JP6577974B2 - 金属検出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、金属検出装置に関し、特に被検査物が交番磁界中を通過するときの磁界変動を基に被検査物中の金属または金属成分を検出する金属検出装置に関する。
従来、検査領域に交番磁界を発生させるとともに、その検査領域中を移動する被検査物の影響による磁界変動を検出し、その検出信号に検波処理を施した信号を用いて金属検出する金属検出装置が、金属の種類を問わない汎用性の高いものとして多用されている。
また、そのような金属検出装置では、検出したいサイズの金属に相当するテストピースを用いて疑似的な異物混入品を準備し、その疑似的な異物混入品を金属検出装置に投入することで、検出感度の確認や設定の容易化が図られている。
この種の金属検出装置としては、例えば検出対象金属の種類やワークの構成材料に応じて磁界周波数を選択設定するとともに、大きさの異なる複数の金属異物の検出信号と良品の被検査物の検出信号とを基に金属検出信号に対する物品影響の度合いを求め、被検査物中に金属異物が混入した場合の検出手段の検出感度を感度推定手段により推定して、指定された金属異物の大きさと感度推定手段により推定した検出感度とに基づき、検出手段の検出感度を設定するようにしたものがある(例えば特許文献1参照)。
特開2005−345433号公報
上記従来の金属検出装置においては、その検査領域中を被検査物が移動することによる磁界変動が、被検査物やそこに混入し得る金属の種類によって相違するとともに、その磁界変動の検出信号に対してそれぞれの影響が大きく生じる位相も相違し得る。
しかしながら、従来の金属検出装置では、金属影響に特異な検出位相における金属異物の検出信号と良品の被検査物の検出信号との変動幅相当の相対比等を記憶していたため、記憶した異物情報が時間変化情報を含んでおらず、磁界変動信号のうち製品影響による変動成分や金属影響による変動成分についてそれぞれの周波数や位相の違いを考慮した高検出感度設定を行いたい場合に、予め記憶した異物情報を有効利用することができなかった。
そのため、近時の高検出感度要求に応えるためには、製品を被検査物として金属検出装置に通すテストを複数回繰り返した後、さらに金属異物のテストピースを併用するテストを複数回繰り返し、被検査物の影響が小さく金属異物の影響が大きく出やすい検出周波数および検出位相に調整するといった作業が必要となり、所要の検出感度を得るための感度設定作業がテスト回数の多い手間と時間のかかるものとなっていた。
また、冷凍品等の場合、テスト回数が多くなると被検査物の状態が変化し、そのテスト結果の信頼性が低下する等といった問題から、テスト回数を多くできない場合があり、そのような場合には、テストに使用する製品数を多くせざるを得なくなるか、テスト回数を抑える必要から所望する高検出感度設定が困難になっていた。
本発明は、かかる従来の未解決の課題を解決すべくなされたものであり、高検出感度設定を迅速かつ的確に実行でき、所要の検出精度の確保と検出感度設定のためのテスト回数の低減とを両立させることのできる金属検出装置を提供することを目的とする。
(1)本発明は、上記目的達成のため、被検査物が通過する検査領域中に交番磁界を発生させる磁界発生部と、前記検査領域中を前記被検査物が通過するときの前記交番磁界の変動を検出して磁界変動信号を出力する磁界検出部と、前記磁界変動信号のうち前記被検査物の影響が大きい第1の変動成分と前記磁界変動信号のうち金属の影響が大きい第2の変動成分とを、それぞれ異なる検出位相で検出する検出処理を実行する検出回路部と、前記検出回路部で検出された前記第1の変動成分および前記第2の変動成分を比較して前記被検査物中の金属検出のため判定処理を実行する判定部と、前記第1の変動成分および前記第2の変動成分のそれぞれの前記検出処理の条件を調整する検出条件調整部と、を備えた金属検出装置であって、前記検査領域中を前記金属のテストピースのみが通過するときの前記磁界変動信号のうち前記テストピースの影響による時間変化を伴うテスト変動成分を予め記憶格納した金属影響信号記憶部をさらに備え、前記検出条件調整部は、前記被検査物のみが前記検査領域中を通過するときの前記磁界変動信号に基づく前記第1の変動成分と、前記金属影響信号記憶部から読み出した前記テスト変動成分で構成される前記第2の変動成分とに基づいて、前記検出回路部における前記検出処理の特定の処理条件を可変設定するように構成されたものである。
この構成により、本発明では、検出感度設定のために被検査物となる製品が検査領域中に投入されると、検出条件調整部により、検査領域中を被検査物のみが通過するときの磁界変動信号に基づいて第1の変動成分が取得されるとともに、テストピースを用いた場合の磁界変動信号に基づく第2の変動成分が金属影響信号記憶部から読み出した金属影響データに対応する磁界変動信号から取得され、両変動成分に基づいて検出回路部における検出処理の特定の処理条件が可変設定される。したがって、製品とテストピースを併用するテストを繰り返すことなく、製品のみの少数回のテストだけで高検出感度要求に応え得る迅速で的確な検出感度設定が可能になり、所要の検出精度の確保と検出感度設定のためのテスト回数の低減とを両立させることのできる金属検出装置となる。
(2)本発明の金属検出装置においては、前記検出回路部は、前記磁界変動信号の検波信号からノイズ成分を除去するフィルタを有しており、前記検出条件調整部は、所定の金属有無判定位相で、前記検査領域中を前記被検査物のみが通過するときの前記磁界変動信号に基づく前記第1の変動成分と前記金属としてテストピースを用いた場合の前記磁界変動信号に基づく前記第2の変動成分とに基づいて前記金属の検出感度を推定するとともに、前記検出感度の推定値が予め設定した感度値以上となるように前記フィルタの特性を可変設定する、という構成とすることもできる。
