JP6567741B1 - 有機廃棄物発酵処理装置及びその処理方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、現在では、環境負荷の観点から生ごみを資源として再利用することにより少しでも焼却量を減少させる努力がなされ、例えば、生ごみを発酵熟成させて堆肥化し、有機肥料として使用する方法が一般化傾向にある。しかしながら、家庭での小規模なコンポスト化では大量処理が困難であり、また、24時間常時加熱ヒータを運転させて温度管理する微生物分解手法等を用いた生ごみの処理方法では採算性が取れない。
即ち、当該構成によって、毎日排出される多量の生ごみを受け入れて、簡単な処理設備であっても確実に処理させ、焼却処分する生ごみの量を大幅に減少させて設備、人件コスト等の焼却設備に関連する経費を大幅に削減させ、生ごみを効果的に肥料化させて再資源として有効利用させ得る生ごみの処理システムを開示している。
したがって、攪拌羽根を回転駆動する駆動モータに大きなエネルギを使用し、有機廃棄物発酵処理装置及びその処理方法として使用するエネルギコストが高額になるという問題があった。
発酵槽内の気体は、気体取り入れ管、熱交換装置、連結管、気体循環器、気体戻し管を循環系として、循環する構成になっている。気体取り入れ管は発酵槽の区画αの側壁に、気体戻し管は発酵槽の区画βに接続している。発酵によって生じた気体(発酵ガス)中の水蒸気は、熱交換装置を通過する過程で冷却されて水(凝縮水)になり、ドレイン管から系外に排出される。水分除湿後の除湿気体は、連結管、気体戻し管を通って、発酵槽の区画β内に導入される。なお、循環系の途中に設けられた空気取り入れ口から、新鮮な空気を循環系内に吸い込むことにより、発酵槽内の発酵を効率的に進行させている。
したがって、特許文献2においても、回転軸を回転させる駆動手段が必要であり、有機廃棄物発酵処理装置及びその処理方法として使用するエネルギコストが高額になるという問題があった。
特に、上記ハウジングの形態としては、両端が扉で開閉できるトンネル状として、両端の開口からの作業が同時進行できるように、作業効率を良くした形態の使用が好ましい。
また、上記空気排出部は、前記ハウジング上部から前記ハウジングの室内の空気を排出するものであり、前記ハウジングの上面に限られるものではなく、前記ハウジングの下面から供給される空気が新鮮な状態で、速やかに排出しないような上部位置であればよい。また、作業性に影響されない程度の位置であればよい。
更に、上記加湿部は、前記ハウジング上部から前記ハウジングの室内に噴霧するものである。噴霧する水は、粒子が細かいのが好ましい。しかし、前記ハウジング上部から噴霧しているので、重力で前記ハウジングの有機廃棄物及び好気性細菌を付着する細菌保持有機体に水分が供給される構造となる。また、使用する水は、工業用水ではなく、繰り返し使用するものとしたときには、噴霧する水の粒子を工業用水程度に細かくすることはできなくなるが、直径1mm程度以上でも問題にはならない。
なお、ここでは、好気性細菌の使用を前提として説明してきたが、嫌気性細菌の付着が皆無であることを意味するものではなく、好気性細菌の働く環境を作ることを意味するものである。
ここで、ハウジングの室内の空気圧は、運転中は、常に、前記ハウジングの室内が大気圧以下の圧力を維持できるように、前記空気排出部から排出される前空気排出量に対して、外部に排出する排出量を外部から導入する新鮮空気量よりも多くし、その状態を維持するものである。
ここで、前記ハウジングの室内の下面に向かって噴霧する加湿部は、水を噴霧するものであり、その水滴の大きさは格別問われるものではない。しかし、有機廃棄物及び上部好気性細菌を付着する細菌保持有機体に水分を供給するものであるから、水滴は細かい方が望ましい。
ここで、上記空気排出部は、前記ハウジングから排出した空気は、その空気のガス洗浄及びバイオフィルタによって異物を取り除き、大気に放出するものであればよい。
特に、上記ハウジングの形態としては、両端が扉で開閉できるトンネル状として、両端の開口からの作業が同時進行できるように、作業効率を良くした形態の使用が好ましい。
