以下に、本願の開示する河川監視システム、河川監視方法および河川監視プログラムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る河川監視システム1の構成の一例を説明するための図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る河川監視システム1は、監視対象である河川の複数位置に設置される複数の標尺部材10と、各標尺部材10に複数装着されるセンサ浮き20と、複数の河川監視装置30と、管理サーバ40と、端末装置50と、を備える。河川監視装置30と、管理サーバ40と、端末装置50とは、ネットワーク60を介して通信可能に接続される。
河川監視装置30は、自装置に対応付けられる標尺部材10の画像と、当該標尺部材10に装着される複数のセンサ浮き20が検知する加速度と、を取得する。河川監視装置30は、取得した画像と加速度とを、ネットワーク60を介して管理サーバ40に送信する。管理サーバ40は、受信した加速度から河川の状態を判定する。管理サーバ40は、判定結果に基づき、端末装置50に通知を送信するとともに、河川の画像を送信する。
なお、河川監視システム1においては、標尺部材10と、当該標尺部材10に装着される複数のセンサ浮き20と、標尺部材10に対応して設置される河川監視装置30と、の組み合わせが河川の複数位置に配置される。このため、河川監視システム1は、複数の標尺部材10、複数のセンサ浮き20、複数の河川監視装置30を備えるが、特に区別して説明する場合を除き、各々総称的に参照符号10,20,30により表示する。
(第1の実施形態に係る河川監視システム1の構成の一例)
図2は、第1の実施形態に係る河川監視システム1の構成の一例を示す図である。図3は、第1の実施形態に係る河川監視システム1が備える標尺部材10およびセンサ浮き20の構成について説明するための図である。図2および図3を参照し、河川監視システム1の詳細な構成の一例につき説明する。
(標尺部材10の構成の一例)
標尺部材10は、監視対象である河川の複数個所に設置される。標尺部材10は、時間の経過に伴い変動する河川の水位を表示する機能を有する。たとえば、標尺部材10は、目盛り付きの標尺すなわち水位ものさしである。標尺部材10は、監視対象である河川の水面に対して垂直に、または傾斜させて固定して設置される。河川の水位が変動するに伴い、水面が標尺部材10の目盛りによって示されるいずれかの水位に位置する。各時点の水面の位置によって、当該時点の河川の水位が表示される。
(センサ浮き20の構成の一例)
センサ浮き20は、加速度を計測するセンサである。センサ浮き20は、水面に浮かぶ機能を有する。センサ浮き20は、河川の水面が当該センサ浮き20が装着される標尺部材10の目盛りの位置に近づくに伴い、水面に接触し、徐々に河川の水面に浮かぶ。センサ浮き20は、防水加工が施される。センサ浮き20は、標尺部材10に対して着脱可能に構成される。一つの標尺部材10に対して、複数のセンサ浮き20が装着され、各センサ浮き20が異なる水位における水流の状態を検知する。たとえば、センサ浮き20は、標尺部材10の目盛りに対して複数位置に等間隔に装着される。センサ浮き20は、標尺部材10に対して可動に装着され、浸水時と水面浮動時と未浸水時とで相互に区別可能な態様で運動する。河川監視システム1において、センサ浮き20が検知する加速度の情報に基づき、当該センサ浮き20が浸水中であるか、水面浮動中であるか、未浸水状態であるか、等の判定を実現することができる。
センサ浮き20は、標尺部材10に対して、自装置の複数軸のうち少なくとも一つの方向が大きく変化しないよう装着される。センサ浮き20と標尺部材10との接続態様は特に限定されないが、センサ浮き20が河川の水流の状態に応じて少なくとも3軸方向に運動可能な状態で装着することが好ましい。このように構成すれば、河川監視システム1は、センサ浮き20が浸水状態にある場合に、各センサ浮き20の位置において水流がどのように挙動しているかを加速度情報から判定することができる。たとえば、河川監視システム1は、水位1メートルの目盛りに装着されるセンサ浮き20により検知される加速度と水位3メートルの目盛りに装着されるセンサ浮き20により検知される加速度とを比較して、河川の状態を判定し、異常を検知することができる。
図3の例では、5つのセンサ浮き20A,20B,20C,20D,20Eが一つの標尺部材10に装着される。センサ浮き20A,20B,20C,20D,20Eは、標尺部材10の目盛りに等間隔に装着される。たとえば、標尺部材10が、水位1メートルから水位3メートルまでを表示するように構成されている場合、センサ浮き20A,20B,20C,20D,20Eは、目盛り50センチメートルごとに標尺部材10に装着される。また、センサ浮き20A,20B,20C,20D,20E各々には、互いに区別できるよう一意の識別子である浮きID(Identifier)が割り当てられる。
なお、一つの標尺部材10に対して装着されるセンサ浮き20の数は特に限定されない。また、センサ浮き20を装着する目盛りの間隔も特に限定されない。監視対象とする河川の過去の水位変動のデータや、監視したい水位変動レベルに応じて、センサ浮き20の数および目盛りの間隔を設定することができる。
第1の実施形態においては、センサ浮き20は水面に浮かぶ機能を有するものとするが、必ずしも水面に浮かぶ機能を有するものに限定されない。センサ浮き20は、水中および水面において水流に応じて運動し、加速度を検知することができればよい。
図2に戻り、センサ浮き20は、通信部21と、制御部22と、記憶部23とを備える。通信部21は、河川監視装置30に情報を送信する。通信部21は、センサ浮き20が検知した加速度の情報を河川監視装置30に送信する。通信部21はたとえば、近距離通信機能を有する。通信部21はたとえば、ビーコン信号として加速度と浮きIDとを、河川監視装置30に送信する。
