JP6569900B2 - スパッタリング装置および成膜方法 - Google Patents

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本発明は、金属窒化物等の硬質皮膜を固体表面に被覆するスパッタリング装置および当該装置を用いた成膜方法に関するものである。より詳細には、従来の直流電源を用いながら、密着性および膜質に優れた皮膜を成膜できる直流スパッタリング装置および当該装置を用いた成膜方法に関するものである。
切削工具の耐摩耗性を向上させる目的で、高速度工具鋼や超硬度合金等からなる工具基材を金属窒化物等からなるセラミックス皮膜で被覆したコーティング工具が広く使われている。このようなコーティングでは、特に、物理蒸着(PVD;Physical Vapor Deposition)が化学蒸着(CVD;Chemical Vapor Deposition)よりも処理温度が低く、鋼材にも使用できることから、硬質皮膜を形成するために広く使用されてきた。
とりわけチタンの窒化物(TiN)は、高速度工具鋼の耐摩耗性を向上させ、工具寿命を延ばすことができるのみならず、光沢のある黄金色が美観を持ち、摩耗や異常の発見にも役立つために好まれており、また品質の安定性も高いことから、現在でも汎用的なコーティング材料として広く使われている。蒸発原料を金属チタンとし、反応ガスを窒素から炭化水素ガスに変更することにより、TiCやTiCNといった炭化物および炭窒化物も成膜することが可能であり、このガスの制御により多層膜や傾斜組成膜等のさまざまなバリエーションを成膜できることも特徴である。
TiN等の成膜には、坩堝に入れた金属Tiを大電流電子ビームにより溶融、蒸発させる坩堝式イオンプレーティング法が多用されてきた。一方、被切削材の高硬度化や加工の高能率化、また環境負荷を低減する目的でのドライカット等の要望に伴い、切削工具の耐酸化性や耐摩耗性に対する要求は年々厳しくなってきている。
そこで、TiNにAlを固溶させて硬さと耐熱性を向上させたTiAlNが開発されると、高速加工、ドライ加工の分野で広く普及した。しかし、TiAlNは、TiとAlの2種類の金属を同時に蒸発させることが必要であったため、融点や蒸気圧の大きく異なる金属を1つの坩堝に入れると低融点や高蒸気圧の金属が先に蒸発してしまう坩堝式イオンプレーティングでの成膜は困難であった(例えば特許文献1参照)。
そのため、坩堝式イオンプレーティングに代わって、あらかじめ目的の組成に調合された固体原料(ターゲット)をアーク放電により局所的に溶融、蒸発させるアーク法が普及し、現在に至っている。また、TiAlNよりもAlの比率を高めることができ、耐熱性に優れるAlCrNが後に開発され、アーク法により成膜されている。この他、SiやWを加えた硬質皮膜もしばしば用いられている。
しかし、アーク法ではドロップレットと呼ばれる、ターゲットの突沸に起因すると考えられる金属液滴が発生し、これがワーク(被処理物)表面に付着して表面粗さを悪化させる原因となっている。このドロップレットを捕捉するためのシールドアーク、フイルタードアーク等の手法もあるが、成膜速度が極端に低下すること、また装置が複雑になることから、窒化物系硬質膜用には普及しておらず、専らダイヤモンド状炭素膜(DLC;Diamond Like Carbon)の成膜に用いられている。
アーク法と同じく固体ターゲットを用いた成膜方法として、スパッタリング(Sputtering)がある。スパッタリングは固体ターゲットにイオンを衝突させ、ターゲット原子をたたき出して、被処理物に付着させる方法である。アーク法とは異なり、ターゲットを溶融させないのでドロップレットは発生しない。しかし、一般に蒸発速度が遅く、密着性や硬質膜としての膜質に劣ることから、切削工具の分野ではほとんど普及しておらず、専ら光学素子、ディスプレイ、太陽光パネル等に使われている。また、低温での成膜に向いていることから、摺動部品等へのCrN、DLC成膜にも用いられている。
スパッタリングが硬質膜に適さない原因は、低いイオン化率であるといわれている。坩堝式イオンプレーティング法やアーク法では、蒸発金属原子はプラズマによりイオン化され、正の電荷を得た金属陽イオンは被処理物に付与された負の電位(ワークバイアス)により加速されて被処理物に到達する。
このため蒸着粒子のエネルギーが高く、繊密で密着性の高い皮膜が形成される。アーク法がしばしばアークイオンプレーティング法と称されることからも、アーク法の蒸発金属のイオン化率は一般に高いことが知られている。
