JP6577335B2 - プレコートメタル、建築用部材、電材用部材、及び窯業用部材 - Google Patents

プレコートメタル、建築用部材、電材用部材、及び窯業用部材 Download PDF

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Description

本発明は、プレコートメタル、建築用部材、電材用部材、及び窯業用部材に関する。
プレコートメタルは、建築や建材、家電、窯業等に広く使用されている。建築においては、プレコートメタルは屋根や壁などの屋外素材にも使われており、これら屋外素材に使われるプレコートメタルは耐候性や耐衝撃性が求められる。従来は、プレコートメタルの素材としてポリエステル樹脂が主として使用されてきた。また、ポリエステルとポリイソシアネートとの組合せをプレコートメタルの素材として用い、プレコートメタル中にウレタン基を形成させることができる、プレコートメタル用の組成物が提案されている(例えば、特許文献1、2及び3参照)。
特開2007−39560号公報 特開2012−62378号公報 特開2014−43531号公報
しかし、ポリエステル樹脂を主に用いた組成物から形成されるプレコートメタルは、屋外の製品に適用された場合、加水分解によりポリエステル樹脂が劣化してしまうという問題がある。
また、特許文献1〜3に開示されているような組成物から形成されるプレコートメタルは、ウレタン基の耐熱性が不十分であることに起因して、焼き付け硬化時にウレタン基の分解が起こり、黄変の原因になる可能性がある。さらに、作製した膜の耐水蒸気透過性が不足する場合があり、水分や腐食性ガスからの保護において十分なバリア性が発揮できない場合がある。
そこで、本発明は、耐熱性を有し、かつ耐腐食性ガスへの耐性が良好であるプレコートメタルを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来技術の課題を解決するため検討を重ね、金属と該金属状に形成された塗膜を備え、該塗膜が特定の組成を有するポリイソシアネート樹脂を含むプレコートメタルが、耐熱性及び耐腐食ガス性に優れることを見出した。
すなわち本発明は、以下の通りである。
[1]
金属と、該金属上に形成された塗膜と、を備え、
前記塗膜は、脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートから選ばれる一種又は二種以上のジイソシアネートから得られ、かつイソシアヌレート構造を単位構造として有するポリイソシアネート樹脂を含む、プレコートメタル。
[2]
前記ポリイソシアネート樹脂において、ウレタン基及びウレア基の合計に対するイソシアヌレート基のモル比が、95/5以上100/0以下である、[1]に記載のプレコートメタル。
[3]
前記ポリイソシアネート樹脂において、アロファネート基に対するイソシアヌレート基のモル比が、50/50以上99/1以下である、[1]又は[2]に記載のプレコートメタル。
[4]
[1]〜[3]のいずれかに記載のプレコートメタルを備える、建築用部材。
[5]
[1]〜[3]のいずれかに記載のプレコートメタルを備える、電材用部材。
[6]
[1]〜[3]のいずれかに記載のプレコートメタルを備える、窯業用部材。
本発明に係るプレコートメタルは、耐熱性及び耐腐食ガス性に優れる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の本実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜変形して実施できる。
〔プレコートメタル〕
本実施形態のプレコートメタルは、金属と、該金属状に形成された塗膜とを備える。また、上記塗膜は、本実施形態のポリイソシアネート樹脂を含む。
〔金属〕
本実施形態のプレコートメタルに用いる金属は、特に限定されず、公知の金属が使える。金属の具体例としては、例えば、鉄、真鍮、銅版、アルミニウム板、チタン板、ステンレス板、ブリキ版、マグネシウム合金版、亜鉛メッキ鋼板、錫メッキ鋼板、アルミニウムメッキ鋼板、クロムメッキ鋼板、鉛メッキ鋼板、ニッケルメッキ鋼板、及びそれらの表面にリン酸塩処理やクロメート処理等を施した物が挙げられる。
〔塗膜及びその製造方法〕
本実施形態の塗膜は、上述した金属上に形成される。また、塗膜は、脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートからなる群より選ばれる一種又は二種以上のジイソシアネートから得られ、かつイソシアヌレート構造を単位構造として有するポリイソシアネート樹脂を含む。本実施形態において、イソシアヌレート構造を単位構造として有する、とは、イソシアヌレート構造の3次元架橋によりポリイソシアネート樹脂が形成されていることを指す。本実施形態のイソシアヌレート構造(以下「イソシアヌレート基」とも記す。)を下記式(1)に記載する。
Figure 0006577335
本実施形態において、脂肪族ジイソシアネートとは、分子中に飽和脂肪族基を有するジイソシアネートである。また、脂環式ジイソシアネートとは、分子中に環状脂肪族基を有するジイソシアネートである。脂肪族ジイソシアネートを用いると、得られるポリイソシアネート樹脂に柔軟性が付与できるため、好ましい。脂肪族ジイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、1,4−ジイソシアナトブタン、1,5−ジイソシアナトペンタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン(以下、「HDI」とも記す。)、1,6−ジイソシアナト−2,2,4−トリメチルヘキサン、及び2,6−ジイソシアナトヘキサン酸メチル(リジンジイソシアネート)が挙げられる。脂環式ジイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、5−イソシアナト−1−イソシアナトメチル−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(水添キシリレンジイソシアネート)、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン(水添ジフェニルメタンジイソシアネート)、及び1,4−ジイソシアナトシクロヘキサンが挙げられる。この中でもHDI、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、及び水添ジフェニルメタンジイソシアネートは、工業的に入手し易いため好ましい。中でも、HDIは、耐候性と塗膜の柔軟性とのバランスが非常に優れておりより好ましい。以下、脂肪族ジイソシアネートと脂環式ジイソシアネートとを総称してジイソシアネートという。
本実施形態のポリイソシアネート樹脂は、ゲル分率を測定し、質量残分率が45%以上である。本実施形態では、ポリイソシアネート樹脂のサンプル約0.1gをアセトンに20℃で24時間浸漬し、サンプル取り出し後105℃、1時間乾燥した物の質量を測定する事により、浸漬前後の質量残分率からゲル分率を求める。
