JP6570034B2 - 新規なグルタミン酸誘導体およびその用途 - Google Patents
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Description
特許文献1には、抗がん剤をγ−グルタミル化した化合物が開示されている。自己開裂リンカーを利用したプロドラッグとして、トリプシンにより切断することが可能であるプロドラッグが挙げられている(非特許文献1)。しかしながら、GGTに認識され、これにより切断されることが可能であるプロドラッグについては述べられていない。また、非特許文献6には、抗がん剤をグルタミル化した化合物が挙げられており、酵素に依存した細胞毒性が示されている。しかしながら、非常に高い酵素濃度において、薬理活性型化合物を解離されるものであり、生体内環境でプロドラッグとして機能できるものではない。また、非特許文献7には、グルタミン酸γ位に薬剤を結合させた化合物として、適当なリンカーを介したプロドラッグ型化合物が挙げられている。
[1] 一般式(1)
[2] Xで示される前記生理活性物質の結合残基における該生理活性物質が、7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン、ノギテカン及びその誘導体からなる群から選択される1種である前記[1]に記載のグルタミン酸誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
[3] Xで示される前記生理活性物質の結合残基における該生理活性物質が、エトポシド、テニポシド及びその誘導体からなる群から選択される1種である前記[1]に記載のグルタミン酸誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
[4] Xで示される前記生理活性物質の結合残基における該生理活性物質が、ラロキシフェン及びその誘導体からなる群から選択される1種である前記[1]に記載のグルタミン酸誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
[5] Xで示される前記生理活性物質の結合残基における該生理活性物質が、ゴセレリン、リュープリン及びその誘導体である前記[1]に記載のグルタミン酸誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
[6] Xで示される前記生理活性物質の結合残基における該生理活性物質が、2−ブチルアミノ−2−デメトキシヒポクレリン及びその誘導体である前記[1]に記載のグルタミン酸誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
[7] Xで示される前記生理活性物質の結合残基における該生理活性物質が、コンブレタスタチン及びその誘導体である前記[1]に記載のグルタミン酸誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
[8] Xで示される前記生理活性物質の結合残基における該生理活性物質が、ガネテスピブ、マクベシン、ラディシコル及びその誘導体である前記[1]に記載のグルタミン酸誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
[9] Xで示される前記生理活性物質の結合残基における該生理活性物質が、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、ピラルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、アムルビシン及びその誘導体である前記[1]に記載のグルタミン酸誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
[10] 一般式(1)において、R1、R2及びR3は水素原子である前記[1]〜[9]の何れか1項に記載のグルタミン酸誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
[11] 前記[1]〜[10]の何れか1項に記載のグルタミン酸誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬。
[12] 抗がん剤である前記[11]に記載の医薬。
前記置換基を有していても良いアルキル基における、該アルキル基とは炭素数1〜30の直鎖状、分岐状又は環状アルキル基を示す。直鎖状アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−へキシル基、n―ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基等が挙げられる。分岐状アルキル基としては、例えば、イソプロピル基、t−ブチル基、1−メチル−プロピル基、2−メチル−プロピル基、2,2−ジメチルプロピル基等が挙げられる。環状アルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等が挙げられる。
前記R1及びR2としては、水素原子及び/又は置換基を有していても良いアルコキシカルボニル基であることが好ましい。R1及びR2が両方とも水素原子である場合、又は水素原子と置換基を有していても良いアルコキシカルボニル基の組み合せである場合が好ましい。
