本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
〔実施形態1〕
実施形態1に係る非接触電力伝送ユニットについて説明する。図1は、実施形態1に係る非接触電力伝送ユニットの構成例を示す分解斜視図である。図2は、実施形態1に係る非接触電力伝送ユニットの構成例を示す斜視図である。図3は、実施形態1に係る非接触電力伝送ユニットの構成例を示す斜視図である。図4は、実施形態1に係る非接触電力伝送ユニットの構成例を示す回路図である。図5は、実施形態1に係る非接触電力伝送ユニットの要部の構成例を示す底面側の斜視図である。図6は、実施形態1に係る電力伝送コイルの引き出し線の引き出し例を示す斜視図である。図7は、実施形態1に係る電力伝送コイルの引き出し線の引き出し例を示す断面図である。図8は、実施形態1に係る収容ケースの構成例を示す斜視図である。図9は、実施形態1に係る収容ケースの構成例を示す平面図である。図10は、実施形態1に係る収容ケースの構成例を示す底面側の斜視図である。図11は、実施形態1に係る収容ケースの構成例を示す底面図である。図12は、実施形態1に係る電力伝送コイルの収容例を示す斜視図である。図13は、実施形態1に係る非接触電力伝送ユニットの取付例を示す分解斜視図である。図14は、実施形態1に係る非接触電力伝送ユニットの取付例を示す斜視図である。図15は、実施形態1に係る非接触電力伝送ユニットの取付例を示す断面図である。
非接触電力伝送ユニット1は、非接触で電力を伝送するものである。非接触電力伝送ユニット1は、電力を送電する送電側、又は、電力を受電する受電側として機能する。非接触電力伝送ユニット1は、例えば、図示しない車両に設けられた蓄電池を充電する場合に使用される。この場合、受電側の非接触電力伝送ユニット1は、例えば、車両の底面部に設置され、車両の蓄電池に接続される。また、送電側の非接触電力伝送ユニット1は、例えば、図示しない充電ステーションの地面に設置され、電源に接続される。送電側の非接触電力伝送ユニット1は、受電側の非接触電力伝送ユニット1と対向した状態で、電源から供給される電力を磁気共鳴により受電側の非接触電力伝送ユニット1に送電する。受電側の非接触電力伝送ユニット1は、送電側の非接触電力伝送ユニット1から送電された電力を受電し、受電した電力を車両の蓄電池に出力する。
非接触電力伝送ユニット1は、図1、図2、図3、図5に示すように、電力伝送コイル10と、電子部品20と、電線30と、フェライト部材40と、基材50と、粘着テープ60と、収容ケース70と、充填材80と、取付部材90とを備える。ここで、電力伝送コイル10のコイル軸線Xに沿った方向をコイル軸線方向とする。また、電線30が引き出される側をコイル軸線方向の上側とし、収容ケース70側をコイル軸線方向の下側とする。非接触電力伝送ユニット1は、電力伝送コイル10のコイル軸線方向に沿って、下側から上側に向かって順に、収容ケース70、電力伝送コイル10、基材50、粘着テープ60、フェライト部材40の順番で積層された状態で、収容ケース70内に充填材80が充填されることで構成され、電線30が電力伝送コイル10の内周側111からコイル軸線方向の上側に導出される。以下、非接触電力伝送ユニット1の構成について詳細に説明する。
電力伝送コイル10は、非接触で電力の伝送を行うものである。電力伝送コイル10は、コイル本体11と、引き出し線12とを有する。コイル本体11は、コイル軸線Xを中心として電子部品20の周りに渦巻状に形成される。例えば、コイル本体11は、素線13が巻き回されるにつれコイル軸線Xから径方向外側に巻き回される。つまり、コイル本体11は、素線13がコイル本体11の内周側111から外周側112に向けて巻き回される。コイル本体11は、隣接する素線13同士が当接し、電子部品20の周りに角部が曲線とされたロの字形状に形成される。コイル本体11は、磁気共鳴により電力を送電又は受電する。コイル本体11は、受電側の非接触電力伝送ユニット1に適用される場合には、受電側のコイル本体11を構成し、送電側の非接触電力伝送ユニット1に適用される場合には、送電側のコイル本体11を構成する。引き出し線12は、コイル本体11から引き出される線である。引き出し線12は、素線13の巻き始めの始端部131を含む第1引き出し線121と、素線13の巻き終わりの終端部132を含む第2引き出し線122とから構成される。第1引き出し線121は、素線13の始端部131がコイル本体11の内周側111に位置する(図12など参照)。第2引き出し線122は、素線13の終端部132がコイル本体11の外周側112からコイル本体11を横断してコイル本体11の内周側111に位置する。第1引き出し線121と第2引き出し線122とは、電子部品20に接続される。なお、この例では、素線13がコイル本体11の内周側111から外周側112に向けて巻き回されるので、素線13の始端部131は、コイル本体11の内周側111に位置し、素線13の終端部132は、コイル本体11の外周側112からコイル本体11を横断してコイル本体11の内周側111に位置するが、素線13の始端部131と終端部132とは、逆でもよい。例えば、素線13がコイル本体11の外周側112から内周側111に向けて巻き回される場合、素線13の始端部は、コイル本体11の外周側112からコイル本体11を横断してコイル本体11の内周側111に位置し、素線13の終端部は、コイル本体11の内周側111に位置する。
電子部品20は、例えば、交流電力を直流電力に変換するものである。電子部品20は、受電側の非接触電力伝送ユニット1に実装され、電力伝送コイル10の引き出し線12に接続される。電子部品20は、例えば、コンデンサC(C1,C2)、ダイオードD、バスバーBなどを備える。コンデンサC1は、図4に例示するように、電力伝送コイル10(L)と共に共振回路を構成する。ダイオードDは、全波整流回路を構成し、交流電力を直流電力に変換する。コンデンサC2は、平滑回路を構成し、整流された電力の中に含まれる脈流を平滑化する。バスバーBは、コンデンサCやダイオードDなどを電気的に接続する。電子部品20は、後述の基材50に実装される。