本実施形態のポリイソシアネート樹脂は、アロファネート基を含むことが好ましい。本実施形態のポリイソシアネート樹脂において、アロファネート基に対するイソシアヌレート基のモル比(以下、「イソシアヌレート基/アロファネート基」ともいう。)は、50/50以上99/1以下であることが好ましい。イソシアヌレート基/アロファネート基が、99/1以下であれば、耐衝撃性がより良好となり、イソシアヌレート基/アロファネート基が、50/50以上であれば耐熱性がより良好となる傾向にある。本実施形態のポリイソシアネート樹脂において、イソシアヌレート基/アロファネート基は、より良好な耐熱性を得る観点から、好ましくは60/40以上99/1以下であり、より好ましくは70/30以上99/1以下であり、さらに好ましくは80/20以上99/1以下であり、よりさらに好ましくは90/10以上98/2以下である。イソシアヌレート基/アロファネート基が上記範囲内にあるポリイソシアネート樹脂を得るためには、後述するように触媒やポリイソシアネート組成物の種類や量を調整すればよい。なお、イソシアヌレート基/アロファネート基は、ポリイソシアネート樹脂を凍結粉砕し、13C−NMRを用いて測定することができ、詳細には後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態のポリイソシアネート樹脂において、ウレタン基及びウレア基の合計に対するイソシアヌレート基のモル比(以下、「イソシアヌレート基/(ウレタン基+ウレア基)」ともいう。)は、95/5以上100/0以下であることが好ましい。イソシアヌレート基/(ウレタン基+ウレア基)が95/5以上100/0以下であれば、より良好な耐熱性が得られる傾向にある。イソシアヌレート基/(ウレタン基+ウレア基)は、より好ましくは96/4以上100/0以下であり、さらに好ましくは97/3以上100/0以下である。イソシアヌレート基/(ウレタン基+ウレア基)が上記範囲内にあるポリイソシアネート樹脂を得るためには、後述するように触媒やポリイソシアネート組成物の種類や量を調整すればよい。なお、本実施形態において、イソシアヌレート基/(ウレタン基+ウレア基)は、FT−IRのATR法により測定することができ、詳細には後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態のポリイソシアネート樹脂は、耐熱性が良好である。本実施形態のポリイソシアネート樹脂の耐熱性は、例えば、1%質量減少温度(以下「Td1」とも記す。)及び5%質量減少温度(以下、「Td5」とも記す。)により評価できる。本実施形態のポリイソシアネート樹脂は、Td1が200℃以上であることが好ましく、より好ましくは230℃以上であり、さらに好ましくは250℃以上である。Td1の上限値は、特に限定されないが、例えば、600℃以下である。また、本実施形態のポリイソシアネート樹脂は、Td5が260℃以上であることが好ましく、より好ましくは310℃以上である、さらに好ましくは360℃以上である。Td5の上限値は、特に限定されないが、例えば、700℃以下である。なお、本実施形態において、Td1及びTd5は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態のポリイソシアネート樹脂は、黄色度(以下、「YI」とも記す。)が小さい。本実施形態のポリイソシアネート樹脂は、YIが10以下であることが好ましく、9以下であることがより好ましく、8以下であることがさらに好ましい。当該YIの下限値は、特に限定されないが、例えば、0.1以上である。本実施形態のポリイソシアネート樹脂は、耐光性試験におけるYIの変化が10以下であることが好ましく、より好ましくは8以下であり、さらに好ましくは5以下であり、よりさらに好ましくは3以下であり、さらにより好ましくは0である。なお、本実施形態において、YI及び耐光性試験は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
上述のような耐熱性を有するポリイソシアネート樹脂は、例えば、脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートからなる群より選択される一種又は二種以上のジイソシアネートをイソシアヌレート化した化合物を含むポリイソシアネート組成物を、実質的に溶媒を含有しない条件下で、イソシアネート基(NCO基)の消失率が90%以上となるまでイソシアヌレート化反応させることにより得ることができる。消失率は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態のポリイソシアネート樹脂は、良好な耐水蒸気透過性を有する。水蒸気透過性は、JIS Z0208に基づいて測定できる。本実施形態のポリイソシアネート樹脂は、厚さを0.2mmにし、温度40℃湿度90RH%の条件下に24時間静置した場合、水蒸気透過度が0.01g/m2以上40g/m2以下であることが好ましい。水蒸気透過度が40g/m2以下であれば耐水蒸気透過性は良好となる傾向にある。本実施形態のポリイソシアネート樹脂の水蒸気透過度はより好ましくは35g/m2以下であり、さらに好ましくは30g/m2以下であり、一層好ましくは25g/m2以下である。
本実施形態の塗膜は、特に限定されないが、本実施形態のポリイソシアネート樹脂をそのまま成形して得ることができる。ポリイソシアネート樹脂の製造方法は、脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートからなる群より選択される一種又は二種以上のジイソシアネートから得られ、かつイソシアヌレート基を有するポリイソシアネートと、脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートからなる群より選択される一種又は二種以上のジイソシアネートから得られ、かつアロファネート基を有するポリイソシアネートとを含むポリイソシアネート組成物を原料として用い、イソシアヌレート化触媒を配合し、実質的に溶媒を含有しない条件下で、ポリイソシアネート組成物におけるイソシアネート基(NCO基)の消失率が90%以上となるまでイソシアヌレート化反応を行う工程を有することが好ましい。
本実施形態のポリイソシアネート樹脂は、少なくともポリイソシアネート組成物を原料として用い、イソシアヌレート化触媒を触媒として用いることで製造することができる。例えば、本実施形態のポリイソシアネート樹脂は、ポリイソシアネート組成物をイソシアヌレート化触媒でイソシアヌレート化反応させることで製造される。
ポリイソシアネート組成物は、脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートからなる群より選択される一種又は二種以上のジイソシアネートから得られ、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートと、脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートからなる群より選択される一種又は二種以上のジイソシアネートから得られ、アロファネート基を有するポリイソシアネートとを含むことが好ましい。
ポリイソシアネート組成物は、一つの分子中にイソシアヌレート基とアロファネート基とを有するポリイソシアネートを含有していても、一つの分子中にイソシアヌレート基のみを有するポリイソシアネートと、一つの分子中にアロファネート基のみを有するポリイソシアネートとをそれぞれ含有していてもよい。
イソシアヌレート基とは、ジイソシアネートモノマー3分子からなり、下記式(1)で表される。
Figure 0006577335
アロファネート基とは、アルコールの水酸基とイソシアネート基とから形成され、下記式(2)で表される。
Figure 0006577335
ジイソシアネートモノマーから、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネート、アロファネート基を有するポリイソシアネート、又はイソシアヌレート基及びアロファネート基を有するポリイソシアネートを誘導する場合は、ウレタン化、イソシアヌレート化及びアロファネート化触媒を用いて行うことが好ましい。具体的なウレタン化、イソシアヌレート化及びアロファネート化触媒としては、特に限定されないが、例えば、一般に塩基性を有する触媒が好ましく、1)例えばテトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム等の4級有機アンモニウムのハイドロオキサイドや、例えば酢酸、カプリン酸等の有機弱酸塩、2)例えばトリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム等のヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや、例えば酢酸、カプリン酸等の有機弱酸塩、3)酢酸、カプロン酸、オクチル酸、ミリスチン酸等のアルキルカルボン酸の例えば錫、亜鉛、鉛、ナトリウム、カリウム等の金属塩、4)例えばナトリウム、カリウム等の金属アルコラート、5)例えばヘキサメチルジシラザン等のアミノシリル基含有化合物、6)マンニッヒ塩基類、7)第3級アミン類とエポキシ化合物との併用が挙げられる。好ましくは、上記1)、2)、3)である。アミノシリル基含有化合物はその使用条件により、ウレトジオン生成等の副反応が生じ得る。さらに好ましくは、1)であり、よりさらに好ましくはテトラアルキルアンモニウムの酢酸、カプリン酸等の有機弱酸塩であり、さらにより好ましくはテトラメチルアンモニウムのカプリン酸塩である。