ここで、蒸着粒子のエネルギーと膜質との関係について説明する。いわゆる「膜質」は、非特許文献1の有名なモルフォロジーのモデルに示されるように、成膜温度が高いほど空孔が少なく織密になる。観察すると、一般的な硬質膜の断面は柱状晶であり、モルフォロジーモデルにおいて成膜温度/融点が0.5から0.8の範囲に相当する。しかし、実際にそのような高温で成膜を行っているわけではなく、成膜温度の不足は入射する蒸着粒子のエネルギーによって補われている。
すなわち、坩堝式やアーク式のイオンプレーティング法では、そのような高温よりも低い温度での成膜が可能である。また、ワークバイアスを変化させることにより蒸着粒子のエネルギーを制御し、結果として膜の密度、内部応力、結晶構造等を制御することが可能である。
一方、スパッタ法ではイオン化率が低いため、この効果が期待できず膜質や密着性を上げることができなかった。そもそも、通常の直流(DC)電源を用いたスパッタリングでは、ターゲットの電位(通常−300〜−1000V)が被処理物の電位(通常−50〜−200V)よりも低いため、イオン化した金属粒子は被処理物ではなくターゲットに引き寄せられ、被処理物には到達しない。それゆえ、たとえ何らかの方法でスパッタ粒子のイオン化率を高めることができたとしても、坩堝式イオンプレーティングやアーク法のようにワークバイアスによって蒸着粒子のエネルギーを制御することは不可能であった。
ところで、近年、特許文献2に開示される高出力インパルス・マグネトロン・スパッタリング(HIPIMS)が注目されている。HIPIMSは、瞬間的な高出力プラズマで金属蒸気をイオン化し、またターゲット電位が短いパルスで与えられるため、イオン化した粒子がターゲットに引き戻される確率が低くなる。したがってイオン化した蒸着粒子をワークバイアスで加速することができ、高エネルギーの金属粒子が被処理物に到達する。このため、基板への密着性および膜質が通常のDCスパッタリングよりも大幅に向上するといわれている。
しかし、HIPIMSによる蒸発速度はDCのそれと比較して極端に遅く、また高出力パルスを発生させる電源は複雑で高価であるという欠点がある。
特許文献3には、ITO膜の製作において、接地したアノードポールをターゲットと基板の間に配置して残留水素の吸着を行い、結晶性を向上させる方法が開示されている。しかし、アノードポールの目的は残留水素の吸着であり、積極的に正イオンを被処理物に到達させる構造にはなっていない。
特許文献4には、ターゲットと被処理物(陽極)との間に陽極と同電位の金網を設置し、被処理物への負イオンの流入を防ぐ方法が開示されている。しかし、この金網の目的も被処理物への負イオンの流入を防ぐことであり、通常負イオンよりもはるかに多く生成する正イオンを被処理物に到達させることではない。
すなわち、特許文献3および4の装置構成では、プラズマはアノードポールとターゲットの間、または金網とターゲットの間のみに発生するので、金属および希ガスのイオン化はほぼ金網とターゲットの間でのみ起こり、正イオンのほとんどはターゲットに引き寄せられ、被処理物には到達しない。
特許文献5には、電子ビーム発生源を備えたスパッタリング装置が開示されている。しかし、この電子ビームは被処理物の加熱およびエッチングに用いられるものであり、蒸発源とは独立しているので蒸発物質をイオン化して被処理物に到達させる構成にはなっていない。
図3は従来のスパッタリング装置101の模式断面図である。スパッタリング装置101は、真空を保つことができるチャンバ109と、被処理物105をチャンバ109内で保持する被処理物保持機構1010と、チャンバ109内に配置されるターゲット103とを有している。スパッタリングされたターゲット103を構成する金属原子すなわち金属粒子104は、ほとんどイオン化されないため、電気的中性を保ったまま被処理物105の表面に到達し、皮膜が形成される。
図7は図3に示すスパッタリング装置101の線Y−Y上における電位変化を表した模式図である。この装置101では、スパッタ粒子のイオン化率が低いので、ほとんどのスパッタ粒子は中性のまま被処理物105に到達するが、図3の線Y−Yにおける電位が図7に示されるようなものとなるので、一部のイオン化した金属イオン108はターゲット103に引き寄せられ、被処理物105に到達しない。すなわち、ターゲット103を構成する金属原子の一部は、被処理物105とターゲット103との間の範囲(図7中の領域C)にて金属イオン108になるが、被処理物105の電位がターゲット103の電位よりも高いので、結果として図7に示す領域Cで発生したイオンは全てターゲット103側に引き寄せられ、被処理物105に到達し難い。