制御部22は、センサ浮き20の動作および機能を制御する。制御部22にはたとえば、各種の集積回路や電子回路を採用できる。また、制御部22に含まれる機能部の一部を別の集積回路や電子回路とすることもできる。例えば、集積回路としては、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)が挙げられる。また、電子回路としては、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などが挙げられる。
制御部22は、加速度検知部221と加速度送信部222とを備える。加速度検知部221は、センサ浮き20の動きの複数軸における加速度を所定時間ごとに検知する。加速度検知部221はたとえば、自装置の基準軸に対して決定される3軸方向における加速度を検知する。
加速度送信部222は、所定時間ごとに検知した加速度と、浮きIDと、検知時刻と、を通信部21から河川監視装置30に送信させる。
記憶部23は、加速度検知部221が検知した加速度と、センサ浮き20の浮きIDと、検知時刻と、を記憶する。記憶部23には、半導体メモリ素子等を採用できる。例えば、半導体メモリ素子としては、VRAM(Video Random Access Memory)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ(flash memory)などが挙げられる。
(河川監視装置30の構成の一例)
河川監視装置30は、標尺部材10に対応付けて河川に設置される。第1の実施形態においては、一つの標尺部材10に対応付けて1つの河川監視装置30が設置される。河川監視装置30は、通信部31と、制御部32と、記憶部33とを備える。
通信部31は、センサ浮き20および管理サーバ40等と河川監視装置30との間の通信を実現する機能部である。通信部31は、センサ浮き20から加速度と浮きIDと検知時刻とを受信する。また通信部31は、センサ浮き20から受信した加速度および浮きIDと検知時刻と、撮像した画像(後述)と、を管理サーバ40に送信する。
制御部32は、河川監視装置30の動作および機能を制御する。制御部32にはたとえば、各種の集積回路や電子回路を採用できる。また、制御部32に含まれる機能部の一部を別の集積回路や電子回路とすることもできる。例えば、集積回路としては、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)が挙げられる。また、電子回路としては、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などが挙げられる。
制御部32は、撮像部321を備える。撮像部321は、標尺部材10の画像を取得する。撮像部321は、標尺部材10によって表示される河川の水位を視認できる画像を取得する。
記憶部33は、河川監視装置30の各部の処理に使用する情報および各部の処理により生成される情報を記憶する。記憶部33は、センサ浮き20から受信した加速度を浮きIDに対応付けて記憶する。また、記憶部33は、撮像部321が取得した画像を記憶する。
記憶部33としては、半導体メモリ素子や記憶装置を採用できる。例えば、半導体メモリ素子としては、VRAM(Video Random Access Memory)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ(flash memory)などが挙げられる。また、記憶装置としては、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置が挙げられる。
(管理サーバ40の構成の一例)
管理サーバ40は、通信部41と、制御部42と、記憶部43とを有する。
通信部41は、河川監視装置30および端末装置50とネットワーク60を介した通信を実現する。通信部41は、河川監視装置30から加速度と画像とを受信する。また通信部41は、管理サーバ40における判定処理の結果に応じて、端末装置50に通知および画像を送信する。
制御部42は、管理サーバ40の動作および機能を制御する。制御部42にはたとえば、各種の集積回路や電子回路を採用できる。また、制御部42に含まれる機能部の一部を別の集積回路や電子回路とすることもできる。例えば、集積回路としては、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)が挙げられる。また、電子回路としては、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などが挙げられる。
記憶部43は、管理サーバ40の各部の処理に使用する情報および各部の処理により生成される情報を記憶する。記憶部43には、半導体メモリ素子や記憶装置を採用できる。例えば、半導体メモリ素子としては、VRAM(Video Random Access Memory)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ(flash memory)などが挙げられる。また、記憶装置としては、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置が挙げられる。
(管理サーバ40の記憶部43に記憶される情報の一例)
記憶部43は、管理情報記憶部431と、測定情報記憶部433と、判定情報記憶部435と、判定結果情報記憶部437と、を有する。以下に記憶部43の各部に記憶される情報について説明する。
(管理情報の構成の一例)
図4は、第1の実施形態に係る河川監視システム1における管理情報の構成の一例について説明するための図である。管理情報は、河川監視システム1が備える標尺部材10、センサ浮き20および河川監視装置30を管理するための情報である。管理情報は、標尺部材管理情報と、標尺部材位置情報と、センサ浮き管理情報と、センサ浮き位置情報と、を含む。
