JP6574105B2 - 内視鏡装置および内視鏡システム - Google Patents

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本発明は、スコープ(内視鏡)を使って器官内壁などの被写体を撮像し、処置等を行う内視鏡システムに関し、特に、レーザ診断、治療等を行うときの露出制御に関する。
内視鏡システムでは、プローブなどを利用して器官内壁の腫瘍など患部を診断、処置、手術することが可能であり、その一つにレーザ治療が知られている。そこでは、スコープの鉗子チャネルにレーザプローブを挿入し、レーザ発振器から放射されるレーザ光線をスコープ先端部へ導光する。レーザ光線としては、YAGレーザなどの赤外レーザ、あるいは近赤外レーザが使用される。
内視鏡作業中にレーザ光線を患部へ照射すると、レーザ光線は生体組織に反射し、スコープ先端部に設けられたイメージセンサに入射する。この影響で画素信号が飽和し、ハレーションが発生するのを防ぐため、赤外域あるいは近赤外〜赤外の波長域の光をカットするフィルタが、イメージセンサ前面に配置される(例えば、特許文献1、2参照)。
一方、光線力学的治療(Photodynamic Diagnosis Therapy:以下、PDTという)では、腫瘍に可視光域の波長をもつレーザ光線を照射することによって、生体組織から蛍光を発生させ、殺細胞作用を生じさせる。PDTに使用されるレーザ光線の波長が可視光域にあるため、レーザカットフィルタをイメージセンサ前面に配置すると、観察画像の色再現が困難となる。そのため、オペレータ観察専用のイメージファイバと、観察画像表示用イメージファイバをスコープ内部に配置し、観察画像表示用イメージファイバによって捉えられる画像を、別のイメージセンサを使って撮像する(特許文献3参照)。
特開2001−314367号公報 特開平11−76146号公報 特開2008−86680号公報
照明光を導光するライトガイドとイメージファイバとをビデオスコープ内に設けることは、細径のビデオスコープに対して困難であり、また、レーザ治療の度にレーザ治療専用ビデオスコープを装備する必要があり、内視鏡作業の進行に影響を与える。
したがって、レーザ光線を利用する内視鏡診断、治療等を行う内視鏡システムにおいて、レーザ治療専用の機構を設けることなく、レーザ光線の影響を受けない観察画像を得ることが求められる。
本発明の内視鏡装置は、特定波長域のレーザ光線を放射可能なレーザと、ビデオスコープに形成されたチャネルに挿通可能であって、レーザ光線をビデオスコープの先端部へ導くレーザプローブと、前記ビデオスコープの先端部に設けられるX−Yアドレス型イメージセンサと、前記イメージセンサに対し駆動信号を出力し、所定の時間間隔で1フィールドもしくは1フレーム分(以下、1フィールド/フレームと記載する)の画素信号を読み出すイメージセンサ駆動部と、前記イメージセンサから読み出される1フィールド/フレーム分の画素信号に基づいて、飽和画素を検出する飽和画素検出部と、前記イメージセンサ駆動部を制御し、飽和画素に対する露光時間を、他の画素の通常露光時間よりも短くする露出制御部とを備える。例えば、レーザは、可視光域のレーザ光線を放射する。
露出制御部は、検出された飽和画素の画素値があらかじめ定められた閾値以下の場合、次のフィールド/フレーム期間における飽和画素露光時間を、通常露光時間に戻すことが可能である。
飽和画素検出部が、所定のフィールド/フレーム期間における飽和画素の位置座標をメモリに記憶し、前記露出制御部が、前回のフィールド/フレーム期間において前記メモリに記憶された飽和画素の位置座標を、閾値以下の場合には前記メモリから消去するようにしてもよい。
このように本発明によれば、任意の波長をもつレーザを使用可能な内視鏡システムにおいて、観察画像に影響を与えることなく、レーザ照射することができる。
実施形態である電子内視鏡装置のブロック図である。 システムコントロール回路によって実行される露出制御処理のフローチャートである。 システムコントロール回路によって実行される露出制御処理のフローチャートである。 露出制御のタイミングチャートである。
以下では、図面を参照して本実施形態である電子内視鏡装置について説明する。
図1は、本実施形態である電子内視鏡装置のブロック図である。
電子内視鏡システムは、ビデオスコープ10とプロセッサ30とを備えた電子内視鏡装置を備えるとともに、レーザ治療時に使用されるレーザ70、レーザプローブ72が装備されている。ビデオスコープ10は、プロセッサ30に着脱自在に接続可能であり、プロセッサ30には、モニタ60が接続されている。
