JP6566172B1 - 金属材料の腐食量予測方法、金属材料の選定方法および金属材料の腐食量予測装置 - Google Patents

金属材料の腐食量予測方法、金属材料の選定方法および金属材料の腐食量予測装置 Download PDF

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Abstract

金属材料の腐食量予測方法は、腐食量データを用いて金属材料の腐食量を予測するものであり、腐食量を予測したい金属材料の使用期間と、使用期間内の金属材料の使用環境を示す複数の環境パラメータと、を含む予測要求点を入力する予測要求点入力ステップと、腐食量データにおける複数の環境パラメータと、予測要求点における複数の環境パラメータとの類似度を算出する類似度算出ステップと、類似度を考慮して、腐食量データにおける複数の環境パラメータを、潜在変数に次元圧縮する次元圧縮ステップと、潜在変数および類似度を用いて構築した予測式に基づいて、予測要求点における金属材料の腐食量を予測する腐食量予測ステップと、を含む。

Description

本発明は、金属材料の腐食量予測方法、金属材料の選定方法および金属材料の腐食量予測装置に関する。
非特許文献1に示すように、従来から大気腐食環境における金属材料の腐食量は、経験式として以下の式(1)で表されることが知られている。
ここで、上記式(1)において、Yは金属材料の腐食量、Xは金属材料の使用期間、Aは金属材料の初期一年間の腐食量を示すパラメータ、Bは腐食により形成されるさび層の効果による腐食速度の減衰を示すパラメータ、である。これらのパラメータA、Bの値は、金属材料の種類や大気腐食環境により変化する。そのため、現在は、長期腐食量を予測する際に、対象となる大気腐食環境において金属材料を複数期間暴露し、腐食量の経時変化を上記式(1)で外挿する手法が多く用いられている。
ところで、金属材料の腐食量は、金属が持つ耐食性能と大気腐食環境因子、例えば温度、相対湿度、濡れ時間、降雨量、飛来塩分量およびSO濃度等が複雑に作用することにより決まる。そこで、以下に示すように、上記の環境因子を用いて定式化することにより、金属材料の腐食量を予測する技術が提案されている。
例えば非特許文献2では、炭素鋼、亜鉛、銅およびアルミニウムについて、腐食量の対数を、温度、相対湿度および飛来塩の対数で重回帰した項と、温度、相対湿度およびSO量の対数で重回帰した項との和により算出している。
また、特許文献1では、年間濡れ時間、年平均風速、飛来塩分量、硫黄酸化物量、腐食反応の活性化エネルギーおよび温度をパラメータとして、腐食指標Zを下記式(2)のように表し、この腐食指標Zの二次関数を長期腐食量の算出に用いている。
ここで、上記式(2)において、TOWは年間濡れ時間(h)、Wは年平均風速(m/s)、Cは飛来塩分量(mdd)、Sは硫黄酸化物量(mdd)、Eαは腐食反応の活性化エネルギー(J/mol)、Rは気体定数(J/(K/mol))、Tは年平均気温(K)、α,κ,δ,εは定数、である。また、前記した「mdd」は、単位日数および単位面積あたりに捕集されたNaClの量であり、「mg NaCl・dm−2・day−1」の略である。
また、特許文献2では、飛来塩分量Cを予測する技術が提案されている。また、特許文献3では、経験式として知られる上記式(1)のパラメータAを、温度、相対湿度、飛来塩分量および濡れ確率をパラメータとして下記式(3)により算出し、パラメータBを実験室的試験によりパラメータAの関数として算出する腐食予測技術が提案されている。
ここで、上記式(3)において、Tは温度(℃)、Hは相対湿度(%)、Saは飛来塩分量(mg/dm/day(=mdd))、Pw(T,H)は濡れ確率、α,β,γは鋼種に応じて設定される係数、である。
また、特許文献4では、屋外の大気腐食環境において、経験式として知られる上記式(1)のパラメータAを、温度、濡れ時間および飛来塩分量をパラメータとして下記式(4)により算出し、パラメータBを0.3〜0.6の範囲に設定する腐食予測技術が提案されている。
ここで、上記式(4)において、Tは温度(℃)、TOWは濡れ時間(h)、Saは飛来塩分量(mg/dm/day(=mdd))、α,β,γは係数、である。
また、特許文献5では、大気環境における鋼材の板厚減少量を予測する際に、経験式として知られる上記式(1)のパラメータAを下記式(5)により、パラメータBを下記式(6)により算出する技術が提案されている。
ここで、上記式(5)および上記式(6)において、CR0は、環境因子をパラメータとする鋼材製造直後の初期腐食速度を表す関数であり、CR1は、環境因子をパラメータとする鋼材製造から1年後の腐食速度を表す関数である。また、ここでの環境因子とは、年平均温度(℃)、年平均湿度(%)、年平均風速(m/sec)、飛来塩分量(mg/dm/day(=mdd))、硫黄酸化物量(mg/dm/day(=mdd))、のことを示している。
