JP6565971B2 - 高圧縮比エンジンの点火装置 - Google Patents

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Description

ここに開示する技術は、高圧縮比エンジンの点火装置に関する。
特許文献1には、燃費性能の向上を図る観点等から、エンジンの幾何学的圧縮比を14以上の高圧縮比にしたエンジンが記載されている。このエンジンは、圧縮比が高いことを利用して混合気を圧縮自己着火により燃焼させる。このエンジンは、所定の運転状態においては、点火装置によって燃焼室内の混合気に強制点火をする。そのため、点火装置が燃焼室に臨んで取り付けられている。点火装置は、中心電極と側方電極とを有している。点火装置は、中心電極と側方電極との間のギャップにおいて火花放電する。火花点火燃焼においては、火花点火によって生成した火炎核が成長することにより、混合気が着火及び燃焼を開始する。
特開2016−128666号公報
ところで、特許文献1に記載されているような高圧縮比エンジンは、圧縮上死点付近において燃焼室内の圧力が高くなるため、放電し難いと共に、火炎核も成長し難い。高圧縮比エンジンは、火花点火における着火性には不利である。
また、熱効率を向上させる観点から、混合気を希釈することも行われる。尚、混合気の希釈は、燃焼室内にチャージするガスに対して、燃料を少なくすることであり、燃焼室内にチャージするガスは、実質的に新気のみ、又は、新気とEGRガスである。燃焼室内の新気と燃料との重量比であるA/F、又は、燃焼室内の新気及びEGRガスと燃料との重量比であるG/Fを、例えば35以上に設定して運転をすれば、燃費の向上と共に、排気ガスのエミッション性能も高まる。しかしながら、混合気を希釈すると火炎核が成長し難くなるため、火花点火における着火性に不利になってしまう。
ここに開示する技術はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、火花点火における着火性に不利になる環境においても、着火性を良好に維持することにある。
具体的にここに開示する技術は、幾何学的圧縮比が所定以上に設定された高圧縮比エンジンの燃焼室に臨んで配設された点火装置に係る。
この点火装置は、中心電極と、接地電極とを備え、前記接地電極において、少なくとも前記中心電極の方を向いた面には、前記接地電極への入熱を遮断する遮熱層が設けられている。
中心電極と接地電極との間で火花点火が発生し、中心電極と接地電極とのギャップにおいて火炎核が生成される。このとき、従来の点火装置においては、接地電極、特に接地電極において中心電極の方を向いた面が、生成した火炎核の熱、及び/又は、成長する火炎核の熱を奪ってしまう。
これに対し、前記の構成では、接地電極において、中心電極の方を向いた面には少なくとも、接地電極への入熱を遮断する遮熱層が設けられている。火炎核が生成したときに、及び/又は、火炎核が成長するときに、火炎核が接地電極に触れても、遮熱層によって入熱が遮断される。接地電極が火炎核の熱を奪ってしまうことを回避することができる。点火装置の消炎作用が小さくなるから、火炎核を速やかにかつ、確実に成長させることが可能になる。よって、この点火装置は、高圧縮エンジンにおいて、火花点火の着火性を向上させる。
特に、接地電極における中心電極の方を向いた面は、中心電極と接地電極とのギャップにおいて生成した火炎核、及び、成長する火炎核が接する面であるため、この面に遮熱層を設けることによって、火炎核の熱が、接地電極に入ることを、効果的に遮断することができる。よって、火花点火における着火性を、効果的に高めることができる。
尚、遮熱層は、接地電極における中心電極の方を向いた面に限らず、接地電極の全体に設けられていてもよい。接地電極の全体に遮熱層を設けると、混合気の燃焼時に、その燃焼熱が、接地電極に入熱することを遮断することができる。これにより、冷却損失を下げることができ、エンジンの熱効率の向上に有利になる。
尚、遮熱層は、当初、接地電極の全体に設けられていたが、エンジンの運転が継続することに伴い、その一部が消失することも許容される。点火装置は一般的に、中心電極と、接地電極と、中心電極と接地電極との間に介在する絶縁体と、を有して構成される。接地電極は、その根元が中心電極を囲む環状の端面に固定され、その先端が中心電極に対向する。接地電極の根元は、中心電極から離れるが、接地電極の先端は、中心電極に近い。