前記置換基を有していても良いアルキル基における、該アルキル基とは炭素数1〜30の直鎖状、分岐状又は環状アルキル基を示す。直鎖状アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−へキシル基、n―ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基等が挙げられる。分岐状アルキル基としては、例えば、イソプロピル基、t−ブチル基、1−メチル−プロピル基、2−メチル−プロピル基、2,2−ジメチルプロピル基等が挙げられる。環状アルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等が挙げられる。また、適当な芳香族置換基を有する、ベンジル基、9−フルオレニルメチル基等が挙げられる。該R3のアルキル基における置換基としては、前述と同義である。
該R3の置換基を有していても良いアルキル基としては、カルボン酸の保護基が用いられることが好ましい。有機合成反応におけるカルボン酸の保護基であれば、特に制限なく用いることができる。特に好ましくは、メチル基、エチル基、t−ブチル基、アリル基、ベンジル基、9−フルオレニルメチル基である。
前記ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。
前記置換基を有していても良いアルキル基における該アルキル基とは、炭素数1〜30の直鎖状、分岐状又は環状アルキル基を示す。直鎖状アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−へキシル基、n―ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基等が挙げられる。分岐状アルキル基としては、例えば、イソプロピル基、t−ブチル基、1−メチル−プロピル基、2−メチル−プロピル基、2,2−ジメチルプロピル基等が挙げられる。環状アルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等が挙げられる。
置換基を有していても良いアルキル基における該アルキル基とは、炭素数1〜30の直鎖状、分岐状又は環状アルキル基を示す。直鎖状アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−へキシル基、n―ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基等が挙げられる。分岐状アルキル基としては、例えば、イソプロピル基、t−ブチル基、1−メチル−プロピル基、2−メチル−プロピル基、2,2−ジメチルプロピル基等が挙げられる。環状アルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等が挙げられる。有していても良い置換基としては、前述と同義である。
当該生理活性物質における生理活性は、特に限定されるものではないが疾病治療に係る薬理活性であることが好ましく、疾病治療用薬理活性化合物を用いることが好ましい。GGTは悪性腫瘍で高発現していることから、当該生理活性物質としては、抗腫瘍活性物質であることが好ましく、抗がん剤を適用することが好ましい。すなわち、一般式(1)のXで示される生理活性物質は、芳香族性水酸基を有する抗がん剤であることが好ましい。
前記DNAトポイソメラーゼ阻害剤としては、例えば、DNAトポイソメラーゼI型阻害剤である7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン、ノギテカンが挙げられる。また、DNAトポイソメラーゼII型阻害剤として、エトポシド、テニポシド等を挙げることができる。また、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、ピラルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、アムルビシン等のアンスラサイクリン系抗がん剤等を挙げることができる。
前記ホルモン療法剤としては、ラロキシフェン、ゴセレリン、リュープロレリン等を挙げることができる。
前記光線化学療法剤としては、2−ブチルアミノ−2−デメトキシヒポクレリン等を挙げることができる。
前記微小管重合阻害剤としては、コンブレタスタチン及びその誘導体を挙げることができる。
前記Hsp90阻害剤としては、ガネテスピブ、マクベシン、ラディシコル等を挙げることができる。
これらの抗がん剤が、その芳香族水酸基の酸素原子を介してエーテル結合することで、血漿中における安定性に優れ、且つGGTとの接触により迅速に結合解離して、抗がん剤を遊離させる応答性に優れたプロドラッグを提供することができる。特に、該Xに係る芳香族性水酸基を有する生理活性物質として、7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシンまたはノギテカンを用いることが好ましく、該Xは、7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシンまたはノギテカンの10位水酸基によりエーテル結合した結合残基であることが好ましい。
なお、前記R1、R2及びR3が置換基を有していても良いアルキル基やアルコキシカルボニル基である化合物は、当該医薬用途化合物の製造上の中間体として有用な化合物であり、本発明の内容に含まれる。
スキーム(I)
R1及びR2の何れか一方がt−ブトキシカルボニル基(Boc基)で、他方が水素原子であり、R3がt−ブチル基の場合、酸性条件下で該工程Eの脱保護を実施することができる。酸としては、塩酸、硫酸等の無機酸、酢酸、トリフロロ酢酸等のカルボン酸等が使用できる。その他、t−ブトキシカルボニル基あるいはt−ブチルエステルを脱保護できることが知られている触媒であって、保護基以外の部分に影響を与えない触媒であれば、特に制限なく使用することができる。