電線30は、例えば、ワイヤーハーネスを構成するものである。電線30は、コイル本体11の内周側111からコイル軸線方向に導出する。電線30は、絶縁カバー31により被覆される。電線30は、一端がバスバーBを介して基材50に接続され、他端がコネクタ32を介して充電ステーションの電源又は車両の蓄電池などに接続される。例えば、送電側の非接触電力伝送ユニット1の電線30は、充電ステーションの電源から供給される電力を電力伝送コイル10に流す。また、受電側の非接触電力伝送ユニット1の電線30は、電力伝送コイル10により受電した電力を車両の蓄電池に流す。
フェライト部材40は、磁性体であり、電力伝送コイル10のコイル本体11と対向して配置される。例えば、フェライト部材40は、複数のフェライトブロック41から構成される。フェライトブロック41は、板状であり、同一サイズの矩形状に形成されるがこれに限定されない。各フェライトブロック41は、コイル軸線方向と直交する面に沿ってコイル本体11と対向するように並べて配置される。フェライトブロック41は、隣接するフェライトブロック41と可能な限り近接される。なお、フェライトブロック41とフェライトブロック41との間は、電力伝送コイル10のインダクタンス値を安定させるために隙間をなくすことが望ましいが、公差などを加味した多少の隙間は許容してもよい。
フェライト部材40は、図6及び図7に示すように、第2引き出し線122の近傍に第2引き出し線122を収容する収容溝部42を有する。収容溝部42は、フェライト部材40をコイル軸線方向と直交する方向に横断し、フェライト部材40の外周側43と内周側44とを連通する。収容溝部42は、フェライトブロック41と、当該フェライトブロック41に隣接するフェライトブロック41との間に形成される。例えば、収容溝部42は、隣接するフェライトブロック41において、コイル軸線方向の上側で対向する上端角部411が面取りされて形成される。収容溝部42は、当該収容溝部42に配索されて収容される第2引き出し線122の延在方向から見た場合に、V字形状に形成される。収容溝部42を構成するフェライトブロック41は、端面がお互いに可能な限り近接する。これにより、非接触電力伝送ユニット1は、収容溝部42を形成しても、電力伝送コイル10のインダクタンス値を安定させることができる。なお、上述したように、収容溝部42を構成するフェライトブロック41は、多少の隙間は許容できる。収容溝部42に収容された第2引き出し線122は、コイル本体11を横断し、当該第2引き出し線122の終端部132が、コイル本体11の内周側111に位置する。第2引き出し線122の終端部132は、バスバーBに接続される。
基材50は、複数の電子部品20が電気的に接続されるものである。基材50は、適用される車種などに応じて要求される回路を構成する。基材50は、例えば、絶縁性の樹脂材料からなる絶縁基板に、導電性の金属材料からなるバスバーが形成されたものを用いることができる。また、基材50は、例えば、絶縁性の樹脂材料からなる絶縁基板に、銅などの導電性の材料によって配線パターン(プリントパターン)が印刷されたいわゆるプリント回路基板(Printed Circuit Board:PCB)を用いることができる。また、基材50は、バスバーを絶縁性の樹脂材料で被覆したバスバープレートを用いることができる。本実施形態1の基材50は、絶縁機能を有する絶縁基板によって構成され、バスバーBなどの電子部品20が実装される。基材50は、収容ケース70の内周と略同じ大きさに形成される。基材50は、電力伝送コイル10とフェライト部材40との間に位置する。
基材50は、電子部品実装領域51と、スペーサ領域52とを有する。電子部品実装領域51は、電子部品20が実装される領域である。ここでは、電子部品実装領域51は、基材50の略中央に設けられた矩形状の領域である。電子部品実装領域51は、基材50のコイル軸線方向の上側である表面と基材50のコイル軸線方向の下側である裏面とに設けられる。基材50の表面の電子部品実装領域51には、コンデンサCとダイオードDとが実装され、基材50の裏面の電子部品実装領域51には、バスバーBが実装される。電子部品実装領域51は、部品実装開口部511と、挿通孔512と、充填孔513とを有する。部品実装開口部511と、挿通孔512と、充填孔513とは、基材50を貫通する。部品実装開口部511は、電子部品20を実装する開口部であり、当該電子部品20を収容する。部品実装開口部511には、電子部品20が基材50に実装された状態で、コイル軸線方向における高さが他の電子部品20よりも高い電子部品20が実装される。例えば、コンデンサC2は、コンデンサC1及びダイオードDよりもコイル軸線方向における高さが高いので、部品実装開口部511に実装される。部品実装開口部511に実装されたコンデンサC2は、基材50のフェライト部材40側と基材50の電力伝送コイル10側との両側に突出する。コンデンサC1とダイオードDとは、コンデンサC2よりもコイル軸線方向における高さが低いので、部品実装開口部511以外の基板50の表面に実装される。これにより、基材50に実装される電子部品20は、コイル軸線方向の高さが揃えられ、非接触電力伝送ユニット1の大型化を抑制できる。
挿通孔512は、基材50の表面の電子部品実装領域51と基材50の裏面の電子部品実装領域51とを連通する。挿通孔512は、電子部品実装領域51に実装されたダイオードDなどの端子が、コイル軸線方向の上側から下側に向けて挿通される。ダイオードDなどの端子は、バスバーBに接続される。充填孔513は、後述する充填材80が流れ落ちる孔である。本実施形態1では、充填孔513は、電子部品実装領域51の略中央に1箇所円形の孔が開口される。スペーサ領域52は、電子部品実装領域51の周囲を囲う領域であり、電力伝送コイル10とフェライト部材40とにより挟まれる領域である。スペーサ領域52は、ロの字形状に形成され、電力伝送コイル10とフェライト部材40と同等の面積を有している。スペーサ領域52は、電力伝送コイル10とフェライト部材40とにより挟まれることで、フェライト部材40と電力伝送コイル10との間隔を確保するための領域である。基材50は、電力伝送コイル10とフェライト部材40とを絶縁する。