また、上記ハウジングの室内の空気の排出は、前記ハウジング上部から前記ハウジングの室内の空気を排出するものであり、前記ハウジングの上面に限られるものではなく、前記ハウジングの下面から供給される空気が新鮮な状態で、速やかに排出しないような上部位置であればよい。また、作業性に影響されない程度の位置であればよい。
更に、上記加湿は、前記ハウジング上部から前記ハウジングの室内に噴霧するものである。噴霧する水は、粒子が細かいのが好ましい。しかし、前記ハウジング上部から噴霧しているので、重力で前記ハウジングの有機廃棄物及び好気性細菌を付着する細菌保持有機体に水分が供給されるものであればよい。
ここで、上記ハウジングの下面からの圧縮空気の噴出は、前記ハウジングから排出される空気排出量が、前記ハウジングの室内が大気圧以下の圧力を維持できるように、外部から必要量の新鮮空気を加えながら供給することができればよい。
ここで、上記ハウジングの室内の下面に向かって噴霧する水は、前記ハウジングの一部の底面に傾斜を付与して余剰水を収集し、その収集した余剰水をフィルタによって混ざり込んだ固形物や異物を取り除き再利用するものであればよい。
ここで、上記ハウジング上部からの空気の排出は、バイオフィルタによって排出した空気から異物を取り除くものであればよい。
[実施の形態1]
家庭内または事業所で発生した燃やせるごみは、塵収集車1で集められ、処理場内に運搬される。そこで、ホイールローダー2が中継し、ベルトコンベア3等を介して破砕機4のホッパーに運搬される。破砕機4は外力を加えることにより細分化するもので、具体的には、低速回転する破砕機4は、受入れ廃棄物に対して、多段減容、均一化と破袋を行うという破袋機能、押し潰し機能及び切断機能を有し、処理した結果を有機廃棄破砕物aとしている。
この破砕機4では、生ごみを収容する塵袋の破袋が重要であり、最終的に塵袋の分離可能なように処理している。即ち、塵袋の破袋状態としても、選別機7(図2参照)の能力に応じて、塵袋を細分化しないものもある。
なお、最初に使用する場合には、発酵処理物dが存在していないので、通常、好気性細菌を付着した最大長2〜10cmの木材塊からなる細菌保持木材チップeが、有機材料からなる細菌保持有機体として使用される。連続運転においては、細菌保持木材チップeの混入を防止することもできる。このとき、好気性細菌が付着し、発酵処理された発酵処理物dが有機材料からなる細菌保持有機体として機能する。
ここで、ハウジングH1、・・・、H6としているのは、6台のハウジングがあり、夫々のハウジングH1、・・・、H6はバッチ処理によって運転される。例えば、1台の有機廃棄物発酵処理を開始すると、その発酵処理の完了までに30日を要すると仮定すると、その間、該当するハウジングH1、・・・、H6は搬入、搬出ができなくなる。また、搬入に3日、搬出に2日間かかるとすれば、1台のハウジングH1、・・・、H6は35日の周期で運転可能になることを意味する。
なお、以下の説明では、ハウジングH1、・・・、H6は、説明の簡略化のためにハウジングH1、・・・、H6の1台毎に対応する機器をnを付して表現する。例えば、ハウジングHnは、ハウジングH1、・・・、H6の6台が所有する構成である。
なお、ハウジングHnは、その室内と室外の空気流を結果的に遮断できる程度の封止状態を維持するものであり、その室内温度を制御自在とした少なくとも、底面、両側面の3面以上がコンクリート製で形成されたものである。このハウジングHnの上部からハウジングHn内の空気を排出する空気排出部30nが形成されており、ハウジングHnの上部から室内の空気を循環させるファン(ブロワー)41-1,・・・,41-6(41n)が配設されている。室内空気を排出する空気排出部30nは、ハウジングHn室内の空気の排出により、ハウジングHnの室内を負圧にするため、及び酸素の供給量を増すために、ハウジングHnの上部から室内空気を排出する。
また、このファン41nの吸い込みには、新鮮な大気がファン41nの入力側に供給され、室内の酸素量を補充し、その大気と混合した排出空気をハウジングHnに再度導入することで、ハウジングHn内に酸素の補充をなしている。即ち、循環系のファン41nにより、空気排出部30nから排出された空気を用いてハウジングHnの下面の空気排出部30nから圧縮空気として噴出させるハウジングHnの室内循環空気を形成している。