本実施形態で用いるポリイソシアネート組成物中のポリイソシアネートは、イソシアヌレート基及びアロファネート基を有することが好ましい。この場合、ポリイソシアネート組成物中のポリイソシアネートにおけるアロファネート基に対するイソシアヌレート基のモル比(以下、「イソシアヌレート基/アロファネート基」ともいう。)は、ポリイソシアネート組成物を用いたポリイソシアネート樹脂から、30/70以上99/1以下であることが好ましく、より好ましくは40/60以上98/2以下であり、さらに好ましくは50/50以上97/3以下である。イソシアヌレート基/アロファネート基が30/70以上99/1以下であれば、得られるポリイソシアネート樹脂の耐熱性、耐熱黄変性、金属への密着性がより良好となる傾向にある。イソシアヌレート基/アロファネート基は、1H−NMRにより求めることができる。詳細には後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、ジイソシアネートに加えてアルコールを原料としてさらに用いることが好ましい。アルコールとしては、特に限定されないが、モノアルコール、ジアルコール、及び3価以上のアルコールからなる群より選択される一種又は二種以上であることが好ましい。その中で、ポリイソシアネート組成物の粘度を低くする観点から、モノアルコールがより好ましい。モノアルコールは、1種類を単独でも2種類以上を混合して用いてもよい。本実施形態では、モノアルコールの炭素数は、特に限定されないが、モノアルコールの炭素数の下限は、好ましくは3、より好ましくは4、さらに好ましくは6である。モノアルコールの炭素数の上限は、好ましくは16、より好ましくは13、さらに好ましくは9である。モノアルコールの炭素数が3以上であれば金属への密着性が良好となる傾向にあり、モノアルコールの炭素数が16以下であれば、ポリイソシアネート樹脂の耐水蒸気透過性及びガスバリア性が良好となる傾向にある。
モノアルコールは、特に限定されないが、例えば、1−ブトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、1−ブトキシプロパノール、2−ブトキシプロパノール、3−ブトキシプロパノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の分子内にエーテル基を有するアルコール;エステル基を有するアルコール、カルボニル基を有するアルコール、ベンジルアルコール等のフェニル基を有するアルコールを含んでもよい。
モノアルコールは、飽和炭化水素基のみからなるモノアルコールが好ましく。更に、分岐を有しているモノアルコールがより好ましい。このようなモノアルコールとしては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、イソアミルアルコール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、3,3,5−トリメチル−1−ヘキサノール、トリデカノール、ペンタデカノール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、及びトリメチルシクロヘキサノールが挙げられる。この中で1−プロパノール、2−プロパノール、イソブタノール、n−ブタノール、イソアミルアルコール、1−ヘキサノール、1−へプタノール、1−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、3,3,5−トリメチル−1−ヘキサノール、トリデカノール、ペンタデカノール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、及び1,3,5−トリメチルシクロヘキサノールは、金属への密着性や耐水蒸気透過性の観点から、より好ましい。イソブタノール、1−ブタノール、イソアミルアルコール、ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、3,3,5−トリメチル−1−ヘキサノール、及びトリデカノールは、粘度をより低くできる観点から、さらに好ましい。2−ヘキサノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、及び3,3,5−トリメチル−1−ヘキサノールは、各種添加剤への相溶性が優れている観点から、よりさらに好ましい。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、ウレトジオン体を含んでいてもよい。ウレトジオン体は、低粘度化の効果があり、ウレトジオン体の含有量が15質量%以下であることにより、多すぎるとポリイソシアネート樹脂中に取り込まれた際、高温下で分解し、ポリイソシアネート樹脂の性能を劣化させることを抑制することができる。本実施形態のポリイソシアネート組成物において、ウレトジオン体の含有量としては、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5.0質量%以下である。ウレトジオン体の含有量の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(以下、GPC)の分子量336程度のピークの面積の割合を示差屈折計で測定することで求めることができる。336程度のピーク付近に測定の障害となるようなピークがある場合は、フーリエ変換赤外分光光度計(以下、「FT−IR」と表す。)を用いて、1770cm−1程度のウレトジオン基のピークの高さと、1720cm−1程度のアロファネート基のピークの高さとの比を、内部標準を用いて定量する方法によっても求めることができる。以下、GPCの測定方法について述べる。ポリイソシアネート化合物の分子量に関する測定値は、全て以下の測定方法で行ったものである。使用機器:HLC−8120(東ソー株式会社製)、使用カラム:TSK GEL SuperH1000、TSK GEL SuperH2000、TSK GEL SuperH3000(何れも東ソー株式会社製)、試料濃度:5質量/容積%(例えば、試料50mgを1mLのTHFに溶解する)、キャリア:THF、検出方法:示差屈折計、流出量0.6mL/min.、カラム温度30℃)。GPCの検量線は、分子量50000〜2050のポリスチレン(ジーエルサイエンス株式会社製PSS−06(Mw50000)、BK13007(Mp=20000、Mw/Mn=1.03)、PSS−08(Mw=9000)、PSS−09(Mw=4000)、5040−35125(Mp=2050、Mw/Mn=1.05)と、ヘキサメチレンジイソシアネート系ポリイソシアネート組成物(デュラネートTPA−100、旭化成ケミカルズ株式会社製)のイソシアヌレート体の3量体〜7量体(イソシアヌレート3量体分子量=504、イソシアヌレート5量体分子量=840、イソシアヌレート7量体分子量=1176)及びHDI(分子量=168)を標準として作製する。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、ウレタン体を含んでいてもよい。ウレタン体は、基材との密着性を向上させ、ウレタン体の含有量が5.0質量%以下であることにより、ポリイソシアネート樹脂の耐熱性が悪化することを抑制できる傾向にある。本実施形態のポリイソシアネート組成物において、ウレタン体の含有量としては、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは4.0質量%以下、さらに好ましくは3.0質量%以下である。ウレタン体の含有量は、1H−NMRを用いて求めることができる。上述した方法で、アロファネート基とイソシアヌレート基との合計のモル数を測定し、さらに、4〜5ppm付近のウレタン基の窒素に結合した水素原子(ウレタン基1molに対して、1molの水素原子)のシグナルの面積から、ウレタン基のモル数を測定することによって、ウレタン体の含有量を測定することができる。