また、特許文献6では、金属材料の腐食速度を予測する際に、腐食速度を目的変数としその腐食速度に影響を与える環境因子と地形因子を説明変数とする重回帰分析を行うにあたり、少なくとも説明変数の一つとして相対湿度0%〜100%に応じて重み付けした仮想濡れ時間を含め、この仮想濡れ時間を、変化する相対湿度に応じて異なる重み係数を変化する相対湿度に対応した時間に乗算して得られた乗算値を総和して求め、測定した金属材料の腐食速度に基づき重回帰分析法により腐食速度推定式を作成する手法が提案されている。
また、特許文献7では、金属材料の劣化予測に重回帰分析を使用するにあたり、重回帰式を最適化する劣化予測マッピング装置が提案されている。
特許第3909057号公報 特許第4143018号公報 特許第4706254号公報 特許第5895522号公報 特許第5066160号公報 特許第5066955号公報 特許第5684552号公報
「耐候性鋼材の橋梁への適用に関する共同研究報告書(XVIII)」、建設省土木研究所、(社)鋼材倶楽部、(社)日本橋梁建設協会、平成5年3月 ISO 9223:1992 "Corrosion of metals and alloys - Corrosivity of atmospheres - Classification、 determination and estimation"
ここで、特許文献1〜5では、腐食量および腐食速度と各環境パラメータとの関係を評価することにより、説明変数として採用する環境パラメータを選定して定式化している。しかしながら、腐食量、腐食速度および各環境パラメータは、複雑に相関関係を持っている。例えば、腐食量と温度との関係は非線形であり、飛来塩分量とSO濃度とは疑似相関を持っている。このような関係性の中で、特許文献1〜5のように定式化した場合、高い精度の予測は望めない。
また、特許文献6は、濡れ時間に着目して重み付けをすることを特徴としている。このように重み付けをすることにより精度は上がるものの、多数ある環境パラメータの中で濡れ時間にのみ重みを付けても有効な精度向上は望めない。また、特許文献6の手法では、現在データを保有している期間でのみ腐食予測が可能であり、長期腐食予測をすることはできない。
また、特許文献7は、多数ある環境パラメータから複数の環境パラメータを選定し、重回帰を繰り返し行って最良の式とすることにより予測精度向上を図っているが、腐食量および腐食速度の関係は、重回帰で得られる各環境パラメータとの1次式で簡単に表現することができない。従って、特許文献7の手法では大きな精度向上は望めない。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、大気腐食環境における長期腐食予測を精度高く行うことができる金属材料の腐食量予測方法、金属材料の選定方法および金属材料の腐食量予測装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る金属材料の腐食量予測方法は、金属材料の使用期間と、前記使用期間内の前記金属材料の使用環境を示す複数の環境パラメータと、前記使用期間における前記金属材料の腐食量と、を含む腐食量データを用いて金属材料の腐食量を予測する金属材料の腐食量予測方法であって、腐食量を予測したい前記金属材料の使用期間と、前記使用期間内の前記金属材料の使用環境を示す複数の環境パラメータと、を含む予測要求点を入力する予測要求点入力ステップと、前記腐食量データにおける複数の環境パラメータと、前記予測要求点における複数の環境パラメータとの類似度を算出する類似度算出ステップと、前記類似度を考慮して、前記腐食量データにおける複数の環境パラメータを、潜在変数に次元圧縮する次元圧縮ステップと、前記潜在変数および前記類似度を用いて構築した予測式に基づいて、前記予測要求点における前記金属材料の腐食量を予測する腐食量予測ステップと、を含むことを特徴とする。
また、本発明に係る金属材料の腐食量予測方法は、上記発明において、前記腐食量予測ステップは、前記金属材料の所定期間の腐食量を示す第一のパラメータを予測する初期腐食量予測ステップと、前記金属材料の腐食速度の減衰を示す第二のパラメータを予測する減衰予測ステップと、前記金属材料の使用期間と、前記第一のパラメータと、前記第二のパラメータと、に基づいて前記金属材料の前記所定期間よりも長い期間の腐食量を予測する長期腐食量予測ステップと、を含むことを特徴とする。
また、本発明に係る金属材料の腐食量予測方法は、上記発明において、前記初期腐食量予測ステップは、前記潜在変数および前記類似度を用いて構築した予測式に基づいて、前記予測要求点の環境パラメータ下における、前記金属材料の所定期間の腐食量を予測することを特徴とする。
また、本発明に係る金属材料の腐食量予測方法は、上記発明において、前記減衰予測ステップは、腐食量を予測したい前記金属材料の使用期間と、前記腐食量データにおける複数の環境パラメータと、前記類似度とに基づいて、前記第二のパラメータを予測することを特徴とする。
また、本発明に係る金属材料の腐食量予測方法は、上記発明において、前記複数の環境パラメータは、温度と、相対湿度、絶対湿度、濡れ時間および降雨量のうちの少なくとも一つと、飛来塩分量、SO濃度およびNO濃度のうちの少なくとも一つと、を含むことを特徴とする。