図4中、(A)は、複数の標尺部材10と、当該標尺部材10が設置される河川の情報とを対応づける標尺部材管理情報の構成の一例を示す。(A)中、「河川名」に対応付けて、複数の「標尺部材ID」が記憶される。「河川名」は、標尺部材10が設置される河川の名称である。「標尺部材ID」は、標尺部材10各々を一意に識別するための識別子である。たとえば、「河川名、AAA川」に対応付けて「標尺部材ID、SUI−101、SUI−102、SUI−103、SUI−104、SUI−105」が記憶される。これは、AAA川には標尺部材ID「SUI−101」、「SUI−102」、「SUI−103」、「SUI−104」、「SUI−105」で特定される5つの標尺部材10が設置されていることを示す。
図4中、(B)は、複数の標尺部材10が設置される場所を示す標尺部材位置情報の構成の一例を示す。(B)中、「標尺部材ID」に対応付けて、「河川監視装置ID」と「設置場所情報」とが記憶される。「標尺部材ID」は(A)に示したものと同様、標尺部材10を一意に識別するための識別子である。「河川監視装置ID」は河川監視装置30を一意に識別するための識別子である。「設置場所情報」は、標尺部材10が設置される位置を示す情報である。(B)の例では、「標尺部材ID、SUI−101」に対応付けて、「河川監視装置ID、KAN−101」、「設置場所情報、ABC地点」が記憶される。これは、標尺部材ID「SUI−101」で識別される標尺部材10は、河川監視装置ID「KAN−101」で識別される河川監視装置30と対応づけて設置されていることを示す。また、標尺部材ID「SUI−101」で識別される標尺部材10は、「ABC地点」で特定される場所に設置されていることを示す。なお、「設置場所情報」としてはこのほか、経度や緯度等の情報を記憶してもよい。
図4中、(C)は、標尺部材10と、当該標尺部材10に装着されるセンサ浮き20とを対応づけるセンサ浮き管理情報の構成の一例を示す。(C)中、「標尺部材ID」に対応付けて、複数の「浮きID」が記憶される。「標尺部材ID」は、(A),(B)に示したものと同様である。「浮きID」は、各センサ浮き20を一意に識別するための識別子である。例えば、(C)中、「標尺部材ID、SUI−101」に対応付けて、「浮きID、UKI−101,UKI−102,UKI−103,UKI−104,UKI−105」が記憶される。これは、標尺部材ID「SUI−101」で特定される標尺部材10には、浮きID「UKI−101」で特定されるセンサ浮き20が装着されていることを示す。また、当該標尺部材10には、浮きID「UKI−102,UKI−103,UKI−104,UKI−105」で特定されるセンサ浮き20が装着されていることを示す。例えば、図3に示す標尺部材10の「標尺部材ID」は「SUI−101」である。そして、図3の標尺部材10に装着されるセンサ浮き20A,20B,20C,20D,20Eは各々、浮きID「UKI−101,UKI−102,UKI−103,UKI−104,UKI−105」によって識別される。
図4中、(D)は、センサ浮き20が装着される位置を示すセンサ浮き位置情報の構成の一例を示す。(D)中、「浮きID」に対応付けて、各センサ浮き20の「対応水位」が記憶される。「浮きID」は、(C)に示したものと同様である。「対応水位」はセンサ浮き20が装着される標尺部材10の目盛りが示す水位である。たとえば、(D)中、「浮きID、UKI−101」に対応付けて、「対応水位、1M」が記憶される。これは、浮きID「UKI−101」で特定されるセンサ浮き20は、標尺部材10の「1M」を示す目盛りに装着されていることを示す。
(測定情報の構成の一例)
図5は、第1の実施形態に係る河川監視システム1における測定情報の構成の一例について説明するための図である。測定情報は、河川監視システム1が備えるセンサ浮き20が検知した加速度および河川監視装置30が撮像した画像等、河川監視システム1において測定された情報である。測定情報は、浮き加速度情報と画像情報とを含む。
図5中、(A)は、浮き加速度情報の構成の一例を示す。浮き加速度情報は、センサ浮き20と、当該センサ浮き20が検知した加速度と当該加速度が検知された時刻とを対応づける情報である。(A)中、浮き加速度情報は、「浮きID」、と「加速度情報」とを含む。また、「加速度情報」は、「検知時刻」と「加速度」とを含む。「浮きID」は図4の(C)に示した「浮きID」と同様である。「検知時刻」はセンサ浮き20が加速度を検知した時刻を示す。「加速度」は、センサ浮き20が検知した加速度の値を示す。たとえば、(A)中、「浮きID、UKI−101」に対応付けて、「加速度情報」として「検知時刻、15:00」、「加速度、100」が記憶される。これは、浮きID「UKI−101」で特定されるセンサ浮き20が、15時に検知した加速度は、100mGalであったことを示す。
図5中、(B)は、画像情報の構成の一例を示す。画像情報は、河川監視システム1が備える各河川監視装置30が撮像した画像の情報である。(B)中、画像情報は、「河川監視装置ID」と「画像情報」とを含む。また、「画像情報」は、「撮像時刻」と「画像データ」とを含む。「河川監視装置ID」は、図4の(B)に示した「河川監視装置ID」と同様である。「撮像時刻」は、河川監視装置30が画像を撮影した時刻を示す。「画像データ」は実際に河川監視装置30が撮影した画像の情報である。(B)の例では、「河川監視装置ID、KAN−101」に対応付けて、「画像情報」として「撮像時刻、15:04」と「画像データ、XYZ」とが記憶される。これは、河川監視装置ID「KAN−101」で特定される河川監視装置30は、15時4分に、自装置と対応する標尺部材10の画像「XYZ」を撮像したことを示す。
なお、加速度を検知するタイミングと、画像を撮像するタイミングとは必ずしも一致していなくてよい。図5の例では、加速度の検知間隔の方が、画像の撮像間隔よりも短く設定される。また、加速度の検知間隔および画像の撮像間隔は河川の状況に応じて変更したり任意に設定したりしてよい。
(判定情報の構成の一例)
図6は、第1の実施形態に係る河川監視システム1における判定情報の構成の一例について説明するための図である。判定情報は、河川監視システム1において河川の状態を判定するための基準となる情報である。判定情報は、センサ浮き浸水判定情報と、危険度判定情報と、を含む。