図4は特許文献3および4に開示されている構成のスパッタリング装置201の模式断面である。この装置201もまたチャンバ209内で被処理物保持機構2010によって被処理物205を保持するが、図4に示す線Z−Z上の電位は図8のようになる。すなわち、プラズマ207はアノードポールまたは金網202とターゲット203の間のみに発生し、スバッタ粒子のイオン化が専ら図8の領域Dで行われるため、イオン化した粒子208はターゲット203に引き寄せられて、結果として被処理物205には到達しない。
図5は、特許文献5に開示される構成から当事者によって容易に想到されるスパッタリング装置301の概略図である。この装置301では、蒸発金属304が電子ビームによって積極的にイオン化されるが、図5に示す線Y’−Y’上の電位は図7と同様となり、イオン化は図7の領域Cで起こるので、イオン化された粒子308はターゲット303に引き寄せられ、やはり被処理物305に到達しない。
すなわち、図3〜5の従来の構成では、スパッタリング電源に高価な高出力パルスを用いない限り、蒸発元素をイオン化し、イオン化した蒸発粒子を被処理物にかけられた電圧によって加速して被処理物に到達させることは不可能である。HIPIMSを除く従来のスバッタリング法は、スパッタされた蒸発金属粒子を積極的にイオン化し、被処理物の電位で加速して膜質と密着性を高める構成にはなっておらず、HIPIMSのように高価な高出力パルス電源を用いない限り、2種類以上の金属元素を含み、ドロップレットフリー(ドロップレットが存在しない状態)で密着性が良く、繊密な成膜を行う方法は存在しなかった。
特許第4396898号公報 特表2010−512458号公報 特開平8−269686号公報 特開平10−280143号公報 特表2000−506225号公報
J.A.Thornton:J.Vac.Sci.Technol.,11, 666(1974)
したがって本発明の目的は、金属窒化物等の硬質皮膜を固体表面に被覆するスパッタリング装置であって、従来の安価な直流電源を用いてなお、スパッタリング粒子のイオン化率を高め、密着性および膜質に優れた皮膜を成膜することができ、また蒸発速度を上げることで成膜速度を向上した直流スパッタリング装置を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明によれば、ターゲットをスパッタリングするためのグロー放電プラズマとは別に、スパッタされたターゲット原子をイオン化するためのプラズマを発生させるプラズマ発生装置と、ターゲット原子のイオン化を補助すると同時に、ターゲット電位を電気的に遮蔽する電位制御部材とを有するスパッタリング装置が提供される。本発明の構成とすることによって、安価な直流電源を用いても金属原子をイオン化し、またイオン化した蒸着粒子を被処理物に到達させることが可能となる。さらに、蒸着粒子が被処理物に到達するエネルギーを高くすることによって、密着性の高い、繊密な成膜が可能となる。
本発明の1つの観点によれば、真空を保つことができるチャンバと、皮膜を成膜する被処理物をチャンバ内で保持する被処理物保持機構と、チャンバ内に配置されるターゲットと、ターゲットと被処理物保持機構との間に配置される電位制御部材とを有するスパッタリング装置において、電位制御部材と被処理物保持機構との間にプラズマを発生させるプラズマ発生部材をさらに有することを特徴とするスパッタリング装置が提供される。
電位制御部材の形態については、ターゲットから被処理物保持機構の側に向けてターゲット原子が通過できる開口部を有することができる。また、当該開口部の大きさは、ターゲットと電位制御部材とを結ぶ最短距離以下とすることもできる。さらに、電位制御部材はアノード電極とすることもできる。また、電位制御部材は、所望の効果を得るためにアースに接続された部材であってもよい。さらに、プラズマ発生部材は、ホローカソードガン(電子銃)、熱電子フィラメントおよびコールドアーク放電ターゲットからなる群から選択される1以上のプラズマ発生源を有してもよい。
また、成膜方法の発明については、前述したスパッタリング装置を用いて、電位制御部材に被処理物よりも高い電位を与えて成膜を行う方法とすることもできる。