ポリイソシアネート組成物を製造する際に、アルコールとジイソシアネートとから、ウレタン化反応、アロファネート化反応及びイソシアヌレート化反応を同時に行うことが好ましい。ただし、場合に応じて、ウレタン化、アロファネート化、イソシアヌレート化を、別々に行ってもよい。また、ウレタン化後に、アロファネート化とイソシアヌレート化とを同時に行ってもよい。
ウレタン化、イソシアヌレート化及びアロファネート化触媒の使用量は、反応液総質量を基準にして、好ましくは0.001質量%以上2.0質量%以下、より好ましくは0.01質量%以上0.5質量%以下である。ウレタン化、イソシアヌレート化及びアロファネート化触媒の使用量が0.001質量%以上であることにより、触媒としての効果が十分に発揮できる。ウレタン化、イソシアヌレート化及びアロファネート化触媒の使用量が2.0質量%以下であることにより、反応の制御が容易となる傾向にある。
ポリイソシアネート組成物を製造する際に、ウレタン化、イソシアヌレート化及びアロファネート化触媒の添加方法は特に限定されない。当該添加の方法として、所要量のアロファネート化触媒を一括して添加する方法でもよいし、何回かに分割して添加する方法でもよい。他に、一定の添加速度で連続的に添加する方法も採用できる。
ポリイソシアネート組成物を製造する際に、ウレタン化、イソシアヌレート化及びアロファネート化反応は、無溶媒中で進行させることが好ましいが、必要に応じて後述の低極性有機溶剤の他、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;メチルエチルケトン等のケトン系溶剤;トルエン、キシレン、ジエチルベンゼン等の芳香族系溶剤;ジアルキルポリアルキレングリコールエーテル等のイソシアネート基との反応性を有していない有機溶剤、及びそれらの混合物の溶媒中で進行させてもよい。
本実施形態において、ウレタン化、イソシアヌレート化及びアロファネート化反応の過程は、反応液のNCO基含有率を測定するか、屈折率を測定することにより追跡できる。
ウレタン化、イソシアヌレート化及びアロファネート化反応は、室温に冷却するか、反応停止剤を添加することにより停止できるが、触媒を用いる場合、反応停止剤を添加する方が、副反応を抑制することができるために、好ましい。反応停止剤の添加量は、触媒に対して、好ましくは0.25倍以上20倍以下のモル量、より好ましくは0.5倍以上16倍以下のモル量、さらに好ましくは1.0倍以上12倍以下のモル量である。反応停止剤の添加量が触媒に対して0.25倍以上であることにより、完全に失活させることが可能となる家郁夫にある。反応停止剤の添加量が触媒に対して20倍以下であることにより、ポリイソシアネート樹脂の保存安定性が良好となる傾向にある。反応停止剤としては、触媒を失活させるものであれば特に限定されない。反応停止剤の具体例としては、特に限定されないが、例えば、リン酸、ピロリン酸等のリン酸酸性を示す化合物;リン酸、ピロリン酸等のモノアルキルあるいはジアルキルエステル;モノクロロ酢酸等のハロゲン化酢酸;塩化ベンゾイル、スルホン酸エステル、硫酸、硫酸エステル、イオン交換樹脂、及びキレート剤が挙げられる。工業的な観点から、リン酸、ピロリン酸、メタリン酸、ポリリン酸、及びリン酸モノアルキルエステル、リン酸ジアルキルエステルが、ステンレスを腐食し難いので好ましい。リン酸モノエステル及びリン酸ジエステルとしては、特に限定されないが、例えば、リン酸モノエチルエステルや、リン酸ジエチルエステル、リン酸モノブチルエステルやリン酸ジブチルエステル、リン酸モノ(2−エチルヘキシル)エステルや、リン酸ジ(2−エチルヘキシル)エステル、リン酸モノデシルエステル、リン酸ジデシルエステル、リン酸モノラウリルエステル、リン酸ジラウリルエステル、リン酸モノトリデシルエステル、リン酸ジトリデシルエステル、リン酸モノオレイルエステル、リン酸ジオレイルエステルなど、及びこれらの混合物が挙げられる。
また、吸着剤を用いて反応を停止することや、吸着剤と上記の反応停止剤とを組み合わせて停止することも好ましい方法である。吸着剤の例として、特に限定されないが、例えば、シリカゲル及び活性炭が挙げられる。吸着剤の添加量は、触媒に対して、好ましくは1.4倍以上3000倍以下の質量であり、より好ましくは7.0倍以上1500倍以下の質量であり、さらに好ましくは10.0倍以上700倍以下の質量である。吸着剤の添加量が触媒に対して1.4倍以上であれば、ポリイソシアネート組成物中に残存する触媒、熱失活した触媒、反応停止剤と触媒の反応物、未反応の反応停止剤などを吸着する能力が十分であり、吸着剤の添加量が触媒に対して3000倍以下であれば、吸着剤をポリイソシアネート組成物中から除去することが容易となる傾向にある。
反応終了後、得られるポリイソシアネート組成物からは、未反応のジイソシアネートや溶媒を分離してもよい。安全性を考えると、未反応のジイソシアネートは分離した方が好ましい。未反応のジイソシアネートや溶媒を分離する方法として、特に限定されないが、例えば、薄膜蒸留法や溶剤抽出法が挙げられる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物中のポリイソシアネートにおけるNCO基含有量は、溶剤やジイソシアネートを含んでいない状態で、5.0質量%以上25.0質量%以下であることが好ましい。NCO基含有量の下限値は、より好ましくは、7.0質量%、さらに好ましくは10.0質量%である。NCO基含有量の上限値は、好ましくは24.0質量%、さらに好ましくは23.0質量%である。NCO基含有量が5.0質量%以上25.0質量%以下であればポリイソシアネート組成物が低粘度で、各種添加剤への相溶性が良好で、かつ十分な耐熱性及び耐熱黄変性を有するポリイソシアネート樹脂を得ることができる傾向にある。NCO基含有量は、後述する実施例に記載の方法により測定される。本実施形態での、「溶剤やジイソシアネートを含んでいない状態」とは、溶剤及びジイソシアネートの含有量が1.0質量%未満の状態のことである。
本実施形態のポリイソシアネート組成物の25℃での粘度は、溶剤やジイソシアネートを含んでいない状態で、好ましくは100mPa.s以上20000mPa.s以下である。粘度の下限値は、より好ましくは150mPa.sである。粘度の上限値は、より好ましくは10000mPa.sである。粘度が100mPa.s以上であることにより、十分な架橋性を有するポリイソシアネート樹脂を得ることができる傾向にある。粘度が20000mPa.s以下であることにより、各種添加剤への相溶性が良好なポリイソシアネート樹脂を得ることが可能となる傾向にある。粘度は、後述する実施例に記載の方法により測定される。
本実施形態のポリイソシアネート組成物中のポリイソシアネートにおけるNCO基の数平均官能基数は、2.1以上が好ましく、2.2以上がより好ましく、2.4以上がさらに好ましい。NCO基の数平均官能基数が2.1以上であれば、ポリイソシアネート樹脂は、架橋密度が高くなり、より強靭になる傾向にある。NCO基の数平均官能基数の上限値は、特に限定されないが、例えば、8.0以下である。NCO基の平均官能基数(数平均イソシアネート官能基数)は、後述する実施例に記載の方法により測定される。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、イソシアヌレート化反応等の後に、有機溶剤と混合しても使用することができる。有機溶剤としては、特に限定されないが、例えば、芳香族炭化水素系溶剤、脂肪族系炭化水素系溶剤、脂環式系炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、及び低極性有機溶剤が挙げられ、これらを単独又は混合して用いることができる。なお、低極性有機溶剤とは、脂肪族、脂環式炭化水素系溶剤を主な成分として含有した有機溶剤であるが、芳香族炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤等を少量含有していてもよい。