図6中、(A)は、センサ浮き浸水判定情報の構成の一例を示す。センサ浮き浸水判定情報は、センサ浮き20各々が検知した加速度の所定時間当たりの平均値から当該センサ浮き20が浸水しているか否かを判定するための情報である。(A)の例では、「浮き加速度平均(mGal)」に対応づけて「判定」が記憶される。「浮き加速度平均(mGal)」は、センサ浮き20が検知した加速度の所定時間当たりの平均値(mGal)を示す。「判定」は加速度平均の値に応じてセンサ浮き20について推定される状態を示す。例えば、(A)では、「浮き加速度平均、200未満」に対応付けて「判定、水に浸かっていない」が記憶される。また、「浮き加速度平均、200以上」に対応付けて「判定、水に浸かっている可能性あり」が記憶される。これは、センサ浮き20の加速度平均の値が200mGal未満の場合、当該センサ浮き20は水に浸かっていない、と判定されることを示す。また、センサ浮き20の加速度平均の値が200mGal以上の場合、当該センサ浮き20は水に浸かっている可能性あり、と判定されることを示す。
図6中、(B)は、危険度判定情報の構成の一例を示す。危険度判定情報は、各標尺部材10が設置される場所において、水位レベルに対応する危険度と、当該危険度の場合に取るべき対応策と、を示す情報である。危険度判定情報は、河川監視装置30ごとに判定情報記憶部435に記憶される。(B)の例では、「河川監視装置ID」に対応付けて、「危険度判定基準」が記憶される。「危険度判定基準」は、「水位」、「危険度」、「対応策」を含む。「河川監視装置ID」は、図4の(B)に示す「河川監視装置ID」と同様である。「危険度判定基準」は、対応する河川監視装置30の設置場所の水位に応じて判定される危険度と採用する対応策とを示す。「水位」は、当該河川監視装置30の設置位置における水位を示す。「危険度」は、当該水位の場合に推定される危険の度合いを示す。「対応策」は、当該「危険度」の場合に、河川監視システム1の管理者等が取る対応策を示す。たとえば、(B)中、「河川監視装置ID、KAN−101」に対応付けて、「危険度判定基準」として、「水位、0.8M以上1M未満」、「危険度、注意」、「対応策、保守担当者に通知」が記憶される。また、「水位、1M以上2M未満」に対応付けて「危険度、危険」、「対応策、保守責任者に通知」が記憶される。また、「水位、2M以上」に対応付けて「危険度、警報」、「対応策、全員に通知」が記憶される。これは、水位が0.8メートル以上1メートル未満の場合には、危険度は注意を要する程度の低い危険度であることを示す。また、水位が0.8メートル以上1メートル未満の場合には、対応策として、河川監視システム1は、当該河川監視装置30の保守担当者の端末装置50等に通知を行うことを示す。また、水位が1メートル以上2メートル未満の場合には、危険と判定され、水位0.8メートル以上1メートル未満の場合よりも危険度が高いと判定されることを示す。また、水位が1メートル以上2メートル未満の場合には、河川監視システム1は、対応策として河川監視装置30の保守担当者ではなく、河川監視システム1の保守責任者に通知を行うことを示す。また、水位が2メートル以上の場合には、危険度は警報を出すレベルと判定され、水位が1メートル以上2メートル未満の場合よりもさらに危険度が高いと判定されることを示す。また、水位が2メートル以上の場合には、河川監視システム1は、対応策として、保守担当者や保守責任者のみではなく、河川監視システム1の管理に関わる全員に通知を行うことを示す。
(判定結果情報の構成の一例)
図7は、第1の実施形態に係る河川監視システム1における判定結果情報の構成の一例について説明するための図である。判定結果情報は、河川監視システム1が、測定情報と判定情報に基づいて、センサ浮き20各々の状態および標尺部材10各々が設置される地点の水位について判定した結果である。判定結果情報は、センサ浮き状態情報と水位状態情報とを含む。また、図7の例では、判定結果情報はまた、測定情報に基づいて管理サーバ40が算出した加速度の平均値を示す加速度平均情報も含む。
図7中、(A)は、加速度平均情報の構成の一例を示す。(A)中、「浮きID」と「加速度平均情報」とが対応付けて記憶される。また、「加速度平均情報」は、「対象期間」と「加速度平均(mGal)」とを含む。「浮きID」は、図4の(C),(D)に示した「浮きID」と同様である。「加速度平均情報」は当該センサ浮き20が検知した加速度の所定期間にわたる平均値の情報である。「対象期間」は、センサ浮き20が加速度を検知した期間のうち平均値を算出する対象となる期間を示す。図7の(A)では、河川監視システム1は、4分毎の平均値を加速度平均として算出するよう設定されている。「加速度平均(mGal)」は、対応する「対象期間」において検知された加速度の平均値を単位mGalで示す。たとえば、(A)中、「浮きID、UKI−101」に対応付けて「加速度平均情報」が記憶される。「加速度平均情報」は、「対象期間、15:00−15:04」、「加速度平均、100」を含む。これは、浮きID「UKI−101」で特定されるセンサ浮き20が検知した加速度の平均値は、15時から15時4分までについては100mGalであることを示す。加速度平均情報は、図5(A)に示す浮き加速度情報に基づき、管理サーバ40が予め定められた期間ごとの平均値を算出することで取得され記憶される。
図7中、(B)は、センサ浮き状態情報の構成の一例を示す。センサ浮き状態情報は、センサ浮き20各々について算出された加速度平均とセンサ浮き浸水判定情報(図6(A))に基づき判定されるセンサ浮き20の状態を示す情報である。たとえば、センサ浮き状態情報は、センサ浮き20が浸水しているか浸水していないかを示す。(B)中、センサ浮き状態情報は、「浮きID」と「浸水状態」とを含む。「浮きID」は、図4の(C)に示した「浮きID」と同様である。「浸水状態」は対応する「浮きID」により特定されるセンサ浮き20が浸水しているか否かを示す。例えば(B)中、「浮きID、UKI−102」に対応付けて「浸水状態、浸水」が記憶される。これは、浮きID「UKI−102」で特定されるセンサ浮き20は、浸水した状態であると判定されたことを示す。管理サーバ40はたとえば、図7(A)に示す加速度平均情報と、図6(A)に示すセンサ浮き浸水判定情報と、を参照し、センサ浮き20各々の浸水状態を判定する。そして、管理サーバ40は判定した結果を、判定結果情報記憶部437に記憶する。
