JP6563570B2 - 向上した分解速度を有する生分解性合金を含む埋め込み型医療デバイス - Google Patents

向上した分解速度を有する生分解性合金を含む埋め込み型医療デバイス Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2013年3月14日に出願された米国特許仮出願第61/785,531号の優先権の利益を主張し、その内容は全ての目的について参照により全体として本明細書に援用される。
発明の分野
本発明は、埋め込み型医療デバイスを製造するのに有用な生分解性材料、特に、最初に埋め込まれるときに高い強度を提供し、徐々に腐食して体内組織と入れ替わる鉄反応性成分を含有する金属合金を含む生分解性組成物に関する。
発明の背景
一時的または半永久的インプラント用の医療デバイスは、しばしばステンレス鋼から作製される。ステンレス鋼は強く、非常に耐荷重性能力が高く、体内にて適度に不活性であり、体液に溶け込まず、数十年とまではいかなくても何年にもわたって持ちこたえる。しかしながら、長持ちする医療インプラントが必ずしも望ましいわけではない。骨を固定するための多くのデバイスは、骨が治癒すると問題となり、事後手術によって取り外す必要がある。同様に、組織ステープルなどの短期デバイスは組織が治癒した後に取り外さなければならず、そのためにそれらの内的な使用は制限される。
生分解性材料を生成する試みでは伝統的に高分子組成物に焦点をあててきた。一例は米国特許第5,932,459号(特許文献1)に記載されており、これは生分解性両親媒性高分子を対象としている。別の例は米国特許第6,368,356号(特許文献2)に記載されており、これは医療デバイスにおいて用いられる生分解性高分子ヒドロゲルを対象としている。骨の固定に用いられる生分解性材料は米国特許第5,425,769号(特許文献3)に記載されており、これはCaSO繊維状コラーゲン混合物を対象としている。また、米国特許第7,268,205号(特許文献4)は、ねじ等の骨締結具を作製する中で生分解性ポリヒドロキシアルカノエート類を用いることを記載している。しかしながら、今日までに開発されてきた生分解性高分子材料のいずれもが、材料がかなりの負荷を負わなければならない場合、材料が埋め込み中に塑性的に変形する必要がある場合、またはその材料から金属の他の生来の特徴が必要とされた場合に、適切に機能するだけの十分な強度を示したことがない。例えば、米国特許第7,268,205号(特許文献4)に記載されるポリヒドロキシアルカノエート組成物は、重量に耐えるだけの十分な強度をそれ自体で有さず、骨節を一時的に固定することで増補されなければならない。さらに、生分解性高分子材料は劣化している速さよりも早く強度を失う傾向がある。なぜなら、応力下の部分の材料はより反応性を有する傾向があり、これにより、耐荷重領域において優先的に溶解及び分解されるからである。
よって、金属、特に鋼が、多くの医療インプラントの製造で好まれる。鋼の性能特徴は、多くの耐荷重医療デバイスの機械的要件に厳密に適合する。普通鋼の化合物は、ステンレス鋼と違って、生体液内で分解するが、生分解性埋め込み型医療デバイス内での使用には適していない。これは普通鋼が、1つの分子または分子群ずつといった、身体が容易に処分できる予測可能な様態で分解しないからである。むしろ、それらの大きな粒状構造の影響で、普通鋼は最初に粒界で分解され、これによって医療デバイス内の亀裂及び分離が引き起こされ、次に強度及び完全性を失う、ならびに微粒子化することで、分解される傾向がある。医療デバイスの微粒子化は非常に危険である。なぜなら、デバイスの小さな片が埋め込み箇所から離れて他の組織への詰まりを引き起こし、それによって、臓器不全、心臓発作、及び脳卒中などを含む深刻な損傷が引き起こされる可能性があるからである。埋め込み型医療デバイス内にて普通鋼を用いることはまた、普通鋼が、体内に放されたときに有害である合金要素を典型的に含有する点からも、難しい。
当該分野では、鋼に関連する所望の特徴を有するが生分解性でもある、追加の埋め込み型医療デバイスを開発する需要がいまだ残る。
米国特許第5,932,459号 米国特許第6,368,356号 米国特許第5,425,769号 米国特許第7,268,205号
本発明は、部分的に、鉄反応性成分を有する特定の金属合金が、塞栓を形成することなく経時的に生分解するという発見に基づいている。本発明はまた、部分的に、体液と接触するとその体液と反応する特定の金属合金、例えば鉄反応性成分を含有する合金が、生物学的対象に埋めこまれたときに、鉄反応性成分を含有しないこと以外は同一の組成を有する合金の分解速度よりも、より早い分解速度で分解するという発見にも基づいている。かかる合金は、生分解性の埋め込み型医療デバイスを作製するのに有用である。
いくつかの実施形態では、本発明の埋め込み型医療デバイスは生分解性合金を含み、合金は鉄系でありかつ鉄反応性成分を含み、合金は体液と接触するとその体液と反応し、かつ生物学的対象に埋め込まれたときの合金の分解速度は、鉄反応性成分の欠如以外は該合金と同一の組成を有する合金よりも速い。
いくつかの実施形態では、鉄反応性成分は、鉄反応性成分の欠如以外は同一の組成を有する合金の溶融温度よりも高い沸点を有する。
いくつかの実施形態では、鉄反応性成分はハロゲン成分である。いくつかの実施形態では、ハロゲン成分は塩として提供される。いくつかの実施形態では、ハロゲン成分はフッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化銅、フッ化銅、塩化マグネシウム、塩化銀、塩化カルシウム、フッ化カルシウム、及び塩化鉄から選択される。
いくつかの実施形態では、ハロゲン成分は、塩化物、フッ化物、臭化物、及びヨウ化物から選択される。いくつかの実施形態では、ハロゲン成分は塩化物またはフッ化物である。
いくつかの実施形態では、鉄反応性成分は、少なくとも約1600℃、少なくとも約1650℃、少なくとも約1700℃、少なくとも約1750℃、少なくとも約1800℃、少なくとも約1850℃、少なくとも約1900℃、少なくとも約1950℃、または少なくとも約2000℃の沸騰温度を有する塩の形態で存在する。
いくつかの実施形態では、ハロゲン成分はハロゲンである。いくつかの実施形態では、ハロゲンは塩素である。
いくつかの実施形態では、鉄反応性成分は合金内に均等に分散している。
いくつかの実施形態では、鉄反応性成分は合金の表面に分散している。
いくつかの実施形態では、本発明の埋め込み型医療デバイスは、精製水中に入れられると、1日に1平方インチ当たり約1〜2mgの速度で分解される。
いくつかの実施形態では、平均粒径は約0.5マイクロメートル〜約5.0マイクロメートルである。いくつかの実施形態では、平均粒径は、合金の絶対溶融温度の約0.55倍の最低再結晶温度で安定である。
いくつかの実施形態では、埋め込み型医療デバイスは、骨ねじ、骨アンカー、組織ステープル、頭蓋顎顔面(craniomaxillofacial)再建プレート、締結具、再建用歯科インプラント、またはステントである。
いくつかの実施形態では、合金はオーステナイト促進成分及び耐食成分を含む。
いくつかの実施形態では、合金は約20%〜40%のマンガンを含有する。いくつかの実施形態では、生分解性合金はマンガン及びニオブを含む。いくつかの実施形態では、合金は約0.3%未満のニオブを含有する。いくつかの実施形態では、合金は約1%未満の炭素を含有する。いくつかの実施形態では、生分解性合金は少なくとも約0.01%〜約0.1%の非金属元素を含む。いくつかの実施形態では、生分解性合金は少なくとも約0.01%〜約0.1%の炭素を含む。
いくつかの実施形態では、埋め込み型医療デバイスは治療的物質でコーティングされている。
いくつかの実施形態では、埋め込み型医療デバイスは生分解性ヒドロゲルでコーティングされている。
いくつかの実施形態では、埋め込み型医療デバイスは表面積対質量比(surface to mass ratio)を最大化する形状を備える。
いくつかの実施形態では、埋め込み型医療デバイスは中空開口部または通路を備える。
いくつかの実施形態では、生分解性合金は溶融工程中にガス状鉄反応成分を添加することで形成される。
いくつかの実施形態では、ガス状鉄反応成分は、少なくとも約0.1tor、少なくとも約0.2tor、少なくとも約0.5tor、少なくとも約0.8tor、少なくとも約1tor、少なくとも約2tor、少なくとも約5tor、少なくとも約10tor、少なくとも約50tor、または少なくとも約100torの分圧を有する。
いくつかの実施形態では、鉄反応性成分はハロゲン成分である。いくつかの実施形態では、ハロゲン成分は塩素である。
いくつかの実施形態では、ガス状鉄反応成分はアルゴンガスと混合するために添加された。いくつかの実施形態では、アルゴンガスは少なくとも約10tor、少なくとも約20tor、少なくとも約50tor、少なくとも約80tor、少なくとも約100tor、少なくとも約150tor、少なくとも約200tor、少なくとも約250tor、少なくとも約300tor、または少なくとも約500torの分圧を有する。
本発明及びその追加の実施形態は、以下の詳細な説明においてより具体的に記載される。
本発明のいくつかの実施形態によれば、埋め込み型医療デバイスの分解速度を制御する方法が提供されており、合金中の鉄反応性成分の濃度を調節するステップを含む。
[本発明1001]
生分解性合金を含み、該合金が鉄系でありかつ鉄反応性成分を含み、該合金が体液と接触すると該体液と反応し、かつ生物学的対象に埋め込まれたときの該合金の分解速度が、該鉄反応性成分の欠如以外は該合金と同一の組成を有する合金の分解速度よりも速い、埋め込み型医療デバイス。
[本発明1002]
前記鉄反応性成分が、該鉄反応性成分の欠如以外は本発明1001の合金と同一の組成を有する合金の溶融温度よりも高い沸点を有する、本発明1001の埋め込み型医療デバイス。
[本発明1003]
前記鉄反応性成分がハロゲン成分である、本発明1001の埋め込み型医療デバイス。
[本発明1004]
前記ハロゲン成分が塩化物、フッ化物、臭化物、及びヨウ化物から選択される、本発明1003の埋め込み型医療デバイス。
[本発明1005]
前記ハロゲン成分が塩化物またはフッ化物である、本発明1003の埋め込み型医療デバイス。
[本発明1006]
前記ハロゲン成分が塩として提供される、本発明1003の埋め込み型医療デバイス。
[本発明1007]
前記ハロゲン成分が、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化銅、フッ化銅、塩化マグネシウム、塩化銀、塩化カルシウム、フッ化カルシウム、及び塩化鉄から選択される、本発明1003の埋め込み型医療デバイス。
[本発明1008]
前記鉄反応性成分が、少なくとも約1600℃、少なくとも約1650℃、少なくとも約1700℃、少なくとも約1750℃、少なくとも約1800℃、少なくとも約1850℃、少なくとも約1900℃、少なくとも約1950℃、または少なくとも約2000℃の沸騰温度を有する塩の形態で存在する、本発明1001の埋め込み型医療デバイス。
