JP6566860B2 - ケミカルヒートポンプ - Google Patents

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Description

本発明は、ケミカルヒートポンプに関する。
近年、資源及びエネルギーを効率良く活用するという観点等から、「工場等で発生する排ガス(以下、「入ガス」と呼ぶ)に含まれる熱を蓄熱し、蓄積された熱を利用して前記排ガスより温度が高いガス(以下、「出ガス」と呼ぶ)を取り出す技術」を実現したいというニーズが高まってきている。このニーズの一つとして、例えば、成形体を焼成する場合が挙げられる。この場合、焼成直後の高温の焼成体を冷却するために使用された排ガスを「入ガス」として利用して、「入ガス」より温度が高い「出ガス」が取り出され、取り出された「出ガス」が焼成時における成形体の昇温に利用される。
この技術を実現するための1つの手段として、ケミカルヒートポンプ(化学蓄熱方式のヒートポンプ)が提案されてきている(例えば、特許文献1、2を参照)。
上記文献に記載のケミカルヒートポンプは、「発熱反応及び吸熱反応を行う蓄熱材を含む反応部」と、「水蒸気、及び水を含み、水蒸気と水との間で相転移を行う蒸発・凝縮部」と、「前記反応部と前記凝縮部とを接続する接続部」と、「内部を流れる流体と前記蓄熱材との間で熱交換が行われる流体通路」と、を備える。ここにいう「蓄熱材」とは、例えば、「水蒸気との発熱反応によって水和物になるとともに放熱する」という性質(第1の性質)、並びに、「外部から熱を受けて前記水和物の吸熱反応によって前記水和物から水蒸気を放出して脱水されるとともに蓄熱する」という性質(第2の性質)、を有する。
ここで、上記蓄熱材には、蓄熱材そのもの(=脱水物)とその水和物との間での状態の変化に関する温度の臨界点に相当する「転換温度」が存在する。蓄熱材の転換温度は、蓄熱材の種類によって異なるとともに、その蓄熱材を取り巻く雰囲気圧力によって変化する。上記第1の性質における「発熱反応」(脱水物→水和物)は、入ガスの温度が蓄熱材の転換温度以下の場合に限って発生し得る。上記第2の性質における「吸熱反応」(水和物→脱水物)は、入ガスの温度が蓄熱材の転換温度以上の場合に限って発生し得る。
このケミカルヒートポンプでは、蓄熱状態では、蓄熱材の転換温度より温度が高い入ガスが流体通路に流入される。流体流路を流れる入ガスが、上記熱交換が行われる位置を通過する際、反応部内にある蓄熱材の水和物が入ガスから熱を受ける。この結果、上記「第2の性質」により、上記水和物の上記「吸熱反応」が発生して、上記水和物が脱水されて蓄熱材そのもの(=脱水物)になるとともに、蓄熱材の温度が上がる(即ち、蓄熱材が蓄熱する)。上記脱水により発生した水蒸気(気体)は、接続部を介して反応部から蒸発・凝縮部へと移動する。蒸発・凝縮部に移動した水蒸気は相転移(凝縮)によって水(液体)になり、この水が蒸発・凝縮部にて蓄えられる。入ガスは、上記「吸熱反応」によって熱を奪われる。その結果、流体通路から流出するガスの温度は、流体通路に流入する入ガスの温度と比べて低くなる。以上、蓄熱状態では、蓄熱材の転換温度より温度が高い入ガスを流体通路に流入することによって、入ガスが有する熱の一部を蓄熱材(=脱水物)に蓄熱させることができる。
一方、放熱状態では、蓄熱材の転換温度より温度が低い入ガスが流体通路に流入される。蒸発・凝縮部内にある水の相転移(蒸発)によって発生した水蒸気が蒸発・凝縮部から反応部に移動する。この結果、上記「第1の性質」により、「反応部内の蓄熱材(=脱水物)」と「水蒸気」との上記「発熱反応」が発生して、蓄熱材が放熱するとともにその水和物に変化する。流体流路を流れる入ガスが、上記熱交換が行われる位置を通過する際、入ガスが上記蓄熱材の放熱に起因する熱を受ける。この結果、流体通路から流出する出ガスの温度が、流体通路に流入する入ガスの温度と比べて高くなる。以上、放熱状態では、蓄熱材の転換温度より温度が低い入ガスを流体通路に流入することによって、入ガスより温度が高い出ガスを取り出すことができる。
特開2008−025853号公報 特開2013−195022号公報
上記放熱状態(即ち、上記発熱反応)は、反応部内にて蓄熱材そのもの(=脱水物)がなくなるまで継続され得る。換言すれば、上記放熱状態では、反応部内にて蓄熱材そのものがなくなる時期までは、入ガスより温度が高い出ガスを取り出すことができる一方で、その後は、入ガスより温度が高い出ガスを取り出すことができない(後述する図4を参照)。加えて、単一の反応部内に含まれ得る蓄熱材の量には限度がある。
従って、単一の反応部が利用される構成では、上記放熱状態において、出ガスの温度を入ガスの温度より高い温度(=目標温度)で(略)一定に維持できる期間にも限度がある。換言すれば、単一の反応部が利用される構成では、出ガスの温度を任意の長期間に亘って前記目標温度で(略)一定に維持したい、という要求があった場合に、その要求を達成することができない。
この問題に対処するため、2つの反応部(第1の反応部、及び、第2の反応部)が利用される構成が考えられる。即ち、例えば、単一の反応部にて出ガスの温度を前記目標温度で一定に維持できる最大の期間を「継続期間」(一定)としたとき、この構成では、「第1の反応部が蓄熱状態に設定され且つ第2の反応部が放熱状態に設定された第1状態」と、「第1の反応部が放熱状態に設定され且つ第2の反応部が蓄熱状態に設定された第2状態」と、を「継続期間」が経過する毎に交互に実現することができる。この結果、出ガスの温度を任意の長期間に亘って前記目標温度で(略)一定に維持することができる(後述する図7を参照)。
ところで、一般に、反応部内に含まれる蓄熱材は、上記発熱反応及び吸熱反応に供される延べ時間が長くなるにつれて次第に劣化していく。ここで、「蓄熱材の劣化」とは、蓄熱材の単位質量当たりに蓄熱できる熱の量が低下する現象を指す。
上記蓄熱状態における流体通路内のガスの流れ方向(以下、「蓄熱時流れ方向」と呼ぶ)と、上記放熱状態における流体通路内のガスの流れ方向(以下、「放熱時流れ方向」と呼ぶ)と、に着目する。
上述のように、「第1状態」と「第2状態」とを「継続期間」が経過する毎に交互に実現する場合において、蓄熱材の劣化が進行した場合、各反応部について、出ガスの温度を前記目標温度で一定に維持できる期間が短くなる現象が発生し得る(後述する図8を参照)。出ガスの温度を前記目標温度で一定に維持できる期間が「継続期間」より短くなると、「第1状態」と「第2状態」との切替時期の直前毎に、出ガスの温度が前記目標温度より著しく低下する現象が発生し得る(後述する図9を参照)。換言すれば、出ガスの温度を安定して前記目標温度で(略)一定に維持することができない。
ここで、「蓄熱時流れ方向」と「放熱時流れ方向」とが同一か反対かで、蓄熱材の劣化が進行した場合において出ガスの温度を前記目標温度で一定に維持できる期間が短くなる程度に差異があることが判明した。出ガスの温度を任意の長期間に亘って安定して前記目標温度で(略)一定に維持することが望まれている。
本発明は、上記内容に鑑みてなされたものであり、その目的は、出ガスの温度を任意の長期間に亘って安定して前記目標温度で(略)一定に維持することができるケミカルヒートポンプを提供することを目的とする。
本発明に係るケミカルヒートポンプの特徴は、「第1状態」と「第2状態」とを「継続期間」が経過する毎に交互に実現する場合において、第1、第2反応部のそれぞれについて、「蓄熱時流れ方向」と「放熱時流れ方向」とを反対とすることにある。