図7中、(C)は、水位状態情報の構成の一例を示す。水位状態情報は、標尺部材10各々が設置される地点における水位についての判定結果を示す。たとえば、(C)中、「標尺部材ID」と「水位」とが対応付けて記憶される。「標尺部材ID」は、図4の(B)に示した「標尺部材ID」と同様である。「水位」は対応する「標尺部材ID」で特定される標尺部材10の地点の判定された水位の値を示す。たとえば、(C)中、「標尺部材ID、SUI−101」に対応付けて、「水位、2M」が記憶されている。これは、標尺部材ID「SUI−101」で特定される標尺部材10が設置される地点の水位は、2メートルと判定されたことを示す。管理サーバ40は、図7(B)に示すセンサ浮き状態情報を参照して、浸水していると判定されたセンサ浮き20のうち最も高い水位の目盛りに装着されているセンサ浮き20に対応する水位を、当該センサ浮き20が装着される標尺部材10の地点の水位と判定する。管理サーバ40は判定結果を、判定結果情報記憶部437に記憶する。
(管理サーバ40の制御部42の構成の一例)
図2に戻り、管理サーバ40の制御部42の構成についてさらに説明する。制御部42は、算出部421と、判定部422と、警報生成部423と、を有する。
算出部421は、センサ浮き20各々から河川監視装置30を介して受信した加速度の所定期間ごとの平均値を算出する。算出部421は、測定情報記憶部433に記憶される浮き加速度情報(図5(A)参照)を参照し、所定期間たとえば4分ごとの加速度の平均値を算出する。算出部421は算出した平均値を、判定結果情報記憶部437に記憶する(図7(A))。
判定部422は、算出部421が算出した平均値と、判定情報記憶部435に記憶されるセンサ浮き浸水判定情報(図6(A)参照)に基づき、センサ浮き20各々の浸水状態を判定する。判定部422は判定結果を判定結果情報記憶部437に記憶する(図7(B))。判定部422は、センサ浮き20各々の浸水状態の判定結果に基づき、標尺部材10各々における水位を判定する。判定部422は判定結果を判定結果情報記憶部437に記憶する(図7(C))。
警報生成部423は、判定部422による判定結果に基づいて、端末装置50に送信する警報を生成する。警報生成部423は、判定部422が判定した標尺部材10各々における水位の判定結果(図7(C))と、危険度判定情報(図6(B))と、を参照し、判定結果に対応する危険度と対応策とを特定する。警報生成部423は、判定情報により特定される対応策に基づき、通知を作成する。警報生成部423は、通知に、危険度の情報、標尺部材10が設置される場所の情報、危険と判定された加速度が検知された日時等の情報を含める。また、警報生成部423は、通知に、水位の情報、危険と判定された加速度に対応する画像の情報を含める。警報生成部423は、通知の宛先として、判定情報により指定される宛先を設定する。警報生成部423は、生成した通知を通信部41を介して設定された宛先に送信する。
(端末装置50の構成の一例)
端末装置50は、河川監視システム1の管理者等が使用する情報処理装置である。端末装置50は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)等である。端末装置50は、ネットワーク60と無線または有線で接続して情報の送受信を行うことができる。端末装置50は、通信部51と、制御部52と、記憶部53と、表示部54と、を有する。
通信部51は、管理サーバ40と端末装置50等との間のネットワーク60を介した通信を実現する。通信部51は、管理サーバ40からの通知を受信する。
制御部52は、端末装置50の動作および機能を制御する。制御部52にはたとえば、各種の集積回路や電子回路を採用できる。また、制御部52に含まれる機能部の一部を別の集積回路や電子回路とすることもできる。例えば、集積回路としては、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)が挙げられる。また、電子回路としては、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などが挙げられる。
制御部52は、警報処理部521を有する。警報処理部521は、管理サーバ40から送信される通知を受信し、通知された内容を表示部54に表示させる。
記憶部53は、端末装置50の各部の処理に使用する情報および各部の処理により生成される情報を記憶する。記憶部53はたとえば、管理サーバ40から受信した通知の履歴を記憶する。記憶部53には、半導体メモリ素子や記憶装置を採用できる。例えば、半導体メモリ素子としては、VRAM(Video Random Access Memory)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ(flash memory)などが挙げられる。また、記憶装置としては、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置が挙げられる。
表示部54は、警報処理部521の指示に応じて、管理サーバ40から受信された通知および画像を視認可能な形式で表示する。端末装置50は、管理サーバ40から通知を受信したとき、表示部54に通知の内容を表示するとともに、音声等他の形式でユーザの注意を喚起するようにしてもよい。
(ネットワーク60の構成の一例)
ネットワーク60は、河川監視装置30と、管理サーバ40と、端末装置50とを通信可能に接続する。ネットワーク60は、広域ネットワーク(WAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、その他任意のネットワークである。ネットワーク60は、無線ネットワークまたは有線ネットワークであってもよく、両者の組み合わせであってもよい。
(河川監視処理の大まかな流れの一例)