プロセッサ30は、キセノンランプなどのランプ48を備え、ランプ48はランプ駆動回路43によって駆動される。ランプ48から放射された光は、集光レンズ45を介してビデオスコープ10内に設けられたライトガイド11の入射端に入射する。ライトガイド11から射出した光は、配光レンズ21を介してスコープ先端部10Tから被写体(観察対象)に向けて照射される。ランプ48とライトガイド11との間には絞り46が設けられており、絞り46の開閉によって照明光量が調整される。
被写体に反射した照明光は、スコープ先端部10Tに設けられた対物レンズ13によって結像し、被写体像がイメージセンサ12の受光面に形成される。イメージセンサ12は、駆動回路17によって駆動され、1フィールドもしくは1フレーム分の画素信号がイメージセンサ12から所定の時間間隔(例えば1/60秒あるいは1/30秒間隔)で読み出される。
イメージセンサ12は、ここではCMOSセンサなどのX−Yアドレス型撮像素子によって構成されており、各画素に設けられたスイッチ回路によって、画素信号が画素ごとに読みだされる。イメージセンサ12の受光面上には、Cy、Ye、G、Mg、あるいはR、G、Bなどの色要素をマトリクス配列させた色フィルタアレイ(図示せず)が配設されている。
イメージセンサ12から読み出された一連の画素信号は、アンプ14を経由して初期回路15に入力し、増幅、デジタル化される。そして、プロセッサ30の前段信号処理回路32では、デジタル画素信号に対し、ホワイトバランス処理、ガンマ補正処理などの画像信号処理が施される。これにより、R、G、Bの画像信号が生成される。
R,G,B画像信号は、画像メモリ34に一時的に保存された後、後段画像処理回路36へ送られる。後段画像処理回路36では、輪郭強調処理、スーパーインポーズ処理などが画像信号に対して施される。画像信号が映像信号としてモニタ60に出力される間、観察画像がリアルタイムでモニタ60に表示される。
CPU、ROMなどを含むシステムコントロール回路40は、タイミングジェネレータ38、前段信号処理回路32などへ制御信号を出力し、プロセッサ30が電源ON状態である間プロセッサ30の動作を制御する。動作制御プログラムは、あらかじめROMに記憶されている。
ビデオスコープ10がプロセッサ30に接続されると、システムコントロール回路40はビデオスコープ10の動作を制御するスコープコントローラ19と相互通信し、メモリ20に格納されたスコープ特性(解像度、スコープ種類など)に関するデータをメモリ41に保存する。
プロセッサ30のタイミングジェネレータ38は、前段信号処理回路32などプロセッサ30の各回路へクロックパルス信号を出力し、各回路の入出力タイミングを制御、調整する。一方、ビデオスコープ10のタイミングジェネレータ18は、駆動回路17などビデオスコープ10内の各回路へクロックパルス信号を出力し、駆動回路17からイメージセンサ12へ送られる駆動信号の出力タイミングを調整する。
プロセッサ30では、表示される被写体像の明るさが適正な明るさを維持するように自動調光処理が行われる。システムコントロール回路40は、読み出された画素信号の輝度レベルを検出し、基準輝度値との差に基づいてモータドライバ42を制御する。これに応じて、絞り46がモータ44によって開閉する。
プロセッサ30のフロントパネル50には、明るさ調整モードなどのモードを切り替える切替ボタン(図示せず)が設けられており、本実施形態では、レーザ70を使ったレーザ治療(例えば、PDT)に対処したレーザ処置モードが設定可能である。システムコントロール回路40は、モード切替ボタンからの操作信号を検出する。
レーザ70は、ここでは半導体レーザで構成されており、レーザ発振器74、駆動回路76を備える。レーザ発振器74は、500〜600nmの範囲にある波長のレーザ光線を放射し、レーザ光線をパルス状に放射することが可能である。
レーザ治療を行う場合、レーザ70の光射出部分にレーザプローブ72が接続される。レーザプローブ72は、ビデオスコープ10の鉗子口10Zを介し、鉗子チャネル10Hを通ってその先端部72Tがビデオスコープ先端部10Tへ到達するまで挿入される。
オペレータが患部にマーキングなどを施した後にレーザ処置モードを設定すると、システムコントロール回路40は、1フィールド/フレーム分の画素信号が読み出される度に飽和画素を検出する。そして、検出された飽和画素に対し、タイミングジェネレータ18、38を介して駆動回路17を制御することによって、露出制御する。具体的には、駆動回路17から出力される駆動信号の出力タイミングを変更して露光時間(電荷蓄積時間)を調整する。
以下では、図2〜4を用いて、レーザ処置モードにおける露出制御処理について説明する。