本実施形態のポリイソシアネート樹脂を製造するために用いられるイソシアヌレート化触媒は、上述したウレタン化、イソシアヌレート化及びアロファネート化触媒を使用することができる。具体的なウレタン化、イソシアヌレート化及びアロファネート化触媒としては、特に限定されないが、例えば、一般に塩基性を有する触媒が好ましく、1)例えばテトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム等の4級有機アンモニウムのハイドロオキサイドや、例えば酢酸、カプリン酸等の有機弱酸塩、2)例えばトリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム等のヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや、例えば酢酸、カプリン酸等の有機弱酸塩、3)酢酸、カプロン酸、オクチル酸、ミリスチン酸等のアルキルカルボン酸の例えば錫、亜鉛、鉛、ナトリウム、カリウム等の金属塩、4)例えばナトリウム、カリウム等の金属アルコラート、5)例えばヘキサメチルジシラザン等のアミノシリル基含有化合物、6)マンニッヒ塩基類、7)第3級アミン類とエポキシ化合物との併用が挙げられる。好ましくは、上記1)、2)、3)である。アミノシリル基含有化合物はその使用条件により、ウレトジオン生成等の副反応が起きる。さらに好ましくは、1)の4級有機アンモニウム塩であり、よりさらに好ましくはテトラアルキルアンモニウムの酢酸、カプリン酸等の有機弱酸塩であり、さらにより好ましくはテトラメチルアンモニウムのカプリン酸塩である。
イソシアヌレート化触媒の添加量は、ポリイソシアネート組成物の固形分に対して、質量基準で100ppm以上10000ppm以下であるのが好ましい。イソシアヌレート化触媒の添加量が100ppm以上であれば、反応性が十分となる傾向にあり、イソシアヌレート化触媒の添加量が10000ppm以下であれば、ポリイソシアネート樹脂の物性に影響を与えない傾向にある。イソシアヌレート化触媒の添加量の下限値は、より好ましくは500ppm以上であり、さらに好ましくは1000ppm以上であり、よりさらに好ましくは1500ppm以上である。イソシアヌレート化触媒の添加量の上限値は、より好ましくは5000ppm以下であり、さらに好ましくは3000ppm以下である。
本実施形態のポリイソシアネート樹脂を製造する際の反応温度は、特に限定されないが、硬化性と色調との点から60℃以上300℃以下が好ましい。当該反応温度が60℃以上であればポリイソシアネート樹脂の硬化性が優れる傾向にあり、当該反応温度が300℃以下であれば、ポリイソシアネート樹脂の色調、特に黄色度が小さくなる傾向にある。当該反応温度は、より好ましくは80℃以上270℃以下であり、さらに好ましくは100〜250℃である。
イソシアヌレート化触媒は、必要に応じて希釈剤を使用できる。希釈剤は、ポリイソシアネート組成物中のポリイソシアネートにおけるNCO基と反応して系内に取り込まれる物が使用できる。希釈剤としては、特に限定されないが、例えば、活性水素基を持った化合物を希釈剤として使用でき、中でも、アルコール溶剤は、粘度が低くなり触媒の分散性が良くなる傾向にあり好ましい。なお、これらの希釈剤は単独又は2種以上を混合して用いることができる。
本実施形態のポリイソシアネート樹脂の製造方法において、上記イソシアヌレート化反応を行う工程は、実質的に溶媒を含有しない条件下で行われることが好ましい。実質的に溶媒を含有しない条件とは、ポリイソシアネート組成物の固形分に対して溶媒が5.0質量%以下である条件をいう。ポリイソシアネート組成物の固形分に対して溶媒が5.0質量%以下であれば、ポリイソシアネート樹脂の質量減少の影響を無視できる。より好ましくはポリイソシアネート組成物の固形分に対して溶媒が3.0質量%以下であり、さらに好ましくは1.0質量%以下である。
本実施形態のポリイソシアネート樹脂の製造方法は、上記イソシアヌレート化反応を行う工程において、ポリイソシアネート組成物におけるイソシアネート基の消失率が90%以上となるまでイソシアヌレート化反応を行うことが好ましい。ポリイソシアネート組成物におけるイソシアネート基の消失率が90%以上であれば、ポリイソシアネート樹脂の耐熱性等が十分となる傾向にある。消失率は、より好ましくは91%以上であり、さらに好ましくは92%以上である。
本実施形態のポリイソシアネート樹脂の製造方法には、酸化防止剤を原料としてさらに使用することができる。酸化防止剤は、ポリイソシアネート樹脂を製造する段階で添加してもよいし、予めポリイソシアネート組成物に添加しておいてもよい。また、酸化防止剤は二種類以上を組み合わせて使用してもよい。
酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、耐光安定剤及び熱安定剤が挙げられる。
耐光安定剤としては、特に限定されないが、例えば、ヒンダードアミン系耐光安定剤、ベンゾフェノン系耐光安定剤、ベンゾトリアゾール系耐光安定剤、トリアジン系耐光安定剤、及びシアノアクリレート系耐光安定剤が挙げられる。ヒンダードアミン系耐光安定剤としては、特に限定されないが、例えば、アデカスタブLA−52、アデカスタブLA−68、アデカスタブLA−77Y(商品名、株式会社アデカ製)、チヌビン622、チヌビン765、チヌビン770、及びチヌビン791(商品名、BASF社製)が挙げられる。ベンゾフェノン系耐光安定剤としては、特に限定されないが、例えば、Chimassorb81(商品名、BASF社製)が挙げられる。ベンゾトリアゾール系耐光安定剤としては、特に限定されないが、例えば、チヌビンP、及びチヌビン234(商品名、BASF社製)が挙げられる。トリアジン系耐光安定剤としては、特に限定されないが、例えば、チヌビン1577ED(商品名、BASF社製)が挙げられる。シアノアクリレート系耐光安定剤としては、特に限定されないが、例えば、Uvinul3035(商品名、BASF社製)が挙げられる。
耐熱安定剤としては、特に限定されないが、例えば、ヒンダードフェノール系耐熱安定剤、リン含有系耐熱安定剤、硫黄含有系耐熱安定剤、ビタミンE系耐熱安定剤、及びヒドロキシアミン系耐熱安定剤が挙げられる。ヒンダードフェノール系耐熱安定剤としては、特に限定されないが、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン(以下、「BHT」ともいう。)、イルガノックス1010、イルガノックス1135、イルガノックス1330、イルガノックス3114、イルガノックス565、イルガノックス5057、イルガノックス1520L(商品名、BASF社製)、アデカスタブAO−20、アデカスタブAO−30、アデカスタブAO−50、アデカスタブAO−60、及びアデカスタブAO−80(商品名、株式会社アデカ製)が挙げられる。リン含有系耐熱安定剤としては、特に限定されないが、例えば、イルガフォス168、イルガフォス38(商品名、BASF社製)、アデカスタブPEP−8、アデカスタブHP−10、アデカスタブ1178、アデカスタブC(商品名、株式会社アデカ製)、及びスミライザーGP(商品名、住友化学株式会社製)が挙げられる。硫黄含有系耐熱安定剤としては、特に限定されないが、例えば、イルガノックスPS800FL(商品名、BASF社製)が挙げられる。ビタミンE系耐熱安定剤としては、特に限定されないが、例えば、イルガノックスE201(商品名、BASF社製)が挙げられる。ヒドロキシアミン系耐熱安定剤としては、特に限定されないが、例えば、イルガスタブFS042(商品名、BASF社製)が挙げられる。