本願発明者らの検討によると、エンジンの定常運転中に、接地電極の先端は温度が高く、接地電極の根元は相対的に温度が低い。このため、接地電極の先端側に設けた遮熱層は、消失するかもしれないが、接地電極の根元側に設けた遮熱層は、残りやすい。その一方で、接地電極の先端部分は、温度が高くなるため火炎核の熱が入りにくく、接地電極の根元は、温度が低いため火炎核の熱が入りやすい。接地電極の先端の部分は、火炎核が生成するときに火炎核を触れやすい部分であるが、仮に遮熱層が無くても、火炎核の熱は入りにくい。よって、火炎核の成長が妨げられにくい。
これに対し、接地電極の根元の部分は、相対的に温度が低いため、火炎核の熱が入りやすいが、遮熱層が残るため、火炎核が成長するときに火炎核の熱が入ることを防止することができる。その結果、火炎核の成長を妨げることが防止され、混合気が、確実に、着火及び燃焼に至る。
前記遮熱層は、周囲温度の変化に追従して、前記遮熱層の温度が変化するよう構成されている。
遮熱層に触れるガスから遮熱層への熱の移動量は、ガスと遮熱層との温度差が大きいと多くなり、温度差が小さいと少なくなる。前記の構成では、燃焼室内の混合気が着火及び燃焼するときに、遮熱層の温度も高くなるから、遮熱層に触れるガスから遮熱層への熱の移動量が少なくなる。冷却損失が低くなるからエンジンの熱効率の向上に有利になる。また、遮熱層の温度が高くなるため、接地電極付近にデポジットが堆積してしまうことが回避される。
また、前記の構成では、燃焼室内の既燃ガスが排出されかつ、相対的に低温のガス(つまり、新気、又は、新気及びEGRガス)が燃焼室内にチャージされるときに、遮熱層の温度は低くなる。接地電極がホットスポットとなって、混合気が過早着火してしまうことが回避される。
前記遮熱層は、多数の中空粒子と、前記中空粒子の間を埋めて前記遮熱層の母材を形成するバインダとを含んでいる。
この構成の遮熱層は、遮熱性能を効果的に向上させることができる。また、遮熱層の温度は、周囲温度の変化に追従して変化する。
前記高圧縮比エンジンの幾何学的圧縮比は、14〜30である、としてもよい。
幾何学的圧縮比を14〜30にすると火炎核が成長し難くなるため、火花点火の着火性が不利になるが、前述した点火装置は、火花点火の着火性が向上するから、幾何学的圧縮比を14〜30にした高圧縮比エンジンにおいて、火花点火による燃焼を確実に行うことができる。
前記高圧縮比エンジンは、前記燃焼室のガス重量と燃料重量との比であるG/Fを35以上とした混合気が形成されるリーン運転領域を設定するとともに、当該リーン運転領域において前記燃焼室内の混合気に点火をする、としてもよい。
混合気を希釈することによって、燃費の向上、及び、排気ガスのエミッション性能の向上が図られる。
一方、混合気を希釈すると火炎核が成長し難くなるため、火花点火における着火性に不利になるが、前述した点火装置は、火花点火の着火性が向上するから、G/Fを35以上に設定して運転する高圧縮比エンジンにおいて、火花点火による燃焼を確実に行うことができる。
ここで、燃焼室のガスは、実質的に新気のみ場合(つまり、EGRガスを燃焼室内に導入するEGR制御を行わない場合。但し、多少の残留ガスが存在する場合を含む)、及び、新気とEGRガスとを含む場合(つまり、EGRガスを燃焼室内に導入するEGR制御を行う場合)がある。新気と燃料との重量比A/Fを35以上に設定することも、G/Fを35以上に設定することに含まれる。つまり、前記の構成は、A/Fを35以上に設定すること、及び、G/Fを35以上に設定することの両方を含んでいる。
以上説明したように、前記の高圧縮比エンジンの点火装置によると、火花点火における着火性を、効果的に高めることができる。
図1は、高圧縮比エンジンの構成を例示する図である。 図2は、エンジンの運転領域を例示する図である。 図3は、エンジンの燃焼室の構成を拡大して示す断面図である。 図4は、点火装置の先端部を拡大して示す斜視図である。 図5は、図4とは異なる構成の点火装置の先端部を拡大して示す図4対応図である。 図6は、遮熱層の構成を模式的に例示する断面図である。
以下、高圧縮比エンジンの点火装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の説明は、高圧縮比エンジンの点火装置の一例である。