[本発明1009]
前記ハロゲン成分が塩素である、本発明1003の埋め込み型医療デバイス。
[本発明1010]
前記鉄反応性成分が前記合金内に均等に分散している、本発明1001の埋め込み型デバイス。
[本発明1011]
前記鉄反応性成分が前記合金の表面に分散している、本発明1001の埋め込み型デバイス。
[本発明1012]
精製水中に入れられると、1日に1平方インチ当たり約1〜2mgの速度で分解する、本発明1001の埋め込み型医療デバイス。
[本発明1013]
平均粒径が約0.5マイクロメートル〜約5.0マイクロメートルである、本発明1001の埋め込み型医療デバイス。
[本発明1014]
平均粒径が、前記合金の絶対溶融温度の約0.55倍である最低再結晶温度にて安定である、本発明1001の埋め込み型医療デバイス。
[本発明1015]
骨ねじ、骨アンカー、組織ステープル、頭蓋顎顔面(craniomaxillofacial)再建プレート、締結具、再建用歯科インプラント、またはステントである、本発明1001の埋め込み型医療デバイス。
[本発明1016]
前記合金がオーステナイト促進成分及び耐食成分を含む、本発明1001の埋め込み型医療デバイス。
[本発明1017]
前記合金が、約20%〜40%のマンガンを含有する、本発明1001の埋め込み型医療デバイス。
[本発明1018]
前記合金が、約0.3%未満のニオブを含有する、本発明1001の埋め込み型医療デバイス。
[本発明1019]
前記合金が、約1%未満の炭素を含有する、本発明1001の埋め込み型医療デバイス。
[本発明1020]
前記生分解性合金がマンガン及びニオブを含む、本発明1001の埋め込み型医療デバイス。
[本発明1021]
前記生分解性合金が、少なくとも約0.01%〜約0.1%の非金属元素を含む、本発明1001の埋め込み型医療デバイス。
[本発明1022]
前記生分解性合金が、少なくとも約0.01%〜約0.1%の炭素を含む、本発明1001の埋め込み型医療デバイス。
[本発明1023]
治療的物質でコーティングされている、本発明1001の埋め込み型医療デバイス。
[本発明1024]
生分解性ヒドロゲルでコーティングされている、本発明1001の埋め込み型医療デバイス。
[本発明1025]
表面積対質量比(surface to mass ratio)を最大化する形状を備える、本発明1001の埋め込み型医療デバイス。
[本発明1026]
中空開口部または通路を備える、本発明1001の埋め込み型医療デバイス。
[本発明1027]
前記合金中の前記鉄反応性成分の濃度が、約1ppm〜約500ppm、約10ppm〜約300ppm、または約50ppm〜約150ppmである、本発明1001の埋め込み型医療デバイス。
[本発明1028]
前記合金中の前記鉄反応性成分の濃度が約200ppmである、本発明1001の埋め込み型医療デバイス。
[本発明1029]
前記生分解性合金が、
溶融工程中にガス状鉄反応成分を添加すること
によって形成される、本発明1001〜1028のいずれかの埋め込み型医療デバイス。
[本発明1030]
前記ガス状鉄反応性成分が、少なくとも約0.1tor、少なくとも約0.2tor、少なくとも約0.5tor、少なくとも約0.8tor、少なくとも約1tor、少なくとも約2tor、少なくとも約5tor、少なくとも約10tor、少なくとも約50tor、または少なくとも約100torの分圧を有する、本発明1029の埋め込み型医療デバイス。
[本発明1031]
前記鉄反応性成分がハロゲン成分である、本発明1029または1030の埋め込み型医療デバイス。
[本発明1032]
前記ハロゲン成分が塩素である、本発明1031の埋め込み型医療デバイス。
[本発明1033]
前記ガス状鉄反応成分が、アルゴンガスと混合するために添加された、本発明1029〜1032のいずれかの埋め込み型医療デバイス。
[本発明1034]
前記アルゴンガスが、少なくとも約10tor、少なくとも約20tor、少なくとも約50tor、少なくとも約80tor、少なくとも約100tor、少なくとも約150tor、少なくとも約200tor、少なくとも約250tor、少なくとも約300tor、または少なくとも約500torの分圧を有する、本発明1033の埋め込み型医療デバイス。
[本発明1035]
前記合金中の前記鉄反応性成分の濃度を調節するステップ
を含む、本発明1001〜1034のいずれかの埋め込み型医療デバイスの分解速度を制御する方法。
[本発明1036]
前記合金中の前記鉄反応性成分の前記濃度が、約1ppm〜約500ppm、約10ppm〜約300ppm、または約50ppm〜約150ppmである、本発明1035の方法。
[本発明1037]
前記合金中の前記鉄反応性成分の前記濃度が約200ppmである、本発明1035の方法。
発明の詳細な説明
本明細書に用いられる、合金中の元素の量を参照して使用される用語「割合」は重量に基づく割合を意味する。しかしながら、耐食成分及びオーステナイト促進成分の「加重割合」は、加重割合が必ずしも実際の重量に基づく割合に対応するとは限らない様態で計算されている。
本発明は部分的に、体液と接触すると体液と反応する、鉄反応性成分を含有する合金などを有する特定の金属合金が、合金が鉄反応性成分を含まない以外は同一の組成を有する合金の分解速度よりも速い生物学的対象に埋め込まれたときの分解速度で分解する、という発見に基づいている。いくつかの実施形態では、本発明の合金は、例えば、塞栓を形成することなく経時的に生分解する、微粒子の実質的にオーステナイトの構造を有し、これらの合金が鉄反応性成分を含有する場合、ヒトまたは動物体内での分解速度が向上される。これらのオーステナイト合金は磁化率をほとんどまたは全く示さず、低い透磁率示を示し、合金に組み込まれるさまざまな金属(例えば、クロム及びニッケル)の量を制御することで無毒性及び/または非アレルギー性とすることができる。いくつかの実施形態では、本発明の合金は、例えば、実質的にマルテンサイトの構造は塞栓を形成することなく経時的に生分解し、これらの合金が鉄反応性成分を含有すると、ヒトまたは動物体内での分解速度が向上される。これらのマルテンサイト合金はまた、合金に組み込まれるさまざまな金属(例えば、クロム及びニッケル)の量を制御することで、無毒性及び/または非アレルギー性とすることができる。本明細書に記載の合金は、対象(例えば、ヒトまたは他の動物)の身体を治癒するために用いられる多種多様の埋め込み型医療デバイスに組み込まれ得るが、対象が一度治癒されると不要になる。本発明の合金は、例えば、体重支持骨用の骨締結具等、高強度を要する生分解性埋め込み型医療デバイスを作製するために使用することができる。合金はまた、組織固定用の手術用ステープル等、延性を必要とする生分解性埋め込み型医療デバイスを作製するのに使用することができる。
本発明の1つの目的は、対象(例えば、ヒトまたは動物対象)の体内に一時的に埋め込む医療デバイスを提供することであり、デバイスは鉄反応性成分を含む生分解性合金を用いて作製される。鉄反応性成分を含む生分解性合金はステンレス鋼のものではないが、代わりに正常な生体の化学反応に関与する反応を受けて経時的に生分解または生体吸収して、正常な生体プロセスによって取り除かれる。本発明の別の目的は、分解されて身体によって処理されるときに無毒性及び/または非アレルギー性である生分解性鉄反応性成分を含有する合金を用いて作製される埋め込み型医療デバイスを提供することである。本発明のさらに別の目的は、磁化率をほとんどまたは全く有さず、低い透磁率を有し、MRI画像を変形させない鉄反応性成分を含む生分解性合金を用いて作製される埋め込み型医療デバイスを提供することである。
鉄反応性成分は、当技術分野で周知の多種多様の手段によって合金に加えることができる。いくつかの実施形態では、鉄反応性成分は合金の全体にわたって均等に分散可能である。いくつかの実施形態では、鉄反応性成分は合金の全体にわたって均等に分散している。
いくつかの実施形態では、鉄反応性成分は合金混合物を溶融するとき、または溶融工程中のいずれのときにも添加することができる。例えば、鉄反応性成分は溶融工程の後の方で、溶融物が型に流し込まれる前に加えることができる。鉄反応性成分はまた、合金の表面に分散することができる。かかる合金は当技術分野において周知の多種多様の、例えばイオン注入法を含む方法で生成することができる。イオン注入法は周知であり、材料のイオンが電界中で加速されて、例えば本発明の合金等の固形表面に激突させられる工程を伴う。いくつかの実施形態では、鉄反応性成分は合金の表面に分散している。いくつかの実施形態では、鉄反応性成分は合金の外表面に塗布される。いくつかの実施形態では、鉄反応性成分はイオン注入の方法によって合金に添加される。(例えば、Hamm,Robert W.;Hamm,Marianne E.,Industrial Accelerators and Their Applications.World Scientific(2012)を参照されたい。)本発明の鉄反応性成分は、鉄反応性成分を含む合金が生物環境に露出される(すなわち、生物学的対象に埋め込まれる)ときに、鉄反応性成分のない同一の合金と比較して向上された合金分解速度を提供するいかなる成分も含むことができる。いくつかの実施形態では、合金は鉄反応性成分を1つより多く含む。
本発明の一態様によれば、好適な合金の生分解速度を制御する上で少量の鉄反応性成分が有用である。いくつかの実施形態では、合金中の鉄反応性成分の濃度は、約0.1ppm〜約1000ppm、約0.1ppm〜約800ppm、約0.1ppm〜約600ppm、約0.1ppm〜約400ppm、約0.1ppm〜約300ppm、約0.1ppm〜約250ppm、約0.1ppm〜200ppm、約0.1ppm〜約150ppm、約0.1ppm〜約100ppm、約0.1ppm〜約75ppm、約0.1ppm〜約50ppm、約0.1ppm〜約25ppm、約0.1ppm〜約10ppmである。いくつかの実施形態では、合金中の鉄反応性成分の濃度は約1ppm〜500ppm、約10ppm〜約300ppm、または約50ppm〜約150ppmである。
いくつかの実施形態では、鉄反応性成分は、鉄反応性成分を欠如した合金の融点以上の温度で安定である。いくつかの実施形態では、鉄反応性成分は、少なくとも約1600℃、少なくとも約1650℃、少なくとも約1700℃、少なくとも約1750℃、少なくとも約1800℃、少なくとも約1850℃、少なくとも約1900℃、少なくとも約1950℃、または少なくとも約2000℃の沸騰温度を有する塩として提供される。
いくつかの実施形態では、鉄反応性成分は、製造工程中に、少なくとも約0.1tor、少なくとも約0.2tor、少なくとも約0.5tor、少なくとも約0.8tor、少なくとも約1tor、少なくとも約2tor、少なくとも約5tor、少なくとも約10tor、少なくとも約50torまたは少なくとも約100torの全圧または分圧を有するガスとして提供される。