また、該R1及びR2の何れか一方が9−フルオレニルメトキシカルボニル基(Fmoc基)で、他方が水素原子であり、該R3がフルオレニルメチル基の場合、塩基性条件下で該工程Eを実施することができる。塩基としては、アンモニア、あるいはピペリジン、モルホリンなどの有機塩基等を使用できる。その他、フルオレニルメトキシカルボニル基あるいはフルオレニルメチルエステルを脱保護できることが知られている触媒であって、保護基以外の部分に影響を与えない触媒であれば、何れの脱保護反応条件であっても使用することができる。
また、該R1及びR2の何れか一方がアリルオキシカルボニル基(Aloc基)で、他方が水素原子であり、該R3がアリル基の場合、パラジウム触媒存在下で該工程Eを実施することができる。パラジウム触媒としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等を使用できる。その他、アリルオキシカルボニル基あるいはアリルエステルを脱保護できることが知られている触媒であって、保護基以外の部分に影響を与えない触媒であれば、何れの脱保護反応条件であっても使用することができる。
本発明の該グルタミン酸誘導体又はその製薬上許容される塩を有効成分として含有する医薬は、該グルタミン酸又はその塩を単独で用いても良いが、通常は、医薬品として許容される添加剤と併せて医薬組成物を調製し、医薬品製剤として用いることが好ましい。該添加剤としては、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、流動化剤、コーティング剤、懸濁化剤、乳化剤、安定化剤、保存剤、矯味剤、着香剤、希釈剤、溶解補助剤等の製薬上許容し得る添加剤が挙げられ、これらと混合して医薬品製剤を調製する。該製剤としては、粉剤、顆粒剤、錠剤、タブレット剤、カプセル剤、注射剤、座剤、軟膏剤等の製剤形態で、経口又は非経口的(全身投与、局所投与等)に安全に投与される。製剤中の本発明のグルタミン酸誘導体、又は製薬上許容される塩の含量は、製剤により種々異なるが、通常0.1〜100重量%であることが好ましい。
実施例化合物の検出及び同定、並びに純度測定のためのLC/MS測定条件は次のとおりである。
機種:島津 LCMS−2020
カラム:Inertsil ODS−3、2.1mm×100mm、
移動相A:アセトニトリル/ギ酸 (99.9/0.1)
移動相B:水/ギ酸 (99.9/0.1)
グラジェント:時間(分)0.0 5.5 6.5 6.51 10.0 A濃度(%)20 90 90 20 20
流速:0.3mL/分
機種:島津 LCMS−2010A
カラム:Inertsil ODS−3、2.1mm×100mm、
移動相A:アセトニトリル/ギ酸 (99.9/0.1)
移動相B:水/ギ酸 (99.9/0.1)
グラジェント:時間(分)0.0 5.5 6.5 6.51 10.0
A濃度(%) 5 90 90 5 5
流速:0.3mL/分
1−t−ブチル N−(t−ブトキシカルボニル)−L−グルタメート(1.00g)と4−アミノベンジルアルコール(0.487g)の乾燥ジクロロメタン(15mL)溶液中に、N−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン (EEDQ)(1.019g)を加え、室温で18時間撹拌した。1規定塩酸を加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去し、残渣をジエチルエーテルで洗浄し、5−((4−ヒドロキシメチル)ベンジルアミノ)−1−(t−ブチル) N−(t−ブトキシカルボニル)−L−グルタメート(0.890g)を得た。
NMR[400MHz,CDCl3,TMS]ppm:1.46(9H,s),1.47(9H,s),1.82−1.89(1H,m),2.27−2.30(2H,m),2.44(2H,t),4.21−4.24(1H,m),4.66(2H,s),5.35−5.37(1H,m),7.33(2H,d),7.62(2H,d),8.87(1H,brs).
LC/MS 保持時間:5.6分;m/z(ESI,POS):431[M+Na]+
実施例1−1に記載の5−((4−ヒドロキシメチル)ベンジルアミノ)−1−(t−ブチル) N−(t−ブトキシカルボニル)−L−グルタメート(0.10g)とピリジン(0.0494mL)の乾燥テトラヒドロフラン(10mL)溶液中に、0℃で4−ニトロフェニルクロロホルメート(0.0987g)の乾燥テトラヒドロフラン(10mL)溶液を滴下して加え、室温で2時間撹拌した。クエン酸水溶液を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下で留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、(S)−t−ブチル 2−((t−ブトキシカルボニル)アミノ)−5−((4−((((4−ニトロフェノキシ)カルボニル)オキシ)メチル)フェニル)アミノ)−5−オキソペンタノエート(0.038g)を得た。
NMR[400MHz,CDCl3,TMS]ppm:1.46(9H,s),1.48(9H,s),1.79−1.90(1H,m),2.26−2.28(1H,m),2.45(2H,t),4.20−4.28(1H,m),5.26(2H,s),5.38−5.40(1H,m),7.37(2H,d),7.41(2H,d),7.69(2H,d),8.27(2H,d),9.15(1H,brs).