なお、好気性細菌を付着した細菌保持木材チップeは、木材に限定されるものではなく、適当に湿度が維持でき、乾燥状態でも好気性細菌が死滅しないものであればよい。
また、通常、汚染物質は、CO2やH2Oのような無害な物質や、SO4 -やNO3 -のような無機イオンに分解されるから、バイオフィルタ12以外の廃活性炭や化学汚泥のような空気汚染制御では、後処理が必要な残渣を発生することになる。しかし、本実施の形態のバイオフィルタ12では、残渣が発生しない。加えて、焼却と異なり、バイオフィルタ12は最小限に抑えてCO2とNOXを排出する。
この選別機7に導入した空気流は、サイクロン8に導き、渦流で塵芥を下に落として除去し、サイクロン8の上部から塵芥を除去した空気を排出している。なお、サイクロン8の出力側にもファンで吸引するのが効果的である。
図3において、図2に示した選別機7と同様、選別機7には所定の空気流が供給されていて、発酵処理物dの粒子の浮力で比重、重量の概略の選別をしている。また、所定のサイズのメッシュからなる複数段の篩の上を発酵処理物dを流すことで、粒子の大きさの選別を行っている。選別機7に導入した空気流は、サイクロン8に導き、渦流で塵芥を下方に落下させて分離し、サイクロンの上部から塵芥を除去した空気のみを排出している。
そして、所定以上の重量物を選別し、その中でも所定の重さ以上の物は、鉄、磁器、硝子等の可能性が高いので、収集金属類fとして選別する。また、発酵処理物dであっても、十分に発酵できていない有機廃棄物或いは細菌保持有機体として使用する細菌保持木材チップeが選別された可能性が高いことから、生ごみを好気性発酵処理した発酵処理物dとして排出する。
そして、熟成床15で発酵処理物dは、3日から50日程度熟成し、堆肥工場にトラック2bで搬送し、または、農業、林業に堆肥として供給することになる。
ハウジングHnは、ここでは、1台の場合を前提に説明するが、本発明を実施する場合には、1台以上であればよい。
なお、プラスチック製の各種配管及びプラスチック製のエアーダクトを露出させることにより、天井部55nをテント地として形成することもできる。したがって、ハウジングHnは3面以上がコンクリート製で形成されるものであればよい。
なお、未発酵処理物bのハウジングHnでの積み上げ高さは3.3〜3.5m程度に制限すべきで、それよりも、高く積むと未発酵処理物bの下部が、圧縮して潰れ、原料の未発酵処理物b内の均一な通気が妨げられる。また、床面は0.15〜0.18Kg/cm2の重圧に耐え、腐敗作用のある浸出液にも耐えるものであることが必要である。
ハウジングHnの上部からハウジングHn室内の空気を排出する空気排出部30nは、ハウジングHnの室内高さの4/5以上の高さに吸引口31nが配設され、ハウジングHn室内上部から空気を吸引している。勿論、ハウジングHnの天井部に吸引口31nを配設してもよい。
なお、このファン41nは、搬入搬出時を含めハウジングHn内の循環系の空気流を停止することはない。常に動作させることにより、ダクト32nの吸引口31n及び空気供給部40n側の目詰まりを防止している。
また、ファン41n及びハウジングHn内の下面から圧縮空気を噴出させる供給路が管路であっても、コンクリートで作成された空間であっても供給路及びファン41nから構成されるのが空気供給部40nである。これは、ハウジングHnに毎分所定容積の空気量D[m3/min]を供給するハウジング空気供給系240を形成している。
このため、噴霧に使用した水滴は、ハウジングHnの下面に水が流れる程度の傾斜が付けられており、噴霧に使用された水はハウジングHnの下面に沿って流れ、ハウジングHnの搬入搬出口50nの排水溝70nで収集される。排水溝70nは通常グレーチング71nが被せられており、ホイールローダー2の移動には支障がない構造になっている。搬入搬出口50nの排水溝70nで収集された水は、排水路72nを介して場内排水タンク63でまとめられる。場内排水タンク63では、工業用水である補充水をそこに導入し、まとめられた排水は所定の濃度に希釈される。
本実施の形態では、水滴として噴霧する必要数の噴霧ノズル66nの加圧水路64である配管は、ハウジングHnの天井に埋設され、それに伴って天井に噴霧ノズル66nが配設されている。
勿論、ハウジングHnの天井に沿って加圧水路61nを配管し、そこに噴霧ノズル66nを配設してもよい。