このように構成すると、磁界変動信号の直交検波信号からノイズ成分を除去するフィルタの特性を可変設定し、例えば金属有無判定する位相において製品影響による磁界変動成分の振幅レベルをノイズ成分の検出レベルより確実に大きくすることで、安定した良好な検出感度を確保可能となる。
(3)本発明の金属検出装置においては、前記金属影響信号記憶部は、前記テストピースが前記検査領域中の異なる複数の通過場所を通るときのそれぞれの前記磁界変動信号に対応する金属影響データを記憶格納しており、前記検出条件調整部は、前記テストピースが前記複数の通過場所を通るときのそれぞれの前記磁界変動信号に基づく前記第2の変動成分を、前記被検査物が対応する通過区間にあるときの前記第1の変動成分に加えて、前記被検査物が前記金属を含む場合の複数の疑似的な磁界変動信号を生成する、という構成とすることもできる。
このようにすると、検出領域内の複数の通過場所についてテストピースを用いた金属影響データが予め準備されるので、検出対象の金属の位置が予測できないにもかかわらず、安定した検出感度設定が可能となる。
(4)本発明の金属検出装置においては、前記複数の通過場所が、前記被検査物の通過方向、前記検査領域中の鉛直方向および前記検査領域中の水平方向のうち少なくとも一方向に離間しているとよい。
このようにすると、検出対象の金属の位置の傾向が予測できる場合には、それに応じた特定方向における複数の通過場所についてテストピースを用いた金属影響データを予め準備でき、検出対象の金属の位置の傾向が予測できない場合には、検査領域中に複数の通過場所を等方的に分散配置する等して、金属異物のあらゆる混入形態に対して、安定した良好な検出感度設定が可能となる。
(5)本発明の金属検出装置において、前記金属影響信号記憶部は、金属種が相違するかサイズが相違する複数タイプの前記テストピースについて、前記金属影響データを記憶格納しているものであってもよい。
このようにすると、検出対象の金属の種類やサイズが変化したり予測できなかったりしても、安定した良好な検出感度設定が可能となる。
(6)前記検出条件調整部は、前記検査領域中を前記被検査物のみが通過するときの前記磁界変動信号に基づく前記第1の変動成分の振幅レベルが大きくなるように、前記交番磁界の周波数を予め設定された複数の磁界周波数値の中から選択設定するものであってもよい。
この構成によると、磁界変動信号における金属の影響が大きい磁界周波数を選択でき、安定したより良好な検出感度設定が可能となる。また、金属が磁性か否か等により第2の変動成分の検出に適した磁界周波数が相違する場合にも対応可能となる。
(7)前記金属影響信号記憶部が、前記検査領域中を新規の前記テストピースが通過するときの前記磁界変動信号に対応する金属影響データを追加して記憶格納可能であり、前記検出条件調整部は、前記フィルタの特性として、前記検出感度の推定値が前記所定値以上となる特性を選択可能な特性として追加記憶し、複数の前記フィルタの特性のうち前記検出感度の推定値が最大となる特性を選択する、という構成を採用することもできる。
この構成により、新たなテストピースに対応する新たな検出感度要求に対して迅速的確に対応可能となる。
本発明によれば、高検出感度設定を迅速かつ的確に実行でき、所要の検出精度の確保と検出感度設定のためのテスト回数の低減とを両立させることのできる金属検出装置を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る金属検出装置の概略ブロック構成図である。 本発明の一実施形態に係る金属検出装置における検出ヘッド内の磁界発生送信コイルおよび磁界受信コイルの配置形態を示す概略斜視図である。 本発明の一実施形態に係る金属検出装置の金属影響信号記憶部に記憶された複数のテスト変動成分の一例の測定条件の説明図で、複数のテスト変動成分に対応するテストピースが所定検査領域を通過する通過場所が物品搬送方向に見た横断面中で相互に離間することを示している。 本発明の一実施形態に係る金属検出装置においてワークが検出されてからコンベア搬送される所定搬送期間と磁界変動信号中の第1の変動成分および第2の変動成分をサンプリングする期間との関係を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る金属検出装置の金属影響信号記憶部に記憶された複数のテスト変動成分の説明図である。 本発明の一実施形態に係る金属検出装置における高検出感度設定用の多数の疑似的な磁界変動信号を生成するプログラムの概略の流れを示すフローチャートである。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1〜図6は本発明の一実施形態に係る金属検出装置の概略構成を示している。
まず、その構成について説明する。
図1にその全体の概略構成を示す本実施形態の金属検出装置10においては、被検査物であるワークWが図示しないコンベアにより搬送されつつ交番磁界が発生した所定の空間である検査領域Zを通過するようになっており、このワークWの通過に伴う検査領域Z中の磁界変動を検出することで、ワークW中の金属(金属からなる異物または金属成分を含んだ異物、欠品検出の場合は異物でなく構成要素となる)が検出されるようになっている。また、検査領域Zの入り口付近にはワークWの検査領域Zへの進入を検知する図示しない物品検知センサが設置されている。
ワークWは、例えば量産される食品を包装材で包装したものであり、箱入り製品のような定形のものでも、流動物等を封入した可撓性の袋入り製品のような不定形のものでよく、冷凍品でもよい。勿論、食品に限定されるものではない。