本発明の一実施形態によるスパッタリング装置1全体の模式断面図である。 本発明の他の実施形態によるスパッタリング装置1全体の模式断面図である。 従来技術によるスパッタリング装置101全体の模式断面図である。 従来技術による他のスパッタリング装置201全体の模式断面図である。 従来技術によるさらに他のスパッタリング装置301全体の模式断面図である。 図1に示すスパッタリング装置1の線X−X上の電位変化を表した模式図である。 図3に示すスパッタリング装置101の線Y−Yおよび図5に示すスパッタリング装置301の線Y’−Y’上の電位変化を表した模式図である。 図4に示すスパッタリング装置201の線Z−Z上の電位変化を表した模式図である。 (a)は、成膜した黄金色のTiN皮膜の電子顕微鏡写真(倍率5000倍)であり、(b)は、成膜した褐色のTiN皮膜の電子顕微鏡像写真(倍率5000倍)である。 (a)〜(d)は、本発明のいくつかの実施形態による電位制御部材2を構成する導電体90の作用を説明するための模式図である。 (a)および(b)は、本発明のいくつかの好ましい実施形態による電位制御部材2の形状を示す正面図である。 図11(a)の電位制御部材2の具体例を示す図であり、特に(a)は正面図、(b)は(a)の線P−Pに沿った断面図である。 電位制御部材2の開口径を20とした場合、スパッタリング装置内の等電位線のシミュレーション結果を示す図である。 図13Aのスパッタリング装置のイオン軌道のシミュレーション結果を示す図である。 図13Aのスパッタリング装置内の電位を3次元的に表した模式図である。 電位制御部材2の開口径を45とした場合、スパッタリング装置内の等電位線のシミュレーション結果を示す図である。 図14Aのスパッタリング装置のイオン軌道のシミュレーション結果を示す図である。 図14Aのスパッタリング装置内の電位を3次元的に表した模式図である。 電位制御部材2の開口径を95とした場合、スパッタリング装置内の等電位線のシミュレーション結果を示す図である。 図15Aのスパッタリング装置のイオン軌道のシミュレーション結果を示す図である。 図15Aのスパッタリング装置内の電位を3次元的に表した模式図である。 電位制御部材2の開口径を195とした場合、スパッタリング装置内の等電位線のシミュレーション結果を示す図である。 図16Aのスパッタリング装置のイオン軌道のシミュレーション結果を示す図である。 図16Aのスパッタリング装置内の電位を3次元的に表した模式図である。 ターゲット3と電位制御部材2の間の距離を43とした場合、スパッタリング装置内の等電位線のシミュレーション結果を示す図である。 図17Aのスパッタリング装置のイオン軌道のシミュレーション結果を示す図である。 図17Aのスパッタリング装置内の電位を3次元的に表した模式図である。 ターゲット3と電位制御部材2の間の距離を18とした場合、スパッタリング装置内の等電位線のシミュレーション結果を示す図である。 図18Aのスパッタリング装置のイオン軌道のシミュレーション結果を示す図である。 図18Aのスパッタリング装置内の電位を3次元的に表した模式図である。 電位制御部材2と被処理物5の間の距離を18とした場合、スパッタリング装置内の等電位線のシミュレーション結果を示す図である。 図19Aのスパッタリング装置のイオン軌道のシミュレーション結果を示す図である。 図19Aのスパッタリング装置内の電位を3次元的に表した模式図である。
本発明を実施する形態について図面を用いて説明する。図1は本発明の一実施形態によるスパッタリング装置1全体の模式断面図を示す。スパッタリング装置1は、真空を保つことができるチャンバ9と、皮膜を成膜する被処理物5をチャンバ9内で保持する被処理物保持機構10と、チャンバ9内に配置されるターゲット3と、ターゲット3と被処理物保持機構10との間に配置される電位制御部材2とを有している。そして、その電位制御部材2と被処理物保持機構10との間にプラズマ7を発生させるプラズマ発生部材6も有している。
本発明によるスパッタリング装置1では、ターゲット3と被処理物保持機構10の間に電位を自在に操作できる部材(以下、電位制御部材という)2を設置し、イオン化した金属粒子(以下、金属イオンという)8がターゲット3に引き寄せられる(引き戻される)ことを防いでいる。具体的には、電位制御部材2に被処理物5よりも高い電位、より好ましくは100V以下の正の電位を与え、ターゲット3と被処理物5の間に電位の壁が作られる。
さらに、ターゲット3と被処理物5の間に、ホローカソード(ホットアーク)ガン(電子銃)、熱電子フィラメント、シールドアーク(コールドアーク)放電ターゲットなどのプラズマ発生部材6によって放電プラズマを生成し、電位制御部材2と被処理物5の間で金属粒子4をイオン化する。また、プラズマ発生部材6によって発生したプラズマ7の一部は電位制御部材2とターゲット3の間でスパッタリングのためのグロー放電を、言い換えれば希ガスのイオン化を補助する役割も果たす。なお、以下においてイオンとは全て正イオンを指すものとする。また、図1ではプラズマ発生部材6として電子銃(ホローカソードガン)を用いた場合を示している。