まず、コンピュータCOMPには、ハウジングHnの室内温度、室内湿度、室内圧力の情報がセンサで検出され、それが入力されている。なお、室内湿度は必ずしも管理が必要ではなく、室温、噴霧する水量が決定されれば、維持されるものであるから、有機廃棄物発酵処理装置の全体から省略することができる。
そして、破砕機4、混合機5、選別機7は、個々に駆動され、指定された処理材料が流れるように制御されている。化学脱臭装置9、スクラバー装置10、バイオフィルタ12等も独自に監視及び運転されている。熟成床15についても、単にファン16の制御のみではなく、日程管理情報として制御及び管理されている。
まず、ステップS1で生ごみが収集されて搬送されてくると、このフローチャートに従って、処理が開始される。ステップS2で生ごみが受入ストックヤードに下ろされると、ステップS3で所定の時間内に破砕機4によって破砕し、有機廃棄破砕物aとしている。ステップS4で破砕物ストックヤードにその有機廃棄破砕物aを収集する。ステップS5でその収集した有機廃棄破砕物aを所定の時間内に混合機5に投入し、そこで、好気性細菌を付着した細菌保持木材チップeを入れた発酵処理物dと混合し、ステップS6で混合破砕物ストックヤードにそれを収集する。即ち、ここで、有機廃棄破砕物aに発酵処理物d入りの有機廃棄破砕物aを混合した未発酵処理物bを作成する。必要に応じて、混合破砕物ストックヤードにおいても、混合状態を均一にする作業を行う。
しかし、ステップS13で軽いと判断された場合には、発酵処理物dとしてそのストックヤードにまとめられる。
ステップS10の40mm以上の重量物と判断された場合とステップS15で重い場合と判断されたときは、ステップS17で磁気選別を行い、鉄のときには、ステップS18でそのストックヤードに格納する。また、非鉄と判断されたときには、ステップS19で人為的に選別を行い、異物を発見した場合には、ステップS20の異物ストックヤードに集める。また、ステップS19で発酵処理物dと判断されても、ここで選択された発酵処理物dは大きいから、ステップS21で一時的に発酵処理物ストックヤードに格納するが、再度、ステップS5の処理から繰り返し、発酵処理を行う。
なお、これらの処理は、コンピュータCOMPによって時間管理ブログラム及び発酵熟成プログラムを実行することによって、適切な制御がなされる。
まず、通常、ハウジングHn等の処理工程は、建屋内部を常に陰圧に保ち、閉ざされた建造物の内部で行われる。このため、敷地外からの悪臭の苦情が入ることがない。建物内から排出される空気は、化学脱臭装置9、スクラバー装置10等の粉塵除去システム、ガス洗浄装置を経た後、バイオフィルタ12で処理しているから、制御不能な臭いの漏れを防ぐことができる。しかし、念のため、これらの建造物の扉51nには快速閉鎖ドアの使用が好ましい。
即ち、植物は生まれて、光合成をして二酸化炭素から有機物を生産する生命活動を営んでいる。動物は生まれ、植物や他の動物から有機物を摂取して生命活動を営んでいる。しかし、何れも、やがて死に至り活動を停止する。死に至らない間は、代謝によってその体内の一部を新陳代謝し、廃棄と生成を繰り返している。生物界のリサイクルは、専ら好気性の微生物の働きによって行われ、自然に悪臭処理まで行っている。堆肥もその代表例で、堆肥化では殆どの生分解性の廃棄物、食物残渣、剪定枝、下水汚泥等を使用することができる。
生物廃棄物+O2 → 微生物バイオマス+非分解性物質+CO2+H20+熱
ここで発生した熱は、堆肥の温度を上昇させ、堆肥化工程の初期において生物分解速度を増加させる。その後、易分解性有機物質の分解が終了すると変換速度が遅くなり温度が周囲温度のレベルまで下がることになる。
また、ハウジングHnを用いてガス・悪臭物質の排出がない制御が可能である。また、空気は簡単にハウジングHn内で循環することができ、外の空気を連続的に取り入れる必要がない。そして、作業員と堆肥化原料の接触が制限され、生廃棄物に雑菌汚染等の懸念がある使用済みオムツ、生理ナプキン等に触れることがないので特に有益である。
更に、トンネル内部の水分調整、加湿には主にトンネル自身からの浸出水を用いて不足分を外部の工業用水から補うものであるから、この発明の有機廃棄物発酵処理装置は施設からの汚水の排出を皆無にできる。
