以下に、本発明の各実施形態のCM素材入稿システムを、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1に示すように、本発明の第1の実施形態のCM素材入稿方法が適用されたCM素材入稿システム10は、放送局システム20内に設けられており、CM素材入稿装置12と、CM素材入稿装置12に接続された1つまたは複数の入稿端末14(#1),14(#2),・・・・14(#n)とを備える。
CM素材入稿装置12はさらに、図2に示すように、エラーホルダ12a、入稿ホルダ12b、受取部12c、表示制御部12d、確認部12e、CM素材取得部12f、クレジット生成部12g、比較部12h、特定部12i、抽出部12j、削除部12k、およびチェック部12mを備える。
放送局システム20には、CM素材入稿システム10の他に、受信サーバ22、営業放送システム24、CMバンクシステム26、およびCMバンク28が設けられている。なお、図1では、簡略のために、CMバンク28を1つだけ図示しているが、冗長性の確保等のために複数設けるようにしても良い。
受信サーバ22および営業放送システム24は、インターネット等の通信ネットワーク30を介して、放送局とは外部の組織である例えば日本広告業協会(JAAA)などのCM管理システム40に接続されている。
なお、通信ネットワーク30には、イーサネット(登録商標)等のLAN、あるいは公衆回線や専用回線を介して複数のLANが接続されるWAN等が接続され得る。LANの場合には、必要に応じてルータを介した多数のサブネットから構成される。また、WANの場合には、公衆回線に接続するためのファイアウォール等を適宜備えているが、ここではその図示及び詳細説明を省略する。
受信サーバ22は、CM管理システム40から送信された、1つまたは複数のCM素材を含むMXFファイルを、通信ネットワーク30を介して受信し、CM素材入稿装置12を介して取り込む。MXFファイルに記録されているCM素材には、CM素材毎に固有のCMコードおよびCMメタデータが付されている。
CMコードは、非特許文献3に詳述されているように、10桁の英数字からなり、先頭からの4桁(例えば、「9AB8」)が共通コード管理センターによって発番される広告事業者コードであり、残りの6桁(例えば、「CDE765」)が広告事業者によって発番される素材コードとなっている。先頭からの4桁も、残りの6桁も、数字のみ、アルファベット大文字のみ、または数字とアルファベット大文字の組み合せ(何れも半角)によって構成されることができる。
また、CMメタデータは、CM素材の内容に関する情報およびこのCM素材のCMコードを含んでいる。
一方、入稿端末14は、CM素材入稿装置12へ入力されるMXFファイルをメディアの形態で受け付けるものである。このために、入稿端末14は、1つまたは複数のCM素材を記録しているMXFファイルが記録されたA媒体50、B媒体52、またはC媒体54を読み取るためのドライブを備えている。入稿端末14はこれらドライブを用いてMXFファイルを読み取り、CM素材入稿装置12に取り込む。なお、MXFファイルに含まれるCM素材にも、前述したような10桁からなる固有のCMコードおよびCMメタデータが付されている。
このようにして、CM素材入稿装置12は、オンラインで受信サーバ22に送られたMXFファイルや、メディアの形態で入稿端末14に入力されたMXFファイルを、受取部12cにて受け取る。
CM素材入稿装置12の表示制御部12dは、受取部13aが受け取ったCMメタデータの内容を、入稿端末14の表示画面14aに表示する。図3は、CMメタデータの内容が表示された入稿端末の表示画面14aの表示例である。図3に示されるように、CMメタデータは、素材広告主名、CM素材名、CMコード、秒数、音声種別、制作広告会社、制作会社等を含んでいる。
CM素材入稿装置12は、確認部12eにおいて、CMメタデータに含まれるCMコードをキー情報として用い、キー情報に対応するCM素材が、真正なものであるか否かを確認する。
すなわち、MXFファイルの中に、「CM素材搬入基準」(非特許文献1参照)で定められた必須のデータ項目(例えば、Clipホルダや、Generalホルダ)が含まれていることをチェックする。さらに、各データ項目のフォーマットが正しいか否かをチェックする。