図8は、第1の実施形態に係る河川監視システム1における河川監視処理の大まかな流れを示すフローチャートである。第1の実施形態に係る河川監視システム1は、河川監視処理を開始すると、まず、データ取得処理を実行する(ステップS81)。データ取得処理は、センサ浮き20による加速度の検知、河川監視装置30による画像の取得を含む。さらに、データ取得処理において、河川監視装置30から管理サーバ40へ、加速度および画像が送信される。
次に、河川状態判定処理が実行される(ステップS82)。河川状態判定処理においては、管理サーバ40の算出部421は、加速度の所定期間にわたる平均値を算出する。そして、判定部422が、算出された加速度の平均値と、記憶部43に記憶される情報に基づき、河川の状態を判定し、判定結果を記憶部43に記憶する。
次に、対応策判定処理が実行される(ステップS83)。対応策判定処理においては、管理サーバ40の警報生成部423は、記憶部43に記憶される判定情報および判定結果情報を参照し、各標尺部材10が設置される位置における水位、危険度および対応策を特定する。
そして、対応策実施処理が実行される(ステップS84)。対応策実施処理においては、管理サーバ40の警報生成部423は、特定した対応策に基づき、端末装置50に通知および画像を送信する。端末装置50は、管理サーバ40からの通知および画像を受信して、表示部54に表示する。これで、河川監視処理が終了する。管理サーバ40からの通知および画像を受信した端末装置50のユーザは、端末装置50に表示される情報に基づいて適宜危険回避のための処理を実行する。
(センサ浮き20における処理の一例)
図9は、第1の実施形態に係るセンサ浮き20における処理の流れの一例を説明するためのフローチャートである。図9を参照して、センサ浮き20における処理につき説明する。
まず、河川監視処理が開始すると、センサ浮き20の加速度検知部221は、加速度の検知を開始し、加速度を取得する(ステップS91)。加速度送信部222は、加速度検知部221が検知した加速度を、通信部21を介して河川監視装置30に送信する(ステップS92)。加速度検知部221は、加速度を取得してから所定時間が経過したかを判定する(ステップS93)。所定時間が経過したと判定した場合(ステップS93、肯定)、加速度検知部221は再びステップS91に戻って加速度を取得する。他方、所定時間が経過していないと判定した場合(ステップS93、否定)、加速度検知部221は、ステップS93に戻って所定時間が経過するまでステップS93を繰り返す。センサ浮き20における処理は以上である。
(河川監視装置30における処理の一例)
図10は、第1の実施形態に係る河川監視装置30における処理の流れの一例を説明するためのフローチャートである。図10を参照して、河川監視装置30における処理につき説明する。
河川監視処理が開始すると、河川監視装置30は、自装置に対応する標尺部材10に装着されるセンサ浮き20から送信される加速度の受信まで待機する。そして、河川監視装置30は、センサ浮き20から加速度を受信する(ステップS1001)。河川監視装置30は、受信した加速度を記憶部33に記憶する(ステップS1002)。そして、河川監視装置30は所定のタイミングで、標尺部材10に示される水位が視認できる画像を撮像する(ステップS1003)。河川監視装置30は、撮像した画像を記憶部33に記憶する(ステップS1004)。次に、河川監視装置30は、前回管理サーバ40に加速度と画像とを送信してから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS1005)。所定時間が経過したと判定すると(ステップS1005、肯定)、河川監視装置30は、前回の送信後記憶部33に記憶された加速度と画像とを、管理サーバ40に送信する(ステップS1006)。他方、所定時間が経過していないと判定すると(ステップS1005、否定)、河川監視装置30は、ステップS1001に戻り、所定時間が経過するまでステップS1001からステップS1004を繰り返す。以上で、河川監視装置30における処理は終了する。
(管理サーバ40における処理の一例)
図11は、第1の実施形態に係る管理サーバ40における処理の流れの一例を説明するためのフローチャートである。図11を参照して、管理サーバ40における処理につき説明する。
河川監視処理が開始すると、管理サーバ40は、河川監視装置30から加速度および画像が送信されるまで待機する。そして、管理サーバ40は、河川監視装置30から加速度および画像を受信し、受信した加速度および画像を測定情報記憶部433に記憶する(ステップS1101)。管理サーバ40の算出部421は、所定期間にわたる加速度が受信され記憶されると、当該所定期間の加速度の平均値を算出し、判定結果情報記憶部437に記憶する(ステップS1102)。管理サーバ40の判定部422は、算出部421が算出した平均値に基づき、各センサ浮き20が浸水状態であるか否かを判定し、判定結果情報記憶部437に記憶される情報を更新する(ステップS1103)。さらに、判定部422は、センサ浮き20の状態に関する判定結果に基づき、標尺部材10各々における水位を判定し、判定結果情報記憶部437を更新する(ステップS1104)。そして、管理サーバ40の警報生成部423は、判定結果情報および判定情報を参照して、各標尺部材10が設置される位置において実施すべき対応策を特定する(ステップS1105)。そして、警報生成部423は、特定した対応策に応じて、端末装置50に、通知と画像とを送信する(ステップS1106)。端末装置50は、管理サーバ40から受信した通知および画像を表示する。端末装置50のユーザは表示される情報に基づき必要な対応をとる。そして、管理サーバ40は、次の加速度および画像を河川監視装置30から受信したか否かを判定する(ステップS1107)。管理サーバ40は、次の加速度および画像を受信したと判定した場合(ステップS1107、肯定)、ステップS1102に戻って処理を繰り返す。他方、次の加速度および画像を受信していないと判定した場合(ステップS1107、否定)、管理サーバ40はステップS1107の判定を繰り返す。これで、管理サーバ40における処理が終了する。