殊に、この発明の有機廃棄物発酵処理装置は、好気性細菌による発酵過程中の移動は生じない静的バイオセルに属するから、装置の維持管理の上で非常に大きな利点となる。即ち、ハウジングHnで処理する廃棄物は常に一定の性状でなく、毎回異なる種々雑多な原料で構成されているから、装置内部に可動部がある動的バイオセルでは、可動部が故障し、システムダウンのリスクを常に抱える。しかし、この発明の有機廃棄物発酵処理装置は、静的バイオセルで構成され、装置内部に可動部を持たないから、そのようなリスクは発生しない。
堆肥化するには、初期過程、高温過程、中温過程、冷却過程の4過程に分けることができる。
まず、初期過程は、堆肥化初期の数日間には、易分解性の有機物質が、例えば、たんぱく質、アミノ酸、糖質等を豊富に含むから、バクテリア、糸状菌等が積極的にこれらを分解し、ハウジングHn内の温度を上昇させる。この過程で重要なことは、原料に水分過剰の部分が含まれていたり、通気不足で酸欠部分がでると、易分解性の物質が多く含まれると直ちに嫌気性細菌が働き出し、悪臭物質である脂肪酸類やアンモニア、硫化水素等を生成開始するので注意すべきである。また、嫌気性発酵は吸熱反応である場合が多く、周囲の温度を奪い、好気性発酵の活性化を妨害する。このため、原料投入前の水分調整や混合構造化、均一化作業は、堆肥化に非常に重要な作業である。
この冷却過程では、熟成床15で処理される。熟成床15では、大気がこの熟成床15に送給され、発酵処理物dの残留能力に応じた温度、湿度で熟成床15の発酵処理物dを熟成させる。
しかし、完熟した堆肥においては、熟成は必要不可欠であるため、図3に示すハウジングHnの外に熟成床15を準備するか、ハウジングHn内でエアレーション設備を備え付けた熟成床15を準備する必要がある。
この熟成床15で、ハウジングHnから出た原料の発酵処理物dを数日から数週間寝かせ、発酵完了の確認と最終水分調整を行う。その後、用途や使用条件に合わせた篩分けや、必要があれば更なる熟成を経て、高品位な堆肥を得ることができる。
一般に、悪臭物質は、原料の腐敗、主に、嫌気性発酵によって発生する。この有機廃棄物発酵処理装置では、原料受入れと同時に、有機廃棄破砕物aと共に発酵処理物dの混合破砕を行い未発酵処理物bの水分調整し、嫌気性発酵の発生を抑制することで悪臭物質の発生を最低限に抑えるようにしている。
一般に、悪臭処理方法としては、ガス燃焼、活性炭吸着、生物脱臭法等の方法が提案されているが、この実施の形態では生物脱臭法を採用した。生物脱臭法は、堆肥化施設から排出される臭気を含んだガスの処理としては、スクラバー装置10とバイオフィルタ12を組み合わせた脱臭法である。この方法は、比較的薄いが大量に発生する臭気を経済的に処理するのに最も適している。
有機性汚染物質+O2 → 微生物バイオマス+CO2+H20+熱
として表現でき、二酸化炭素、水、無機化合物と低濃度の臭い分子のみがバイオフィルタ12から放出される。
本実施の形態の有機廃棄物発酵処理装置は、有機廃棄物の供給によって活性化する好気性細菌を収容し、上部から必要量の水を噴霧自在なハウジングHnから毎分所定容積の空気量A[m3/min]を排出するハウジング空気排出系200と、前記ハウジング空気排出系200から排出された空気量A[m3/min]から毎分所定容積の空気量B[m3/min]を、必要なフィルタを介して大気に排出する大気側排出系220と、大気から新鮮空気を毎分所定容積の空気量C[m3/min]を取込む大気吸入系230と、前記ハウジングに毎分所定容積の空気量D[m3/min]を供給するハウジング空気供給系240を具備し、前記毎分の各空気量A、B、C、D[m3/min] がA−B+C−D>0またはA−B−D>0の何れかの関係を維持し、有機廃棄物によって活性化する好気性細菌を収容した前記ハウジングが大気圧に対して負圧とした状態で、前記ハウジングに供給された有機廃棄物を好気性発酵処理によって堆肥化するものである。
特に、本発明の実施の形態では、ハウジングHnから空気量A[m3/min]を排出するハウジング空気排出系200と、ハウジング空気供給系240から排出された空気量A[m3/min]から空気量B[m3/min]を必要なフィルタを介して大気に排出する大気側排出系220とが1系統になっているから、ファン42nの制御のみで大気側排出系220の出力を大きくし、ハウジングHnを負圧に設定することができ、任意の制御が可能となる。