いくつかの実施形態では、鉄反応性成分はハロゲン成分である。本発明のハロゲン成分は、ハロゲン、及び/または塩化物、フッ化物、臭化物、ならびにヨウ化物等のその塩形態を含む。いくつかの実施形態では、ハロゲン成分は塩素である。いくつかの実施形態では、ハロゲン成分は塩化物またはフッ化物である。いくつかの実施形態では、ハロゲン成分は塩化物である。いくつかの実施形態では、ハロゲン成分はフッ化物である。いくつかの実施形態では、ハロゲン成分は合金の融点以上の温度で安定である。いくつかの実施形態では、鉄反応性成分を含有する合金は1つより多いハロゲン成分を含む。
いくつかの実施形態では、鉄反応性成分はハロゲン含有塩である。ハロゲン成分は合金混合物に、合金を生成する工程中に塩として提供可能である。いくつかの実施形態では、ハロゲン含有塩は、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化銅、フッ化銅、塩化銀、塩化カルシウム、フッ化カルシウム、及び塩化鉄から選択される。いくつかの実施形態では、塩の混合物を使用することができる。
いくつかの実施形態では、ハロゲン含有塩は、溶融時、または溶融工程中のいずれかの時に、合金混合物に添加される。合金の溶融温度よりも高い沸騰温度を有するいかなるハロゲン含有塩が、本発明の方法に用いられてもよい。いくつかの実施形態では、ハロゲン成分は、少なくとも約1600℃、少なくとも約1650℃、少なくとも約1700℃、少なくとも約1750℃、少なくとも約1800℃、少なくとも約1850℃、少なくとも約1900℃、少なくとも約1950℃、または少なくとも約2000℃の沸騰温度を有する塩として提供される。いくつかの実施形態では、ハロゲン成分は合金の融点以上の温度で安定である。いくつかの実施形態では、1つより多くのハロゲン成分を使用することができる。
追加で、または代替的に、合金の生成工程中にガス状鉄反応成分を用いることができる。いくつかの実施形態では、ハロゲン成分は塩素ガスである。いくつかの実施形態では、ハロゲン成分は、約0.1tor、約0.2tor、約0.5tor、約0.8tor、約1tor、約2tor、約5tor、約10tor、約50tor、または約100tor以上の全圧または分圧を有するガスとして提供される。いくつかの実施形態では、ハロゲン成分の全圧または分圧は、約0.1tor〜約100tor、約0.5tor〜約50tor、または約1〜約5tの範囲である。
いくつかの実施形態では、ガスの混合物を使用することができる。いかなる特定の理論に束縛されるものでもないが、鉄反応性成分の量は、鉄反応性成分の分圧を、追加のガスを使ってまたは使わないで制御することで、微調整することができると考えられる。いくつかの実施形態では、アルゴン等の不活性ガスを、1つ以上のハロゲンガスと共に混合物に提供可能である。いくつかの実施形態では、アルゴンガスは、少なくとも約10tor、少なくとも約20tor、少なくとも約50tor、少なくとも約80tor、少なくとも約100tor、少なくとも約150tor、少なくとも約200tor、少なくとも約250tor、少なくとも約300tor、または少なくとも約500torの分圧を有する。実施例2に示すように、塩素のおよそ1torを、溶融工程中に200torのアルゴンに添加することができる。
いくつかの実施形態では、合金中のハロゲン成分の濃度は、約0.1ppm〜約500ppm、約0.1ppm〜約400ppm、約0.1〜約300ppm、約0.1〜約250ppm、約0.1〜約200ppm、約0.1ppm〜約150ppm、約0.1〜約100ppm、約0.1ppm〜約75ppm、約0.1ppm〜約50ppm、約0.1〜約25ppm、または約0.1ppm〜約10ppmである。いくつかの実施形態では、合金中のハロゲン成分は約0.1ppm〜約100ppmを含む。
したがって、一態様では、本発明はその外表面から溶解する生分解性合金を含む埋め込み型医療デバイスを提供する。本明細書で用いられる、用語「合金」は2つ以上の金属元素を含む化学元素の混合物を意味する。本発明の埋め込み型医療デバイスを作製するのに好適な生分解性合金は、例えば、鉄合金(例えば、鋼)であり得る。特定の実施形態では、鉄合金は約55%〜約65%、約57.5%〜約67.5%、約60%〜約70%、約62.5%〜約72.5%、約65%〜約75%、約67.5%〜約77.5%、約70%〜約80%、約72.5%〜約82.5%、または約75%〜約85%の鉄を含む。鉄合金は、1つ以上の非鉄金属元素をさらに含む。1つ以上の非鉄金属元素は、例えば、マンガン、コバルト、ニッケル、クロム、モリブデン、タングステン、タンタル、ニオブ、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、プラチナ、パラジウム、イリジウム、レニウム、オスミウム、ロジウム等の遷移金属、または、アルミニウム等の非遷移金属を含むことができる。いくつかの実施形態では、鉄合金は少なくとも2つの非鉄金属元素を含む。少なくとも2つの非鉄元素は、少なくとも約0.5%(例えば、少なくとも約1.0%、約1.5%、約2.0%、約2.5%、約3.0%、約4.0%、約5.0%、またはそれ以上)の量で存在することができる。特定の実施形態では、鉄合金は少なくとも2つの非鉄金属元素を含み、当該少なくとも2つの非鉄元素はそれぞれ少なくとも約0.5%で存在し、当該少なくとも2つの元素の合計量は少なくとも約15%(例えば、少なくとも約17.5%、約20%、約22.5%、約25%、約27.5%、約30%、約32.5%、約35%、約37.5%、または約40%)である。生分解性合金はまた、1つ以上の非金属元素を含むことができる。好適な非金属元素には、例えば、炭素、窒素、及びシリコンが含まれる。特定の実施形態では、鉄合金は少なくとも約0.01%(例えば、約0.01%〜約0.10%、約0.05%〜約0.15%、約0.10%〜約0.20%、約0.15%〜約0.25%、または約0.20%〜約0.30%)の少なくとも1つの非金属元素を含む。
本発明の埋め込み型医療デバイス内での使用に好適な生分解性合金は、外側から内側に向かって分解し、その寿命のより大きな部分においてその強度を維持し、微粒化または塞栓を形成しないように設計される。理論に束縛されるものではないが、これは感知できるほどの粒界を有さない合金構造を提供して、分解が表面分子層で行われるように強制させるか、または同質の粒子を含まない材料として作用する非常に細かい粒子の合金構造を提供することによって実現されると考えられている。特定の実施形態では、好適な生分解性合金の外表面からの溶解率は、外表面の各点で実質的に均一である。本明細書にこの内容で用いられるように、「実質的に均一」とは、外表面上でのある特定の点からの溶解率が同一外表面上のあらゆる他の点の溶解率の+/−10%であることを意味する。当業者が認識するように、これらの実施形態において認識される「外表面」の種類とは平滑かつ連続的であり(すなわち、実質的に平面、凹面、凸面等)、鋭角及び類似するそのような非連続的なものは含まない。なぜなら、それらの位置は溶解率がはるかに高くなり得るからである。「実質的に」平面、凹面、または凸面は、平面、凹面、凸面であり、0.5mmを超えて表面から突出するまたは表面から沈む、突起、隆線、または溝を有さない表面である。
鋼合金は鉄をその主成分とする。(i)鉄と合金化される元素、及び(ii)合金の従来の働きの組み合わせによって、鋼は、フェライト、オーステナイト、マルテンサイト、セメンタイト、パーライト、及びベイナイト等の異なる構造形態を有することができる。いくつかの場合では、同一組成を有する鋼は異なる構造を有することができる。例えば、マルテンサイト鋼はオーステナイト鋼に由来可能な高引張性鋼の形態である。オーステナイト鋼を1750°F〜1950°Fに加熱して、次にマルテンサイトの転移温度まで素早く冷却することで、オーステナイト鋼の面心立方構造は体心立方体のマルテンサイト構造に再配向され、マルテンサイト構造はその位置で固定される。マルテンサイト鋼は感知できる粒界を有さず、よって鋼の内側に一次溶解経路を提供しない。結果的には、塞栓が形成されることなく、外側からゆっくり溶解される。マルテンサイト材料の冶金検査は、オーステナイト粒界が以前に存在していた位置に「プレオーステナイト粒界」を示すが、これらは以前の構造の微量の未反応物である。
したがって、特定の実施形態では、本発明の生分解性埋め込み型医療デバイスは、実質的にマルテンサイトの構造を有する鉄反応性成分を含有する合金(例えば、鉄合金)を含む。本明細書で用いられる、用語「実質的にマルテンサイトの構造」とは、少なくとも90%マルテンサイトの構造を有する合金を意味する。特定の実施形態では、合金は少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.8%、99.9%以上マルテンサイトの構造を有する。
マルテンサイト合金は、本明細書に記載されるいかなる合金の組成も有することができる。例えば、特定の実施形態では、マルテンサイト合金は、本発明に記載されるオーステナイト合金から形成される。特定の実施形態では、マルテンサイト合金は、炭素、クロム、ニッケル、モリブデン、コバルト、またはそれらの組み合わせを含む。例えば、特定の実施形態では、マルテンサイト合金は(i)炭素、(ii)クロム、及び/またはモリブデン、ならびに(iii)ニッケル及び/またはコバルトを含む。特定の実施形態では、マルテンサイト合金は、約0.01%〜約0.15%、約0.05%〜約0.20%、約0.10%〜約0.25%、約0.01%〜約0.05%、約0.05%〜約0.10%、約0.10%〜約0.15%、または約0.15%〜約0.20%の炭素を含む。特定の実施形態では、マルテンサイト合金は、約0.1%〜約6.0%、約1.0%〜約3.0%、約2.0%〜約4.0%、約3.0%〜約5.0%、または約4.0%〜約6.0%のクロムを含む。特定の実施形態では、マルテンサイト合金は、約0.1%〜約6.0%、約0.5%〜約2.5%、約1.0%〜約3.0%、約1.5%〜約3.5%、約2.0%〜約4.0%、約2.5%〜約4.5%、約3.0%〜約5.0%、約3.5%〜約5.5%、または約4.0%〜約6.0%のモリブデンを含む。特定の実施形態では、マルテンサイト合金は、約5.0%〜約9%、約6.0%〜約10%、約7.0%〜約11%、約8.0%〜約12%、約9.0%〜約13%、約10%〜約14%、または約11%〜約15%のニッケルを含む。特定の実施形態では、マルテンサイト合金は、約5.0%〜約10%、約7.5%〜約12.5%、約10%〜約15%、約12.5%〜約17.5%、または約15%〜約20%のコバルトを含む。