また、確認部12eは、CMメタデータの中に、「CM素材搬入基準」で定められた必須のデータ項目が含まれていることをチェックする。さらに、各データ項目のフォーマットが正しいか否かをチェックする。
これらチェックの何れかに問題がある場合には、表示制御部12dが、入稿端末14の表示画面14aに対して、例えば、データ項目ラベルを赤でハイライト表示させるとともに、正しいフォーマットをツールチップで表示させる。これによって、入稿端末14のオペレータは、MXFファイルおよび/またはCMメタデータに問題や不備があることを把握できるようになる。
図4は、CMメタデータに不備がある場合に、入稿端末14から表示される表示画面の表示例を示す図である。図4の例では、CMメタデータに、「CM素材搬入基準」で定められた必須のデータ項目であるスタートタイムコード(スタートTC)というメタ情報が含まれていないので、「スタートTC」が「必須項目」であることが指摘されている。これによって、オペレータは、このCMメタデータに含まれるメタ情報に不備があるので、正常なCMメタデータを入手する必要があることを認識する。
一方、これらチェックで問題が無いことが判れば、CM素材入稿装置12のCM素材取得部12fは、CMメタデータに含まれるCMコードをキー情報として、MXFファイルから、対応するCM素材を取得する。さらに、CM素材入稿装置12のクレジット生成部12gは、取得されたCM素材のクレジットを生成する。
クレジットとは、例えば、広告主や、CM素材名、CMコード、秒数、音声種別、商品名、制作広告会社名、制作会社名、特記事項、録音日等からなる情報の集合である。このようなクレジットが生成されると、表示制御部12dは、入稿端末14の表示画面14aからその内容を表示させる。図5は、この一例を示す図である。
CM素材入稿装置12の比較部12hは、図5に示されるような情報の集合であるクレジットを、CMメタデータのメタ情報と比較する。そして、クレジットとCMメタデータのメタ情報が一致しているか否かを判定する。
例えば、図5に示されるような情報を有するクレジットと、図3に示されるようなメタ情報を有するCMメタデータとを比較すると、クレジットとCMメタデータのメタ情報は、CMコードのみならず、素材広告主名、CM素材名、秒数、音声種別、制作広告会社、制作会社といった各項目のデータがすべて一致している。このような場合、比較部12hは、取得されたCM素材が、CMメタデータに対応した真正なものであると判定する。なお、このような一致性の確認は、クレジットおよびCMメタデータについて、各項目のデータを、テキスト化して比較することによって、実施する。
このようにして比較部12hが、クレジットとCMメタデータのメタ情報の一致を確認すると、特定部12iと抽出部12jとが協働することにより、MXFファイルから、このCM素材を切り出すことによって、このCM素材を抽出する。この切り出し処理を、図6および図7を用いて説明する。
図6に示すように、1つのMXFファイル100には、1つまたは複数のCM素材(例えば、CM素材102,104,106)が記録されている。切り出し処理では、特定部12iが、CMメタデータのスタートTC(図3参照)を参照する。スタートTCは、図7に示すように、このCM素材(例えば、CM素材102)のMXFファイル100における開始点Aに相当する。したがって、特定部12iは、CMメタデータのスタートTCを参照することによって、CM素材(例えば、CM素材102)のMXFファイル100における開始点Aを把握する。
次に、抽出部12jが、図7に示すように、MXFファイル100から、開始点Aの15フレーム(15F)前から、CM素材102の終了点Bの15F後までの範囲を切り出す。開始点Aより前の15Fは、リーダとして、終了点Bより後の15Fはトレーラとして用いる。なお、1Fは、1/30秒に相当するので、15Fは、0.5秒の長さである。抽出部12jはさらに、開始点Aの15秒前から3秒前までの間に、クレジットを表示する。
これによって、CM素材102の切り出し処理が完了し、切り出されたCM素材102を、入稿ホルダ12bが格納する。入稿端末14は、入稿ホルダ12bに格納されたCM素材の一覧を、表示画面14aから表示する。
一方、クレジットとCMメタデータのメタ情報とが一致していない場合には、比較部12hは、MXFファイルが異常であると判定し、MXFファイルをエラーホルダ12aへ移動するとともに、表示制御部12dが、入稿端末14からの画面表示や音声出力等によって、オペレータに対してアラーム通知する。なお、このアラーム通知とともに、CMコードと、エラー原因とを、入稿端末14の表示画面14aから付加的に表示させるようにしても良い。