粘着テープ60は、粘着部材であり、基材50にフェライト部材40を固定するものである。粘着テープ60は、複数枚のテープブロック61から構成される。各テープブロック61は、フェライトブロック41と略同じ大きさに形成され、各フェライトブロック41を基材50に固定する。
収容ケース70は、電力伝送コイル10、フェライト部材40、電子部品20、及び、基材50を収容するものである。収容ケース70は、コイル軸線方向から見た場合、矩形状に形成されており、一定の深さを有している。収容ケース70は、図11及び図9に示すように、平面状、かつ、矩形状に形成された平面部71と、平面部71の4辺から構成される縁部76から立設された側壁部72と、各側壁部72の先端部からコイル軸線方向に直交する方向に外側に向けて延在する外周端部73とを有する。外周端部73は、側壁部72の先端部に沿って連続してロの字形状に形成される。外周端部73は、収容ケース70を車両の底面部などの固定対象物2(図13など参照)に固定するための固定孔部731を有する。例えば、固定孔部731は、外周端部73の4つの角と、外周端部73の各辺の略中央とに設けられる。平面部71と側壁部72とは、収容部74を構成する。収容部74の平面部71の内側(平面部71と側壁部72とにより囲われた空間側)の表面には、電力伝送コイル10を位置決めするコイル位置決め溝部711が設けられる。コイル位置決め溝部711は、コイル本体11の外形に沿って環状に形成され、角部が曲線状のロの字形状に形成される。例えば、コイル位置決め溝部711は、コイル本体11の外周側112に沿って形成される外周位置決め壁711bと、コイル本体11の内周側111に沿って形成される内周位置決め壁711cとを有する。内周位置決め壁711cは、外周位置決め壁711bの内周側に位置し、同軸上に形成される。内周位置決め壁711cと外周位置決め壁711bとのコイル軸線方向に直交する方向における間隔は、コイル本体11の幅方向における間隔と略同じ間隔である。外周位置決め壁711bのコイル軸線方向における高さと、内周位置決め壁711cのコイル軸線方向における高さとは、コイル本体11のコイル軸線方向における高さと略同じ高さである。内周位置決め壁711cの中央には、基材50の電力伝送コイル10側に設けられる電子部品20、例えばバスバーBなどを収容する空間部712が設けられる。内周位置決め壁711cには、空間部712に配置される電子部品20に向けて第1引き出し線121を引き出すための隙間711dが設けられる。
収容ケース70には、図10及び図11に示すように、放熱フィン75が設けられる。放熱フィン75は、放熱板であり、電力伝送コイル10や電子部品20から発生する熱を外部に放熱するものである。収容ケース70は、放熱フィン75により収容部74の外側の表面積を増加して、放熱効果を高める。放熱フィン75は、収容部74の平面部71及び側壁部72の外側の表面に設けられ、コイル軸線方向においてコイル位置決め溝部711とは反対側に位置する。収容ケース70の平面部71は、平面部71の仮想の対角線P1,P2により4つの領域(第1領域710a〜第4領域710d)に区画される。平面部71の仮想の対角線P1,P2は、例えば、コイル位置決め溝部711の仮想の対角線と重なる。平面部71は、各領域でコイル位置決め溝部711の延在方向が異なるため、仮想の対角線P1,P2により区画されるそれぞれの領域で放熱フィン75の延在方向が規定される。例えば、平面部71の仮想の対角線P1,P2の交点710eを挟んで対向する第1領域710aの放熱フィン75と第3領域710cの放熱フィン75とは、第1方向に延在する。また、平面部71の仮想の対角線P1,P2の交点710eを挟んで対向する第2領域710bの放熱フィン75と第4領域710dの放熱フィン75とは、第2方向に延在する。第1方向と第2方向とは、平面部71の縁部76から当該平面部71の中心に向けて延在する方向である。典型的には、第1方向は、第2領域710b及び第4領域710dの辺に沿う方向であり、第2方向は、第1領域710a及び第3領域710cの辺に沿う方向である。第1方向と第2方向とは交差し、好ましくは、第1方向と第2方向とは直交する。これにより、放熱フィン75の延在方向は、コイル位置決め溝部711の延在方向と交差し、好ましくは直交する。例えば、第1領域710aの放熱フィン75の延在方向は、第1領域710aのコイル位置決め溝部711の延在方向と略直交(直交を含む)する。また、第2領域710bの放熱フィン75の延在方向は、第2領域710bのコイル位置決め溝部711の延在方向と略直交(直交を含む)する。また、第3領域710cの放熱フィン75の延在方向は、第3領域710cのコイル位置決め溝部711の延在方向と略直交(直交を含む)する。また、第4領域710dの放熱フィン75の延在方向は、第4領域710dのコイル位置決め溝部711の延在方向と略直交(直交を含む)する。なお、放熱フィン75は、交点710eから縁部76へ放射状に延在してもよい。
平面部71の仮想の対角線P1,P2を挟んで隣接する領域の放熱フィン75は、各領域710a〜710dのコイル位置決め溝部711の延在方向に応じて略直交(直交を含む)する方向に延在する。例えば、仮想の対角線P1を挟んで隣接する第1領域710aの放熱フィン75と第4領域710dの放熱フィン75とは、略直交(直交を含む)する方向に延在する。また、仮想の対角線P2を挟んで隣接する第1領域710aの放熱フィン75と第2領域710bの放熱フィン75とは、略直交(直交を含む)する方向に延在する。また、仮想の対角線P2を挟んで隣接する第3領域710cの放熱フィン75と第4領域710dの放熱フィン75とは、略直交(直交を含む)する方向に延在する。また、仮想の対角線P1を挟んで隣接する第3領域710cの放熱フィン75と第2領域710bの放熱フィン75とは、略直交(直交を含む)する方向に延在する。