本実施形態のポリイソシアネート樹脂の製造方法において、好適な酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダートアミン系酸化防止剤、硫黄含有酸化防止剤、及びリン含有酸化防止剤からなる群より選択される一種又は二種以上である。より好ましい酸化防止剤は、チヌビン765、BHT、イルガノックス565、イルガノックス5057、アデカスタブC、及びスミライザーGPであり、中でもBHT、スミライザーGP、及びイルガノックス5057は少量添加で効果があるのでさらに好ましい。
本実施形態のポリイソシアネート樹脂の製造方法には、目的及び用途に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、助触媒としての硬化促進剤、付着性向上のためのシランカップリング剤、塗膜表面親水化剤、触媒、レベリング剤、可塑剤、界面活性剤、着色顔料、染料等の各種添加剤を混合して使用することもできる。なお、これらの添加剤は、ポリイソシアネート樹脂を製造する段階で添加してもよいし、予めポリイソシアネート組成物に添加しておいてもよい。また、これらの添加剤は、二種類以上を組み合わせて使用してもよい。
ポリイソシアネート樹脂の助触媒としての硬化促進剤の例としては、特に限定されないが、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート等のジアルキルスズジカルボキシレート;ジブチルスズオキサイド等のスズオキサイド化合物;2−エチルヘキサン酸スズ、2−エチルヘキサン酸亜鉛、コバルト塩等の金属カルボン酸塩;トリエチルアミン、ピリジン、メチルピリジン、ベンジルジメチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルピペリジン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N’−エンドエチレンピペラジン、及びN,N’−ジメチルピペラジンのような3級アミン類が挙げられる。
〔用途〕
本実施形態のプレコートメタルは、耐熱性を有し、更に腐食性ガスへの耐性が良好である。従って、本実施形態のプレコートメタルを備える、建築用部材、電材用部材、及び窯業用部材は、プレコートの用途として好ましい。
以下に、実施例に基づいて本実施形態を更に詳細に説明するが、本実施形態は、以下の実施例に限定されるものではない。まず、下記に各物性及び評価の測定方法及び評価基準について述べる。
(物性1)NCO基含有率
各合成例で得られたポリイソシアネート組成物を試料として、ポリイソシアネート組成物中のポリイソシアネートにおけるイソシアネート基(NCO基)含有率は、ポリイソシアネート組成物中のポリイソシアネートにおけるイソシアネート基を過剰の2Nアミン(ジ−n−ブチルアミンのトルエン溶液)と反応させた後、得られた反応液を1N塩酸で逆滴定することによって求めた。
(物性2)粘度
各合成例で得られたポリイソシアネート組成物を試料として、粘度は、E型粘度計(株式会社トキメック社)を用いて25℃で測定した。測定において、標準ローター(1°34’×R24)を用い、当該標準ローターの回転数は、以下の通りとした。
100r.p.m. (粘度が128mPa.s未満の場合)
50r.p.m. (粘度が128mPa.s以上256mPa.s未満の場合)
20r.p.m. (粘度が256mPa.s以上640mPa.s未満の場合)
10r.p.m. (粘度が640mPa.s以上1280mPa.s未満の場合)
5r.p.m. (粘度が1280mPa.s以上2560mPa.s未満の場合)
(物性3)数平均イソシアネート官能基数
各合成例で得られたポリイソシアネート組成物を試料として、ポリイソシアネート組成物中のポリイソシアネートにおけるイソシアネート基(NCO基)の数平均官能基数は、以下の式で求めた。
Figure 0006577335
(物性4)ポリイソシアネート組成物中のポリイソシアネートにおけるイソシアヌレート基/アロファネート基のモル比
各合成例で得られたポリイソシアネート組成物を試料として、ポリイソシアネート組成物中のポリイソシアネートにおけるイソシアヌレート基/アロファネート基のモル比は、以下のとおり求めた。まず、ポリイソシアネート組成物を重水素クロロホルムに10質量%の濃度で溶解し(ポリイソシアネート組成物に対して0.03質量%テトラメチルシランを添加)、得られた溶液について1H−NMR(ブルカー・バイオスピン株式会社製 BioSpin Avance500)の測定を行った。化学シフト基準は、テトラメチルシランの水素のシグナルを0ppmとした。1H−NMR測定で得られたスペクトルから、8.5ppm付近のアロファネート基の窒素に結合した水素原子(アロファネート基1molに対して、1molの水素原子)のシグナルと、3.85ppm付近のイソシアヌレート基に隣接したメチレン基の水素原子(イソシアヌレート基1モルに対して、6molの水素原子)のシグナルとの面積を測定した。
当該測定値に基づき、イソシアヌレート基/アロファネート基のモル比を、(3.85ppm付近のシグナル面積/6)/(8.5ppm付近のシグナル面積)で求めた。
(物性5)消失率
各実施例及び比較例において、FT−IR(日本分光株式会社製 FT/IR−4200)のATR法により、反応前のポリイソシアネート組成物及び反応後のポリイソシアネート樹脂のIRスペクトルを測定した。当該測定結果に基づき以下の式により、イソシアネート基(NCO基)の消失率を求めた。
Figure 0006577335
NCO基のピーク:2270cm−1付近、CH2基のピーク:2930cm−1付近
(物性6)樹脂におけるイソシアヌレート基/(ウレタン基+ウレア基)のモル比
各実施例及び比較例で得られた塗膜を試料として、FT−IR(日本分光株式会社製 FT/IR−4200)のATR法により、ポリイソシアネート樹脂又はポリウレタン樹脂のIRスペクトルを測定した。イソシアヌレート基のカルボニル基のピーク(1690cm-1付近)と、ウレタン、ウレア基のN−Hピーク(3400cm-1付近)から、イソシアヌレート基/(ウレタン基+ウレア基)のモル比を求めた。
(物性7)ポリイソシアネート樹脂におけるイソシアヌレート基/アロファネート基のモル比
各実施例で得られた塗膜を試料として、ポリイソシアネート樹脂におけるイソシアヌレート基/アロファネート基のモル比は、以下のとおり求めた。まず、ポリイソシアネート樹脂を凍結粉砕し、得られた粉砕物について13C−NMR DD/MAS(Dipolar Decoupling/Magic Angle Spinning)(ブルカー・バイオスピン株式会社製 BioSpin Avance500)の測定を行った。当該測定で得られたスペクトルから、イソシアヌレート基のカルボニル基シグナル面積(149ppm付近)とアロファネート基のカルボニル基シグナル面積(152〜160ppm領域)とを求めた。当該結果に基づき、イソシアヌレート基/アロファネート基のモル比を、(149ppm付近のシグナル面積/3)/(152〜160ppm領域のシグナル面積/2)で求めた。
(評価1)黄色度(YI)
各実施例及び比較例で得られた塗膜を試料として、黄色度(YI)の測定は以下の通りに行った。ポリイソシアネート樹脂又はポリウレタン樹脂の表面のYIを分光測色系(スガ試験機社製の商品名「SM−T45」)で測定した。
(評価2)熱重量分析
各実施例及び比較例で得られた塗膜を試料として、熱重量分析は、TG−DTA(セイコーインスツル株式会社製の商品名「TG/DTA6200」)を用いて、窒素流量100mL/min、昇温速度10℃/minの条件で行った。表1及び表2中のTd1及びTd5は、それぞれ順に測定サンプルの1%質量減少温度及び5%質量減少温度を示す。
(評価3)耐衝撃性
各実施例及び比較例で得られた塗膜を試料として、衝撃性試験は、デュポン式耐衝撃性試験機を用いて次の通り行った。厚さ1mmのポリイソシアネート樹脂又はポリウレタン樹脂が塗布された軟鋼版の塗膜サンプルを作製し、1/4インチの撃芯をセットし、1000gの重りを所定の高さから落下させ、塗膜の割れの有無を目視で確認した。塗膜の割れが認められない最大高さ(cm)を耐衝撃性の指標として示した。
(評価4)水蒸気透過性