(エンジンの全体構成)
図1は、高圧縮比エンジン(以下、単にエンジン1という)の構成を例示する図である。エンジン1の幾何学的圧縮比は、14以上30以下に設定されている。エンジン1の幾何学的圧縮比は高い。
このエンジン1の燃料は、本実施形態ではガソリンである。燃料は、バイオエタノール等を含むガソリンであってもよい。エンジン1の燃料は、少なくともガソリンを含む液体燃料であれば、どのような燃料であってもよい。
エンジン1は、シリンダブロック12と、その上に載置されるシリンダヘッド13とを備えている。シリンダブロック12の内部に複数のシリンダ11が形成されている。図1では、1つの気筒のみを示す。エンジン1は、多気筒エンジンである。各シリンダ11内には、ピストン3が摺動可能に内挿されている。ピストン3は、コネクティングロッド14を介してクランクシャフト15に連結されている。ピストン3は、シリンダ11及びシリンダヘッド13と共に燃焼室17を区画する。尚、「燃焼室」は、ピストン3が圧縮上死点に至ったときに形成される空間の意味に限定されない。「燃焼室」の語は広義で用いる場合がある。つまり、燃焼室は、ピストン3の位置に関わらず、ピストン3、シリンダ11及びシリンダヘッド13によって形成される空間を意味する場合がある。ピストン3の上面30には、凹状のキャビティ34が形成されている(図3も参照)。キャビティ34は、ピストン3の中央部に形成されている。
燃焼室17の天井面を構成するシリンダヘッド13の下面130は、吸気側からシリンダ11の中央に向かって登り勾配になっていると共に、排気側からシリンダ11の中央に向かって登り勾配になっている。燃焼室17は、ペントルーフ型の燃焼室である。尚、ペントルーフの谷部の位置は、シリンダ11の中心軸に一致する場合、及び、一致しない場合の両方があり得る。
シリンダヘッド13の下面130には、吸気ポート18の開口部が設けられていると共に、排気ポート19の開口部が設けられている。
図1には一つのみ示すが、シリンダヘッド13には、シリンダ11毎に二つの吸気ポート18が形成されている。吸気ポート18は燃焼室17に連通している。吸気ポート18は、吸気通路181に接続されている。
吸気ポート18と同様に、シリンダヘッド13には、シリンダ11毎に二つの排気ポート19が形成されている。排気ポート19は燃焼室17に連通している。排気ポート19は、排気通路191に接続されている。
図示しないが、エンジン1は、吸気通路181にコンプレッサが介設している過給機付きエンジンであってもよい。過給機は、排気エネルギによって駆動するターボ過給機、及び、エンジン1によって駆動される機械式過給機のいずれであってもよい。また、エンジン1は、過給機を有しない自然吸気エンジンであってもよい。
また、図示は省略するが、エンジン1は、排気通路191と吸気通路181とをつなぐEGR通路を備えている。エンジン1の運転状態に応じて、EGR通路及び吸気通路181を介して、EGRガスが、燃焼室17の中に導入される。
シリンダヘッド13には、吸気弁21が配設されている。吸気弁21は、吸気ポート18を燃焼室17に対して開閉する。吸気弁21は、吸気動弁機構23によって、所定のタイミングで往復動する。吸気動弁機構23は、この例では、吸気カムシャフトの回転位相を所定の角度範囲内で連続的に変更可能な、液圧式又は電動式の位相可変機構(Sequential-Valve Timing:S-VT)を、少なくとも含んで構成されている。
シリンダヘッド13には、排気弁22が配設されている。排気弁22は、排気ポート19を燃焼室17に対して開閉する。排気弁22は排気動弁機構24によって、所定のタイミングで往復動する。排気動弁機構24は、この例では、液圧式又は電動式のS-VTを、少なくとも含んで構成されている。
シリンダヘッド13には、燃焼室17内に燃料を直接噴射するインジェクタ6が取り付けられている。インジェクタ6は、ペントルーフの谷部に配設されている。インジェクタ6の軸心は、シリンダ11の中心軸に一致している。インジェクタ6の軸心は、シリンダ11の中心軸からずれた位置で、中心軸に平行であってもよい。インジェクタ6は、ピストン3のキャビティ34に対向している。インジェクタ6は、複数の噴口を有する多噴口型の燃料噴射弁によって構成されている。インジェクタ6は、燃料噴霧が、燃焼室17の中央から放射状に広がるように燃料を噴射する。尚、インジェクタ6の構成は、前記の構成に限定されない。インジェクタ6は、適宜の構成を採用することが可能である。