エラーホルダ12aへ移動されたMXFファイルは、CM素材入稿装置12の削除部12kが、定時処理で削除する。
CM管理システム40は、CMメタデータを送信する際に、受信サーバ22と並行して営業放送システム24にもCMメタデータを送信する。これによって、営業放送システム24は、CM素材に対応するCMコードを把握する。
そして営業放送システム24は、CMの放映スケジュールに従って、CMバンクシステム26に対して、ファイリング指示データを送る。このファイリング指示データには、放映予定のCM素材のCMコードが含まれる。
CMバンクシステム26は、営業放送システム24からファイリング指示データが送られると、ファイリング指示データに含まれているCMコードに対応するCM素材が、入稿ホルダ12bとCMバンク28にそれぞれ格納されているか否かをチェックする。
そして、もしもこのCM素材が、入稿ホルダ12bに格納されているものの、CMバンク28に格納されていない場合は、CMバンクシステム26は、入稿ホルダ12bに格納されているこのCM素材を、CMバンク28にコピーすることによって、CMバンク28に格納する。
一方、もしもこのCM素材が、入稿ホルダ12bにも、CMバンク28にも格納されていない場合は、CMバンクシステム26は、CM素材入稿装置12に対して、入稿端末14の表示画面14aからCMコードを表示するとともにアラームを通知するように指示する。このアラームによって、オペレータがCM素材の入稿を早急に行うよう促される。
入稿ホルダ12bに格納されたCM素材が、CMバンク28にも格納されていることが確認できれば、入稿ホルダ12b自体は当該CM素材を格納し続ける必要はない。しかしながら、入稿ホルダ12bにメモリ容量の余裕がある場合や、放送局における運用上の利便性を優先して、入稿ホルダ12bが、CMバンク28に格納済みであるCM素材を、引き続き格納できるような条件設定を施しても良い。
ただし、入稿ホルダ12bのメモリ容量が少なくなった場合には、それに応じてCM素材を削除する仕組みも必要となる。
そのために、CM素材入稿装置12のチェック部12mは、入稿ホルダ12bのメモリ残量を定期的に(例えば1時間に1回)チェックする。そして、入稿ホルダ12bのメモリ残量が例えば全容量の10%以下になった場合には、表示制御部12dが、CMバンクシステム26および入稿端末14に対して、アラームを通知させる。
このアラームに応じて、オペレータが、入稿端末14を操作し、入稿ホルダ12bに格納されているCM素材のリストを表示する。そして、オペレータの判断あるいは放送局内のルールに従って、メモリ残量が確保できるようになるまで、リスト表示されたCM素材を順次、入稿ホルダ12bから削除する。
あるいは、このようなオペレータによる手動操作の代わりに、削除部12kが、予め定められたルールに従って(例えば、入稿ホルダ12bに格納された日時が古い順に削除するように)、入稿ホルダ12bに格納されているCM素材を自動的に削除するようにしても良い。
なお、上記では、CM素材入稿装置12の受取部12cが、受信サーバ22からMXFファイルおよびCMメタデータを受け取る場合、受信サーバ22からPUSHされるものとして説明した。しかしながら、受取部12cが、受信サーバ22からMXFファイルおよびCMメタデータを受け取る方式は、受信サーバ22からのPUSHに限定されず、受取部12cが、受信サーバ22に対してPULLすることによっても可能である。
CM素材入稿装置12は、受取部12cが受信サーバ22に対してPULLすることによってMXFファイルおよびCMメタデータを受け取る場合、比較部12hが、CMメタデータに含まれるCMコードをキー情報として前述したようなチェック処理を行う。そして、問題なくチェック処理がなされると、特定部12iが、先ず、サイズの大きなMXFファイルを先に保存し、その後、サイズの小さなCMメタデータを保存する。
次に、以上のように構成した本実施形態のCM素材入稿方法が適用されたCM素材入稿システム10の動作を、図8乃至図10に示すフローチャートを用いて説明する。
本実施形態のCM素材入稿システム10では、CM素材入稿装置12において、CM素材の入稿処理がなされる。