金属検出装置10は、予め設定された周波数の磁界送信信号および検波信号を生成する波形生成部21と、波形生成部21からの磁界送信信号に基づき検査領域Z内に交番磁界を発生させる磁界出力部22(磁界発生部)と、検査領域Z内の磁界を受信しワークWが検査領域を通過するとき磁界変動信号を出力する磁界受信部23(磁界検出部)と、磁界受信部23から磁界変動信号を取り込んで金属検出のための複数の信号処理を実行する検出回路部30と、検出回路部30で処理された検出信号を基にワークW中における金属異物または金属成分の有無を判定する金属検出判定部40(判定部)と、を備えている。
詳細を図示しないが、波形生成部21は、例えば周波数切替え可能な基準信号発生回路、信号レベル調整回路および増幅回路を有しており、少なくともワークWが検査領域Zに進入しようとしていることが前述の物品検知センサによって検出されたとき、磁界出力部22により交番磁界を発生させるための送信信号と、検出回路部30により後述する直交検波処理を実行させるための検波信号とを出力するようになっている。
磁界出力部22は、図示しないコンベアによるワークWの搬送路の近傍に配置された磁界発生送信コイル22a(図2参照)および同調回路を有しており、波形生成部21からの交流信号に応じて磁界発生送信コイル22aを励磁駆動して、検査領域Z内に設定された交番磁界を発生させることができる。
磁界受信部23は、磁界出力部22からの交番磁界を受信するとともに、ワークWが検査領域Z内を通過するときの磁界の変動を検出できるようになっており、例えば差動接続された一対の受信コイルと、同調用コンデンサと、感度調節用可変抵抗器等から構成されている。
図2に示すように、磁界出力部22は、ワーク搬送方向における検査領域Zの中心付近でワーク搬送路を取り囲む磁界発生送信コイル22aを有しており、磁界受信部23は、ワーク搬送方向における磁界発生送信コイル22aの両側に配置されつつワーク搬送路を取り囲む一対の受信コイル23a、23bを有している。そして、これら磁界発生送信コイル22aおよび一対の受信コイル23a、23bは、図示しない検出ヘッド内に収納されており、一対の受信コイル23a、23bは差動検出器のように差動接続されている。
この場合、平常時は、磁界発生送信コイル22aから発生した磁束が一対の受信コイル23a、23bに対し均等に鎖交することで、差動接続された一対の受信コイル23a、23bの誘起電圧が平衡し、受信コイル23a、23bからの差動出力(誘導電圧)がゼロとなる。なお、検出ヘッドには検査領域Zに対応する開口部がワーク搬送方向に貫通するように形成されている。
磁界受信部23は、検査領域Z中のワークWの移動により両受信コイル23a、23bでの差動出力の平衡状態がくずれたとき、その磁界の変化に応じた受信信号(以下、磁界変動信号という)を出力することができる。そして、この磁界変動信号は、磁界出力部22側からの交番磁界に対応する磁界周波数帯域を有する交流信号成分に、ワークWの通過に伴う磁界変動に対応する低周波信号成分が重畳した信号形態となる。
磁界受信部23からの受信信号を取り込む検出回路部30は、A/D変換部31と、直交検波部32と、一方および他方のLPF(Low−pass filter)部33A、33Bと、一方および他方のBPF(Band−pass filter)部34A、34Bと、第1位相補正部35とを含んで構成されている。
この検出回路部30は、詳細なハードウェア構成を図示しないが、例えばCPU、RAM、ROMおよび入出力インターフェース回路を含むコンピュータ構成の制御部の一部を構成しており、ROM内に格納された各種制御プログラムをCPUにより実行することで、以下に述べるような検出回路部30の各機能を発揮できるようになっている。この検出回路部30は、CPUに加えて、デジタル信号処理を行うDSP(Digital Signal Processor)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等を併有するものでもよい。
A/D変換部31は、磁界受信部23からのアナログ受信信号を所定のサンプリング間隔でサンプリングし、複数のサンプリング点に離散化したデジタル受信信号を出力するようになっている。なお、ここでのサンプリング間隔は、後述する金属検出のための複数の処理および検出条件の調整を行うのに必要十分な間隔値に設定されており、検査領域Z内におけるワークWの搬送方向における一定変位量に対応する時間としてもよい。
直交検波部32は、波形生成部21からの検波信号に基づき、A/D変換部31から入力されるデジタル受信信号に対して相対位相が90°のcos波とsin波を乗算するのと同様なミキシング処理を実行することで、互いに位相が90°異なる信号Rxおよび信号Ryで構成されるデジタル直交検波信号を生成するようになっている。
一方および他方のLPF部33A、33Bは、直交検波部32から出力される相対位相90°の信号Rxおよび信号Ryから前述の送信信号に基づく交番磁界の周波数帯域に相当する高周波成分を除去して、ワークWの通過に伴う磁界変動に対応する相対位相90°の低周波信号成分のデジタル信号Dx、Dyを取り出すようになっている。
一方および他方のBPF部34A、34Bは、低周波信号成分のデジタル信号Dx、Dyのうち所定周波数帯域から外れる信号の通過を制限することで、検査領域Z内をワークWが通過することに伴う磁界変動信号に対し、外来電磁ノイズ等の影響を抑えた信号Dxf、Dyfを生成し得るデジタルフィルタであり、例えばFIR(Finite Impulse Response(有限インパルス応答))フィルタで構成される。