また、ここで、第1領域710aの放熱フィン75と略直交する第4領域710dの放熱フィン75は、当該第1領域710aの放熱フィン75と連続して形成される。また、第1領域710aの放熱フィン75と略直交する第2領域710bの放熱フィン75は、当該第1領域710aの放熱フィン75と連続して形成される。また、第3領域710cの放熱フィン75と略直交する第4領域710dの放熱フィン75は、当該第3領域710cの放熱フィン75と連続して形成される。また、第3領域710cの放熱フィン75と略直交する第2領域710bの放熱フィン75は、当該第3領域710cの放熱フィン75と連続して形成される。
また、平面部71の放熱フィン75は、平面部71から立設する側壁部72に沿ってコイル軸線方向にも延在される。例えば、第1領域710aの放熱フィン75は、第1領域710aから立設する第1側壁部721に沿ってコイル軸線方向にも延在する。また、第2領域710bの放熱フィン75は、第2領域710bから立設する第2側壁部722に沿ってコイル軸線方向にも延在される。また、第3領域710cの放熱フィン75は、第3領域710cに沿って立設する第3側壁部723に沿ってコイル軸線方向にも延在される。また、第4領域710dの放熱フィン75は、第4領域710dから立設する第4側壁部724に沿ってコイル軸線方向にも延在される。
充填材80は、電力伝送コイル10、フェライト部材40、電子部品20、及び、基材50の位置を収容ケース70内に固定するものである。充填材(ポッティング材)80は、例えば、熱硬化性又は熱可塑性の合成樹脂などを材料とする。充填材80は、電力伝送コイル10、フェライト部材40、電子部品20、及び、基材50が収容ケース70に収容された状態で収容ケース70のコイル軸線方向における上面まで充填され、これらを覆った状態で当該収容ケース70内で凝固する。例えば、充填材80は、電力伝送コイル10、フェライト部材40、電子部品20、及び、基材50が収容ケース70に収容された状態で充填されると、基材50のフェライト部材40側に溜まり、さらに、基材50の充填孔513から収容ケース70の底面部に流れ落ちる。そして、充填材80は、基材50の電力伝送コイル10側に充填される。このように、充填材80は、基材50の電力伝送コイル10側、及び、基材50のフェライト部材40側に充填され、収容ケース70の内部に行き渡る。なお、図1において、説明の理解を容易にするために、充填材80は、直方体形状として図示しているが、実際には、上述したように、基材50の電力伝送コイル10側などにも充填される。
取付部材90は、電力伝送コイル10、フェライト部材40、電子部品20、及び、基材50が収容ケース70に収容された状態で、収容ケース70を車両の底面部などの固定対象物2に取り付けるものである。取付部材90は、図13〜図15に示すように、ボルト91と、ワッシャー92と、円筒形状のカラー93と、円筒形状のブッシュ94とを備える。ボルト91は、頭部911と、頭部911から延在する円柱部912と、円柱部912の先端に設けられたネジ部913とを有する。ネジ部913は、固定対象物2のネジ孔2aに螺合する。円柱部912には、ワッシャー92とカラー93とブッシュ94とが挿通される。円柱部912とブッシュ94との間には、カラー93が介在する。カラー93は、円柱部912とブッシュ94との間隔を調整する。ワッシャー92は、頭部911と、カラー93及びブッシュ94との間に位置する。ブッシュ94は、弾性部材であり、固定対象物2と収容ケース70の外周端部73との取付け誤差を吸収するものである。ブッシュ94は、ブッシュ94の軸線方向における略中央に、周方向に沿って形成された嵌合溝部941を有し、嵌合溝部941が収容ケース70の固定孔部731の内周部に嵌合される。ブッシュ94は、収容ケース70が固定対象物2に取り付けられた状態で、軸心方向における一方の端面942が固定対象物2に当接し、軸心方向における他方の端面943がワッシャー92を介してボルト91の頭部911に当接する。また、カラー93とワッシャー92とは、ボルト91に一体形成されていてもよい。例えば、ボルト91aは、円柱部912aとワッシャー92aとが一体形成されている。
以上のように、実施形態1に係る非接触電力伝送ユニット1によれば、電子部品20が実装される基材50は、電力伝送コイル10とフェライト部材40との間に位置する。これにより、非接触電力伝送ユニット1は、基材50によって電力伝送コイル10とフェライト部材40との間隔を確保した上で、電力伝送コイル10と電子部品20との相対位置を容易に位置決めすることができる。この結果、非接触電力伝送ユニット1は、電力伝送コイル10と電子部品20とを適正に組み付けることができる。また、非接触電力伝送ユニット1は、基材50がフェライト部材40の緩衝材として機能することができる。従って、非接触電力伝送ユニット1は、少ない部品構成でインダクタンス値を安定させることができると共に、電気性能を向上できる。また、非接触電力伝送ユニット1は、部品点数が少ないので価格を下げることができる。
また、非接触電力伝送ユニット1は、電子部品20が実装される電子部品実装領域51と、フェライト部材40と電力伝送コイル10との間隔を確保するスペーサ領域52とが基材50に設けられる。これにより、非接触電力伝送ユニット1は、基材50に電子部品20を容易に実装することができる。また、非接触電力伝送ユニット1は、電力伝送コイル10とフェライト部材40とにより、基材50を確実に挟持することができる。
また、非接触電力伝送ユニット1は、電子部品20を介して引き出し線12に接続される電線30は、コイル本体11の内周側111からコイル軸線方向に導出する。これにより、非接触電力伝送ユニット1は、電線30がコイル本体11を横断しないので、コイル本体11の磁界に与える影響を抑制できる。また、非接触電力伝送ユニット1は、非接触電力伝送ユニット1の厚みを薄くできる。