シリンダヘッド13には、シリンダ11毎に、点火装置7が取り付けられている。点火装置7は、燃焼室17の中の混合気に強制的に火花点火をする。点火装置7は、この構成例では、シリンダ11の中心軸よりも吸気側に配設されている。点火装置7は、図示は省略するが、二つの吸気ポート18の間に位置している。点火装置7は、上方から下方に向かって、燃焼室17の中央に近づく方向に傾いて、シリンダヘッド13に取り付けられている。点火装置7の電極は、図3にも示すように、燃焼室17の中に臨んでかつ、燃焼室17の天井面の付近に位置している。点火装置7の構成は、後述する。
(エンジンの運転領域)
図2は、エンジン1の運転領域を示している。エンジン1の運転領域は、負荷が相対的に低くかつ、回転数が相対的に低い第1領域と、第1領域よりも負荷が高い、及び/又は、第1領域より回転数が高い第2領域とに分かれている。エンジン1を運転するECU(図示省略)は、各種のセンサの検知信号を受けて要求トルクを演算すると共に、要求トルクと運転領域とに基づき設定した制御パラメータに従って、各デバイスに、制御信号を出力する。
エンジン1は、第1領域において、燃費の向上及び排出ガス性能の向上を図るため、CI燃焼を行う。自己着火による燃焼は、圧縮開始前の燃焼室17の中の温度がばらつくと、自己着火のタイミングが大きく変化する。そこで、エンジン1は、SI燃焼とCI燃焼とを組み合わせたSI−CI燃焼を行う。SI−CI燃焼は、点火装置7が、燃焼室17の中の混合気に強制的に点火をすることによって、混合気が火炎伝播により燃焼すると共に、SI燃焼の発熱により燃焼室17の中の温度が高くなることによって、未燃混合気が自己着火により燃焼する。SI燃焼の発熱量を調整することによって、圧縮開始前の燃焼室17の中の温度のばらつきを吸収することができる。圧縮開始前の燃焼室17の中の温度がばらついていても、例えば点火タイミングの調整によってSI燃焼の開始タイミングを調整すれば、自己着火のタイミングをコントロールすることができる。これにより、燃焼騒音が増大してしまうことを回避することができる。第1領域において、エンジン1は、混合気の空気過剰率λを1.0±0.2にしかつ、EGRガスを燃焼室17の中に導入することで混合気のG/F(つまり、燃焼室17のガス重量と燃料重量との比)を35以上にして運転する。第1領域は、リーン運転領域である。混合気を希釈してCI燃焼を行うことにより、エンジン1の燃費性能を高くすることが可能になる。さらに、混合気の空燃比を略理論空燃比にすることによって、三元触媒により、排気ガスを浄化することが可能になるため、エンジン1の排出ガス性能が良好になる。
第2領域においては、第1領域よりも燃料噴射量が増える。燃料噴射量が増えると、SI−CI燃焼を行っても、燃焼騒音を抑制することが困難になる。また、第2領域においては、燃焼室17の中の温度が高くなるため、CI燃焼を行おうとしても、過早着火やノッキングといった異常燃焼が生じやすい。そのため、エンジン1は、第2領域においては、火花点火によるSI燃焼を行う。
従って、このエンジン1は、運転領域の全域において、点火装置7によって、燃焼室17内の混合気に点火を行う。
(燃焼室の構成)
図3は、エンジン1の燃焼室17を拡大して示している。エンジン1では、燃焼室17を区画する区画面に遮熱層173を設けている。具体的に、図3に示す構成例では、シリンダヘッド13の下面130(つまり、燃焼室17の天井面)、ピストン3の上面30、並びに、図示は省略するが、吸気弁21のバルブヘッドの面及び排気弁22のバルブヘッドの面に、遮熱層173を設けている。遮熱層173は、燃焼室17を区画する区画面の全体に設けてもよいし、区画面の一部に設けてもよい。
遮熱層173は、燃焼室17を構成する金属製の母材よりも熱伝導率が低い。ここでいう母材は、例えばピストン3であればアルミニウム又はアルミニウム合金である。遮熱層173は、燃焼室17内の燃焼ガスの熱が、燃焼室17を区画する面を通じて放出されることを抑制する。遮熱層173によって、エンジン1の冷却損失を低減することが可能になる。
