JP6575298B2 - 光変調器 - Google Patents

光変調器 Download PDF

Info

Publication number
JP6575298B2
JP6575298B2 JP2015210631A JP2015210631A JP6575298B2 JP 6575298 B2 JP6575298 B2 JP 6575298B2 JP 2015210631 A JP2015210631 A JP 2015210631A JP 2015210631 A JP2015210631 A JP 2015210631A JP 6575298 B2 JP6575298 B2 JP 6575298B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
modulation
waveguide
electrode
light
optical
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015210631A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017083607A (ja
Inventor
洋一 細川
洋一 細川
市川 潤一郎
潤一郎 市川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Osaka Cement Co Ltd filed Critical Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Priority to JP2015210631A priority Critical patent/JP6575298B2/ja
Publication of JP2017083607A publication Critical patent/JP2017083607A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6575298B2 publication Critical patent/JP6575298B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)

Description

本発明は、電気光学効果を有する基板と、該基板に形成された光導波路と、該光導波路を伝播する光を変調するための変調電極とを備えた光変調器に関する。
近年、光通信や光計測の分野において、ニオブ酸リチウム(LN)などの電気光学効果を有する基板上に光導波路を形成すると共に、光導波路内を伝播する光波を変調するための変調電極を形成した光変調器が多用されている。
また、光スペクトルの利用効率を向上させるため、PAM(Pulse Amplitude Modulation)、QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)等の多値変調やアナログ変調の検討も行われている。
多値光信号を得る方法の1つとして、駆動電圧を逆相で印加するプッシュプル駆動型のマッハツェンダー変調器(MZM)を多値電気信号で駆動する方法がある。
図1には、従来の対称形のMZMの構成例を示してある。入力光信号は、方向性結合器、多モード光干渉素子(MMI)、Y字型の1×2カプラ等の対称分波器B1により、2の光導波路に分岐される。これら光導波路には、その間に配置した信号電極(Signal Electrode)とこれら光導波路を挟み込むように配置した2つの接地電極(Ground Electrode)によって、+θ及び−θの位相変化が与えられる。ここで、2θ=(π/Vπ)・Vであり、Vは駆動電圧、Vπは光導波路中を伝播する光信号の位相を半波長分変化させる印加電圧である。なお、光導波路において、信号電極と接地電極とが形成する電界により光導波路を伝播する光波の位相が変調を受ける部分を、変調導波路部(PM1,PM2)とする。
各光導波路で変調を受けた光信号は、バイアス電極(Bias Electrode)によって−π/2及び+π/2の位相調整がされた後に、方向性結合器、MMI、Y字型の1×2カプラ等の対称合成器M1により合成されて、出力光信号として出力される。このとき、出力される光信号の電界Eは、図2に示すようなsin(θ)であり、光強度出力は駆動電圧Vに対してサイン二乗の曲線となる。なお、光導波路において、バイアス電極で所定の位相調整が行われる部分をバイアス調整部(Bias1〜2)という。
図2には、図1のMZMにおける駆動電圧に対する出力光信号の応答曲線を示してある。同図に示すように、駆動電圧に対する応答曲線がサイン関数の非線形性を有するため、多値電気信号による駆動時に、応答曲線が線形の三角波の場合に得られる理想的な等間隔の出力光信号に対してズレが生じてしまう。
