ところで、シートバックが上下に移動可能な乗物用シートにおいて、バックパネルに対してシートバックを上下に移動可能とする移動機構は、バックパネルに簡単に組み付けられることが望まれる。また、シートバックが上下に移動可能な乗物用シートにおいては、シートバックが良好に上下動できることが望まれる。
そこで、本発明は、バックパネルと移動機構を簡単に組み付けることを目的とする。
また、本発明は、シートバックを良好に上下動させることを目的とする。
また、本発明は、シートバックフレームの構成を簡略化することを目的とする。
前記した目的を達成するための本発明は、シートバックが上下に移動可能な乗物用シートの取付構造であって、前記シートバックの背面に対向して配置されるバックパネルと、前記シートバックのフレームを構成するシートバックフレームと、前記バックパネルに対して前記シートバックフレームを上下に移動可能とする移動機構と、を備え、前記バックパネルおよび前記移動機構の一方は、フックを有し、前記バックパネルおよび前記移動機構の他方は、前記フックが係合するフック係合部を有することを特徴とする。
このような構成によれば、バックパネルおよび移動機構の一方に設けられたフックを、他方に設けられたフック係合部に係合することで、バックパネルと移動機構を簡単に組み付けることができる。
前記した乗物用シートの取付構造において、前記移動機構は、前記フックと前記フック係合部との係合によって前記バックパネルに固定される板状のブラケットと、前記ブラケットに固定される補強板とを備える構成とすることができる。
これによれば、補強板によってバックパネルに固定される板状のブラケットの撓みを抑制することができる。これにより、移動機構の歪みが抑制されるので、シートバックを良好に上下動させることができる。
前記した乗物用シートの取付構造において、前記シートバックは、前記シートバックフレームの上側部分を構成する上部フレームと、前記シートバックフレームの下側部分を構成する下部フレームと、前記上部フレームと前記下部フレームを連結する連結ブラケットとを有し、前記上部フレームは、左右に離間して配置された左右の上部サイドフレームを有し、前記下部フレームは、左右に離間して配置された左右の下部サイドフレームを有し、前記連結ブラケットは、板状の本体部と、前記本体部の左右両端から前方に延びる左右の延出部とを有し、前記上部サイドフレームの下端部および前記下部サイドフレームの上端部の一方が前記連結ブラケットに固定され、前記上部サイドフレームの下端部および前記下部サイドフレームの上端部の他方が左右方向に延びる軸を中心に回動可能に前記延出部に支持されている構成とすることができる。
これによれば、上部サイドフレームの下端部と下部サイドフレームの上端部とを左右で独立して回動可能に連結する構成と比較して、シートバックフレームが歪みにくくなるので、シートバックを良好に中折れさせることができる。これにより、シートバックを良好に上下動させることができる。
前記した乗物用シートの取付構造において、前記上部サイドフレームは、上下にまっすぐ延びるパイプからなる構成とすることができる。
これによれば、シートバックフレームの構成を簡略化することができる。
前記した乗物用シートの取付構造において、前記フックは、左右に離れて複数設けられている構成とすることができる。
これによれば、移動機構をバックパネルに対して安定した状態に取り付けることができるので、シートバックをより良好に上下動させることができる。
前記した乗物用シートの取付構造において、前記フックは、上下に離れて複数設けられている構成とすることができる。
これによれば、移動機構をバックパネルに対して安定した状態に取り付けることができるので、シートバックをより良好に上下動させることができる。
前記した乗物用シートの取付構造において、前記フック係合部は、U字形状に屈曲し、両端が前記バックパネルまたは前記移動機構に固定された棒状の部材からなる構成とすることができる。
また、前記した目的を達成するための本発明は、シートバックが上下に移動可能な乗物用シートであって、前記シートバックのフレームを構成するシートバックフレームと、前記シートバックの背面に対向して配置されるバックパネルに対して前記シートバックフレームを上下に移動可能とする移動機構と、を備え、前記移動機構は、前記バックパネルに固定される板状のブラケットと、前記ブラケットに固定される補強板とを備えることを特徴とする。
このような構成によれば、補強板によってバックパネルに固定される板状のブラケットの撓みを抑制することができる。これにより、移動機構の歪みが抑制されるので、シートバックを良好に上下動させることができる。