そのためには、先ず、CM素材入稿装置12に、1つまたは複数のCM素材を含むMXFファイルと、CM素材に対応するCMメタデータとが入力される(S1)。
MXFファイルは、CM管理システム40からオンラインで送信されるか、または、広告制作業者等から、A媒体50、B媒体52、またはC媒体54等のメディアの形態で持ち込まれる。
MXFファイルがオンラインで送信される場合、CM管理システム40からMXFファイルが送信され、受信サーバ22によって受信され、受信サーバ22からさらにCM素材入稿装置12へ入力される。
一方、MXFファイルがメディアの形態で搬入された場合、入稿端末14のドライブにおいて、これら媒体からMXFファイルが読み取られ、入稿端末14からCM素材入稿装置12へ入力される。
CM素材入稿装置12にCMメタデータが入力されると、図3に例示されるように、CMメタデータの内容が、入稿端末14の表示画面14aから表示される。
CM素材入稿装置12では、確認部12eにおいて、CMメタデータに含まれるCMコードがキー情報として用いられ、キー情報に対応するCM素材が、真正なものであるか否かが確認される(S2)。
この確認処理では、確認部12eにおいて、MXFファイルの中に「CM素材搬入基準」で定められた必須のデータ項目が含まれているか、さらには、各データ項目のフォーマットが正しいかなどがチェックされる。
また、確認部12eにおいて、CMメタデータの中に、「CM素材搬入基準」で定められた必須のデータ項目が含まれているか、さらには、各データ項目のフォーマットが正しいかなどがチェックされる。
これらチェックの何れかに問題がある場合(S3:Yes)には、入稿端末14の表示画面14aから、例えば、データ項目ラベルが赤でハイライト表示されるとともに、正しいフォーマットがツールチップで表示される(S4)。これによって、オペレータは、MXFファイルおよび/またはCMメタデータに問題や不備があることを把握することができる。そして、オペレータは、正常なCMメタデータの入手を手配する。
一方、これらチェックに問題がない場合(S3:No)には、CM素材入稿装置12のCM素材取得部12fでは、CMメタデータに含まれるCMコードがキー情報とされ、MXFファイルから、対応するCM素材が取得される(S5)。
さらに、CM素材入稿装置12のクレジット生成部12gにおいて、このCM素材のクレジットも生成される(S6)。生成されたクレジットは、図5に例示されるように、入稿端末14の表示画面14aから表示される。
CM素材入稿装置12の比較部hでは、図5に示されるような情報の集合であるクレジットが、CMメタデータのメタ情報と比較され、クレジットとCMメタデータのメタ情報が一致しているか否かが判定される(S7)。この比較は、クレジットおよびCMメタデータの各項目のデータの比較によって実施される。
クレジットとCMメタデータのメタ情報の一致が確認された場合(S7:Yes)、特定部12iと抽出部12jとが協働することにより、MXFファイルから、このCM素材の切り出し処理が開始される。
この切り出し処理では、先ず、特定部12iによって、CMメタデータのスタートTC(図3参照)が参照されることによって、このCM素材のMXFファイル100における開始点Aが把握される(S8)。
次に、抽出部12jによって、図7に示すように、MXFファイル100から、開始点Aの15F前から、CM素材102の終了点Bの15F後までの範囲が切り出される(S9)。開始点Aより前の15Fは、リーダとして、終了点Bより後の15Fはトレーラとして用いられる。
さらに、抽出部12jによって、開始点Aの15秒前から3秒前までの間に、クレジットが埋め込まれる(S10)。
これによって、CM素材102の切り出し処理が完了し、切り出されたCM素材102が、入稿ホルダ12bに格納される(S11)。
一方、クレジットとCMメタデータとの内容とが一致していない場合(S7:No)には、比較部12hによって、MXFファイルが異常であると判定され(S21)、MXFファイルが、エラーホルダ12aへ移動される(S22)。さらには、入稿端末14の表示画面14aからの表示や、音声出力によって、オペレータに対してアラーム通知がなされる(S23)。
エラーホルダ12aへ移動されたMXFファイルは、削除部12kによって、定時処理で削除される(S24)。
入稿ホルダ12bに格納されたCM素材102は、CMの放映スケジュールに従って営業放送システム24から送られたファイリング指示データに応じて、CMバンクシステム26によってCMバンク28に格納される(S12)。