また、本発明に係るケミカルヒートポンプにおいて、2つの反応部(第1の反応部、及び、第2の反応部)を「複数の反応部」に拡張した場合、本発明に係るケミカルヒートポンプは、以下のように記述できる。
即ち、このケミカルヒートポンプは、「それぞれが、発熱反応及び吸熱反応を行う蓄熱材を含む、複数の反応部」と、「前記蓄熱材の前記反応に関係する物質を含み、前記物質について気相と液相との間で相転移が行われる蒸発・凝縮部」と、「前記各反応部と前記蒸発・凝縮部とを接続する接続部」と、「それぞれが、前記各反応部に対応して設けられるとともに、その内部を流れる流体と対応する前記反応部に含まれる前記蓄熱材との間で熱交換が行われる、複数の流体通路」と、「前記各流体通路内の流体の流れを制御する制御部」と、を備える。前記各反応部と前記蒸発凝縮部との接続を個別に連通・遮断可能なバルブが設けられていることが好適である。
前記制御部は、第1期間が経過する毎に、前記複数の反応部の中から選択される放熱用反応部を順次変更していく。前記制御部は、前記放熱用反応部に対応する前記流体通路に対して、前記放熱用反応部に含まれる前記蓄熱材の転換温度より温度が低い流体を、前記流体通路の第1側から第2側に向けて前記第1期間に亘って流すことによって、前記放熱用反応部を、前記第1期間に亘って、前記発熱反応によって前記蓄熱材が前記流体に対して放熱する放熱状態に設定する。また、前記制御部は、前記各反応部について、前記放熱用反応部として今回選択されている期間が終了した後、且つ、前記放熱用反応部として次回選択される期間が開始するまでの間において、前記反応部に含まれる前記蓄熱材の転換温度より温度が高い流体を、前記流体通路の前記第2側から前記第1側に向けて第2期間に亘って流すことによって、前記反応部を、前記第2期間に亘って、前記吸熱反応によって前記蓄熱材が蓄熱する蓄熱状態に設定する。
詳細は後述する(図10及び図11を参照)が、「蓄熱時流れ方向」と「放熱時流れ方向」とが反対の場合、「蓄熱時流れ方向」と「放熱時流れ方向」とが同一の場合と比べて、蓄熱材の劣化が進行した場合において出ガスの温度を前記目標温度で一定に維持できる期間が短くなる程度が小さいことが判明した。従って、上記本発明に係るケミカルヒートポンプでは、「蓄熱時流れ方向」と「放熱時流れ方向」とが同一の場合と比べて、「第1状態」と「第2状態」との切替時期の直前毎に出ガスの温度が前記目標温度より著しく低下する現象、が発生し難い。換言すれば、出ガスの温度を任意の長期間に亘ってより安定して前記目標温度で(略)一定に維持することができる。
本発明に係るケミカルヒートポンプの実施形態全体のシステムを示す模式図である。 反応部R1が蓄熱状態に設定された場合における作動状態の一例を示す図である。 反応部R1が放熱状態に設定された場合における作動状態の一例を示す図である。 単一の反応部について、放熱状態の開始からの出ガスの温度の推移の一例を示すグラフである。 反応部R1が蓄熱状態に設定され且つ反応部R2が放熱状態に設定された場合(第1状態)における作動状態の一例を示す図である。 反応部R1が放熱状態に設定され且つ反応部R2が蓄熱状態に設定された場合(第2状態)における作動状態の一例を示す図である。 「第1状態」と「第2状態」とを「継続期間」が経過する毎に交互に実現する場合における、出ガス温度の推移の一例を示すグラフである。 出ガスの温度を目標温度で一定に維持できる期間が短くなる現象を説明するための図である。 「第1状態」と「第2状態」との切替時期の直前毎に出ガスの温度が目標温度より著しく低下する現象を説明するための図である。 「蓄熱時流れ方向」と「放熱時流れ方向」とが同一の場合について、蓄熱状態における反応部R1の内部での蓄熱量の推移、並びに、放熱状態における反応部R1の内部での放熱量の推移等を説明するための図である。 「蓄熱時流れ方向」と「放熱時流れ方向」とが反対の場合について、蓄熱状態における反応部R1の内部での蓄熱量の推移、並びに、放熱状態における反応部R1の内部での放熱量の推移等を説明するための図である。
以下、本発明に係るケミカルヒートポンプの実施形態(本実施形態)について、図1〜図7を参照しながら説明する。
<全体構成>
図1に示すように、本実施形態は、前記「複数の反応部」として、2つの反応部R1、R2を備え、前記「蒸発・凝縮部」として、1つの蒸発・凝縮部Dを備える。反応部R1は、互いに別個独立した、反応器R11、反応器R12、及び、反応器R13で構成される。反応部R2は、互いに別個独立した、反応器R21、反応器R22、及び、反応器R23で構成される。蒸発・凝縮部Dは、互いに別個独立した、蒸発器DA、及び、凝縮器DBで構成される。
反応部R1(=R11+R12+R13)と、蒸発器DAとは、配管H18、四方弁V4、及び、配管H20を介して接続されている。反応部R1(=R11+R12+R13)と、凝縮器DBとは、配管H18、四方弁V4、及び、配管H21を介して接続されている。反応部R2(=R21+R22+R23)と、蒸発器DAとは、配管H19、四方弁V4、及び、配管H20を介して接続されている。反応部R2(=R21+R22+R23)と、凝縮器DBとは、配管H19、四方弁V4、及び、配管H21を介して接続されている。四方弁V4は、配管H18、H19、H20、及び、H21の間の接続を、個別に連通・遮断可能に構成されている。
ここで、配管H18、H19、H20、H21が前記「接続部」に対応している。また、四方弁V4が、「各反応部と蒸発凝縮部との接続を個別に連通・遮断可能なバルブ」に対応している。なお、一対の真空ポンプVPは、ポンプの組立の後(稼働前)に、室温下にて、ポンプの内部(反応部R1、R2の内部、及び、蒸発・凝縮部Dの内部)の圧力を大気圧より低い圧力に調整するために利用される。
反応器R11内、R12内、及び、R13内には、それぞれ、蓄熱材M1の粉末、蓄熱材M2の粉末、及び、蓄熱材M3の粉末が収容・充填されている。即ち、M1、M2、及び、M3のそれぞれは、反応部R1内の異なる位置に配置されている。同様に、反応器R21内、R22内、及び、R23内には、それぞれ、蓄熱材M1の粉末、蓄熱材M2の粉末、及び、蓄熱材M3の粉末が収容・充填されている。即ち、M1、M2、及び、M3のそれぞれは、反応部R2内の異なる位置に配置されている。
蓄熱材M1、M2、及び、M3は全て、「水蒸気との発熱反応によって水和物になるとともに放熱する」という性質(第1の性質)、並びに、「外部から熱を受けて、水和物の吸熱反応によって水和物から水蒸気を放出して脱水されるとともに蓄熱する」という性質(第2の性質)を有する。
蓄熱材には、「蓄熱材そのもの(=脱水物)」と「その水和物」との間での状態の変化に関する温度の臨界点に相当する「転換温度」が存在する。蓄熱材の転換温度は、蓄熱材の種類によって異なるとともに、蓄熱材を取り巻く雰囲気圧力によっても変化する。
M1、M2、及び、M3の典型例としては、CaO、MgO、及び、CaSOが挙げられる。CaO、MgO、及び、CaSOは、それぞれ、下記(1)式、(2)式、及び、(3)式に示す反応に関係する。各式において、「Q」は熱エネルギーを示す。(1)式において、Ca(OH)は、CaOの水和物であり、(2)式において、Mg(OH)は、MgOの水和物であり、(3)式において、CaSO・1/2HOは、CaSOの水和物である。
Ca(OH)+Q→CaO+HO (吸熱反応)
Ca(OH)+Q←CaO+HO (発熱反応) …(1)
Mg(OH)+Q→MgO+HO (吸熱反応)
Mg(OH)+Q←MgO+HO (発熱反応) …(2)
2・CaSO・1/2HO+Q→2CaSO+HO (吸熱反応)
2・CaSO・1/2HO+Q←2CaSO+HO (発熱反応) …(3)