次に、本発明のスパッタリング装置1を用いた皮膜形成(成膜)のメカニズムを説明する。チャンバ9内に導入されたアルゴンなどの希ガス(不活性ガス)がグロー放電によって電位制御部材2とターゲット3の間で生成した希ガスイオンは、ターゲット3の電圧に引き寄せられた結果、ターゲット3に衝突し、ターゲット原子をスパッタリングする。スパッタリングにより飛び出したターゲット原子(金属粒子4)は電荷を持たないため、ターゲット3の電位の影響を受けずに電位制御部材2の開口部Kを通り抜ける。電位制御部材2の開口部Kを通り抜けた金属粒子4は、被処理物保持機構10によって保持された被処理物5と、電位制御部材2との間でプラズマ発生部材6によって生じたプラズマ7によってイオン化され、金属イオン8となる。金属イオン8は被処理物5の電位に引き寄せられて加速され、電位制御部材2と被処理物5との間の電位勾配に応じたエネルギーを得て被処理物5の表面に到達することで成膜される。
図6は、図1に示すスパッタリング装置1における線X−X上の電位変化を表した模式図である。原則としてイオンが正の電荷を持っている場合には、例えば、水が高い所から低い所に流れ落ちるように電位線上で負の電位の方向(図中の下方向)に力を受ける。この原理を応用すると、図6中の領域A、すなわち電位制御部材2と被処理物5との間の領域に存在するイオンは被処理物5の側に動く。これに対して領域B、すなわちターゲット3と電位制御部材2との間に存在するイオンは、ターゲット3側に引き寄せられる。
したがって、上述したようにターゲット原子、すなわち金属粒子4は電位制御部材2と被処理物5との間の領域でプラズマ発生部材6から生じるプラズマ7によりイオン化され、金属イオン8となり、その金属イオン8は被処理物5の電位に引き寄せられて、被処理物5の表面に到達することで成膜される。同時に、チャンバ9内に導入された希ガスはターゲット3と電位制御部材2との間でプラズマ7により希ガスイオンとなり、ターゲット3に引き寄せられて、ターゲット3表面をスパッタする。
なお、スパッタリング粒子(中性金属粒子)は一般に数eVの運動エネルギーを持っているが、チャンバ9、被処理物5、電位制御部材2およびターゲット3のそれぞれの電位差に比べればかなり小さいので大勢に影響はない。ただし、この運動方向はターゲット3から被処理物5に向かう方向であるので、同じ場所でイオン化した希ガスと比較して被処理物5側に到達する確率は若干高くなる。
図2は、本発明のスパッタリング装置1の別の実施形態を示す模式断面図である。この実施形態では、プラズマ源である図1のプラズマ発生部材6としてコールドアーク放電ターゲット16が用いられる。このコールドアーク放電ターゲット16は、特に、アークにより蒸発するターゲット3元素が被処理物5に到達しないように蒸発した元素を遮蔽するシールドを配置したものである。
次に、本発明のスパッタリング装置1を構成する電位制御部材2の形態等について図10を用いて説明する。この電位制御部材2の目的は、
(1)電子銃等のプラズマ発生部材から発生する電子をターゲット近傍に導き、希ガスのイオン化を促進してスパッタリングの効率を向上させること、
(2)電子銃等のプラズマ発生部材から発生する電子をターゲットと被処理物を結ぶスパッタ粒子(ターゲットを構成している粒子であって、スパッタ現象により飛び出した粒子)の飛行行程上に導き、スパッタ粒子のイオン化を促進すること、および
(3)イオン化したスパッタ粒子がターゲットの電位によって引き戻されないよう、ターゲットの電位を遮蔽すること
の3点である。
このうち(3)の効果を奏するために、本発明において電位制御部材は、ターゲットと被処理物を結ぶ少なくとも1つの直線(飛行工程)91が、電極に遮られることなく、電極を構成する導電体90の任意の3点を結ぶ三角形92の内側を通過するように構成されることが必要である。
電位制御部材が上記構成でなければならない理由について、図10を用いて詳細に説明する。まず、ターゲットからスパッタされた粒子が直線91の飛行行程を通って被処理物に到達する場合を考える。この粒子が電位制御部材を通過し、電位制御部材と被処理物の間でイオン化された後、ターゲット電位に引き付けられることを防ぐため、すなわちこの金属イオンからターゲット電位を遮蔽するために、図10の(a)および(b)に示すように電位制御部材2を構成する導電体90が飛行行程91を取り囲むことが理想である。例えば、図10(a)の構成の一箇所を切り欠いたアルファベットの「C」の形状の構成によっても同様の効果を奏する。また、例えば図10(c)に示すように、2つの導電体90、91を略並行に配置して、飛行行程91を挟む構成としても同様の効果を奏する。また、図10(d)に示すように3つ以上の導電体90で飛行行程91を取り囲む三角形92を形成してもよい。しかし、さまざまな制限からこのような構成をとることができない場合がある。また、例えば内部に開口部を持たない単純な円形や、全ての内角が180°以下の多角形1つでは、本発明の電位制御部材としては成立しない。