特定の実施形態では、マルテンサイト合金は、約2.0%〜約6.0%、約3.0%〜約7.0%、約3.5%〜約7.5%、約4.0%〜約8.0%、約4.5%〜約8.5%、または約5.0%〜約9.0%の耐食成分を含有する。特定の実施形態では、マルテンサイト合金は、約2.5%、約3.0%、約3.5%、約4.0%、約4.5%、約5.0%、約5.5%、または約6.0%の耐食成分を含有する。特定の実施形態では、耐食成分は、合金中の耐食元素(例えば、クロム、モリブデン、タングステン、タンタル、ニオブ、チタン、ジルコニウム、ハフニウム等)の割合の合計として計算される。他の実施形態では、耐食成分は合金中の耐食元素の加重和として計算される。特定の実施形態では、加重和における個別の元素は、クロムと比較して、それらの耐食有効性にしたがって加重されている。特定の実施形態では、加重%耐食成分は以下の式に従って求められる:%クロム+%モリブデン+%タングステン+0.5(%タンタル+%ニオブ)+2(%チタン+%ジルコニウム+%ハフニウム)。
特定の実施形態では、マルテンサイト合金は、少なくとも約10%、約15%、約18%、約20%、約22%、または約24%のオーステナイト促進成分を含有する。例えば、特定の実施形態では、マルテンサイト合金は、約10%〜約20%、約15%〜約25%、約20%〜約30%、約25%〜約35%、約30%〜約40%のオーステナイト促進成分を含有する。特定の実施形態では、マルテンサイト合金は、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、または約28%のオーステナイト促進成分を含む。特定の実施形態では、オーステナイト促進成分は、合金中のオーステナイト促進元素(例えば、ニッケル、マンガン、コバルト、プラチナ、パラジウム、イリジウム、アルミニウム、炭素、窒素、シリコン等)の割合の合計として計算される。他の実施形態では、オーステナイト促進成分は、合金中の全てのオーステナイト促進元素の加重和として計算される。特定の実施形態では、加重和における個別の元素は、ニッケルと比較して、それらのオーステナイト促進有効性にしたがって加重される。特定の実施形態では、加重%オーステナイト促進成分は以下の式に従って計算される:%ニッケル+%プラチナ+%パラジウム+%イリジウム+0.5(%マンガン+%コバルト)+30(%炭素+%窒素)。
特定の実施形態では、マルテンサイト合金は、約2.0%〜約4.0%、約3.0%〜約5.0%、または約4.0%〜約6.0%の耐食成分を含み、約10%〜約20%、約15%〜約25%、約20%〜約30%、約25%〜約35%、または約30%〜約40%のオーステナイト促進成分を含む。例えば、特定の実施形態では、マルテンサイト合金は、約3.0%〜約5.0%の耐食成分及び約20%〜約30%のオーステナイト促進成分を含む。特定の実施形態では、耐食及びオーステナイト促進成分はそれぞれ、耐食及びオーステナイト促進元素の割合の合計として計算される。他の実施形態では、耐食及びオーステナイト促進成分は、それぞれ、耐食及びオーステナイト促進元素の加重和として計算される。
マルテンサイト合金は粒界を欠くという所望の特徴を有する一方で、オーステナイト合金は、合金が強い磁界に露出される場合に有用となり得るそれらの低い磁化率によって、特に医療インプラントに有用である。医療インプラントは、それらが非常に高い磁界を利用する磁気共鳴映像法(MRI)を将来的に使用する必要を有し得る患者に用いられる可能性があるため、低磁化率を有することが望ましい。強い磁界中の磁気反応性合金は加熱を受け、局部組織応力及びインプラントを囲む組織への損傷を引き起こす可能性がある。磁気反応性インプラントはまたMRI画像を変形させ、読取不可能にさせる。さらに、オーステナイト合金はマルテンサイト合金と比較して、それらの弾性限度(歩留り点)と最終的破損との間でより大きな可塑変形が起きるために、特定の機械的利点を提供することができる。例えば、マルテンサイト合金は最大伸長が約16%〜20%で有し得るのに対し、オーステナイト合金は最大伸長が約50%〜60%で有し得る。
よって、特定の実施形態では、本発明の生分解性埋め込み型医療デバイスは、実質的にオーステナイトの構造を有する鉄反応性成分を含有する合金(例えば、鉄合金)を含む。本明細書で用いられる、用語「実質的にオーステナイトの構造」とは、少なくとも85%オーステナイトの構造を意味する。特定の実施形態では、合金は、少なくとも88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.8%、99.9%以上オーステナイトの構造を有する。特定の実施形態では、オーステナイト合金は、マルテンサイトまたはフェライト構造を実質的に有さない。本明細書で用いられる、用語「マルテンサイトまたはフェライトの構造を実質的に有さない」とは、5%未満(例えば、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.2%、0.1%、または0.05%未満)のマルテンサイトまたはフェライト組織を意味する。特定の実施形態では、オーステナイト合金は、約40%〜約65%(例えば、約50%〜約60%)の最大伸長によって特徴づけられる。
オーステナイト鋼は不規則な形状の明らかな境界のある粒を有する。オーステナイトは面心立方構造であるため、粒は、主要格子面に対して垂直に見たときは立方体である傾向がある。超低炭素または超低クロムを有するオーステナイト合金では、微粒径(例えば、1辺で約0.5から約5.0マイクロメートル)の構造を生成することができる。2.5マイクロメートルの立方オーステナイト粒は、2.4μ−1の表面積対体積比及び0.12マイクログラムの合計質量で、37.5平方マイクロメートルの合計表面積及び15.625立方マイクロメートルの体積を有する。粒が非常に少ない質量を有するため、粒材料は生物環境に置かれると粒界材料と同じくらいに早く反応し、合金に外側から材料を減らさせる。これは今度は、粒界に沿った材料かさの脆弱化、及び合金の材料かさからの粒の分離を防止する。しかしながら、粒径が増加すると、表面積対体積比が低下する。各粒は大きくなり、吸収されるのにより時間がかかり、これによって粒界に添って分解が行われる可能性が高くなり、合金の材料かさにより深く浸透して合金の強度を低下させる。
本発明の鉄反応性成分を含有する合金の生分解速度はさらに、個々の粒の粒径及び表面積対体積比を制御することで変更することができる。粒径が同等の表面積対体積比の低下を伴って増加すると、生分解はデバイスの中心に向けてより速く進行し、全生分解速度を速くする。しかしながら、粒径が大きすぎると粒の分離を引き起こしたり悪影響を及ぼしたりする可能性がある。
いくつかの実施形態では、鉄反応性成分を含有する合金はオーステナイト合金である。特定の実施形態では、オーステナイト合金は各辺で約0.5マイクロメートル〜約20マイクロメートルの平均粒径を有する。例えば、特定の実施形態では、平均粒径は各辺で約0.5マイクロメートル〜約5.0マイクロメートル、約2.5マイクロメートル〜約7.5マイクロメートル、約5.0マイクロメートル〜約10マイクロメートル、約7.5マイクロメートル〜約12.5マイクロメートル、約10マイクロメートル〜約15マイクロメートル、約12.5マイクロメートル〜約17.5マイクロメートル、または約15マイクロメートル〜約20マイクロメートルである。特定の実施形態では、平均粒径は各辺で約0.5から約3.0マイクロメートル、または約1.0マイクロメートル〜約2.0マイクロメートルである。特定の実施形態では、オーステナイト合金は、個々の粒の表面積対体積比が、平均して、0.1μ−1より大きい構造を有する。例えば、特定の実施形態では、個々の粒の表面積対体積比は、平均して、0.2μ−1、0.3μ−1、0.4μ−1、0.5μ−1、0.6μ−1、0.7μ−1、0.8μ−1、0.9μ−1、1.0μ−1、1.5μ−1、2.0μ−1、2.5μ−1、3.0μ−1、3.5μ−1、4.0μ−1、4.5μ−1、5.0μ−1、6.0μ−1、7.0μ−1、8.0μ−1、9.0μ−1、10.0μ−1、11.0μ−1、12.0μ−1、13.0μ−1、14.0μ−1、15.0μ−1より大きい。
約0.5マイクロメートル〜約20マイクロメートルのオーステナイト粒径は、合金を分解するための機械加工の連続的なサイクルを受け、続いて熱再結晶化することで得ることができる。材料の機械加工は、低温(すなわち、室温から200℃)または昇温で行われたとしても、物理的に合金を強制的に新しい形状とすることで結晶構造のひずみ誘起による分裂を引き起こす。最も一般的な金属の機械加工の方法は、2つの高圧ロールの間で金属のシートの厚さを少なくして、既存の材料が元の厚さよりも実質的に薄くなるように(例えば、20%〜60%薄く)させる方法である。引出しなどの他の方法もまた、使用可能である。金属を機械的に加工する工程は、より大きい、隣接する格子単位を異なる構造に分解する。より重要なのは、格子構造距離をより高いエネルギー構成にひずませることで、実質的なひずみ誘起によるエネルギーをまげられた格子のメンバーに蓄積することである。その後の、合金の絶対溶融温度の約0.35から約0.55倍で行われる低温度再結晶は、全体的なマクロ形状を変えずに、より低いエネルギー状態への格子構造の再構成を行わせる。形状における肉眼的な変化無く、格子再構成に適合するには、個々の格子サブユニット、または粒の大きさを減少させて、格子をより小さなサブユニットに分解することで実質的なひずみエネルギーを放させて、より細かい粒構造を生成させる。再結晶化が続く機械加工の工程は連続的に繰り返すことができ、さらに細かい粒を生成させ得る。
特定の実施形態では、オーステナイト合金は炭素を含む。例えば、特定の実施形態では、合金は約0.01%〜約0.10%、約0.02%〜約0.12%、約0.05%〜約0.15%、約0.07%〜約0.17%、約0.10%〜約0.20%、約0.12%〜約0.22%、または約0.15%〜約0.25%の炭素を含む。特定の実施形態では、オーステナイト合金は、ニッケル、コバルト、アルミニウム、及びマンガンからなるリストから選択される1つ以上(例えば、2つ以上)の元素を含む。特定の実施形態では、合金は、約2.0%〜約6.0%、約3.0%〜約7.0%、約4.0%〜約8.0%、または約5.0%〜約9.0%のニッケルを含む。他の実施形態では、合金はニッケルを実質的に含まない。特定の実施形態では、合金は、約10%〜約20%、約15%〜約20%、約15%〜約25%、約18%〜約23%、約20%〜約25%、または約20%〜約30%のコバルトを含む。特定の実施形態では、合金は、約5.0%未満(例えば、約4.5%、約4.0%、約3.5%、約3.0%、または約2.5%未満)のマンガンを含む。特定の実施形態では、合金は、約0.5%〜約1.5%、約1.0%〜約2.0%、または約1.5%〜約2.5%のマンガンを含む。他の実施形態では、合金は、約1.0%〜約8.0%、約6.0%〜約10%、約8.0%〜約12%、または約10%〜約14%のマンガンを含む。他の実施形態では、合金は、約10%〜約50%、約15%〜約45%。約20%〜約40%、約25%〜約35%、または約25%〜約30%のマンガンを含む。特定の実施形態では、オーステナイト合金は、クロム、モリブデン、及びタンタルからなるリストより選択される1つ以上(例えば、2つ以上)の元素を含む。特定の実施形態では、合金は、約0.5%〜約1.5%、約1.0%〜約2.0%、約1.5%〜約2.5%、または約2.0%〜約3.0%のクロムを含む。他の実施形態では、合金はクロムを実質的に含まない。特定の実施形態では、合金は、約0.5%〜約1.5%、約1.0%〜約2.0%、約1.5%〜約2.5%、または約2.0%〜約3.0%のモリブデンを含む。特定の実施形態では、合金は、約1.0%〜約3.0%、約2.0%〜約4.0%、約3.0%〜約5.0%、または約4.0%〜約6.0%のタンタルを含む。特定の実施形態では、オーステナイト合金は(i)炭素、(ii)ニッケル、コバルト、アルミニウム、及びマンガンからなるリストより選択される少なくとも2つの元素、ならびに(iii)クロム、モリブデン、及びタンタルからなるリストより選択される少なくとも2つの元素を含む。