LC/MS 保持時間:7.1分;m/z(ESI,POS):596[M+Na]+
(S)−t−ブチル 2−((t−ブトキシカルボニル)アミノ)−5−((4−((((4−ニトロフェノキシ)カルボニル)オキシ)メチル)フェニル)アミノ)−5−オキソペンタノエート(0.125g)をN,N−ジメチルホルムアミド(8mL)に溶解し、7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン(EHC 0.0855g)を加えた後、ジイソプロピルエチルアミン(0.37mL)を加えた。室温で18時間撹拌後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下で留去し、粗生成物として(((4−((S)−5−(t−ブトキシ)−4−((t−ブトキシカルボニル)アミノ)−5−オキソペンタナミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)−10−オキシ−7−エチルカンプトテシン(0.227g)を得た。
LC/MS 保持時間:6.6分;m/z(ESI,POS):827[M+H]+
粗製の((((4−((S)−5−(t−ブトキシ)−4−((t−ブトキシカルボニル)アミノ)−5−オキソペンタナミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)−10−オキシ−7−エチルカンプトテシン(0.02g)に4規定塩酸ジオキサン溶液(2.0mL)に溶解し、30分撹拌した。溶媒を留去し、水(4mL)を加え、混合溶液を分取HPLCで精製し、(((4−((S)4−アミノ−4−カルボキシブタンアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)−10−オキシ−7−エチルカンプトテシン(参考例1、0.0015g)を得た。
NMR[400MHz,DMSO−d6,TMS]ppm:0.88(3H,t),1.29(3H,t),1.84−2.11(6H,m),3.16−3.29(3H,m),5.28(2H,s),5.36(2H,s),5.45(2H,s),6.55(1H,s),7.34(1H,s),7.44(2H,d),7.65(2H,d),7.78−7.80(1H,m),8.18−8.25(2H,m),10.21(1H,brs).
LC/MS 保持時間:3.9分;m/z(ESI,POS):671[M+H]+
カンプトテシン(0.050g)とトリホスゲン(0.0158g)の乾燥ジクロロメタン(6mL)懸濁液に、ジメチルアミノピリジン(0.0561g)のジクロロメタン(2mL)溶液をゆっくり滴下した。30分撹拌後、実施例1−1に記載の5−((4−ヒドロキシメチル)ベンジルアミノ)−1−(t−ブチル) N−(t−ブトキシカルボニル)−L−グルタメート(0.059g)を加え、室温で18時間撹拌した。1規定塩酸(50mL)を加え、ジクロロメタンで2回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去し、粗生成物として(((4−((S)−5−(t−ブトキシ)−4−((t−ブトキシカルボニル)アミノ)−5−オキソペンタナミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)カンプトテシン(0.108g)を得た。
LC/MS 保持時間:6.8分;m/z(ESI,POS):805[M+Na]+
粗製の(((4−((S)−5−(t−ブトキシ)−4−((t−ブトキシカルボニル)アミノ)−5−オキソペンタナミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)カンプトテシン(0.028g)に4規定塩酸−酢酸エチル溶液(3.0mL)に0℃で溶解し、3時間撹拌した。溶媒を留去し、得られた残渣を分取HPLCで精製し、(((4−((S)4−アミノ−4−カルボキシブタンアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)カンプトテシン(参考例2、0.0017g)を得た。
NMR[400MHz,DMSO−d6,TMS]ppm:0.90(3H,t),1.90−1.97(3H,m),2.13−2.21(3H,m),3.16−3.28(1H,m),5.09(2H,q),5.33(2H,s),5.52(2H,s),7.02(1H,s),7.27(2H,d),7.53(2H,d),7.74(1H,t),7.89(1H,t),8.15−8.21(2H,m),8.73(1H,s),10.29(1H,brs).