したがって、ハウジングHnの内部で未発酵処理物bの積載量のばらつきがあっても、噴射孔46nの開口面積が一定であるから、その流体抵抗が下がることはない。未発酵処理物bの積載量が多いと、そこで空気の流速が遅くなるから、その部位の圧力が上昇し、未発酵処理物の浮力が大きくなり、未発酵処理物bの積載密度を低下させる。未発酵処理物bの積載量がないと、または少ないと、そこで空気の流速が速くなり、その部位の流体抵抗が大きくなるから、ハウジングHn内部の未発酵処理物bの積載量に左右されないで有機廃棄物を好気性発酵処理によって撹拌または温度上昇させる外部エネルギをなくして堆肥化することができる。
特に、本発明の実施の形態では、ハウジングHnから空気量A[m3/min]を排出するハウジング空気排出系200と、ハウジング空気排出系200から排出された空気量A[m3/min]から空気量B[m3/min]を必要なフィルタを介して大気に排出する大気側排出系Bとが1系統になっているから、電動機またはバルブの制御のみで大気側排出系Bの出力を大きくし、ハウジングHnを負圧に設定することができ、任意の制御が可能となる。
[実施の形態2]
特に、本発明の実施の形態では、有機廃棄物の供給によって活性化する好気性細菌を収容し、上部から必要量の水を噴霧自在なハウジングHnから空気量E[m3/min]を排出するハウジング空気排出系210と、ハウジングHnから空気量B[m3/min]を必要なフィルタを介して大気に排出する大気側排出系220とが別系統になっているから、制御系の設計が大気側排出系220のみでハウジングHnを負圧に設定することができ、任意の制御が可能となる。
よって、生ごみ等の有機廃棄物に対する酸素供給を行っても、悪臭の洩れを生じさせない廃棄物発酵処理が可能な有機廃棄物発酵処理装置を提供できる。
即ち、ステップS7及びステップS8の処理では、ステップS7でハウジングHnに詰め込んだ未発酵処理物bを、少なくとも、温度管理及び気圧管理をし、発酵及び熟成させる。ステップS8で発酵及び熟成の完了を検出するものである。この時、廃水処理を行うルーチンに所定のタイミングをタイマt0で監視し、例えば、数時間に1回廃水を排出する処理に入る。まず、ステップS71でそのタイミングが検出されると、ステップS72でハウジングHnに詰め込んだ未発酵処理物bの発酵及び熟成を中止させ、ファン41 n及びファン42を停止させ、かつ、噴霧ノズル66nからの噴霧も停止させる。そして、図9に示す均圧管43nに配設された開閉バルブ付の排出口48nを開とする。
なお、本実施の形態では、数時間に1回廃水を行うと説明したが、初期の場合と発酵及び熟成が完了間際ではその条件は変更されるのが普通である。通常、1/2〜6時間に1回程度、このルーチンの処理に入る。ステップS74で廃水処理時間をタイマt1の経過で確認し、タイマt1の経過するまで、この廃水処理を継続し、タイマt1の経過が確認されると、ポンプ49nを停止させ、排出口48nの開閉バルブを閉じ、ファン41n及びファン42を動作させ、かつ、噴霧ノズル66nからの噴霧も動作させ、ステップS7からのルーチンの処理に入る。
また、ハウジングHnの底面を傾斜させていないので、ハウジングHn内でのホイールローダー2の作業性を上げることができる。
したがって、ハウジングHn内に噴霧された加湿部60から供給された水は、空気供給部40の圧縮空気をハウジングHn内に噴出させる機能で使用する構成部品を介して、空気供給部40から排水することができ、装置自身の値段を廉価にすることができる。また、ハウジングHnの底面を傾斜させていないので、ハウジングHn内でのホイールローダー2の安全性、作業性を上げることができる。
したがって、ハウジングHnの内部で未発酵処理物bの積載量のばらつきがあっても、噴射孔46nの開口面積が一定であるから、その流体抵抗が下がることはない。未発酵処理物bの積載量が多いと、そこで空気の流速が遅くなるから、その部位の圧力が上昇し、未発酵処理物の浮力が大きくなり、未発酵処理物bの積載密度を低下させる。未発酵処理物bの積載量がないと、または少ないと、そこで空気の流速が速くなり、その部位の流体抵抗が大きくなるから、ハウジングHn内部の未発酵処理物bの積載量に左右されないで有機廃棄物を好気性発酵処理によって撹拌または温度上昇させる外部エネルギをなくして堆肥化することができる。