特許文献1においては、駆動電圧に対する応答曲線を三角波に近付けるため、各変調導波路部の変調度を異なるように調整するため、複数の変調信号を用いたり、各変調導波路部に対応する変調電極(特に、信号電極)の長さを、変調導波路部毎に異なるように設定することが開示されている。
しかしながら、複数の変調信号を用いる場合には、光変調器を駆動する外部回路が複雑化する上、装置全体のコストが増加する。また、変調電極の長さを異なるように設定することは、製品毎の特性にバラツキが生じ易く、製造コストの増加の原因となる。しかも、変調電極は、高周波変調に対応するため、数十μmの高さで形成されているため、基板と変調電極との間に熱膨張差に起因する内部応力が発生し易い。このため、各変調導波路部に対応して変調電極の長さが異なると、基板に加わる内部応力にムラが生じ易く、温度ドリフトや変調特性の劣化が生じる。
特開2012−252260号公報
Y. Yamaguchi, S. Nakajima, A. Kanno, T. Kawanishi, M. Izutsu, and H. Nakajima, "Single Mach-Zehnder Modulator with Active Y-branch for Higher than 60 dB Extinction-Ratio Operation," Proc. ECOC2013, London, U.K., paper P.2.15, 2013.
本発明が解決しようとする課題は、上記のような問題を解決し、製造コストや装置全体のコストの増加、及び変調特性の劣化を抑制すると共に、非線形性が抑制された光出力信号を得ることが可能な光変調器を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明の光変調器は以下のような技術的特徴を有する。
(1) 電気光学効果を有する基板と、該基板に形成された光導波路と、該光導波路を伝播する光を変調するための変調電極とを備えた光変調器において、
該光導波路は、2つの分岐導波路部を有するマッハツェンダー型導波路であり、
各々の分岐導波路部には、該分岐導波路部に入力された光を分岐する分岐部と、該分岐部で分岐された各光の変調が行われる2つの変調導波路部と、前記2つの変調導波路部で変調された各光を合成する合成部とが設けられ、
該変調電極は、前記2つの分岐導波路部の間に配置された信号電極と、前記2つの分岐導波路部を挟み込むように配置された2つの接地電極から構成され、
各分岐導波路部における前記2つの変調導波路部で変調された各光を合成する際の光強度が、互いに異なると共に所定の強度比を有し、
各分岐導波路部における前記2つの変調導波路部では、該変調電極による変調度が所定の比率で大きさが互いに異なるように、該接地電極の一部に、該接地電極に近接して配置された該変調導波路部の上側に部分的に重なるように張り出した張出部を設け
該張出部は、該接地電極の他の部位よりも電極の厚さが薄いことを特徴とする。
) 上記()に記載の光変調器において、該変調導波路部の上側にバッファ層を介さずに該張出部が設けられると共に、該張出部の一部に該変調導波路部に沿って貫通孔が形成されていることを特徴とする。
) 上記(1)又は(2)に記載の光変調器において、
前記合成する際の光の強度比は1:α(但し、αは1より大きい数値)であり、
前記変調度の比率は、光強度の大きい光を伝播する変調導波路部を基準に1:β(但し、βは1より大きい数値)であり、
該数値αが概ね5である場合には該数値βは概ね2であり、該数値αが概ね9である場合には該数値βが概ね3であることを特徴とする。
なお、本発明における「概ね」の表現が意味することは、実際の数値αや数値βが理想の値(例えば、α=5,β=2)から若干ずれた場合であっても、光変調器として使用する際に、実用上問題が無い範囲まで許容できるという意味である。また、仮に数値βが理想の値からずれた場合でもあって、数値αを理想の値から若干ずらすことで、より直線性の向上した変調特性が得られる場合もあり、このような状況を踏まえて数値を「概ね」と表現している。
本発明の光変調器では、電気光学効果を有する基板と、該基板に形成された光導波路と、該光導波路を伝播する光を変調するための変調電極とを備えた光変調器において、該光導波路は、2つの分岐導波路部を有するマッハツェンダー型導波路であり、各々の分岐導波路部には、該分岐導波路部に入力された光を分岐する分岐部と、該分岐部で分岐された各光の変調が行われる2つの変調導波路部と、前記2つの変調導波路部で変調された各光を合成する合成部とが設けられ、該変調電極は、前記2つの分岐導波路部の間に配置された信号電極と、前記2つの分岐導波路部を挟み込むように配置された2つの接地電極から構成され、各分岐導波路部における前記2つの変調導波路部で変調された各光を合成する際の光強度が、互いに異なると共に所定の強度比を有し、各分岐導波路部における前記2つの変調導波路部では、該変調電極による変調度が所定の比率で大きさが互いに異なるように、該接地電極の一部に、該接地電極に近接して配置された該変調導波路部の上側に部分的に重なるように張り出した張出部を設けたため、変調電極に印加する変調信号の数を抑制できると共に、変調電極の長さも同じ長さに設定できる。これにより、光変調器の製造コストや装置全体のコストの増加が抑制できる。しかも、温度ドリフトの発生や変調特性の劣化も抑制でき、かつ、非線形性が抑制された光出力信号を得ることが可能な光変調器を提供することができる。