また、非接触電力伝送ユニット1は、電力伝送コイル10、フェライト部材40、電子部品20、及び、基材50を収容ケース70に収容した状態で、収容ケース70内で少なくとも電力伝送コイル10を覆う充填材80を備える。これにより、非接触電力伝送ユニット1は、収容ケース70内に収容された電力伝送コイル10、フェライト部材40、電子部品20、及び、基材50の位置を固定することができる。また、非接触電力伝送ユニット1は、防水性、防塵性を向上できる。また、非接触電力伝送ユニット1は、充填材80が空気より熱伝導率がよいので、効果的に放熱できる。
また、非接触電力伝送ユニット1は、コイル本体11の引き出し線12の端部、つまり始端部131及び終端部132がコイル本体11の内周側111に位置する。これにより、非接触電力伝送ユニット1は、コイル本体11の内周側111に位置する電子部品20にコイル本体11を容易に電気的に接続できる。
また、非接触電力伝送ユニット1は、フェライト部材40の収容溝部42が、当該収容溝部42に収容される第2引き出し線122の終端部132をコイル本体11の内周側111に位置させる。これにより、非接触電力伝送ユニット1は、第2引き出し線122が収容溝部42に収容されるので、非接触電力伝送ユニット1の厚みを薄くできる。その上で、非接触電力伝送ユニット1は、収容溝部42を構成するフェライトブロック41が可能な限り近接することができるので、電力伝送コイル10の磁束が安定し、インダクタンス値を一定に保つことができる。
また、非接触電力伝送ユニット1は、電力伝送コイル10、基材50、電子部品20、及び、フェライト部材40が収容ケース70に収容された状態で、収容ケース70に注入された充填材80が充填孔513を通過して基材50の下側に充填する。これにより、非接触電力伝送ユニット1は、充填材80を素早く収容ケース70内に行き渡らせることができると共に、充填材80を収容ケース70内の隅々まで充填することができる。
また、非接触電力伝送ユニット1は、放熱フィン75の延在方向が、コイル位置決め溝部711の延在方向と交差する。例えば、非接触電力伝送ユニット1は、収容ケース70が、仮想の対角線P1,P2により4つの領域に区画され、仮想の対角線P1,P2の交点710eを挟んで対向する第1領域710aの放熱フィン75と第3領域710cの放熱フィン75とが、第1方向に延在し、交点710eを挟んで対向する第2領域710bの放熱フィン75と第4領域710dの放熱フィン75とが、第2方向に延在し、第1方向と第2方向とが、交差する。これにより、非接触電力伝送ユニット1は、放熱フィン75により電力伝送コイル10などの熱を収容ケース70の内部から外部に放熱することができる。その上で、非接触電力伝送ユニット1は、収容ケース70のコイル位置決め溝部711の延在方向に折り曲がる力が加わった場合、放熱フィン75が当該折り曲げ力に抵抗するので、収容ケース70の強度を向上できる。また、非接触電力伝送ユニット1は、放熱フィン75が、収容ケース70に外部から加わる衝撃を緩衝する機能も有する。例えば、非接触電力伝送ユニット1は、収容ケース70に外部から衝撃が加わると、放熱フィン75が屈曲して収容ケース70の内部に収容された電子部品20などが受ける衝撃を緩衝する。
また、非接触電力伝送ユニット1は、電子部品20が基材50に実装された状態で、コイル軸線方向における高さが相対的に高い電子部品20が部品実装開口部511に実装される。これにより、非接触電力伝送ユニット1は、非接触電力伝送ユニット1の厚みを薄くできる。
また、非接触電力伝送ユニット1は、外周端部73が、収容ケース70の側壁部72の先端部に沿って連続して形成され、収容ケース70を固定対象物2に固定するための固定孔部731を有する。非接触電力伝送ユニット1は、固定孔部731が外周端部73から突出していないので、固定孔部731が外周端部73から突出した場合と比較して、固定対象物2に強固に固定することができる。つまり、非接触電力伝送ユニット1は、固定孔部731に応力が集中することを抑制できるので、固定対象物2に強固に固定できる。
また、非接触電力伝送ユニット1は、取付部材90がブッシュ94を備えるので、固定対象物2と収容ケース70との取付け誤差を吸収することができる。
〔実施形態1の変形例1〕
次に、実施形態1の変形例1に係る電力伝送コイルの引き出し線の引き出し例について説明する。実施形態1の変形例1は、引き出し線を収容する収容溝部が実施形態1と異なる。図16は、実施形態1の変形例1に係る電力伝送コイルの引き出し線の引き出し例を示す断面図である。実施形態1と同様の構成は、説明を省略する。
フェライト部材40は、図16に示すように、実施形態1の収容溝部42の代わりに収容溝部42aを有する。収容溝部42aは、第2引き出し線122を収容するものである。収容溝部42aは、フェライト部材40をコイル軸線方向と直交する方向に横断し、フェライト部材40の外周側43と内周側44とを連通する。収容溝部42aは、フェライトブロック41aと、当該フェライトブロック41aに隣接するフェライトブロック41aとの間に形成される。例えば、収容溝部42aは、隣接するフェライトブロック41aにおいて、コイル軸線方向の上側で対向する上端角部411aの各々が切削されて形成される。具体的には、収容溝部42aは、当該収容溝部42aに配索されて収容される第2引き出し線122の延在方向から見た場合に、U字形状に形成される。収容溝部42aを構成するフェライトブロック41aは、端面がお互いに可能な限り近接する。これにより、非接触電力伝送ユニット1は、収容溝部42aを形成しても、電力伝送コイル10のインダクタンス値を安定させることができる。
以上のように、実施形態1の変形例1に係る非接触電力伝送ユニット1は、第2引き出し線122の延在方向から見た場合にU字形状に形成された収容溝部42aが、当該第2引き出し線122を収容するので、実施形態1の収容溝部42と同様に非接触電力伝送ユニット1の厚みを薄くできる。
〔実施形態1の変形例2〕
次に、実施形態1の変形例2に係る電力伝送コイルの引き出し線の引き出し例について説明する。実施形態1の変形例2は、引き出し線を収容する収容溝部が実施形態1と異なる。図17は、実施形態1の変形例2に係る電力伝送コイルの引き出し線の引き出し例を示す断面図である。実施形態1と同様の構成は、説明を省略する。