各実施例及び比較例で得られた塗膜を試料として、水蒸気透過性試験は次の通りに行った。アルミ版上に塗布した厚さ0.2mmのポリイソシアネート樹脂又はポリウレタン樹脂を剥がしたサンプルを用い、JIS Z0208(防湿包装材料の透湿度試験方法)に基づいて、条件B(温度40度、湿度90RH%)で測定した。
(評価5)腐食性ガス透過性
各実施例及び比較例で得られた塗膜を試料として、腐食性ガス透過性試験は次の通りに行った。アルミ板上に0.2mmの厚さになるように塗布する事でサンプルを作製した。得られたサンプルを、硫黄粉末を入れた瓶の中に密閉し、50度で24時間放置した。放置後のアルミ板の状態を観察した。変色が無ければ○、変色があれば×と評価した。
[合成例1]
撹拌器、温度計及び冷却管を取り付けた四ツ口フラスコ(反応器)の内部を窒素置換し、該反応器に、HDI600gとイソブタノール10gとを仕込み、90℃で1時間ウレタン化反応を行った。その後、イソシアヌレート化触媒としてテトラメチルアンモニウムカプリエートを0.01g加え、アロファネート化及びイソシアヌレート化反応を行い、反応液の屈折率の変化が0.010になった時点でリン酸85%水溶液を0.03g加え、反応を停止した。反応液を100℃で1時間保持して触媒を完全に失活させた。失活させた反応液を濾過後、流下式薄膜蒸留装置を用いて、未反応のHDIを除去して、ポリイソシアネート組成物を得た。
得られたポリイソシアネート組成物は透明の液体であり、収量180g、粘度700mPa.s、NCO基含有率21.2質量%、数平均イソシアネート官能基数2.8であった。得られたポリイソシアネート組成物について、NMRを測定したところ、イソシアヌレート基とアロファネート基とのモル比(イソシアヌレート基/アロファネート基)は70/30であった。得られたポリイソシアネート組成物をC−1とする。
[合成例2]
合成例1と同様の反応器に、HDI600gと2−エチル−1−ヘキサノール70gとを仕込み、撹拌下反応器内温度を80℃で10分間保持した。その後、反応器に、テトラメチルアンモニウムカプリエートを0.01g加えて、ウレタン化、アロファネート化及びイソシアヌレート化反応を行い、反応液の屈折率の変化が0.014になった時点でリン酸85%水溶液を0.02g加え、反応を停止した。反応液を80℃で1時間保持して触媒を完全に失活させた。失活させた反応液を濾過後、流下式薄膜蒸留装置を用いて、濾液から未反応のHDIを除去して、ポリイソシアネート組成物を得た。
得られたポリイソシアネート組成物は透明の液体であり、収量330g、粘度350mPa.s、NCO基含有率17.5質量%、数平均イソシアネート官能基数2.3であった。収率は50%であった。得られたポリイソシアネート組成物について、NMRを測定したところ、イソシアヌレート基/アロファネート基のモル比は30/70であった。得られたポリイソシアネート組成物をC−2とする。
[合成例3]
合成例1と同様の反応器に、HDI500gと2−エチル−1−ヘキサノール2gとを仕込んだ。撹拌下反応器内温度を昇温させ、70℃に到達したら、反応器に、イソシアヌレート化触媒としてテトラメチルアンモニウムカプリエートを0.05g加え、ウレタン化、アロファネート化及びイソシアヌレート化反応を行い、反応液の屈折率の変化が0.02になった時点でリン酸85%水溶液を0.08g加え、反応を停止した。その後、反応液を90℃で1時間保持して触媒を完全に失活させた。失活させた反応液を濾過後、流下式薄膜蒸留装置を用いて、濾液から未反応のHDIを除去して、ポリイソシアネート組成物を得た。
得られたポリイソシアネート組成物は透明の液体であり、収量200g、粘度3000mPa.s、NCO基含有率21.5質量%、数平均イソシアネート官能基数3.4であった。収率は40%であった。得られたポリイソシアネート組成物について、NMRを測定したところ、イソシアヌレート基とアロファネート基とのモル比(イソシアヌレート基/アロファネート基)は95/5であった。得られたポリイソシアネート組成物をC−3とする。
[合成例4]
合成例1と同様の反応器に、HDI500gとイソプロパノール25gとを仕込み、撹拌下反応器内温度を80℃で10分間保持した。その後、反応器に、テトラブチルアンモニウムカプリエートを0.01g加えて、ウレタン化、アロファネート化及びイソシアヌレート化反応を行い、反応液の屈折率の変化が0.015になった時点でリン酸85%水溶液を0.02g加え、反応を停止した。反応液を80℃で1時間保持して触媒を完全に失活させた。失活させた反応液を濾過後、流下式薄膜蒸留装置を用いて、未反応のHDIを除去して、ポリイソシアネート組成物を得た。
得られたポリイソシアネート組成物は透明の液体であり、収量260g、粘度450mPa.s、NCO含有率19.0質量%、数平均イソシアネート官能基数2.4であった。収率は50%であった。得られたポリイソシアネート組成物について、NMRを測定したところ、イソシアヌレート基/アロファネート基のモル比は40/60であった。得られたポリイソシアネート組成物をC−4とする。
[合成例5]
合成例1と同様の反応器に、HDI500gとトリデカノール70gを仕込み、撹拌下反応器内温度を80℃で10分間保持した。その後、反応器に、N,N,N−トリメチル−N−ベンジルアンモニウムヒドロキシドを0.01g加えて、ウレタン化、アロファネート化及びイソシアヌレート化反応を行い、反応液の屈折率の変化が0.016になった時点でリン酸85%水溶液を0.02g加え、反応を停止した。反応液を80℃で1時間保持して触媒を完全に失活させた。失活させた反応液を濾過後、流下式薄膜蒸留装置を用いて、濾液から未反応のHDIを除去して、ポリイソシアネート組成物を得た。
得られたポリイソシアネート組成物は透明の液体であり、収量310g、粘度600mPa.s、NCO基含有率17.0質量%、数平均イソシアネート官能基数2.5であった。収率は55%であった。得られたポリイソシアネート組成物について、NMRを測定したところ、イソシアヌレート基/アロファネート基のモル比は50/50であった。得られたポリイソシアネート組成物をC−5とする。
[合成例6]
C−3を90質量部、IPDIを10質量部混合してポリイソシアネート組成物を得た。得られたポリイソシアネート組成物は透明の液体であり、粘度1400mPa.s、NCO基含有率26.4質量%、数平均イソシアネート官能基数3.2であった。得られたポリイソシアネート組成物について、NMRを測定したところ、イソシアヌレート基/アロファネート基のモル比は95/5であった。得られたポリイソシアネート組成物をC−6とする。
[合成例7]
C−3を90質量部、VESTANAT T1890(商品名 エボニック社製 IPDIのイソシアヌレート体)を10質量部混合してポリイソシアネート組成物を得た。得られたポリイソシアネート組成物は透明の液体であり、粘度5000mPa.s、NCO基含有率21.2質量%、数平均イソシアネート官能基数3.3であった。得られたポリイソシアネート組成物について、NMRを測定したところ、イソシアヌレート基/アロファネート基のモル比は96/4であった。得られたポリイソシアネート組成物をC−7とする。
[合成例8]
合成例1と同様の反応器に、HDI 600gと1,4−ブタンジオール 20gとを仕込み、撹拌下反応器内温度を160℃で1時間保持した。反応液を、流下式薄膜蒸留装置を用いて、濾液から未反応のHDIを除去して、ポリイソシアネート組成物を得た。
得られたポリイソシアネート組成物は透明の液体であり、収量110g、粘度500mPa.s、NCO基含有率19.4質量%、数平均イソシアネート官能基数2.1であった。得られたポリイソシアネート組成物について、得られたポリイソシアネート組成物をC−8とする。
[合成例9]
C−3を95質量部、C−8を5質量部混合してポリイソシアネート組成物を得た。得られたポリイソシアネート組成物は透明の液体であり、粘度2400mPa.s、NCO基含有率20.3質量%、数平均イソシアネート官能基数3.2であった。得られたポリイソシアネート組成物について、NMRを測定したところ、イソシアヌレート基/アロファネート基のモル比(イソシアヌレート基/アロファネート基)は97/3であった。得られたポリイソシアネート組成物をC−9とする。