また、本発明に係る金属材料の腐食量予測方法は、上記発明において、前記金属材料は、鉄鋼材料であることを特徴とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る金属材料の選定方法は、前記した金属材料の腐食量予測方法を用いて、使用環境に応じた金属材料を選定することを特徴とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る金属材料の腐食量予測装置は、金属材料の使用期間と、前記使用期間内の前記金属材料の使用環境を示す複数の環境パラメータと、前記使用期間における前記金属材料の腐食量と、を含む腐食量データが保存されるデータベースと、腐食量を予測したい前記金属材料の使用期間と、前記使用期間内の前記金属材料の使用環境を示す複数の環境パラメータと、を含む予測要求点が入力される入力部と、前記腐食量データにおける複数の環境パラメータと、前記予測要求点における複数の環境パラメータとの類似度を算出する類似度算出部と、前記類似度を考慮して、前記腐食量データにおける複数の環境パラメータを、潜在変数に次元圧縮する次元圧縮部と、前記潜在変数および前記類似度を用いて構築した予測式に基づいて、前記予測要求点における前記金属材料の腐食量を予測する腐食量予測部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、大気腐食環境において、金属材料の長期腐食予測を精度高く行うことができ、使用環境に応じた最適な金属材料を選定することが可能となる。また、本発明によれば、地域を選ぶことなく、どのような地域であっても金属材料の腐食量を精度高く予測することができる。
図1は、大気腐食環境において、温度(年平均)と腐食量(年間)との関係を示すグラフである。 図2は、大気腐食環境において、SO濃度(年平均)と飛来塩分量(年平均)との擬似相関関係を示すグラフである。 図3は、本発明の実施形態に係る金属材料の腐食量予測装置の構成を示すブロック図である。 図4は、本発明の実施形態に係る金属材料の腐食量予測方法の流れを示すフローチャートである。 図5は、従来技術に係る金属材料の腐食量予測方法によって得た、金属材料の一年後の腐食量予測値と腐食量実測値との間の誤差を示すグラフである。 図6は、本発明の実施形態に係る金属材料の腐食量予測方法によって得た、金属材料の一年後の腐食量予測値と腐食量実測値との間の誤差を示すグラフである。 図7は、本発明の実施形態に係る金属材料の腐食量予測方法によって得た、金属材料の九年後の腐食量予測値と腐食量実測値との間の誤差を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態に係る金属材料の腐食量予測方法、金属材料の選定方法および金属材料の腐食量予測装置について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、各大気腐食環境における金属材料の初期一年間の腐食量を示すパラメータA(第一のパラメータ)と、さび層による腐食速度の減衰を示すパラメータB(第二のパラメータ)とをそれぞれ分けて予測し、かつ予測に際し、各環境パラメータに重み付けをしたデータから予測することにより、予測精度が向上することを見出し、本発明を完成させた。
金属材料の腐食速度は、一般的に経時的に減衰していく。これは、金属材料表面に生成する腐食生成物(例えばさび層)による保護効果によるものである。また、この保護効果は、周囲の環境や金属材料の種類により大きく異なる。このように、金属材料の腐食速度は、様々な環境や金属材料が持つ耐食性等の、非常に多くの要素が絡み合う。そのため、任意の環境および期間における金属材料の腐食量を、各環境パラメータと腐食量との関係の原理原則から精度良く予測することは非常に困難であり、例えばデータベースに蓄積された腐食量および各環境パラメータのデータ群から統計的に予測することが現実的であり、精度向上にも繋がる。
一方、一般的に、蓄積された腐食量と各環境パラメータのデータ群の中に、長期間のデータは多くない。例えば腐食量を予測する任意の期間が数十年という長期間となる場合、期間を変数として予測に取り込んで直接腐食量を予測すると、任意の長期間の腐食量を、期間の離れたデータから予測することになるため、精度が低下してしまう。そこで、本発明では、金属材料の初期一年間の腐食量を示すパラメータAと、さび層による腐食速度の減衰を示すパラメータBとをそれぞれ分けて予測することにより、精度の向上を図った。
ここで、任意の期間における金属材料の腐食量に関わる主な環境パラメータとしては、例えば温度、相対湿度、絶対湿度、濡れ時間、降雨量、飛来塩分量、SO濃度およびNO濃度等が挙げられる。これらの環境パラメータの中には、例えば図1に示した温度と腐食量との関係のように、非線形の関係を持つものが存在する。また、例えば図2に示した飛来塩分量とSO濃度との関係のように、環境パラメータ同士が多重共線性を示すものも存在する。金属材料の腐食に影響を及ぼす環境パラメータが複数存在することに加えて、この二点が、任意の環境および期間における金属材料の腐食量を精度良く予測することを困難にしている要因となっている。