フェライト部材40は、図17に示すように、実施形態1の収容溝部42の代わりに収容溝部42bを有する。収容溝部42bは、第2引き出し線122を収容するものである。収容溝部42bは、フェライト部材40をコイル軸線方向と直交する方向に横断し、フェライト部材40の外周側43と内周側44とを連通する。収容溝部42bは、フェライトブロック41bと、当該フェライトブロック41bに隣接するフェライトブロック41bとの間に形成される。例えば、収容溝部42bは、隣接するフェライトブロック41bにおいて、コイル軸線方向の上側で対向する上端角部411bの各々が切削されて形成される。具体的には、収容溝部42bは、当該収容溝部42bに配索されて収容される第2引き出し線122の延在方向から見た場合に、矩形状に形成される。収容溝部42bを構成するフェライトブロック41bは、端面がお互いに可能な限り近接する。これにより、非接触電力伝送ユニット1は、収容溝部42bを形成しても、電力伝送コイル10のインダクタンス値を安定させることができる。
以上のように、実施形態1の変形例2に係る非接触電力伝送ユニット1は、第2引き出し線122の延在方向から見た場合に矩形状に形成された収容溝部42bが、当該第2引き出し線122を収容するので、実施形態1の収容溝部42と同様に非接触電力伝送ユニット1の厚みを薄くできる。
〔実施形態1の変形例3〕
次に、実施形態1の変形例3に係る電力伝送コイルの引き出し線の引き出し例について説明する。実施形態1の変形例3は、引き出し線を収容する収容溝部が実施形態1と異なる。図18は、実施形態1の変形例3に係る電力伝送コイルの引き出し線の引き出し例を示す断面図である。実施形態1と同様の構成は、説明を省略する。
フェライト部材40は、図18に示すように、実施形態1の収容溝部42の代わりに収容溝部42cを有する。収容溝部42cは、第2引き出し線122を収容するものである。収容溝部42cは、フェライト部材40をコイル軸線方向と直交する方向に横断し、フェライト部材40の外周側43と内周側44とを連通する。収容溝部42cは、フェライトブロック41cと、当該フェライトブロック41cに隣接するフェライトブロック41cとの間に形成される。例えば、収容溝部42cは、隣接するフェライトブロック41cにおいて、コイル軸線方向の上側で対向する一方側の上端角部411cが切削されて形成される。具体的には、収容溝部42cは、当該収容溝部42cに配索されて収容される第2引き出し線122の延在方向から見た場合に、第2引き出し線122の周面に沿って湾曲形状に形成される。なお、収容溝部42cは、第2引き出し線122の延在方向から見た場合に、湾曲形状を有していなくてもよい。収容溝部42cを構成するフェライトブロック41cは、端面がお互いに可能な限り近接する。これにより、非接触電力伝送ユニット1は、収容溝部42cを形成しても、電力伝送コイル10のインダクタンス値を安定させることができる。
以上のように、実施形態1の変形例3に係る非接触電力伝送ユニット1は、一方側の上端角部411cが切削されて形成された収容溝部42cが、当該第2引き出し線122を収容するので、実施形態1の収容溝部42と同様に非接触電力伝送ユニット1の厚みを薄くできる。また、収容溝部42cは、一方側のフェライトブロック41cの上端角部411cのみが切削されて形成されるので、容易に形成できる。
〔実施形態2〕
実施形態2に係る非接触電力伝送ユニット1Aについて説明する。実施形態2は、電力伝送コイルが2層から構成される点で実施形態1と異なる。また、実施形態2は、2層から構成される電力伝送コイルを収容する収容ケースが実施形態1と異なる。図19は、実施形態2に係る非接触電力伝送ユニットの構成例を示す分解斜視図である。図20は、実施形態2に係る電力伝送コイルの引き出し線の引き出し例を示す斜視図である。図21は、実施形態2に係る収容ケースの構成例を示す平面図である。図22は、実施形態2に係るベンチレーションプラグの装着例を示す平面図である。以下では、実施形態1と重複する説明は、できるだけ省略する。
非接触電力伝送ユニット1Aは、図19及び図20に示すように、電力伝送コイル10aと、収容ケース70aと、図示しない基材とを備える。電力伝送コイル10aは、非接触で電力の伝送を行うものであり、コイル本体11aと、引き出し線12aとを有する。コイル本体11aは、2層に分けて渦巻状に形成される。例えば、コイル本体11aは、コイル本体11aの内周側111aからコイル本体11aの外周側112aに向けて渦巻状に巻き回される第1層113と、第1層113の素線13の終端部132がコイル本体11aの外周側112aからコイル本体11aの内周側111aに向けて渦巻状に巻き回される第2層114とを有する。コイル本体11aの第1層113とコイル本体11aの第2層114とは、コイル軸線方向から見た場合、略同一の大きさに形成される。
引き出し線12aは、第1層113において素線13の巻き始めの始端部131を含む第1引き出し線121aと、第2層114において素線13の巻き終わりの終端部132を含む第2引き出し線122aとから構成される。第1引き出し線121aの始端部131と、第2引き出し線122aの終端部132とは、コイル本体11aの内周側111aに位置する。つまり、素線13がコイル本体11aの内周側111aから外周側112aに巻き回され、さらに連続して素線13がコイル本体11aの外周側112aから内周側111aに巻き回されるので、素線13の始端部131及び終端部132は、コイル本体11aの内周側111aに位置する。
実施形態2に係る基材は、実施形態1の基材50と同様に構成され、複数の電子部品が電気的に接続され、電力伝送コイル10aと図示しないフェライト部材との間に位置する。