第1位相補正部35は、一方および他方のBPF部34A、34Bからの一連の低周波信号成分のデジタル信号Dxf、Dyfを所定サンプリング数だけ取得し、取得した信号データを基に、検波時の位相0°(同相)を横軸、位相90°(直交位相)を縦軸とするX−Y平面上で、ワークWが検査領域Zを通過するときの所定サンプリング数のデジタル信号Dxf、Dyfの値を座標成分とする散布図、例えばリサージュ図形を描くことができるようになっている。そして、第1位相補正部35は、そのリサージュ図形中でワークWの製品影響による振幅(ゲイン)が最大となる位相を基準位相として、その基準位相と直交する位相を金属有無の判定位相に設定するとともに、回転行列演算を実行することで検波時の位相に対する基準位相の位相差(散布図中の回帰直線の傾き角の差に相当)をなくすように信号Dxf、Dyfの位相を補正し、信号Dxfに対応し検波位相と同相とみなす補正がされた同相成分信号iと、信号Dyfに対応し検波位相の直交位相とみなす補正がされた直交位相成分信号qとを、それぞれ生成できるようになっている。
この場合、ワークWに金属(金属異物または金属成分)が含まれていると、検波位相と同相(In−phase)とみなした基準位相を横軸とし、その直交位相(Quadrature)を縦軸とするI−Q平面上においては、基準位相の回帰直線近傍に位置する扁平な製品影響信号の散布図形状に対して、金属影響信号の散布図形状が判定位相側(例えば磁性金属の場合は位相角が大きくなる側、非磁性金属は位相角が小さくなる側)に傾いた回帰直線を有するものとなり、金属有無の判定位相となる直交位相では、製品影響の大きい同相成分信号iの振幅レベルが最小レベルとなるのに対して、金属影響の大きい直交位相成分信号qの振幅レベルが相対的に大きく現れることとなる。
このように、検出回路部30は、検査領域Z内をワークW(被検査物)が通過するときに磁界受信部23から出力される磁界変動信号を取り込んで複数の信号処理を実行し、磁界変動信号のうちワークWの影響(製品影響)が大きい第1の変動成分と、磁界変動信号のうち金属の影響が大きい第2の変動成分とをそれぞれ異なる検出位相で検出し、第1の変動成分を主とする同相成分信号iと第2の変動成分を主とする直交位相成分信号qとを金属有無判定に用いるための検出信号として出力するようになっている。
金属検出判定部40は、検出回路部30での信号処理結果として得られた検出信号、すなわち、第1位相補正部35から出力される所定サンプリング数の同相成分信号iおよび直交位相成分信号qを基に、例えば前述のI−Q平面上での金属有無判定位相における両成分信号i、qの変動幅(振幅)を比較し、その変動幅の比が所定のリミット値を超えるか否かによって、ワークW中における金属の有無を判定する判定処理を実行するようになっている。
金属検出装置10は、さらに、磁界変動信号のうち金属影響による第2の変動成分相当の時間変化を伴うテストデータ(以下、テスト変動成分という)、例えば異物波形を予め記憶格納した異物波形記憶部50(金属影響信号記憶部)を有し、これと協働して検出回路部30における複数の信号処理のうちいずれかの条件を調整することで金属検出の条件を調整することができる検出条件調整部60を具備している。
異物波形記憶部50に記憶格納されたテストデータは、予め検査領域Z内に金属のテストピースを通過させたときに一方および他方のLPF部33A、33Bから出力される相対位相90°の低周波信号成分のデジタル信号Dx、Dyを、少なくとも前述の散布図の描画に足りる所定サンプリング数分だけ、好ましくはそれ以上取得し、磁界変動信号のうち金属影響による第2の変動成分相当のテスト変動成分Dtpx、Dtpyとして記憶させたものである。
検出条件調整部60は、金属検出装置10の検出感度調整が可能な特定の動作モード(例えば品種設定モード、あるいはメンテナンスモード、感度設定モード等)において、一方および他方のLPF部33A、33Bから出力される相対位相90°の低周波信号成分のデジタル信号Dx、Dyに対し、異物波形記憶部50から入力されるテスト変動成分Dtpx、Dtpyを加算することができる加算部61A、61Bと、加算部61A、61Bからの相対位相90°の加算信号Dx´、Dy´を所定サンプリング数だけ取得し、第1位相補正部35と同様な回転行列演算を実行する第2位相補正部62とを有している。この第2位相補正部62は、第1位相補正部35と同様な回転行列演算を実行することで、信号Dx´に対応し検波位相と同相とみなす補正がされた同相成分信号i´と、信号Dy´に対応し検波位相の直交位相とみなす補正がされた直交位相成分信号q´とを、それぞれ生成することができる。
検出条件調整部60は、さらに、第2位相補正部62からの同相成分信号i´および直交位相成分信号q´を基に、検出回路部30における複数の信号処理のうちいずれかの条件、例えば一方および他方のBPF部34A、34Bの特性を調整するための演算処理を実行する演算部63と、演算部63の処理結果に応じて一方および他方のBPF部34A、34Bの特性を可変設定する検出条件設定部64とを有している。
具体的には、演算部63は、前述の特定の運転モード下で異物波形記憶部50、加算部61A、61Bおよび第2位相補正部62と協働し、良品のワークWのみを検査領域Zに通すテスト(感度設定用の試験運転)が所定回数なされる間に、異物波形記憶部50から加算部61A、61Bに対してテスト変動成分Dtpx、Dtpyを入力させる状態と、加算部61A、61Bに対してテスト変動成分Dtpx、Dtpyを入力させない状態とに切り替えるようになっている。