なお、本発明では、駆動電圧のレベルに対応した光変調器からの出力光の振幅、あるいは光強度の比例関係からの乖離している状態を「非線形である」と表現している。直線的な周期関数である三角波に近い形状の応答曲線を「直線性」が高い、形状が異なる応答曲線を「非線形」であると呼ぶ。
従来のマッハツェンダー変調器の構成例を示す図である。 図1のマッハツェンダー変調器における駆動電圧に対する出力光信号の応答曲線を示す図である。 本発明を実現する光変調器の基本構成を説明する図である。 図3の光変調器において、強度比1:5及び変調度比1:2に設定した場合の変調状態を説明する図である。 図4の光変調器による駆動電圧に対する応答曲線を示す図である。 図3の光変調器において、強度比1:9及び変調度比1:3に設定した場合の変調状態を説明する図である。 図6の光変調器による駆動電圧に対する応答曲線を示す図である。 本発明に係る光変調器に関し、変調電極を一つの信号電極で構成した例を説明する概念図である。 図8の光変調器に使用される変調電極と光導波路との位置関係を説明する平面図である。 図9の一点鎖線A−A’における断面図である。 図8の光変調器に使用される変調電極の具体的特徴を説明する平面図である。 図11の一点鎖線A−A’における断面図である。 図8の接地電極の張出部に関する応用例を説明する図である。 本発明の光変調器に係る平面図である。 図14の一点鎖線A−A’における断面図である。 本発明の光変調器に係る応用例を説明する平面図である。
以下、本発明の光変調器について詳細に説明する。
図3は、本発明の光変調器を実現するための光変調器の基本構成を説明する図である。光変調器は、電気光学効果を有する基板1と、該基板に形成された光導波路(O10〜O15)と、該光導波路を伝播する光を変調するための変調電極とを備えている。光導波路は、2つの分岐導波路部を有するマッハツェンダー型導波路であり、各々の分岐導波路部には、該分岐導波路部に入力された光を分岐する分岐部(B22,B23)と、該分岐部で分岐された各光の変調が行われる2つの変調導波路部(PM11とPM12,PM13とPM14)と、前記2つの変調導波路部で変調された各光を合成する合成部(M22,M23)とが設けられている。
複数のフーリエ級数成分からなる応答曲線を有する光変調器は、マッハツェンダー変調器を並列集積することで実現される。フーリエ級数の係数は光の強度の比率α、係数の符号はマッハツェンダー干渉計のバイアスの状態、各次数の成分は光の変調度の比率βで調整可能する。つまり、応答曲線のフーリエ級数項の数が2つであれば二並列、三つであれば三並列のマッハツェンダー変調器を、所定の光の強度比率、光の変調度比率をなる構造にすれば良い。三角波の場合、数学的なフーリエ級数展開式は正弦波の奇数次項成分からなり、フーリエ級数項の数が2つによる近似であっても非線形性が大きく改善される。少ない級数項数で応答曲線の直線性を効率的に高めるには、数学的なフーリエ級数展開にかかわらず、偶数次の級数項を用いてもよい。奇数次の項からなる場合と比べて、光損失の増加が本質的に発生し、頂点(折り返し点)付近の近似が悪化するものの、リップル(行き過ぎ量、不足量)を小さくすることができ、直線性は大きく改善することができる。特に二次の成分を用いることが、少ない級数項数で直線性を改善する上で有効である。
図3の光変調器では、入射光Linを2つの分岐導波路部に分けるため分岐部B21が設けられる。分岐部B21では、光の強度比を1:1に均等に分岐する対称分波器である。各変調導波路部には、マッハツェンダー型光導波路が設けられ、各々が、分岐部(B22,B23)や合成部(M22,M23)を備える。分岐部(B22,B23)で分岐され、その後、各変調導波路部で変調された光は、光の強度比が1:α(但し、αは1より大きい数値)となるように合成部で合成される。