任意の雰囲気圧力において、CaO(=M1)の転換温度はMgO(=M2)の転換温度より高く、MgO(=M2)の転換温度はCaSO(=M3)の転換温度より高い。M1、M2、及び、M3の全てが、CaO、MgO、及び、CaSOのうちの何れか1つであってもよいし、M1、M2、及び、M3が、それぞれ、CaO、MgO、及び、CaSOであってもよい。
各反応器(R11、R12、及び、R13、並びに、R21、R22、及び、R23)には、それぞれ、蛇行する流路を備えた熱交換器Eが内蔵されている。各反応器内の熱交換器Eは、その反応器内に収容された蓄熱材の粉末の集合体の中に埋まっている。従って、各反応器内の熱交換器Eの内部を流れる流体と、その反応器内に収容された蓄熱材の粉末との間において、それぞれ、熱交換が可能となっている。
R13内の熱交換器Eの第1側が配管H5と接続され、R13内の熱交換器Eの第2側が、配管H4を介して、R12内の熱交換器Eの第1側と接続され、R12内の熱交換器Eの第2側が、配管H3を介して、R11内の熱交換器Eの第1側と接続され、R11内の熱交換器Eの第2側が配管H2と接続されている。ここで、配管H5、R13内の熱交換器E、配管H4、R12内の熱交換器E、配管H3、R11内の熱交換器E、及び、配管H2を、これらの順で接続して構成される、連続する流路が、前記「複数の流体流路」のうちの1つである「第1流体通路」(反応部R1に対応して設けられた「流体通路」)に対応している。この「第1流体通路」の「第1側」及び「第2側」がそれぞれ、配管H5及び配管H2に対応している。
同様に、R23内の熱交換器Eの第1側が配管H10と接続され、R23内の熱交換器Eの第2側が、配管H11を介して、R22内の熱交換器Eの第1側と接続され、R22内の熱交換器Eの第2側が、配管H12を介して、R21内の熱交換器Eの第1側と接続され、R21内の熱交換器Eの第2側が配管H13と接続されている。ここで、配管H10、R23内の熱交換器E、配管H11、R22内の熱交換器E、配管H12、R21内の熱交換器E、及び、配管H13を、これらの順で接続して構成される、連続する流路が、前記「複数の流体流路」のうちの1つである「第2流体通路」(反応部R2に対応して設けられた流体通路)に対応している。この「第2流体通路」の「第1側」及び「第2側」がそれぞれ、配管H10及び配管H13に対応している。
以上より、本実施形態では、反応部R1に対応して設けられた「第1流体通路」において、「第1流体流路」を流れる流体がM2と熱交換を行う位置(R12の内部)が、その流体がM1と熱交換を行う位置(R11の内部)より前記第1側にあり、その流体がM3と熱交換を行う位置(R13の内部)が、その流体がM2と熱交換を行う位置(R12の内部)より前記第1側にある、と言える。
同様に、本実施形態では、反応部R2に対応して設けられた「第2流体通路」において、「第2流体流路」を流れる流体がM2と熱交換を行う位置(R22の内部)が、その流体がM1と熱交換を行う位置(R21の内部)より前記第1側にあり、その流体がM3と熱交換を行う位置(R23の内部)が、その流体がM2と熱交換を行う位置(R22の内部)より前記第1側にある、と言える。
従って、蓄熱材M1、M2、及び、M3が、それぞれ、CaO、MgO、及び、CaSOである場合、本実施形態は、各「流体通路」を流れる流体が、対応する「流体流路」における「より第1側の位置」で、「転換温度がより高い蓄熱材」とそれぞれ熱交換を行うように構成されている、ともいえる。
蒸発器DA、及び、凝縮器DBには、それぞれ、水(又は、水蒸気)が収容されている。また、蒸発器DA、及び、凝縮器DBの内部には、それぞれ、上述した熱交換器Eが内蔵されている。蒸発器DA、及び、凝縮器DBの内部の熱交換器Eは、それぞれ、蒸発器DA、及び、凝縮器DB内に収容された水の中に埋まっている。従って、「DA内の熱交換器Eの内部を流れる流体と、DA内に収容された水との間」、並びに、「DB内の熱交換器Eの内部を流れる流体と、DB内に収容された水との間」において、それぞれ、熱交換が可能となっている。DA内の熱交換器Eは、配管H7、H8によって、後述する加熱装置Lと接続されている。DB内の熱交換器Eは、配管H22、H23によって、後述する冷却装置Kと配管によって接続されている。
本実施形態は、更に、四方弁V1、V2、V3を備える。四方弁V1は、配管H1、H2、H14、及び、H13の間の接続を、個別に連通・遮断可能に構成されている。四方弁V2は、配管H9、H10、H17、及び、H6の間の接続を、個別に連通・遮断可能に構成されている。四方弁V3は、配管H15、H5、H16、及び、H6の間の接続を、個別に連通・遮断可能に構成されている。四方弁V2及びV3は、配管H6によって接続されている。また、配管H6は、配管H7と接続されている。
配管H1にはポンプP1が介装され、配管H9にはポンプP2が介装され、配管H15にはポンプP3が介装され、配管H7にはポンプP4が介装されている。後述するように、配管H1、H9、及び、H15は、本実施形態(ケミカルヒートポンプ)に「入ガス」を導入するために使用され、配管H14は、本実施形態(ケミカルヒートポンプ)から「出ガス」を排出するために使用される。
図1に示す「制御部」は、四方弁V1〜V4、ポンプP1〜P4、及び、加熱装置L、及び、冷却装置Kを制御するようになっている。「制御部」は、マイクロコンピュータを含む電子制御装置である。
<各反応部の作動>
次に、本実施形態全体の作動を説明する前に、各「反応部」の作動について説明する。反応部R1単独の作動、及び、反応部R2単独の作動については全く同じなので、以下、反応部R1単独の作動についてのみ説明する。
反応部R1は、蓄熱状態(入ガスが有する熱の一部を蓄熱材に蓄熱させる状態)、保管状態(蓄熱材に蓄熱された熱を蓄熱材に保管するとき)、及び、放熱状態(蓄熱材に蓄熱されていた熱を利用して入ガスより温度が高い出ガスを取り出すとき)の何れかの状態に設定される。以下、蓄熱状態、保管状態、及び、放熱状態の順に説明していく。
[蓄熱状態]
蓄熱状態では、図2に示すように、四方弁V1が、配管H1と配管H2が接続されるように設定され、四方弁V3が、配管H5と配管H6が接続されるように設定され、四方弁V4が、配管H18と配管H21が接続されるように設定される。加えて、ポンプP1、P4が作動する。
ポンプP1、P4の作動により、「入ガス」(例えば、工場から排出される高温の排ガス)が、配管H1を介して、「第1流体通路」の第2側(配管H2)から「第1流体通路」に導入されて、「第1流体通路」の第1側(配管H5)に向けて流され、その後、配管H6、配管H7、蒸発器DA内の熱交換器E、配管H8を経由して、外部に排出される。
従って、「第1流体通路」内では、「第1流体通路」の第2側から導入された入ガスは、R11内の熱交換器E、R12内の熱交換器E、R13内の熱交換器Eをこの順に通過し、その後、「第1流体通路」の第1側へと移動していく。
「第1流体流路」を流れる入ガスが各反応器内の熱交換器Eをそれぞれ通過する際、対応する反応器内にある蓄熱材の水和物が入ガスから熱を受ける。この結果、上記「第2の性質」により、各反応器内にて、上記水和物の「吸熱反応」が発生する。この結果、各反応器内にて、水和物が脱水されて蓄熱材そのもの(=脱水物)になるとともに、蓄熱材の温度が上がる(即ち、蓄熱材が蓄熱する)。なお、この「吸熱反応」は、各反応器内の熱交換器Eを通過する入ガスの温度が対応する反応器内の蓄熱材の転換温度以上の場合に限って発生し得る。各反応器内にて、この「吸熱反応」は、上記水和物がなくなるまで継続され得る。