これにより、演算部63は、検査領域Zを良品のワークWのみが通過したときに一方および他方のLPF部33A、33Bから出力される製品影響の大きいデジタル信号Dwx、Dwyのみを加算部61A、61Bに入力させ、そのまま信号Dx、Dyとして第2位相補正部62に入力させる場合には、同相成分信号i1および直交位相成分信号q1を算出し、一方、検査領域Zを良品のワークWのみが通過したときの低周波信号成分のデジタル信号Dwx、Dwyに対し加算部61A、61Bによりテスト変動成分Dtpx、Dtpyを加算した信号Dx´、Dy´を第2位相補正部62に入力させる場合には、その加算信号Dx´、Dy´に対応する同相成分信号i´および直交位相成分信号q´を算出することができるようになっている。
また、演算部63は、それぞれ所定サンプリング数の一連の同相成分信号i1および直交位相成分信号q1と、それぞれ所定サンプリング数の一連の同相成分信号i´および直交位相成分信号q´とに基づき、まだ実行されていない一方および他方のBPF部34A、34Bのフィルタ処理相当のフィルタ関数演算を、予め記憶しているフィルタ係数の切替え条件に従って異なる係数値に順次切り替えながら、複数回実行する。
なお、ここにいうフィルタ係数は、各BPF部34A、34Bにおけるn個の乗算器に与えられる重み付けのパラメータで、例えばh(0)、h(1)、h(2)、・・・、h(n−1)で表される複数の係数値の組である。また、乗算器の数nは、前述の所定サンプリング数以下である。各BPF部34A、34Bにおける複数(例えばn−1個)の乗算器は、対応する遅延要素(Z−1ディレイ要素)と共に複数のタップを構成している。なお、このようなデジタルフィルタ(ここではFIRフィルタ)の構成自体は周知であるので、より詳細な説明は割愛する。
演算部63は、前述の複数のフィルタ係数を切り替えた複数回のフィルタ演算の実行結果に基づいて、それぞれ所定サンプリング数の一連の同相成分信号i1の振幅が最大となる位相を基準位相とし、この基準位相に対し直交する位相を金属有無判定位相とした上で、その金属有無判定位相における所定サンプリング数の直交成分信号q1、q´の変動幅に対して所定サンプリング数の金属影響信号である直交位相成分信号q´の変動幅の比が最大となるようにフィルタ係数を選択し、そのフィルタ係数を新たなフィルタ係数として検出条件設定部64に出力するようになっている。
すなわち、検出条件調整部60は、ワークWのみが検査領域Z中を通過するときの磁界変動信号に基づく製品影響の大きい信号Dwx、Dwy(第1の変動成分)と、異物波形記憶部50から読み出した金属影響の大きいテスト変動成分Dtpx、Dtpy(第2の変動成分)とに基づいて、検出回路部30における検出条件の一部である各BPF部34A、34Bのフィルタ特性(特定の処理条件)を調整できるようになっている。
また、検出条件調整部60は、製品影響による磁界変動成分の振幅が最大となる位相を検波位相と同相とみなし、その直交位相を金属有無判定位相とした上で、検査領域Z中をワークWのみが通過するときの磁界変動成分である第1の変動成分をそれぞれ所定サンプリング数の一連の同相成分信号i1および直交位相成分信号q1として検出するとともに、その製品影響の信号にテストピースの金属影響が加わった場合の磁界変動信号をそれぞれ所定サンプリング数の一連の同相成分信号i´および直交位相成分信号q´として検出し、これらデジタルの第1および第2の変動成分に基づき、I−Q平面上の金属有無判定位相における同相成分信号i´および直交位相成分信号qの変動幅を比較して金属の検出感度を推定し、検出感度が予め設定した感度値以上となるように各BPF部34A、34Bのフィルタ特性を可変設定するようになっている。
また、図3に検査領域Z内の通過方向所定位置の横断面領域を示すように、異物波形記憶部50は、テストピースが検査領域Z中の異なる複数の通過場所P0、P1、P2等(同図中の黒丸位置)を通るときのそれぞれの磁界変動信号に対応する金属影響データを記憶格納している。すなわち、検出条件調整部60は、テストピースが複数の通過場所P0〜P2等を通るときのそれぞれの磁界変動信号に基づく第2の変動成分を、ワークWのみが対応する通過区間を通るときの第1の変動成分に加えて、ワークWが金属を含む場合の複数の疑似的な磁界変動信号を生成するようになっている。
これにより、良品ワークWを検査領域Zに数回通す程度の簡単なテストだけで、多様な金属異物の多様な混入形態に対して、それらを模擬した多数の疑似的な磁界変動信号を用いる多数回のシミュレーションを迅速に実行することで、所要の高検出感度を設定するようになっている。
ここでの複数の通過場所P0〜P2等は、ワークWの通過方向、検査領域Z中の鉛直方向および検査領域Z中の水平方向のうち少なくとも一方向に離間しているものとすることができる。複数の通過場所がワークWの通過方向に離間するのは、検査領域Z中に所定サンプリング数のサンプリング区間が複数の設定される場合である。もっとも、搬送速度やワークWの長さの変化に対してサンプリング間隔を変化させることで、検査領域Zを所定サンプリング数のサンプリング区間に常時設定することができる。
図4に示すように、本実施形態では、サンプリング間隔Tsで所定サンプリング回数nの磁界変動周波数(同図中の第1の変動成分および第2の変動成分)のサンプリング区間nTsは、ワークWが金属検出装置10のコンベア上に進入したことが物品検知センサにより検出されてからそのコンベア上を通過するまでの時間Tzに対して短時間に設定されているが、このサンプリング区間nTsあるいは複数のサンプリング区間nTsは、例えば前述の検出ヘッド内を通過する時間かそれより多少長い時間内に設定され得る。勿論、検査領域Zに対するワークWの前端の進入から後端の通過までのサンプリング区間を設定することも考えられる。
図5に模式図で示すように、同一のテストピースが複数の通過場所P0、P1、P2を通過する場合、その検出波形が相違し、所定サンプリング数のテスト変動成分Dtpx、Dtpyが例えば同図中の第2の変動成分A、B、Cのように変化することになる。