特に、本発明の実施の形態では、ハウジングHnから空気量E[m3/min]を排出するハウジング空気排出系210と、ハウジング空気排出系210から排出された空気量E[m3/min]から空気量B[m3/min]を必要なフィルタを介して大気に排出する大気側排出系Bとが1系統になっているから、電動機またはバルブの制御のみで大気側排出系Bの出力を大きくし、ハウジングHnを負圧に設定することができ、任意の制御が可能となる。
即ち、ステップS7及びステップS8の処理では、ステップS7でハウジングHnに詰め込んだ未発酵処理物bを、少なくとも、温度管理及び気圧管理をし、発酵及び熟成させる。ステップS8で発酵及び熟成の完了を検出するものである。この時、廃水処理を行うルーチンに所定のタイミングをタイマt0で監視し、例えば、数時間に1回廃水を排出する処理に入る。まず、ステップS71でそのタイミングが検出されると、ステップS72でハウジングHnに詰め込んだ未発酵処理物bの発酵及び熟成を中止させ、ファン41 n及びファン42を停止させ、かつ、噴霧ノズル66nからの噴霧も停止させる。そして、図9に示す均圧管43nに配設された開閉バルブ付の排出口48nを開とする。
なお、本実施の形態では、数時間に1回廃水を行うと説明したが、初期の場合と発酵及び熟成が完了間際ではその条件は変更されるのが普通である。通常、1/2〜6時間に1回程度、このルーチンの処理に入る。ステップS74で廃水処理時間をタイマt1の経過で確認し、タイマt1の経過するまで、この廃水処理を継続し、タイマt1の経過が確認されると、ポンプ49nを停止させ、排出口48nの開閉バルブを閉じ、ファン41n及びファン42を動作させ、かつ、噴霧ノズル66nからの噴霧も動作させ、ステップS7からのルーチンの処理に入る。
また、ハウジングHnの底面を傾斜させていないので、ハウジングHn内でのホイールローダー2の作業性を上げることができる。
例えば、図9に示すように、排出口48nを付設することにより、空気供給部40nの管路の圧縮空気によって余剰水を排出させることができる。このとき、空気供給部40nを一時的停止してもよいが、連続運転であってもよい。
何れにせよ、ハウジングHn内の空気圧を負にして運転するには、ハウジングHn内の空気を排出する空気排出部30nの総空気量は、空気排出部30nで排出した一部の空気量と大気導入路20を介して導入した空気供給部40nの室内に噴射する空気量の和よりも大きくするという要件が必要である。
しかし、図10に示すスリーブ45nは、スリーブ45nの中央に設けた噴射孔46nがテーパ−になっており、流体抵抗が徐々に大きくなるので、更に最大流体損失箇所を特定するには、図11に示すように、釣鐘状の噴射孔46nとするのが望ましい。
また、ハウジングHnの底面に形成された排水溝47nが水切りとして機能し、最下部に位置する未発酵処理物bが好気性細菌以外の細菌、例えば、嫌気性細菌等により未発酵処理物bが処理され、臭いが発生するという事態を回避できる。
ここで、前記圧縮空気を噴出させる空気供給部を除く面とは、前記圧縮空気を噴出させる部位以外の面を意味し、その面の全面または一部の面とすることができる。
ここで、前記圧縮空気を噴出させる空気供給部の風路を形成する下面とは、前記圧縮空気を噴出させる前記ハウジングの下面の部分ではなく、その風路を形成する下面を意味する。
ここで、前記圧縮空気を噴出させる空気供給部を除く面とは、前記圧縮空気を噴出させる部位以外の面を意味し、その面の全面または一部の面とすることができる。
ここで、前記圧縮空気を噴出させる空気供給部の風路を形成する下面とは、前記圧縮空気を噴出させる前記ハウジングの下面の部分ではなく、その風路を形成する下面を意味する。
b 未発酵処理物
d 発酵処理物
e 細菌保持木材チップ
f 収集金属類
g 廃プラスチック処理物
Hn,H1,・・・,H6 ハウジング
4 破砕機
5 混合機
7 選別機
10 スクラバー装置
12 バイオフィルタ
15 熟成床
30 空気排出部
31 吸引口
32 ダクト
40 空気供給部