各反応器内にて、上記脱水により発生した水蒸気(気体)は、配管H18、H21を介して、それぞれ、凝縮器DBへと移動する。DBに移動した水蒸気は相転移(凝縮)によって水(液体)になり、この水がDBにて蓄えられる。一方、入ガスは、各反応器内の熱交換器Eを通過する毎に、上記「吸熱反応」によって熱を奪われる。従って、入ガスの温度は、各反応器について、熱交換器Eを通過する前より通過した後の方が低くなる。
以上、蓄熱状態では、入ガスを第2側(配管H2)から「第1流体通路」に流入することによって、「入ガスが、R11、R12、R13内の熱交換器Eのそれぞれを通過する際に、入ガスの温度が対応する蓄熱材の転換温度より高い状態」が実現されている場合、蓄熱材M1、M2、M3の全ての蓄熱材に蓄熱させることができる。この結果、反応部R1全体として蓄熱材に蓄熱される熱の量を大きくすることができる。
ここで、蓄熱状態を安定して実現・維持するためには、雰囲気圧力によって変化する蓄熱材M1、M2、及び、M3のそれぞれの転換温度を制御する(例えば、一定に維持する)必要がある。即ち、蓄熱状態では、凝縮器DB内の水は、水蒸気から水への相転移(凝縮)に起因する凝縮熱を受ける。従って、DB内の水の温度を調整しないと、DB内の水の温度が上昇していく。DB内の水の温度が上昇していくと、水の蒸気圧が上昇することに起因して、反応器R11、R12、及び、R13内の蓄熱材M1、M2、及びM3を取り巻く雰囲気圧力も上昇する。この雰囲気圧力が上昇すると、M1、M2、及び、M3の転換温度がそれぞれ上昇する。
この点、本実施形態では、蓄熱状態にて、蓄熱材M1、M2、及びM3のそれぞれの転換温度を制御する(例えば、一定に維持する)ため、凝縮器DBには、配管H22、熱交換器E、及び、配管H23からなる「凝縮器流体通路」が設けられている。「凝縮器流体通路」には、DB内の水の温度を調整する(例えば、一定に維持する)ため、流体(例えば、水)が流される。
具体的には、図2に示すように、「凝縮器流体通路」は、冷却装置Kと接続される。冷却装置Kでは、「凝縮器流体通路」の第1側(配管H22)から流出した温度の高い流体がモータ駆動のファンを用いて冷却され、冷却された流体がポンプ(図示せず)を利用して「凝縮器流体通路」の第2側(配管H23)に導入される。これにより、DB内の水が、「凝縮器流体通路」を流れる流体と熱交換することによって、冷却される。この結果、DB内の水の温度が調整され得る(例えば、一定に維持され得る)。なお、DBには、DB内に過剰に貯留された水を排出するための排出弁が設けられている。
[保管状態]
このようにして反応部R1の蓄熱材M1、M2、及び、M3に蓄熱された熱を保管する際には、四方弁V4が、配管H18と、配管H21及びH20と、の接続が遮断されるように設定される。また、ポンプP1、P4が停止する。これにより、凝縮器DB内にある水から発生する水蒸気が反応部R1に移動し得なくなる。従って、M1、M2、及び、M3のそれぞれと水蒸気との上記「発熱反応」が発生し得なくなる。即ち、R11、R12、及び、R13内の蓄熱材M1、M2、及び、M3が「脱水物」の状態に維持される。この結果、四方弁V4が上記の状態に維持される任意の期間に亘って、反応部R1の蓄熱材M1、M2、及び、M3(=脱水物)に蓄熱された熱がそれら自体に保管され得る。
[放熱状態]
放熱状態では、図3に示すように、四方弁V1が、配管H2と配管H14が接続されるように設定され、四方弁V3が、配管H15と配管H5が接続されるように設定され、四方弁V4が、配管H20と配管H18が接続されるように設定される。加えて、ポンプP3が作動する。
ポンプP3の作動により、「入ガス」(例えば、工場から排出される高温の排ガス)が、配管H15を介して、「第1流体通路」の第1側(配管H5)から「第1流体流路」に導入されて、「第1流体流路」の第2側(配管H2)に向けて流され、その後、配管H14を経由して、「出ガス」として外部に排出される。
従って、「第1流体通路」内では、「第1流体通路」の第1側から導入された入ガスは、R13内の熱交換器E、R12内の熱交換器E、R11内の熱交換器Eをこの順に通過し、その後、「第1流体通路」の第2側へと移動していく。
四方弁V4の上述した設定により、蒸発器DAと各反応器(R11、R12、R13)とが接続されているので、DA内にある水の相転移(蒸発)によって発生した水蒸気が各反応器内にそれぞれ移動する。この結果、上記「第1の性質」により、各反応器内にて、蓄熱材と「水蒸気」との上記「発熱反応」が発生し、各反応器内にて、蓄熱材がそれぞれ放熱するとともに、それらの水和物にそれぞれ変化する。
「第1流体流路」を流れる入ガスが、各反応器内の熱交換器Eをそれぞれ通過する際、入ガスが、対応する反応器内の蓄熱材の上記「発熱反応」に伴う「放熱」に起因する熱をそれぞれ受ける。この結果、入ガスの温度は、各反応器について、熱交換器Eを通過する前より通過した後の方が高くなる。換言すれば、出ガスの温度を入ガスの温度より高くすることができる。なお、この「発熱反応」は、各反応器内の熱交換器Eを通過する入ガスの温度が対応する反応器内の蓄熱材の転換温度未満の場合に限って発生し得る。換言すれば、各反応器内の熱交換器Eを通過する入ガスの温度を対応する反応器内の蓄熱材の転換温度以上に上げることができない。各反応器内にて、この「発熱反応」は、蓄熱材がなくなるまで、又は、DA内にて水がなくなるまで、継続され得る。
以上、放熱状態では、入ガスを第1側(配管H5)から「第1流体通路」に流入することによって、「入ガスが、R13、R12、R11内の熱交換器Eのそれぞれを通過する際に、入ガスの温度が対応する蓄熱材の転換温度より低い状態」が実現されている場合、蓄熱材M1、M2、M3の全ての蓄熱材に放熱させることができる。この結果、反応部R1全体として、配管14から取り出される「出ガス」に含まれる熱の量を大きくすることができる。
ここで、放熱状態を安定して実現・維持するためには、雰囲気圧力によって変化する蓄熱材M1、M2、及び、M3のそれぞれの転換温度を制御する(例えば、一定に維持する)必要がある。即ち、放熱状態では、蒸発器DA内の水は、水から水蒸気への相転移(蒸発)に起因する蒸発熱を奪われる。従って、DA内の水の温度を調整しないと、DA内の水の温度が低下していく。DA内の水の温度が低下していくと、水の蒸気圧が低下することに起因して、反応器R11、R12、及び、R13内の蓄熱材M1、M2、及び、M3を取り巻く雰囲気圧力も低下する。この雰囲気圧力が低下すると、M1、M2、及び、M3の転換温度がそれぞれ低下する。
この点、本実施形態では、放熱状態にて、蓄熱材M1、M2、及びM3のそれぞれの転換温度を制御する(例えば、一定に維持する)ため、蒸発器DAには、配管H7、熱交換器E、及び、配管H8からなる「蒸発器流体通路」が設けられている。「蒸発器流体通路」には、DA内の水の温度を調整する(例えば、一定に維持する)ため、流体(例えば、水)が流される。
具体的には、図3に示すように、「蒸発器流体通路」の配管H7は、加熱装置Lと接続される。加熱装置Lでは、配管H6を経由して温度の高い流体が「蒸発器流体通路」の第1側(配管H7)に導入される。これにより、DA内の水が、「蒸発器流体通路」を流れる流体と熱交換することによって、暖められる。この結果、DA内の水の温度が調整され得る(例えば、一定に維持され得る)。なお、DAには、DA内にて不足している水を補充するための導入弁が設けられている。以上、反応部R1単独の作動(及び、反応部R2単独の作動)について説明した。
<本実施形態全体の作動>