また、前記した目的を達成するための本発明は、シートバックが上下に移動可能な乗物用シートであって、前記シートバックのフレームを構成するシートバックフレームと、前記シートバックの背面に対向して配置されるバックパネルに対して前記シートバックフレームを上下に移動可能とする移動機構と、を備え、前記シートバックは、前記シートバックフレームの上側部分を構成する上部フレームと、前記シートバックフレームの下側部分を構成する下部フレームと、前記上部フレームと前記下部フレームを連結する連結ブラケットとを有し、前記上部フレームは、左右に離間して配置された左右の上部サイドフレームを有し、前記下部フレームは、左右に離間して配置された左右の下部サイドフレームを有し、前記連結ブラケットは、板状の本体部と、前記本体部の左右両端から前方に延びる左右の延出部とを有し、前記上部サイドフレームの下端部および前記下部サイドフレームの上端部の一方が前記連結ブラケットに固定され、前記上部サイドフレームの下端部および前記下部サイドフレームの上端部の他方が左右方向に延びる軸を中心に回動可能に前記延出部に支持されていることを特徴とする。
このような構成によれば、上部サイドフレームの下端部と下部サイドフレームの上端部とを左右で独立して回動可能に連結する構成と比較して、シートバックフレームが歪みにくくなるので、シートバックを良好に中折れさせることができる。これにより、シートバックを良好に上下動させることができる。
前記した乗物用シートにおいて、前記上部サイドフレームは、上下にまっすぐ延びるパイプからなる構成とすることができる。
これによれば、シートバックフレームの構成を簡略化することができる。
本発明によれば、バックパネルおよび移動機構の一方がフックを有し、他方がフック係合部を有する構成とすることで、バックパネルと移動機構を簡単に組み付けることができる。
また、本発明によれば、移動機構を、バックパネルに固定されるブラケットと、ブラケットに固定される補強板とを備える構成とすることで、シートバックを良好に上下動させることができる。
また、本発明によれば、板状の本体部と、本体部の左右両端から前方に延びる左右の延出部とを有する連結ブラケットを用いて、上部サイドフレームの下端部と下部サイドフレームの上端部とを回動可能に連結することで、シートバックを良好に上下動させることができる。
また、本発明によれば、上部サイドフレームを上下にまっすぐ延びるパイプからなる構成とすることで、シートバックフレームの構成を簡略化することができる。
また、本発明によれば、フックを左右に離して複数設けることで、シートバックをより良好に上下動させることができる。
また、本発明によれば、フックを上下に離して複数設けることで、シートバックをより良好に上下動させることができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。なお、本発明において、前後、左右、上下は、乗物用シートに座る者(着座者)を基準とする。
図1に示すように、本実施形態に係る乗物用シートは、自動車の後部座席に使用される車両用シートSとして構成されており、右側に配置される右シートSRと、左側に配置される左シートSLとを備えている。以下においては、本発明の取付構造を適用した左シートSLの構成について説明する。
左シートSLは、シートクッションS1と、シートバックS2と、ヘッドレストS3とを備えている。詳しい動作については後述するが、左シートSLは、シートクッションS1が前に移動したときに、シートバックS2がシートクッションS1に対して後方に倒れるように構成されている(リクライニング可能に構成されている)(図7(b)参照)。
シートクッションS1は、図2に示すように、当該シートクッションS1のフレームを構成するクッションフレームF1を備え、クッションフレームF1にウレタンフォームなどからなるクッション材と、皮革や布地などからなる表皮材を被せることで構成されている。クッションフレームF1は、車体(乗物の機体)のフロアに対して前後に移動可能に取り付けられており、リクライニング動作の際に着座者の操作などによってアクチュエータACを駆動させることで、車体に対し、前または後ろに向けて移動するように構成されている。
シートバックS2は、当該シートバックS2のフレームを構成するシートバックフレームF2を備え、シートバックフレームF2にウレタンフォームなどからなるクッション材と、皮革や布地などからなる表皮材を被せることで構成されている。シートバックフレームF2は、シートバックフレームF2の上側部分を構成する上部フレーム10と、シートバックフレームF2の下側部分を構成する下部フレーム20とを有している。