図2、3は、システムコントロール回路40によって実行される露出制御処理のフローチャートである。図4は、露出制御処理のタイミングチャートである。レーザ処置モードが設定されると、処理が開始される。
システムコントロール回路40は、1フィールド/フレーム分の画素信号(画素データ)が入力されると、各画素の画素値(ここでは輝度値)が閾値α以上であるか否かを判断する(S101、S102)。例えば、イメージセンサ12が(n×m)の画素配列である場合、位置座標(X1、Y1)の画素から位置座標(Xm、Yn)の画素まで、順次閾値αと比較される。閾値αは、画素信号が飽和状態と非飽和状態との境界付近との画素値を表す。
位置座標Xk、Yl(ただし、1≦k≦m、1≦l≦n)の画素に対し、画素値が閾値α以上であると判断されると、その位置座標(アドレス)がメモリ41に記憶される。画素値が閾値α以上ではない画素については、その位置座標はメモリ41に記憶されない(S103、S104)。
ステップS102〜S104による飽和画素特定シーケンスが実行され、1フィールド/フレーム分の画素信号読み出し終了を確認すると(S105)、メモリ41に記憶された位置座標をもつ画素(以下、飽和画素という)に対し、露光時間が変更される。具体的には、飽和していない画素の露光時間t0よりも短い露光時間t1を設定する(S106)。
図4には、イメージセンサ12の各画素に対する露光時間を示している。ただし、ここでは1フレーム分の画素信号をまとめて所定時間間隔Tで読み出している。N−1番目のフレーム期間において飽和していると判断された位置座標(Xk、Yl)の飽和画素は、N番目のフレーム期間において露光時間“t1”に変更されている。露光時間t1は、画素の蓄積電荷量が飽和して隣接画素に漏れる(ブルーミング)ことを防ぐように定められており、例えば、他の画素の通常の露光時間t0の半分に設定される。
飽和画素に対し露光時間t1が設定されると、次のフィールド/フレーム期間において読み出される画素信号の画素値は、露光時間t1が反映された値となる。システムコントロール回路40は、露光時間t1の設定によってその画素の飽和状態が解消されたか否かを判断する。具体的には、1フィールド/フレーム分の画素信号の中で、メモリ41に記憶された位置座標をもつ飽和画素の画素値が閾値β以下であるか否かが判断される(S107、S108、S112)。
画素値が閾値β以下の場合、飽和画素の画素信号が飽和状態でなく、露光時間t1の設定によって適切な光量を受光するようになったと判断される。そして、飽和画素として記憶されていた位置座標(Xk、Yl)のデータがメモリ41から消去される(S113)。一方、画素値が閾値βを超えている場合、飽和画素の飽和状態が維持されているとみなされる。そのため、飽和画素としての記憶は維持され、位置座標データの消去は行われない。
位置座標(Xk、Yl)のデータがメモリ41から消去されると、次のフィールド/フレーム期間において、露光時間t0が設定される(S106)。図4では、N+1番目のフレーム期間において検出された位置座標(Xk、Yl)をもつ飽和画素の画素値が閾値β以下と判断されたことにより、N+2番目のフレーム期間では露光時間t0による露出制御が行われている。
飽和画素以外の画素については、ステップS102〜S104と同様、飽和画素を特定するシーケンス処理が実行される(S109〜S111)。画素値が閾値α以上の画素値をもつ場合、その画素の位置座標がメモリ41に記憶される。
このような飽和画素特定のシーケンスと飽和画素設定解除のシーケンスが、1フィールド/フレーム分の画素信号の読出し毎に並列的に実行され、レーザ処置モードがOFFになるまで、露出制御処理が繰り返し実行される(S114)。これにより、飽和画素については常に露光時間t1によって画素信号が読み出され、1フィールド/フレーム期間ごとに対象となる飽和画素が更新される。なお、ステップS109を省き、すべての画素信号に対して飽和画素特定シーケンスを実行するようにしてもよい。
このように本実施形態によれば、可視光のレーザ光線を照射するレーザと、ビデオスコープの鉗子チャネルに挿通可能なレーザプローブを使ってレーザ治療を行うことができる内視鏡システムにおいて、レーザ処置モードが設定されると、飽和画素を検出してその位置座標をメモリ41に記憶するとともに、飽和画素以外の画素に設定された露光時間t0よりも短い露光時間t1を、飽和画素に設定する。次のフィールド/フレーム期間において飽和状態でないと判断されると、位置座標のデータがメモリ41から消去される。