収容ケース70aは、図21に示すように、電力伝送コイル10a、基材、電子部品、フェライト部材などを収容するものである。収容ケース70aは、コイル軸線方向から見た場合、矩形状に形成されており、一定の深さを有している。収容ケース70aは、平面状、かつ、矩形状に形成された平面部71aと、平面部71aの4辺から構成される縁部から立設された側壁部72aとを有する。平面部71aと側壁部72aとは、収容部74aを構成する。収容部74aの平面部71aの内側の表面には、電力伝送コイル10aを形成すると共に位置決めするコイル位置決め溝部711aが設けられる。コイル位置決め溝部711aは、複数の素線溝711eから構成される。素線溝711eは、渦巻状に形成され、素線13の線径に合わせて溝幅が形成される。コイル位置決め溝部711aは、素線13が素線溝711eに沿ってコイル軸線方向に2層に渡って巻き回されることにより、コイル本体11aを形成すると共にコイル本体11aを位置決めする。コイル位置決め溝部711aの仮想の対角線は、例えば、平面部71aの仮想の対角線P1,P2と重なる。
収容ケース70aの収容部74aの外側には、放熱フィン75が設けられる。放熱フィン75は、実施形態1の放熱フィン75と同様に形成される。放熱フィン75の延在方向は、コイル位置決め溝部711aの延在方向と交差する。
実施形態2に係る非接触電力伝送ユニット1Aは、図22に示すように、充填材80が充填されない場合、又は充填材80が充填されても気泡が残る場合、収容ケース70a内部の気圧を調整するベンチレーションプラグ100を備える。ベンチレーションプラグ100は、気圧調整部であり、通気性及び防水性を有する円筒形状の通気防水部101と、プラグ芯部102とを有する。ベンチレーションプラグ100は、通気防水部101がプラグ芯部102に挿入され、通気防水部101がプラグ芯部102に固定される。収容ケース70aには、ベンチレーションプラグ100を挿入するためのプラグ挿入口725が設けられる。プラグ挿入口725の径は、ベンチレーションプラグ100の径よりも小さく形成される。ベンチレーションプラグ100は、通気防水部101が圧縮された状態でプラグ挿入口725に挿入されて固定される。ベンチレーションプラグ100は、例えば、収容ケース70a内の空気の温度が高くなり気圧が上昇した場合、収容ケース70a内の気圧を外部の気圧と同程度にする。ベンチレーションプラグ100は、空気や湿気は通過させるが、水や塵埃は通過させない。非接触電力伝送ユニット1が車両の底面部に取り付けられる場合、プラグ挿入口725は、車両の全長方向における後方側に設置される。これは、車両が前進する際に、水や塵埃がプラグ挿入口725から収容ケース70aの内部に入り込むことを極力防ぐためである。
以上のように、実施形態2に係る非接触電力伝送ユニット1Aによれば、コイル本体11aは、コイル本体11aの内周側111aからコイル本体11aの外周側112aに向けて渦巻状に巻き回される第1層113と、第1層113の素線13の終端部132がコイル本体11aの外周側112aからコイル本体11aの内周側111aに向けて渦巻状に巻き回される第2層114とを有する。これにより、非接触電力伝送ユニット1Aは、第1引き出し線121aの始端部131と第2引き出し線122aの終端部132とをコイル本体11aの内周側111aに位置させることができる。また、非接触電力伝送ユニット1Aは、コイル本体11aが2つの層に分けて形成されるので、コイル本体11aの幅方向のサイズを小さくすることができる。
また、非接触電力伝送ユニット1Aは、収容ケース70a内部の気圧を調整するベンチレーションプラグ100を備えるので、収容ケース70a内の気圧を一定に保つことができる。
また、非接触電力伝送ユニット1Aは、コイル位置決め溝部711aに複数の素線溝711eが形成されるので、素線溝711eが補強リブとして機能し、実施形態1のコイル位置決め溝部711よりも強度を向上できる。
なお、収容ケース70aは、実施形態1のように固定孔部731を有していてもよく、取付部材90により車両の底面部などの固定対象物2に固定されてもよい。
〔実施形態3〕
実施形態3に係る非接触電力伝送ユニット1Bについて説明する。実施形態3は、車両の走行風が放熱フィンを効率よく通り抜ける点で実施形態1と異なる。図23は、実施形態3に係る収容ケースの構成例を示す底面図である。
実施形態3に係る非接触電力伝送ユニット1Bは、図23に示すように、収容ケース70bの平面部71bが、平面部71bの仮想の対角線P1,P2により4つの領域(第1領域710a〜第4領域710d)に区画され、それぞれの領域で放熱フィン75bの延在方向が規定される。放熱フィン75bの延在方向は、コイル位置決め溝部711の延在方向と交差する。非接触電力伝送ユニット1Bは、平面部71bの第1領域710aが車両の全長方向における前方に設置され、平面部71bの第3領域710cが車両の全長方向における後方に設置される。平面部71bの交点710eを挟んで対向する第1領域710aの放熱フィン75bと第3領域710cの放熱フィン75bとは、車両の全長方向に延在する。つまり、第1領域710aの放熱フィン75bと第3領域710cの放熱フィン75bとは、例えば、車両が直進する場合に、車両の走行風の進行方向と略同一方向に延在する。平面部71bの交点710eを挟んで対向する第2領域710bの放熱フィン75bと第4領域710dの放熱フィン75bとは、車両の走行風の進行方向とは交差する方向に延在し、収容ケース70bの縁部76側の一端750が他端751より風下側に位置する。つまり、第2領域710bの放熱フィン75bの延在方向は、車両の走行風の進行方向に対する角度θ1が鈍角を有する。また、第4領域710dの放熱フィン75bの延在方向は、車両の走行風の進行方向に対する角度θ2が鈍角を有する。
第1領域710aの放熱フィン75bと仮想の対角線P1上で交わる第4領域710dの放熱フィン75bは、当該第1領域710aの放熱フィン75bと連続して形成される。また、第1領域710aの放熱フィン75bと仮想の対角線P2上で交わる第2領域710bの放熱フィン75bは、当該第1領域710aの放熱フィン75bと連続して形成される。また、第3領域710cの放熱フィン75bと仮想の対角線P2上で交わる第4領域710dの放熱フィン75bは、当該第3領域710cの放熱フィン75bと連続して形成される。また、第3領域710cの放熱フィン75bと仮想の対角線P1上で交わる第2領域710bの放熱フィン75bは、当該第3領域710cの放熱フィン75bと連続して形成される。