上部フレーム10は、左右に離間して配置された左右の上部サイドフレーム11,11と、上部サイドフレーム11,11の上端部同士を連結する上部連結フレーム12とを主に有している。上部サイドフレーム11は、その上端から下端までが、略上下方向にまっすぐ延びるように形成された金属製のパイプからなる。言い換えると、上部サイドフレーム11は、シートバックフレームF2の左右方向における内側または外側に凹む(逃げる)ように屈曲する部分を有しない構成となっている。上部連結フレーム12は、金属製のパイプからなり、左右両端が溶接などによって上部サイドフレーム11の上端部に連結されている。上部連結フレーム12には、ヘッドレストS3を取り付けるためのサポートブラケット13が固定されている。
下部フレーム20は、略U字形状に屈曲させた金属製のパイプから主に構成され、左右に離間して配置された左右の下部サイドフレーム21,21と、下部サイドフレーム21,21の下端部同士を繋ぐ下部連結フレーム22とを一体に有している。図3に示すように、下部サイドフレーム21の上端部には、第2連結ブラケット40が溶接などによって固定されている。第2連結ブラケット40は、プレス加工して成形された板金からなり、前後方向の両端部が左右方向内側に屈曲した断面視略U字形状に形成されている。第2連結ブラケット40は、その下端部が下部サイドフレーム21の上端部を左右方向外側から抱持した状態で下部サイドフレーム21に連結され、上端部が後述する連結ブラケット30に連結されている。
上部フレーム10と下部フレーム20は、連結ブラケット30により、互いに連結されている。連結ブラケット30は、プレス加工して成形された板金からなり、上部サイドフレーム11,11の間に配置される板状の本体部31と、本体部31の左右両端から前方に延びる左右の延出部32とを有している。上部フレーム10は、上部サイドフレーム11の下端部が、連結ブラケット30の延出部32の左右方向外側の面に溶接などによって固定されることで、連結ブラケット30に連結されている。一方、下部フレーム20は、下部サイドフレーム21の上端部に固定された第2連結ブラケット40が、延出部32の左右方向内側の面に、左右方向に延びる軸A1を中心に回動可能となるように、ボルト38とナット39の締結によって連結されることで、軸A1を中心に回動可能に延出部32に支持されている。これにより、上部フレーム10および下部フレーム20は、一方が他方に対して軸A1を中心に回動可能となっており、シートバックS2は、上側の部分と下側の部分とが略V字形状をなすように中折れ可能となっている(図7(b)参照)。
また、図2に示すように、下部フレーム20は、下部連結フレーム22が、シートバック取付ブラケット23を介してクッションフレームF1の後端部に、左右方向に延びる軸A2を中心に回動可能に連結されている。これにより、下部フレーム20は、クッションフレームF1に対して軸A2を中心に前後に回動可能となっている。
このように構成されたシートバックS2は、図4に示すような移動機構100により、当該シートバックS2の背面に対向して配置されるバックパネル60(図1参照)に対し、上下に移動可能に取り付けられている。
移動機構100は、バックパネル60に対してシートバックフレームF2を上下に移動可能とする機構であり、ガイドバー110と、ガイド筒120と、板状のブラケット130と、補強板140とを主に備えて構成されている。
ガイドバー110は、金属からなる棒状の部材であり、ガイド筒120は、ガイドバー110に係合する筒状の部材である。ガイドバー110とガイド筒120は、摺動可能な状態で係合している。ガイドバー110は、棒が延びる方向が上下を向くように配置され、左右に並んだ状態で2つ設けられている。また、ガイド筒120は、各ガイドバー110に対応して2つ設けられている。
ブラケット130は、後述するフック170とフック係合部71との係合によってバックパネル60に固定される部材であり、第1ブラケット150と、第2ブラケット160とを有している。
第1ブラケット150は、側面視L字形状に折り曲げられた板金からなり、第1取付部151と、第1取付部151の下端から前方に延びるバー固定部152とを主に有している。第1取付部151には、ボルト91を通すための図示しない3つの貫通穴が設けられている。そして、第1取付部151の前側の面には、各貫通穴に対応して、3つのナット92が溶接によって固定されている。バー固定部152には、ガイドバー110の下端部が挿通される貫通穴152Aが左右に間隔をあけて2つ形成されている。ガイドバー110は、下端部が貫通穴152Aに挿通された状態で、溶接などによってバー固定部152に固定されている。