次に、本実施形態全体の作動について説明する。上述のように、上記放熱状態(即ち、上記発熱反応)は、反応部内にて蓄熱材そのもの(=脱水物)がなくなるまで継続され得る。換言すれば、上記放熱状態では、反応部内にて蓄熱材そのものがなくなる時期までは、入ガスより温度が高い出ガスを取り出すことができる一方で、その後は、入ガスより温度が高い出ガスを取り出すことができない。加えて、単一の反応部内に含まれ得る蓄熱材の量には限度がある。
従って、単一の反応部が利用される構成では、上記放熱状態において、図4に示すように、出ガスの温度を「目標温度」(=入ガスの温度より高い温度であり、放熱状態にある反応部の蓄熱材の転換温度と等しい)で(略)一定に維持できる期間にも限度がある。換言すれば、単一の反応部が利用される構成では、出ガスの温度を任意の長期間に亘って「目標温度」で(略)一定に維持したい、という要求があった場合に、その要求を達成することができない。
そこで、本実施形態では、上述のように、2つの反応部(反応部R1、及び、反応部R2)が同時に利用される。即ち、単一の反応部にて出ガスの温度を「目標温度」で一定に維持できる最大の期間を「継続期間TA」(一定)としたとき(図4を参照)、本実施形態では、「反応部R1が蓄熱状態に設定され、且つ。反応部R2が放熱状態に設定された第1状態」と、「反応部R1が放熱状態に設定され、且つ、反応部R2が蓄熱状態に設定された第2状態」と、を「継続期間TA」が経過する毎に交互に実現される。
具体的には、図5に示すように、上記「第1状態」では、四方弁V1が、配管H1と配管H2が接続されるように、且つ、配管H13と配管H14が接続されるように設定される。四方弁V2が、配管H9と配管H10が接続されるように設定される。四方弁V3が、配管H5と配管H6が接続されるように設定される。四方弁V4が、配管H18と配管H21が接続されるように、且つ、配管H19と配管H20が接続されるように設定される。加えて、ポンプP1、P2、及びP4が作動する。入ガスが、配管H1、及び、配管H9から導入され、出ガスが、配管H14から取り出される。
即ち、図5に示すように、蓄熱状態にある反応部R1では、配管H1を介して導入された「入ガス」が、「第1流体通路」の第2側(配管H2)から「第1流体通路」に導入されて、「第1流体通路」の第1側(配管H5)に向けて流され、その後、配管H6、配管H7、蒸発器DA内の熱交換器E、配管H8を経由して、外部に排出される。同時に、放熱状態にある反応部R2では、配管H9を介して導入された「入ガス」が、「第2流体通路」の第1側(配管H10)から「第2流体流路」に導入されて、「第2流体流路」の第2側(配管H13)に向けて流され、その後、配管H14を経由して、「出ガス」として外部に排出される。
なお、上記「第1状態」では、反応部R2内の蓄熱材M1、M2、及び、M3の転換温度を、反応部R1内の蓄熱材M1、M2、及び、M3の転換温度より高くするため、反応部R2と接続されている蒸発器DA内の水蒸気の温度が、反応部R1と接続されている凝縮部DB内の水蒸気の温度より高くなるように、加熱装置L、及び、冷却装置Kが制御されている。この結果、「反応部R1内の各反応器の熱交換器Eを通過する入ガスの温度が対応する反応器内の蓄熱材の転換温度以上となり、且つ、反応部R2内の各反応器の熱交換器Eを通過する入ガスの温度が対応する反応器内の蓄熱材の転換温度未満となる状態」が実現されている。
一方、図6に示すように、上記「第2状態」では、四方弁V1が、配管H2と配管H14が接続されるように、且つ、配管H1と配管H13が接続されるように設定される。四方弁V2が、配管H6と配管H10が接続されるように設定される。四方弁V3が、配管H15と配管H5が接続されるように設定される。四方弁V4が、配管H18と配管H20が接続されるように、且つ、配管H19と配管H21が接続されるように設定される。加えて、ポンプP1、P3、及びP4が作動する。入ガスが、配管H1、及び、配管H15から導入され、出ガスが、配管H14から取り出される。
即ち、図6に示すように、蓄熱状態にある反応部R2では、配管H1を介して導入された「入ガス」が、「第2流体通路」の第2側(配管H13)から「第2流体通路」に導入されて、「第2流体通路」の第1側(配管H10)に向けて流され、その後、配管H6、配管H7、蒸発器DA内の熱交換器E、配管H8を経由して、外部に排出される。同時に、放熱状態にある反応部R1では、配管H15を介して導入された「入ガス」が、「第1流体通路」の第1側(配管H5)から「第1流体流路」に導入されて、「第1流体流路」の第2側(配管H2)に向けて流され、その後、配管H14を経由して、「出ガス」として外部に排出される。
なお、上記「第2状態」でも、上記「第1状態」と同様、反応部R1内の蓄熱材M1、M2、及び、M3の転換温度を、反応部R2内の蓄熱材M1、M2、及び、M3の転換温度より高くするため、反応部R1と接続されている蒸発器DA内の水蒸気の温度が、反応部R2と接続されている凝縮部DB内の水蒸気の温度より高くなるように、加熱装置L、及び、冷却装置Kが制御されている。この結果、「反応部R2内の各反応器の熱交換器Eを通過する入ガスの温度が対応する反応器内の蓄熱材の転換温度以上となり、且つ、反応部R1内の各反応器の熱交換器Eを通過する入ガスの温度が対応する反応器内の蓄熱材の転換温度未満となる状態」が実現されている。
以上のように、上記「第1状態」及び上記「第2状態」の何れにおいても、「出ガス」を配管H14から取り出すことができる。従って、上記「第1状態」と上記「第2状態」とを「継続期間TA」が経過する毎に交互に実現することによって、図7に示すように、配管H14から取り出される出ガスの温度を、任意の長期間に亘って「目標温度」で(略)一定に維持することができる。
<蓄熱材の劣化に対する対処>
ところで、一般に、反応部内に含まれる蓄熱材は、上記発熱反応及び吸熱反応に供される延べ時間が長くなるにつれて次第に劣化していく。ここで、「蓄熱材の劣化」とは、蓄熱材の単位質量当たりに蓄熱できる熱の量が低下する現象を指す。
蓄熱材の劣化が進行した場合、各反応部について、図8に示すように、出ガスの温度を「目標温度」で一定に維持できる期間が短くなる現象が発生し得る。本実施形態のように、「第1状態」と「第2状態」とを「継続期間TA」が経過する毎に交互に実現する場合において、蓄熱材の劣化が進行した場合、各反応部について、図8に示すように、出ガスの温度を「目標温度」で一定に維持できる期間が「継続期間TA」より短くなると、図9に示すように、「第1状態」と「第2状態」との切替時期の直前毎に、出ガスの温度が「目標温度」より著しく低下する現象が発生し得る。換言すれば、出ガスの温度を安定して「目標温度」で(略)一定に維持することができない。
ここで、各反応部について、上記蓄熱状態における「流体通路」内のガスの流れ方向(以下、「蓄熱時流れ方向」と呼ぶ)と、上記放熱状態における「流体通路」内のガスの流れ方向(以下、「放熱時流れ方向」と呼ぶ)と、に着目する。
本発明者の検討により、「蓄熱時流れ方向」と「放熱時流れ方向」とが同一か反対かで、蓄熱材の劣化が進行した場合において出ガスの温度を「目標温度」で一定に維持できる期間が短くなる程度に差異があることが判明した。
本実施形態では、上述した図5及び図6から理解できるように、各反応部について、蓄熱状態では、対応する「流体通路」の第2側から第1側に向けて入ガスが流され、放熱状態では、対応する「流体通路」の第1側から第2側に向けて入ガスが流されている。即ち、各反応部について、「蓄熱時流れ方向」と「放熱時流れ方向」とが反対となっている。
