JP6577801B2 - ベローズポンプ - Google Patents
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Description
このベローズポンプは、例えば、特許文献1に記載されているように、ポンプヘッドの左右方向(水平方向)の両側にポンプケースを連結して2つの空気室を形成し、各空気室の内部にそれぞれ左右方向に伸縮可能な一対のベローズを設け、各空気室に交互に加圧空気を供給することによって各ベローズを収縮又は伸長させるように構成されている。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、移送流体の吸い込みから吐出に切り換わるときに発生する衝撃圧力を効果的に抑制することができるベローズポンプを提供することを目的とする。
この場合、ばね定数が高い圧縮コイルばねを有するチェックバルブの開弁動作に支障をきたすことなく、上記衝撃圧力を効果的に抑制することができる。
[ベローズポンプの全体構成]
図1は、本発明の実施形態に係るベローズポンプの断面図である。
本実施形態のベローズポンプ10は、例えば半導体製造装置において薬液や溶剤等の移送流体を一定量供給するときに用いられる。このベローズポンプ10は、ポンプヘッド11と、このポンプヘッド11の左右方向(水平方向)の両側に取り付けられる一対のポンプケース12と、各ポンプケース12の内部において、ポンプヘッド11の左右方向の側面に取り付けられる一対のベローズ13と、各ベローズ13の内部において、ポンプヘッド11の左右方向の側面に取り付けられる複数のチェックバルブ38,40と、を備えている。
ポンプケース12は、ポンプヘッド11の左右両側に固定された筒形状のケース胴体15と、このケース胴体15の左右方向の一端部(ポンプヘッド11とは反対側の端部)を閉鎖する閉鎖蓋16と、を備えている。ケース胴体15と、ポンプヘッド11及び閉鎖蓋16との接合端面にはシール部材が介装されており、これらの部材によって囲まれた空間が気密状態が保持された空気室17とされている。
また、閉鎖蓋16には、近接センサからなる検出センサ21が取り付けられており、この検出センサ21は、ベローズ13に取り付けられた作動板24を検知して、当該ベローズ13の伸縮状態を検出する。
ベローズ13は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)やPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等のフッ素樹脂により有底筒形状に形成され、その開放端部はポンプヘッド11に固定されている。
具体的に、ベローズ13の開放側端部には周溝22が形成され、ポンプヘッド11とポンプケース12との間には、径方向内方へ突出する係止環23が固定され、この係止環23を周溝22に嵌合することによってベローズ13がポンプヘッド11に固定されている。
図2は、ポンプヘッド11を示しており、(a)は側面図、(b)は(a)のAOB断面図である。ポンプヘッド11は、PTFEやPFA等のフッ素樹脂から形成されている。ポンプヘッド11の内部には、移送流体を吸い込むための吸込通路33と、移送流体を吐出するための吐出通路34とが形成されている。吸込通路33及び吐出通路34は、ポンプヘッド11の外周面において開口する開口部31,32を有し、各開口部31,32に吸込ポート及び吐出ポート(いずれも図示省略)が接続されている。吸込ポートは移送流体のタンク(図示省略)に接続され、吐出ポートは移送流体の移送先に接続される。
図1において、ポンプヘッド11の各吸込口35及び各吐出口36には、チェックバルブ38,40が設けられている。
吐出口36に取り付けられたチェックバルブ40(以下、「吐出用チェックバルブ」ともいう)は、吐出口36に固定されたバルブケース40aと、このバルブケース40aに収容された弁体40bと、この弁体40bを閉弁方向に押圧付勢する圧縮コイルばね40cとを有している。
吸込用チェックバルブ38は、吸込口35に固定されたバルブケース38aと、このバルブケース38aに収容された弁体38bおよび圧縮コイルばね38cと、バルブケース38aに対して弁体38bの移動を案内する複数のガイド部38eと、を有している。
図4は、弁体38bおよびガイド部38eを示す正面図である。ガイド部38eは、バルブケース38aと弁体38bとの間において周方向に所定の空間Sをおいて複数(図例では4個)配置されている。これら複数の空間Sは、弁体38bの開弁中に、吸込口35(図3参照)からバルブケース38a内に吸い込まれた移送流体を貫通孔38dに向けて通過させる流通路とされている。
本変形例の吸込用チェックバルブ38の弁体38bには、当該弁体38bよりもバルブケース38aの底壁側に円筒形状の流通部38fが固定されている。流通部38fの周壁には、周方向に所定間隔をおいて複数の流通孔38gが形成されている。