また、遮熱層173は、母材よりも容積比熱が小さいことが好ましい。つまり、遮熱層173の熱容量を小さくして、燃焼室17の区画面の温度が、燃焼室17内のガス温度の変動に追従して変化することが好ましい。こうすることで、混合気が燃焼するときには、燃焼ガスの温度と区画面の温度との差が小さくなるから、熱が、区画面を通じて母材に伝わることが、さらに抑制される。
遮熱層173は、中空粒子(例えばガラスバルーン)と、バインダとしての、例えばシリコーン樹脂と、を含有する遮熱材料を、区画面上に塗布し、加熱処理によって樹脂を硬化させることにより形成してもよい。
(点火装置の構成)
図4は、点火装置7の先端部を拡大して示す斜視図である。点火装置7は、中心電極71と、接地電極72と、中心電極71と接地電極72との間に介在する絶縁体73と、を有している。中心電極71及び絶縁体73は、筒体74に収容されている。筒体74の下端面は、中心電極の周囲を囲む環状端面741を構成する。環状端面741は、点火装置7をシリンダヘッド13に取り付けたときに、シリンダヘッド13の下面130において燃焼室17に臨んで配設される。環状端面741は、実質的に、燃焼室17の天井面の一部を構成する。
図4に例示する点火装置7は、絶縁体73が、筒体74の下端から突出している、いわゆるプロジェクト型である。接地電極72は、側面視で略L字状に構成されている。接地電極72の根元は、環状端面741に固定されている。接地電極72と環状端面741とは導通している。接地電極72の先端は、筒体74の端から突出している中心電極71に、対向している。
接地電極72の先端には、突起721が取り付けられている。突起721は、中心電極71の方に向かって突出している。突起721の上端と中心電極71の下端との間に、放電ギャップが形成されている。この点火装置7は、いわゆる針−針プラグである。接地電極72の先端に突起721を取り付けることによって、放電ギャップの付近における空間が広くなると共に、放電ギャップの近傍における接地電極72の熱容量が小さくなる。点火装置7の消炎作用が小さくなって、火花点火の着火性が高まる。
側面視略L字状の接地電極72において、中心電極71の方を向いた面には遮熱層75が設けられている。遮熱層75は、接地電極72への入熱を遮断する。尚、図4においては、理解を容易にするために、遮熱層75に薄墨を付けている。
遮熱層75は、前述した燃焼室17の区画面に設ける遮熱層173と同じである。遮熱層75は、火炎核が生成したとき、また、その火炎核が成長するときに、火炎核の熱が、接地電極72に入ることを防止する。これにより、火炎核の成長が妨げられず、混合気は、確実に着火及び燃焼する。
特に、接地電極72における中心電極の方を向いた面は、中心電極71と接地電極72との放電ギャップにおいて生成した火炎核、及び、成長する火炎核が接する面である。この面に遮熱層75を設けることによって、火炎核の熱が接地電極72に入ることを、効果的に遮断することができる。よって、この点火装置7は、高圧縮比エンジン1において、火花点火の着火性を、効果的に高めることができる。
遮熱層75はまた、周囲のガス温度の変動に追従して、その温度が変化する。遮熱層に触れるガスから遮熱層への熱の移動量は、ガスと遮熱層との温度差が大きいと多くなり、温度差が小さいと少なくなる。遮熱層75の温度が、周囲のガス温度の変動に追従して変化することにより、火炎核の成長時には、火炎核の温度と遮熱層75の温度との差が小さくなるから、熱が、遮熱層75及び接地電極72に入ることを、さらに抑制することができる。よって、この点火装置7は、高圧縮比エンジン1において、火花点火の着火性を、さらに高めることができる。
接地電極72に設ける遮熱層75は、図6に示すように、バインダ32と、その中に分散された多数の中空粒子31とを含んで構成されている。バインダ32は、中空粒子31を接地電極72の中心電極71の方を向いた面に保持すると共に、中空粒子31の間を埋めて遮熱層75の母材を形成する。バインダ32は、例えばシリコーン系樹脂等の低熱伝導性材料であると共に、中空粒子31は、その内部空間に熱伝導性の低い空気を含有する。このように、バインダ32の中に中空粒子31を分散させることにより、遮熱層75を、より低熱伝導性の層としている。