分岐された光は、各変調導波路部(PM11〜PM14)による光の変調を受ける。各変調導波路部における変調度の比率は、合成時の光強度の大きい光(強度αの光)を伝播する変調導波路部(PM11又はPM14)の変調度を基準に、1:β(但し、βは1より大きい数値)に設定される。具体的には、変調導波路部PM11と変調導波路部PM12とでは、変調度の比は、1:βである。なお、変調導波路部の近傍には、図示していない変調電極が配置されている。具体的には、図1のように、信号電極と接地電極から構成される変調電極が配置される。ただし、各変調導波路部に対応して、個別の信号電極と独立した変調信号源を用意することは、光変調器全体の製品コストの増加を招くため、好ましくない。変調電極の構成については、後に詳細に説明する。また、合成部(M22,M23)において合波される光の強度比の要件が1:αであるが、ここでは、説明や図中の式等を簡単にするために、分岐部(B22,B23)で分岐される光の強度比を1:αとして説明する。図4以降も同様である。
また、各々の分岐導波路部では、同じ変調度(1又はβ)の変調導波路部(PM11とPM14,PM12とPM13)とが存在するが、これらは、互いに逆相の変調が行われる。各変調導波路部で変調された光は、不図示のバイアス電極によって形成されるバイアス調整部(Bias11〜23)によって所定の位相に調整される。さらに、合波部(M22,M23及びM21)によって、所定強度比で合波され、出力光Loutが形成される。
図4は、各分岐導波路部における2つの変調導波路部に入力される光の強度比(1:α)を1:5に設定し、変調導波路部による変調度の比率(1:β)を1:2に設定した場合について、光変調器の変調状態を説明する図である。各分岐部(B21〜B23)、変調導波路部(PM11〜PM14)、バイアス調整部(Bias11〜23)、及び合波部(M22〜23,M21)を光波が通過するに従い、図4に示す数式の変調状態となる。図4の各数式を見ると、変調導波路部(PM11,PM14)では、三角波信号に対応する一次のフーリエ級数成分が形成されている。また、変調導波路部(PM12,PM13)では、同様に三角波信号に対応する二次のフーリエ級数成分が形成されている。これらを所定の位相調整を施して合波することで、非線形性が抑制された光出力信号を得ることができる。その結果を図5に示す。
図6は、各分岐導波路部における2つの変調導波路部に入力される光の強度比(1:α)を1:9に設定し、変調導波路部による変調度の比率(1:β)を1:3に設定した場合について、光変調器の変調状態を説明する図である。各分岐部(B21〜B23)、変調導波路部(PM11〜PM14)、バイアス調整部(Bias11〜23)、及び合波部(M22〜23,M21)を光波が通過するに従い、図6に示す数式の変調状態となる。図6の各数式を見ると、変調導波路部(PM11,PM14)では、三角波信号に対応する一次のフーリエ級数成分が形成されている。また、変調導波路部(PM12,PM13)では、同様に三角波信号に対応する三次のフーリエ級数成分が形成されている。これらを所定の位相調整を施して合波することで、非線形性が抑制された光出力信号を得ることができる。その結果を図7に示す。
図4や図6では、一次のフーリエ級数成分に二次や三次のフーリエ級数成分を加算する方法を例示したが、本発明に係る光変調器では、光強度比や変調度の比率を調整し、更に高次のフーリエ級数成分を追加で加算することも可能である。さらに、図4や図6では、4つの変調導波路部を並列に配置して、2つのフーリエ級数成分を加算する方法を示したがで、更に多くの変調導波路部を並列に配置し、3つ以上のフーリエ級数成分を加算するよう構成することも可能である。また、得られる信号波形としては三角波信号だけでなく、鋸波形やデジタル応答に適した矩形信号や多段ステップ関数(Multi Step Function)に近づけることも可能である。
次に、光導波路の変調導波路部に電界を印加する変調電極の構成について説明する。
まず、光変調器に使用する基板1としては、ポッケルス効果、カー効果などの電気光学効果を有する材料、及びこれらの材料を組み合わせた基板を用いることができる。特に、ポッケルス効果の高い材料であることが好ましい。具体的には、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、電気光学ポリマーなどの材料が挙げられる。
また、光導波路は、Tiなどの高屈折率物質を熱拡散法やプロトン交換法などで基板1の表面に熱拡散させることにより形成することができる。
基板1には、変調導波路部を伝播する光波を変調するための信号電極及び接地電極、変調前後の光波の位相を調整するためのバイアス電極が形成されている。これらの電極は、基板1の表面に、Ti・Auの電極パターンを形成し、金メッキ方法などにより形成することが可能である。更に、必要に応じて光導波路形成後の基板1の表面に誘電体SiO2等のバッファ層を設け、バッファ層の上に電極を形成することも可能である。