腐食量に対して環境パラメータが非線形の関係を持つものに関しては、予測をしたい任意の環境および期間との類似性により各サンプルに重み付けを行い、かつ局所的に重回帰分析を行うことで予測精度を改善することができる。なお、前記した「サンプル」とは、データベースに保存された腐食量および各環境パラメータのデータ群(後記する腐食量データ)のことを意味している。
また、環境パラメータ同士が多重共線性を持つことに関しては、各環境パラメータに対して独立性を有するパラメータに次元圧縮し、新たなパラメータを作り出すことにより解決することができる。そして、これらを同時に実現する手法の一つとして、以下の参考文献1に示す「局所重み付き部分最小二乗法(L−PLS:Locally weighted partial least squares)」がある。
参考文献1:金尚弘、岡島亮太、加納学、長谷部伸治、「高精度な局所PLSモデル構築のためのサンプル選択」、第54回自動制御連合会講演会、54(2011)、p.1594
本発明では、各大気腐食環境における金属材料の初期一年間の腐食量を示すパラメータAと、さび層による腐食速度の減衰を示すパラメータBとを、予測要求点との類似性(類似度)をサンプルごとに求め、その類似度を利用して重み付けを行い、局所回帰することにより予測する手法を用いる。また、各環境パラメータを次元圧縮することにより新たなパラメータを作り出し(潜在変数の導出)、局所回帰の説明変数とする。またその際、類似度を利用した重み付けを用いた潜在変数と目的変数の内積が最大となるように潜在変数を決定し、局所的な重回帰を行う。以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
(腐食量予測装置)
本発明の実施形態に係る金属材料の腐食量予測装置の構成について、図3を参照しながら説明する。腐食量予測装置1は、入力部10と、データベース20と、演算部30と、表示部40と、を備えている。
入力部10は、例えばキーボード、マウスポインタ、テンキー等の入力装置によって実現される。後記するように、演算部30には、この入力部10を介して、後記する予測要求点が入力される。
データベース20には、金属材料の腐食量の実績値である腐食量データが保存されている。腐食量データには、金属材料(例えば鉄鋼材料)の使用期間と、当該使用期間における金属材料の腐食量と、当該金属材料の使用環境における年平均の複数の環境パラメータと、が含まれる。また、「複数の環境パラメータ」には、温度(気温)と、相対湿度、絶対湿度、濡れ時間および降雨量のうちの少なくとも一つと、飛来塩分量、SO濃度およびNO濃度のうちの少なくとも一つと、が含まれる。また、これらの環境パラメータは、例えば年平均のデータである。また、データベース20には、鋼種ごとの腐食量データが保存されている。
演算部30は、例えばCPU等によって実現され、類似度算出部31と、次元圧縮部32と、腐食量予測部33と、を備えている。なお、類似度算出部31、次元圧縮部32および腐食量予測部33の詳細については後記する。
表示部40は、例えばLCDディスプレイ、CRTディスプレイ等の表示装置によって実現され、演算部30から入力される表示信号をもとに、金属材料の腐食量の予測結果を表示する。
(腐食量予測方法)
本発明の実施形態に係る金属材料の腐食量予測方法について、図4を参照しながら説明する。腐食量予測方法では、予測要求点入力ステップと、第一の類似度算出ステップと、第一の次元圧縮ステップと、初期腐食量予測ステップ(第一のパラメータ予測ステップ)と、第二の類似度算出ステップと、第二の次元圧縮ステップと、減衰予測ステップ(第二のパラメータ予測ステップ)と、長期腐食量予測ステップと、を行う。
予測要求点入力ステップでは、入力部10を介して、演算部30に予測要求点が入力される(ステップS1)。この予測要求点は、腐食量を予測したい金属材料の使用期間と、この使用期間内の金属材料の使用環境を示す、年平均の複数の環境パラメータと、を含んでいる。
続いて、第一の類似度算出ステップでは、類似度算出部31によって、データベース20に保存されている、使用期間が一年である金属材料の腐食量データにおける複数の環境パラメータと、予測要求点における複数の環境パラメータとの類似度を算出する(ステップS2)。本ステップにおいて、類似度算出部31は、例えば後記する式(8)によって上記類似度を算出する。なお、本ステップの具体例については後記する実施例で説明する。
続いて、第一の次元圧縮ステップでは、次元圧縮部32によって、第一の類似度算出ステップで算出された類似度を考慮して、腐食量データにおける複数の環境パラメータ(説明変数)を、潜在変数に次元圧縮する(ステップS3)。本ステップにおいて、次元圧縮部32は、例えば後記する式(7)によって上記潜在変数を算出する。なお、本ステップの具体例については後記する実施例で説明する。