具体的には、CMバンクシステム26では、営業放送システム24からファイリング指示データが送られると、ファイリング指示データに含まれているCMコードに対応するCM素材が、入稿ホルダ12bとCMバンク28にそれぞれ格納されているか否かがチェックされる。
入稿ホルダ12bの空き容量は、1時間に1回、チェック部12mによってチェックされる(S13)。
そして、入稿ホルダ12bの空き容量が10%以下になった場合(S14:Yes)には、CMバンクシステム26および入稿端末14に対して、アラームが通知される(S15)。
一方、入稿ホルダ12bの空き容量が10%以下ではない場合(S14:No)には、ステップS13に戻る。
このアラームに応じて、オペレータが入稿端末14を操作することによって手動操作で、あるいは、削除部12kによって自動的に、入稿ホルダ12bからCM素材が削除される(S16)。
上述したように、本実施形態のCM素材入稿方法が適用されたCM素材入稿システム10によれば、上記のような作用により、CMメタデータに含まれるCMコードに対応するCM素材を、MXFファイルから自動的に切り出すことができる。
しかも、この切り出し処理を行う前には、CMメタデータおよびMXFファイルおのおのの真正を確認することができる。さらには、CMコードをキー情報として、CMメタデータとCM素材との関連性の真正についても確認することができる。したがって、正しいCM素材のみを確実に切り出すことができる。
また、これら確認処理において問題があった場合には、その内容を、入稿端末14からアラーム表示することができる。よって、オペレータは、CMメタデータおよび/またはMXFファイルに異常があることを把握できるのみならず、どこに問題があるのかも具体的に把握することができ、早急な対応が可能となる。
前述した切り出し処理によって入稿ホルダ12bに格納されたCM素材は、CMバンクシステム26によって適切にCMバンク28に格納され、放送のために用いられる。
また、入稿ホルダ12bの空き容量は、定期的にチェックされ、そのチェック結果に応じて、手動であるいは自動的にCM素材を適切に削除するよう促すことができる。
このように、本実施形態のCM素材入稿方法が適用されたCM素材入稿システム10によれば、MXFファイルに記録されたCM素材の効率的な入稿処理を実現することが可能となる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態のCM素材入稿方法が適用されたCM素材入稿システムは、第1の実施形態のCM素材入稿方法が適用されたCM素材入稿システム10に対して追加された機能を有する。したがって、以下では、同一部位については、同一符号を付すことによって、重複説明を避け、第1の実施形態に対して追加される点について説明する。
第1の実施形態のCM素材入稿システム10は、スポンサーが付いているコマーシャル用のCM素材を取り扱うことを想定している。そのため、図3に示すCMメタデータのメタ情報でも、図5に示すクレジットでも、「素材広告主名」に、広告主が記載されている。
しかしながら、CM素材には、例えば放送局自身の番組宣伝(以下、「番宣」と称する)のためのCM素材のように、スポンサーが付いていないコマーシャル用のものも存在する。
番宣は、スポンサーが付いておらず、放送局内でクローズするCMであることから、CM管理システム40から、番宣用のCM素材(以下、「番宣用CM素材」と称する)に対応するCMメタデータは提供されない。
したがって、従来、番宣用CM素材の入稿処理の際には、入稿端末14から入力されるMXFファイルから、CMメタデータの有無とは無関係に番宣用CM素材が切り出されている。
しかしながら、CMメタデータが存在しないと、MXFファイルのどの開始点にどの番宣用M素材が記録されているのか正確に把握することができない。このため、従来は、オペレータが、入稿端末14を操作し、MXFファイルに記録されている番宣用CM素材の開始点Aを、プレビュー等によって突き止めたうえで、番宣用CM素材の切り出しがなされている。このように、従来、番宣用CM素材の入稿処理は自動化されていない。
本実施形態のCM素材入稿方法が適用されたCM素材入稿システムは、第1の実施形態のCM素材入稿システム10のように、スポンサーが付いているCM素材を効率的に入稿処理できるのみならず、スポンサーが付いていない番宣用CM素材に対しても同様に効率的に入稿処理できるようにしたものである。