本発明の光変調器では、変調導波路部に電界を印加する変調電極は、図8に示すように、一つの信号電極S1で構成されている。具体的には、信号電極S1と接地電極G1とにより、2つの変調導波路部(PM11,PM12)に電界を印加する。また、信号電極S1と接地電極G2とにより、他の2つの変調導波路部(PM13,PM14)に電界を印加する。
隣接する2つの変調導波路部(PM11とPM12,PM13とPM14)には、互いに異なる変調度(変調度比率1:β)で変調を施すことが必要である。図9では、変調電極(信号電極S1と接地電極(G1,G2))と光導波路(O11〜O14)との位置関係を調整して、この変調度の調整を実現している。
図9は変調電極の配置を示す平面図であるが、図10は、図9の一点鎖線A−A’における断面図を示している。一般的に、信号電極S1と接地電極(G1又はG2)との間の電界の強度分布は、信号電極S1に近づくほど強くなる。このため、変調度の高い変調導波路部を信号電極の近傍に配置するよう構成することが好ましい。なお、接地電極(G1又はG2)の近傍でも、接地電極の端部に電界の一部が局所的に集中する部分も存在し、そのため、電界強度が周辺より若干高くなる部分もある。図9のΔφは、変調導波路部O12とO13における変調度を示しており、sは変調導波路O12又はO13の変調度を基準とした場合の変調度の比率(s=1/β)を示している。
図10に示すように、変調導波路部と信号電極S1からの距離を、光導波路O12は距離g1に設定し、光導波路O11は距離g2に設定している。これにより、光導波路O11とO12の変調導波路部における変調度を異なる値に設定することが可能となる。ただし、変調の位相方向は同相状態となる。このように信号電極からの距離で変調度を変化させるには、基板1の厚みを、50μm以上、好ましくは100μm以上に設定する。基板の厚みが厚い程、信号電極が形成する電気力線が基板内に広がり易く、電界強度の高い所と低い所の電界強度の差がより大きくなり、変調度の比率を一層大きくすることが可能である。図9や図10では、Xカット型の基板を中心に説明したが、Zカット型の基板を利用しても同様に、信号電極からの距離を調整して、各変調導波路部の変調度を調整することが可能である。
光変調器は高周波帯域で駆動するために、光導波路を伝播する光と信号電極を伝播するマイクロ波信号との速度整合を図ることが必要である。この手段の一つとして基板1の厚みを30μm以下、更には10μm以下に設定することも行われている。このような薄板の基板を使用する場合には、信号電極から出る電気力線の多くは基板内に集中しているため、変調導波路部と信号電極との間の距離が変化しても、変調導波路部での変調度の変化が少ない。その結果、図9のような方法では、変調度の比率を大きくする(例えば、β≧5)ことは困難であった。
また、信号電極S1や接地電極G1又はG2の近傍に光導波路を配置すると、いわゆるエッジ効果により、変調効率(信号電界と光の電界の実効重なり積分Γ)をある程度高めることはできる。しかし、バッファ層が無いあるいは薄い場合には、光導波路を伝播する光波の一部が吸収・散乱され、光損失となる。各光導波路を伝播する光には、光強度比(1:α)が所定の値となるように、予め設定されている。しかしながら、変調電極による光損失が発生すると、この光強度比のバランスが崩れ、所望の信号波形を得ることができないという不具合を生じる。所望の光強度比を得るためには、分岐部の光の分岐比、変調導波路部を含む光導波路の光損失、そして光を合成する合成部での合成比を総合的に考慮することが必要である。
各変調導波路部の変調効率Γの大きさは、Γa、Γbで表示している。図9のように配置する場合には、Γa<Γbとなるため、光強度の大きい光を伝搬する光導波路部を基準に、前記光変調度の比率を1:βにする配置構造は存在しうる。しかし、信号電極S1や接地電極G1又はG2の近傍に光導波路を配置した場合、光の損失および変調効率Γの光導波路位置依存性および光導波路の形状依存性は極めて大きいため、製造プロセス再現性に起因する歩留まりの低下が大きな問題となっている。図9,10の構造で非線形性が抑制された光変調器の特性を再現よく実現するには、製造プロセスに極めて高い再現性が求められる。
このような不具合を解消するため、本発明者らは、図11に示すような変調電極構造を見出した。図12は、図11の一点鎖線A−A’における断面図である。本発明の光変調器に使用される変調電極の構造は、信号電極からより遠くに配置された光導波路(変調導波路部)に印加される電界の強度を弱くするため、接地電極(G1又はG2)から張り出した張出部(G10,G20)を設けることである。分岐導波路部O11、O14の一部は、接地電極(G1又はG2)から張り出した張出部(G10,G20)の下方に設けられ、分岐導波路部O11、O14は、信号電極S1や接地電極G1又はG2から離間した位置に設けられている。この構造により、エッジ効果による変調効率Γの光導波路位置依存性および光導波路形状依存性を大幅に緩和することが可能となる。