(端末装置50における表示態様の一例)
図12は、第1の実施形態に係る端末装置50に表示される表示画面の一例を説明するための図である。管理サーバ40において、端末装置50への通知が必要と判定されると、管理サーバ40から該当する端末装置50へ通知と画像とが送信される。端末装置50は、受信した通知と画像を表示部54に表示する。
図12の例では、河川名「FJ川」に設置される標尺部材10であって、場所「ABC地点」に設置される標尺部材10が示す水位を視認することができる画像が表示部54に表示される。図12の例では、画像の下に、「河川名」、「場所」、「画像取得時刻」、「水位」、「危険度」が表示される。「河川名」は、画像中に表示される河川の名称である。「場所」は、画像を撮像した河川監視装置30および当該河川監視装置30に対応する標尺部材10が設置される位置の情報である(図4(B)参照)。「河川名」および「場所」は、管理サーバ40に記憶される管理情報を参照して、管理サーバ40が、送信する通知に添付する。「画像取得時刻」は、表示される画像が撮像された時刻である。たとえば、図5(B)に示す「撮像時刻」である。「水位」は、管理サーバ40における判定部422の処理の結果得られる、標尺部材10における水位を示す(図7(C)参照)。「危険度」は、管理サーバ40における警報生成部423の処理の結果、標尺部材10の設置地点について判定された危険の度合いを示す(図6(B)参照)。画像に表示されるこれらの情報は、画像とともに管理サーバ40から端末装置50に送信される。
端末装置50のユーザはたとえば、河川監視システム1を管理する事務所等の保守担当者、保守責任者、所員、管理者等である。端末装置50のユーザは、通知される危険度や標尺部材10の位置等に応じて、予め定められた対応をとる。また、端末装置50のユーザは、管理サーバ40における判定結果と併せて画像を表示部54で確認することができる。このため、センサ浮き20の故障等によりセンサ浮き20が検知した加速度の情報に基づいて取得された判定結果に誤りがあった場合でも、ユーザは、画像に基づき迅速に判定結果の正誤を確認することができる。
(第1の実施形態の効果)
上記第1の実施形態に係る河川監視システム1は、標尺部材と、複数のセンサ(すなわちセンサ浮き)と、判定部とを備える。標尺部材は、河川の水位を表示する。複数のセンサは、標尺部材の目盛りの位置に一つずつ対応して装着される。判定部は、複数のセンサが検知した加速度の情報に基づき、河川の危険度を判定する。このため、河川監視システム1は、複数のセンサ浮きが検知した加速度の情報に基づいて、複数水位における河川の状態を検知し、河川の危険度を判定することができる。また、河川監視システム1は、加速度の情報に基づいて危険度を判定する。このため、河川監視システム1は、単に水位のみを検知するだけでなく、センサ浮きが装着された高さにおける水流の細かな挙動や、センサ浮きの揺れなども加味して危険度を判定することができる。また、河川監視システム1は、標尺部材と別に標尺部材に装着される複数のセンサ浮きを備える。このため、センサ浮きに故障や不具合が生じた場合、センサ浮き一つ一つを交換したり修理したりすることができ、保守管理コストを低減することができる。また、標尺部材としては水位ものさしなどの簡易な部材を使用することができるため、保守管理が容易であり、かつ、河川監視システム1全体のコストを抑制することができる。このため、1級河川等の大きな川だけでなく、2級河川以下の河川についても簡易に設置することができる。
また、上記河川監視システム1において、複数のセンサ(すなわちセンサ浮き)は、標尺部材に対して、河川の水流の状態に応じて可動に装着され、複数軸における加速度を検知するよう構成される。このため、河川監視システム1は、センサ浮きにより複数水位における加速度すなわち河川の状態を検知することができる。また、センサ浮きは複数軸における加速度を検知するため、河川監視システム1は、水流の多様な挙動を検知して河川の状態を判定することができる。
また、上記河川監視システム1は、撮像部と送信部とをさらに備える。撮像部は、標尺部材によって表示される河川の水位の画像を撮像する。送信部は、判定された危険度および画像を、ユーザの端末装置に送信する。このため、ユーザは、河川監視システム1が加速度に基づいて判定した河川の危険度を、画像に基づいて確認することができる。このため、仮にセンサ浮きに故障や不具合が生じて誤った危険度がユーザに通知された場合であっても、ユーザは画像に基づいて状況を確認することができる。
また、上記河川監視システム1は、複数のセンサ(すなわちセンサ浮き)が検知した所定期間の加速度の平均値を算出する算出部をさらに備える。そして、判定部は、複数のセンサ各々が装着される目盛りが示す水位と、複数のセンサが検知する加速度の平均値との対応に基づき、河川の危険度を判定する。このため、河川監視システム1は、河川について見込まれる状態の変化の速度に応じて平均値を算出する所定期間を設定し、危険度の判定に用いることができる。また、河川監視システム1は、単に河川の水位に基づいて危険度を判定するだけでなく、複数水位における水流の状態に基づいて危険度を判定することができる。
また、上記河川監視システム1において、判定部は、加速度の平均値に基づき、複数のセンサ(すなわちセンサ浮き)各々が浸水中か否かを判定する。そして、判定部は、浸水中と判定されたセンサのうち、最も高い水位の目盛りに取り付けられたセンサに対応する水位が、当該所定期間の水位であると判定する。このため、河川監視システム1は、センサ浮きが検知した加速度に基づき水位を判定することができる。
(変形例)
上記第1の実施形態においては、管理サーバ40が備える判定部422は、浸水状態と判定されたセンサ浮き20のうち最も高い水位を示す目盛りに装着されたセンサ浮き20に対応する水位を、河川の水位と判定するものとした。これに限らず、たとえば、判定部422は、低水位のセンサ浮き20から順番に浸水状態を判定するように構成してもよい。そして、未浸水状態と判定されるセンサ浮き20が出現した時点で、判定部422は、当該センサ浮き20の直下のセンサ浮き20が装着される目盛りの水位を、河川の水位と判定するように構成してもよい。