続いて、初期腐食量予測ステップでは、腐食量予測部33によって、第一の次元圧縮ステップで算出された潜在変数、および第一の類似度算出ステップで算出された類似度を用いて構築した予測式に基づいて、予測要求点の環境パラメータ下における、金属材料の初期一年間の腐食量を予測する(ステップS4)。この金属材料の初期一年間の腐食量は、上記式(1)のパラメータA(第一のパラメータ)のことを意味している。本ステップにおいて、腐食量予測部33は、例えば後記する式(10)に示す予測式を構築し、この予測式に基づいて金属材料の初期一年間の腐食量を予測する。なお、本ステップの具体例については後記する実施例で説明する。
続いて、第二の類似度算出ステップでは、類似度算出部31によって、腐食量を予測したい金属材料の使用期間を考慮して、金属材料の腐食量データにおける複数の環境パラメータと、予測要求点における複数の環境パラメータとの類似度を算出する(ステップS5)。本ステップにおいて、類似度算出部31は、例えば後記する式(13)によって上記類似度を算出する。なお、本ステップの具体例については後記する実施例で説明する。
続いて、第二の次元圧縮ステップでは、次元圧縮部32によって、第二の類似度算出ステップで算出された類似度および腐食量を予測したい金属材料の使用期間を考慮して、腐食量データにおける複数の環境パラメータ(説明変数)を、潜在変数に次元圧縮する(ステップS6)。本ステップにおいて、次元圧縮部32は、例えば後記する式(12)によって上記潜在変数を算出する。なお、本ステップの具体例については後記する実施例で説明する。
続いて、減衰予測ステップでは、腐食量予測部33によって、第二の次元圧縮ステップで算出された潜在変数、および第二の類似度算出ステップで算出された類似度を用いて構築した予測式に基づいて、金属材料の腐食速度の減衰を示すパラメータを予測する(ステップS7)。この金属材料の腐食速度の減衰を示すパラメータは、上記式(1)のパラメータB(第二のパラメータ)のことを意味している。本ステップにおいて、腐食量予測部33は、例えば後記する式(16)に示す予測式を構築し、この予測式に基づいて金属材料の腐食速度の減衰を示すパラメータを予測する。なお、本ステップの具体例については後記する実施例で説明する。
続いて、長期腐食量予測ステップでは、金属材料の使用期間と、初期腐食量予測ステップで算出されたパラメータAと、減衰予測ステップで算出されたパラメータBと、に基づいて金属材料の一年よりも長い期間の腐食量(長期腐食量)を予測する(ステップS8)。本ステップにおいて、腐食量予測部33は、上記式(1)に基づいて上記長期腐食量を予測する。なお、本ステップの具体例については後記する実施例で説明する。
以上のように、本実施形態に係る腐食量予測装置1を用いた金属材料の腐食量予測方法によれば、大気腐食環境において、金属材料の長期腐食予測を精度高く行うことができ、使用環境に応じた最適な金属材料を選定することが可能となる。
また、従来技術、例えば特許文献1〜5のように説明変数として採用する環境パラメータを選定して定式化してしまうと、ある地域では予測精度が高いが、ある地域では予測精度が低い、というように腐食量を予測しようとする地域によって予測精度に差が生じてしまう。一方、本実施形態に係る金属材料の腐食予測方法によれば、データベース20内に、腐食量を予測しようとする地域のものと類似する腐食量データがあれば予測可能であるため、どのような地域であっても金属材料の腐食量を精度高く予測することができる。
(実施例1)
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。本実施例では、雨掛環境における炭素鋼の年間腐食量(初期一年間の腐食量)を予測した。ここで、本実施例の内容は、前記した腐食量予測方法のうち、予測要求点入力ステップ、第一の類似度算出ステップ、第一の次元圧縮ステップおよび初期腐食量予測ステップに相当する。
本実施例では、データベースに保存されている、世界各地の70地域における炭素鋼の年間腐食量と年平均の各環境パラメータのデータ群(腐食量データ)を用いて、年間腐食量の予測を行った。予測精度の検証は、交差検証(Cross-validation)を用い、相対平均二乗誤差(rRMSE:relative root means square of error)の比較によって行った。また、比較例として、非特許文献1のISO9223に示された「Dose-response function」を用いて年間腐食量の予測を行った。
「Dose-response function」は、温度(℃)、相対湿度(%)、飛来塩分量(mmd(Cl換算))、SO濃度(mmd(SO換算))、の四つの環境パラメータから腐食量を算出する式である。ここで、前記した「mmd」は、単位日数および単位面積あたりに捕集されたClまたはSOの量であり、「mg・m−2・day−1」の略である。本発明例による予測においても同様の四つの環境パラメータを用いた。ここで、前記したように、説明変数同士が相関を持つ場合、多重共線性によって予測精度が悪化することが知られている。前記したL−PLSでは、説明変数として使用する各環境パラメータが相関を持っているため、次元圧縮によって相関を排除し、新たなパラメータ(潜在変数)を作成する。ここで、L−PLSは、前記した参考文献1に示された手順に従って計算している。四つの環境パラメータを潜在変数(パラメータt)に圧縮するための式は、下記式(7)のように示すことができる。