LC/MS 保持時間:3.9分;m/z(ESI,POS):627[M+H]+
実施例1のEHCプロドラッグ0.864mg/mL DMSO溶液(0.050mL)に、PBS(0.450mL)を加え、37℃で反応させた。反応液をHPLC分析することにより、プロドラッグの残存率を求めたところ、24時間後プロドラッグは90%残存していた。
参考例1のEHCプロドラッグの60mg/mL DMSO溶液(0.005mL)にPBS(0.220mL)を加えEHCプロドラッグ溶液を調製した。該EHCプロドラッグ溶液(0.100mL)に、PBS(0.100mL)を加え、37℃で反応させた。反応液をHPLC分析することにより、プロドラッグの残存率を求めたところ、3.5時間後プロドラッグの残存率は52%であった。
参考例2のカンプトテシンプロドラッグ6.3mg/mL DMSO溶液(0.073mL)にPBS(0.294mL)を加えカンプトテシンプロドラッグ溶液を調製した。該カンプトテシンプロドラッグ溶液(0.117mL)に、PBS(0.117mL)を加え、37℃で反応させた。反応液をHPLC分析することにより、プロドラッグの残存率を求めたところ、3時間後プロドラッグの残存率は74%であった。
したがって、本発明に係る実施例1のEHCプロドラッグは、参考例1及び2と比べ、PBS中において化学的に安定であることが示された。
実施例1のEHCプロドラッグ0.856mg/mL DMSO溶液(0.020mL)に、マウス血漿(0.180mL)を加え、37℃で反応させた。
反応液をHPLC分析することにより、プロドラッグの残存率を求めたところ、24時間後プロドラッグは94%残存していた。
したがって、本発明に係る実施例1のEHCプロドラッグは、マウス血漿中においても、化学的に安定であることが示された。
実施例1のEHCプロドラッグを、DMSOに溶解し、0.34mg/mL溶液を調製した。該EHCプロドラッグ溶液(0.300mL)にPBS(0.300mL)を加え、EHCプロドラッグ溶液(2)を調製した。
γ−グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT Sigma−Aldrich社)をPBSに溶解し0.227mg/mL溶液を調製した。
該EHCプロドラッグ溶液(2)(0.250mL)に、GGT溶液(0.250mL)を加え、37℃で反応させた。
反応液をHPLC分析することにより、プロドラッグの残存率およびEHCの生成率を求めた。
GGT活性が高いことが知られているOS−RC−2細胞(理研バイオリソースセンター)及びGGT活性が低いことが知られているSK−OV−3細胞(American Type Culture Collection)を用いて、実施例1に係るEHCプロドラッグの細胞増殖阻害活性を評価した。
96穴プレートに、GGT高活性のOS−RC−2細胞及びGGT低活性のSK−OV−3細胞を、それぞれ4,000 cells/well播種し、37℃、5%CO2下で1日間培養後、実施例1に係るEHCプロドラッグを、終濃度0.0001〜1μMで添加した。6時間培養後にウェル内を洗浄し、さらに3日間培養した。培養後、細胞をメタノールで固定し、メチレンブルー色素を用いて染色した。染色後色素を0.3%塩酸水で抽出し、660nmの吸光度を測定した。得られた吸光度について、化合物を添加しない細胞から測定された吸光度に対する減少率により細胞増殖抑制活性を評価した。
同様の操作により、実施例1の有効成分であるEHCをそのまま用いて、その吸光度から細胞増殖抑制活性を評価した。
結果を図1(GGT高活性のOS−RC−2細胞)及び図2(GGT低活性のSK−OV−3細胞)に示した。
一方、GGT活性が低いことが知られているSK−OV−3細胞において、0.01μMのEHCを添加した場合、細胞増殖阻害活性は27.7%だった。一方、実施例1に係るEHCプロドラッグを0.01μM添加した場合、1.3%の細胞増殖阻害活性を示した。
GGT活性の高い細胞とGGT活性の低い細胞における細胞増殖阻害活性の結果を比較すると、本発明に係る実施例1のEHCプロドラッグは、GGTによりEHCを遊離し、細胞増殖阻害活性を示すと共に、GGTが存在しない場合は、細胞増殖阻害活性が低く、殺細胞性をほとんど示さないことが明らかとなった。このことから、本発明に係るEHCプロドラッグは、GGT活性に依存した細胞増殖抑制活性を発揮できることが示された。
また、試験例5の結果、GGT活性の高いOS−RC−2細胞において、GGT阻害剤はEHCの細胞増殖抑制活性に影響を与えなかったが、EHCプロドラッグの活性を阻害した。このことから、本発明に係るEHCプロドラッグは、GGT活性に依存した細胞増殖抑制活性を発揮する物性であることが示された。
マウス皮下で継代培養しているマウス腎細胞がんOS−RC−2腫瘍を約2mm角のブロックにし、套管針を用いてマウス皮下に移植した。腫瘍移植後17日目に本発明に係る実施例1のEHCプロドラッグをDMSO/5%グルコース水溶液=1:9溶液に懸濁し、EHC換算として20mg/kgで尾静脈内投与した。また対照薬として、EHCのプロドラッグである塩酸イリノテカン(CPT−11)を5%グルコース水溶液に溶解し、EHC換算として20mg/kgで尾静脈内投与した。