以上のように、実施形態3に係る非接触電力伝送ユニット1Bによれば、放熱フィン75bの延在方向が車両の走行風の進行方向に対して交差する方向に延在する放熱フィン75bは、収容ケース70bの縁部76側の一端750が他端751より風下側に位置する。これにより、強度を向上した上で、非接触電力伝送ユニット1Bは、走行風に対する放熱フィン75bの抵抗が少なく、走行風が放熱フィン75bを効率よく通り抜けるので、放熱効果を向上できる。
〔実施形態4〕
実施形態4に係る非接触電力伝送ユニット1Cについて説明する。実施形態4は、バスバーがコイル本体を横断して第2引き出し線に接続される点で実施形態1と異なる。図24は、実施形態4に係るバスバーの構成例を示す底面側の斜視図である。図24に示すように、バスバーBaは、薄板状に形成され、基材50の電力伝送コイル10側に設けられる。バスバーBaは、コイル本体11の内周側111からコイル本体11の外周側112に延在され、コイル本体11を横断する。コイル本体11の外周側112に延在されたバスバーBaは、コイル本体11の外周側112に位置する第2引き出し線122と接続される。なお、バスバーBaは、電力伝送コイル10と絶縁するために被覆してもよい。
以上のように、実施形態4に係る非接触電力伝送ユニット1Cによれば、第2引き出し線122がコイル本体11を横断することに替え、バスバーBaがコイル本体11を横断して第2引き出し線122に接続される。これにより、非接触電力伝送ユニット1Cは、非接触電力伝送ユニット1Cの厚みを薄くすることができる。
〔実施形態5〕
実施形態5に係る非接触電力伝送ユニット1Dについて説明する。実施形態5は、耐熱性が低い電子部品を断熱領域に実装する点で実施形態1と異なる。図25は、実施形態5に係る電子部品の実装例を示す斜視図である。図25に示すように、電子部品実装領域51は、基材50に断熱材54が立設されて区画された断熱領域53を有する。断熱材54は、熱源になるコイル本体11側の空間と断熱領域53側の空間とを遮断して区画する。断熱領域53は、電力伝送コイル10が発する熱を断熱する。断熱領域53には、当該断熱領域53の外側に実装される電子部品20よりも耐熱性が低い電子部品20が実装される。例えば、断熱領域53には、断熱領域53の外側に実装されるダイオードDよりも耐熱性が低いコンデンサC1が実装される。
以上のように、実施形態5に係る非接触電力伝送ユニット1Dによれば、電子部品実装領域51は、基材50に断熱材54が立設されて区画された断熱領域53を有する。これにより、断熱領域53の外側の電子部品20よりも耐熱性が低い電子部品20の温度が高温になることを抑制できる。
〔実施形態6〕
実施形態6に係る非接触電力伝送ユニット1Eについて説明する。実施形態6は、耐熱性が低い電子部品をコイル本体の外周側に実装する点で実施形態1と異なる。図26は、実施形態6に係る電子部品の実装例を示す斜視図である。基材50eには、図26に示すように、コイル本体11の内周側111に電子部品実装領域51が設けられ、当該コイル本体11の外周側112に電子部品実装領域51aが設けられる。コイル本体11の外周側112の電子部品実装領域51aは、電力伝送コイル10により囲まれていないので、コイル本体11の内周側111の電子部品実装領域51と比較して、電力伝送コイル10などから発せられる熱の影響を受けにくい。電子部品実装領域51aには、電子部品実装領域51に実装される電子部品20よりも耐熱性が低い電子部品20が実装される。例えば、電子部品実装領域51aには、電子部品実装領域51に実装されるダイオードDよりも耐熱性が低いコンデンサC1が実装される。なお、非接触電力伝送ユニット1Eは、電子部品実装領域51aに、実施形態5の断熱領域53を設け、さらに耐熱性を向上させてもよい。
以上のように、実施形態6に係る非接触電力伝送ユニット1Eによれば、電子部品実装領域51aは、電力伝送コイル10などから発せられる熱の影響を受けにくいコイル本体11の外周側112に設けられる。これにより、非接触電力伝送ユニット1Eは、耐熱性が低い電子部品20を電子部品実装領域51aに実装することで、耐熱性が低い電子部品20の温度が高温になることを抑制できる。
〔変形例〕
次に、実施形態の変形例について説明する。非接触電力伝送ユニット1は、車両以外に適用してもよい。
また、磁性体は、フェライト部材40以外を適用してもよい。例えば、磁性体は、酸化鉄、酸化クロム、又は、コバルトなどを適用してもよい。
また、非接触電力伝送ユニット1などは、磁気共鳴以外にも、電磁誘導により電力伝送を行ってもよい。
また、コンデンサC及びダイオードDは、フェライト部材40側の電子部品実装領域51に実装される例について説明したが、電力伝送コイル10側の電子部品実装領域51に実装してもよい。
また、基材50は、収容ケース70の内周と略同じ大きさに形成される例について説明したが、これに限定されない。例えば、基材50は、収容ケース70の内周よりも小さく形成してもよい。この場合、基材50は、収容ケース70に設けられた突起により支持され、基材50の外周部と収容ケース70の内周面との間に隙間を有する。これにより、充填材80は、基材50の外周部と収容ケース70の内周面との間の隙間から収容ケース70の底面部に流れ落ちる。従って、充填材80は、効率よく充填される。
また、基材50にフェライト部材40を固定する場合、粘着テープ60に限定されない。例えば、基材50にフェライト部材40を固定する突起部を設けてもよい。例えば、突起部は、各フェライトブロック41の4つの角に当接し、各フェライトブロック41の位置を固定する。
収容ケース70は、固定孔部731を有していなくてもよく、取付部材90とは異なる方法で車両の底面部などの固定対象物2に固定されてもよい。