レーザ光の照射中、オペレータによって保持されるレーザプローブ72の先端部72Tは常時一定方向を向いているわけではなく、処置、手術の状況に応じてレーザ光の照射位置は変化し、飽和画素領域もそれに伴って移動する。上述した飽和画素の更新、露光時間t1の設定により、レーザ照射位置の移動に対処して露出制御することとなり、飽和部分を抑制した観察画像を常時表示することが可能となる。
また、各フィールド/フレーム期間についてその都度飽和画素特定するのではなく、前回のフィールド/フレーム期間において飽和画素の情報をメモリに記憶し、非飽和状態へ移行した画素についてメモリから消去することにより、効率的に飽和画素全体を把握し、露光時間t1設定までの処理時間を短くすることができる。
本実施形態では、可視光域の波長をもつレーザ光線を利用したレーザ治療を行っているが、赤外光、近赤外光、紫外光のレーザ光線を利用した診断、処置などにも適用することが可能である。従来のビデオスコープには、赤外光、紫外光の光をカットするフィルタがイメージセンサ前面に配置されているが、医師などのオペレータは、そのビデオスコープの仕様を考慮せずにレーザを用いる可能性がある。その場合においても、適切な観察画像を表示することができる。なお、従来のビデオスコープのように、赤外光、紫外光など可視光以外の波長をもつ光をカットするフィルタを設けてもよい。
なお、電子シャッタ機能によって明るさ調整処理を実行する内視鏡システムにおいても、電荷掃出し用の駆動信号出力タイミングを調整することによって、飽和画素の露光時間を調整することが可能である。また、ビデオスコープにおいて飽和画素検出、および露出制御を行なってもよい。
10 ビデオスコープ
12 イメージセンサ
17 駆動回路(イメージセンサ駆動部)
18 タイミングジェネレータ(露出制御部)
30 プロセッサ
38 タイミングジェネレータ(露出制御部)
40 システムコントロール回路(露出制御部、飽和画素検出部)
70 レーザ
72 レーザプローブ
74 レーザ発振器(レーザ光線照射部)

Claims (5)

  1. 特定波長域のレーザ光線を放射可能なレーザと、
    ビデオスコープに形成されたチャネルに挿通可能であって、レーザ光線をビデオスコープの先端部へ導くレーザプローブと、
    前記ビデオスコープの先端部に設けられるX−Yアドレス型イメージセンサと、
    前記イメージセンサに対し駆動信号を出力し、所定の時間間隔で1フィールドまたはフレーム(以下、1フィールド/フレームとする)分の画素信号を読み出すイメージセンサ駆動部と、
    前記イメージセンサから読み出される1フィールド/フレーム分の画素信号に基づいて、前記イメージセンサの画素の中で飽和している飽和画素を検出する飽和画素検出部と、
    前記イメージセンサ駆動部を制御し、飽和画素に対する露光時間を、その他の飽和してない画素に対して設定される通常露光時間よりも短くする露出制御部と
    を備えたことを特徴とする内視鏡システム。
  2. 前記露出制御部が、検出された飽和画素の画素値があらかじめ定められた閾値以下の場合、次のフィールド/フレーム期間における飽和画素露光時間を、通常露光時間に戻すことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
  3. 前記飽和画素検出部が、所定のフィールド/フレーム期間における飽和画素の位置座標をメモリに記憶し、
    前記露出制御部が、前回のフィールド/フレーム期間において前記飽和画素検出手段により前記メモリに記憶された前記飽和画素の位置座標を、閾値以下の場合には前記メモリから消去することを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の内視鏡システム。
  4. 前記レーザが、可視光域のレーザ光線を放射することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の内視鏡システム。
  5. ビデオスコープの先端部に設けられるX−Yアドレス型イメージセンサに対し駆動信号を出力し、所定の時間間隔で1フィールドまたはフレーム(以下、1フィールド/フレームとする)分の画素信号を読み出すイメージセンサ駆動部と、
    前記イメージセンサから読み出される1フィールド/フレーム分の画素信号に基づいて、前記イメージセンサの画素の中で飽和している飽和画素を検出する飽和画素検出部と、
    前記イメージセンサ駆動部を制御し、飽和画素に対する露光時間を、その他の飽和してない画素の通常露光時間よりも短くする露出制御部と
    を備えたことを特徴とする内視鏡装置。


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