投与後5分、1、3、6時間に、エーテル麻酔下、血漿、肝臓、骨髄及び腫瘍の各組織を採取した。各組織中における活性体であるEHC、実施例6未変化体及びCPT−11未変化体の薬物濃度を、LC−MS/MS法により以下の測定機器及び条件で定量分析した。
機種:ABSciex API4000
島津 LC−20AD
カラム:Waters XBridge、C18、2.1mm×50mm
移動相A:ギ酸/水 (1/1000)
移動相B:ギ酸/アセトニトリル (1/1000)
イオン化法:エレクトロスプレーイオン化(正イオン)
検出法:多重反応モニタリング
試験例6と同様にマウス腎細胞がんOS−RC−2を移植したマウスに、腫瘍移植後17日目に本発明に係る実施例6のEHCプロドラッグ20、40及び80mg/kgを、4日おきに計3回尾静脈内投与した。投与後、腫瘍の長径(Lmm)及び短径(Wmm)を、キャリバーを用いて2〜3日間隔で計測し、腫瘍体積を(L×W2)/2により計算し、投与開始日からの腫瘍体積変化率/無処置群の体積変化率を求め、表2に示した。
また、試験例7の結果、実施例1のEHCプロドラッグは、用量依存的な抗腫瘍効果を示し、80mg/kg投与群では顕著な腫瘍縮小効果を示しており、優れた抗腫瘍作用を発揮する物性であることが示された。
Claims (12)
- 一般式(1)
- Xで示される前記生理活性物質の結合残基における該生理活性物質が、7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン、ノギテカン及びその誘導体からなる群から選択される1種である請求項1に記載のグルタミン酸誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
- Xで示される前記生理活性物質の結合残基における該生理活性物質が、エトポシド、テニポシド及びその誘導体からなる群から選択される1種である請求項1に記載のグルタミン酸誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
- Xで示される前記生理活性物質の結合残基における該生理活性物質が、ラロキシフェン及びその誘導体からなる群から選択される1種である請求項1に記載のグルタミン酸誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
- Xで示される前記生理活性物質の結合残基における該生理活性物質が、ゴセレリン、リュープリン及びその誘導体からなる群から選択される1種である請求項1に記載のグルタミン酸誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
- Xで示される前記生理活性物質の結合残基における該生理活性物質が、2−ブチルアミノ−2−デメトキシヒポクレリン及びその誘導体からなる群から選択される1種である請求項1に記載のグルタミン酸誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
- Xで示される前記生理活性物質の結合残基における該生理活性物質が、コンブレタスタチン及びその誘導体からなる群から選択される1種である請求項1に記載のグルタミン酸誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
- Xで示される前記生理活性物質の結合残基における該生理活性物質が、ガネテスピブ、マクベシン、ラディシコル及びその誘導体からなる群から選択される1種である請求項1に記載のグルタミン酸誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
- Xで示される前記生理活性物質の結合残基における該生理活性物質が、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、ピラルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、アムルビシン及びその誘導体からなる群から選択される1種である請求項1に記載のグルタミン酸誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
- 一般式(1)において、R1、R2及びR3は水素原子である請求項1〜9の何れか1項に記載のグルタミン酸誘導体又はその薬理学的に許容される塩。
- 請求項1〜10の何れか1項に記載のグルタミン酸誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬。
- 抗がん剤である請求項11に記載の医薬。
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