本発明者の検討によれば、本実施形態のように、「蓄熱時流れ方向」と「放熱時流れ方向」とが反対の場合、「蓄熱時流れ方向」と「放熱時流れ方向」とが同一の場合(以下、「比較例」と呼ぶ)と比べて、蓄熱材の劣化が進行した場合において「出ガスの温度を目標温度で一定に維持できる期間が短くなる程度が小さいこと」が判明した。以下、この点について、図10及び図11を参照しながら説明する。反応部R1及び反応部R2のそれぞれについて全く同じ説明が適用され得るので、図10及び図11では、反応部R1のみについて記載されている。なお、図10及び図11では、反応部R1、R2共に、蓄熱材M1、M2、及びM3として、同じ材料が使用される場合が想定される。
先ず、比較例について図10を参照しながら説明する。比較例では、「第1状態」と「第2状態」とが「継続期間TA」が経過する毎に交互に実現される際、反応部R1について、図10に示すように、蓄熱状態及び放熱状態の何れにおいても、「第1流体通路」の第1側(配管H5)から第2側(配管H2)に向けて入ガスが流される。なお、反応部R2についても、反応部R1と同様、蓄熱状態及び放熱状態の何れにおいても、「第2流体通路」の第1側(配管H10)から第2側(配管H13)に向けて入ガスが流される。
[比較例において、蓄熱材が新品(劣化:0%)の場合]
蓄熱材が新品の場合、図10における左の真ん中の棒グラフに示すように、この比較例では、「第1状態」と「第2状態」とが「継続期間TA」が経過する毎に交互に実現される際、反応部R1の蓄熱状態の終了時点毎に、反応器R13、R12、R11のそれぞれの蓄熱率が100%、70%、40%となる。反応部R1全体としては、蓄熱率が70%となる。ここで、「蓄熱率」とは、「蓄熱材に蓄熱し得る熱量の最大値」に対する「蓄熱材に現在蓄熱されている熱量」の割合を指す。このように、「継続期間TA」は、反応部の蓄熱率が100%未満の或る値(例えば、60〜80%)になるように設定される。
換言すれば、反応部R1内において、入ガスの流れ方向の上流側から下流側にかけて、蓄熱率が次第に減少していく。これは、入ガスの流れ方向の上流側から下流側にかけて、「入ガスの温度」が次第に減少していくことによって、「入ガスの温度」と「蓄熱材の転換温度」(反応部R1内にて一定)との温度差が次第に減少していくことに基づく、と考えられる。前記温度差が大きいほど、入ガスの熱が蓄熱材に伝達し易いので、蓄熱材の上記「吸熱反応」(即ち、蓄熱材の蓄熱)が発生し易い。
蓄熱材が新品の場合、図10における右の真ん中の棒グラフに示すように、この比較例では、「第1状態」と「第2状態」とが「継続期間TA」が経過する毎に交互に実現される際、反応部R1の放熱状態の開始時点毎に、反応器R13、R12、R11のそれぞれの放熱率が100%、70%、40%となる。これは、上述のように、反応部R1の蓄熱状態の終了時点毎に、反応器R13、R12、R11のそれぞれの蓄熱率が100%、70%、40%となることに基づく。ここで、「放熱率」とは、「蓄熱材が放熱し得る熱量の最大値」に対する「蓄熱材が現在放熱し得る熱量」の割合を指す。
この結果、図10における右端の真ん中のグラフの特性線TSに示すように、反応部R1の放熱状態の開始時点では、入ガスの流れ方向の上流側から下流側にかけて、入ガスの温度が、先ず、配管H5内の温度から急激に上昇して「目標温度」(=蓄熱材の転換温度)まですぐに到達し、その後、「目標温度」で一定に推移している。従って、配管H2内の入ガスの温度(=出ガスの温度)は、「目標温度」になっている。これは、入ガスの流れ方向の下流側では放熱率が比較的小さい一方で、入ガスの流れ方向の上流側では放熱率が極端に大きいことに基づく、と考えられる。
反応部R1の放熱状態の開始から時間が経過するにつれて、反応器R13、R12、R11のそれぞれの放熱率が低下していく。このため、反応部R1の放熱状態の終了時点では、反応器R13、R12、R11のそれぞれの放熱率がかなり低下している。このため、図10における右端の真ん中のグラフの特性線TLに示すように、反応部R1の放熱状態の終了時点では、入ガスの流れ方向の上流側から下流側にかけて、入ガスの温度が、配管H5内の温度から、比較的緩やかに「目標温度」(=蓄熱材の転換温度)に向けて上昇し、下流側付近で「目標温度」に達している。従って、配管H2内の入ガスの温度(=出ガスの温度)は、なおも「目標温度」に維持されている。
即ち、この比較例では、蓄熱材が新品の場合、反応部R1について、上述した図4に示すように、放熱状態の開始から終了までの「継続期間TA」に亘って、出ガスの温度が「目標温度」に維持され得る。このことは、反応部R2についても当てはまる。従って、上述した図7に示すように、配管H14から取り出される出ガスの温度を、任意の長期間に亘って「目標温度」で(略)一定に維持することができる。
[比較例において、蓄熱材が劣化(劣化:20%)した場合]
蓄熱材が劣化(劣化:20%)した場合、図10における左下の棒グラフに示すように、この比較例では、反応部R1の蓄熱状態の終了時点毎に、反応器R13、R12、R11のそれぞれの蓄熱率が80%、56%、32%となる。反応部R1全体としては、蓄熱率が70%となる。
このため、図10における右下の棒グラフに示すように、この比較例では、反応部R1の放熱状態の開始時点毎に、反応器R13、R12、R11のそれぞれの放熱率が80%、56%、32%となる。
この結果、図10における右端の下のグラフの特性線TSに示すように、反応部R1の放熱状態の開始時点では、入ガスの流れ方向の上流側から下流側にかけて、入ガスの温度が、先ず、配管H5内の温度から比較的急激に上昇して「目標温度」(=蓄熱材の転換温度)まで到達し、その後、「目標温度」で一定に推移している。従って、配管H2内の入ガスの温度(=出ガスの温度)は、「目標温度」になっている。入ガス温度の上昇勾配が「蓄熱材が新品の場合」と比べて小さいのは、反応器R13内の蓄熱材の放熱率が「蓄熱材が新品の場合」と比べて小さくなっていることに基づく。
反応部R1の放熱状態の開始から時間が経過するにつれて、反応器R13、R12、R11のそれぞれの放熱率が低下していく。このため、反応部R1の放熱状態の終了時点では、反応器R13、R12、R11のそれぞれの放熱率が大きく低下している。このため、図10における右端の下のグラフの特性線TLに示すように、反応部R1の放熱状態の終了時点では、入ガスの流れ方向の上流側から下流側にかけて、入ガスの温度が、配管H5内の温度から、非常に緩やかに「目標温度」(=蓄熱材の転換温度)に向けて上昇し、下流側付近でもなお「目標温度」に達していない。従って、配管H2内の入ガスの温度(=出ガスの温度)は、「目標温度」よりかなり低い温度になっている。
即ち、この比較例では、蓄熱材が劣化(劣化:20%)した場合、反応部R1について、上述した図8に示すように、放熱状態において、出ガスの温度を「目標温度」で一定に維持できる期間が「継続期間TA」より短くなる。このことは、反応部R2についても当てはまる。従って、上述した図9に示すように、「第1状態」と「第2状態」との切替時期の直前毎に、配管H14から取り出される出ガスの温度が「目標温度」より著しく低下する現象が発生し得る。
次に、本実施形態について図11を参照しながら説明する。本実施形態では、「第1状態」と「第2状態」とが「継続期間TA」が経過する毎に交互に実現される際、反応部R1について、図11に示すように、放熱状態では、「第1流体通路」の第1側(配管H5)から第2側(配管H2)に向けて入ガスが流される一方で、蓄熱状態では、「第1流体通路」の第2側(配管H2)から第1側(配管H5)に向けて入ガスが流される。なお、反応部R2についても、反応部R1と同様、放熱状態では、「第2流体通路」の第1側(配管H10)から第2側(配管H13)に向けて入ガスが流される一方で、蓄熱状態では、「第2流体通路」の第2側(配管H13)から第1側(配管H10)に向けて入ガスが流される。