なお、以降の説明では、第1の実施形態で説明したようにスポンサーが付いているCM素材を、番宣用CM素材と区別するために、便宜的に「非番宣用CM素材」と称するものとする。
図1に示すCM素材入稿システム10によって、番宣用CM素材に対しても、自動的に入稿処理をできるようにするために、番宣用CM素材の作成に伴いこの番宣用CM素材に対応するCMコードを決定する。そして、決定されたCMコードに、番宣用CM素材を関連付けて、MXFファイルに記録する。
CM素材入稿システム10ではさらに、番宣用CM素材に対応するCMメタデータをも作成し、決定されたCMコードを、このCMメタデータにも含める。さらに、CMメタデータには、番宣用CM素材がMXFファイルに記録された開始点Aを示すスタートTCをも記録する。
ここで、番宣用CM素材のためのCMコードは、CM管理システム40から通知される非番宣用CM素材のためのCMコードと区別可能な番号体系とする。前述したように、CM管理システム40から通知されるCMコードは、先頭からの4桁も、残りの6桁も、数字のみ、アルファベット大文字のみ、または数字とアルファベット大文字の組み合せ(何れも半角)によって構成される。したがって、例えば、番宣用CM素材用のCMコードには、アルファベット大文字を用いず、かつ、少なくともアルファベット小文字を含めるようにする。このようにすれば、アルファベット小文字が含まれているCMコードは、番宣用CM素材用のものであると視覚的にも容易に把握することができる。
図11は、番宣用CM素材用のCMメタデータのメタ情報が、入稿端末14の表示画面14aから表示された表示例を示す図である。番宣用CM素材には、スポンサーが付いていないので、図3における「素材広告主名」の項目が存在していない。それ以外の項目は、図3と同じであり、CMコードおよびスタートTCの他に、CM素材名、秒数、音声種別、制作広告会社、制作会社等を含んでいる。なお、番宣用CM素材が放送局内でクローズするものであることを考慮すれば、CM素材名、秒数、音声種別、制作広告会社、制作会社といった項目は必ずしも設ける必要はない。よって、CMメタデータは、少なくとも、CMコードとスタートTCおよび秒数を含んでいれば良い。
MXFファイルおよびCMメタデータのCM素材入稿装置12への入力は、オペレータが入稿端末14を操作することにのみによってなされ、受信サーバ22を介してなされることはない。
入稿端末14は、オペレータ操作によって入力されたMXFファイルおよびCMメタデータを、CM素材入稿装置12へ入力する。
CM素材入稿装置12は、MXFファイルおよびCMメタデータを受取部12cにおいて受け取る。そして、CM素材取得部12fが、CMメタデータに含まれるCMコードをキー情報として用い、1つまたは複数の番宣用CM素材が含まれているMXFファイルから、キー情報に対応する番宣用CM素材を取得する。
CM素材入稿装置12はさらに、クレジット生成部12gにおいて、この番宣用CM素材のクレジットを生成し、比較部12hが、クレジットとCMメタデータのメタ情報とを比較する。そして、クレジットとCMメタデータのメタ情報が一致しているか否かを判定する。クレジットとCMメタデータのメタ情報が一致している場合には、比較部12hは、この番宣用CM素材が、CMメタデータに対応した真正なものであると判定する。
このようにしてクレジットとCMメタデータのメタ情報の一致が確認されると、特定部12iと抽出部12jとが協働することにより、MXFファイルから、この番宣用CM素材を切り出すことによって、この番宣用CM素材を抽出する。
この切り出し処理は、第1の実施形態において図6を用いて説明したように、特定部12iが、CMメタデータのスタートTCを参照することにより、MXFファイルにおける番宣用CM素材の開始点Aを把握する。次に、第1の実施形態において図7を用いて説明したように、抽出部12jが、MXFファイル100から、開始点Aの15フレーム(15F)前から、CM素材102の終了点Bの15F後までの範囲を切り出す。開始点Aより前の15Fはリーダとして、また、終了点Bより後の15Fはトレーラとして用いられる。抽出部12jはさらに、開始点Aの15秒前から3秒前までの間に、クレジットを表示する。