異物波形記憶部50は、金属種が相違するかサイズが相違する複数タイプのテストピースについて、金属影響データを記憶格納しているものとすることもでき、その場合、例えば鉄系のテストピース、ステンレス鋼系のテストピース、銅系のテストピース等を用いることができる。
金属種の違いにより、各金属種に特異な位相が相違するものの、製品影響の大きい第1の変動成分の振幅が最大となる位相に対して、これを同相(In−phase)とするI−Q平面上において、金属有無判定位相となる直交位相(Quadrature)では、第1の変動成分の変動幅が最小になり、各金属種に特異な位相が直交位相側に傾斜することになる。よって、検出回路部30による検出信号の周波数帯域を左右するBPF部34A、34Bのフィルタ特性を可変設定することで、製品影響の大きい周波数帯域を的確に設定し、ノイズ成分を製品影響より小さくするとともに、金属影響をそれより大きくすることができる。
検出条件調整部60は、また、テストを行う特定の動作モードにおいて、検出条件設定部64によって波形生成部21に対して磁界送信信号の切替えを要求し、良品ワークWの数回のテストに際して波形生成部21からの磁界送信信号および検波信号の周波数を切り替えさせ、検査領域Z中をワークWのみが通過するときの磁界変動信号に基づく第1の変動成分の振幅レベルが大きくなる交番磁界の周波数を、予め設定された複数の磁界周波数値の中から選択設定することができるようになっている。
さらに、異物波形記憶部50は、検査領域中を新規のテストピースが通過するときの磁界変動信号に対応する金属影響データを追加して記憶格納可能となっており、検出条件調整部60は、一方および他方のBPF部34A、34Bのフィルタ特性として、前述の検出感度の推定値が所定値以上となる特性を選択設定可能な特性として追加記憶し、品種設定時等に、複数のフィルタ特性のうち検出感度の推定値が最大となる特性を選択するようにすることもできるようになっている。
次に、動作について説明する。
上述のように構成された本実施形態の金属検出装置においては、検出感度設定が可能な前述の特定の動作モードにて、良品のワークWのみを検査領域Zに通すテストが所定回数なされる間に、異物波形記憶部50から加算部61A、61Bに対してテスト変動成分Dtpx、Dtpyを入力させる状態か否かが切り替えられる。
そして、異物波形記憶部50から加算部61A、61Bに対してテスト変動成分Dtpx、Dtpyを入力させない状態下で、検査領域Zに良品のワークWのみを通過させるテストを実行することにより、製品影響の大きいデジタル信号Dwx、Dwyのみをそのまま信号Dx、Dyとして同相成分信号i1および直交位相成分信号q1が算出される。
次いで、異物波形記憶部50から加算部61A、61Bに対してテスト変動成分Dtpx、Dtpyを入力させる状態下で、検査領域Zに良品のワークWのみを通過させるテストを再度実行することにより、製品影響の大きい低周波信号成分のデジタル信号Dwx、Dwyに対し金属影響の大きいテスト変動成分Dtpx、Dtpyを加算した信号Dx´、Dy´を第2位相補正部62に入力させることで、その加算信号Dx´、Dy´に対応する同相成分信号i´および直交位相成分信号q´が算出される。
このとき、良品ワークWを検査領域Zに通すテストだけを実行する間に、多様な金属異物の多様な混入形態に対して、それらを模擬した多数の疑似的な磁界変動信号が生成され、それらを用いる多数回のシミュレーション演算が迅速に実行され、所要の高検出感度が短時間内に設定される。
具体的には、このとき、複数のタップ(遅延ブロック)を有する各BPF部34A、34Bのフィルタ特性に対応するデジタルフィルタの特性を調整するために、加算部61A、61Bに対して、それぞれ時間変化を伴う所定サンプリング数の一連のデジタル信号Dwx、Dwyが入力されるとともに、それぞれ時間変化を伴う所定サンプリング数の一連のテスト変動成分Dtpx、Dtpyが加算される。
そして、その加算信号である一連のパルス状の信号Dx´、Dy´が、第2位相補正部62に入力され、そこで、その加算信号Dx´、Dy´に対応する同相成分信号i´および直交位相成分信号q´が算出される。
図6は、所定サンプリング数の一連の加算信号Dx´、Dy´を算出する処理の概略の手順を示している。
同図中のW(t)は、製品影響の大きいサンプリング数nの一連のデジタル信号Dwx、Dwyのうち任意の1つの信号の或る時刻(t)における信号(以下、製品影響信号という)を表し、同図中のC(t、pm)は、金属影響の大きいサンプリング数nの一連のテスト変動成分Dtpx、Dtpyのうち任意の1つの信号の或る時刻(t)および或る通過場所(P0、P1、P2等のいずれか)における信号(以下、金属影響信号という)を表している。mは、通過場所P0、P1、P2等における添字相当値である。
同図に示すように、まず、加算処理の回数Kが初回の1に設定され(ステップS11)、次いで、最初の時刻における製品影響信号W(t)と金属影響信号C(t、pm)が加算される(ステップS12)。
次いで、加算回数Kがnに達したか否かが判断され(ステップS13)、nに達していなければ(ステップS13でNoの場合)、加算回数Kがインクリメントされた後(ステップS14)、例えば1サンプル前の時刻における製品影響信号W(t)と金属影響信号C(t、pm)が加算される(ステップS12)。
そして、加算回数Kがnに達するまで、同様の処理(ステップS12〜S14)が繰り返され、加算回数Kがnに達すると(ステップS13でYesの場合)、今回の処理を終了する。
このような処理により、一連のデジタル信号Dwx、Dwyに対して、複数種の一連のテスト変動成分Dtpx、Dtpyが加算された複数種の一連の加算信号Dx´、Dy´が算出されることになり、多数の疑似的な磁界変動信号が生成されることになる。