[本実施形態において、蓄熱材が新品(劣化:0%)の場合]
蓄熱材が新品の場合、図11における左の真ん中の棒グラフに示すように、本実施形態では、「第1状態」と「第2状態」とが「継続期間TA」が経過する毎に交互に実現される際、反応部R1の蓄熱状態の終了時点毎に、反応器R11、R12、R13のそれぞれの蓄熱率が100%、70%、40%となるように構成した。反応部R1全体としては、蓄熱率が70%となるように構成した。即ち、上述した比較例と同様、反応部R1内において、入ガスの流れ方向の上流側から下流側にかけて、蓄熱率が次第に減少していく。
蓄熱材が新品の場合、図11における右の真ん中の棒グラフに示すように、本実施形態では、「第1状態」と「第2状態」とが「継続期間TA」が経過する毎に交互に実現される際、反応部R1の放熱状態の開始時点毎に、反応器R11、R12、R13のそれぞれの放熱率が100%、70%、40%となる。
この結果、図11における右端の真ん中のグラフの特性線TSに示すように、反応部R1の放熱状態の開始時点では、入ガスの流れ方向の上流側から下流側にかけて、入ガスの温度が、配管H5内の温度から比較的急激に上昇して「目標温度」(=蓄熱材の転換温度)まで到達し、その後、「目標温度」で一定に推移している。従って、配管H2内の入ガスの温度(=出ガスの温度)は、「目標温度」になっている。これは、入ガスの流れ方向の上流側では放熱率が比較的小さい一方で、入ガスの流れ方向の下流側では放熱率が極端に大きいことに基づく、と考えられる。
反応部R1の放熱状態の開始から時間が経過するにつれて、反応器R11、R12、R13のそれぞれの放熱率が低下していく。このため、反応部R1の放熱状態の終了時点では、反応器R11、R12、R13のそれぞれの放熱率がかなり低下している。このため、図11における右端の真ん中のグラフの特性線TLに示すように、反応部R1の放熱状態の終了時点では、入ガスの流れ方向の上流側から下流側にかけて、入ガスの温度が、配管H5内の温度から、比較的緩やかに「目標温度」(=蓄熱材の転換温度)に向けて上昇し、下流側付近で「目標温度」に達している。従って、配管H2内の入ガスの温度(=出ガスの温度)は、なおも「目標温度」に維持されている。
即ち、本実施形態では、蓄熱材が新品の場合、反応部R1について、上述した図4に示すように、放熱状態の開始から終了までの「継続期間TA」に亘って、出ガスの温度が「目標温度」に維持され得る。このことは、反応部R2についても当てはまる。従って、上述した図7に示すように、配管H14から取り出される出ガスの温度を、任意の長期間に亘って「目標温度」で(略)一定に維持することができる。
[本実施形態において、蓄熱材が劣化(劣化:20%)した場合]
蓄熱材が劣化(劣化:20%)した場合、図11における左下の棒グラフに示すように、本実施形態では、反応部R1の蓄熱状態の終了時点毎に、反応器R11、R12、R13のそれぞれの蓄熱率が80%、56%、32%となるように構成した。反応部R1全体としては、蓄熱率が70%となるように構成した。
このため、図11における右下の棒グラフに示すように、本実施形態では、反応部R1の放熱状態の開始時点毎に、反応器R11、R12、R13のそれぞれの放熱率が80%、56%、32%となる。
この結果、図11における右端の下のグラフの特性線TSに示すように、反応部R1の放熱状態の開始時点では、入ガスの流れ方向の上流側から下流側にかけて、入ガスの温度が、配管H5内の温度から比較的急激に上昇して「目標温度」(=蓄熱材の転換温度)まで到達し、その後、「目標温度」で一定に推移している。従って、配管H2内の入ガスの温度(=出ガスの温度)は、「目標温度」になっている。入ガス温度の上昇勾配が「蓄熱材が新品の場合」と比べて小さいのは、反応器R13内の蓄熱材の放熱率が「蓄熱材が新品の場合」と比べて小さくなっていることに基づく。
反応部R1の放熱状態の開始から時間が経過するにつれて、反応器R11、R12、R13のそれぞれの放熱率が低下していく。このため、反応部R1の放熱状態の終了時点では、反応器R11、R12、R13のそれぞれの放熱率が大きく低下している。しかしながら、図11における右端の下のグラフの特性線TLに示すように、反応部R1の放熱状態の終了時点でも、反応部R1の放熱状態の開始時点と同様(特性線TSを参照)、入ガスの流れ方向の上流側から下流側にかけて、入ガスの温度が、配管H5内の温度から上昇して「目標温度」(=蓄熱材の転換温度)まで到達し、その後、「目標温度」で一定に推移している。従って、配管H2内の入ガスの温度(=出ガスの温度)は、「目標温度」になっている。これは、入ガスの流れ方向の上流側では放熱率が極端に小さい一方で、入ガスの流れ方向の下流側では放熱率がなおも十分に大きいことに基づく、と考えられる。
即ち、本実施形態では、蓄熱材が劣化(劣化:20%)した場合であっても、反応部R1について、上述した図4に示すように、放熱状態の開始から終了までの「継続期間TA」に亘って、出ガスの温度が「目標温度」に維持され得る。このことは、反応部R2についても当てはまる。従って、上述した図7に示すように、配管H14から取り出される出ガスの温度を、任意の長期間に亘って「目標温度」で(略)一定に維持することができる。
以上、本実施形態(「蓄熱時流れ方向」と「放熱時流れ方向」とが反対の場合)では、上記比較例(「蓄熱時流れ方向」と「放熱時流れ方向」とが同一の場合)と比べて、「第1状態」と「第2状態」との切替時期の直前毎に出ガスの温度が「目標温度」より著しく低下する現象(図9を参照)、が発生し難い。換言すれば、出ガスの温度を任意の長期間に亘ってより安定して「目標温度」で(略)一定に維持することができる。
本発明は上記本実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記本実施形態では、各反応部(反応部R1、R2)が、3つの別個独立した反応器で構成されているが、各反応部が、1つの連続した反応器で構成されてもよい。
また、上記本実施形態では、「第1状態」と「第2状態」との切替時期を決定する「継続期間TA」が、実験等を通して事前に決定された時間(=一定時間)となっているが、反応部内の状態(例えば、蓄熱材の劣化度合い)に応じて「継続期間TA」が変化してもよい。
また、上記本実施形態では、前記「複数の反応部」として2つの反応部R1、R2が設けられているが、前記「複数の反応部」として3つ以上の反応部が設けられていても良い。この場合、「制御部」は、「第1期間」が経過する毎に、「複数の反応部」の中から選択される「放熱用反応部」を順次変更していく。「制御部」は、「放熱用反応部」に対応する「流体通路」に対して、「放熱用反応部」に含まれる蓄熱材の転換温度より温度が低い流体を、「流体通路」の第1側から第2側に向けて「第1期間」に亘って流すことによって、「放熱用反応部」を、「第1期間」に亘って「放熱状態」に設定する。加えて、「制御部」は、各反応部について、「放熱用反応部」として今回選択されている期間が終了した後、且つ、「放熱用反応部」として次回選択される期間が開始するまでの間において、反応部に含まれる蓄熱材の転換温度より温度が高い流体を、「流体通路」の第2側から第1側に向けて「第2期間」に亘って流すことによって、反応部を、「第2期間」に亘って「蓄熱状態」に設定する。