ここで、上記式(7)において、Tは温度(℃)、RHは相対湿度(%)、Clは飛来塩分量(mg/m/day(=mmd)(Cl換算))、SO2はSO濃度(mg/m/day(=mmd)(SO換算))、w〜wは係数、である。なお、上記式(7)では、一例として四つの環境パラメータのみを用いているが、実際には、腐食量の予測をしようとする地域において腐食に関係することが予想される環境パラメータについては全て含めることが好ましい。
本発明例では、まず腐食量を予測したい炭素鋼の使用期間と、この使用期間内の炭素鋼の使用環境を示す年平均の複数の環境パラメータと、を含む予測要求点を、腐食量予測装置の演算部に入力した(図4の「予測点入力ステップ」)。
続いて、腐食量を求めたい予測要求点の環境パラメータと、腐食量の予測のために参照する腐食量データの環境パラメータiの類似度ωを、下記式(8)に示すようなユークリッド距離を用いて算出した(図4の「第一の類似度算出ステップ」)。なお、各環境パラメータによってデータの広がりが異なるため、数値は正規化を実施した。
ここで、ωは局所化パラメータ、右下の添え字がqの環境パラメータは腐食量を予測したい予測要求点の環境パラメータ、右下の添え字がiの環境パラメータはデータベースから参照した腐食量データの環境パラメータ、σは下記式(9)の標準偏差である。また、φは調整パラメータであり、例えばφ=1を基準として適宜に調整して値は決定される。
続いて、上記式(8)で算出した類似度ωと、腐食量データの環境パラメータおよび腐食量から、参考文献1(2.1章)に示された手順に従って、類似度ωを重みとして係った潜在変数と目的変数(腐食量)の内積が最大となるように、上記式(7)の係数w〜wを決定した。そして、決定した係数w〜wを用いて、上記式(7)によって各環境パラメータの潜在変数を算出した(図4の「第一の次元圧縮ステップ」)。
続いて、下記式(10)に示す腐食量の予測式を局所回帰によって構築し、下記式(10)に基づいて、予測要求点の環境パラメータ下における炭素鋼の年間腐食量(初期一年間の腐食量)を予測した(図4の「初期腐食量予測ステップ」)。
ここで、Yは腐食量の予測値、αは係数(回帰係数)である。なお、上記式(10)では記載を省略したが、上記式(10)に定数項を含ませたり、あるいは複数の潜在変数を用いることも可能である。
このように、本発明例では、腐食量を予測したい予測要求点が入力されるたびに、予測要求点と各腐食量データとの類似度の算出、潜在変数の係数の算出、予測式の構築を行う。
比較例(Dose-response function)による腐食量の予測結果を図5に、本発明例による腐食量の予測結果を図6に示す。同図に示すように、比較例ではrRMSEが0.40であるのに対して、本発明例ではrRMSEが0.18となった。従って、本発明の手法を用いることにより、従来の手法と比較して腐食量の予測誤差を半分以下に改善することができた。
(実施例2)
本実施例では、軒下環境における炭素鋼の長期(9年)腐食量を予測した。ここで、本実施例の内容は、前記した腐食量予測方法の全ステップに相当する。
本実施例では、軒下環境を対象として、データベースに保存されている、世界55地域の1年間、55地域の3年間、39地域の5年間、38地域の7年間、38地域の9年間の腐食量と年平均の各環境パラメータのデータ群(腐食量データ)を用いて、実施例1と同様の手法で、JIS耐候性鋼について、初期一年間の腐食量を示すパラメータA(上記式(1)参照)を算出した(図4の予測要求点入力ステップ、第一の類似度算出ステップ、第一の次元圧縮ステップおよび初期腐食量予測ステップ)。
続いて、7年間の長期腐食試験結果に重み付けをし、さび層による腐食速度の減衰を示すパラメータBを算出し、上記式(1)によりJIS耐候性鋼の9年後の腐食量を予測した。9年後の腐食量の予測では、まず上記式(1)を下記式(11)に示すように変形し、パラメータBおよび使用期間Xを用いて左辺の初期一年間の腐食量の対数から9年後の腐食量の対数の差を算出した。
上記式(11)の左辺の予測にはL−PLSを用いる。具体的には、四つの環境パラメータと使用期間Xの対数の積を取ることにより、時間因子を考慮した新たな環境パラメータを作成し、これらの新たな環境パラメータを、下記式(12)に示すように潜在変数(パラメータu)に圧縮する。
ここで、上記式(12)において、Tは温度(℃)、RHは相対湿度(%)、Clは飛来塩分量(mg/m/day(=mmd)(Cl換算))、SO2はSO濃度(mg/m/day(=mmd)(SO換算))、v〜vは係数、である。