分解のパターンとは別に、本発明の埋め込み型医療デバイスを作製する上で用いられる合金中の分解速度及び潜在的に毒性の元素の解放を制御する必要がある。合金を作製する上で用いられる特定の元素は、結果として得られる合金の物理的及び化学的特性を求める補助をする。例えば、少量の炭素を鉄に加えることは、鉄の構造を変化させ、硬さ及び強度が大きく向上した鋼を生成する一方で、鉄に対する可塑性を変化させる。同様に、ステンレス鋼は、クロム及びモリブデン等の腐食を低下させる元素(すなわち、耐食成分)を鉄に添加することで作製される。生体系における腐食に耐えるステンレス鋼は、例えば、18%のクロム及び1%のモリブデンを含有することができる。チタン、ニオブ、タンタル、バナジウム、タングステン、ジルコニウム、及びハフニウムは同等に、生体系における鋼の分解速度を遅くさせる保護効果を提供する。
意図する生体系において分解されないステンレス鋼は、生分解性インプラント内での使用に典型的に好適でない。よって、クロム、モリブデン、チタン、及びタンタルなどの耐食元素を多量に有する合金は、通常は本発明の生分解性埋め込み型医療デバイスを作製するのに用いることができない。しかしながら、少量のかかる耐食元素は、好適な合金の生分解速度を制御する上で有用である。したがって、特定の実施形態では、本発明の生分解性埋め込み型医療デバイスを作製する上で有用な合金(例えば、オーステナイト合金)は、少なくとも約0.5%、約1.0%、約1.5%、約2.0%、約2.5%、約3.0%、または約3.5%、ただし約15%、約12%、約11%、約10%、約9.0%、約8.0%または約7.0%未満の耐食成分を含有する。例えば、特定の実施形態では、合金は、約1.0%〜約7.0%、約2.0%〜約8.0%、または約3.0%〜約9.0%の耐食成分を含有する。特定の実施形態では、合金(例えば、オーステナイト合金)は、約3.0%、約3.5%、約4.0%、約4.5%、約5.0%、約5.5%、約6.0%、約6.5%、または約7.0%の耐食成分を含有する。特定の実施形態では、耐食成分は、合金中の耐食元素(例えば、クロム、モリブデン、タングステン、タンタル、ニオブ、チタン、ジルコニウム、ハフニウム等)の割合の合計として計算される。他の実施形態では、耐食成分は合金中の全ての耐食元素の加重和である。例えば、特定の実施形態では、加重和における個別の元素は、クロムと比較して、それらの耐食有効性に従って加重される。特定の実施形態では、加重%耐食成分は以下の式に従って求められる:%クロム+%モリブデン+%タングステン+0.5(%タンタル+%ニオブ)+2(%チタン+%ジルコニウム+%ハフニウム)。
クロム及びモリブデン等の耐食元素は、フェライト促進性であり、鋼にフェライト構造を形成させる傾向がある。かかるフェライト促進を克服してオーステナイト構造を得るために、合金にオーステナイト促進元素を添加することができる。オーステナイト促進元素には、例えば、ニッケル、マンガン、コバルト、プラチナ、パラジウム、イリジウム、アルミニウム、炭素、窒素、及びシリコンが含まれる。したがって、特定の実施形態では、本発明の埋め込み型医療デバイスを作製するのに有用な合金(例えば、オーステナイト合金)は、オーステナイト促進成分を含有する。特定の実施形態では、合金は、約10%〜約20%、約15%〜約25%、約20%〜約30%、約25%〜約35%、または約30%〜約40%のオーステナイト促進成分を含有する。特定の実施形態では、合金は、少なくとも約10%、約12%、約14%、約16%、約18%、約20%、約22%、約24%、約26%、約28%、または約30%のオーステナイト促進成分を含有する。特定の実施形態では、オーステナイト促進成分は、合金中のオーステナイト促進元素(例えば、ニッケル、コバルト、マンガン、プラチナ、パラジウム、イリジウム、アルミニウム、炭素、窒素、シリコン等)の割合の合計として計算される。他の実施形態では、オーステナイト促進成分は合金中のオーステナイト促進元素の加重和である。特定の実施形態では、加重和における個別の元素は、ニッケルと比較して、それらのオーステナイト促進有効性に従って加重される。特定の実施形態では、加重%オーステナイト促進成分は以下の式に従って計算される:%ニッケル+%プラチナ+%パラジウム+%イリジウム+0.5(%マンガン+%コバルト)+30(%炭素+%窒素)。特定の実施形態では、合金は、約15%〜約25%(例えば、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、または約25%)の加重%オーステナイト促進成分を含有する。特定の実施形態では、合金は、約25%〜約35%(例えば、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、または約35%)の非加重%オーステナイト促進成分を含有する。
特定の実施形態では、本発明の埋め込み型医療デバイスを作製する上で有用な鉄反応性成分を含有する合金(例えば、鉄反応性成分を含有するオーステナイト合金)は、約5.0%未満(例えば、約0.1%〜約2.5%、約0.5%〜約3.0%、約1.0%〜約3.5%、約1.5%〜約4.0%、または約2.0%〜約4.5%)のプラチナ、イリジウム、及びオスミウムを、個別にまたは合計で含有する。特定の実施形態では、合金は、プラチナ、パラジウム、またはイリジウムを実質的に含有しない。本明細書で用いられる、プラチナ、パラジウム、またはイリジウムを「実質的に含まない」は、合金が0.1%未満のプラチナ、パラジウム、またはイリジウムを含むことを意味する。特定の実施形態では、合金は、プラチナ、パラジウム、及びイリジウムを実質的に含有しない。特定の実施形態では、合金は、プラチナ、パラジウム、またはイリジウムをそれぞれ、約0.05%未満、または約0.01%で含む。特定の実施形態では、合金は、プラチナ、パラジウム、及びイリジウムをそれぞれ、約0.05%未満、または約0.01%未満で含有する。他の実施形態では、合金中のプラチナ、イリジウム、及びオスミウムの合計量は約5.0%以上であり、合金はさらに、鉄、マンガン、プラチナ、イリジウム、及びオスミウム以外の少なくとも1つの追加の金属元素を含む(例えば、当該少なくとも1つの追加金属元素の少なくとも約0.5%以上)。特定の実施形態では、当該少なくとも1つの追加の金属元素は耐食元素(例えば、クロム、モリブデン、タングステン、チタン、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、またはハフニウム)、もしくはニッケル、コバルト、及びアルミニウムからなる群より選択されるオーステナイト促進元素である。
ヒトまたは動物体に埋め込まれた生分解性鉄反応性成分を含有する合金は、合金中の全ての元素がいずれは体液内に溶解されるために比較的無毒性でなければならない。ニッケルは、しばしばオーステナイト結晶構造を安定させるために用いられる。しかしながら、多くのヒトがニッケルアレルギーを有し、身体の中のニッケルイオンに耐えられない。生分解性合金の一部としてニッケルを有することは、合金中のニッケルの全てがいずれは受容者の体によって吸収されることを保証し、このことはニッケルに敏感な個体内での合併症を引き起こし得る。同様に、クロム、コバルト、及びバナジウムはヒトの体内で何かしらの毒性を有し、生分解性合金において最小限に抑えられるべきである。したがって、特定の実施形態では、本発明の生分解性埋め込み型医療デバイスを作製する上で有用な合金(例えば、オーステナイト合金)は、ニッケル、バナジウム、クロム、及びコバルトをそれぞれ約9.0%、約8.0%、約7.0%、約6.0%、約5.0%、約4.0%、約3.0%、約2.5%、約2.0%、約1.5%、約1.0%、または約0.5%未満で含む。特定の実施形態では、合金はニッケルを実質的に含有しない。本明細書で用いられる、語句「ニッケルを実質的に含まない」とは、合金が0.1%以下のニッケルを含有することを意味する。特定の実施形態では、合金は、約0.05%未満、約0.02%未満、または約0.01%未満のニッケルを含有する。特定の実施形態では、合金はバナジウムを実質的に含有しない。本明細書で用いられる、語句「バナジウムを実質的に含まない」とは、合金が0.1%以下のバナジウムを含有することを意味する。特定の実施形態では、合金は、約0.05%未満、約0.02%未満、または約0.01%未満のバナジウムを含有する。特定の実施形態では、合金は約4.0%未満のクロム(例えば、約3.0%、約2.0%、または約1.5%未満)を含有する。特定の実施形態では、合金はクロムを実質的に含有しない。本明細書で用いられる、クロムを「実質的に含まない」という語句は、合金が0.1%以下のクロムを含むことを意味する。特定の実施形態では、合金は、約0.05%未満、約0.02%未満、または約0.01%未満のクロムを含有する。特定の実施形態では、合金は、約6.0%未満(例えば、約5.0%、約4.0%、約3.0%、約2.0%、または約1.0%未満)のコバルトを含有する。
本発明の生分解性埋め込み型医療デバイスを生成する上で用いられる合金から毒性元素を除去するか最小限に抑えるためには、毒性元素を無毒性の同等物と交換することができる。例えば、ニッケルがオーステナイト促進元素として用いられているため、これを他のオーステナイト促進元素、例えば、マンガン、コバルト、プラチナ、パラジウム、イリジウム、アルミニウム、炭素、窒素、及びシリコンと入れ替え可能である。同様に、耐食元素としてクロムが用いられているため、これを他の耐食元素、例えばモリブデン、タングステン、チタン、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、及びハフニウムと入れ替え可能である。しかしながら、全ての合金置換が等価ではない。耐食効果については、モリブデンはクロムと同等に効果的であるが、ニオブとタンタルはクロムの半分しか効果的でなく、チタンはクロムの倍で効果的である。オーステナイト促進効果については、マンガンとコバルトはニッケルの半分しか効果的でないが、炭素はニッケルよりも30倍より効果的であり、窒素はニッケルよりも25〜30倍で効果的である。したがって、特定の実施形態では、ニッケル1部を、マンガン2部、マンガン1部とコバルト1部、またはコバルト2部と入れ替えることで、生分解性合金は非アレルギー性またはより低アレルギー性となる。他の実施形態では、クロム1部をモリブデン1部、チタンを2分の1部、またはタンタルもしくはニオブ2部と入れ替えることで、生分解性合金は無毒性またはより低毒性となる。いくつかの実施形態では、マンガンの合計割合は、約10%〜約50%、約15%〜約45%、または約20%〜約40%、約25%〜約35%、または約25%〜約30%、または約30%である。特定の実施形態では、ニッケル、コバルト及びマンガンの合計割合は、約10%〜約50%、約15%〜約45%、または約20%〜約40%、約25%〜約35%、または約25%〜約30%であり、ニッケルの割合は約9.0%、約8.0%、約7.0%、約6.0%、約5.0%、約4.0%、または約3.0%未満である。他の実施形態では、クロム及びモリブデンの合計割合は約1.0%〜約7.0%、約2.0%〜約8.0%、約3.0%〜約9.0%、または約4.0%〜約10%であり、クロムの量は約2.0%、約1.5%、約1.0%、または約0.5%未満である。
