーム部材の先端部に着脱不能に固着されていてもよい。
また、本実施の形態においては、ケース5aの左右の側面に、それぞれハンドル6a,6bが固着されている場合を例に挙げて説明したが、本発明は必ずしもこのような構成に限定されるものではない。ハンドル6a,6bを設けることなく、ケース5aやベース部材2を持って、ベース部材2を前方へ押しやることにより、当該ベース部材2を仰臥位での被検者の背部に挿入するようにしてもよい。
[実施の形態2]
(乳房定位装置の構成)
次に、本発明の実施の形態2における乳房定位装置の構成について、図8を参照しながら説明する。
図8は本発明の実施の形態2における乳房定位装置を斜め後方から見た斜視図である。
図8に示す本実施の形態の乳房定位装置11は、仰臥位での被検者の乳房の位置を適切な位置に定めるために使用される(図9参照)。
図8に示すように、本実施の形態の乳房定位装置11は、仰臥位での被検者の背部に挿入される略楕円平板状のベース部材12と、ベース部材12に対して上下動可能に設けられた(両矢印D参照)アーム部材13と、アーム部材13の先端部に略水平状態で設けられた乳房当接部材14と、を備えている。
ベース部材12は、ナイロン樹脂からなり、当該ベース部材12の略中央部には、同じくナイロン樹脂からなるアーム保持部15が立設されている。ここで、アーム保持部15は、上記実施の形態1のアーム保持部5と同じ構造を有しており、アーム部材13を所定の高さ位置に固定保持できるようにされている。そして、これにより、乳房当接部材14の、ベース部材12の底面からの高さを、約75mm〜約175mmの範囲で自由に調整することが可能となる。尚、上記実施の形態1の乳房定位装置1の構成部材と同じ構成部材には同一の参照符号を付し、それらの説明は省略する。
アーム部材13は、断面略Γ字状のステンレス製の板材からなり、当該アーム部材13の長尺部分13aがアーム保持部15内のスライド支持体5b(図5参照)にスライド可能に支持されている。
ベース部材12は、後部及び中央部に比べて前部の厚みが薄くなっている。そして、これにより、仰臥位での被検者の背部にベース部材12の前部をスムーズに挿入できるようにされている。
図8に示す乳房定位装置11は、仰臥位での被検者の右側の乳房の位置を適切な位置に定めるものとして設計されている(図9参照)。
すなわち、当該乳房定位装置11の乳房当接部材14は、仰臥位での被検者の右側の乳房の外側下部に当接する部分が当該外側下部の形状に合わせて湾曲しており、その他の部分は略直線状に形成されている。仰臥位での被検者の左側の乳房の位置を適切な位置に定める乳房定位装置(図示せず)は、乳房定位装置11と乳房当接部材の形状のみが異なっている。乳房当接部材14の長さは約165mmである。
本実施の形態の乳房定位装置11の構成によれば、アーム部材13を上下動させて、乳房当接部材14の、ベース部材12の底面からの高さを、適切な高さに設定した後、ベース部材12の前部を、仰臥位での被検者の背部に挿入することにより、乳房当接部材14を、被検者の乳房の外側上部と外側下部の適切な高さ位置に当接させることができる。そして、この乳房定位装置の装着を左右の乳房に対して行うことにより、仰臥位での被検者の乳房を、可能な限り水平な胸郭の上に鎮座させて、水平な胸郭部に乳腺が位置するようにすることができる。すなわち、乳がんの発症母地である全ての乳腺実質を、可能な限り狭い範囲に収めることができる。その結果、例えば、上記非特許文献1,2に開示された超音波装置を用いた場合には、検査が一被検者当たり約5分(片方の乳房当たり1スキャン×2=2スキャン)で終わり、3分の1の時間短縮が可能となる。
このように、本実施の形態の乳房定位装置11の構成によれば、仰臥位での被検者の乳房の位置を適切な位置に定めて、超音波検査等の時間短縮を図ることが可能となる。