本発明の電位制御部材は、上記構成を少なくとも1つ以上含み、好ましくは複数の上記構成を含む。例えば図11の(a)および(b)に示すような形状が最も好ましい形状の1つである。また図12の(a)および(b)には、図11(a)に示す電位制御部材のより詳細な形態を示す。もちろん、電位制御部材は、単純なメッシュ構造や多孔構造であってもよいが、装置の構成によっては電位制御部材に100A程度の電流が流れるので、加熱によって変形することを避けるために、電位制御部材はなるべく単純な形態を呈し、厚みのある部品もしくは線径の太い部品で構成されていることが望ましい。
次に、本発明における電位制御部材の開口径と被処理物との距離について説明する。
本発明の1つの目的は、ターゲットと被処理物の間の電位を制御することであり、アノード電極を目の細かいメッシュにすることによりこの目的を達成することができる。しかし、電位制御部材には蒸着粒子が堆積するため、目の細かいメッシュはすぐに目詰まりする。また、電位制御部材のターゲットおよび被処理物に対する投射面積が大きいと、成膜速度が低下する。そこで、電位制御部材の形状についてシミュレーションを行ない、好ましい開口径を検討した。
図13〜16は、電位制御部材の開口径を変化させてイオンの軌道をシミュレーションした結果である。ここで開口径とは、「電位制御部材上の三点を通る円であって、円の内部に電位制御部材を含まず、ターゲットと被処理物を結ぶ前記電位制御部材に遮られない少なくとも1つの直線が内側を通過する円の直径の最大値」と定義される。この直径は、図10(a)では貫通穴94の直径に相当し、図10(b)ではヌキ穴である四角形の内接円94に相当し、図10(c)では平行線の距離に相当し、図10(d)では3つの電極の内側に接する最小の円94の直径に相当する。
シミュレーションは、簡略化のため2次元領域で行った。なお、図13〜19のシミュレーションの単位は相対値である。
図13Aは、電位制御部材2の開口径を20とした場合に被処理物5と電位制御部材2と間の距離を93、電位制御部材2とターゲット3の間の距離を93、被処理物電位を−100V、電位制御部材の電位を+20V、ターゲット電位を600V、チャンバ電位を0Vとしたときの、10V毎の等電位線の作図結果である。電位制御部材と被処理物間にはほぼ平行な電位線が示されており、電位制御部材の被処理物側にターゲット電位の影響はほとんどなく、ターゲット電位はほぼ完全に遮蔽されていることが理解される。
図13Bは、電位制御部材2のターゲット3側に20の幅をイオン化領域96とし、このイオン化領域96に質量数48の陽イオンを100個散布した場合の当該陽イオンの軌道をシミュレーションした結果である。同図に示すように陽イオンのほとんどが被処理物に到達していることがわかる。
図13Cは、このときの電位を3次元的に表した模式図である。電位制御部材2からターゲット3に向かって急激に電位が落ち込んでいるが、電位制御部材2より被処理物側は被処理物5に向かって電位はなだらかに傾斜している。
図14Aは電位制御部材2の開口径が45のときの等電位線を示し、図14Bおよび14Cは同じ場合の陽イオン軌跡および3次元模式図をそれぞれ示す。この場合、電位制御部材2の被処理物5側にターゲット電位が影響を与え、ターゲット3側に引き寄せられる陽イオンが増加しているが、ほとんどのイオンは被処理物5に到達している。なお、力学的エネルギーの保存則から、被処理物5到達時の陽イオンのエネルギーは、軌跡に関係なく、イオンの発生地点と終着地点(被処理物5)の電位差となる。
図15A〜15Cは、電位制御部材2の開口径が95のときの等電位線、陽イオン軌跡および3次元模式図をそれぞれ示す。この場合、電位制御部材2の被処理物側にターゲット電位が大きく影響しており、ほとんどの陽イオンがターゲット側に引き寄せられている。
図16A〜16Cは、電位制御部材2の開口径が195のときの等電位線、陽イオンの軌跡および3次元の模式図をそれぞれ示す。図16Cに見られるようにターゲット電位の影響は被処理物5まで到達し、電位制御部材2近傍で発生したイオン以外は被処理物5ではなくターゲット3に引き寄せられている。
上述したように図13〜16のシミュレーションの単位は相対値であるので、等電位線およびイオンの軌道は縮尺が変わっても変化しない。よって電位制御部材2の開口径の基準は絶対値ではなく相対値によって議論されなければならない点に留意すべきである。