本発明の生分解性埋め込み型医療デバイスを作製する上で有用な合金に含むことができる追加の元素には、ロジウム、レニウム、及びオスミウムが含まれる。特定の実施形態では、合金中のロジウム、レニウム、またはオスミウムの量は、約5.0%未満(例えば、約0.1%〜約2.5%、約0.5%〜約3.0%、約1.0%〜約3.5%、約1.5%〜約4.0%、または約2.0%〜約4.5%)である。特定の実施形態では、合金中にロジウム、レニウム、またはオスミウムを実質的に含まない。本明細書で用いられる、ロジウム、レニウム、またはオスミウムを「実質的に含まない」は、合金が約0.1%未満のロジウム、レニウム、またはオスミウムを含有することを意味する。特定の実施形態では、合金中にロジウム、レニウム、及びオスミウムを実質的に含まない。特定の実施形態では、合金は、ロジウム、レニウム、またはオスミウムを、約0.05%未満、または約0.01%未満で含有する。特定の実施形態では、合金は、ロジウム、レニウム、及びオスミウムをそれぞれ約0.05%未満、または約0.01%未満で含有する。
特定の実施形態では、本発明の生分解性埋め込み型医療デバイスを作製する上で有用な合金に、プラチナ、パラジウム、イリジウム、ロジウム、レニウム、及びオスミウムからなる群より選択される1つ以上の元素が存在する場合、合金中のマンガンの量は約5.0%未満(例えば、約4.5%、約4.0%、約3.5%、約3.0%、または約2.5%)である。他の実施形態では、合金中にプラチナ、パラジウム、イリジウム、レニウム、ルビジウム、及びオスミウムからなる群より選択される1つ以上の元素が存在し、合金中のマンガンの量が約5.0%以上(例えば、約5.0%〜約30%)である場合、合金はさらに少なくとも1つの追加の金属元素を含む。特定の実施形態では、少なくとも1つの追加の金属元素は、耐食元素(例えば、クロム、モリブデン、タングステン、チタン、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、またはハフニウム)、もしくは、ニッケル、コバルト、及びアルミニウムからなる群より選択されるオーステナイト促進元素である。
特定の実施形態では、本発明の生分解性埋め込み型医療デバイスを作製するのに有用な合金は、ルビジウムまたはリンを実質的に含有しない。本明細書に用いられる、ルビジウムまたはリンを「実質的に含まない」とは、0.1%未満のリンのルビジウムを意味する。特定の実施形態では、合金はルビジウム及びリンを実質的に含有しない。特定の実施形態では、合金は約0.05%未満、または約0.01%未満のルビジウムまたはリンを含有する。特定の実施形態では、合金はルビジウム及びリンをそれぞれ約0.05%未満、または約0.01%未満で含有する。
特定の実施形態では、本発明は、容認できる程度で非アレルギー性、無毒性であり、磁化率をほとんどまたは全く有さず、低透磁率を有し、分解速度の有用な範囲を提供する、さまざまな生分解性合金(例えば、オーステナイト合金)を含む生分解性埋め込み型医療デバイスを提供する。以下は、本発明の生分解性埋め込み型医療デバイスにおいて有用な合金を定義する例示的境界である:
鉄反応性成分、
ニッケルを実質的に含まないこと、
バナジウムを実質的に含まないこと、
約6.0%未満のクロム、
約10%未満のコバルト、
約10%未満(例えば、約0.5%〜約10%)の耐食成分、及び
少なくとも約10%(例えば、約10%〜約40%)のオーステナイト促進成分。
特定の実施形態では、本発明は、容認できる程度で非アレルギー性、無毒性であり、磁化率をほとんどまたは全く有さず、低透磁率を有し、分解速度の有用な範囲を提供する、さまざまな生分解性合金(例えば、オーステナイト合金)を含む生分解性埋め込み型医療デバイスを提供する。以下は、本発明の生分解性埋め込み型医療デバイスにおいて有用な合金を定義する例示的境界である:
鉄反応性成分、
28%〜30%のマンガン、
0.07%〜0.09%の炭素、
0.18%〜0.22%のニオブ、
約10%未満(例えば、約0.5%〜約10%)の耐食成分、及び
少なくとも約10%(例えば、約10%〜約40%)のオーステナイト促進成分。
特定の実施形態では、本発明は、容認できる程度で非アレルギー性、無毒性であり、磁化率をほとんどまたは全く有さず、低透磁率を有し、分解速度の有用な範囲を提供する、さまざまな生分解性合金(例えば、オーステナイト合金)を含む生分解性埋め込み型医療デバイスを提供する。以下は、本発明の生分解性埋め込み型医療デバイスにおいて有用な合金を定義する例示的境界である:
鉄反応性成分、
28%〜30%のマンガン、
0.18%〜0.22%のニオブ、
<0.01%の炭素、
約10%未満(例えば、約0.5%〜約10%)の耐食成分、及び
少なくとも約10%(例えば、約10%〜約40%)のオーステナイト促進成分。
特定の実施形態では、本発明は、容認できる程度で非アレルギー性、無毒性であり、磁化率をほとんどまたは全く有さず、低透磁率を有し、分解速度の有用な範囲を提供する、さまざまな生分解性合金(例えば、オーステナイト合金)を含む生分解性埋め込み型医療デバイスを提供する。以下は、本発明の生分解性埋め込み型医療デバイスにおいて有用な合金を定義する例示的境界である:
鉄反応性成分、
28〜30%のマンガン、
0.07〜0.09%の炭素、
約10%未満(例えば、約0.5%〜約10%)の耐食成分、及び
少なくとも約10%(例えば約10%〜約40%)のオーステナイト促進成分。
特定の実施形態では、合金は約55%〜約80%の鉄を含有する。例えば、特定の実施形態では、合金は、約55%〜約65%、約60%〜約70%、約65%〜約75%、約70%〜約80%の鉄を含有する。特定の実施形態では、クロムの量は約4.0%未満であり、コバルトの量は約6.0%未満である。特定の実施形態では、クロムの量は約2.0%未満であり、コバルトの量は約4.0%未満である。特定の実施形態では、耐食成分は約8.0%未満(例えば、約0.5%〜約8.0%)であり、オーステナイト促進成分は約12%より多い。特定の実施形態では、耐食成分は約7.0%未満未満(例えば、約0.5%〜約7.0%)であり、オーステナイト促進成分は約14%より多い。特定の実施形態では、耐食成分は約6.0%未満(例えば、約0.5%〜約6.0%)であり、オーステナイト促進成分は約16%より多い。特定の実施形態では、耐食及びオーステナイト促進成分はそれぞれ、耐食及びオーステナイト促進元素の割合の合計として計算される。他の実施形態では、耐食及びオーステナイト促進成分はそれぞれ耐食及びオーステナイト促進元素の加重和として計算される。特定の実施形態では、加重%耐食成分は以下の式に従って求められる:%クロム+%モリブデン+%タングステン+0.5(%タンタル+%ニオブ)+2(%チタン+%ジルコニウム+%ハフニウム)。特定の実施形態では、加重%オーステナイト促進成分は以下の式に従って計算される:%ニッケル+%プラチナ+%パラジウム+%イリジウム+0.5(%マンガン+%コバルト)+30(%炭素+%窒素)。特定の実施形態では、合金は約5.0%未満のマンガンを含有する(例えば、約4.5%、約4.0%、約3.5%、約3.0%、または約2.5%未満)。特定の実施形態では、合金は、プラチナ、パラジウム、イリジウム、ロジウム、レニウム、及びオスミウムからなる群より選択される1つ以上の元素を含有する。特定の実施形態では、合金は、プラチナ、パラジウム、イリジウム、ロジウム、レニウム、及びオスミウムからなる群より選択される1つ以上の元素を約0.5%〜約5.0%で含有する。特定の実施形態では、合金は、プラチナ、パラジウム、イリジウム、ロジウム、レニウム、及びオスミウムからなる群より選択される元素を実質的に含有しない。特定の実施形態では、合金は、ルビジウム及びリンからなる群より選択される元素を実質的に含有しない。
本発明の埋め込み型医療デバイスの生分解速度は、合金中に鉄反応性成分が存在することで向上される。このようにして、埋め込み型医療デバイスの合金にハロゲン成分を組み込むことで、生分解性を向上させる新規の方法を提供する。いくつかの実施形態では、鉄反応性成分を含有する合金は、体液と接触するとその体液と反応する。いくつかの実施形態では、生物学的対象に埋め込まれたときの鉄反応性成分を含む合金の分解速度は、鉄反応性成分の欠如以外は同一の組成を有する合金の分解速度よりも速い。いくつかの実施形態では、本発明の埋め込み型医療デバイスは、純水またはハロゲン成分を含有しない溶液中に入れられると、1日に1平方インチ当たり約1〜100mg、1日に1平方インチ当たり約1〜50mg、1日に1平方インチ当たり約1〜20mg、1日に1平方インチ当たり約1〜10mg、1日に1平方インチ当たり約1〜5mg、または1日に1平方インチ当たり約1〜1.5mgの分解速度を有する。いくつかの実施形態では、本発明の埋め込み型医療デバイスは、純水またはハロゲン成分を含有しない溶液中に入れられると、1日に1平方インチ当たり約1〜2mgの分解速度を有する。いくつかの実施形態では、本発明の埋め込み型医療デバイスは1日に1平方インチ当たり約1.2及び1.4mgの分解速度を有する。ヒトまたは動物体における生分解性材料の分解速度は、埋め込み型医療デバイスを囲む環境の関数である。
鉄反応性成分がハロゲン成分である実施形態では、ハロゲンを含有する環境中での生分解性材料の分解は、より低濃度のハロゲンまたはハロゲンが不足する環境(すなわち、低ハロゲンまたはハロゲン不在環境)中のものよりも速い。環境中のハロゲンは埋め込み型医療デバイスの分解を加速させるが、酸化物、ホスフェート、及びカルボネートを含む分解生成物の一部とはならない。生分解速度は、埋め込み型医療デバイスが浸漬される溶液中にハロゲンが存在することによってもさらに向上される。いくつかの実施形態では、生分解速度は、合金中にハロゲン成分が存在することで向上される。いくつかの実施形態では、生分解速度は埋め込み型医療デバイスの外側にハロゲン成分が存在することで向上される。