第2ブラケット160は、プレス加工して成形された板金からなり、第2取付部161と、第2取付部161の上端から前方に延びる第1延出部162と、第1延出部162の前端から上方に延びる補強板固定部163とを有している。第2取付部161には、ボルト91を通すための図示しない3つの貫通穴が設けられている。また、図5に示すように、第2取付部161には、その背面にフック170が設けられている。なお、図5において、移動機構100(シートバックフレームF2)は、後側から見た状態で示しており、バックパネル60は、その一部である左端部を前側から見た状態で示している。
フック170は、第2取付部161の背面から後方に突出し、先端部が下方を向くように屈曲する形状に設けられ、第2取付部161の背面の四隅付近に1つずつ設けられている。別の言い方をすれば、フック170は、第2ブラケット160の背面の上端部および下端部のそれぞれにおいて、左右に離れて2つずつ設けられている。さらに別の言い方をすれば、フック170は、第2ブラケット160の左端部および右端部のそれぞれにおいて、上下に離れて2つずつ設けられている。このようなフック170は、例えば、第2ブラケット160とは別に形成されたフック170を溶接などによって第2ブラケット160に固定することで設けてもよいし、板金からなる第2ブラケット160の一部を切り起こして折り曲げることで第2ブラケット160と一体に設けてもよい。
図4に戻り、第1ブラケット150と第2ブラケット160は、第1取付部151が前側、第2取付部161が後側となるように、第1取付部151と第2取付部161を重ねた状態で、ボルト91を、背面側から図示しない貫通穴に通し、第1取付部151に固定されたナット92に締結することで一体となり、ブラケット130を構成している。
補強板140は、側面視L字形状をなすように折り曲げられた板金からなり、被固定部141と、被固定部141の下端から前方に延びる第2延出部142とを有している。補強板140は、2つのガイドバー110の間に配置され、被固定部141がブラケット130、具体的には、補強板固定部163の前側の面に溶接などによって固定されている。補強板140は、ガイドバー110に荷重が掛かってガイドバー110の上端部が左右方向内側に撓むなどした場合に、ガイドバー110の上端部が第2延出部142の側面に当接するように設けられている。
このような移動機構100は、本実施形態においては、図5に示すように、シートバックフレームF2のシートフレームパネル50に取り付けられることで、左シートSLの一部として設けられている。シートフレームパネル50は、プレス加工して成形された板金からなり、連結ブラケット30の上方で、上部サイドフレーム11,11に架け渡されるように配置されている。シートフレームパネル50は、主に左右両端が上部サイドフレーム11に溶接などによって固定されることで、シートバックフレームF2に連結されている。
ここで、移動機構100のシートバックフレームF2への取り付けについて説明する。
図6に示すように、移動機構100をシートバックフレームF2に取り付けるときには、まず、シートフレームパネル50の背面に、2つのガイド筒120(一方のみ図示)を左右に並んだ状態で溶接などによって固定する。次に、シートフレームパネル50に固定されたガイド筒120に、第1ブラケット150に固定された状態のガイドバー110を挿通する。そして、第1ブラケット150に、補強板140が取り付けられた第2ブラケット160を組み付け、3つのボルト91を第1ブラケット150に固定されたナット92に締結して、第1ブラケット150と第2ブラケット160を連結する。これにより、移動機構100がシートバックフレームF2に取り付けられる。
ガイドバー110が固定された第1ブラケット150と、第2ブラケット160とが連結された状態において、ガイドバー110は、その上端部が第2ブラケット160の補強板固定部163の前側の面に当接している。これにより、ガイドバー110の上端部を後ろからブラケット130で支えることができるとともに、補強板固定部163がガイド筒120に引っ掛かることでガイドバー110がブラケット130ごとガイド筒120から抜け落ちてしまうことを抑制することができる。また、シートバックフレームF2に移動機構100が取り付けられた状態において、補強板140の第2延出部142の前端は、シートフレームパネル50の背面に当接している。