また、上記非特許文献1,2に開示された超音波装置を用いた場合には、医師による読影画像量も3分の1となるため、読影時間も3分の1に短縮される。その結果、単位時間当たりの検診と読影数は3倍となり、時間効率とコスト効率を大幅に向上させることが可能となる。
乳房当接部材14には、屈曲した形状のステンレス製の板材からなる連結部材14aの一端が固着されており、当該連結部材14aの他端部は、アーム部材13の水平部分13bの先端部に連結されている。
尚、本実施の形態の乳房定位装置11においても、上記実施の形態1の乳房定位装置1の場合と同様に、乳房当接部材14は、アーム部材13の先端部に水平回動可能に設けられている。また、乳房当接部材14は、アーム部材13の先端部に着脱可能に設けられている。
本実施の形態の乳房定位装置11は、レーザ光を放射して任意の位置を指示するレーザポインタ16をさらに備えている。
レーザポインタ16は、支持機構17を介してベース部材12の後部に取り付けられている。ここで、支持機構17は、ベース部材12の後部に立設された直方体状の基台17aと、基台17aの上端に連結された直線円筒状の第1の支持部材17bと、第1の支持部材17bの上端に連結された、下部が直線円筒状で上部が曲線円筒状の第2の支持部材17cと、を備え、当該第2の支持部材17cの上端にレーザポインタ16が固定されている。 第1の支持部材17bは、基台17aの上端に傾動可能に連結されており、鉛直状態から前方に最大45度倒すことができるようにされている(両矢印E参照)。尚、図8中、参照符号17dは、第1の支持部材17bを任意の角度位置で保持固定するための締結部を示している。
第1の支持部材17bの軸線と第2の支持部材17cの直線円筒状部分(下部)の軸線は一致しており、第2の支持部材17cは、当該軸線回りに360度回転できるようにされている(両矢印F参照)。尚、図8中、参照符号17eは、第2の支持部材17cを任意の回転位置で保持固定するための締結部を示している。
支持機構17を以上のように構成したので、第1の支持部材17bを任意の角度位置で保持固定し、第2の支持部材17cを任意の回転位置で保持固定することにより、レーザポインタ16からレーザ光を放射させて任意の位置を指示することが可能となる。
(乳房定位装置の使用方法)
次に、本実施の形態における乳房定位装置の使用方法について、図9をも参照しながら説明する。
図9は本発明の実施の形態2における乳房定位装置の使用状態を示す斜視図である。
まず、図8に示すように、アーム部材13を上下動させて(両矢印D参照)、ケース5aの背面(後面)側の上端部の外方からボルトノブ5dをねじ込むことにより、上記実施の形態1の場合と同様にして、アーム部材13を所定の高さ位置に固定保持する。これにより、乳房当接部材14の、ベース部材12の底面からの高さが、被検者に対して適切な高さに設定される。
次いで、図9に示すように、ベース部材12の前端縁を、仰臥位での被検者18の背部18aの入り口に位置させ、ハンドル6a,6bをそれぞれ左右の手で把持して前方へ押しやることにより、ベース部材12の前部を仰臥位での被検者18の背部18aに挿入する。これにより、乳房当接部材14を、被検者18の乳房18bの外側上部と外側下部の適切な高さ位置に当接させることができる。そして、この乳房定位装置の装着を右側の乳房18bと左側の乳房18cに対して行うことにより、仰臥位での被検者18の乳房18b,18cを、可能な限り水平な胸郭の上に鎮座させて、水平な胸郭部に乳腺が位置するようにすることができる。すなわち、乳がんの発症母地である全ての乳腺実質を、可能な限り狭い範囲に集めることができる。
上記のようにして、仰臥位での被検者18の乳房18b,18cを、可能な限り水平な胸郭の上に鎮座させて、水平な胸郭部に乳腺が位置するようにしたら(すなわち、乳がんの発症母地である全ての乳腺実質を、可能な限り狭い範囲に集めたら)、超音波装置(図示せず)を被検者18の乳房18b,18cに正面から押し付けて、検査を開始する。