インプラント全体の分解は、付加的にその表面積と比較したインプラントの質量のである。インプラントは多くの異なる大きさや形状で提供される。典型的な冠状動脈ステントは、例えば、0.0186グラムの重さを有し、0.1584平方インチの大きさを有する。1mg/平方インチ/日の分解速度で、冠状動脈ステントは30日でその質量の50%を失うであろう。それと比較して、12mm長のカニューレ処置された骨ねじは0.5235gの重さを有し、0.6565平方インチの表面積を有する。1mg/平方インチ/日の同一分解速度で、カニューレ処置されたねじはその質量の半分を363日で失うであろう。よって、当業者であれば容易に認識できるように、対象の体内で用いられる多種多様のインプラントに適合するために、さまざまな分解速度を有する生分解性合金を有することが望ましい。
さらに、本発明の埋め込み型医療デバイスの生分解速度は、その周囲の組織の運搬特徴によって著しく影響される。例えば、体内の残りへの運搬が流体流の不足によって制限される、骨に設置されたインプラントの生分解速度は、血流に露出される血管ステントデバイスよりも遅いであろう。同様に、組織に埋め込まれた生分解性デバイスは、デバイスが骨に埋め込まれる場合よりも速い分解速度ではあるが血流に露出するデバイスよりも遅い分解速度を有する。また、医療デバイスの異なる端は、例えば、一方の端が骨の中に位置し、他方の端が組織または血液の中に位置する場合、異なる速度での分解を経験し得る。よって、デバイスの位置及び最終的なデバイス要件に基づいて生分解速度を調節することが望ましい。
医療デバイスの分解速度を、デバイスが分解するにつれて発生する形状変化とは独立して制御するために、いくつかの方法が開発されている。金属デバイスの溶解プロファイルを改めるための第1の方法は、表面積における大きな変化が中和されるように、デバイスの形状を改めることである。例えば、表面積対質量比を増加させるまたは最大化し得る。デバイスが分解するにつれて直径が減少すると共に線状に表面積を失う実質的に円柱のデバイスは、デバイスの中心に同心孔をドリルで開けることができる。結果として得られる空洞は、合金がデバイスの管腔表面から溶解されるように表面積の相殺的な増加を引き起こす。結果として、デバイスが経時的に分解される際の表面積の変化、ひいては分解速度の変化は、最小限に抑えられるか排除される。管腔空間を形成する同様の方法(例えば、デバイスの外表面に類似する形状を有する管腔空間)は、基本的にいずれの種類の医療デバイスと共に実施されてもよい。
生分解速度が部分的に体液流への露出の関数であるために、生分解速度は、生分解性埋め込み型医療デバイスを、合金表面を保護する物質でコーティング(例えば、全てまたは一部)することによって変更することができる。例えば、米国特許第6,368,356号に開示されるもの等の生分解性ヒドロゲルを用いることで、流動性の体液に露出されるデバイスの任意の部分への露出を遅らせて、それによって金属イオンの溶解とデバイスから離れるように運搬するのを遅らせることができる。あるいは、医療デバイスは、本明細書に記載される異なる2つ以上の合金を用いて組立てることができ、流動性体液に露出されるデバイスの部分はより耐食性を有する合金(すなわち、より多い量の耐食成分を含む合金)から作製される一方で、骨または組織に埋め込まれるデバイスの部分はより低耐食の合金から作製される。特定の実施形態では、デバイスの異なる部分は完全に異なる合金から作成可能である。他の実施形態では、流動性体液に露出されるデバイスの部分は、デバイスの大半を作製するのに用いられる合金よりも耐食性を有する合金の薄い層またはコーティングを有することができる。
埋め込み型医療デバイス上に、生物活性剤(例えば、薬剤)を組み込むことが頻繁に望まれる。例えば、米国特許第6,649,631号は、整形外科用インプラントと共に用いることができる、骨の成長を促進させる薬剤を主張する。生物活性剤は、本発明の埋め込み型医療デバイスの表面に直接組み込んでもよい。例えば、薬は、米国特許第6,368,356号のヒドロゲルなどの高分子コーティングと混合することができ、高分子コーティングはデバイスの表面に塗布することができる。あるいは、生物活性剤は、薬が時間と共にゆっくり放されるように、貯蔵所として作用する医療デバイスの空洞または孔に投入可能である。孔は、薬剤の比較的早い排出を可能とする医療デバイスの表面上、または医療デバイスを作製するために用いられる合金の全体構造の一部に存在し、デバイスの有用寿命のほとんどまたは全てにわたって徐々に生物活性剤が放されるようにすることができる。生物活性剤は、治癒プロセスを向上させるのに有用な、例えば、ペプチド、核酸、ホルモン、化学薬品、またはその他の生物剤であり得る。
当業者が容易に認識し得るように、本明細書に開示される合金を用いて作製可能である埋め込み型医療デバイスは豊富にある。特定の実施形態では、埋め込み型医療デバイスは高引張性骨アンカーである(例えば、分離した骨節の修復のため)。他の実施形態では、埋め込み型医療デバイスは高引張性骨ねじである(例えば、破砕された骨節を締結するため)。他の実施形態では、埋め込み型医療デバイスは高引張性骨固定デバイスである(例えば、大きい骨のため)。他の実施形態では、埋め込み型医療デバイスは組織を締結するためのステープルである。他の実施形態では、埋め込み型医療デバイスは頭蓋顎顔面再建プレートまたは締結具である。他の実施形態では、埋め込み型医療デバイスは歯科インプラント(例えば、再建用歯科インプラント)である。まだ他の実施形態では、埋め込み型医療デバイスはステントである(例えば、動物体の臓器における開口部の内腔を維持するため)。
粉末金属技術は医療デバイス界で周知である。複雑な形状を有する骨締結具は粉末金属をキャリア内にて高圧成型して、続いて高圧焼結で金属粒子をつなげ、残留キャリアを除去することで製造される。粉末金属デバイスは典型的に、316LSステンレス鋼などの無反応性金属から製造される。完成したデバイスの多孔性は、部分的に、その部分を製造するのに使われる金属粒子径の関数である。金属粒子がもっと大きく、金属の結晶構造中の粒に対して構造上独立しているため、金属粒子(及びかかる粒子から作製されるデバイス)は、いかなる粒径の合金からも作製可能である。よって、本発明の生分解性埋め込み型医療デバイスは、本明細書に記載されるいずれの合金から作製される粉末からも製造可能である。粉末金属製造方法の結果として得られる多孔性は、例えば、医療デバイスの孔を生分解性高分子で充填することによって活用することができる。高分子は、埋め込まれたデバイスの全てまたは一部の生分解速度を遅らせるのに用いることができる、及び/またはデバイスを囲む組織の治癒を向上させる生物活性剤(例えば、薬剤)と混合してもよい。粉末金属デバイスの多孔性が薬剤で充填されている場合、薬剤はデバイスの分解によって露出されながら送られ、よって組織に薬剤を、デバイスが存在して分解し続ける間はずっと提供し続ける。
特定の実施形態では、埋め込み型医療デバイスはヒトへの埋め込みのために設計される。他の実施形態では、埋め込み型医療デバイスはペット(例えば、イヌまたはネコ)への埋め込みのために設計される。他の実施形態では、埋め込み型医療デバイスは家畜(例えば、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ等)への埋め込みのために設計される。まだ他の実施形態では、埋め込み型医療デバイスは動物園の動物への埋め込みのために設計される。
別の態様では、本発明は、本発明の埋め込み型医療デバイスを収容する容器を提供する。特定の実施形態では、容器は、箱(例えば、デバイスを貯蔵する、販売する、または出荷するための箱)等のパッケージング容器である。特定の実施形態では、容器はさらに説明書を含む(例えば、医療手順にて埋め込み型医療デバイスを用いるため)。
本明細書に引用される全ての公報、特許出願、及び発行済み特許は、それぞれの個々の公報、特許出願、または発行済み特許が具体的にかつ個別にその全体が参照により援用されるかのように、参照により援用される。
以下の実施例は、本発明を図示することを意図し、本発明をいずれの様態、形状、または形態にも、明白にまたは暗に制限する意図はない。記載の具体的な合金は、本発明の埋め込み型医療デバイスに使用可能な合金を例示するが、当業者であれば、本明細書に照らして他の好適な合金を容易に識別することができるであろう。上述の発明は、その理解の明白性の目的で図示及び例示によっていくらか詳細に記載されているが、本発明の教示に照らして、添付の特許請求の範囲に関する精神または範囲を逸脱することなく一定の変化及び変更が可能であることは、当業者であれば用意に理解できるであろう。以下の実施例は図示目的のみで提供されており、制限する目的は無い。当業者であれば、実質的に同様の結果を得るために変化または変更可能な、重要でないパラメータを容易に認識することができるであろう。
実施例1:
背景:生分解性金属系は、心血管、整形外科、外科、及び他の用途での使用のために開発されている。生分解性金属の利点は、高強度を有し、身体から完全に排除されるまで身体によって溶解されて経時的に排出されることである。これらの材料は、骨の固定または動脈の修復等のためにインプラントが短期間必要であり、そのインプラント部位で治癒された後に悪影響を及ぼす可能性がある場合に非常に有用である。ステントは、機能を果たさなくなった後に長い間残されると狭窄性病変を引き起こす可能性があり、骨固定デバイスは長期にわたる不快さを引き起こす可能性があり、不要となった後に頻繁に取り外される。生分解性材料系の一例としては、表面から分解して、インプラントの非分解部分の大半の性質を結果的に失わないインプラント用の生分解性金属を開示する、米国特許第8,246,762号が挙げられる。
ヒトまたは動物の体内での生分解性材料の分解性能は、インプラントを囲む環境に依存するものである。塩化ナトリウムまたは塩化カリウムを含有する環境内での生分解性材料の分解は、低塩化ナトリウムまたは塩化カリウム環境内でのものに比べてより速い。環境における塩化物は分解を加速させるが、通常は酸化物、ホスフェート、及びカルボネートである分解生成物の一部にはならない。血液、胆液、骨髄、またはリンパ液等の体液の流れに直接露出する領域における分解は、分解に必要な流体の流れがインプラントに組織膜にわたって運搬される組織または骨に埋め込まれた材料よりも速い。インプラントの部位により多くの流体及び塩化物が運搬されると、生分解は加速し、分解された材料がより速く部位から運搬されることができる。
1つのかかる材料は、マンガンを28%、ニオブを0.2%、炭素を0.08%、及び残りは鉄を含有する鉄合金である。水中0.9%塩化ナトリウム塩分(生理食塩水)の溶液中に入れられると、材料は1日に表面の1平方インチ当たり1.2mgの速度で分解する。0.69インチ長さ×0.39インチ幅×0.025厚さの材料の試料を精製水中に123日間入れた。試料は表面を、生理食塩水の分解速度のおよそ半分である、1日に表面の1平方インチ当たり0.7mgで失った。体内に埋め込まれて組織または骨に囲まれると、材料の分解はインプラント部位を行き来する体液の量及び内容に左右され、分解は遅くなる。しかしながら、インプラント表面での塩化物含有量を増加させることができれば、分解速度を上げることができる。