図12のような薄板の基板を使用する場合には、分岐光導波路は、張出部(G10,G20)の端から、基板の厚さの半分程度以上の距離、接地電極側に配置することで、張り出し部の下部の分岐光導波路の変調効率Γを一桁以上低下させることができるため、変調度の比率βの調整を有効に行える。しかも、張出部の厚みを、接地電極の本体部分より薄く構成することで、変調電極の特性インピーダンスが大きく変化することを抑制することが可能となる。
光導波路に沿って、信号電極の幅swを変更する必要はない。しかしながら、張出部による変調電極の特性インピーダンスが若干変化するのを抑制する場合や、信号電極と接地電極との間の距離が張出部によって変化し、電界強度が変化するのを調整する場合に、例えば、信号電極の幅swを変化させることも可能である。図11では、張り出した張出部(G10,G20)と対向する区間部分の信号電極の幅swを細くし、特性インピーダンスの低下を防いでいる例である。
張出部は、接地電極側のみに形成されているため、変調電極の対称性が変化し熱膨張による内部応力が偏在する可能性がある。しかしながら、張出部の厚みが薄いため、発生する内部応力の大きさを小さくすることが可能となり、特許文献1のような内部応力による温度ドリフトなどの発生も抑制することが可能となる。
張出部(G10,G20)は光導波路の上部に設けられているため、光損失の原因となる。このため、信号電極S1の近傍に配置された光導波路の光損失と、接地電極(G1,G2)の近傍に配置された光導波路の光損失と差を含めて、合波部で合波される光の強度比は1:αに可能である。特に、図13に示すように、張出部の一部に貫通孔を設けることで、電界強度の変化を抑制しながら光損失を低減させることも可能である。
なお、張出部を含む変調電極の下側には、バッファ層を配置することも可能であり、この場合には、電極全体による光損失を低減することが可能となる。ここでは、分岐導波路や電極が直線状になっている例を示したが屈曲・蛇行していてもよい。張出部(G10,G20)の形成は一ヵ所に限られず、複数箇所に形成しても良い。複数箇所に形成することにより、張出部(G10,G20)を有する区間と有さない区間マイクロ波信号の損失差に起因する、変調度の比率βの信号周波数依存性を低減することも可能である。
図14は、本発明の光変調器の実施例を示す平面図であり、図15は、図14の一点鎖線A−A’における断面図である。図14に示すように、信号電極S1と接地電極G1及びG2が変調部を構成し、信号電極S1に入力される変調信号Sinにより光導波路(O11〜14)を伝播する光が変調される。また、接地電極G1の一部は、バイアス電極を兼ねており、バイアス電圧(DC Bias)を印加することにより、光導波路を伝播する光の位相調整が行われる。
図16は、本発明の光変調器の応用例を示す平面図である。上述した光変調器では、光強度比の調整には、分岐部による光の分岐比による方法を採用していたが、分岐部は常に対称分波器として、分岐した後の光を光強度変調器(減衰器,Attenuator)で調整し、所望の光強度比に設定することも可能である。減衰器を省いて、非特許文献1に示されるアクティブY分岐を、分岐部に採用しても良い。さらにアクティブY分岐を合成部に採用しても良い。
光強度比αを可変調整することにより、製造誤差や、分岐回路、電極特性の帯域特性などに起因して変調度比βが理想状態からずれた場合でも、光強度比αを調整して直線性を補うことも可能である。なお、変調度比βが整数値からおおきくずれた場合の影響は、三角波の頂点(折り返し点)近傍で大きく、三角波の直線部分では比較的小さい。三角波の近似がフーリエ級数的なものであるため、変調度比βや光強度比αは所定の整数であることが望ましいことは言うまでもないが、多くの用途においてアナログ変調用途においては、三角波の頂点付近より直線部分の特性が重視される。光強度比αを調整による直線性の補完は、有用な方法である。なお、各分岐導波路の形状や実効屈折率などの特性は同じである必要はなく、例えば導波路径を違えたり屈曲させたり、不純物濃度を違えても良い。これにより、光導波路間の導波光の結合に起因する特性の悪化 (光クロストーク)が低減される。
以上説明したように、本発明によれば、製造コストや装置全体のコストの増加、及び変調特性の劣化を抑制すると共に、非線形性が抑制された光出力信号を得ることが可能な光変調器を提供することができる。
1 基板
O10〜O15 光導波路
B21〜B23 分岐部
PM11〜PM14 変調導波路部
Bias11〜Bias23 位相調整部
M21〜M23 合波部
S1 信号電極
G1〜G2 接地電極
G10〜G20 張出部
9 バッファ層
10 接着層
11 支持基板
12 バッファ層