超音波装置として、例えば、上記非特許文献1,2に開示された超音波装置を用いた場合には、検査が一被検者18当たり約5分(片方の乳房18b(18c)当たり1スキャン×2=2スキャン)で終わり、3分の1の時間短縮が可能となる。
このように、本実施の形態の乳房定位装置11を使用すれば、仰臥位での被検者18の乳房18b,18cの位置を適切な位置に定めて、超音波検査等の時間短縮を図ることが可能となる。
また、上記非特許文献1,2に開示された超音波装置を用いた場合には、医師による読影画像量も3分の1となるため、読影時間も3分の1に短縮される。その結果、単位時間当たりの検診と読影数は3倍となり、時間効率とコスト効率を大幅に向上させることが可能となる。
超音波検査で異常箇所が検出されたら、支持機構17の第1の支持部材17bを所定の角度位置で保持固定し、第2の支持部材17cを所定の回転位置で保持固定することにより、レーザポインタ16から放射されるレーザ光19が当該異常箇所を指示(照射)するようにしておく。
このようにしておけば、同一の乳房定位装置11を使用して手術を行うことにより、超音波検査の結果を手術に反映させることができるので、手術を迅速かつ正確に行うことが可能となる。
尚、本実施の形態においては、乳房当接部材14の、被検者の乳房の外側下部に当接する部分が当該外側下部の形状に合わせて湾曲し、その他の部分が略直線状に形成されている場合を例に挙げて説明したが、本発明は必ずしもこのような構成に限定されるものではない。乳房当接部材は、例えば左右対称な弓状に形成されていてもよい。そして、かかる構成を採用すれば、被検者の左側の乳房の位置を定める乳房定位装置を、被検者の右側の乳房の位置を定める乳房定位装置と全く同じ構成にすることができるので、製造コストの削減を図ることが可能となる。
また、本実施の形態においては、レーザ光を放射して任意の一点を指示するレーザポインタ16を備える場合を例に挙げて説明したが、本発明は必ずしもこのような構成に限定されるものではない。レーザポインタとしては、例えば、レーザ光を平面グリッド状に放射して任意の複数の点を指示する構成のものであってもよい。かかる構成のレーザポインタを備えた乳房定位装置は、例えば、超音波検査で複数の異常箇所が検出された場合に有用である。
1,11 乳房定位装置
2,12 ベース部材
3,13 アーム部材
3a,3b,13a 長尺部分
3c 折り曲げ部分
3d,9b ボルト挿通孔
4,14 乳房当接部材
4a,14a 連結部材
4b U字状の切り欠き
4c 溝
5,15 アーム保持部
5a ケース
5b スライド支持体
5c 押圧部材
5d,8 ボルトノブ
5e アーム挿通孔
6a,6b ハンドル
7a,7b 挟持体
8a ボルト部分
9a ボルト孔(雌ネジ孔)
10a,10b 凹所
13b 水平部分
16 レーザポインタ
17 支持機構
17a 基台
17b 第1の支持部材
17c 第2の支持部材
17d,17e 締結部
19 レーザ光

Claims (4)

  1. 仰臥位での被検者の乳房の位置を適切な位置に定める乳房定位装置であって、
    仰臥位での被検者の背部に挿入される略平板状のベース部材と、
    前記ベース部材に対して上下動可能に設けられたアーム部材と、
    前記アーム部材の先端部に略水平状態で設けられた乳房当接部材と、を備えたことを特徴とする乳房定位装置。
  2. 前記乳房当接部材は、前記アーム部材の先端部に略水平回動可能に設けられている、請求項1に記載の乳房定位装置。
  3. 前記乳房当接部材は、前記アーム部材の先端部に着脱可能に設けられている、請求項1又は2に記載の乳房定位装置。
  4. レーザ光を放射して任意の位置を指示するレーザポインタをさらに備えた、請求項1〜3のいずれか1項に記載の乳房定位装置。
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