これによって、番宣用CM素材の切り出し処理が完了し、入稿ホルダ12bが、切り出された番宣用CM素材を格納する。このように入稿ホルダbに格納された番宣用CM素材もまた、第1の実施形態において入稿ホルダ12bに格納された非番宣用CM素材のように、CMバンクシステム26によって、CMバンク28に格納され、放映のために利用される。
一方、クレジットとCMメタデータとの内容とが一致していない場合には、比較部12hは、MXFファイルが異常であると判定し、MXFファイルをエラーホルダ12aへ移動するとともに、表示制御部12dが、入稿端末14からの画面表示や音声出力等によって、オペレータに対してアラーム通知する。
エラーホルダ12aへ移動されたMXFファイルは、CM素材入稿装置12の削除部12kが、定時処理で削除する。
入稿ホルダ12bに格納された番宣用CM素材もまた、第1の実施形態で説明した非番宣用CM素材のように、CMバンク28に格納された後、入稿ホルダ12bから削除される。
この削除は、第1の実施形態で説明したようにオペレータによる手動操作によって、または、削除部12kが、予め定められたルールに従って自動的に行うようにしても良い。
予め定められたルールとして、本実施形態では、入稿ホルダ12bに格納されたCM素材が、番宣用CM素材であるか、非番宣用CM素材であるかを考慮する。例えば、入稿ホルダ12bに、番宣用CM素材と、非番宣用CM素材との両方が格納されている場合、番宣用CM素材を優先的に削除しても良い。
前述したように、番宣用CM素材のCMコードは、非番宣用CM素材のCMコードと区別可能な番号体系となっている。したがって、CM素材入稿装置12は、入稿ホルダ12bに格納されているCM素材が、番宣用CM素材であるのか、非番宣用CM素材であるのかを区別できるので、番宣用CM素材のみを抽出し削除することができる。
さらには、複数の番宣用CM素材が格納されている場合には、番宣用CM素材のうち、入稿ホルダ12bに格納された日時が古い順に削除するなど、CM素材の種類と、日時情報とを適宜組み合わせたルールを適用するようにしても良い。
次に、以上のように構成した本実施形態のCM素材入稿システム10の特徴的な動作を、図12および図13に示すフローチャートを用いて説明する。なお、前述したように、本実施形態は、第1の実施形態に対する追加であるので、図12および図13のフローチャートに、図8乃至図10のフローチャートの処理が適宜追加される。
本実施形態のCM素材入稿方法が適用されたCM素材入稿システム10では、番宣用CM素材に対しても、効率的な入稿処理を実現するために、番宣用CM素材に対応するCMコードのみならず、番宣用CM素材に対応するCMコードも必要とされる。
ただし、番宣用CM素材のためのCMコードは、CM管理システム40から通知される非番宣用CM素材のためのCMコードと区別可能な番号体系とされる。
したがって、番宣用CM素材を制作した放送局等によって、番宣用CM素材が制作されると、番宣用CM素材に対応するCMコードも決定される。さらに、当該放送局等によって、このCMコードに、番宣用CM素材が関連付けられて、MXFファイルに記録される。
さらには、番宣用CM素材に対応するCMメタデータが作成され、このCMメタデータにも、番宣用CM素材に対応するCMコードが含められる。
また、CMメタデータには、非番宣用CM素材に対してなされているのと同様に、MXFファイルにおける番宣用CM素材の開始点Aを示すスタートTCも記録されている。
番宣用CM素材にはスポンサーが付いていないので、番宣用CM素材用のCMメタデータは、図11に例示されるように、非番宣用CM素材用のCMメタデータに存在する「素材広告主名」の項目が存在していない。それ以外の項目は、非番宣用CM素材用のCMメタデータのメタ情報と同じである。
なお、番宣用CM素材が放送局内でクローズするものであることを考慮すれば、CMメタデータは、少なくとも、CMコードとスタートTCおよび秒数を含んでいれば、その他のCM素材名、音声種別、制作広告会社、制作会社といった項目を省略しても良い。
MXFファイルおよびCMメタデータのCM素材入稿装置12への入力は、オペレータが入稿端末14を操作することにのみによってなされ、受信サーバ22を介してなされることはない。
前述したように放送局等によって作成されたMXFファイルおよびCMメタデータは、オペレータ操作によって、入稿端末14から、CM素材入稿装置12へ入力される(S31)。