Claims (3)

  1. 電気光学効果を有する基板と、該基板に形成された光導波路と、該光導波路を伝播する光を変調するための変調電極とを備えた光変調器において、
    該光導波路は、2つの分岐導波路部を有するマッハツェンダー型導波路であり、
    各々の分岐導波路部には、該分岐導波路部に入力された光を分岐する分岐部と、該分岐部で分岐された各光の変調が行われる2つの変調導波路部と、前記2つの変調導波路部で変調された各光を合成する合成部とが設けられ、
    該変調電極は、前記2つの分岐導波路部の間に配置された信号電極と、前記2つの分岐導波路部を挟み込むように配置された2つの接地電極から構成され、
    各分岐導波路部における前記2つの変調導波路部で変調された各光を合成する際の光強度が、互いに異なると共に所定の強度比を有し、
    各分岐導波路部における前記2つの変調導波路部では、該変調電極による変調度が所定の比率で大きさが互いに異なるように、該接地電極の一部に、該接地電極に近接して配置された該変調導波路部の上側に部分的に重なるように張り出した張出部を設け
    該張出部は、該接地電極の他の部位よりも電極の厚さが薄いことを特徴とする光変調器。
  2. 請求項に記載の光変調器において、
    該変調導波路部の上側にバッファ層を介さずに該張出部が設けられると共に、該張出部の一部に該変調導波路部に沿って貫通孔が形成されていることを特徴とする光変調器。
  3. 請求項1又は2に記載の光変調器において、
    前記合成する際の光の強度比は1:α(但し、αは1より大きい数値)であり、
    前記変調度の比率は、光強度の大きい光を伝播する変調導波路部を基準に1:β(但し、βは1より大きい数値)であり、
    該数値αが概ね5である場合には該数値βは概ね2であり、該数値αが概ね9である場合には該数値βが概ね3であることを特徴とする光変調器。
JP2015210631A 2015-10-27 2015-10-27 光変調器 Active JP6575298B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015210631A JP6575298B2 (ja) 2015-10-27 2015-10-27 光変調器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015210631A JP6575298B2 (ja) 2015-10-27 2015-10-27 光変調器