この場合、「第1期間」の長さと「第2期間」の長さとは、同じであっても異なっていてもよい。また、「第1期間」の長さと「第2期間」の長さは、一定でもよいし、反応部の状態に応じて変化してもよい。また、「複数の反応部」の中から「放熱用反応部」として選択される反応部の順番は、予め定められていてもよいし、反応部の状態に応じて変化してもよい。「複数の反応部」のうち「放熱用反応部」として選択されている反応部は、「放熱状態」に設定される一方で、「複数の反応部」のうち「放熱用反応部」として選択されていない反応部は、「蓄熱状態」又は「保管状態」に設定される。
また、上記本実施形態では、各「流体通路」が連続する1本の通路で構成されているが、各「流体通路」が並列に接続された連続する複数の通路で構成されてもよい。
また、上記本実施形態では、転換温度が異なる3種類の蓄熱材M1、M2、及び、M3として、それぞれ、CaO、MgO、及び、CaSOが使用されているが、M3について、CaSOに代えてCaClが使用されてもよい。
即ち、CaClは、CaSOと同様、上記第1の性質(=「水蒸気との発熱反応によって水和物になるとともに放熱する」という性質)、並びに、上記第2の性質(=「外部から熱を受けて、水和物の吸熱反応によって水和物から水蒸気を放出して脱水されるとともに蓄熱する」という性質)を有する。
CaClは、下記(4)式に示す反応に関係する。(4)式において、「Q」は熱エネルギーを示し、「n」は任意の自然数である。(4)式において、CaCl・nHOは、CaClの水和物である。
CaCl・nHO+Q→CaCl+nHO (吸熱反応)
CaCl・nHO+Q←CaCl+nHO (発熱反応) …(4)
上記のように、蓄熱材M1、M2、及びM3として、CaO、MgO、及び、CaClが使用される場合においても、(任意の雰囲気圧力において)「CaO(=M1)の転換温度がMgO(=M2)の転換温度より高く、MgO(=M2)の転換温度がCaCl(=M3)の転換温度より高い」という関係が成立する。
また、上記本実施形態では、転換温度が異なる複数種類の蓄熱材として、上記第1の性質、及び、上記第2の性質を有する蓄熱材が使用されているが、「炭酸ガスとの発熱反応によって炭酸物になるとともに放熱する」という性質」(第3の性質)、並びに、「外部から熱を受けて、炭酸物の吸熱反応によって炭酸物から炭酸ガスを放出して脱炭酸されるとともに蓄熱する」という性質)(第4の性質)を有する蓄熱材が使用されてもよい。
上記第3の性質、及び、上記第4の性質を有する、転換温度が異なる2種類の蓄熱材M1、及びM2の具体例として、それぞれ、CaO、及び、MgOが挙げられる。なお、この場合における「転換温度」とは、「蓄熱材そのもの(=脱炭酸物)」と「その炭酸物」との間での状態の変化に関する温度の臨界点に相当する温度」と定義される。
CaO、及び、MgOは、それぞれ、下記(5)式、及び、(6)式に示す反応に関係する。各式において、「Q」は熱エネルギーを示す。(5)式において、CaCOは、CaOの炭酸物であり、(6)式において、MgCOは、MgO炭酸物である。
CaCO+Q→CaO+CO (吸熱反応)
CaCO+Q←CaO+CO (発熱反応) …(5)
MgCO+Q→MgO+CO (吸熱反応)
MgCO+Q←MgO+CO (発熱反応) …(6)
蓄熱材M1、及びM2として、CaO、及び、MgOが使用される場合、(任意の雰囲気圧力において)「CaO(=M1)の転換温度がMgO(=M2)の転換温度より高い」という関係が成立する。
以上、蓄熱材M1、及びM2として、CaO、及び、MgOが使用され(M3は省略)、且つ、凝縮部にて「水蒸気」に代えて「炭酸ガス」が収容される構成が採用されてもよい。
M1、M2、M3…蓄熱材、R1、R2…反応部、D…蒸発・凝縮部、H18、H19、H20、H21…接続部、H5、R13内のE、H4、R12内のE、H3、R11内のE、H2…第1流体通路、H10、R23内のE、H11、R22内のE、H12、R21内のE、H13…第2流体通路

Claims (6)

  1. それぞれが、発熱反応及び吸熱反応を行う蓄熱材を含む、複数の反応部と、
    前記蓄熱材の前記反応に関係する物質を含み、前記物質について気相と液相との間で相転移が行われる蒸発・凝縮部と、
    前記各反応部と前記蒸発・凝縮部とを接続する接続部と、
    それぞれが、前記各反応部に対応して設けられるとともに、その内部を流れる流体と対応する前記反応部に含まれる前記蓄熱材との間で熱交換が行われる、複数の流体通路と、
    前記各流体通路内の流体の流れを制御する制御部と、
    を備えたケミカルヒートポンプであって、
    前記制御部は、
    第1期間が経過する毎に、前記複数の反応部の中から選択される放熱用反応部を順次変更していき、
    前記放熱用反応部に対応する前記流体通路に対して、前記放熱用反応部に含まれる前記蓄熱材の転換温度より温度が低い流体を、前記流体通路の第1側から第2側に向けて前記第1期間に亘って流すことによって、前記放熱用反応部を、前記第1期間に亘って、前記発熱反応によって前記蓄熱材が前記流体に対して放熱する放熱状態に設定し、
    前記各反応部について、前記放熱用反応部として今回選択されている期間が終了した後、且つ、前記放熱用反応部として次回選択される期間が開始するまでの間において、前記反応部に含まれる前記蓄熱材の転換温度より温度が高い流体を、前記流体通路の前記第2側から前記第1側に向けて第2期間に亘って流すことによって、前記反応部を、前記第2期間に亘って、前記吸熱反応によって前記蓄熱材が蓄熱する蓄熱状態に設定するように構成され
    前記第1期間及び前記第2期間を前記蓄熱材の劣化度合いに応じて変化させる、
    ケミカルヒートポンプ。
  2. 請求項1に記載のケミカルヒートポンプにおいて、
    前記複数の反応部として、第1の前記反応部と、第2の前記反応部が備えられ、
    前記第1期間の長さと前記第2期間の長さが同じであり、
    前記制御部は、
    前記第1の反応部が前記蓄熱状態に設定され且つ前記第2の反応部が前記放熱状態に設定された第1状態と、前記第1の反応部が前記放熱状態に設定され且つ前記第2の反応部が前記蓄熱状態に設定された第2状態と、を、前記第1期間が経過する毎に交互に実現するように構成された、ケミカルヒートポンプ。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のケミカルヒートポンプにおいて、
    前記蓄熱材は、水蒸気との前記発熱反応によって水和物になるとともに放熱し、外部から熱を受けて前記水和物の前記吸熱反応によって前記水和物から水蒸気を放出して脱水されるとともに蓄熱する物質であり、
    前記蓄熱材の前記反応に関係する物質は、水蒸気である、ケミカルヒートポンプ。
  4. 請求項3に記載のケミカルヒートポンプにおいて、
    前記蓄熱材として、CaO、MgO、CaSO4、及び、CaCl2のうちの何れか1つ、又は何れか2つ以上が使用された、ケミカルヒートポンプ。
  5. 請求項1又は請求項2に記載のケミカルヒートポンプにおいて、
    前記蓄熱材は、炭酸ガスとの前記発熱反応によって炭酸物になるとともに放熱し、外部から熱を受けて前記炭酸物の前記吸熱反応によって前記炭酸物から炭酸ガスを放出して脱炭酸されるとともに蓄熱する物質であり、
    前記蓄熱材の前記反応に関係する物質は、炭酸ガスである、ケミカルヒートポンプ。
  6. 請求項5に記載のケミカルヒートポンプにおいて、
    前記蓄熱材として、CaO、及び、MgOのうちの何れか1つ、又は両方が使用された、ケミカルヒートポンプ。
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