開示:鉄系金属の分解プロファイルが、合金に、鉄系合金に反応性を有する材料を、その作製時に、またはその最終形成後に合金の表面に添加して、含めることで変更可能であることが見出された。精製水と比べて生理食塩水溶液中で合金の分解が増加することによって示されるように、鉄系合金は塩化物イオンと反応する。いくつかの体液は塩化物不足となる可能性がある。合金に塩化物を添加することで、流体組成に関係なく、表面または合金に位置する塩化物を、流体に接触すると合金と反応させる。さらに、合金の表面にある塩化物は部位にて浸透圧平衡を狂わせて、部位に移動する流体を増加させる。鉄系化合物の分解を増加させるのは塩化物イオンだけではなく、フッ化物及びヨウ化物及び臭化物等の他のハロゲンも同様の効果を有する。
ハロゲンを合金に添加することは、溶融時に合金混合物の溶融温度よりも高い沸点を有する少量のハロゲン化合物を添加することで実現することができる。いくつかの実施形態では、ハロゲン化合物は合金温度に加熱する際に安定であり、粒界での感知できるような分離無しで合金に分散可能である。有用な化合物の例は、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化銅、塩化銀、塩化カルシウム及び塩化鉄である。
およそ28%のマンガン、0.2%のニオブ、0.08%の炭素、及び残りが鉄の4つのインゴットを、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、フッ化ナトリウム、及び塩化銅の塩から1つの塩化物を100ppm添加して作製した。作製されたインゴットは熱間加工され、およそ0.025インチの厚さに冷延された。各インゴットの試料は、塩化物またはフッ化物が存在しない精製水中に入れられ、1日に試料の1平方インチ当たり1.2〜1.4mgの分解速度、つまり、塩化物源を添加しない基材の生理食塩水における期待分解速度を経験させた。
あるいは、ハロゲンは、合金、または合金から作製されたインプラントの外表面に、塩素またはフッ素等のハロゲンを表面にイオン注入することによって、塗布してもよい。イオン注入は、半導体及び金属の化学構造及び特性を変更するために大規模で実施される、十分に理解されている工程である。金属の表面構造の上にハロゲンをイオン注入することで、表面における反応を加減することができ、ハロゲンは分解生成物によって消費されないため、部位から運搬されていかない限りは分解工程を続けるために利用可能となる。
28%のマンガン、0.2%のニオブ、0.08%の炭素、及び残りが鉄から構成される合金の試料を電界研磨し、シリコンウェハに締結して、その表面に1015個の分子の塩素を100kevの加速電圧でうまく埋め込んだ。実験はフッ素を用いて繰り返された。各試料は、1つの側が塩素及びフッ素のいずれかで埋め込まれて、反対側は天然の合金として残された。試料は蒸留水中に入れられて、毎日2回検査された。ハロゲンで埋め込まれた表面は1日で分解し始めたのに対し、そのままの表面は数日かかった。
実施例2:
向上された分解速度を有する生分解性材料の作製は、作製工程中にガス状の反応性成分の分圧を用いることを通して容易化されてもよい。例えば、金属合金の初期作製のための手順は、合金の所望の成分のいくつかまたは全てを真空誘導炉のるつぼに入れ、るつぼを空にして成分を真空下及び/またはアルゴンの分圧で溶融するというものである。いかなる特定の理論に束縛されるものでもないが、本発明では、アルゴンの分圧を用いて、所望の成分の蒸発的な欠損を最小化させることができ、かつ、炉に損傷を引き起こし得る炉チャンバ中の金属プラズマ形成を防ぐことができることが認識される。合金が完全に溶融及び混合された後に、型に流し入れられて冷却される。
いくつかの実施形態では、金属合金のいくつかの成分を溶融工程より後の段階で添加することが望ましい。溶融物に成分を添加するには、それらは添加チャンバに別々に含まれて、るつぼに適切な時に放される。いくつかの実施形態においてこの発明の反応性成分は、溶融工程の後の方に、溶融物が型に流し込まれる前に添加することができる。いくつかの実施形態では、溶融物中の反応性成分の量は、溶融物を囲む真空チャンバ内で反応性成分の分圧を用いることで、より良く制御することができる。反応性成分の分圧は、溶融物の反応性成分の化学活性とおよそ同等の化学活性を有することができる。反応性成分の分圧は、アルゴンの分圧の代わりに用いること、またはアルゴンの分圧に加えることができる。後者は溶融物の周りにより高い合計圧力を提供し、蒸発による損失をさらに減らすであろう。
この手順の例は、鉄、マンガン、ニオブ、及び炭素の主要合金成分の溶融を真空下にて溶融し、続いて200torアルゴンの分圧を加えることが挙げられる。溶融工程での適切な時に、チャンバ内の分圧はおよそ1torの塩素ガスの添加と共に上げられて、反応性塩化物の塩類が添加チャンバから溶融物に放される。溶融物は混合されて、型に流し入れられて冷却される。
本発明は現在好ましい実施形態を参照して記載されているが、本発明の精神を逸脱することなく当業者によって明白なさまざまな変化及び変更が可能であるように理解されるべきである。したがって、本発明は以下の特許請求の範囲によってのみ限定される。

Claims (27)

  1. 生分解性合金を有し、該生分解性合金がオーステナイトの構造を有しかつ鉄、少なくとも1つの追加の金属元素、および鉄反応性成分を含み、該鉄反応性成分が該生分解性合金中に約0.1ppm〜約500ppmの濃度で均等に分散し、かつ生物学的対象に埋め込まれたときの該生分解性合金の分解速度が、該鉄反応性成分の欠如以外は該生分解性合金と同一の組成を有する合金の分解速度よりも大きい、埋め込み型医療デバイスを形成する方法であって、
    混合物を産生するために、鉄および該少なくとも1つの追加の金属元素を溶融する工程;ならびに
    該生分解性合金を産生するために、該混合物に鉄反応性成分のガスを添加する工程
    を含む、方法
  2. 鉄反応性成分のガスが、少なくとも約0.1tor、少なくとも約0.2tor、少なくとも約0.5tor、少なくとも約0.8tor、少なくとも約1tor、少なくとも約2tor、少なくとも約5tor、少なくとも約10tor、少なくとも約50tor、または少なくとも約100torの分圧を有する、請求項に記載の方法
  3. 前記鉄反応性成分がハロゲン成分である、請求項1または2に記載の方法
  4. 前記ハロゲン成分が塩化物、フッ化物、臭化物、及びヨウ化物から選択される、請求項3に記載の方法
  5. 前記ハロゲン成分が塩化物またはフッ化物である、請求項に記載の方法
  6. 前記鉄反応性成分のガスを産生するために、鉄反応成分アルゴンガスと混合する工程をさらに含む、請求項のいずれか1項に記載の方法
  7. 前記アルゴンガスが、少なくとも約10tor、少なくとも約20tor、少なくとも約50tor、少なくとも約80tor、少なくとも約100tor、少なくとも約150tor、少なくとも約200tor、少なくとも約250tor、少なくとも約300tor、または少なくとも約500torの分圧を有する、請求項に記載の方法
  8. 精製水中に入れられると、前記埋め込み型医療デバイスが1日に1平方インチ当たり約1〜2mgの速度で分解する、請求項1に記載の方法
  9. 前記生分解性合金が、約0.5マイクロメートル〜約5.0マイクロメートルの平均粒径を有する、請求項1に記載の方法
  10. 前記生分解性合金が、該生分解性合金の絶対溶融温度の約0.55倍である最低再結晶温度にて安定である平均粒径を有する、請求項1に記載の方法
  11. 前記埋め込み型医療デバイスが、骨ねじ、骨アンカー、組織ステープル、頭蓋顎顔面(craniomaxillofacial)再建プレート、締結具、再建用歯科インプラント、またはステントである、請求項1に記載の方法
  12. 前記生分解性合金がオーステナイト促進成分及び耐食成分を含む、請求項1に記載の方法
  13. 前記生分解性合金が、約20重量%〜40重量%のマンガンを含有する、請求項1に記載の方法
  14. 前記生分解性合金が、約0.3重量%未満のニオブを含有する、請求項1に記載の方法
  15. 前記生分解性合金が、約1重量%未満の炭素を含有する、請求項1に記載の方法
  16. 前記生分解性合金がマンガン及びニオブを含む、請求項1に記載の方法
  17. 前記生分解性合金が、少なくとも約0.01重量%〜約0.1重量%の非金属元素を含む、請求項1に記載の方法
  18. 前記生分解性合金が、少なくとも約0.01重量%〜約0.1重量%の炭素を含む、請求項1に記載の方法
  19. 前記埋め込み型医療デバイスを治療的物質でコーティングする工程をさらに含む、請求項1に記載の方法
  20. 前記埋め込み型医療デバイスを生分解性ヒドロゲルでコーティングする工程をさらに含む、請求項1に記載の方法
  21. 表面積対質量比(surface to mass ratio)を最大化する形状を前記埋め込み型医療デバイスが有する、請求項1に記載の方法
  22. その中に形成された中空開口部または通路を前記埋め込み型医療デバイスが含む、請求項1に記載の方法
  23. 前記生分解性合金中の前記鉄反応性成分の前記濃度が、約1ppm〜約500ppm、約10ppm〜約300ppm、または約50ppm〜約150ppmである、請求項に記載の方法。
  24. 前記生分解性合金中の前記鉄反応性成分の前記濃度が約200ppmである、請求項に記載の方法。
  25. 生分解性合金を有し、該生分解性合金がオーステナイトの構造を有しかつ鉄、少なくとも1つの追加の金属元素、およびハロゲン含有塩を含み、該ハロゲン含有塩が該生分解性合金中に約0.1ppm〜約500ppmの濃度で均等に分散し、かつ生物学的対象に埋め込まれたときの該生分解性合金の分解速度が、該ハロゲン含有塩の欠如以外は該生分解性合金と同一の組成を有する合金の分解速度よりも大きい、埋め込み型医療デバイスを形成する方法であって、
    混合物を産生するために、鉄および該少なくとも1つの追加の金属元素を溶融する工程;ならびに
    該生分解性合金を産生するために、該混合物にハロゲン含有塩を添加する工程
    を含み、
    ここで、ハロゲン含有塩が、該混合物の溶融温度よりも高い沸騰温度を有する、
    方法
  26. 前記沸騰温度が少なくとも約1600℃である、請求項25記載の方法。
  27. 前記ハロゲン含有塩が、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化銅、フッ化銅、塩化銀、塩化カルシウム、フッ化カルシウム、塩化鉄、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項25記載の方法。
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