また、判定部422は、浸水状態と判定された複数のセンサ浮き20の間に未浸水状態と判定されたセンサ浮き20がある場合は、判定結果情報記憶部437に記憶されるセンサ浮き状態情報(図7の(B))を更新しないように構成してもよい。
また、浸水状態と判定された複数のセンサ浮き20の間に未浸水状態と判定されたセンサ浮き20がある場合は、判定部422は、警報生成部423に異常が発生した旨の通知を端末装置50に送信させるように構成してもよい。
また、判定部422は、算出部421が算出した加速度平均の経時的な変化が急激である場合には、警報生成部423に警報を生成して端末装置50に送信させるように構成してもよい。このように構成することで、河川監視システムは、突然の豪雨が発生し水量が急増している場合等に、迅速に端末装置に警報を送信して、管理者等に対応させることができる。
また、第1の実施形態では、河川の危険度の判定において、河川の水位を基準とした。これに限らず、河川監視システムは、各水位における加速度の状態に基づいて河川の危険度を判定するように構成してもよい。たとえば、異常気象、洪水、地震、津波等が発生する前には、水位が変動するだけでなく、水流の方向や流速等にも通常とは異なる現象が発生する可能性がある。また、川底と水面とで水流の状態が異なる場合も考えられる。そこで、予め災害前に観測される水位ごとの水流の状態の統計に基づき、各水位の加速度の組み合わせに応じて発生が予想される災害を特定する判定テーブルを作成し、河川監視システムにおける判定に用いてもよい。
また、第1の実施形態では、センサ浮き20は加速度を検知するものとしたが、このほか、流量や流速を測定することもできるように構成し、危険度の判定に用いてもよい。
(変形例の効果)
このように、河川監視システムにおいて、判定部は、複数のセンサ(すなわちセンサ浮き)各々が装着される目盛りが示す水位と、複数のセンサが検知する2以上の軸方向における加速度の平均値との対応に基づき、河川の水中の状態を判定し、河川の危険度を判定してもよい。このように河川監視システムを構成することにより、第1の実施形態による効果に加えて、さらに精密な危険度の判定を実現することができる。
(第2の実施形態)
これまで開示の装置に関する実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では、本発明に含まれる他の実施例を説明する。
(分散および統合)
図示した各装置の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
(河川監視プログラム)
また、上記の実施例で説明した各種の処理は、予め用意されたプログラムをサーバ等のコンピュータからタブレット端末やノート型コンピュータ等のコンピュータに配布し、サーバとコンピュータとが処理を協働して実行することによって実現することができる。そこで、以下では、図13を用いて、上記の実施例と同様の機能を有する河川監視プログラムを実行するコンピュータの一例について説明する。
図13は、第1〜2の実施形態に係る河川監視プログラムを実行するコンピュータの一例について説明するための図である。図13に示すように、コンピュータ1000は、操作部1100と、ディスプレイ1200と、通信部1300とを有する。さらに、このコンピュータ1000は、CPU(Central Processing Unit)1400と、ROM(Read Only Memory)1500と、RAM(Random Access Memory)1600と、HDD(Hard Disk Drive)1700とを有する。これら1100〜1700の各部はバス1800を介して接続される。
HDD1700には、図13に示すように、上記の第1の実施形態で示した各部と同様の機能を発揮するモジュールを実装することができる河川監視プログラム1700aが予め記憶される。この河川監視プログラム1700aについては、図2に示した各々の各構成要素と同様、適宜統合または分離してもよい。すなわち、HDD1700に記憶される各データは、常に全てのデータがHDD1700に記憶される必要はなく、処理に必要なデータのみがHDD1700に記憶されればよい。
そして、CPU1400が、河川監視プログラム1700aの各モジュールをHDD1700から読み出してRAM1600に展開する。これによって、図13に示すように、河川監視プログラム1700aは、河川監視プロセス1600aとして機能する。この河川監視プロセス1600aは、HDD1700から読み出した各種データを適宜RAM1600上の自身に割り当てられた領域に展開し、この展開した各種データに基づいて各種処理を実行する。なお、河川監視プロセス1600aは、図2に示した各処理部にて実行される処理を含む。また、CPU1400上で仮想的に実現される各処理部は、常に全ての処理部がCPU1400上で動作する必要はなく、必要な処理部のみが仮想的に実現されればよい。
なお、上記の河川監視プログラム1700aについては、必ずしも最初からHDD1700やROM1500に記憶させておく必要はない。たとえば、コンピュータ1000に挿入されるフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの「可搬用の物理媒体」に各プログラムを記憶させる。または、DVD(Digital Versatile Disc)ディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」に各プログラムを記憶させる。そして、コンピュータ1000がこれらの可搬用の物理媒体から各プログラムを取得して実行するようにしてもよい。また、公衆回線、インターネット、LAN、WAN(Wide Area Network)などを介してコンピュータ1000に接続される他のコンピュータまたはサーバ装置などに各プログラムを記憶させておいてもよい。そして、コンピュータ1000がこれらから各プログラムを取得して実行するようにしてもよい。