続いて、腐食量を求めたい予測要求点の環境パラメータと、腐食量の予測のために参照する腐食量データの環境パラメータiの類似度ωを、下記式(13)に示すようなユークリッド距離を用いて算出した(図4の「第二の類似度算出ステップ」)。なお、各環境パラメータによってデータの広がりが異なるため、数値は正規化を実施した。
ここで、ωは局所化パラメータ、右下の添え字がqの環境パラメータは腐食量を予測したい予測要求点の環境パラメータ、右下の添え字がiの環境パラメータはデータベースから参照した腐食量データの環境パラメータ、σは下記式(14)の標準偏差である。また、φは調整パラメータであり、例えばφ=1を基準として適宜に調整して値は決定される。
続いて、上記式(13)で算出した類似度ωと、腐食量データの環境パラメータおよび腐食量から、参考文献1(2.1章)に示された手順に従って、類似度ωを重みとして係った潜在変数と目的変数(腐食量)の内積が最大となるように、上記式(12)の係数v〜vを決定した。そして、決定した係数v〜vを用いて、上記式(7)によって各環境パラメータの潜在変数を算出した(図4の「第二の次元圧縮ステップ」)。
続いて、下記式(15)に示す腐食量の予測式を局所回帰によって構築し、予測したい環境パラメータにおける腐食量の対数の差を算出した。
ここで、上記式(15)において、βは係数(回帰係数)である。なお、上記式(15)では記載を省略したが、上記式(15)に定数項を含ませたり、あるいは複数の潜在変数を用いることも可能である。
このように、本発明例では、腐食量を予測したい予測要求点が入力されるたびに、予測要求点と各腐食量データとの類似度の算出、潜在変数の係数の算出、予測式の構築を行う。
続いて、上記式(12)および上記式(15)に基づいて、上記式(11)のパラメータBを、下記式(16)によって算出した(図4の「減衰予測ステップ」)。
続いて、算出したパラメータAおよびパラメータBを用いて、上記式(1)により9年後の腐食量Yを算出した(図4の長期腐食量予測ステップ)。そして、実施例1と同様に、交差検証(Cross-validation)を用い、相対平均二乗誤差(rRMSE:relative root means square of error)の比較によって予測精度の検証を行った。
本発明例による腐食量の予測結果を図7に示す。同図に示すように、本発明例では、9年という長期腐食量も、実施例1と同程度の誤差(rRMSE:0.19)となり、精度良く予測可能であった。また、精度検証は不可能であるが、本発明例を用いることにより、データベースに保存されていない長期腐食量も予測可能である。参考までに、50年後の腐食量の予測値を、各環境パラメータとともに表1に示す。
(実施例3)
実施例3では、本発明によって鉄鋼材料の長期腐食量を予測した後に、長期腐食量およびコストの観点から、橋梁分野における最適な鉄鋼材料を選定した。
鉄鋼材料を適用する地域1〜3の各環境パラメータ(温度、相対湿度、飛来塩分量およびSO濃度)を表2に示す。同表に示した環境において、表3に示した化学成分を有する「JIS G 3114」で規定された耐候性鋼および鋼種A,Bに対して、本発明を用いて、50年後の腐食量の予測を行った。この「50年」という期間は、橋梁において許容される腐食量の基準が「50年後に0.3mm以下」とする規定に基づいている。
本発明による50年後の腐食量の予測を表4に示す。同表に示すように、腐食量は、JIS耐候性鋼>鋼種A>鋼種Bの順に小さくなるため、単純に耐食性の観点から考えると、鋼種Bを使用することが最も望ましい。一方、同表に示すように、各鉄鋼材料を使用する際のコストは、鋼種B>鋼種A>JIS耐候性鋼の順に小さくなる。
そのため、耐食性とコストの両方を考慮すると、例えば地域1では、腐食の基準(0.3mm以下)を満たし、かつコストの最も安い鋼種Aを使用することが最も好ましいことが分かる。また、地域2では、腐食の基準を唯一満たす鋼種Bを使用することが最も好ましいことが分かる。また、地域3では、どの鉄鋼材料も腐食の基準を満たしていないため、例えば塗装等、その他の防食措置を施す必要があることが分かる。このように、本発明に係る腐食量予測方法を用いることにより、使用環境に応じた最適な金属材料を選定することが可能となる。
以上、本発明に係る金属材料の腐食量予測方法、金属材料の選定方法および金属材料の腐食量予測装置について、発明を実施するための形態および実施例により具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変等したものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。
ここで、前記した実施形態では、金属材料の初期一年間の腐食量(パラメータA)と、金属材料の腐食速度の減衰を示すパラメータ(パラメータB)とをそれぞれ分けて予測し、初期一年間の腐食量を基準として長期腐食量を予測していたが、長期腐食量を予測する際の基準は初期一年間の腐食量には限定されない。
すなわち、初期腐食量予測ステップにおいて、予め定める任意の所定期間(初期期間)における金属材料の腐食量を予測し、長期腐食量予測ステップにおいて、前記した所定期間の腐食量を基準として長期腐食量を予測してもよい。