41 ファン(ブロワー)
42 ファン(ブロワー)
45 スリーブ
43 均圧管
50 搬入搬出口
51 扉
60 加湿部
61 加圧水路
62 ポンプ
66 噴霧ノズル
70 排水溝
200 ハウジング空気排出系
210 ハウジング空気排出系
220 大気側排出系
230 大気吸入系
240 ハウジング空気供給系
Claims (6)
- 室内と室外の空気流を遮断でき、前記室内温度を制御自在とした少なくとも3面以上がコンクリート製で形成されたハウジングと、
前記ハウジング上部から前記ハウジング内の空気を排出する空気排出部と、
前記空気排出部から排出される空気排出量が、前記ハウジング内の大気圧以下の圧力を維持できるように、前記空気排出部から排出された室内空気の一部を循環させ、また、外部から必要量の新鮮な空気を加え、前記ハウジングの下面から圧縮空気を前記室内に噴出させる空気供給部と、
前記ハウジング上部から前記ハウジング内に水を噴霧する加湿部と、
前記ハウジング下部に配置され、少なくとも乾燥状態で冬眠可能であり、また、前記ハウジング内に供給された有機廃棄物によって湿度が上昇すると活性化可能となる好気性細菌を付着する有機材料からなる細菌保持有機体と
を具備し、
前記空気供給部は、前記加湿部から噴霧された水滴の余剰水を収集する溝が前記ハウジングの底面に形成されると共に、前記溝の底部に前記圧縮空気を噴出させる複数の噴射孔が隣接配設され、また、前記ハウジングの底部に均圧管が埋設されると共に、前記均圧管に形成された複数の円孔にスリーブが配設され、前記スリーブの中央に前記噴射孔が形成されており、前記複数個の噴射孔の総合面積が前記均圧管の管路の断面積よりも小さく設定された前記複数個の噴射孔から前記圧縮空気を前記室内に噴出させることを特徴とする有機廃棄物発酵処理装置。 - 前記ハウジング上部から前記ハウジング内の下面に向かって噴霧する加湿部は、前記ハウジングの下面に傾斜を付与して余剰水を収集し、その収集した余剰水に混ざり込んだ固形物や異物を取り除くフィルタを介して繰り返し再使用することを特徴とする請求項1に記載の有機廃棄物発酵処理装置。
- 前記ハウジング上部から前記ハウジング内の空気を排出する空気排出部は、排出した空気から異物を取り除き大気に放出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機廃棄物発酵処理装置。
- 室内と室外の空気流を遮断でき、前記室内温度を制御自在とした少なくとも3面以上がコンクリート製で形成されたハウジングの底部に均圧管が埋設されると共に、前記均圧管に形成された複数の円孔にスリーブが配設され、前記スリーブの中央に噴射孔が形成されており、前記ハウジングの下面であって前記ハウジングの底面に形成した溝の底部に隣接配設された総合面積が前記均圧管の管路の断面積よりも小さい設定の複数個の前記噴射孔から圧縮空気を前記室内に噴出させ、前記ハウジング内が大気圧以下の圧力を維持できるように、前記ハウジング上部から前記ハウジング内の空気を排出して、前記室内空気の一部を用いて、また、外部から必要量の新鮮な空気を加え、前記室内空気を循環させ、
また、前記ハウジング下部に配置された好気性細菌が少なくとも冬眠可能であり、そして、前記ハウジング内に供給された有機廃棄物によって活性化可能となる好気性細菌を付着する有機材料からなる細菌保持有機体に、前記ハウジング上部の加湿部から必要量の水を噴霧し、前記加湿部から噴霧された水滴の余剰水を前記ハウジングの底面に形成された前記溝で収集することを特徴とする有機廃棄物発酵処理方法。 - 前記ハウジング上部から前記ハウジング内の下面に向かって噴霧する水は、前記ハウジングの下面に傾斜を付与して余剰水を収集し、その収集した余剰水に混ざり込んだ固形物や異物を取り除くフィルタを介して再利用することを特徴とする請求項4に記載の有機廃棄物発酵処理方法。
- 前記ハウジング上部からの空気の排出は、排出した空気をガス洗浄及びバイオフィルタを介して異物を取り除き大気に放出することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の有機廃棄物発酵処理方法。
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