図5および図6に示すように、バックパネル60は、プレス加工して成形された板金からなり、車両用シートS(右シートSRおよび左シートSL)の後ろに対向して配置されている(図1も参照)。本実施形態において、バックパネル60は、車体に固定されており、車体の一部を構成している。バックパネル60には、前後に貫通する開口61が形成されており、開口61には、シート取付ブラケット70が当該開口61に入り込んだ状態で配置されている。
シート取付ブラケット70は、プレス加工して成形された板金からなり、開口61の周囲で図示しないボルトなどによって締結されることで、バックパネル60に固定されている。バックパネル60に取り付けられるシート取付ブラケット70には、前側の面に、フック係合部71が設けられている。
フック係合部71は、フック170が係合する部分であり、金属製の棒状の部材からなる。より詳細に、フック係合部71は、金属製の棒状の部材を略U字形状に屈曲し、その両端が溶接などによってシート取付ブラケット70の前側の面に固定されている。これにより、フック係合部71は、シート取付ブラケット70を介して、バックパネル60に固定されている。フック係合部71は、上側に配置された2つのフック170と、下側に配置された2つのフック170に対応して、上下に離れて2つ設けられている。
次に、左シートSLの車体への取り付けについて簡単に説明する。
左シートSLを車体に取り付けるときには、まず、シートバックS2をバックパネル60に取り付ける。具体的には、図5に示すように、シートバックS2に設けられた移動機構100の高さ位置と、バックパネル60に設けられたシート取付ブラケット70の高さ位置とを合わせつつ、上側の2つのフック170を上側のフック係合部71に係合し、下側の2つのフック170を下側のフック係合部71に係合する。これにより、シートバックS2がバックパネル60に取り付けられる。次に、図7(a)に示すように、シートクッションS1を車体のフロア(符号省略)に取り付ける。そして、ヘッドレストS3をシートバックS2に取り付けることで、左シートSLが車体に取り付けられる。
次に、左シートSLのリクライニング動作について説明する。
図7(a)に示す状態から、着座者の操作などによってアクチュエータAC(図2参照)を駆動させ、クッションフレームF1(シートクッションS1)を前に向けて移動させると、図7(b)に示すように、クッションフレームF1に引っ張られて、シートバックフレームF2の下部フレーム20の下端部が前に移動する。これにより、下部フレーム20が軸A1を中心に前に回動しながら下方に移動することで、上部フレーム10を下に引き下げ、上部フレーム10が移動機構100によってバックパネル60に対して下にスライド移動する。その結果、シートバックS2は、シートクッションS1に対して後方に倒れた状態(リクライニング状態)となる。
一方、リクライニング状態から、アクチュエータACを駆動させ、クッションフレームF1を後ろに向けて移動させると、図7(a)に示すように、クッションフレームF1に押されて、シートバックフレームF2の下部フレーム20の下端部が後ろに移動する。これにより、下部フレーム20が軸A1を中心に後ろに回動しながら上方に移動することで、上部フレーム10を上に押し上げ、上部フレーム10が移動機構100によってバックパネル60に対して上にスライド移動する。この結果、シートバックS2は、シートクッションS1に対して起きた状態となる。
以上説明した本実施形態によれば、左シートSLの一部である移動機構100に設けられたフック170を、バックパネル60にシート取付ブラケット70を介して設けられたフック係合部71に係合することで、バックパネル60と移動機構100(左シートSL)を簡単に組み付けることができる。
また、移動機構100がブラケット130に固定される補強板140を備えるので、補強板140によってバックパネル60に固定される板状のブラケット130の撓みを抑制することができる。これにより、移動機構100の歪みが抑制され、ガイドバー110とガイド筒120とが良好に摺動可能となるので、シートバックS2を良好に上下動させることができる。
また、1部品たる連結ブラケット30の左右の延出部32に、上部サイドフレーム11の下端部が固定され、下部サイドフレーム21の上端部が軸A1を中心に回動可能に支持されているので、上部サイドフレームの下端部と下部サイドフレームの上端部とを左右で独立して回動可能に連結する構成と比較して、シートバックフレームF2が歪みにくくなる。これにより、シートバックS2を良好に中折れさせることができるので、シートバックS2を良好に上下動させることができる。