CM素材入稿装置12では、MXFファイルおよびCMメタデータが、受取部12cにおいて受け取られる。そして、CM素材取得部12fにおいて、CMメタデータに含まれるCMコードがキー情報として用いられ、1つまたは複数の番宣用CM素材が含まれているMXFファイルから、キー情報に対応する番宣用CM素材が取得される(S32)。
CM素材入稿装置12ではさらに、クレジット生成部12gにおいて、番宣用CM素材のクレジットが生成され、比較部12hにおいて、クレジットとCMメタデータのメタ情報とが比較され、クレジットとCMメタデータのメタ情報が一致しているか否かが判定される(S33)。
クレジットとCMメタデータの内容が一致している場合(S33:Yes)には、比較部12hによって、番宣用CM素材が、CMメタデータに対応した真正なものであると判定される(S34)。そして、特定部12iと抽出部12jとが協働することにより、MXFファイルから、番宣用CM素材を切り出す処理がなされる。
この切り出し処理では、特定部12iによって、CMメタデータのスタートTCが参照されることにより、MXFファイルにおける番宣用CM素材の開始点Aが把握される(S35)。
次に、第1の実施形態において図7を用いて説明されたように、抽出部12jによって、MXFファイル100から、開始点Aの15フレーム(15F)前から、CM素材102の終了点Bの15F後までの範囲が切り出される。開始点Aより前の15Fはリーダとして、また、終了点Bより後の15Fはトレーラとして用いられる(S36)、さらに、抽出部12iによって、開始点Aの15秒前から3秒前までの間に、クレジットを表示する(S37)。
これによって、番宣用CM素材の切り出し処理が完了し、切り出された番宣用CM素材が、入稿ホルダ12bに格納される(S38)。
このように入稿ホルダ12bに格納された番宣用CM素材もまた、第1の実施形態において入稿ホルダ12bに格納された非番宣用CM素材のように、CMバンクシステム26によって、CMバンク28に格納され、放映のために利用される(S39)。
一方、クレジットとCMメタデータとの内容とが一致していない場合(S33:No)には、比較部12hにおいて、MXFファイルが異常であると判定され(S51)、MXFファイルは、エラーホルダ12aへと移動される(S52)。
それとともに、入稿端末14から、画面表示や音声出力等によって、オペレータに対してアラーム通知がなされる(S53)。
エラーホルダ12aへ移動されたMXFファイルは、CM素材入稿装置12の削除部12kによって、定時処理で削除される(S54)。
入稿ホルダ12bに格納された番宣用CM素材は、CMバンク28に格納された後は、第1の実施形態で説明したようにオペレータによる手動操作によって、または、予め定められたルールに従って削除部12kによって自動的に削除される。
予め定められたルールとして、本実施形態では、入稿ホルダ12bに格納されたCM素材が、番宣用CM素材であるか、非番宣用CM素材であるかを考慮する。例えば、入稿ホルダ12bに、番宣用CM素材と、非番宣用CM素材との両方が格納されている場合、番宣用CM素材を優先的に削除するようにしても良い。
なお、このためには、入稿ホルダ12bに格納されたCM素材が、番宣用CM素材であるか、非番宣用CM素材であるかを識別する必要があるが、前述したように、番宣用CM素材のCMコードは、非番宣用CM素材のCMコードと区別可能な番号体系となっている。したがって、入稿ホルダ12bに格納されているCM素材が、番宣用CM素材であるのか、非番宣用CM素材であるのかが、CM素材入稿装置12によって区別されるので、番宣用CM素材のみが抽出され削除される。
上述したように、本実施形態のCM素材入稿方法が適用されたCM素材入稿システム10によれば、番宣用CM素材と、非番宣用CM素材とを区別しながら、番宣用CM素材も、非番宣用CM素材と同様に取り扱うことができる。したがって、第1の実施形態のCM素材入稿システム10で奏された作用効果を、番宣用CM素材を取り扱う場合であっても奏することができる。
したがって、本実施形態のCM素材入稿方法が適用されたCM素材入稿システム10によれば、MXFファイルに記録されたCM素材が、番宣用CM素材であるか非番宣用CM素材であるかに関わらず、第1の実施形態と同様な効率的な入稿処理を実現することが可能となる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。