流通部38fには、当該流通部38fよりもバルブケース38aの底壁側に円筒形状のガイド部38eが固定されている。ガイド部38eは、その外周面全体がバルブケース38aの内周面を摺動することで、バルブケース38aに対して弁体38bの移動を案内する。
次に、本実施形態のベローズポンプ10の動作を図6及び図7を参照して説明する。なお、図6及び図7においてはベローズ13の構成を簡略化して示している。
図6に示すように、左側のベローズ13が収縮動作し、右側のベローズ13が伸長動作した場合、ポンプヘッド11の図中左側に装着された吸込用チェックバルブ38及び吐出用チェックバルブ40の各弁体38b,40bは、左側のベローズ13内の移送流体から圧力を受けて各バルブケース38a,40aの図中右側にそれぞれ移動する。
以上の動作を繰り返し行うことで、左右のベローズ13は、交互に移送流体の吸引と排出とを行うことができる。
本実施形態のベローズポンプ10により得られる効果を検証するために、本発明者らが行った検証試験について説明する。この検証試験は、本実施形態のベローズポンプ10である実施例と、従来のベローズポンプである比較例とについて、それぞれベローズポンプの上流側(吸い込み側)の配管(以下、「上流側配管」ともいう)内における移送流体の圧力の変化を比較評価することで効果を検証した。
以上、本実施形態のベローズポンプ10によれば、移送流体を吸い込むための第1及び第2吸入通路331,332にそれぞれ設けられた2つのチェックバルブ381,382において、それぞれの弁体38bを閉弁方向に押圧付勢する圧縮コイルばね38cのうち、一方のばね定数は他方のばね定数よりも高く設定されている。このため、移送流体の吸い込みから吐出に切り換わるときに、各チェックバルブ381,382がそれぞれ閉弁するタイミングをずらすことができる。これにより、一方のチェックバルブが先に閉弁したときに生じる衝撃圧力を、開弁状態である他方のチェックバルブから吸込通路側へ逃がすことができるので、移送流体の吸い込みから吐出に切り換わるときに発生する衝撃圧力を効果的に抑制することができる。
また、前記他方のばね定数は、従来の圧縮コイルばねと同一のばね定数に設定されているので、前記他方のばね定数を有する圧縮コイルばねとして、従来の圧縮コイルばねを流用することができる。これにより、ベローズポンプ10を安価に製作することができる。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、ベローズポンプ10は、上記実施形態以外に、左右一対のベローズが互いに独立して伸縮するベローズポンプや、一対のベローズのうちの一方をアキュムレータに入れ替えて構成されたベローズポンプ、また、上記特許文献2のようにベローズの外側に移送流体が給排されるベローズポンプなど、他のベローズポンプにも適用することができる。
11 ポンプヘッド
13 ベローズ
34 吐出通路
38a バルブケース
38b 弁体
38c 圧縮コイルばね
38e ガイド部
331 第1吸込通路
332 第2吸込通路
381 第1チェックバルブ
382 第2チェックバルブ
S 空間
Claims (2)
- 移送流体を吸い込むための第1及び第2吸込通路、並びに移送流体を吐出するための吐出通路が形成されたポンプヘッドと、
前記ポンプヘッドに伸縮自在に取り付けられ、その伸長動作および収縮動作のうち、一方の動作により前記第1及び第2吸込通路から移送流体を吸い込み、他方の動作により前記吐出通路に移送流体を吐出するベローズと、
前記ベローズの前記一方の動作により前記第1吸込通路の一方向への移送流体の流れを許容するとともに、前記ベローズの前記他方の動作により前記第1吸込通路の他方向への移送流体の流れを阻止する第1チェックバルブと、
前記ベローズの前記一方の動作により前記第2吸込通路の一方向への移送流体の流れを許容するとともに、前記ベローズの前記他方の動作により前記第2吸込通路の他方向への移送流体の流れを阻止する第2チェックバルブと、を備え、
前記両チェックバルブは、それぞれ、
前記ポンプヘッド内に設けられ、開弁方向および閉弁方向に移動可能な弁体と、
前記弁体を閉弁方向に押圧付勢する圧縮コイルばねと、
前記弁体および前記圧縮コイルばねを収容するバルブケースと、
前記弁体の外周に固定され、前記バルブケースの内周に対して摺動することで当該バルブケースに対して前記弁体の移動を案内する複数のガイド部と、を有し、
前記両チェックバルブの圧縮コイルばねのうち一方のばね定数は、他方のばね定数よりも高く設定され、
前記複数のガイド部は、前記バルブケースと前記弁体との間において周方向に所定の空間をおいて配置されており、
前記空間は、前記弁体の開弁中に移送流体を通過させる流通路とされていることを特徴とするベローズポンプ。 - 前記一方のばね定数は、前記他方のばね定数の1.1〜1.3倍に設定されている、請求項1に記載のベローズポンプ。
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