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017083607A JP2017083607A (ja) 2017-05-18
JP6575298B2 true JP6575298B2 (ja) 2019-09-18

Family

ID=58711022

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015210631A Active JP6575298B2 (ja) 2015-10-27 2015-10-27 光変調器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6575298B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021169756A1 (zh) 2020-02-25 2021-09-02 青岛海信宽带多媒体技术有限公司 一种光模块
CN113376923B (zh) * 2020-02-25 2022-08-19 青岛海信宽带多媒体技术有限公司 一种光模块

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4843586A (en) * 1987-04-28 1989-06-27 Hewlett-Packard Company Distributed sampling of electrical and optical signals using coded switched electrode travelling wave modulators
SE467330B (sv) * 1990-10-03 1992-06-29 Ericsson Telefon Ab L M Saett att linearisera en oeverfoeringsfunktion hos en modulatoranordning samt modulatoranordning med lineariserad oeverfoeringsfunktion
JP3660529B2 (ja) * 1999-06-21 2005-06-15 住友大阪セメント株式会社 光導波路素子
JP2005091698A (ja) * 2003-09-17 2005-04-07 Ngk Insulators Ltd 光変調器
JP4544474B2 (ja) * 2005-03-31 2010-09-15 住友大阪セメント株式会社 光変調器
US8849071B2 (en) * 2009-12-30 2014-09-30 Jds Uniphase Corporation Optical waveguide modulator
JP5466200B2 (ja) * 2011-06-06 2014-04-09 日本電信電話株式会社 光変調回路
US10018888B2 (en) * 2012-06-06 2018-07-10 Eospace, Inc. Advanced techniques for improving high-efficiency optical modulators
JP5823927B2 (ja) * 2012-06-25 2015-11-25 日本電信電話株式会社 光変調回路
TWI572913B (zh) * 2012-11-29 2017-03-01 鴻海精密工業股份有限公司 電光調製器
JP2017083626A (ja) * 2015-10-27 2017-05-18 学校法人早稲田大学 光変調器

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017083607A (ja) 2017-05-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2698797B2 (ja) 光搬送波の外部変調方法とその装置
CN102648434B (zh) 光调制器模块和调制光信号的方法
JP4771216B2 (ja) 超平坦光周波数コム信号発生器
JP4151798B2 (ja) 光変調器
JP5171808B2 (ja) 光位相変調器
JP2008116865A (ja) ネスト型変調器
US9128348B1 (en) Light modulation circuit
JP4549980B2 (ja) 光変調器
JP5077480B2 (ja) 光導波路素子
JP6575298B2 (ja) 光変調器
US20100067841A1 (en) Optical device and optical transmitter
Yokota et al. Operation strategy of InP Mach–Zehnder modulators for flat optical frequency comb generation
JP5729075B2 (ja) 光導波路素子
JP2017083626A (ja) 光変調器
JP5466200B2 (ja) 光変調回路
JP5823927B2 (ja) 光変調回路
JP7052477B2 (ja) 光導波路素子
JP2011100168A (ja) 光導波路素子
JP3660529B2 (ja) 光導波路素子
JP2012068679A (ja) 光導波路素子
JP2017083608A (ja) 光変調器
WO2001067168A1 (fr) Guide d'ondes optique
CN106796362B (zh) 光调制器
JP2008009314A (ja) 光導波路素子、光変調器および光通信装置
JP5622293B2 (ja) ネスト型変調器

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180806

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190423

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190417

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20190624

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190705

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190723

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190805

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6575298

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150