中空粒子31としては、シリカバルーン、ガラスバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン、エアロゲルバルーン等のSi系酸化物成分(例えば、シリカ(SiO))又はAI系酸化物成分(例えばアルミナ(Al))を含有するセラミック系中空粒子を採用することが好ましい。中空粒子31としては特に、ガラスバルーンを採用することが好ましい。これにより、遮熱層75の熱伝導性をより低くすることができると共に、その強度も確保することができる。
尚、中空粒子31は、好ましくは球状である。中空粒子31の平均粒径は、遮熱層75の遮熱性向上の観点から、好ましくは、5μm以上50μm以下、より好ましくは、10μm以上45μm以下、特に好ましくは、15μm以上40μm以下、である。遮熱層75における中空粒子31の含有量は、遮熱層75の遮熱性向上の観点から、好ましくは5質量%以上50質量%以下、より好ましくは10質量%以上45質量%以下、特に好ましくは15質量%以上40質量%以下である。
バインダ32としては、耐熱性樹脂を用いることができ、例えば低熱伝導性材料であるシリコーン系樹脂を用いることができる。シリコーン系樹脂は、具体的には、例えばメチルシリコーン樹脂、メチルフェニルシリコーン樹脂に代表される、分岐度の高い三次元ポリマーからなるシリコーン系樹脂を好ましく用いることができる。シリコーン系樹脂の具体例としては、さらに例えばポリアルキルフェニルシロキサンを挙げることができる。これにより、遮熱層75の熱伝導性を低下させることができると共に、接地電極72の面と遮熱層75との優れた密着性を得ることができる。
遮熱層75は、例えば次のようにして、接地電極72に設けることが可能である。つまり、中空粒子31を有するバインダ32に、点火装置7の接地電極72を浸漬することによって、接地電極72の全表面にバインダ32を塗布する。その後、加熱処理によってバインダ32を硬化させれば、接地電極72に遮熱層75を形成することができる。
この製造方法によると、遮熱層75を形成したときに、接地電極72の突起721の部分にも遮熱層75が形成される。そのため、接地電極72に遮熱層75を形成した後、突起721の部分に形成した遮熱層75を除去する。こうすることで、点火装置7は、中心電極71と接地電極72との間で、火花放電を発生させることができる。
尚、遮熱層75の厚みは、高い遮熱性能を維持しながら、遮熱層75の破損及び剥離を防止する観点から、好ましくは8μm以上90μm以下、より好ましくは13μm以上70μm以下、特に好ましくは18μm以上50μm以下である。
前述した製造方法によると、接地電極72における中心電極71を向いた面に限らず、接地電極72の全体に、遮熱層75を設けることができる。接地電極72における中心電極71を向いた面とは逆側の面等は、混合気の燃焼時に、その燃焼熱が入熱し得るが、接地電極72の全体に遮熱層75を設けると、接地電極72に、燃焼熱が入熱することを遮断することができる。これにより、エンジン1の冷却損失を下げることができ、エンジン1の熱効率の向上に有利になる。
また、接地電極72に設けた遮熱層75は、周囲温度の変化に追従して、遮熱層75の温度が変化するよう構成されているため、燃焼室17内の混合気が着火及び燃焼するときには、遮熱層75の温度も高くなる。よって、遮熱層75に触れるガスから遮熱層75への熱の移動量が少なくなり、冷却損失がさらに低下して、エンジン1の熱効率の向上に有利になる。また、混合気の燃焼時に遮熱層75の温度が高くなるため、接地電極72の付近にデポジットが堆積してしまうことを回避することができる。
また、燃焼室17内の既燃ガスが排出されかつ、相対的に低温のガス(つまり、新気、又は、新気及びEGRガス)が燃焼室17内にチャージされるときに、遮熱層75の温度は低くなる。接地電極72がホットスポットとなって、混合気が過早着火してしまうことを回避することができる。
尚、当初、接地電極72の全体に設けられていた遮熱層75の一部が、エンジン1の運転が継続することに伴い、消失することも許容される。エンジン1の定常運転中に、中心電極71に対向する接地電極72の先端は温度が高くなり、環状端面741に固定された接地電極72の根元は相対的に温度が低くなる。接地電極72の先端側に設けた遮熱層75は、温度変化が大きくて熱収縮差が大きくなる結果、消失するかもしれないが、接地電極72の根元側に設けた遮熱層75は、先端側よりも残りやすい。特に接地電極72の根元側における、中心電極71を向いた面に設けた遮熱層75は、残りやすい。