そこで、図14A〜14Cに示す場合において、電位制御部材2の開口径を45としたまま図17A〜17Cに示すようにターゲット3と電位制御部材2の間の距離を93から43にすると、ターゲット3の電位が電位制御部材2を超えてイオン化領域96まで張り出し、ターゲット側に引き付けられて被処理物5に到達しない金属イオンが多くなる。さらに図18A〜18Cに示すようにターゲット3と電位制御部材2の間の距離を18にしたところ、ターゲット3の正面の金属イオンはほぼ全てターゲット3に引き寄せられ、被処理物5に到達しなくなる。このことから、電位制御部材2とターゲット5の間の距離が電位制御部材2の開口径よりも小さくなると、本発明の効果を十分に発揮できないことが分かった。
一方、図14A〜14Cに示す場合において電位制御部材2の開口径を45としたまま図19A〜19Cのように電位制御部材2と被処理物5の間の距離を18にしたところ、金属イオンは全て被処理物5に到達した。しかし、このシミュレーション結果はイオン化領域96を電位制御部材2の中心から被処理物側に20の幅を有する構成のためであり、実際の装置レイアウトでは、電位制御部材2と被処理物5の間にイオン化領域96を形成するには電位制御部材2と被処理物5の間には十分な距離が必要となる。このことから、被処理物5と電位制御部材2の間は電位制御部材2とターゲット3の間と同等か、それ以上の距離を設けることが望ましい。
一方、スパッタ粒子をイオン化するためのプラズマ源として電子銃6を用いた場合、電子は負の電荷を持っているので電位制御部材2に引き寄せられる。電子銃6は概ねターゲット3と被処理物5を結ぶ軸線(図1の線X−X)から径方向に離れて設置され、その向きは線X−Xにおおよそ垂直である。このときの電子銃6の線X−X方向の位置は、図1に示されるように被処理物5と電位制御部材2の間であることが好ましい。このような位置関係で電子銃を使用した場合、線X−Xに垂直に照射された電子ビームは途中で曲げられて電位制御部材に入射する。こうして電位制御部材2の被処理物側にプラズマが発生し、イオン化領域96が形成される。このイオン化領域96は、被処理物5と電位制御部材2の間の、電位制御部材2寄りに位置する。このため、ターゲット側への電位傾斜の張り出しがイオン化領域96全域に及ばないようにするためには、開口径が電位制御部材2と被処理物5の間の距離の1/2以下であることがより好ましい。
すなわち、本発明の効果を奏するためには、電位制御部材上の三点を通る円であって、円の内部に電位制御部材を含まず、ターゲットと被処理物を結ぶ、電位制御部材に遮られない少なくとも1つ直線が内側を通過する円の直径の最大値が、前記3点を結ぶ三角形とターゲットとの距離よりも小さいことが好ましく、また前記円の直径の最大値が、前記三角形と被処理物との距離の1/2以下であることがより好ましい。
なお、通常、放電の維持および時間当たりのスパッタリング回数を向上させるため、スパッタリングターゲットの裏側に永久磁石または電磁石を配置したマグネトロンスパッタリングが用いられるが、本発明はこれに限定されるものではなく、マグネトロンスパッタリングまたは非マグネトロンスパッタリングの両方に適用することができ、両者とも本発明に含まれる。
(実施例1)
図1に示すスパッタリング装置1のチャンバ9の被処理物5として一面を研磨した高速度工具鋼材製の角棒(断面6mm角×長さ40mm)を固定し、ターゲットにTiを用いて、被処理物を回転させながら排気、エッチング、スパッタリング成膜を行った。また、電子制御部材2としてアノード電極を用いた。成膜時の圧力は1.6Pa、Ar/Nガス比率は30/1、基板電圧は−50V、電位制御部材の電圧は−20V、ターゲット電圧は−500V、ホローカソード(HCD)ガン出力は50Aであった。1時間のスパッタリングで0.6μm厚さの黄金色のTiN膜が得られた。図9(a)は得られたTiN膜の表面のSEM写真(倍率:5000倍)を示す。このとき、熱処理済軸受鋼を角棒と同じ位置に設置し、成膜後に皮膜硬さを測定することで蒸着時の雰囲気の最高温度を計測したところ、250℃であった。
(比較例1)
実施例1と同じ構成から電位制御部材2を取り外し、基板電圧を−70Vとして、同様にスパッタリング成膜を行った。電位制御部材、基板電圧以外の条件は実施例1と同一である。得られたTiN膜は0.8μmの厚さで褐色であった。この膜の表面のSEM写真(倍率:5000倍)が図9(b)に示される。軸受鋼による最高温度は250℃であった。
(比較例2)
比較例1と同様に、しかし装置の電熱ヒーターを作動させて被処理物を加熱して、TiNを成膜した。得られたTiN膜は0.8μmの厚さで褐色であったが、比較例1よりは黄金色に近かった。軸受鋼による最高温度は500℃であった。