このように、本実施形態においては、検査領域Z中を金属のテストピースのみが通過するときの金属影響の大きい時間変化を伴うテスト変動成分を異物波形記憶部50に予め記憶格納しておき、検出条件調整部60によって、ワークWのみが検査領域Z中を通過するときの製品影響の大きい一連のデジタル信号Dwx、Dwy(第1の変動成分)と、異物波形記憶部50から読み出したテスト変動成分Dtpx、Dtpy(第2の変動成分)とに基づいて、各BPF部34A、34Bのフィルタ係数が可変設定されることで、検出回路部30における検出処理の特定の処理条件が調整される。
したがって、品種設定等のためにワークWとなる製品が検査領域中に投入されると、検出条件調整部60により、検査領域中をそのワークWのみが通過するときの磁界変動信号に基づいて第1の変動成分が取得され、テストピースを用いた場合の磁界変動信号に基づく第2の変動成分が異物波形記憶部50から読み出した金属影響データに対応する磁界変動信号から取得される。そして、第1の変動成分の振幅レベルに対して第2の変動成分の振幅レベルが大きくなるように両変動成分の検出位相が検出条件調整部60によって調整され、所要の検出感度に設定されることになる。したがって、製品とテストピースを併用するテストを繰り返すことなく、製品のみの少数回のテストだけで高検出感度要求に応え得る迅速で的確な検出感度設定が可能になり、所要の検出精度の確保と検出感度設定のためのテスト回数の低減とを両立させ得るものとなる。
また、本実施形態では、検出条件調整部60が、所定の金属有無判定位相で金属検出感度を推定するとともに、その検出感度の推定値が予め設定した感度値以上となるように各BPF部34A、34Bのフィルタ特性を可変設定するので、製品影響による磁界変動成分の振幅レベルをノイズ成分の検出レベルより確実に大きくすることで、安定した良好な検出感度を確保することができる。
さらに、本実施形態では、異物波形記憶部50に、テストピースが検査領域Z中の異なる複数の通過場所を通るときのそれぞれの金属影響データを記憶格納し、検出条件調整部60が、複数の通過場所についての金属影響データに基づく第2の変動成分を、ワークWが対応する通過区間にあるときの第1の変動成分に加えて、ワークWが金属を含む場合の複数の疑似的な磁界変動信号を生成するようにしているので、検出対象の金属のサイズや位置が予測できないにもかかわらず、安定した検出感度設定が可能となる。
加えて、本実施形態では、複数の通過場所P0、P1、P2等が、ワークWの通過方向、検査領域Z中の鉛直方向および水平方向のうち少なくとも一方向に離間しているので、検出対象の金属の位置の傾向が予測できる場合には、それに応じた特定方向における複数の通過場所についてテストピースを用いた金属影響データを予め準備でき、検出対象の金属の位置の傾向が予測できない場合でも、検査領域Z中に複数の通過場所P0、P1、P2等を等方的に分散配置する等して、金属異物のあらゆる混入形態に対し、安定した良好な検出感度設定が可能となる。
また、本実施形態では、異物波形記憶部50に、金属種が相違するかサイズが相違する複数タイプのテストピースについて、金属影響データを記憶格納できるので、検出対象の金属の種類が変化したり予測できなかったりしても、安定した良好な検出感度設定が可能となる。
さらに、検査領域Z中をワークWのみが通過するときの磁界変動信号に基づく第1の変動成分の振幅レベルが大きくなるように、交番磁界の周波数を予め設定された複数の磁界周波数値の中から選択設定するので、磁界変動信号における金属の影響が大きい磁界周波数を選択でき、安定したより良好な検出感度設定が可能となる。また、金属が磁性か否か等により第2の変動成分の検出に適した磁界周波数が相違する場合にも対応可能となる。
また、本実施形態では、異物波形記憶部50に、検査領域Z中を新規のテストピースが通過するときの磁界変動信号に対応する金属影響データを追加して記憶格納可能であるので、検出条件調整部60の検出条件設定部64に、検出感度の推定値が所定値以上となる特性を選択可能な特性として追加記憶させておき、複数のフィルタ特性のうち検出感度の推定値が最大となる特性を選択することもでき、新たなテストピースに対応する新たな検出感度要求に対して、迅速的確に対応可能となる。
このように、本実施形態においては、磁界変動信号における製品影響による変動成分や金属影響による変動成分の周波数、位相等を考慮した高検出感度設定を迅速かつ的確に実行でき、所要の検出精度の確保と検出感度設定のためのテスト回数の低減とを両立させ得る金属検出装置10を提供することができる。
なお、上述の一実施形態においては、磁界受信部23の出力をA/D変換部31に取り込み、直交検波以降の各処理をデジタル処理としていたが、直交検波部32やLPF部33A、33Bまでアナログ処理としてもよい。もっとも、前述の実施形態のように、直交検波部32による検波をもデジタル処理によるものとすることで、検波位相を製品影響に応じて適時に的確に調整すること等が容易に可能となる。
また、上述の一実施形態では、検出回路部30の検出条件の一部を、検出回路部における検出処理のうち特定の処理条件、例えばフィルタ係数としたが、フィルタ特性を変化させる他の条件であってもよいし、位相調整の条件等と関連する他の特定の処理条件とすることも考えられる。
さらに、上述の一実施形態における磁界出力部22および磁界受信部23のコイルの形状や配置、コンベアの有無その他の装置構成が特に限定されるものでないことは、いうまでもない。加えて、上述の一実施形態においては、本発明を検査領域中に交番磁界を発生させ、ワークの通過による磁界変動を検出する方式の金属検出機として説明したが、本発明は、検査領域に入るワークを電磁石や永久磁石等で予め着磁させ、検出ヘッド内に設けた磁気センサンの出力、例えば複数の磁気センサの出力を基に金属検出するような他方式の金属検出機において金属影響データを予め記憶保持させるような応用も考えられる。