また、上部サイドフレーム11が上下にまっすぐ延びるパイプからなるので、上部サイドフレームが左右方向の内側や外側に凹むように屈曲する構成と比較して、シートバックフレームF2の構成を簡略化することができる。これにより、例えば、シートバックフレームF2を製造する際の、工数を減らしたり、コストを抑えたりすることができる。
また、フック170が、左右に離れて2つ設けられ、また、上下に離れて2つ設けられているので、フックが1つだけ設けられるような構成と比較して、移動機構100をバックパネル60に対して安定した状態に取り付けることができる。これにより、シートバックS2をより良好に上下動させることができる。特に、本実施形態では、4つのフック170が互いに離れて四角形の角の位置に配置されているので、移動機構100をバックパネル60に取り付けたときに、バックパネル60に対する移動機構100のがたつきを抑制することができる。これにより、移動機構100をバックパネル60に対してより安定した状態に取り付けることができるので、シートバックS2をより一層良好に上下動させることができる。
以上、実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、下記のように発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
前記実施形態では、フック170がブラケット130の背面の四隅付近に1つずつ、合計4つ設けられていたが、本発明において、フックの数や配置は特に限定されるものではない。例えば、図8に示すように、フック170を2つだけ設ける場合、2つのフック170は、ブラケット130(第2ブラケット160)の背面の上下方向中央部において左右に離れて配置する構成とすることができる。また、図8を参考にして説明すると、フックを2つだけ設ける場合、2つのフックは、ブラケット130(第2ブラケット160)の背面の左右方向中央部において上下に離れて配置してもよい。また、例えば、フックを3つ設ける場合、3つのフックは、3つのボルト91のように、三角形の頂点の位置に配置する構成とすることができる。なお、フックを、3つ以上設けた場合、互いに離して配置することで、移動機構をバックパネルに取り付けたときに、バックパネルに対する移動機構(シート)のがたつきを抑制することができる。
前記実施形態では、移動機構100がフック170を有し、バックパネル60がフック係合部71を有する構成を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、図9に示すように、バックパネル60がフック72を有し、移動機構100がフック係合部180を有する構成であってもよい。具体的に、フック72は、シート取付ブラケット70の前側の面から前方に突出し、先端部が上方を向くように屈曲する形状に設けられ、フック係合部180は、U字形状に屈曲した棒状の部材の両端が、溶接などによって、移動機構100のブラケット130(第2ブラケット160)の背面に固定される構成とすることができる。
前記実施形態で示したフックやフック係合部の構成は一例であり、前記した構成に限定されるものではない。例えば、前記実施形態では、左右に並ぶ2つのフック170に対応してフック係合部71が1つ設けられていたが、これに限定されず、各フックに対してフック係合部が1つずつ設けられていてもよい。また、例えば、前記実施形態では、U字形状に屈曲した棒状の部材を取り付けることでフック係合部71を形成していたが、これに限定されず、例えば、前記実施形態のシート取付ブラケット70にフックが係合可能なフック係合部としての貫通穴などを設けることで形成してもよい。また、フック係合部は、バックパネルに直接設けてもよい。
また、図10に示すように、フック190は、2つの爪192,193を持つ部材からなり、2つの爪192,193がフック係合部71を掴むように係合する構成であってもよい。また、図11(a),(b)に示すように、上下に並んで配置されたフック73,74またはフック73,75のうち、少なくとも一方のフック74,75は、フック74,75に係合したフック係合部180の外れを抑制する外れ抑制部74A,75Aを有していてもよい。
前記実施形態では、フック170とフック係合部71の係合のみによって移動機構100(左シートSL)がバックパネル60に取り付けられていたが、これに限定されるものではない。例えば、フックとフック係合部の係合は仮止めとして機能させ、その後、溶接やボルトの締結などにより、移動機構100をバックパネル60に固定してもよい。