例えば初期腐食量として1.5年の腐食量がA’として与えられた場合、そこからX年後の腐食量の予測式は、上記式(1)を拡張して、下記式(17)のように記述可能と考えられる。
これを一般化すれば、ある初期期間X年の腐食量をA’、X年を基準とした減衰パラメータをB’として、下記式(18)を得ることができる。この式(18)を用いることにより、X年間を基準とした腐食量として、X>Xの期間の腐食量を算出することができる。
金属材料の任意の初期期間の腐食量A’と、減衰パラメータB’とをそれぞれ分けて予測し、上記式(18)に示すように、初期期間以降の経過年数X’を減衰パラメータB’で累乗することにより、初期期間以降の長期腐食量を予測することができる。但し、上記式(1)の初期腐食量Aは、1年間の腐食量を前提としている。そのため、上記式(18)のXの期間は、1年間から大きくずれた場合は想定しておらず、半年間から2年間程度であることが現実的な実用範囲と考えられる。
1 腐食量予測装置
10 入力部
20 データベース
30 演算部
31 類似度算出部
32 次元圧縮部
33 腐食量予測部
40 表示部

Claims (8)

  1. 金属材料の使用期間と、前記使用期間内の前記金属材料の使用環境を示す複数の環境パラメータと、前記使用期間における前記金属材料の腐食量と、を含む腐食量データを用いて金属材料の腐食量を予測する金属材料の腐食量予測方法であって、
    腐食量を予測したい前記金属材料の使用期間と、前記使用期間内の前記金属材料の使用環境を示す複数の環境パラメータと、を含む予測要求点を入力する予測要求点入力ステップと、
    前記腐食量データにおける複数の環境パラメータと、前記予測要求点における複数の環境パラメータとの類似度を算出する類似度算出ステップと、
    前記類似度を考慮して、前記腐食量データにおける複数の環境パラメータを、潜在変数に次元圧縮する次元圧縮ステップと、
    前記潜在変数および前記類似度を用いて構築した予測式に基づいて、前記予測要求点における前記金属材料の腐食量を予測する腐食量予測ステップと、
    を含むことを特徴とする金属材料の腐食量予測方法。
  2. 前記腐食量予測ステップは、
    前記金属材料の所定期間の腐食量を示す第一のパラメータを予測する初期腐食量予測ステップと、
    前記金属材料の腐食速度の減衰を示す第二のパラメータを予測する減衰予測ステップと、
    前記金属材料の使用期間と、前記第一のパラメータと、前記第二のパラメータと、に基づいて前記金属材料の前記所定期間よりも長い期間の腐食量を予測する長期腐食量予測ステップと、
    を含むことを特徴とする請求項1に記載の金属材料の腐食量予測方法。
  3. 前記初期腐食量予測ステップは、前記潜在変数および前記類似度を用いて構築した予測式に基づいて、前記予測要求点の環境パラメータ下における、前記金属材料の所定期間の腐食量を予測することを特徴とする請求項2に記載の金属材料の腐食量予測方法。
  4. 前記減衰予測ステップは、腐食量を予測したい前記金属材料の使用期間と、前記腐食量データにおける複数の環境パラメータと、前記類似度とに基づいて、前記第二のパラメータを予測することを特徴とする請求項2に記載の金属材料の腐食量予測方法。
  5. 前記複数の環境パラメータは、温度と、相対湿度、絶対湿度、濡れ時間および降雨量のうちの少なくとも一つと、飛来塩分量、SO濃度およびNO濃度のうちの少なくとも一つと、を含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の金属材料の腐食量予測方法。
  6. 前記金属材料は、鉄鋼材料であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の金属材料の腐食量予測方法。
  7. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の金属材料の腐食量予測方法を用いて、使用環境に応じた金属材料を選定することを特徴とする金属材料の選定方法。
  8. 金属材料の使用期間と、前記使用期間内の前記金属材料の使用環境を示す複数の環境パラメータと、前記使用期間における前記金属材料の腐食量と、を含む腐食量データが保存されるデータベースと、
    腐食量を予測したい前記金属材料の使用期間と、前記使用期間内の前記金属材料の使用環境を示す複数の環境パラメータと、を含む予測要求点が入力される入力部と、
    前記腐食量データにおける複数の環境パラメータと、前記予測要求点における複数の環境パラメータとの類似度を算出する類似度算出部と、
    前記類似度を考慮して、前記腐食量データにおける複数の環境パラメータを、潜在変数に次元圧縮する次元圧縮部と、
    前記潜在変数および前記類似度を用いて構築した予測式に基づいて、前記予測要求点における前記金属材料の腐食量を予測する腐食量予測部と、
    を備えることを特徴とする金属材料の腐食量予測装置。
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