[合成例10]
C−1を20質量部、C−7を80質量部混合してポリイソシアネート組成物を得た。得られたポリイソシアネート組成物は透明の液体であり、粘度200mPa.s、NCO基含有率21.0質量%、数平均イソシアネート官能基数3.0であった。得られたポリイソシアネート組成物について、NMRを測定したところ、イソシアヌレート基/アロファネート基のモル比(イソシアヌレート基/アロファネート基)は20/80であった。得られたポリイソシアネート組成物をC−10とする。
[合成例11]
合成例1と同様の反応器に、HDI1000gとヘキサノール80gとを仕込み、撹拌下反応器内温度を90℃で1時間保持した。その後、反応器内温度を130℃に昇温し、反応器に、2−エチルヘキサン酸ジルコニウムを0.1g加えて、ウレタン化、アロファネート化及びイソシアヌレート化反応を行い、反応液の屈折率の変化が0.005になった時点でピロリン酸10%2−エチル−1−ヘキサノール溶液を4.6g加え、反応を停止した。反応液を130℃で1時間保持して触媒を完全に失活させた。失活させた反応液を濾過後、流下式薄膜蒸留装置を用いて、濾液から未反応のHDIを除去して、ポリイソシアネート組成物を得た。
得られたポリイソシアネート組成物は透明の液体であり、収量270g、粘度120mPa.s、NCO基含有率18.0質量%、数平均イソシアネート官能基数2.0であった。収率は25%であった。得られたポリイソシアネート組成物について、NMRを測定したところ、イソシアヌレート基/アロファネート基のモル比は3/97であった。得られたポリイソシアネート組成物をC−11とする。
[合成例12]
合成例1と同様の反応器に、HDI500gを仕込み、イソシアヌレート化触媒としてテトラメチルアンモニウムカプリエートを0.02g加え、アロファネート化及びイソシアヌレート化反応を行い、反応液の屈折率の変化が0.011になった時点でリン酸85%水溶液を0.06g加え、反応を停止した。反応液を100℃で1時間保持して触媒を完全に失活させた。失活させた反応液を濾過後、流下式薄膜蒸留装置を用いて、濾液から未反応のHDIを除去して、ポリイソシアネート組成物を得た。
得られたポリイソシアネート組成物は透明の液体であり、収量130g、粘度1600mPa.s、NCO基含有率23.4質量%、数平均イソシアネート官能基数3.4であった。得られたポリイソシアネート組成物について、NMRを測定したところ、イソシアヌレート基とアロファネート基とのモル比(イソシアヌレート基/アロファネート基)は100/0であった。得られたポリイソシアネート組成物をC−12とする。
[実施例1]
ポリイソシアネート組成物としてC−1を20g、イソシアヌレート化触媒としてN,N,N−トリメチル−N−ベンジルアンモニウムヒドロキシド(表1中、「触媒A」と表す。)をポリイソシアネート組成物の固形分に対して3000ppm配合し、真空攪拌及び脱泡ミキサー(株式会社EME製 V−mini300)を用いて5分間真空状態で放置し、その後真空を保ったまま1500rpmで5分間攪拌を行うことで反応液を得た。得られた反応液をシャーレに流し込み、240℃で1分置くことで、所定の厚さのポリイソシアネート樹脂である塗膜K−1を得た。
得られた塗膜K−1は、イソシアヌレート/アロファネート基のモル比が80/20であり、黄色度(YI)は8であり、耐光性試験の黄色度(YI)は12であり、耐光性試験前後の変化値は4であった。熱重量分析の測定値(Td1)は290℃、同測定値(Td5)は355℃であった。その他の物性及び評価の結果を表1に示す。
[実施例2〜18]
原料及び反応条件を表1に示すとおりとした以外は実施例1と同様の方法で塗膜K−2〜K−18を得た。得られた各塗膜K−2〜K−18の各種物性及び評価の結果を表1に示す。また、実施例16及び17において示す溶剤(キシレン又はDMI)は、各触媒と同時に各ポリイソシアネート組成物に対して配合した。表中において、触媒の種類である「触媒B」はテトラブチルアンモニウムカプリエート、「触媒C」はテトラメチルアンモニウムカプリエート、「触媒D」はp−トルエンスルフィン酸ナトリウムを表し、酸化防止剤の種類である「防止剤A」はBHT(ヒンダードフェノール系)、「防止剤C」はアデカスタブC(株式会社ADEKA社製の商品名、リン含有)、「防止剤D」はTinuvin765(BASFジャパン株式会社製の商品名、ヒンダードアミン系)、「防止剤E」はイルガノックス565(BASFジャパン株式会社製の商品名、硫黄含有)、「防止剤F」はイルガノックス5057(BASFジャパン株式会社製の商品名)、「DMI」は1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを表す。
Figure 0006577335
[比較例1]ポリウレタン樹脂L−1
主剤ポリオール組成物としてアクリルポリオール(nuplex社の商品名「SETALUX1767」、樹脂分濃度65質量%、水酸基価150mg/樹脂g)と、硬化剤としてポリイソシアネート組成物C−3とを用い、イソシアネート基/水酸基のモル比が1/1となるように調整した。溶剤として、ウレタンシンナー(トルエン(和光純薬工業株式会社製):酢酸ブチル(和光純薬工業株式会社製):酢酸エチル(和光純薬工業株式会社製):キシレン(和光純薬工業株式会社製):プロピレングリコールメチルエーテルAC(ゴードー溶剤株式会社製)=30:30:20:15:5の質量比で混合)を用いて、固形分が50質量%になるように調整した。各種基板上に塗布し、23℃で7日乾燥させ、完全硬化させた。その後、80度で24時間真空乾燥することで、溶剤を完全に除去して、ポリウレタン樹脂である塗膜L−1を得た。得られた塗膜L−1の各種物性及び評価の結果を表2に記す。
[比較例2]ポリウレタン樹脂L−2
主剤ポリオール組成物としてポリエステルポリオール(DIC株式会社の商品名「バーノックD−21―80」、樹脂分濃度80質量%、水酸基価100mg/樹脂g)と、硬化剤としてポリイソシアネート組成物C−3とを用い、イソシアネート基/水酸基のモル比が1/1となるように調整した。溶剤として、ウレタンシンナー(トルエン(和光純薬工業株式会社製):酢酸ブチル(和光純薬工業株式会社製):酢酸エチル(和光純薬工業株式会社製):キシレン(和光純薬工業株式会社製):プロピレングリコールメチルエーテルAC(ゴードー溶剤株式会社製)=30:30:20:15:5の質量比で混合)を用いて、固形分が50質量%になるように調整し、各種基板上に塗布し、23℃で7日乾燥させ、完全硬化させた。その後、80度で24時間真空乾燥することで、溶剤を完全に除去して、ポリウレタン樹脂である塗膜L−2を得た。得られた塗膜L−2の各種物性及び評価の結果を表2に記す。
Figure 0006577335
本発明に係るプレコートメタルは、非常に優れた耐熱性を有し、更に腐食性ガスへの耐性を併せ持つという特徴を有するので、建築、電材、窯業用部材等に幅広く使用することができる。

Claims (5)

  1. 金属と、該金属上に形成された塗膜と、を備え、
    前記塗膜は、脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートから選ばれる一種又は二種以上のジイソシアネートから得られ、かつイソシアヌレート構造を単位構造として有するポリイソシアネート樹脂を含み、
    前記ポリイソシアネート樹脂において、ウレタン基及びウレア基の合計に対するイソシアヌレート基のモル比が、95/5以上100/0以下である、プレコートメタル。
  2. 前記ポリイソシアネート樹脂において、アロファネート基に対するイソシアヌレート基のモル比が、50/50以上99/1以下である、請求項1に記載のプレコートメタル。
  3. 請求項1又は2に記載のプレコートメタルを備える、建築用部材。
  4. 請求項1又は2に記載のプレコートメタルを備える、電材用部材。
  5. 請求項1又は2に記載のプレコートメタルを備える、窯業用部材。

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