ここで、接地電極72の先端部分は温度が高くなるため、火炎核の熱が入りにくい。接地電極72の先端の部分は、火炎核が生成するときに火炎核を触れる部分であるが、仮に遮熱層75が無くても、火炎核の熱は入りにくい。よって、火炎核の成長が妨げられない。
これに対し、接地電極72の根元の部分は、相対的に温度が低いため、火炎核の熱が入りやすくなるが、前述したように、遮熱層75が残るため、火炎核が成長するときに火炎核の熱が入ることを防止することができる。その結果、火炎核の成長を妨げることが防止され、混合気が、確実に、着火及び燃焼に至る。
尚、点火装置7は、接地電極72の先端の突起721を省略したタイプであってもよい。この場合は、接地電極72に遮熱層75を設けた後、少なくとも接地電極72における中心電極71に対向する箇所の、遮熱層75を除去すればよい。
また、図5に示すように、点火装置8は、スラント型であってもよい。つまり、スラント型の点火装置8は、中心電極81と、接地電極82と、絶縁体83と、筒体84と、を備えている。中心電極81及び絶縁体83は、筒体84の下端よりも内方に位置している。接地電極82は、根元が、筒体84の環状端面841に固定され、そこから、中心電極81の近傍まで真っ直ぐに伸びている。
この接地電極82においても、中心電極81の方を向いた面、具体的には、接地電極82における上面には少なくとも、遮熱層85が設けられている。遮熱層85は、接地電極82の全体に設けられていてもよい。
接地電極82に遮熱層85を設けることによって、火炎核の生成及び火炎核の成長を阻害することが防止され、点火装置8の着火性を高めることができる。また、接地電極82の全体に遮熱層85を設けると、エンジン1の冷却損失の低減に有利になる。
尚、点火装置の設置電極に設ける遮熱層は、前述した構成に限らない。例えば接地電極72、又は、接地電極82の面に、ZrO等のセラミック材料を、プラズマ溶射によってコーティングすることにより、遮熱層を形成してもよい。
尚、ここに開示する技術は、前述した構成のエンジン1に適用することに限定されない。ここに開示する点火装置は、運転領域の全域に亘って火花点火による燃焼を行う火花点火エンジンに適用してもよい。また、少なくとも一部の領域においては、火花点火を行わない(例えば、圧縮着火により燃焼する)圧縮着火エンジンに適用してもよい。
また、エンジン1において、燃焼室17を区画する区画壁に設けた遮熱層173は、省略してもよい。
また、ここに開示する点火装置は、混合気のA/Fを35以上に設定して火花点火による燃焼を行うエンジンに取り付けてもよい。混合気を希釈すると火炎核が成長し難くなるため、火花点火における着火性に不利になるが、前述した点火装置は、火花点火の着火性が向上するから、A/Fを35以上に設定して運転するエンジンにおいて、火花点火による燃焼を確実に行うことができる。
1 エンジン
17 燃焼室
31 中空粒子
32 バインダ
7 点火装置
71 中心電極
72 接地電極
75 遮熱層
8 点火装置
81 中心電極
82 接地電極
85 遮熱層

Claims (3)

  1. 幾何学的圧縮比が所定以上に設定された高圧縮比エンジンの燃焼室に臨んで配設された点火装置であって、
    中心電極と、接地電極とを備え、
    前記接地電極において、少なくとも前記中心電極の方を向いた面には、前記接地電極への入熱を遮断する遮熱層が設けられ
    前記遮熱層は、多数の中空粒子と、前記中空粒子の間を埋めて前記遮熱層の母材を形成するバインダとを含んでおり、
    前記遮熱層は、周囲温度の変化に追従して、前記遮熱層の温度が変化するよう構成されている高圧縮比エンジンの点火装置。
  2. 請求項1に記載の高圧縮比エンジンの点火装置において、
    前記高圧縮比エンジンの幾何学的圧縮比は、14〜30である高圧縮比エンジンの点火装置。
  3. 請求項1又は2に記載の高圧縮比エンジンの点火装置において、
    前記高圧縮比エンジンは、前記燃焼室のガス重量と燃料重量との比であるG/Fを35以上とした混合気が形成されるリーン運転領域を設定するとともに、当該リーン運転領域において前記燃焼室内の混合気に点火をする高圧縮比エンジンの点火装置。
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