以上説明したように、本発明は、磁界変動信号における製品影響による変動成分や金属影響による変動成分の位相等を考慮した高検出感度設定を迅速かつ的確に実行でき、所要の検出精度の確保と検出感度設定のためのテスト回数の低減とを両立させることのできる金属検出装置を提供できるものであり、被検査物が交番磁界中を通過するときの磁界変動を基に被検査物中の金属または金属成分を検出する金属検出装置全般に有用である。
10 金属検出装置
21 波形生成部
22 磁界出力部(磁界発生部)
22a 磁界発生送信コイル
23 磁界受信部(磁界検出部)
23a、23b 受信コイル
30 検出回路部(磁界検出部)
31 A/D変換部(アナログ/デジタル変換部)
32 直交検波部
33A、33B LPF部(ローパスフィルタ部)
34A、34B BPF部(バンドパスフィルタ部)
35 第1位相補正部
40 金属検出判定部(判定部)
50 異物波形記憶部(金属影響信号記憶部)
60 検出条件調整部
61A、61B 加算部
62 第2位相補正部
63 演算部
64 検出条件設定部
Dtpx、Dtpy テスト変動成分(第2の変動成分)
Dwx、Dwy デジタル信号(第1の変動成分)
Dx、Dy デジタル信号
Dx´、Dy´ 加算信号(疑似的な磁界変動信号)
i、i1、i´ 同相成分信号
P0、P1、P2 通過場所
q、q1、q´ 直交位相成分信号
W ワーク(被検査物)
Z 検査領域

Claims (7)

  1. 被検査物が通過する検査領域中に交番磁界を発生させる磁界発生部と、
    前記検査領域中を前記被検査物が通過するときの前記交番磁界の変動を検出して磁界変動信号を出力する磁界検出部と、
    前記磁界変動信号のうち前記被検査物の影響が大きい第1の変動成分と前記磁界変動信号のうち金属の影響が大きい第2の変動成分とを、それぞれ異なる検出位相で検出する検出処理を実行する検出回路部と、
    前記検出回路部で検出された前記第1の変動成分および前記第2の変動成分を比較して前記被検査物中の金属検出のため判定処理を実行する判定部と、
    前記第1の変動成分および前記第2の変動成分のそれぞれの前記検出処理の条件を調整する検出条件調整部と、を備えた金属検出装置であって、
    前記検査領域中を前記金属のテストピースのみが通過するときの前記磁界変動信号のうち前記テストピースの影響による時間変化を伴うテスト変動成分を予め記憶格納した金属影響信号記憶部をさらに備え、
    前記検出条件調整部は、前記被検査物のみが前記検査領域中を通過するときの前記磁界変動信号に基づく前記第1の変動成分と、前記金属影響信号記憶部から読み出した前記テスト変動成分で構成される前記第2の変動成分とに基づいて、前記検出回路部における前記検出処理の特定の処理条件を可変設定することを特徴とする金属検出装置。
  2. 前記検出回路部は、前記磁界変動信号の検波信号からノイズ成分を除去するフィルタを有しており、
    前記検出条件調整部は、所定の金属有無判定位相で、前記検査領域中を前記被検査物のみが通過するときの前記磁界変動信号に基づく前記第1の変動成分と前記金属としてテストピースを用いた場合の前記磁界変動信号に基づく前記第2の変動成分とに基づいて前記金属の検出感度を推定するとともに、前記検出感度の推定値が予め設定した感度値以上となるように前記フィルタの特性を可変設定することを特徴とする請求項1に記載の金属検出装置。
  3. 前記金属影響信号記憶部は、前記テストピースが前記検査領域中の異なる複数の通過場所を通るときのそれぞれの前記磁界変動信号に対応する金属影響データを記憶格納しており、
    前記検出条件調整部は、前記テストピースが前記複数の通過場所を通るときのそれぞれの前記磁界変動信号に基づく前記第2の変動成分を、前記被検査物が対応する通過区間にあるときの前記第1の変動成分に加えて、前記被検査物が前記金属を含む場合の複数の疑似的な磁界変動信号を生成することを特徴とする請求項2に記載の金属検出装置。
  4. 前記複数の通過場所が、前記被検査物の通過方向、前記検査領域中の鉛直方向および前記検査領域中の水平方向のうち少なくとも一方向に離間していることを特徴とする請求項3に記載の金属検出装置。
  5. 前記金属影響信号記憶部は、金属種が相違するかサイズが相違する複数タイプの前記テストピースについて、前記金属影響データを記憶格納していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の金属検出装置。
  6. 前記検出条件調整部は、前記検査領域中を前記被検査物のみが通過するときの前記磁界変動信号に基づく前記第1の変動成分の振幅レベルが大きくなるように、前記交番磁界の周波数を予め設定された複数の磁界周波数値の中から選択設定することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の金属検出装置。
  7. 前記金属影響信号記憶部が、前記検査領域中を新規の前記テストピースが通過するときの前記磁界変動信号に対応する金属影響データを追加して記憶格納可能であり、
    前記検出条件調整部は、前記フィルタの特性として、前記検出感度の推定値が前記所定値以上となる特性を選択可能な特性として追加記憶し、複数の前記フィルタの特性のうち前記検出感度の推定値が最大となる特性を選択することを特徴とする請求項2ないし4に記載の金属検出装置。
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