前記実施形態では、補強板140は、ガイドバー110の上端部が左右方向内側に撓むなどした場合に、ガイドバー110の上端部が当接するように設けられていたが、これに限定されるものではない。例えば、補強板は、ブラケットに取り付けられたときに常にガイドバーと当接するように設けられていてもよい。このように、補強板をガイドバーと当接可能に設けることで、補強板よってガイドバーを支えることができるので、ガイドバーの過剰な変形を抑制することができる。
前記実施形態では、補強板140は、シートバックフレームF2に移動機構100が取り付けられた状態において、その前端がシートフレームパネル50の背面に当接していたが、これに限定されるものではない。例えば、補強板140は、シートバックフレームF2に移動機構100が取り付けられた状態においては、シートフレームパネル50との間にわずかな隙間を有しているが、左シートSLに座った着座者が凭れて凭れ荷重がかかったときにシートフレームパネル50に当接するように設けられていてもよい。
前記実施形態で示した移動機構の構成は一例であり、前記した構成に限定されるものではない。例えば、前記実施形態では、ガイドバー110がブラケット130を介してバックパネル60に固定され、ガイド筒120がシートフレームパネル50を介してシートバックフレームF2に固定されていたが、これに限定されず、ガイドバーがシートバックフレームに固定され、ガイド筒がバックパネルに固定されていてもよい。また、例えば、前記実施形態では、ガイドバー110とガイド筒120が摺動可能な状態で係合することで、シートバックS2が上下に移動する構成であったが、これに限定されず、シートバックフレームに連結されるレールと、バックパネルに連結されるレールとが摺動可能に係合することで、シートバックが上下に移動する構成であってもよい。
前記実施形態では、ブラケット130が第1ブラケット150と第2ブラケット160の2部品から構成されていたが、これに限定されず、例えば、ブラケットは、1部品から構成されていてもよい。
前記実施形態で示した補強板の構成は一例であり、前記した構成に限定されるものではない。例えば、前記実施形態では、補強板140が側面視L字形状に形成されていたが、これに限定されず、側面視U字形状に形成されていてもよい。具体的に、図4を参考にして説明すると、補強板140は、被固定部141と、被固定部141の下端から前方に延びる第2延出部142と、被固定部141の上端から前方に延びる第3延出部とを有するような構成であってもよい。
前記実施形態では、上部サイドフレーム11の下端部が連結ブラケット30の延出部32に固定されていたが、これに限定されず、例えば、連結ブラケットの本体部に固定されていてもよい。また、前記実施形態では、上部サイドフレーム11の下端部が連結ブラケット30に固定され、下部サイドフレーム21の上端部が回動可能に延出部32に支持されていたが、これに限定されず、例えば、シートバックは、下部サイドフレームの上端部が連結ブラケットに固定され、上部サイドフレームの下端部が回動可能に延出部に支持されていてもよい。
前記実施形態では、パイプからなる上部サイドフレーム11が上下にまっすぐ延びる形状をなしていたが、これに限定されず、例えば、上部サイドフレームは、シートバック内に配置される部品を避けるため、シートバックフレームの左右方向における内側や外側に凹む(逃げる)ように屈曲する形状をなしていてもよい。また、前記実施形態では、上部サイドフレーム11や下部サイドフレーム21が金属製のパイプからなる構成であったが、これに限定されず、例えば、サイドフレームは、プレス加工して成形した板金からなる構成であってもよい。
前記実施形態では、車両用シートSは、左シートSLがリクライニング可能に構成されていたが、これに限定されるものではない。例えば、車両用シートは、右シートがリクライニング可能に構成されていてもよいし、左シートと右シートの両方が個別にリクライニング可能に構成されていてもよい。また、車両用シートは、前記実施形態の左シートSLと右シートSRとが一体(1つのシート)となったような構成であってもよいし、センターシートと左右のシートとからなる3分割された構成であってもよい。
前記実施形態では、本発明を、自動車の後部座席で使用されるシートに適用した例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、本発明は、自動車の運転席や助手席などで使用されるシートに適用することもできる。また、本発明は、自動車以外の乗物、例えば、鉄道車両や船舶、航空機などで使用されるシートに適用することもできる。