上述したように図9(a)には、黄金色のTiN皮膜の電子顕微鏡像(SEM写真:倍率5000倍)を、図9(b)には褐色のTiN皮膜の電子顕微鏡像をそれぞれ示した。例えば、窒化チタン(TiN)の成膜においては成膜粒子のエネルギーが不足すると黄金色ではなく褐色となることが知られている。図9(b)に示すような褐色のTiN皮膜では、0.1μm程度の小さな欠陥が多く、これが光沢を持たない、くすんだ色の原因と考えられる。一方の図9(a)に示すような黄金色のTiN皮膜では数μmの凹みが見られるが、それ以外の部分および凹みの内部は平滑な面になっている。
なお、従来のスパッタリングでも被処理物を積極的にプラズマ雰囲気に暴露し、また被処理物の温度を上げることで黄金色のTiN皮膜が得られている。このことからも、蒸着粒子のエネルギーが高いほど黄金色のTiN皮膜となることが示唆される。すなわち、蒸着粒子をイオン化し、またイオン化した蒸着粒子を被処理物の電圧で加速して被処理物に到達させることで、蒸着時の雰囲気温度が比較的に低温でも黄金色のTiN皮膜を得ることができる。
(実施例2)
図1に示すスパッタリング装置1のチャンバ9内の被処理物5として一面を研磨した高速度工具鋼の角棒(断面6mm角×長さ40mm)を固定し、Ti:Al=50:50の組成のTiAlターゲットを用いて、被処理物を回転させながら排気、エッチング、スパッタリング成膜を行った。また、成膜時にヒーターを用いて被処理物を400℃まで加熱した。成膜時の圧力は1.6Pa、Ar/Nガス比率は8/1、基板電圧は−100V、電位制御部材の電圧は−20V、ターゲット電圧は−500V、HCDガン出力は50Aであった。1時間のスパッタリングで2.6μmの厚さの紫色のTiAlN膜が得られた。皮膜の硬さを荷重49gのユニバーサル硬度計で測定したところ、41GPaであった。
(比較例3)
実施例2と同じ構成から電位制御部材2を取り外し、同様にスパッタリング成膜を行った。電位制御部材の有無以外の条件は実施例2と同一である。得られたTiAlN膜は3.9μmの厚さで紫色であった。実施例2と同じ方法でこの皮膜の硬度を測定したところ、32GPaであった。
以上の結果より、実施例2と比較例3は成膜時間、ターゲット出力および圧力の各条件が等しいので、比較例3で成膜した場合の膜厚が実施例2の場合の膜厚に対して3/2倍の膜厚であることは、膜の密度が2/3であることを示唆しており、比較例3で成膜した場合の皮膜硬度が実施例2の場合の硬度よりも低い原因は膜内部に多くの空孔を含む密度の低い膜であるためと考えられる。
また、比較例3の皮膜は密着性に乏しく、ロックウェル硬度計を用いた密着性試験で容易に剥離した。一方、実施例2の皮膜は剥離せず、良好な密着性を示した。これらのことから、本発明の構成により、安価な直流電源を用いたスパッタリング成膜において、皮膜の密着性と膜質を高めることが可能となることが認められる。
1、101、201、301 スパッタリング装置
2 電位制御部材(アノード電極)
3 ターゲット
4 金属粒子
5 被処理物
6 プラズマ発生部材(ホローカソードガン)
7 プラズマ
8 金属イオン
10 被処理物保持機構
16 シールドアーク放電ターゲット
30 導電体
90 導電体
91 直線、飛行行程
92 三角形
94 円、貫通穴
96 イオン化領域
K 開口部

Claims (4)

  1. 真空を保つことができるチャンバと、
    皮膜を成膜する被処理物を前記チャンバ内で保持する被処理物保持機構と、
    前記チャンバ内に配置されるターゲットと、
    前記ターゲットと前記被処理物保持機構との間に配置される電位制御部材と
    前記電位制御部材と前記被処理物保持機構との間にプラズマを発生させるプラズマ発生部材と
    を有するスパッタリング装置において、
    前記電位制御部材は、前記ターゲットから前記被処理物保持機構の側に向けて前記ターゲット原子が通過できる開口部を有し、前記開口部の大きさは、前記ターゲットと前記電位制御部材とを結ぶ最短距離以下であることを特徴とするスパッタリング装置。
  2. 前記電位制御部材は、アノード電極であることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリング装置。
  3. 前記プラズマ発生部材が、ホローカソードガン、熱電子フィラメントおよびコールドアーク放電ターゲットからなる群から選択される1以上のプラズマ発生源を有することを特徴とする請求項1または2に記載のスパッタリング装置。
  4. 請求項1からまでのいずれか一項に記載のスパッタリング装置を用いて、前記電位制御部材に前記被処理物よりも高い電位を与えて成膜を行うことを特徴とする成膜方法。
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